(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】断熱材
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20240122BHJP
F01N 3/021 20060101ALI20240122BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
F01N3/24 Z
F01N3/021 ZAB
B01D53/94 300
(21)【出願番号】P 2020131700
(22)【出願日】2020-08-03
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【氏名又は名称】森 昌康
(74)【代理人】
【識別番号】100175628
【氏名又は名称】仁野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】木村 健人
(72)【発明者】
【氏名】川野 隼人
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-174666(JP,A)
【文献】特開2017-059085(JP,A)
【文献】特開2015-075083(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0199521(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/24
F01N 3/021
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された第1基底面および第2基底面と、前記第1基底面と前記第2基底面とを連結する側面とを有する柱形状を有する排気処理装置を覆う断熱材であって、
前記断熱材を平面に展開した形状が、
前記排気処理装置の前記第1基底面若しくは前記第2基底面を覆うための中央部と、
前記中央部の中心に対して対称に設けられ、前記排気処理装置の前記側面を覆うための第1矩形部と第2矩形部と、
を有し、
前記形状は、前記中心から離れる方向に前記中央部から伸び、前記第1矩形部に接続するように構成された第1延伸部をさらに有する断熱材。
【請求項2】
対向配置された第1基底面および第2基底面と、前記第1基底面と前記第2基底面とを連結する側面とを有する柱形状を有する排気処理装置を覆う断熱材であって、
前記断熱材を平面に展開した形状が、
前記排気処理装置の前記第1基底面若しくは前記第2基底面を覆うための中央部と、
前記中央部の中心に対して対称に設けられ、前記排気処理装置の前記側面を覆うための第1矩形部と第2矩形部と、
を有し、
前記第2矩形部には、前記断熱材の前記排気処理装置からの剥離を防ぐためのスリットが設けられる、
断熱材。
【請求項3】
対向配置された第1基底面および第2基底面と、前記第1基底面と前記第2基底面とを連結する側面とを有する柱形状を有する排気処理装置を覆う断熱材であって、
前記断熱材を平面に展開した形状が、
前記排気処理装置の前記第1基底面若しくは前記第2基底面を覆うための中央部と、
前記中央部の中心に対して対称に設けられ、前記排気処理装置の前記側面を覆うための第1矩形部と第2矩形部と、
を有し、
前記第2矩形部は、エンジンと前記排気処理装置とを接続する接続管を貫通させるための凹みを有する、
断熱材。
【請求項4】
対向配置された第1基底面および第2基底面と、前記第1基底面と前記第2基底面とを連結する側面とを有する柱形状を有する排気処理装置を覆う断熱材であって、
前記断熱材を平面に展開した形状が、
前記排気処理装置の前記第1基底面若しくは前記第2基底面を覆うための中央部と、
前記中央部の中心に対して対称に設けられ、前記排気処理装置の前記側面を覆うための第1矩形部と第2矩形部と、
を有し、
前記第2矩形部は、前記排気処理装置からの排気を排出するための排気管を貫通させるための第1貫通孔を有する、
断熱材。
【請求項5】
対向配置された第1基底面および第2基底面と、前記第1基底面と前記第2基底面とを連結する側面とを有する柱形状を有する排気処理装置を覆う断熱材であって、
前記断熱材を平面に展開した形状が、
前記排気処理装置の前記第1基底面若しくは前記第2基底面を覆うための中央部と、
前記中央部の中心に対して対称に設けられ、前記排気処理装置の前記側面を覆うための第1矩形部と第2矩形部と、
を有し、
前記第2矩形部は、前記排気処理装置に装着される温度センサを貫通させるための第2貫通孔を有する、
断熱材。
【請求項6】
前記中央部は、実質的に円形を有する、
請求項1から5に記載の断熱材。
【請求項7】
前記形状は、前記中心に対して前記第1延伸部と点対称な第2延伸部をさらに有する、
請求項
1に記載の断熱材。
【請求項8】
前記形状は、前記中心から離れる方向に前記中央部から伸び、前記第1矩形部若しくは第2矩形部に接続するように構成された複数ののりしろ部をさらに有し、
前記第1矩形部と前記複数ののりしろ部との境界、前記第2矩形部と前記複数ののりしろ部との境界、並びに、前記複数ののりしろ部のうち隣接する、一方ののりしろ部と他方ののりしろ部との境界には、第1付加スリットが設けられる、
請求項7に記載の断熱材。
【請求項9】
前記第2矩形部は、前記第1貫通孔と前記第2矩形部の外縁を接続する第2付加スリットを有する、
請求項4に記載の断熱材。
【請求項10】
前記第2矩形部は、前記第2貫通孔と前記第2矩形部の外縁を接続する第3付加スリットを有する、
請求項5に記載の断熱材。
【請求項11】
前記第2矩形部は、前記排気処理装置に装着される差圧センサに接続される圧力供給管を貫通させるための第3貫通孔を有する、
請求項5または10に記載の断熱材。
【請求項12】
前記第2矩形部は、前記第3貫通孔と前記第2矩形部の外縁を接続する第4付加スリットを有する、
請求項11に記載の断熱材。
【請求項13】
前記排気処理装置は、微粒子捕集フィルタである、
請求項1から12のいずれかに記載の断熱材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2は、円筒状のチューブの両端が先細りとなっている形状を有する排気処理装置に巻回して取り付ける断熱材を記載している。当該断熱材は、一続きの平面の部材を折り曲げることによって排気処理装置に装着することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6245926号
【文献】特許第6463884号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2の断熱材は、円筒形状の第1基底面(first base)と第2基底面(second base)に排気管が接続される排気処理装置に適用されるが、第1基底面と第2基底面とを接続する側面(side surface)(円筒面)に排気管が接続される排気処理装置には適用できない。
【0005】
本願に開示される技術の課題は、第1基底面と第2基底面とを接続する側面に排気管が接続される排気処理装置には適用可能で、一続きの平面の部材を折り曲げることによって排気処理装置に装着することが可能な断熱材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る断熱材は、対向配置された第1基底面および第2基底面と、第1基底面と第2基底面とを連結する側面とを有する柱形状を有する排気処理装置を覆う断熱材である。断熱材を平面に展開した形状が、排気処理装置の第1基底面若しくは第2基底面を覆うための中央部と、中央部の中心に対して対称に設けられ、排気処理装置の側面を覆うための第1矩形部と第2矩形部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本願に開示される技術によれば、例えば、第1基底面と第2基底面とを接続する側面に排気管が接続される排気処理装置に適用可能で、一続きの平面の部材を折り曲げることによって排気処理装置に装着することが可能な断熱材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】
図3は、エンジン周辺を前方から見た図である。
【
図4】
図4は、エンジン周辺を側方から見た図である。
【
図6】
図6は、第1断熱材~第3断熱材を排気処理装置に取り付ける方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、図中において同じ符号は、対応するまたは実質的に同一の構成を示している。
<実施形態>
<全体構成>
【0010】
図1及び
図2を参照すると、作業車両1、例えばコンパクトトラックローダは、車体フレーム2と、走行装置3と、作業装置4と、キャビン5とを備えている。車体フレーム2は、走行装置3、作業装置4、及び、キャビン5を支持する。図示の実施形態では、走行装置3は、履帯式の走行装置である。このため、走行装置3は、駆動輪31、従動輪32、33、及び、転輪34を含む。ただし、走行装置3は、履帯式走行装置に限定されない。走行装置3は、例えば、前輪/後輪走行装置であってもよいし、前輪と後部クローラとを有する走行装置であってもよい。作業装置4は、作業装置4の末端(distal end)に器具(work equipment)(バケット)41を含む。作業装置4の基端(proximal end)は、車体フレーム2の後部に取り付けられている。作業装置4は、バケットピボット軸43を介してバケット41を回転可能に支持するための一対のアーム42を含む。一対のアーム42のそれぞれは、リフトリンク44とブーム45を含む。
【0011】
リフトリンク44は、支点軸(fulcrum shaft)46の周りで車体フレーム2に対して回転可能である。ブーム45は、ジョイント軸(joint shaft)47の周りでリフトリンク44に対して回転可能である。作業装置4は、複数のブームシリンダ48と少なくとも1つの器具シリンダ(equipment cylinder)49とをさらに含む。複数のブームシリンダ48のそれぞれは、車体フレーム2およびブーム45に回転可能に接続され、リフトリンク44およびブーム45を移動させて、バケット41を昇降させる。少なくとも1つの器具シリンダ49は、バケット41を傾けるように構成される。キャビン5は、車体フレーム2の前部に取り付けられている。作業車両1は、キャビン5の前方にフロントドア51を備え、キャビン5内に運転席52および操作装置(図示せず)を備えている。
図2に示されるように、キャブフレーム53は、車体フレーム2上の回動軸(rotational shaft)RSL及びRSR周りに回転可能である。
図1及び
図2では、回動軸RSL及びRSRによって規定される共通の回転軸線(rotational axis)A
XCを図示している。
【0012】
なお、本願に係る実施形態において、前後方向DFB(前方向DF/後方向DB)とは、キャビン5の運転席52に着座したオペレータから見て前後方向(前方向/後方向)を意味する。左方向DL、右方向DR、幅方向DWとは、当該オペレータから見てそれぞれ、左方向、右方向、左右方向を意味する。上方向DU、下方向DD、高さ方向DHとは、当該オペレータから見て上方向、下方向、高さ方向を意味する。作業車両1の前後/左右(幅)/上下(高さ)方向とは、それぞれ、当該オペレータから見た前後/左右(幅)/上下(高さ)方向と一致するものとする。
【0013】
図1は、作業車両1の左側を示している。
図2に示すように、車体フレーム2は、車体中央面Mに対して概ね面対称であり、一対のアーム42のうち、車体中央面Mに対して左側に設けられるアーム42が第1アーム42Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるアーム42が第2アーム42Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるリフトリンク44が第1リフトリンク44Lとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるブーム45が第1ブーム45Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるブーム45が第2ブーム45Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられる支点軸46が第1支点軸46Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられる支点軸46が第2支点軸46Rとして示されている。車体中央面Mに対して左側に設けられるジョイント軸47が第1ジョイント軸47Lとして、車体中央面Mに対して右側に設けられるジョイント軸47が第2ジョイント軸47Rとして示されている。
【0014】
図1及び
図2を参照すると、作業車両1は、車体フレーム2の後部に設けられたエンジン6をさらに備える。エンジン6は、走行装置3および作業装置4に駆動力を提供するように構成されている。エンジン6は、作業車両1の幅方向D
Wにおいて、一対のアーム42の間に設けられている。なお、後述の
図3に示すように、エンジン6のクランク軸A
XEは、実質的に車体中央面M上に前後方向D
FBに延びるように、エンジン6は車体フレーム2に配置されている。作業車両1は、エンジン6を覆うためのカバー8をさらに備える。作業車両1は、車体フレーム2の後端に設けられているボンネットカバー9をさらに備える。ボンネットカバー9は、開閉可能であり、保守員がエンジン6などの保守作業を行うことができる。
【0015】
図1を参照すると、エンジン6には、エンジン6の排気を処理する排気処理装置7が接続される。排気処理装置7は、例えば、微粒子捕集フィルタ(ディーゼル微粒子捕集フィルタ(DPF))を含む。ただし、排気処理装置7は、選択還元触媒装置(SCR)や酸化触媒(ディーゼル酸化触媒(DOC))を含んでもよい。排気処理装置7で処理された排気は、排気管62から排出される。
【0016】
図3は、エンジン6の周辺を前方から見た図である。
図3においては、エンジン6、排気処理装置7、及び、排気管62以外の図示を省略している。
図4は、
図3に表示されているエンジン6の周辺を右側から見た図である。
図3及び
図4に示すように、排気処理装置7は、エンジン6の前方D
Fに設けられ、接続管63を介してエンジン6と接続している。
図4に示すように、接続管63は、排気処理装置7の右端において接続している。
図3に示すように、排気管62は、排気処理装置7の左端において接続している。
図3及び
図4に示すように、排気処理装置7は、略円筒形を有しており、その中心軸A
XFがエンジン6のクランク軸A
XEに対して概ね垂直になるようにエンジン6に取り付けられている。排気処理装置7は、フランジ71、72を有しており、エンジン6に取り付けられたブラケット64にフランジ71、72が固定されることによって、排気処理装置7はエンジン6に取り付けられる。
【0017】
図5は、排気処理装置7の拡大図である。
図5では、接続管63と排気管62を除く、排気処理装置7に接続される装置も併せて図示している。
図5を参照すると、対向配置された第1基底面7B1および第2基底面7B2と、第1基底面7B1と第2基底面B2とを連結する側面7Sとを有する柱形状を有する。排気処理装置7は、中央部73、第1端部74、及び、第2端部75をさらに有する。中央部73は、中心軸A
XFに沿う軸方向D
Xにおいてフランジ71とフランジ72との間に設けられる。中央部73は、概ね円柱形の形状を有している。フランジ71及びフランジ72は、中央部73から中心軸A
XFに対する径方向に突出している。
【0018】
第1端部74は、フランジ71に対して中央部73の軸方向DXの反対側に設けられる。第1端部74は、第1端部本体74Mと、接続管取付部76と、第1温度センサ取付部80とを含む。第1端部本体74Mは、略円筒の形状を有している。第1温度センサ取付部80には、第1端部本体74Mの内部の温度を測定するための第1温度センサ81が取り付けられる。接続管取付部76には、接続管63が取り付けられる。接続管取付部76及び第1温度センサ取付部80は、第1端部本体74Mから中心軸AXFに対する径方向に突出している。
【0019】
第2端部75は、フランジ72に対して中央部73の反対側に設けられる。第2端部75は、第2端部本体75Mと、排気口77と、閉管部(closed pipe portion)78と、第2温度センサ取付部82と、第1圧力供給管取付部84とを含む。第2端部本体75Mは、略円筒の形状を有している。
図3に示されるように、排気管62は、排気口77を取り囲むように設置される。閉管部78は、中心軸A
XFに対して排気口77の反対側に設けられる。
図3に示されるように、閉管部78は、パイプ状の形状を有しており、その先端は閉じられている。第2温度センサ取付部82には、第2端部本体75Mの内部の温度を測定するための第2温度センサ83が取り付けられる。第1圧力供給管取付部84には、差圧センサ79に第2端部本体75Mの内部の圧力を供給するための第1圧力供給管85が接続される。排気口77と、閉管部78と、第2温度センサ取付部82と、第1圧力供給管取付部84とは、第2端部本体75Mから中心軸A
XFに対する径方向に突出している。
【0020】
フランジ71は、第3温度センサ取付部86と、第2圧力供給管取付部88とを含む。第3温度センサ取付部86には、フランジ71の内側の温度を測定するための第3温度センサ87が取り付けられる。第2圧力供給管取付部88には、差圧センサ79にフランジ71の内側の圧力を供給するための第2圧力供給管89が接続される。差圧センサ79は、第1圧力供給管85から供給される圧力と、第2圧力供給管89から供給される圧力の差圧を測定するように構成されている。
【0021】
図3~5には図示されていないが、排気処理時には排気処理装置7の温度は高くなるため、エンジン室の他の機器の耐熱温度を超えないように、
図6に示すように、排気処理装置7には、第1断熱材11、第2断熱材12、及び、第3断熱材13が取り付けられる。第1断熱材11、第2断熱材12、及び、第3断熱材13は、それぞれ、排気処理装置7を覆う。第1断熱材11、第2断熱材12、及び、第3断熱材13は、厚さ5mm程度のシート状の基材が折り曲げられて形成される。当該シート状の基材は、断熱性の高い、セラミック繊維、シリカ繊維、若しくはガラス繊維もしくはこれらの混合から成る。基材の排気処理装置7に面する面に接着剤が塗布されており、基材の反対側の面には、アルミ箔が貼り付けられている。第1断熱材11と、第2断熱材12とは、共通の技術的特徴を有しており、第1断熱材11と第2断熱材12とを総称して断熱材10と呼ぶ。
図7は、第1断熱材11を平面に展開した展開図である。
図8は、第2断熱材12を平面に展開した展開図である。
図7及び
図8では、アルミ箔が貼り付けられている面を表示しており、その裏側において接着剤が塗布される。
【0022】
図7及び
図8を参照すると、断熱材10(第1断熱材11、第2断熱材12)を平面に展開した形状が、中央部14と、第1矩形部15と、第2矩形部16とを有する。
図6を参照すると、中央部14によって、排気処理装置7の第1基底面7B1若しくは第2基底面7B2が覆われる。中央部14は、点線で表示されている折り目14Fと、切り欠き部(cut out portions)14C1及び14C2、あるいは、切り欠き部14C3及び14Cとで囲まれた領域である。第1矩形部15及び第2矩形部16によって、排気処理装置7の側面7Sが覆われる。第2矩形部16には、断熱材10(11、12)の排気処理装置7からの剥離を防ぐためのスリット17が設けられる。
図7及び
図8を参照すると、第1矩形部15及び第2矩形部16は、中央部14の中心C1に対して対称に設けられる。中央部14は、中心C1に対して点対称な図形である。中央部14は、実質的に円形を有する。実質的に円形を有するとは、部分的な切り欠き部14C1、14C2、14C3、14C4を除いて、円形であるという意味である。切り欠き部14C1、14C2は、中心C1に対して点対称に設けられている。切り欠き部14C3、14C4は、中心C1に対して点対称に設けられている。
【0023】
図7を参照すると、断熱材10(第1断熱材11)を平面に展開した形状は、中心C1から離れる方向に中央部14から伸び、第1矩形部15に接続するように構成された第1延伸部18Aをさらに有する。当該形状は、中心C1に対して第1延伸部18Aと点対称な第2延伸部18Bをさらに有する。当該形状は、中心C1から離れる方向に中央部14から伸び、第1矩形部15若しくは第2矩形部16に接続するように構成された複数ののりしろ部19A、19B、19C、19D、19E、19F、19G、及び、19Hをさらに有する。のりしろ部19A、19B、19C、19D、19E、19F、19G、及び、19Hは、断熱材10(第1断熱材11)の基材同士を貼り合わせる部分である。のりしろ部19Bは、中央部14と第1延伸部18Aとの間に位置する。のりしろ部19Fは、中央部14と第2延伸部18Bとの間に位置する。
【0024】
第1矩形部15と複数ののりしろ部19D、19Eとの境界には、それぞれ、第1付加スリット20A、20Bが設けられる。第2矩形部16と複数ののりしろ部19A、19Hとの境界には、それぞれ、第1付加スリット20C、20Dが設けられる。複数ののりしろ部19A、19B、19C、19D、19E、19F、19G、及び、19Hのうち隣接する、一方ののりしろ部19Aと他方ののりしろ部19Bとの境界には、第1付加スリット20Eが設けられる。同様に、隣接する、一方ののりしろ部19Bと他方ののりしろ部19Cとの境界には、第1付加スリット20Fが設けられる。隣接する、一方ののりしろ部19Eと他方ののりしろ部19Fとの境界には、第1付加スリット20Gが設けられる。隣接する、一方ののりしろ部19Fと他方ののりしろ部19Gとの境界には、第1付加スリット20Hが設けられる。
【0025】
さらに、
図7を参照すると、第1断熱材11の第2矩形部16は、排気処理装置7からの排気を排出するための排気管62を貫通させるための第1貫通孔22を有する。第1貫通孔22は中心C2、直径DIの円形を有する。直径DIは、切り欠き部14C1の幅Wと等しい。第1貫通孔22の中心C2は、第2矩形部16が折り曲げられたときに、中央部14を形成する平面に対して垂直な方向から見て、中央部14の中心C1を通り切り欠き部14C1の中央を通る直線CL1と重畳する。
【0026】
第2矩形部16は、排気処理装置7に装着される温度センサ(第2温度センサ83)を貫通させるための第2貫通孔24(24A)を有する。第2貫通孔24(24A)は、辺の長さがL2の略正方形の形状を有する。ただし、第1断熱材11の第2貫通孔24Aは、第1貫通孔22と近づきすぎないように、第1貫通孔22に最も近い角に丸みRが設けられている。第1断熱材11の第2矩形部16は、排気処理装置7に装着される差圧センサ79に接続される圧力供給管(第1圧力供給管85)を貫通させるための第3貫通孔26を有する。第3貫通孔26は、辺の長さがL2の実質的に正方形の形状を有する。L2は、DIより短い。
【0027】
第2矩形部16は、第1貫通孔22と第2矩形部16の外縁16Eを接続する第2付加スリット23を有する。第2矩形部16は、第2貫通孔24(24A)と第2矩形部16の外縁16Eを接続する第3付加スリット25を有する。第1断熱材11の第2矩形部16は、第3貫通孔26と第2矩形部16の外縁16Eを接続する第4付加スリット27を有する。第1断熱材11の第1矩形部15は、閉管部78を貫通させるための第4貫通孔28を有する。第1断熱材11の第4貫通孔28は、辺の長さがL1の略正方形の形状を有する。L1は、第1貫通孔22の直径DIと切り欠き部14C1の幅Wと等しい。
【0028】
断熱材10(第1断熱材11)が排気処理装置7に取付けられる際には、スリット17及び、第1付加スリット20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20Hには切り込みが入れられる。そして、中央部14が排気処理装置7の第2基底面B2に接着剤で貼り付けられ、第1延伸部18A、第2延伸部18B、のりしろ部19A、19B、19C、19D、19E、19F、19G、及び、19Hは、点線で示された折り目14Fにおいて中央部14から山折りに折り曲げられ、排気処理装置7の側面7Sに貼り付けられる。
【0029】
次に、第2矩形部16のうち、第2矩形部16の領域R1の裏面(
図7に表示されている面と反対側の面)が、のりしろ部19E、19F、19G、及び、19Hに接着剤で貼り合わされる。第2矩形部16のうち、上記領域R1と
図7におけるスリット17の左側にあたる領域R2を除く領域(第2貫通孔24を含む領域)の裏面が排気処理装置7の側面7Sに接着剤で貼り付けられる。その際、第2付加スリット23を介して、排気管62が第1貫通孔22に通される。第3付加スリット25を介して、温度センサ(第2温度センサ83)が第2貫通孔24(24A)に通される。第4付加スリット27を介して、第1圧力供給管取付部84、または、圧力供給管(第1圧力供給管85)が第3貫通孔26に通される。そして、第2延伸部18Bは、第2矩形部16の領域R3の裏面に接着剤で貼り合わされる。
【0030】
次に、第1矩形部15のうち、第1矩形部15の領域R5の裏面が、第2矩形部16の領域R4に接着剤で貼り付けられる。第1矩形部15の領域R6の裏面が、のりしろ部19A、19B、19C、及び、19Dに接着剤で貼り合わされる。第1矩形部15のうち、上記領域R5、R6を除く領域の裏面が排気処理装置7の側面7Sに接着剤で張り合わされる。その際、閉管部78は、第4貫通孔28に通される。さらに、第1矩形部15の領域R7の裏面が第1延伸部18Aに接着剤で張り合わされる。最後に、第2矩形部16の領域R2の裏面が、第1矩形部15の領域R8に接着剤で貼り合わされる。このように、第1矩形部15の一部(領域R8)が第2矩形部16に貼り合わされて、第2矩形部16の一部(領域R4)が第1矩形部15に貼り合わされるので、断熱材10(第1断熱材11)の排気処理装置7からの剥離を防ぐことができる。
【0031】
一方、
図8を参照すると、断熱材10(第2断熱材12)を平面に展開した形状は、中心C1から離れる方向に中央部14から伸び、第1矩形部15に接続するように構成された第1延伸部18Cをさらに有する。当該形状は、中心C1に対して第1延伸部18Cと点対称な第2延伸部18Dをさらに有する。当該形状は、中心C1から離れる方向に中央部14から伸び、第1矩形部15若しくは第2矩形部16に接続するように構成された複数ののりしろ部19I、19J、19K、19L、19M、19N、19S、及び、19Tをさらに有する。のりしろ部19I、19J、19K、19L、19M、19N、19S、及び、19Tは、断熱材10(第2断熱材12)の基材同士を貼り合わせる部分である。のりしろ部19Sは、中央部14と第1延伸部18Cとの間に位置する。のりしろ部19Kは、中央部14と第2延伸部18Dとの間に位置する。
【0032】
第1矩形部15と複数ののりしろ部19L、19Mとの境界には、それぞれ、第1付加スリット20J、20Kが設けられる。第2矩形部16と複数ののりしろ部19I、19Tとの境界には、それぞれ、第1付加スリット20L、20Mが設けられる。複数ののりしろ部19I、19J、19K、19L、19M、19N、19S、及び、19Tのうち隣接する、一方ののりしろ部19Iと他方ののりしろ部19Jとの境界には、第1付加スリット20Nが設けられる。同様に、隣接する、一方ののりしろ部19Kと他方ののりしろ部19Lとの境界には、第1付加スリット20Sが設けられる。隣接する、一方ののりしろ部19Mと他方ののりしろ部19Nとの境界には、第1付加スリット20Tが設けられる。隣接する、一方ののりしろ部19Sと他方ののりしろ部19Tとの境界には、第1付加スリット20Uが設けられる。
【0033】
さらに、
図8を参照すると、第2断熱材12の第2矩形部16は、エンジン6と排気処理装置7とを接続する接続管63を貫通させるための凹み(hollow)29を有する。凹み29は切り欠き部14C3の幅Wと等しい幅L3を有する長方形状である。第2矩形部16が折り曲げられたときに、凹み29は、切り欠き部14C3と重畳する。
【0034】
第2矩形部16は、排気処理装置7に装着される温度センサ(第1温度センサ81)を貫通させるための第2貫通孔24(24B)を有する。第2断熱材12の第2貫通孔24Bは、辺の長さがL4の実質的に正方形の形状を有する。L4は、L3より短い。第2矩形部16は、第2貫通孔24(24B)と第2矩形部16の外縁16Eを接続する第3付加スリット25を有する。
【0035】
断熱材10(第2断熱材12)が排気処理装置7に取付けられる際には、スリット17及び、第1付加スリット20J、20K、20L、20M、20N、20S、20T、20Uには切り込みが入れられる。そして、中央部14が排気処理装置7の第1基底面B1に接着剤で貼り付けられ、第1延伸部18C、第2延伸部18D、のりしろ部19I、19J、19K、19L、19M、19N、19S、及び、19Tは、点線で示された折り目14Fにおいて中央部14から山折りに折り曲げられ、排気処理装置7の側面7Sに貼り付けられる。
【0036】
次に、第2矩形部16のうち、第2矩形部16の領域R9の裏面(
図8に表示されている面と反対側の面)が、のりしろ部19I、19J、19K、及び、19Lに接着剤で貼り合わされる。第2矩形部16のうち、上記領域R9と
図8におけるスリット17の右側にあたる領域R10を除く領域(第2貫通孔24を含む領域)の裏面が排気処理装置7の側面7Sに接着剤で貼り付けられる。その際、凹み29に、接続管63が通される。第3付加スリット25を介して、温度センサ(第1温度センサ81)が第2貫通孔24(24B)に通される。そして、第2延伸部18Dは、第2矩形部16の領域R11の裏面に接着剤で貼り合わされる。
【0037】
次に、第1矩形部15のうち、第1矩形部15の領域R13の裏面が、第2矩形部16の領域R12に接着剤で貼り付けられる。第1矩形部15の領域R14の裏面が、のりしろ部19M、19N、19S、及び、19Tに接着剤で貼り合わされる。第1矩形部15のうち、上記領域R13、R14を除く領域の裏面が排気処理装置7の側面7Sに接着剤で貼り合わされる。
その際、第1矩形部15の領域R15の裏面が第1延伸部18Cに接着剤で張り合わされる。最後に、第2矩形部16の領域R10の裏面が、第1矩形部15の領域R16に接着剤で貼り合わされる。このように、第1矩形部15の一部(領域R16)が第2矩形部16に貼り合わされて、第2矩形部16の一部(領域R12)が第1矩形部15に貼り合わされるので、断熱材10(第2断熱材12)の排気処理装置7からの剥離を防ぐことができる。
【0038】
最後に、
図6に示すように、第1断熱材11を接着剤で排気処理装置7の第2端部75に貼り付けた後に、ワイヤW1で第1断熱材11を第2端部75に固定する。そして、第2断熱材12を排気処理装置7の第1端部74に貼り付けた後に、ワイヤW2で第2断熱材12を第1端部74に固定する。第3断熱材13は、長方形状の基材をロール状に巻回したものである。第2断熱材12を排気処理装置7の中央部73に取り付ける際には、当該長方形状の基材を中央部73に巻回し、接着材で中央部73に固定した上で、ワイヤW3、W4で第2断熱材12を中央部73に固定する。断熱材10の接着面は高温にさらされるため、接着剤の材質によっては接着力が落ちる、もしくは、なくなることがある。このような場合であっても、ワイヤW1、W2、W3、W4によって断熱材10が排気処理装置7に固定される。
<実施形態の作用及び効果>
【0039】
図6等を参照すると、本実施形態に係る断熱材10は、第1基底面7B1と第2基底面7B2とを接続する側面7Sに排気管62若しくは接続管63が接続される排気処理装置に適用可能である。また、断熱材10は、一続きの平面の部材を折り曲げることによって排気処理装置に装着することが可能である。その結果、取り付けに必要なワイヤの数を少なくすることができる。また、ワイヤW1、W2の装着位置を、それぞれ、第2基底面7B2、第1基底面7B1から遠い位置とすることができるので、ワイヤW1、W2が、第1断熱材11、第2断熱材12から外れにくくなる。
<実施形態の変形例>
【0040】
上述の実施形態では、排気処理装置7が略円筒形状でなくてもよく、例えば、角柱形状であってもよい。第1基底面7B1と第2基底面7B2とが反対であってもよい。上述の実施形態では、断熱材10を排気処理装置7に固定するための部材として、ワイヤW1、W2、W3、W4が例示されているが、この部材は、バンドであってもよい。このため、ワイヤW1、W2、W3、W4と、バンドとを総称して、固定部材F1、F2、F3、F4と呼称してもよい。
【0041】
本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0042】
「~部材」、「~部」、「~要素」、「~体」、および「~構造」という文言は、単一の部分や複数の部分といった複数の意味を有し得る。
【0043】
「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在することを暗に意味するわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在することを暗に意味するわけではない。
【0044】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、実施形態に特段の説明がない限りにおいて、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0045】
本願において「A及びBの少なくとも一方」という文言は、Aだけ、Bだけ、及びAとBの両方を含むように解釈されるべきである。
【0046】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。