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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】空気清浄システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20240122BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20240122BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20240122BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20240122BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20240122BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/06 C
F24F11/46
F24F11/62
F24F11/74
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020074881
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021131219
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2020025187
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 恒佑
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 弥
(72)【発明者】
【氏名】小松原 正幸
(72)【発明者】
【氏名】染谷 孟行
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-204858(JP,A)
【文献】特開2019-128128(JP,A)
【文献】特開2004-101058(JP,A)
【文献】国際公開第2019/035198(WO,A1)
【文献】特開2015-197267(JP,A)
【文献】特開2017-075747(JP,A)
【文献】特開2010-255898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/00 - 7/06
F24F 11/00 - 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画内の空気を清浄化する出力可変型で複数の空気清浄装置と、
前記区画内の粒子濃度Cを検出するパーティクルセンサと、
前記パーティクルセンサで検出される粒子濃度Cに基づいて前記空気清浄装置を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記区画内の条件により、少なくとも前記空気清浄装置による送風量が相対的に大きい第1送風量モードと相対的に小さい第2送風量モードとを実行し、
前記第1送風量モードでの送風量をQ1とし、前記第2送風量モードでの送風量をQ2とし、前記第2送風量モードでの目標粒子濃度をCtaとし、トリガ濃度をCtrとしたとき、粒子濃度Cが、
C≦Ctr=Cta×Q2/Q1
となったとき、
または、0.7以上1未満の安全率をαとしたとき、粒子濃度Cが、
C≦Ctr=Cta×Q2/Q1×α
となったとき、前記第1送風量モードから前記第2送風量モードへ移行することを特徴とする空気清浄システム。
【請求項2】
前記第1送風量モードは、粒子濃度が目標濃度またはそれ以下となるように前記区画内の規定数の前記空気清浄装置を運転する基本モードであり、
前記第2送風量モードは、運転中の前記空気清浄装置を所定台数まで順次停止させる間引きモードであることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄システム。
【請求項3】
前記区画内における人間の有無を検出する人感センサを備え、
前記第1送風量モードは、前記人感センサによって人間を検知した際に実行される人感モードであり、
前記第2送風量モードは、粒子濃度が目標濃度またはそれ以下となるように区画内の規定数の前記空気清浄装置を運転する基本モードであることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、区画内の空気を清浄化する空気清浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や精密機器を製造するクリーンルームでは高い空気清浄度が求められるが、過剰な空気清浄度によって運転コストが高まることは好ましくない。そこで本出願人は特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載のシステムを提案している。
【0003】
特許文献1に記載のシステムでは、熱交換装置と空気清浄装置とを別体化して、温度調整と空気清浄化とを個別かつ必要限度で行うことが可能となり、いずれか一方が他方の影響によって過剰な能力で運転されてしまうことがない。また、空気の流れはクリーンルーム内を循環・対流させることが可能になり、床下や天井裏の空気流路が不要となる。
【0004】
特許文献2に記載のシステムでは、クリーンルーム内で複数の生産装置および複数の空気清浄装置が設けられている場合で、特に高い空気清浄度が求められる生産装置に対しては専用の空気清浄装置を設けて局所的に清浄化させることができる。そして他の生産装置が設けられている箇所に対しては過剰な空気清浄化がなされることがない。
【0005】
また、クリーンルームでは人間の存在が清浄度低下の要因となり得る。特許文献3に記載のシステムでは、クリーンルームに人感センサを設け、この人感センサにより人間の有無を検知して空気清浄装置の運転状態を変化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4275969号公報
【文献】特許第4609699号公報
【文献】特開2013-228160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、クリーンルーム内は粒子濃度が所定の目標濃度となっていれば足りるのであって、過度に清浄化することは省エネルギーの観点から好ましくない。そのため、空気清浄システムでは、送風量が異なる少なくとも2つのモードを設けて、諸条件によりモード移行することが考えられる。
【0008】
しかしながら、不用意に送風量を低下させると維持したい濃度を超えて粒子濃度が上昇する懸念があり、これに対応するためには再度送風量を急増加させることとなり、結局送風量がハンチングするような不安定な運転となる懸念がある。特に、モードの移行にパーティクルセンサによる粒子濃度だけでなく、人感センサの検出結果をも考慮する場合には、より一層の工夫が求められる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、エネルギー消費を低減するとともに、安定して運転することのできる空気清浄システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる空気清浄システムは、区画内の空気を清浄化する出力可変型で複数の空気清浄装置と、前記区画内の粒子濃度Cを検出するパーティクルセンサと、前記パーティクルセンサで検出される粒子濃度Cに基づいて前記空気清浄装置を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記区画内の条件により、少なくとも前記空気清浄装置による送風量が相対的に大きい第1送風量モードと相対的に小さい第2送風量モードとを実行し、前記第1送風量モードでの送風量をQ1とし、前記第2送風量モードでの送風量をQ2とし、前記第2送風量モードでの目標粒子濃度をCtaとし、トリガ濃度をCtrとしたとき、粒子濃度Cが、 C≦Ctr=Cta×Q2/Q1 となったとき、または、0.7以上1未満の安全率をαとしたとき、粒子濃度Cが、 C≦Ctr=Cta×Q2/Q1×α となったとき、前記第1送風量モードから前記第2送風量モードへ移行することを特徴とする。
【0011】
前記第1送風量モードは、粒子濃度が目標濃度またはそれ以下となるように前記区画内の規定数の前記空気清浄装置を運転する基本モードであり、前記第2送風量モードは、運転中の前記空気清浄装置を所定台数まで順次停止させる間引きモードであってもよい。
【0012】
前記区画内における人間の有無を検出する人感センサを備え、前記第1送風量モードは、前記人感センサによって人間を検知した際に実行される人感モードであり、前記第2送風量モードは、粒子濃度が目標濃度またはそれ以下となるように区画内の規定数の前記空気清浄装置を運転する基本モードであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる空気清浄システムでは、エネルギー消費を低減するとともに、安定して運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態である空気清浄システムを示す側面図である。
図2図2は、空気清浄システムの制御ブロック図である。
図3図3は、空気清浄システムで実行される4つの制御モードとその移行関係を示すブロック図である。
図4図4は、トリガ濃度による移行条件を設けない場合における基本モードと間引きモードとの状態を表すグラフである。
図5図5は、トリガ濃度による移行条件を設ける場合の状態を示すグラフであり、(a)は、基本モードが維持される場合のグラフであり、(b)は、基本モードと間引きモードとの間で遷移する場合のグラフである。
図6図6は、区画としてのモックアップルームを示す図であり、(a)はモックアップルームの平面図であり、(b)は(a)におけるVI(b)~VI(b)線視による断面図である。
図7図7は、3つの実験条件を示す表である。
図8図8は、条件Case.Aによる実験結果を示すグラフである。
図9図9は、条件Case.B-1による実験結果を示すグラフである。
図10図10は、条件Case.B-2による実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる空気清浄システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明の実施形態である空気清浄システム10を示す側面図である。図2は、空気清浄システム10の制御ブロック図である。
【0017】
空気清浄システム10は区画12の空気を清浄化するシステムである。区画12はクリーンルームの全体またはその一部である。区画12は他の区画とパーテーションやカーテンで仕切られていてもよいし、条件によっては特に仕切がなくてもよい。区画12には、半導体や精密機器の生産装置14が設けられており、空気が清浄化された環境が必要となっている。
【0018】
図1および図2に示すように、空気清浄システム10は、空気清浄装置16a,16b,16cと、人感センサ18a,18b,18cと、パーティクルセンサ20a,20b,20cと、熱交換装置22a,22bと、制御部28とを有する。空気清浄装置16a~16c、人感センサ18a~18c、パーティクルセンサ20a~20c、熱交換装置22a,22bはそれぞれ代表的に空気清浄装置16、人感センサ18、パーティクルセンサ20、熱交換装置22とも呼ぶ。空気清浄システム10が設けられた区画12内には人間Hが存在する場合がある。人間Hは1人または複数であり、主に作業者である。
【0019】
空気清浄装置16は、区画12内の上方で、天面12aよりはやや下方に配置されており、上部に設けられたファン24と、下部に設けられたHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタ26とを有する。空気清浄装置16は、ファン24により上方から吸い込んだ空気をHEPAフィルタ26で清浄化して下方に向けて吹き出す。ファン24は回転数可変駆動式である。空気清浄装置16は制御部28の作用下に状況に応じてファン24の回転数を制御し出力調整ができる。空気清浄装置16はFFU(Fan Filter Unit)とも呼ばれる。
【0020】
人感センサ18は、対応する監視領域に人間Hが存在するか否かを検出するセンサであり、例えば赤外センサ、電磁センサまたはカメラが挙げられる。人感センサ18は領域に存在する人間Hの人数を検出することも可能である。人感センサ18a~18cは空気清浄装置16a~16cと一体的に固定されており、それぞれ制御部28に検出信号を供給する。人感センサ18a~18cで区画12をカバーしている。
【0021】
パーティクルセンサ20は、対応する領域の清浄度、つまり粒子濃度を検出するセンサであり、たとえば、天面12aの近傍、空気清浄装置16とほぼ同じ位置、または空気清浄装置16の直下位置などに配置される。粒子濃度が低い場合は空気の清浄度が高い。パーティクルセンサ20には温度センサが併設されていてもよい。パーティクルセンサ20a~20cは、それぞれ制御部28に検出信号を供給する。
【0022】
熱交換装置22は空気清浄装置16よりも上方で、天面12aの近傍に配置されており、下方から吸い込んだ空気を熱交換(熱除去)して側方に向けて吹き出す。熱交換装置22は、各空気清浄装置16の中間位置に設けられている。熱交換装置22はFCU(Fan Coil Unit)とも呼ばれる。
【0023】
このように構成される空気清浄システム10では、区画12内の空気は、空気清浄装置16a~16cの上方から吸い込まれて清浄化されて下方に吹き出され、生産装置14や人間Hなどの熱源によって加温された後に床面12bで折り返して上昇する。上昇した空気は各空気清浄装置16の中間に配置されている熱交換装置22a,22bに吸い込まれ、熱交換された後に側方に吹出されて再び空気清浄装置16a~16cに吸い込まれて対流することになる。なお、図1では区画12内の空気の流れを矢印で示している。
【0024】
なお図2では、各制御対象および各検出器が制御部28に対して直列状に接続されている例を示すが、各個が制御部28に直接接続されていてもよい。制御部28は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)であって、区画12内に設けられている。
【0025】
空気清浄装置16は出力可変型である。制御部28は粒子濃度(例えば、パーティクルセンサ20a~20cによる検出値の平均値)や温度に基づき、図示しないインバータを介して空気清浄装置16の出力制御(つまり、ファン24の回転数制御および風量制御)を行う。制御部28が空気清浄装置16に対して行う制御とは広義であって定速運転、変速運転および停止を含む。停止とは電源オンのままファン24の風量を0にする場合と、電源オフの場合とを含む。
【0026】
次に、空気清浄システム10で実行される制御について説明する。
【0027】
図3は、空気清浄システム10で実行される4つの制御モードとその基本的な移行関係を示すブロック図である。空気清浄システム10では、制御部28が図3に示す基本モード、間引きモード、人感モードおよび最大モードの合計4つのモードを実行する。モードの移行は後述する条件に従って自動的に行われる。
【0028】
基本モードは複数の制御ロジックのうち最も基本的な制御を行うモードであり、一般的には平常時の制御モードということができる。基本モードでは、粒子濃度が目標濃度またはそれ以下となるように出力を制御する。この制御は、例えば比例制御やPID制御である。基本モードでは区画12内の全数の空気清浄装置16を同じ出力で運転する。基本モードで運転する空気清浄装置16の台数は基本的には全数であるが、条件によっては規定数N(N≧2)としてもよい。
【0029】
なお、空気清浄システム10では、空気清浄装置16からの清浄気流が生産装置14の作業エリア(例えば、床から1000mm程度の位置)まで到達する必要がある。したがって、基本モードでは運転中の空気清浄装置16について、清浄気流が作業エリアに届くように最低回転速度が規定されている。この最低回転速度は、空気清浄装置16の下部の熱負荷状況および空気清浄装置16の設置高さなどに基づいて個別に規定するとよい。なお、この最低回転速度は基本的に人間Hが存在せず発塵負荷が十分に小さい状態を想定して規定されており、十分に低い値であって省エネルギー効果がある。
【0030】
間引きモードは、区画12内にある空気清浄装置16を全数(または規定数N)動かす必要がないと判断されたときに実行されるモードであり、基本モードから移行する。具体的には、区画12内の粒子濃度が目標濃度以下であって、所定の安定状態基準が満たされるときに、運転中の空気清浄装置16を所定台数まで順次停止させる。この場合、例えばまず空気清浄装置16aを止め、所定時間経過しても目標濃度を下回っていた場合、空気清浄装置16bを止める。以降、これを繰り返して所定の台数まで順次止めていく。間引きモードにおける空気清浄装置16の運転は、例えば基本モードと同様であって粒子濃度が目標濃度またはそれ以下となるように出力を制御する。
【0031】
人感モードは人間Hからの発塵に対応するモードであり、ファン24を所定の第1出力またはそれ以上で運転させる。この第1出力は、基本モードにおける通常の出力範囲の最大値以上として規定されている。人感センサ18によって人間Hを検知した際に、基本モードまたは間引きモードから人感モードへ移行する。人感モードで運転する空気清浄装置16の台数は基本モードで運転する規定数N以上(全数を含む)とする。
【0032】
最大モードは、粒子濃度が所定の監視濃度を超えた場合に移行するモードである。監視濃度は上記の目標濃度よりも高い値であり、生産装置14による生産に影響を与えてしまう濃度よりは低い値だが、速やかな清浄化が望まれる状態の値である。また、最大モードは、粒子濃度が所定の増加速度閾値を超えた場合にも移行する。最大モードは他のすべての制御モードから同じ条件によって移行し、全数の空気清浄装置16を第2出力で運転させる。この第2出力は基本的には最大定格出力であるが、条件によっては上記の第1出力より大きい規定出力としてもよい。
【0033】
次に、4つの制御モード間の移行条件について詳細に説明する。以下、制御モード間の移行条件を図3の移行矢印に付した小文字アルファベットに従って説明する。制御モード間の移行は以下の条件に基づくが、条件成立後に所定の移行猶予時間を設けてもよい。
【0034】
a.基本モードから間引きモードへ移行する条件:以下の第1安定状態基準または第2安定状態基準が満たされるときに基本モードから間引きモードへ移行する。
【0035】
第1安定状態基準:空気清浄装置16の出力設定範囲における最低出力運転が所定時間続いた場合に間引きモードへ移行する。
第2安定状態基準:粒子濃度が上記の目標濃度よりも小さい過剰清浄濃度をさらに下回る状態が所定時間続いた場合に間引きモードへ移行する。これらの2つの条件以外にも粒子濃度が十分低い値に安定していて、増加する見込みがないと推定される状態を安定状態基準としてもよい。
【0036】
b.基本モードから人感モードへ移行する条件:以下の第1人感モード条件または第2人感モード条件が成立したときに基本モードから人感モードへ移行する。
【0037】
第1人感モード条件:区画12内に人間Hが存在しない状態で基本モードを実行しているときに人間Hが区画12内に立ち入った場合で、x人の人間Hが立ち入って所定時間経過すると人感モードへ移行する。xは1以上の定数である。
第2人感モード条件:区画12には人間Hが存在するが、発塵の影響が小さい場合(例えば、人間Hが少数であり、または人間Hの動きが少ない場合。以下、低発塵状態という。)で基本モードを実行しているときに人間Hが新たに立ち入った場合で、現在いるy人の人間Hに対して所定割合(例えば50%)以上の人数が新たに立ち入って所定時間経過すると人感モードへ移行する。
【0038】
c.e.h.基本モード、人感モードまたは間引きモードから最大モードへ移行する条件:これらの各モードの実行中に粒子濃度が監視濃度を超えたとき、または粒子濃度が所定の増加速度閾値を超えたときに最大モードへ移行する。
【0039】
d.人感モードから基本モードへ移行する条件:以下の第1基本モード条件または第2基本モード条件が成立したときに人感モードから基本モードへ移行する。なお、人感モード中で粒子濃度が低い場合には、まず比例制御を行う基本モードへ移行する。つまり、人感モードから間引きモードへの移行は必ず基本モードを経由するものとする。
【0040】
第1基本モード条件:低発塵状態で人感モードを実行しているとき、所定時間を経過しても粒子濃度が目標濃度を下回っていた場合に基本モードへ移行する。ただし、この場合は後述するように移行のトリガ条件を付加的に設けてもよい。
【0041】
第2基本モード条件:低発塵状態で人感モードを実行しているとき、人間Hが区画12外へ出て所定時間経過し(人感センサ18が人間H不在の信号を所定時間出力し)、かつ粒子濃度が目標濃度以下であった場合に基本モードへ移行する。
【0042】
f.間引きモードから基本モードへ移行する条件:間引きモードの実行中に、粒子濃度が目標濃度を超えた場合に基本モードへ移行する。この場合の移行途中においては、間引いて停止させた空気清浄装置16も含め、規定数N以上の空気清浄装置16を基本モードの最低回転速度で動かす。その後、基本モードに則って運転をする。
【0043】
g.間引きモードから人感モードへ移行する条件:上記のb.の条件(基本モードから人感モードの移行)と同じで第1人感モード条件または第2人感モード条件が成立したときに間引きモードから人感モードへ移行する。
【0044】
i.最大モードから基本モードへ移行する条件:最大モードの実行中に、粒子濃度が目標濃度を下回った場合に基本モードへ移行する。なお、最大モードから間引きモードへは移行しないものとする。なぜなら、最大モードは基本的に緊急時に発動するものであり、そのような状況下で省エネルギーが目的の間引きモードへ移行することは適切でないためである。
【0045】
j.最大モードから人感モードへ移行する条件:最大モードが解除されるのは粒子濃度が目標濃度まで下がってきたことを検知した場合であり通常は基本モードへ移行することになるが、環境条件やシステム仕様などによっては、人間Hの存在が検出されているときには基本モードを経由せずに最大モードから人感モードへ移行してもよい。
【0046】
上述したように、本実施の形態にかかる空気清浄システム10においては、制御部28は、区画12内の粒子濃度が目標濃度以下となるように規定数N以上の空気清浄装置16を動作させる基本モードと、区画12内の粒子濃度が目標濃度以下であって、所定の安定状態基準が満たされるときに、運転中の空気清浄装置16を所定台数まで順次停止させる間引きモードとを実行する。このように、通常の基本モードとは別に間引きモードを実行することにより運転コストを低減するとともに省エネルギー化を図ることができる。また、間引きモードでは、特定の場所や特定の時間に関して集中的に空気浄化するのではなく、定常時における基本モードから移行することにより運転コストを一層低減することができる。
【0047】
また、制御部28は、人感センサ18が人間Hをx人検出したときに規定数N以上の空気清浄装置16を所定の第1出力以上で運転する人感モードを実行する。人感モードによれば、区画12内に人間Hが入ってきた場合にも粒子濃度を適切に維持することができる。
【0048】
さらに制御部28は、区画12内の粒子濃度が監視濃度以上となったときに全数の空気清浄装置16を所定の第2出力以上で運転する最大モードを実行する。このように粒子濃度が監視濃度以上となった場合には、全数の空気清浄装置16を所定の第2出力以上で運転することにより、粒子濃度を速やかに低下させることができる。
【0049】
ところで、上記の「a.」で基本モードから間引きモードへ移行する場合、空気清浄装置16による区画12内での全体風量は低下することになるが、不用意に風量を低下させると粒子濃度が再上昇する可能性もある。同様に、「d.」で人感モードから基本モードへ移行する場合で、第1基本モード条件が成立すると(つまり、人間Hが存在するが低発塵状態のとき)、空気清浄装置16による区画12内での全体風量は低下することになるが、風量低下によって粒子濃度が上昇することで、その時の発塵量(この場合における発塵量とは、時々刻々と変わる量のことではなく一回の制御を行う前後における一定の発塵量)によっては再度目標濃度を超過して送風量がハンチングする不安定な運転になる懸念もある。また、送風量がハンチングを起こすと、定常的・安定的な運転と比較してエネルギー消費が大きい。
【0050】
これに対して、本実施の形態では以下のように移行のトリガ条件を付加的に設けることにより一層安定的な運転を実現することができる。
【0051】
ここでは、区画12内の清浄度維持のための基準はこれまでの目標濃度とし、送風量を絞るためのトリガとなるトリガ濃度Ctrは別に設定するものとする。トリガ濃度Ctrの設定について以下に説明する。
【0052】
トリガ濃度Ctrは、ザイデルの換気の式に基づいて決定する。いま、区画12内は送風量Q1で空気清浄装置16が運転しており、それにより粒子濃度がC1であるとする(状態1)。そして、低風量制御を加えたことで到達する送風量をQ2とし、その結果到達する濃度をC2とする(状態2)。ここで、Q1>Q2である。また発塵量は一定であるとしてC1<C2である。ザイデルの式において、換気が定常状態である場合、室内における汚染質発生量をM、換気による送風量をQ、換気の汚染質の粒子濃度をCoと置けば、室内の粒子濃度Cは以下の式(1)で表される。
C=Co+M/Q …(1)
【0053】
区画12内の完全混合状態を仮定して、式(1)を適用する。区画12はクリーンルームであるため、換気(つまり空気清浄装置16による送風)は清浄空気の供給を意味し、Coは0である。また、Qは空気清浄装置16の全送風量である。汚染質発生量Mは、システムで送風量を制御する場合には大きな変化はないとことが前提であることから、一定と仮定する。よって、状態1における粒子濃度C1は以下の式(2)、状態2については式(3)で表される。
C1=M/Q1 …(2)
C2=M/Q2 …(3)
ここで目標濃度をCtaとすれば、送風量を絞った状態の粒子濃度C2がCta以上とならないようにする必要があるためには次の式(4)が条件になる。
Cta > C2 = M/Q2 …(4)
式(2)と式(3)から汚染質発生量Mを消去すると、式(5)を得る。
C2=C1×Q1/Q2 …(5)
式(4)および式(5)より、式(6)および式(7)を得る。
Cta > C2 = C1×Q1/Q2 …(6)
C1 < Cta ×Q2/Q1 …(7)
式(6)および式(7)式を状態1における粒子濃度C1が満たしていれば送風量を絞った後の状態2において、粒子濃度C2が目標濃度Cta以上となることはない。すなわち、C1が式(6)を満たすような値になった際に送風量を絞る制御(モードの移行)を行うことで、送風量のハンチングを防ぐことができる。したがって、トリガ濃度Ctrは以下の式(8)で決定すればよいことになる。
C≦Ctr=Cta×Q2/Q1×α …(8)
【0054】
ここで、右辺のαはハンチング防止効果を向上させるための安全率であり、形式上は0<α<1である。この安全率αによりハンチングをさらに防ぐことができる。ただし、αの値が小さすぎるとモード移行できなくなることから、実用的で妥当な一般的経験則の範囲として、αは0.7以上で1未満の値が好適である。設計条件によっては安全率αを省略(換言すれば、α=1)としてもよい。
【0055】
図4は、上記のようなトリガ濃度Ctrによる移行条件を設けない場合における基本モードと間引きモードとの状態を表すグラフである。図4および後述する図5において、横軸は経過時間であり、縦軸は送風量Qおよび粒子濃度Cに対応する。なお、上記のとおり間引きモードでは空気清浄装置16の運転台数を所定時間毎に順次減らしているが、図4および後述の図5(b)では、簡略化のために一度に所定数の運転を止めて送風量Qを低下させるように示している。
【0056】
図4に示すように、上記のようなトリガ濃度Ctrによる移行条件を設けない場合には、粒子濃度Cが目標濃度Ctaを下回っていることを条件に間引きモードに移行する。粒子濃度Cが目標濃度Ctaをわずかに下回っている場合には、送風量Qが低下することによって粒子濃度Cが増加して目標濃度Ctaに達することもあり得る。そうすると、間引きモードを終了して基本モードへ戻り送風量Qを増加させ、粒子濃度Cを低下させる。このように、トリガ濃度Ctrによる移行条件を設けない場合には、基本モードと間引きモードとの移行を繰り返し、送風量Qがハンチングを起こし、不安定な運転となる懸念がある。
【0057】
図5は、トリガ濃度Ctrによる移行条件を設ける場合の状態を示すグラフであり、(a)は、基本モードが維持される場合のグラフであり、(b)は、基本モードと間引きモードとの間で遷移する場合のグラフである。
【0058】
図5(a)に示すように、トリガ濃度Ctrによる移行条件を設ける場合では、基本モードの実行中で粒子濃度Cが目標濃度Ctaを下回っていてもトリガ濃度Ctrを下回ることがなければ、そのまま基本モードが維持される。この場合、粒子濃度Cはほぼ一定で安定する。
【0059】
図5(b)に示すように、トリガ濃度Ctrによる移行条件を設ける場合では、粒子濃度Cが目標濃度Coおよびトリガ濃度Ctrを下回っているときには基本モードから間引きモードへ移行して送風量Qを低下させるが、トリガ濃度Ctrを式(8)のとおりに設定していれば、送風量Qを低下させた後に粒子濃度Cほぼ一定で安定する。つまり、粒子濃度Cが目標濃度Ctaを超過して再度基本モードへ戻るというような不安定な運転にはならない。
【0060】
したがって、本実施形態のようにトリガ濃度Ctrによる移行条件を設ける場合には、粒子濃度Cがほぼ一定の安定的な運転を実現することができる。また、送風量Qを低い値に維持することができ、エネルギー消費を低減することができる。
【0061】
なお広義には、トリガ濃度Ctrに基づく移行条件は、区画12内の条件により少なくとも空気清浄装置16による送風量Qが相対的に大きい第1送風量モードと相対的に小さい第2送風量モードとを実行する場合に適用することができる。図4および図5に示す場合は、基本モードが第1送風量モードであり、間引きモードが第2送風量モードである。また、例えば人感モードから基本モードへ移行する場合にも同様に、前者が第1送風量モードであり、後者が第2送風量モードである。トリガ濃度Ctrに基づいて送風量Qを低下させる手段は、空気清浄装置16の運転台数を減らすことによってもよいし、各空気清浄装置16の出力を低下させることによってもよい。
【0062】
上記の4つの制御モードについては、すべてを使用する必要はない。例えば、人感センサ18を設けない場合には人感モードは使用しない。また、区画12の全体に上記の制御モードを一律に適用する必要もなく、部分的に常に最大モードや間引きモードで動かしてもよい。
【0063】
次に、本実施の形態にかかる空気清浄システム10によって区画12の空気を清浄化させる実験の結果について説明する。区画12としてはクリーンルームとほぼ実物大のモックアップルームを用いた。この実験の目的は新たに導入したトリガ濃度による制御の有効性、およびその決定方法の妥当性の確認とした。
【0064】
図6は、区画12としてのモックアップルームを示す図であり、(a)はモックアップルームの平面図であり、(b)は(a)におけるVI(b)~VI(b)線視による断面図である。この区画12は横寸法が14.5m、幅方向が7.5m、高さが7.0mである。
【0065】
この区画12では、空気清浄システム10の構成要素を以下のように配置した。すなわち、空気清浄機16を横方向に5台ずつ、幅方向に2台ずつの合計10台を配置した。空気清浄機16の床面12bからの高さは3.5mである。10台の空気清浄機16にはFFU1~FFU10として識別符号を付している。熱交換機22は幅方向について中央位置で横方向に4台を配置した。熱交換機22の床面12bからの高さは4.5mである。4第の熱交換機22にはFCU1~FCU4の識別符号を付している。
【0066】
模擬発塵負荷については、粒子発生器からの粒子を区画12内の空気を小型チャンバー内で混合し、うち5L/minの流量で人間Hを模擬した発塵源30から区画12内に排出させた。また、残りの粒子を含む空気は清浄化した後に区画12内に再供給させた。発塵源30は横方向に3つずつ、幅方向に2つずつの合計6つ設けた。6つの発塵源30にはP1~P6の識別符号を付している。平面視で、P1はFFU1とFFU2との間、P2はFFU3と重なる位置、P3はFFU4とFFU5との間、P4はFFU6とFFU7との間、P5はFFU8と重なる位置、P6はFFU9とFFU10との間に設けている。発塵源30の床面12bからの高さは1.2mである。発塵源30は、上記の生産装置14および人間H等に相当する。発塵源30は別途行った実験結果から1か所あたり4~5人が最大量で発塵している状況を想定した。
【0067】
パーティクルセンサ20は、複数接続可能であるが本実験ではFCU2の吸込み口に1台配置した。制御部28は区画12内に配置している。この制御部28にはPLCの識別符号を付している。図示を省略するが、上記の人感センサ18に相当する画像センサは複数接続可能であるが本実験では1台とした。区画12の全体を画像センサ検知対象エリアとした。実験中、熱交換機22は常時停止させた。
【0068】
実験は以下の手順で行った。まず、間引きモードの状態から検知エリアである区画12に人間Hを進入させ、人感モードへ移行させる。それと同時に、作業による発塵を想定し、発塵源30からの模擬発塵負荷を与える。人間Hはそのままエリアに滞在する。
【0069】
図7は、3つの実験条件を示す表である。図7に示すように、実験条件はCase.A、Case.B-1、およびCase.B-2の3条件とした。まず、共通条件としてISO Class7のクリーンルームを想定し、設計濃度10000個/cfに対し、目標濃度を1000個/cfに設定した。また、基本モードにおける空気清浄機16の回転数は、800(Min)~1000(Max)rpmとした。
【0070】
Case.Aは、付加的な移行のトリガ条件を設けない制御、すなわち上記のa.~j.の条件(図3も参照)だけに基づく制御を再現したものである。Case.Bは上述のトリガ濃度によるモード移行を反映したものである。Case.Bについては後述の模擬発塵負荷の大小でさらにCase.B-1とCase.B-2の2条件に分けている。ここで、トリガ濃度を使用するモード移行は基本モードから間引きモードとした。
【0071】
モード移行に際し、基本モードにおいて800rpmで運転している10台の空気清浄機16のうち、間引きモードへ移行すると半分が停止する。したがって、式(8)においてQ2/Q1=0.5であり、ここでは安全率を考慮せずαを1として、式(8)からトリガ濃度は500個/cfと設定した。
【0072】
Case.AおよびCase.B-1では、発塵源30はP1~P6の6点とした。Case.B-2では、P1,P3,P5の3点から発塵させた。空気清浄機16の制御に関しては、各モードにおける設定回転数を図7のように設定した。また間引きモードにおいて停止させる空気清浄機16はFFU1,3,5,7,9の計5台とした。また、各モード間の移行条件は以下に示すとおりである。
【0073】
人感モードから基本モードへの移行:目標濃度を20分間連続して下回る。
基本モードから間引きモードへの移行:空気清浄機16の全台が最低回転数で動きながら目標濃度を3分間連続して下回る(Case.A)、または、:全台が最低回転数で動きながらトリガ濃度を3分間連続して下回る(Case.B-1,2)。
間引きモードから基本モードへの移行:目標濃度を15秒間連続して超過する。
【0074】
(実験結果)
図8は、条件Case.Aによる実験結果を示すグラフである。図9は、条件Case.B-1による実験結果を示すグラフである。図10は、条件Case.B-2による実験結果を示すグラフである。図8図10の横軸に示す経過時間は人感モードに移行した瞬間を0とした。またこのタイミングで所定の発塵源からの粒子の排出を開始した。図には、パーティクルセンサ20による粒子濃度に加え、人感モード(全10台が1000rpmで運転)を100%とした場合の回転数制御による送風量の経時変化を合わせて示した。
【0075】
Case.A
図8に示すように、発塵開始(0min)から7分程度で定常となり、パーティクルセンサ20の位置(床面12bから+4.5m)で500~600個/cfとなった。その後、移行条件を満たし20minに基本モードへ移行した。移行時の濃度が低いため基本モードでは最低回転数800rpmで運転し、送風量は人感モードに対し80%となった。濃度はわずかに上昇傾向にあるが、そのまま間引きモードへと移行し、10台のうち半分のFFUが停止し、送風量が低下して人感モードに対し40%となった。これに伴い、粒子濃度が上昇し、開始から30min程度で目標濃度を超過した。条件を満たしたことで基本モードへ移行し、停止していた空気清浄機16が再度運転した。その後、基本モードで最大回転数1000rpmまで上昇し、送風量は人感モードに対し100%となった。これにより再び粒子濃度が下がり、回転数は800rpmまで低下して送風量が80%となり、移行条件を満たして間引きモードとなった。以降もこれを繰り返し、懸念された通りモードの繰り返しによるハンチングが発生した。
【0076】
Case.B-1
Case.Aと発塵条件が同じであるため、図9において人感モード中は図8と似た濃度推移を示した。その後、移行条件を満たし20minに基本モードへ移行した。移行後は粒子濃度が上昇し、パーティクルセンサ20の位置で700~1000個/cf程度となった。本ケースでは間引きモードへの移行はトリガ濃度(500個/cf)で制限されているため、これを下回らず間引きモードへ移行しないまま基本モードでの運転が継続された。その間、センサ位置での粒子濃度は700~1000個/cf程度で推移した。そこで、基本モード移行から25分後(開始から45min)に発塵を停止させた。これにより粒子濃度が低下し、トリガ濃度500個/cfも一定時間下回ったことで移行条件を満し、間引きモードへと移行した。以上より、同じ発塵条件において既報の制御方法で生じていたハンチングを、トリガ濃度による制御で解消できることが確認された。
【0077】
Case.B-2
Case.B-2では、Case.AおよびCase.B-1で6か所すべてから発生させていた模擬発塵を、P1、P3、P5の3点のみとした。人感モードでは、パーティクルセンサ20の位置の濃度は200個/cf程度で定常となった。その後、移行条件を満たしたことで基本モードへと移行した。基本モード中も濃度が十分に低く、トリガ濃度未満であったことから間引きモードへ移行した。間引きモードでは徐々に濃度が上昇したが、最終的には600~700個/cf程度で定常となった。
【0078】
以上より、実際のモックアップルームでの検証実験からも、ザイデルの式から導かれたトリガ濃度の適用により、空気清浄機16の回転数のハンチングを防止できることが確認できた。
【0079】
省エネ性について
以上より、ハンチング現象の防止は達成できたが、エネルギーの観点で見るとハンチング現象を生じているCase.Aの方が、間引きモードでの運転時間がある分、Case.B-1よりも省エネとなっている。しかしながら、このハンチング現象が生じるのは上記発明においてトリガ濃度以上目標濃度以下の粒子濃度の環境が間引きモード運転中に生じる場合であり、発生頻度として施設全体の省エネ性に影響を及ぼすほど多くないと考えられる。通常運用で発塵が少ない場合には、上記発明を適用した場合においてもCase.B-2のようにふるまい、十分な省エネ性能が得られる。
【0080】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0081】
10 空気清浄システム
12 区画
14 生産装置
16,16a,16b,16c 空気清浄装置
18,18a,18b,18c 人感センサ
20,20a,20b,20c パーティクルセンサ
22,22a,22b 熱交換装置
24 ファン
28 制御部
H 人間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10