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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】配管温度検出装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20240122BHJP
   F16B 2/24 20060101ALI20240122BHJP
   G01K 1/143 20210101ALI20240122BHJP
   G01K 7/22 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
F25B49/02 510C
F16B2/24 B
G01K1/143
G01K7/22 J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020092103
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021188780
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000149332
【氏名又は名称】株式会社大泉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】大久保 孝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 菜絵
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-224553(JP,A)
【文献】特開平9-145486(JP,A)
【文献】特開2013-231527(JP,A)
【文献】特開2000-9545(JP,A)
【文献】特開平10-153491(JP,A)
【文献】特開平10-132431(JP,A)
【文献】実開平2-93670(JP,U)
【文献】実開昭62-62935(JP,U)
【文献】特開2002-81811(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0027148(US,A1)
【文献】中国実用新案第203310528(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
G01K 1/00 - 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーミスタ素子及び該サーミスタ素子に接続された一対のリード線を含む温度検出器と、該温度検出器の一部を収容する収納部及び表面温度を検出すべき円筒形状の配管に被嵌される被嵌部を含む装着クリップ部材とを具備する配管温度検出装置において、
該装着クリップ部材の該収納部は、横断面において180度を超えて延在する円弧形状であり、該装着クリップ部材の該被嵌部は、横断面において該収納部の周方向片端縁から延在する円弧形状の第一の部分と該収納部の周方向他端縁から延在する円弧形状の第二の部分とを有し、
該装着クリップ部材の該被嵌部の該第一の部分は周方向に150度乃至190度の角度範囲に渡って延在し、該装着クップ部材の該被嵌部の該第二の部分は40度乃至60度の角度範囲に渡って延在しており、該第一の部分の先端縁と該第二の部分の先端縁との間には60度乃至80度の角度範囲に渡って間隙が存在し、
該装着クリップ部材の該収納部に収納された該温度検出器の該一部の外周面と該装着クリップ部材の該収納部の内周面との間には充填樹脂層が配設されており、該充填樹脂層によって該装着クリップ部材の該収納部に該温度検出器の該一部が固定されている、
ことを特徴とする配管温度検出装置。
【請求項2】
該装着クリップの該被嵌部の該第一の部分における、該収納部から離隔する方向に見て下流側部は、該収納部から離隔する方向に向って幅が漸次低減している、請求項1記載の配管温度検出装置。
【請求項3】
該充填樹脂層における該装着クリップ部材の該収納部によって囲繞されることなく露呈している表面は、該配管の外周面の曲率半径と同一の曲率半径を有する凹状曲面である、請求項1又は2記載の配管温度検出装置。
【請求項4】
該装着クリップ部材の該被嵌部の該第一の部分及び該第二の部分の内周面の曲率半径は該配管の外周面の曲率半径と同一であり、且つ該装着クリップ部材の該収納部の内周面の曲率半径よりも大きい、請求項1から3までのいずれかに記載の配管温度検出装置。
【請求項5】
該装着クリップ部材の該被嵌部の該第一の部分の先端縁及び該第二の部分の先端縁には、夫々、半径方向外方に延出する案内部が付設されている、請求項1から4までのいずれかに記載の配管温度検出装置。
【請求項6】
該装着クリップ部材の該収納部には、該収納部を規定している壁の一部を半径方向内方に突出せしめた突出片が形成されている、請求項1から5までのいずれかに記載の配管温度検出装置。
【請求項7】
該装着クリップ部材の該被嵌部には、該被嵌部を規定している壁の一部を半径方向内方に突出せしめた突出片が形成されている、請求項1から6までのいずれかに記載の配管温度検出装置。
【請求項8】
該充填樹脂はエポキシ樹脂又はシリコーン樹脂である、請求項1から7までのいずれかに記載の配管温度検出装置。
【請求項9】
該装着クリップ部材は金属薄板から形成されている、請求項1から8までのいずれかに記載の配管温度検出装置。
【請求項10】
該温度検出器は該サーミスタ素子及び該一対のリード線の先端部を囲繞する合成樹脂製コートを含み、該コートの一部が該装着クリップ部材の該収納部内に収納されている、請求項1から9までのいずれかに記載の配管温度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置等に配設され且つ温水、冷水又は冷媒等が流動せしめられる配管の表面温度を検出するための配管温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1乃至3には、空気調和装置等に配設され且つ温水、冷水又は冷媒等が流動せしめられる配管の表面温度を検出するための配管温度検出装置が開示されている。かかる配管温度検出装置は、夫々別個に構成されている温度検出器と装着クリップ部材とを具備している。温度検出器の典型例は、サ-ミスタ素子、このサーミスタ素子に接続された一対のリード線及びケース部材を含んでおり、サーミスタ素子及び一対のリード線の先端部はケース部材内に収納されている。ケース部材は、銅薄板の如き適宜の材料から形成されていて、その外周面は円筒形状である。ステンレス鋼板の如き金属薄板から形成されている装着クリップ部材は、温度検出器のケース部材の一部を収納するための収納部と表面の温度を検出すべき配管に被嵌される被嵌部とを含んでいる。下記特許文献1に開示されている配管温度検出器においては、装着クリップ部材の収納部は横断面において180度を超えて延在する円弧形状であり、装着クリップ部材の被嵌部は横断面において収納部の片端縁から延在する円弧形状の第一の部分と収納部の他端縁から延在する円弧形状の第二の部分を有する。被嵌部を構成する第一の部分と第二の部分との周方向延在長さは実質上同一である。装着クリップ部材の収納部の内周面の曲率半径は温度検出器のケース部材の外周面の曲率半径と同一であり、装着クリップ部材の被嵌部の第一の部分及び第二の部分の内周面の曲率半径は配管の外周面の曲率半径と同一である。
【0003】
配管温度検出装置の使用に際しては、最初に装着クリップ部材の収納部内に温度検出器の一部、更に詳細にはケース部材の長手方向の一部、を収納し、次いで、装着クリップ部材の被嵌部を配管の外周面に被嵌する。装着クリップ部材の被嵌部を配管の外周面に被嵌する際には、被嵌部の第一の部分と第二の部分とを弾性的に変位せしめながら両者間に配管を位置せしめて配管の外周面上に被嵌部を弾性的に被嵌する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実願昭60-154353号のマイクロフィルム
【文献】実願平1-1969号のマイクロフィルム
【文献】特開平10-132431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上述したとおりの従来の配管温度検出装置には、装着クリップ部材の収納部に温度検出器の一部を所要とおりに収納し、しかる後に装着クリップ部材の被嵌部を配管の外周面に被嵌することが必要であり、配管に対する装着が煩雑であり、そしてまた装着クリップ部材に対して温度検出器が固定されていないので配管の外周面に対して温度検出器を所要とおりに位置付けることが必ずしも容易でない、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、配管に対して容易且つ迅速に装着することができると共に配管の外周面に対して温度検出器を所要とおりに充分精密に位置付けることができる、新規且つ改良された配管温度検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、鋭意研究及び実験の結果、装着クリップ部材の収納部の内周面と装着クリップ部材の収納部に収納された温度検出器の一部の外周面との間に樹脂を充填し、充填樹脂層によって装着クリップ部材の収納部に温度検出器の一部を固定すると共に、装着クリップ部材の被嵌部の第一の部分は周方向に150度乃至190度の角度範囲に渡って延在し、装着クリップ部材の被嵌部の第二の部分は40度乃至60度の角度範囲に渡って延在しており、第一の部分の先端縁と第二の部分の先端縁との間には60度乃至80度の角度範囲に渡って間隙が存在する形態にすることによって、上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0008】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する配管温度検出装置として、
サーミスタ素子及び該サーミスタ素子に接続された一対のリード線を含む温度検出器と、該温度検出器の一部を収容する収納部及び表面温度を検出すべき円筒形状の配管に被嵌される被嵌部を含む装着クリップ部材とを具備する配管温度検出装置において、
該装着クリップ部材の該収納部は、横断面において180度を超えて延在する円弧形状であり、該装着クリップ部材の該被嵌部は、横断面において該収納部の周方向片端縁から延在する円弧形状の第一の部分と該収納部の周方向他端縁から延在する円弧形状の第二の部分とを有し、
該装着クリップ部材の該被嵌部の該第一の部分は周方向に150度乃至190度の角度範囲に渡って延在し、該装着クリップ部材の該被嵌部の該第二の部分は40度乃至60度の角度範囲に渡って延在しており、該第一の部分の先端縁と該第二の部分の先端縁との間には60度乃至80度の角度範囲に渡って間隙が存在し、
該装着クリップ部材の該収納部に収納された該温度検出器の該一部の外周面と該装着クリップ部材の該収納部の内周面との間には充填樹脂層が配設されており、該充填樹脂層によって該装着クリップ部材の該収納部に該温度検出器の該一部が固定されている、
ことを特徴とする配管温度検出装置が提供される。
【0009】
好ましくは、該装着クリップ部材の該被嵌部の該第一の部分及び該第二の部分の内周面の曲率半径は該配管の外周面の曲率半径と同一であり、且つ該装着クリップ部材の該収納部の内周面の曲率半径よりも大きい。該装着クリップ部材の該被嵌部の該第一の部分の先端縁及び該第二の部分の先端縁には、夫々、半径方向外方に延出する案内部が付設されているのが好適である。該装着クリップ部材の該収納部には、該収納部を規定している壁の一部を半径方向内方に突出せしめた突出片が形成されており、そしてまた該装着クリップ部材の該被嵌部には、該被嵌部を規定している壁の一部を半径方向内方に突出せしめた突出片が形成されているのが望ましい。該充填樹脂はエポキシ樹脂又はシリコーン樹脂であり、該装着クリップ部材は金属薄板から形成されているのが好都合である。好適実施形態においては、該温度検出器は該サーミスタ素子及び該一対のリード線の先端部を囲繞する合成樹脂製コートを含み、該コートの一部が該装着クリップ部材の該収納部内に収納されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の配管温度検出装置においては、装着クリップ部材の収納部の内周面と装着クリップ部材の収納部に収納された温度検出器の一部の外周面との間には充填樹脂層が配設されていて、充填樹脂層によって装着クリップ部材の収納部内に温度検出器の一部が固定されている故に、単に装着クリップ部材の被嵌部を配管の外周面に被嵌することによって、配管に対して容易且つ迅速に装着することができると共に配管の外周面に対して温度検出器を所要とおりに充分精密に位置付けることができる。加えて、装着クリップ部材の被嵌部の第一の部分は周方向に150度乃至190度の角度範囲に渡って延在し、装着クリップ部材の被嵌部の第二の部分は40度乃至60度の角度範囲に渡って延在しており、第一の部分の先端縁と第二の部分の先端縁との間には60度乃至80度の角度範囲に渡って間隙が存在する形態である故に、装着クリップ部材の被嵌部を表面の温度を検出すべき配管の外周面に被嵌する際に、装着クリップ部材の収納部の内周面から充填樹脂層が剥離されてしまうことが効果的に防止される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成された配管温度検出装置の好適実施形態を示す斜面図。
図2図1に示す配管温度検出装置の断面図。
図3図1に示す配管温度検出装置における温度検出器を示す斜面図。
図4図1に示す配管温度検出装置における装着クリップ部材を示す斜面図。
図5図1に示す装着クリップ部材の側面図。
図6図1に示す配管温度検出器を配管に装着した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明に従って構成された配管温度検出装置の好適実施形態について詳述する。
【0013】
図1及び図2を参照して説明すると、全体を番号2で示す本発明に従って構成された配管温度検出装置は、温度検出器4と装着クリップ部材6とを具備している。
【0014】
図1及び図2と共に図3を参照することによって理解される如く、図示の実施形態における温度検出器4はサーミスタ素子8及び一対のリード線10a及び10bを含んでいる。一対のリード線10a及び10bの先端は絶縁被覆が剥離されており、サーミスタ素子8に接続されている。温度検出器としては、サーミスタ素子とこのサーミスタ素子に接続された一対の引き出し線の先端部がガラスによってシールされ、一対の引き出し線が一対のリード線に接続されているGRC(glass sealed redial lead chip thermistor)型のものも好都合に使用することができる。図示の実施形態においては、サーミスタ素子8と共に一対のリード線10a及び10bの先端部は、耐熱性及び絶縁性に優れ熱伝導率が比較的大きいエポキシ樹脂、殊に低粘度、低弾性率を有するフレキシブルエポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂であるのが好都合である合成樹脂製コート12によって囲繞されている。一対のリード線10a及び10bはコート12の後端面を超えて延出されており、一対のリード線10a及び10bの延出端は温度検出回路(図示していない)に接続されている。所望ならば、銅薄板の如き金属薄板から形成した前端面が閉じられた円筒形状のケース部材(図示していない)内にコート12を収納する、或いはケース部材内にサーミスタ素子8及び一対のリード線10a及び10bの先端部を導入した後にケース部材内にコートを構成する合成樹脂を充填することによって、コート12をケース部材で包囲することもできる。
【0015】
図1及び図2と共に図4及び図5を参照して説明を続けると、図示の実施形態における装着クリップ部材6は、ステンレス鋼薄板の如き適宜の金属薄板から一体に形成されており、収納部14と被嵌部16とを有する。収納部14は、横断面即ち図2において、180度の角度範囲を超えて、換言すれば180度以上、好ましくは240度乃至260度である、角度範囲αに渡って延在する円弧形状である。被嵌部16は、横断面即ち図2において、収納部14の片端縁から延在する円弧形状の第一の部分16aと収納部14の他端縁から延在する円弧形状の第二の部分16bとを有する。被嵌部16を構成する第一の部分16aと第二の部分16bとの周方向延在長さは同一ではなく、第一の部分16aは150度乃至190度である角度範囲βに渡って延在し、第二の部分16bは40度乃至60度である角度範囲γに渡って延在し、そして第一の部分16aの先端縁と第二の部分16bの先端縁との間には60度乃至80度である角度範囲δに渡って間隙が存在することが重要である。更に、図5を参照することによって理解される如く、被嵌部16の第一の部分16aは、収納部14から離隔する方向に見て下流側部(収納部14に対して遠方に位置する部分)において収納部14から離隔する方向に向って幅が漸次低減されている、換言すれば収納部14から離隔する方向における下流側部においては両側縁が収納部14から離隔する方向に向かって漸次幅方向内側に傾斜している、のが好都合である。被嵌部16の第一の部分16aの内周面の曲率半径R1及び第二の部分16bの内周面の曲率半径R2は共に、表面温度を検出すべき配管26の外周面の曲率半径R4(図6)と実質上同一であるのが好ましい(R1=R2=R4)。収納部14の内周面の曲率半径R3は上記曲率半径R1、R2及びR4よりも幾分小さいが上記温度検出器4のコート12の外周面の曲率範囲R5よりは幾分大きいのが望ましい(R1=R2>R3>R5)。
【0016】
図示の実施形態における装着クリップ部材6は、更に、被嵌部16の第一の部分16aの先端縁から半径方向外方に延出する案内部18a及び被嵌部16の第二の部分16bの先端部から半径方向外方に延出する案内部18bを含んでいる。図2及び図4を参照することによって明確に理解される如く、収納部14には収納部14を規定している壁の一部を半径方向内方に突出せしめた突出片20(図4)が形成され、同様に被嵌部16は被嵌部16を規定している壁の一部を半径方向内方に突出せしめた突出片22が形成されているのが望ましい。突出片20は、収納部14を規定している壁に門形状乃至逆チャンネル形状のスリットを形成し、かかるスリットによって規定させる部位を半径方向内方に突出せしめることによって形成されている。同様に、突出片22は、被嵌部16を規定している壁に門形状乃至逆チャンネル形状のスリットを形成し、かかるスリットによって規定させる部位を半径方向内方に突出せしめることによって形成されている。
【0017】
図1及び図2に図示する如く、上述した温度検出器4の一部、図示の実施形態においてはコート12の前半部、が装着クリップ部材6の収納部14内に望ましくは同心状に位置付けられ、そして収納部14の内周面とコート12の外周面との間には合成樹脂が充填され硬化され、かくして充填樹脂層24が配設される。そして、かかる充填樹脂層24によって温度検出器4の一部、更に詳しくはコート12の前半部外周面、が装着クリップ部材6の収納部14の内周面に固定される。装着クリップ部材6の収納部14に形成されている突出片20は充填樹脂層24によって包囲され、これによって収納部14と充填樹脂層24との固着が助長される。充填樹脂層24を構成する合成樹脂は、耐熱性に優れ且つ比較的大きい熱伝導率を有し、そして更に温度検出器4のコート12との接合性が良好である、エポキシ樹脂、殊に低粘度、低弾性率を有するフレキシブルエポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂であるのが好ましい。図2に明確に図示するとおり、充填樹脂層24における装着クリップ部材6の収納部14に囲繞されることなく露呈している表面24aは表面温度を検出すべき配管26の外周面の曲率半径R4と実施上同一の曲率半径R6を有する凹状曲面であるのが好都合である(R4=R6)。かような凹状曲面24aは、軟化乃至溶融状態の合成樹脂を充填する際に配管26の外周面に対応した内周面を有する規制枠部材(図示していない)を使用することによって形成することができる。
【0018】
図6は、表面温度を検出すべき配管26の外周面に上述したとおりの配管温度検出装置2を装着した状態を図示している。配管26に温度検出装置2を装着する際には、配管26の外周面に装着クリップ部材6の被嵌部16を、更に詳しく被嵌部16の第一の部分16aの先端縁と第二の部分16bの先端縁との間の間隙を配管26の外周面に対抗して位置せしめ、被嵌部16を配管26に向けて強制して被嵌部16を配管26の外周面に被嵌する。この際には、案内部18a及び18bによって配管26に対して被嵌部16が案内される。被嵌部16が配管26の外周面に被嵌される際には、第一の部分16aの周方向延在長さが第二の部分16bの周方向延在長さよりも長いことに起因して、そしてまた第一の部分16aは収納部14から離隔する方向に見て下流側部において収納部14から離隔する方向に向って幅が漸次低減されていることに起因して、主として第一の部分16a、特に収納部14から離隔する方向における下流側部、が上流側部に比べてより大きく弾性的に変位乃至変形される。被嵌部16に形成されている突出片22は配管26の外周面に局部的に食い込み、これによって配管26の外周面に装着クリップ部材6が充分堅固に装着される。
【0019】
上述したとおり、配管26の外周面に装着クリップ部材6を装着する際には、主として被嵌部16の第一の部分16a、特に収納部14から離隔する方向における下流側部、が弾性的に変位乃至変形され、これによって装着クリップ部材6の収納部14の弾性的変位乃至変形が可及的に抑制され、収納部14の内周面から充填樹脂層24が剥離されてしまうことが可及的に防止される。本発明者等の経験によれば、被嵌部16の第一の部分16aの周方向延在長さと第二の部分16bの周方向延在長さとを略同一に設定した場合(そしてまた第一の部分16a及び第二の部分16bの幅を特に変化させない場合)には、配管26の外周面に被嵌部16を被嵌する際に、被嵌部16の第一の部分16aと第二の部分16bとの双方が略均等に弾性的に変位乃至変形され、これに付随して装着クリップ部材6の収納部14も弾性的に変位乃至変形され、これに起因して収納部14の内周面から充填樹脂層24が剥離されてしまう傾向がある。図示の実施形態においては、更に、収納部14に形成されている突出片20が充填樹脂層24に包囲されている故に、収納部14の内周面から充填樹脂層24が離脱されてしまうことが一層確実に防止される。
【0020】
図6を参照することによって明確に理解されるとおり、装着クリップ部材6が配管26の外周面に装着されると、収納部14に配設されている充填樹脂層24の凹状曲面24aの曲率半径R6は配管26の外周面の曲率半径R4と実質上同一である故に、充填樹脂層24の凹状曲面24aが配管検出器4のサーミスタ素子6に効果的に熱が伝導され、良好な検温感度が得られる。
【符号の説明】
【0021】
2:温度検出装置
4:温度検出器
6:装着クリップ部材
8:サーミスタ素子
10a:リード線
10b:リード線
12:コート
14:収納部
16:被嵌部
16a:被嵌部の第一の部分
16b:被嵌部の第二の部分
18a:案内部
18b:案内部
20:突出片
22:突出片
24:充填樹脂層
26:配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6