(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】整形外科技術装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/72 20060101AFI20240122BHJP
A61F 2/62 20060101ALI20240122BHJP
A61F 2/64 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A61F2/72
A61F2/62
A61F2/64
(21)【出願番号】P 2020526023
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2018085781
(87)【国際公開番号】W WO2019129563
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-12-15
(31)【優先権主張番号】102017131319.2
(32)【優先日】2017-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506153712
【氏名又は名称】オットー・ボック・ヘルスケア・プロダクツ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】サイフェルト、ディルク
(72)【発明者】
【氏名】オウベルガー、ローランド
(72)【発明者】
【氏名】ブロイアー-ルシュ、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】スプリング、アレキサンダー・ノア
(72)【発明者】
【氏名】フォルクマール、マルコ
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-510766(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0330393(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0304081(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/72
A61F 2/62
A61F 2/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部(10)と下部(20)とアクチュエータ(50)とを備える整形外科技術装置であって、前記上部と下部とが少なくとも一つの関節装置(30)を介して関節軸(40)を中心として旋回可能に相互に接続されており、かつ少なくとも一つの取付装置(60)を有し、前記取付装置によって前記整形外科技術装置が四肢に取り付け可能であり、前記アクチュエータが、前記上部(10)と前記下部(20)とに取付位置(15、25)で取り付けされており、前記下部(20)に対する前記上部(10)の旋回に影響を及ぼす整形外科技術装置において、
前記上部(10)に取り付け可能な四肢に対する前記下部(20)の方位が調節可能であり、
前記整形外科技術装置は制御可能な装置として構成されていて、かつ少なくとも一つのセンサ(80)を備え、前記センサは、制御装置(90)と連結されており、
前記制御装置は、最大関節角を制限する伸展停止部(110)の調整のための調整装置(100)を作動させるか又は作動停止させ、
前記伸展停止部(110)は、センサデータに依存して、始端位置から終端位置に移動させられ、前記始端位置では前記下部(20)に対する前記上部(10)が屈曲位置に存在し、前記終端位置では前記下部(20)に対する前記上部(10)が、前記始端位置に対して変更された位置に存在し、
前記下部(20)に対する前記上部(10)が伸展方向におけるその終端位置に到達する際に、前記関節軸(40)を中心として作用するトルク又は前記上部(10)と前記下部(20)との間に作用する力を測定し、前記トルク又は力がある閾値を越える場合に、前記伸展停止部(110)をその終端位置の方向に移動させ、前記閾値を越えない場合に、前記伸展停止部(110)を反対方向に移動させるように前記制御装置(90)が設定されている、ことを特徴とする、整形外科技術装置。
【請求項2】
前記整形外科技術装置(1)に
、前記四肢用の交換可能な若しくは調節可能なアタッチメント(120)が設けられていることを特徴とする、請求項1記載の整形外科技術装置。
【請求項3】
前記伸展停止部(110)は、前記アクチュエータ(50)に若しくは前記アクチュエータ内に、前記アクチュエータ(50)と前記上部(10)及び/若しくは下部(20)との間で力を伝達するインターフェース(51、52)に、又は前記力を伝達するインターフェース内に、並びに/又は少なくとも一つの関節装置(30)に、若しくは前記少なくとも一つの関節装置内に形成されていることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の整形外科技術装置。
【請求項4】
前記関節軸(40)に対する少なくとも一つの取付位置(15、25)の距離が調節可能であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
【請求項5】
前記取付位置(15、25)の少なくとも一つは、移動可能に、それぞれ所属する前記上部(10)若しくは下部(20)に、又は力を伝達するインターフェース(51、52)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
【請求項6】
前記取付位置(15、25)は、スライド可能に又は回転可能に、前記上部(10)若しくは下部(20)、又は力を伝達するインターフェース(51、52)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
【請求項7】
前記取付位置(15、25)は、モータにより調整可能に、前記上部(10)若しくは下部(20)に、又は力を伝達するインターフェース(51、52)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
【請求項8】
前記取付位置(15、25)は、前記アクチュエータ(50)用の複数の取付装置(72)が配置されているアダプタ(70)に配置又は形成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
【請求項9】
前記取付位置(15、25)又は前記関節装置(30)は、交換可能なアダプタ(70)に配置又は形成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
【請求項10】
前記取付位置(15、25)は、前記アクチュエータ(50)用の前記取付位置(15、25)の多様なポジションを実現するために、交換可能な部材(170)に配置又は形成されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
【請求項11】
前記上部(10)及び/若しくは前記下部(20)、並びに/又は力を伝達するインターフェース(51、52)、及び/又は前記アクチュエータ(50)は、長さ変更可能に構成されていることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
【請求項12】
前記上部(10)及び/若しくは下部(20)、並びに/又は力を伝達するインターフェース(51、52)は、複数の部分から構成されており、
第一の部分(11)には前記関節装置(30)が形成されていて、第二の部分(12)には前記取付位置(15、25)が配置されていて、前記第一の部分(11)は、前記第二の部分(12)に対してスライド可能に又は回転可能に前記第二の部分(12)に接続されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
【請求項13】
前記アクチュエータ(50)は、長さ変更可能なハウジング(55)、及び/又は長さ変更可能なピストンロッド(56)を有することを特徴とする、請求項11記載の整形外科技術装置。
【請求項14】
少なくとも一つのセンサ(80)が、前記上部(10)と前記下部(20)との間で伝達される力、並びに/又は伝達されるトルク、関節角、前記上部(10)及び/若しくは前記下部(20)の空間位置、並びに/又は前記整形外科技術装置の利用者の生体信号を検知するために設けられていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
【請求項15】
前記アクチュエータ(50)が液圧アクチュエータとして構成されていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
【請求項16】
前記伸展停止部(110)は、バルブの閉鎖、及び/又は液圧ラインの遮断によって実現されることを特徴とする、請求項15記載の整形外科技術装置。
【請求項17】
前記制御装置(90)は、前記センサデータを一定期間にわたり検知し、かつある閾値と比較するように構成されていて、前記伸展停止部(110)の調整は、前記閾値が定義された期間にわたり達成される場合にだけ行われることを特徴とする、請求項1記載の整形外科技術装置。
【請求項18】
前記最大関節角は調節可能であり、かつ前記伸展停止部(110)は、測定された関節角に依存して、最大関節角まで調整可能であることを特徴とする、請求項1又は17に記載の整形外科技術装置。
【請求項19】
旋回運動の間の前記アクチュエータ(50)の抵抗値を検知し、前記抵抗値を、関節角、並びに前記上部(10)と前記下部(20)との間に生じる力及び/又はトルクに関するセンサ値と相関させ、力の推移及びトルクの推移が抵抗の推移から逸脱する場合に、前記伸展停止部(110)の調整を実施するように前記制御装置(90)が設定されていることを特徴とする、請求項1、17、又は18に記載の整形外科技術装置。
【請求項20】
前記伸展停止部は自動適合的に調整可能であることを特徴とする、請求項1、17、18、又は19に記載の整形外科技術装置。
【請求項21】
上部(10)と下部(20)とアクチュエータ(50)と少なくとも一つのセンサ(80)とを備える整形外科技術装置であって、前記上部と下部とは関節装置(30)を介して関節軸(40)を中心として旋回可能に相互に接続されており、かつ取付装置(60)を有し、前記取付装置によって前記整形外科技術装置は四肢に取り付け可能であり、前記アクチュエータは前記上部(10)と前記下部(20)とに取付位置(15、25)で取り付けされており、前記下部(20)に対する前記上部(10)の旋回に影響を及ぼし、前記センサが制御装置(90)と連結されていて、前記制御装置が、最大関節角を制限する伸展停止部(110)の調整のための調整装置(100)を作動させるか又は作動停止させる整形外科技術装置の制御方法において、
前記制御装置(90)は、センサデータに依存して前記調整装置(100)を制御して、前記伸展停止部(110)を、始端位置から終端位置に移動させ、前記始端位置では前記下部(20)に対する前記上部(10)が屈曲位置に存在し、前記終端位置では前記下部(20)に対する前記上部(10)が、前記始端位置に対して変更された位置に存在し、
前記下部(20)に対する前記上部(10)が伸展方向におけるその終端位置に到達する際に、
前記関節軸(40)を中心として作用するトルク又は前記上部(10)と前記下部(20)との間に作用する力を測定し、前記トルク又は力がある閾値を越える場合に、前記伸展停止部をその終端位置の方向に移動し、前記閾値を越えない場合に、前記伸展停止部を反対方向に移動する、ことを特徴とする、整形外科技術装置の制御方法。
【請求項22】
前記センサデータを一定期間にわたり検知し、かつある閾値と比較し、前記閾値が定義された期間にわたり達成される場合にだけ、前記伸展停止部(110)の調整を行うことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記最大関節角を調節しかつ前記伸展停止部(110)を、測定された関節角に依存して、最大関節角まで調節することを特徴とする、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
旋回運動の間の前記アクチュエータ(50)の抵抗値を検知し、前記抵抗値を、関節角、並びに前記上部(10)と前記下部(20)との間に生じる力及び/又はトルクに関するセンサ値と相関させ、力の推移及びトルクの推移が抵抗の推移から逸脱する場合に、前記伸展停止部の調整を行うことを特徴とする、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記伸展停止部を自動適合的に調整することを特徴とする、請求項21から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記センサデータは、予め設定された期間にわたり取得され、評価されることを特徴とする、請求項21から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記センサデータは、治療の進捗の判断のために評価されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部と下部とアクチュエータとを備え、上部と下部とは、関節装置を介して関節軸を中心として旋回可能に相互に接続されていてかつ取付装置を有し、取付装置によって整形外科技術装置、例えば外骨格または装具は、四肢に取付可能であり、アクチュエータは、上部および下部に取付位置で取付されていてかつ下部に対する上部の旋回に影響を及ぼす、整形外科技術装置、特に装具、または外骨格に関する。本発明は、同様に、上部と下部とアクチュエータと少なくとも一つのセンサとを備え、上部と下部とは、関節装置を介して関節軸を中心として旋回可能に相互に接続されていてかつ取付装置を有し、取付装置によって整形外科技術装置、例えば外骨格または装具は、四肢に取付可能であり、アクチュエータは、上部および下部に取付位置で取付されていてかつ下部に対する上部の旋回に影響を及ぼし、センサは制御装置と連結されていて、制御装置は、最大関節角を制限する伸展停止部の調節のための調整装置を作動または作動停止する、整形外科技術装置、特に装具、外骨格の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装具または外骨格(これらは以後、装具としてまとめられる)は、とりわけ、既存の手足または四肢の機能をサポートまたは維持するために使用される。このために、装具は四肢に取付される。下肢の装具、例えば膝関節をカバーする装具の場合、大腿と下腿とに、上部と下部またはレールが固定され、これらの上部と下部またはレールは、関節装置、装具膝関節を介して互いに接続されている。足関節装具の場合、足が足部に固定され、この足部は装具足関節を介して、それ自体上部として用いられる下腿部と接続されている。同様のことが、股関節装具についても、または二つより多くの生来の関節をつなぐ装具についても当てはまる。同様に、上肢用の装具、例えば肘関節をつなぐ装具も存在する。装具の近位部材が、その都度上部と見なされ、この近位部材が、関節装置を介して下部としての遠位部材と接続されている。取付装置として、シェル、ベルト、クリップまたは他の装置が用いられ、これらの固定装置によって、四肢が装具から外れないようにされる。
【0003】
義肢は、存在しない四肢の代替として用いられ、この義肢には、頻繁に、二つの義肢部材を相互に旋回可能に接続する義肢関節が備え付けられている。これらの部材の相互の動きに影響を及ぼすために、アクチュエータ、例えばダンパ、制動装置および/または駆動系が使用され、これらは、制御されたまたは非制御の旋回運動に影響を及ぼし、特に減衰するかまたはサポートする。
【0004】
旋回運動の間の上部と下部との相互の動きに影響を及ぼすために、例えば旋回運動をサポートするかまたは妨げるために、アクチュエータが使用され、このアクチュエータは、上部と下部とに取付されている。動きのサポートは、駆動系としてのアクチュエータの一実施態様の場合、エネルギ貯蔵部からのエネルギの供給によって行うことができる。エネルギ貯蔵部として、ばね装置またはモータもしくはポンプを駆動するための電気エネルギの貯蔵部が予定されていてよい。単なる受動的アクチュエータは、旋回運動に対して調節可能な抵抗を提供するダンパまたは制動装置である。減衰は、屈曲方向に関しても伸展方向に関しても使用することができる。下部に対する上部の最大位置の達成時に更なる動きを妨げかつ停止を補償するために、その都度の関節装置内にまたはアクチュエータ内に停止部材が存在する。停止部材は、関節角が低減する屈曲方向用にも、関節角が増大する伸展方向用にも設けることができる。最大伸展角は、原則として、上部の縦方向方位と下部の縦方向方位との間に180°の角度が生じる場合に達成される。これに相関する関節角は、患者の身体についての解剖学的かつ生理学的実情に基づく最大のストレッチ位置から生じる。これは、大抵の病理学的な過伸展位置であることもあり、それにより関節角は180°を越えることがある。過伸展は、例えば、ふくらはぎの背面側と大腿の背面側の間の角度が180°より大きくなることができる膝関節の場合に生じることがある。同様に、過伸展は、前腕と上腕の三頭筋側の間で180°より小さい角度が生じる場合に肘関節でも生じる。
【0005】
国際公開第2009/097841号から、上部接続手段が配置されている上部と、その上部に整形外科技術部材用の接続手段を用いて旋回可能に支承された下部とを備え、下部は、伸展運動を制限する停止部を有する整形外科技術膝関節は公知である。停止部は、移動可能に構成されていてかつ調整装置と連結されていて、調整装置はまた、制御装置と連結されていて、制御装置は、センサデータに依存して調整装置を作動させ、停止部のポジションを変更する。この整形外科膝関節は、膝関節装具として構成されていてもよい。この出願は、伸展停止部の状態を、歩行および起立の間の現状のまたは突然の多様な要求に適合させることに関する。使用者の解剖学的前提条件への適合は開示されていない。
【0006】
装具の伸展停止部のポジションは、それぞれの使用者の解剖学的および生理学的実情に適合させなければならない。装具を患者に適合させる際に一度調節されかつ整形外科技術者により改めて調節まで変更されない静的な伸展停止部の他に、伸展停止部の調節の質は、整形外科技術者の経験にも依存する。モータにより調整可能な伸展停止ポジションの場合、調節は容易となり、個別のポジション自体は、制御装置内に記憶されなければならないかまたは整形外科技術者により入力されなければならない。伸展停止ポジションの修正は、例えば、仕上げの不正確さを修正するかまたは病理学的状態の屈曲拘縮を考慮に入れるために必要となることがある。これらの拘縮は、時間の経過で、例えば治療の反応として変わることがある。患者の活動に基づき一日の経過で変化が生じることもある。したがって、毎日の装着期間の間に変更を行うかまたは多様な運動状況に対応するために、伸展停止ポジションの修正または下部に対する上部での四肢の方向の修正が必要であることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【0008】
本発明の課題は、装具の利用者にとっての装着快適性および変化する解剖学的および生理学的実情への適合を簡単な方法で達成することができる、整形外科技術装置ならびに整形外科技術装置の制御方法を提供することである。
【0009】
この課題は、本発明により、主請求項の特徴を有する整形外科技術装置によりならびに独立請求項の特徴を有する方法により解決される。本発明の好ましい実施形態および発展形態は、従属請求項、明細書および図面に開示されている。
【0010】
上部と下部とアクチュエータとを備え、上部と下部とは、関節装置を介して関節軸を中心として旋回可能に相互に接続されていてかつ取付装置を有し、取付装置によって整形外科装置は四肢に取付可能であり、アクチュエータは上部と下部とに取付位置で取付されていてかつ下部に対する上部の旋回に影響を及ぼす本発明による整形外科技術装置は、上部に取付可能な四肢に対する下部の方位が調節可能であることが予定されている。関節装置の終端停止部を変更し、それにより上部と下部との相互の終端位置を変更することにより、関節装置の旋回軸を中心として下部に対する上部の方位を変更することの他に、上部もしくは下部に対する、上部もしくは下部でのまたは上部もしくは下部内での四肢の方位を変更することも可能である。それにより、装具としての整形外科技術装置の一実施態様では、取付られた四肢の最大に達成可能な伸展角および/または屈曲角を、関節装置またはアクチュエータを操作することなしに繰り返し変更することができる。義肢としての整形外科技術装置の実施形態では、上部内でのもしくは上部での断端の方位を変更することができるかまたは上部、例えば義肢ソケット内へ多様な方位で断端を差し込むことができ、それにより断端に対する下部の方向付けが変わりかつそれぞれの位置で取り付けることができる。このために義肢関節への干渉は必要ない。それとは別にまたはそれに補足して、アクチュエータの最大可動域を一方の方向または他方の方向で変更することにより、屈曲方向および/または伸展方向での最大に達成可能な角度を制限および変更することにより、アクチュエータでのまたはアクチュエータ内での変更により方位を変更することができる。それとは別にまたはそれに補足して、上部に対する下部の方位を、調節可能な停止部によるかまたは上部および/もしくは下部もしくは関節装置に関する制限により、例えば機械的停止部、液圧式停止部または他の調節機構もしくは調整機構により達成することができる。
【0011】
整形外科技術装置には、調節可能な伸展停止部が配置もしくは形成されてよく、および/または四肢用の交換可能なもしくは調節可能なアタッチメントが配置されていてよい。アタッチメントは、クッション、インサート、パッドまたは詰め物として構成されていてよく、これらはそのポジションおよび/またはそのボリュームが変更可能であるので、四肢に対する上部および/または下部の変更された方向付けを達成することができる。アタッチメントは、レール、シェルまたはソケットに配置されてよくかつ調節装置を介して相対的に移動させてよい。パッドまたはクッションは、方位を変更するために、充填されるかまたは空にされてよい。整形外科技術装置には、それとは別にまたはそれに補足して、関節装置の旋回の機械的もしくは電気的制御された制限を達成するために、調節可能な屈曲停止部が配置もしくは形成されていてよい。伸展停止部は、本発明の一変更形態の場合には、アクチュエータにもしくはアクチュエータ内に、力を伝達するインターフェースにもしくは力を伝達するインターフェース内に、アクチュエータと上部および/または下部との間に、および/または少なくとも一つの関節装置にもしくか少なくとも一つの関節装置内に形成されている。
【0012】
本発明の一発展形態は、関節軸に対する少なくとも一つの取付位置の距離を調整可能であることを予定する。例えばねじまたは多様なインサートにより変更することができるので、上部と下部との間の多様の関節角を最大関節角として設定することができる、関節装置の機械的終端停止部が予定されていてよい。それと同様にまたはそれとは別に、アクチュエータ内で、伸展停止部の調整は、液圧ラインの電子制御された開閉によるか、またはアクチュエータ自体内での変更により、例えばハウジングの長さの変更によるかもしくはねじ調整によるピストンシャフトの延長または短縮により予定されている。本発明の変形態様として予定されている伸展停止部の電子制御された調整は、相応して形成された装具または義肢の場合に使用される高性能の制御を前提とする。アクチュエータの構成および寸法への介入は、頻繁に困難であることが明らかである、というのも標準アクチュエータ、例えば標準液圧ダンパまたは液圧駆動系を使用できないためである。したがって、関節軸に対する上部または下部でのアクチュエータの取付位置の少なくとも一つの距離の変更は、整形外科技術装置と、変更されないアクチュエータを用いて達成可能な伸展停止部とを適合させるという簡単な方法である。伸展停止部は、アクチュエータ内で、例えばシリンダ内での液圧ピストンの移動経路を制限することにより提供される。それとは別にまたはそれに補足して、伸展停止部を、アクチュエータ内で、シリンダ内の液圧ピストンの移動経路の制限または変更により提供することができる。伸展停止部を、同様に、アクチュエータが液圧式アクチュエータとして構成されている場合、バルブの適切な閉鎖および/または液圧ラインの遮断によって調節もしくは調整することができる。
【0013】
例えば上部での取付位置が、関節軸からさらに近位に移動される場合、相応する停止部は、より小さな関節角で、つまり最大伸展位置の到達前に到達される。取付位置が関節軸の方向にさらに移動される場合、可能な関節角は大きくなり、伸展停止部は、伸展が増大する方向にまたは最大の関節角に調整される。取付位置の調整は、多様な方法で、特に取付位置の少なくとも一つを移動可能にその都度の所属する上部または下部または力を伝達するインターフェースに設置することにより行うことができる。一つの位置だけに設けられた移動可能性の他に、二つの取付位置も移動可能に作製し、その際、近位の取付位置は、上部でまたは近位の力を伝達するインターフェースで、移動可能であるかまたは関節軸に対して調整可能に構成されていて、かつ同様に遠位の取付位置は、下部でまたは関節装置もしくは関節モジュールの遠位の力を伝達するインターフェースで、移動可能に形成されていることが可能である。
【0014】
本発明の一発展形態の場合に、好ましくは無段階で一つの取付位置または複数の取付位置を移動し、それにより伸展停止部を調節するために、取付位置が、上部もしくは下部または力を伝達するインターフェースに、モータにより移動可能に設置されていることが予定される。
【0015】
取付位置は、上部でもしくは下部でまたは関節装置の力を伝達するインターフェースで、スライド可能にまたは移動可能に、例えば回転可能に設置されていてよい。スライド可能とは、例えば直線状のガイドレールまたは溝内で特に直線的であってよい。ガイドレールまたはガイド溝は、湾曲された形もしくは他の形を有していてよいため、これらは、取付位置の所与の運動軌道を有するリンクガイドとして構成されていてよい。さらに、取付位置は、上部もしくは下部に回転可能に設置されていてよく、この際、偏心的な設置により、関節軸に対する取付位置の距離の変更を行うことができる。回転可能とは、ノッチポジションでまたは無段階でも行うことができる。同様に、モータ駆動された回転またはモータによる移動の他に、整形外科技術者による回転、スライドまたは移動も実施することができる。
【0016】
本発明の一発展形態は、取付位置がアダプタに配置または形成されていて、このアダプタにはアクチュエータおよび/または関節装置または関節モジュール用に複数の取付装置が配置されていることを予定する。アダプタは、個別の部品として上部および/または下部に取り付けられていてよいかまたは上部および/または下部の部分であってよいため、アダプタおよび/または関節装置が取り付けられる取付装置の適切な選択により、最大に達成可能な屈曲角および/または伸展角を決定および調節することができる。アダプタ上に複数の取付装置を形成または配置することにより、アクチュエータおよび/または関節装置を、多様なポジションでアダプタに固定することが可能である。取付装置の各ポジションは、異なる距離を提供し、かつその都度のアクチュエータ用に伸展経路を完全に利用する際に異なる伸展停止部を生じさせる。取付位置は、交換可能なアダプタに配置もしくは形成されてよく、このアダプタには、アクチュエータおよび/または関節装置用の一つまたは複数の取付装置が配置もしくは形成されてよい。アクチュエータおよび/または関節装置用の複数の取付装置の代わりに、アダプタに、アクチュエータおよび/または関節装置用の一つだけの取付装置が形成されてよいため、各伸展停止部用には、上部および/または下部に個別のアダプタを配置しなければならない。これは、製造誤差の補償のためまたは患者の解剖学的実情での長期間の変化の適合のために有利であることがある。多様なアダプタプレートを、アクチュエータ用の多様な取付装置、例えば穿孔パターンまたはねじ付きインサートを用いて上部および/または下部に取付または配置することができる。関節装置は、特に、取り外し可能に上部および下部に取り付け可能な関節モジュールとして構成されていてよい。モジュール構造は、組立、およびその都度の利用者への適合性を容易にする。
【0017】
それとは別に、関節装置用に一つまたは複数の取付位置の多様なポジションを実現するために、一つまたは複数の取付位置が、交換可能な部材に配置もしくは形成されていてよい。交換可能な部材に、多様な位置またはポジションで、関節装置または場合によりアクチュエータを取り付けるための装置が配置されていてよいので、使用された部材に応じて他の伸展停止部が調節される。取付装置の各ポジションは、異なる距離を提供し、かつその都度のアクチュエータ用に伸展経路を完全に利用する際に異なる伸展停止部を生じさせる。取付位置は、交換可能な部材に配置または形成されていてもよく、この部材には関節装置またはアクチュエータ用の一つまたは複数の取付装置が配置または形成されている。
【0018】
本発明の一発展形態の場合に、上部および/または下部および/または関節装置の少なくとも一つの力を伝達するインターフェースは、長さ変更可能に構成されていることが予定されている。上部および/または下部および/または力を伝達するインターフェースは、複数の部分から構成されていてよく、上部および/または下部もしくはインターフェースの第一の部分内には関節装置が形成されていて、かつ第二の部分には取付位置が配置または形成されている。上部および/または下部もしくはインターフェースの第一の部分と第二の部分とは、例えば長さ変更可能に構成されているフレームまたはレールを介して、互いに移動可能に取り付けられているので、伸展停止部を調整するために、これらの取付位置を関節装置または関節軸から離れるように移動することができる。基本的に、第一の部分と第二の部分とは、入れ子式に構成され、かつその中にスライド可能にかつそれぞれのポジションにロック可能であることも可能である。同様に、第一の部分または上部と、第二の部分または下部とは、それにより関節軸に対して取付位置の異なる距離を達成するために、互いに旋回可能に配置されていることも可能である。
【0019】
本発明の一発展形態は、アクチュエータの最大移動経路を調節するために、アクチュエータが、長さ変更可能なハウジングおよび/または長さ変更可能なピストンロッドを有することを予定している。ハウジングは、ねじまたはハウジング部分の入れ子式構造によって長さ変更可能に構成されていてよい。それとは別にまたはそれに補足して、長さ変更可能なピストンロッドによって、例えばモータまたは手動により調節可能でかつロック可能に構成されているねじ付きスリーブによっても可能である。
【0020】
本発明の一発展形態の場合に、上部と下部との間で伝達される力または伝達されるトルクを検知するための少なくとも一つのセンサが、上部、下部または関節装置に割り当てられていることが予定されている。同様に、関節角、上部および/または下部の空間位置を検知するためのセンサが予定されるか、またはそれとは別にまたはそれに補足して、整形外科技術装置、例えば装具の利用者の生体信号を検知するためのセンサが割り当てられていてよい。生体信号としては、患者の筋肉活動を検知し、そこから患者または利用者が所定の運動を実施することができるかどうかもしくはどの程度実施することができるか、運動を実施するためにどの筋肉がどの程度の強さで収縮されるか、および筋肉収縮とアクチュエータまたは伸展停止部用の制御装置とが医学的基準にどの程度相応しているかを推定するために、例えば運動動作に分類可能な、四肢の筋肉の、例えば装具が取り付けられているかもしくは代償運動を行う四肢の筋肉の筋電信号を使用することができる。生体信号は、例えば補償運動の評価の範囲内で逆推論するために、サポートされていない四肢から取得されてもよい。センサ信号に基づくか、または少なくともセンサ信号を考慮して、解剖学的前提条件または要件に相応するそれぞれの伸展停止部ポジションの調節を行うことができる。
【0021】
整形外科技術装置は、好ましくは、制御可能な装置として構成されていてかつ少なくとも一つのセンサを備えているかまたは少なくとも一つのセンサと連結されていて、このセンサは、最大関節角を制限する伸展停止部を調整するための調整装置を作動または作動停止する制御装置と連結されている。伸展停止部は、センサデータに依存して、下部に対して上部が屈曲位置にある始端位置から、下部に対して上部が、始端位置とは異なる位置にある終端位置に移動される。制御装置は、一定の期間にわたりセンサデータを検知しかつ閾値と比較するように構成されていてよく、定義された期間にわたり閾値に到達する場合にだけ、伸展停止部の調整が行われる。
【0022】
一発展態様は、最大関節角が調整可能でありかつ伸展停止部は測定された関節角に依存して最大関節角まで調整可能であることを予定する。制御は、伸展停止部を到達する場合に、関節軸を中心として作用するトルクおよび/または上部と下部との間に作用する力を測定し、かつ閾値を越える場合に、伸展停止部をその終端位置の方向に移動させるように設計されていてよい。閾値を下回る場合に、伸展停止部を反対方向に移動させる。
【0023】
制御は、さらに、旋回運動の間のアクチュエータの抵抗値を検知しかつ関節角および上部と下部との間に生じる力および/またはトルクに関するセンサ値と相関させ、力の推移およびトルクの推移が抵抗の推移と相違する場合に、伸展停止部の自動的な調整を実施するように設計されていてよい。好ましくは、伸展停止部は、自動適応的に調整可能に構成されている。
【0024】
上部と下部とアクチュエータと少なくとも一つのセンサとを備え、上部と下部とは、関節装置を介して関節軸を中心として旋回可能に相互に接続されていてかつ取付装置を有し、取付装置によって整形外科技術装置、例えば装具または義肢は四肢に取付可能であり、アクチュエータは上部と下部とに取付位置で取り付けられていてかつ下部に対する上部の旋回に影響を及ぼし、センサは制御装置と連結されていて、制御装置は、最大関節角を制限する伸展停止部の調整のために調整装置を作動させるかまたは作動停止させる、整形外科技術装置の本発明による製造方法は、伸展停止部を、センサデータに依存して、始端位置から終端位置に移動し、始端位置では、下部に対する上部が屈曲位置に存在し、終端位置では下部に対する上部が、始端位置に対して変更された、特に伸展された位置に存在することを予定する。伸展停止部は、機械的制限の他に、液圧系の変更によって、例えばバルブもしくは遮断装置の制御された開閉により制限または変更されてもよく、これらのバルブもしくは遮断装置は、シリンダ内でのピストンの更なる移動を、予め設定されているが、しかしながらセンサデータに基づき変更可能な位置で妨げる。
【0025】
したがって、最大に可能な関節角は、固定されておらず、調整することができる。始端位置として、少なくとも一つの最大関節角が設定されていて、この最大関節角は屈曲されていて、つまり例えば膝関節装具の屈曲を予定している。最大関節角は、180°の最大に伸展した位置、つまり下部に対する上部の縦方向の拡がりの垂直の方位を下回る。基本的に、過伸展、つまり最大関節角を越える伸展も可能である。膝関節装具の場合、大腿の背面側に対する下腿の背面側が180°よりも大きな角度にある場合に過伸展が生じ、肘関節の過伸展は、前腕が上腕の二頭筋側から180°を越える角度で伸びているかまたは前腕が上腕の三頭筋側に対して180°より小さい角度をなしている場合に生じる。この方法により、例えば、装具の装着の経過わたった患者の生理学的状態の変化が考慮される。朝は屈曲収縮に基づいて可動域は低下されることがあり、つまり患者により実行可能な最大関節角は、最大伸展と比べて屈曲した位置に存在するが、日中間の運動により屈曲収縮は低減することがある。伸展停止部は静的なままである場合では、朝には大きすぎる伸展停止部が設定されてしまい、これは患者の組織構造に過度の負担をかけることが起こりかねない。さらに、これは、伸展停止部が作動信号として使用される装具を制御する場合に問題を引き起こしかねない。伸展停止部を朝の屈曲収縮の水準に調節したままの場合では、これは、それぞれの完全な運動の際に伸展停止部の到達による持続的な信号の作動を意味し、もちろん、これは、屈曲収縮を固定しかねず、さらに快適さの喪失を意味する。
【0026】
しかしながら、センサデータに基づいて、伸展停止部の自動的適合が実施される場合、一方で日中の可動域の変更を考慮することができ、他方では回復の際の、特に可動域の向上の際の変化もしくは進捗を考慮することができる。よって、関節角、力、トルク、加速度、空間位置または筋電気のもしくはその他の生理学的信号のようなセンサ値の長期にわたる持続的な観察により、利用者が、可動性およびその都度の可動域に関する進捗を達成したかどうかを検知することができ、その結果、長期間、例えば数ヶ月にわたって、最大伸展停止部は、解剖学的に最大の伸展に到達する限度まで移動される。さらに、一つまたは複数のセンサにより提供される情報は、記録の目的で使用するため、所定の期間にわたり記憶および評価することができる。それにより、例えば治療の進捗を記録することができる。
【0027】
センサデータを一定の期間にわたり検知しかつ閾値と比較することができ、この場合、伸展停止部の調整は、定義された期間にわたり閾値に到達する場合にのみ行われる。単なる一時的な測定の代わりに、センサを用いて、複数のデータまたはデータの推移を検知しかつ閾値と比較され、この閾値は所定の定義された期間にわたり達成されなければならない。一定の期間にわたり可動性水準または伸展水準を達成した場合に初めて、伸展が増大する方向への伸展停止部の調整が実施され、検知されかつ評価されるべき状況が、統計的異常値ではなく、非典型的運動ではなくまたは測定の誤りでないことを防止する。
【0028】
最大関節角を調節することができかつ装具の可動域が、医学的に合理的でありかつその都度の患者の解剖学的実情内に存在するような限度内にあるように調節される。その都度測定された関節角に依存して、伸展停止部を最大に達成可能な関節角または治療目標にまで移動することができる。その都度測定された関節角は、目標値、閾値または限界値と比較される。目標値、閾値または限界値は、長期間にわたりゆっくりと、例えば測定された角度の持続的な平均値形成により適合させることができる。定義された限界値としての予め定義された最大関節角が達成された場合に、解剖学的構造を越える伸張を妨げるために、伸展停止部の変更は完了する。伸展停止部の調節は、予め設定された時点で伝達された関節トルクまたは伝達された力が評価されるという基礎の下で行うこともできる。例えば、装具の場合に、膝関節の伸張されたポジションで平面の歩行の際に、所定のトルクが装具から伝達されなければならないことを規定することができる。実際に伝達されるトルクが低すぎる場合、これは、解剖学的構造の場合による過負荷を示唆し、このことから、比較的低い関節角ですでに停止するために、装具の伸張停止部または伸展停止部を調節する必要があることを推定することができる。伝達されるトルクが高すぎる場合、これは、装具が伸張停止部に早期にぶつかり、つまり膝関節はさらにまだ伸展することができかつ装具は運動を早期に遮断することの指標であることがある。したがって、患者にとっての望ましい伸張効果は達成されず、運動は完全にかつ正確に実施することができず、それにより、装具システムは全体として非効率となりかねない。つまり、装具内で伸展停止部に到達する際に極めて高い力またはトルクが確認される場合、これは関節角を拡大する方向への伸張停止部の移動を引き起こすことができる。
【0029】
それとは別にまたはそれに補足して、伸展停止部の調整の際に、定義された運動期内で伸展停止部の到達時に、関節軸を中心として作用するトルクについてまたは上部と下部との間に作用する力についての閾値に到達もしくは超過するかどうかまたはどの程度超過するかが考慮される。このため、現状の伸展停止部の到達の際に、関節軸を中心として作用するトルクまたは上部と下部との間に作用する力を測定し、閾値の超過の際に、伸展停止部を、その終端位置の方向に移動する。閾値を下回る際に、例えば解剖学的構造を過剰に伸張するかもしくは極めて負荷をかけることなしに、それぞれの完全な運動の際に伸展停止部に到達することを保証するため、伸展停止部を反対の方向に移動し、つまり最大に達成可能な関節角は減少することができる。定義された運動期の確定は、偶発的に生じる高いトルクの際の、例えば躓いた際の望ましくない調整を防止する。
【0030】
さらに、旋回運動の間のアクチュエータの抵抗値を検知し、関節角および上部と下部との間で生じる力および/またはトルクに関するセンサ値と相関させることが可能である。したがって、伸展停止部の適合または調整は、関節角、トルクまたは力の推移ならびに抵抗値の間の関係に基づいて行われる。解剖学的関節は、一般に、硬質のストレッチ停止部を有しておらず、ストレッチ停止部の周囲の靱帯、腱および皮膜に基づき所定の弾性を示す。この弾性は、特定の運動の際に、例えば歩行時の遊脚相伸展または立脚相伸展において、特徴的な角度-トルク推移を生じさせる。この場合、ストレッチ運動は、補助手段自体により影響を受ける程度を越えて制動される。本発明によると、角度範囲およびトルクを測定し、特徴的な角度-トルク推移と比較する。特徴的な角度-トルク推移に到達していない場合、これは、伸展停止部を適合させる必要があることの指標である。例えば、歩行時の遊脚相伸展における膝関節について、装具はアクチュエータによって一定に低い抵抗を提供するにもかかわらず、関節は、終端停止前の角度範囲内で強く制動されるかどうかを測定することができる。それにより、自然な終端停止がどこにあるかを推測することができる。伸展停止部のポジションを、できる限り自然な動作の進行を達成するために、この効果が終端停止の直前に生じるように自動的に適合させることができる。
【0031】
好ましくは、伸展停止部は、自動適応的に、つまり測定されたセンサ値を基礎として、患者または整形外科技術者の介入なしに、予め規定された基準に基づいて調整される。このため、センサから、装具特性、特に伸展停止部の可能な変更を評価するための基礎を形成する情報を検知する。センサにより検知された測定値の他に、系の、つまり患者と一緒の装具の計算されたまたは推定されたサイズおよび状態を使用することもでき、これらは過去の期間にわたるサイズおよび状態であっても、現行のサイズおよび状態であってもよい。角度、トルク、力または空間内での上部と下部とのポジションもしくは空間内での四肢のポジションの他に、特に、例えば最大関節角が増大する方向または最大関節角が減少する方向への伸展停止部の変更が達成された期間における一日の期間、一日の時間、または今までの適合の推移に関する情報がある。この点で、残存筋肉の活動および場合により存在する痙攣の情報を得るために、筋電図センサの評価も適切であることがある。
【0032】
センサデータおよび他の情報を処理しかつ場合により記憶する計算ユニットを備えた制御装置内で、現在の情報が処理され、相互に比較されかつ相関関係が測定され、例えば装具内の現在の幾何学的条件を考慮しながら関節角およびアクチュエータ内の液圧の力から関節トルクが測定される。これらの情報を一つのまたは複数の基準にまとめ、それぞれ評価の基準となる観察期間を適用目的に応じて変化させることができる。さらに、多様な情報について、例えば最後の百歩以上に関する現行の歩行周期のセンサデータおよび伸展停止部の適合について、多様な観察期間を援用することができる。このことから、極値、平均値、差、積分標準偏差のような基準またはデータ列、タイポグラフィ、相関のような複合的な特徴を導き出すことができる。引き続き、これらの基準を評価するか、またはとりわけ患者に特有のデータに基づくことができる参照値と比較する。評価は、ニューラルネットワーク、機械学習またはパターン認識のような分類方法を用いて行うことができる。評価装置内では、センサデータから算出された特性パラメータに基づき、伸展停止部の変更が必要であるかおよびどの程度の変更が必要であるかならびにこの変更がどの程度の大きさであるのかを決定する。
【0033】
伸展停止部は、この方法を実施するために、取付位置の移動によるかまたはその他の変更により、例えば液圧ラインの制御された遮断により、ピストンロッドの長さの変更により、機械的終端停止部の調節によりまたは関節装置、上部、下部および/またはアクチュエータのその他の変更により達成することができる。
【0034】
次に、本発明の実施例を、添付図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2】整形外科技術装置の変形態様の正面図を示す。
【
図5】取付位置のスライド可能な調整のための調整装置の詳細図を示す。
【
図8】整形外科技術装置用の多様なアダプタプレートを示す。
【
図9】長さ変更可能な上部を備えた本発明の変形態様を示す。
【
図10】長さ変更可能なピストンロッドを備えた変形態様を示す。
【
図11】長さ変更可能なピストンロッドの詳細断面図を示す。
【
図12】多様な調整方法を有する別の変形態様を示す。
【
図13】上部に取付可能な四肢に対する下部の調節可能な方位決定のための別の態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1には、関節をカバーする装具の形の整形外科技術装置1が概略側面図で示されている。整形外科技術装置1は、上部10と下部20とを有し、これらは関節装置30を介して関節軸40を中心として旋回可能に相互に接続されている。レールまたはシェルとして構成されていてよい上部10には、この上部10を四肢(この図示された実施例の場合には大腿)に取り付けるために、取付装置60がベルトの形態で配置されている。相応して、下部20を下腿と連結しかつこの下腿に取り付けるために、下部20に取付装置60が配置されている。上肢装具としての整形外科技術装置1の一実施態様の場合には、上部10は上腕に取付され、下部20は前腕に取付される。義肢としての整形外科技術装置の一実施態様の場合には、上部10は、義肢ソケットとして構成されていて、この義肢ソケット内に例えばライナおよび負圧ソースを介して四肢が取付される。図示された実施例の場合、関節装置30は片側に、好ましくは四肢の外側に配置されていて、四肢の内側と外側とに配置された二つの関節装置30を備えた別の実施形態も同様に予定される。一つだけの関節軸60を備えた関節装置30の単一中心の実施形態の代わりに、関節装置30は、多軸関節を形成していてよく、これは義肢でも装具でも有意義である。
【0037】
上部10と下部20とには、アクチュエータ50が取付位置15、25に取付されている。図示された実施例の場合に、この取付は、力を伝達するインターフェース51、52を介して行われ、これらのインターフェースは、キャリアプレートとして、上部10もしくは下部20の部分として、アダプタプレートとしてまたはフレーム構造などとして構成されていてよい。力を伝達するインターフェース51、52を介在せずにアクチュエータ50を上部10と下部20とに直接取り付けることも予定されていて、これについては後に説明する。
図1によるアクチュエータ50は、ハウジング55を有する液圧ダンパであり、このハウジング内には液圧シリンダ57が縦方向に可動に配置されていて、この液圧シリンダは、ハウジング55内のシリンダから突き出たピストンロッド56を介して取付位置25で下部20と連結されている。ハウジング55は、力を伝達するインターフェース51を介して、上部に配置されているかまたは上部を構成する取付収容部で上部10に取付されている。下部20に取り付けるための力を伝達するインターフェース52の取付位置25は、関節軸40から離間して存在しているので、関節軸40を中心とした下部20の旋回の際に、ピストンロッド56は、アクチュエータ50のハウジング55内のピストン57と一緒に動く。整形外科技術装置1の図示された、伸張した、つまり最大に伸展した位置では、ピストンロッド56は、最大に引き出されていて、ピストン57は、伸展停止部110に当接し、伸展方向での更なる旋回は、つまり整形外科技術装置1の背面側または大腿二頭筋側での上部10と下部20との間の関節角の拡大は不可能である。下部20が関節軸40を中心として反時計回りに旋回する場合、屈曲運動が開始され、それにより、ハウジング55内のピストン57は近位取付位置15の方向で上方に移動する。伸展停止部110は、例えば伸展停止部のポジションをハウジング50に引き込むかまたはそこから引き出してねじ止めすることによって変更することにより調節可能であってよい。アクチュエータ内に関節停止部、特に伸展停止部110を配置する代わりに、下腿または下部20に対する上部10および上部10に取付された大腿の方位を調節するために、相応する伸展停止部110が関節装置30内に配置されていてもよい。治療の範囲内で、例えば靱帯もしくは組織の損傷を回避するためまたは治療の進捗もしくは治癒の範囲内で、拡大されたストレッチ運動または伸展を実施するために、伸展停止部を変更することが必要とされることがある。
【0038】
図2は、カップ状の上部10と、下部20と、力を伝達するインターフェース51、52により構成されている関節装置30とを備えた膝関節をカバーする装具の形態の整形外科技術装置1の変形態様を示す。アクチュエータ50は、例えば脚の外側に配置されていて、上部10と下部20との内側に第二の関節装置30が配置されていて、この第二の関節装置はいわゆる連動関節として構成されていてかつこの同様に関節軸40がこの第二の関節装置も貫いている。上部10と下部20とは、取付装置60を介してそれぞれ大腿と、下腿とに配置されている。
図1に示されているようなアクチュエータ50内の伸展停止部110とは別にまたはこれに補足して、関節装置30の一方にまたは両方の関節装置30に、屈曲角および/または伸展角を制限するための調整可能な停止部が配置されていてよい。
【0039】
図2では、さらに、遠位の力を伝達するインターフェース52と下部20との間に、アダプタ70がアダプタプレートの形態で配置されていることも認識できる。アダプタプレートを介して、例えば多様な患者の解剖学的実情において製造公差または偏差を補正するために、角度補正を提供することが可能である。同様に、アダプタ70を介して、下部20と力を伝達するインターフェース52との間の内側および/または外側の距離またはギャップを補正するために、距離補正を行うことも可能である。これは、例えば多様な厚みのアダプタまたはアダプタプレート70によって達成することができる。その都度のアダプタ70に、一つの取付位置を配置または形成することができる。同様に、図示された実施例の場合のように、関節モジュールとして構成されている関節装置30を多様な位置またはポジションで取り付けるため、または力を伝達するインターフェース51、52を介在せずにアクチュエータ50をその都度の上部10または下部20に取り付けるために、複数の取付収容部等が予定されることも可能である。このため、その都度の部材またはその都度の部品を取り付けるために、アダプタ70に適した装置が配置または構成されている。下部20にアダプタ70を配置することに補足して、力を伝達するインターフェース51または直接アクチュエータ50の多様な取付の可能性を提供するために、上部10にこのようなアダプタ70または他の構造のアダプタ70も配置されていてよい。アダプタ70は、上部10にも下部20にもまたはこれらの部材の一方にだけにも配置されていてよい。
【0040】
図3には、関節軸40を中心としてヒンジ結合している力を伝達するインターフェース51、52を備えた関節装置30の詳細図が示されている。下部側のインターフェース52はアングルとして構成されていて、上部側のインターフェース51はプレートとして構成されている。原則として、アクチュエータ50は上部と下部とに直接配置されるか、または上部または下部に直接配置されかつ相応する他方の装具部材にはインターフェース51、52を介して配置されることも可能である。両方のインターフェース51、52の間の、ひいては上部10と下部20との間の最大伸展角および場合による最大屈曲角を変更するために、図示された実施例の場合に、上方の取付位置15は、力を伝達するインターフェース51に接してスライド可能に取り付けられているので、取付位置15と関節軸40との間の距離が変更される。アクチュエータ50内の不変の構成で、つまりシリンダ内のピストンの機械的な終端停止部で、それにより上部10と下部20との間で最大に達成可能な角度位置が変わる。例えば、取付位置15が、関節軸40から離れて、上方に移動する場合、下部および伸展停止部は屈曲し、例えば液圧ピストンがシリンダの下方の遠位端に当接する場合、最大に伸展する位置に到達せず、わずかに屈曲した位置に到達する。それに対して取付位置15を関節軸40の方向に移動する場合、整形外科技術装置の所望のまたは医学的に是認できる終端ポジションに到達するまで、上部10に対して下部20をさらに伸展することができる。
【0041】
図4は、アクチュエータ50がアクチュエータ懸架部53に取付されている調整の変形態様を示す。アクチュエータ懸架部53とアクチュエータ50との間に取付位置15が形成されている。アクチュエータ懸架部53は、その上端に、雄ねじを有し、この雄ねじは、回転可能に取り付けられ、軸方向に取付された雌ねじ54と噛み合い、この雄ねじは例えば回転可能なスリーブの形に構成されている。スリーブは、手動でまたはモータにより一方または他方の方向に回転されてよく、調整装置100を形成し、この調整装置によって、雌ねじ54を備えたスリーブの回転方向に応じて、アクチュエータ懸架部53ひいては全体のアクチュエータ50を、上方にまたは下方に、つまり関節軸40から遠ざかるかまたは関節軸40の方向に向かって移動する。アクチュエータ50がアクチュエータ懸架部53と一緒に下方に動く場合、下部20に取付可能である力を伝達するインターフェース52を、さらに関節軸40を中心として時計回りに旋回することができ、それにより最大伸展位置に関して下部に対する上部の方位を変更することができる。アクチュエータ懸架部53が関節軸40から遠ざかって上方に移動する際に、整形外科技術装置がまだ屈曲位置をとる場合、つまり上部10に対して下部20が、上部の縦方向の拡がりと下部の縦方向の拡がりとの間で180°よりも小さい角度をなす場合に、すでに最大伸展位置が達成される。この場合、伸展停止部の調整のために、ダンパまたは駆動部として構成されていてもよいアクチュエータ50の変更または修正は必要なく、上部10もしくは下部20でまたはそれぞれの力を伝達するインターフェース51、52でのその位置について変更可能に取付可能である標準アクチュエータ50を使用することがでる。
【0042】
図5は、力を伝達するインターフェース51の一部だけが示されている可能な調整装置100の詳細図を示す。取付位置15は、スライド部材53に取り付けられていて、このスライド部材は、力を伝達するインターフェース51内のまたは上部10もしくは下部20内の凹設部内に縦方向にスライド可能に配置されている。軸方向に不動にかつ力を伝達するインターフェース51にまたは力を伝達するインターフェース内に回転可能に取り付けられている調整ねじ54によって、スライド部材53はスライドすることができる。調整ねじ54の手動またはモータによる回転によって、取付位置15は、凹設部に沿って一方または他方の方向にスライドされ、それにより全体のアクチュエータ50は移動し、それにより上部に取付可能な四肢に対する下部の方位が調節可能である。特に上部と下部との間の最大屈曲角と最大伸展角とが調節される。
【0043】
調整装置100の別の実施形態が、
図6に詳細図で示されていて、この調整装置では、取付位置15または25、例えばピン、ねじ、ねじ付きインサートまたは凹設部が、歯切された偏心体54の回転軸に対して偏心して配置されている。歯切りされた偏心体54を望ましくない回転に対して防止するため、歯切された偏心体54の歯にロック装置のキャッチまたは対応する歯が噛み合うことができる。歯切りされた偏心体54に取付位置15を偏心して配置することにより、回転により関節軸に対する取付位置15の移動を、それにより整形外科技術装置の伸展停止部および同様に屈曲停止部の調整を行うことが可能である。歯切された偏心体54は、手動でまたはモータにより調整することができ、回転防止のためのラッチキャッチは、歯切りされた偏心体54の外歯の方向にばね荷重をかけて形成されていてよい。偏心体の歯は、力を伝達するインターフェース51、52もしくは上部10または下部20に相応する対応輪郭が存在する場合、回転防止として利用することもできる。この場合には、歯の代わりに、他の輪郭が回転防止として考慮可能でありかつ予定されている。
【0044】
図7は、
図5によるスライド可能な取付の代わりに、交換可能な部材170が、上部10、下部20または両方のインターフェース51、52の一方内の凹設部内のインサートなどとして挿入することができる本発明の変形態様を示す。それぞれの交換可能な部材170には、アクチュエータ50の取付および据付のための取付位置15が配置または形成されている。左のインサートまたは交換可能な部材170を、例えば
図5による凹設部内に挿入する場合、この取付位置15は、関節軸40に対して最大に離れている。伸展運動の制限は、原則として四肢が最大に伸ばされる際に達成される最大関節角の到達前に達成されるので、屈曲された位置での終端停止部が提供される。中央の図では、交換可能な部材170に、中央に配置された取付位置15が設けられているため、この使用は、伸展停止部をさらに前方に移動させ、それにより伸展運動の遮断はより遅く行われる。右側の図は、最も低いポジションに取付位置15を備えた交換可能な部材170が示されていて、このポジションで、アクチュエータ50がそれぞれの構造的に設けられた終端停止部に到達する場合に、下部20と上部10とは最大伸展位置に存在する。取付位置15のスライドは、近位-遠位方向にも、前方-後方方向にも行うことができる。それとは別に、交換可能な部材170が十分な回転防止を保障する限り、交換可能な部材の任意の他の外形輪郭も考えられる。
【0045】
図8は、本発明の別の変形態様を示し、この場合、左側の二つの図には異なるアダプタ70が示されている。右側の図では、アダプタ70が、図示されていない下部20に取り付けるための力を伝達するインターフェース52に配置されている。アダプタ70には、二つの取付装置75が配置または形成されていて、この取付装置には、例えば力を伝達するインターフェース52またはアクチュエータ50、特にピストンロッド57が取り付けられてよい。アダプタ70は、二つの凹設部または取付部材72を有し、これによりアダプタ70は力を伝達するインターフェース52に取付可能である。
図8の左側の図では、アダプタ70が単独の図で示されていて、この図から、二つの取付装置75が互いに離間して形成されていることを推知することができる。
【0046】
これとは別に、上部10または力を伝達するインターフェース51には、多様な位置に取付装置76が配置されていてよく、この取付装置でアクチュエータ50または関節装置30を上部10に取り付けることができる。上部10または力を伝達するインターフェース51の多数の取付装置76により、多様な移動経路および可動範囲を有する多様なアクチュエータモデルを整形外科技術装置に取り付けることができる。
【0047】
図8の中央の図には、アダプタ70の変形態様が示されていて、この場合、いくつかの取付部材72、72’、72”が円軌道に配置されていて、この円軌道の中心点が関節軸40と一致する。それにより、関節軸40を中心とした旋回により角度調整を達成することが可能である。例えば、アダプタ70に5°毎に取付部材72、72’および72”が配置または形成されている場合、下部20またはインターフェース52にアダプタ70をずらして据え付けることにより、それぞれ5°の伸展角度停止部の段階付けを達成することができる。
【0048】
図9には、本発明の別の変形態様が示されていて、ここでは、上部10が二つの部分から構成されている。上部10の代わりに、下部20または力を伝達するインターフェース51、52についての相応する実施形態も説明することができる。第一の部分11は、関節装置30の形成のために関節軸40を備えた下部20用の収容部を有する。第二の部分12は、アクチュエータ50用の取付位置15を有する。第一の部分11と第二の部分12との間に、調整装置100が配置されていて、この調整装置によって両方の部分11、12を互いにスライドさせることができる。例えば、ねじ込み式解決策による直線的なスライド、入れ子式の形態または偏心体による回転または調整を、この調整装置100により行うことができるので、取付位置15を関節軸40から離れるように移動させられるかまたはそれに近づくように移動させられる。関節軸40から離れるようにまたはそこに向かうように取付位置15を相応して移動するにより、先に説明したように、上部10と下部20との間の、または上部10と力を伝達するインターフェース52との間の最大伸展角が変わる。二つの部分11、12からなる上部10の一実施態様の代わりに、力を伝達するインターフェース51が二つの部分から構成されていてもよく、同様のことが、この下部20または第二の力を伝達するインターフェース52にも当てはまる。したがって、上部10、下部20または力を伝達するインターフェース51、52の長さ変更により、伸展停止部の変更、ひいては上部10と下部20との間の、それにより四肢と下部20との間の最大に達成可能な方位の変更が達成される。
【0049】
本発明の別の変形形態が、
図10に示されている。基本的な構造は
図3に相応する。取付位置15の移動の代わりに、この変形態様の場合には、ピストンロッド56が長さ変更可能に構成されていることが予定されている。このため、ピストンロッドの長さを変更するために、調整装置100がピストンロッド56内に組み込まれている。ピストンロッド56の長さ変更により、最大伸展角が変わり、ひいては伸展停止部が調節される。
【0050】
図11は、長さ変更可能なピストンロッド56の実施例を断面図で示す。ピストンロッド56内には、雌ねじ561が配置されていて、この雌ねじはねじインサート562と相互作用する。自在軸受569を備えた軸受収容部568が配置されているねじインサート562により、ピストンロッド56の最小長さを形成するために、ピストンロッド56の構成部材としてのねじインサート562は、雌ねじ561の端部までねじ込むことができる。ピストンロッド56を延長するために、ねじインサート562が緩められる。取られた位置を確保するために、軸受収容部568とピストンロッド56との間に、二つのねじスリーブ563、565を備えた調整装置100が配置されている。下側ねじスリーブ563は、雄ねじ564を有し、この雄ねじは外側ねじスリーブ565の雌ねじ566と相互作用する。外側ねじスリーブ565の上端は、支持ディスク567を介して軸受収容部568に支持され、内側ねじスリーブ563の下端は、ピストンロッド56に支持される。ねじインサート562の一端設定された位置を確保するためならびにねじインサート562内にプリロードを構築するために、ねじスリーブ563、565は、それぞれの端部がピストンロッド56または支持ディスク567に対して緊張し、それによりピストンロッド56に対するねじインサート562の回転が防止されるように、相互に回転させられる。ピストンロッド56を伸ばすか、またはねじインサート562を緩めることにより、
図10による実施形態は、比較的大きな角度範囲にわたる下部20の時計回りの旋回が可能であるので、伸展停止部は、さらに前方に、すなわち最大伸張の方向に移動する。
【0051】
本発明の変形形態が
図12に示されていて、ここでは、アクチュエータ50中でシリンダ内に配置されている機械的伸展停止部110の他に、伸展停止部を調節するために別の可能性が示されている。機械的伸展停止部110は、双方向矢印により示されているように、アクチュエータ5中のシリンダ内でピストンロッド56の縦方向の拡がり方向に移動させることができるので、ピストン57は、機械的伸展停止部110に突き当たる。停止部は調節可能である。伸展停止部110を上方に移動する場合、伸展停止部110は早期に到達され、脚または腕は屈曲位置で更なる伸展が妨げられる。伸展停止部110をさらに下方に、下方の取付位置25に向かう方向に移動する場合、関節軸40を中心として伸展方向での旋回角は拡大される。これとは別に、雄ねじ564と雌ねじ566とが、両方の部材563と565との間で交換されていてもよい。
【0052】
機械的伸展停止部110に代えてまたはこれに補足して、伸展チャンバから屈曲チャンバまでつながる液圧ライン58内にモータ駆動される調節バルブ59が設けられていてよく、その結果、調節モータまたは調節装置は、制御装置90と連結されている調整装置100を構成する。制御装置90を介して、例えば一つのセンサ80または複数のセンサ80によって検知される一つまたは複数の測定値、例えば測定された関節角および/または伝達されるトルクまたは相互作用力に依存して、液圧バルブ59が開閉される。例えば170°の関節角で伸展停止を行う場合、下部20に対する上部10のまたは第二の力を伝達するインターフェース52に対する第一の力を伝達するインターフェース51の相応する角度または相応する方位の達成時に、液圧バルブ59は閉鎖される。液圧アクチュエータ50中のシリンダ内のピストン57の更なる移動は妨げられ、その結果、効果的に伸展停止部が形成される。角度センサとしてのセンサ80の実施形態の他に、このセンサは、力センサもしくはトルクセンサとしてもまたは空間内での上部または下部の方位を検知するセンサとしてまたはこれらのセンサの任意の組合せとして構成されていてもよい。空間方位を検知するために、いわゆる慣性角度センサが予定されていて、この慣性角度センサは上部または下部に配置されていてよい。バルブ59を開閉するために、二つの慣性角度センサを介して下部に対する上部の相対位置を測定し、相応する制御信号を制御装置90から調整装置100に送信することも可能である。
【0053】
伸展停止部110の液圧による実施態様も、アクチュエータ内の伸展停止部110の機械による実施態様も、上部10および/もしくは下部のまたは力を伝達するインターフェース51、52もしくはアダプタ70の取付位置15、25の移動も、互いに組み合わせられてよく、その際、それぞれの調整装置および調整メカニズムの相互の任意の組合せが可能である。
【0054】
本発明の別の変形態様が
図13に示されていて、ここでは、整形外科技術装置が同様に装具として構成されている。上部10は、大腿シェルとして構成されていて、留め具またはベルトの形態の取付装置60を介して大腿に取付されている。図示されていない関節装置を介して、足部収容部および脚部レール装備を備えた下部20が取付装置60を介して下腿に取付されている。上部10に取付された四肢としての大腿に対する下部20の方位を変更するために、上部10に接する大腿の背面側に楔状クッションまたはパッドの形態のアタッチメント120が配置されている。上部10に接する大腿の後方アタッチメントは、アタッチメント120によって調整可能となる。アタッチメント120の変更により、例えばアタッチメント120をより薄いアタッチメント120に交換することにより、下部20に対する上肢の位置の変更が生じる。上部10と四肢との間の角度ΔΦの変更は、アタッチメント120の交換によるか、またはクッションのポンピングによるかまたは中空に構成されたアタッチメント120内の流体をポンピング交換することにより行うことができる。同様に、アタッチメント120を四肢の前方に、場合により後方アタッチメント120と連結して配置することも可能であり、その結果、後方アタッチメント120から前方アタッチメント120に流体をポンピング交換することにより、下部20に対する大腿の方位決定を、ひいては伸展停止部の変更を行うことができる。これとは別にまたはこれに補足して、下腿の範囲内でも類似の調節または変更を実施することができる。
【0055】
取付位置15、25自体の移動の他に、
図11で説明したようなピストンロッド57の長さ変更と同様に、アクチュエータハウジング55を、例えばねじスリーブを介して長さ変更可能に構成することにより、アクチュエータハウジングの長さを変更することも可能である。
【0056】
上述の図に基づいて説明されている整形外科技術装置1により、関節軸40を中心として下部20に対する上部10の効果的な可動域を変更することが可能である。単に受動的にまたは駆動系として構成されていてもよいアクチュエータ50の可動域は、例えば機械的伸展停止部の調整により、アクチュエータのポジションの移動により、取付位置15、25の相互のもしくは関節軸に対する調整により、または液圧バルブまたは液圧停止部の開閉により影響を及ぼされる。伸展停止部がどのように構成されているかの方法様式とは無関係に、伸展停止部の変更は、例えば関節角および関節軸40を中心として測定されたトルクに基づいて行うことができる。測定されたトルクおよび測定された角度を介して、関節装置30が、所与の力によって所与の関節角に到達するかどうかを検出することができる。装具としての整形外科技術的装置の一実施形態の場合に、さらに例えば、サポートされた四肢もしくはサポートされた身体部分の筋肉活動がどれくらい大きいかを決定することができる。例えば、下部を伸展停止部に動かすために、十分な伸展が大腿伸筋により行われるかどうかを決定することができる。伸展停止部のこのような到達は、更なる制御信号として使用することができる。説明された整形外科技術装置によって、整形外科技術装置の利用の経過において屈曲収縮が弱まった場合、または制御部に記憶されている所定の期間にわたりその他の不変の運動パターンで伸展停止部に到達されていないことが検知される場合に、例えば変化した解剖学的および生理学的条件を検知するためならびに伸展停止部を調整するため、整形外科技術装置についての要求の経時変化に整形外科技術装置を適合させることが可能となる。これは、損傷が存在するか、疲労が生じているかまたはその他の問題が発生していることを示唆することがあり、これらの問題に対して整形外科技術装置の利用の経過において対応しなければならず、かつ説明された整形外科技術装置によって対応することができる。可動域、特に伸展停止部の変更、ひいては上部に対する下部のポジションの変更は、所定の基準が満たされている場合または満たされていない場合に自動的に行うことができる。それにより、自己適応型の整形外科技術装置が提供される。
【0057】
センサデータは、角度データまたは空間位置データに限定されず、力またはトルクを検知することもできる。複数のセンサが整形外科技術装置に配置されていてよい。同様に、生理学的データ、例えば筋電図センサ信号を検知し、かつ伸展停止部もしくは下部に対する四肢の方位を調整する目的で整形外科技術装置を制御するために使用することも可能である。予め設定された制御データを介して、患者または整形外科技術者が調整を行う必要がなく、伸展停止部を自動適応で調整することが可能である。自動適用型の調整は、作動されていてかつセンサデータに依存して整形外科技術装置およびそれぞれの目指されるべき伸展角を調節する調整装置を介して行われる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 上部(10)と下部(20)とアクチュエータ(50)とを備え、前記上部と下部とは少なくとも一つの関節装置(30)を介して関節軸(40)を中心として旋回可能に相互に接続されていてかつ少なくとも一つの取付装置(60)を有し、前記取付装置によって整形外科技術装置が四肢に取付可能であり、前記アクチュエータは前記上部(10)と前記下部(20)とに取付位置(15、25)で取付されていてかつ前記下部(20)に対する前記上部(10)の旋回に影響を及ぼす整形外科技術装置において、前記上部(10)に取付可能な四肢に対する前記下部(20)の方位が調節可能であることを特徴とする整形外科技術装置。
[2] 前記整形外科技術装置(1)に、調節可能な伸展停止部(110)及び/若しくは屈曲停止部が配置若しくは形成されており、並びに/又は前記四肢用の交換可能な若しくは調節可能なアタッチメント(120)が設けられていることを特徴とする、[1]記載の整形外科技術装置。
[3] 前記伸展停止部(110)は、前記アクチュエータ(50)に若しくは前記アクチュエータ内に、前記アクチュエータ(50)と前記上部(10)及び/若しくは下部(20)との間で力を伝達するインターフェース(51、52)に、又は前記力を伝達するインターフェース内に、及び/又は少なくとも一つの関節装置(30)に、又は前記少なくとも一つの関節装置内に形成されていることを特徴とする、[2]記載の整形外科技術装置。
[4] 前記関節軸(40)に対する少なくとも一つの取付位置(15、25)の距離が調節可能であることを特徴とする、[1]から[3]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[5] 前記取付位置(15、25)の少なくとも一つは、移動可能に、それぞれ所属する前記上部(10)に、又は下部(20)に、又は力を伝達するインターフェース(51、52)に取り付けられていることを特徴とする、[1]から[4]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[6] 前記取付位置(15、25)は、スライド可能に又は回転可能に、前記上部(10)若しくは下部(20)、又は力を伝達するインターフェース(51、52)に取り付けられていることを特徴とする、[1]から[5]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[7] 前記取付位置(15、25)は、モータにより調整可能に、前記上部(10)若しくは下部(20)に、又は力を伝達するインターフェース(51、52)に取り付けられていることを特徴とする、[1]から[6]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[8] 前記取付位置(15、25)は、前記アクチュエータ(50)用の複数の取付装置(72)が配置されているアダプタ(70)に配置又は形成されていることを特徴とする、[1]から[7]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[9] 前記取付位置(15、25)又は前記関節装置(30)は、交換可能なアダプタ(70)に配置又は形成されていることを特徴とする、[1]から[7]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[10] 前記取付位置(15、25)は、前記アクチュエータ(50)用の前記取付位置(15、25)の多様なポジションを実現するために、交換可能な部材(170)に配置又は形成されていることを特徴とする、[1]から[9]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[11] 前記上部(10)、及び/又は前記下部(20)、及び/又は力を伝達するインターフェース(51、52)、及び/又は前記アクチュエータ(50)は、長さ変更可能に構成されていることを特徴とする、[1]から[10]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[12] 前記上部(10)、及び/又は下部(20)、及び/又は力を伝達するインターフェース(51、52)は複数の部分から構成されていて、第一の部分(11)には前記関節装置(30)が形成されていて、第二の部分(12)には前記取付位置(15、25)が配置されていて、前記第一の部分(11)は、前記第二の部分(12)に対してスライド可能に又は回転可能に、前記第二の部分(12)に接続されていることを特徴とする、[1]から[11]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[13] 前記アクチュエータ(50)は、長さ変更可能なハウジング(55)、及び/又は長さ変更可能なピストンロッド(56)を有することを特徴とする、[11]記載の整形外科技術装置。
[14] 少なくとも一つのセンサ(80)が、前記上部(10)と前記下部(20)との間で伝達される力及び/又は伝達されるトルク、関節角、前記上部(10)及び/又は前記下部(20)の空間位置、及び/又は前記整形外科技術装置の利用者の生体信号を検知するために設けられていることを特徴とする、[1]から[13]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[15] 前記アクチュエータ(50)が液圧アクチュエータとして構成されていることを特徴とする、[1]から[14]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[16] 前記伸展停止部(110)は、バルブの閉鎖、及び/又は液圧ラインの遮断によって実現されることを特徴とする、[15]記載の整形外科技術装置。
[17] 前記整形外科技術装置は制御可能な装置として構成されていてかつ少なくとも一つのセンサ(80)を備え、前記センサは、制御装置(90)と連結されていて、前記制御装置は、最大関節角を制限する伸展停止部(110)の調整のための調整装置(100)を作動させるか又は作動停止させ、前記伸展停止部(110)は、センサデータに依存して、始端位置から終端位置に移動させられ、前記始端位置では前記下部(20)に対する前記上部(10)が屈曲位置に存在し、前記終端位置では前記下部(20)に対する前記上部(10)が、前記始端位置に対して変更された位置に存在することを特徴とする、[1]から[16]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[18] 前記制御装置(90)は、前記センサデータを一定期間にわたり検知しかつ閾値と比較するように構成されていて、前記伸展停止部(110)の調整は、前記閾値が定義された期間にわたり達成される場合にだけ行われることを特徴とする、[17]記載の整形外科技術装置。
[19] 前記最大関節角は調節可能であり、かつ前記伸展停止部(110)は、測定された関節角に依存して、最大関節角まで調整可能であることを特徴とする、[17]又は[18]に記載の整形外科技術装置。
[20] 前記伸展停止部(110)に到達する場合に、前記関節軸(40)を中心として作用するトルク又は前記上部(10)と前記下部(20)との間に作用する力を測定し、前記閾値を越える場合に、前記伸展停止部(110)をその終端位置の方向に移動させ、前記閾値を越えない場合に、前記伸展停止部(110)を反対方向に移動させるように制御部(90)が設定されていることを特徴とする、[17]から[19]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[21] 旋回運動の間の前記アクチュエータ(50)の抵抗値を検知し、かつ関節角及び前記上部(10)と前記下部(20)との間に生じる力、及び/又はトルクに関するセンサ値と相関させ、かつ力の推移及びトルクの推移が抵抗の推移から逸脱する場合に、前記伸展停止部(110)の調整を実施するように制御部(90)が設定されていることを特徴とする、[17]から[20]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[22] 前記伸展停止部は自動適合的に調整可能であることを特徴とする、[17]から[21]までのいずれか一項に記載の整形外科技術装置。
[23] 上部(10)と下部(20)とアクチュエータ(50)と少なくとも一つのセンサ(80)とを備え、前記上部と下部とは関節装置(30)を介して関節軸(40)を中心として旋回可能に相互に接続されていてかつ取付装置(60)を有し、前記取付装置によって整形外科技術装置は四肢に取付可能であり、前記アクチュエータは前記上部(10)と前記下部(20)とに取付位置(15、25)で取付されていて、かつ前記下部(20)に対する前記上部(10)の旋回に影響を及ぼし、前記センサは制御装置(90)と連結されていて、前記制御装置は、最大関節角を制限する伸展停止部(110)の調整のための調整装置(100)を作動させるか又は作動停止させる整形外科技術装置の制御方法において、前記伸展停止部(110)を、センサデータに依存して、始端位置から終端位置に移動し、前記始端位置では前記下部(20)に対する前記上部(10)が屈曲位置に存在し、前記終端位置では前記下部(20)に対する前記上部(10)が、前記始端位置に対して変更された位置に存在することを特徴とする、整形外科技術装置の制御方法。
[24] 前記センサデータを一定の時間にわたり検知しかつ閾値と比較し、前記閾値が定義された期間にわたり達成される場合にだけ、前記伸展停止部(110)の調整を行うことを特徴とする、[23]に記載の方法。
[25] 前記最大関節角を調節しかつ前記伸展停止部(110)を、測定された関節角に依存して、最大関節角まで調節することを特徴とする、[23]又は[24]に記載の方法。
[26] 前記伸展停止部に到達した場合に、関節軸(40)を中心として作用するトルク又は前記上部(10)と前記下部(20)との間に作用する力を測定し、閾値を越えた場合に、前記伸展停止部をその終端位置の方向に移動し、閾値を越えない場合に、前記伸展停止部を反対方向に移動することを特徴とする、[23]から[25]までのいずれか一項に記載の方法。
[27] 旋回運動の間の前記アクチュエータ(50)の抵抗値を検知しかつ関節角及び前記上部(10)と前記下部(20)との間に生じる力、及び/又はトルクに関するセンサ値と相関させかつ力の推移及びトルクの推移が抵抗の推移から逸脱する場合に、伸展停止部の調整を行うことを特徴とする、[23]から[26]までのいずれか一項に記載の方法。
[28] 前記伸展停止部を自動適合的に調整することを特徴とする、[23]から[27]までのいずれか一項に記載の方法。
[29] センサデータを予め設定された期間にわたり検知しかつ評価することを特徴とする、[23]から[28]までのいずれか一項に記載の方法。
[30] 前記センサデータを、治療の進捗の判断のために評価することを特徴とする、[29]に記載の方法。