(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】車両識別システムに対する標識
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240122BHJP
E01F 9/00 20160101ALI20240122BHJP
E01F 9/30 20160101ALI20240122BHJP
【FI】
G08G1/09 D
E01F9/00
E01F9/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021192616
(22)【出願日】2021-11-29
(62)【分割の表示】P 2017535400の分割
【原出願日】2015-12-30
【審査請求日】2021-11-29
(32)【優先日】2014-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ディー.ヤノベツ
(72)【発明者】
【氏名】ケネス エル.スミス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル アール.デュオース
(72)【発明者】
【氏名】トッド エー.バレン
(72)【発明者】
【氏名】トラビス エル.ポッツ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ハワード
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ジェイ.ダーリン
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-123183(JP,A)
【文献】特開2004-295595(JP,A)
【文献】特開2014-016919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
E01F 9/00
E01F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリと1つ以上のコンピュータプロセッサとを備えるコンピューティングデバイスであって、
前記1つ以上のコンピュータプロセッサは、
受信装置から、道路のある位置に配置されるマーカーからのマーカー情報を受信し、
車両の
走行位置に関する位置情報を決定し、
前記マーカー情報と前記位置情報との関連性に応じて、
前記マーカー情報又は前記位置情報に基づいて出力情報を生成し、
前記出力情報をリモートコンピューティングデバイスに送信し、
前記出力情報に関する追加情報を受信し、
前記マーカー情報が前記車両に関連していると判断したことに応答して、前記追加情報に少なくとも部分的に基づいて前記車両の少なくとも1つの動作を実行する、又は、
前記マーカー情報が前記車両に関連していないと判断したことに応答して、前記マーカー情報を無視する、
ように構成される、コンピューティングデバイス。
【請求項2】
前記出力情報が、車両の運転者に提供される視覚情報、車両の運転者に提供される音響情報、前記車両の運転機能又は制動の制御、ユーザが読み取り可能な標識通信情報、標識までの距離、URL、IPアドレスコード、又は、インターネットベースの情報記憶システムから受信した情報、のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記マーカーは標識に取り付けられている、請求項1又は2に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記マーカーが、標識から離れており、前記車両の進行方向に対して標識よりも先行して配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記マーカー情報は、機械可読テキスト、グラフィック、印、パターン、形状、再帰反射特性、又は、コードのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記マーカーが、エネルギー源を有するアクティブ通信デバイス、又は、エネルギー源を有さないパッシブ通信デバイスのうちの1つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項7】
前記マーカーは、前記マーカー情報を含む信号を発するように構成されており、前記信号は、光ベースの信号、音声信号、又は、電子信号のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、識別システムに関する。詳細には、本開示は、標識検出若しくは標識認識又はその両方を助けることができるマーカーを含む、車両とともに使用するための識別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路標識は、サイズ、形状、像、及びドライバーに伝える言葉において様々である。例えば、多くの標識は、同じような周囲形状を持つが、様々に異なるメッセージ又は像を伝達する。矢印などの標識上の像は、標識上の他の特徴部に応じて様々な意味を伝達することができる。例えば、矢印を有する標識は「一方通行」の道路を示す場合がある一方で、矢印を有する別の同様のサイズ及び色の標識は、目的地への方向を示す場合がある。安全な車両運転のための重要な情報を提供することを機能とする重要な道路標識は、同様の形状を有する広い範囲の標識から識別し、区別するのが難しい可能性がある。
【0003】
利用可能な電子/通信機能は、道路標識と車両との間で識別及び通信を助けることができる。詳細には、新規の車両では、カメラベースの視覚システムが一般的になりつつある。しかしながら、現在の視覚システムは、一般に、広範囲の幹線道路の道路標識を正確に読み取るのが難しい。例えば、説明するように、読取装置は、矢印を識別することはできるかもしれないが、矢印が「一方通行」の標識を示し得るのか、又は目的地への方向を示し得るのかを識別するコンテキストを正確に区別することができない可能性がある。重要な道路標識、車道情報、及び近隣車道情報をより正確に検出若しくは認識するか、又は検出と認識の両方を行うための改善された識別システムが必要である。
【発明の概要】
【0004】
道路上での安全性を改善し、ドライバー又は車両自体(自律的か又は準自律的である場合)が、道路標識、車道、及び近隣車道情報に関する読取可能で有用な情報を得ることを可能にするための識別システムが開示される。開示される識別システムは、車両に情報を提供するための、車両情報システムが読み取ることができるマーカー通信情報を有するマーカーを含む。マーカー通信情報が伝達し得る情報は、車両情報システムが、重要な道路標識、車道情報、及び近隣車道情報をより正確に検出若しくは認識するか、又は検出と認識の両方を行うことを可能にする。次いで、車両情報システムは、マーカー通信情報から受信した情報に応答することができる。
【0005】
一実施形態では、識別システムは、マーカー通信情報を有するマーカーと、マーカー通信情報を読み取るための読取装置を含む、車両上の車両情報システムと、マーカー通信情報を出力情報に変換するためのプロセッサとを含む。
【0006】
一実施形態では、車両に情報を送信するためのマーカーは、マーカー通信情報を出力情報に変換することが可能な、車両の車両情報システム上の読取装置及びプロセッサに送信される静的な情報であるマーカー通信情報を含む。
【0007】
一実施形態では、車両情報システムは、読取装置及びプロセッサを含む。読取装置は、マーカーからマーカー通信情報を受信することが可能である。プロセッサは、マーカー通信情報を出力情報に変換することが可能である。
【0008】
一実施形態では、標識と車両との間の識別システムは、標識通信情報を有する標識と、標識に対して所定の場所にあるマーカーであって、光学通信を含むマーカー通信情報を含むマーカーと、マーカーに光を送る光源と、光学通信を読み取るための読取装置と、光学通信を出力情報に変換するためのプロセッサとを含む、車両情報システムとを含む。マーカーの光学通信は、光源からの再帰反射光である。出力情報は、標識の存在の検出又は標識通信情報の認識のうちの少なくとも1つである。
【0009】
一実施形態では、標識通信情報を有する標識用のマーカーは、再帰反射シートと、再帰反射シートからの反射光である光学通信を含むマーカー通信情報とを含む。マーカーは、標識に対して所定の場所にある。マーカー通信情報は、標識の場所及び標識通信情報に関する情報を通信する。
【0010】
一般に、標識通信情報は、道路使用者に情報を提供することを意図された、任意のテキスト若しくはグラフィックス又はそれらの組合せである場合がある。光学通信は、可視又は不可視の波長を使用したパターン(例えば、機械読取可能テキスト、グラフィックス、印、パターン、形状、又はバーコード若しくはQRコードなどのコード)の読取りに基づく通信と、周波数、波長、偏光、又はパルス振幅を含む振幅などの特性における変化形態又はパターンに基づく通信とを含む。
【0011】
説明される実施形態のうちの任意の1つにおいて、識別システムは、下記のうちの任意の1つを更に含む。
・標識通信情報を有する標識。
・出力情報は、標識の存在の検出又は標識通信情報の認識のうちの少なくとも1つである。
・マーカーは、標識に対して所定の場所にある。
・マーカーは、標識に取り付けられる。
・マーカーは、接着によって標識に取り付けられる。
・マーカーは、標識に埋め込まれる。
・マーカーは、標識から離れており、移動する車両の方向に対して標識よりも前にある。
・出力情報は、標識までの距離である。
・マーカー通信情報は、静的な情報である。
・静的な情報は、コードである。
・静的な情報は、光学的像である。
・静的な情報は、電子信号である。
・マーカーは、受動通信デバイスを含む。
・マーカーに光を送るための光源。
・マーカー通信情報は、光学通信を含む。
・マーカー通信情報は、再帰反射光を含む。
・マーカー通信情報は、特定波長の反射光を含む。
・マーカー通信情報は、IR又は近IR光を含む。
・マーカーは、再帰反射フィルムを含む。
・再帰反射フィルムは、読取装置に対して特定の角度で光源からの光を反射する。
・マーカーは、多層光学フィルムを含む。
・多層光学フィルムは、読取装置から離れる方向に光源の1つ以上の特定の波長を反射する。
・多層光学フィルムは、読取装置から離れる方向に光源のIR波長又は近IR波長を反射する。
・多層光学フィルムは、コードを含む。
・コードは、バーコード又はQRコードである。
・マーカーは、読取装置に見える波長固有インクを含む。
・マーカーは、エネルギー源を有する能動通信デバイスを含む。
・マーカー通信情報は、電子信号を含む。
・電子信号は、パルス発光ダイオード信号、聴覚信号、無線信号のうちの1つを含む。
・マーカー通信情報は、位置情報を含む。
・車両情報システムは、光源を更に含む。
・光源は、特定の波長範囲の光を放射する。
・光源から放射される特定の波長範囲の光は、人間の目に可視の波長の範囲外にある。
・光源から放射される特定の波長範囲の光は、近赤外(IR)である。
・マーカーは、所定の形状、色、又は再帰反射特性を備える。
・マーカーは、所定の再帰反射発散プロファイル又は再帰反射光の偏光の変化を含む。
・車両情報システムは、マーカー通信情報を受信することによりマーカーを識別する。
・読取装置は、特定の波長範囲のマーカー通信情報を受信する。
・マーカー通信情報の特定の波長範囲は、人間の目に可視の波長の範囲外にある。
・マーカー通信情報の特定の波長範囲は、赤外(IR)又は近赤外(IR)である。
・車両情報システムの読取装置は、マーカー通信情報を受信するためのレンズを含む。
・車両情報システムの読取装置は、マーカー通信情報を受信するためのレンズ付きのカメラを含む。
・車両情報システムの読取装置は、マーカーから電子信号を受信する。
・車両情報システムの読取装置は、聴覚信号を受信する。
・車両情報システムの読取装置は、無線信号を受信する。
・車両情報システムの読取装置は、光源から信号を受信する。
・車両情報システムの読取装置は、少なくとも部分的に光源からの再帰反射光である光学通信を受信する。
・プロセッサは、インターネットベースの情報記憶システムと通信する。
・インターネットベースの情報記憶システムは、マーカー通信情報を受信し、プロセッサに包括的な情報を提供する。
・包括的な情報は、標識通信情報、地理的配置情報、天気情報、交通情報、地域のビジネス情報、ニュース情報、又は近隣に位置する設備を含む。
・近隣に位置する設備は、車両、レストラン、会社の場所からなる群から選択される。
・マーカー通信情報は、標識通信に関する情報を含む。
・出力情報は、車両の運転を制御するために使用される。
・出力情報は、標識の存在の検出、及び標識通信情報の認識である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】識別システムの一実施形態の上面図である。 上記の図面は、本発明の実施形態を表しているが、説明において述べるように、他の実施形態も企図される。いかなる場合も、本開示は、本発明を、限定するのではなく代表して提示するものである。本発明の範囲及び趣旨の中で、多くの他の修正及び実施形態が、当業者によって考案され得ることを理解されたい。図面は、縮尺どおりに描かれていない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
識別システム100は、車両情報システムが読み取ることができるマーカー通信情報を含むマーカー300を含む。
図1は、矢印の方向に走行している車両600を伴った車道700の上面図である。マーカー通信情報を含むマーカー300は、車道に隣接している。また、「停止」又は右折する矢印などの標識通信情報を含む標識200を
図1に示す。一実施形態では、マーカー通信情報は、標識通信情報に関する情報を通信し得る。一実施形態では、マーカー通信情報は、重要な道路標識、車道情報、及び近隣車道情報に関する情報を通信し得る。マーカー通信情報を読み取り、処理するための車両情報システム400が車両600上にある。
【0014】
車両上の読取装置がより容易に読み取れる情報を含むように既存の道路標識を完全に設計し直すのは、コストと時間がかかる。したがって、開示される識別システム100は、マーカー通信情報を別個に含むマーカー300を含む。一実施形態では、マーカー300は、標識200、又は標識を保持する支柱に取り付けられる場合がある。例えば、マーカー300は、標識200の最初の建設中に取り付けることができるか、又は、完成したすでに存在する標識200に別に取り付けられる場合がある。マーカー300は、標識200の最初の建設中に取り付けられる場合、標識200内に埋め込むことができる。マーカー300は、完成した標識200に取り付けられる場合、標識200に接着によって固定することができる。識別システム100がマーカー300のマーカー通信情報の光学識別に依拠する場合、マーカー300は、標識200の見える面又は見える部分に取り付けられる。
【0015】
一実施形態では、マーカー300は、標識200のいずれの部分にも取り付けられないか、又は接続されない。代わりに、マーカー300は、道路700の近くに配置される。識別システム100がマーカー300のマーカー通信情報の光学識別に依拠する場合、マーカー300は、道路700の近くの見える場所に配置される。マーカー300自体が、標識のように見えてもよい。マーカー300は、それ自体の支柱上に、他の車道設備、近隣の設備に固定される、又は地下に埋設され得る。
【0016】
車両情報システム400に追加のデータを提供するために、一実施形態では、マーカー300は、標識200に対して所定の場所にある。一実施形態では、マーカー300は、標識上に配置される。一般に、マーカー300が標識200から離れているとき、マーカー300は、
図1に示すように、移動する車両の方向に対して、標識200よりも前にある。マーカー300は、標識200から変位しているが、標識支柱又は他の支持構造体上に配置される場合もある。マーカー300が停止標識などの標識200に対して所定の位置にあるとき、車両情報システム400は、任意の他の入力とともに標識200に対するマーカー300の場所情報を使用して、標識の前に停止するのにかかる時間、又は標識の後に車が変えなければならない方向などを計算することができる。
【0017】
マーカー300は、マーカー通信情報を含む。マーカー通信情報は、マーカー300が、車両情報システム400(車両情報システム400の詳細は以下に説明する)に通信する情報であり、車両情報システム400はそのマーカー通信情報を読み取って処理する。
【0018】
一実施形態では、マーカー300は、受動通信デバイスを更に含む。受動通信デバイスは、読み取られることが可能なマーカー通信情報を含むデバイスであり、マーカー通信情報は変化しない。したがって、そのような実施形態では、マーカー通信情報は、変化しない情報である静的な情報を含む。一実施形態では、静的な情報は、例えば、機械読取可能テキスト、グラフィックス、印、パターン、形状、又はバーコード若しくはQRコードなどのコードなどの光学通信を含む。
【0019】
マーカー300は、マーカー機能に応じて、バッテリー、ソーラーパネル、又は電気接続部などの要素から提供され得る電源を必要とする場合がある。電力消費量、又はバッテリーを監視し交換する必要性を制限するために、好ましいマーカー300は、外部電源なしに機能する。
【0020】
マーカー通信情報が光学通信を含む実施形態では、光学通信は、マーカーを照明する光源からの反射光である場合がある。マーカー300は、光を反射するために、反射性材料及び/又は再帰反射性材料を含む場合がある。本明細書で使用する「反射性」という用語は、斜め方向の入射光線を、マーカーの面法線に対して測定される等しい角度で反射する属性を指すが、ここで、入射光線及び反射光線と面法線とは同一平面上にある(正反射ともいう)。本明細書で使用する「再帰反射性」という用語は、斜め方向の入射光線をその入射方向に逆平行又はほぼ逆平行な方向に反射し、その結果、入射光線が光源又はその近傍に戻る属性を指す。入射方向は、一般に、標識又はマーカーの面法線から入口角だけ角度変位している。戻り光は、光源から変位している検出器(例えば、車両ヘッドライトに対して変位している人間の目)が読み取ることができるように、その入射方向から観測角度だけ角度変位していることが好ましい。入口角度と観測角度の両方が、標識又はマーカーに対する車両位置の関数として変化する。再帰反射シートとして知られる2つのタイプは、微小球ベースのシート及びキューブコーナーシート(しばしばプリズム形シートと呼ばれる)である。しばしば「ビード」シートと呼ばれる微小球ベースのシートは、入射光を再帰反射するように、通常少なくとも部分的に結合剤層に包埋され、関連する鏡面反射材料又は拡散反射材料(例えば、顔料粒子、金属フレーク、蒸着コーティング)を有する、多数の微小球を使用する。代表的な例は、米国特許第3,190,178号(McKenzie)、同第4,025,159号(McGrath)、及び同第5,066,098号(Kult)に記載されている。しばしば「プリズム形」シートと呼ばれるキューブコーナー再帰反射シートは、典型的にはほぼ平面の正面と複数のキューブコーナー要素を含む構造化された背面とを有する本体部分を含む。各キューブコーナー要素は、3つのほぼ相互に垂直の光学面を含む。実例は、例えば、米国特許第1,591,572号(Stimson)、同第4,588,258号(Hoopman)、同第4,775,219号(Appledornら)、同第5,138,488号(Szczech)、及び同第7,261,426号(Smithら)に記載されている。個々のキューブコーナーへの汚染物質の付着を防ぐために、シール層が、構造化された表面に適用され得る。例えば米国特許第5,450,235号(Smithら)に記載されている可撓性のキューブコーナーシートを本出願の実施形態又は実装形態に組み込むこともできる。本出願とともに使用するための再帰反射シートは、例えば、光沢がないものであっても、又は光沢のあるものであってもよい。
【0021】
再帰反射フィルムは、例えば、入口角度又は観測角度の関数として異なる光学通信を送る光を再帰反射するように設計することができる。例えば、再帰反射マーカー300から300メートル離れている車両600は、車両情報システム400に第1の光学信号を提供する光を再帰反射することができ、一方、再帰反射マーカー300から20メートル離れている車両600は、車両情報システム400に第2の光学信号を提供する光を再帰反射することができる。例えば、マーカー300として使用される再帰反射フィルムに関して、読取装置420が車両情報システム400の光源410から0.35メートルにある場合、観測角度は、200メートルにおいて0.1度であり、20メートルにおいて1.0度である。
【0022】
いくつかの実施形態では、マーカー通信情報の反射光は、特定波長の光である場合がある。例えば、マーカー通信情報は、IR又は近IR光を含み得る。IR又は近IRの光学通信は、可視光スペクトルでははっきりとは見えず、したがって、車両600のドライバーに視覚的な注意散逸をもたらすことはない。
【0023】
マーカー通信情報が特定波長の光である光学通信を含む実施形態では、マーカー300は、反射光を制御するための層を含む場合がある。一実施形態では、マーカー300は、反射光を制御するための多層光学フィルムを含む。一実施形態では、マーカー300は、波長固有インクを含む。
【0024】
例えば、マーカー300は、1つ以上の視覚的に透明な近赤外線反射多層光学フィルムを再帰反射シートに永続的に又は一時的に付着させることを含む場合がある。そのような付着は、例えば、接着剤の使用によって行うことができる。マーカー300上の視覚的に透明な近赤外線反射多層光学フィルムの領域の使用は、別の再帰反射光路から反射されるマーカー300上に入射する近赤外光などの特定の波長の光をもたらし、したがって、見る際は、多層光学フィルムを有しないマーカー300上の隣接領域と比較して高いコントラストの領域を作り出す。特定の波長は、マーカー通信情報を読み取る車両情報システム400から離れる方向に反射される。多層光学フィルムは、波長スペクトルの可視部分などの様々な波長領域において高透過率を有する効果的な波長固有反射鏡である。一方で、マーカー300上の像/グラフィックス/印/パターンは、可視光で見る際、多層光学フィルムの存在によって大きくは影響を受けないままである。視覚的に透明な波長固有反射多層光学フィルムは波長スペクトルの可視部分においてはっきりとは見えないので、多層光学フィルムを使用して作り出された像/グラフィックス/印/パターンは、波長スペクトルの可視部分において人間の目には見えず、ドライバーに視覚的な注意散逸をもたらさない。
【0025】
任意の特定の実装形態のために選択される多層光学フィルムは、所望の光学的特性、構造的特性、及び耐久性に依存する。したがって、望ましい多層光学フィルムは、意図される用途に基づいて変化する。いくつかの例示的な多層光学フィルムは、例えば、米国特許第6,024,455号及びPCT公開特許第WO95/17692号に記載されている。例示的な市販の多層光学フィルムとしては、例えば、Vikuiti Clear Card Filter、Solar Reflective Film、及びSM857が挙げられ、いずれもセントポールの3M Companyが製造している。特定の多層光学フィルムの反射率及び透過率のスペクトルは、部分的には、様々な軸に沿った個々の層の光学的厚さに依存し、実質的にフレネル係数によって決定される。フィルムは、選択される適切な光学的厚さによって、赤外線、可視光、又は紫外光を反射するように設計することができる。高分子層の屈折率の間の望ましい関係は、適切な材料及び適切な加工条件の選択によって達成することができる。
【0026】
代替的に又は組み合わせて、マーカー通信情報を提供するために、波長固有染料(例えば、赤外線反射染料又は赤外線吸収染料)が使用され得る。そのような染料の例示的な説明は、例えば、米国特許第2007/0082963号に見出すことができる。市販の赤外線反射染料は、例えば、H.W.Sands Corporation(フロリダ州ジュニパー)及びEpolin Corporation(ニュージャージー州ニューアーク)によって製造される染料を含む。多層光学フィルム、特に可視光高透過率を有する多層光学フィルムの使用の1つの例示的な利点は、近赤外線吸収染料と異なり、着色又は色変化を大いに回避するか、又は最小化することができることである。
【0027】
一実施形態では、マーカー300は、能動通信デバイスを更に含む。能動通信デバイスは、情報を読み取ることができ、読み取ることができる情報を含むデバイスである。能動通信デバイスでは、一定の状況下で情報を変更することができる。能動通信デバイスでは、マーカー通信は、動的な情報を含む。一実施形態では、マーカー通信情報は、光学信号、音声信号、電子信号、無線信号のうちの1つ以上を含む動的な情報である。一実施形態では、電子信号は、パルス発光ダイオード信号である。能動通信デバイスでは、一実施形態において、マーカー通信は、例えば、車両ベースのGPS位置情報を拡張し得る位置サービス情報又は場所サービス情報である。一般に、能動通信デバイスは、バッテリーなどのエネルギー源を有する。
【0028】
一実施形態では、マーカー300は、マーカー通信情報を提供するための1つ以上の材料又はデバイスを含む。一実施形態では、マーカー300は、受動通信デバイスと能動通信デバイスの両方を含む。一実施形態では、静的な情報と動的な情報の両方が、マーカー300から車両情報システム400にマーカー通信情報として提供される。
【0029】
車両情報システム400は、読取装置420及びプロセッサ430を含む。読取装置は、マーカー通信情報を検出することができる、任意の種類のデバイスである。プロセッサは、マーカー通信情報を出力情報に変換することができる、任意の種類のデバイスである。読取装置420の特定の態様は、マーカー通信情報のフォーマットに基づいて決定される。一実施形態では、読取装置420は、マーカー300から、光学信号、電子信号、聴覚信号、無線周波数信号、又はインターネットベースの信号のうちの1つ以上を受信することができる。
【0030】
マーカー通信情報を読み取るための車両情報システム400の場合、車両情報システム400は、最初にマーカー300を識別する必要がある。一実施形態では、マーカー300は、読取装置420及びプロセッサ430が認識するように設計された固有の再帰反射発散プロファイル又は再帰反射光の偏光の変化を含む、所定の形状、所定の色、又は所定の再帰反射特性を備える。所定の色は、不可視光波長を含む場合がある。一実施形態では、車両情報システム400は、マーカー通信情報を読み取って処理することにより、車両情報システム400が受信する情報からマーカー300を識別する。一実施形態では、車両情報システム400は、マーカー300の形状、色、又は再帰反射特性などの所定の特性を画像認識ソフトウェア又は文字認識ソフトウェアでマッチングすることによってマーカー300を識別する。
【0031】
一実施形態では、車両情報システム400の読取装置420は、マーカー通信情報を受信するためのカメラを含む。一実施形態では、車両情報システム400の読取装置420は、マーカー通信情報を受信するためのレンズ付きのカメラを含む。一実施形態では、車両情報システム400の読取装置420は、マーカー通信情報を受信するためのレンズ及び波長感知フィルタ付きのカメラを含む。一実施形態では、読取装置420は、人間の目に可視の波長の範囲外にあり得る特定の波長範囲のマーカー通信情報を受信する。一実施形態では、読取装置420によって受信されるマーカー通信情報の特定の波長範囲は、赤外(IR)又は近赤外(IR)である。
【0032】
読取装置420は、マーカー300のマーカー通信情報の機能に対応する。例えば、マーカー通信情報が光学通信である場合、読取装置420は、カメラ及びレンズを含む。マーカー通信情報が特定の波長範囲内の光学通信である場合、読取装置420は、波長固有カメラ及びレンズを含む。例えば、マーカー通信情報が無線信号である場合、読取装置420は、無線読取装置を含む。例えば、マーカー通信情報がRFID信号である場合、読取装置420は、RFID読取装置を含む。マーカー通信情報が1つ以上のタイプの情報を含むことができ、したがって、読取装置420がマーカー通信情報を読み取るための1つ以上の機能を有する場合があることが理解されよう。
【0033】
光学通信であるマーカー通信情報の場合、読取装置420に反射光を提供するための光源として周辺光が使用され得る。しかしながら、一般に、車両情報システム400は、マーカーの再帰反射特性を特に利用するためにマーカー300に光を向けるための光源410を含む。一実施形態では、光源410は、マーカー300に光を放射する。一実施形態では、光源410は、特定の波長範囲内でマーカー300に光を放射する。一実施形態では、光源410から放射される光の特定の波長範囲は、人間の目に可視の波長の範囲外にある。一実施形態では、光源から放射される光の特定の波長範囲は、近赤外(IR)である。
【0034】
車両情報システム400は、読取装置420が受信したマーカー通信情報を解釈し、マーカー通信情報を出力情報に変換するためのプロセッサ430を含む。プロセッサ430は、メモリなどの共通のコンピュータプロセッサ構成要素を含む。一実施形態では、プロセッサ430は、マーカー通信情報を解釈するためのソフトウェアコードを含む。一実施形態では、プロセッサ430は、パターン認識ソフトウェア又は光学文字認識ソフトウェアを含む。プロセッサ430は、送信機及び受信機を制御し、車両情報システム400から外部デバイスに出力情報などの情報を送信及び受信することが可能である場合がある。例えば、プロセッサ430は、インターネットベースの情報記憶システムに出力情報を送信する場合があり、今度は、そのシステムが、出力情報に関する包括的な情報をプロセッサ430に返送する。
【0035】
車両情報システム400は、マーカー300から車両600へのマーカー通信情報を受信する。一実施形態では、車両600は、マーカー通信情報を読み取り、マーカー通信を処理して出力情報にする車両情報システム400を含む。処理された出力情報は、ドライバーに視覚情報若しくは音声情報を提供する場合があるか、又は車両600の機能を制御する場合がある。
【0036】
いくつかの実施形態では、受信した何らかのマーカー通信情報を無関係にする、GPS情報又は他の位置情報などの情報が車両情報システム400に受信される場合がある。例えば、車が走行するレーンに関する情報は、何らかの道路標識をより関連性の高いものに、又はより関連性の低いものにすることがある。例えば、車がセンターレーンを走行している場合、「出口のみ」の標識は関連せず、車両情報システムは、そのマーカー通信情報を無視するようにプログラムされる場合がある。
【0037】
一実施形態では、車両情報システム400は、光、音声、電気、又は無線などの信号をマーカー300に最初に送信する、光源410などの送信源を含む。車両情報システム400は、戻ってきたマーカー通信情報を読み取り、マーカー通信を処理して出力情報にする。
【0038】
マーカー300は、マーカー300から車両600にマーカー通信情報を送信するように機能する。一実施形態では、マーカー300は、車両情報システム400の読取装置420によって読み取られ、視覚情報若しくは音声情報をドライバーに提供するか又は車両600の機能を制御し得る出力情報になるように処理されることが可能な、光学通信、音声信号、電気信号、無線信号、又はインターネットベースの信号のうちの1つ以上を送信する。一実施形態では、マーカー300は、車両情報システム400から、光、音声、電気、無線、インターネットベースなどの信号を受信する。次いで、マーカー300は、マーカー通信情報を車両情報システム400に戻す。
【0039】
マーカー通信情報は、標識通信情報、他の近隣重要道路標識、車道情報、又は近隣車道情報に関する情報を車両情報システム400に提供する場合がある。
【0040】
一実施形態では、出力情報は、機能がプロセッサ430によって適用されるように、車両情報システム400に記憶された情報とマッチングされる。例えば、マーカー通信情報は、100メートル先に「停止」の標識が存在するという情報を提供する場合がある。プロセッサ430は、「この先停止あり」というドライバーへの音声メッセージなどの任意の数の機能にマッチングすることができるか、又は、プロセッサ430は、車両600の制動を制御することができる。
【0041】
一実施形態では、出力情報は、インターネットベースの情報記憶システムに送信される。インターネットベースの情報記憶システムは、送信された情報に基づいて、地域の天気、地域の交通状況、近隣に位置する設備(車両、家、レストラン、又は会社など)、及び近づきつつある道路標識を含み得る包括的な情報を車両情報システム400内のプロセッサ430に返送する場合がある。例えば、マーカー通信情報は、インターネットベースの記憶システムへの、解釈され、固定されたIPアドレス又はURLを含むコードである場合がある。プロセッサ430は、この包括的な情報を車両600のドライバーに通信する場合がある。プロセッサ430は、車両600の態様を制御するために、この包括的な情報を使用する場合がある。
【0042】
例えば、マーカー通信情報が車両情報システム400内のカメラによって読み取られる光学通信である場合、プロセッサは、この光学通信を処理して、場所情報である出力情報にし、その出力情報をインターネットベースの情報記憶システムに送信する場合がある。インターネットベースの情報記憶システムは、場所情報に基づいて、地域の天気、地域の交通状況、近隣に位置する設備(車両、家、レストラン、又は会社など)、及び近づきつつある道路標識を含み得る包括的な情報を車両情報システム400内のプロセッサ430に返送する場合がある。プロセッサ430は、この包括的な情報を車両600のドライバーに通信する場合がある。プロセッサ430は、車両600の態様を制御するために、この包括的な情報を使用する場合がある。例えば、インターネットベースの情報記憶システムからプロセッサ430に受信された包括的な情報が100メートル以内に停止標識が存在することを示す場合、プロセッサ430は、車両600の制動を制御することができる。
【0043】
プロセッサ430は、特定のマーカーから受信されたマーカー通信情報をインターネットベースの情報記憶システムからの何らかの情報に関連づけることができるように、特定のマーカーを識別するための位置情報を受信する場合もある。例えば、マーカー通信情報が近くのホテルに関連した情報である既知の場所で受信される場合、そのマーカー通信情報を、ホテルに関する空室情報を含むように更新することができる。例えば、工事区間に関するマーカー通信情報が受信される場合、その場所に関する新たな変更、警戒メッセージ、又は迂回路を通信することができる。
【0044】
本発明の具体的な実施形態を本明細書中に示し及び説明してきたが、これら実施形態は多くの考えられる具体的な構成を単に例示しているにすぎず、構成は本発明の原理を適用して考案され得ることは理解されよう。多数の様々な他の構成は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、これらの原理により、当業者が考案することができる。したがって本発明の範囲は、本願に記載の構造に限定されるべきものではなく、特許請求の範囲の文言により述べられる構造及びそうした構造の均等物によってのみ限定されるものである。