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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/10 20060101AFI20240122BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20240122BHJP
   A01D 69/00 20060101ALI20240122BHJP
   A01D 41/127 20060101ALI20240122BHJP
   A01F 12/00 20060101ALI20240122BHJP
   A01F 12/32 20060101ALI20240122BHJP
   A01F 12/44 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A01B63/10 D
A01D67/00 D
A01D69/00 302B
A01D41/127
A01F12/00 H
A01D69/00 302N
A01F12/32 C
A01F12/44 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020107947
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022002479
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 卓二
(72)【発明者】
【氏名】藤田 敏章
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-186728(JP,A)
【文献】特開2005-245324(JP,A)
【文献】特許第6525847(JP,B2)
【文献】特開2019-010027(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0049369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 63/10
A01D 67/00
A01D 69/00
A01D 41/127
A01F 12/00
A01F 12/32
A01F 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を走行可能な走行装置と、
前方の植立作物の株元を切断する切断刃を有し、圃場の作物を収穫する収穫装置と、
作業走行しながら作業後の圃場状態を検出する圃場状態検出部と、
前記作業後の圃場状態に応じて前記走行装置と前記収穫装置との少なくとも一方の作業状態を変更可能な状態変更部と、が備えられ
前記圃場状態検出部は、切断刃と前記走行装置との間に位置する収穫機。
【請求項2】
圃場を走行可能な走行装置と、
前方の植立作物を受け入れる収穫ヘッダと、植立作物を掻き込む掻込リールと、を有し、圃場の作物を収穫する収穫装置と、
作業走行しながら作業後の圃場状態を検出する圃場状態検出部と、
前記作業後の圃場状態に応じて前記走行装置と前記収穫装置との少なくとも一方の作業状態を変更可能な状態変更部と、が備えられ、
前記圃場状態検出部は、前記収穫装置による収穫作業後に収穫されずに残された残作物を検出可能に構成され、
前記状態変更部は、前記残作物が前記圃場状態検出部によって検出されると、前記走行装置をあらかじめ設定された距離だけ後進させ、前記収穫ヘッダの上下位置を最も下側の領域に位置させるとともに前記掻込リールの位置を最も下側の領域かつ最も前側の領域に位置させ、前記後進の完了後に前記走行装置の車速を前記残作物が検出される前の車速よりも減速させた状態で前記走行装置を前進させる収穫機。
【請求項3】
圃場を走行可能な走行装置と、
圃場の作物を収穫する収穫装置と、
前記収穫装置によって収穫された処理作物を後方へ案内する送塵弁を有し、前記処理作物を脱穀処理する脱穀部と、
前記脱穀部の下方に設けられるとともに、前記脱穀処理された前記処理作物を受け止めて後方へ揺動搬送しながら前記処理作物を収穫物と非収穫物とに選別する選別処理部と、
前記処理作物を前記収穫物と前記非収穫物とに選別するための選別風を前記選別処理部に供給する唐箕と、
作業走行しながら作業後の圃場状態を検出する圃場状態検出部と、
前記作業後の圃場状態に応じて前記走行装置と前記収穫装置との少なくとも一方の作業状態を変更可能な状態変更部と、が備えられ、
前記圃場状態検出部は、前記脱穀部と前記選別処理部との少なくとも一方から排出された前記収穫物を検出可能に構成され、
前記状態変更部は、前記収穫物が前記圃場状態検出部によって検出されると、前記脱穀部と前記選別処理部と前記唐箕との少なくとも一つを制御し、かつ、前記走行装置の車速を制御する収穫機。
【請求項4】
前記圃場状態検出部は、前記収穫装置による収穫作業後の収穫跡を検出し、
前記状態変更部は、前記収穫跡に基づいて前記収穫装置の対地高さが高すぎると判定すると、前記収穫装置の対地高さを低く変更する請求項1から3の何れか一項に記載の収穫機。
【請求項5】
前記圃場状態検出部は、前記作業後の圃場状態として、前記収穫装置が作業した直後の圃場状態を検出する請求項1からの何れか一項に記載の収穫機。
【請求項6】
前記圃場状態検出部は、前記作業後の圃場状態を撮像する撮像装置である請求項1から5の何れか一項に記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の作物を収穫する収穫装置が備えられている収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示された収穫機に、作業走行しながら作業後の圃場の凹凸状態を検出する刈高さセンサが備えられている。刈高さセンサによって検出された圃場の凹凸状態に応じて、収穫装置(文献では「刈取搬送部」)の対地高さが変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-180320号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された収穫機では、刈高さセンサによって検出された圃場の凹凸状態に基づいて収穫装置の対地高さが変更される構成である。圃場には雑草や倒伏作物などが存在するため、単に圃場の凹凸状態に応じて収穫装置の対地高さを変更するだけでは、最適な収穫作業が行われない場合も考えられる。このため、単なる圃場の凹凸状態のみならず、種々の圃場の状態に応じて全体的な収穫作業の状態を変更可能な収穫機が望まれる。
【0005】
本発明の目的は、作業後の圃場状態に応じて好適な収穫作業を可能な収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による収穫機は、圃場を走行可能な走行装置と、前方の植立作物の株元を切断する切断刃を有し、圃場の作物を収穫する収穫装置と、作業走行しながら作業後の圃場状態を検出する圃場状態検出部と、前記作業後の圃場状態に応じて前記走行装置と前記収穫装置との少なくとも一方の作業状態を変更可能な状態変更部と、が備えられ、前記圃場状態検出部は、切断刃と前記走行装置との間に位置することを特徴とする。
【0007】
収穫後の圃場の状態は、例えば残作物が存在する等の種々の状態が考えられるが、本発明によると、圃場状態検出部によって種々の作業後の圃場状態が検出される。また、収穫装置のみならず、走行装置も作業後の圃場状態に応じて変更可能なように構成されているため、全体的な収穫作業の状態変更が可能となる。これにより、作業後の圃場状態に応じて好適な収穫作業を可能な収穫機が実現される。
【0008】
本発明において、前記圃場状態検出部は、前記収穫装置による収穫作業後の収穫跡を検出し、前記状態変更部は、前記収穫跡に基づいて前記収穫装置の対地高さが高すぎると判定すると、前記収穫装置の対地高さを低く変更すると好適である。
【0009】
同一圃場であっても、例えば作物の作物高さは、夫々の作物の状態等によって変化するため、収穫装置の対地高さが高すぎると、収穫装置が作物を好適に収穫できない場合もある。本構成によると、夫々の作物の状態等は、収穫跡に基づいて検出可能に構成されているため、収穫装置の対地高さが高すぎる場合であっても、収穫装置は作物を好適に収穫できる。
【0010】
本発明による収穫機は、圃場を走行可能な走行装置と、前方の植立作物を受け入れる収穫ヘッダと、植立作物を掻き込む掻込リールと、を有し、圃場の作物を収穫する収穫装置と、作業走行しながら作業後の圃場状態を検出する圃場状態検出部と、前記作業後の圃場状態に応じて前記走行装置と前記収穫装置との少なくとも一方の作業状態を変更可能な状態変更部と、が備えられ、前記圃場状態検出部は、前記収穫装置による収穫作業後に収穫されずに残された残作物を検出可能に構成され、前記状態変更部は、前記残作物が前記圃場状態検出部によって検出されると、前記走行装置をあらかじめ設定された距離だけ後進させ、前記収穫ヘッダの上下位置を最も下側の領域に位置させるとともに前記掻込リールの位置を最も下側の領域かつ最も前側の領域に位置させ、前記後進の完了後に前記走行装置の車速を前記残作物が検出される前の車速よりも減速させた状態で前記走行装置を前進させることを特徴とする
【0011】
収穫後の圃場の状態は、例えば残作物が存在する等の種々の状態が考えられるが、本発明によると、圃場状態検出部によって種々の作業後の圃場状態が検出される。また、収穫装置のみならず、走行装置も作業後の圃場状態に応じて変更可能なように構成されているため、全体的な収穫作業の状態変更が可能となる。例えば倒伏作物等の残作物が収穫装置で収穫されずに残ってしまった場合、圃場状態検出部が残作物の厚みの分だけ圃場の地面が盛り上がっていると誤検知してしまう虞がある。こうなると、残作物の厚みに応じて収穫装置が不必要に上昇操作されてしまい、作物のロスが増大する虞がある。本構成であれば、圃場状態検出部が残作物を検出可能であるため、収穫装置の状態が残作物の収穫に適するように変更される。また、本構成であれば、走行装置が後進動作してから、収穫装置の状態が変更され、走行装置が再び前進動作するという、いわゆる収穫作業のリトライが自動的に行われる。これにより、残作物が、走行装置に踏まれることなく収穫される。これにより、作業後の圃場状態に応じて好適な収穫作業を可能な収穫機が実現される。
【0012】
本発明において、前記圃場状態検出部は、前記作業後の圃場状態として、前記収穫装置が作業した直後の圃場状態を検出すると好適である。
【0013】
本構成であれば、収穫装置が作業した直後の圃場状態を検出することによって、収穫装置が作物を好適に収穫したかどうかの確認が可能になる。これにより、状態変更部は、作業直後の圃場状態に基づいて、走行装置と収穫装置との少なくとも一方の作業状態を迅速に変更可能となる。
【0014】
本発明による収穫機は、圃場を走行可能な走行装置と、圃場の作物を収穫する収穫装置と、前記収穫装置によって収穫された処理作物を後方へ案内する送塵弁を有し、前記処理作物を脱穀処理する脱穀部と、前記脱穀部の下方に設けられるとともに、前記脱穀処理された前記処理作物を受け止めて後方へ揺動搬送しながら前記処理作物を収穫物と非収穫物とに選別する選別処理部と、前記処理作物を前記収穫物と前記非収穫物とに選別するための選別風を前記選別処理部に供給する唐箕と、作業走行しながら作業後の圃場状態を検出する圃場状態検出部と、前記作業後の圃場状態に応じて前記走行装置と前記収穫装置との少なくとも一方の作業状態を変更可能な状態変更部と、が備えられ、前記圃場状態検出部は、前記脱穀部と前記選別処理部との少なくとも一方から排出された前記収穫物を検出可能に構成され、前記状態変更部は、前記収穫物が前記圃場状態検出部によって検出されると、前記脱穀部と前記選別処理部と前記唐箕との少なくとも一つを制御し、かつ、前記走行装置の車速を制御することを特徴とする
【0015】
収穫後の圃場の状態は、例えば残作物が存在する等の種々の状態が考えられるが、本発明によると、圃場状態検出部によって種々の作業後の圃場状態が検出される。また、収穫装置のみならず、走行装置も作業後の圃場状態に応じて変更可能なように構成されているため、全体的な収穫作業の状態変更が可能となる。また、本構成によると、圃場状態検出部は、脱穀部と選別処理部との少なくとも一方から排出された収穫物を検出可能であるため、この排出された収穫物に基づいて作物ロスの割合を評価する構成が可能となる。つまり、本構成であれば、圃場状態検出部の検出に基づいて、脱穀部と選別処理部との少なくとも一方から排出された収穫物における作物ロスが少なくなるように、状態変更部が、脱穀部と選別処理部と唐箕との夫々の状態と、車速と、を変更可能となる。これにより、走行装置と脱穀部と選別処理部と唐箕との夫々の動作状態に起因する作物のロスが低減される。これにより、作業後の圃場状態に応じて好適な収穫作業を可能な収穫機が実現される。
【0016】
本発明において、前記圃場状態検出部は、前記作業後の圃場状態を撮像する撮像装置であると好適である。
【0017】
本構成であれば、撮像装置によって撮像された撮像データに基づいて、種々の作業後の圃場状態の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】収穫機の全体側面図である。
図2】収穫機の全体平面図である。
図3】収穫機の制御系を示す機能ブロック図である。
図4】認識部による認識出力データの生成の流れを模式的に示す説明図である。
図5】収穫装置の作業状態を示す要部側面図である。
図6】収穫装置の作業状態を示す要部側面図である。
図7】状態決定部の状態変更処理を示すフローチャート図である。
図8】第二撮像装置による圃場の撮像を示す模式平面図である。
図9】倒伏作物の検出時に作業状態が変更されることを示す説明図である。
図10】倒伏作物の検出時に作業状態が変更されることを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る収穫機の一例としてのコンバインの実施形態が、図面に基づいて以下に記載されている。この実施形態で、機体1の前後方向を定義するときは、作業状態における機体進行方向に沿って定義する。図1及び図2に符号(F)で示す方向が機体前側、図1及び図2に符号(B)で示す方向が機体後側である。図1に符号(U)で示す方向が機体上側、図1に符号(D)で示す方向が機体下側である。図2に符号(L)で示す方向が機体左側、図2に符号(R)で示す方向が機体右側である。機体1の左右方向を定義するときは、機体進行方向視で見た状態で左右を定義する。
【0020】
〔収穫機の基本構成〕
図1及び図2に示されるように、収穫機の一形態である普通型のコンバインに、機体1と、左右一対のクローラ式の走行装置11と、が備えられている。機体1に、搭乗部12と、脱穀装置13と、穀粒タンク14と、収穫装置15と、搬送装置16と、穀粒排出装置18と、が備えられている。
【0021】
走行装置11は、コンバインの下部に備えられている。走行装置11は左右一対のクローラ走行機構を有し、コンバインは、走行装置11によって圃場を走行可能である。また、左右のクローラ走行機構の夫々に昇降装置が設けられている。当該昇降装置は、通称『モンロー』とも呼ばれ、左右のクローラ走行機構の夫々に対する機体1の高さ位置を各別に変更可能に構成されている。このことから、当該昇降装置は、左右のクローラ走行機構の夫々に対する機体1の高さ位置を変更して機体1をローリングさせることを可能に構成されている。
【0022】
搭乗部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11よりも上側に備えられ、これらは機体1の上部として構成されている。コンバインの搭乗者やコンバインの作業を監視する監視者が、搭乗部12に搭乗可能である。通常、搭乗者と監視者とは兼務される。なお、搭乗者と監視者とが別人の場合、監視者は、コンバインの機外からコンバインの作業を監視していても良い。搭乗部12の下方に駆動用のエンジン(不図示)が備えられている。穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の後下部に連結されている。
【0023】
収穫装置15は圃場の作物を収穫する。作物は、例えば稲等の植立穀稈であるが、大豆やトウモロコシ等であっても良い。そして、コンバインは、収穫装置15によって圃場の作物を収穫しながら走行装置11によって走行する作業走行が可能である。搬送装置16は収穫装置15よりも後側に隣接して設けられている。収穫装置15及び搬送装置16は、機体1の前部に上下昇降可能に支持されている。収穫装置15及び搬送装置16は、伸縮動作可能なヘッダ用アクチュエータ15Hによって上下に昇降操作されることによって、一体的に上下揺動する。
【0024】
収穫装置15に、収穫ヘッダ15Aと、掻込リール15Bと、横送りオーガ15Cと、バリカン状の切断刃15Dと、が備えられている。収穫ヘッダ15Aは、前方の植立作物を収穫対象と非収穫対象とに分草するとともに、前方の植立作物のうちの収穫対象を受け入れる。
【0025】
掻込リール15Bは収穫ヘッダ15Aの上方に位置する。収穫ヘッダ15Aにリール支持アーム15Kが揺動可能に支持され、リール支持アーム15Kは、伸縮動作可能なリールアクチュエータ15Jによって揺動操作される。掻込リール15Bの回転軸芯部分は、リール支持アーム15Kの遊端領域に支持されている。このことから、掻込リール15Bは、リールアクチュエータ15Jの伸縮動作によって上下揺動可能に構成されている。
【0026】
掻込リール15Bは、リール支持アーム15Kに支持された状態で、機体横向き軸芯まわりに回転可能に構成されている。また、掻込リール15Bの回転軸芯部分はリール支持アーム15Kの遊端領域で前後方向に沿ってスライド可能に構成されている。つまり、掻込リール15Bは、収穫ヘッダ15Aに対して上下揺動可能に構成されるとともに、収穫ヘッダ15Aに対して前後に位置変更可能に構成される。
【0027】
掻込リール15Bに複数のタイン15Tが備えられ、タイン15Tは植立作物に掻込作用する。掻込リール15Bは、圃場から植立作物を収穫する際に、植立作物のうちの先端寄りの箇所をタイン15Tで後方に向けて掻込む。
【0028】
切断刃15Dは、掻込リール15Bによって後方に掻き込まれた植立作物の株元側を切断する。横送りオーガ15Cは、機体横向き軸芯に回転駆動し、切断刃15Dによる切断後の収穫作物を左右方向の中間側に横送りして寄せ集めて後方の搬送装置16に向けて送り出す。詳細については後述するが、横送りオーガ15Cは、上下方向に位置変更可能なように構成されている。
【0029】
脱穀装置13における脱穀負荷を軽減するため、収穫ヘッダ15Aの対地高さH1(図5参照)が高く設定され、植立作物は穂先側のみが収穫される場合がある。このとき、収穫後の残稈が、背丈の高い状態で圃場に残されないようにするため、当該残稈を切断する必要がある。このため、収穫装置15の後方に残稈処理部19が設けられている。残稈処理部19は機体左右方向に亘る横長のバリカン状の切断刃を有し、当該切断刃が左右に往復運動することによって、当該残稈が切断される。
【0030】
収穫装置15によって収穫された作物(例えば刈取穀稈)は、搬送装置16によって脱穀装置13へ搬送される。収穫された作物は脱穀装置13によって脱穀処理される。脱穀装置13は、脱穀部13Aと選別処理部13Bと唐箕13Cを有する。なお、図1では脱穀部13Aは扱胴として示されているが、この扱胴を収納する扱室と、扱室の上部に配置された送塵弁と、扱胴の下側領域の周囲に位置する受網と、も脱穀部13Aに含まれる。
送塵弁は、収穫装置15によって収穫された処理作物を後方へ案内する。脱穀部13Aは、搬送装置16によって搬送された作物、即ち脱穀装置13の処理対象である処理作物を脱穀処理する。選別処理部13Bは、脱穀部13Aの下方に設けられるとともに、脱穀部13Aによって脱穀処理された処理作物を受け止めて後方へ揺動搬送しながら、処理作物を収穫物と非収穫物とに篩選別する。
【0031】
公知の技術であるため、図示はしないが、選別処理部13Bにチャフシーブが備えられ、チャフシーブは複数のチャフリップを有する。チャフリップの夫々は機体横方向に延びる。複数のチャフリップは処理作物が搬送される搬送方向(前後方向)に沿って並べられ、複数のチャフリップの夫々は、後端側ほど斜め上方に向かう傾斜姿勢で配置されている。チャフリップの夫々の漏下開度が変更可能に構成されている。漏下開度が変更可能とは、傾斜姿勢が変更されることを意味する。具体的には、チャフリップが前後方向に対して平行に近くなる程、漏下開度が小さくなり、チャフリップが上下方向に対して平行に近くなる程、漏下開度が大きくなる。処理作物は、チャフリップの上で後方へ揺動搬送され、収穫物としての穀粒が複数のチャフリップ間の隙間から下方へ漏下する。選別処理部13Bは、脱穀処理物の搬送方向に沿って並べられた複数のチャフリップを有するとともに複数のチャフリップの姿勢を変更することで漏下開度を変更可能なチャフシーブを有する。
唐箕13Cは選別処理部13Bに選別風を供給する。
【0032】
脱穀処理によって得られた穀粒は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。穀粒排出装置18は機体後部の縦軸芯回りに揺動可能に構成されている。即ち、穀粒排出装置18の遊端部が機体1よりも機体横外側へ張り出して作物を排出可能な排出状態と、穀粒排出装置18の遊端部が機体1の機体横幅の範囲内に位置する収納状態と、に切換可能なように穀粒排出装置18は構成されている。穀粒排出装置18が収納状態である場合、穀粒排出装置18の遊端部は搭乗部12よりも前側に位置するとともに収穫装置15の上方に位置する。
【0033】
搭乗部12の前上部に、第一撮像装置21Aと測距センサ22とが設けられている。第一撮像装置21Aは、可視光を撮像可能なカラーカメラであって、例えばCCDカメラやCMOSカメラである。第一撮像装置21Aは、収穫装置15の前方の未収穫の作物を見下ろすように、機体1の前部、かつ、収穫装置15よりも高い位置に設けられている。即ち、第一撮像装置21Aは、進行方向前方を上から見下ろす視点で撮像できる。第一撮像装置21Aの前後方向における撮像視野は、例えば15メートルや25メートルである。
【0034】
第一撮像装置21Aによって取得された撮像データは、撮像データ化され、コンバインの制御系に送られる。第一撮像装置21Aは収穫作業時に圃場を撮像する。圃場には種々の物体が撮像対象として存在している。コンバインの制御系は、第一撮像装置21Aから送られてきた撮像データから特定の物体を識別する機能を有する。そのような特定の物体として、図1及び図2では、符号Z0で示された正常な植立穀稈群と、符号Z1で示された雑草群と、符号Z2で示された倒伏作物群と、が模式的に示されている。
【0035】
測距センサ22は、機体1の前方に存在する圃場の撮像対象と機体1との離間距離を計測可能に構成されている。測距センサ22は、ソナーであっても良いし、レーダー(ミリ波)であっても良いし、LIDAR(例えばレーザースキャナーやレーザーレーダー)であっても良い。測距センサ22がソナーであればコスト面で有利である。測距センサ22がミリ波レーダーであれば、天候に左右され難い測定が可能であって、コスト面で有利である。ミリ波レーダーが、前方、左右に加え、上下方向を三次元でスキャンできる構成であれば、二次元でスキャンするタイプのミリ波レーダーよりも測距範囲を広範囲にすることが可能となる。測距センサ22がLIDARであれば離間距離の測定が精度よく行われる。加えて、LIDARが、前方、左右に加え、上下方向を三次元でスキャンできる構成であれば、二次元でスキャンするタイプのLIDARよりも測距範囲を広範囲にすることが可能となる。また、測距センサ22は、ソナーとレーダーとLIDARとの組み合わせによって構成されても良い。
【0036】
本実施形態では、収穫装置15の後下部に第二撮像装置21Bが設けられている。第二撮像装置21Bは、可視光を撮像可能なカラーカメラであって、例えばCCDカメラやCMOSカメラである。第二撮像装置21Bは、収穫装置15の後方の収穫跡領域S(図8参照)を撮像できる。このため、第二撮像装置21Bは、作業走行しながら作業後の圃場状態を検出可能に構成されている。第二撮像装置21Bは、本発明の『撮像装置』である。
【0037】
搭乗部12の天井部には、衛星測位モジュール80が設けられている。衛星測位モジュール80は、人工衛星GSからのGNSS(Global Navigation Satellite System)の信号(GPS信号を含む)を受信して、自車位置を取得する。なお、衛星測位モジュール80による衛星航法を補完するために、ジャイロ加速度センサや磁気方位センサを組み込んだ慣性航法ユニットが衛星測位モジュール80に組み込まれている。もちろん、慣性航法ユニットは、コンバインにおいて衛星測位モジュール80と別の箇所に配置されても良い。
【0038】
〔制御ユニットの構成〕
図3に示される制御ユニット30は、コンバインの制御系の中核要素であり、複数のECUの集合体として示されている。制御ユニット30に、第一作物検出部31Aと、第二作物検出部31Bと、状態決定部32と、記憶部33と、報知部34と、走行制御部35と、作業制御部36と、が備えられている。第二作物検出部31Bは、本発明の『圃場状態検出部』である。状態決定部32は、本発明の『状態変更部』である。
【0039】
衛星測位モジュール80から出力された測位データと、第一撮像装置21Aからの撮像データと、第二撮像装置21Bからの撮像データと、測距センサ22から出力された距離データと、刈高さ検出部23から出力された高さ位置情報と、リール高さ検出部24から出力された高さ位置情報と、オーガ高さ検出部25から出力された高さ位置情報と、は配線網を通じて制御ユニット30に入力される。上述したように、収穫装置15及び搬送装置16(図1等参照)は上下揺動可能に構成され、刈高さ検出部23は搬送装置16の揺動軸芯箇所に設けられている。刈高さ検出部23は、搬送装置16の揺動角度を検出することによって、収穫装置15の下端部における対地高さH1(図5及び図6参照)を検出可能に構成されている。リール高さ検出部24は、収穫ヘッダ15Aに対するリール支持アーム15Kの揺動角度を検出することによって、掻込リール15Bの収穫ヘッダ15Aに対する高さ位置H2(図5及び図6参照)を検出可能に構成されている。オーガ高さ検出部25は、横送りオーガ15Cを上下昇降させるアクチュエータ(不図示)の上下位置を検出することによって、横送りオーガ15Cの高さ位置H3(図5及び図6参照)を検出可能に構成されている。
【0040】
第一作物検出部31Aは、第一撮像装置21Aによって継時的に遂次取得された撮像データと、測距センサ22によって経時的に遂次取得された距離データと、に基づいて植立作物の存在領域を検出するとともに植立作物の高さを検出する。また、第一作物検出部31Aは、例えば機械学習(深層学習)されたニューラルネットワークを用いることによって、作物の種類を判定する。換言すると、第一作物検出部31Aは、収穫装置15の収穫対象の作物の種類を取得可能に構成されている。作物の種類は、例えば米穀、麦(大麦、小麦、蕎麦)、豆(大豆、小豆、黒豆)、菜種、トウモロコシ、等が挙げられる。また、第一作物検出部31Aは、撮像データに基づいて作物における穂先の大きさや長さを検出可能に構成されている。
【0041】
本実施形態では、第一作物検出部31Aは、植立作物の高さに基づいて倒伏作物(例えば倒伏穀稈)を検出可能に構成されている。第一作物検出部31Aによる認識出力データの生成の流れが、図4に示されている。第一作物検出部31Aには、第一撮像装置21Aから撮像データのRGB画素値が入力値として入力される。この撮像データと、測距センサ22によって取得された距離データと、が関連付けられ、植立作物の存在領域における作物高さに基づいて倒伏作物が検出される。第一作物検出部31Aは、植立作物の作物高さと、植立作物が同じ作物高さで広がる領域の広さと、に基づいて倒伏作物を検出するように構成されている。植立作物が同じ作物高さで広がる領域の広さは、撮像データと距離データとの少なくとも一つに基づいて面積計算によって算出されても良いし、加えて撮像データで画像認識された領域の形状から算出されても良い。あるいは、植立作物が同じ作物高さで広がる領域の広さは、撮像データで画像認識された領域の形状と、相対的な広さと、の少なくとも一方から算出されても良い。
【0042】
また、第一作物検出部31Aは、収穫装置15の前方の作物に混ざって雑草の存在する雑草領域を検出するように構成され、雑草領域における雑草の種類(雑草の大きさも含む)を取得可能に構成されている。
【0043】
図4の例では正常な植立穀稈の中に倒伏作物と雑草とが示されている。雑草の存在する雑草領域は符号F1を付与された矩形の枠で示され、倒伏作物の存在領域は符号F2を付与された矩形の枠で示されている。また、第一作物検出部31Aは、雑草領域における単位面積当たりの雑草の量である雑草率を取得可能に構成されている。このように、第一作物検出部31Aは、圃場の中から作物の倒伏や雑草を判別可能に構成されている。第一撮像装置21Aは、所定時間間隔、例えば0.1~0.5秒間隔で撮像データを取得し、その撮像データを第一作物検出部31Aに入力するので、第一作物検出部31Aも、同じ時間間隔で、認識出力データを出力する。
【0044】
自動走行では、第一撮像装置21Aによる機体前方の撮像と、測距センサ22による機体1と機体前方の物体との距離の測定と、が行われる。そして、第一撮像装置21Aによって撮像された撮像データと、測距センサ22によって測定された機体前方の距離データと、に基づいて、第一作物検出部31Aは、特定の物体として圃場の作物を認識するとともに当該圃場の作物の作物高さを検出する。
【0045】
第二作物検出部31Bは、第二撮像装置21Bによって継時的に遂次取得された撮像データの撮像データに基づいて、例えば倒伏作物等の収穫されずに取り残された残作物を検出可能である。また、第二作物検出部31Bは、例えば機械学習(深層学習)されたニューラルネットワークを用いることによって、残作物の種類を判定する。残作物の種類は、例えば米穀、麦(大麦、小麦、蕎麦)、豆(大豆、小豆、黒豆)、菜種、トウモロコシ、等が挙げられる。
【0046】
制御ユニット30に記憶部33が備えられ、記憶部33に、複数の収穫制御パターンと、複数の走行制御パターンと、が備えられている。記憶部33は、例えばEEPROM等の半導体の記憶素子である。
【0047】
収穫制御パターンは、例えば作物の種類と作物高さとの少なくとも一方に応じて、収穫ヘッダ15Aの対地高さH1と、掻込リール15Bの高さ位置H2と、横送りオーガ15Cの高さ位置H3と、を調整するためのルックアップテーブルとして記憶部33に格納されている。つまり、作物の種類や作物高さに対応した収穫制御パターン及び走行制御パターンが状態決定部32によって選択される。そして、選択された収穫制御パターン及び走行制御パターンに応じて目標値が状態決定部32から作業制御部36へ出力される。
【0048】
走行制御パターンは、例えば作物の種類と作物高さとの少なくとも一方に応じて、走行装置11の車速及び車高を調整するためのルックアップテーブルとして記憶部33に格納されている。つまり、作物の種類と作物高さとの少なくとも一方に対応した走行制御パターンが状態決定部32によって選択される。そして、選択された走行制御パターンに応じて目標値が状態決定部32から走行制御部35へ出力される。
【0049】
走行制御部35は、車速制御部35Aと車高制御部35Bとを有する。状態決定部32によって選択された走行制御パターンに基づいて車速の目標値と、車高の目標値と、が決定される。車速制御部35Aは、車速の目標値を基準として走行装置11の速度調整制御を行う。車高制御部35Bは、車高の目標値を基準として走行装置11の昇降機構に対する制御を行う。
【0050】
即ち、走行制御部35は、エンジン制御機能、操舵制御機能、車速制御機能、車高制御機能などを有し、走行装置11に走行制御信号を与える。手動操舵の場合、搭乗者による操作に基づいて、走行制御部35が制御信号を生成し、走行装置11を制御する。自動操舵の場合、制御ユニット30の自動走行制御モジュールによって与えられる自動走行指令と、衛星測位モジュール80からの測位データと、に基づいて、走行制御部35は、操舵や車速に関する制御を走行装置11に対して行う。
【0051】
作業制御部36は、ヘッダ制御部36Aと、リール制御部36Bと、オーガ制御部36Cと、を有する。状態決定部32によって選択された収穫制御パターンに基づいて対地高さH1の目標値と、高さ位置H2の目標値と、掻込リール15Bの前後位置の目標値と、高さ位置H3の目標値と、が決定される。ヘッダ制御部36Aは、対地高さH1の目標値を基準として収穫ヘッダ15Aの昇降制御を行う。リール制御部36Bは、高さ位置H2の目標値と、掻込リール15Bの前後位置の目標値と、を基準として掻込リール15Bの上下位置及び前後位置を調整制御する。更に、オーガ制御部36Cは、高さ位置H3の目標値を基準として横送りオーガ15Cの上下位置を調整制御する。
【0052】
即ち、作業制御部36は、収穫装置15や脱穀装置13等、圃場の作物の収穫や脱穀に関する装置の制御を行う機能を有する。手動操舵の場合、搭乗者による操作に基づいて、作業制御部36が制御信号を生成し、収穫装置15等を制御する。自動操舵の場合、第一撮像装置21Aによる撮像データと、測距センサ22による距離情報と、に基づいて、作業制御部36は、収穫装置15の対地高さH1と、掻込リール15Bの高さ位置H2と、掻込リール15Bの前後位置と、横送りオーガ15Cの高さ位置H3と、等を制御する。
加えて、収穫制御パターンには収穫装置15の動作速度に関するパラメータも含まれ、作業制御部36は、状態決定部32によって選択された収穫制御パターンに基づいて収穫装置15用の変速装置(例えば静油圧式無段変速装置)を変速制御可能に構成されている。
【0053】
本実施形態の制御ユニット30は、通信ネットワークに接続可能に構成されている。制御ユニット30に通信部37が備えられ、通信部37は、有線または無線の通信ネットワークを介して管理コンピュータ2と通信可能である。例えば圃場における作物の倒伏情報、雑草の情報、等が、衛星測位モジュール80によって測位された位置情報とともに、無線通信ネットワークを介して圃場の管理コンピュータ2へ送信され、管理コンピュータ2における圃場のマップ情報に記録される。これにより、圃場の管理者は、圃場における作物の倒伏情報、雑草の情報、等を次年度の農業計画に活用できる。
【0054】
〔収穫装置の作業状態について〕
収穫制御パターンについて、図3図5及び図6に基づいて説明する。収穫制御パターンのパラメータに、収穫ヘッダ15Aの対地高さH1の目標値と、掻込リール15Bの高さ位置H2の目標値と、掻込リール15Bの前後位置の目標値と、が含まれる。掻込リール15Bの高さ位置H2が高すぎると、掻込リール15Bが作物に対して掻き込み作用し難くなる。また、掻込リール15Bの高さ位置H2が低すぎると、作物が掻込リール15Bに絡み付き易くなる。図5及び図6に示されるように、圃場の作物が収穫装置15によって収穫される際に、掻込リール15Bのタイン15Tが穂先を前上方から後方に掻き込むように、タイン15Tの回転軌跡が作物の穂先領域と重複するのが望ましい。
【0055】
複数の収穫制御パターンの夫々において、対地高さH1及び高さ位置H2は、収穫制御パターンごとに異なるパラメータとして設定されている。作物の種類と、作物高さと、作物の穂先領域の上下高さと、当該穂先領域の表面積と、等に基づいて、複数の収穫制御パターンのうちの適切な収穫制御パターンが状態決定部32によって選択される。そして、選択された収穫制御パターンから対地高さH1及び高さ位置H2の目標値が読み出され、対地高さH1及び高さ位置H2の調整用の制御信号が状態決定部32から作業制御部36へ送られる。例えば作物の種類が豆類であれば、対地高さH1は、最も低い領域に設定される。また、作物の種類が蕎麦や菜種であれば、対地高さH1は、米穀の場合よりも低く設定され、かつ、豆類の場合よりも高く設定される。
【0056】
このように、状態決定部32は、植立作物の高さに応じてヘッダ用アクチュエータ15Hを操作することによって収穫装置15の作業状態を変更可能なように構成されている。
このとき、収穫装置15の作業状態に、収穫装置15の対地高さH1と、掻込リール15Bの高さ位置H2と、掻込リール15Bの前後位置と、掻込リール15Bの回転速度と、タイン15Tの回転軌跡と、が含まれる。また、状態決定部32は、収穫装置15の作業状態に加えて走行装置11の車速を変更可能に構成されている。収穫装置15の対地高さH1は、『収穫高さ』であって、収穫ヘッダ15Aの『作業高さ』でもある。換言すると、状態決定部32は、ヘッダ用アクチュエータ15Hを操作することによって、作物の種類と作物高さとの少なくとも一方に応じて収穫装置15の収穫高さを変更可能に構成されている。また、状態決定部32は、リールアクチュエータ15Jを操作することによって、作物の種類と作物高さとの少なくとも一方に応じて掻込リール15Bの高さ位置H2を変更可能に構成されている。
【0057】
圃場の作物が収穫装置15によって収穫される際に、掻込リール15Bのタイン15Tが穂先を前上方から後方に掻き込むように、収穫制御パターンが状態決定部32によって選択され、対地高さH1及び高さ位置H2が調整される。対地高さH1が調整されると、収穫ヘッダ15Aの下端部(刈刃の位置する部分)は作物の穂先領域よりも下側に位置する。また、高さ位置H2が調整されると、掻込リール15Bの前端位置は、作物の穂先よりも上側に位置する。この結果、掻込リール15Bによって作物の穂先領域が上下に亘って後方へ掻き込まれる。つまり、第一作物検出部31Aによって検出された作物高さ及び作物の種類に基づいて、作物の穂先領域のみが収穫装置15によって効率よく収穫され、当該穂先領域が後方の搬送装置16で搬送されて脱穀装置13で脱穀処理される。このため、作物の株元領域まで収穫装置15によって収穫される構成と比較して、搬送装置16の搬送負荷や脱穀装置13の脱穀負荷が軽減され、収穫装置15の収穫効率が良好となる。
【0058】
横送りオーガ15Cは、作物の種類に応じて上下方向に位置変更可能なように構成されている。図示はしないが、収穫ヘッダ15Aに、横送りオーガ15Cを上下方向に昇降操作可能なアクチュエータが備えられている。当該アクチュエータは、油圧式であっても良いし、電動式であっても良い。作物の種類に応じて適切な高さ位置H3の目標値を有する収穫制御パターンが状態決定部32によって選択される。そして、選択された収穫制御パターンに基づいて、高さ位置H3の目標値が状態決定部32から作業制御部36へ送られ、横送りオーガ15Cが昇降制御される。
【0059】
切断刃15Dによって株元を切断された収穫作物は、収穫ヘッダ15Aの底板15uにおいて横送りオーガ15Cによって搬送装置16の位置する側に横送りされる。この際に、横送りオーガ15Cの高さ位置H3が上下方向に沿って変更されると、横送りオーガ15Cの下端部と、収穫ヘッダ15Aの底板15uと、の上下方向の隙間が変化する。
【0060】
作物の種類が米穀や麦類である場合、作物の形状は上下に細長く、穀粒は小さな粒状である。このため、作物の種類が米穀や麦類である場合の収穫制御パターンでは、高さ位置H3の目標値は低めの高さ位置H31に設定される。このため、米穀や麦類の収穫作業が行われる場合、横送りオーガ15Cは収穫ヘッダ15Aに対して低く位置し、横送りオーガ15Cの下端部と、収穫ヘッダ15Aの底板15uと、の上下方向の隙間が狭くなる。
これにより、米穀や麦類の穂先部分が、横送りオーガ15Cによって効率よく横送りされる。
【0061】
作物の種類が豆類である場合、豆類の穂先部分は米穀や麦類の穂先部分よりも大きな粒を有する。このため、横送りオーガ15Cによって豆類の穂先部分が横送りされる際に、横送りオーガ15Cの下端部と、収穫ヘッダ15Aの底板15uと、の上下方向の隙間が狭すぎると、豆粒等が潰されたり損傷を受けたりする虞がある。このため、作物の種類が豆類である場合の収穫制御パターンでは、高さ位置H3の目標値は高めの高さ位置H32に設定される。このため、豆類の収穫作業が行われる場合、横送りオーガ15Cは、米穀や麦類である場合よりも高く位置する。このことから、作物の種類が米穀や麦類である場合と比較して、横送りオーガ15Cの下端部と、収穫ヘッダ15Aの底板15uと、の上下方向の隙間が広くなる。これにより、横送りオーガ15Cによって豆類の穂先部分が横送りされる際に、豆粒等が損傷を受け難くなる。
【0062】
このように、状態決定部32は、作物の種類に応じて高さ位置H3を変更することによって、収穫装置15における搬送経路の上下幅を変更する。即ち、状態決定部32は、横送りオーガ15Cを上下方向に昇降操作可能なアクチュエータを操作することによって、搬送経路の上下幅として、横送りオーガ15Cの下端部と、収穫ヘッダ15Aの底板15uと、の隙間の上下幅を変更する。
【0063】
〔状態決定部の状態変更処理〕
状態決定部32の処理は、図7に示されるフローチャートに基づいて行われ、図7のフローチャートにおけるスタートからエンドまでの処理が周期的に実行される。上述したように、第一作物検出部31Aは、収穫対象の作物の種類のみならず、雑草と倒伏作物とを検出可能に構成されている。このため、状態決定部32は、収穫対象の作物が検出されている場合と、倒伏作物が検出されている場合と、雑草が検出されている場合と、で異なる処理を実行する。
【0064】
まず、状態決定部32は、第二作物検出部31Bの検出結果を判定する(ステップ#01)。第二作物検出部31Bは、収穫装置15による収穫作業後の収穫跡を検出する。図8に示されるように、第二撮像装置21Bは、収穫装置15の後方かつ走行装置11の前方の領域、即ち収穫装置15と走行装置11との間の領域である収穫跡領域Sを撮像する。なお、図8では、第二撮像装置21Bが収穫跡領域Sを撮像する様子を簡易に示すため、残稈処理部19を省略して示している。第二撮像装置21Bによって撮像された撮像データに基づいて、収穫跡領域Sに残作物が第二作物検出部31Bによって検出されると、ステップ#01では『刈残しの検出』が判定される。即ち、収穫装置15の後方が第二撮像装置21Bによって撮像され、第二撮像装置21Bの撮像データに作物(例えば倒伏作物)が含まれているかどうかが第二作物検出部31Bによって判定される。
【0065】
第二作物検出部31Bで検出結果がない場合(ステップ#01:検出結果なし)、状態決定部32は、第一作物検出部31Aの検出結果を判定する(ステップ#03)。第一作物検出部31Aによって収穫対象の作物が検出されている場合(ステップ#03:収穫対象の作物)、状態決定部32は、収穫装置15が作物の穂先領域を効率よく収穫できるように、作物の種類と作物高さとの少なくとも一方に応じて収穫制御パターンを選択する(ステップ#04)。そして状態決定部32は、選択した収穫制御パターンに基づいて走行制御部35及び作業制御部36に制御信号を出力する。即ち、掻込リール15Bのタイン15Tが穂先を前上方から後方に掻き込む状態となるように、収穫ヘッダ15Aの対地高さH1と、掻込リール15Bの高さ位置H2と、横送りオーガ15Cの高さ位置H3と、が調整される。
【0066】
第二作物検出部31Bによって刈残しが検出された場合(ステップ#01:刈残しの検出)、状態決定部32は、刈残しが検出された場合の収穫制御パターンを選択し、この収穫制御パターンに基づく制御信号を走行制御部35及び作業制御部36に出力する(ステップ#02)。ステップ#02では、刈残し領域における収穫作業のリトライ処理が行われる。
【0067】
第二撮像装置21Bは、収穫装置15による収穫作業後に収穫されずに残された残作物を検出可能に構成されている。図9に示されるように、倒伏作物が収穫装置15によって収穫されず、収穫装置15が倒伏作物の上方を通過した場合、収穫装置15の後下方に設けられた第二撮像装置21Bによって倒伏作物が撮像され、第二作物検出部31Bによって倒伏作物の存在が判定される(ステップ#01:刈残しの検出)。そしてステップ#02の処理に基づいて、走行装置11が逆転動作して、機体1が予め設定された距離だけ後退する。つまり、状態決定部32は、残作物が第二撮像装置21Bによって検出されると、走行装置11をあらかじめ設定された距離だけ後進させる。図7に示されるフローチャートの処理は周期的に行われるため、収穫装置15が倒伏作物の上方から離れ、収穫装置15の前方に検出された倒伏作物が位置する状態で、ステップ#01で『検出結果なし』という判定に切換わる。このように、状態決定部32は、作業後の圃場状態に応じて走行装置11と収穫装置15との夫々の作業状態を変更可能なように構成されている。そして、第一作物検出部31Aによって倒伏作物が検出され(ステップ#03:倒伏作物)、後述のステップ#05の処理が行われる。つまり、状態決定部32は、収穫跡に基づいて収穫装置15の対地高さH1が高すぎると判定すると、収穫装置15の対地高さH1を低く変更するように構成されている。
【0068】
第一作物検出部31Aによって倒伏作物が検出されている場合(ステップ#03:倒伏作物)、状態決定部32は、倒伏作物を収穫するための収穫制御パターンを選択し、この収穫制御パターンに基づく制御信号を走行制御部35及び作業制御部36に出力する(ステップ#05)。図10に示されるように、ステップ#05の処理によって、収穫ヘッダ15Aの対地高さH1が最も下側の領域に調整され、掻込リール15Bの高さ位置H2が最も下側の領域に調整され、掻込リール15Bの前後方向における位置が最も前側の領域に調整される。また、ステップ#05の処理によって、収穫装置15用の変速装置(例えば静油圧式無段変速装置)が高速側に変速制御され、掻込リール15Bの回転速度が増速される。加えて、ステップ#05の処理によって、走行装置11の車速が減速される。
【0069】
つまり、第一作物検出部31Aによって倒伏状態の作物が検知されると、状態決定部32によって倒伏作物収穫用の収穫制御パターンに切換えられ、収穫ヘッダ15Aの対地高さH1と掻込リール15Bの高さ位置H2とが低くなる。そして、圃場における作物の倒伏領域では、収穫機が低速で前進しながら掻込リール15Bが通常の収穫作業よりも高速回転し、倒伏状態の作物が掻込リール15Bによって収穫ヘッダ15Aへ掻き込まれる。
換言すると、状態決定部32は、倒伏作物が検出されたら、掻込リール15Bの位置を最も下側の領域かつ最も前側の領域に位置させ、掻込リール15Bの回転速度を上昇させ、かつ、走行装置11の車速を減速させる。これにより、コンバインは、徐々に前進しながら刈残した倒伏作物を刈り取る。
【0070】
図7に示されるフローチャートの処理は周期的に行われるため、第一作物検出部31Aが倒伏状態の作物を検知しなくなると(ステップ#03:≠倒伏作物)、ステップ#04または後述のステップ#06の処理が行われる。ステップ#03の判定が『収穫対象の作物』である場合、ステップ#04の処理が再び行われ、このときに走行装置11の車速が倒伏状態の作物の収穫時よりも増速される。
【0071】
第一作物検出部31Aによって雑草が検出された場合(ステップ#03:雑草)について説明する。圃場には作物が植えられているが、作物に雑草が混ざっている場合があり、この場合には、植立作物が収穫装置15によって収穫される際に雑草も掻込リール15Bによって植立作物とともに掻き込まれ、搬送装置16によって後方の脱穀装置13へ送られる。このため、状態決定部32は、収穫対象の作物の種類と、雑草の種類と、に基づいて、雑草の収穫作業に及ぼす影響度を『小』、『中』、『大』の三段階で判定する(ステップ#06)。
【0072】
雑草が少ない場合と、雑草が小さい場合と、脱穀装置13に雑草が入り込んでも脱穀負荷や選別精度に影響を及びさない場合と、等では、状態決定部32はステップ#06で『小』を選択する。この場合、ステップ#04と同じく、状態決定部32は、収穫装置15が作物の穂先領域を効率よく収穫できるように、作物の種類と作物高さとの少なくとも一方に応じて収穫制御パターンを選択する(ステップ#07)。そして状態決定部32は、選択した収穫制御パターンに基づいて走行制御部35及び作業制御部36に制御信号を出力する。
【0073】
脱穀装置13に雑草が入り込むと脱穀負荷や選別精度に影響を及ぼすものの、車速が減速すれば脱穀負荷や選別精度への影響度合いが軽減される場合には、状態決定部32はステップ#06で『中』を選択する。この場合、収穫対象の作物の種類が豆類であるかどうかが判定される(ステップ#08)。
【0074】
収穫対象の作物の種類が豆類以外であると(ステップ#08:豆類以外)、状態決定部32は、車速を減速させ、かつ、収穫装置15が作物の穂先領域を効率よく収穫できるように、作物の種類と作物高さとの少なくとも一方に応じて収穫装置15による収穫作業を実行する収穫制御パターンを選択する(ステップ#09)。そして状態決定部32は、選択した収穫制御パターンに基づいて走行制御部35及び作業制御部36に制御信号を出力する。即ち、状態決定部32は、雑草領域において走行装置11の車速を、雑草領域以外を走行する場合の車速よりも低速側に変更する。
【0075】
ステップ#09において状態決定部32は、収穫装置15の前方に雑草領域が検出され、かつ、作物の種類が豆類以外であると、雑草の種類に応じて走行装置11の車速の変更度合いを決定する。具体的には、状態決定部32は、雑草領域における単位面積当たりの雑草の量である雑草率に応じて走行装置11の車速の変更度合いを決定する。雑草率が多くなるほど、状態決定部32は走行装置11の車速をより低速側に変更する。また、状態決定部32は、作物の種類、雑草の種類、雑草率、等に応じて判断要素に優先順位を付けて段階的に車速を低速側に変更する構成であっても良い。
【0076】
また、ステップ#09において状態決定部32は、選別処理部13Bに設けられたチャフシーブの漏下開度を小さくする。チャフシーブに複数のチャフリップが備えられ、チャフリップの傾斜姿勢(傾斜角度)が変更されることによって、複数のチャフリップの間の隙間が絞られる。雑草等は穀粒よりも大粒である場合が多く、チャフシーブの漏下開度が絞られることによって、チャフリップの間の隙間から雑草等が漏下し難くなり、選別精度への影響が軽減される。即ち、状態決定部32は、雑草領域で収穫された作物を選別する際に、作物の種類と雑草の種類との少なくとも一方に応じてチャフシーブの漏下開度を小さくするように構成されている。
【0077】
本実施形態で、収穫装置15の前方に雑草領域が検出され、かつ、作物の種類が豆類であると(ステップ#08:豆類)、状態決定部32は走行装置11を停止させる(ステップ#10)。豆類には商品価値の高いものもあるため、豆類が雑草と一緒に脱穀処理されると、例えば豆粒に雑草が付着する等の要因によって、豆粒が汚れて商品価値を落としたりする虞がある。作物の種類が豆類である場合、走行装置11を停止させることによって、このような不都合を回避できる。
【0078】
例えば雑草の茎が太い場合には、横送りオーガ15Cや搬送装置16や脱穀装置13で詰まりが発生する虞がある。また、茎の太い雑草が脱穀装置13に入り込むと、脱穀装置13における選別精度が低下する虞もある。これらの不都合が発生する虞が高い場合、状態決定部32はステップ#06で『大』を判定し、走行装置11を停止させる収穫制御パターンを選択し、機体1が停車する(ステップ#10)。そして、作業者が手作業で雑草を撤去した後に、収穫装置15による収穫作業が再開される。また、状態決定部32は、雑草の種類、雑草率、等に応じて判断要素に優先順位を付けて段階的に車速を減速して走行装置11を停止させる構成であっても良い。
【0079】
このように、状態決定部32は、雑草の種類に応じて走行装置11の車速の変更度合いを決定可能に構成されている。
【0080】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0081】
(1)上述の実施形態では、収穫装置15の後方に残稈処理部19が備えられているが、残稈処理部19が備えられない収穫機であっても良い。
【0082】
(2)上述の実施形態では、第二作物検出部31Bに、深層学習を用いて学習可能なニューラルネットワークが構築されているが、第二作物検出部31Bにニューラルネットワークが構築されなくても良い。この場合、ニューラルネットワークは管理コンピュータ2やその他の端末に構築され、第二作物検出部31Bと、管理コンピュータ2やその他の端末と、が通信をすることによってニューラルネットワークにおける入出力が行われるものであっても良い。即ち、第二作物検出部31Bは、作業走行しながら作業後の圃場状態を検出する構成であれば良い。
【0083】
(3)上述の実施形態では、走行装置11はクローラ式に構成されているが、走行装置11はホイール式に構成されても良い。
【0084】
(4)上述の実施形態では、状態決定部32は、第二作物検出部31Bによって倒伏作物が検出されたら、走行装置11を後退させる。更に、走行装置11の後退が完了した後で第一作物検出部31Aによって倒伏作物が検出されたら、状態決定部32は、収穫ヘッダ15Aの上下位置を最も下側の領域に位置させるとともに掻込リール15Bの位置を最も下側の領域かつ最も前側の領域に位置させるが、この実施形態に限定されない。状態決定部32は、第二作物検出部31B単独で倒伏作物が検出されたら、走行装置11を後退させ、更にその後、収穫ヘッダ15Aの上下位置を下側の領域に位置させるとともに掻込リール15Bの位置を下側の領域かつ前側の領域に位置させる構成であっても良い。この場合、第一作物検出部31Aが備えられない構成であっても良い。また、倒伏作物が検出され、走行装置11の後退が完了したら、状態決定部32は、収穫ヘッダ15Aの上下位置を下側の領域に位置させる制御と、掻込リール15Bの位置を下側の領域に移動させる制御と、掻込リール15Bの位置を前側の領域に位置させる制御と、の少なくとも一つを可能な構成であっても良い。
【0085】
(5)上述の実施形態では、第二撮像装置21Bは、収穫装置15の後下部に設けられているが、この実施形態に限定されない。例えば、第二撮像装置21Bは、脱穀装置13の後端部と、穀粒タンク14の後端部と、の少なくとも一方に設けられても良い。この場合、第二作物検出部31Bは、脱穀部13Aと選別処理部13Bとの少なくとも一方から排出された収穫物を検出可能に構成されても良い。そして、排出された収穫物に含まれる作物のロスの量または割合に基づいて、状態決定部32は、脱穀部13Aと選別処理部13Bと唐箕13Cとの少なくとも一つを制御し、更に、走行装置11の車速を制御する構成であっても良い。即ち、状態決定部32は、収穫物が第二作物検出部31Bによって検出されると、脱穀部13Aと選別処理部13Bと唐箕13Cとの少なくとも一つを制御し、かつ、走行装置11の車速を制御する構成であっても良い。状態決定部32が脱穀部13Aを制御する際、扱胴の回転速度が制御されたり、送塵弁の角度調整が行われたりしても良い。
【0086】
(6)上述の実施形態では、第二作物検出部31Bは、第二撮像装置21Bによって取得された撮像データに基づいて、収穫装置15による収穫作業後の収穫跡を検出するが、この実施形態に限定されない。例えば、第二撮像装置21Bが備えられない構成であっても良い。この場合、例えば測距センサ22に例示されるようなセンサによって取得された距離データに基づいて、第二作物検出部31Bが収穫作業後の収穫跡を検出する構成であっても良い。第二作物検出部31Bの内部処理として、例えば、距離データに対するフーリエ変換処理が行われ、フーリエ変換処理によって得られた周波数成分の分布に基づいて収穫跡から倒伏作物等が判定される構成であっても良い。
【0087】
(7)図8乃至図10では、倒伏作物の穂先が収穫装置15の位置する側に位置する状態で、倒伏作物が倒伏しているが、倒伏作物の穂先が収穫装置15の位置する側と反対側に位置する状態で、倒伏作物が倒伏しても良い。
【0088】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。
また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、普通型コンバインのみならず、自脱型コンバイン等、作物を収穫する収穫機全般(例えばトウモロコシ収穫機やニンジン収穫機)に適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
11 :走行装置
13 :脱穀装置
13A :脱穀部
13B :選別処理部
13C :唐箕
15 :収穫装置
15A :収穫ヘッダ
15B :掻込リール
21B :第二撮像装置(撮像装置)
31B :第二作物検出部(圃場状態検出部)
32 :状態決定部(状態変更部)
H1 :対地高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10