(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】開閉体のロック装置、及び、車両用収納装置
(51)【国際特許分類】
E05C 21/00 20060101AFI20240122BHJP
E05C 9/04 20060101ALI20240122BHJP
E05B 83/30 20140101ALI20240122BHJP
B60R 7/06 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
E05C21/00 A
E05C9/04
E05B83/30 A
B60R7/06 G
(21)【出願番号】P 2020216617
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】508309887
【氏名又は名称】森六テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】石井 孝一
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-297564(JP,A)
【文献】特開2014-173287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 21/00
E05C 9/04
E05B 83/30
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定体の開口部に開閉可能に取付けられている開閉体のロック装置であって、
前記固定体又は前記開閉体のどちらか一方に取付けられているハウジングと、
このハウジングに回転可能に支持されているロータと、
このロータの回転に伴って前記ハウジングから出没動作するように設けられ、前記固定体又は前記開閉体の他方に設けられたロック部に係脱する、少なくとも1本のロッドと、を有しており、
前記ハウジングは、少なくとも1本の前記ロッドを、スライド可能に収容する収容部を有し、
前記ロータは、
前記ロッドを前記ハウジングから押し出す方向に付勢されていると共に、回転軸方向に突出する突部を有し、
前記ロッドは、前記突部が嵌合可能な嵌合凹部を有しており、
前記突部は、前記ロッドが挿入方向に沿って挿入されている状態を基準として、前記収容部に対する前記ロッドのスライド経路を脱する位置まで回転可能に構成され
、
前記ロッドの先端は、前記ロッドの挿入時に前記突部に当接可能であり、前記突部が当接した状態で前記ロッドを挿入することにより、前記突部を押圧して回転させる先端壁を有し、
前記突部は、前記ロッドが挿入されることにより前記先端壁に押圧されて回転し、前記先端壁の先端である頂部を乗り越えることにより、前記ロータに加わっている付勢力により前記嵌合凹部に嵌合される開閉体のロック装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記収容部に隣接した位置において、前記突部を収容可能な退避部を有する、請求項1に記載の開閉体のロック装置。
【請求項3】
固定体の開口部に開閉可能に取付けられている開閉体のロック装置であって、
前記固定体又は前記開閉体のどちらか一方に取付けられているハウジングと、
このハウジングに回転可能に支持されているロータと、
このロータの回転に伴って前記ハウジングから出没動作するように設けられ、前記固定体又は前記開閉体の他方に設けられたロック部に係脱する、少なくとも1本のロッドと、を有しており、
前記ハウジングは、少なくとも1本の前記ロッドを、スライド可能に収容する収容部を有し、
前記ロータは、回転軸方向に突出する突部を有し、
前記ロッドは、前記突部が嵌合可能な嵌合凹部を有しており、
前記突部は、前記収容部に対する前記ロッドのスライド経路を脱する位置まで回転可能に構成され、
前記ロッドの先端は、前記ロッドの挿入時に前記突部に当接可能であり、前記突部が当接した状態で前記ロッドを挿入することにより前記突部を前記嵌合凹部にガイドするよう、前記ロッドの進行方向に対して傾斜している傾斜面である開閉体のロック装置。
【請求項4】
固定体の開口部に開閉可能に取付けられている開閉体のロック装置であって、
前記固定体又は前記開閉体のどちらか一方に取付けられているハウジングと、
このハウジングに回転可能に支持されているロータと、
このロータの回転に伴って前記ハウジングから出没動作するように設けられ、前記固定体又は前記開閉体の他方に設けられたロック部に係脱する、少なくとも1本のロッドと、を有しており、
前記ハウジングは、少なくとも1本の前記ロッドを、スライド可能に収容する収容部を有し、
前記ロータは、回転軸方向に突出する突部を有し、
前記ロッドは、前記突部が嵌合可能な嵌合凹部を有しており、
前記突部は、前記収容部に対する前記ロッドのスライド経路を脱する位置まで回転可能に構成され、
前記ロッドは、前記収容部に挿入される第1ロッドと、この第1ロッドよりも長く延びる第2ロッドと、を有し、
前記突部は、前記第1ロッドの嵌合凹部に嵌合する第1突部と、前記ハウジングの外周から張出す張出し部に形成され、前記第1突部と同じ方向に突出し、前記第2ロッドの嵌合凹部に嵌合する第2突部とからなる、開閉体のロック装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4いずれか1項に記載の開閉体のロック装置が用いられている、車両用収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定体の開口部に開閉可能に取付けられる開閉体を、閉じた状態にロックするための、開閉体のロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のグローブボックス等の固定体に形成された開口部には、リッド等の開閉体が開閉可能に取付けられている。そして、開口部と開閉体との間には、開閉体を閉じたときにロックすると共に、開閉体を開くときにはロックを解除できるようにしたロック装置が設けられている。
【0003】
従来のロック装置として、下記特許文献1には、本体ハウジングと、その両側から出没する第1摺動部材及び第2摺動部材と、本体ハウジング前面に取付けられ、各摺動部材が回動可能に連結される回転体と、本体ハウジング前面に回動可能に取付けられ、各摺動部材を引き込ませる突起を有する操作ノブと、両摺動部材に連結される一対のロッドとを備えた、開閉体のロック装置が記載されている。また、両摺動部材の先端側には、ロッド連結部が形成され、基端側には係合凹部が形成されている。さらに、回転体からは、一対のピンが突設されている。
【0004】
そして、一対のロッドを摺動部材を介して回転体に組付けるには、例えば、以下のようにする。すなわち、一対のロッドを両摺動部材のロッド連結部にそれぞれ連結させた後、両摺動部材を、本体ハウジング両側の挿入孔にそれぞれ挿入する。その後、回転体を本体ハウジング前面に配置し、一対のピンを両摺動部材の係合凹部にそれぞれ位置合わせした状態で、回転体を押込むことで、一対のピンが係合凹部にそれぞれ係合し、一対のロッドが両摺動部材を介して回転体に連結される。なお、両摺動部材を回転体に連結させた後、一対のロッドを両摺動部材に連結させてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のロック装置では、一対のロッドを回転体に組付ける際には、両摺動部材を、本体ハウジング両側の挿入孔に挿入し、両摺動部材の係合凹部に、回転体の一対のピンをそれぞれ位置合わせした後、回転体を押込むようにしているため、係合凹部に対するピンの位置決め及び回転体の押込み作業が必要であり、回転体に対する一対のロッドの組付け作業性が良いとは言えなかった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、ロータとロッドとの組付け作業性を向上させることができる、開閉体のロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、固定体の開口部に開閉可能に取付けられている開閉体のロック装置であって、
前記固定体又は前記開閉体のどちらか一方に取付けられているハウジングと、
このハウジングに回転可能に支持されているロータと、
このロータの回転に伴って前記ハウジングから出没動作するように設けられ、前記固定体又は前記開閉体の他方に設けられたロック部に係脱する、少なくとも1本のロッドと、を有しており、
前記ハウジングは、少なくとも1本の前記ロッドを、スライド可能に収容する収容部を有し、
前記ロータは、回転軸方向に突出する突部を有し、
前記ロッドは、前記突部が嵌合可能な嵌合凹部を有しており、
前記突部は、前記収容部に対する前記ロッドのスライド経路を脱する位置まで回転可能に構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロータとロッドとの組付け作業性を向上させることができる、開閉体のロック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1による開閉体のロック装置を備えたグローブボックスの斜視図である。
【
図2】
図1に示した開閉体及び開閉体のロック装置を前方から見た状態の要部拡大図である。
【
図3】
図2に示した開閉体のロック装置の斜視図である。
【
図4】
図3に示した開閉体のロック装置の分解斜視図である。
【
図5】
図3に示した開閉体のロック装置を後方から見た状態の分解斜視図である。
【
図6】
図2の6部を拡大し要部を断面した図である。
【
図7】
図6に示した開閉体のロック装置の第1ロッドを外した状態の分解図である。
【
図8】
図2に示した開閉体のロック装置のアンロック状態を示す図である。
【
図9】
図6に示したハウジングにロータを抜け止め保持した状態について説明する図である。
【
図10】
図9に示す状態から、ロータにロッドを組付ける際の第1工程を示しており、収容部にロッドを挿入した状態の説明図である。
【
図11】ロータにロッドを組付ける際の第2工程を示しており、
図10に示す状態から、ロッドをさらに挿入してロータを回転させた状態の説明図である。
【
図12】ロータにロッドを組付ける際の第3工程を示しており、
図11に示す状態から、突部が傾斜面の頂部を乗り越えようとする際の説明図である。
【
図13】
図7に示すロータの仮支持状態から、ロータにロッドを組付ける際の工程を示す説明図である。
【
図14】
図6に示した開閉体のロック装置において、ロータからロッドを取外す際の、第1工程について説明する図である。
【
図15】
図14に示した開閉体のロック装置において、ロータからロッドを取外す際の、第2工程について説明する図である。
【
図16】実施例2による開閉体のロック装置の分解斜視図である。
【
図17】
図16に示した開閉体のロック装置を前方から見た状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、説明中、左右とは開閉体のロック装置が設けられた車両の乗員を基準として左右、前後とは車両の進行方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Leは乗員から見て左、Riは乗員から見て右、Upは上、Dnは下を示している。
【0012】
<実施例1>
図1を参照する。開閉体のロック装置10(以下、単に「ロック装置10」という。)は、例えば、車両の前部に設けられているグローブボックスGB(車両用収納装置GB)に備えられている。グローブボックスGBは、乗員の荷物等を入れるために、車室の前端に開閉可能に設けられた収納部である。
【0013】
より詳細には、グローブボックスGBは、車室の前端に左右方向に延び一部に開口部1aが形成されているインストルメントパネル1と、このインストルメントパネル1にスイング可能に支持され開口部1aを開閉可能なリッド5と、を有している。乗員の荷物等を入れるための収納部は、インストルメントパネル1に一体的に形成され、又は、開閉体5に一体的に形成されている。
【0014】
以下、車室内に固定されているインストルメントパネル1を固定体1という。また、開口部1aを開閉可能なリッド5を、開閉体5という。
【0015】
ロック装置10は、開閉体5に支持され、開口部1aを閉じた状態に開閉体5を保つことができる。また、開閉体5をスイングさせて開口部1aを開放する際には、ロック装置10を操作し、ロック状態を解除することにより開閉体5をスイングさせることができるようになる。
【0016】
図2を参照する。固定体1の開口部1aの左右の両端には、それぞれ凹状のロック部1b、1bが形成されている。なお、ロック部1b、1bは、凹状でなくとも、孔状や、突起状、枠状等であってもよい。また、ロック部1b、1bは、固定体1ではなく、開閉体5に設けてもよく、特に限定はされない。
【0017】
図3及び
図4を参照する。ロック装置10は、開閉体5(
図1参照)に取付けられるハウジング20と、このハウジング20に回転支持部を介して回転支持されるロータ50と、ロータ50に一端部を枢支されて、ロータ50の回転に伴ってハウジング20から出没動作し、ロック部1b、1b(
図2参照)に係脱する一対のロッド60、61(第1ロッド60及び第2ロッド61)と、を有している。
【0018】
図4及び
図5を参照する。ロック装置10は、さらに、ロータ50を所定方向に回転付勢して、各ロッド60、61をロック部1b(
図2参照)に係合する方向に付勢する第1付勢部材85と、ハウジング20の後面側に回動可能に装着され、ロータ50を回転付勢方向(
図2の矢印D1参照)とは反対方向に回転させる操作部材80と、を有している。なお、第2ロッド61は、第1ロッド60よりも長く、ハウジング20の下方に配置されている。
【0019】
例えば、第1付勢部材85は、トーションバネを用いることができる。なお、第1付勢部材としては、例えば、ロッド60、61の一方をロック部側に向けて引っ張る、引きばね等であってもよく、ロッドをロック部に係合する方向に付勢可能であればよい。
【0020】
図2及び
図4を参照する。ロータ50は、矢印D1で示す方向に回転するよう、第1付勢部材85によって付勢されている。ロータ50に連結されている第1ロッド60及び第2ロッド61は、矢印D2で示すように、ロック部1bに係合する方向に付勢されている。
【0021】
図4及び
図5を参照する。ハウジング20は、前方に位置し一方向に長く延びる底壁21と、この底壁21の長辺に沿った両側辺周縁から立設した一対の側壁22、23と、底壁21の長手方向の一端側に配置され、一対の側壁22、23どうしを連結する一端壁24と、底壁21の長手方向の他端側に配置され、一対の側壁22、23どうしを連結する他端壁25と、底壁21とは反対側に配置され、他端壁25寄りの部分を所定範囲で覆う天井壁26とを有し、それらの内部に内部空間28が画成された、略長尺箱状をなしている。なお、長尺箱状をなしたハウジング20の長手方向の一端側を符号「L1」で示し、長手方向の他端側を符号「L2」で示す。
【0022】
また、天井壁26には、鍵孔状をなした軸支持孔26aが形成されている。この軸支持孔26aに、ロータ50の支軸53が挿入されて、ハウジング20にロータ50が回転支持されるようになっている。さらに、天井壁26の前面側であって、軸支持孔26aの両側からは、一対の突片27、27が突設されており、各突片27の先端外側からは、突起27aが設けられている。これらの一対の突片27、27を介して、ハウジング20の後面側に、操作部材80が回動可能に装着されるようになっている。
【0023】
これに関連して操作部材80について説明すると、操作部材80は、左右方向に長い略矩形状を呈している。操作部材80の基端部81の前面側からは、操作レバー82や、軸孔83aを設けた一対の突片83、83が突設されている。そして、ハウジング20と操作部材80の基端部81側との間に、第2付勢部材87(ここではコイルスプリング)を介装させた状態で、ハウジング20の一対の突片27、27の突起27a、27aを、操作部材80の一対の突片83、83の軸孔83a、83aに挿入することで、操作部材80の基端部81が回動支持されて、ハウジング20の後面側に、操作部材80が回動可能に装着される。
【0024】
その結果、操作部材80は、その基端部81を支点として、先端部84がハウジング20から離反したり近接したりする方向に、回動可能とさせることができる。また、第2付勢部材87によって、操作部材80の先端部84側がハウジング20に向かって近接する方向に常時付勢されている。
【0025】
なお、操作部材の形状や構造としては、上記態様に限定されるものではなく、例えば、ハウジングに対して押込むことで、ロータを回動させる構造であってもよい(プッシュタイプ)。
【0026】
ハウジング20の説明に戻ると、このハウジング20の長手方向他端L2側の角部には、ダンパー装着孔29aが形成されている。このダンパー装着孔29aには、ゴム製のダンパー29が装着されて、操作部材80の回動時における打音の低減が図られている。
【0027】
また、ハウジング20を構成する側壁22や他端壁25の外面からは、板状をなした取付部31が張出している。例えば、締結部材を用いて取付部31を開閉体5(
図2参照)に締結させる。
【0028】
さらに、底壁21には、ロータ50の本体51を収容する、ロータ収容凹部33が形成されている。また、ロータ収容凹部33内には、逆回転規制壁35が形成されている。この逆回転規制壁35は、ロータ50の後述する逆回転規制爪52が係止して、ロータ50の逆回転を規制する。
【0029】
図6を参照する。さらに、ハウジング20には、少なくも1本のロッド(ここでは第1ロッド60)を、スライド可能に収容する収容部37と、この収容部37の一端に設けられ、第1ロッド60を出没可能に囲む枠状開口部39と、収容部37に連通して形成され、ロータ50の後述する突部(ここでは第1突部56)の、収容部37内への進入を可能とする切欠き部41と、ロータ50の回転中心を中心とした円弧状の面であって第1ロッド60の下面よりも下方に形成されている円弧面部43と、を有している。
【0030】
図4に示されるように、ハウジング20の側壁22側に、枠状をなした収容部37が設けられている。具体的には、この収容部37は、ハウジング20の長手方向一端L1側から他端L2側へ向けて、ハウジング20の長手方向に沿って所定長さで延びる長枠状をなしており、その他端側がハウジング20の側壁22に連結され、一端側がハウジング20の一端壁24から突出するようにして、ハウジング20に設けられている。なお、収容部37の内部空間は、ハウジング20の内部空間28(
図5参照)と連通している。
【0031】
また、収容部37の長手方向の一端(ハウジング20の長手方向の一端L1側)に、第1ロッド60を囲む略四角孔状をなした枠状開口部39が形成されており、この枠状開口部39から第1ロッド60が出没可能となっている。
【0032】
さらに、収容部37の底壁37aに、ロータ50の回動軌跡に沿って略円弧状に切欠かれてなる、切欠き部41が形成されている。また、収容部37の底壁37aは、底壁21よりも、ハウジング前面側に向けてやや高く突出しており、ロータ50の後述する第1張出し部55の厚さ方向の所定範囲を受入れ可能となっている(
図3参照)。
【0033】
なお、ロータ50の回動軌跡は、ロータ50の第1張出し部55の延出方向先端側の回動軌跡を意味する。さらに、切欠き部41は、収容部37の内部空間に連通しており、切欠き部41を介してロータ50の第1突部56が、収容部37の内部空間に進入可能となっている。
【0034】
図6及び
図7を参照する。収容部37の、ハウジング20の一端壁24から突出した部分であって、ハウジング内方に向く側壁37bには、切欠き部41に連通する開口37cが形成されている。この開口37cから、ロータ50の第1突部56が切欠き部41内に進入可能となっている。
【0035】
また、切欠き部41の、枠状開口部39とは反対側の他端側(ハウジング20の長手方向の他端L2側)には、ハウジング20の長手方向に沿って延びる直線部41aが形成されている。この直線部41aを介して、切欠き部41の、円弧状部分の他端側から、ハウジング20の長手方向の他端L2側に向けて、一定幅の幅広部分41bが形成されるようになっている。
【0036】
さらに、ハウジング20には、円弧面部43に隣接した空間であって第1ロッド60を押し込んだ際に第1突部56を退避させることができる退避部45が形成されている。退避部45は、収容部37から連続して形成されている空間であり、第1突部56のみが進入可能である。換言すれば、退避部45には、第1ロッド60は、進入することができない。
【0037】
さらに
図4に示されるように、収容部37の対向する内側面には、その長手方向に沿って、ガイド溝37d、37dが形成されている。これらのガイド溝37d、37dには、第1ロッド60の後述する弾性ガイド片63a、63aが挿入されるようになっている。
【0038】
なお、ハウジング20には、収容部37が側壁22側にのみ形成され、この収容部37に第1ロッド60が収容されるようになっているが、ハウジングの側壁23側にも収容部を設けて、この収容部に第2ロッドを収容するようにしてもよい(この態様については、後述する他の実施形態で説明する)。
【0039】
また、上記のハウジングの形状や構造としては、上記態様に限定されるものではない。さらに、ハウジングを構成する各部分(底壁、側壁、天井壁、取付部、収容部、切欠き部等)は、全て一体形成されている。
【0040】
次に、ロータ50について説明する。
図4や
図5に示されるように、ロータ50は、外周が円形状をなした有底円筒状をなした本体51を有しており、この本体51の外周であって径方向に対向する箇所から、略三角板状をなした第1張出し部55及び第2張出し部57が、径方向外方に向けて延出している。さらに、ロータ50は、それぞれの張出し部55、57から、ロータの回転軸心Cに沿った方向(
図7参照)に突出した突部(第1突部56及び第2突部58)を有している。
【0041】
なお、ロータとしては、上記のような張出し部を設けなくとも、ロッドの嵌合凹部に嵌合可能な突部を有していればよい。ロータ50は、回転支持部に対して半径方向に延出する張出し部(第1張出し部55及び第2張出し部57)を有している、ということもできる。
【0042】
本体51の外周には、リング装着溝51aが形成されており、シールリング89が装着される。このシールリング89は、ハウジング20のロータ収容凹部33の内周に摺接する。
【0043】
また、第1張出し部55及び第2張出し部57の後面側であって、延出方向先端部から、第1突部56や第2突部58がそれぞれ突設されている。なお、第2張出し部57側に設けた第2突部58は、第1張出し部55側に設けた第1突部56と同じ方向に突出している。さらに、第1張出し部55側の第1突部56は、第1ロッド60の後述する嵌合凹部70に嵌合する。一方、第2張出し部57側の第2突部58は、第2ロッド61の嵌合凹部70に嵌合する。
【0044】
また、
図6に示されるように、ハウジング20にロータ50が回転可能に支持された状態で、第2張出し部57は、ハウジング20の下面よりも下方まで延出している。
【0045】
図5を参照する。本体51の底部51bの後面側中央からは、支軸53が突設されている。支軸53の先端外周からは、突起53a(
図4参照)が突設されている。この支軸53が、ハウジング20の軸支持孔26aに挿入されることで、ハウジング20にロータ50が回転可能に支持されるようになっている。すなわち、ロータ50側の支軸53と、ハウジング20側の軸支持孔26aとが、上記「回転支持部」をなしている。なお、回転支持部としては、例えば、ハウジング側に突設した支軸と、ロータ側に形成した軸支持孔としてもよく、特に限定はされない。
【0046】
また、本体51の底部51bの後面側であって、支軸53に隣接した位置からは、被押圧部54が突設されている。この被押圧部54は、操作部材80の操作レバー82に押圧されて、第1付勢部材85の回転付勢力に抗して、その付勢方向D1(
図6参照)とは反対方向に回転させる。
【0047】
さらに、本体51の底部51bには、円弧状のスリット52aを介して、逆回転規制爪52が撓み可能に形成されている。この逆回転規制爪52の自由端側には、爪部52bが突設されている。
【0048】
なお、上記構成のロータ50は、上述した第1付勢部材85(トーションバネや引きばね等)による、第1ロッド60及び第2ロッド61がロック部1bに係合する方向に作用する付勢力によって、回転付勢されている。また、上記のロータの形状や構造としては、上記態様に限定されるものはない。さらに、ロータを構成する各部分(本体、支軸、被押圧部、両張出し部、両突部等)は、全て一体形成されている。
【0049】
次に、第1ロッド60及び第2ロッド61について説明する。
【0050】
図4及び
図5に示されるように、第1ロッド60は、第2ロッド61よりも短く形成されたものであって、略四角柱状をなすと共に所定長さで延びる基部63と、その先端に設けられ、ロック部1b(
図2参照)に係脱する略円柱状をなしたロックピン67とからなる、棒状をなしている。また、基部63の長手方向両側部には、収容部37に設けたガイド溝37d、37dに挿入される、撓み変形可能な弾性ガイド片63a、63aが設けられている。これらの弾性ガイド片63a、63aが、ガイド溝37d、37dに弾性的に摺接して、第1ロッド60のガタツキが抑制されると共に、第1ロッド60のスライドガイドの一助となっている。
【0051】
一方、
図2に示されるように、第2ロッド61は、第1ロッド60の基部63(
図4参照)よりも長く延びる基部64と、この基部64の先端から傾斜して延びる中間部65と、この中間部65の先端から、前記基部64に対して平行に且つ基部64よりも短く延びる先端部66とからなる、略クランク状をなしている。なお、基部64、中間部65、先端部66は、いずれも略四角柱状をなしている。さらに、先端部66の先端には、略円柱状をなし、ロック部1bに係脱するロックピン67が設けられている。
【0052】
図4及び
図5を参照する。また、第1ロッド60の基部63の基端側には、ロータ50の第1張出し部55に設けた第1突部56が嵌合する、嵌合凹部70が形成されている。さらに、第2ロッド61の基部64の基端側には、ロータ50の第2張出し部57に設けた第2突部58が嵌合する、嵌合凹部70が形成されている。
【0053】
図7を参照する。嵌合凹部70は、収容部37にロッド(ここでは第1ロッド60)が収容された状態で、切欠き部41に面するように形成された開口部を有している。開口部は、ロータ50の回転軸心C側で且つ突部56、58の外周に向く側が開口した、第1開口部72aと、ロータ50から突出した突部56、58の突出方向(回転軸方向)とは反対方向が開口した、第2開口部71aとを有している。なお、第1開口部72aは、ロータ50の回転軸心C側に位置する側面72に形成されており、第2開口部71aは、張出し部55、57側に位置する前面71に形成されている。
【0054】
より具体的には、この嵌合凹部70は、収容部37への第1ロッド60の挿入方向Eに沿って延びる側壁73と、挿入方向Eの先端側であって、前記側壁73に直交して配置された先端壁74とから画成されており、ロータ50の張出し部55、57側に向く前面71であって、突部56、58の突出方向とは反対方向が開口して、第2開口部71aが形成されると共に、ロータ50の回転軸心C側で且つ突部56、58の外周に向く側が開口して、第1開口部72aが形成されている。
【0055】
なお、第2ロッド61側に設けた嵌合凹部70(
図4参照)も、第1ロッド60側に設けた嵌合凹部70と同一構造となっているが、これについては、後述する他の実施形態で説明する。また、第2ロッド61の嵌合凹部としては、例えば、前面71側のみが開口した四角枠状をなした形状であってもよく、ロータ50の第2張出し部57側の第2突部58が嵌合可能であればよい。
【0056】
また、ロッド(ここでは第1ロッド60)の、収容部37に対する挿入方向Eの先端側であって、嵌合凹部70を画成する壁(先端壁74)の外面には、第1開口部72aに近づくように傾斜した傾斜面74aが形成されている。先端壁73に設けた傾斜面74aの頂部74bと、第1開口部72aとの間には、隙間75が形成されている。
【0057】
なお、上記のロッドの形状や構造としては、上記態様に限定されるものはない。さらに、ロッドを構成する各部分(基部、中間部、先端部、ロックピン、嵌合凹部等)は、全て一体形成されている。
【0058】
次に、上記構成からなるロック装置10の作用効果について説明する。
【0059】
図2に示されるように、このロック装置10は、開閉体5を閉じた状態において、一対のロッド60、61のロックピン67、67が、固定体1のロック部1b、1bに係合して、開閉体5を閉じた状態にロックすることができる。
【0060】
図5及び
図8を参照する。ロック状態からアンロック状態にするためには、第2付勢部材87の付勢力に抗して、操作部材80の先端部84を、ハウジング20から離反する方向(後方)に回動させることにより行う。一対のロッド60、61のロックピン67、67が、ロータ50の回転付勢力に抗して、ロック部1b、1bから抜け、開閉体5のロック状態が解除される。これにより、固定体1の開口部1aから開閉体5を開くことができる。
【0061】
次に、ハウジング20へのロータ50及び一対のロッド60、61の組付け方法について説明する。ハウジング20に、ロータ50及び一対のロッド60、61を組付ける際には、ハウジング20とロータ50との間に第1付勢部材85を介装した状態で、ハウジング20の前面側から、ロータ50の支軸53の突起53aを、ハウジング20の鍵孔状をなした軸支持孔26aに整合させて、ロータ50を押込む。
【0062】
図5及び
図7を参照する。支軸53が軸支持孔26aに挿通されて、ハウジング20にロータ50が回転可能に支持されると共に、逆回転規制爪52の爪部52bが逆回転規制壁35の他端L2側に位置し、ハウジング20に対してロータ50が回転可能に仮支持される。
【0063】
そして、以下の2通りのロッド組付け作業がなされることによって、ロータ50にロッド(第1ロッド60)を組付けることが可能となっている。
【0064】
第1の組付け作業は、以下のようになされる。
【0065】
図4及び
図5を参照する。ロータ50の支軸53の突起53aを、ハウジング20の軸支持孔26aに整合して挿入した状態では、逆回転規制爪52の爪部52bは、逆回転規制壁35の他端L2側に位置する。この状態では、ロータ50はハウジング20に回転可能に支持されているが、支軸53は軸支持孔26aに挿通されただけで、突起53aが軸支持孔26aの後面側には位置しないため、ハウジング20に対してロータ50は抜け止めされていない。
図7に示される状態は、ハウジング20に対して、ロータ50が回転可能に仮支持された状態となっている(ロータ50の仮支持状態)。
【0066】
ハウジング20にロータ50が回転可能に仮支持された状態では、ロータ50の第1突部56は、ハウジング20の一端壁24の外側に位置しているが、第1付勢部材85(
図4参照)による回転付勢力に抗して、ロータ50を付勢方向D1とは反対方向に回転させることで、
図9に示されるように、開口37cを通過して切欠き部41内に第1突部56が進入するようになっている。
【0067】
このとき、逆回転規制爪52の爪部52bを、逆回転規制壁35を乗り越えさせて、その一端L1側に位置させることで、ロータ50の逆回転が規制されるようになっている。すなわち、ロータ50は、逆回転規制爪52の爪部52bが逆回転規制壁35の一端L1側に係止するので、この状態からさらにロータ50が付勢方向D1に回転しようとしても回転しない。そして、この
図9に示される状態では、支軸53の突起53aが、軸支持孔26aの後面側周縁に位置するため、ハウジング20に対してロータ50が抜け止め保持されるようになっている。すなわち、ハウジング20に対してロータ50が、抜け止めされた状態で回転可能に支持される(ロータ50の抜け止め保持状態)。
【0068】
図7に示される、ハウジング20に対してロータ50が回転可能に仮支持された状態から、ロータ50を付勢方向D1とは反対方向に回転させる。それにより、ロータ50の第1突部56を、収容部37の開口37cを通過させ、切欠き部41を介して収容部37内に進入させると共に、逆回転規制爪52の爪部52bを、逆回転規制壁35を乗り越えさせて、その一端L1側に位置し、且つ、支軸53の突起53aが軸支持孔26aの後面側周縁に位置するため、ハウジング20に対してロータ50が抜け止め保持される(
図9参照)。この
図9に示される状態で、枠状開口部39から、第1ロッド60を挿入方向E(進入方向)に沿って収容部37内に挿入していく。
【0069】
すると、
図10に示されるように、第1ロッド60の傾斜面74aが、ロータ50の第1突部56を押圧して、
図11に示されるように、ロータ50を付勢方向D1とは反対方向に、さらに回転させる。このとき、第1突部56の一部は、退避部45に進入している。そして、
図12に示されるように、第1突部56が、傾斜面74aの頂部74bを乗り越えると、隙間75を介して第1開口部72aを通過する。第1突部56の退避部45への進入量は、頂部74bの通過直前に最も大きくなる。さらにロータ50が付勢方向D1に回転すると、
図6に示されるように、第1突部56が第1ロッド60の嵌合凹部70内に挿入されて嵌合するので、ロータ50に第1ロッド60を連結することができる。
【0070】
さらに
図11に示されるように、第1ロッド60の基部63の幅A(弾性ガイド片63aを除く一側面から他側面までの長さ)は、傾斜面74aを設けた先端壁74の幅B(弾性ガイド片63aを除く一側面から頂部74bまでの長さ)よりも、大きく形成されている。その結果、隙間75が形成され、第1突部.56が頂部74bを乗り越えやすくなっている。この隙間75によって、第1突部56が嵌合凹部70に挿入しやすく、かつ、嵌合凹部70から抜き出しやすくなっている。
【0071】
一方、第2の組付け作業は、以下のようになされる。
【0072】
図7に示される、ハウジング20に対してロータ50が回転可能に仮支持された状態から、ロータ50がハウジング20に対して抜け止め保持されない程度に(逆回転規制爪52の爪部52bが、逆回転規制壁35を乗り越えて、その一端L1側に位置しない程度)、ロータ50を付勢方向D1とは反対方向にやや回転させる。それにより、ロータ50の第1突部56を、収容部37の開口37cを通過させて、切欠き部41を介して収容部37内に進入させると共に、その状態を維持しつつ、枠状開口部39から、第1ロッド60を挿入方向Eに沿って収容部37内に挿入していく。
【0073】
そして、
図13に示されるように、第1突部56の回動位置と第1ロッド60の挿入量とを適宜調整して、第1突部56を、隙間75を介して第2開口部72aを通過させ、第1ロッド60の嵌合凹部70に挿入させることで、第1突部56が嵌合凹部70に嵌合するので、この場合も
図6に示されるように、ロータ50に第1ロッド60を連結することができる。
【0074】
さらに、収容部37から第1ロッド60を取り外す際の取り外し方法についても説明する。
【0075】
ロータ50と第1ロッド60との連結状態を解除して、収容部37から第1ロッド60を取外したい場合がある。このとき、
図14に示されるように、ロータ50は、突部(ここでは第1突部56)が、収容部37に対するロッド(第1ロッド60)の、傾斜面74aの頂部74bにおける、スライド経路S(収容部37に対する第1ロッド60のスライド方向に沿った方向)を脱する位置まで、回転可能とされている。
【0076】
そのため、収容部37から第1ロッド60を取外したい場合には、
図6に示されるロー夕50に第1ロッド60が連結された状態から、ロータ50を第1付勢部材85の付勢力に抗して付勢方向D1とは反対方向に回転させていく。すると、
図14に示されるように、第1突部56が、収容部37に対する第1ロッド60の、傾斜面74aの頂部74bにおける、スライド経路Sを脱する位置まで、ロータ50を回転させることができるので、嵌合凹部70の第1開口部72aから第1突部56を抜き外すことができる。傾斜面74の頂部74bと、第1突部56との間に、所定のクリアランスが生じる程度に、ロータ50を回転可能となっている。その後、
図12に示されるように、ロータ50の回転角度を維持した状態で、収容部37から第1ロッド60を引き抜くことで、ロータ50と第1ロッド60との連結状態を解除することできる。
【0077】
以上に説明したロック装置10は、以下の効果を奏する。
【0078】
図6を参照する。このロック装置10においては、第1突部56は、ロータ50を回転させることで、切欠き部41を介して収容部37内に進入可能に構成され、さらに、第1突部56が収容部37内に位置し、第1ロッド60が収容部37に挿入された状態で、ロータ50を回転させることで、第1突部56が第1開口部72aを介して嵌合凹部70内へ挿入可能に構成されている。そのため、上記のように、第1の組付付け作業及び第2の組付け作業のいずれにおいても、ハウジング20にロータ50を回転支持した状態(ここでは
図7に示されるロータ50の仮支持状態、又は、
図9に示されるロータ50の抜け止め保持状態)とした後、収容部37にロッド(第1ロッド60)を挿入するだけの簡単な作業で、
図6に示されるように、ロータ50に第1ロッド60を連結させることができ、ロータ50と第1ロッド60との組付け作業性を向上させることができる。
【0079】
なお、第2ロッド61(
図4参照)は、その嵌合凹部70の第2開口部71aから、ロータ50の第2張出し部57側の第2突部58を挿入して嵌合させることで、ロータ50に第2ロッド61が連結されるようになっている。また、
図2や
図8に示されるように、第2ロッド61は、複数のガイド部材90によって、そのスライド動作がガイドされるようになっている。
【0080】
ハウジング20は、収容部37に隣接した位置において、嵌合凹部70から外れた第1突部56が収容される退避部45を有する。簡便な構成によって、第1突部56を逃がすことができる。このため、第1ロッド60の着脱性の高いロック装置10を安価に提供することができる。
【0081】
また、第1突部56が切欠き部41から収容部37に進入した状態で(
図9参照)、枠状開口部39から第1ロッド60を収容部37に挿入すると、傾斜面74aが第1突部56に当接して(
図10参照)、ロータ50を前記付勢力に抗して回転させて(
図11参照)、第1突部56が傾斜面74aを乗り越えると(
図12参照)、
図6に示されるように、第1突部56が前記付勢力により嵌合凹部70に挿入されるように構成されている。
【0082】
この態様によれば、
図9に示されるように、第1突部56が切欠き部41から収容部37に進入した状態で、枠状開口部39からロッド(第1ロッド60)を収容部37に挿入して押込むだけの簡単な作業で、
図6に示されるように、第1突部56が嵌合凹部70に挿入されて嵌合して、ロータ50と第1ロッド60との連結を完了させることができ、ロータ50と第1ロッド60との組付け作業性を、より向上させることができる。
【0083】
さらに、ロッドは、収容部37に挿入される第1ロッド60と、この第1ロッド60よりも長く延びる第2ロッド61とを有しており、突部は、第1ロッド60の嵌合凹部70に嵌合する第1突部56と、ハウジング20の外周から張出す張出し部(第2張出し部57)に形成され、第1突部56と同じ方向に突出し、第2ロッド61の嵌合凹部70に嵌合する、第2突部58とからなっている。
【0084】
この態様によれば、第2ロッド61よりも短い第1ロッド60が、ハウジング20の収容部37に収容された状態で、第1張出し部55の第1突部56に、嵌合凹部70を介して連結されるので、ロータ50から第1ロッド60を外れにくくすることができる。また、第1ロッド60よりも長い第2ロッド61は、ハウジング20の外周から張出す第2張出し部57の第2突部58に、嵌合凹部70を介して連結するので、ハウジング20に長い第2ロッド61を収容するための収容部が不要となり、ハウジング20のコンパクト化を図ることができる。
【0085】
また、
図14に示されるように、ロータ50は、突部(ここでは第1突部56)が、収容部37に対するロッド(第1ロッド60)の、傾斜面74aの頂部74bにおける、スライド経路S(収容部37に対する第1ロッド60のスライド方向に沿った方向)を脱する位置まで、回転可能とされている。すなわち、上述したように、切欠き部41の円弧状部分の他端側から、ハウジング20の他端L2側に向けて、一定幅の幅広部分41bが形成されており、この幅広部分41bが、第1ロッド60の傾斜面74aの頂部74bにおけるスライド経路Sよりも、ハウジング20の内方側に位置ずれして配置されている(ハウジング20の側壁23に偏位している)。その結果、ロータ50は、第1突部56が、第1ロッド60の、傾斜面74aの頂部74bにおける、スライド経路Sを脱する位置まで回転可能となっている。
【0086】
第1ロッド60の取り外しの際には、
図15に示されるように、ロータ50の回転角度を維持した状態で、収容部37から第1ロッド60を引き抜く(第1ロッド60を退出方向へ変位させる)ことで、ロータ50と第1ロッド60との連結状態を解除することができる。このため、収容部37からの第1ロッド61の取外し作業が容易となる。また、傾斜面74の頂部74bと第1開口部72aとの間に隙間75が形成されているので(
図11参照)、第1開口部72aから前記隙間75を利用して、嵌合凹部70から第1突部56を抜き出すことができるので、第1突部56を嵌合凹部70からスムーズに抜き外しやすい。
【0087】
また、ロック装置10においては、ハウジング20の長枠状をなした収容部37に、第1ロッド60が挿入されて、第1ロッド60のスライド動作がガイドされるので、第2ロッド61で必要なガイド部材90(
図2参照)等を、別途設ける必要がないため、部品点数を削減することができると共に、第1ロッド60のガイド構造の簡略化を図ることができる。
【0088】
<実施例2>
図16及び
図17には、本発明に係る開閉体のロック装置の、他の実施形態が示されている。なお、実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0089】
開閉体のロック装置10A(以下、単に「ロック装置10Aともいう。)は、ハウジング20Aが収容部を2つ備える構成となっている。ハウジング20Aは、側壁23の外面に、ハウジング20Aの長手方向の一端L1側から他端L2側の全域に亘って延びる、長枠状の収容部38が連設されている。すなわち、このハウジング20Aは、側壁22側に形成され、第1ロッド60を収容する収容部37と、側壁23側に形成され、第2ロッド61を収容する収容部38とを有している。
【0090】
また、収容部38は一端L1側が閉塞し、他端L2側に略四角孔状の枠状開口部39が形成されており、この枠状開口部39から第2ロッド61が出没可能となっている。さらに
図17に示されるように、収容部38の底壁38aに、ロータ50の回動軌跡Kに沿って略円弧状に切欠かれてなる、切欠き部41が形成されている。また、切欠き部41の、枠状開口部39とは反対側の他端側(ハウジング20Aの一端L1側)には、直線部41aが形成されており、この直線部41aを介して、一定幅の幅広部分41bが形成されている。
【0091】
さらに、ハウジング20Aには、円弧面部43に隣接した空間であって第1ロッド60を押し込んだ際に第1突部56を退避させることができる退避部45が形成されている。退避部45は、収容部37から連続して形成されている空間であり、第1突部56のみが進入可能である。換言すれば、退避部45には、第1ロッド60は、進入することができない。
【0092】
同様に、ハウジング20Aには、円弧面部43に隣接した空間であって第2ロッド61を押し込んだ際に第2突部58を退避させることができる退避部45が形成されている。退避部45は、収容部38から連続して形成されている空間であり、第2突部58のみが進入可能である。換言すれば、退避部45には、第2ロッド61は、進入することができない。
【0093】
そして、以下のようにしてロッド組付け作業がなされる。すなわち、ハウジング20に対してロータ50が回転可能に仮支持された状態から、ロータ50を付勢方向D1とは反対方向に回転させて、ハウジング20に対してロータ50を抜け止め保持する。この状態で、収容部37側の枠状開口部39から、第1ロッド60を挿入方向Eに沿って収容部37内に挿入することで、切欠き部41を介して収容部37内に進入した第1突部56が、傾斜面74aを乗り越えて、第1ロッド60の嵌合凹部70に挿入されて嵌合し、ロータ50に第1ロッド60が連結する。
【0094】
その後、収容部38側の枠状開口部39から、第2ロッド61を挿入方向Fに沿って収容部38内に挿入することで、切欠き部41を介して収容部37内に進入した第2突部58が、傾斜面74aを乗り越えて、第2ロッド61の嵌合凹部70に挿入されて嵌合して、ロータ50に第2ロッド61が連結する。
【0095】
その結果、
図17に示されるように、ロータ50に一対のロッド60、61を連結することができる。なお、先に第2ロッド61をロー夕50に連結した後、第1ロッド60をロータ50に連結してもよい。
【0096】
このように、第1ロッド60のみならず、第2ロッド61も、収容部38に挿入して押込むだけの簡単な作業で、ロータ50に連結させることができ、ロー夕50と一対のロッド60、61との組付け作業性を向上させることができる。
【0097】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明のロック装置は、車両のグローブボックスに好適である。
【符号の説明】
【0099】
1…インストルメントパネル(固定体)、1b…ロック部
5…リッド(開閉体)
10、10A…開閉体のロック装置
20、20A…ハウジング
37、38…収容部
45…退避部
50…ロータ
56…第1突部(突部)
57…第2張出し部(張出し部)
58…第2突部(突部)
60…第1ロッド(ロッド)
61…第2ロッド(ロッド)
70…嵌合凹部
74a…傾斜面
GB…グローブボックス(車両用収納装置)