IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社西内製作所の特許一覧 ▶ 東洋機械金属株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-射出成形機 図1
  • 特許-射出成形機 図2
  • 特許-射出成形機 図3
  • 特許-射出成形機 図4
  • 特許-射出成形機 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/18 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
B29C45/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020052563
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021151721
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】518402093
【氏名又は名称】有限会社西内製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西内 憲司
(72)【発明者】
【氏名】下楠薗 壮
(72)【発明者】
【氏名】宮本 志郎
【審査官】和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0079477(KR,A)
【文献】特開平04-298313(JP,A)
【文献】特開2009-028999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱シリンダと、前記加熱シリンダに供給する樹脂を蓄えるホッパと、前記加熱シリンダに収容されたスクリューと、を有する射出成形機であって、
前記ホッパは、前記加熱シリンダの樹脂供給口に接続される管部と、前記管部の内側に設けられた1つの障害部または複数の障害部と、を有し、
前記障害部は、前記管部の内周面に接する接続部と、前記管部の内周面とともに樹脂が通る開口を形成する端部と、水平または前記端部に向かって下がるように傾斜した上面と、を有し
前記1つの障害部または前記複数の障害部のうちの最も下方にある障害部は、前記接続部が前方側に配置されかつ前記端部が後方側に配置され、
前記1つの障害部または前記複数の障害部のうちの最も下方にある障害部の前記端部と前記樹脂供給口の前記スクリュー側の開口部の前方箇所とを結ぶ線Aと、前後方向に延びる水平線Hと、がなす角αは、前記樹脂の安息角α0以下であることを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
前記管部を上側から見たときの前記管部の内側の面積をS0とし、前記管部を上側から見たときの前記障害部の前記上面の面積をSとしたとき、S/S0が0.2以上でかつ0.8以下である、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
加熱シリンダと、前記加熱シリンダに供給する樹脂を蓄えるホッパと、前記加熱シリンダに収容されたスクリューと、を有する射出成形機であって、
前記ホッパは、前記加熱シリンダの樹脂供給口に接続される管部と、前記管部の内側に設けられた複数の障害部と、を有し、
前記障害部は、前記管部の内周面に接する接続部と、前記管部の内周面とともに樹脂が通る開口を形成する端部と、水平または前記端部に向かって下がるように傾斜した上面と、を有し、
前記管部を上側から見たとき、前記複数の障害部のうちの一の障害部の前記端部が他の障害部に重なるように配置され、または、一の障害部の前記端部が他の障害部の前記端部と接するように配置されている、射出成形機。
【請求項4】
加熱シリンダと、前記加熱シリンダに供給する樹脂を蓄えるホッパと、前記加熱シリンダに収容されたスクリューと、を有する射出成形機であって、
前記ホッパは、前記加熱シリンダの樹脂供給口に接続される管部と、前記管部の内側に設けられた複数の障害部と、を有し、
前記障害部は、前記管部の内周面に接する接続部と、前記管部の内周面とともに樹脂が通る開口を形成する端部と、水平または前記端部に向かって下がるように傾斜した上面と、を有し、
前記複数の障害部は、前記管部を上側から見たとき、前記樹脂供給口を塞ぐように配置されている、射出成形機。
【請求項5】
加熱シリンダと、前記加熱シリンダに供給する樹脂を蓄えるホッパと、前記加熱シリンダに収容されたスクリューと、を有する射出成形機であって、
前記ホッパは、前記加熱シリンダの樹脂供給口に接続される管部と、前記管部の内側に設けられた複数の障害部と、を有し、
前記障害部は、前記管部の内周面に接する接続部と、前記管部の内周面とともに樹脂が通る開口を形成する端部と、水平または前記端部に向かって下がるように傾斜した上面と、を有し、
前記ホッパ内の前記樹脂の高さを検出するセンサと、
前記センサの検出結果に基づき、前記ホッパ内の前記樹脂の高さが前記複数の障害部のうちの最も上方にある障害部の前記端部以下となる前に前記ホッパに前記樹脂が供給されるように、樹脂供給装置に前記樹脂の供給を要求する制御装置と、をさらに有している、射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の射出成形機の一例が特許文献1に開示されている。引用文献1の射出成形機は、射出を行うたびにホッパへ樹脂を供給して、ホッパ内の樹脂の残量を射出毎に同一にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平3-268916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1のような構成の射出成形機以外に、ホッパ内の樹脂を用いて射出を複数回行ったのち、複数回の射出に用いる量の樹脂をホッパに供給する構成の射出成形機がある。このようにすることで、樹脂の供給回数を減らすことができる。
【0005】
しかしながら、このような構成の射出成形機では、ホッパ内の樹脂の量に応じて、ホッパから加熱シリンダに供給される樹脂に加わる圧力が変化する。すなわち、ホッパ内の樹脂が多いときは自重によって加熱シリンダの樹脂供給口にある樹脂に大きな圧力が加わるが、射出を行うことによりホッパ内の樹脂が減少すると自重が徐々に小さくなり樹脂供給口にある樹脂に加わる圧力が徐々に小さくなる。そのため、射出毎に加熱シリンダへの樹脂の供給量にばらつきが生じるおそれがあった。これにより、加熱シリンダ内の樹脂密度や混練度合いなどの可塑化した樹脂の状態にばらつきが生じてしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、ホッパから加熱シリンダに供給される樹脂に加わる圧力の変化を抑制できる射出成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る射出成形機は、加熱シリンダと、前記加熱シリンダに供給する樹脂を蓄えるホッパと、前記加熱シリンダに収容されたスクリューと、を有する射出成形機であって、前記ホッパは、前記加熱シリンダの樹脂供給口に接続される管部と、前記管部の内側に設けられた1つの障害部または複数の障害部と、を有し、前記障害部は、前記管部の内周面に接する接続部と、前記管部の内周面とともに樹脂が通る開口を形成する端部と、水平または前記端部に向かって下がるように傾斜した上面と、を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ホッパから加熱シリンダに供給される樹脂に加わる圧力の変化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る射出成形機の概略構成を示す図である。
図2図1の射出成形機のホッパおよびその近傍の拡大断面図である。
図3図2のホッパの管部のX-X線断面図で2つの障害部が重なるように配置された構成を示す図である。
図4図2のホッパの管部のX-X線断面図で2つの障害部の端部が接するように配置された構成を示す図である。
図5】加熱シリンダの樹脂供給口にある樹脂に加わる圧力の時間変化の一例を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る射出成形機について、図1図5を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る射出成形機の概略構成を示す図である。図2は、図1の射出成形機のホッパおよびその近傍の拡大断面図である。図3は、図2のホッパの管部のX-X線断面図で2つの障害部が重なるように配置された構成を示す図である。具体的には、図3(a)は、2つの障害部が前後方向に対向するように配置された構成を示す。図3(b)は、第1変形例であって、2つの障害部が前後方向と直交する方向に対向するように配置された構成を示す。図3(c)は、第2変形例であって、2つの障害部がスクリューのフライトと直交する方向に対向するように配置された構成を示す。図3(d)は、第3変形例であって、2つの障害部が前後方向に対向するように配置されるとともに、管部を上側から見たときに、樹脂供給口の一部が見える(樹脂供給孔を塞がない)ように配置された構成を示す。図4は、図2のホッパの管部のX-X線断面図で2つの障害部の端部が接するように配置された構成を示す図である。具体的には、図4(a)は、第4変形例であって、2つの障害部が前後方向に対向するように配置された構成を示す。図4(b)は、第5変形例であって、2つの障害部が前後方向に対向するように配置されるとともに、管部を上側から見たときに、樹脂供給口の一部が見えるように配置された構成を示す。図5は、加熱シリンダの樹脂供給口にある樹脂に加わる圧力の時間変化の一例を模式的に示すグラフである。加熱シリンダのノズルがある側を前方側(図1図4の左側)、その反対側を後方側(図1図4の右側)、ホッパのある側を上側(図1図2の上側)、その反対側を下側(図1図2の下側)としている。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る射出成形機1は、型締装置10と、射出装置20と、を有している。この射出成形機1は、射出装置20が有するホッパ25に蓄えられた粒状または粉状の樹脂Pを可塑化して、固定側金型81および可動側金型82により形成されるキャビティ83に射出充填する。
【0013】
型締装置10は、固定ダイプレート11と、可動ダイプレート12と、型締駆動機構13と、を有している。固定ダイプレート11には、固定側金型81が取り付けられる。可動ダイプレート12には、可動側金型82が取り付けられる。型締駆動機構13は、固定ダイプレート11と可動ダイプレート12とにより固定側金型81および可動側金型82を図1の左右方向に締め付けて型締力を発生させる。
【0014】
射出装置20は、加熱シリンダ21と、スクリュー22と、スクリュー駆動機構23と、を有している。加熱シリンダ21は、図1において固定ダイプレート11の右側に配置されている。加熱シリンダ21の前方の端部には、固定側金型81にタッチするノズル21aが設けられている。スクリュー22は、加熱シリンダ21に回転可能かつ前後進可能に収容されている。スクリュー駆動機構23は、加熱シリンダ21内でスクリュー22を回転および前後進させることにより、樹脂Pを可塑化してキャビティ83に射出充填する。
【0015】
また、射出装置20は、ホッパ25を有している。
【0016】
ホッパ25は、加熱シリンダ21に供給する樹脂Pを蓄える。ホッパ25は、図2に示すように、管部25aと、蓄積部25bと、蓋体25cと、を有している。管部25aは、断面円形の直線管状に形成されている。管部25aの断面は、例えば、四角形や六角形など円形以外であってもよい。管部25aは、上下方向に沿って配置され、下端が加熱シリンダ21の樹脂供給口21bに接続されている。蓄積部25bは、管部25aより大径の円筒形状を有し、管部25aの上端に連なっている。蓄積部25bの下部は逆円錐状に形成されている。蓄積部25bの上部開口は、蓋体25cで塞がれている。
【0017】
管部25aの内側には、略半円形の平板状に形成された複数の障害部(障害部26、27)が設けられている。障害部26、27は、上下方向に隣り合っており、障害部27が障害部26より下方に配置されている。障害部26、27は、管部25aの内周面25a1に固定されている。
【0018】
障害部26は、管部25aの内周面25a1に接する円弧状の接続部26aと、管部25aの中心軸L近傍に配置された直線状の端部26bと、を有している。接続部26aは後方側(図1図3の右側)に配置され、端部26bは前方側(図1図3の左側)に配置されている。端部26bと管部25aの内周面25a1とは、樹脂Pが通る開口26cを形成している。管部25aの内側において、障害部26が後方側に配置されており、障害部26より前方側に開口26cが配置されている。障害部26は、後方側から前方側に向かうにしたがって下方に向かうように傾斜している。すなわち、障害部26は、前方側が下がるように傾斜した上面26dを有している。上面26dは、端部26bに向かって下がるように傾斜している。
【0019】
障害部27は、管部25aの内周面25a1に接する円弧状の接続部27aと、管部25aの中心軸L近傍に配置された直線状の端部27bと、を有している。接続部27aは前方側(図1図3の左側)に配置され、端部27bは後方側(図1図3の右側)に配置されている。端部27bと管部25aの内周面25a1とは、樹脂Pが通る開口27cを形成している。管部25aの内側において、障害部27が前方側に配置されており、障害部27より後方側に開口27cが配置されている。障害部27は、前方側から後方側に向かうにしたがって下方に向かうように傾斜している。すなわち、障害部27は、後方側が下がるように傾斜した上面27dを有している。上面27dは、端部27bに向かって下がるように傾斜している。障害部27とスクリュー22との間に空間28が設けられている。
【0020】
障害部27の端部27bと樹脂供給口21bのスクリュー22側の開口部の前方箇所21cとを結ぶ線Aと、前後方向に延びる水平線Hと、がなす角α(図2に示す)は、樹脂Pの安息角α0以下である。このようにすることで、障害部27の下方の空間28に崩れ落ちる樹脂Pの量を少なくすることができる。そのため、空間28の空きを確保して、樹脂供給口21bの前方側において加熱シリンダ21とスクリュー22とに挟まれた樹脂Pを空間28に逃げやすくすることができる。例えば、樹脂PとしてABS樹脂を用いた場合、ABSの安息角α0は44度であるので、上記角αが44度以下(例えば40度程度)となる障害部27の形状および配置を採用する。
【0021】
管部25aを上側から見たときの管部25aの内側の面積をS0とし、管部25aを上側から見たときの障害部26の上面26dの面積をSとしたとき、面積S0に対する面積Sの割合S/S0は0.55である。この割合S/S0が小さすぎると、障害部26によって樹脂Pの自重を十分に受け止めることができない。この割合S/S0が大きすぎると、開口26cが小さくなり、管部25a内での樹脂Pの下方への移動が必要以上に妨げられる。この割合S/S0は、樹脂Pの自重の受け止めと樹脂Pの下方への移動とのバランスの観点から、0.2以上でかつ0.8以下が好ましく、0.4以上でかつ0.6以下がより好ましい。
【0022】
同様に、管部25aを上側から見たときの管部25aの内側の面積をS0とし、管部25aを上側から見たときの障害部27の上面27dの面積をSとしたとき、これらの割合S/S0は0.55である。障害部27についても、この割合S/S0は、0.2以上でかつ0.8以下が好ましく、0.4以上でかつ0.6以下がより好ましい。
【0023】
障害部26、27において、上記割合S/S0を0.2以上でかつ0.8以下とすることで、管部25a内での樹脂Pの移動を必要以上に妨げることなく、障害部26、27によって樹脂Pの自重を十分に受け止めることができる。
【0024】
特に、障害部27について上記割合S/S0を0.2以上とすることにより、障害部27の下方の空間28に崩れ落ちる樹脂Pの量が少なくなり、空間28の空きをより確実に確保できる。これにより、樹脂供給口21bにある樹脂Pに加わる圧力が前方側に向かうにしたがって小さくなるように、圧力を傾斜分布させることができる。そのため、樹脂供給口21bの前方側において加熱シリンダ21とスクリュー22とに挟まれた樹脂Pを空間28により逃げやすくすることができる。したがって、加熱シリンダ21加熱シリンダ21とスクリュー22との間に樹脂Pを噛み込んでしまうことを抑制できる。上記割合S/S0を0.2以上とするとともに、上記角αを安息角α0以下とすると、空間28の空きをさらに確実に確保できる。
【0025】
障害部26と障害部27とは、図3(a)に示すように、前後方向に対向するように配置されているとともに、障害部26の端部26bが障害部27の上面27dに重なるように配置されている。つまり、図3(a)に示す構成では、障害部26の上面26dと障害部27の上面27dとが、隙間なく連続している。それぞれの端部26b、27bが前後方向と直交する方向に延在している。端部26bと端部27bとは、平行に配置されている。また、障害部26と障害部27とは、樹脂供給口21bが見えないよう、樹脂供給口21bを塞ぐように配置されている。
【0026】
図3(a)に示す構成以外にも、例えば、図3(b)に示すように、障害部26と障害部27とが前後方向と直交する方向に対向するように配置され、それぞれの端部26b、27bが前後方向に延在する構成を採用してもよい。または、図3(c)に示すように、障害部26と障害部27とがスクリュー22のフライト22aと直交する方向に対向するように配置され、それぞれの端部26b、27bがフライト22aに沿うように延在する構成を採用してもよい。または、図示は省略するが、障害部26と障害部27とがスクリュー22のフライト22aに沿う方向に対向するように配置され、それぞれの端部26b、27bがフライト22aと直交する方向に延在する構成を採用してもよい。または、図3(d)に示すように、障害部26と障害部27とが、樹脂供給口21bの一部が見える(樹脂供給口21bを塞がない)ように配置された構成を採用してもよい。
【0027】
また、図3(a)に示す構成以外にも、例えば、図4(a)に示すように、端部26bと端部27bとが接するように、障害部26と障害部27とが配置された構成を採用してもよい。つまり、図4(a)に示す構成では、障害部26の上面26dと障害部27の上面27dとが、隙間なく連続している。また、障害部26と障害部27とは、樹脂供給口21bが見えないよう、樹脂供給口21bを塞ぐように配置されている。または、図4(b)に示すように、端部26bの一部と端部27bの一部とが接し、樹脂供給口21bの一部が見えるように、障害部26と障害部27とが配置された構成を採用してもよい。なお、図4(a)、(b)に示す構成において、障害部26の端部26bと障害部27の端部27bとは、本発明の効果を奏する程度に実質的に接していればよい。例えば、管部25aを上側から見たとき、障害部26の端部26bと障害部27の端部27bとの間に、樹脂Pの平均粒径以下の隙間が設けられた構成であってもよい。
【0028】
また、本実施形態では、障害部26、27が平板状に形成されている。これ以外にも、例えば、障害部26、27は、傾斜した半円平面状の上面を有するとともに縦断面が直角三角形となる形状(くさび形状)に形成されていてもよい。障害部26、27の上面26d、27dは、水平であってもよい。図3(a)~(d)および図4(a)、(b)に示すいずれの構成においても、障害部26の端部26bと障害部27の端部27bとは平行に(図3(d)および図4(b)の構成では、端部26bの一部と端部27bの一部とが平行に)配置されている。これ以外にも、例えば、略半円平板状の3つの障害部が、周方向に順に120度ずつずれて配置された構成を採用してもよい。または、ホッパ25が、障害部26および障害部27のいずれか一方のみ(つまり1つの障害部)を有する構成を採用してもよい。
【0029】
次に、上述した本実施形態の射出成形機1の作用について、図5を参照して説明する。障害部26、27を有しない従来の射出成形機では、樹脂供給口21bにある樹脂Pに加わる圧力P1が射出毎(具体的には可塑化毎)に徐々に減少する。そして、ホッパ25に樹脂Pを新たに供給したとき、管部25aの内側において樹脂Pの自重を受け止めるものがないため、樹脂供給口21bにある樹脂Pに加わる圧力P1が大きく上昇する。そのため、ホッパ25への樹脂Pの供給直前の圧力P1と、供給直後の圧力P1とに大きな差が生じる。
【0030】
一方、障害部26、27を有する本実施形態の射出成形機1では、管部25aの内側において障害部26、27が樹脂Pの自重を受け止める。そのため、ホッパ25内の樹脂Pの高さが障害部26の端部26bより高い場合には、樹脂供給口21bにある樹脂Pに加わる圧力P2の射出毎の変化がほとんど無く圧力P2は一定となり、ホッパ25に樹脂Pを新たに供給しても圧力P2は変化しない。また、ホッパ25内の樹脂Pの高さが障害部26の端部26b以下または端部26bより低くなったときに樹脂Pを新たに供給した場合、圧力P2は上昇するものの樹脂Pの高さが端部26bを超えると圧力P2が一定となるため、従来の射出成形機に比べて圧力P2の上昇が小さい。そのため、ホッパ25への樹脂Pの供給直前の圧力P2と、供給直後の圧力P2との差をなくす、または、当該差を小さくすることができる。したがって、加熱シリンダ21に供給する樹脂Pの状態や量のばらつきを小さくできる。
【0031】
なお、ホッパ25内の樹脂Pの高さ(残量)を検出する残量センサを有し、射出成形機1を司る制御装置が、残量センサの検出結果に基づき、ホッパ25内の樹脂Pの高さが障害部26の端部26b以下となる前にホッパ25に樹脂Pが供給されるように、樹脂供給装置に樹脂Pの供給を要求する構成としてもよい。残量センサは、例えば、光電センサで構成され、管部25aにおける障害部26の端部26bより上方の箇所に配置されている。樹脂供給装置は、制御装置からの要求に応じて、樹脂Pが収容された乾燥容器から樹脂Pを吸引してホッパ25に供給する。このようにすることで、ホッパ25内の樹脂Pの高さが、障害部26の端部26bより高い状態を維持することができる。これにより、樹脂供給口21bにある樹脂Pに加わる圧力P2の一定に(または圧力P2の変化の幅を非常に小さく)することができ、加熱シリンダ21に供給する樹脂Pの状態や量のばらつきをより小さくできる。
【0032】
以上より、本実施形態の射出成形機1によれば、ホッパ25が、加熱シリンダ21の樹脂供給口21bに接続される管部25aと、管部25aの内側に設けられた障害部26および障害部27と、を有している。障害部26は、管部25aの内周面25a1に接する接続部26aと、管部25aの内周面25a1とともに樹脂Pが通る開口26cを形成する端部26bと、端部26bに向かって下がるように傾斜した上面26dと、を有している。障害部27は、管部25aの内周面25a1に接する接続部27aと、管部25aの内周面25a1とともに樹脂Pが通る開口27cを形成する端部27bと、端部27bに向かって下がるように傾斜した上面27dと、を有している。このようにしたことから、ホッパ25の管部25aの内側では、樹脂Pが障害部26の上面26dおよび障害部27の上面27dに載るとともに開口26c、27cを通り加熱シリンダ21の樹脂供給口21bに至る。そのため、障害部26、27によってホッパ25内の樹脂Pの自重を受け止めることができる。これにより、ホッパ25内の樹脂Pが多いときでも樹脂供給口21bにある樹脂Pに加わる圧力を小さくすることができるので、樹脂Pの減少に伴う当該圧力の変化を小さくすることができる。したがって、ホッパ25から加熱シリンダ21に供給される樹脂Pに加わる圧力の変化を抑制できる。これにより、加熱シリンダ21内の樹脂密度や混練度合いなどの可塑化した樹脂Pの状態のばらつきを抑制できる。
【0033】
また、管部25aを上側から見たとき、障害部26の端部26bが障害部27の上面27dに重なるように配置されている。このようにすることで、障害部26、27より上方にある樹脂Pの自重による圧力が樹脂供給口21bにある樹脂Pに直接的に加わることを抑制できる。そのため、障害部26、27によってホッパ25内の樹脂Pの自重をより効果的に受け止めることができ、ホッパ25から加熱シリンダ21に投入供給される樹脂Pに加わる圧力の変化をさらに抑制できる。
【0034】
また、障害部26、27は、管部25aを上側から見たとき、樹脂供給口21bを塞ぐように配置されている。このようにすることで、樹脂供給口21bが視認できないことから、障害部26、27より上方にある樹脂Pの自重による圧力が樹脂供給口21bにある樹脂Pに直接的に加わることがない。そのため、障害部26、27によってホッパ25内の樹脂Pの自重をより効果的に受け止めることができ、ホッパ25から加熱シリンダ21に供給される樹脂Pに加わる圧力の変化をさらに抑制できる。
【0035】
また、最も下方にある障害部27は、平板状に形成されるとともに接続部27aが前方側に配置されかつ端部27bが後方側に配置され、障害部27の上面27dは後方側が下がるように傾斜している。このようにすることで、加熱シリンダ21の樹脂供給口21bの前方側において、障害部27とスクリュー22との間に空間28が形成される。これにより、樹脂供給口21bの前方側において加熱シリンダ21とスクリュー22とに挟まれた樹脂Pが当該空間28に逃げることができる。そのため、加熱シリンダ21とスクリュー22との間に樹脂Pをかみ込んでしまうことを抑制できる。
【0036】
また、障害部26、27は、それぞれ直線状の端部26b、27bを有している。そして、端部26bと端部27bとは、管部25aを上側から見たとき平行に配置されている。このようにすることで、比較的簡易な構成の障害部26、27によってホッパ25内の樹脂Pの自重を受け止めることができるとともに、樹脂Pの下方への移動が必要以上に妨げられることを抑制できる。ホッパ25から加熱シリンダ21に供給される樹脂Pに加わる圧力の変化を抑制できる。
【0037】
上記に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
1…射出成形機、10…型締装置、11…固定ダイプレート、12…可動ダイプレート、13…型締駆動機構、20…射出装置、21…加熱シリンダ、21a…ノズル、21b…樹脂供給口、21c…前方箇所、22…スクリュー、22a…フライト、23…スクリュー駆動機構、25…ホッパ、25a…管部、25a1…内周面、25b…蓄積部、25c…蓋体、26、27…障害部、26a、27a…接続部、26b、27b…端部、26c、27c…開口、26d、27d…上面、28…空間、81…固定側金型、82…可動側金型、83…キャビティ、P…樹脂、P1、P2…樹脂供給口にある樹脂に加わる圧力、L…中心軸、H…水平線
図1
図2
図3
図4
図5