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特許7423426運転能力低下検知装置、運転能力低下検知システム及び運転能力低下検知プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】運転能力低下検知装置、運転能力低下検知システム及び運転能力低下検知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240122BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20240122BHJP
   B60W 50/12 20120101ALI20240122BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20240122BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G07C5/00 Z
B60W50/12
B60W40/08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020096851
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021189941
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 義敏
【審査官】山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-062763(JP,A)
【文献】特開2008-170447(JP,A)
【文献】特開2017-117096(JP,A)
【文献】国際公開第2020/085223(WO,A1)
【文献】特開2018-106240(JP,A)
【文献】特開2020-071774(JP,A)
【文献】特開2010-123046(JP,A)
【文献】特開2013-196042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G07C 1/00-15/00
G08G 1/00-99/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられており、前記車両の走行中に前記車両の外部の画像を連続して撮像する撮像部と、
前記車両に設けられており、前記車両の減速を含む車両挙動を検知する車両挙動検知部と、
前記画像に基づいて、信号の色の変化を含むイベントを抽出し、前記イベントが発生した時刻であるイベント発生時刻及び同時に発生した前記イベントの数であるイベント数を取得するイベント情報取得部と、
前記車両挙動に基づいて、前記車両の運転者が前記車両に対して動作を行った時刻である行動時刻を取得する行動情報取得部と、
前記イベント発生時刻及び前記行動時刻に基づいて、前記イベントが発生してから前記運転者の行動までの時間差であるタイムラグを取得する時間差取得部と、
前記イベント数と、前記タイムラグとに基づいて、前記イベント数と前記タイムラグとの相関係数を求め、当該相関係数に基づいて運転者の運転能力低下の程度を判定する相関取得部と、
を備えたことを特徴とする運転能力低下検知装置。
【請求項2】
前記イベント情報取得部は、連続して第1イベントと第2イベントが発生した場合に、前記第1イベントと前記第2イベントとの間隔が所定時間以内である場合には、前記第1イベントと前記第2イベントとが同時に発生したとして前記イベント数を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の運転能力低下検知装置。
【請求項3】
情報を格納する記憶部を備え、
前記イベント情報取得部は、前記イベントと、前記イベント発生時刻と、前記イベント数とを関連付けたイベント情報を前記記憶部に記憶し、
前記行動情報取得部は、前記行動時刻と前記運転者が前記車両に対して動作を行った内容を関連付けた行動情報を前記記憶部に記憶し、
前記時間差取得部は、前記イベント情報に含まれる任意の前記イベントである特定イベントに対応する行動である特定行動を前記行動情報から抽出し、前記特定行動が前記特定イベントに対応する行動であるかどうかを判定し、前記特定行動が前記特定イベントに対応する行動である場合に前記タイムラグを算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運転能力低下検知装置。
【請求項4】
信号、道路標識及び道路標示の少なくとも1つの位置情報を含む地図情報と、前記車両の現在位置を示す現在位置情報と、を取得するカーナビゲーション装置を備え、
前記イベント情報取得部は、前記画像、前記地図情報及び前記現在位置情報に基づいて前記イベント発生時刻及び前記イベント数を判定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の運転能力低下検知装置。
【請求項5】
前記イベント情報取得部は、前記車両挙動検知部で取得された情報に基づいて前記車両の不具合を検知し、当該車両の不具合を前記イベントとして抽出する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の運転能力低下検知装置。
【請求項6】
前記車両は、スピーカを有し、
前記イベント情報取得部は、前記スピーカからの音声出力を前記イベントとして抽出する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の運転能力低下検知装置。
【請求項7】
前記運転者の動きを含む運転者情報を取得する運転者情報検知部を備え、
前記行動情報取得部は、前記運転者情報を取得した時刻を前記行動時刻として取得する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の運転能力低下検知装置。
【請求項8】
車両に設けられており、前記車両の走行中に前記車両の外部の画像を連続して撮像する撮像部と、
前記車両に設けられており、前記車両の減速を含む車両挙動を検知する車両挙動検知部と、
前記車両に設けられた車載装置であって、前記撮像部及び前記車両挙動検知部と接続された車載装置と、
前記車載装置と接続された情報処理装置と、
を備えた運転能力低下検知システムであって、
前記車載装置は、
前記画像に基づいて、信号の色の変化を含むイベントを抽出し、前記イベントが発生した時刻であるイベント発生時刻及び同時に発生した前記イベントの数であるイベント数を取得するイベント情報取得部と、
前記車両挙動に基づいて、前記車両の運転者が前記車両に対して動作を行った時刻である行動時刻を取得する行動情報取得部と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記イベント発生時刻及び前記行動時刻に基づいて、前記イベントが発生してから前記運転者の行動までの時間差であるタイムラグを取得する時間差取得部と、
前記イベント数と、前記タイムラグとに基づいて、前記イベント数と前記タイムラグとの相関係数を求め、当該相関係数に基づいて運転者の運転能力低下の程度を判定する相関取得部と、を有する
ことを特徴とする運転能力低下検知システム。
【請求項9】
車両に設けられており、前記車両の走行中に前記車両の外部の画像を連続して撮像する撮像部と、前記車両に設けられており、前記車両の減速を含む車両挙動を検知する車両挙動検知部と接続され、前記画像に基づいて、信号の色の変化を含むイベントを抽出し、前記イベントが発生した時刻であるイベント発生時刻及び同時に発生した前記イベントの数であるイベント数を取得し、前記車両挙動に基づいて、前記車両の運転者が前記車両に対して動作を行った時刻である行動時刻を取得する車載装置との間で通信可能に接続されるコンピュータを、
前記イベント発生時刻及び前記行動時刻に基づいて、前記イベントが発生してから前記運転者の行動までの時間差であるタイムラグを取得する時間差取得部、
前記イベント数と、前記タイムラグとに基づいて、前記イベント数と前記タイムラグとの相関係数を求め、当該相関係数に基づいて運転者の運転能力低下の程度を判定する相関取得部、
として機能させるための運転能力低下検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転能力低下検知装置、運転能力低下検知システム及び運転能力低下検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、運転負荷が予め設定された運転負荷範囲内であると判定された走行区間に対応する運転操作量の情報に基づき、運転操作量の乱れ量である操作状態量を算出する車両用運転状態監視装置及び車両用運転状態監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-196042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高齢者の認知機能が低下すると、運転能力が低下し、突発的なことに対応できないおそれがある。しかしながら、特許文献1に記載の発明では、運転負荷が予め設定された運転負荷範囲内である場合の運転操作量の情報に基づいて、監視対象者の車両の運転状態を監視しているため、突発的なことが発生した場合に顕著に表れる運転能力低下を検知することはできない。
【0005】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたもので、運転者の運転能力低下を正確に検知することができる運転能力低下検知装置、運転能力低下検知システム及び運転能力低下検知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる運転能力低下検知装置は、車両に設けられており、前記車両の走行中に前記車両の外部の画像を連続して撮像する撮像部と、前記車両に設けられており、前記車両の減速を含む車両挙動を検知する車両挙動検知部と、前記画像に基づいて、信号の色の変化を含むイベントを抽出し、前記イベントが発生した時刻であるイベント発生時刻及び同時に発生した前記イベントの数であるイベント数を取得するイベント情報取得部と、前記車両挙動に基づいて、前記車両の運転者が前記車両に対して動作を行った時刻である行動時刻を取得する行動情報取得部と、前記イベント発生時刻及び前記行動時刻に基づいて、前記イベントが発生してから前記運転者の行動までの時間差であるタイムラグを取得する時間差取得部と、前記イベント数と、前記タイムラグとに基づいて、前記イベント数と前記タイムラグとの相関係数を求める相関取得部と、を備えたことを特徴とする。これにより、運転者の運転能力低下を正確に検知することができる。特に、イベント数とタイムラグとの相関係数に基づいて運転者の運転能力低下を検知するため、運転者の体調不良や運転能力の個人差に影響を受けることなく、運転能力低下を検知することができる。
【0007】
前記イベント情報取得部は、連続して第1イベントと第2イベントが発生した場合に、前記第1イベントと前記第2イベントとの間隔が所定時間以内である場合には、前記第1イベントと前記第2イベントとが同時に発生したとして前記イベント数を取得する。これにより、正確なイベント数を把握することができる。よって、運転者の運転能力低下を正確に検知することができる。
【0008】
情報を格納する記憶部を備え、前記イベント情報取得部は、前記イベントと、前記イベント発生時刻と、前記イベント数とを関連付けたイベント情報を前記記憶部に記憶し、前記行動情報取得部は、前記行動時刻と前記運転者が前記車両に対して動作を行った内容を関連付けた行動情報を前記記憶部に記憶し、前記時間差取得部は、前記イベント情報に含まれる任意の前記イベントである特定イベントに対応する行動である特定行動を前記行動情報から抽出し、前記特定行動が前記特定イベントに対応する行動であるかどうかを判定し、前記特定行動が前記特定イベントに対応する行動である場合に前記タイムラグを算出する。これにより、正確なタイムラグを算出することができる。
【0009】
信号、道路標識及び道路標示の少なくとも1つの位置情報を含む地図情報と、前記車両の現在位置を示す現在位置情報と、を取得するカーナビゲーション装置を備え、前記イベント情報取得部は、前記画像、前記地図情報及び前記現在位置情報に基づいて前記イベント発生時刻及び前記イベント数を判定する。これにより、信号や交差点等の出現をイベントとして検知することができる。
【0010】
前記イベント情報取得部は、前記車両挙動検知部で取得された情報に基づいて前記車両の不具合を検知し、当該車両の不具合を前記イベントとして抽出してもよい。また、前記車両は、スピーカを有し、前記イベント情報取得部は、前記スピーカからの音声出力を前記イベントとして抽出してもよい。これにより、車両の不具合や音出力等の運転者に影響を及ぼす事項をイベントとして検知することができる。
【0011】
前記運転者の動きを含む運転者情報を取得する運転者情報検知部を備え、前記行動情報取得部は、前記運転者情報を取得した時刻を前記行動時刻として取得する。これにより、車両挙動からは知ることができなかった運転者の行動等を取得することができる。
【0012】
本発明の他態様にかかる運転能力低下検知システムは、車両に設けられており、前記車両の走行中に前記車両の外部の画像を連続して撮像する撮像部と、前記車両に設けられており、前記車両の減速を含む車両挙動を検知する車両挙動検知部と、前記車両に設けられた車載装置であって、前記撮像部及び前記車両挙動検知部と接続された車載装置と、前記車載装置と接続された情報処理装置と、を備えた運転能力低下検知システムであって、前記車載装置は、前記画像に基づいて、信号の色の変化を含むイベントを抽出し、前記イベントが発生した時刻であるイベント発生時刻及び同時に発生した前記イベントの数であるイベント数を取得するイベント情報取得部と、前記車両挙動に基づいて、前記車両の運転者が前記車両に対して動作を行った時刻である行動時刻を取得する行動情報取得部と、を有し、前記情報処理装置は、前記イベント発生時刻及び前記行動時刻に基づいて、前記イベントが発生してから前記運転者の行動までの時間差であるタイムラグを取得する時間差取得部と、前記イベント数と、前記タイムラグとに基づいて、前記イベント数と前記タイムラグとの相関係数を求める相関取得部と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の他態様にかかる運転能力低下検知プログラムは、車両に設けられており、前記車両の走行中に前記車両の外部の画像を連続して撮像する撮像部と、前記車両に設けられており、前記車両の減速を含む車両挙動を検知する車両挙動検知部と接続され、前記画像に基づいて、信号の色の変化を含むイベントを抽出し、前記イベントが発生した時刻であるイベント発生時刻及び同時に発生した前記イベントの数であるイベント数を取得し、前記車両挙動に基づいて、前記車両の運転者が前記車両に対して動作を行った時刻である行動時刻を取得する車載装置との間で通信可能に接続されるコンピュータを、前記イベント発生時刻及び前記行動時刻に基づいて、前記イベントが発生してから前記運転者の行動までの時間差であるタイムラグを取得する時間差取得部、前記イベント数と、前記タイムラグとに基づいて、前記イベント数と前記タイムラグとの相関係数を求める相関取得部、として機能させる。運転能力低下検知プログラムは、コンピュータ可読、かつ非一時的な記録媒体に格納されて提供されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運転者の運転能力低下を正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】発明の実施の形態に係る運転能力低下検知システム10の一例を示す概略図である。
図2】運転能力低下検知システム10の一例を示す構成ブロック図である。
図3】車両挙動検知部33の概略構成を示すブロック図である。
図4】運転者情報検知部34の概略構成を示すブロック図である。
図5】制御部の構成例を表す機能ブロック図である。
図6】イベント及びイベント発生時刻の一例を示す図である。
図7】イベント情報の一例を示す図である。
図8】行動情報の一例を示す図である。
図9】第1時間差情報の一例を示す図である。
図10】第2時間差情報の一例を示す図である。
図11】イベント数とタイムラグとの関係の一例を示す図である。
図12】イベント数とタイムラグとの関係の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る運転能力低下検知システム10の一例を示す概略図である。運転能力低下検知システム10は、主として、車両3に搭載された車載装置1及び各種センサ(後に詳述)と、車両3と異なる位置(例えば、建物の内部)に設けられた情報処理装置2と、外部装置4と、情報通信装置5とを含んで構成されている。
【0018】
外部装置4は、例えば、パーソナルコンピュータや携帯端末であり、運転者への伝達事項を音声で入力可能な装置である。情報通信装置5は、例えば、他の車両や道路に設けられており、他の車両の位置情報、速度情報等を出力する装置である。
【0019】
車載装置1と情報処理装置2、車載装置1と外部装置4、車載装置1と情報通信装置5は、移動体通信網又は無線通信等の通信ネットワークを介して互いに通信可能に構成されている。
【0020】
図2は、運転能力低下検知システム10の一例を示す構成ブロック図である。車載装置1は、主として、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、スピーカ14と、マイクロホン15とを有する。また、情報処理装置2は、主として、制御部21と、記憶部22と、通信部23とを有する。
【0021】
制御部11、21は、CPU(Central Processing Unit)等のプログラム制御デバイスである。制御部11は記憶部12に格納されたプログラムを実行し、制御部21は記憶部22に格納されたプログラムを実行する。
【0022】
制御部11は、各種センサから取得した情報、通信部13を介して外部装置4及び情報通信装置5から入力された情報、スピーカ14からの出力、マイクロホン15からの入力等に基づいてイベントを抽出し、イベントが発生した時刻(以下、イベント発生時刻という)及び同時に発生したイベントの数(以下、イベント数)を取得する。ここで、イベントとは、運転中に発生する状況の変化であり、信号、交差点、横断歩道、道路標識、道路標示、電光掲示板等の出現、信号の色の変化、歩行者や二輪車の車道への飛びだし、車両3の不具合、音声出力等を含む。
【0023】
また、制御部11は、各種センサから取得した情報に基づいて、車両3の運転者が車両3に対して動作を行った時刻(以下、行動時刻という)を取得する。
【0024】
また、制御部11は、通信部13を介して情報通信装置5から出力された位置情報、速度情報を取得し、位置情報、速度情報に基づいて、他の車両に関する音声データを生成する。例えば、制御部11は、入力された位置情報、速度情報に基づいて他の車両が近づいてきていると判定すると、「右前方の走行車両に注意してください」等の音声データを生成する。
【0025】
また、制御部11は、生成した音声データや、通信部13を介して外部装置4から入力された音声データをスピーカ14に出力する。制御部11が行う処理については、後に詳述する。
【0026】
制御部21は、イベント発生時刻及び行動時刻に基づいて、イベントが発生してから運転者の行動までの時間差(以下、タイムラグという)を取得する。また、制御部21は、イベント数とタイムラグとの相関係数を求める。制御部21が行う処理については、後に詳述する。
【0027】
記憶部12、22は、ディスクデバイスやメモリデバイス等を含み、それぞれ制御部11、21によって実行されるプログラムや各種の情報を格納している。また、記憶部12、22は、それぞれ制御部11、21のワークメモリとしても動作する。さらに、記憶部12、22は、制御部11、21における処理結果の情報を記憶する。
【0028】
なお、制御部11、21によって実行されるプログラムは、インターネット等の通信ネットワークを介して車載装置1や情報処理装置2に提供されてもよいし、光ディスク等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されて提供されてもよい。
【0029】
通信部13、23は、外部の装置と通信するための通信インターフェース等を含む。通信部13は、通信ネットワークを介して情報処理装置2、外部装置4や情報通信装置5との間で通信を行う。また、通信部13は、制御部11から入力される指示に従って、記憶部12に記憶されたデータ等を情報処理装置2に送出する。通信部23は、通信ネットワークを介して車載装置1から受信したデータを制御部21に出力する。
【0030】
スピーカ14は、制御部11から入力された音声データを音に変換する。マイクロホン15は、スピーカ14から出力された音を取得する。マイクロホン15で取得された音は、制御部11に入力される。
【0031】
なお、図2では、車載装置1、情報処理装置2が有する主要構成の一部を示しているに過ぎず、車載装置1、情報処理装置2は、情報処理装置が一般的に備える他の構成を備えることができる。
【0032】
車両3には、車載装置1以外に、各種センサである撮像部31、カーナビゲーション装置32、車両挙動検知部33及び運転者情報検知部34が設けられている。
【0033】
撮像部31は、例えば、ドライブレコーダであり、CMOSイメージセンサ等の撮像素子を有する。撮像部31は、車両3の走行中に車両3の外部の画像を連続して撮像する。撮像部31は、車両3の前部に設けられており、車両3の前方を撮像する前方カメラや、車両3の側面に設けられており、車両3の側方を撮像する側方カメラや、車両3の後部に取り付けられており、車両3の後方を撮像する後方カメラを含んでもよい。撮像部31で連続的に撮像された画像は、制御部11に入力される。
【0034】
カーナビゲーション装置32は、道路、交差点、信号、道路標識、道路標示、区画線、電光掲示板、看板、横断歩道等の位置情報を含む地図情報を保有している。なお、道路標識とは、道路の脇や上部に設置されている表示部材であり、道路標示とは、道路上に記載された記号や文字であり、区画線とは、道路上に記載された白線等であり、車道中央線や車線境界線を含む。また、カーナビゲーション装置32は、GPS(Global Positioning System)等の位置情報取得部を有し、車両3の現在位置を示す情報(以下、現在位置情報という)を取得する。地図情報及び現在位置情報は、カーナビゲーション装置32から制御部11に入力される。
【0035】
車両挙動検知部33は、車両の加速及び減速の少なくとも1つを含む車両挙動を取得する。車両挙動検知部33で取得された情報は、制御部11に入力される。
【0036】
図3は、車両挙動検知部33の概略構成を示すブロック図である。車両挙動検知部33は、例えば、速度センサ33a、加速度センサ33b、操舵角センサ33c、アクセルセンサ33d、ブレーキセンサ33e、測距センサ33f、タイヤセンサ33gを含んで構成されている。
【0037】
速度センサ33aは、例えば、車軸の回転数に比例してパルス信号を発生させ、当該パルス信号に基づいて車両3の速度を測定するセンサである。加速度センサ33bは、3軸方向の加速度、すなわち車両3の加速、減速及び方向転換を検出するセンサである。
【0038】
操舵角センサ33cは、例えば車両3のステアリングシャフトに設けられており、ステアリングホイールの操作の有無やステアリングホイールの回転角度(タイヤの方向)を検出するセンサである。
【0039】
アクセルセンサ33dは、車両3のアクセルペダルに設けられており、アクセルペダルの踏み込み量を検出するセンサである。ブレーキセンサ33eは、車両3のブレーキペダルに設けられており、ブレーキペダルの踏み込み量や踏み込み速度を検出するセンサである。アクセルセンサ33d及びブレーキセンサ33eは、車両3の加速度の測定に加え、運転者がアクセルペダルやブレーキペダルを踏んだ時刻を取得する。例えば、ブレーキの整備が悪い場合や、路面の状況が変化した場合等で車両3の加速度は変化するが、運転者が行動を起こしていない。このような場合に、アクセルセンサ33d及びブレーキセンサ33eを設けることで、運転者の行動のタイミングを正確に測ることができる。
【0040】
測距センサ33fは、例えば、超音波等を対象物に向け発信し、その反射波を受信することにより対象物の有無や対象物までの距離を検出するセンサである。
【0041】
タイヤセンサ33gは、車両3のタイヤに設けられており、タイヤの空気圧や温度を検出するセンサである。
【0042】
運転者情報検知部34は、運転者情報を検知する。運転者情報は、運転者の動きや、運転者の状態を含む。運転者情報検知部34で取得された情報は、制御部11に入力される。
【0043】
図4は、運転者情報検知部34の概略構成を示すブロック図である。運転者情報検知部34は、例えば、車内カメラ34a、シートセンサ34b、グリップセンサ34c、脈拍センサ34d、温度センサ34e、ウェアラブルデバイス34fを含んで構成されている。
【0044】
車内カメラ34aは、CMOSイメージセンサ等の撮像素子を有するカメラであり、車両3の走行中に車両3の内部、特に運転席に着席した運転者の画像を連続して撮像する。車内カメラ34aで撮影された画像からは、主に、運転者の顔の向きや目線が検知される。画像から顔の向きや目線を検知する方法は、すでに公知の様々な画像処理技術を用いることができる。
【0045】
シートセンサ34bは、運転席に複数設けられた感圧フィルムセンサを含み、運転者の着席や運転席内での運転者の姿勢移動を検知するセンサである。
【0046】
グリップセンサ34cは、車両3のハンドルに設けられており、静電容量の変化により運転者のハンドル保持を検知するセンサである。グリップセンサ34cは、運転者のハンドル保持や保持位置の変化を検知するセンサである。
【0047】
脈拍センサ34dは、車両3のハンドルに設けられており、波長が550nm付近の光を照射し、生体内で反射した光をフォトダイオードやフォトトランジスタで計測することで、運転者の脈拍を検知するセンサである。
【0048】
温度センサ34eは、車両3の運転席側の天井に設けられており、運転者の体表温度を計測するセンサである。
【0049】
ウェアラブルデバイス34fは、例えば、運転者の腕に装着されて使用される腕時計型、運転者の指に装着されて使用される指輪型、運転者の耳等に装着されるクリップ型の携帯端末である。ウェアラブルデバイス34fは、加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、気圧センサ、脈拍センサ、温湿度センサ等を有する。例えば、加速度センサやジャイロセンサにより運転者の姿勢を検知し、加速度センサや気圧センサにより運転者の転倒を検知する。
【0050】
なお、ウェアラブルデバイス34fが脈拍センサ及び温湿度センサを有する場合には、脈拍センサ34d及び温度センサ34eは不要である。
【0051】
車内カメラ34a、シートセンサ34b及びグリップセンサ34cは、運転者の動きを検知し、脈拍センサ34d、温度センサ34e及びウェアラブルデバイス34fは、運転者の状態を検知する。ただし、運転者の状態を検知する脈拍センサ34d、温度センサ34e及びウェアラブルデバイス34fは必須ではない。
【0052】
次に、運転能力低下検知システム10の機能的構成について説明する。図5は、制御部11、21の構成例を表す機能ブロック図である。制御部11は、機能的には、イベント情報取得部41と、行動情報取得部42とを含んで構成される。また、制御部21は、機能的には、時間差取得部43と、相関取得部44とを含んで構成される。
【0053】
イベント情報取得部41は、撮像部31が撮像した画像、カーナビゲーション装置32から取得した地図情報及び現在位置情報、及び車両挙動検知部33で取得された車両挙動に基づいてイベントを抽出する。例えば、イベント情報取得部41は、すでに公知の画像処理技術を用いて、撮像部31が撮像した画像から信号の色の変化(図6における「信号変化(赤)」は信号が赤信号へ変化したことを示し、「信号変化(青)」は信号が青信号へ変化したことを示す)、車間距離が近くなったこと(図6における「車間距離小」)、飛び出しをイベントとして抽出する。なお、イベント情報取得部41は、車両挙動検知部33で取得された車両挙動から車間距離が近くなったことをイベントとして検知してもよい。
【0054】
また、イベント情報取得部41は、車両挙動検知部33で取得された情報に基づいて車両3の不具合を検知し、車両3の不具合をイベントとして検知する。例えば、タイヤセンサ33gで検知された空気圧が低くなると、イベント情報取得部41は、車両3の不具合であるタイヤトラブルをイベントとして抽出する。
【0055】
また、イベント情報取得部41は、地図情報と現在位置情報から、信号や交差点等の出現をイベントとして検知する。
【0056】
さらに、イベント情報取得部41は、スピーカ14から音声が出力されたことをイベントとして検知する。例えば、イベント情報取得部41は、スピーカ14への音声データの出力、又は、マイクロホン15における音声入力に基づいて、スピーカ14から音声が出力されたことを検知することができる。
【0057】
また、イベント情報取得部41は、時計等から取得した時刻情報に基づいて、イベントが発生した時刻であるイベント発生時刻を取得する。例えば、イベント情報取得部41は、画像からイベントを抽出したときの時刻、信号や交差点等が出現したときの時刻、車両挙動が取得された時刻をイベント発生時刻とする。
【0058】
なお、イベント情報取得部41は、撮像部31から画像と共に時刻情報を取得してもよいし、カーナビゲーション装置32から地図情報及び現在位置情報と共に時刻情報を取得してもよい。また、イベント情報取得部41は、車載装置1が有する内部時計から時刻情報を取得してもよい。
【0059】
図6は、イベント情報取得部41が取得したイベント及びイベント発生時刻の一例を示す図である。図6に示すように、イベントとイベント発生時刻とは関連付けられている。なお、各イベントには、イベント番号(図6におけるNo.)が順番に振られている。
【0060】
さらに、イベント情報取得部41は、イベント及びイベント発生時刻に基づいて、同時に発生したイベントの数(以下、イベント数という)を取得する。イベント情報取得部41は、イベント発生時刻が同一のイベントが複数発生していた場合には、これらのイベントが同時に発生したとしてイベント数を取得する。
【0061】
また、イベント情報取得部41は、イベント発生時刻が同一でなくても、連続して複数のイベントが発生した場合、これらのイベントの間隔が所定時間(例えば、数十ミリ秒~数百ミリ秒程度)以内である場合には、これらのイベントが同時に発生したとしてイベント数を取得する。なお、所定時間は、記憶部12に記憶されている。
【0062】
例えば、図6に示すイベント番号が3(No.3)のイベントとイベント番号が4(No.4)のイベントとは、連続して発生しており、時間差は115ミリ秒である。したがって、イベント情報取得部41は、連続して発生したNo.3のイベントとNo.4のイベントとの間隔が所定時間以内であるとして、No.3のイベントとNo.4のイベントが同時に発生したと判定する。そして、イベント情報取得部41は、No.3のイベント発生時刻に発生したイベント数を2として取得する。
【0063】
イベント情報取得部41は、図7に示すように、イベントと、当該イベントが発生したイベント発生時刻と、当該イベント発生時刻に発生したイベント数を関連付けた情報(以下、イベント情報という)を記憶部12に記憶する。記憶部12に記憶されたイベント情報は、車載装置1から情報処理装置2に出力され、記憶部22に記憶される。なお、イベント情報の情報処理装置2への出力は、車両3の運行停止後にまとめて行う。
【0064】
図5の説明に戻る。行動情報取得部42は、車両挙動検知部33によって取得された車両挙動に基づいて、車両3の運転者が車両3に対して動作を行った内容(以下、行動内容という)と、車両3の運転者が車両3に対して動作を行った時刻(以下、行動時刻という)とを取得する。なお、行動情報取得部42は、車載装置1の内部時計等から取得した時刻情報に基づいて、行動時刻を取得する。車両挙動検知部33は一般的に車両3に設けられているセンサ類であるため、新たな構成を設けることなく行動及び行動時刻を取得することができる。
【0065】
また、行動情報取得部42は、運転者情報検知部34によって運転者情報が検知された時刻を、運転者情報の内容と共に行動時刻として取得する。なお、運転者情報の内容は、行動内容に含まれる。運転者情報を用いることで、車両挙動からは知ることができなかった運転者の行動等を取得することができる。
【0066】
図8は、行動情報取得部42が取得した行動内容及び行動時刻を関連付けた行動情報の一例を示す図である。行動情報取得部42は、行動時刻とその時刻に行われた運転者の行動内容とを関連付けて、記憶部12に記憶する。なお、各行動には行動番号(図8におけるNo.)が順番に振られている。記憶部12に記憶された行動情報は、車載装置1から情報処理装置2に出力され、記憶部22に記憶される。なお、行動情報の情報処理装置2への出力は、車両3の運行停止後にまとめて行う。
【0067】
図5の説明に戻る。時間差取得部43は、車載装置1から取得されたイベント発生時刻及び行動時刻に基づいてタイムラグを取得する。以下、時間差取得部43が行う処理について、図7、8を例に説明する。
【0068】
まず、時間差取得部43は、イベント情報に含まれる各イベント(本発明の特定イベントに相当)に対応する行動(本発明の特定行動に相当)を行動情報から抽出する。抽出は、イベント時刻及び行動時刻に基づいて行われる。例えば、図7に示すNo.3のイベント(本発明の特定イベントの一例である)のイベント発生時刻は2分10秒130であり、図8においてNo.3のイベント発生時刻に最も近い行動は行動番号5(No.5)の行動(本発明の特定行動の一例である)であるため、時間差取得部43は、No.3のイベントに対応する行動として行動情報からNo.5の行動を抽出する。
【0069】
そして、時間差取得部43は、抽出された行動が、イベントに対応する行動であるかどうかを判定する。例えば、No.3のイベントは「交差点」であり、同時に発生したイベントであるNo.4のイベントは「信号変化(赤)」であり、No.5の行動は「急減速(ブレーキ操作)」である。「急減速(ブレーキ操作)」は、「交差点」、「信号変化(赤)」に起因する行動であるため、時間差取得部43は、No.5の行動がNo.3のイベントに対応する行動であると判定する。
【0070】
なお、時間差取得部43は、イベントと、そのイベントに起因する行動とを関連付けた情報を記憶部22から取得し、当該情報に基づいて抽出された行動がイベントに対応する行動であるかどうかを判定することができる。
【0071】
抽出された行動がイベントに対応する行動である場合には、時間差取得部43は、イベントと、当該イベントに対応する行動とのタイムラグを算出する。例えば、図7に示すNo.3のイベント発生時刻は2分10秒130であり、図8においてNo.5の行動の行動時刻は2分11秒204であるため、時間差取得部43は、タイムラグを1秒74と算出する。
【0072】
図9は、イベント番号とタイムラグとを関連付けた第1時間差情報の一例を示す図である。第1時間差情報は、記憶部22に記憶される。
【0073】
図5の説明に戻る。相関取得部44は、イベント情報取得部41が取得したイベント情報と、時間差取得部43が算出したタイムラグとに基づいて、イベント数とタイムラグとの相関係数を求める。
【0074】
まず、相関取得部44は、記憶部22からイベント情報及び第1時間差情報を取得し、イベント情報にタイムラグを関連付ける。図10は、イベント番号とタイムラグとを関連付けた第2時間差情報の一例を示す図である。例えば、イベント番号が1(No.1)のイベントは、同時に発生したイベント数は「1」(図7に示すイベント情報参照)であり、タイムラグは「0秒416」(図9に示す時間差情報参照)であるため、相関取得部44は、No.1のイベントにタイムラグ「0秒416」を関連付ける。また、No.3のイベントは、同時に発生したイベント数は「2」(図7に示すイベント情報参照)であり、タイムラグは「1秒74」(図9に示す時間差情報参照)であるため、相関取得部44は、No.3のイベントにタイムラグ「1秒74」を関連付ける。
【0075】
次に、相関取得部44は、第2時間差情報に基づいて、イベント数とタイムラグとの関係を取得する。相関取得部44は、第2時間差情報におけるイベント数毎にタイムラグの平均を算出する。図11は、イベント数とタイムラグとの関係の一例を示す図である。例えば、相関取得部44は、図10において、イベント数が1、2、3、4・・・である場合のタイムラグの平均をそれぞれ算出し、これを各イベント数に関連付ける。
【0076】
次に、相関取得部44は、イベント数とタイムラグとの相関係数を求める。図12は、イベント数とタイムラグとの関係の一例を示すグラフであり、図11に示す値をプロットしたものである。イベント数とタイムラグとは比例関係にあると想定されるため、相関取得部44は、横軸にイベント数、縦軸にタイムラグをとった一次関数のグラフの傾きを、イベント数とタイムラグとの相関係数として求める。図12に示す例では、相関取得部44は、一次関数のグラフの傾き、すなわちイベント数とタイムラグとの相関係数を0.382と求める。
【0077】
また、相関取得部44は、イベント数とタイムラグとの相関係数に基づいて運転者の運転能力低下の程度を判定する。例えば、相関取得部44は、相関係数が第1閾値(例えば0.5)以下である場合には、運転者の運転能力が低下していないことと判定し、相関係数が第1閾値より大きい場合には、運転者の運転能力低下の程度が小さいと判定し、相関係数が第2閾値(例えば0.8)より大きい場合には、運転者の運転能力低下の程度が大きいと判定する。なお、第1閾値及び第2閾値は、記憶部22に記憶されている。
【0078】
情報処理装置2は、相関取得部44で判定した運転者の運転能力低下の程度を、通信部23を介して図示しない外部装置(例えば、携帯端末)に出力する。図示しない外部装置は、取得した運転者の運転能力低下の程度を図示しない表示部に表示したり、図示しないプリンタを介して印刷したりしてもよい。また、情報処理装置2は、相関取得部44で求めた運転者の運転能力低下の程度を、図示しない表示部やプリンタに直接出力してもよい。運転者の運転能力低下の程度を情報処理装置2から出力することで、運転者の運転能力低下の程度を一目で把握することができる。
【0079】
本実施の形態によれば、運転者の運転能力低下を正確に検知することができる。特に、運転中に発生するイベントと、イベントが発生してから運転者の行動までのタイムラグに基づいて運転能力低下を判定するため、突発的なことが発生した場合に顕著に表れる運転能力低下を検知することができる。
【0080】
また、本実施の形態によれば、運転中に発生するイベントと、イベントに起因する車両挙動を自動的に取得するため、運転者に負担をかけず、運転者の運転能力低下を検知することができる。
【0081】
また、本実施の形態によれば、連続して発生したイベントの間隔が所定時間(例えば、数十ミリ秒~数百ミリ秒程度)以内である場合には、これらのイベントが同時に発生したとしてイベント数を取得するため、正確なイベント数を把握し、よって運転者の運転能力低下を正確に検知することができる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、イベント数とタイムラグとの相関係数に基づいて運転者の運転能力低下を検知するため、運転者の体調不良や運転能力の個人差に影響を受けることなく、運転能力低下を検知することができる。例えば、運転者が体調不良であるとタイムラグが大きくなることが想定されるが、イベント数が1のときのタイムラグも大きくなるため、相関係数は体調の良し悪しの影響を受けない。また、運転能力の個人差により、イベント数が1のときのタイムラグも個人差が生じるため、相関係数は個人差の影響を受けない。したがって、イベント数とタイムラグとの相関係数を用いて運転能力低下を検知することは、運転能力低下を正確に検知するために重要である。
【0083】
なお、本実施の形態では、運転能力低下検知システム10は、主として、車両3に搭載された車載装置1及び各種センサと、車両3以外の位置に設けられた情報処理装置2とを含んで構成されていたが、情報処理装置2は必須ではない。例えば、車両3に搭載された車載装置1及び各種センサで構成された運転能力低下検知装置が運転者の運転能力低下を検知してもよい。この場合には、車載装置1の制御部11が、イベント情報取得部41と、行動情報取得部42と、時間差取得部43と、相関取得部44とを機能的に含んでいればよい。そして、制御部11によって実行されるプログラムは、記憶部12に記憶されていてもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して車載装置1に提供されてもよいし、光ディスク等のコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に格納されて提供されてもよい。
【0084】
また、本実施の形態では、イベント情報取得部41は、撮像部31が撮像した画像及びカーナビゲーション装置32から取得した情報に基づいてイベントを抽出したが、カーナビゲーション装置32は必須ではない。イベント情報取得部41は、撮像部31が撮像した画像にのみ基づいてイベントを抽出してもよい。
【0085】
また、本実施の形態では、行動情報取得部42は、車両挙動検知部33及び運転者情報検知部34によって取得された情報に基づいて行動及び行動時刻を取得したが、運転者情報検知部34は必須ではない。行動情報取得部42は、車両挙動検知部33によって取得された車両挙動にのみ基づいて行動及び行動時刻を取得してもよい。
【0086】
また、本実施の形態では、イベント情報取得部41は、連続して複数のイベントが発生したときに、これらのイベントの間隔が所定時間以内である場合には、これらのイベントが同時に発生したとしてイベント数を取得したが、連続して発生した複数のイベントを同時に発生すると認識する方法はこれに限られない。例えば、イベント情報取得部41は、一定時間(例えば、1秒)毎に撮像部31が撮像した画像やカーナビゲーション装置32から取得した地図情報及び現在位置情報を取得し、同時に取得された画像や地図情報及び現在位置情報から抽出されたイベントは同時に発生したとみなしてイベント数を取得してもよい。
【0087】
また、本実施の形態では、相関取得部44は、イベント数とタイムラグとの相関係数に基づいて運転者の運転能力低下の程度を判定したが、運転者の運転能力低下の程度を判定することは必須ではない。相関取得部44は、イベント数とタイムラグとの相関係数を求め、情報処理装置2は、相関取得部44が求めたイベント数とタイムラグとの相関係数を図示しない外部装置等に出力してもよい。
【0088】
また、本実施の形態では、イベント情報及び行動情報の情報処理装置2への出力は、車両3の運行停止後にまとめて行い、その後に情報処理装置2で処理を行ったが、イベント情報及び行動情報を情報処理装置2へ逐次出力し、情報処理装置2で逐次処理を行ってもよい。
【0089】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではない。本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他に適用したものであってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 :車載装置
2 :情報処理装置
3 :車両
10 :運転能力低下検知システム
11、21:制御部
12、22:記憶部
13、23:通信部
31 :撮像部
32 :カーナビゲーション装置
33 :車両挙動検知部
33a :速度センサ
33b :加速度センサ
33c :操舵角センサ
33d :アクセルセンサ
33e :ブレーキセンサ
33f :測距センサ
34 :運転者情報検知部
34a :車内カメラ
34b :シートセンサ
34c :グリップセンサ
34d :脈拍センサ
34e :温度センサ
41 :イベント情報取得部
42 :行動情報取得部
43 :時間差取得部
44 :相関取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12