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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】移動体付き基材
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/16 20060101AFI20240122BHJP
   B60R 7/06 20060101ALI20240122BHJP
   E05C 21/00 20060101ALI20240122BHJP
   E05B 83/30 20140101ALI20240122BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
B65D43/16 200
B60R7/06 Z
E05C21/00 A
E05B83/30 C
B60N3/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020030692
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021133960
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 翔太
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-149266(JP,A)
【文献】特開2013-189774(JP,A)
【文献】実開平06-069005(JP,U)
【文献】特開2003-112754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/16
B60R 7/06
E05C 21/00
E05B 83/30
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材に相対移動可能に取り付けられる移動体と、
前記移動体を当該移動体の移動方向の一方、他方いずれかの同一方向に付勢する複数の付勢部材と、
を備え、
前記移動方向と交差する方向の一端に配置される前記付勢部材と他端に配置される前記付勢部材との間を略等分しつつ、それぞれが少なくとも1つの付勢部材により付勢されるように、前記移動体を複数の領域に分けた場合に、前記複数の領域が、第1の領域と、前記第1の領域に付加される付勢力よりも小さい付勢力が付加される第2の領域と、を有するように、前記複数の付勢部材が配置されている、移動体付き基材。
【請求項2】
前記第1の領域を付勢する付勢部材の付勢力と、前記第2の領域を付勢する付勢部材の付勢力とを異ならせることで、前記第2の領域に付加される付勢力が前記第1の領域に付加される付勢力よりも小さくなるようにした、請求項1に記載の移動体付き基材。
【請求項3】
前記第1の領域を付勢する付勢部材の数と、前記第2の領域を付勢する付勢部材の数とを異ならせることで、前記第2の領域に付加される付勢力が前記第1の領域に付加される付勢力よりも小さくなるようにした、請求項1または請求項2に記載の移動体付き基材。
【請求項4】
前記第2の領域が前記移動方向と交差する方向の一方側に配置されている、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の移動体付き基材。
【請求項5】
前記複数の領域を3つ以上有しており、
前記第1の領域が前記移動方向と交差する方向の中央部に配置されている、請求項4に記載の移動体付き基材。
【請求項6】
前記移動体は、車両の助手席側に、前記移動方向と交差する方向が車両幅方向と略一致するように配置されており、
前記車両の運転席から遠い側が前記移動方向と交差する方向の一方側となっている、請求項4または請求項5に記載の移動体付き基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体付き基材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体付き基材として、下記の特許文献1に開示されているように、本体部材(基材)と、本体部材に相対移動可能に取り付けられるリッド部材(移動体)と、リッド部材を付勢する複数のトーションスプリング(付勢部材)と、を備えるものが知られている。
【0003】
この特許文献1では、リッド部材は、本体部材に形成された収納部を閉塞する閉位置(第1位置)と、収納部を開放する開位置(第2位置)との間で相対回動(相対移動)できるように本体部材に取り付けられている。また、少なくとも収納部を閉塞する閉位置までリッド部材を回動させた状態で複数のトーションスプリングに反力が生じるようにし、当該反力をリッド部材に作用させることで、閉位置に位置するリッド部材が開位置(第2位置側)に向けて付勢されるようにしている。
【0004】
こうすることで、リッド部材をより容易に開放させることができるようにしつつ、リッド部材の開状態が維持されるようにしている。
【0005】
このように、特許文献1では、リッド部材に開方向への付勢力が付加されるようにすることで、操作者によるリッド部材の開操作や本体部材内への被収納部材の出し入れ等を、より容易に行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-143449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、移動体付き基材は、配置する場所や移動体の大きさ等によっては、中心部から外れた部位を押圧することで移動体を移動させるという動作が、操作者によって多用される場合がある。
【0008】
例えば、上向きに開口する収納部をリッドで開閉可能に閉塞する収納装置であって、車両幅方向の長さがグローブボックスの車両幅方向の長さと同等程度の収納装置を、インストルメントパネルの助手席前側に設けた場合には、運転席に最も近い側の端角を押圧することでリッドを閉位置に移動させるという動作が、運転者によって比較的頻繁に行われることが想定される。
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1では、同一のトーションスプリングを回動軸方向の両端に並設することで、リッド部材に開方向への付勢力が付加されるようにしている。
【0010】
そのため、このような従来の技術を上述した収納装置に適用すると、運転席に最も近い側の端角を運転者が押圧してリッドを閉じる際に、運転席から最も遠い側の端角に運転手による押圧力が作用しにくくなってしまう。そして、運転席から最も遠い側の端角に運転手による押圧力が作用しにくくなってしまうと、運転席から最も遠い位置に取り付けられた付勢部材の付勢力を抑え込むことができず、リッドを閉位置まで移動させることができなくなってしまうおそれがある。
【0011】
このように、上記従来の技術では、中心から外れた部位を押圧することで移動体を移動させる場合に、移動体の動作に不具合が生じてしまうおそれがある。
【0012】
そこで、本開示は、中心から外れた部位を押圧した場合であっても、不具合が生じてしまうことをより確実に抑制することが可能な移動体付き基材を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の移動体付き基材は、基材と、前記基材に相対移動可能に取り付けられる移動体と、前記移動体を当該移動体の移動方向に付勢する複数の付勢部材と、を備えている。そして、前記移動方向と交差する方向の一端に配置される前記付勢部材と他端に配置される前記付勢部材との間を略等分しつつ、それぞれが少なくとも1つの付勢部材により付勢されるように、前記移動体を複数の領域に分けた場合に、前記複数の領域が、第1の領域と、前記第1の領域に付加される付勢力よりも小さい付勢力が付加される第2の領域と、を有するように、前記複数の付勢部材が配置されている。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、中心から外れた部位を押圧した場合であっても、不具合が生じてしまうことをより確実に抑制することが可能な移動体付き基材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態にかかる蓋体付き収納ボックスをインストルメントパネルに取り付けた状態を模式的に示す斜視図である。
図2】第1実施形態にかかる蓋体付き収納ボックスを模式的に示す斜視図である。
図3】第1実施形態にかかる蓋体付き収納ボックスを模式的に示す分解斜視図である。
図4】第1実施形態にかかる蓋体付き収納ボックスの蓋体における第1の領域および第2の領域の配置状態を説明する図である。
図5】第2実施形態にかかる蓋体付き収納ボックスの蓋体における第1の領域および第2の領域の配置状態を説明する図である。
図6】第3実施形態にかかる蓋体付き収納ボックスの蓋体における第1の領域および第2の領域の配置状態を説明する図である。
図7】第4実施形態にかかる蓋体付き収納ボックスの蓋体における第1の領域および第2の領域の配置状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0017】
また、以下では、移動体付き基材として、基材と、当該基材に回動軸を中心として相対回動可能に取り付けられた回動体と、を備える回動体付き基材を例示する。
【0018】
また、回動体付き基材として、インストルメントパネルに取り付けられる蓋体付き収納ボックスを例示する。また、以下では、インストルメントパネルに取り付けた状態における蓋体付き収納ボックスの前後方向を車両前後方向、回動軸方向を車両幅方向、上下方向を上下方向と規定する。
【0019】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態にかかる蓋体付き収納ボックス(移動体付き基材:回動体付き基材)10の概略構成を、図1図3に基づいて説明する。
【0020】
本実施形態にかかる蓋体付き収納ボックス10は、図1図3に示すように、収納ボックス(基材)20と、収納ボックス20に取り付けられる蓋体(移動体:回動体:リッド)30と、を備えている。さらに、蓋体付き収納ボックス10は、蓋体30を収納ボックス20に回動可能に取り付けるヒンジ機構40と、蓋体30を所定の状態で保持できるようにするためのロック機構50と、を備えている。
【0021】
本実施形態では、収納ボックス20には、被収納部材を収納可能な収納空間(凹所)23が形成されている。また、ヒンジ機構40を介して蓋体30を収納ボックス20に取り付けることで、蓋体30を収納ボックス20に対して回動軸C1を中心として相対回動させることができるようにしている。このとき、蓋体30は、収納空間23の開口部23aを閉塞する閉位置(第1位置)と、収納空間23の開口部23aを開放する開位置(第2位置)との間で相対回動(相対移動)できるように収納ボックス20に取り付けられている。
【0022】
このように、本実施形態にかかる蓋体付き収納ボックス10は、蓋体30を収納ボックス20に対して回動軸C1を中心として相対回動させることで、収納ボックス20の収納空間23を開閉させることができるようにしたものである。
【0023】
なお、ロック機構50は、収納ボックス20および蓋体30に設けられており、本実施形態では、蓋体30を閉じた際に閉じた状態を維持する(閉じた蓋体30が開いてしまうのを規制する)ことができるようにするための機構である。
【0024】
そして、この蓋体付き収納ボックス10は、図1に示すように、車両前方(運転席や助手席の前方)に設けられるインストルメントパネル(車体部材:車体構成部材)1に取り付けられている。
【0025】
次に、収納ボックス20、蓋体30、ヒンジ機構40およびロック機構50の具体的な構成について説明する。なお、以下で示す収納ボックス20、蓋体30、ヒンジ機構40およびロック機構50の構成は一例に過ぎず、収納ボックス20、蓋体30、ヒンジ機構40およびロック機構50は様々な構成とすることができる。
【0026】
まず、収納ボックス20は、図3に示すように、インストルメントパネル1に取り付けた状態で奥側に配置される奥壁21と、奥壁21の周縁に連設された周壁22と、を備えている。本実施形態では、この奥壁21および周壁22によって、被収納部材を収納可能な収納空間23が画成されている。この収納空間23は、収納ボックス20をインストルメントパネル1に取り付けた状態で上方に開口しており、収納空間23の上端が開口部23aとなっている。
【0027】
さらに、収納ボックス20は、周壁22の上端(開口部23a側の端部)から外方に向けて延設された延設壁24を備えている。このような収納ボックス20は、例えば、樹脂等の材料を用いて形成することができる。
【0028】
蓋体30は、平面視における輪郭形状が延設壁24の外周縁と対応する形状をしており、蓋体30を閉じた際に、収納空間23の開口部23aおよび延設壁24の全体を閉塞することができるようになっている。この蓋体30も、例えば、樹脂等の材料を用いて形成することが可能である。また、蓋体30は、本体部と、本体部の外側を覆うように設けられた装飾用のカバーと、を備える構成とすることができる。このとき、インストルメントパネル1と同様の素材でカバーを形成すれば、車両の内装の意匠性を高めることができるようになる。
【0029】
ヒンジ機構40は、蓋体30に形成された軸受け部41と、収納ボックス20に形成された略筒状のバネ収容部42と、バネ収容部42内に収容され、蓋体30に開方向への付勢力を付加するコイルスプリング(付勢部材)43と、コイルスプリング43に挿通されるシャフトピン44と、を備えている。本実施形態では、3つのヒンジ機構40が、蓋体付き収納ボックス10の車両前方側に、車両幅方向に離間した状態で一直線上に並ぶように設けられている。
【0030】
軸受け部41は、車両幅方向に対向する一対の側壁411と、一対の側壁411の前端を連結して車両幅方向に延在する連結壁412と、を備えている。そして、一対の側壁411には、車両幅方向に貫通してシャフトピン44を挿通することが可能な挿通孔411aがそれぞれ形成されている。
【0031】
一方、バネ収容部42は、車両幅方向に対向する一対の円板421と、一対の円板421を連設する略円筒状の連結壁422と、を備えている。本実施形態では、連結壁422は、上部が切り欠かれた形状をしており、上方からコイルスプリング43を内部に収容させることができるようになっている。また、一対の円板421には、車両幅方向に貫通してシャフトピン44を挿通することが可能な挿通孔421aがそれぞれ形成されている。
【0032】
また、コイルスプリング43は、例えば、棒状の部材を螺旋状に巻回させたり屈曲させたりすることによって得られ、弾性復元力を生じさせるコイル部431と、コイル部431の両端からそれぞれ延びるアーム部432と、を備えている。
【0033】
このような構成をしたヒンジ機構40(蓋体付き収納ボックス10)は、例えば、下記のようにして組み立てることができる。
【0034】
まず、コイルスプリング43をバネ収容部42に形成された空間内に収容する。次に、軸受け部41の一対の側壁411の間に、コイルスプリング43が収容されたバネ収容部42を配置する。そして、挿通孔411a、挿通孔421aおよびコイル部431の内部空間にシャフトピン44を挿通する。こうすることで、蓋体30が収納ボックス20にヒンジ機構40を介して相対回動可能に取り付けられる。
【0035】
このとき、一方のアーム部432をバネ収容部42(収納ボックス20)に係止または固定している。また、他方のアーム部432を軸受け部41(蓋体30)に係止または固定している。そして、少なくとも蓋体30を閉じた状態(第1位置に位置させた状態)でコイル部431にねじりが加えられるようにしている。こうすることで、少なくとも蓋体30を閉じた状態(第1位置に位置させた状態)で、コイルスプリング43によって開方向への付勢力が蓋体30に付加されるようにしている。
【0036】
すなわち、本実施形態では、蓋体30の回動軸C1方向から視た際に、一方のアーム部432と他方のアーム部432とのなす角を通常状態(自由状態)の角度に対して変化させることで、コイル部431に弾性復元力を生じさせるようにしている。
【0037】
なお、蓋体30と収納ボックス20との軸支方法は、上述した方法に限られるものではなく、公知の様々な方法を用いることができる。
【0038】
このように、本実施形態では、蓋体30は、コイルスプリング40によって、蓋体30が収納ボックス20に対して開方向に相対回動するように付勢されている。そのため、収納ボックス20および蓋体30にロック機構50を設け、蓋体30を閉じた際に閉じた状態を維持する(閉じた蓋体30が開いてしまうのを規制する)ことができるようにしている。
【0039】
ロック機構50は、収納ボックス20に車両幅方向(蓋体30の移動方向と交差する交差方向)に相対移動できるように設けられたロッド(係合部)51と、蓋体30に設けられ、ロッド51が係合する係止片(被係合部)52と、を備えている。この係止片52には、ロッド51の先端部に形成されたロック爪510が収容可能な空間部521が形成されている。
【0040】
本実施形態では、解除可能に係合するロッド(係合部)51と係止片(被係合部)52との組を2組有している。そして、それぞれのロッド51のロック爪510を車両幅方向の外側に突出させることで、蓋体30が閉じられた状態でロックされるようにしている。
【0041】
また、ロック機構50は、収納ボックス20に形成され、蓋体30を閉じた際に係止片52が収容される係止片収容凹部53と、ロッド51と係止片52との係合を解除することが可能なロック制御機構54と、を備えている。
【0042】
係止片収容凹部53は、延設壁24における係止片52と対応する部位に、下方に突出するように連設されており、この係止片収容凹部53には、ロック爪510を挿通させて係止片52に係合させることができるように、挿通孔531が形成されている。
【0043】
一方、ロック制御機構54は、周壁22にネジ543により取り付けられる固定板541およびガイド部542を備えている。本実施形態では、固定板541には、各ロッド51が、車両幅方向の外側に付勢された状態で車両幅方向への相対移動が可能となるように取り付けられている。
【0044】
さらに、ロック機構50は、プッシュボタン55を備えており、このプッシュボタン55を操作(押圧)することで、ロック機構50による収納ボックス20と蓋体30との係合(ロック)が解除されるようにしている。
【0045】
本実施形態では、蓋体付き収納ボックス10をインストルメントパネル1に取り付けた状態で、プッシュボタン55がインストルメントパネル1の上面1aから突出するようにしている。そして、このプッシュボタン55を内側に向けて押圧することで、ロック機構50による収納ボックス20と蓋体30との係合(ロック)が解除されるようにしている。
【0046】
具体的には、ロック機構50が、プッシュボタン55の操作(押圧)に連動して車両幅方向の内側に移動する押圧部材56を備えている。そして、プッシュボタン55を操作(押圧)した際に、この押圧部材56が一方側のロッド51を車両幅方向の内側に押圧するようになっている。さらに、押圧部材56による押圧によって一対のロッド51がそれぞれ車両幅方向の内側に移動するようにしている。こうすることで、収納ボックス20と蓋体30との係合(ロック)が解除されるようにしている。
【0047】
そして、ロック機構50による収納ボックス20と蓋体30との係合(ロック)を解除させると、コイルスプリング40の付勢力により蓋体30が開方向に回動し、蓋体30が開かれることになる。なお、蓋体付き収納ボックス10には図示せぬストッパが設けられており、蓋体30が開方向に所定の角度以上回動してしまわないようになっている。
【0048】
一方、蓋体30を、コイルスプリング40の付勢力に抗して閉方向に回動させると、蓋体30が閉じられた状態で、ロック機構50により収納ボックス20と蓋体30とが係合(ロック)される。そして、ロック機構50により収納ボックス20と蓋体30とが係合(ロック)されると、蓋体30が閉じた状態で保持されることとなる。
【0049】
このように、本実施形態では、蓋体付き収納ボックス10は、いわゆるプッシュオープン式の開閉構造をしている。なお、蓋体の開閉構造は、いわゆるプッシュオープン式の開閉構造とする必要はなく、例えば、レバー式の開閉構造等、様々な構造とすることができる。
【0050】
ところで、本実施形態では、移動体付き基材としての蓋体付き収納ボックス10をインストルメントパネル1の助手席の前側に、収納空間23が上向きに開口するように設けたものを例示している。そして、この蓋体付き収納ボックス10は、車両幅方向の長さが、通常形成されるグローブボックスの車両幅方向の長さと同等程度となっている。
【0051】
このような蓋体付き収納ボックス10の蓋体30の開閉動作を行う場合、運転席に最も近い側の端角を押圧することで蓋体30を閉位置(第1位置)に移動させるという動作が、運転者によって比較的頻繁に行われることが想定される(図4の矢印参照)。
【0052】
そのため、本実施形態では、蓋体30の中心から外れた部位を押圧した場合であっても、蓋体30の動作に不具合が生じてしまうことをより確実に抑制できるようにしている。
【0053】
具体的には、上述したように、蓋体30を車両幅方向に並ぶ3つの領域Rに分け、3つの領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的大きい第1の領域R1と、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的小さい第2の領域R2と、を有するようにしている。
【0054】
本実施形態では、第1の領域R1を付勢するコイルスプリング43の付勢力と、第2の領域R2を付勢するコイルスプリング43の付勢力とを異ならせることで、第2の領域R2に付加される付勢力が第1の領域R1に付加される付勢力よりも小さくなるようにしている。すなわち、蓋体30を閉じた状態(第1位置に位置させた状態)で、第2の領域R2に付加される付勢力が第1の領域R1に付加される付勢力よりも小さくなるようにしている。なお、第1の領域R1に付加される付勢力や第2の領域R2に付加される付勢力は、適宜設定することが可能である。
【0055】
ここで、第1の領域R1を付勢するコイルスプリング43の付勢力と、第2の領域R2を付勢するコイルスプリング43の付勢力とを異ならせる方法としては、様々な方法があげられる。例えば、同一の形状をしており、同一の性能を有するコイルスプリング43を用い、蓋体30を閉じた状態(第1位置に位置させた状態)におけるねじり量がそれぞれ異なるように、各コイルスプリング43を配置することができる。また、同じ量だけねじった際に生じる弾性復元力が異なるコイルスプリング43を用いることもできる。
【0056】
本実施形態では、同じ量だけねじった際に生じる弾性復元力が異なるコイルスプリング43を用いたものを例示している。すなわち、第1の領域R1を付勢するコイルスプリング43は、第2の領域R2を付勢するコイルスプリング43よりも、同じ量だけねじった際に生じる弾性復元力が大きくなるものを用いている。同じ量だけねじった際に生じる弾性復元力を異ならせる方法としては、コイル部431の巻き数や外径、コイル部431を形成する棒状の部材の材質や太さ等を変更することで得ることができる。
【0057】
そして、本実施形態では、車両幅方向の一方側(車両の運転席から遠い側)に位置する領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的小さい第2の領域R2となるようにしている。また、車両幅方向の他方側(車両の運転席に近い側)に位置する領域Rも、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的小さい第2の領域R2となるようにしている。そして、車両幅方向の中央部に位置する領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的大きい第1の領域R1となるようにしている。
【0058】
こうすれば、車両幅方向の両側に付加されるコイルスプリング(付勢部材)43からの付勢力が比較的小さくなるため、運転席に最も近い側の端角を運転者が押圧して蓋体30を閉じたとしても、運転席から最も遠い位置に取り付けられたコイルスプリング43の弾性復元力(付勢力)を、より確実に抑え込むことができるようになる。
【0059】
このように、本実施形態で示す構成とすることで、中心から外れた部位を押圧して蓋体30を閉じた場合であっても、より確実に蓋体30を収納ボックス20に係合(ロック)させることができるようになる。すなわち、中心から外れた部位を押圧して蓋体30を閉じた場合に、蓋体30の動作に不具合が生じてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0060】
なお、もともとの弾性復元力が小さいコイルスプリング43を車両幅方向の両側に配置することで、蓋体付き収納ボックス10が、炎天下の車内空間(車室)等の高温環境に晒された場合に、コイルスプリング43にへたりが生じ、コイルスプリング43が伸びる方向に変形したとしても、その変形が蓋体30に与える影響を小さくし、蓋体30の端角を浮き上がらせてしまうことを抑制することもできる。
【0061】
(第2実施形態)
本実施形態にかかる蓋体付き収納ボックス(蓋体付き部材)10Aは、基本的に上記第1実施形態で示した蓋体付き収納ボックス(蓋体付き部材)10とほぼ同様の構成をしている。すなわち、蓋体付き収納ボックス(蓋体付き部材)10Aは、図5に示すように、被収納部材を収納可能な収納空間(凹所)23が形成された収納ボックス(基材)20を備えている。さらに、蓋体付き収納ボックス10Aは、収納ボックス20に取り付けられる蓋体(移動体:回動体:リッド)30を備えており、この蓋体30は、収納ボックス20に対して回動軸C1を中心として相対回動(相対移動)できるように収納ボックス20に取り付けられている。
【0062】
また、本実施形態においても、蓋体付き収納ボックス10Aは、ヒンジ機構40を備えており、このヒンジ機構40によって蓋体30が収納ボックス20に対して相対回動できるようにしている。このヒンジ機構40は、蓋体30が収納ボックス20に対して相対回動するように付勢するコイルスプリング(付勢部材)40を備えており、蓋体30は、コイルスプリング40によって、蓋体30が収納ボックス20に対して開方向に相対回動するように付勢されている。
【0063】
そのため、本実施形態においても、収納ボックス20および蓋体30にロック機構50を設け、蓋体30を閉じた際に閉じた状態を維持する(閉じた蓋体30が開いてしまうのを規制する)ことができるようにしている。
【0064】
そして、本実施形態においても、蓋体30の中心から外れた部位を押圧した場合であっても、蓋体30の動作に不具合が生じてしまうことをより確実に抑制できるようにしている。本実施形態では、2つのコイルスプリング43が用いられており、蓋体30は、車両幅方向に並ぶ2つの領域Rに分けられている。そして、2つの領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的大きい第1の領域R1と、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的小さい第2の領域R2と、を有している。
【0065】
本実施形態においても、第1の領域R1を付勢するコイルスプリング43の付勢力と、第2の領域R2を付勢するコイルスプリング43の付勢力とを異ならせることで、第2の領域R2に付加される付勢力が第1の領域R1に付加される付勢力よりも小さくなるようにしている。すなわち、蓋体30を閉じた状態(第1位置に位置させた状態)で、第2の領域R2に付加される付勢力が第1の領域R1に付加される付勢力よりも小さくなるようにしている。
【0066】
なお、本実施形態においても、第1の領域R1に付加される付勢力や第2の領域R2に付加される付勢力は、適宜設定することが可能である。
【0067】
また、本実施形態においても、同じ量だけねじった際に生じる弾性復元力が異なるコイルスプリング43を用いたものを例示している。すなわち、第1の領域R1を付勢するコイルスプリング43は、第2の領域R2を付勢するコイルスプリング43よりも、同じ量だけねじった際に生じる弾性復元力が大きくなるものを用いている。
【0068】
そして、本実施形態では、車両幅方向の一方側(車両の運転席から遠い側)に位置する領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的小さい第2の領域R2となるようにしている。一方、車両幅方向の他方側(車両の運転席に近い側)に位置する領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的大きい第1の領域R1となるようにしている。そして、車両幅方向の中央部に位置する領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的大きい第1の領域R1となるようにしている。
【0069】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0070】
(第3実施形態)
本実施形態にかかる蓋体付き収納ボックス(蓋体付き部材)10Bも、基本的に上記第1実施形態で示した蓋体付き収納ボックス(蓋体付き部材)10とほぼ同様の構成をしている。すなわち、蓋体付き収納ボックス(蓋体付き部材)10Bは、図6に示すように、被収納部材を収納可能な収納空間(凹所)23が形成された収納ボックス(基材)20を備えている。さらに、蓋体付き収納ボックス10Bは、収納ボックス20に取り付けられる蓋体(移動体:回動体:リッド)30を備えており、この蓋体30は、収納ボックス20に対して回動軸C1を中心として相対回動(相対移動)できるように収納ボックス20に取り付けられている。
【0071】
また、本実施形態においても、蓋体付き収納ボックス10Bは、ヒンジ機構40を備えており、このヒンジ機構40によって蓋体30が収納ボックス20に対して相対回動できるようにしている。このヒンジ機構40は、蓋体30が収納ボックス20に対して相対回動するように付勢するコイルスプリング(付勢部材)40を備えており、蓋体30は、コイルスプリング40によって、蓋体30が収納ボックス20に対して開方向に相対回動するように付勢されている。
【0072】
そのため、本実施形態においても、収納ボックス20および蓋体30にロック機構50を設け、蓋体30を閉じた際に閉じた状態を維持する(閉じた蓋体30が開いてしまうのを規制する)ことができるようにしている。
【0073】
そして、本実施形態においても、蓋体30の中心から外れた部位を押圧した場合であっても、蓋体30の動作に不具合が生じてしまうことをより確実に抑制できるようにしている。本実施形態では、3つのコイルスプリング43が用いられており、蓋体30は、車両幅方向に並ぶ3つの領域Rに分けられている。そして、3つの領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的大きい第1の領域R1と、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的小さい第2の領域R2と、を有している。
【0074】
本実施形態においても、第1の領域R1を付勢するコイルスプリング43の付勢力と、第2の領域R2を付勢するコイルスプリング43の付勢力とを異ならせることで、第2の領域R2に付加される付勢力が第1の領域R1に付加される付勢力よりも小さくなるようにしている。すなわち、蓋体30を閉じた状態(第1位置に位置させた状態)で、第2の領域R2に付加される付勢力が第1の領域R1に付加される付勢力よりも小さくなるようにしている。なお、本実施形態においても、第1の領域R1に付加される付勢力や第2の領域R2に付加される付勢力は、適宜設定することが可能である。
【0075】
また、本実施形態においても、同じ量だけねじった際に生じる弾性復元力が異なるコイルスプリング43を用いたものを例示している。すなわち、第1の領域R1を付勢するコイルスプリング43は、第2の領域R2を付勢するコイルスプリング43よりも、同じ量だけねじった際に生じる弾性復元力が大きくなるものを用いている。
【0076】
そして、本実施形態では、車両幅方向の一方側(車両の運転席から遠い側)に位置する領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的小さい第2の領域R2となるようにしている。一方、車両幅方向の中央部に位置する領域Rおよび車両幅方向の他方側(車両の運転席に近い側)に位置する領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的大きい第1の領域R1となるようにしている。
【0077】
ここで、本実施形態では、コイルスプリング43として耐熱性を有するものを用いている。このような耐熱性を有するコイルスプリング43は、例えば、ニッケル合金等の耐熱性を有する材料を用いて形成することができる。
【0078】
このように、耐熱性を有するコイルスプリング43を用いれば、比較的長い蓋体30の端部に弾性復元力が大きいばねを配置したとしても、高温環境下でのコイルスプリング43の変形が抑制されるため、蓋体付き収納ボックス10Bが高温環境に晒された場合であっても、蓋体30が変形してしまうことを抑制することができるようになる。
【0079】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態や第2実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0080】
(第4実施形態)
本実施形態にかかる蓋体付き収納ボックス(蓋体付き部材)10Cも、基本的に上記第1実施形態で示した蓋体付き収納ボックス(蓋体付き部材)10とほぼ同様の構成をしている。すなわち、蓋体付き収納ボックス(蓋体付き部材)10Cは、図7に示すように、被収納部材を収納可能な収納空間(凹所)23が形成された収納ボックス(基材)20を備えている。さらに、蓋体付き収納ボックス10Cは、収納ボックス20に取り付けられる蓋体(移動体:回動体:リッド)30を備えており、この蓋体30は、収納ボックス20に対して回動軸C1を中心として相対回動(相対移動)できるように収納ボックス20に取り付けられている。
【0081】
また、本実施形態においても、蓋体付き収納ボックス10Cは、ヒンジ機構40を備えており、このヒンジ機構40によって蓋体30が収納ボックス20に対して相対回動できるようにしている。このヒンジ機構40は、蓋体30が収納ボックス20に対して相対回動するように付勢するコイルスプリング(付勢部材)40を備えており、蓋体30は、コイルスプリング40によって、蓋体30が収納ボックス20に対して開方向に相対回動するように付勢されている。
【0082】
そのため、本実施形態においても、収納ボックス20および蓋体30にロック機構50を設け、蓋体30を閉じた際に閉じた状態を維持する(閉じた蓋体30が開いてしまうのを規制する)ことができるようにしている。
【0083】
そして、本実施形態においても、蓋体30の中心から外れた部位を押圧した場合であっても、蓋体30の動作に不具合が生じてしまうことをより確実に抑制できるようにしている。本実施形態では、7つのコイルスプリング43が用いられており、蓋体30は、車両幅方向に並ぶ3つの領域Rに分けられている。そして、3つの領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的大きい第1の領域R1と、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的小さい第2の領域R2と、を有している。
【0084】
ここで、本実施形態では、第1の領域R1を付勢するコイルスプリング43の数と、第2の領域R2を付勢するコイルスプリング43の数とを異ならせることで、第2の領域R2に付加される付勢力が第1の領域R1に付加される付勢力よりも小さくなるようにしている。すなわち、蓋体30を閉じた状態(第1位置に位置させた状態)で、第2の領域R2に付加される付勢力が第1の領域R1に付加される付勢力よりも小さくなるようにしている。なお、本実施形態においても、第1の領域R1に付加される付勢力や第2の領域R2に付加される付勢力は、適宜設定することが可能である。
【0085】
また、本実施形態では、同一の形状をしており、同一の性能を有するコイルスプリング43を用いたものを例示している。そして、本実施形態では、車両幅方向の一方側(車両の運転席から遠い側)に位置する領域Rおよび車両幅方向の他方側(車両の運転席に近い側)に位置する領域Rが、それぞれ2個のコイルスプリング43により押圧されるようにしつつ、車両幅方向の中央部に位置する領域Rが、3個のコイルスプリング43により押圧されるようにしている。
【0086】
したがって、本実施形態では、車両幅方向の一方側(車両の運転席から遠い側)に位置する領域Rおよび車両幅方向の他方側(車両の運転席に近い側)に位置する領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的小さい第2の領域R2となっている。一方、車両幅方向の中央部に位置する領域Rが、コイルスプリング(付勢部材)43により付加される付勢力が比較的大きい第1の領域R1となっている。
【0087】
以上の本実施形態によっても、上記第1~第3実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0088】
以下では、上記各実施形態で示した蓋体付き収納ボックス(移動体付き基材:回動体付き基材)10の特徴的構成およびそれにより得られる効果を説明する。
【0089】
(1) 本実施形態にかかる移動体付き基材は、基材と、基材に相対移動可能に取り付けられる移動体と、移動体を当該移動体の移動方向に付勢する複数の付勢部材と、を備えている。そして、移動方向と交差する方向の一端に配置される付勢部材と他端に配置される付勢部材との間を略等分しつつ、それぞれが少なくとも1つの付勢部材により付勢されるように、移動体を複数の領域に分けた場合に、複数の領域が、第1の領域と、第1の領域に付加される付勢力よりも小さい付勢力が付加される第2の領域と、を有するように、複数の付勢部材が配置されている。
【0090】
このように、付勢部材により付勢される付勢力が異なる領域を有するようにすれば、移動体の中心から外れた部位を押圧した場合であっても、移動体の移動に不具合が生じてしまうことをより確実に抑制することが可能となる。
【0091】
(2) また、第1の領域を付勢する付勢部材の付勢力と、第2の領域を付勢する付勢部材の付勢力とを異ならせることで、第2の領域に付加される付勢力が第1の領域に付加される付勢力よりも小さくなるようにしてもよい。
【0092】
こうすれば、付勢部材の数を増加させることなく、中心から外れた部位を押圧した移動体の移動に不具合が生じてしまうことをより確実に抑制できるようになる。
【0093】
(3) また、第1の領域を付勢する付勢部材の数と、第2の領域を付勢する付勢部材の数とを異ならせることで、第2の領域に付加される付勢力が第1の領域に付加される付勢力よりも小さくなるようにしてもよい。
【0094】
こうすれば、同一の形状をしており、同一の性能を有する付勢部材を用いて、中心から外れた部位を押圧した移動体の移動に不具合が生じてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。また、同一の形状をしており、同一の性能を有する付勢部材を用いれば、組み付ける際に付勢部材の配置位置を間違えてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0095】
(4) また、第2の領域が移動方向と交差する方向の一方側に配置されていてもよい。
【0096】
こうすれば、比較的変形しやすい部位に、付加される付勢力が小さい付勢部材を配置することができる。その結果、高温環境に晒された場合であっても、移動体が変形してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0097】
(5) また、複数の領域を3つ以上有していてもよい。そして、第1の領域が移動方向と交差する方向の中央部に配置されていてもよい。
【0098】
こうすれば、移動体の中央部に比較的強い付勢力が作用することになるため、移動体を付勢方向により確実に移動させることができるようになる。
【0099】
(6) また、第2の領域が移動方向と交差する方向の他方側に配置されていてもよい。
【0100】
こうすれば、移動体の他方側の端部が変形してしまうことも、より確実に抑制することができるようになる。また、よりバランスよく移動体に付勢力を作用させることができるため、よりスムーズに移動体を付勢方向に移動させることができるようになる。
【0101】
(7) また、移動体が、車両の助手席側に、移動方向と交差する方向が車両幅方向と略一致するように配置されるようにしてもよい。そして、車両の運転席から遠い側が移動方向と交差する方向の一方側となるようにしてもよい。
【0102】
こうすれば、運転席に最も近い側の端角を押圧することで移動体を移動させるという動作が、運転者によって比較的頻繁に行われることが想定される場合に、移動体付き基材の構成を、移動体の移動に不具合が生じてしまうことをより確実に抑制できる構成とすることが可能となる。
【0103】
(8) また、移動体が基材に、移動方向と交差する方向に延在する回動軸を中心として相対回動可能に取り付けられていてもよい。
【0104】
こうすれば、中心から外れた部位を押圧した移動体の回動に不具合が生じてしまうことをより確実に抑制できるようになる。
【0105】
(9) また、基材が、被収納部材を収納可能な収納空間が形成された収納ボックスであってもよい。そして、移動体が、収納空間の開口を開閉する蓋体であってもよい。
【0106】
こうすれば、中心から外れた部位を押圧した蓋体の移動に不具合が生じてしまうことをより確実に抑制できるようになる。
【0107】
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0108】
例えば、上記各実施形態で示した構成を適宜組み合わせた構成とすることも可能である。
【0109】
また、上記各実施形態では、移動体を2つまたは3つの領域に分けることができるものを例示したが、移動体を4つ以上の領域に分けることができる構成としてもよい。この場合、中央から端部に向かうにつれて徐々に付加される付勢力が小さくなるようにしてもよい。
【0110】
また、上記各実施形態では、基材として、収納空間が形成されたものを例示したが、これに限らず、例えば、普段はあまり使用しない操作ボタンや電源接続用のソケット部等を移動体で隠し、使用するときにだけ移動体を開くことで操作できるようにした構成とすることも可能である。また、テレビモニタ等を移動体に形成(内蔵)し、テレビモニタ等を使用する場合に移動体を使用位置に相対移動させる構成とすることも可能である。
【0111】
また、上記各実施形態では、移動体を基材に対して相対回動させる回動体付き基材を例示したが、これに限られるものではなく、例えば、引き出しタイプの移動体付き基材に本開示を適用することも可能である。
【0112】
また、上記各実施形態では、移動体が開方向(第2位置)に向けて付勢されているものを例示したが、移動体が第1位置に向けて付勢されているタイプの移動体付き基材に本開示を適用することも可能である。
【0113】
また、上記各実施形態では、移動体付き基材をインストルメントパネルとは別個独立に形成したが、これに限らず、移動体付き基材をインストルメントパネルと一体に形成してもよい。この場合、インストルメントパネルが基材として機能することになる。
【0114】
また、移動体自体に被収納部材を収納可能な容器が形成されていてもよい。この場合、インストルメントパネル等が基材となり、移動体は、インストルメントパネル等に形成された開口を閉塞したり開放したりするものとなる。
【0115】
また、付勢部材として、伸縮タイプのバネや弾性変形可能なゴム等を用いることも可能である。
【0116】
また、車両用の基材に移動体を取り付けるようにしたものに限らず、その他の様々な基材に移動体を取り付けた移動体付き基材に本開示を適用することも可能である。
【0117】
また、移動体や基材、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0118】
10,10A,10B,10C 車両用収納容器(移動体付き基材)
20 収納ボックス(基材)
30 蓋体(移動体)
43 コイルばね(付勢部材)
R 領域
R1 第1の領域
R2 第2の領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7