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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 57/22 20060101AFI20240122BHJP
   A01D 63/04 20060101ALI20240122BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20240122BHJP
   A01D 67/02 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A01D57/22 G
A01D63/04
A01D67/00 G
A01D67/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020214262
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022100101
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
(72)【発明者】
【氏名】山内 一樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 太
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140951(JP,A)
【文献】特開2019-010033(JP,A)
【文献】特開2016-182085(JP,A)
【文献】特開2019-140929(JP,A)
【文献】実開平02-060540(JP,U)
【文献】実開平05-080226(JP,U)
【文献】米国特許第04291523(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 57/22
A01D 63/04
A01D 67/00
A01D 67/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能に構成され、刈取穀稈を刈り取る刈取部と、
前記刈取部の後方に設けられ、運転座席を有する運転部と、を備え、
前記刈取部は、植立穀稈を分草する複数の分草具と、前記分草具によって分草された植立穀稈を引き起こす引き起こし部と、前記引き起こし部の上端部に機体左右方向に沿って延びる状態で設けられ、前記引き起こし部を引き起こし駆動する駆動力が伝達される引き起こし駆動軸と、を有し、
前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし駆動軸は、前記運転部の床部よりも高い位置に位置しており、
前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし部の前端が全ての前記分草具の後端よりも後ろに位置するコンバイン。
【請求項2】
前記運転部は、前記運転座席に着座した運転者が足を載せる足載せ台を有し、
前記床部に、前記足載せ台を支持する足載せ台支持部材が設けられ、
前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし駆動軸は、前記足載せ台支持部材の上端よりも高い位置に位置している請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記床部の前端部に、前壁が立設され、
前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし駆動軸は、前記前壁の上端よりも低い位置に位置している請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記刈取部は、植立穀稈の刈り取り作業を行なわない上昇非作業位置まで上昇可能に構成され、
前記刈取部が前記上昇非作業位置まで上昇した状態において、前記引き起こし駆動軸は、前記運転座席の座面よりも高い位置に位置している請求項1から3の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記運転部を覆うキャビン部を備え、
前記キャビン部の横側部に、乗降ドアが設けられ、
前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし駆動軸は、側面視で前記乗降ドアの後上角部と前記分草具の前端とを通る直線よりも高い位置に位置している請求項1から4の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記運転座席の前方に、メータパネルが設けられ、
前記メータパネルの下方に、前記メータパネルを支持するメータパネル支持部材が前記床部から上方に離間した状態で設けられ、
前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし駆動軸は、前記メータパネル支持部材よりも低い位置に位置している請求項1から5の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記運転部を覆うキャビン部を備え、
前記キャビン部の前面部に、フロントガラスが設けられ、
前記分草具が圃場に接地した状態において、側面視で前記分草具の前端と前記引き起こし駆動軸の回転軸心とを通る直線と前記フロントガラスとが交差している請求項1から6の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記運転部を覆うキャビン部を備え、
前記キャビン部の前面部に、フロントガラスが設けられ、
前記運転座席と前記フロントガラスとの間に、機体左右方向に沿って延びる横フレームが設けられ、
前記横フレームは、正面視で前記フロントガラスを上下に分ける状態で配置され、
前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし駆動軸は、前記横フレームよりも低い位置に位置している請求項1から7の何れか一項に記載のコンバイン。
【請求項9】
前記引き起こし部は、側面視で後倒れに傾斜する姿勢で設けられ、
前記刈取部は、前記分草具を支持する分草フレームを有し、
前記分草フレームは、前記分草具が圃場に接地したことを検出する接地センサが取り付けられる取り付け部を有し、
前記取り付け部は、側面視で上方に向かって突出する湾曲形状に形成され、
前記分草具が圃場に接地した状態において、前記取り付け部の後端部は、側面視で前記引き起こし部の前面を延長した直線と重複している請求項1からの何れか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインとして、例えば、特許文献1に記載のコンバインが知られている。特許文献1に記載のコンバインには、昇降可能に構成され、刈取穀稈を刈り取る刈取部(文献では「刈取り部〔3〕」)と、刈取部の後方に設けられ、運転座席を有する運転部(文献では「運転部〔4〕」)と、が備えられている。刈取部には、植立穀稈を分草する複数の分草具と、分草具によって分草された植立穀稈を引き起こす引き起こし部(文献では「引起し装置〔13〕」)と、引き起こし部の上端部に機体左右方向に沿って延びる状態で設けられ、引き起こし部を引き起こし駆動する駆動力が伝達される引き起こし駆動軸(文献では「カウンタ軸〔41〕」)と、が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-14395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコンバインでは、引き起こし中の植立穀稈が引き起こし部の穀稈導入部に導入されることになるが、引き起こし中の植立穀稈が引き起こし部の上部に接触することがある。そして、引き起こし中の植立穀稈が引き起こし部の上部に接触すると、穀粒が損失したり、引き起こし中の植立穀稈の姿勢が乱れたりすることが懸念される。
【0005】
上記状況に鑑み、引き起こし中の植立穀稈が引き起こし部の上部に接触し難いコンバインが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、昇降可能に構成され、刈取穀稈を刈り取る刈取部と、前記刈取部の後方に設けられ、運転座席を有する運転部と、を備え、前記刈取部は、植立穀稈を分草する複数の分草具と、前記分草具によって分草された植立穀稈を引き起こす引き起こし部と、前記引き起こし部の上端部に機体左右方向に沿って延びる状態で設けられ、前記引き起こし部を引き起こし駆動する駆動力が伝達される引き起こし駆動軸と、を有し、前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし駆動軸は、前記運転部の床部よりも高い位置に位置しており、前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし部の前端が全ての前記分草具の後端よりも後ろに位置することにある。
【0007】
ここで、通常、刈取部は、分草具を圃場から少し上げた程度で刈り取り作業を行うことになる。したがって、本特徴構成によれば、刈り取り作業中における引き起こし駆動軸が運転部の床部よりも高い位置に位置することになる。これにより、引き起こし部の穀稈導入部を比較的高い位置まで形成することができる。したがって、引き起こし中の植立穀稈が引き起こし部の上部に接触し難い。すなわち、引き起こし中の植立穀稈が引き起こし部の上部に接触することに起因して、穀粒が損失したり、引き起こし中の植立穀稈の姿勢が乱れたりするのを低減することができる。
又、複数の分草具が平面視で引き起こし部と重複しないほど引き起こし部に対して前側に位置していることになる。これにより、複数の分草具を植立穀稈に対してできるだけ早いタイミングで分草作用させるべく、複数の分草具を合理的に配置することができる。
【0008】
さらに、本発明において、前記運転部は、前記運転座席に着座した運転者が足を載せる足載せ台を有し、前記床部に、前記足載せ台を支持する足載せ台支持部材が設けられ、前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし駆動軸は、前記足載せ台支持部材の上端よりも高い位置に位置していると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、刈り取り作業中における引き起こし駆動軸がさらに高い位置に位置することになる。これにより、引き起こし中の植立穀稈が引き起こし部の上部に一層接触し難いように、穀稈導入部をさらに高い位置まで形成することができる。
【0010】
さらに、本発明において、前記床部の前端部に、前壁が立設され、前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし駆動軸は、前記前壁の上端よりも低い位置に位置していると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、刈り取り作業中における引き起こし駆動軸が前壁の上端に対してある程度低い位置に抑えられていることになる。これにより、運転者が刈り取り作業中に前壁を越えて前下方を視認する際に、引き起こし部の上部が運転者の視線を妨げ難い。
【0012】
さらに、本発明において、前記刈取部は、植立穀稈の刈り取り作業を行なわない上昇非作業位置まで上昇可能に構成され、前記刈取部が前記上昇非作業位置まで上昇した状態において、前記引き起こし駆動軸は、前記運転座席の座面よりも高い位置に位置していると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、分草具が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸が運転座席の座面よりも低い位置に位置するものであっても、刈取部が上昇非作業位置まで上昇した状態において、引き起こし駆動軸が運転座席の座面よりも高い位置に位置することになる。これにより、刈取部が上昇非作業位置まで上昇した状態において、分草具を圃場から大きく離間させることができる。
【0014】
さらに、本発明において、前記運転部を覆うキャビン部を備え、前記キャビン部の横側部に、乗降ドアが設けられ、前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし駆動軸は、側面視で前記乗降ドアの後上角部と前記分草具の前端とを通る直線よりも高い位置に位置していると好適である。
【0015】
本特徴構成によれば、刈り取り作業中における引き起こし駆動軸がさらに高い位置に位置することになる。これにより、引き起こし中の植立穀稈が引き起こし部の上部に一層接触し難いように、穀稈導入部をさらに高い位置まで形成することができる。
【0016】
さらに、本発明において、前記運転座席の前方に、メータパネルが設けられ、前記メータパネルの下方に、前記メータパネルを支持するメータパネル支持部材が前記床部から上方に離間した状態で設けられ、前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし駆動軸は、前記メータパネル支持部材よりも低い位置に位置していると好適である。
【0017】
本特徴構成によれば、刈り取り作業中における引き起こし駆動軸がメータパネル支持部材に対してある程度低い位置に抑えられていることになる。これにより、運転者が刈り取り作業中にメータパネル支持部材を越えて前下方を視認する際に、引き起こし部の上部が運転者の視線を妨げ難い。
【0018】
さらに、本発明において、前記運転部を覆うキャビン部を備え、前記キャビン部の前面部に、フロントガラスが設けられ、前記分草具が圃場に接地した状態において、側面視で前記分草具の前端と前記引き起こし駆動軸の回転軸心とを通る直線と前記フロントガラスとが交差していると好適である。
【0019】
本特徴構成によれば、運転者がフロントガラスのうち上述の直線との交差箇所よりも上側から前下方を覗き込むと、分草具が視認されることになる。これにより、運転者の視線が引き起こし部の上部に妨げられることなく、分草具を容易に視認することができる。
【0020】
さらに、本発明において、前記運転部を覆うキャビン部を備え、前記キャビン部の前面部に、フロントガラスが設けられ、前記運転座席と前記フロントガラスとの間に、機体左右方向に沿って延びる横フレームが設けられ、前記横フレームは、正面視で前記フロントガラスを上下に分ける状態で配置され、前記分草具が圃場に接地した状態において、前記引き起こし駆動軸は、前記横フレームよりも低い位置に位置していると好適である。
【0021】
本特徴構成によれば、刈り取り作業中における引き起こし駆動軸が横フレームに対してある程度低い位置に抑えられていることになる。これにより、運転者が刈り取り作業中に横フレームを越えて前下方を視認する際に、引き起こし部の上部が運転者の視線を妨げ難い。
【0022】
【0023】
【0024】
さらに、本発明において、前記引き起こし部は、側面視で後倒れに傾斜する姿勢で設けられ、前記刈取部は、前記分草具を支持する分草フレームを有し、前記分草フレームは、前記分草具が圃場に接地したことを検出する接地センサが取り付けられる取り付け部を有し、前記取り付け部は、側面視で上方に向かって突出する湾曲形状に形成され、前記分草具が圃場に接地した状態において、前記取り付け部の後端部は、側面視で前記引き起こし部の前面を延長した直線と重複していると好適である。
【0025】
本特徴構成によれば、取り付け部の後端部が引き起こし部の前下端部の近傍に位置していることになる。これにより、引き起こし部の前下端部の下方の余裕スペースを上手く使って、取り付け部を合理的に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】コンバインを示す左側面図である。
図2】コンバインを示す平面図である。
図3】コンバインを正面図である。
図4】刈取部の前下部を示す右側面図である。
図5】コンバインの前部を示す右側面図であって、分草具が圃場に接地した状態の刈取部を示す右側面図である。
図6】コンバインの前部を示す右側面断面図であって、分草具が圃場に接地した状態の刈取部を示す右側面断面図である。
図7】コンバインの前部を示す右側面断面図であって、刈取部が上昇非作業位置まで上昇した状態を示す右側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」、矢印Lの方向を「機体左側」、矢印Rの方向を「機体右側」とする。
【0028】
〔コンバインの全体構成〕
図1から図3には、自脱型コンバイン(本発明に係る「コンバイン」に相当)を示している。図1から図3に示すように、本コンバインには、走行機体1が備えられている。走行機体1には、クローラ走行装置2と、クローラ走行装置2に支持される機体フレーム3と、が備えられている。走行機体1の前方には、昇降可能に構成され、植立穀稈を刈り取る刈取部4が設けられている。刈取部4の後方において、走行機体1の前部には、運転キャビン5が設けられている。
【0029】
運転キャビン5の下方には、エンジン(図示省略)が設けられている。運転キャビン5の後方には、脱穀処理後の穀粒を貯留する穀粒貯留タンク6が設けられている。穀粒貯留タンク6の左隣には、刈取部4からの刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置7が設けられている。穀粒貯留タンク6には、穀粒貯留タンク6内の穀粒を排出する穀粒排出装置8が接続されている。
【0030】
〔刈取部〕
図1から図3に示すように、刈取部4は、複数刈り仕様(本実施形態では、七条刈り仕様)に構成されている。刈取部4には、植立穀稈を分草する複数(本実施形態では、八つ)の分草具9と、分草具9によって分草された植立穀稈を引き起こす引き起こし部10と、引き起こし部10によって引き起こされた植立穀稈を切断する刈刃装置11と、刈刃装置11によって切断された刈取穀稈を機体後方に向けて搬送する搬送部12と、が備えられている。刈取部4の左右両側部には、夫々、サイドカバー13が設けられている。各分草具9は、夫々、分草フレーム14に支持されている。なお、以下の説明では、八つの分草具9について、左側から順に、第一から第八の分草具9と称する。
【0031】
刈取部4は、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心X1周りにおいて、植立穀稈の刈り取り作業を行う下降作業位置と、植立穀稈の刈り取り作業を行なわない上昇非作業位置とに亘って上下揺動可能に構成されている。通常、刈取部4は、分草具9を圃場から少し上げた程度で刈り取り作業を行うことになる。
【0032】
第一、第三、第四、第六、第八の分草具9は、大型の分草具9によって構成されている。第二、第五、第七の分草具9は、小型の分草具9によって構成されている。分草具9が圃場に接地した状態において、第一から第七の分草具9は、平面視で引き起こし部10(詳しくは後述する第一から第七の引き起こし装置16)と重複していない。
【0033】
図4に示すように、第二の分草具9を支持する分草フレーム(第二の分草フレーム)14及び第七の分草具9を支持する分草フレーム(第七の分草フレーム)14には、夫々、分草具9が圃場に接地したことを検出する接地センサ15が取り付けられている。すなわち、第二の分草フレーム14及び第七の分草フレーム14には、夫々、接地センサ15が取り付けられる取り付け部14aが備えられている。取り付け部14aは、側面視で上方に向かって突出する湾曲形状に形成されている。
【0034】
〔引き起こし部〕
図1から図3に示すように、引き起こし部10には、複数(本実施形態では、七つ)の引き起こし装置16と、引き起こし部10を引き起こし駆動する駆動力が伝達される引き起こし駆動軸17と、植立穀稈が導入される複数(本実施形態では、四つ)の穀稈導入部18と、が備えられている。引き起こし部10は、側面視で後倒れに傾斜する姿勢で設けられている。なお、以下の説明では、七つの引き起こし装置16について、左側から順に、第一から第七の引き起こし装置16と称する。また、四つの穀稈導入部18について、左側から順に、第一から第四の穀稈導入部18と称する。
【0035】
引き起こし装置16は、側面視で後倒れに傾斜する姿勢で設けられている。引き起こし装置16には、引き起こしチェーン19と、引き起こしチェーン19に取り付けられる複数の引き起こし爪20と、引き起こしチェーン19が巻き付けられる駆動スプロケット21、テンションスプロケット22及びローラ23と、これらを覆う引き起こしカバー24と、が備えられている。
【0036】
引き起こし爪20は、引き起こしチェーン19に対して起伏可能なように、引き起こしチェーン19に取り付けられている。引き起こし装置16は、植立穀稈を引き起こす引き起こし経路において、引き起こし爪20が引き起こしチェーン19に対して起立する起立姿勢となり、植立穀稈を引き起こさない非引き起こし経路において、引き起こし爪20が引き起こしチェーン19に対して倒伏する倒伏姿勢となるように構成されている。引き起こし爪20が起立姿勢で引き起こし経路を移動して、引き起こし爪20が植立穀稈に引き起こし作用することにより、植立穀稈が穀稈導入部18に導入されることになる。
【0037】
第一の穀稈導入部18は、第一の引き起こし装置16の引き起こし経路側部分と第二の引き起こし装置16の引き起こし経路側部分との間に形成されている。第一の穀稈導入部18には、第一の引き起こし装置16によって引き起こされた植立穀稈と第二の引き起こし装置16によって引き起こされた植立穀稈とが導入される。
【0038】
第二の穀稈導入部18は、第二の引き起こし装置16の非引き起こし経路側部分と第三の引き起こし経路側部分との間に形成されている。第二の穀稈導入部18には、第三の引き起こし装置16によって引き起こされた植立穀稈が導入される。
【0039】
第三の穀稈導入部18は、第四の引き起こし装置16の引き起こし経路側部分と第五の引き起こし装置16の引き起こし経路側部分との間に形成されている。第三の穀稈導入部18には、第四の引き起こし装置16によって引き起こされた植立穀稈と第五の引き起こし装置16によって引き起こされた植立穀稈とが導入される。
【0040】
第四の穀稈導入部18は、第六の引き起こし装置16の引き起こし経路側部分と第七の引き起こし装置16の引き起こし経路側部分との間に形成されている。第四の穀稈導入部18には、第六の引き起こし装置16によって引き起こされた植立穀稈と第七の引き起こし装置16によって引き起こされた植立穀稈とが導入される。
【0041】
引き起こし駆動軸17は、各引き起こし装置16に駆動力を伝達可能なように、第一から第七の引き起こし装置16の上端部に亘って設けられている。すなわち、引き起こし駆動軸17は、引き起こし部10の上端部に機体左右方向に沿って延びる状態で設けられている。引き起こし駆動軸17は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心X2周りで回転可能に構成されている。引き起こし駆動軸17と各引き起こし装置16との間には、引き起こし駆動軸17の動力を引き起こし装置16に伝達する伝動ケース44が夫々設けられている。引き起こし駆動軸17の動力は、各伝動ケース44等を介して各引き起こし装置16(各駆動スプロケット21)に伝達されることになる。
【0042】
図4において、引き起こし部10の引き起こし延長線をL1、引き起こしカバー24の前面を延長した直線をL2で示している。引き起こし延長線L1及び直線L2は、夫々、本発明に係る「引き起こし部の前面を延長した直線」に相当する。図4に示すように、引き起こし延長線L1は、側面視で引き起こし爪20の移動軌跡の前面を延長した線である。直線L2は、引き起こし延長線L1に対して平行(又は略平行)な直線である。分草具9が圃場に接地した状態において、取り付け部14aの後端部は、側面視で引き起こし延長線L1及び直線L2と重複している。
【0043】
〔運転キャビン〕
図2図3図5及び図6に示すように、運転キャビン5には、運転者が搭乗する運転部5Aと、運転部5Aを覆うキャビン部5Bと、が備えられている。
【0044】
運転部5Aには、運転者が着座する運転座席25と、前記エンジンを覆うエンジンボンネット26と、メータパネル27と、操作レバー28と、サイドパネル29と、運転座席25に着座した運転者が足を載せる足載せ台30と、が備えられている。運転部5Aの床部は、ステップ31によって構成されている。
【0045】
エンジンボンネット26には、天板26aが備えられている。天板26aには、運転座席25が載置支持されている。
【0046】
メータパネル27は、例えば、エンジン回転数や車速、燃料の残量等が表示されるように構成されている。メータパネル27は、運転座席25の前方に設けられている。
【0047】
操作レバー28は、走行機体1の操向操作及び刈取部4の昇降操作を行うためのものである。操作レバー28は、運転座席25に対して右側に設けられている。
【0048】
サイドパネル29は、運転座席25の左方に設けられている。サイドパネル29には、主変速レバー32が設けられている。主変速レバー32は、前記エンジンからの動力を変速する主変速装置(図示省略)としての静油圧式無段変速装置を変速操作するためのものである。
【0049】
足載せ台30は、メータパネル27の下方において、平面視でメータパネル27とする位置に設けられている。足載せ台30は、左右の上ステー33及び左右の下ステー34(本発明に係る「足載せ台支持部材」に相当)を介してステップ31に支持されている。
【0050】
左側の上ステー33は、足載せ台30の左端部に取り付けられている。右側の上ステー33は、足載せ台30の右端部に取り付けられている。左側の上ステー33は、左側の下ステー34に上下位置変更可能に取り付けられている。右側の上ステー33は、右側の下ステー34に上下位置変更可能に取り付けられている。下ステー34に対する上ステー33の上下位置を変更することにより、足載せ台30の上下位置を調整することができる。
【0051】
下ステー34は、ステップ31の前端部に立設されている。すなわち、ステップ31の前端部には、足載せ台30を支持する下ステー34が設けられている。
【0052】
ステップ31の前端部には、前壁35が立設されている。前壁35は、ステップ31から天板26aの高さ位置と同一(又は略同一)の高さ位置まで延びている。すなわち、前壁35の上端35aは、天板26aの高さ位置と同一(又は略同一)である。
【0053】
キャビン部5Bの上部には、ルーフ部36が設けられている。キャビン部5Bの前面部には、フロントガラス37が設けられている。フロントガラス37は、側面視で前倒れに傾斜する姿勢で設けられている。フロントガラス37は、ルーフ部36から運転座席25の座面25aよりも下側まで延びている。具体的には、フロントガラス37は、ルーフ部36から天板26aの高さ位置と同一(又は略同一)の高さ位置まで延びている。すなわち、フロントガラス37の下端は、天板26aの高さ位置と同一(又は略同一)である。
フロントガラス37の下端部は、前壁35の上端部に支持されている。
【0054】
キャビン部5Bの横側部には、乗降ドア38が設けられている。乗降ドア38は、上下方向に沿って延びる揺動軸心Z1周りで揺動開閉可能に構成されている。乗降ドア38には、ガラス部39と、ガラス部39の周縁部に取り付けられるサッシ部40と、が備えられている。
【0055】
運転座席25とフロントガラス37との間において、メータパネル27の下方には、機体左右方向に沿って延びる横フレーム41(本発明に係る「メータパネル支持部材」、同「横フレーム」に相当)が設けられている。横フレーム41は、正面視でフロントガラス37を上下に分ける状態で配置されている。横フレーム41は、運転座席25に着座した運転者の膝がフロントガラス37に当たらないように、ガードする機能も果たす。横フレーム41の下方(横フレーム41と前壁35との間)には、運転座席25に着座した運転者が前下方を見通す見通し空間Sが形成されている。
【0056】
横フレーム41には、メータパネル27が上ステー42及び下ステー43を介して支持されている。すなわち、メータパネル27の下方に、メータパネル27を支持する横フレーム41がステップ31から上方に離間した状態で設けられている。上ステー42は、下ステー43に角度(前後揺動角度)変更可能、かつ、上下位置変更可能に取り付けられている。下ステー43に対する上ステー42の前後揺動角度及び上下位置を変更することにより、メータパネル27の前後位置及び上下位置を調整することができる。
【0057】
〔引き起こし駆動軸〕
図5及び図6には、分草具9が圃場に接地した状態の刈取部4を示している。図6において、運転座席25に着座した運転者の視線をL3で示している。図6に示すように、視線L3は、運転座席25に着座した運転者が見通し空間Sを介して前下方を見通す際の視線である。
【0058】
分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、運転部5Aのステップ31よりも高い位置に位置している。具体的には、分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、下ステー34の上端34a(本発明に係る「足載せ台支持部材の上端」に相当)よりも高い位置に位置している。
【0059】
分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、横フレーム41よりも低い位置に位置している。具体的には、分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、前壁35の上端35aよりも低い位置に位置している。
【0060】
図6において、分草具9の前端と引き起こし駆動軸17の回転軸心X2とを通る直線をL4で示している。図6に示すように、分草具9が圃場に接地した状態において、側面視で直線L4とフロントガラス37の下部とが交差している。
【0061】
図5において、乗降ドア38(ガラス部39)の後上角部と分草具9の前端とを通る直線をL5で示している。図5に示すように、分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、側面視で直線L5よりも高い位置に位置している。
【0062】
図7には、刈取部4が上昇非作業位置まで上昇した状態(例えば、刈取部4が最大限上昇した状態)を示している。図7において、運転座席25の座面25aの高さ位置をH1で示している。具体的には、高さ位置H1は、運転座席25の座面25aの前端部の高さ位置を示している。図7に示すように、刈取部4が上昇非作業位置まで上昇した状態において、引き起こし駆動軸17は、運転座席25の座面25a(高さ位置H1)よりも高い位置に位置している。
【0063】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、下ステー34の上端34aよりも高い位置に位置している。しかし、分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、下ステー34の上端34aよりも低い位置に位置していてもよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、前壁35の上端35aよりも低い位置に位置している。しかし、分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、前壁35の上端35aよりも高い位置に位置していてもよい。
【0065】
(3)上記実施形態では、刈取部4が上昇非作業位置まで上昇した状態において、引き起こし駆動軸17は、運転座席25の座面25aよりも高い位置に位置している。しかし、刈取部4が上昇非作業位置まで上昇した状態において、引き起こし駆動軸17は、運転座席25の座面25aよりも低い位置に位置していてもよい。
【0066】
(4)上記実施形態では、分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、側面視で直線L5よりも高い位置に位置している。しかし、分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、側面視で直線L5よりも低い位置に位置していてもよい。
【0067】
(5)上記実施形態では、分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、横フレーム41よりも低い位置に位置している。しかし、分草具9が圃場に接地した状態において、引き起こし駆動軸17は、横フレーム41よりも高い位置に位置していてもよい。
【0068】
(6)上記実施形態では、分草具9が圃場に接地した状態において、側面視で直線L4とフロントガラス37とが交差している。しかし、分草具9が圃場に接地した状態において、側面視で直線L4とフロントガラス37とが交差していなくてもよい。
【0069】
【0070】
)上記実施形態では、分草具9が圃場に接地した状態において、取り付け部14aの後端部は、側面視で引き起こし延長線L1及び直線L2と重複している。しかし、分草具9が圃場に接地した状態において、取り付け部14aの後端部は、側面視で直線L2と重複していなくてもよい。あるいは、分草具9が圃場に接地した状態において、取り付け部14aの後端部は、側面視で引き起こし延長線L1及び直線L2と重複していなくてもよい。
【0071】
)上記実施形態では、刈取部4は、七条刈り仕様に構成されている。しかし、刈取部4は、七条刈り仕様に限定されるものではない。例えば、刈取部4は、六条刈り仕様に構成されていてもよい。
【0072】
)上記実施形態では、キャビン部5Bが備えられている。しかし、キャビン部5Bが備えられていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、自脱型コンバインに利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
4 刈取部
5A 運転部
5B キャビン部
9 分草具
10 引き起こし部
14 分草フレーム
14a 取り付け部
15 接地センサ
17 引き起こし駆動軸
25 運転座席
25a 座面
27 メータパネル
30 足載せ台
31 床部
34 下ステー(足載せ台支持部材)
34a 下ステーの上端(足載せ台支持部材の上端)
35 前壁
35a 前壁の上端
37 フロントガラス
38 乗降ドア
41 横フレーム(メータパネル支持部材、横フレーム)
L1 引き起こし延長線(引き起こし部の前面を延長した直線)
L2 直線(引き起こし部の前面を延長した直線)
L4 直線(分草具の前端と引き起こし駆動軸の回転軸心とを通る直線)
L5 直線(乗降ドアの後上角部と分草具の前端とを通る直線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7