(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】作業車両の冷却装置および作業車両
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20240122BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
B60K11/04 E
E02F9/00 Z
E02F9/00 B
E02F9/00 M
E02F9/00 N
(21)【出願番号】P 2021015788
(22)【出願日】2021-02-03
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】原田 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】下村 遼平
(72)【発明者】
【氏名】閑野 宏信
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-052577(JP,U)
【文献】特開2006-017050(JP,A)
【文献】特開2013-249714(JP,A)
【文献】特開2016-102378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機を備える作業車両の冷却装置であって、
ファンと、
前記ファンと対向して、前記原動機を冷却するための冷却液の熱を排出するラジエータと、
前記ファンを取り囲むシュラウドと、
前記原動機の動力によって循環される作動油が流れる作動油配管と
を備え、
前記作動油配管は、前記シュラウドに取り付けられ
、
前記作動油配管は、前記ファンの外側で、前記ファンに沿って配置される、作業車両の冷却装置。
【請求項2】
前記作動油配管は、前記ファンに対して鉛直上方および鉛直下方にそれぞれ位置する、請求項
1に記載の作業車両の冷却装置。
【請求項3】
前記シュラウドは、壁部と、前記壁部に接続された複数の側部とを有し、
前記作動油配管は、前記シュラウドの前記複数の側部のうちの1つの側部に設けられた1つの貫通孔から前記複数の側部に囲まれた囲み領域に入り、前記1つの側部に設けられた別の貫通孔を介して前記囲み領域から出るように構成される、請求項1
または2に記載の作業車両の冷却装置。
【請求項4】
前記複数の側部は、
前記壁部に対して鉛直上方に位置する第1側部と、
前記第1側部に接続された第2側部と、
前記壁部に対して鉛直下方に位置して前記第2側部に接続された第3側部と、
前記第1側部および前記第3側部に接続された第4側部と
を有し、
前記第2側部には、第1貫通孔と、前記第1貫通孔よりも鉛直上方に位置する第2貫通孔とが設けられており、
前記作動油配管は、前記シュラウドの前記第1貫通孔から前記囲み領域に入り、前記第2貫通孔を介して前記囲み領域から出るように構成される、請求項
3に記載の作業車両の冷却装置。
【請求項5】
前記シュラウドおよび前記作動油配管は、金属から構成される、請求項1から
4のいずれかに記載の作業車両の冷却装置。
【請求項6】
前記作動油配管は、前記シュラウドに溶着される、請求項1から
5のいずれかに記載の作業車両の冷却装置。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれかに記載の冷却装置と、
前記原動機と、
前記作動油によって駆動される走行機構と
を備える、作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の冷却装置および作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両の代表例である油圧ショベルは、一般に、自走可能な下部走行体と、下部走行体に対して旋回装置を介して旋回可能に搭載された作業機を有する上部旋回体とを備える。典型的な油圧ショベルでは、下部走行体を構成するトラックフレームの前側に、左右方向に延びるブレード(排土板)を有する排土装置が設けられ、排土装置を用いて土砂等の排土作業、造成地および道路等の整地作業も可能である。
【0003】
一般に、作業車両は、エンジンで発生した動力を用いて作動油を循環させることによって駆動される。エンジンは高温下で駆動するため、エンジンの熱は、冷却液によって吸収され、冷却液の熱は、ラジエータにおいて排出される。また、作動油は、加熱された状態で循環するが、作動油の熱は、オイルクーラーにて熱を排出される。このため、ラジエータおよびオイルクーラーに対して同じ冷却ファンからの風を送ることによって冷却することが検討されている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、冷却ファンの風を案内するシュラウドの側壁の一部をオイルクーラーの取り付けに利用したバックホーが記載されている。特許文献1のバックホーでは、冷却ファンの風をラジエータに案内するシュラウドの側壁にオイルクーラーを取り付けることにより、オイルクーラーおよびラジエータを冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、ますます、機械の小型化が求められている。しかしながら、特許文献1の旋回作業機では、冷却ファンの外側に、オイルクーラーおよびラジエータを配置するためのスペースが必要となり、さらなる小型化が困難である。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷却液および作動油を冷却するとともに容易に小型化可能な作業車両の冷却装置および作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、原動機を備える作業車両の冷却装置は、ファンと、前記ファンと対向して、前記原動機を冷却するための冷却液の熱を排出するラジエータと前記ファンを取り囲むシュラウドと、前記原動機の動力によって循環される作動油が流れる作動油配管とを備える。前記作動油配管は、前記シュラウドに取り付けられる。
【0009】
本発明の一局面によれば、作業車両は、上記に記載の冷却装置と、前記原動機と、前記作動油によって駆動される走行機構とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、冷却液およびオイルを冷却するとともに容易に小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(a)は、本実施形態の作業車両の模式図であり、(b)は、本実施形態の作業車両の模式的な斜視図である。
【
図2】本実施形態の作業車両の模式的な断面図である。
【
図3】本実施形態の作業車両における換気口、冷却装置および原動機の分解斜視図である。
【
図4】(a)は、本実施形態の冷却装置におけるファン、シュラウドおよび作動油配管の模式的な斜視図であり、(b)は、本実施形態の冷却装置におけるシュラウドおよび作動油配管の模式的な斜視図である。
【
図5】本実施形態の冷却装置におけるファン、シュラウドおよび作動油配管の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明による作業車両および作業車両の冷却装置の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。典型的には、X軸は、上部旋回体の前後方向を示し、Z軸は、鉛直方向を示し、Y軸は、上部旋回体の前後方向および鉛直方向と直交する方向を示す。なお、
図1(a)および
図1(b)では、上部旋回体の前後方向は、下部走行体の進行方向と平行である。ただし、X軸、Y軸およびZ軸はこれらに限定されない。
【0013】
まず、
図1(a)および
図1(b)を参照して、本実施形態の作業車両100を説明する。ここでは、作業車両100の一例として、油圧ショベルについて説明する。ただし、作業車両100は、油圧ショベルに限定されず、他の建設機械であってもよい。あるいは、作業車両100は、建設機械でなくてもよい。
【0014】
作業車両100は、作業車両100自体によって作業を行う。作業車両100は、車輪の回転によって移動する。作業車両100は、移動しながら作業可能であることが好ましい。
【0015】
作業車両100は、下部走行体110と、上部旋回体120と、原動機130と、冷却装置200とを備える。下部走行体110は、自走可能である。上部旋回体120は、下部走行体110に対して旋回可能である。原動機130および冷却装置200は、上部旋回体120の内部に配置される。
【0016】
下部走行体110は、走行機構112を有する。走行機構112は、車両を有する。走行機構112は、作業車両100を走行可能にする。走行機構112は、作動油によって駆動される。走行機構112は、進行方向に走行する。詳細には、走行機構112は、前進方向(+X方向)または後退方向(-X方向)に走行する。
【0017】
ここでは、走行機構112は、左右一対のクローラ112a、112bを備える。左右のクローラ112a、112bをそれぞれ駆動することで作業車両100の前進および後退が可能となる。クローラ112a、112bは、車両の一例である。
【0018】
また、下部走行体110には、ブレード114が取り付けられる。ブレード114は、走行機構112に対して前進方向側に位置する。ブレード114は、土砂等の排土作業、造成地および道路等の整地作業に用いられる。
【0019】
上部旋回体120は、操縦部122と、作業機124とを備える。操縦部122は、上部旋回体120の上部に配置される。操縦部122には、操縦席122sが配置される。操縦席122sの前には、一対の作業操作レバーおよび一対の走行レバーが配置される。オペレータは、操縦席122sに着座して作業操作レバー、走行レバー等を操作することによって、各油圧アクチュエータの制御を行い、走行、旋回、作業等を行うことができる。
【0020】
作業機124は、上部旋回体120の前方側に配置される。作業機124は、ブーム124aと、アーム124bと、バケット124cとを備える。ブーム124aと、アーム124bと、バケット124cを独立して駆動することによって土砂等の掘削作業が可能になる。
【0021】
ブーム124aは、基端部が上部旋回体120の前部に支持されて、伸縮自在に可動するブームシリンダ124asによって回動される。また、アーム124bは、基端部がブーム124aの先端部に支持されて、伸縮自在に可動するアームシリンダ124bsによって回動される。そして、バケット124cは、基端部がアーム124bの先端部に支持されて、伸縮自在に可動するバケットシリンダ124csによって回動される。ブームシリンダ124as、アームシリンダ124bsおよびバケットシリンダ124csは、油圧シリンダによって構成される。
【0022】
上部旋回体120は、フレーム120fと、シートマウント120sとを有する。フレーム120fは、上部旋回体120の後方をカバーする。シートマウント120sは、上部旋回体120の上方および左右の側方をカバーする。
【0023】
なお、本明細書において、特に明示のない場合、「前方側」または「後方側」は、上部旋回体120の前方側(
図1における+X方向側)または上部旋回体120の後方(
図1における-X方向側)を示す。また、特に明示のない場合、「前後方向」は、上部旋回体120の前後方向(
図1におけるX方向)を示す。
【0024】
シートマウント120sは、フレーム120fに対して装着される。シートマウント120sには、操縦席122sが取り付けられる。シートマウント120sの左側方には、換気口120vが設けられる。シートマウント120sの内側には、換気口120vに対向して冷却装置200が配置される。典型的には、換気口120vは、シートマウント120sのうちのフレーム120fとの境界領域に位置する。換気口120vは、格子状であってもよい。
【0025】
上述したように、原動機130および冷却装置200は、上部旋回体120の内部に配置される。詳細には、原動機130および冷却装置200はシートマウント120sの下方に配置される。原動機130は、作業車両100の動力を発生する。作業車両100では、原動機130において発生する動力を利用して作動油を循環させて、作業車両100の各部に設置されたアクチュエータを駆動する。
【0026】
例えば、原動機130は、エンジンである。ここでは、原動機130は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。
【0027】
原動機130は、駆動時に熱を発生する。このため、原動機130は、原動機130の近傍を流れる冷却液にて冷却される。
【0028】
冷却装置200は、冷却液を冷却する。また、冷却装置200は、原動機130の動力によって循環する作動油を冷却する。
【0029】
次に、
図1および
図2を参照して、本実施形態の作業車両100の内部構成を説明する。
図2は、作業車両100の
図1(a)のII-II線に沿った模式的な断面図を示す。なお、
図2では、図面が過度に複雑になることを避けるために、作業車両100の作業機124を省略して示している。
【0030】
図2に示すように、上部旋回体120は、フレーム120fと、シートマウント120sとを備える。シートマウント120sの左側方には換気口120vが設けられる。換気口120vの内側には、冷却装置200および原動機130が配置される。冷却装置200は、シートマウント120sの換気口120vと原動機130との間に配置される。
【0031】
原動機130は、作業車両100を駆動する動力を発生する。原動機130は、+Y方向側に延びた出力軸130aを有する。出力軸130aは、原動機130の動力にしたがって回転する。出力軸130aには、油圧ポンプ142が装着される。
【0032】
また、原動機130は、-Y方向側に延びた出力軸130bを有する。出力軸130bは、原動機130の動力にしたがって回転する。出力軸130bからの動力は、ファンベルトを介して回転軸130cに伝達される。このため、回転軸130cは、出力軸130bの回転に連動して回転する。
【0033】
油圧ポンプ142により、作動油は循環する。油圧ポンプ142は、上部旋回体120の右側方中央に配置される。
【0034】
作動油タンク144は、作動油を貯留する。作動油タンク144は、上部旋回体120の左側方下部に配置される。作動油タンク144は、油圧ポンプ142と、作動油ホースによって接続される。
【0035】
冷却装置200は、作動油タンク144の上に配置される。冷却装置200は、換気口120vと、原動機130との間に位置する。
【0036】
冷却装置200は、ファン210と、シュラウド220と、作動油配管230と、ラジエータ240とを備える。ファン210は、回転軸130cに取り付けられる。ファン210が回転軸130cともに回転することにより、空気を送り出して風を生成する。ここでは、作業車両100の外部の空気が作業車両100の内部に流れこむ。ファン210の回転により、作業車両100の外部の空気が換気口120vを介して作業車両100の内部に進入する。
【0037】
ファン210は、シュラウド220に囲まれる。シュラウド220により、ファン210の風が案内される。原動機130の回転軸130cは、シュラウド220を貫通する。作動油配管230は、シュラウド220に取り付けられる。
【0038】
原動機130には、冷却液が流れる冷却液配管が取り付けられる。冷却液は、例えば、水である。冷却液は、原動機130において発生した熱を吸収する。
【0039】
冷却液配管は、ラジエータ240に接続する。ラジエータ240は、冷却液からの熱を排出する。ファン210によって生成された風が、作業車両100の外部の空気が換気口120vを介して作業車両100の内部に進入すると、ラジエータ240に当たる。これにより、ラジエータ240は、冷却液からの熱を排出できる。
【0040】
次に、
図3を参照して、本実施形態の冷却装置200を説明する。
図3は、換気口120v、冷却装置200および原動機130の模式的な分解斜視図を示す。
【0041】
図3に示すように、換気口120v、ファン210、シュラウド220、作動油配管230および回転軸130cは、Y方向に沿って直線状に配列される。
【0042】
冷却装置200は、換気口120vの内側に配置される。冷却装置200は、ファン210と、シュラウド220と、作動油配管230と、ラジエータ240とを備える。換気口120vに対向してラジエータ240が配置される。ファン210と、シュラウド220と、作動油配管230とは、一体としてラジエータ240よりも内側に配置される。なお、シュラウド220は、ラジエータ240の枠部に取り付けられてもよい。
【0043】
ファン210は、原動機130の回転軸130cに取り付けられる。回転軸130cは、Y方向に平行に延びる。このため、ファン210は、Y方向に延びる回転軸130cを中心として回転する。
【0044】
シュラウド220は、ファン210を取り囲む。原動機130に連結された回転軸130cは、シュラウド220を貫通する。
【0045】
例えば、シュラウド220は、金属から構成される。一例では、シュラウド220は、鉄板から構成される。シュラウド220は、板金加工によって形成される。
【0046】
作動油配管230は、シュラウド220に取り付けられる。作動油配管230には、作動油が流れる。作動油配管230は、金属から構成される。一例では、作動油配管230は、銅管から構成される。
【0047】
ラジエータ240には、原動機130を冷却する冷却液が流れる。ラジエータ240は、ファン210によって形成された風を受けることにより、ラジエータ240の内部を流れる冷却液の熱が排出される。なお、
図3には、参考のために、ファン210の回転によって生成される風の流れを示している。ファン210の回転によって換気口120vを通過した空気がラジエータ240に当たるため、ラジエータ240の内部を流れる冷却液の熱が排出される。ただし、
図3では、図面が複雑になることを避けるために、風がラジエータ240を通過するように示しているが、冷却液の熱を吸収した空気は、ラジエータ240の内側(+Y方向側)に回り込み、ファン210によって引き込まれシュラウド220を通過する。
【0048】
ファン210を囲むシュラウド220に作動油配管230が取り付けられる。このため、ファン210の回転によって生成された風は、作動油配管230に当たる。したがって、ファン210の回転によって生成された風により、ラジエータ240の熱が排出されるだけでなく、作動油配管230の熱も排出される。
【0049】
このように、本実施形態の冷却装置200によれば、ファン210を囲むシュラウド220に作動油配管230が取り付けられることにより、ファン210に対向する位置にオイルヒータを設けることなく作動油を冷却できる。このため、冷却液だけでなく作動油を冷却するとともに容易に小型化できる。したがって、冷却装置200は、小型の作業車両100に好適に用いられる。
【0050】
次に、
図4を参照して、本実施形態の冷却装置200を説明する。
図4(a)は、本実施形態の冷却装置200におけるファン210、シュラウド220および作動油配管230の模式的な斜視図であり、
図4(b)は、本実施形態の冷却装置200におけるシュラウド220および作動油配管230の模式的な斜視図である。
【0051】
図4(a)に示すように、作動油配管230は、シュラウド220に取り付けられる。例えば、作動油配管230は、シュラウド220に接触することが好ましい。上述したように、シュラウド220は、金属から構成される。また、典型的には、作動油配管230は、金属から構成される。このため、作動油配管230を流れる作動油の熱は、作動油配管230からシュラウド220に伝達される。この場合、シュラウド220は、放熱板として機能する。
【0052】
シュラウド220は、壁部220wと、側部220a、側部220b、側部220cおよび側部220dとを有する。側部220a、側部220b、側部220cおよび側部220dは、壁部220wと接続する。側部220bは、側部220aおよび側部220cと接続し、側部220dは、側部220aおよび側部220cと接続する。側部220aは、鉛直上方に位置し、側部220cは、鉛直下方に位置する。また、側部220bは、前方側に位置し、側部220dは、後方側に位置する。シュラウド220には、壁部220w、側部220a、側部220b、側部220cおよび側部220dによって囲まれた囲み領域がシュラウド220の内側に形成され、囲み領域にファン210が配置される。
【0053】
ここでは、シュラウド220の幅(X方向に沿った長さ)は、シュラウド220の高さ(Z方向に沿った長さ)よりも大きい。なお、側部220aは、ファン210の形状に合わせて中央部分において外側(鉛直上方)に湾曲する。また、側部220cは、ファン210の形状に合わせて中央部分において外側(鉛直下方)に湾曲する。
【0054】
壁部220wの中央には、開口部220hが設けられる。開口部220hは、円形状である。壁部220wは、原動機130(
図2、
図3)と対向する。原動機130の回転軸130cは、壁部220wの開口部220hを貫通する。ここでは、開口部220hの直径は、ファン210の外径よりも大きい。
【0055】
側部220bには、貫通孔220mおよび貫通孔220nが設けられる。貫通孔220nは、貫通孔220mの鉛直上方に位置する。作動油配管230は、貫通孔220mおよび貫通孔220nをそれぞれ通過する。
【0056】
作動油配管230は、ファン210の回転軸に対してファン210の径方向外側に配置される。ここでは、作動油配管230は、ファン210の鉛直上方側、後方側および鉛直下方側に位置する。
【0057】
作動油配管230は、第1配管230aと、第2配管230bと、連結配管230cとを有する。第1配管230aの太さは、第2配管230bの太さとほぼ等しい。連結配管230cの太さは、第1配管230aおよび第2配管230bの太さよりも小さい。
【0058】
第1配管230aは、ファン210の鉛直下方側に位置し、前後方向に延びる。第2配管230bは、ファン210の鉛直上方側に位置し、前後方向に延びる。連結配管230cは、ファン210の後方側に位置し、鉛直方向に延びる。例えば、第1配管230aと、第2配管230bと、連結配管230cとは、溶接によって接続される。
【0059】
第1配管230aは、側部220bから側部220dまで延びる。詳細には、第1配管230aは、側部220bの貫通孔220mからシュラウド220の内側を通過して側部220dまで延びる。第1配管230aは、側部220dにおいて溶接されている。
【0060】
第2配管230bは、側部220bから側部220dまで延びる。詳細には、第2配管230bは、側部220bの貫通孔220nからシュラウド220の内側を通過して側部220dまで延びる。第2配管230bは、側部220dにおいて溶接されている。
【0061】
ここでは、連結配管230cは、第1配管230aと接続する。詳細には、連結配管230cは、第1配管230aの後方側において第1配管230aと接続する。また、連結配管230cは、第2配管230bと接続する。詳細には、連結配管230cは、第2配管230bの後方側において第2配管230bと接続する。連結配管230cにより、第1配管230aおよび第2配管230bが連結される。
【0062】
本実施形態の冷却装置200では、作動油配管230は、ファン210の外側に配置される。ファン210によって形成された風は、典型的には、-Y方向から+Y方向に向かって流れる。作動油配管230は、ファン210の近傍に配置されるため、ファン210によって生成される風は、作動油配管230にも当たることになる。このため、作動油配管230を流れる作動油の熱を効率的に排出できる。
【0063】
なお、典型的には、作動油は、コントロールバルブを通ってアクチュエータから排出された後、シュラウド220に取り付けられた作動油配管230に流れる。作動油配管230を流れる作動油は、第1配管230aから連結配管230cを通過した後、第2配管230bを通過して外部に流れる。典型的には、第2配管230bを通過した作動油は、オイルタンクに流れる。
【0064】
本実施形態の冷却装置200では、作動油配管230は、シュラウド220の側部220bからシュラウド220の内側に入り、シュラウド220の内側から側部220bを介して外部に出る。このように、作動油配管230において作動油の入口および出口が、シュラウド220の同一の側部(側部220b)に位置するため、作動油配管230を別の外部配管と容易に接続できる。
【0065】
図4(b)に示すように、作動油配管230は、シュラウド220に取り付けられる。作動油配管230は、シュラウド220に溶着されてもよい。作動油配管230をシュラウド220と溶接することで、作動油配管230をシュラウド220に固定できる。このようにして、作動油配管230は、シュラウド220に溶着できる。
【0066】
例えば、作動油配管230において、第1配管230aは、シュラウド220の壁部220wと、接続部220rおよび接続部220sで接続されてもよい。接続部220rは、シュラウド220の壁部220wのうちの鉛直下方および前方側に位置し、接続部220sは、シュラウド220の壁部220wのうちの鉛直下方および後方側に位置する。
【0067】
作動油配管230において、第2配管230bは、シュラウド220の壁部220wと、接続部220pおよび接続部220qで接続されてもよい。接続部220pは、シュラウド220の壁部220wのうちの鉛直上方および前方側に位置し、接続部220qは、シュラウド220の壁部220wのうちの鉛直上方および後方側に位置する。
【0068】
また、シュラウド220において、側部220aは、線状部分220a1と、線状部分220a2と、湾曲部分220a3とを有する。線状部分220a1は、側部220aのうちの前方側に位置する。線状部分220a1は、前後方向と平行に延びる。線状部分220a1は、湾曲部分220a3と側部220bとを接続する。線状部分220a1は、前後方向と平行に延びる。
【0069】
線状部分220a2は、側部220aのうちの後方側に位置する。線状部分220a2は、湾曲部分220a3と側部220dとを接続する。線状部分220a2は、前後方向と平行に延びる。
【0070】
湾曲部分220a3は、鉛直上方に湾曲する。これにより、ファン210に対して湾曲部分220a3を離すことができ、作業車両100に振動等が生じてもファン210と湾曲部分220a3との接触を抑制できる。
【0071】
シュラウド220において、側部220cは、線状部分220c1と、線状部分220c2と、湾曲部分220c3とを有する。線状部分220c1は、側部220cのうちの前方側に位置する。線状部分220c1は、前後方向と平行に延びる。線状部分220c1は、湾曲部分220c3と側部220cとを接続する。線状部分220c1は、前後方向と平行に延びる。
【0072】
線状部分220b2は、側部220bのうちの後方側に位置する。線状部分220b2は、湾曲部分220c3と側部220dとを接続する。線状部分220b2は、前後方向と平行に延びる。
【0073】
湾曲部分220c3は、鉛直下方に湾曲する。これにより、ファン210に対して湾曲部分220c3を離すことができ、作業車両100に振動等が生じてもファン210と湾曲部分220c3との接触を抑制できる。
【0074】
なお、上述した説明では、作動油配管230は、シュラウド220に溶接して取り付けられたが、本実施形態はこれに限定されない。金具等の接続具を用いて作動油配管230がシュラウド220に取り付けられてもよい。
【0075】
なお、
図4を参照した上述の説明では、作動油配管230は、シュラウド220の内側で循環するように配置されたが、本実施形態はこれに限定されない。作動油配管230は、シュラウド220の内側で循環することなくシュラウド220の内側を通過してもよい。例えば、第1配管230aおよび第2配管230bは連結配管230cによって連結されることなく、第1配管230aがシュラウド220の側部220bからシュラウド220の囲み領域を通過して側部220dを貫通して延びてもよく、第2配管230bがシュラウド220の側部220dからシュラウド220の囲み領域を通過して側部220cを貫通して延びてもよい。
【0076】
また、
図3および
図4を参照した上述の説明では、作動油配管230の太さは異なったが、本実施形態はこれに限定されない。均一の太さの作動油配管230がシュラウド220の内側に取り付けられてもよい。
【0077】
次に、
図5を参照して本実施形態の冷却装置200を説明する。
図5は、本実施形態の冷却装置200におけるファン210、シュラウド220および作動油配管230の模式的な斜視図である。
図5の冷却装置200は、作動油配管230が湾曲形状である点を除いて
図4を参照して上述した冷却装置200と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複の説明を省略する。
【0078】
図5に示すように、冷却装置200において、作動油配管230は、1本の管を湾曲した形状を有している。作動油配管230は、シュラウド220の側部220bの貫通孔220mから側部220c、側部220dおよび側部220aに対向して開口部220hの周囲に沿って配置される。また、作動油配管230は、側部220bの貫通孔220nから外部に延びる。このように、作動油配管230は、湾曲形状を有してもよい。
【0079】
なお、
図3~
図5を参照した説明では、シュラウド220に1本の作動油配管230が設けられたが、本実施形態はこれに限定されない。シュラウド220に複数の流路を有する作動油配管230が取り付けられてもよい。例えば、作動油配管230は、複数の流路を有するように分岐された状態でシュラウド220に取り付けられてもよい。
【0080】
また、上述した説明では、原動機130は、エンジンであったが、本実施形態はこれに限定されない。原動機130は、電動モータであってもよい。
【0081】
さらに、上述した説明では、作業車両100の一例としてショベルを説明したが、本実施形態はこれに限定されない。作業車両100は、ローダ、CTL(コンパクトトラックローダー)、SSL(スキッドステアローダー)またはキャリアであってもよい。あるいは、作業車両100は、トラクターであってもよい。
【0082】
また、上述した説明では、作業車両100において、自走可能な下部走行体110に対して上部旋回体120が旋回可能に構成されていたが、本実施形態はこれに限定されない。作業車両100は、旋回不可の構成であってもよい。
【0083】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、作業車両に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0085】
100 作業車両
110 下部走行体
112 走行機構
114 ブレード
120 上部旋回体
120f フレーム
120s シートマウント
124 作業機
130 原動機
200 冷却装置
210 ファン
220 シュラウド
230 作動油配管
240 ラジエータ