(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-31
(54)【発明の名称】作業システムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20240122BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
E02F3/43 B
E02F9/20 N
(21)【出願番号】P 2020074368
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥脇 立太
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-089389(JP,A)
【文献】特開平11-350534(JP,A)
【文献】特開2000-136549(JP,A)
【文献】国際公開第2015/087430(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/058247(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0282577(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20-9/22
E02F 3/42-3/43
E02F 3/84-3/85
E02F 9/26
G08G 1/00-99/00
G05D 1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場で稼働する機械を制御する作業システムであって、
バケットを有する作業機と旋回体とを備える作業機械の車両データと、ベッセルを備える運搬車両の車両データとを取得する収集部と、
前記
バケットを有する作業機を
予め定められた積込点の上方へ移動させる
ための第1制御信号を出力する第1制御部と、
前記
ベッセルを備える運搬車両
を前記積込点に位置するように前記運搬車両を走行させるための進入指示を送信する送信部と、
前記
バケットの位置と前記ベッセルの位置とのずれが小さくなるように、前記
旋回体、前記作業機または前記運搬車両を制御するための第2制御信号を出力する第2制御部と、
を備え
、
前記作業機械の車両データに基づいて前記積込点の上方まで前記作業機を移動させ、かつ前記運搬車両の車両データに基づいて前記積込点まで前記運搬車両を走行させた後、前記第2制御部は、掘削物を保持して待機している前記バケットの位置と、前記進入指示に基づいて前記運搬車両が前記積込点へ到達したときの前記ベッセルの位置とのずれが小さくなるように、前記第2制御信号を出力する
作業システム。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記ベッセルを備える運搬車両が前記積込点に到達する前に、第1制御信号を出力する
請求項1に記載の作業システム。
【請求項3】
前記第2制御部は、前記バケットと前記ベッセルの所定の点との距離、または前記バケットと前記ベッセルの所定の面とのなす角が小さくなるように前記第2制御信号を出力する
請求項1または請求項2に記載の作業システム。
【請求項4】
前記第2制御部は、前記
バケットと前記ベッセルの位置が合うように前記
旋回体または前記
ベッセルを旋回させるための
前記第2制御信号を出力する
請求項1
または請求項3に記載の作業システム。
【請求項5】
前記第2制御部は、前記作業機械の旋回中心と前記
バケットの中心とを結ぶ直線と、前記作業機械の旋回中心と前記ベッセルの中心とを結ぶ直線とがなす角度が、所定の角度範囲内であるか否かを判定し、前記角度が前記角度範囲を超える場合に、前記第2制御信号を出力する
請求項1
から請求項4の何れか1項に記載の作業システム。
【請求項6】
前記第2制御部は、前記
バケットの位置と前記ベッセルの位置のずれ量が所定の調整不要範囲以内の値であるか否かを判定し、前記ずれ量が調整不要範囲を超える場合に
前記第2制御信号を出力する
請求項1から
請求項5の何れか1項に記載の作業システム。
【請求項7】
前記作業機はさらにブームとアームを有し、
前記第2制御部は、前記作業機械の旋回中心と前記バケットの中心とを結ぶ線分の長さと、前記作業機械の旋回中心と前記ベッセルの中心とを結ぶ線分の長さとの差が、所定の長さ範囲内になるまで、前記ブームまたは前記アームを駆動する前記第2制御信号を出力する
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の作業システム。
【請求項8】
作業現場で稼働する機械を制御する制御方法であって、
バケットを有する作業機と旋回体とを備える作業機械の車両データと、ベッセルを備える運搬車両の車両データとを取得するステップと、
前記
バケットを有する作業機を
予め定められた積込点の上方へ移動させる
ための第1制御信号を出力するステップと、
前記
ベッセルを備える運搬車両
を前記積込点に位置するように前記運搬車両を走行させるための進入指示を送信するステップと、
前記
バケットの位置と前記ベッセルの位置とのずれが小さくなるように、前記
旋回体、前記作業機または前記運搬車両を制御するための第2制御信号を出力するステップと、
を備え
、
前記第2制御信号を出力するステップでは、前記作業機械の車両データに基づいて前記積込点の上方まで前記作業機を移動させ、かつ前記運搬車両の車両データに基づいて前記積込点まで前記運搬車両を走行させた後、掘削物を保持して待機している前記バケットの位置と、前記進入指示に基づいて前記運搬車両が前記積込点へ到達したときの前記ベッセルの位置とのずれが小さくなるように、前記第2制御信号を出力する
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業現場で稼働する機械を制御する作業システムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業現場において、作業機械が掘削した掘削物を運搬車両に積み込む処理を自動制御する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、運搬車両は、作業機械から指定された積込点への進入信号に基づいて当該積込点へ移動し、作業機械は、運搬車両が積込点への移動を完了した後に掘削物を排土する。これにより、運搬車両は自動制御により積込点へ移動し、作業機械は自動制御により掘削物の積込を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、効率の良い積込制御を実現するためには、作業機械は運搬車両が積込点へ到達したときに速やかに掘削物を排土できるように、運搬車両が積込点へ到達する前に掘削物を抱え込んだ状態で作業機を積込点に移動させることが好ましい。しかしながら、運搬車両を積込点に誤差なく停止させることは困難である。そのため、運搬車両が積込点からずれた位置に停車した場合、作業機械が抱え込んだ掘削物を排土したときに、当該掘削物が運搬車両のベッセルからこぼれる可能性がある。
本開示の目的は、作業機械が抱え込んだ掘削物を運搬車両に排土する場合に、掘削物がこぼれることを防ぐことができる作業システムおよび制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、作業システムは、作業現場で稼働する機械を制御する作業システムであって、ベッセルを備える運搬車両が積込点に到達する前に、作業機を備える作業機械に、前記作業機を前記積込点の上方へ移動させる第1制御信号を出力する第1制御部と、前記運搬車両に、前記ベッセルが前記積込点に位置するように前記運搬車両を走行させるための進入指示を送信する送信部と、前記第1制御信号に基づいて掘削物を保持して待機している前記作業機の位置である待機位置と、前記進入指示に基づいて前記運搬車両が前記積込点へ到達したときの前記ベッセルの位置とのずれが小さくなるように、前記作業機械または前記運搬車両を制御するための第2制御信号を出力する第2制御部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、作業機械が抱え込んだ掘削物を運搬車両に排土する場合に、掘削物がこぼれることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る作業システムの構成を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る作業機械の外観図である。
【
図3】第1の実施形態に係る管制装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図5】バケットとベッセルの位置関係の例を示す上面図である。
【
図6】第1の実施形態のずれ調整制御におけるずれ角度と旋回指令値との関係を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る作業システムによる積込制御を示すシーケンス図である。
【
図8】第1の実施形態に係る作業システムによる積込制御を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈第1の実施形態〉
《作業システム1》
図1は、第1の実施形態に係る作業システムの構成を示す概略図である。
作業システム1は、作業機械100と、1または複数の運搬車両200と、管制装置300とを備える。作業システム1は、管制装置300によって作業機械100と運搬車両200とを自動制御する無人搬送システムである。管制装置300は、作業システムの一例である。
【0009】
運搬車両200は、管制装置300から受信するコースデータ(例えば速度データ、運搬車両200が進むべき座標)に基づいて無人走行する。運搬車両200と管制装置300とは、アクセスポイント400を介した通信により接続される。管制装置300は、運搬車両200から位置および方位を取得し、これらに基づいて運搬車両200の走行に用いるコースデータを生成する。管制装置300は、コースデータを運搬車両200に送信する。運搬車両200は、受信したコースデータに基づいて無人走行する。なお、第1の実施形態に係る作業システム1は、無人搬送システムを備えるが、他の実施形態においては、一部または全部の運搬車両200が有人運転されてもよい。この場合、管制装置300は、コースデータおよび積込に関する指示の送信を行う必要がないが、運搬車両200の位置および方位を取得する。
【0010】
作業機械100は、管制装置300から受信する指示に従って無人制御される。作業機械100と管制装置300とは、アクセスポイント400を介した通信により接続される。
【0011】
作業機械100および運搬車両200は、作業現場(例えば、鉱山、採石場)に設けられる。他方、管制装置300は、任意の場所に設けられてよい。例えば、管制装置300は、作業機械100および運搬車両200から離れた地点(例えば、市街、作業現場内)に設けられてよい。
【0012】
《運搬車両200》
第1の実施形態に係る運搬車両200は、ベッセル201を備えるダンプトラックである。なお、他の実施形態に係る運搬車両200は、ダンプトラック以外の運搬車両であってもよい。
運搬車両200は、ベッセル201、位置方位演算器210および制御装置220を備える。位置方位演算器210は、運搬車両200の位置および方位を演算する。位置方位演算器210は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を構成する人工衛星から測位信号を受信する2つの受信器を備える。GNSSの例としては、GPS(Global Positioning System)が挙げられる。2つの受信器は、それぞれ運搬車両200の異なる位置に設置される。位置方位演算器210は、受信器が受信した測位信号に基づいて、現場座標系における運搬車両200の位置を検出する。位置方位演算器210は、2つの受信器が受信した各測位信号を用いて、一方の受信器の設置位置に対する他方の受信器の設置位置の関係として、運搬車両200の向く方位を演算する。なお、他の実施形態においてはこれに限られず、例えば運搬車両200が慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を備え、慣性計測装置の計測結果に基づいて方位を演算してもよい。この場合、運搬車両200の走行軌跡に基づいて慣性計測装置のドリフトを補正してもよい。
【0013】
制御装置220は、位置方位演算器210が検出した位置および演算した方位を管制装置300に送信する。制御装置220は、管制装置300からコースデータおよび排土指示、積込点P3への進入指示、および積込点P3からの発進指示を受信する。制御装置220は、受信したコースデータに従って運搬車両200を走行させ、または排土指示に従って運搬車両200のベッセル201を上下させる。制御装置220は、運搬車両が指示に基づいて目的地に到達して停止したときに、目的地への到達を示す到達通知を管制装置300に送信する。
【0014】
《作業機械100》
図2は、第1の実施形態に係る作業機械100の外観図である。
第1の実施形態に係る作業機械100は、油圧ショベルである。なお、他の実施形態に係る作業機械100は、油圧ショベル以外の作業車両であってもよい。
作業機械100は、油圧により作動する作業機110と、作業機110を支持する旋回体120と、旋回体120を支持する走行体130とを備える。
【0015】
作業機110は、ブーム111と、アーム112と、バケット113と、ブームシリンダ114と、アームシリンダ115と、バケットシリンダ116と、ブーム角度センサ117と、アーム角度センサ118と、バケット角度センサ119とを備える。
【0016】
ブーム111の基端部は、旋回体120の前部にピンを介して取り付けられる。
アーム112は、ブーム111とバケット113とを連結する。アーム112の基端部は、ブーム111の先端部にピンを介して取り付けられる。
バケット113は、土砂などの掘削物を掘削するための刃と掘削物を搬送するための容器とを備える。バケット113の基端部は、アーム112の先端部にピンを介して取り付けられる。掘削物の例としては、土砂、鉱石、砕石、石炭などが挙げられる。
【0017】
ブームシリンダ114は、ブーム111を作動させるための油圧シリンダである。ブームシリンダ114の基端部は、旋回体120に取り付けられる。ブームシリンダ114の先端部は、ブーム111に取り付けられる。
アームシリンダ115は、アーム112を駆動するための油圧シリンダである。アームシリンダ115の基端部は、ブーム111に取り付けられる。アームシリンダ115の先端部は、アーム112に取り付けられる。
バケットシリンダ116は、バケット113を駆動するための油圧シリンダである。バケットシリンダ116の基端部は、アーム112に取り付けられる。バケットシリンダ116の先端部は、バケット113に取り付けられる。
【0018】
ブーム角度センサ117は、ブーム111に取り付けられ、ブーム111の傾斜角を検出する。
アーム角度センサ118は、アーム112に取り付けられ、アーム112の傾斜角を検出する。
バケット角度センサ119は、バケット113に取り付けられ、バケット113の傾斜角を検出する。
第1の実施形態に係るブーム角度センサ117、アーム角度センサ118、およびバケット角度センサ119は、地平面に対する傾斜角を検出する。なお、他の実施形態に係る角度センサはこれに限られず、他の基準面に対する傾斜角を検出してもよい。例えば、他の実施形態においては、角度センサが取付部を基準とした相対角を検出するものであってもよいし、各シリンダのストロークを計測しシリンダのストロークを角度に変換することで傾斜角を検出するものであってもよい。
【0019】
作業機械100は、位置方位演算器123、傾斜計測器124、制御装置125を備える。
【0020】
位置方位演算器123は、旋回体120の位置および旋回体120が向く方位を演算する。位置方位演算器123は、GNSSを構成する人工衛星から測位信号を受信する2つの受信器を備える。2つの受信器は、それぞれ旋回体120の異なる位置に設置される。位置方位演算器123は、一方の受信器が受信した測位信号に基づいて、現場座標系における旋回体120の代表点(例えば、旋回体120の旋回中心)の位置を検出する。なお、制御装置125は、現場座標系における旋回体120の代表点の位置を用いることで、現場座標系の位置と機械座標系の位置とを互いに変換することができる。機械座標系とは、旋回体120の代表点を基準とする直交座標系である。
位置方位演算器123は、2つの受信器が受信した各測位信号を用いて、一方の受信器の設置位置に対する他方の受信器の設置位置の関係として、旋回体120の向く方位を演算する。
【0021】
傾斜計測器124は、旋回体120の加速度および角速度を計測し、計測結果に基づいて旋回体120の姿勢(例えば、ロール角、ピッチ角、ヨー角)を検出する。傾斜計測器124は、例えば旋回体120の下面に設置される。傾斜計測器124は、例えば、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を用いることができる。
【0022】
制御装置125は、旋回体120の旋回速度、位置および方位、ブーム111、アーム112およびバケット113の傾斜角、走行体130の走行速度、ならびに旋回体120の姿勢を、管制装置300に送信する。以下、作業機械100または運搬車両200が各種センサから収集したデータを車両データともよぶ。なお、他の実施形態に係る車両データは、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る車両データは、旋回速度、位置、方位、傾斜角、走行速度、姿勢のいずれかを含まなくてもよいし、その他のセンサによって検出された値を含んでもよいし、検出された値から演算された値を含んでもよい。
制御装置125は、管制装置300から制御指示を受信する。制御装置125は、受信した制御指示に従って、作業機110、旋回体120、または走行体130を駆動させる。制御装置125は、制御指示に基づく駆動が完了したときに、管制装置300に完了通知を送信する。
【0023】
《管制装置300》
図3は、第1の実施形態に係る管制装置の構成を示す概略ブロック図である。
管制装置300は、作業機械100の動作および運搬車両200の走行を管理する。
管制装置300は、プロセッサ310、メインメモリ330、ストレージ350、インタフェース370を備えるコンピュータである。ストレージ350は、プログラムを記憶する。プロセッサ310は、プログラムをストレージ350から読み出してメインメモリ330に展開し、プログラムに従った処理を実行する。管制装置300は、インタフェース370を介してネットワークに接続される。プロセッサ310の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0024】
プログラムは、管制装置300のコンピュータに発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、管制装置300は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ310によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0025】
ストレージ350は、制御位置記憶部351、走行経路記憶部352としての記憶領域を有する。ストレージ350の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ350は、管制装置300の共通通信線に直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース370を介して管制装置300に接続される外部メディアであってもよい。ストレージ350は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0026】
制御位置記憶部351は、掘削点および積込点P3の位置データを記憶する。掘削点および積込点P3は、例えば予め作業現場の管理者等の操作によって設定される点である。なお、制御位置記憶部351が記憶する掘削点および積込点P3の位置データは、作業の進捗等によって管理者等によって更新されてもよい。
【0027】
図4は、走行経路の例を表す図である。
走行経路記憶部352は、運搬車両200ごとに走行経路Rを記憶する。走行経路Rは、2つのエリアA(例えば、積込場A1と排土場A2)を結ぶあらかじめ定められた接続経路R1、ならびにエリアA内の経路である進入経路R2、アプローチ経路R3および退出経路R4を有する。進入経路R2は、エリアA内において接続経路R1の一端である待機点P1と所定の切り返し点P2とを接続する経路である。アプローチ経路R3は、エリアA内の切り返し点P2と積込点P3または排土点P4とを接続する経路である。退出経路R4は、エリアA内の積込点P3または排土点P4と接続経路R1の他端である出口点P5とを接続する経路である。切り返し点P2は、積込点P3の位置に応じて管制装置300によって設定される点である。管制装置300は、積込点P3が変更されるたびに、進入経路R2、アプローチ経路R3および退出経路R4を計算する。
【0028】
プロセッサ310は、プログラムの実行により、収集部311、運搬車両特定部312、走行コース生成部313、通知受信部314、ダウン旋回制御部315、掘削制御部316、ホイスト旋回制御部317、ベッセル特定部318、バケット特定部319、ずれ調整部320、排土制御部321を備える。
【0029】
収集部311は、アクセスポイント400を介して作業機械100および運搬車両200から車両データを受信する。
【0030】
運搬車両特定部312は、収集部311が収集した運搬車両200の車両データに基づいて、掘削物の積込対象となる運搬車両200を特定する。
走行コース生成部313は、走行経路記憶部352が記憶する走行経路と、収集部311が収集した車両データとに基づいて、運搬車両200の移動を許可する領域を示すコースデータを生成し、コースデータを運搬車両200に送信する。コースデータは、例えば、運搬車両200が所定の速度で一定時間以内に走行可能かつ他の運搬車両200の走行経路と重複しない領域を表すデータである。
【0031】
通知受信部314は、作業機械100から完了通知を受信し、運搬車両200から到達通知を受信する。
【0032】
ダウン旋回制御部315は、制御位置記憶部351が記憶する掘削点の位置を含むダウン旋回指示を作業機械100に送信する。ダウン旋回指示を受信した作業機械100の制御装置125は、作業機械100の車両データに基づいて、バケット113が掘削点の直上に移動するように旋回体120および作業機110を駆動させる。
【0033】
掘削制御部316は、掘削指示を作業機械100に送信する。掘削指示を受信した作業機械100の制御装置125は、アーム112を引き方向に回動させ、バケット113を掘削方向に回動させることで、掘削物を掘削する。なお、作業機械100がフェイスショベルである場合には、掘削制御部316は、アーム112を押し方向に回動させる。
【0034】
ホイスト旋回制御部317は、制御位置記憶部351が記憶する積込点P3の位置を含むホイスト旋回指示を作業機械100に送信する。ホイスト旋回指示を受信した作業機械100の制御装置125は、作業機械100の車両データに基づいて、バケット113が積込点P3の直上に移動するように旋回体120および作業機110を駆動させる。
【0035】
図5は、バケット113とベッセル201の位置関係の例を示す上面図である。
ベッセル特定部318は、運搬車両200から積込点P3への到達通知を受信した場合に、収集部311が収集した運搬車両200の車両データに基づいて運搬車両200のベッセル201の中心位置を特定する。運搬車両200の基準位置(位置データの基準となる位置)とベッセル201の中心位置との距離が既知であれば、位置データが示す位置から方位データが示す方向に当該距離だけ移動した位置を、ベッセル201の中心位置C2として特定することができる。ベッセル201の中心位置C2は、例えば、
図5に示すように、ベッセル201を上方から平面視したときのベッセル201の輪郭の幾何重心であってよい。
【0036】
バケット特定部319は、収集部311が収集した作業機械100の車両データに基づいてバケット113の中心位置C1を特定する。バケット113の中心位置C1は、例えば、
図5に示すように、バケット113を上方から平面視したときのバケット113の輪郭の幾何重心であってよい。
【0037】
ずれ調整部320は、バケット113の中心位置C1とベッセル201の中心位置C2とのずれが小さくなるように、ベッセル201の中心位置C2を含むずれ調整指示を送信する。なお、他の実施形態に係るずれ調整指示は、中心位置に限らず、バケット113とベッセル201の所定の点どうしの距離、または所定の面どうしのなす角が小さくなるようにするものであってもよい。なお、第1の実施形態にかかるずれは、旋回体120の旋回中心とバケット113の中心とを結ぶ直線と、旋回体120の旋回中心とベッセル201の中心位置とを結ぶ直線とがなすずれ角度θによって表される。すなわち、第1の実施形態に係るずれは、作業機械100に対する左右方向のずれである。
ずれ調整指示を受信した作業機械100の制御装置125は、作業機械100の車両データに基づいて、ベッセル201の中心位置C2を旋回体120を基準とする機械座標系の位置に変換する。つまり、制御装置125は、現場座標系で表されたベッセル201の中心位置C2を、作業機械100の旋回体120の位置、方位および傾きに基づいて回転させ、平行移動させることで、旋回体120を基準とする機械座標系の位置に変換する。制御装置125は、ずれ角度θが、所定の調整終了範囲(例えば、±1度)以内になるまで、旋回体120を駆動させる。
図6は、第1の実施形態のずれ調整制御におけるずれ角度と旋回指令値との関係を示す図である。ずれ調整制御において、制御装置125は、旋回指令値は、ずれ角度θの絶対値に対して単調増加の関係にある。つまり、ずれ角度θが大きいほど旋回角速度が速くなる。他方、ずれ角度θの絶対値が所定の閾値を超えると、旋回指令値は最大値で一定となる。また、ずれ角度θが調整終了範囲以内のとき、旋回指令値はゼロとなる。
なお、他の実施形態においては、制御装置125は、作業機械100の車両データに基づいて、旋回体120の旋回中心とバケット113の中心位置C1とを結ぶ線分の長さと、旋回体120の旋回中心とベッセル201の中心位置C2とを結ぶ線分の長さとの差が、所定の長さ範囲以内になるまで、ブーム111またはアーム112を駆動させてもよい。つまり、他の実施形態においては、制御装置125は、作業機械100に対する前後方向のずれを小さくするように制御してもよい。
【0038】
排土制御部321は、排土指示を作業機械100に送信する。排土指示を受信した作業機械100の制御装置125は、バケット113をダンプ方向に回動させることで、掘削物を排土する。
【0039】
《制御方法》
第1の実施形態に係る作業システム1による積込制御について説明する。
図7、
図8は、第1の実施形態に係る作業システム1による積込制御を示すシーケンス図である。なお、管制装置300の収集部311は、以下の積込制御中、作業機械100および運搬車両200から車両データを一定周期で受信する。
管制装置300のダウン旋回制御部315は、制御位置記憶部351から掘削点の位置データを読み出し、当該掘削点の位置データを含むダウン旋回指示を作業機械100に送信する(ステップS1)。作業機械100の制御装置125は、ダウン旋回指示を受信すると、例えば車両データに基づいてバケット113の中心位置C1が掘削点の直上に移動するように旋回体120および作業機110を駆動させる(ステップS2)。駆動によってバケット113の中心位置C1と掘削点との距離が所定距離以内になると、制御装置125は、旋回体120および作業機110の駆動を停止させ、管制装置300にダウン旋回の完了通知を送信する(ステップS3)。
【0040】
管制装置300の通知受信部314は、作業機械100からダウン旋回の完了通知を受信する。ダウン旋回の完了通知を受信すると、掘削制御部316は、掘削指示を作業機械100に送信する(ステップS4)。作業機械100の制御装置125は、掘削指示を受信すると、アーム112を引き方向に回動させ、バケット113を掘削方向に回動させることで、掘削物を掘削する(ステップS5)。バケット113の角度が所定の掘削角度以上になると、制御装置125は、作業機110の駆動を停止させ、管制装置300に掘削の完了通知を送信する(ステップS6)。
【0041】
管制装置300の通知受信部314は、作業機械100から掘削の完了通知を受信する。掘削の完了通知を受信すると、ホイスト旋回制御部317は、制御位置記憶部351から積込点P3の位置データを読み出し、当該積込点P3の位置データを含むホイスト旋回指示を作業機械100に送信する(ステップS7)。つまり、ホイスト旋回制御部317は、運搬車両200が積込点P3に到達する前に、作業機械100の作業機110を積込点P3へ移動するための第1制御信号を出力する第1制御部の一例である。
作業機械100の制御装置125は、ホイスト旋回指示を受信すると、作業機械100の車両データに基づいてバケット113の中心位置C1が積込点P3の直上に移動するように旋回体120および作業機110を駆動させる(ステップS8)。駆動によってバケット113の中心位置C1と積込点P3との距離が所定距離以内になると、制御装置125は、旋回体120および作業機110の駆動を停止させ、管制装置300にホイスト旋回の完了通知を送信する(ステップS9)。
【0042】
管制装置300の通知受信部314は、作業機械100からホイスト旋回の完了通知を受信する。運搬車両特定部312は、収集部311が収集した運搬車両200の車両データに基づいて、例えば切り返し点P2に位置する運搬車両200を特定する(ステップS10)。走行コース生成部313は、特定した運搬車両200の車両データに基づいてコースデータを生成し、コースデータを運搬車両200に送信する(ステップS11)。つまり、走行コース生成部313は、運搬車両200にベッセル201が積込点P3に位置するように移動させるための進入指示を送信する送信部の一例である。
【0043】
運搬車両200の制御装置220は、コースデータを受信すると、コースデータに従って積込点P3へ向かって走行を制御する(ステップS12)。制御装置220は、ベッセル201の所定の位置と積込点P3との距離が所定距離以内になると、運搬車両200の走行を停止させ、管制装置300に積込点P3への到達通知を送信する(ステップS13)。なお、運搬車両200が停止したとき、運搬車両200のベッセル201の中心位置C2と積込点P3とは必ずしも一致していない。
【0044】
管制装置300の通知受信部314は、運搬車両200から積込点P3への到達通知を受信する。積込点P3への到達通知を受信すると、管制装置300のベッセル特定部318は、運搬車両200の車両データに基づいて、ベッセル201の中心位置C2を特定する(ステップS14)。ベッセル特定部318は、現場座標系における旋回体120の代表点の位置に基づいて、ベッセル201の中心位置C2を旋回体120を基準とする機械座標系の位置に変換する。バケット特定部319は、作業機械100の車両データに基づいて、バケット113の中心位置C1を特定する(ステップS15)。すなわち、バケット特定部319は、ステップS7のホイスト旋回指示に基づいて掘削物を保持して待機しているバケット113の位置である待機位置を特定する。
【0045】
ずれ調整部320は、ステップS14で特定したベッセル201の中心位置C2とステップS15で特定したバケット113の中心位置C1とのずれ角度を算出する(ステップS16)。ずれ調整部320は、算出したずれ角度が所定の調整不要範囲(例えば、±2度)以内の値であるか否かを判定する(ステップS17)。ずれ角度が調整不要範囲を超える場合(ステップS17:NO)、ずれ調整部320は、ステップS14で特定した現場座標系におけるベッセル201の中心位置C2を含むずれ調整指示を送信する(ステップS18)。なお、第1の実施形態においては、管制装置300は、ステップS4からステップS9によって、掘削物を保持したバケット113を積込点P3へ移動させ、その後、ステップS11からステップS13によって運搬車両200が積込点P3へ移動する。したがって、ずれ調整部320によるずれ調整は、作業機械100が掘削物を保持して待機している状態で、運搬車両200の停止位置と積込点P3とにずれがある場合に、バケット113とベッセル201との位置を合わせるための処理である。
つまり、ずれ調整部320は、作業機110が掘削物を保持しているときに到達通知を受信した場合に、運搬車両200を走行させずに、作業機110の位置とベッセル201の位置との差が小さくなるように、作業機械100を制御するための第2制御信号を出力する第2制御部の一例である。
【0046】
作業機械100の制御装置125は、ずれ調整指示を受信すると、車両データに基づいてベッセル201の中心位置C2を機械座標系に変換する。そして、制御装置125は、ずれ角度を算出し、ずれ角度が調整終了範囲(例えば、±1度)以内になるまで、
図6に基づく旋回指令値に従って旋回体120を駆動させる(ステップS19)。制御装置125は、ずれ角度が調整終了範囲以内になると、旋回体120の駆動を停止させ、ずれ調整の完了通知を管制装置300に送信する(ステップS20)。
【0047】
ステップS17においてずれ角度が調整不要範囲以内である場合(ステップS17:YES)、またはステップS20で通知受信部314がずれ調整の完了通知を受信した場合、排土制御部321は、排土指示を作業機械100に送信する(ステップS21)。作業機械100の制御装置125は、排土指示を受信すると、バケット113をダンプ方向に回動させることで、掘削物を排土する(ステップS22)。これにより、作業機械100は抱え込んだ掘削物をこぼさずにベッセル201に積み込むことができる。バケット113の角度が所定のダンプ角度以上になると、制御装置125は、作業機110の駆動を停止させ、管制装置300に排土の完了通知を送信する(ステップS23)。
管制装置300の通知受信部314は、作業機械100から排土の完了通知を受信する。
【0048】
管制装置300のダウン旋回制御部315は、制御位置記憶部351から掘削点の位置データを読み出し、当該掘削点の位置データを含むダウン旋回指示を作業機械100に送信する(ステップS24)。作業機械100の制御装置125は、ダウン旋回指示を受信すると、例えば車両データに基づいてバケット113の中心位置C1が掘削点の直上に移動するように旋回体120および作業機110を駆動させる(ステップS25)。駆動によってバケット113の中心位置C1と掘削点との距離が所定距離以内になると、制御装置125は、旋回体120および作業機110の駆動を停止させ、管制装置300にダウン旋回の完了通知を送信する(ステップS26)。
【0049】
管制装置300の通知受信部314は、作業機械100からダウン旋回の完了通知を受信する。ダウン旋回の完了通知を受信すると、掘削制御部316は、掘削指示を作業機械100に送信する(ステップS27)。作業機械100の制御装置125は、掘削指示を受信すると、バケット113を掘削方向に回動させることで、掘削物を掘削する(ステップS28)。バケット113の角度が所定の角度以上になると、制御装置125は、作業機110の駆動を停止させ、管制装置300に掘削の完了通知を送信する(ステップS29)。
【0050】
管制装置300の通知受信部314は、作業機械100から掘削の完了通知を受信する。掘削の完了通知を受信すると、ホイスト旋回制御部317は、ステップS14で特定したベッセル201の中心位置C2を含むホイスト旋回指示を作業機械100に送信する(ステップS30)。作業機械100の制御装置125は、ホイスト旋回指示を受信すると、作業機械100の車両データに基づいてバケット113の中心位置C1がベッセル201の直上に移動するように旋回体120および作業機110を駆動させる(ステップS31)。駆動によってバケット113の中心位置C1とベッセル201の中心位置C2との距離が所定距離以内になると、制御装置125は、旋回体120および作業機110の駆動を停止させ、管制装置300にホイスト旋回の完了通知を送信する(ステップS32)。すなわち、2回目以降の積込においては、ずれ調整部320によるずれ調整処理を行わない。1回目の積込時には、作業機械100がバケット113が積込点P3の直上までホイスト旋回させた後に運搬車両200が当該積込点へ向かう。そのため、運搬車両200のベッセル201が積込点P3からずれる可能性があり、ずれ調整処理を行う必要がある。他方、2回目以降の積込時には、作業機械100は停止しているベッセル201の直上へ向かってホイスト旋回する。そのため、2回目以降の積込時には、ずれ調整処理を行うことなく、バケット113をベッセル201の直上に移動させることができる。
【0051】
管制装置300の通知受信部314は、作業機械100からホイスト旋回の完了通知を受信する。ホイスト旋回の完了通知を受信すると、排土制御部321は、排土指示を作業機械100に送信する(ステップS33)。作業機械100の制御装置125は、排土指示を受信すると、バケット113をダンプ方向に回動させることで、掘削物を排土する(ステップS34)。このとき、管制装置300は、メモリに記憶する掘削物の積込回数に1を加算する。バケット113の角度が所定のダンプ角度以上になると、作業機110の駆動を停止させ、制御装置125は、管制装置300に排土の完了通知を送信する(ステップS35)。
管制装置300の通知受信部314は、作業機械100から排土の完了通知を受信する。
【0052】
管制装置300は、掘削物の積込回数が上限回数未満であるか否かを判定する(ステップS36)。掘削物の積込の上限回数は、バケット113の容量およびベッセル201の容量に基づいて予め設定されている。掘削物の積込回数が上限回数未満である場合(ステップS36:YES)、ステップS24に処理を戻し、再度土砂の掘削積込を行う。
【0053】
他方、掘削物の積込回数が上限回数以上である場合(ステップS36:NO)、走行コース生成部313は、ステップS10で特定した運搬車両200の車両データに基づいてコースデータを生成し、コースデータを運搬車両200に送信する(ステップS37)。つまり、走行コース生成部313は、運搬車両200に積込点P3からの退出指示を送信する。運搬車両200の制御装置220は、コースデータを受信すると、コースデータに従って走行を制御する(ステップS38)。これにより、積込が完了した運搬車両200を退出させることができる。管制装置300は、メモリに記憶する掘削物の積込回数をリセットする。
【0054】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態によれば、管制装置300は、運搬車両200が積込点P3に到達する前に作業機械100にホイスト旋回指示を出力し、運搬車両200にベッセル201が積込点P3に位置するように移動させるための進入指示であるコースデータを送信する。管制装置300は、運搬車両200から、積込点P3への到達の完了を示す到達通知を受信し、運搬車両200を走行させずに、作業機110の位置とベッセル201の位置との差が小さくなるように、作業機械100を制御するためのずれ調整指示を出力する。これにより、管制装置300は、作業機械100が抱え込んだ掘削物を運搬車両200に排土する場合に、掘削物がこぼれることを防ぐことができる。
また、作業機110の位置とベッセル201の位置との差を小さくする方法として、運搬車両200が積込点P3に誤差なく停止するように運搬車両200の走行を制御する方法が考えられる。しかしながら、運搬車両200は一般的にタイヤによって走行するため、停車位置の微細な制御を行うためには進行方向を変えながら細かく前進と後退を繰り返す必要があり、ずれ調整に時間がかかる。そのため、第1の実施形態のように、作業機械100の旋回によってずれ調整を行うことで、ずれ調整に掛かる時間を低減し、生産性を向上させることができる。
【0055】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。例えば、上述した実施形態では、初回の積込み時に、作業機械100のホイスト旋回の完了後に運搬車両200に進入指示を送信するが、これに限られない。例えば、他の実施形態において、作業機械100に掘削指示を送信するタイミングで、運搬車両200に進入指示を送信してもよい。これにより、より効率的に掘削積込作業を実現することができる。なお、作業機械100に掘削指示を送信するタイミングで運搬車両200に進入指示を送信したとしても、通常、運搬車両200は、作業機械100のホイスト旋回の開始後に積込点P3に到達する。この場合、第1の実施形態と同様に、ステップS16以降の処理を実行する。他方、運搬車両200が作業機械100のホイスト旋回の開始前に積込点P3に到達した場合には、ステップS7のホイスト旋回指示の目標位置をベッセル201の位置に指定してもよい。
【0056】
上述した実施形態においては、管制装置300がダウン旋回指示、掘削指示、およびホイスト旋回指示を分けて作業機械100に送信するが、他の実施形態においては、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、管制装置300がダウン旋回、掘削、およびホイスト旋回の一連の作業を実施させる抱え込み指示を送信し、作業機械100が当該抱え込み指示に基づいてステップS2、S5、S8およびS9の処理を実行してもよい。
【0057】
上述した実施形態においては、管制装置300が、作業機械100からホイスト旋回の完了指示を受信してから、運搬車両200に進入指示を送信するが、他の実施形態においては、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、管制装置300は、作業機械100にホイスト旋回指示、または上述の抱え込み指示を送信してから所定時間が経過したときに、または作業機械100が所定姿勢になったときに、運搬車両200に進入指示を送信してもよい。
【0058】
上述した実施形態では、旋回体120の旋回により、ずれ調整制御を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る運搬車両200が、ベッセル201を鉛直軸回りに回転させることができる場合、運搬車両200によるベッセル201の回転によってずれ調整制御を行ってもよい。この場合、管制装置300のずれ調整部320は、運搬車両200に対してずれ調整指示を送信する。なお、運搬車両200がベッセル201を回転させることができる場合、運搬車両200は積込点P3への移動のために切り返しを行う必要がない。そのため、この場合、アプローチ経路R3は、待機点P1と積込点P3または排土点P4とを接続する経路であってよい。
【0059】
上述した実施形態に係る作業機械100は、自動運転により掘削積込を行うが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態に係る作業機械100は、オペレータの手動制御により掘削を実行し、自動制御によりホイスト旋回、排土、およびダウン旋回を実行するものであってよい。この場合、オペレータは掘削完了後、操作装置に設けられたボタン等の操作により、自動制御の開始を指示する。
【0060】
上述した実施形態に係る管制装置300は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、管制装置300の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで管制装置300として機能するものであってもよい。このとき、管制装置300を構成する一部が作業機械100の制御装置125または運搬車両200の制御装置220によって実現されてもよい。例えば、他の実施形態においては、管制装置300の機能の一部を作業機械100の制御装置125と運搬車両200の制御装置220とに持たせ、作業機械100と運搬車両200との車車間通信によって、作業システムを構成してもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…作業システム 100…作業機械 110…作業機 120…旋回体 130…走行体 111…ブーム 112…アーム 113…バケット 125…制御装置 200…運搬車両 201…ベッセル 220…制御装置 300…管制装置 310…プロセッサ 330…メインメモリ 350…ストレージ 370…インタフェース 351…制御位置記憶部 352…走行経路記憶部 311…収集部 312…運搬車両特定部 313…走行コース生成部 314…通知受信部 315…ダウン旋回制御部 316…掘削制御部 317…ホイスト旋回制御部 318…ベッセル特定部 319…バケット特定部 320…ずれ調整部 321…排土制御部