(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
A63F7/02 310A
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2021185867
(22)【出願日】2021-11-15
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和輝
(72)【発明者】
【氏名】武藤 栄
(72)【発明者】
【氏名】清水 達也
(72)【発明者】
【氏名】小林 立寛
【審査官】小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-077224(JP,A)
【文献】特開2018-126294(JP,A)
【文献】特開2002-292048(JP,A)
【文献】特開2005-291977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を表面から出射させる導光板を備えた遊技機において、
前記導光板を保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記導光板を前後から挟み込むことにより保持する表側保持部と裏側保持部とを含み、
前記裏側保持部が前記導光板に当接可能な面積よりも前記表側保持部が前記導光板に当接可能な面積のほうが小さ
く
前記表側保持部または前記裏側保持部と前記導光板とが当接したときに生じた粉状物を前記表側保持部と前記裏側保持部とを密着させることによりできる空間に収納可能な収納部を備えた
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機として、遊技媒体である遊技球を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの入賞領域に遊技球が入賞すると、所定個数の賞球が遊技者に払い出され、識別情報の変動表示(「変動」ともいう。)の表示結果が特定表示結果となった場合に、遊技状態を変更する遊技機(いわゆる、パチンコ機)が知られている。
【0003】
また、1ゲームに対して所定数の賭数を設定した後、遊技者がスタートレバーを操作することにより識別情報の変動表示を開始し、遊技者がストップスイッチを操作することにより、その操作タイミングから予め定められた最大遅延時間の範囲内で識別情報の変動表示を停止し、全ての変動表示を停止したときに導出された表示結果に従って入賞が発生し、入賞に応じて予め定められた所定の遊技媒体が払い出され、特定入賞が発生した場合に、遊技状態を変更する遊技機(いわゆる、スロットマシン)が知られている。
【0004】
そのような遊技機において、入射した光を表面から出射させる導光板を備えた遊技機が知られている(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-92600号公報
【文献】特開2015-159878号公報
【文献】特開2018-126294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、導光板は反りやすい性質を有しており、ネジなどを用いて導光板を直接固定すると破損や光の出射不良が発生する恐れがある。よって、導光板を直接固定せずに前後から挟み込むことによって導光板を保持することが考えられる。しかし、例えば、遊技機の輸送や役物の駆動により、挟み込んだ導光板が保持部に当接して擦れたときに粉状物が発生するおそれがある。そして、粉状物が発生すると導光板で発光表示する画像や導光板の背後に配置した液晶表示器の視認性を阻害するなど、遊技機の商品性を低下させるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技機の商品性の低下を防止することができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、入射した光を表面から出射させる導光板を備えた遊技機において、前記導光板を保持する保持部を備え、前記保持部は、前記導光板を前後から挟み込むことにより保持する表側保持部と裏側保持部とを含み、前記裏側保持部が前記導光板に当接可能な面積よりも前記表側保持部が前記導光板に当接可能な面積のほうが小さく前記表側保持部または前記裏側保持部と前記導光板とが当接したときに生じた粉状物を前記表側保持部と前記裏側保持部とを密着させることによりできる空間に収納可能な収納部を備えたことを特徴とする。これにより、遊技者から視認可能な部分において導光板と保持部とが擦れることによる粉状物の発生を抑えることができるので、遊技機の商品性の低下を防止することができる。また、粉状物が遊技機の各部に侵入して遊技機の動作不良が発生することを防止できる。
【0010】
また、前記収納部を備えることにより、前記粉状物が所定の駆動源に達しない構成としてもよい。
よって、粉状物の侵入による駆動源の動作不良が発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】導光板ユニットの裏側保持部材の正面図である。
【
図7】導光板ユニットの表側保持部材の裏面図である。
【
図9】導光板ユニットとモータや球通路との位置関係を示す説明図である。
【
図10】導光板ユニットの意匠部材の配置位置を示す説明図である。
【
図11】意匠部材を取り付けた部分の導光板ユニットの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
[全体構成]
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、
図1を参照しつつパチンコ機1の全体構成について説明する。
【0014】
パチンコ機1は、その本体として主に外枠ユニット2、一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7(プラ枠、遊技機枠)を備えている。遊技者に相対する正面からみて、その最も前面側には一体扉ユニット4が位置している。一体扉ユニット4の背面側(奥側)には内枠アセンブリ7が位置しており、内枠アセンブリ7の外側を囲むようにして外枠ユニット2が配置されている。
【0015】
外枠ユニット2は、木材及び金属材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠ユニット2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。なお、縦長矩形状の外枠ユニット2において、上下の短辺に相当する部位には木材が用いられており、左右の長辺に相当する部位には金属材が用いられている。
【0016】
一体扉ユニット4は、その下部位置に受皿ユニット6が一体化された構造である。一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7は、外枠ユニット2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
【0017】
図1中の正面からみて内枠アセンブリ7の右側縁部には、その内側に統一錠ユニットが設けられている。また、これに対応して一体扉ユニット4及び外枠ユニット2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。
図1に示されるように、外枠ユニット2に対して一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニットは施錠具とともに一体扉ユニット4及び内枠アセンブリ7の開放を不能にしている。
【0018】
また、受皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニットが作動して内枠アセンブリ7とともに一体扉ユニット4の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠ユニット2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
【0019】
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、内枠アセンブリ7は施錠されたままで一体扉ユニット4の施錠だけが解除され、一体扉ユニット4が開放可能となる。一体扉ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤ユニット8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。また、一体扉ユニット4を開放すると、受皿ユニット6も一緒に前面側へ開放される。
【0020】
また、パチンコ機1は、遊技用ユニットとして上記の遊技盤ユニット8を備えている。遊技盤ユニット8は、一体扉ユニット4の背後(内側)で上記の内枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤ユニット8は、例えば一体扉ユニット4を前面側へ開放した状態で内枠アセンブリ7に対して着脱可能である。一体扉ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、一体扉ユニット4の裏側に図示しない取り付け具を介して取り付けられる。遊技盤ユニット8の前面には遊技領域(盤面、遊技盤)が形成されており、この遊技領域は窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。一体扉ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
【0021】
受皿ユニット6は、全体的に一体扉ユニット4から前面側へ突出した形状をなしており、その上面に上皿6bが形成されている。この上皿6bには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。また、受皿ユニット6には、上皿6bの下段位置に下皿6cが形成されている。この下皿6cには、上皿6bが満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお、本実施形態のパチンコ機1はカードユニットに接続する機種であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に裏側の払出装置ユニットから受皿ユニット6(上皿6b又は下皿6c)に払い出される。
【0022】
受皿ユニット6の上面には貸出操作部14が設けられており、この貸出操作部14には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないカードユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。このため貸出操作部14の上面には度数表示部(図示されていない)が配置されており、この度数表示部には、カードユニットに投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお、遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。本実施形態ではカードユニットに接続する遊技機を例に挙げているが、パチンコ機1は現金機(カードユニットに接続しない遊技機)であってもよい。
【0023】
受皿ユニット6の右下部には、ハンドルユニット16が設置されている。遊技者はこのハンドルユニット16を操作することで発射制御基板セットを作動させ、遊技領域8bに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射装置)。発射された遊技球は、遊技盤ユニット8の下縁部から左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8b内に放り込まれる。遊技領域8b内には多数の障害釘や風車(図中参照符号なし)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8b内を流下する。なお、遊技領域8b内(盤面、遊技盤)の構成については、別の図面を参照しながらさらに後述する。
【0024】
一体扉ユニット4には、演出用の構成要素としてレンズユニット47及び右上電飾ユニット49が設置されている。このうちレンズユニット47にはランプ46が組み込まれており、右上電飾ユニット49には右側のランプ50が組み込まれている。
【0025】
上述した各種ランプ46,50は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。また、一体扉ユニット4にはそれぞれスピーカ54a~54dが組み込まれている。これらスピーカ54a~54dは、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
【0026】
また、受皿ユニット6の中央には、上皿6bの手前位置に演出切替ボタン45が設置されている。遊技者は、この演出切替ボタン45を押し込み操作することで演出内容(例えば液晶表示器42に表示される背景画面)を切り替えたり、例えば図柄の変動中や大当りの確定表示中、あるいは大当り遊技中に何らかの演出(予告演出、確変昇格演出、大役中の昇格演出等)を発生させたりすることができる。
【0027】
さらに、演出切替ボタン45の周囲には、演出切替ボタン45を取り囲むようにジョグダイアル45aが設置されている(操作入力受付手段、回転型セレクター)。遊技者は、このジョグダイアル45aを回転させることで、例えば液晶表示器42に表示される演出内容を変化させることができる。
【0028】
[遊技盤ユニットの構成]
図2は、遊技盤ユニット8を単独で示す正面図である。遊技盤ユニット8は、ベースとなる遊技盤8aを備えており、遊技盤8aや後述する液晶表示器42などをセット板に取り付けてユニット化したものである。遊技盤8aの前面側には遊技領域8bが形成されている。遊技盤8aは、例えば透明樹脂板で構成されており、遊技盤ユニット8が内枠アセンブリ7に固定された状態で、遊技盤8aの前面はガラスユニットに平行となる。遊技盤8aの前面には、略円形状に設置された発射レール(参照符号なし)の内側に上記の遊技領域8bが形成されている。
【0029】
遊技領域8bは左側部分、右側部分に大きく分かれている。遊技領域8bの左側部分は、通常遊技状態(低確率非時間短縮状態)で使用される第1遊技領域(左打ち領域)であり、遊技領域8bの右側部分は、有利遊技状態(大当り遊技状態、小当り遊技状態、低確率時間短縮状態、高確率時間短縮状態等)で使用される第2遊技領域(右打ち領域、特定の領域)である。
【0030】
また、遊技領域8b内には、始動ゲート20、普通入賞口22,24、第1始動入賞口26、可変始動入賞装置28(第2始動入賞口)、可変入賞装置30(大入賞口)等が分布して設置されている。
【0031】
そして、遊技領域8bの左側領域を流下する遊技球は、普通入賞口22,24又は第1始動入賞口26に入球するか、各種入賞口に入球(入賞)しなかった場合は最終的にアウト口32に入球する。一方、遊技領域8bの右側領域を流下する遊技球は、主にアウト口34に入球して始動ゲート20を通過するか、作動時の可変始動入賞装置28に入球するか、開放動作時の可変入賞装置30に入球する可能性がある。
【0032】
始動ゲート20、普通入賞口22,24、第1始動入賞口26、可変始動入賞装置28、可変入賞装置30、アウト口32,34に入球した遊技球は遊技板(遊技盤ユニット8を構成する合板材、透明板等)に形成された貫通孔を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。
【0033】
可変始動入賞装置28は、始動ゲート20を通過したときに行われる抽選に当選し、普通図柄が当りの態様で所定の停止表示時間にわたり停止表示された場合に作動し、それに伴って第2始動入賞口28aへの入球を可能にする。
【0034】
可変入賞装置30は、特別図柄が大当り又は小当りの態様で停止表示された場合に作動し、大入賞口30aへの入球を可能にする。
【0035】
また、遊技盤ユニット8の中央部には、液晶表示器42(画像表示器)が設置されており、この液晶表示器42には特別図柄に対応させた演出図柄をはじめ、各種の演出画像が表示される。
【0036】
液晶表示器42の前方には、図示しないLEDから入射した光を反射して表面から出射させる導光板44が設けられている。導光板44に光が入射して表面から出射されると所定の演出画像を発光表示可能となっている。
【0037】
その他、遊技領域8bには遊技性に沿ったデザインの意匠部材56や可動役物58が設けられている。なお、本実施形態では、意匠部材56は笹の葉をモチーフとした意匠を形成しており、可動役物58は笹の葉を食べる動物をモチーフとしている。
【0038】
[遊技の進行の説明]
パチンコ機1では、遊技状態が通常状態である場合には、遊技者は遊技領域の左方を狙って発射操作(いわゆる左打ち)が行われる。ハンドルユニット16への遊技者による回転操作により、左打ちを行い、第1始動入賞口26に遊技球が進入すると、第1特別図柄表示装置による第1特別図柄の変動表示が開始される。
【0039】
第1特別図柄の変動表示において、確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄、例えば「7」、後述の大当り種別に応じて実際の図柄は異なる。)が停止表示されれば、「大当り」となる。また、大当り図柄とは異なる特別図柄(ハズレ図柄、例えば「-」)が停止表示されれば「ハズレ」となる。なお、第1特別図柄の変動表示であっても、極低い割合で小当り図柄が停止表示され、「小当り」となる場合があるように構成してもよい。
【0040】
第1特別図柄の変動表示の表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利な有利状態として大当り遊技状態に制御される。
【0041】
大当り遊技状態では、可変入賞装置30により形成される大入賞口30aが所定の態様で開放状態となる。大当り遊技状態においては、遊技者は、右打ちを行って、遊技球を大入賞口30aに進入させることで、賞球を得ることができる。大当り遊技状態が終了した後は、大当り種別に応じて、確変状態や小当りラッシュ状態、時短状態に制御されることがある。
【0042】
大当り遊技を終了し、遊技状態が確変状態や小当りラッシュ状態、時短状態に制御されると、遊技者は遊技領域の右方を狙って発射操作(右打ち)を行うのが有利である。ハンドルユニット16への遊技者による回転操作により、右打ちを行い、遊技球が始動ゲート20を通過すると、普通図柄表示器による普通図柄の変動表示が開始される。
【0043】
この普通図柄の変動表示では、特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の表示結果が「普図当り」となる。その一方、確定普通図柄として、普図当り図柄以外の普通図柄(普図ハズレ図柄)が停止表示されれば、普通図柄の表示結果が「普図ハズレ」となる。「普図当り」となると、可変始動入賞装置28を所定期間開放状態とする開放制御が行われる(第2始動入賞口28aが開放状態になる)。
【0044】
第2始動入賞口28aに遊技球が進入すると、第2特別図柄表示装置による第2特別図柄の変動表示が開始される。
【0045】
第2特別図柄の変動表示において、確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄、例えば「7」、後述の大当り種別に応じて実際の図柄は異なる。)が停止表示されれば、「大当り」となり、大当り図柄とは異なる所定の特別図柄(小当り図柄、例えば「2」)が停止表示されれば、「小当り」となる。また、大当り図柄や小当り図柄とは異なる特別図柄(ハズレ図柄、例えば「-」)が停止表示されれば「ハズレ」となる。
【0046】
第2特別図柄の変動表示の表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利な有利状態として大当り遊技状態に制御される。第2特別図柄の変動表示の表示結果が「小当り」になった後には、小当り遊技状態に制御される。
【0047】
[演出の進行について]
パチンコ機1では、遊技の進行に応じて種々の演出(遊技の進行状況を報知したり、遊技を盛り上げたりする演出)が実行される。当該演出について以下説明する。
【0048】
遊技の進行に応じて実行される演出として、液晶表示器42に設けられた「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアでは、第1特別図柄の変動表示又は第2特別図柄の変動表示が開始されることに対応して、左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄による変動表示が開始される。第1特別図柄の変動表示や第2特別図柄の変動表示において表示結果(確定特別図柄ともいう。)が停止表示されるタイミングでは、演出図柄の変動表示の表示結果となる確定演出図柄(3つの演出図柄の組合せ)も停止表示(導出)される。
【0049】
特別図柄の変動表示の表示結果が「大当り」となるときには、液晶表示器42の画面上において、演出図柄の変動表示の表示結果として、予め定められた大当り組合せとなる確定演出図柄が導出される(演出図柄の変動表示の表示結果が「大当り」となる)。特別図柄の変動表示の表示結果が「小当り」となるときには、液晶表示器42の画面上において、演出図柄の変動表示の表示結果として、予め定められた小当り組合せとなる確定演出図柄(例えば、「1 3 5」等)が導出される(演出図柄の変動表示の表示結果が「小当り」となる)。一例として、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける所定の有効ライン上にチャンス目を構成する演出図柄が停止表示される。特別図柄の変動表示の表示結果が「ハズレ」となる場合には、演出図柄の変動表示の態様がリーチ態様とならずに、演出図柄の変動表示の表示結果として、非リーチ組合せの確定演出図柄(「非リーチハズレ」ともいう。)が停止表示される(演出図柄の変動表示の表示結果が「非リーチハズレ」となる)ことがある。また、表示結果が「ハズレ」となる場合には、演出図柄の変動表示の態様がリーチ態様となった後に、演出図柄の変動表示の表示結果として、大当り組合せでない所定のリーチ組合せ(「リーチハズレ」ともいう)の確定演出図柄が停止表示される(演出図柄の変動表示の表示結果が「リーチハズレ」となる)こともある。
【0050】
パチンコ機1では、演出図柄の変動表示の過程で種々の演出を実行可能である。パチンコ機1で実行可能な演出には、導光板44による演出画像の発光表示が含まれている。これにより、例えば、大当りや小当りになることや、その期待度が示唆される。
【0051】
[導光板ユニットの構成]
次に、導光板44を組み込んでユニット化された導光板ユニット100について
図3~
図5を用いて説明する。
【0052】
図3~
図5に示すように、導光板ユニット100は、導光板44と、導光板44を保持する保持部材102と、意匠部材56とを備えている。導光板ユニット100は、遊技盤8aの前面にネジにより着脱自在に取り付けられる。導光板ユニット100が遊技盤8aの前面に取り付けられると、導光板44が液晶表示器42の前方に配置される。
【0053】
導光板44は、透明度の高いアクリル板で形成されており、その表面に溝や孔が形成されている。そして、導光板44に入射した光がこの溝や孔で反射することにより導光板44上で演出画像を発光表示可能となっている。
【0054】
保持部材102は、表側保持部材106と、裏側保持部材108とを備えている。表側保持部材106と裏側保持部材108とは、それぞれ枠状に形成されている。表側保持部材106は導光板44を前面側から挟み込み、裏側保持部材108は導光板44を裏面側から挟み込む。
【0055】
そして、表側保持部材106と裏側保持部材108とをネジで固定することにより、表側保持部材106と裏側保持部材108とで挟み込まれた状態で導光板44が保持される。また、意匠部材56は表側保持部材106の前面にネジにより取り付けられている。
【0056】
図6に示すように、裏側保持部材108の前面側には、円柱状のボス110が3カ所に設けられている。ボス110は、一回り大きい土台110a上に形成されている。また、裏側保持部材108の前面側でボス110の外側には全周にわたるリブ112が形成されている。
【0057】
図7に示すように、表側保持部材106の裏面側(意匠部材56の取り付け面と反対側の面側)には、複数のリブ114が形成されている。リブ114はリブ112と異なり、部分的に設けられている。具体的には、リブ114は全周にわたって所定間隔離間するように配置されている。
【0058】
また、リブ114は、裏側保持部材108の主に上辺及び左辺に配置されたリブ114aと、裏側保持部材108の主に下辺及び右辺に配置されたリブ114bとから構成されている。そして、リブ114aの横幅よりもリブ114bの横幅が短くなっている。
【0059】
また、導光板44には、ボス110に対応する孔44aが3カ所に形成されている(
図5、
図8参照)。
【0060】
そして、表側保持部材106と裏側保持部材108との間に導光板44(
図6中太線の部分)を取り付けるときには、裏側保持部材108のボス110に導光板44の孔44aを挿入する。
【0061】
この後、裏側保持部材108に表側保持部材106を被せてこれらをボス110に設けられているネジ孔などを用いてネジ止めすると、表側保持部材106と裏側保持部材108とで導光板44を挟み込んだ状態で保持することができる。
【0062】
そして、表側保持部材106と裏側保持部材108とで導光板44が保持された状態では、表側保持部材106のリブ114と裏側保持部材108のリブ112とが導光板44の端部に位置するようにリブ112,114と導光板44との相対的な位置関係が定められている。
【0063】
図8は
図3におけるA-A断面を示す。
図8に示すように、導光板44の孔44aにボス110を挿入すると、導光板44は土台110aに当接した状態となる。この状態では、表側保持部材106のリブ114の先端面と導光板44の前面が対面し、また、裏側保持部材108のリブ112の先端面と導光体44の裏面が対面する。そして、この状態では、表側保持部材106のリブ114の先端面と導光板44の前面との間に1mmの隙間ができるとともに、裏側保持部材108のリブ112の先端面と導光板44の裏面との間に1mmの隙間ができるようにボス110の土台110aの高さが設定されている。
【0064】
導光板44は、アクリル板の性質上、温度や湿度の変化に影響を受けて反りやすい性質を有している。例えば、製造時と納入時との湿度や温度の相違によって反りが発生することがある。
【0065】
また、導光板44には演出画像を発光表示するための溝や孔が形成されており、さらに、溝や孔を形成するために必要な厚みがあるため、単なる薄い平板より反りやすい性質を有している。そして、導光板44をネジ止めなどにより完全に固定した場合は導光板44の反りによる破損や光の出射不良(換言すると、点灯不良)が発生するおそれがある。
【0066】
しかし、本実施形態では、表側保持部材106と裏側保持部材108とで導光板44が保持された状態では、リブ112,114と導光板44との間に上記の隙間が形成され、この隙間により、導光板44の反りが許容される。よって、導光板44に反りが生じた場合であっても導光板44の破損や光の出射不良を防止できる。
【0067】
また、輸送や可動役物58の可動による振動などよって、導光板44とリブ112,114とが当接し、導光板44とリブ112,114が擦れて粉状物が発生するおそれがある。そして、粉状物が発生すると、導光板44で発光表示する演出画像や液晶表示器42で表示する演出画像の視認性を低下させるなど、パチンコ機1の商品性を低下させるおそれがある。
【0068】
しかし、表側保持部材106と裏側保持部材108とで導光板44が保持された状態では、表側保持部材106のリブ114と裏側保持部材108のリブ112とが導光板44の端部に位置するように、リブ112,114と導光板44との相対的な位置関係が定められているので、粉状物が生じても遊技者が視認できる範囲では粉状物が目立たないようになっている。これにより、遊技者から視認可能な部分での粉状物の発生を抑えることができるので、パチンコ機1の商品性の低下を防止することができる。
【0069】
また、表側保持部材106と導光板44とが当接して粉状物が発生する場合は、裏側保持部材108と導光板44とが当接して粉状物が発生する場合よりも遊技者が粉状物を視認しやすくなる。
【0070】
よって、本実施形態では、表側保持部材106のリブ114を部分的に設けるとともに、裏側保持部材108のリブ112を全周に設けることによって、裏側保持部材108と導光板44が当接可能な面積よりも表側保持部材106と導光板44が当接可能な面積のほうが小さくなるようにしている。これにより、導光板44の前側で粉状物が発生する箇所が限定的になり、遊技者から視認可能な部分での粉状物の発生を抑えることができるので、パチンコ機1の商品性の低下を防止することができる。
【0071】
また、本実施形態では、導光板ユニット100内部には、導光板44の下端部とリブ112,114との当接が発生する箇所、換言すると、表側保持部材106または裏側保持部材108と導光板44とが当接したときに生じた粉状物を収納可能な収納部118が設けられている。収納部118は、表側保持部材106と裏側保持部材108とを密着させることによりできる空間によって形成されている。よって、収納部118で粉状物を受け止めるとともに粉状物が外部に拡散することを防止できるので、粉状物がパチンコ機1の各部に侵入して遊技機の動作不良が発生することを防止できる。
【0072】
特に、
図9に示すように、本実施形態の遊技盤ユニット8では、導光板ユニット100の近傍に可動役物58を可動させるためのモータ120や遊技球が流下可能な球通路122が設けられている。
【0073】
しかし、収納部118は、表側保持部材106また裏側保持部材108と導光板44とが当接したときに生じた粉状物がモータ120に飛散する位置に設けられており、導光板44が擦れることにより生じた粉状物がモータ120に達することを防止できるので、粉状物の侵入によるモータ120の故障や球通路122での遊技球の詰まりを防止することができる。
【0074】
図10は表側保持部材106に意匠部材56を取り付けた状態の正面図であり、
図11は表側保持部材106に意匠部材56を取り付けた状態の断面図(
図3におけるB-B断面)である。なお、
図10は意匠部材56とリブ114bの位置関係を理解しやすくするために、表側保持部材106の裏面側を透過した状態の図にしている。
【0075】
図10及び
図11に示すように、本実施形態では、意匠部材56が表側保持部材106に取り付けられると、意匠部材56が表側保持部材106のリブ114bに重なる位置に配置される。このため、導光板44の擦れによる粉状物が生じた場合でも意匠部材56に(
図10において丸印で囲んだ部分)よって粉状物が遊技者から視認しにくい構成となっている。これにより、遊技者から視認可能な部分において粉状物が目立つことを防止することができるので、パチンコ機1の商品性の低下を防止することができる。
【0076】
特に、本実施形態では、リブ114bはリブ114aに比べて横幅が短くなっている。このため、リブ114aが設けられている箇所と比較してその量が少なくなるようになっている。そして、リブ114bはさらに意匠部材56で覆われているので、リブ114bの寸法設定と意匠部材56の相乗効果により、粉状物が発生しても粉状物が目立つことをより効果的に防止できる。
【0077】
以上のような構成とすることにより、本実施形態では、導光板44の性質上必ず発生してしまう粉状物に対し、遊技者が視認し難い箇所でのみ粉状物が発生するようにし、導光板44の擦れによる粉状物の発生によるパチンコ機1の商品性の低下を防止することができる。
【0078】
また、導光板44の性質上必ず発生してしまう粉状物に対し、発生した粉状物がパチンコ機1の他の箇所に侵入することによる二次災害(例えば、モータ120などに粉状物が詰まることによるモータ120の動作不良)を防止することができる。
【0079】
なお、リブ114aが形成されている部分は、遊技盤8aの盤面上でレールを形成するためのレールベースや球通路が設けられ、遊技者からは視認し難い部分であるため、意匠部材56を取り付けていないがリブ114aが設けられている部分にも意匠部材56を取り付ける構成としてもよい。
【0080】
[本実施形態の効果]
(1)本実施形態で、入射した光を反射して表面から出射させる導光板(本例では、導光板44)を備えた遊技機において、
前記導光板を保持する保持部(本例では、
図5に示す保持部材102)を備え、
前記保持部は、前記導光板を前後から挟み込むことにより保持する表側保持部(本例では、
図5に示す表側保持部材106)と裏側保持部(本例では、
図5に示す裏側保持部材108)とを含み、
前記裏側保持部が前記導光板に当接可能な面積よりも前記表側保持部が前記導光板に当接可能な面積のほうが小さい。
よって、導光板を確実に保持しながらも導光板が保持部に当接する面積を減少させることができる。これにより、遊技者から視認可能な部分において、導光板と保持部とが擦れることによる粉状物の発生を抑えることができるので、遊技機の商品性の低下を防止することができる。
【0081】
上記実施形態では、導光板44として演出画像を発光表示する導光体を例に挙げて説明したが、単に光を出射する導光体など、上記実施形態と異なる態様の導光板を適用してもよい。
【0082】
上記実施形態では、表側保持部材106のリブ112を部分的に設けるとともに、裏側保持部材108のリブ114を全周に設けることによって、裏側保持部材108と導光板44が当接可能な面積よりも表側保持部材106と導光板44が当接可能な面積のほうが小さくなるようにしたが、例えば、表側保持部材106に部分的にリブを設け、裏側保持部材108にも部分的にリブを設けて、裏側保持部材108と導光板44が当接可能な面積よりも表側保持部材106と導光板44が当接可能な面積のほうが小さくなるようにするなど、上記実施形態と異なる方法により面積を異ならせてもよい。
【0083】
(2)また、本実施形態では、前記表側保持部または前記裏側保持部と前記導光板とが当接したときに生じた粉状物を収納可能な収納部(本例では、
図8に示す収納部118)を備えている。
よって、粉状物が遊技機の各部に侵入して遊技機の動作不良が発生することを防止できる。
【0084】
上記実施形態では、粉状物の収納部118をリブ112,114と導光板44の当接箇所の下方に設ける構成としているが、導光板44の上端部とリブ112やリブ114と当接箇所に設ける構成としてもよい。
【0085】
(3)また、本実施形態では、前記収納部を備えることにより、前記粉状物が所定の駆動源(本例では、
図9に示すモータ120)に達しない。
よって、粉状物の侵入による駆動源の動作不良が発生することを防止できる。
【0086】
[その他、上記実施形態の変形例]
なお、上記実施形態では、パチンコ機に本発明を適用する例を挙げたが、遊技用価値としてメダル並びにクレジットを用いて賭数が設定されるスロットマシンなど、他の態様の遊技機に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 パチンコ機
8 遊技盤ユニット
8a 遊技領域
42 液晶表示器
44 導光板