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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/093 20060101AFI20240122BHJP
   E21D 9/06 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
E21D9/093 G
E21D9/06 301Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020086773
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021181684
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】和田 健介
(72)【発明者】
【氏名】杉山 博一
(72)【発明者】
【氏名】野澤 剛二郎
(72)【発明者】
【氏名】本多 眞
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-184394(JP,A)
【文献】特開2019-082003(JP,A)
【文献】特開平04-108996(JP,A)
【文献】特開2001-164893(JP,A)
【文献】特開2021-042584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/093
E21D 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド掘削機に設けられた複数のシールドジャッキのうち前記シールド掘削機を推進させるために使用するシールドジャッキの組み合わせを示すシールドジャッキパターンと、前記シールドジャッキパターンによる推進合力の力点位置と、が関連付けられた複数の関連情報を格納する格納部と、
前記シールド掘削機を推進させる前記シールドジャッキの力点位置の目標位置を取得する力点位置取得部と、
前記シールド掘削機を推進させるために使用するシールドジャッキパターンを選択する選択部と、
前記選択部で選択された前記シールドジャッキパターンの情報を出力する出力部と、
を有し、
前記選択部は、前記格納部に格納されている複数の前記力点位置のうち、前記力点位置取得部で取得した前記目標位置と同一の前記力点位置、又は前記目標位置に最も近い前記力点位置に関連付けられたシールドジャッキパターンを、前記複数の関連情報から選択し、
前記格納部は、取得したシールドジャッキパターンが一部に応力が集中する不適切なシールドジャッキパターンか否かを判定し、適切なシールドジャッキパターンのみの力点位置を算出し、前記適切なシールドジャッキパターンとその力点位置とを関連付けて格納する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記選択部は、
前記格納部に格納されている前記各力点位置に対して前記目標位置からの差異を比較し、前記差異が最も小さい前記力点位置のジャッキパターンを選択する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記格納部に格納されている前記複数のシールドジャッキパターンは、過去において前記シールド掘削機を推進させるために使用された前記シールドジャッキパターンである、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、シールド掘削機に設けられた複数のシールドジャッキのうち、前記選択部で選択された前記シールドジャッキパターンに含まれるシールドジャッキを第1の態様で表示装置に表示し、前記選択部で選択された前記シールドジャッキパターンに含まれないシールドジャッキを前記第1の態様とは異なる第2の態様で前記表示装置に表示する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータが、シールド掘削機に設けられた複数のシールドジャッキの中から、前記シールド掘削機を推進させるために使用するシールドジャッキの組み合わせを示すシールドジャッキパターンを選択するための情報処理方法であって、
前記シールド掘削機を推進させる前記シールドジャッキの力点位置の目標位置を取得する力点位置取得ステップと、
前記シールドジャッキパターンと、前記シールドジャッキパターンの力点位置と、が関連付けられた複数の関連情報のうち、前記力点位置取得ステップで取得した前記目標位置と同一の前記力点位置、又は前記目標位置に最も近い前記力点位置に関連付けられたシールドジャッキパターンを、前記複数の関連情報から選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された前記シールドジャッキパターンの情報を出力する出力ステップと、
を含み、
選択するために格納されているシールドジャッキパターンは、取得したシールドジャッキパターンが一部に応力が集中する不適切なシールドジャッキパターンか否かを判定し、適切なシールドジャッキパターンのみの力点位置を算出し、前記適切なシールドジャッキパターンとその力点位置とを関連付けた情報である
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法によってトンネルを採掘するシールド掘削機が知られている。シールド掘削機は、シールド掘削機を推進させるための複数のシールドジャッキを有している。オペレータは、各シールドジャッキの使用の有無を選択することで、シールド掘削機の掘進方向を制御している(特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、オペレータは、シールドジャッキによる推進合力の力点の位置(以下、「力点位置」という。)が、目標位置になるように、使用するシールドジャッキ(推進ジャッキ)を設定する。これにより、シールド掘削機の掘進方向が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-143385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、目標位置が与えられても、力点位置を目標位置に一致させるために複数のシールドジャッキの中からどのシールドジャッキを設定すればよいかを目標位置から把握することはオペレータにとって難しく、経験が浅いオペレータの場合、この設定に多くの時間を要したり、また、力点の目標位置に合わせることができず、適切にシールド掘削機の掘進方向を制御できないことがある。さらに、シールドジャッキの操作に注力しすぎるあまり、シールドジャッキ以外の操作が疎かになるという弊害が発生することがある。熟練したオペレータであればシールドジャッキの設定を短時間で行うことが出来るが、昨今建設分野での機械の熟練オペレータの減少が顕著であり、シールド工事も例外ではなく、使用するシールドジャッキ(推進ジャッキ)を容易に設定することが求められている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、使用するシールドジャッキ(推進ジャッキ)を容易に設定可能な情報処理装置及び情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、シールド掘削機に設けられた複数のシールドジャッキのうち前記シールド掘削機を推進させるために使用するシールドジャッキの組み合わせを示すシールドジャッキパターンと、前記シールドジャッキパターンによる推進合力の力点位置と、が関連付けられた複数の関連情報を格納する格納部と、前記シールド掘削機を推進させる前記シールドジャッキの力点位置の目標位置を取得する力点位置取得部と、前記シールド掘削機を推進させるために使用するシールドジャッキパターンを選択する選択部と、前記選択部で選択された前記シールドジャッキパターンの情報を出力する出力部と、を有し、前記選択部は、前記格納部に格納されている複数の前記力点位置のうち、前記力点位置取得部で取得した前記目標位置と同一の前記力点位置、又は前記目標位置に最も近い前記力点位置に関連付けられたシールドジャッキパターンを、前記複数の関連情報から選択し、前記格納部は、取得したシールドジャッキパターンが一部に応力が集中する不適切なシールドジャッキパターンか否かを判定し、適切なシールドジャッキパターンのみの力点位置を算出し、前記適切なシールドジャッキパターンとその力点位置とを関連付けて格納する、情報処理装置である。
【0008】
(2)本発明の一態様は、コンピュータが、シールド掘削機に設けられた複数のシールドジャッキの中から、前記シールド掘削機を推進させるために使用するシールドジャッキの組み合わせを示すシールドジャッキパターンを選択するための情報処理方法であって、前記シールド掘削機を推進させる前記シールドジャッキの力点位置の目標位置を取得する力点位置取得ステップと、前記シールドジャッキパターンと、前記シールドジャッキパターンの力点位置と、が関連付けられた複数の関連情報のうち、前記力点位置取得ステップで取得した前記目標位置と同一の前記力点位置、又は前記目標位置に最も近い前記力点位置に関連付けられたシールドジャッキパターンを、前記複数の関連情報から選択する選択ステップと、前記選択ステップで選択された前記シールドジャッキパターンの情報を出力する出力ステップと、を含み、選択するために格納されているシールドジャッキパターンは、取得したシールドジャッキパターンが一部に応力が集中する不適切なシールドジャッキパターンか否かを判定し、適切なシールドジャッキパターンのみの力点位置を算出し、前記適切なシールドジャッキパターンとその力点位置とを関連付けた情報である、情報処理方法である。
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、使用するシールドジャッキを容易に設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における情報処理装置が適用されるシールド掘削機10を側面から見た概念図である。
図2】本実施形態におけるシールドジャッキ20を正面からみた概念図である。
図3】本実施形態における情報処理装置300の機能ブロック図の一例である。
図4】本実施形態の関連情報の一例を示す図である。
図5】本実施形態における情報処理装置300の動作の流れを示す図である。
図6】本実施形態に係る不適切なシールドジャッキパターン及び適切なシールドジャッキパターンを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法を、図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置が適用されるシールド掘削機10を側面から見た概念図である。図2は、シールドジャッキ20を正面からみた概念図である。
【0013】
シールド掘削機10は、シールド工法によってトンネルを採掘する。具体的には、図1に示すように、シールド掘削機10は、円筒形のスキンプレート11のZ軸の負方向の後部において、エレクタ(不図示)によりセグメントを組み立てて、一次覆工Sを施工しつつ、地山を掘削するための機構である。シールド掘削機10においては、カッタービット15を備えた環状かつ面板型のカッター16のZ軸の負方向の後部にチャンバー12が設けられている。チャンバー12内の側壁には複数の土圧計Dが設置される。土圧計Dは、チャンバー12における泥土の圧力を測定する。ここで、スキンプレート11の軸方向がZ軸方向であり、シールドジャッキ20を正面から見た場合において水平方向がX軸方向であり、鉛直方向がY軸方向である。
【0014】
チャンバー12には作泥土材注入管13から作泥土材14が注入される。チャンバー12内に堆積された掘削土は、練混ぜ翼(不図示)により、作泥土材14と撹拌することで練混ぜられ、泥土に変換される。
【0015】
さらに、シールド掘削機10は、スクリューコンベア17、コンベア18、コンベア19及びn個のシールドジャッキ20-1~20-nを備える。nは、2以上の整数であればよい。以下、説明の便宜のため、特に区別しない限りシールドジャッキ20-1~20-nを「シールドジャッキ20」と記載する場合がある。
【0016】
スクリューコンベア17は、チャンバー12の泥土を、排土ゲートGを介してコンベア18に排土する。そして、コンベア18は、スクリューコンベア17より排出された泥土を、コンベア19を介してトンネルの外部に搬出する。架台Mは、スクリューコンベア17と、コンベア18、及びコンベア19とを支持している。
【0017】
シールドジャッキ20は、シールド掘削機10を推進させる。具体的には、図2に示すように、シールドジャッキ20は、シールド掘削機10に設けられたスキンプレート11の内周を囲むようにして複数設けられ、スキンプレート11とセグメントとの間に配置される。シールドジャッキ20が油圧操作により推進(伸長)されることでスキンプレート11の面が押されシールド掘削機10が推進する。
【0018】
図2に示す例では、シールド掘削機10は、12個のシールドジャッキ20-1~20-12を備えている。
【0019】
ここで、いずれの位置のシールドジャッキ20を推進させるかによりスキンプレート11の面を推進させる力点の位置(以下、「力点位置」という。)が設定され、シールド掘削機10の推進方向が決定される。すなわち、力点位置は、シールドジャッキ20による推進合力の力点の位置である。また、シールドジャッキ20を推進させる速度によりシールド掘削機10の推進速度が決定される。このように、複数のシールドジャッキ20-1~20-nのうち、シールド掘削機10を推進させるために使用するシールドジャッキ(以下、「推進ジャッキ」という。)として、いずれのシールドジャッキ20を設定するかによってシールド掘削機10の推進方向が制御される。一例として、シールド掘削機10のオペレータは、シールドジャッキ20による推進合力の力点位置が、予め設定された目標位置になるように、推進ジャッキを設定する操作(以下、「推進ジャッキ設定操作」という。)を行う。また、推進ジャッキの推進速度を設定する操作が行われることによりシールド掘削機10の推進速度が制御される。
【0020】
情報処理装置300は、複数のシールドジャッキ20-1~20-nのうち、シールド掘削機10を推進させるために使用するシールドジャッキを選択する。例えば、情報処理装置300は、コンピュータである。以下において、本実施形態における情報処理装置300の機能部について説明する。図3は、本実施形態における情報処理装置300の機能ブロック図の一例である。
【0021】
図3に示すように、情報処理装置300は、操作データ取得部310、格納部320、力点位置取得部330、選択部340及び出力部350を備える。
【0022】
操作データ取得部310は、シールド掘削機10を推進させるために使用されたシールドジャッキパターンを取得する。シールドジャッキパターンとは、シールド掘削機10に設けられた複数のシールドジャッキ20のうちシールド掘削機を推進させるために使用されたシールドジャッキの組み合わせを示す情報である。
【0023】
例えば、シールドジャッキパターンは、オペレータが過去に行った推進ジャッキ設定操作で推進ジャッキとして設定されたすべてのシールドジャッキ20の識別情報を含む情報である。識別情報とは、シールドジャッキ20のそれぞれを特定する情報であればよく、シールドジャッキ20が配置されている位置情報であってもよい。ただし、これに限定されず、シールドジャッキパターンは、シールド掘削機10に設けられた複数のシールドジャッキ20-1~20-nのうちシールド掘削機10を推進させるために使用されたシールドジャッキ20を識別することができる情報であれば、どのような情報であってもよい。換言すれば、シールドジャッキパターンは、シールド掘削機10に設けられた複数のシールドジャッキ20-1~20-nのうち、どのシールドジャッキ20が使用され、どのシールドジャッキ20が使用されなかったのかがわかる情報であればよい。
【0024】
一例として、オペレータがシールド掘削機10を推進させるために(シールド掘削機10の推進方向を制御するために)、シールドジャッキ20-2、シールドジャッキ20-4~20-9を推進ジャッキとして設定したとする。この場合には、操作データ取得部310は、シールドジャッキパターンとして、シールドジャッキ20-2、シールドジャッキ20-4~20-9が設定されたことを示す情報(例えば、識別情報)を外部(例えば、シールド掘削機10)から取得する。例えば、操作データ取得部310は、オペレータが推進ジャッキ設定操作で設定したシールドジャッキパターンの情報を外部から取得する。ただし、これに限定されず、操作データ取得部310は、シールド掘削機10を推進させるために使用されたシールドジャッキパターンを取得できれば、その取得先や取得方法には特に限定されない。
【0025】
操作データ取得部310は、シールドジャッキパターンを取得すると、その取得したシールドジャッキパターンの力点位置を算出し、その取得したシールドジャッキパターンとその力点位置とを関連づけて格納部320に格納する。操作データ取得部310は、シールドジャッキパターンを取得するごとに、取得したシールドジャッキパターンとその力点位置とを関連づけて関連情報として格納部320に格納する。
【0026】
格納部320には、シールドジャッキパターンと、そのシールドジャッキパターンによる推進合力の力点位置と、が関連付けられた複数の関連情報が格納される。図4は、本実施形態の関連情報の一例を示す図である。図4に示す例では、複数の関連情報がテーブル形式で格納部320に格納されている例である。
【0027】
一例として、関連情報におけるシールドジャッキパターンは、複数のシールドジャッキ20-1~20-nのうち、使用されているシールドジャッキ20の情報に対しては第1の情報(例えば、「1」)が対応付けられ、使用されていないシールドジャッキ20の情報に対しては第2の情報(例えば、「0」)を対応付けられている。この第1の情報は、上記識別情報の一例である。この第1の情報及び第2の情報の対応付けは、操作データ取得部310によって行われる。力点位置は、シールドジャッキパターンによって計算される。例えば、力点位置は、シールドジャッキ20を正面からみた二次元座標系(XY座標系)における水平方向Xと鉛直方向Yとで特定される座標情報(Xi,Yi)である。
【0028】
力点位置取得部330は、シールド掘削機10を推進させるシールドジャッキ20の力点位置の目標位置(Xm,Ym)を取得する。なお、力点位置取得部330における目標位置(Xm,Ym)の取得方法は、特に限定されず、目標位置(Xm,Ym)を取得できればどのような方法であってもよい。例えば、力点位置取得部330は、外部から目標位置(Xm,Ym)を取得してもよい。また、力点位置取得部330は、特願2018-29144号公報に記載されている機械学習によって目標位置(Xm,Ym)を推定してもよい。例えば、力点位置取得部330は、特願2018-29144号公報に記載されている推定装置によって目標位置(Xm,Ym)(シールド掘削機が掘進すべき力点の位置)を取得してもよいし、特願2018-29144号公報に記載されている推定装置の機能を有してもよい。
【0029】
一例として、力点位置取得部330は、シールド掘削機の掘進の方向に関する方向データを取得し、 少なくとも方向データを含むデータを推定モデルに入力することにより、シールド掘削機10が掘進すべき力点の位置(目標位置(Xm,Ym))を推定する力点位置推定部 を備えてもよい。そして、その推定モデルは、方向データに対応するデータを含む入力データにシールド掘削機10が掘進すべき力点の位置が対応づけられた学習データを用いて機械学習を実行することにより作成されたモデルであってもよい。ただし、これに限定されず、力点位置取得部330は、シミュレーション等を用いて目標位置(Xm,Ym)を算出してもよい。
【0030】
選択部340は、シールド掘削機10を推進させるために使用するシールドジャッキパターンを選択する。例えば、選択部340は、格納部320に格納されている複数の力点位置(Xi,Yi)のうち、力点位置取得部330で取得した目標位置(Xm,Ym)と同一の力点位置(Xi,Yi)、又は目標位置(Xm,Ym)に最も近い力点位置(Xi,Yi)に関連付けられたシールドジャッキパターンを、複数の関連情報の中から選択する。なお、添え字であるiは整数であって、識別番号である。この識別番号iは、関連情報として、シールドジャッキパターンに対応づけられてもよい。すなわち、識別番号iによって、シールドジャッキパターンと力点位置(Xi,Yi)とが関連づけられてもよい。
【0031】
例えば、選択部340は、格納部320に格納されている各力点位置(Xi,Yi)に対して目標位置(Xm,Ym)からの差異Liを比較し、差異Liが最も小さい力点位置(Xi,Yi)のシールドジャッキパターンを複数の関連情報の中から選択する。ここで、例えば、差異Lはユークリッド距離であって、以下の式(1)で求められる。
【0032】
【数1】
【0033】
例えば、選択部340は、差異Liが最も小さくなる時の識別番号iに対応するシールドジャッキパターンを複数の関連情報の中から選択してもよい。なお、本実施形態の選択部340は、差異Liとしてユークリッド距離を用いたが、これに限定されず、力点位置(Xi,Yi)と目標位置(Xm,Ym)との間の差異を求めることができれば、ユークリッド距離に限定されない。
【0034】
出力部350は、選択部340で選択されたシールドジャッキパターンの情報を出力する。出力部350による出力態様は、特に限定されない。例えば、出力部350は、選択部340で選択されたシールドジャッキパターンの情報を表示装置に表示させてもよい。一例として、出力部350は、図2に示すようなシールドジャッキ20を正面からみた概念図を表示装置に表示し、複数のシールドジャッキのうち、選択部340で選択されたシールドジャッキパターンに含まれるシールドジャッキ20を第1の態様で表示装置に表示し、選択部340で選択されシールドジャッキパターンに含まれないシールドジャッキ20を第1の態様とは異なる第2の態様で前記表示装置に表示してもよい。例えば、第1の態様が第1の色(例えば、赤)であって、第2の態様が第1の色とは異なる第2の色(例えば、白)である。
【0035】
次に、情報処理装置300の動作の流れについて、図5を用いて説明する。情報処理装置300は、シールド掘削機10を推進させるシールドジャッキ20の力点位置(Xi,Yi)の目標位置(Xm,Ym)を取得する(ステップS101)。情報処理装置300は、格納部320に格納されている力点位置(Xi,Yi)と、ステップS101で取得した目標位置(Xm,Ym)と、の差異Liを力点位置(Xi,Yi)ごとに算出する(ステップS102)。情報処理装置300は、算出した複数の差異Liのうち、最も小さい差異Liを抽出する(ステップS103)。情報処理装置300は、抽出した差異Liの力点位置(Xi,Yi)に関連付けられたシールドジャッキパターンを、格納部320に格納されている関連情報から選択する(ステップS104)。そして、情報処理装置300は、選択したシールドジャッキパターンを出力する(ステップS105)。
【0036】
上述したように、本実施形態の情報処理装置300は、格納部320に格納されている複数の力点位置(Xi,Yi)のうち、力点位置取得部330で取得した目標位置(Xm,Ym)と同一の力点位置(Xi,Yi)、又は目標位置(Xm,Ym)に最も近い力点位置(Xi,Yi)に関連付けられたシールドジャッキパターンを、複数の関連情報から選択する、そして、情報処理装置300は、その選択したシールドジャッキパターンを出力する。
【0037】
このような構成により、情報処理装置300は、選択すべき力点位置(目標位置(Xm,Ym))を出力するのではなく、その目標位置(Xm,Ym)に対応するシールドジャッキパターンを出力する。これにより、オペレータは、情報処理装置300から出力されたシールドジャッキパターンのシールドジャッキ20を、推進ジャッキとして設定すればよく、推進ジャッキを容易に設定可能である。すなわち、シールド掘削機10の掘進方向を容易に制御することができる。
【0038】
ここで、目標位置(Xm,Ym)によっては、その目標位置(Xm,Ym)に一致するシールドジャッキパターンが存在しないことがあり、オペレータを混乱させることがある。本実施形態では、情報処理装置300は、目標位置(Xm,Ym)を出力するのではなく、同一の力点位置(Xi,Yi)、又は目標位置(Xm,Ym)に最も近い力点位置(Xi,Yi)に関連付けられたシールドジャッキパターンを出力する。これにより、オペレータが混乱することがない。
【0039】
従来では、オペレータは、表示装置に表示された目標位置(Xm,Ym)に、力点位置を合わせるために、不適切なシールドジャッキパターンを選択してしまう恐れがある。例えば、図6(a)に示すシールドジャッキパターンを選択してしまうと、シールドジャッキ20によって発生する応力が下部に集中しセグメントを損傷する可能性がある。そのため、図6(a)は不適切なシールドジャッキパターンである。図6(b)に示すシールドジャッキパターンでは、一部に応力が集中することがないため、適切なシールドジャッキパターンである。なお、図6における斜線で塗りつぶしたシールドジャッキ20は、推進ジャッキであることを示す。
【0040】
本実施形態の情報処理装置300では、格納部320に格納されている複数のシールドジャッキパターンは、過去において前記シールド掘削機を推進させるために使用されたシールドジャッキパターンであってもよい。これにより、格納部320に格納されている複数のシールドジャッキパターンには、不適切なシールドジャッキパターンを含まない。
【0041】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0042】
(変形例)操作データ取得部310は、シールドジャッキパターンを取得すると、その取得したシールドジャッキパターンが一部に応力が集中する不適切なシールドジャッキパターンか否かを判定し、不適切なシールドジャッキパターンではないもの(適切なシールドジャッキパターン)だけにおいて力点位置を算出し、そのシールドジャッキパターン(適切なシールドジャッキパターン)とその力点位置とを関連づけて格納部320に格納してもよい。
【0043】
なお、上述した情報処理装置300の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。この場合、上記コンピュータは、CPU、GPUなどのプロセッサ及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えてもよい。そして、上記情報処理装置300の全部または一部の機能をコンピュータで実現するためのプログラムを上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムを上記プロセッサに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。ここで、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…シールド掘削機、20…シールドジャッキ、300…情報処理装置、310…操作データ取得部、320…格納部、330…力点位置取得部、340…選択部、350…出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6