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特許7423510フレーム、有効成分パッド、およびカバーを含むアダプタシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】フレーム、有効成分パッド、およびカバーを含むアダプタシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20240122BHJP
   A61B 18/20 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A61M37/00
A61B18/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020507108
(86)(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 DE2018000233
(87)【国際公開番号】W WO2019029760
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-28
(31)【優先権主張番号】102017007485.2
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ホルストマン
(72)【発明者】
【氏名】ローマン・ハダシック
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ・ヴォルトマン
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-523644(JP,A)
【文献】特表2005-521526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 35/00
A61M 37/00
A61B 18/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプタシステム(10)であって、
フレーム(11)と、
有効成分パッド(61)が載置された、フレーム(11)を閉塞するカバー(41)とを含み、有効成分パッド(61)は、動作位置(80)においてフレーム(11)に挿入され、
動作位置(80)において、フレーム(11)およびカバー(41)は、圧力嵌めおよび/または形状ロック式に互いに連結され、フレーム(11)は底面に粘着層を含み、粘着層は皮膚に接着してフレーム(11)の位置決めをすることができ、フレーム(11)は開口部と上面を有する支持パネル(12)を含み、支持パネル(12)の上面は2つの互いに間隔を置いた凹部(27)を含み、アダプタシステム(10)は穿孔デバイス上に配置可能であり、穿孔デバイスは凹部(27)内にセンタリングして開口部によって範囲が定められるセクション内の皮膚を穿孔することを特徴とする、前記アダプタシステム。
【請求項2】
カバー(41)は、有効成分パッド(61)を保持する機械的連結要素(54)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のアダプタシステム(10)。
【請求項3】
カバー(41)は、把持片(44)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のアダプタシステム(10)。
【請求項4】
フレーム(11)は、プルタブ(13)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のアダプタシステム(10)。
【請求項5】
フレーム(11)およびカバー(41)は、ピボット継手(72)によって互いに連結されることを特徴とする、請求項1に記載のアダプタシステム(10)。
【請求項6】
動作位置(80)において、フレーム(11)に対するカバー(41)の位置は、戻り止め要素(14)によって固定されることを特徴とする、請求項1に記載のアダプタシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームと、有効成分パッドが載置された、フレームを閉塞するカバーとを含み、有効成分パッドが動作位置においてフレームに挿入される、アダプタシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
箔状のアダプタシステムが特許文献1から知られている。有効成分を送達するために、カバー上に配置された有効成分パッドは、位置決めされずにフレームに挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2009/047774A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底にある課題は、有効成分パッドを正確に位置決めすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、主請求項の構成によって解決される。この目的のため、フレームおよびカバーは、動作位置において圧力嵌めおよび/または形状ロック式に互いに連結される。
【0006】
本発明のさらなる詳細は、従属請求項、および概略的に示される例示的な実施形態についての以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】カバー挿入前のアダプタシステムの二等角図である。
図2図1の上からの図である。
図3】カバーが挿入された状態のアダプタシステムの図である。
図4】フレーム側の掛止係合の詳細図である。
図5】枢動可能カバーを含むアダプタシステムの図である。
図6図5のカバーが閉じた状態の図である。
図7】枢動可能カバーを含むアダプタシステムの図である。
図8図7のカバーが閉じた状態の図である。
図9図7および図8のアダプタシステムの長手方向部分断面図である。
図10】圧力嵌め式に固定可能なカバーを含むアダプタシステムの図である。
図11図10のカバーが閉じた状態の図である。
図12】カバー内への有効成分パッドの固定の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図4は、フレーム(11)、有効成分パッド(61)、およびカバー(41)を含むアダプタシステム(10)を示している。そのようなアダプタシステム(10)は、有効成分を患者の皮膚内に送達するために使用される。角膜のような皮膚の最上層は有効成分に対するバリアを形成するので、これらはまず、前処置を受けなければならない。この目的のため、たとえば、穿孔デバイスを使用する。ここでは図示されない穿孔デバイスは、針、電極またはレーザデバイスを用いて皮膚の処置予定部位を穿孔する。アダプタシステム(10)が皮膚に配置された後、有効成分が有効成分パッド(61)から、あけられた通路を通って皮膚へと入る。
【0009】
例示的な実施形態では、フレーム(11)は、丸い縁を有する略方形の輪郭を有する。フレームは、支持パネル(12)と、プルタブ(13)と、たとえば4つの戻り止め要素(14)とを含む。円形断面を有する開口部(15)は、たとえば、支持パネル(12)の中央に設けられる。フレーム(11)は、たとえば、ポリオレフィン系の射出成形プラスチック材料から作られる。これは、たとえばLDPEとすることができる。しかし、他の単一成分または多成分のプラスチック材料からフレームを製造することも考えられる。
【0010】
粘着層(17)は、支持パネル(12)の底面(16)に適用される。このたとえばリング形の粘着層(17)は、はじめは、剥離ライナとして既知の保護フィルムによって保護されている。
【0011】
戻り止め要素(14)は、支持パネル(12)の上面(18)に配置される。これらは、開口部(15)の周りに均等に分配され、たとえば開口部(15)からたとえば2ミリメートルの距離を有する。個々の戻り止め要素(14)は、図4で見られ、ロッド形設計を有し、内面(19)にキャッチラグ(21)を含む。たとえば、このキャッチラグ(21)は、支持パネル(12)の上面(18)に対して少なくとも概ね平行に設けられる戻り止め面(22)と、案内面(23)とを含む。ここでの少なくとも概ねとは、個々の戻り止め面(22)が上面(18)に平行な平面に対して15度程度傾いていてよいことを意味し、そこにおいて個々の戻り止め面(22)は、先端が上面(18)の上に位置する円錐外側面(22)のセクションを表す。個々の案内面(23)は、たとえば、支持パネルに対する垂線に対して30度の角度を含む。戻り止め要素(14)は、弾性変形可能に設計され、その上側領域は、少なくともより短い長さの戻り止め面(22)の分量だけ曲がって開くことができる。戻り止め要素(14)は、孔、環状溝などとして設計することもできる。面ファスナまたは粘着剤接着などの設計も考えられる。
【0012】
プルタブ(13)は、例示的な実施形態では支持パネル(12)の一側部に配置される。これは、支持パネル(12)の上面(18)からたとえばL字形に突出しており、短脚(24)が上面(18)と一体形成され、長脚(25)が外側に自由に張り出している。必要ならば、長脚(25)は、把持穿孔部、および粗面域などを含むこともできる。
【0013】
カバー(41)は、カバーパネル(42)を含む。カバーパネル(42)は、その上面(43)と一体形成される把持片(44)を有する。円盤状の把持片(44)は、たとえばカバーパネル(42)に対して垂直に向いている。カバーパネル(42)の底面(45)は、下方に突出しているセンタリングリング(47)を囲繞する外側接触リング(46)を含む。カバー(41)に取り付けられる有効成分パッド(61)は、このセンタリングリング(47)から突出する。これは、上面図で円形断面を有する。有効成分パッド(61)の底面(62)と接触リング(46)との間の、カバーパネル(42)に対して垂直方向の距離は、たとえば、フレーム(11)の支持パネル(12)の厚さよりも大きい。上述した距離は、たとえば、上述した厚さよりも3ミリメートルまで長くてよい。カバーパネル(42)の接触リング(46)の領域内の厚さは、たとえば戻り止め面(22)と支持パネル(12)の上面(18)との間の距離よりも若干小さい。この距離は、たとえば、2ミリメートルまであってよい。有効成分パッドは、保護フィルムによってはじめは保護されている。
【0014】
穿孔デバイスを使用する前に、フレーム(11)によってアダプタシステム(10)を穿孔デバイス上へと配置し、そこにセンタリングする。皮膚を穿孔する前、間または後に、粘着層(17)から保護フィルムを引き剥がし、フレーム(11)を患者の皮膚に押し付ける。粘着層(17)を皮膚に接着し、フレーム(11)を位置決めする。皮膚の穿孔前にアダプタシステム(10)を皮膚に貼着すれば、穿孔デバイスが定位置からずれることの防止になる。穿孔デバイスは、皮膚を穿孔しフレーム(11)を貼着した後に除去することができる。そして、貼着されたフレーム(11)は、皮膚のたとえば開口部(15)の下の中央にある前処置セクションを囲繞する。
【0015】
そして、保護フィルムを引き剥がした後、カバー(41)をフレーム(11)に挿入する。その過程で、カバーパネル(42)は、案内面(23)に沿って案内され、戻り止め要素(14)は、たとえば径方向外方に曲がって開く。必要ならば、センタリングリング(47)は、追加的に、さらなる挿入および/または押し込みの間に開口部(15)によって案内される。カバーパネル(42)が戻り止め面(22)の下に配置されるとすぐに、戻り止め要素(14)が弾性的にカチッと戻る。そして、戻り止め面(22)はカバーパネル(42)の上に位置し、カバー(41)の上方運動を防ぐ。そして、フレーム(11)およびカバー(41)は、互いに取り外し不能に連結する。そして、カバー(41)は動作位置(80)になる。
【0016】
動作位置(80)において、フレーム(11)の開口部(15)へと導入されている有効成分パッド(61)を皮膚に載せる、または押し付ける。これは、皮膚から若干、たとえば1ミリメートルの間隔を置いて配置することもできる。押圧は、戻り止め要素(14)とカバー(41)の形状嵌めによって確実にされる。有効成分パッド(61)が皮膚の前処置面の上に正確に配置されることで、投薬有効成分すべてが皮膚の上層へと導入された通路を通って皮膚の下層に到達するようになる。正確な位置決めの結果、過剰な量の有効成分を使用する必要がなくなる。こうして、用途に合わせて正確に調製された有効成分の用量投与(dosing)が可能になる。さらに、有効成分パッド(61)のサイズを前処置域のサイズに正確に適合させることもできる。たとえ前処置域とそれを取り囲む未処置組織を区別することが非常に困難であっても、これによって正確な用量投与および厳密な位置決めで有効成分を導入することが可能になる。
【0017】
適用継続期間(duration interval)後、フレーム(11)およびそれに取り外し不能に連結されているカバー(41)を除去することができる。この目的のため、たとえばフレーム(11)のプルタブ(13)を引っ張る。その過程で、フレーム(11)は、挿入されているカバー(41)を含めて、皮膚から取り外される。必要ならば、有効成分パッド(61)は、カバー(41)から取り外され、皮膚上に残る。フレーム(11)の除去後、保護パッチを適用することができる。これは、場合により、有効成分パッド(61)も覆う。
【0018】
図5および図6は、一体ヒンジ(72)として設計されるピボット継手(72)周りに枢動可能なカバー(41)を含むアダプタシステム(10)を示している。カバー(41)は、フレーム(11)と一体形成され、移行箇所(71)は一体ヒンジ(72)のように設計される。カバー(41)とフレーム(11)との間の連結を、挿入可能継手(insertable joint)によって実施することも考えられる。この例示的な実施形態でも同様に、アダプタシステムは、たとえば射出成形法を用いて、ポリオレフィン系プラスチック材料から作られる。
【0019】
フレーム(11)は、第1の例示的な実施形態のフレーム(11)と同様の設計を有する。それは、底面(16)に粘着リング(17)を含む。支持パネル(12)の上面(18)に配置される戻り止め要素(14)は、開口部(15)に直接当接する。キャッチラグ(21)は、外方に向いている。壁厚およびフレーム(11)に使用される材料は、第1の例示的な実施形態のものに対応する。
【0020】
この例示的な実施形態では、カバー(41)は、少なくとも略方形輪郭を有する。センタリングリング(47)の外側の接触面(46)内には、4つの戻り止め開口部(49)が設けられる。これらは、例示的な実施形態では楕円形輪郭を有し、有効成分パッド(61)の周りに等間隔に配置される。各戻り止め開口部(49)は、センタリングリング(47)のところでセグメント状セクション(51)を切り取っている。
【0021】
有効成分パッド(61)は、第1の例示的な実施形態に関連して記載してあるように、カバー(41)に配置される。
【0022】
このアダプタシステム(10)も、たとえば穿孔デバイスに連結することができる。キャッチフック(14)の内面(19)は、穿孔デバイスに対するアダプタシステム(10)のセンタリングに使用される。これは、たとえば、保護フィルムを除去した後に、穿孔デバイスに沿って皮膚へと押し付けることができる。そこで、皮膚の前処置セクションが開口部(15)内に位置するように、支持フレーム(11)を粘着層(17)によって皮膚に接着する。
【0023】
一体型アダプタシステム(10)を患者の皮膚に貼着し、位置決めデバイスを除去した後、カバー(41)を閉じることができる。この目的のため、それをフレーム(11)に対して一体ヒンジ(72)に沿って枢動させる。有効成分パッド(61)をフレーム開口部(15)に挿入する。さらに内へと枢動させる間、カバー(41)は、センタリングリング(47)によってフレーム(11)上にセンタリングされる。キャッチフック(14)は戻り止め開口部(49)に入る。その過程で戻り止め要素(14)が内側へと弾性的に変形する。戻り止め面(22)がカバー(41)を貫通するとすぐに、戻り止め要素はカチッと戻り、カバー(41)を閉位置に保持する。そして、有効成分パッド(61)およびカバー(41)は動作位置(80)になる。フレーム(11)から下方に突出している有効成分パッド(61)は、カバー(41)を用いて皮膚に押し付けることができる。
【0024】
有効成分パッド(61)は、この実施形態でも、皮膚の準備済みの表面に正確に位置決めされる。単一自由度を有する継手(72)および動作位置(80)における形状嵌めによる掛止係合の結果、アダプタシステム(10)の動作不良または位置決め不良の危険がなくなる。
【0025】
図7図9は、フレーム(11)に対して枢動可能なカバー(41)を含む他のアダプタシステム(10)を示している。この例示的な実施形態も同様に、フレーム(11)は、開口部(15)を有する支持パネル(12)を含む。粘着層(17)は、支持パネル(12)の底面(16)に配置される。支持パネル(12)の上面(18)は、2つの互いに間隔を置いた凹部(27)を含む。ピボットピン(28)は、フレーム(11)の上面(18)の、プルタブ(13)から離れる方に面する側に配置される。これは、たとえば、リベット形ヘッド(29)を含む2段ピン(28)である。ヘッド(29)は、成形プロセスによって製造する、または別個の部材として実施することができる。
【0026】
ピボットピン(28)は、円柱形設計を有し、支持パネル(12)に当接するその下側領域に案内-止めリブ(guide and stop rib)(33)を含む。
【0027】
図示のフレーム(11)は、その上面(18)に、図1図4に示される戻り止め要素(14)と同じようにそれぞれ設計される3つの戻り止め要素(14)を含む。それらは、開口部(15)の周りのたとえば150度の扇形内に配置される。くぼみ(31)は、フレーム上面(18)の、戻り止め要素(14)から離れる方に面する側に設けられる。
【0028】
円盤形カバー(41)には、この例示的な実施形態でも有効成分パッド(61)が載置される。さらに、それは、センタリングリング(47)と、それを囲繞する接触リング(46)とを含む。カバー(41)は、円筒形のピボットブシュ(48)とともにピボットピン(28)に着座される。カバー(41)は、さらに、2つの凹溝(recess groove)を含む。2つの凹溝は、ピボットブシュ(48)周りに互いに対して径方向にオフセットされており、案内-止めリブ(33)を受ける。2つの凹溝の深さは異なり、図9に示されるより深い凹溝(52)は、案内-止めリブ(33)をほぼ完全に受ける。ピボット継手(72)の異なる設計も考えられる。
【0029】
使用中、はじめにカバー(41)が開いた状態でアダプタシステム(10)を皮膚に貼着する。たとえば、カバー(41)は、案内-止めリブ(33)のより短い凹溝に留まり、それに掛止係合される。穿孔デバイスを凹部(27)内にセンタリングし、開口部(15)によって範囲が定められるセクション内の皮膚を穿孔する。穿孔デバイスの除去後、カバー(41)を枢動させる。この枢動の間、カバー(41)は上昇する。有効成分パッド(61)は、フレーム上面(18)のくぼみ(31)の上に枢動する。
【0030】
カバー(41)は、動作位置(80)の上に枢動されるとすぐにピボットピン(28)に沿って支持パネル(12)の方向に変位される。その過程で、カバー(41)は、凹溝(52)によって案内-止めリブ(33)に沿って案内される。有効成分パッド(61)をフレーム(11)の開口部(15)に挿入する。キャッチピン(14)は、外方に弾性的に変形する。センタリングリング(47)をフレーム(11)に導入し、カバー(41)の接触面(46)がフレーム(11)の上面(18)に載るとすぐに、戻り止め要素(14)がカチッと戻り、カバー(41)を動作位置(80)に保持する。必要ならば、カバー(41)は、追加的に、たとえば接着剤によって圧力嵌め式にフレームに連結することができる。フレーム(11)からたとえば下方に突出する有効成分パッド(61)は、皮膚へと押し付けられ、有効成分を皮膚通路を通って皮膚の下層内へと放出する。フレーム(11)は、上述したように、プルタブ(13)を用いて引き剥がす。
【0031】
図10および図11は、フレーム(11)およびカバー(41)が、図5および図6の例示的な実施形態と同様に一体ヒンジ(72)によって互いに連結されているアダプタシステム(10)を示している。図10および図11に示される一体型アダプタシステム(10)は、多成分材料から作られる。一体ヒンジ(72)は、たとえば、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系プラスチック材料から作られる。カバー(41)およびフレーム(11)は、一体ヒンジ(72)よりも低い弾性率を有する材料から作られる。これは、たとえばポリウレタン(PUR)、エチレン酢酸ビニル(EVA)などである。大きな表面積の粘着層(17)は、支持パネル(12)の底面(16)に配置される。他の粘着層(53)は、カバー(41)の接触面(46)に適用される。
【0032】
使用中、はじめにカバー(41)を広げた状態で、たとえば、アダプタシステム(10)を皮膚に貼着する。フレーム(11)およびカバー(41)は、弾性変形可能な材料なので、皮膚の輪郭に適合することができる。皮膚の前処置のため、穿孔デバイスを開口部(15)内にセンタリングし、皮膚に通路を導入する。その後、カバー(41)を、有効成分パッド(61)およびセンタリングリング(47)が開口部(15)に入るようにして一体ヒンジ(72)周りに枢動させることができる。フレーム(11)の開口部(15)および/またはカバー(41)のセンタリングリング(47)は、挿入テーパを含むことができる。接触面(46)がフレーム(11)の上面(18)に載るまでカバー(41)を押し込み、それによって有効成分パッド(61)が変形する。そして、カバー(41)を粘着層(53)を用いてフレーム(11)に接着する。さらに、有効成分パッド(61)から有効成分が、こうして通路を通って皮膚の下層内へと放出される。使用後、アダプタシステム(10)全体を患者の皮膚から引き剥がすことができる。
【0033】
必要ならば、アダプタシステム(10)は、穿孔デバイスに適用可能とすることもできる。この目的のため、穿孔デバイスに対するアダプタシステム(10)の位置を決定する案内スリーブを使用することができる。
【0034】
図12は、カバー内への有効成分パッド(61)の配置の一例を示している。そこには、カバー(41)のセンタリングリング(47)から突出する3つの茸形ピン(54)が配置されている。茸形ヘッド(55)は、有効成分パッド(61)に係合し、それをカバー(41)に対して定位置に保持する。
【0035】
カバー(41)を閉じた後、有効成分パッド(61)を皮膚に接着する。アダプタシステム(10)を引き剥がすと、有効成分パッド(61)は皮膚に粘着し続け、一方、茸形ピン(54)は有効成分パッド(61)から外れる。そのような一実施形態では、カバー(41)に対向する面が非粘着性であれば、アダプタシステム(10)の引き剥がし後に有効成分パッド(61)のための保護パッチは必要ない。
【0036】
有効成分パッド(61)は、記載の茸形ピン(54)ではなく、スタッドまたは面ファスナなどによってカバー(41)に対して定位置に保持してもよい。しかし、有効成分パッド(61)は、粘着リングによってカバー(41)に連結することもできる。これは、有効成分パッド(61)が皮膚に貼着されるまで取り外されない。
【0037】
記載のアダプタシステム(10)は、連続生産することができる。その過程で、有効成分パッド(61)を、用途特有のやり方で加えることができる。
【0038】
当然のことながら、記載した様々な実施形態を互いに組み合わせることも考えられる。
【符号の説明】
【0039】
10 アダプタシステム
11 フレーム
12 支持パネル
13 プルタブ
14 戻り止め要素、キャッチフック
15 開口部、フレーム開口部
16 底面
17 粘着層、粘着リング
18 上面
19 内部、内面
21 キャッチラグ
22 戻り止め面
23 案内面
24 短脚
25 長脚
27 凹部
28 ピボットピン
29 ヘッド
31 くぼみ
33 案内-止めリブ
41 カバー
42 カバーパネル
43 上面
44 把持片
45 底面
46 接触リング、接触面
47 センタリングリング
48 ピボットブシュ
49 戻り止め開口部
51 セグメント状切り欠き
52 凹溝
53 粘着層
54 茸形ピン、機械的結合要素
55 茸形ヘッド
61 有効成分パッド
62 底面
71 移行箇所
72 一体ヒンジ、ピボット継手
80 動作位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12