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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/10 20060101AFI20240122BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20240122BHJP
   A01D 41/127 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A01B63/10 D
A01B69/00 303F
A01B69/00 303M
A01D41/127
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020107949
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022002481
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木村 憲司
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-072740(JP,A)
【文献】特開2017-176008(JP,A)
【文献】特開2017-176007(JP,A)
【文献】特開2002-045007(JP,A)
【文献】特開2020-022375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 63/10
A01B 69/00
A01D 41/127
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に対して昇降可能に構成されると共に圃場の作物を収穫する収穫部と、
圃場を囲む状態で設けられた圃場外縁部の立体形状を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて前記圃場外縁部の立体形状を示す外縁部情報を取得する取得部と、
機体の走行に伴って前記収穫部が平面視で前記圃場外縁部に重複する状態となる際、前記外縁部情報に基づいて、前記収穫部が前記圃場外縁部に干渉しないように前記収穫部の昇降を自動的に制御する昇降制御部と、を備える収穫機。
【請求項2】
前記昇降制御部は、前記圃場外縁部の地上高さが低いほど、前記収穫部の地上高さが低くなるように、前記収穫部の昇降を制御する請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
前記昇降制御部は、前記収穫部と前記圃場外縁部との間の離間距離が所定値よりも広い状態が維持されるように、前記収穫部の昇降を制御する請求項1または2に記載の収穫機。
【請求項4】
機体に対して昇降可能に構成されると共に圃場の作物を収穫する収穫部と、
圃場を囲む状態で設けられた圃場外縁部の立体形状を示す外縁部情報を取得する取得部と、
機体の走行に伴って前記収穫部が平面視で前記圃場外縁部に重複する状態となる際、前記外縁部情報に基づいて、前記収穫部が前記圃場外縁部に干渉しないように前記収穫部の昇降を自動的に制御する昇降制御部と、
前記圃場外縁部の地上高さが所定高さよりも高い場合に前記収穫部が平面視で前記圃場外縁部に重複しないように前記機体の走行を制御する走行制御部と、を備える収穫機。
【請求項5】
機体に対して昇降可能に構成されると共に圃場の作物を収穫する収穫部と、
圃場を囲む状態で設けられた圃場外縁部の立体形状を示す外縁部情報を取得する取得部と、
機体の走行に伴って前記収穫部が平面視で前記圃場外縁部に重複する状態となる際、前記外縁部情報に基づいて、前記収穫部が前記圃場外縁部に干渉しないように前記収穫部の昇降を自動的に制御する昇降制御部と、を備え、
圃場内の最外周部において前記圃場外縁部に沿って行われる走行である周囲収穫走行を実行可能に構成されており、
前記周囲収穫走行の実行中に、前記圃場外縁部のうち、圃場内において作物が収穫済みである領域に隣接する部分の立体形状を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて前記圃場外縁部の立体形状の分布を示す外縁部マップを生成するマップ生成部と、を備え、
前記取得部は、前記外縁部マップを取得し、
前記昇降制御部は、前記外縁部マップに基づいて前記収穫部の昇降を制御する収穫機。
【請求項6】
機体に対して昇降可能に構成されると共に圃場の作物を収穫する収穫部と、
圃場を囲む状態で設けられた圃場外縁部の立体形状を示す外縁部情報を取得する取得部と、
機体の走行に伴って前記収穫部が平面視で前記圃場外縁部に重複する状態となる際、前記外縁部情報に基づいて、前記収穫部が前記圃場外縁部に干渉しないように前記収穫部の昇降を自動的に制御する昇降制御部と、を備え、
圃場内の最外周部において前記圃場外縁部に沿って行われる走行である周囲収穫走行を実行可能に構成されており、
前記取得部は、前記圃場外縁部の立体形状の分布を示す外縁部マップを取得し、
前記周囲収穫走行の実行中に、前記圃場外縁部のうち、圃場内において作物が収穫済みである領域に隣接する部分の立体形状を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて前記外縁部マップを更新するマップ更新部と、を備え、
前記昇降制御部は、前記マップ更新部により更新された前記外縁部マップに基づいて前記収穫部の昇降を制御する収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場の作物を収穫する収穫部を備える収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような収穫機として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この収穫機(特許文献1では「コンバイン」)における収穫部(特許文献1では「刈取部」)は、機体に対して昇降可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-35017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、圃場を囲む状態で設けられた圃場外縁部には、畦畔や給排水ポンプ等が含まれている。そして、収穫機が圃場の角部において方向転換する際、収穫部が平面視で圃場外縁部に重複する位置まで前進してから切り返し走行を行うことにより、効率の良い方向転換を行いやすい。ただし、収穫部が平面視で圃場外縁部に重複する状態となる際、収穫部が圃場外縁部に干渉することを回避する必要がある。
【0005】
ここで、特許文献1には、収穫部が平面視で圃場外縁部に重複する状態となる際、収穫部が圃場外縁部に干渉することを回避するための構成について記載されていない。
【0006】
本発明の目的は、収穫部が圃場外縁部に干渉することを回避できる収穫機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、機体に対して昇降可能に構成されると共に圃場の作物を収穫する収穫部と、圃場を囲む状態で設けられた圃場外縁部の立体形状を検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて前記圃場外縁部の立体形状を示す外縁部情報を取得する取得部と、機体の走行に伴って前記収穫部が平面視で前記圃場外縁部に重複する状態となる際、前記外縁部情報に基づいて、前記収穫部が前記圃場外縁部に干渉しないように前記収穫部の昇降を自動的に制御する昇降制御部と、を備えることにある。
【0008】
本発明であれば、圃場外縁部の立体形状に応じて、収穫部が圃場外縁部に干渉しないように、収穫部の昇降が自動的に制御される。これにより、収穫部が圃場外縁部に干渉することを回避できる収穫機を実現できる。
【0009】
さらに、本発明において、前記昇降制御部は、前記圃場外縁部の地上高さが低いほど、前記収穫部の地上高さが低くなるように、前記収穫部の昇降を制御すると好適である。
【0010】
昇降制御部が、収穫部が平面視で圃場外縁部に重複する状態となる際、圃場外縁部の地上高さとは無関係に、収穫部を最も高い位置まで上昇させるように構成されている場合、収穫部が圃場外縁部に干渉することを回避できる。しかしながら、この場合、収穫部が平面視で圃場外縁部に重複する状態となる際、比較的早い時点で収穫部を上昇させ始める必要がある。その結果、未収穫の作物に対する収穫部の作用位置が、適切な高さよりも高くなってしまいがちである。
【0011】
例えば、圃場の作物が穀物であり、収穫部が穀稈を刈り取る刈取装置を有している場合において、収穫部が平面視で圃場外縁部に重複する状態となる際、比較的早い時点で収穫部を上昇させ始めると、刈り取り高さが、適切な高さよりも高くなってしまいがちである。
【0012】
ここで、上記の構成によれば、収穫部が平面視で圃場外縁部に重複する状態となる際の収穫部の地上高さが、圃場外縁部の地上高さに応じて必要最低限となる構成を実現できる。これにより、未収穫の作物に対する収穫部の作用位置が適切な高さよりも高くなってしまう事態を回避しやすい収穫機を実現できる。
【0013】
さらに、本発明において、前記昇降制御部は、前記収穫部と前記圃場外縁部との間の離間距離が所定値よりも広い状態が維持されるように、前記収穫部の昇降を制御すると好適である。
【0014】
この構成によれば、収穫部が圃場外縁部に干渉しないように収穫部の昇降を自動的に制御する昇降制御部を、確実に設けることが可能となる。
【0015】
さらに、本発明の特徴は、機体に対して昇降可能に構成されると共に圃場の作物を収穫する収穫部と、圃場を囲む状態で設けられた圃場外縁部の立体形状を示す外縁部情報を取得する取得部と、機体の走行に伴って前記収穫部が平面視で前記圃場外縁部に重複する状態となる際、前記外縁部情報に基づいて、前記収穫部が前記圃場外縁部に干渉しないように前記収穫部の昇降を自動的に制御する昇降制御部と、前記圃場外縁部の地上高さが所定高さよりも高い場合に前記収穫部が平面視で前記圃場外縁部に重複しないように前記機体の走行を制御する走行制御部と、を備えることにある。
【0016】
圃場外縁部の地上高さが比較的高い場合、収穫部が平面視で圃場外縁部に重複する状態となる際、昇降制御部の制御により、比較的早い時点で収穫部が上昇し始める事態が想定される。これにより、未収穫の作物に対する収穫部の作用位置が、適切な高さよりも高くなってしまいがちである。
【0017】
また、圃場外縁部の地上高さが比較的高い場合、収穫部が平面視で圃場外縁部に重複する状態となる際、収穫部が最も高い位置まで上昇しても、収穫部が圃場外縁部に干渉してしまう事態が想定される。
【0018】
ここで、上記の構成によれば、圃場外縁部の地上高さが比較的高い場合には、収穫部が平面視で圃場外縁部に重複しないように機体の走行が制御される収穫機を実現できる。これにより、上述のように、未収穫の作物に対する収穫部の作用位置が適切な高さよりも高くなる事態、及び、収穫部が圃場外縁部に干渉する事態を回避することが可能となる。
【0019】
さらに、本発明の特徴は、機体に対して昇降可能に構成されると共に圃場の作物を収穫する収穫部と、圃場を囲む状態で設けられた圃場外縁部の立体形状を示す外縁部情報を取得する取得部と、機体の走行に伴って前記収穫部が平面視で前記圃場外縁部に重複する状態となる際、前記外縁部情報に基づいて、前記収穫部が前記圃場外縁部に干渉しないように前記収穫部の昇降を自動的に制御する昇降制御部と、を備え、圃場内の最外周部において前記圃場外縁部に沿って行われる走行である周囲収穫走行を実行可能に構成されており、前記周囲収穫走行の実行中に、前記圃場外縁部のうち、圃場内において作物が収穫済みである領域に隣接する部分の立体形状を検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて前記圃場外縁部の立体形状の分布を示す外縁部マップを生成するマップ生成部と、を備え、前記取得部は、前記外縁部マップを取得し、前記昇降制御部は、前記外縁部マップに基づいて前記収穫部の昇降を制御することにある。
【0020】
この構成によれば、検知部は、圃場外縁部のうち、圃場内において作物が収穫済みである領域に隣接する部分の立体形状を検知する。そのため、検知部が圃場外縁部の立体形状を検知する際、作物によって検知が阻害される事態が起こりにくい。これにより、マップ生成部は、精度の良好な外縁部マップを生成することができる。その結果、昇降制御部による収穫部の昇降制御の精度が良好となりやすい。
【0021】
さらに、本発明の特徴は、機体に対して昇降可能に構成されると共に圃場の作物を収穫する収穫部と、圃場を囲む状態で設けられた圃場外縁部の立体形状を示す外縁部情報を取得する取得部と、機体の走行に伴って前記収穫部が平面視で前記圃場外縁部に重複する状態となる際、前記外縁部情報に基づいて、前記収穫部が前記圃場外縁部に干渉しないように前記収穫部の昇降を自動的に制御する昇降制御部と、を備え、圃場内の最外周部において前記圃場外縁部に沿って行われる走行である周囲収穫走行を実行可能に構成されており、前記取得部は、前記圃場外縁部の立体形状の分布を示す外縁部マップを取得し、前記周囲収穫走行の実行中に、前記圃場外縁部のうち、圃場内において作物が収穫済みである領域に隣接する部分の立体形状を検知する検知部と、前記検知部の検知結果に基づいて前記外縁部マップを更新するマップ更新部と、を備え、前記昇降制御部は、前記マップ更新部により更新された前記外縁部マップに基づいて前記収穫部の昇降を制御することにある。
【0022】
取得部により取得された外縁部マップと、実際の圃場外縁部の立体形状の分布と、に齟齬がある場合、取得部により取得された外縁部マップに基づいて収穫部の昇降が制御されると、収穫部の昇降が不適切となる可能性がある。
【0023】
ここで、上記の構成によれば、取得部により取得された外縁部マップと、実際の圃場外縁部の立体形状の分布と、に齟齬がある場合であっても、マップ更新部によって外縁部マップが更新される。これにより、昇降制御部による収穫部の昇降制御が適切になりやすい。
【0024】
しかも、この構成によれば、検知部は、圃場外縁部のうち、圃場内において作物が収穫済みである領域に隣接する部分の立体形状を検知する。そのため、検知部が圃場外縁部の立体形状を検知する際、作物によって検知が阻害される事態が起こりにくい。これにより、マップ更新部により更新された外縁部マップの精度が良好となりやすい。その結果、昇降制御部による収穫部の昇降制御の精度が良好となりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】コンバインの左側面図である。
図2】周囲収穫走行を示す図である。
図3】刈取走行経路に沿った刈取走行を示す図である。
図4】刈取走行経路に沿った刈取走行を示す図である。
図5】制御部に関する構成を示すブロック図である。
図6】検知部による検知方向を示す図である。
図7】外縁部マップの一例を示す図である。
図8】昇降制御部による収穫部の昇降制御を示す図である。
図9】圃場外縁部の地上高さに応じた収穫部の昇降制御を示す図である。
図10】収穫部が平面視で圃場外縁部に重複しないように機体の走行が制御される場合の例を示す図である。
図11】収穫部が平面視で圃場外縁部に重複しないように機体の走行が制御される場合の例を示す図である。
図12】第1別実施形態における制御部に関する構成を示すブロック図である。
図13】第1別実施形態におけるマップ更新部により更新される前の外縁部マップの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図1に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」とする。また、図1に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0027】
〔コンバインの全体構成〕
図1に示すように、普通型のコンバイン1(本発明に係る「収穫機」に相当)は、収穫部H、クローラ式の走行装置11、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14、搬送部16、穀粒排出装置18、衛星測位モジュール80、エンジンEを備えている。
【0028】
走行装置11は、コンバイン1における下部に備えられている。また、走行装置11は、エンジンEからの動力によって駆動する。そして、コンバイン1は、走行装置11によって自走可能である。
【0029】
また、運転部12、脱穀装置13、穀粒タンク14は、走行装置11の上側に備えられている。運転部12には、コンバイン1の作業を監視するオペレータが搭乗可能である。尚、オペレータは、コンバイン1の機外からコンバイン1の作業を監視していても良い。
【0030】
穀粒排出装置18は、穀粒タンク14の上側に設けられている。また、衛星測位モジュール80は、運転部12の上面に取り付けられている。
【0031】
収穫部Hは、コンバイン1における前部に備えられている。そして、搬送部16は、収穫部Hの後側に設けられている。また、収穫部Hは、刈取装置15及びリール17を含んでいる。
【0032】
刈取装置15は、圃場5(図2参照)の植立穀稈を刈り取る。また、リール17は、機体左右方向に沿うリール軸芯17b周りに回転駆動しながら収穫対象の植立穀稈を掻き込む。刈取装置15により刈り取られた刈取穀稈は、搬送部16へ送られる。
【0033】
この構成により、収穫部Hは、圃場5の穀物(本発明に係る「作物」に相当)を収穫する。そして、コンバイン1は、刈取装置15によって圃場5の植立穀稈を刈り取りながら走行装置11によって走行する刈取走行が可能である。
【0034】
収穫部Hにより収穫された刈取穀稈は、搬送部16によって機体後方へ搬送される。これにより、刈取穀稈は脱穀装置13へ搬送される。
【0035】
脱穀装置13において、刈取穀稈は脱穀処理される。脱穀処理により得られた穀粒は、穀粒タンク14に貯留される。穀粒タンク14に貯留された穀粒は、必要に応じて、穀粒排出装置18によって機外に排出される。
【0036】
また、図1に示すように、運転部12には、通信端末4が配置されている。通信端末4は、種々の情報を表示可能に構成されている。本実施形態において、通信端末4は、運転部12に固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、通信端末4は、運転部12に対して着脱可能に構成されていても良いし、通信端末4は、コンバイン1の機外に位置していても良い。
【0037】
ここで、コンバイン1は、図2から図4に示すように、圃場外縁部6の内側に位置する圃場5において、穀物を収穫するように構成されている。尚、圃場外縁部6は、圃場5を囲む状態で設けられている。圃場外縁部6には、例えば、畦畔61や給排水ポンプ62(図7参照)等が含まれている。
【0038】
より具体的には、コンバイン1は、図2に示すように、周囲収穫走行を実行可能に構成されている。周囲収穫走行とは、圃場5内の最外周部において圃場外縁部6に沿って行われる走行である。
【0039】
尚、本実施形態において、周囲収穫走行での周回数は1回である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、周囲収穫走行での周回数は、2回以上のいかなる回数であっても良い。
【0040】
そして、コンバイン1は、周囲収穫走行を行った後、図3及び図4に示すように、圃場5における内側の領域で刈取走行を行うことにより、圃場5の穀物を収穫するように構成されている。
【0041】
即ち、コンバイン1は、圃場5内の最外周部において圃場外縁部6に沿って行われる走行である周囲収穫走行を実行可能に構成されている。
【0042】
本実施形態においては、図2に示す周囲収穫走行は手動走行により行われる。また、図3及び図4に示す内側の領域での刈取走行は、自動走行により行われる。即ち、コンバイン1は、自動走行が可能である。
【0043】
尚、本発明はこれに限定されず、図2に示す周囲収穫走行は自動走行により行われても良い。
【0044】
また、図1に示すように、運転部12には、主変速レバー19が設けられている。主変速レバー19は、人為操作される。コンバイン1が手動走行しているとき、オペレータが主変速レバー19を操作すると、コンバイン1の車速が変化する。即ち、コンバイン1が手動走行しているとき、オペレータは、主変速レバー19を操作することにより、コンバイン1の車速を変更することができる。
【0045】
尚、オペレータは、通信端末4を操作することにより、エンジンEの回転速度を変更することができる。
【0046】
作物の種類によって、脱粒しやすさや倒伏しやすさ等の生育特性は異なる。従って、作物の種類によって、適切な作業速度は異なる。オペレータが通信端末4を操作し、エンジンEの回転速度を適切な回転速度に設定すれば、作物の種類に適した作業速度で作業を行うことができる。
【0047】
〔制御部に関する構成〕
図5に示すように、コンバイン1は、制御部20を備えている。制御部20は、自車位置算出部21、領域算出部22、経路算出部23、自動走行制御部24を有している。自動走行制御部24は、コンバイン1の自動走行を制御する。また、自動走行制御部24は、経路選択部25及び走行制御部26を含んでいる。
【0048】
図1に示すように、衛星測位モジュール80は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)で用いられる人工衛星GSからのGPS信号を受信する。そして、図5に示すように、衛星測位モジュール80は、受信したGPS信号に基づいて、コンバイン1の自車位置を示す測位データを自車位置算出部21へ送る。
【0049】
自車位置算出部21は、衛星測位モジュール80により出力された測位データに基づいて、コンバイン1の位置座標を経時的に算出する。算出されたコンバイン1の経時的な位置座標は、領域算出部22及び自動走行制御部24へ送られる。
【0050】
領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図3に示すように、既刈領域SA及び未刈領域CAを算出する。尚、既刈領域SAは、圃場5内において穀物が収穫済みの領域である。また、未刈領域CAは、圃場5内において穀物がまだ収穫されていない領域である。
【0051】
より具体的には、領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、圃場5における周囲収穫走行でのコンバイン1の走行軌跡を算出する。そして、領域算出部22は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、コンバイン1が周囲収穫走行を行った領域を既刈領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された既刈領域SAにより囲まれた領域を、未刈領域CAとして算出する。
【0052】
例えば、図2においては、圃場5における周囲収穫走行でのコンバイン1の走行経路が矢印で示されている。この走行経路に沿った刈取走行が完了すると、圃場5は、図3に示す状態となる。
【0053】
図3に示すように、領域算出部22は、コンバイン1が周囲収穫走行を行った領域を既刈領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された既刈領域SAにより囲まれた領域を、未刈領域CAとして算出する。
【0054】
そして、図5に示すように、領域算出部22による算出結果は、経路算出部23へ送られる。
【0055】
経路算出部23は、領域算出部22から受け取った算出結果に基づいて、図3に示すように、未刈領域CAにおける刈取走行のための走行経路である刈取走行経路LIを算出する。尚、図3に示すように、本実施形態においては、刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線である。また、複数のメッシュ線は直線でなくても良く、湾曲していても良い。
【0056】
図5に示すように、経路算出部23により算出された複数の刈取走行経路LIは、自動走行制御部24へ送られる。
【0057】
自動走行制御部24における経路選択部25は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、経路算出部23から受け取った複数の刈取走行経路LIと、に基づいて、コンバイン1が次に走行するべき刈取走行経路LIを選択する。経路選択部25により選択された刈取走行経路LIを示す情報は、走行制御部26へ送られる。
【0058】
走行制御部26は、走行装置11を制御可能に構成されている。そして、走行制御部26は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の位置座標と、経路選択部25により選択された刈取走行経路LIを示す情報と、に基づいて、コンバイン1の自動走行を制御する。より具体的には、走行制御部26は、図3に示すように、刈取走行経路LIに沿った自動走行によって刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。
【0059】
この自動走行において、走行制御部26は、現在走行している刈取走行経路LIの次に、経路選択部25により選択された刈取走行経路LIに沿った刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。
【0060】
〔コンバインによる収穫作業の流れ〕
以下では、コンバイン1による収穫作業の例として、コンバイン1が、図2に示す圃場5で収穫作業を行う場合の流れについて説明する。
【0061】
最初に、オペレータは、コンバイン1を手動で操作し、図2に示すように、周囲収穫走行を行う。この周囲収穫走行が完了すると、圃場5は、図3に示す状態となる。
【0062】
領域算出部22は、自車位置算出部21から受け取ったコンバイン1の経時的な位置座標に基づいて、図2に示す周囲収穫走行でのコンバイン1の走行軌跡を算出する。そして、図3に示すように、領域算出部22は、算出されたコンバイン1の走行軌跡に基づいて、コンバイン1が植立穀稈を刈り取りながら走行した圃場5の外周側の領域を既刈領域SAとして算出する。また、領域算出部22は、算出された既刈領域SAにより囲まれた領域を、未刈領域CAとして算出する。
【0063】
次に、経路算出部23は、領域算出部22から受け取った算出結果に基づいて、図3に示すように、未刈領域CAにおける刈取走行経路LIを設定する。
【0064】
そして、オペレータが自動走行開始ボタン(図示せず)を押すことにより、図3に示すように、刈取走行経路LIに沿った自動走行が開始される。このとき、走行制御部26は、刈取走行経路LIに沿った自動走行によって刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。また、走行制御部26は、現在走行している刈取走行経路LIの次に、経路選択部25により選択された刈取走行経路LIに沿った刈取走行が行われるように、コンバイン1の走行を制御する。
【0065】
未刈領域CAにおける自動走行が開始されると、図3に示すように、コンバイン1は、刈取走行経路LIに沿った走行と、αターンによる方向転換と、を繰り返すことにより、未刈領域CAにおける外周部分での刈取走行を行う。これにより、未刈領域CAは縮小していくと共に、既刈領域SAは拡大していく。
【0066】
尚、本実施形態において、領域算出部22は、圃場5における刈取走行の実行中に、既刈領域SA及び未刈領域CAを経時的に算出するように構成されている。
【0067】
そして、図4に示すように、Uターンによる方向転換が可能な程度まで既刈領域SAが拡大すると、コンバイン1は、刈取走行経路LIに沿った走行と、Uターンによる方向転換と、を繰り返すことにより、未刈領域CAの全体を網羅するように刈取走行を行う。
【0068】
尚、本実施形態においては、図2から図4に示すように、圃場外縁部6に運搬車CVが駐車している。そして、既刈領域SAにおいて、運搬車CVの近傍位置には、停車位置PPが設定されている。
【0069】
運搬車CVは、コンバイン1が穀粒排出装置18から排出した穀粒を収集し、運搬することができる。穀粒排出の際、コンバイン1は停車位置PPに停車し、穀粒排出装置18によって穀粒を運搬車CVへ排出する。
【0070】
そして、未刈領域CAにおける全ての刈取走行経路LIに沿った刈取走行が完了すると、圃場5の全体が収穫済みとなる。
【0071】
〔収穫部の昇降制御に関する構成〕
図1及び図5に示すように、コンバイン1は、刈取シリンダ15Aを備えている。また、図5に示すように、自動走行制御部24は、昇降制御部27を有している。
【0072】
昇降制御部27は、刈取シリンダ15Aを制御可能に構成されている。昇降制御部27が刈取シリンダ15Aを伸び方向に制御すると、搬送部16及び収穫部Hは、一体的に、収穫部Hが上昇する方向に揺動する。これにより、収穫部Hは、機体に対して上昇する。
【0073】
また、昇降制御部27が刈取シリンダ15Aを縮み方向に制御すると、搬送部16及び収穫部Hは、一体的に、収穫部Hが下降する方向に揺動する。これにより、収穫部Hは、機体に対して下降する。
【0074】
この構成により、昇降制御部27は、収穫部Hの機体に対する昇降を制御可能である。また、収穫部Hは、機体に対して昇降可能である。
【0075】
即ち、コンバイン1は、機体に対して昇降可能に構成されると共に圃場5の穀物を収穫する収穫部Hを備えている。
【0076】
〔外縁部マップの取得に関する構成〕
図5に示すように、制御部20は、マップ生成部28及び取得部29を有している。また、図5及び図6に示すように、コンバイン1は、検知部30を備えている。
【0077】
本実施形態において、検知部30は、カメラ(例えばCCDカメラやCMOSカメラや赤外線カメラ)である。図6に示すように、検知部30は、コンバイン1の機体後端部に設けられている。また、検知部30は、機体右後方へ向けられている。
【0078】
図6において、コンバイン1は、周囲収穫走行を実行中である。また、図2に示すように、本実施形態において、周囲収穫走行の方向は、平面視で反時計回りである。そのため、図6に示すように、周囲収穫走行が実行されているとき、検知部30は、圃場外縁部6のうち、既刈領域SAに隣接する部分を撮像する。これにより、検知部30は、圃場外縁部6のうち、既刈領域SAに隣接する部分の立体形状を検知する。
【0079】
即ち、コンバイン1は、周囲収穫走行の実行中に、圃場外縁部6のうち、圃場5内において穀物が収穫済みである領域に隣接する部分の立体形状を検知する検知部30を備えている。
【0080】
図5に示すように、検知部30による検知結果は、マップ生成部28へ送られる。
【0081】
マップ生成部28は、検知部30の検知結果に基づいて、外縁部マップを生成する。外縁部マップとは、圃場外縁部6の立体形状の分布を示すマップである。また、外縁部マップは、本発明に係る「外縁部情報」に相当する。そして、取得部29は、マップ生成部28から外縁部マップを取得する。
【0082】
即ち、コンバイン1は、検知部30の検知結果に基づいて圃場外縁部6の立体形状の分布を示す外縁部マップを生成するマップ生成部28を備えている。また、取得部29は、外縁部マップを取得する。また、コンバイン1は、圃場5を囲む状態で設けられた圃場外縁部6の立体形状を示す外縁部情報を取得する取得部29を備えている。
【0083】
尚、周囲収穫走行の開始から完了までの間で、検知部30は、圃場外縁部6の全周を撮像することとなる。これにより、検知部30は、圃場外縁部6の全周に亘って、圃場外縁部6の立体形状を検知することができる。その結果、マップ生成部28は、圃場外縁部6の全周に対応する外縁部マップを生成することができる。
【0084】
図7には、マップ生成部28により生成される外縁部マップの一例が示されている。図7に示す外縁部マップには、畦畔61の側面部61aの位置及び立体形状と、畦畔61の上面部61bの位置及び立体形状と、給排水ポンプ62の位置及び立体形状と、が含まれている。尚、図8に示すように、側面部61aは、外側ほど(圃場5から離れるほど)高くなるように傾斜している。また、上面部61bは水平である。
【0085】
〔外縁部マップに基づく収穫部の昇降制御について〕
図5に示すように、取得部29により取得された外縁部マップは、自動走行制御部24へ送られる。そして、昇降制御部27は、外縁部マップに基づいて収穫部Hの昇降を制御する。
【0086】
以下では、外縁部マップに基づく収穫部Hの昇降制御について詳述する。
【0087】
図8では、コンバイン1が圃場外縁部6の近傍で方向転換をする例が示されている。この例では、周囲収穫走行が既に完了している。そして、マップ生成部28により、外縁部マップが既に生成されている。また、コンバイン1は、自動走行を行っている。
【0088】
図8に示す例では、コンバイン1は、まず、未刈領域CAにおいて刈取走行を行いながら直進する。そして、収穫部Hが未刈領域CAから既刈領域SAに進入すると、コンバイン1は、αターンによって方向転換を行う。
【0089】
より具体的には、収穫部Hが未刈領域CAから既刈領域SAに進入すると、走行制御部26の制御により、コンバイン1は、減速しながら機体左側へ旋回する。そして、コンバイン1は、収穫部Hが平面視で圃場外縁部6に重複する状態で、一旦停止する。
【0090】
その後、コンバイン1は後進及び前進を行いながら、機体の向きを変更する。これにより、コンバイン1の方向転換が完了する。
【0091】
ここで、収穫部Hが未刈領域CAから既刈領域SAに進入する前に、走行制御部26は、経路選択部25により選択された刈取走行経路LIを示す情報と、取得部29から受け取った外縁部マップと、に基づいて、方向転換の際のコンバイン1の目標経路を算出する。尚、図8では、刈取走行経路LIの図示を省略している。
【0092】
そして、走行制御部26は、算出された目標経路に沿ってコンバイン1が方向転換を行うように、コンバイン1の走行を制御する。また、走行制御部26は、算出された目標経路を、収穫部Hが未刈領域CAから既刈領域SAに進入する前に、昇降制御部27へ送る。
【0093】
昇降制御部27は、走行制御部26から受け取った目標経路と、取得部29から受け取った外縁部マップと、に基づいて、収穫部Hの昇降制御の予定を示す昇降予定情報を生成する。そして、昇降制御部27は、生成された昇降予定情報に従って、収穫部Hの昇降を制御する。
【0094】
このとき、昇降制御部27は、収穫部Hが平面視で圃場外縁部6に重複する状態となる際に収穫部Hが圃場外縁部6に干渉しないように、昇降予定情報を生成する。これにより、収穫部Hが平面視で圃場外縁部6に重複する状態となる際、収穫部Hが圃場外縁部6に干渉しないように、収穫部Hの昇降が自動的に制御される。
【0095】
即ち、コンバイン1は、機体の走行に伴って収穫部Hが平面視で圃場外縁部6に重複する状態となる際、外縁部情報に基づいて、収穫部Hが圃場外縁部6に干渉しないように収穫部Hの昇降を自動的に制御する昇降制御部27を備えている。
【0096】
尚、本実施形態において、昇降予定情報には、収穫部Hの上昇を開始する機体位置と、収穫部Hの上昇を終了する機体位置と、収穫部Hの下降を開始する機体位置と、収穫部Hの下降を終了する機体位置と、を示す情報が含まれている。
【0097】
また、図9に示すように、昇降制御部27は、圃場外縁部6の地上高さが低いほど、収穫部Hの上昇を開始する機体位置が圃場外縁部6に近くなるように、昇降予定情報を生成する。これにより、圃場外縁部6の地上高さが低いほど、収穫部Hが平面視で圃場外縁部6に重複する状態となる際に収穫部Hの到達する地上高さが低くなる。
【0098】
即ち、昇降制御部27は、圃場外縁部6の地上高さが低いほど、収穫部Hの地上高さが低くなるように、収穫部Hの昇降を制御する。
【0099】
例えば、図9においては、圃場外縁部6の地上高さが第1高さT1である場合と、圃場外縁部6の地上高さが第2高さT2である場合と、が示されている。第2高さT2は、第1高さT1よりも低い。
【0100】
圃場外縁部6の地上高さが第1高さT1である場合、収穫部Hの前下端が位置P1に到達した時点で、収穫部Hの上昇が開始される。また、圃場外縁部6の地上高さが第2高さT2である場合、収穫部Hの前下端が位置P2に到達した時点で、収穫部Hの上昇が開始される。そして、位置P2と圃場外縁部6との距離は、位置P1と圃場外縁部6との距離よりも短い。
【0101】
そのため、圃場外縁部6の地上高さが第2高さT2である場合は、圃場外縁部6の地上高さが第1高さT1である場合に比べて、収穫部Hの上昇が開始される機体位置が圃場外縁部6に近くなる。これにより、圃場外縁部6の地上高さが第2高さT2である場合は、圃場外縁部6の地上高さが第1高さT1である場合に比べて、収穫部Hが平面視で圃場外縁部6に重複する状態となる際に収穫部Hの到達する地上高さが低くなる。
【0102】
また、図8に示すように、昇降制御部27は、収穫部Hと圃場外縁部6との間の離間距離D1が所定値よりも広い状態が維持されるように、昇降予定情報を生成する。これにより、収穫部Hと圃場外縁部6との間の離間距離D1が所定値よりも広い状態が維持されるように、収穫部Hの昇降が制御される。
【0103】
即ち、昇降制御部27は、収穫部Hと圃場外縁部6との間の離間距離D1が所定値よりも広い状態が維持されるように、収穫部Hの昇降を制御する。
【0104】
尚、この所定値は、任意に設定可能である。
【0105】
〔圃場外縁部の地上高さに応じた走行制御について〕
上述のように、自動走行中のコンバイン1が方向転換を行う際、収穫部Hが未刈領域CAから既刈領域SAに進入する前に、走行制御部26は、経路選択部25により選択された刈取走行経路LIを示す情報と、取得部29から受け取った外縁部マップと、に基づいて、方向転換の際のコンバイン1の目標経路を算出する。そして、走行制御部26は、算出された目標経路に沿ってコンバイン1が方向転換を行うように、コンバイン1の走行を制御する。
【0106】
ここで、図8に示す例では、コンバイン1は、収穫部Hが平面視で圃場外縁部6に重複する状態となる位置まで前進する。
【0107】
しかしながら、本実施形態におけるコンバイン1は、圃場外縁部6の地上高さが所定高さよりも高い場合には、図8に示す例とは異なり、収穫部Hが平面視で圃場外縁部6に重複しないように走行するように構成されている。
【0108】
詳述すると、圃場外縁部6の地上高さが所定高さよりも高い場合、自動走行中のコンバイン1が方向転換を行う際、走行制御部26は、図10に示すようなαターンの目標経路ではなく、図11に示すような目標経路を算出する。そして、走行制御部26は、算出された目標経路に沿ってコンバイン1が方向転換を行うように、コンバイン1の走行を制御する。
【0109】
図11に示す例では、コンバイン1は、まず、未刈領域CAにおいて刈取走行を行いながら直進する。そして、収穫部Hが未刈領域CAから既刈領域SAに進入した後、コンバイン1は、収穫部Hが平面視で圃場外縁部6に重複しない状態で、一旦停止する。
【0110】
その後、コンバイン1は後進及び前進を繰り返しながら、機体の向きを変更する。これにより、コンバイン1の方向転換が完了する。この方向転換を行っている間、走行制御部26は、収穫部Hが平面視で圃場外縁部6に重複しないように機体の走行を制御する。
【0111】
即ち、コンバイン1は、圃場外縁部6の地上高さが所定高さよりも高い場合に収穫部Hが平面視で圃場外縁部6に重複しないように機体の走行を制御する走行制御部26を備えている。
【0112】
尚、この所定高さは、任意に設定可能である。また、図10及び図11では、刈取走行経路LIの図示を省略している。
【0113】
以上で説明した構成であれば、圃場外縁部6の立体形状に応じて、収穫部Hが圃場外縁部6に干渉しないように、収穫部Hの昇降が自動的に制御される。これにより、収穫部Hが圃場外縁部6に干渉することを回避できるコンバイン1を実現できる。
【0114】
〔第1別実施形態〕
上記実施形態においては、取得部29は、マップ生成部28により生成された外縁部マップを取得する。しかしながら、本発明はこれに限定されない。以下では、本発明に係る第1別実施形態について、上記実施形態とは異なる点を中心に説明する。以下で説明している部分以外の構成は、上記実施形態と同様である。また、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付している。
【0115】
図12に示すように、第1別実施形態における制御部20は、マップ更新部32及び取得部129を備えている。
【0116】
取得部129は、コンバイン1の外部に設置された管理サーバ31から、外縁部マップを取得する。尚、管理サーバ31には、過去に圃場5において実施された収穫作業において、検知部30の検知結果に基づいて生成された外縁部マップが格納されている。ただし、本発明はこれに限定されず、管理サーバ31に格納されている外縁部マップは、トラクタや田植機等の作業車により実施された作業において圃場外縁部6の立体形状を検知することにより生成されたものであっても良いし、オペレータの操作入力により生成されたものであっても良い。
【0117】
即ち、取得部129は、圃場外縁部6の立体形状の分布を示す外縁部マップを取得する。
【0118】
図13には、管理サーバ31から取得される外縁部マップの一例が示されている。図13に示す外縁部マップには、畦畔61の側面部61aの位置及び立体形状と、畦畔61の上面部61bの位置及び立体形状と、が含まれている。
【0119】
取得部129は、取得した外縁部マップをマップ更新部32へ送る。また、検知部30による検知結果は、マップ更新部32へ送られる。
【0120】
マップ更新部32は、取得部129から受け取った外縁部マップを、検知部30の検知結果に基づいて更新する。
【0121】
即ち、コンバイン1は、検知部30の検知結果に基づいて外縁部マップを更新するマップ更新部32を備えている。
【0122】
尚、周囲収穫走行の開始から完了までの間で、検知部30は、圃場外縁部6の全周を撮像することとなる。これにより、検知部30は、圃場外縁部6の全周に亘って、圃場外縁部6の立体形状を検知することができる。その結果、マップ更新部32は、外縁部マップの全体を更新することができる。
【0123】
図13には、マップ更新部32により更新される前の外縁部マップの一例が示されている。図13に示す外縁部マップには、畦畔61の側面部61aの位置及び立体形状と、畦畔61の上面部61bの位置及び立体形状と、が含まれている。
【0124】
ここで、マップ更新部32により更新される前の外縁部マップには、給排水ポンプ62の存在を示す情報は含まれていないが、実際には、圃場外縁部6に給排水ポンプ62が含まれているものとする。その場合、周囲収穫走行の実行中に、検知部30により、給排水ポンプ62の立体形状が検知される。その結果、マップ更新部32により更新された外縁部マップには、給排水ポンプ62の位置及び立体形状が含まれることとなる。即ち、例えば、図13に示す外縁部マップが、マップ更新部32により更新されることによって、給排水ポンプ62の存在が反映され、図7に示すような外縁部マップとなる。
【0125】
図12に示すように、マップ更新部32により更新された外縁部マップは、自動走行制御部24へ送られる。そして、昇降制御部27は、更新された外縁部マップに基づいて収穫部Hの昇降を制御する。尚、収穫部Hの昇降制御については、上記実施形態と同様である。
【0126】
即ち、昇降制御部27は、マップ更新部32により更新された外縁部マップに基づいて収穫部Hの昇降を制御する。
【0127】
尚、更新された外縁部マップがマップ更新部32から管理サーバ31へ送られる構成であっても良い。この場合、管理サーバ31に格納されている更新前の外縁部マップが、マップ更新部32から送られた外縁部マップに置き換えられることにより、管理サーバ31に格納されている外縁部マップが更新される構成であっても良い。
【0128】
〔その他の実施形態〕
(1)走行装置11は、ホイール式であっても良いし、セミクローラ式であっても良い。
【0129】
(2)上記実施形態においては、経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、縦横方向に延びる複数のメッシュ線でなくても良い。例えば、経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、渦巻き状の走行経路であっても良い。また、刈取走行経路LIは、別の刈取走行経路LIと直交していなくても良い。また、経路算出部23により算出される刈取走行経路LIは、互いに平行な複数の平行線であっても良い。
【0130】
(3)自車位置算出部21、領域算出部22、経路算出部23、自動走行制御部24、経路選択部25、走行制御部26、昇降制御部27、マップ生成部28、取得部29、129、マップ更新部32のうち、一部または全てがコンバイン1の外部に備えられていても良いのであって、例えば、コンバイン1の外部に設けられた管理施設や管理サーバ31に備えられていても良い。
【0131】
(4)検知部30は、カメラ以外であっても良い。例えば、検知部30は、レーダーであっても良いし、LIDAR(レーザーレーダー)であっても良い。
【0132】
(5)コンバイン1は、自動走行ができないように構成されていても良い。その場合、例えば、車速及び操向が手動操作によって制御され、収穫部Hの昇降が昇降制御部27により自動的に制御される構成であっても良い。
【0133】
(6)昇降制御部27が、圃場外縁部6の地上高さとは無関係に収穫部Hの昇降を制御するように構成されていても良い。
【0134】
(7)上記実施形態においては、昇降制御部27は、収穫部Hと圃場外縁部6との間の離間距離D1が所定値よりも広い状態が維持されるように、収穫部Hの昇降を制御する。しかしながら、本発明はこれに限定されず、このような所定値が設定されていなくても良い。
【0135】
(8)検知部30は、コンバイン1に設けられていなくても良い。例えば、検知部30は、飛行可能なマルチコプターに設けられていても良い。
【0136】
(9)マップ生成部28は、検知部30の検知結果以外の情報に基づいて、外縁部マップを生成しても良い。例えば、マップ生成部28は、手動操作によって収穫部Hが昇降したときの収穫部Hの軌跡に基づいて、外縁部マップを生成しても良い。
【0137】
(10)外縁部マップは、畦畔61の側面部61aにおける最も低い部分の位置及び高さと、畦畔61の側面部61aにおける最も高い部分の位置及び高さと、を示すものであっても良い。
【0138】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明は、圃場の作物を収穫する収穫部を備える収穫機に利用可能である。
【符号の説明】
【0140】
1 コンバイン(収穫機)
5 圃場
6 圃場外縁部
26 走行制御部
27 昇降制御部
28 マップ生成部
29、129 取得部
30 検知部
32 マップ更新部
D1 離間距離
H 収穫部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13