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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
E04H6/42 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020159516
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022052964
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】森 貴博
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 将之
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-002116(JP,A)
【文献】特開2000-226949(JP,A)
【文献】特開2004-225356(JP,A)
【文献】特開2006-037680(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0322993(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を載置する載置部を有する載置台と、前記車両が入出庫する出入口部と、前記車両が格納される格納部と、前記出入口部と前記格納部との間を連絡し、前記載置台を移動する昇降部と、を含んで構成される機械式駐車装置であって、
前記載置台は、前記載置部と、前記載置部の両側から連続して立ち上がる起立部と、を備え、
記載置部の縁部に設けられ、前記載置部に溜まる液状体の前記載置部からの漏出を阻止する阻止部と、前記液状体の前記載置部からの排出を許容する排出部を形成する開放部と、を有する阻止部材と、前記排出部に対応して設けられ、前記載置部の縁部に接触して、前記排出部から排出される前記液状体の前記載置部の下面側への回り込みを抑止するとともに、前記液状体を下方に誘導する前記載置部の端部の下面から下方に向けて延びる板状体と、を有し、
前記阻止部材は、前記載置部の端部における前記両側の前記起立部の間で該起立部と交差する方向に延び、一端が一方の前記起立部に接触する閉鎖部を有し、他端が前記開放部とされ、
前記板状体は、前記排出部における前記載置部の端部の下面に上端部が隙間なく接触固定されてほぼ垂直下方に向けて延びる板部材であり、前記液状体は、前記板状体の表面を下方に流れて前記板状体の下端部から落下する構成とされる、
機械式駐車装置。
【請求項2】
前記載置台は、互いに離間して2つ配置される前記載置部と、前記2つの前記載置部に挟まれた中央部と、を有し、
前記中央部が波板部とされ、前記波板部の端部に対応して設けられ、前記載置台に接触して、前記端部から排出される前記液状体の前記載置台の下面側への回り込みを抑止するとともに、前記液状体を下方に誘導する前記載置台の端部の下面から下方に向けて延びる第2の板状体を備える、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記載置部に前記板状体に代えて誘導管を備え、前記誘導管は、前記載置部の排出部に対応して設けられ、前記排出部に離間して対向する対向面と一方の上端部と、を有する対向部と、前記載置部の下面であって、前記載置部の端部から入り込んだ位置で前記下面に隙間なく接触固定される他方の上端部と、前記他方の上端部の下端となる下端部に向けて形成される誘導面と、を有する誘導部と、を有し、
前記誘導管は、前記対向部と前記誘導部とが前記誘導管をパイプ状となす側板を有して一体形成されるとともに、前記対向部の前記一方の上端部と前記阻止部材の上端とに接触して前記誘導管の上部を塞ぐ蓋部材を有する、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケージにパレットが着脱自在に設けられ、ピットには昇降機能付き旋回装置が備えられたものにおいて、前記パレットには水を溜める凹部を有し、前記昇降機能付き旋回装置を出入口側のみ昇降できるように構成したことを特徴とする駐車装置における排水装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、車両を収納する複数のパレットを備えた機械式立体駐車装置において、上記各パレットの所定位置には、そのパレット上に溜まる水分を排出する排出装置が設けられており、該排出装置は、パレット上の水分を一時的に貯溜するタンクと、該タンクの底部に開口する孔部に接合された水抜きパイプとを備え、該水抜きパイプは、タンクの底部に対して上方へ立ち上がる立上がり部を存して孔部に挿通された状態で接合されていることを特徴とする機械式立体駐車装置の排水装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-098789号公報
【文献】実開平06-030358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された排水装置では、パレットに水を溜める凹部を有し、パレット上の自動車が出庫している間に、昇降機能付き旋回装置によって、パレットの出入口側を上昇させて該パレットを傾けて排水するため、装置構成が大がかりとなり、排水するための機械制御が複雑化することから、全体として、製作コストの増大を招き、凹部及び昇降機能付き旋回装置のメンテナンスにも追加の作業を行う必要があった。また、パレットの端部では、パレットの下面側に水が回り込んで垂れ落ちる可能性があるため、パレット下面の錆の発生、これによる腐食の進行も問題であった。
【0006】
また、特許文献2に記載された排水装置では、パレット上に溜まる水分を一旦貯留するタンクを製作してパレットの下面側に設ける必要があり、タンクに設けられた水抜きパイプ先端から水分のみを排出するため、全体として、製作コストの増大を招くだけでなく、水分とともにタンクに入り込む異物の排除ができないという問題が生じていた。
【0007】
これに対し、本発明は、載置台から排出される液状体が、載置台の下面側に回り込んで流下することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る載置台は、物品を載置する載置台であって、前記載置台に設けられ、前記載置台に溜まる液状体の前記載置台からの漏出を阻止する阻止部と、前記液状体の前記載置台からの排出を許容する排出部を形成する開放部と、を有する阻止部材と、前記排出部に対応して設けられ、前記載置台に接触して、前記排出部から排出される液状体の前記載置台の下面側への回り込みを抑止するとともに、前記液状体を下方に誘導する誘導体と、を備える。
【0009】
第2態様に係る載置台は、第1態様に係る載置台において、前記誘導体は板状体である。
【0010】
第3態様に係る載置台は、第2態様に係る載置台において、前記載置台は、物品が載置される載置部と、前記載置部の両側から連続して立ち上がる起立部と、を備え、前記阻止部材は、前記載置部の端部における前記両側の前記起立部の間で該起立部と交差する方向に延び、一端が一方の前記起立部に接触する閉鎖部を有し、他端が前記開放部とされ、前記板状体は、前記排出部における前記載置部の下面から下方に向けて延びて設けられている。
【0011】
第4態様に係る載置台は、第1態様に係る載置台において、前記載置台は、互いに離間して2つ配置される前記載置部と、前記2つの前記載置部に挟まれた中央部と、を有し、前記中央部が波板部とされ、前記波板部の端部に対応して設けられ、前記載置台に接触して、前記端部から排出される液状体の前記載置台の下面側への回り込みを抑止するとともに、前記液状体を下方に誘導する第2の誘導体を備える。
【0012】
第5態様に係る載置台は、第4態様に係る載置台において、前記第2の誘導体は板状体である。
【0013】
第6態様に係る載置台は、第1態様に係る載置台において、前記誘導体は管状体である。
【0014】
第7態様に係る載置台は、第6態様に係る載置台において、前記管状体は、前記排出部において、前記載置部の外方に離間して対向する第一板部と、前記載置部の下面に接触して下方向に延びる第二板部と、を有する。
【0015】
第8態様に係る機械式駐車装置は、車両を格納する格納部と、請求項1~7のいずれか1項に記載の載置台と、前記載置台を移動する移動機構と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
第1態様に係る載置台によれば、載置台に、単に排出部が設けられているものに比べて、前記載置台から排出される液状体が、前記載置部の下面側に回り込んで予期しない部位から流下することが抑制される。
【0017】
第2態様に係る載置台によれば、複雑な構造の水受け手段が設けられているものに比べて、簡単な構造で、低コストで製作され、取り付けが容易となる。
【0018】
第3態様に係る載置台によれば、排出部が載置台の端部全体に設けられているものに比べて、排出部から排出される液状体が、載置部の下面側に回り込むことが抑制される。
【0019】
第4態様に係る載置台によれば、載置台の中央部の端部から液状体が排出ものにおいて、単に、排出部が中央部の端部に設けられているものに比べて、中央部の端部から排出される液状体が、中央部の下面側に回り込んで予期しない部位から流下することが抑制される。
【0020】
第5態様に係る載置台によれば、複雑な加工が施された部材を用いるものに比べて、簡単な構造で、低コストで製作される。
【0021】
第6態様に係る載置台によれば、載置台の移動方向に排出部が開口されるものにおいて、複雑な構造の水受け手段が設けられているものに比べて、簡単な構造で、低コストで製作され、取り付けが容易となる。
【0022】
第7態様に係る載置台によれば、載置台が排出部の開口方向に移動されても、排出部から排出される液状体を受け止めて、液状体が載置部の下面側に回り込むことが抑制される。
【0023】
第8態様に係る機械式駐車装置によれば、載置台に、単に排出部が設けられているものに比べて、前記載置台から排出される液状体が、前記載置部の下面側に回り込んで予期しない部位から流下することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係る機械式駐車装置の全体構成を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係るトレーの一例を示す平面図である。
図3】第1実施形態に係るトレーの一例を示す正面図である。
図4】第1実施形態に係る排出部及び板部材の一例を示す拡大平面図である。
図5】第1実施形態に係るトレーの阻止部材及び排出部の一例を示す拡大正面図である。
図6図3における6-6拡大断面図である。
図7】第2実施形態に係るトレーの一例を示す平面図である。
図8】第2実施形態に係るトレーの一例を示す正面図である。
図9図8における9-9拡大断面図である。
図10】変形例に係る阻止部材及び排出部の一例を示す拡大正面図である。
図11】第3実施形態に係る排出部及び誘導管の一例を示す斜視図である。
図12図11における12-12拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明における実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。
また、図面において、Hは装置高さ方向を示し、Wは装置幅方向を示し、Dは装置奥行方向を示している。当該方向は、装置において、Hは上下方向を示し、Wは横方向、左右方向又はトレーの短手方向を示し、Dは縦方向又はトレーの長手方向を示す。
【0026】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る機械式駐車装置の全体構成を示す概略図である。
【0027】
[機械式駐車装置の全体構成]
図1は、トレー20を用いた機械式駐車装置1の概略図を示している。
図1に示すように、機械式駐車装置1は、一例として、格納部10と、出入口部12とで構成されている。格納部10と出入口部12とは連絡路12Bを介してひとつの区画として構成されている。
【0028】
〔格納部〕
格納部10には、機械式駐車装置1の一例として、車両5を載置する複数の後述するトレー20が上下左右方向に並ぶ多層箱型循環式駐車装置が設置されている。
機械式駐車装置1は、横行部14と昇降部16とを含んで構成されている。横行部14は、上下方向において、上側に第1横行部14A、下側に第2昇降部14Bが配置されている。第1横行部14Aと第2横行部14Bとは、その一端側に第1昇降部16Aが、その他端側に第2昇降部16Bが、それぞれ配置され、第1昇降部16Aは、連絡路12Bを介して出入口部12まで延びている。
【0029】
横行部14には、装置幅方向Wに複数のトレー20が互いに連結されて配置されている。第1横行部14Aには、第2昇降部16Bの位置を除いて複数のトレー20が配置され、第1昇降部16Aの位置では、出入口12にトレー20が上昇している。また、第2横行部14Bには、第1昇降部16Aの位置を除いて、第2昇降部16Bの位置まで複数のトレー20が配置され、この配置が、基本の配置とされている。なお、機械式駐車装置1の循環運転を行う際には、第1昇降部16Aにおける上記出入口12に上昇しているトレー20を第1横行路14Aの高さ位置に下降させて、第1横行部14Aでは、第2昇降部16Aの位置にトレー20が配置されず、また、第2横行部14Bでは、第1昇降部16Aの位置にトレー20が配置されない。換言すれば、図1に示す格納部10において、装置左端の上段と、装置右端の下段とにトレー20が配置されない、いわゆる空きスペースとされている。ここでは、この配置を循環時配置という。
【0030】
〔出入口部〕
出入口部12は、第1昇降部16Aによって昇降されるトレー20に車両5が自走して進退するための出入口12Aが設けられ、出入口12Aには、図示しない制御部によって開閉する出入口扉が設けられている。
【0031】
〔移動機構〕
移動機構は、図示しないが、トレー20を装置幅方向Wの左右に移動する横行装置と、トレー20を装置高さ方向Hの上下に移動する昇降装置とを含んで構成されている。
【0032】
(横行装置)
横行装置は、横行部14において、第1横行部14A及び第2横行部14Bに設けられ、横行用のレール上を移動可能とされたトレー20に接触して移動させる。一例として、本実施形態では、トレー20の装置奥行方向Dの両端部に設けられた被係合部材に対して、第1横行部14A、第2横行部14Bの装置幅方向Wの中央部分に固定された一対の歯車に巻き掛けられた索状体に固定された係合部材が係合し、一対の歯車の一方が駆動源によって回転駆動されて索状体が回転することで、トレー20を装置幅方向Wの左右方向に移動させる。
【0033】
この横行装置は、上記構成に限らず、トレー20を横行移動させる機能を有する装置であれば、他の構成のものでよい。例えば、ラック・ピニオン式、摩擦駆動ローラ式、旋回アーム式等、いずれの構成でもよい。
【0034】
(昇降装置)
昇降装置は、昇降部16において、第1昇降部16A及び第2昇降部16Bに設けられ、トレー20を載置して移動させる。一例として、本実施形態では、装置幅方向Wに離間して設置される一対の柱部材に、それぞれ装置高さ方向Hの上下端部に回転支持される一対の歯車が固定され、一対の歯車に索状体が巻き掛けられている。索状体には、第1横行部14A及び第2横行部14Bに設けられたレールに対応する高さに昇降用のレールが固定されている。一対の柱部材は、トレー20の装置奥行方向Dの両外側に設けられている。トレー20は、横行装置の駆動によって、昇降部16の第1昇降部16A又は第2昇降部16Bに位置する昇降用のレールに移動し載置され、第1昇降部16A又は第2昇降部16Bに設けられた一対の歯車の一方が駆動源によって回転駆動されて索状体が回転することで、昇降用のレールに載置されたまま昇降される。
【0035】
この昇降装置は、上記構成に限らず、トレー20を昇降移動させる機能を有する装置であれば、他の構成のものでよい。例えば、パンタグラフ式昇降機構、フォーク式昇降機構等を併用する構成を用いてもよい。
【0036】
〔機械式駐車装置の循環運転動作〕
機械式駐車装置1は、上述の循環時配置から運転動作が行われる。運転動作の一例を説明すると、第1段階として、第1昇降部16Aの第1横行部14Aの高さ位置に配置されたトレー20を第2横行部14Bの高さ位置に下降させるとともに、第2昇降部16Bの第2横行部14Bの高さ位置に配置されたトレー20を第1横行部14Aの高さ位置に上昇させる。この運転は、第1昇降部16Aと第2昇降部16Bとを同時に昇降させてもよいし、第1昇降部16Aと第2昇降部16Bとに時間差を設けて運転させてもよい。この時間差を設けて運転する際は、第1昇降部16A又は第2昇降部16Bの下降動作が終了した時点で第2昇降部16B又は第1昇降部16Aを上昇させることが好ましい。
【0037】
第2段階として、第1横行部14Aの複数のトレー20を第1昇降部16A側にトレー20の1台分を横行させるとともに、第2横行部14Bの複数のトレー20を第2昇降部16B側にトレー20の1台分を横行させる。換言すれば、第1横行部14Aの複数のトレー20と第2横行部14Bの複数のトレー20とを互いに反対側にトレー20の1台分を横行させる。この運転は、第1横行部14Aと第2横行部14Bとを同時に運転させてもよいし、第1横行部14Aと第2横行部14Bとに時間差を設けて横行させてもよい。この時間差を設けて運転させる際は、第1横行部14A又は第2横行部14Bの横行動作が終了した時点で第2横行部14B又は第1横行部14Aを横行させることが好ましい。
【0038】
第3段階として、上記第1段階及び第2段階の運転が繰り返し行われて、車両の出庫又は入庫に対応する所望のトレー20が第1昇降路16Aに位置すると、第1昇降路16Aに位置したトレー20が出入口部12に向けて上昇され、車両の入出庫に供される。また、トレー20が図1に示すように、出入口部12に配置されて停止している場合は、当該トレー20を第1昇降部16Aの第1横行部14A又は第2横行部14Bに対応する高さ位置に下降させて、循環時配置としてから、上記第1段階及び第2段階の運転が行われる。
【0039】
<要部の構成>
次に、図2から図6を参照しながら要部の構成について説明する。
【0040】
[トレー]
トレー20について図2から図6を参照しながら説明する。ここで、図2は、本実施形態に係るトレーの一例を示す平面図である。また、図3は、本実施形態に係るトレーの一例を示す正面図である。また、図4は、本実施形態に係る排出部及び誘導板の一例を示す拡大平面図である。また、図5は本実施形態に係るトレーの阻止部材及び排出部の一例を示す拡大正面図である。また、図6は、図3における6-6拡大断面図である。
【0041】
トレー20は、図2図3に示すように、平面視で全体に矩形状をなし、装置奥行方向Dがトレー20の長手方向とされ、装置幅方向Wがトレー20の短手方向とされている。トレー20は、装置幅方向Wにおいて、中央部26と、中央部26の装置幅方向Wの両側に連続して形成される2つの走行部22と、トレー20を、後述するレール50上を装置幅方向Wに移動可能に支持する車輪29と、を含んで構成されている。
【0042】
また、中央部26及び2つの走行部22を含んで構成されるトレー20は、トレー20の長手方向の中央部分が、装置奥行方向Dの両端部22Cに対して0~5mm程度、装置高さ方向Hの上方に位置している。換言すれば、トレー20は、その長手方向における中央部分が両端部22Cに対して少なくとも上方に位置し、トレー20上に存在する水Lが該中央部分に滞留しないように構成されている。水Lは、単に水分だけでなく、トレー20上に持ち込まれる砂塵、泥、小石等の細かい固形物を含む。ここで、トレー20は載置台の一例であり、走行部22は載置部の一例であり、水Lは液状体の一例である。
【0043】
〔走行部及び起立部〕
走行部22は、中央部26を挟んで装置幅方向Wに2つが連続して形成されている。2つの走行部22は、装置幅方向Wの中央に対して左右対称に形成されているため、図2及び図3における装置幅方向Wの右側に位置する走行部22について説明する。
【0044】
図2及び図3に示すように、走行部22は、装置幅方向Wの両側に起立部24を有する。走行部22は、上面22Aと下面22Bとを含んで構成されている。この上面22Aは、車両5の車輪が走行する部分である。走行部22の装置幅方向Wにおける中央部26の側は、走行部22から連続して形成される起立面部24B1を有して内側起立部24Bが形成されている。換言すれば、内側起立部24Bは、中央部26の装置幅方向Wの端部でもある。また、走行部22の装置幅方向Wにおける中央部26の反対側は、起立面部24A1を有して外側起立部24Aが形成されている。したがって、走行部22及び起立部24は、中央部26の装置幅方向Wにおける端部をなす内側起立部24Bから、走行部22、走行部22の中央部26とは反対側の外側起立部24Aに至る一体形成された板体とされている(特に、図3を参照。)。
【0045】
また、2つの走行部22の下面22Bには、装置幅方向Wに沿って後述する骨部材28が固定されている。この骨部材28は角形鋼管が用いられ、トレー20の装置奥行方向Dであるトレー20の長手方向に複数設けられている。また、本実施形態では、走行部20の端部22Cの側における下面22Bに固定される骨部材28は、図6に示すように、下面22Bにおいて、端部22Cから中央部分に向けて10mm程度内側に位置して固定されている。
【0046】
〔中央部〕
中央部26は、トレー20の装置幅方向Wの中央部分であって、2つの走行部22に連続して挟まれて形成されている。本実施形態では、中央部26は平板で構成されている。この中央部26は、車両5の車輪は走行しない。
【0047】
〔第1連結部及び第2連結部〕
トレー20の装置幅方向Wにおける両側に形成される2つの外側起立部24Aには、それぞれ、第1連結部20Aと第2連結部20Bとが設けられている。図2に示すように、第1連結部20Aは、トレー20に対して一方の対角線上に設けられ、第2連結部20Bは、トレー20に対して他方の対角線上に設けられている。本実施形態では、一例として、第1連結部20Aは雄型、第2連結部20Bは雌型とされ、トレー20の昇降動作に応じて第1連結部20Aと第2連結部20Bとが着脱される。これにより、隣接するトレー20同士が連結状態又は非連結状態とされる。
【0048】
〔阻止部材〕
図4及び図5に示すように、阻止部材30は、一例として丸形鋼材が用いられ、走行部22の端部22Cにおける上面22Bに、装置幅方向Wに沿って固定される。また、阻止部材30は、走行部22の幅よりも短い寸法に設定されており、一端が外側起立部24Aの起立面部24A1に接触する閉鎖部36と、他端が内側起立部24Bの起立面部24B1から離間する開放部34と、閉鎖部36から開放部34までの間の阻止部32と、を有する。この阻止部材30は、上面22A及び起立面部24A1に対して水密に固定される。換言すれば、阻止部材30は、水Lが、阻止部32及び閉鎖部36において端部22Cからトレー20の外側に漏出しないように、走行部22の端部22Cにおける上面22Bに固定されている。具体的には、阻止部材30は、走行部22の端部22Cにおける上面22B及び起立面部24A1に溶接されている。また、当該部位の溶接は点溶接でもよく、この場合、シーリング材等を用いて水Lの漏出を阻止してもよい。これによって、阻止部材30の走行部22における端部22Cの反対側に阻止部32が形成される。
【0049】
〔排出部〕
排出部38は、阻止部材30の開放部34と対向する起立面部24B1とが離間することで形成される。換言すれば、排出部38は、走行部22における端部22Cと走行部22の上面22Aとが連通されて形成され、水Lの排出が許容される開口とされている。
【0050】
〔板部材〕
板部材40は、排出部38に対応して設けられ、トレー20に接触して、排出部38から排出される水Lのトレー20の下面22Bへの回り込みを抑止して、水Lを下方に誘導する。板部材40は、図4及び図5に示すように、平鋼板が用いられ、排出部38に対応して設けられている。板部材40は、装置幅方向Wにおいて、排出部38の幅よりも大きな幅を有している。また、板部材40は、装置幅方向Wに沿って、装置高さ方向Hの中央部付近よりも下方が走行部22の端部22Cの側、すなわち、トレー20の長手方向の外側に向けて折り曲げられている(図6も参照)。この折り曲げ角度は任意の角度でよく、後述する水受部材52に向けられていればよい。ここで、板部材40は板状体の一例である。
【0051】
板部材40は、図6に示すように、装置奥行方向Dにおける走行部22の外方を向く表面42と、表面42と反対側を向く裏面44と、装置高さ方向Hの上端側となる上端部46と、上端部46の装置高さ方向Hにおける反対側の下端側となる下端部48と、を有し、任意の板厚を有する。この板部材40は、走行部22の下面22Bと、骨部材28の走行部22における端部22Cの側を向く面に固定される。具体的には、板部材40の上端部46が下面22Bと隙間なく固定され、板部材40の裏面44の一部が骨部材28の上記端部22Cの側を向く面と隙間なく固定される。固定方法は、ビス止め、溶接、接着剤による接着等、任意の固定方法が用いられる。また、板部材40は、新規に製作されるトレー20に用いられることは勿論だが、既設の機械式駐車装置におけるトレーに設ける改良手段としても用いられる。
【0052】
また、板部材40の表面42は、装置奥行方向Dにおいて、骨部材28と反対側を向いている。また、下端部48は、装置高さ方向Hにおいて、骨部材28よりも下方に向けて延び、かつ、後述する水受部材52及びトレー20の移動に用いられる部材又は装置に干渉しない位置にある。
【0053】
<要部の作用>
ここで、要部の作用について、図6を参照して説明する。
トレー20は、車両5を載置することにより、機械式駐車装置1の外部から車両5に付着した水、雪、氷等(以下、「水」という。)が持ち込まれる。これは、積雪寒冷地において顕著である。これらの水Lは、車両5からトレー20に落下し、特に、走行部22の上面22Aに集まり、走行部22の端部22Cにおける開放部34から排出される。この時、板部材40が設けられていないトレー20では、開放部34から排出された水は、端部22Cから装置高さ方向Hの下方に落下するが、その一部は、水の表面張力によって、走行部22の下面22Bに回り込み、さらに骨部材28の表面を伝わって骨部材28の下面28Aから意図しない位置に落下する。
【0054】
本実施形態では、排出部38に対応する走行部22の下面22Bの側に板部材40が設けられているから、排出部38から排出された水Lの一部が走行部22の下面22Bに回り込んでも、回り込んだ水Lは、板部材40の表面42を流れて下端部48へ誘導され、板部材40の下端部48から落下する。板部材40によって誘導されて落下した水Lは、排出部38から水受部材52に直接流れ落ちる水Lと合流する。これにより、排出部38から排出される水Lが意図しない位置に流れ落ちることが抑制される。
【0055】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について、図7から図9を参照しながら説明する。第2実施形態におけるトレー120は、中央部126が、装置幅方向Wにおいて2つの走行部22とは別体に分割されて、この分割された部分が波板部126Aで構成され、波板部126Aにも板部材140を設ける点で第1実施形態と異なる。ここで、図7は、第2実施形態に係るトレー120の一例を示す平面図である。図8は、第2実施形態に係るトレー120の一例を示す正面図である。図9は、図8における9-9拡大断面図である。
【0056】
[トレー]
第2実施形態におけるトレー120は、図7に示すように、全体形状として、平面視で全体に矩形状をなす点、また、図8に示すように、板部材40が、阻止部材30における開放部34と起立面部24B1との離間により開口された排出部38が形成された部分に対応して設けられる点は、第1実施形態と同じである。以下、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0057】
〔中央部〕
中央部126は、トレー120の装置幅方向Wの中央部分であって、この両側に配置される2つの走行部22とは別体に形成されている。本実施形態では、中央部126は、波板部126Aとされている。波板部126Aは、図8に示すように、装置幅方向Wに複数の台形状に折り曲げられて形成され、この台形状の部分は装置奥行方向Dの全域に亘って形成された板材であり、一般にキーストンプレートと称される。また、波板部126Aは、装置奥行方向Dの両側に第2端部126A1を有し、台形状に折り曲げられた下方側の装置高さ方向Hの上方に上面126A2を、また、上面126A2の裏側に下面126A3を、それぞれ有する。この波板部126Aは、装置幅方向Wの両側にそれぞれ位置する2つの走行部22とともに、下面126A3が骨部材28に固定されている。第2端部126A1は開放されており、以下、第2端部126A1を第2開放部126Bとして説明することもある。このように、本実施形態では、波板部126Aと、波板部126Aの装置幅方向Wの両側にそれぞれ走行部22が配置されて全体としてトレー120が構成される。
【0058】
〔第2板部材〕
図7から図9に示すように、第2板部材140は、平鋼板が用いられ、第2開放部126Bに対応して設けられている。また、第2板部材140は、装置奥行方向Dの骨部材28の側と反対側を向く表面142と、表面142の反対側を向く裏面144と、装置高さ方向Hの上端側をなす上端部146と、その反対側をなす下端部148と、を有し、任意の板厚を有する。第2板部材140は、装置幅方向Wにおいて、波板部126Aの幅よりも大きな幅を有している。また、第2板部材140は、装置幅方向Wに沿って、装置高さ方向Hの中央部よりも下方が端部126A1の側、すなわち、トレー120の長手方向の外側に向けて折り曲げられている。この折り曲げ角度は任意の角度でよく、水受部材52に向けられていればよい。ここで、第2板部材140は第2の誘導体の一例である。
【0059】
この第2板部材140は、波板部126Aの下面126A3と、骨部材28の、波板部126Aにおける第2端部126A1の側を向く面に固定される。具体的には、第2板部材140の上端部146が下面126A3と隙間なく固定され、第2板部材140の裏面144の一部が骨部材28の第2端部126A1の側を向く面と隙間なく固定される。固定方法は、ビス止め、溶接、接着剤による接着等、任意の固定方法が用いられる。また、表面142は、装置奥行方向Dにおいて、骨部材28と反対側を向いている。また、下端部148は、装置高さ方向Hにおいて、骨部材28よりも下方に向けて延び、かつ、水受部材52及びトレー20の移動に用いられる部材又は装置に干渉しない位置にある。また、第2板部材140は、新規に製作されるトレー120に用いられることは勿論だが、既設の機械式駐車装置におけるトレーに設ける改良手段としても用いられる。
【0060】
〔第2板部材の作用〕
第2板部材140は、波板部126Aの第2開放部126Bから流れ出て第2波板部140の下面126A3の側に回り込む水L(不図示)を、表面142を介して装置高さ方向Hの下方に誘導する。表面142によって誘導された水Lは、下端部148から、下端部148の装置高さ方向Hの下方に位置する水受部材52に流下する。これにより、第2板部材140の下面126A3の側に回り込む水Lを、下面126A3のさらに装置奥行方向Dの側、又は、骨部材28の下面28Aの側に回り込むことが抑制され、予期しない位置への水Lの流下が抑制される。
【0061】
<変形例>
変形例を図10に示す。変形例は、阻止部材130の構成が第1実施形態及び第2実施形態と異なる点を除いて、その他の構成は第1実施形態及び第2実施形態と同様である。ここでは、阻止部材130について説明する。
【0062】
図10に示すように、変形例における阻止部材130は、装置幅方向Wにおいて、阻止部132と、阻止部132の外側起立部24Aの側である閉鎖部136と、阻止部132の内側起立部24Bの側である接触部138と、接触部138において、走行部22の上面22Aとの間に開口する開放部134と、を含んで構成されている。
【0063】
接触部138は、内側起立部24Bの起立面部24B1に接触し、接触部138の装置高さ方向Hの下方側が切り取られて開放部134が形成され、排出部38とされている。開放部134(排出部38)は、図示しない水Lが排出される際に、開放部134の開口よりも大きな小石等を水Lとともに流下させずに止め置く機能を有する。これにより、開放部134では、上記小石等の、水受部材52への流下が抑制される。すなわち、開放部134からは主に水Lが流下されることになる。
【0064】
<第3実施形態>
第3実施形態は、図11図12に示すように、排出部38に対応して誘導管150が設けられている点で、第1実施形態、第2実施形態、及び変形例と異なる。また、第3実施形態は、トレー20において、装置奥行方向Dの外側に車輪が設けられていない。車輪は、図示しないが、走行部22の下面22Bの側において、装置幅方向Wに回転される横送り用の車輪と、装置奥行方向Dに回転される縦送り用の車輪と、が対となって、トレー20の四隅に近い部分に計4か所設けられている。この横送り用の車輪と縦送り用の車輪とが、図示しない横送り用レールと縦送り用レールとを走行可能とすることで、トレー20は、装置幅方向Wと装置奥行方向Dとに走行が許容される。以下、第1実施形態、第2実施形態、変形例と異なる部分について説明する。
【0065】
誘導管150は、装置高さ方向Hに空間を有するパイプ形状の部材とされている。図11に示すように、誘導管150は、走行部22の排出部38に対応して設けられている。図12に示すように、誘導管150は、装置高さ方向Hに延び、排出部38に離間して対向する対向面152Aと、装置高さ方向Hの上端となる上端部152Bと、を有する対向部152と、走行部22の下面22Bであって、走行部22の端部22C(図11参照)から装置奥行方向Dに入り込んだ位置で接触する上端部154Bと、上端部154Bから装置高さ方向Hの下端となる下端部154Cに向けて形成される誘導面154Aと、を有する誘導部154と、を有する。また、装置幅方向Wにおいて、対向部152と誘導部154と一体形成され、誘導管150をパイプ状となす側板を有する。また、誘導管150は、対向部152の上端部152Bと阻止部材30の上端とに接触して誘導管150の装置高さ方向Hの上部を塞ぐ蓋部材156を有する。ここで、誘導管150は誘導体の一例であり、誘導部154は第二板部の一例である。
【0066】
第3実施形態におけるトレー20は、上述のとおり、装置奥行方向Dに沿って走行される。図12に示すように、例えば、トレー20が矢印Xの方向に移動された場合、走行部22の上面22Aに存在する水Lは、排出部38から走行部22の外方へ勢いよく流れ出る。排出部38から流れ出る水Lは、中抜き矢印Lの方向に流れ出て、誘導管150の対向面152Aに当たり、その流れは装置高さ方向Hの下方へと変化して流下する。このとき、排出部38から流れ出た水Lの多くは中抜き矢印Lのように誘導管150の内部空間を下方へと流下するが、その一部は、誘導部154の誘導面154Aに誘導されて下端部154Cから流下する。
【0067】
誘導部154の装置高さ方向Hの下方には、下端部154Cから離間して、横水受部材162と縦水受部材164とが設けられている。本実施形態では、装置幅方向Wに沿って横水受部材162が設置され、装置奥行方向Dに沿って縦水受部材164が設置されている。横水受部材162と縦水受部材164とは、トレー20に設けられた誘導部150に対応して一体的に設けられ、トレー20の移動に対応している。
【0068】
これにより、排出部38から流下する水Lは、走行部22の下面22Bの装置奥行方向Dの側に深く回り込むことがない。また、水Lは、下面22Bに接触して設けられている骨部材28の下面28Aの側にも回り込むことがない。このように、排出部38から排出される水Lは、誘導管150の誘導部154によって走行部22の下面22Bの側へ回り込むことが抑制される。また、トレー20の矢印Xの方向への移動に伴って排出部38を勢いよく流れ出た水Lは、誘導部150を介して、縦水受部材164に流下される。
【0069】
以上、説明したように、本発明は、以下に示す構成及び効果を有する。
【0070】
トレーは、車両5を載置するトレー20であって、該トレー20に設けられ、トレー20に溜まる水Lの該トレー20からの漏出を阻止する阻止部32と、水Lのトレー20からの排出を許容する排出部38を形成する開放部34と、を有する阻止部材30と、排出部38に対応して設けられ、トレー20に接触して、排出部38から排出される水Lのトレー20の下面側への回り込みを抑止するとともに、水Lを下方に誘導する板部材40と、を備える。
【0071】
これにより、トレー20に、単に排出部38が設けられているものに比べて、トレー20から排出される水Lが、走行部22の下面22B側に回り込んで予期しない部位から流下することが抑制される。
【0072】
また、板部材40は板状体である。これにより、複雑な構造の水受け手段が設けられているものに比べて、簡単な構造で、低コストで製作され、取り付けが容易となる。
【0073】
また、トレー20は、車両5が載置される走行部22と、該走行部22の両側から連続して立ち上がる起立部24と、を備え、阻止部材30は、走行部22の端部22Cにおける両側の起立部24の間で該起立部24と交差する方向に延び、一端が一方の外側起立部24Aに接触する閉鎖部36を有し、他端が排出部38を形成する開放部34とされ、板部材40は、排出部38における走行部22の下面22Bから下方に向けて延びて設けられている。
【0074】
これにより、排出部38がトレー20の端部全体に設けられているものに比べて、排出部38から排出される水Lが走行部22の下面22B側に回り込むことが抑制される。
【0075】
また、トレー120は、互いに離間して2つ配置される走行部22と、前記2つの走行部22に挟まれた中央部126と、を有し、中央部126が波板部126Aとされ、波板部126Aの端部126A1に対応して設けられ、トレー20に接触して、端部126A1から排出される水Lのトレー20の下面側への回り込みを抑止するとともに、水Lを下方に誘導する第2の板部材140を備える。
【0076】
これにより、波板部126Aの端部126A1から水Lが排出されるものにおいて、単に、排出部38が中央部の端部に設けられているものに比べて、中央部126における波板部126Aの端部126A1に形成される第2開放部126Bから排出される水Lが波板部126Aの下面側に回り込んで、予期しない部位から流下することが抑制される。
【0077】
また、第2の板部材140は板状体である。これにより、複雑な加工が施された部材を用いるものに比べて、簡単な構造で、低コストで製作され、取り付けが容易となる。
【0078】
また、誘導管150は管状体である。これにより、トレー20、120の移動方向に排出部38が開口されるものにおいて、複雑な構造の水受け手段が設けられているものに比べて、簡単な構造で、低コストで製作され、取り付けが容易となる。
【0079】
また、誘導管150は、排出部38において、走行部22の外方に離間して対向する対向部152と、走行部22の下面22Bに接触して下方向に延びる誘導部154と、を有する。
【0080】
これにより、トレー20、120が排出部38の開口方向に移動されても、排出部38から排出される水Lを受け止めて、水Lが走行部22の下面22B側に回り込むことが抑制される。
【0081】
また、機械式駐車装置1は、車両5を格納する格納部10と、上記各構成のいずれか1構成を有するトレー20と、該トレー20を移動する移動機構と、を有する。
【0082】
これにより、トレー20、120に、単に排出部38が設けられているものに比べて、トレー20、120から排出される水Lが、走行部22の下面22B側に回り込んで予期しない部位から流下することが抑制される。
【0083】
以上、機械式駐車装置の載置台及び誘導体の一例について詳細に説明したが、本発明の技術はこれに限定されない。本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において種々の変形が含まれることは勿論である。
【0084】
例えば、板部材40、第2板部材140は、平板が中央部から任意の角度で折り曲げられていると説明したが、これに限らず、折り曲げを無くして直線状としてもよい。これは、板部材40、第2板部材140の装置高さ方向Hの下方に設けられる水受部材52の大きさ、対応する位置に合わせて、水Lが流下される形状を有していればよい。
【0085】
また、板部材40、第2板部材140は、平板状であると説明したが、これに限らず、板部材40、第2板部材140は、装置高さ方向Hの上方から見て、装置幅方向Wの両側又は片側が、装置奥行方向Dのトレー20の端部22Cの側に折り曲げ、又は湾曲した形状としてもよい。これによっても、水Lを確実に誘導することが担保される。
【0086】
また、板部材40と第2板部材140とは別体の構成として説明したが、これに限らず、板部材40と第2板部材140とは一体の構成としてもよい。これによっても、トレー20の製作時、又は、既存トレーへの板部材の追加時に、板部材を容易に取り付けられる。一方、第2板部材140は、トレー120の波板部126Aに対応して設けなくてもよく、排出部38に対応して設ける板部材40のみの構成としてもよい。
【0087】
また、板部材40は、板部材40の上端部46が走行部22の下面22Bに接触していると説明したが、これに限らず、板部材40の裏面部44の上端側が走行部22の端部22Cに接触する形態としてもよい。これによっても、排出部38から排出された水Lが走行部22の下面22Bの側に回り込むことが抑制される。
【0088】
また、第2板部材140は、第2板部材140の上端部146が波板部126Aの下面126A3に接触していると説明したが、これに限らず、第2板部材140の裏面部144の上端側が波板部126Aの端部126A1に形成される第2開放部126Bに接触する形態としてもよい。これによっても、第2開放部126Bから排出された水Lが波板部126Aの下面126A3の側に回り込むことが抑制される。
【0089】
また、板部材40及び第2板部材140は平鋼板を用いるとして説明したが、これに限らず、板部材40及び第2板部材140は、板状の部材であればよい。例えば、平鋼板よりも薄いフィルム状又はテープ状の部材を用いることができ、この場合、その材質は、金属でもよく、また、樹脂でもよい。また、材質が金属又は樹脂とされる場合であっても、その組成は、硬度の大きい剛体でもよく、可撓性を有するものでもよい。また、板部材40又は第2板部材140は、互いに同一又は類似の材質の部材を用いてもよいし、互いに異なる材質の部材を用いてもよい。このようにしても、排出部38又は第2開放部126Bから排出された水Lが、走行部22の下面22Bの側、又は、波板部126Aの下面126A3の側に回り込むことが抑制される。
【0090】
また、阻止部材30は、丸形鋼材として説明したが、これに限らず、走行部22に溜まる水Lの漏出を阻止できるものであれば、いずれの形状、いずれの材質のものを用いてもよい。例えば、形状の一例として、阻止部材30の断面形状が、角形状、台形状、上部が凸となる丸形状(円弧状)などとしてもよく、また、材質の一例として、阻止部材30を樹脂製などの鋼材以外のものとしてもよい。
【0091】
また、阻止部材30は、一方の閉鎖部36と他方の開放部34とを有し、開放部34の側に排出部38が形成されるものとして説明したが、これに限らず、阻止部材30は、走行部22の装置幅方向Wにおいて、左右2つに分割して、走行部22の端部22Cにおける装置幅方向Wの一方側と他方側とを閉鎖部36として、該2つの閉鎖部36の間の適宜の部位を開放部34として排出部38を形成してもよく、また、阻止部材30は、走行部22の装置幅方向Wにおいて、走行部22の端部22Cにおける装置幅方向Wの左右両側に開放部34が形成されて、走行部22の装置幅方向Wの一方側と他方側とに2つの排出部38を形成してもよいことは勿論である。
【0092】
また、阻止部材30は、走行部22の端部22Cにおいて、装置幅方向Wに沿って設けられると説明したが、これに限らず、装置高さ方向Hの上方から見て、端部22Cに対して角度を有して設けてもよい。一例として、開放部34は端部22Cに、閉鎖部32は端部22Cよりも装置奥行方向Dの走行部22の中央部に向けてずらして設けることも含まれる。
【0093】
また、中央部126を波板材126Aとすると説明したが、これに限らず、中央部126は、車両5が持ち込む水Lを受けてトレー20の装置奥行方向D(長手方向)の端部から水Lが排出される構造を有するものであればよい。一例として、中央部126には平板材を用い、平板材の装置幅方向Wの両端部を装置高さ方向Hの上方に折り曲げ又は湾曲させた断面形状のものを用いてもよいことを含む。
【0094】
また、横水受部材162と縦水受部材164とは一体的に設置されていると説明したが、これに限らず、横水受部材162と縦水受部材164とを別体として設置してもよく、また、装置高さ方向Hにおける設置高さを、互いに異なる位置としてもよい。また、横水受部材162及び縦水受部材164を他の手段と共用してもよい。これは、水Lを受けて排水される機能を有するものであれば、いずれのものを用いてもよいことを含む。
【0095】
また、機械式駐車装置1は、一例として多層箱型循環式駐車装置であると説明したが、これに限らず、トレーを用いる形式の機械式駐車装置であれば、いずれの形式の駐車装置でもよい。例えば、水平循環式駐車装置、平面循環式駐車装置(パズル式)、平面往復式駐車装置、横行昇降式駐車装置等を含む。また、車輪を有しない垂直循環式駐車装置、又は、車輪を、フレーム等の構造物の側又は建築物の側に設けて、車輪を有しないトレーを水平に移動させる機械式駐車装置にも適用できることは勿論である。
【0096】
また、トレー20は、走行部22と中央部26とが同一平面状に形成された平面トレー(フラットトレー)としてもよい。その際、阻止部材30は、フラットトレーの縁部全周に亘って設けられ、適宜の位置に開放部34を形成して排出部38を設ける形態とすればよい。
【0097】
また、機械式駐車装置1の出入口部12は、一例として格納部10と連絡路12Bを介して格納部10の上方に位置していると説明したが、これに限らず、出入口部12は、格納部10内の第1横行部14A又は第2横行部14Bのいずれかの位置に出入口部12を設定してもよく、また、格納部10の下方に設定してもよく、さらに、第1昇降部16A又は第2昇降部の装置幅方向Wにおける外方(第1又は第2横行部の反対側)に設定してもよい等、出入口部12の位置は問わない。
【0098】
また、物品は車両5であると説明したが、車両5には、自転車、自動二輪車等を含むことは勿論である。また、物品は、車両5に限らず、水産物、農産物、工業製品又は洗浄部品等、水Lを持ち込む可能性のある物を含む。
【符号の説明】
【0099】
1 機械式駐車装置
5 車両
10 格納部
12 出入口部
14 横行部
16 昇降部
20 トレー(載置台の一例)
22 走行部(載置部の一例)
22C 端部
24 起立部
26 中央部
30 阻止部材
32 阻止部
34 開放部(他端の一例)
36 閉鎖部(一端の一例)
38 排出部
40 板部材(誘導体の一例)
120 トレー
126 中央部
126A 波板部
126A1 端部
126B 第2開放部
140 第2板部材(第2の誘導体の一例)
150 誘導管
152 対向部(第一板部の一例)
154 誘導部(誘導体、第二板部の一例)
L 水(液状体の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12