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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】マッサージ装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
A61H7/00 322B
A61H7/00 322A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020111891
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022011030
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】田端 邦裕
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 敬介
(72)【発明者】
【氏名】小原 浩志
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-050571(JP,A)
【文献】特開2007-289447(JP,A)
【文献】国際公開第2016/170936(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台(1)の前面に固定支持される側面視がコ字状のガイド枠(12)と、ガイド枠(12)に対して上下スライド自在に案内される横断視がコ字状のスライド枠(14)と、スライド枠(14)の内面に配設されて、施療部位にマッサージ刺激を付与する施療エアバッグ(15)と、スライド枠(14)の後面に突設した座壁(16)とガイド枠(12)の上壁との間に配置されて、膨張した状態の施療エアバッグ(15)を施療部位に沿って変位操作する操作エアバッグ(17)と、座壁(16)とガイド枠(12)の下壁との間に配置されて、操作エアバッグ(17)により変位操作された施療エアバッグ(15)を復帰操作する復帰操作手段(18)とを備えたマッサージ構造(4)と、
加圧空気を各エアバッグに供給するエアポンプ(7)および分配器(8)と、
エアポンプ(7)および分配器(8)の作動状態を制御する制御手段(9)と、
制御手段(9)に作動指令信号を出力するコントローラー(5)と、
を備えており、
操作エアバッグ(17)は、加圧空気の供給を受けて施療部位に沿って伸張変形する展開姿勢と、加圧空気が排気されて収縮する非展開姿勢との間で膨縮可能に構成されており、
施療エアバッグ(15)は、加圧空気の供給を受けて膨張して、施療部位を圧迫する作動姿勢と、加圧空気が排気されて収縮する非作動姿勢との間で膨縮可能に構成されており、
操作エアバッグ(17)が非展開姿勢に収縮したときの施療エアバッグ(15)の位置をスタート位置と規定し、操作エアバッグ(17)が展開姿勢に膨張したときの施療エアバッグ(15)の位置を施療位置と規定したとき、復帰操作手段(18)は、施療位置からスタート位置に施療エアバッグ(15)を復帰操作させるものであり、
制御手段(9)には、施療部位に引っ張り刺激を与える引っ張りモードが設定されており、制御手段(9)は、コントローラー(5)から出力された前記モードに係る作動指令信号に基づいてエアポンプ(7)および分配器(8)の作動状態を制御しており、
引っ張りモードにおいては、操作エアバッグ(17)を非展開姿勢とした状態で施療エアバッグ(15)を膨張して作動姿勢とする施療開始動作と、操作エアバッグ(17)を非展開姿勢から展開姿勢として、作動姿勢にある施療エアバッグ(15)を施療部位に沿って変位させてスタート位置から施療位置まで移動させる移動動作とを含み、当該移動動作において施療部位に引っ張り刺激を付与することができるように構成されていることを特徴とするマッサージ装置。
【請求項2】
引っ張りモードは、移動動作後に操作エアバッグ(17)を非展開姿勢として、施療エアバッグ(15)を施療位置から施療開始動作時のスタート位置に復帰させる復帰動作を含み、
復帰操作手段(18)が、復帰ばね(18)で構成されている請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項3】
引っ張りモードは、移動動作後に操作エアバッグ(17)を非展開姿勢として、施療エアバッグ(15)を施療位置から施療開始動作時のスタート位置に復帰させる復帰動作を含み、
復帰操作手段(18)が、復帰エアバッグ(26)で構成されている請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項4】
引っ張りモードにおいて、操作エアバッグ(17)と復帰エアバッグ(26)とを交互に膨縮させて、作動姿勢の施療エアバッグ(15)を、スタート位置と施療位置との間で複数回変位操作するように構成されている請求項3に記載のマッサージ装置。
【請求項5】
療エアバッグ(15)は、施療部位を刺激する膨縮部が断面コ字状のスライド枠(14)の少なくとも一つの内面に沿うように配置されている請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項6】
基台(1)の前面には、上下一対のマッサージ構造(4・4)が設けられており、
上側のマッサージ構造(4)は、展開姿勢における操作エアバッグ(17)が、作動姿勢にある施療エアバッグ(15)を施療部位に沿って上向きに変位させて施療位置まで移動操作でき、
下側のマッサージ構造(4)は、展開姿勢における操作エアバッグ(17)が、作動姿勢にある施療エアバッグ(15)を施療部位に沿って下向きに変位させて施療位置まで移動操作でき、
引っ張りモードにおいて、上下一対のマッサージ構造(4・4)で施療部位に互いに逆向きの引っ張り刺激を付与できる請求項1から5のいずれかひとつに記載のマッサージ装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばふくらはぎや太ももなどをマッサージするためのエアバッグ式のマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエアバッグ式のマッサージ装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1のマッサージ装置は、例えばふくらはぎに巻付け装着される押圧本体部と、押圧本体部の内面に配置される3個のエアバッグと、加圧空気を各エアバッグに送給するエアポンプおよび電磁弁と、これらの機器の作動状態を制御する制御部と、マッサージ装置の運転状態を制御部に出力する操作部などで構成される。3個のエアバッグには加圧空気が同時に送給されるが、各エアバッグの伸縮変形のしやすさを異ならせているので、伸縮変形しやすい順番でエアバッグを膨張させて、ふくらはぎにマッサージ刺激を付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-35299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のマッサージ装置は、3個のエアバッグを変形しやすい順に膨張変形させているので、広い施療範囲にマッサージ刺激を付与できる。しかし、特許文献1のマッサージ装置は、エアバッグの膨張変形に伴う圧迫刺激を付与してマッサージを行うだけであり、マッサージ刺激が単調になりがちで、短時間でマッサージ刺激に慣れてしまうきらいがある。
【0005】
本発明の目的は、施療部位に対して圧迫刺激以外の刺激を付与することが可能であり、より多様なマッサージ刺激を施療部位に付与することができる、エアバッグ式のマッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るマッサージ装置は、基台1の前面に固定支持される側面視がコ字状のガイド枠12と、ガイド枠12に対して上下スライド自在に案内される横断視がコ字状のスライド枠14と、スライド枠14の内面に配設されて、施療部位にマッサージ刺激を付与する施療エアバッグ15と、スライド枠14の後面に突設した座壁16とガイド枠12の上壁との間に配置されて、膨張した状態の施療エアバッグ15を施療部位に沿って変位操作する操作エアバッグ17と、座壁16とガイド枠12の下壁との間に配置されて、操作エアバッグ17により変位操作された施療エアバッグ15を復帰操作する復帰操作手段18とを備えたマッサージ構造4と、加圧空気を各エアバッグに供給するエアポンプ7および分配器8と、エアポンプ7および分配器8の作動状態を制御する制御手段9と、制御手段9に作動指令信号を出力するコントローラー5とを備える。操作エアバッグ17は、加圧空気の供給を受けて施療部位に沿って伸張変形する展開姿勢と、加圧空気が排気されて収縮する非展開姿勢との間で膨縮可能に構成されている。施療エアバッグ15は、加圧空気の供給を受けて膨張して、施療部位を圧迫する作動姿勢と、加圧空気が排気されて収縮する非作動姿勢との間で膨縮可能に構成されている。操作エアバッグ17が非展開姿勢に収縮したときの施療エアバッグ15の位置をスタート位置と規定し、操作エアバッグ17が展開姿勢に膨張したときの施療エアバッグ15の位置を施療位置と規定したとき、復帰操作手段18は、施療位置からスタート位置に施療エアバッグ15を復帰操作させる。制御手段9には、施療部位に引っ張り刺激を与える引っ張りモードが設定されている。制御手段9は、コントローラー5から出力された前記モードに係る作動指令信号に基づいてエアポンプ7および分配器8の作動状態を制御している。引っ張りモードにおいては、操作エアバッグ17を非展開姿勢とした状態で施療エアバッグ15を膨張して作動姿勢とする施療開始動作と、操作エアバッグ17を非展開姿勢から展開姿勢として、作動姿勢にある施療エアバッグ15を施療部位に沿って変位させてスタート位置から施療位置まで移動させる移動動作とを含み、当該移動動作において施療部位に引っ張り刺激を付与することができるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
引っ張りモードは、移動動作後に操作エアバッグ17を非展開姿勢として、施療エアバッグ15を施療位置から施療開始動作時のスタート位置に復帰させる復帰動作を含む。復帰操作手段18は、復帰ばね18で構成されている。
【0008】
引っ張りモードは、移動動作後に操作エアバッグ17を非展開姿勢として、施療エアバッグ15を施療位置から施療開始動作時のスタート位置に復帰させる復帰動作を含む。復帰操作手段18は、復帰エアバッグ26で構成されている。
【0009】
引っ張りモードにおいて、操作エアバッグ17と復帰エアバッグ26とを交互に膨縮させて、作動姿勢の施療エアバッグ15を、スタート位置と施療位置との間で複数回変位操作するように構成されている。
【0010】
療エアバッグ15は、施療部位を刺激する膨縮部が断面コ字状のスライド枠14の少なくとも一つの内面に沿うように配置されている。
【0013】
基台1の前面には、上下一対のマッサージ構造4・4が設けられている。上側のマッサージ構造4は、展開姿勢における操作エアバッグ17が、作動姿勢にある施療エアバッグ15を施療部位に沿って上向きに変位させて施療位置まで移動操作する。下側のマッサージ構造4は、展開姿勢における操作エアバッグ17が、作動姿勢にある施療エアバッグ15を施療部位に沿って下向きに変位させて施療位置まで移動操作する。引っ張りモードにおいて、上下一対のマッサージ構造4・4で施療部位に互いに逆向きの引っ張り刺激を付与できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るマッサージ装置においては、施療部位に対して引っ張り刺激を与える引っ張りモードを設定した。より具体的には、本発明に係るマッサージ装置においては、施療エアバッグ15を膨張して作動姿勢としたのち、操作エアバッグ17を展開姿勢として、作動姿勢にある施療エアバッグ15を施療部位に沿って変位させる引っ張りモードを設定した。以上のようなマッサージ装置によれば、膨張して作動姿勢とした施療エアバッグ15を施療部位に沿って変位させる引っ張り刺激を施療部位に付与することができる。また、施療エアバッグ15は操作エアバッグ17で変位操作されるので、施療エアバッグ15を機構的に変位操作する場合に比べて、マッサージ装置の構造を簡素化して製造に要するコストを削減できる。
【0023】
施療エアバッグ15を施療位置からスタート位置に向かって復帰操作する復帰ばね18が設けられていると、引っ張りモードの復帰動作において、移動エアバッグ47を排気することにより、復帰ばね18のばね力で施療エアバッグ15をスタート位置へ素早くしかも確実に復帰させることができる。また、施療エアバッグ15を、復帰ばね18のばね力により常に一定の位置まで復帰操作することができる。
【0024】
施療エアバッグ15を施療位置からスタート位置へ向かって復帰操作する復帰エアバッグ26が設けられていると、引っ張りモードの復帰動作時に、移動エアバッグ47を排気しながら、復帰エアバッグ26に加圧空気を供給することにより、復帰エアバッグ26の伸張動作により施療エアバッグ15を施療位置からスタート位置へ素早くしかも確実に復帰させることができる。
【0025】
移動エアバッグ47と復帰エアバッグ26とを交互に膨縮させて、作動姿勢の施療エアバッグ15を、スタート位置と施療位置との間で複数回変位操作するように構成されていると、両位置の間に存する施療部位に対して引っ張り刺激を連続的に付与することができる。
【0026】
固定支持されるガイド枠12と、ガイド枠12で往復スライド可能に支持される断面がコ字状のスライド枠14を備えており、スライド枠14の内面には施療エアバッグ15が配置されており、施療エアバッグ15が、施療部位を刺激する膨縮部が断面コ字状のスライド枠14の少なくとも一つの内面に沿うように配置することができる。これによれば、
例えば、コ字状のスライド枠14の内部にふくらはぎを挿入させた場合には、施療エアバッグ15の背面側をスライド枠14で受止めた状態で、施療エアバッグ15を施療部側へ向かって膨張させることができるので、施療部を確りと保持して、安定的に引っ張り刺激等を付与することができる。また、施療エアバッグ15がスライド枠14の左右の側壁に設けてある場合には、対を為す施療エアバッグ15でふくらはぎの左右の側面を、しっかりと挟持して、さらに安定した状態で引っ張り刺激等を付与することができる。
【0027】
スライド枠14とガイド枠12の間に復帰ばね18が設けられていると、引っ張りモードの復帰動作において、操作エアバッグ17および施療エアバッグ15を排気することにより、復帰ばね18のばね力で施療エアバッグ15をスタート位置へ素早くしかも確実に復帰させることができる。また、施療エアバッグ15を、復帰ばね18のばね力により常に一定の位置まで確実に復帰操作することができる。
【0028】
スライド枠14とガイド枠12の間に、引っ張りモードにおける復帰動作時において、施療位置からスタート位置に向かって施療エアバッグ15を復帰操作する復帰エアバッグ26が設けられていると、引っ張りモードの復帰動作時に、移動エアバッグ47を排気しながら、復帰エアバッグ26に加圧空気を供給することにより、復帰エアバッグ26の伸張動作により施療エアバッグ15を施療位置からスタート位置へ素早くしかも確実に復帰させることができる。
【0029】
上下一対のマッサージ構造4・4を備えるマッサージ装置においては、上下の施療部位にマッサージ刺激を付与できるので、1個のマッサージ構造4でマッサージ刺激を付与する場合に比べて、より広い施療範囲をマッサージできる。また、引っ張りモードにおいては、上下一対のマッサージ構造4・4で施療部位に互いに逆向きの引っ張り刺激を付与できるので、1個のマッサージ構造4でマッサージ刺激を付与する場合に比べて、より強い引っ張り刺激を施療部位に付与することができる。
【0030】
少なくとも2個の施療エアバッグ15(15A・15B)と、両エアバッグ15A・15Bの間に連結される移動エアバッグ47を備えるものとし、引っ張りモードは、移動エアバッグ47を非展開姿勢とした状態で施療エアバッグ15(15A・15B)を膨張させて作動姿勢とする施療開始動作と、移動エアバッグ47を非展開姿勢から展開姿勢として、作動姿勢にある施療エアバッグ15(15A・15B)を、施療部位に沿って変位させて施療位置まで移動させる移動動作とを含み、当該移動動作において施療部位に引っ張り刺激を付与することができるように構成することができる。これによれば、引っ張りモードの移動動作時に、少なくとも2個の施療エアバッグ15(15A・15B)により、少なくとも2箇所の施療部位に対して引っ張り刺激を付与することができる。また、施療エアバッグ15(15A・15B)を移動エアバッグ47で変位操作するので、施療エアバッグ15(15A・15B)を機構的に変位操作する場合に比べて、マッサージ装置の構造を簡素化して製造に要するコストを削減できる。さらに、マッサージ装置が椅子などに固定されていないので、使用者が自由に施療領域を選定でき、例えば足首から膝下までのふくらはぎ部分や、膝上から太ももの付け根にわたる部分、あるいは、足首から太ももの付け根にわたる部分など、下肢の広い施療領域にマッサージを施すことができる。
【0031】
施療エアバッグ15(15A・15B)を施療位置からスタート位置に向かって復帰操作する復帰操作手段が設けられていると、移動動作が終了した施療エアバッグ15(15A・15B)を復帰操作手段で施療位置からスタート位置へ素早くしかも確実に復帰操作させることができる。
【0032】
復帰操作手段が、施療エアバッグ15(15A・15B)の間に設けた復帰ばね55で構成されていると、引っ張りモードの復帰動作において、移動エアバッグ47を排気することにより、復帰ばね18のばね力で施療エアバッグ15をスタート位置へ素早くしかも確実に復帰させることができる。また、施療エアバッグ15を、復帰ばね18のばね力により常に一定の位置まで確実に復帰操作することができる。
【0033】
移動エアバッグ47が伸縮可能な弾性材で形成されており、移動エアバッグ47は展開姿勢から非展開姿勢に自己復帰可能に構成されており、この移動エアバッグ47が復帰操作手段を兼ねている構成を採ることができる。これによれば、移動エアバッグ47が復帰操作手段を兼ねるので、別途ばね構造を設ける場合に比べて、マッサージ装置の外観をすっきりさせてデザイン性を向上できる。また、ばね構造を省略できる分だけマッサージ装置の構造を簡素化することができる。
【0034】
一対の施療エアバッグ15(15A・15B)と移動エアバッグ47のうち、少なくとも移動エアバッグ47が伸縮可能な弾性材で形成したバッグカバー57で覆われており、バッグカバー57が復帰操作手段を兼ねていると、上記と同様に、別途ばね構造を設ける場合に比べて、マッサージ装置の外観をすっきりさせてデザイン性を向上できる。また、ばね構造を省略できる分だけマッサージ装置の構造を簡素化することができる。
【0035】
引っ張りモードの施療開始動作においては、一方の施療エアバッグ15(15A)を膨張させて作動姿勢とするタイミングと、他方の施療エアバッグ15(15B)を膨張させて作動姿勢とするタイミングとをずらしており、移動動作においては、両施療エアバッグ15(15A・15B)が作動姿勢とされたのちに、移動エアバッグ47を非展開姿勢から展開姿勢として、両施療エアバッグ15(15A・15B)を施療位置まで移動させるように構成することができる。これによれば、二つの施療エアバッグ15(15A・15B)の膨張タイミングをずらすことで、両施療エアバッグ15(15A・15B)を同時に膨張させる形態に比べて、両施療エアバッグ15(15A・15B)の間に位置する施療部位における血流を維持しながら、両施療エアバッグ15(15A・15B)を作動姿勢とすることができるので、被施療者の身体負担を抑えることができる。また、この状態から移動動作を行うことで、両施療エアバッグ15(15A・15B)の間に位置する施療部位に対して、血流が抑制された状態で引っ張り刺激を付与することができる。
【0036】
一方の施療エアバッグ15(15B)と移動エアバッグ47とが、一方の施療エアバッグ15(15B)から移動エアバッグ47へ向かう加圧空気の流動を許す逆止弁60を介して連通されており、移動エアバッグ47が排気チューブ61を介してエアポンプ7の吸引口に連通されて、排気チューブ61の中途部に電磁開閉弁62が配置されており、施療開始動作時に、一方の施療エアバッグ15(15B)に送給された加圧空気を、逆止弁60を介して移動エアバッグ47に送給でき、移動動作時に、電磁開閉弁62が開操作されて、移動エアバッグ47内の加圧空気をエアポンプ7の吸引力で強制的に排気する構成を採ることができる。これによれば、一方の施療エアバッグ15(15B)に送給される加圧空気を利用して移動エアバッグ47を膨張させて展開姿勢とすることができるので、分配器8と移動エアバッグ47とを、例えば給排気チューブで接続する必要がなくなり、分配構造を簡素化できる。また、移動エアバッグ47内の加圧空気をエアポンプ7の吸引力で強制的に排気するので、移動エアバッグ47を速やかに収縮させて、復帰動作に要する時間を短縮できる。
【0037】
一対の施療エアバッグ15(15A・15B)を伸縮可能な弾性材で形成したバッグカバー34・40で覆い、バッグカバー34・40の施療面側に、施療部位に密着する滑止め体36・42が固定されていると、施療エアバッグ15A・15Bの膨張時に、滑り止め体36・42を施療部位に強く密着させて、施療エアバッグ15A・15Bが施療部位に沿って滑り移動することを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の実施例1に係るマッサージ装置を概念的に示す縦断側面図である。
図2】実施例1に係るマッサージ装置の概略横断平面図である。
図3】実施例1に係るマッサージ装置の使用状態を示す側面図である。
図4】実施例1に係るマッサージ装置の給排気構造を示すブロック図である。
図5】本発明の実施例2に係るマッサージ装置の概略を示す説明図である。
図6】実施例2に係るマッサージ装置の給排気構造を示すブロック図である。
図7】本発明の実施例3に係るマッサージ構造の概略を示す横断平面図である。
図8】本発明の実施例4に係るマッサージ構造の概略を示す縦断側面図である。
図9】本発明の実施例5に係るマッサージ装置の使用状態を示す側面図である。
図10】本発明の実施例6に係るマッサージ装置を展開した正面図である。
図11】実施例6に係るマッサージ装置の使用状態を示す側面図である。
図12】実施例6に係るマッサージ装置の作動状態を示す動作説明図である。
図13】本発明の実施例7に係るマッサージ装置の概略を示す縦断正面図である。
図14】実施例7に係るマッサージ装置の横断平面図である。
図15】実施例7に係るマッサージ装置の使用状態を示す説明図である。
図16】本発明の実施例8に係るマッサージ装置の概略構造を示す説明図である。
図17】実施例8に係るマッサージ装置の横断平面図である。
図18】本発明の実施例9に係るマッサージ装置の概略構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(実施例1) 図1から図4は、本発明に係るマッサージ装置を下肢用のマッサージ装置に適用した実施例1を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、図1および図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図3に示すようにマッサージ装置は、基台1の上面に着座2が設けられており、基台1の前面の左右に第1マッサージ構造(マッサージ構造)4が配置されている。図4に示すようにマッサージ装置は、第1マッサージ構造4を構成する各種エアバッグに対して加圧空気を供給するエアポンプ7および分配器8と、エアポンプ7および分配器8の作動状態を制御する制御手段9と、制御手段9に作動信号を出力するコントローラー5などを備えている。コントローラー5には電源スイッチや、運転モードボタン、あるいは現在の運転状況を表示する表示灯などが設けられている。図1および図2において符号10は給排気用のチューブである。
【0040】
図1および図2において第1マッサージ構造4は、基台1の前面に固定される側面視がコ字状のガイド枠12と、ガイド枠12の上下壁で支持したガイド軸13で上下スライド自在に案内される横断面がコ字状のスライド枠14と、スライド枠14の内周面に配置される施療エアバッグ15と、スライド枠14の後面に突設した座壁16とガイド枠12の上壁との間に配置される左右一対の操作エアバッグ17と、座壁16とガイド枠12の下壁との間に配置される左右一対の復帰ばね(復帰操作手段)18とを備えている。復帰ばね18は、圧縮コイルバネからなる。図2に示すようにスライド枠14の外面、および施療エアバッグ15の内周面は、バッグカバー19で覆われており、バッグカバー19の左右対向面には滑止め体20が固定されている。滑止め体20には、施療部位に密着して摩擦抵抗を大きくする摩擦突起21の一群が膨出形成されている。
【0041】
施療エアバッグ15は、ポリエステルやポリウレタンなどの伸縮可能な弾性生地(弾性材)で横長袋状に形成されており、その複数個所がスライド枠14の内周面に固定されて、横断面がコ字状に保形されている。施療エアバッグ15は、図2に実線で示すように加圧空気が排気されて収縮する非作動姿勢と、図2に想像線で示すように加圧空気の供給を受けてふくらはぎ(施療部位)を3方向から挟持する作動姿勢との間で膨縮可能に構成されている。操作エアバッグ17は、施療エアバッグ15と同様に、ポリエステルやポリウレタンなどの伸縮可能な弾性生地(弾性材)で多段袋状に形成されており、その上端部および下端部が、ガイド枠12の上壁と座壁16に固定されている。操作エアバッグ17は、加圧空気の供給を受けて施療部位に沿って伸張変形し、スライド枠14を復帰ばね18のばね力に逆らって押下げ操作する展開姿勢と、加圧空気が排気されて収縮する非展開姿勢との間で膨縮可能に構成されている。操作エアバッグ17が収縮した状態における復帰ばね18は、ごく小さなばね力で操作エアバッグ17の収縮状態を保持している。
【0042】
制御手段9は、コントローラー5から出力された作動指令信号に基づき、エアポンプ7および分配器8の作動状態を制御して、施療エアバッグ15および操作エアバッグ17を膨縮させて、施療部位に対して圧迫刺激、および引っ張り刺激を単独で付与し、或いは両刺激を組み合わせたマッサージ刺激を付与する。以下、各モードにおける各エアバッグ15・17の作動状態を説明する。
【0043】
(圧迫モード)
圧迫モードにおける制御手段9は、コントローラー5から出力された作動指令信号に基づき、エアポンプ7および分配器8の作動状態を制御して、施療エアバッグ15および操作エアバッグ17を膨縮させる。詳しくは、操作エアバッグ17が非展開姿勢に収縮した状態と、操作エアバッグ17が展開姿勢に膨張し伸張した状態の少なくとも2個所で施療エアバッグ15を非作動姿勢と作動姿勢との間で膨縮させることにより、複数の施療部位に圧迫刺激を付与することができる。換言すれば、操作エアバッグ17が非展開姿勢に収縮したときの施療エアバッグ15の位置をスタート位置と規定し、操作エアバッグ17が展開姿勢に膨張したときの施療エアバッグ15の位置を施療位置と規定したとき、上記のスタート位置と施療位置の少なくとも2箇所において施療エアバッグ15を非作動姿勢と作動姿勢との間で膨縮させることにより、両位置において施療部位に対して圧迫刺激を付与することができる。また、操作エアバッグ17の伸張変形量が十分に大きい場合には、スタート位置と施療位置の中途部において施療エアバッグ15を膨縮させることにより、当該中途部に係る施療部位に対しても圧迫刺激を付与することもできる。操作エアバッグ17が膨縮されて施療エアバッグ15が移動されるとき、当該施療エアバッグ15は加圧空気が排気されて収縮する非作動姿勢とされる。各位置における施療エアバッグ15による圧迫刺激の付与回数が所定回数に達したら、操作エアバッグ17を非展開姿勢として、施療エアバッグ15をスタート位置に復帰させて、1回目のマッサージ処理を終了する。1回目のマッサージ処理が終了したのちは、一定時間休止したのち1回目と同様のマッサージ処理を実行する。以上のような、休止とマッサージ処理とを交互に所定回数行ったのち、或いは、使用者がコントローラー5の停止ボタンをオン操作したとき、圧迫モードに係るマッサージ処理は終了される。
【0044】
(引っ張りモード)
引っ張りモードにおける制御手段9は、施療開始動作を行ったのち、移動動作と復帰動作とを繰り返し行って、スタート位置と施療位置との間に存する施療部位に対して引っ張り刺激を付与する。まず、施療開始動作では、操作エアバッグ17が非展開姿勢に収縮した状態で施療エアバッグ15を膨張させて非作動姿勢から作動姿勢とする。換言すれば、スタート位置で施療エアバッグ15を膨張して作動姿勢とする。本実施例では、施療エアバッグ15を膨張させたとき、当該施療エアバッグ15により、ふくらはぎの左右側面および後ろ面を挟持することができるようになっている。次に、制御手段9は、施療エアバッグ15をスタート位置から施療位置まで移動させる移動動作を実行する。具体的には、施療エアバッグ15を膨張した作動姿勢に維持させたままで、操作エアバッグ17を非展開姿勢から展開姿勢に膨張させて伸張変形させる。これにより、ふくらはぎを挟持している状態の施療エアバッグ15を、施療部位に沿って操作エアバッグ17の伸張距離分だけ(スタート位置から施療位置まで)変位操作させることができるので、ふくらはぎにひざから離れる向きの引っ張り刺激を付与することができる。また、このとき、スライド枠14が復帰ばね18のばね力に逆らって押し下げ操作される。
【0045】
次に、制御手段9は、施療エアバッグ15を施療位置からスタート位置まで復帰させる復帰動作を実行する。具体的には、操作エアバッグ17を非展開姿勢に収縮させて、スライド枠14および施療エアバッグ15を復帰ばね18のばね力で押し上げて、スタート位置へ復帰させる。これにより、ふくらはぎを挟持している状態の施療エアバッグ15を、施療部位に沿って操作エアバッグ17の伸張距離分だけ(施療位置からスタート位置まで)変位操作させることができるので、ふくらはぎにひざに近づく向きの引っ張り刺激を付与することができる。このときの操作エアバッグ17は、排気動作に伴って自己の弾性でスタート位置へ向かって復帰収縮するので、復帰ばね18のばね力を受けてスライド枠14および施療エアバッグ15がスタート位置へ復帰する動作が助勢される。このとき、施療エアバッグ15はスタート位置へ復帰するときの運動慣性力で、スタート位置を越えて移動することがあり、その場合には、スタート位置を越える向きの引っ張り刺激をふくらはぎに付与できる。以後、移動動作と復帰動作とを所定回数繰り返し行ったのち、スタート位置に施療エアバッグ15を復帰させたのち、施療エアバッグ15を非作動姿勢とすることで、引っ張りモードを終了する。
【0046】
なお、上記の引っ張りモードにおいては、施療エアバッグ15が膨張した状態で、操作エアバッグ17を膨張させて非作動姿勢から作動姿勢にして、ふくらはぎにひざから離れる向きの引っ張り刺激を付与するが、こののち、操作エアバッグ17を非展開姿勢に収縮させるだけで、引っ張られていたふくらはぎ(施療部位)の弾性復帰力で、施療エアバッグ15をスタート位置へ戻すことができる。その場合には、復帰ばね18を省略することができる。また、上記のように施療エアバッグ15を作動姿勢に維持した状態のままで、操作エアバッグ17を非展開姿勢に収縮させて、復帰ばね18でスタート位置へ戻すことにより、施療エアバッグ15のスタート位置への復帰を、確実かつ迅速に行えるが、施療エアバッグ15を非展開姿勢に収縮させた状態にしたうえで、復帰ばね18でスタート位置へ戻すこともできる。その場合には、ふくらはぎに引っ張り刺激を付与したのち、施療エアバッグ15を非展開姿勢に収縮させて、施療エアバッグ15によるふくらはぎの拘束を一時的に解放できるので、くつろぎ感のあるマッサージを行うことができる。引っ張りモードにおいては、上記の異なるいくつかのマッサージ動作を組み合わせて行うことができる。上記のように、復帰ばねを省略して、ふくらはぎ(施療部位)の弾性復帰力で、施療エアバッグ15をスタート位置へ戻す形態は、以下の各実施例においても同様に採用することができる。
【0047】
(複合モード)
複合モードにおける制御手段9は、上記の各モードを組み合わせて、施療部位にマッサージ刺激を付与する。例えば所定時間が経過するごとに、圧迫モードによるマッサージと、引っ張りモードによるマッサージとを順に行って、施療部位に圧迫刺激と、引っ張り刺激を付与してマッサージを行うことができる。複合モードにおいては、使用者がコントローラー5の切換えボタンをオン操作することにより、異なるモードに切換えて、施療部位に好みのマッサージ刺激を付与することができる。なお、左右の第1マッサージ構造4・4は、各モードを同期して実行するものであっても、各モードを同期せずに実行して、左右のふくらはぎに異なるマッサージ刺激を付与するようにしてもよい。
【0048】
以上のように構成した実施例1のマッサージ装置によれば、施療部位に圧迫刺激以外に引っ張り刺激を付与することができるので、施療部位に付与されるマッサージ刺激を多様化して、飽きにくく慣れにくいマッサージ刺激を施療部位に付与することができる。また、引っ張りモードの復帰動作においては、スライド枠14および施療エアバッグ15を復帰ばね18のばね力でスタート位置へ素早くしかも確実に復帰させることができるので、一連の施療動作に要するサイクルタイムを短縮して、施療部位に対するマッサージ刺激の付与を間延びすることもなくきびきびと行うことができる。さらに、操作エアバッグ17および施療エアバッグ15を、復帰ばね18で常に一定の位置まで確実に復帰操作することもできる。
【0049】
本実施例1のマッサージ装置において、ガイド枠12は、基台1に対して上下位置の調整が可能な状態で設置することができる。この場合には、施療エアバッグ15で挟持されるふくらはぎの部位を上下に調整することが可能となるので、例えば、ふくらはぎの上部、ふくらはぎの中途部、ふくらはぎの下部などの複数個所に対して、本実施例1のマッサージ装置を用いてマッサージ刺激を付与することが可能となる。
【0050】
(実施例2) 図5図6は本発明に係るマッサージ装置を椅子型のマッサージ装置に適用した実施例2を示す。実施例2のマッサージ装置では、着座2の前面の左右に実施例1と同様の第1マッサージ構造4が設けられ、着座2の後部に設けた背もたれ3の上下に、第2マッサージ構造(マッサージ構造)4S(ここでの「S」はSecondの略)と第3マッサージ構造(マッサージ構造)4T(ここでの「T」はThirdの略)とが設けられている。第2マッサージ構造4Sと第3マッサージ構造4Tは、基本的に実施例1の第1マッサージ構造4と同じ構造であるので、同じ部材には同じ数字符号を付与してその説明を省略する。以下の実施例においても同様とする。ただし、第1マッサージ構造4の部材との識別を明確化するために、第2マッサージ構造4Sの部材の場合には数字符号の末尾にS(Second)を付加し、さらに第3マッサージ構造4Tの部材の場合には数字符号の末尾にT(Third)を付加している。なお、首筋の後部をマッサージする第3マッサージ構造4Tのスライド枠14Tと施療エアバッグ15Tは、第1マッサージ構造4のスライド枠14と施療エアバッグ15よりひと回り大きく構成されている。また、腰後部をマッサージする第2マッサージ構造4Sのスライド枠14Sと施療エアバッグ15Sは、さらにひと回り大きく構成されている。
【0051】
このように、第1から第3のマッサージ構造4・4S・4Tを備えた実施例2のマッサージ装置によれば、3個のマッサージ構造4・4S・4Tを独立して個別に作動させることができるのはもちろん、3個のマッサージ構造4・4S・4Tを連動して作動させて、ふくらはぎ、腰後部、首筋の後部を同時にマッサージすることができる。また、第2、第3のマッサージ構造4S・4Tは、第1マッサージ構造4と同様に、施療エアバッグ15S・15Tおよび操作エアバッグ17S・17Tを膨縮させて、圧迫モードと引っ張りモードとを単独ないし連動して行い、あるいは各マッサージ構造4・4S・4Tごとに、異なる複合モードでマッサージ刺激を付与することができるなど、複数の施療部位に対して、多様なマッサージ刺激を付与することができる。
【0052】
(実施例3) 図7は本発明に係るマッサージ装置の実施例3を示しており、そこではスライド枠14の一部を変更している。実施例3のスライド枠14は、スライド枠14の左右の側壁を外広がり状に傾斜させており、これら左右の側壁のそれぞれの内面に施療エアバッグ15を固定している。こうした第1マッサージ構造4によれば、施療エアバッグ15の背面側をスライド枠14で受止めた状態で、施療エアバッグ15を施療部側へ向かって膨張させることができるので、施療部を確りと保持して、安定的に引っ張り刺激等を付与することができる。また、施療エアバッグ15がスライド枠14の左右の側壁に設けてあるので、対を為す施療エアバッグ15でふくらはぎの左右の側面をしっかりと挟持して、さらに安定した状態で引っ張り刺激等を付与することができる。さらに、各モードにおいてふくらはぎの左右側面の後寄りを一対の施療エアバッグ15・15で挟持できるので、スライド枠14の左右の側壁が平行に形成されている実施例1の第1マッサージ構造4に比べて、ふくらはぎをより安定した状態で挟持して引っ張り刺激を付与することができる。施療エアバッグ15は、スライド枠14の左右の側壁のいずれか一方に限って配置してあってもよく、例えば、施療エアバッグ15が右側壁に設けてある場合には、ふくらはぎを施療エアバッグ15で左側壁に押し付けて固定するものであってもよい。
【0053】
(実施例4) 図8に本発明の実施例4に係るマッサージ装置を示す。この実施例4に係るマッサージ装置では、引っ張りモードの復帰動作時に、スライド枠14および施療エアバッグ15を施療位置からスタート位置へ向かって復帰操作する復帰エアバッグ26を座壁16とガイド枠12の下壁との間に配置している。これによれば、操作エアバッグ17と復帰エアバッグ26とを交互に膨縮させることで、スタート位置と施療位置との間で、より確実に作動姿勢にある施療エアバッグ15を変位操作することができる。また、より確実にスタート位置と施療位置との間で作動姿勢にある施療エアバッグ15を変位操作することができるので、これらスタート位置と施療位置との間に存する施療部位に対して、引っ張り刺激を断続的に付与することができる。また、引っ張りモードの復帰動作時に、操作エアバッグ17の内部を排気しながら、復帰エアバッグ26に加圧空気を供給することで、スライド枠14および施療エアバッグ15を復帰エアバッグ26の伸張動作により、施療位置からスタート位置へ素早くしかも確実に復帰させることができる。さらに、引っ張りモードによる施療動作時に、復帰エアバッグ26を排気しながら操作エアバッグ17を膨張させることにより、操作エアバッグ17が伸張変形するときの抵抗力を小さくして、スライド枠14および施療エアバッグ15をスタート位置から施療位置へとスムーズに下降移動させることができる。すなわち、復帰ばね18を使用する場合には、復帰ばね18のばね力に逆らいながら、スライド枠14および施療エアバッグ15を操作エアバッグ17で押下げる必要があるのに対して、本実施例4のマッサージ装置によれば、復帰ばね18を廃したことにより、先の押し下げ力を廃して、スライド枠14および施療エアバッグ15をスタート位置から施療位置へとスムーズに下降移動させることができる。
【0054】
(実施例5) 図9に本発明に係るマッサージ装置の実施例5を示す。実施例5のマッサージ装置は、基台1の前面の左右に上下一対のマッサージ構造4・4を設けて、上下のマッサージ構造4・4で施療部位に互いに逆向きの引っ張り刺激を付与できるようにした。詳しくは、上側のマッサージ構造4では、スライド枠14の座壁16とガイド枠12の下壁との間に左右一対の操作エアバッグ17を配置し、座壁16とガイド枠12の上壁との間に左右一対の復帰ばね18を配置した。また、下側のマッサージ構造4では、スライド枠14の座壁16とガイド枠12の上壁との間に左右一対の操作エアバッグ17を配置し、座壁16とガイド枠12の下壁との間に左右一対の復帰ばね18を配置した。制御手段9は、実施例1のマッサージ装置と同様に、施療エアバッグ15および操作エアバッグ17を膨縮させて、施療部位に対して圧迫刺激、および引っ張り刺激を単独で付与し、或いは両刺激を組み合わせたマッサージ刺激を付与する。
【0055】
引っ張りモードにおける制御手段9は、施療開始動作を行ったのち、移動動作と復帰動作とを繰り返し行って、スタート位置と施療位置との間に存する施療部位に対して引っ張り刺激を付与する。この時、上側のマッサージ構造4は、作動姿勢にある施療エアバッグ15を、展開姿勢に切換わった操作エアバッグ17で、施療部位に沿って上向きに変位させて施療位置まで移動操作する。また、下側のマッサージ構造4は、作動姿勢にある施療エアバッグ15を、展開姿勢に切換わった操作エアバッグ17で、施療部位に沿って下向きに変位させて施療位置まで移動操作する。以上のように、上下一対のマッサージ構造4・4を備えるマッサージ装置においては、上下の施療部位にマッサージ刺激を付与できるので、1個のマッサージ構造4でマッサージ刺激を付与する場合に比べて、より広い施療範囲をマッサージできる。また、引っ張りモードにおいては、上下一対のマッサージ構造4・4で施療部位に互いに逆向きの引っ張り刺激を付与できるので、1個のマッサージ構造4でマッサージ刺激を付与する場合に比べて、より強い引っ張り刺激を施療部位に付与することができる。上下のマッサージ構造4・4は、同期した状態で作動させる必要はなく、上下のマッサージ構造4・4の作動タイミングにずれがあってもよい。その場合には、上下のマッサージ構造4・4を同期した状態で作動させた場合に比べて、近似した引っ張り刺激を付与しながら、施療部位に対する刺激の負荷を軽減し和らげることができる。なお、圧迫モードと複合モードについては、実施例1と同じであるのでその説明を省略する。
【0056】
上下のマッサージ構造4・4は、基台1に対して上下位置変更可能に設けてある。そのため、施療部位の上下位置を変更してマッサージ刺激を付与できる。さらに、上下のマッサージ構造4・4の隣接間隔を異ならせて、使用者の体格や好みに応じた施療範囲にマッサージ刺激を付与できる。また、施療エアバッグ15を施療位置からスタート位置へ復帰させる場合に、施療エアバッグ15の加圧空気を排気して非作動姿勢に収縮させておくと、施療エアバッグ15がスタート位置から施療位置へ移動するときに限ってマッサージ刺激を付与することになるので、くつろぎのあるマッサージ刺激を付与できる。なお、上下のマッサージ構造4・4による引っ張り刺激の付与方向が同じに設定してある場合には、上下の施療部位に同じ方向の引っ張り刺激を同時にあるいは交互に付与することができる。
【0057】
(実施例6) 図10から図12に本発明に係るマッサージ装置の実施例6を示す。この実施例6のマッサージ装置は、施療部位に装着されるマッサージ体30を備える。マッサージ体30は、上マッサージ体31と、下マッサージ体32と、両マッサージ体31・32の間に配置される施療位置変更用の移動体33とを備える。上マッサージ体31は、ポリエステルやポリウレタンなどの伸縮可能な弾性生地(弾性材)で形成した横長袋状の上バッグカバー(バッグカバー)34と、同カバー34の内部に収容される横長の上施療エアバッグ(施療エアバッグ)15A(15)と、上バッグカバー34の施療面側に固定されて施療部位に密着する横長の上滑止め体(滑止め体)36などで構成される。上マッサージ体31の左右端には、マッサージ体30を巻回装着姿勢に保持する雌雄一対の面ファスナー37が設けられている。上滑止め体36には、施療部位に密着して摩擦抵抗を大きくする円形の摩擦突起38の一群が互い違い状に膨出形成されている。
【0058】
下マッサージ体32は、上マッサージ体31と同様の伸縮可能な弾性生地(弾性材)で形成した横長袋状の下バッグカバー(バッグカバー)40と、同カバー40の内部に収容される横長の下施療エアバッグ(施療エアバッグ)15B(15)と、下バッグカバー40の施療面側に固定されて施療部位に密着する横長の下滑止め体(滑止め体)42などで構成される。下マッサージ体32の左右端には、下マッサージ体32を巻回装着姿勢に保持する雌雄一対の面ファスナー43が設けられている。下滑止め体42には、施療部位に密着して摩擦抵抗を大きくする円形の摩擦突起44の一群が互い違い状に膨出形成されている。
【0059】
移動体33は、ポリエステルやポリウレタンなどの上下方向に大きく伸縮可能な弾性生地(弾性材)で形成した移動体カバー46と、同カバー46の内部に収容される移動エアバッグ47とで構成される。移動エアバッグ47は、加圧空気を受けて施療部位に沿って伸張変形する展開姿勢と、加圧空気が排気されて施療部位に沿って収縮する非展開姿勢との間で膨縮可能に構成される。展開姿勢時の移動エアバッグ47は、自己の弾性に加えて移動体カバー46の弾性力に抗して展開姿勢を保持しており、非展開姿勢に向かって収縮するとき、移動エアバッグ47は移動体カバー46の弾性力と自己の弾性力で収縮する。なお、移動体カバー46の弾性力は移動エアバッグ47の弾性力より大きく設定されている。このように、移動体カバー46および移動エアバッグ47は、それぞれ移動エアバッグ47を展開姿勢から非展開姿勢に復帰操作する復帰操作手段を兼ねている。上記のように、復帰操作手段を兼ねる移動エアバッグ47は、その上下端が移動体カバー46の内面上下に固定されており、これにより、移動体カバー46が収縮する向きの弾性復元力と、移動エアバッグ47が収縮する向きの弾性復元力により、展開姿勢になった移動エアバッグ47を元の非展開姿勢に戻すことができる。すなわち、互いに遠ざかる位置にあった、上施療エアバッグ15Aと下施療エアバッグ15Bを、復帰操作手段を構成する移動エアバッグ47と移動体カバー46で、互いに接近した位置へと引寄せ操作することができる。
【0060】
制御手段9は、エアポンプ7および分配器8の作動状態を制御して、移動エアバッグ47が非展開姿勢に収縮した状態で上下の両施療エアバッグ15A・15Bが膨縮するマッサージモード(図12(f)に示す状態)と、両施療エアバッグ15A・15Bの施療位置が、前回の施療位置から移動エアバッグ47の伸張方向へ位置ずれする施療位置変更モードとを交互に行う。
【0061】
施療位置変更モードにおいては、前段移動動作と後段移動動作を行って、両施療エアバッグ15(15A・15B)の施療位置は変更される。前段移動動作時には、図12(a)に示すようにすべてのエアバッグ15A・15B・17を収縮させた状態で、図12(b)に示すように下側の施療エアバッグ15Bを膨張させ、施療部位に下マッサージ体32を固縛状に固定する。次に図12(c)に示すように、移動エアバッグ47を作動姿勢に伸張させて、収縮している上施療エアバッグ15Aを膨張している下施療エアバッグ15Bから、移動エアバッグ47の伸張距離分だけ遠ざかる向き(上向き)に移動させる。後段移動動作時には、図12(d)に示すように、上向きに移動した上施療エアバッグ15Aを膨張させ、施療部位に上マッサージ体31を固縛状に固定する。この状態で、図12(e)に示すように、下施療エアバッグ15Bおよび移動エアバッグ47を排気して、移動エアバッグ47の収縮距離分だけ下施療エアバッグ15Bを上施療エアバッグ15Aに接近する向き(上向き)に移動させる。さらに、移動エアバッグ47が待機姿勢に収縮した状態で、上下の施療エアバッグ15A・15Bを膨縮させてマッサージを行う。このときのマッサージ刺激は圧迫刺激となる。以後、施療位置変更モードとマッサージモードを交互に行うことで、施療位置を自動的に順に変更しながらマッサージを行うことができる。
【0062】
実施例6のマッサージ装置においても、実施例1のマッサージ装置と同様に、制御手段9が各エアバッグ15A・15B・17を膨縮させて、施療開始動作と移動動作と復帰動作を繰り返し行うことにより、圧迫刺激と引っ張り刺激とを施療部位(ふくらはぎ)に対して単独で付与し、あるいは、両刺激を組み合わせた複合刺激を施療部位(ふくらはぎ)に付与することができる。
【0063】
圧迫モードでは、図12(f)に示すように、移動エアバッグ47を非展開姿勢に収縮させた状態と、図12(d)に示すように、移動エアバッグ47を展開姿勢に伸張させた状態で、上下の両施療エアバッグ15A・15Bを膨縮させて、施療部位に圧迫刺激を付与する。引っ張りモードでは、図12(f)に示すように、移動エアバッグ47を非展開姿勢に収縮させた状態で上下の両施療エアバッグ15A・15Bを膨張させて作動姿勢とし、ふくらはぎを上下の両施療エアバッグ15A・15Bで挟持し、次に、図12(d)に示すように、移動エアバッグ47を展開姿勢に伸張させて、作動姿勢にある上下の両施療エアバッグ15A・15Bの上下間隔を拡げる。以上のように作動姿勢にある両施療エアバッグ15A・15Bを移動させることにより、施療部位であるふくらはぎに引っ張り刺激を付与することができる。このとき、上下の両施療エアバッグ15A・15Bの挟持強さが同じである場合には、上下の両施療エアバッグ15A・15Bを、移動エアバッグ47の伸張変形距離の約半分ずつ互いに離れる向きに移動させることができる。また、両施療エアバッグ15A・15Bのいずれか一方の挟持力を他方の挟持力より小さく設定した場合には、挟持力が小さい側の施療エアバッグ、例えば上施療エアバッグ15Aを肌面に沿って上向きに滑り移動させることができる。加えて、施療位置が変更されるごとに各エアバッグ15A・15B・17の膨縮状態を制御することにより、より多様なマッサージ刺激を施療部位に付与することができる。
【0064】
制御手段9は、施療開始動作時にエアポンプ7および分配器8の作動状態を制御して、上施療エアバッグ15Aを膨張させて作動姿勢とするタイミングと、下施療エアバッグ15Bを膨張させて作動姿勢とするタイミングとをずらすように制御することができ、例えば、上施療エアバッグ15Aを作動姿勢に膨張させたのち、下施療エアバッグ15Bを作動姿勢に膨張させるように制御することができる。また、両施療エアバッグ15A・15Bを作動姿勢に膨張させたのち、移動動作に移行し、移動エアバッグ47を展開姿勢に膨張させて、膨張している両施療エアバッグ15A・15Bを施療部位に沿って移動エアバッグ47の伸張距離分だけ変位操作させるような構成を採ることができる。この場合には、上施療エアバッグ15Aで血液の流れを抑制した状態で、下施療エアバッグ15Bで施療部を挟持するので、両施療エアバッグ15(15A・15B)を同時に膨張させる形態に比べて、両施療エアバッグ15(15A・15B)の間に位置する施療部位における血流を維持しながら、両施療エアバッグ15(15A・15B)を作動姿勢とすることができる。したがって、被施療者の身体負担を抑えることができる。また、この状態から移動動作を行うことで、両施療エアバッグ15(15A・15B)の間に位置する施療部位に対して、血流が抑制された状態で引っ張り刺激を付与することができる。復帰動作時には、移動エアバッグ47を非展開姿勢に収縮させて、上下の施療エアバッグ15A・15Bをスタート位置へ復帰させる。
【0065】
以上のように構成した実施例6のマッサージ装置によれば、施療部位に対して圧迫刺激に加えて引っ張り刺激を付与することができるので、当該施療部位に付与されるマッサージ刺激を多様化して、飽きにくく慣れにくいマッサージ刺激を付与することができる。また、両施療エアバッグ15A・15Bを移動エアバッグ47で変位操作するので、両施療エアバッグ15A・15Bを機構的に変位操作する場合に比べて、マッサージ装置の構造を簡素化して製造に要するコストを削減できる。さらに、マッサージ装置が椅子などに固定されていないので、使用者が自由に施療領域を選定でき、例えば足首から膝下までのふくらはぎ部分や、膝上から太ももの付け根にわたる部分、あるいは、足首から太ももの付け根にわたる部分など、下肢の広い施療領域にマッサージを施すことができる。加えて、マッサージ体30を装着して起動させるだけで、施療位置を自動的に順に変更しながら、広範にわたる施療領域を的確にマッサージできる。さらに、移動エアバッグ47と移動体カバー46が伸縮可能な弾性材で形成して、移動エアバッグ47および移動体カバー46が復帰操作手段を兼ねるようにしたので、別途ばね構造を設ける場合に比べて、マッサージ装置の外観をすっきりさせてデザイン性を向上できる。また、ばね構造を省略できる分だけマッサージ装置の構造を簡素化し、機能性を向上できる。復帰操作手段を兼ねる移動エアバッグ47は、その上下端が移動体カバー46の内面上下に固定されており、これにより、移動体カバー46が収縮する向きの弾性復元力と、移動エアバッグ47が収縮する向きの弾性復元力により、展開姿勢になった移動エアバッグ47を元の非展開姿勢に戻すことができる。すなわち、互いに遠ざかる位置にあった、上施療エアバッグ15Aと下施療エアバッグ15Bを、復帰操作手段を構成する移動エアバッグ47と移動体カバー46で、互いに接近した位置へと引寄せ操作することができる。
【0066】
施療開始動作時には、下施療エアバッグ15Bを膨張させることにより、下滑止め体42を施療面に強く密着させて、下マッサージ体32(下施療エアバッグ15B)が施療面に沿って滑り移動するのを確実に防止できる。また、復帰動作時に上施療エアバッグ15Aを膨張させることにより、上滑止め体36を施療面に強く密着させて、上マッサージ体31(上施療エアバッグ15A)が施療面に沿って滑り移動するのを確実に防止できる。したがって、施療位置変更モードにおける各施療エアバッグ15A・15Bの位置変更動作をさらに確実に行うことができる。
【0067】
(実施例7) 図13から図15に本発明に係るマッサージ装置の実施例7を示す。実施例7のマッサージ装置は、軟質のプラスチック成形品からなるトンネル断面状のホルダー51と、ホルダー51の内面上部に配置される上マッサージ体31と、ホルダー51の内面の下部に配置される下マッサージ体32と、両マッサージ体31・32の間に配置される施療位置変更用の移動体33とを備えている。上マッサージ体31は、ホルダー51の内面に沿って摺動できる逆U字状の上施療エアバッグ(施療エアバッグ)15A(15)を備えており、下マッサージ体32はホルダー51の内面に沿って摺動できる逆U字状の下施療エアバッグ(施療エアバッグ)15B(15)を備えている。移動体33の内部には、多段袋状の移動エアバッグ47が配置されており、各エアバッグ15A・15B・17は、区分枠52を介して隣接している。上施療エアバッグ15Aの上端とホルダー51の上壁53の間、および、下施療エアバッグ15Bの下端とホルダー51の下壁54の間には、それぞれ各エアバッグ15A・15B・17をホルダー51の上下中央に向かって収縮させる7個の復帰ばね(復帰操作手段)55とばね座56とが配置されている。上下の復帰ばね55は圧縮ばねからなり、各復帰ばね55の端部は上壁53および下壁54に固定されている。区分枠52およびばね座56は馬蹄形のプラスチック成型品からなる。各エアバッグ15A・15B・17と、区分枠52およびばね座56の内面は、上下端がホルダー51に固定されるバッグカバー57で覆われている。
【0068】
以上のように構成した実施例7のマッサージ装置は、例えば足首にホルダー51を装着した状態で、制御手段9がエアポンプ7および分配器8の作動状態を制御することにより、実施例6と同様にマッサージモードと施療位置変更モードとを交互に行うことができる。マッサージモードにおいては、例えば、移動エアバッグ47が上下の復帰ばね55で非展開姿勢に収縮操作された状態で、上下の両施療エアバッグ15A・15Bを膨縮させることにより、足首およびふくらはぎの下部に圧迫刺激を付与して、マッサージすることができる。
【0069】
また、施療位置変更モードの前段移動動作時においては、すべてのエアバッグ15A・15B・17を収縮させた状態で、下側の施療エアバッグ15Bを膨張させ、足首に下マッサージ体32を固縛状に固定する。次に、移動エアバッグ47を展開姿勢に膨張させて、収縮している上施療エアバッグ15Aとホルダー51を、上側の復帰ばね55のばね力に逆らいながら、移動エアバッグ47の伸張距離分だけ上向きに移動させる。後段移動動作時には、上向きに移動した上施療エアバッグ15Aを膨張させて、ふくらはぎに固縛状に固定する。この状態で、下施療エアバッグ15Bおよび移動エアバッグ47を排気すると、移動エアバッグ47の収縮距離分だけ下施療エアバッグ15Bを上向きに移動させることができる。さらに、移動エアバッグ47が非展開姿勢に収縮した状態で、上下の施療エアバッグ15A・15Bを膨縮させてマッサージを行う。このときのマッサージ刺激は圧迫刺激となる。以後、施療位置変更モードとマッサージモードを交互に行うことで、施療位置を自動的に順に変更しながらマッサージを行うことができる。
【0070】
実施例7のマッサージ装置においても、実施例6のマッサージ装置と同様に、圧迫刺激、引っ張り刺激、或いは両刺激を組み合わせた複合刺激などの各種のマッサージ刺激を施療部位に付与することができる。例えば、ふくらはぎに引っ張り刺激を付与する場合には、移動エアバッグ47が待機姿勢に収縮した状態で上下の両施療エアバッグ15A・15Bを膨張させて、足首とふくらはぎを上下の両施療エアバッグ15A・15Bで挟持する。次に、移動エアバッグ47を復帰ばね55のばね力に逆らいながら展開姿勢に伸張させて、上下の両施療エアバッグ15A・15Bの上下間隔を拡げることにより、ふくらはぎに引っ張り刺激を付与することができる。このとき、上下の施療エアバッグ15A・15Bの挟持強さを同じとした場合には、上下の施療エアバッグ15A・15Bを、移動エアバッグ47の伸張変形距離の約半分ずつ互いに離れる向きに移動させることができる。また、両施療エアバッグ15A・15Bのいずれか一方の挟持力を他方の挟持力より小さく設定した場合には、挟持力が小さい側の施療エアバッグ、例えば上施療エアバッグ15Aを肌面に沿って上向きに滑り移動させることができ、さらに、移動エアバッグ47を排気して上側の復帰ばね55で収縮させることにより、上施療エアバッグ15Aを肌面に沿って下向きに滑り移動させることができる。同様に、施療位置が変更されるごとに各エアバッグ15A・15B・17の膨縮状態を制御することにより、施療部位に対して複合刺激のマッサージ刺激を付与することができる。
【0071】
以上のように、一対の施療エアバッグ15A・15Bを復帰ばね55で互いに接近する向きに移動付勢した実施例7のマッサージ装置によれば、各エアバッグ15A・15B・17を排気した状態において、上下の復帰ばね55のばね力で、各エアバッグ15A・15B・17を強制的に収縮操作できる。施療動作が終了した施療エアバッグ15A・15Bを復帰操作手段(復帰ばね55)で施療位置からスタート位置へ速やかに復帰操作できる。したがって、復帰動作時における施療エアバッグ15A・15Bおよび移動エアバッグ47の移動を確実に行うことができる。
【0072】
復帰ばね55は引っ張りばねで形成することができる。その場合には復帰ばね55の上下端をばね座56に固定して、復帰ばね55のばね力で移動エアバッグ47を強制的に非作動姿勢に復帰させることができる。また、図13に示すように上下の施療エアバッグ15A・15Bの端部に復帰ばね55を配置する場合に比べて、使用するばねの数を半減し、さらにばね座56を省略できる分だけ、マッサージ装置の構造を簡素化し、製造に要するコストを削減できる。
【0073】
(実施例8)図16および図17に本発明の実施例8に係るマッサージ装置を示す。本実施例のマッサージ装置は、基本的に実施例6のマッサージ装置と同じであるが、下施療エアバッグ15Bと移動エアバッグ47とを逆止弁60を介して連通する点、移動エアバッグ47とエアポンプ7の吸引口の一部とを排気チューブ61で連通する点、排気チューブ61に電磁開閉弁62を配置する点が、実施例6のマッサージ装置と異なる。逆止弁60は、下施療エアバッグ15Bから移動エアバッグ47へ向かう加圧空気の流動を許す。また、図17に示すように、上施療エアバッグ15A、下施療エアバッグ15B、移動エアバッグ47、および上下のバッグカバー34・40を筒状に形成して面ファスナー37・43を省略する点、および、下施療エアバッグ15Bと移動エアバッグ47とを下バッグカバー40に収容する点が実施例6のマッサージ装置と異なる。この場合の下バッグカバー40は、実施例6の移動体カバー46と同様に上下方向に大きく伸縮可能な弾性生地(弾性材)で形成することにより、移動体33による施療位置の変更を円滑に行うことが可能となる。
【0074】
上記のように、本実施例8のマッサージ装置においては、上マッサージ体31、下マッサージ体32、および移動体33を筒状に形成したので、各施療エアバッグ15A・15Bと移動エアバッグ47を収縮させた状態で、マッサージ体30に下肢を差込むことができ、次いで下施療エアバッグ15Bと上施療エアバッグ15Aを膨張させることでスタート位置に両施療エアバッグ15A・15Bを装着固定することができる。また、実施例8のマッサージ装置においては、施療位置変更モードの前段移動動作時に、下施療エアバッグ15Bに送給された加圧空気が、逆止弁60を介して移動エアバッグ47に送給されて同エアバッグ47を伸張させ、後段移動動作時には、電磁開閉弁62を開状態に切換えて、移動エアバッグ47内をエアポンプ7の吸引力で強制的に排気して同エアバッグ47を収縮させるようになっている。
【0075】
以上のような構成からなる本実施例7のマッサージ装置によれば、前段移動動作時に、下施療エアバッグ15Bに送給された加圧空気を、逆止弁60を介して移動エアバッグ47に送給して、同エアバッグ47を伸張変形させることができる。また、後段移動動作時には、電磁開閉弁62を制御手段9で開操作して、移動エアバッグ47内をエアポンプ7の吸引力で強制的に排気し、同エアバッグ47を収縮させることができる。このように、下施療エアバッグ15Aに送給される加圧空気を利用して移動エアバッグ47を伸張させると、分配器8と移動エアバッグ47を給排気チューブで接続する必要がないので、分配構造を簡素化できる。また、移動エアバッグ47内の加圧空気をエアポンプ7の吸引力で強制的に排気するので、移動エアバッグ47を速やかに収縮させて、後段移動動作に要する時間を短縮できる。
【0076】
(実施例9)図18に本発明の実施例9に係るマッサージ装置を示す。本実施例のマッサージ装置は、復帰操作手段を、施療エアバッグ15A・15Bの間に設けた復帰ばね55で構成するようにした。復帰ばね55は引張りばねからなり、その上端及び下端が、上バッグカバー34および下バッグカバー40に連結してある。こうしたマッサージ装置によれば、復帰ばね18のばね力で施療エアバッグ15をスタート位置へ素早くしかも確実に復帰させることができる。また、施療エアバッグ15を、復帰ばね18のばね力により常に一定の位置まで確実に復帰操作することができる。
【0077】
上記実施例で示した以外に、本発明のマッサージ装置は、ふくらはぎや太ももなどの下肢をマッサージ対象とするマッサージ装置以外に、上腕部や前腕部をマッサージ対象とするマッサージ装置に適用することができる。上マッサージ体31および下マッサージ体32は、それぞれ複数の施療エアバッグ15A・15Bを備える構造であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 基台
2 着座
3 背もたれ
4 第1マッサージ構造
5 コントローラー
7 エアポンプ
8 分配器
9 制御手段
12 ガイド枠
13 ガイド軸
14 スライド枠
15 施療エアバッグ
15A 上施療エアバッグ(施療エアバッグ)
15B 下施療エアバッグ(施療エアバッグ)
17 操作エアバッグ
18 復帰ばね
19 バッグカバー
20 滑止め体
26 復帰エアバッグ
30 マッサージ体
31 上マッサージ体
32 下マッサージ体
33 移動体
34 上バッグカバー
40 下バッグカバー
46 移動体カバー
47 移動エアバッグ
51 ホルダー
52 区分枠
55 復帰ばね
57 バッグカバー
60 逆止弁
61 排気チューブ
62 電磁開閉弁
図1
図2
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