(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 61/00 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
A01D61/00 301M
(21)【出願番号】P 2020073542
(22)【出願日】2020-04-16
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】相田 宙
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-196630(JP,U)
【文献】特開2018-088899(JP,A)
【文献】実開平01-149913(JP,U)
【文献】実開平01-116023(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02307392(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作物を収穫する収穫部と、
前記収穫部によって収穫された収穫物を後方へ搬送する搬送機構、及び、前記搬送機構を収容する搬送ケースを有する搬送装置と、が備えられ、
前記搬送ケースの底面部に、前記搬送機構の搬送幅に亘る第一開口部が形成され、
前記底面部に揺動可能に支持され、前記第一開口部の下方領域において前記第一開口部から落下する物を貯留可能な貯留可能状態と、前記貯留可能状態よりも下側に揺動して前記下方領域を開放する開放状態と、に状態変更可能な箱状ケース部が備えられ
、
前記搬送ケースは、前下がりの姿勢であり、
前記箱状ケース部は、前記貯留可能状態において、前記底面部と対向する底壁と、前記底壁の前端部から上側へ延びる前壁と、を有する収穫機。
【請求項2】
前記箱状ケース部に、前記貯留可能状態において前記第一開口部と重複する第二開口部または前記貯留可能状態において前記第一開口部を閉塞する閉塞部を有する板部材と、前記板部材の下方で前記第一開口部から落下する物を貯留可能な箱本体部と、前記板部材を前記箱本体部に取り付ける取付部と、が備えられている請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
圃場の作物を収穫する収穫部と、
前記収穫部によって収穫された収穫物を後方へ搬送する搬送機構、及び、前記搬送機構を収容する搬送ケースを有する搬送装置と、が備えられ、
前記搬送ケースの底面部に、前記搬送機構の搬送幅に亘る第一開口部が形成され、
前記底面部に揺動可能に支持され、前記第一開口部の下方領域において前記第一開口部から落下する物を貯留可能な貯留可能状態と、前記貯留可能状態よりも下側に揺動して前記下方領域を開放する開放状態と、に状態変更可能な箱状ケース部が備えられ、
前記箱状ケース部に、前記貯留可能状態において前記第一開口部と重複する第二開口部または前記貯留可能状態において前記第一開口部を閉塞する閉塞部を有する板部材と、前記板部材の下方で前記第一開口部から落下する物を貯留可能な箱本体部と、前記板部材を前記箱本体部に取り付ける取付部と、が備えられ、
前記取付部に、前記底面部と対向するフランジ部が備えられ、
前記取付部は、前記貯留可能状態において前記底面部と前記フランジ部とに前記板部材を挟持させ
る収穫機。
【請求項4】
圃場の作物を収穫する収穫部と、
前記収穫部によって収穫された収穫物を後方へ搬送する搬送機構、及び、前記搬送機構を収容する搬送ケースを有する搬送装置と、が備えられ、
前記搬送ケースの底面部に、前記搬送機構の搬送幅に亘る第一開口部が形成され、
前記底面部に揺動可能に支持され、前記第一開口部の下方領域において前記第一開口部から落下する物を貯留可能な貯留可能状態と、前記貯留可能状態よりも下側に揺動して前記下方領域を開放する開放状態と、に状態変更可能な箱状ケース部が備えられ、
前記箱状ケース部に、前記貯留可能状態において前記第一開口部と重複する第二開口部または前記貯留可能状態において前記第一開口部を閉塞する閉塞部を有する板部材と、前記板部材の下方で前記第一開口部から落下する物を貯留可能な箱本体部と、前記板部材を前記箱本体部に取り付ける取付部と、が備えられ、
前記箱状ケース部の揺動軸芯箇所に、前記底面部と揺動可能に連結されたヒンジが備えられ、
前記ヒンジに、前記取付部に含まれるとともに揺動軸芯方向に沿って露出する露出軸部が備えられ、
前記板部材の端部は、前記露出軸部に係止可能に構成されてい
る収穫機。
【請求項5】
前記取付部は前記箱本体部の上縁部に形成された開口部分であって、
前記板部材に、平面状の平坦面部と、
嵌合部と、が形成され、
前記嵌合部は、前記平坦面部の外周部において前記平坦面部に対して折れ曲がるとともに前記開口部分に係止可能な複数の折返部
によって構成され、
前記開口部分は、前記
嵌合部が
上側から嵌合可能であるように構成されている請求項2から4の何れか一項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示された収穫機では、搬送装置の後方に、箱状ケース部(文献では「ストーントラップ」)が備えられている。収穫物が搬送装置によって搬送される際に石塊等の異物が収穫物とともに搬送される場合であっても、石塊等の異物は箱状ケース部に落下する。これにより、搬送装置によって搬送される収穫物から異物が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2017/0311548号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1に開示された収穫機では箱状ケース部が搬送装置の後方に配置されている。一般的に収穫機のうち搬送装置の後方の箇所は種々の機器で混み合いがちであるため、特許文献1に開示された箱状ケース部の構成ではメンテナンス作業が煩雑である。また、搬送装置の搬送負荷を軽減させる観点から、石塊等の異物は、できるだけ搬送方向上手側で除去されることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、収穫物に含まれる異物を搬送方向上手側で効率よく除去可能な収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による収穫機は、圃場の作物を収穫する収穫部と、前記収穫部によって収穫された収穫物を後方へ搬送する搬送機構、及び、前記搬送機構を収容する搬送ケースを有する搬送装置と、が備えられ、前記搬送ケースの底面部に、前記搬送機構の搬送幅に亘る第一開口部が形成され、前記底面部に揺動可能に支持され、前記第一開口部の下方領域において前記第一開口部から落下する物を貯留可能な貯留可能状態と、前記貯留可能状態よりも下側に揺動して前記下方領域を開放する開放状態と、に状態変更可能な箱状ケース部が備えられ、前記搬送ケースは、前下がりの姿勢であり、前記箱状ケース部は、前記貯留可能状態において、前記底面部と対向する底壁と、前記底壁の前端部から上側へ延びる前壁と、を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、箱状ケース部が搬送ケースの底面部に備えられているため、箱状ケース部が箱状ケース部の後方に備えられる構成と比較して、収穫物に含まれる異物が搬送方向上手側で除去される。また、搬送ケースの底面部は搬送ケースの後方よりも広いスペースを確保し易いため、箱状ケース部が搬送ケースの後方に備えられる構成と比較して、箱状ケース部の形状や配置レイアウトの自由度が高くなる。加えて、搬送ケースの後方は種々の機器で混み合いがちであるが、箱状ケース部が搬送ケースの後方を避けた配置されるため、箱状ケース部が搬送ケースの後方に備えられる構成と比較してメンテナンス作業が容易になる。また、箱状ケース部が底面部に揺動可能に支持されることから、箱状ケース部の内部が物で満杯になったとしても、箱状ケース部を揺動することによって箱状ケース部の内部の物が排出されるため、箱状ケース部のメンテナンス作業が容易である。これにより、収穫物に含まれる異物を搬送方向上手側で効率よく除去可能な収穫機が実現される。
【0008】
本発明において、前記箱状ケース部に、前記貯留可能状態において前記第一開口部と重複する第二開口部または前記貯留可能状態において前記第一開口部を閉塞する閉塞部を有する板部材と、前記板部材の下方で前記第一開口部から落下する物を貯留可能な箱本体部と、前記板部材を前記箱本体部に取り付ける取付部と、が備えられていると好適である。
【0009】
本構成によると、箱状ケース部に箱本体部が備えられ、第一開口部から落下した異物が下方の箱本体部によって受け止められる。ところで収穫部の上下高さが高い状態で収穫作業が行われる場合等では、収穫物に異物が含まれる虞が殆どないために、箱状ケース部が用いられないことも考えられる。本構成であれば、箱本体部に、第一開口部を閉塞する板部材と、第一開口部と重複する第二開口部を有する板部材と、の何れであっても取付可能である。このため、箱状ケース部が不要な場合には第一開口部を閉塞する板部材を箱本体部に取り付けることによって、収穫物が箱本体部に落下せず、箱状ケース部における収穫ロスが防止される。
【0010】
本発明による別の収穫機は、圃場の作物を収穫する収穫部と、前記収穫部によって収穫された収穫物を後方へ搬送する搬送機構、及び、前記搬送機構を収容する搬送ケースを有する搬送装置と、が備えられ、前記搬送ケースの底面部に、前記搬送機構の搬送幅に亘る第一開口部が形成され、前記底面部に揺動可能に支持され、前記第一開口部の下方領域において前記第一開口部から落下する物を貯留可能な貯留可能状態と、前記貯留可能状態よりも下側に揺動して前記下方領域を開放する開放状態と、に状態変更可能な箱状ケース部が備えられ、前記箱状ケース部に、前記貯留可能状態において前記第一開口部と重複する第二開口部または前記貯留可能状態において前記第一開口部を閉塞する閉塞部を有する板部材と、前記板部材の下方で前記第一開口部から落下する物を貯留可能な箱本体部と、前記板部材を前記箱本体部に取り付ける取付部と、が備えられ、前記取付部に、前記底面部と対向するフランジ部が備えられ、前記取付部は、前記貯留可能状態において前記底面部と前記フランジ部とに前記板部材を挟持させることを特徴とする。
【0011】
本発明によると、箱状ケース部が搬送ケースの底面部に備えられているため、箱状ケース部が箱状ケース部の後方に備えられる構成と比較して、収穫物に含まれる異物が搬送方向上手側で除去される。また、搬送ケースの底面部は搬送ケースの後方よりも広いスペースを確保し易いため、箱状ケース部が搬送ケースの後方に備えられる構成と比較して、箱状ケース部の形状や配置レイアウトの自由度が高くなる。加えて、搬送ケースの後方は種々の機器で混み合いがちであるが、箱状ケース部が搬送ケースの後方を避けた配置されるため、箱状ケース部が搬送ケースの後方に備えられる構成と比較してメンテナンス作業が容易になる。また、箱状ケース部が底面部に揺動可能に支持されることから、箱状ケース部の内部が物で満杯になったとしても、箱状ケース部を揺動することによって箱状ケース部の内部の物が排出されるため、箱状ケース部のメンテナンス作業が容易である。これにより、収穫物に含まれる異物を搬送方向上手側で効率よく除去可能な収穫機が実現される。
本構成によると、箱状ケース部に箱本体部が備えられ、第一開口部から落下した異物が下方の箱本体部によって受け止められる。ところで収穫部の上下高さが高い状態で収穫作業が行われる場合等では、収穫物に異物が含まれる虞が殆どないために、箱状ケース部が用いられないことも考えられる。本構成であれば、箱本体部に、第一開口部を閉塞する板部材と、第一開口部と重複する第二開口部を有する板部材と、の何れであっても取付可能である。このため、箱状ケース部が不要な場合には第一開口部を閉塞する板部材を箱本体部に取り付けることによって、収穫物が箱本体部に落下せず、箱状ケース部における収穫ロスが防止される。
本構成であれば、板部材が底面部とフランジ部とに挟持されるため、箱本体部に対する板部材の取付構造が簡素化される。
【0012】
本発明による別の収穫機は、圃場の作物を収穫する収穫部と、前記収穫部によって収穫された収穫物を後方へ搬送する搬送機構、及び、前記搬送機構を収容する搬送ケースを有する搬送装置と、が備えられ、前記搬送ケースの底面部に、前記搬送機構の搬送幅に亘る第一開口部が形成され、前記底面部に揺動可能に支持され、前記第一開口部の下方領域において前記第一開口部から落下する物を貯留可能な貯留可能状態と、前記貯留可能状態よりも下側に揺動して前記下方領域を開放する開放状態と、に状態変更可能な箱状ケース部が備えられ、前記箱状ケース部に、前記貯留可能状態において前記第一開口部と重複する第二開口部または前記貯留可能状態において前記第一開口部を閉塞する閉塞部を有する板部材と、前記板部材の下方で前記第一開口部から落下する物を貯留可能な箱本体部と、前記板部材を前記箱本体部に取り付ける取付部と、が備えられ、前記箱状ケース部の揺動軸芯箇所に、前記底面部と揺動可能に連結されたヒンジが備えられ、前記ヒンジに、前記取付部に含まれるとともに揺動軸芯方向に沿って露出する露出軸部が備えられ、前記板部材の端部は、前記露出軸部に係止可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明によると、箱状ケース部が搬送ケースの底面部に備えられているため、箱状ケース部が箱状ケース部の後方に備えられる構成と比較して、収穫物に含まれる異物が搬送方向上手側で除去される。また、搬送ケースの底面部は搬送ケースの後方よりも広いスペースを確保し易いため、箱状ケース部が搬送ケースの後方に備えられる構成と比較して、箱状ケース部の形状や配置レイアウトの自由度が高くなる。加えて、搬送ケースの後方は種々の機器で混み合いがちであるが、箱状ケース部が搬送ケースの後方を避けた配置されるため、箱状ケース部が搬送ケースの後方に備えられる構成と比較してメンテナンス作業が容易になる。また、箱状ケース部が底面部に揺動可能に支持されることから、箱状ケース部の内部が物で満杯になったとしても、箱状ケース部を揺動することによって箱状ケース部の内部の物が排出されるため、箱状ケース部のメンテナンス作業が容易である。これにより、収穫物に含まれる異物を搬送方向上手側で効率よく除去可能な収穫機が実現される。
本構成によると、箱状ケース部に箱本体部が備えられ、第一開口部から落下した異物が下方の箱本体部によって受け止められる。ところで収穫部の上下高さが高い状態で収穫作業が行われる場合等では、収穫物に異物が含まれる虞が殆どないために、箱状ケース部が用いられないことも考えられる。本構成であれば、箱本体部に、第一開口部を閉塞する板部材と、第一開口部と重複する第二開口部を有する板部材と、の何れであっても取付可能である。このため、箱状ケース部が不要な場合には第一開口部を閉塞する板部材を箱本体部に取り付けることによって、収穫物が箱本体部に落下せず、箱状ケース部における収穫ロスが防止される。
本構成であれば、板部材の端部が露出軸部に係止可能に構成されるため、板部材が箱本体部に取り付けられていない状態であっても板部材の端部が露出軸部に支持される。これにより、箱本体部に対する板部材の取付が容易になる。
【0014】
本発明において、前記取付部は前記箱本体部の上縁部に形成された開口部分であって、前記板部材に、平面状の平坦面部と、嵌合部と、が形成され、前記嵌合部は、前記平坦面部の外周部において前記平坦面部に対して折れ曲がるとともに前記開口部分に係止可能な複数の折返部によって構成され、前記開口部分は、前記嵌合部が上側から嵌合可能であるように構成されていると好適である。
【0015】
本構成によって、箱本体部に取り付けられた板部材が、複数の折返部によって、箱本体部の上縁部の開口部分に係止されるため、板部材が不意に箱本体部から外れる虞が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】搬送装置及び箱状ケースを示す要部側面図である。
【
図4】搬送ケースの底面部及び第一開口部示す
図3のIV-IV線断面図である。
【
図5】搬送ケースの底面部及び箱状ケースを示す底面図である。
【
図6】箱状ケースを
図5のVI-VI線視で示す縦断面図である。
【
図8】別実施形態の箱状ケースを
図5のVI-VI線視で示す縦断面図である。
【
図9】別実施形態の箱状ケースを示す分解斜視図である。
【
図10】箱状ケースにおける揺動基端部の別実施形態を示す拡大図である。
【
図11】別実施形態の箱状ケースを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係るコンバインの実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態で、機体の前後方向を定義するときは、作業状態における機体進行方向に沿って定義し、機体の左右方向を定義するときは、機体進行方向視で見た状態で左右を定義する。すなわち、各図においてに矢印とともに符号(F)で示す方向が機体前側、各図において矢印とともに符号(B)で示す方向が機体後側である。各図において矢印とともに符号(L)で示す方向が機体左側、各図において矢印とともに符号(R)で示す方向が機体右側である。各図において矢印とともに符号(U)で示す方向が機体上側、各図において矢印とともに符号(D)で示す方向が機体下側である。
【0018】
〔コンバインの全体構成〕
図1,2に、本発明に係るコンバインが示される。このコンバインに、走行機体1と収穫部2と搬送装置3とが備えられている。収穫部2及び搬送装置3は、走行機体1の前方に位置して、作物(例えば植立穀稈)が収穫部2によって収穫される。搬送装置3は収穫部2の後部に接続され、収穫部2によって収穫された収穫物(刈取穀稈の全稈)が搬送装置3によって機体後方へ搬送される。走行機体1に、左右一対のクローラ走行装置4と、クローラ走行装置4で支持された機体フレーム5と、が備えられている。機体フレーム5の前部に搬送装置3が昇降可能に連結されている。収穫部2及び搬送装置3は、油圧シリンダ16の伸縮動作によって横軸芯P1まわりで上下揺動操作される。
【0019】
走行機体1の前部右側に、キャノピ6によって覆われた運転部7が備えられ、運転部7の下方に、エンジン等を含む原動部(図示せず)が備えられている。走行機体1の後部に、脱穀装置9及び穀粒タンク10が機体左右方向に並ぶ状態で備えられている。収穫物が脱穀装置9によって脱穀され、脱穀処理にて得られた収穫物(本実施形態では穀粒)が穀粒タンク10に貯留される。穀粒タンク10に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置8によって機外に排出される。運転部7に、運転座席11や複数の操作具等が備え付けられている。
【0020】
収穫部2に、左右一対のデバイダ12と、掻込リール13と、バリカン型の刈刃14と、オーガ15と、が備えられている。左右一対のデバイダ12は作物を収穫対象と非収穫対象に分ける。そして、収穫対象の作物が掻込リール13によって掻き込まれ、収穫対象の作物の株元が刈刃14によって切断され、収穫物(刈取穀稈)がオーガ15によって刈幅方向中央側に寄せ集められる。搬送装置3については後で説明する。
【0021】
脱穀装置9の内部に関しては公知であるため図示はしないが、脱穀装置9の上部には扱室が設けられている。扱室に、脱穀用の扱胴が、機体前後向きの軸心まわりに回転可能に設けられている。当該扱胴の下方に受網が設けられている。受網の下方に、篩選別用の揺動選別装置と、風選別用の唐箕と、が設けられている。また、当該扱胴の後方に排塵ファンが設けられている。扱胴で脱穀処理された脱穀処理物が受網から揺動選別装置へ漏下する。そして、廊下した脱穀処理物は、揺動選別装置による篩選別と、唐箕による風選別と、によって藁屑等と、単粒化された穀粒と、枝梗付き穀粒等である二番物と、に分けられる。藁屑等は風選別によって後方へ吹き飛ばされ、排塵ファンによって機体の後方へ排出される。単粒化された穀粒は、揺動選別装置から下方へ漏下した後、公知の揚穀コンベヤによって穀粒タンク10へ揚送される。二番物は、公知の二番物還元コンベヤによって扱室へ揚送されて再度脱穀処理される。
【0022】
〔搬送装置について〕
搬送装置3は、収穫部2の後端部から脱穀装置9の収穫物投入部に亘って延びる状態で設けられている。
図3及び
図4に示されるように、搬送装置3は、収穫部2によって収穫された収穫物を後方へ搬送する搬送機構21、及び、搬送機構21を収容する搬送ケース20を有する。搬送ケース20は筒型に形成され、搬送機構21はチェーン回動式に構成されている。搬送装置3は収穫部2の左右方向中央よりも機体左側に偏倚した状態で収穫部2に連結されている。
【0023】
搬送ケース20全体が横軸芯P1まわりで上下揺動自在に脱穀装置9に支持されている。そして、搬送ケース20の搬送方向上手部分(前部分)には収穫部2が一体的に連結固定されているため、収穫部2と搬送装置3との全体が、横軸芯P1まわりで上下揺動自在に脱穀装置9に支持される。
【0024】
搬送ケース20は略角筒状に構成されている。
図3乃至
図5に示されるように、搬送ケース20は、底面部20aと、左右一対の側壁部20bと、天板部20cと、を有する。底面部20aの左右両端部に左右夫々の側壁部20bの下部が連結されている。換言すると、底面部20aは機体横方向において左右の側壁部20bに亘っている。天板部20cは、機体横方向において左右の側壁部20bに亘っている。
【0025】
図3及び
図4に示されるように、搬送ケース20の搬送始端部(前端部)に、収穫物導入口22が形成されている。収穫物導入口22は、収穫部2の送出口に連通している。搬送ケース20の搬送終端部(後端部)に、収穫物送出口23が形成されている。収穫物送出口23は、脱穀装置9の収穫物投入部に連通している。
【0026】
搬送機構21に、下手側回転軸21Aと、上手側回転軸21Bと、左右一対の駆動スプロケット21C,21Cと、左右一対の搬送用無端回動チェーン21E,21Eと、複数の搬送部材21Fと、ドラム21Gと、が備えられている。
【0027】
図3に示されるように、搬送ケース20の搬送方向下手側部分、即ち搬送ケース20の後部に、横向きの下手側回転軸21Aが架設され、搬送ケース20の搬送方向上手側部分、即ち搬送ケース20の前部に、横向きの上手側回転軸21Bが架設されている。下手側回転軸21Aに、軸芯方向に間隔をあけて一対の駆動スプロケット21C,21Cが備えられている。
【0028】
上手側回転軸21Bは、横方向(機体左右方向)に延びる状態で備えられている。上手側回転軸21Bの外周部にドラム21Gが備えられている。ドラム21Gは、中空円筒形の筒状に形成され、上手側回転軸21Bと一体回転する。
【0029】
一対の駆動スプロケット21C,21Cの夫々とドラム21Gとに亘って一対の搬送用無端回動チェーン21E,21Eが巻き回されている。一対の搬送用無端回動チェーン21Eには回動方向に沿って間隔をあけて複数の搬送部材21Fが横向きに架設されている。
【0030】
下手側回転軸21Aに搬送駆動用の動力が伝達され、かつ、駆動スプロケット21Cが下手側回転軸21Aに一体回転可能に支持されている。一対の搬送用無端回動チェーン21Eの回動軌道下側部分が機体後側へ回動し、一対の搬送用無端回動チェーン21Eの回動軌道上側部分が機体前側へ回動する。つまり、当該回動軌道下側部分が張り側であって、当該回動軌道上側部分が緩み側である。一対の搬送用無端回動チェーン21Eが回動駆動されると、搬送部材21Fが収穫物に対して掻込み作用して、収穫物が搬送用無端回動チェーン21Eと搬送ケース20の底面部20aとの間に掻き込まれる。収穫物は搬送部材21Fによって後方上方に係止搬送され、収穫物送出口23から後方に送り出されて脱穀装置9に供給される。
【0031】
搬送ケース20における左右の側壁部20bの夫々の内面側部に支持部材24,24が設けられている。上手側回転軸21Bの左右両側の軸端部がベアリングを介して左右の支持部材24,24に回転可能に支持されている。ドラム21G、及び、上手側回転軸21Bの夫々が一体的に連結された状態で、横軸芯P2まわりで回転可能に左右の支持部材24,24に支持されている。
【0032】
図3に示されるように、搬送ケース20における左右の側壁部20bの夫々に長孔20hが穿孔され、長孔20hの長手方向は搬送方向に沿っている。上手側回転軸21Bは、搬送ケース20に対して横向き姿勢を維持しながら、長孔20hの長手方向に沿って位置変更(位置調節)可能に支持されている。即ち、上手側回転軸21Bを回転自在に支持する左右の支持部材24,24が、搬送ケース20に対して搬送方向の位置を変更(調節)可能にボルト固定される。
【0033】
左右の支持部材24,24は、ドラム21G、及び、上手側回転軸21Bを支持し、左右の側壁部20b,20bは左右の支持部材24,24を支持するため、左右の側壁部20b,20bに荷重が掛かる。このため、
図3及び
図4に示されるように、搬送ケース20の左右の側壁部20b,20bのうち長孔20hの存在する箇所の外面部分に、搬送装置3の搬送方向に沿って延びる前後フレーム20L,20Rが溶接固定されている。前後フレーム20Lは断面視でL字状のアングル部材であって、前後フレーム20Rは断面視で略C字状のアングル部材である。機体左側の長孔20hは、機体左側の側壁部20bと前後フレーム20Lとに亘って一体的に穿孔され、機体右側の長孔20hは、機体右側の側壁部20bと前後フレーム20Rとに亘って一体的に穿孔されている。
【0034】
前後フレーム20Lの後端部に隣接する状態で、縦フレーム20Mが、左側の側壁部20bの外面部分に溶接固定されている。縦フレーム20Mは、前後フレーム20Lの後端部とも溶接されている。縦フレーム20Mは断面視でL字状のアングル部材であって(
図4参照)、搬送装置3の搬送方向と直交または略直交する方向に沿って、前後フレーム20Lの位置する高さ位置と側壁部20bの下縁部とに亘って延びる。
【0035】
前後フレーム20Rの後端部に隣接する状態で、縦フレーム20Sが、右側の側壁部20bの外面部分に溶接固定されている。縦フレーム20Sは、前後フレーム20Rの後端部とも溶接されている。縦フレーム20Sは断面視で略C字状のアングル部材であって、搬送装置3の搬送方向と直交または略直交する方向に沿って、左側の側壁部20bの上下幅に亘って延びる。
【0036】
底面部20aのうち、縦フレーム20M,20Sの真下の箇所の外面部分に、横フレーム20Nが溶接固定されている。横フレーム20Nは断面視で四角形状の角形部材であって、底面部20aの左右幅に亘って延びる。横フレーム20Nの右端部は、底面部20aの右縁部よりも右側に突出する。また、横フレーム20Nの右端部は、縦フレーム20Sよりも機体右側に位置する。縦フレーム20Sの下端部は、横フレーム20Nに溶接されている。
【0037】
横フレーム20Nの左端部に平板部材20Kが溶接固定されている。また、平板部材20Kの上端部と、縦フレーム20Mの下端部と、が溶接固定されている。
【0038】
このように、一対の前後フレーム20L,20Rと、縦フレーム20M,20Sと、平板部材20Kと、横フレーム20Nと、によって上手側回転軸21B等がしっかりと支持される。また、横フレーム20Nの右端部にステー29が溶接固定され、ステー29に油圧シリンダ16の一端部が揺動可能に連結される。つまり、横フレーム20Nは、油圧シリンダ16を受け止め支持するフレームとしても兼用されている。
【0039】
〔搬送装置のストーントラップについて〕
図3、
図5及び
図6に示されるように、底面部20aに箱状ケース部30が装着されている。箱状ケース部30は、いわゆる『ストーントラップ』であって、底面部20aよりも機体下側に突出する。底面部20aのうち、箱状ケース部30の装着されている箇所に開口部20iが形成されている。開口部20iは本発明の『第一開口部』である。開口部20i及び箱状ケース部30の長手方向は機体横方向に沿う。開口部20i及び箱状ケース部30の長手方向の長さは、機体横方向において一対の搬送用無端回動チェーン21Eの間隔に亘る。即ち、搬送ケース20の底面部20aに、搬送機構21の搬送幅に亘る開口部20iが形成されている。箱状ケース部30は、横フレーム20Nに対して搬送方向下手側に隣接するように配置されている。なお、油圧シリンダ16は箱状ケース部30よりも機体右側に配置されている。
【0040】
図5乃至
図7に示されるように、箱状ケース部30に、箱本体部31と板部材35とが備えられている。板部材35に開口部35hが形成されている。箱本体部31は、板部材35の下方で開口部20iから落下する物を貯留可能である。搬送ケース20の中で搬送される収穫物に石塊等が含まれる場合、石塊等が開口部20iから箱本体部31に落下する。石塊等の重量は収穫物の重量よりも重たいため、石塊等は収穫物よりも箱本体部31へ落下し易い。
【0041】
箱本体部31は、平板状の部材がプレス成型された第一部材31aと、第一部材31aの左右側部と連結される一対の第二部材31b,31bと、を有する。第一部材31aの前後中央領域は下側へ突出するようにプレス成型されている。一対の第二部材31b,31bは、平板状の部材であって、L字状に曲げ形成されている。右側の第二部材31bのうちの第一部材31aの右縁部と対向する面部分が第一部材31aと溶接されている。また、左側の第二部材31bのうちの第一部材31aの左縁部と対向する面部分が第一部材31aと溶接されている。第一部材31aの前端部及び後端部と、左右一対の第二部材31b,31bの夫々の上端部と、は底面部20aと対向する面部分を有し、これらの面部分を『フランジ部31f』と称する。また、箱本体部31のうち、左右一対の第二部材31b,31bの夫々の面部分の間に位置するとともに第一部材31aの前後中央領域において下側へ突出する部分を、『貯留部分31B』と称する。フランジ部31fは箱本体部31の上縁部に形成され、この部分は本発明の『開口部分』である。換言すると、四辺のフランジ部31f,31f,31f,31fが、箱本体部31の開口部分である。開口部20iから落下した石塊等は、この開口部分を経由して箱本体部31の貯留部分31Bに貯留される。
【0042】
箱状ケース部30は底面部20aに揺動可能に支持されている。底面部20aのうちの開口部20iの周囲の部分に支持プレート32が溶接固定されている。開口部20iは底面部20aと支持プレート32とに亘って一体的に形成されている。支持プレート32の後端面部は、底面部20aと直交または略直交するように曲げ形成されている。この支持プレート32の後端面部に、ヒンジ用の係合孔部32H,32Hが溶接固定されている。係合孔部32H,32Hの夫々は機体横向きの貫通孔を有する。
【0043】
フランジ部31fのうちの第一部材31aの後端部にヒンジ用の一対の折曲部31S,31Sが形成され、折曲部31S,31Sはフランジ部31fのフランジ面と略直交する方向に曲げ形成されている。この折曲部31S,31Sの夫々に係合軸部31T,31Tが溶接固定されている。係合軸部31T,31Tは丸棒状に形成され、係合軸部31T,31Tの夫々が係合孔部32H,32Hに挿入される。これにより、箱本体部31は機体横向き軸芯まわりに揺動可能に構成されている。係合軸部31T,31Tは箱本体部31の揺動基端部である。換言すると、箱本体部31の後端部が揺動基端部である。
【0044】
係合軸部31Tと係合孔部32Hとは、本発明の『ヒンジ』である。即ち、箱状ケース部30の揺動軸芯箇所に、底面部20aと揺動可能に連結されたヒンジとして、係合軸部31T及び係合孔部32Hが備えられている。このように、箱状ケース部30は、開口部20iの下方領域において開口部20iから落下する物を貯留可能な貯留可能状態と、貯留可能状態よりも下側に揺動して開口部20iの下方領域を開放する開放状態と、に状態変更可能なように構成されている。
【0045】
支持プレート32の前端における下面部分にステー33が溶接固定されている。ステー33は板状部材であって、ステー33の長手方向は機体横方向に沿う。ステー33の後端部は左右に亘って支持プレート32の前端面部に溶接固定され、ステー33の前端部は支持プレート32の前端部よりも前側に位置する。ステー33は支持プレート32の下面部分に溶接される。このため、ステー33は、支持プレート32よりも支持プレート32の厚み分だけ底面部20aから離間し、ステー33と底面部20aとの間に隙間Sが形成されている。
【0046】
ステー33の長手方向に沿って、三つの溶接ボルト34,34,34がステー33に溶接固定されている。溶接ボルト34,34,34の頭部は隙間Sに位置し、溶接ボルト34,34,34の頭部がステー33の上面部分に溶接されている。
【0047】
フランジ部31fのうちの第一部材31aの前部に三つの貫通孔31h,31h,31hが形成されている。第一部材31aの前端部は箱本体部31の遊端部であって、箱本体部31の遊端部がステー33の位置する側へ揺動すると、貫通孔31h,31h,31hに溶接ボルト34,34,34が貫通する。この状態で溶接ボルト34,34,34の夫々に蝶ナットNu,Nu,Nuが螺合して締め付けられることによって、箱本体部31の遊端部がステー33と蝶ナットNu,Nu,Nuとに挟まれる。これにより、箱本体部31は揺動不能に位置保持され、この状態で箱本体部31は開口部20iから落下した石塊等を受け止め可能である。
【0048】
箱本体部31の貯留部分31Bが満杯になると、作業者は蝶ナットNu,Nu,Nuを溶接ボルト34,34,34から取り外し、箱本体部31を下方向に揺動する。そして、箱本体部31が揺動すると、貯留部分31Bに溜まった石塊等が下方へ落下するため、箱状ケース部30の内部の物が排出される。このため、箱状ケース部30のメンテナンス作業が容易である。
【0049】
箱本体部31の遊端部がステー33に締結され、箱本体部31の基端部が係合軸部31T,31Tに支持される。箱本体部31のフランジ部31fと支持プレート32との間は、ステー33の厚さの分だけ離間する。箱状ケース部30のうち、フランジ部31fの位置する領域は本発明の『取付部』である。換言すると、箱状ケース部30に、板部材35を箱本体部31に取り付ける取付部が備えられ、取付部にフランジ部31fが備えられている。取付部は、貯留可能状態において底面部20aとフランジ部31fとに板部材35を挟持させる。即ち、フランジ部31fと支持プレート32との間に板部材35が設けられている。板部材35の厚さと、ステー33の厚さと、は同じまたは略同じである。また、取付部は箱本体部31の上縁部に形成された開口部分である。
【0050】
板部材35は平坦面部35Aを有する。平坦面部35Aは四角形の形状に形成され、平坦面部35Aの四辺の夫々に折返部35a,35b,35c,35dが設けられている。折返部35aは平坦面部35Aの前縁部から下方へ垂下する。折返部35bは平坦面部35Aの後縁部から下方へ垂下する。折返部35cは平坦面部35Aの右縁部から下方へ垂下する。折返部35dは平坦面部35Aの左縁部から下方へ垂下する。折返部35a,35b,35c,35dの夫々は、平坦面部35Aの平坦面に対して直交または略直交するように下方へ垂下する。このように、板部材35に、平面状の平坦面部35Aと、平坦面部35Aの外周部において平坦面部35Aに対して折れ曲がるとともに箱本体部31の開口部分に係止可能な複数の折返部35a,35b,35c,35d(本発明に係る「嵌合部」に相当)と、が形成されている。
【0051】
第一部材31aの前部のフランジ部31fにおける貫通孔31h,31h,31hよりも後側の領域に、機体横方向に延びる長孔31kが形成されている。長孔31kは本発明の『取付部』の一部である。長孔31kの機体横方向の長さは、折返部35aの左右方向の長さよりも長く形成され、折返部35aの左右両端が長孔31kの範囲内に位置する。これにより、折返部35aが長孔31kを貫通する。箱本体部31の遊端部がステー33に締結された状態で、折返部35a及び長孔31kはステー33よりも後側(箱本体部31の揺動基端部の位置する側)に位置する。
【0052】
折返部35bは、第一部材31aの後部のフランジ部31fに引っ掛けられる。折返部35cは、右側の第二部材31bのフランジ部31fに引っ掛けられる。折返部35dは、左側の第二部材31bのフランジ部31fに引っ掛けられる。このように、板部材35は箱本体部31に着脱可能に構成されている。即ち、複数の折返部35a,35b,35c,35dが当該開口部分に係止されると、箱本体部31の開口部分は、板部材35のうちの折返部35a,35b,35c,35dよりも平坦面部35Aの位置する側の領域に嵌まり込む。
【0053】
平坦面部35Aの中央領域に開口部35hが形成されている。開口部35hの形状及び大きさと、開口部20iの形状及び大きさと、は同じまたは略同じとなるように、板部材35の開口部35hは形成されている。開口部35hは本発明の『第二開口部』であって、開口部35hは貯留可能状態において開口部20iと重複する。折返部35a,35b,35c,35dの夫々が箱本体部31に引っ掛けられた状態で、箱本体部31の遊端部がステー33に締結されると、開口部20iと開口部35hとは重複または略重複する。これにより、開口部20iから落下した石塊等が、箱本体部31のフランジ部31fと支持プレート32との間に入り込むことなく、箱本体部31の貯留部分31Bに案内される。
【0054】
作物の種類によっては、搬送ケース20の中で搬送される収穫物に石塊等が含まれないために、箱本体部31が必要ない場合も考えられる。このため、本実施形態では、
図8及び
図9に示されるように、箱本体部31に対して着脱可能な板部材36が備えられ、板部材36は、板部材35に代えてフランジ部31fと支持プレート32との間に配置可能である。板部材36は、開口部20iから箱本体部31に収穫物等が落下しないように、開口部20iを閉塞する。
【0055】
板部材36は平坦面部36Aを有する。平坦面部36Aは四角形の形状に形成され、平坦面部36Aの四辺の夫々に折返部36a,36b,36c,36dが設けられている。折返部36a,36b,36c,36dの夫々は平坦面部36Aにおける縁部から下方へ垂下する。折返部35aが長孔31kを貫通し、折返部36bが係合軸部31Tに引っ掛けられ、折返部35c,35dが左右のフランジ部31f,31fに引っ掛けられる。このように、折返部36a,36b,36c,36dの夫々の構成は、上述した折返部35a,35b,35c,35dの構成と同じである。即ち、複数の折返部36a,36b,36c,36dが当該開口部分に係止されると、箱本体部31の開口部分は、板部材36のうちの折返部36a,36b,36c,36dよりも平坦面部36Aの位置する側の領域に嵌まり込む。
【0056】
平坦面部36Aに、平板状の付加板部36Bが取り付けられている。平坦面部36Aに複数の孔部36hが形成され、付加板部36Bは複数の孔部36hで溶接固定されている。これにより、付加板部36Bが平坦面部36Aに支持される。付加板部36Bの外周形状は開口部20iの外周形状と同じまたは略同じである。折返部36a,36b,36c,36dの夫々が箱本体部31に引っ掛けられた状態で、箱本体部31の遊端部がステー33に締結されると、付加板部36Bが開口部20iの全域を閉塞する。付加板部36Bは本発明の『閉塞部』であって、付加板部36Bは貯留可能状態において開口部20iを閉塞する。付加板部36Bの厚さと、底面部20aと支持プレート32とを併せた厚さと、は同じまたは略同じである。このため、開口部20iが付加板部36Bによって閉塞されると、付加板部36Bの上面部分と、底面部20aの上面部分と、が面一となる。これにより、搬送ケース20の中で搬送される収穫物が、開口部20iに引っ掛かり難くなって円滑に搬送される。
【0057】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0058】
(1)上述した実施形態において、板部材35における平坦面部35Aの四辺の夫々に折返部35a,35b,35c,35dが設けられ、折返部35bは第一部材31aの後部のフランジ部31fに引っ掛けられるが、この実施形態に限定されない。例えば、
図10に示されるように、機体右側の係合軸部31Tに露出軸部31tが設けられる構成であっても良い。露出軸部31tは箱状ケース部30の揺動軸芯方向に沿って露出する。このように、本発明の『ヒンジ』に、本発明の『取付部』に含まれるとともに当該ヒンジの揺動軸芯方向に沿って露出する露出軸部31tが備えられても良い。そして、折返部35bは上述した実施形態よりも更に後側に延び、露出軸部31tに折返部35bが引っ掛けられる構成であっても良い。このように、板部材35の端部、即ち折返部35bが露出軸部31tに係止可能に構成されても良い。また、板部材36の端部、即ち折返部36bが露出軸部31tに係止可能に構成されても良い。
【0059】
(2)上述した実施形態において、板部材35における平坦面部35Aの四辺の夫々に折返部35a,35b,35c,35dが設けられているが、この実施形態に限定されない。例えば、
図11に示されるように、板部材35に折返部35a,35b,35c,35dが設けられない構成であっても良い。この場合、例えば、板部材35の下面部の外周領域に鉤溝35mが形成され、箱本体部31の上縁部に形成された開口部分と、鉤溝35mと、が係合する構成であっても良い。また、板部材36に折返部36a,36b,36c,36dが設けられない構成であっても良い。この場合にも、板部材36の下面部の外周領域に鉤溝(不図示)が形成され、箱本体部31の上縁部に形成された開口部分と、当該不図示の鉤溝と、が係合する構成であっても良い。あるいは、板部材35に折返部35a,35bのみが設けられても良いし、板部材35に折返部35c,35dのみが設けられても良い。また、板部材36に折返部36a,36bのみが設けられても良いし、板部材36に折返部36c,36dのみが設けられても良い。
【0060】
(3)上述した実施形態において、駆動スプロケット21Cとドラム21Gと搬送用無端回動チェーン21Eとが備えられているが、この実施形態に限定されない。例えば、搬送用無端回動チェーン21Eはベルトであっても良いし、駆動スプロケット21Cはプーリであっても良い。この場合、ドラム21Gに搬送用無端回動チェーン21Eを受けるプーリが備えられても良い。要するに、収穫部2によって収穫された収穫物を後方へ搬送する搬送機構21が備えられていれば良い。
【0061】
(4)上述した実施形態では、板部材35,36は箱本体部31に着脱可能な構成であるが、この実施形態に限定されない。例えば、係合軸部31Tが箱本体部31に設けられずに、係合軸部31Tに相当する軸部分が板部材35,36に設けられ、板部材35または板部材36が係合孔部32Hに揺動可能に支持される構成であっても良い。そして、箱本体部31が板部材35または板部材36に取付支持される構成であっても良い。この場合、板部材35,36の夫々の遊端部は、溶接ボルト34と係止可能に構成される。また、箱本体部31にフランジ部31fが設けられない構成であっても良く、この場合には、箱本体部31のうち板部材35,36と当接する上縁部分が、本発明の『開口部分』であっても良い。
【0062】
(5)上述した実施形態では、箱本体部31の後端部に、本発明の『ヒンジ』が設けられているが、この実施形態に限定されない。例えば、箱本体部31の前端部に係合軸部31Tが設けられ、支持プレート32の前端部に係合孔部32Hが設けられても良い。即ち、箱本体部31の前端部に、本発明のヒンジが設けられても良い。また、箱本体部31の左右何れかの端部に係合軸部31Tが設けられ、支持プレート32の左右何れかの端部うち係合軸部31Tの位置する側の端部に係合孔部32Hが設けられても良い。即ち、箱本体部31の左右何れかの端部にヒンジが設けられても良い。
【0063】
(6)上述した実施形態では、開口部35hの形状及び大きさと、開口部20iの形状及び大きさと、は同じまたは略同じとなるように、板部材35の開口部35hは形成されているが、この実施形態に限定されない。例えば、板部材35のうち開口部20iと対応する領域に、開口部20iよりも小さな開口部が形成されても良いし、メッシュ状の多孔部が形成されても良い。
【0064】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、コンバインの他、粒取り式のトウモロコシ収穫機や豆類収穫機などにも適用できる。
【符号の説明】
【0066】
2 :収穫部
3 :搬送装置
20 :搬送ケース
20a :底面部
20i :開口部(第一開口部)
21 :搬送機構
30 :箱状ケース部
31 :箱本体部
31f :フランジ部(取付部、開口部分)
31k :長孔(取付部)
31T :係合軸部(ヒンジ)
31t :露出軸部
35 :板部材
35A :平坦面部
35a :折返部
35b :折返部(板部材の端部)
35c :折返部
35d :折返部
35h :開口部(第二開口部)
36 :板部材
36A :平坦面部
36B :付加板部(閉塞部)
36a :折返部
36b :折返部(板部材の端部)
36c :折返部
36d :折返部