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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】血塊吸引を制御する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20240122BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A61B17/22
A61M1/00 131
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2021501317
(86)(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 US2019043095
(87)【国際公開番号】W WO2020023541
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】62/702,804
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/778,708
(32)【優先日】2018-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521013149
【氏名又は名称】ペナンブラ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テイゲン、スコット
(72)【発明者】
【氏名】ロワゼル、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ポンズ、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】トンプキンス、ベン
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-510346(JP,A)
【文献】特表2009-506817(JP,A)
【文献】特表2018-508270(JP,A)
【文献】特開2016-030119(JP,A)
【文献】特表2017-532074(JP,A)
【文献】特表2018-510729(JP,A)
【文献】国際公開第2016/126974(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/054051(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空源及び吸引カテーテルと共に用いる真空吸引制御システムであって、前記真空吸引制御システムは、
前記真空源を前記吸引カテーテル又はその構成要素に接続するように構成された接続チューブと、
前記接続チューブに動作可能に結合されるように構成された開閉バルブと、
前記接続チューブ内の流れを検出して、そのような流れを表す信号を生成するように構成された検出部と、
前記接続チューブを通る流れを表す前記信号を受信し、前記開閉バルブを開閉するように構成されたコントローラであって、前記コントローラは、前記信号が無制限流を示すと、前記接続チューブを通る流れを停止させるために前記開閉バルブを自動的に閉じるように構成される、コントローラと
を備え
前記無制限流は、管閉塞血塊によって制限されていない流れであり、
医療目的で血管系から血塊を除去するための、真空吸引制御システム。
【請求項2】
前記コントローラは、無制限流が検出されると前記開閉バルブを閉じ、流れをサンプリングするために、ある時間間隔で前記開閉バルブを周期的に開き、無制限流が検出された場合、前記開閉バルブは再び閉じ、無制限流が検出されない場合、前記開閉バルブは開いたままになる、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
【請求項3】
前記コントローラは、無制限流に対して前記開閉バルブを閉じることと、流れをサンプリングするために前記開閉バルブを開くこととの間にサンプリング遅延を含む、請求項2に記載の真空吸引制御システム。
【請求項4】
無制限流が継続して検出された場合、前記サンプリング遅延は、継続時間が連続的に変化する、請求項3に記載の真空吸引制御システム。
【請求項5】
前記サンプリング遅延は、無制限流の測定値が連続するたびに、継続時間が増加する、請求項3に記載の真空吸引制御システム。
【請求項6】
前記流れがサンプリングされ、前記開閉バルブの開閉がミリ秒の時間枠で決定される、請求項2に記載の真空吸引制御システム。
【請求項7】
前記接続チューブ線状であり、前記真空源又はその構成要素に取り付けるように構成された第1の端部と、前記吸引カテーテル又はその構成要素に取り付けるように構成された第2の端部とを有する、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
【請求項8】
前記検出部は、差圧センサ、磁気流量センサ、音響流量センサ、光学流量センサ、感熱式流量センサ、及び前記接続チューブの円周膨張/収縮を検出するセンサのうちのいずれか1つ又は複数を有する、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
【請求項9】
前記検出部は、前記接続チューブに沿って配置され且つ差圧を測定する一対の圧力センサを有する、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
【請求項10】
前記開閉バルブは、前記開閉バルブを開くように動くピンチバルブ又はアングルバルブで構成されるソレノイド式アクチュエータを有する、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記開閉バルブを開き、無制限流が検出されて前記コントローラが前記開閉バルブを閉じるまで、前記開閉バルブを開けたままにするように構成される、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記信号が無制限流を示すと前記開閉バルブを閉じ、流れをサンプリングするために、ある時間間隔で前記開閉バルブを周期的に開き、流れが無制限流ではないことを前記信号が示すと前記開閉バルブを開いたままにする、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
【請求項13】
前記コントローラは、無制限流が検出されると前記開閉バルブを閉じ、流れをサンプリングして前記開閉バルブの開閉を決定するために、ある時間間隔で前記開閉バルブを周期的に開き、前記開閉バルブの開閉は、流れが依然として無制限流である場合には閉あり、前記開閉バルブの開閉は、流れが無制限流ではない場合には開ある、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記信号が無制限流を示すとサンプリングモードを開始し、前記開閉バルブは閉じて、流れをサンプリングするために、ある時間間隔で周期的に開き、前記サンプリングモードは、サンプリングした流れが無制限流ではないことを前記信号が示すと終了する、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
【請求項15】
前記コントローラは、前記信号が無制限流を示すと、前記接続チューブを通る流れを停止させるために前記開閉バルブを自動的に閉じるように構成され、前記コントローラは、ある時間間隔で前記開閉バルブを開くことで流れを周期的に検査して検査流を確定し、前記検査流が無制限流ではない場合、処置フローを再開する、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
【請求項16】
前記コントローラは、無制限流が検出されて前記コントローラが前記開閉バルブを閉じるまで、ユーザが前記開閉バルブを手動で開くことを可能にするように構成される、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
【請求項17】
前記真空吸引制御システムはさらに、ユーザが前記開閉バルブを手動で開くことを可能にするために、前記コントローラと通信する手動スイッチを備える、請求項16に記載の真空吸引制御システム。
【請求項18】
前記真空吸引制御システムは、少なくとも前記開閉バルブと前記コントローラとを組み込んだベースユニットを備える、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
【請求項19】
前記接続チューブは、前記真空源に接続するように構成された近位端と、前記吸引カテーテル内の吸引ルーメンに接続するように構成された遠位端とを有し、前記真空吸引制御システムはさらに、前記接続チューブの前記遠位端と前記近位端との間の位置で前記接続チューブに固定されるように構成された外部ユニットを備える、請求項18に記載の真空吸引制御システム。
【請求項20】
前記外部ユニットは、前記検出部の少なくとも一部を含む、請求項19に記載の真空吸引制御システム。
【請求項21】
前記検出部は、前記ベースユニット内に第1の圧力センサを、また前記外部ユニット内に第2の圧力センサを有し、前記コントローラは、前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサからの信号に基づいて差圧を決定するように構成される、請求項20に記載の真空吸引制御システム。
【請求項22】
真空源及び吸引カテーテルと共に用いる真空吸引制御システムであって、前記真空吸引制御システムは、
前記真空源を前記吸引カテーテル内の吸引ルーメンに接続するように構成された接続チューブと、
前記接続チューブに動作可能に結合されるように構成された開閉バルブと、
前記接続チューブ内の流れを検出して、そのような流れを表す信号を生成するように構成された検出部と、
前記接続チューブを通る流れを表す前記信号を受信し、前記開閉バルブを開閉するように接続されたコントローラであって、前記コントローラは、前記吸引カテーテルが管閉塞血塊のない血液を吸引していることを前記信号が示すと、前記接続チューブを通る流れを停止させるために前記開閉バルブを自動的に閉じるように構成される、コントローラと
を備える真空吸引制御システム。
【請求項23】
前記コントローラはさらに、前記接続チューブを通る流れをサンプリングするために前記開閉バルブを自動的に開き、前記吸引カテーテルが管閉塞血塊を有する血液を吸引していることを前記信号が示すと、開いたままにするように構成される、請求項22に記載の真空吸引制御システム。
【請求項24】
前記コントローラは、前記開閉バルブを開き、前記吸引カテーテルが管閉塞血塊のない血液を吸引していることを示す信号を前記コントローラが受信して前記コントローラが前記開閉バルブを閉じるまで、前記開閉バルブを開いたままにするように構成される、請求項22に記載の真空吸引制御システム。
【請求項25】
前記コントローラは、閉じた開閉バルブを周期的に開き、流れを表す新たな信号を受信して、前記開閉バルブを閉じたままにすべきかどうかを判定するように構成される、請求項22に記載の真空吸引制御システム。
【請求項26】
前記コントローラは、前記吸引カテーテルが管閉塞血塊のない血液を吸引したことを前記信号が示したときに前記開閉バルブを閉じてから、流れをサンプリングするために前記開閉バルブを開くまでの間にサンプリング遅延を含む、請求項25に記載の真空吸引制御システム。
【請求項27】
前記サンプリング遅延は、前記吸引カテーテルが血塊のない血液中に配置されていることを信号が連続して示すたびに、継続時間が増加する、請求項26に記載の真空吸引制御システム。
【請求項28】
前記検出部は、差圧センサ、音響流量センサ、磁気流量センサ、光学流量センサ、感熱式流量センサ、及び前記接続チューブの円周膨張/収縮を検出するセンサのうちのいずれか1つ又は複数を有する、請求項22に記載の真空吸引制御システム。
【請求項29】
前記検出部は、前記接続チューブに沿って配置され且つ差圧を測定する一対の圧力センサを有する、請求項28に記載の真空吸引制御システム。
【請求項30】
前記開閉バルブは、前記開閉バルブを開くように動くソレノイド式アクチュエータを有する、請求項22に記載の真空吸引制御システム。
【請求項31】
真空吸引制御システムの作動方法であって、
(c)前記真空吸引制御システムが接続チューブを通る流れを検出する段階と、
(d)検出された前記流れが無制限流である場合、前記真空吸引制御システムが前記接続チューブを通る流れを停止させるために、真空ポンプをオンにしたままバルブを自動的に閉じる段階と、
(e)前記真空吸引制御システムが前記バルブを開いて前記接続チューブを通る流れを再開する段階と、
(f)前記真空吸引制御システムが所望量の管閉塞物質が吸引されるまで、段階(d)と段階(e)とを繰り返す段階と
を備え
前記無制限流は、管閉塞物質によって制限されていない流れである、
真空吸引制御システムの作動方法。
【請求項32】
流れを検出する段階は、差圧測定、磁気流量測定、音響流量測定、光学流量測定、感熱式流量測定、及び前記接続チューブの円周膨張の測定のうちのいずれか1つ又は複数を含む、請求項31に記載の真空吸引制御システムの作動方法。
【請求項33】
流れを検出する段階は、吸引カテーテルの吸引ルーメンの近位端に結合された真空源に近接して配置される第1のセンサと、前記真空源と前記吸引カテーテルとの間の前記接続チューブ内に配置される第2のセンサとを用いて、差圧を測定する段階を有する、請求項31に記載の真空吸引制御システムの作動方法。
【請求項34】
前記接続チューブを通る流れを再開する段階は、検出された前記流れが無制限流ではないときを自動的に検出して、流れを自動的に再開する段階を有する、請求項31に記載の真空吸引制御システムの作動方法。
【請求項35】
検出された前記流れが無制限流ではないときを自動的に検出する段階は、固定時間間隔で流れを再開し、流れが無制限流ではないかどうかを前記固定時間間隔で検出する段階を有する請求項34に記載の真空吸引制御システムの作動方法。
【請求項36】
前記真空吸引制御システムの作動方法は、検出された前記流れが無制限流である場合に前記バルブを閉じてから、流れを検出するために固定時間間隔で流れを再開するまでの間にサンプリング遅延を含む、請求項35に記載の真空吸引制御システムの作動方法。
【請求項37】
前記サンプリング遅延は、無制限流を示す信号が連続するたびに、継続時間が増加する、請求項36に記載の真空吸引制御システムの作動方法。
【請求項38】
前記接続チューブを通る流れを再開する段階は、前記バルブを手動で開く段階を有する、請求項37に記載の真空吸引制御システムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2018年12月12日出願の米国仮特許出願第62/778,708号(代理人整理番号41507-730.102)と、2018年7月24日出願の米国仮特許出願第62/702,804号(代理人整理番号41507-730.101)とに基づく利益を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[1.本発明の分野]
本発明は概して、医療用機器及び方法の分野に関する。より具体的には、本明細書で説明される発明は、吸引血栓除去による患者の血管系からの血塊除去を制御する機器及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
脳卒中は、障害及び死亡の主要な原因となっており、世界的な健康管理にとって深刻さを増す問題である。米国だけでも毎年70万人を超える人々が、脳卒中を起こし、これらのうち、15万人を超える人々が死亡している。脳卒中から生還した人のうち、およそ90%が、軽度から重度に及ぶ長期間の運動障害、感覚障害、記憶障害、又は思考障害を患っている。米国の医療制度の負担総額は、年間で500億ドルを上回ると推定されている。
【0004】
脳卒中は、血栓塞栓症に起因する大脳動脈の閉塞(「虚血性脳卒中」と呼ばれる)によって、又は大脳動脈の破裂(「出血性脳卒中」と呼ばれる)によって引き起こされることがある。出血性脳卒中は、頭蓋内の出血を引き起こし、脳細胞への血液供給を制限して、繊細な脳組織に有害な圧力をかける。失血、腫脹、脳組織のヘルニア、及び頭蓋内部に血塊を形成することになる血液の貯留が全て、脳組織を急速に破壊する。出血性脳卒中は、処置の選択肢が限られた、命に関わる医療的緊急事態である。
【0005】
脳卒中のほかに、動脈循環及び静脈循環の両方における血管系全体にわたる血栓塞栓症が、多数の共通の命に関わる状態の特徴である。血栓性閉塞に起因した、死に至る可能性のある疾患の例には、肺動脈塞栓症、深部静脈血栓、及び急性肢虚血が含まれる。急性肺動脈塞栓症が米国内の主要な死亡原因であり、およそ30万人の患者が毎年死亡している。肺動脈塞栓症は深部静脈血栓による合併症を引き起こす可能性があり、その年間発生率は、60歳以上の患者では1%となっている。前述の疾患の全ては、処置が血塊及び/又は血液の吸引又は排出を含み得る状態の例である。
【0006】
本発明にとって特に関心があるのは、Penumbra System(登録商標)の機械的血栓除去システムが、特に吸引による機械的血栓除去用に設計された完全一体型システムであるということである。このシステムは、頭蓋内の大規模な血管閉塞に伴う急性虚血性脳卒中を患った患者の血管再生を目的としている。末梢血管系及び冠動脈血管系用に設計された類似のシステムであるIndigo(登録商標)Systemも、末梢血管系の血栓性閉塞を患った患者の血管再生用に設計された、機械的血栓除去用吸引システムである。Penumbra System及びIndigo Systemは両方とも、この仮特許出願の出願時点で市販されており、吸引又は再潅流用のカテーテル、吸引チューブ、他の付属品、及び吸引チューブ及び吸引カテーテルに接続する吸引ポンプ(Pump MAX(登録商標)吸引ポンプ又はPenumbra Engine(登録商標)吸引ポンプという商品名で販売されている)を含む。図1に示すように、Pump MAX(登録商標)吸引ポンプ10は、オフライン電圧で動作する真空ポンプ(不図示)を取り囲むベースユニット12を含む。ベースユニットは、オン/オフスイッチ14と、ポンプにより提供される真空レベルを調節する別個のノブ16とを有する。真空レベルは、圧力計18で読み取ることができる。血液及び血塊は、血塊を吸引するために患者の血管系に導入されている再潅流カテーテル(不図示)に接続された吸引チューブ22(破線で示す)から、回収キャニスタ20に吸い込まれる。血液及び血塊は、真空ポンプ(不図示)に接続された、ベースユニット12にある真空コネクタ28により提供される部分真空によって、回収キャニスタに吸い込まれる。真空コネクタ28による真空は、着脱可能な蓋26にある真空ポート24に適用される。真空コネクタ28は、外付け真空チューブ30により真空ポート24に接続される。
【0007】
Indigo Systemの機械的血栓除去装置又は他の同様な真空を使った血栓除去システムを用いる血塊吸引は、非常に効果的であるが、特に大型の吸引カテーテルを用いる場合には、過剰失血のリスクがあるため、患者により終了されなければならないことがある。吸引血栓除去時に、カテーテル先端が血栓又は他の閉塞物質との接触から外れた場合、その先端は健康な血液に曝露し、最高流量が生じる。そのような状態下では、失血速度が過大になり、場合によっては、この治療の中途終止をもたらすことがある。1つの例では、カテーテルが健康な血液に入り、最高流量が生じる治療において、失血速度は、8フレンチサイズのカテーテルを用いると20~25cc/秒の範囲内になる。300~1000mLの最大許容失血では、カテーテルは、約20~50秒を超える無制限モードで使用できない。医師がシステムを手動で動かす場合、十分な血塊が除去される前に、失血総量が許容できないレベルに達することがある。さらに、カテーテルの先端が血塊と接触しているのか、又は健康な血塊のない血液を不必要に吸引しているのかを確実に識別することが、重大な問題であり、そのような手動制御は最適ではない。
【0008】
Penumbra Systemを用いた、例えば、虚血性脳卒中を処置する神経血管の治療などの他の治療では、過度な血液の除去はそれほど危険ではなく、この治療の主目的は閉塞物質の除去を最大化することである。技法と吸引制御とを両方とも最適化することが、閉塞物質の除去を成功させるために最も重要である。
【0009】
したがって、ポンピングコンソールと組み合わせた吸引カテーテルを用いて、血栓及び血塊の吸引を制御する方法及び装置の改善を提供することが望ましいと言えるであろう。吸引カテーテルが血塊又は血栓と接触していない間は吸引を自動的に停止するなどによって、そのような吸引治療時の失血を制限するシステム及び方法を提供することができれば、特に有用と言えるであろう。さらに、システム性能を最適化するシステム及び方法、並びに閉塞物質を除去する治療を提供することができれば、望ましいと言えるであろう。これらの目的の少なくとも一部は、本明細書において以下に説明する発明によって満たされることになる。
【0010】
[2.背景技術の説明]
この仮特許出願の出願時点で市販されているPenumbra System(登録商標)は、「Science of Aspiration:The Penumbra System(登録商標)Approach」と題する小冊子に説明されている。関連する特許及び特許公報には、米国特許第4574812号、米国特許第5624394号、米国特許第6019728号、米国特許第6283719号、米国特許第6358225号、米国特許第6599277号、米国特許第6689089号、米国特許第6719717号、米国特許第6830577号、米国特許第8246580号、米国特許第8398582号、米国特許第8465467号、米国特許第8668665号、米国特許第9248221号、米国特許公開第2003/0050619号、米国特許公開第2010/094201号、米国特許公開第2014/323906号、米国特許公開第2014/276920号、米国特許公開第2016/0220741号、米国特許公開第2017/0238950号、米国特許公開第2017/049470号、国際公開第2014/151209号、及び国際公開第2010/045178号が含まれる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、より長い治療を可能にすることにより、閉塞物質の吸い込み力を高めることにより、又はその両方により、カテーテル吸引を向上させるシステム及び方法を提供する。いくつかの例において、真空吸引の下で吸引カテーテルを流れる流体の量は、その流れが制限されていないのか、制限されているのか、又は詰まっているのかを判定するために監視される。判定された流量の状態に応じて、本発明は、異なる技法及び方法を利用して、カテーテル吸引を向上させてよい。1つの例では、無制限流が検出され、血液を節減する目的で、吸引が自動的に且つ一時的に制限される。これにより、治療を行うのに使える時間を有益に延長することができるので、閉塞物質のより十分な除去が可能となる。別の例では、制限流が検出され、フルバキューム吸引が自動的に適用される。さらに別の例では、詰まったカテーテルが検出され、パルス式吸引が自動的に適用される。これにより、大きい、硬い、又は厄介な閉塞物の吸い込み力を有益に高めることができる。あるいは、パルス式吸引、最高吸引、又は制限された吸引が、本発明のユーザからの要求に応じて適用されてよい。
【0012】
1つの例において、本発明のシステム及び方法は、動的吸引サイクルによって、過剰失血の問題に対処する。過剰な失血のリスクを低減するために、本システムが閉塞しても継続的な吸引を可能とすることができるように、又はカテーテルの先端が血塊と接触しているかどうかを判定する摘出速度のサンプリングを可能とすることができるように、吸引カテーテルで引き出される物質の特性及び流動性が監視される。血流量の判定及び監視が以下に例示的な実施形態を用いて開示されるが、回収チャンバの容量を監視する、回収チャンバの充填速度を監視する、吸引チューブを目視で監視する(血塊は新鮮な血液よりも色が濃い)、又は吸引チューブに歪み計を配置するなどの、吸引排出物の流動性及び/又は構造組成についての他の測定法も用いられてよい。
【0013】
本発明のシステム及び方法は、流量、圧力、差圧、又は吸引カテーテルの内部若しくは吸引カテーテルに隣接する物質の組成に関する他の指標の変動に1秒未満の時間枠で応答し、血栓除去治療時の血液の不要な吸引を制限することができる。本発明は、あらゆる血栓除去法、塞栓除去法、粥腫除去法、又は他のカテーテルシステム若しくはプローブシステムに有用であってよく、ここでは、任意の再潅流、吸引カテーテル、又は血塊摘出用のプローブの近位端に真空を適用することにより、血液及び血塊が完全に又は部分的に引き出される。
【0014】
第1態様において、本発明は、真空源及び吸引カテーテルと共に用いる真空吸引制御システムを提供する。本システムは、柔軟な接続チューブと、開閉バルブと、検出部と、コントローラとを含む。接続チューブは、自由な構成の線状であり、真空源を吸引カテーテルの吸引ルーメンに接続するように構成される。開閉バルブは、接続チューブに動作可能に接続されるように構成され、検出部は、接続チューブ内の流量を測定し、典型的には無制限流、制限流、又は詰まっている、のうちのいずれかとして、そのような流れを表す信号を生成するように構成される。コントローラは、接続チューブを通る流れを表す信号を受信し、その信号に応答して1つ又は複数の開閉バルブを開閉するように接続される。1つの例において、信号が無制限流を示す場合、例えば、主に健康な血液若しくは管閉塞血塊のない血液が接続チューブを流れていること、及び/又はカテーテルが血塊若しくは他の閉塞物質と実質的に接触していないことを示す場合、コントローラは、開閉バルブを自動的に閉じて、接続チューブを通る流れを停止させるように構成される。別の例において、コントローラは、信号が閉塞を示す場合、パルス式吸引を開始するように構成される。この閉塞は、カテーテル若しくは接続チューブの中にある又はこれに隣接する何らかの閉塞物質によって引き起こされることがある。
【0015】
コントローラは典型的にはさらに、所定の間隔で開閉バルブを自動的に開いて、接続チューブを通る排出物質をサンプリングするように構成され、バルブは通常、信号が血塊への復帰を示す場合にだけ開いたままになる。コントローラアルゴリズムは、健康な血液と、吸引源とは無関係の血塊との違い、及び取り付けたカテーテルの内径を解読することが可能である。
【0016】
検出部は、差圧センサ、音響(超音波を含む)流量センサ、光学流量センサ、感熱式流量センサ、磁気流量センサ、及び接続チューブの円周膨張を検出するセンサなどを含む様々なセンサのうちのいずれか1つ又は複数を有してよい。差圧については以下でさらに詳細に説明されるが、接続チューブを通る流れ及び摘出速度が過大になったとき及び/又は詰まったときを検出できる検出部であれば、どれでも本発明に用いるのに好適であることが理解されるであろう。
【0017】
例示的な実施形態において、検出部は、一対の圧力センサを接続チューブに沿って離間した位置に有し、差圧を測定する。コントローラは、差圧に基づいて流量を計算し、これを基に、計算した流量が無制限流を示すのか、制限流を示すのか、又は閉塞を示すのかを判定することができる。
【0018】
別の実施形態において、検出部は、光の透過、吸収、又はその両方を測定して、接続チューブを流れる内容物を明らかにするのに光センサを用いる。そのような1つの例では、血塊を含む流れなのか、又は主に血塊のない流れなのかを判定するのに、可視光が用いられる。通常、血塊を含む流れは色が濃く、これは光センサで検出可能である。あるいは、光センサは、赤外光、紫外光、可視光、又は接続チューブ内の内容物を解析する何らかのそのような組み合わせであってもよい。
【0019】
別の実施形態において、検出部は、円周膨張センサを用いて、接続チューブを流れる内容物を判定する。接続チューブの内圧、及びそこを流れる内容物は、接続チューブの円周に影響を与える。閉塞時などの強い真空下では、チューブは最大限に収縮し得る。主に血塊のない血液の大流量では、チューブはわずかに収縮し得る。制限流では、血塊及び血液は、接続チューブの相対的な膨張を引き起こし得る。
【0020】
開閉バルブも、様々な特定の形態をとってよい。通常、形態に関係なく、開閉バルブは、ソレノイド式アクチュエータなどの、バルブを開くように動くアクチュエータを有する。バルブ自体は、ピンチバルブ、アングルバルブ、又は作動をもたらす様々な他のバルブのうちのいずれか1つを含む、様々な形態をとってよい。あるいは、ユーザが本発明の機能及び特徴を開始及び/又は終了できるようにする手動式開閉バルブが提供されてもよい。
【0021】
さらなる例示的な実施形態において、コントローラは、無制限流を示す流れのパターンが検出されてコントローラがバルブを閉じるまで、バルブを開き、バルブを開いたままにするように構成されてよい。コントローラはさらに、開閉バルブを自動的に再度開くように構成されてよい。例えば、「サンプリングモード」と呼ばれることがあるモードにおいて、コントローラはさらに、周期的にサンプリングして(つまり検査流を取って)、流れを再度明らかにし、吸引を再開しても安全かどうかを判定するように構成されてよい。例えば、コントローラは、開閉バルブを固定時間間隔(1つの実施形態においては150ミリ秒)だけ開くことにより、流れを周期的に検査して「検査」流を確定してよい。この検査流が明らかにされて、安全であると示すならば、開閉バルブを再度開いて、吸引処置の継続を可能にする「処置」モードに入ってよい。システムが流れを制限されていない(例えば、流れが過大である)とみなした場合、システムは、さらなる圧力差のサンプリングが取られる前に、固定時間間隔(1つの実施形態においては、0.25秒~2秒)だけ閉じた構成で一時休止する。
【0022】
しかしながら、他の事例において、コントローラは、安全な状態に達している場合には、自動的に流れを再確定するように構成されていなくてもよい。例えば、コントローラは、ユーザが吸引カテーテルを再配置し、再配置後に開閉バルブを手動で開いて(通常は、コントローラに開閉バルブを開かせるスイッチを作動させることで)、吸引処置を再開できるように構成されてよい。そのような例において、コントローラは直ちに「サンプリングモード」に戻ってよく、しかしながら、再確定された流れが無制限流とみなされる場合、コントローラは開閉バルブを再度閉じることになり、ユーザは、血塊に係合させるために吸引カテーテルをあらためて再配置して、吸引を手動で再開することができる。そのようなシステムは通常、ユーザが開閉バルブを手動で開くことを可能にする手動スイッチを提供する。
【0023】
コントローラは、2つ又はそれより多くのバルブを制御するように構成されてよい。1つの例において、コントローラは、吸引カテーテルと真空源との間にある第1の開閉バルブと、吸引カテーテルと少なくとも真空源の圧力を超える圧力を有する圧力源との間にある第2の開閉バルブとを制御する。コントローラは、第1の開閉バルブと第2の開閉バルブとを交互に開いて、吸引カテーテル又はそのようなカテーテルに隣接するチューブの中に圧力変動を発生させてよい。コントローラは、第1の開閉バルブが開いている間に流れをサンプリングし、取り付けたカテーテルがまだ血塊に位置しているのか、又は他の理由で閉塞しているのかを判定してよい。コントローラは、閉塞物又は詰まり物が検出されなければ、第1の開閉バルブを開き且つ第2の開閉バルブを閉じた状態に保ってよい。
【0024】
特定の実施形態において、本発明の真空吸引システムは、少なくとも1つの開閉バルブとコントローラとを組み込んだベースユニットを有する。ベースユニットは通常、真空ポンプ若しくは真空コンソールに直接的に又はその近くに取り付けられるように構成され、たいていは真空コンソール又は電線から電力を受け取るために接続ケーブルを含み、任意選択で、コントローラ及び真空コンソールと情報を交換する。接続チューブは通常、真空源を接続するように構成された近位端と、吸引カテーテルに接続するように構成された遠位端とを有する。そのような例において、真空吸引システムは通常さらに、接続チューブの遠位端と近位端との間の位置で接続チューブに固定されるように構成された外部ユニットを有する。例示的な外部ユニットは、検出部の少なくとも一部を含む。例えば、検出部は、ベースユニットに第1の圧力センサを含み、外部ユニットに第2の圧力センサを含んでよい。これらの事例において、コントローラは通常、第1の圧力センサ及び第2の圧力センサからの信号に基づいて、差圧が存在するかどうかを判定するように構成される。
【0025】
第2態様において、本発明は、真空吸引方法を提供する。真空吸引方法は、吸引カテーテルの遠位端を血管内の閉塞物に係合させる段階を含む。真空が、吸引カテーテルの吸引ルーメンを通じて、吸引ルーメンの近位端に結合された真空源を用いて、接続チューブによって適用される。このように、血塊及び他の閉塞物質の一部が、真空源によって接続チューブを通って吸引ルーメンに、さらに回収容器に吸い込まれ得る。接続チューブを通る流れが検出され、検出された流量が、真空源がオンのままである間に決められた値を超えた場合、接続チューブを通る流れを停止させるためにバルブが自動的に閉じられる。接続チューブを通る流れはその後、バルブを開くことで再確定され、所望量の血塊が吸引された状態になるまで、これらの段階が繰り返される。
【0026】
第3態様において、本発明は、摘出サイクルを実行する圧脈をもたらし得る圧力差を発生させるためのアセンブリを提供する。本アセンブリは、流体注入装置、機械的変位装置、重力による圧力水頭、又はこれらの組み合わせを含んでよい。流体注入装置は、現在真空吸引が行われている又は以前に行われたカテーテルに、相対的に陽圧の圧力源を提供してよい。例えば、流体は、真空吸引システムの圧力を超える圧力、フルバキューム圧と周囲圧力との間、周囲圧力、周囲圧力と収縮期圧との間、収縮期圧、又は収縮期圧を超えてもよい。流体注入装置は、開口、バルブ、ポンプ、圧力チャンバ、又は何らかのそのような組み合わせを利用してよい。機械的変位装置は、カテーテルシステムの容量を物理的に変位させ、変位の方向に応じて、圧力の相対的な増加及び減少を提供してよい。1つの例では、カテーテルがその圧力を真空源の圧力を超えて増加させた後に、機械的変位アセンブリが真空回復を補助する。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態において、コントローラは、圧力センサの信号を分析して、カテーテルを流れる内容物が制限されていないとみなされるのか、制限されているとみなされるのか、又は詰まっているとみなされるのかを判定するのに用いられるアルゴリズムを含む。概して、無制限流は、過大とみなされ得る大流量であり、健康な血液、血塊のない血液、又は吸引に役立たない管閉塞血塊のない血液で主に又は完全に構成されてよく、制限流は、健康な血液と血塊又は他の閉塞物質との混合物で構成されてよい。閉塞は、吸引カテーテル内に存在する、吸引カテーテル内に部分的に存在する、吸引カテーテルに隣接して存在する、又は吸引カテーテルに取り付けた他の接続チューブ内に存在する血塊又は他の閉塞物質によって生じ得る。いくつかの例では、健康な血液とは、架橋フィブリンの割合が十分に低い血液であり、そのため、虚血又は他の同様な血管閉塞を引き起こすほど、フィブリンは十分に結合していない。アルゴリズムは、無制限流を検出すると、システムがサンプリングモードを開始するようにしてよい。アルゴリズムは、制限流を検出すると、システムがフルバキューム吸引を可能にするようにしてよい。アルゴリズムは、閉塞物を検出すると、システムが様々な圧脈をある摘出サイクルで発生させるようにしてよい。アルゴリズムは、治療中に異なるサイズのカテーテルに変更するなどの環境変化に応答し、適合可能であってよい。アルゴリズムは、カテーテルの状態が変化しないままである、状態の変化が速すぎる、状態の変化が遅すぎる、又は状態が期待した通りに改善している場合、サンプリングモード及び圧脈の大きさを調節してよい。
【0028】
本方法の特定の態様において、本発明は、血塊及び他の閉塞物質を静脈又は動脈を含む血管から除去してよい。流れを検出する段階は、差圧測定、音響流量測定、光学流量測定、感熱式流量測定、及び接続チューブの円周膨張の測定などのうちの1つ又は複数を含んでよい。
【0029】
本方法の好ましい態様において、流れを検出する段階は、真空源に近接して配置される第1のセンサと、真空源と吸引カテーテルとの間の接続チューブに配置される又はその接続チューブに隣接して配置される第2のセンサとを用いて差圧を測定する段階を含む。
【0030】
本方法のさらなる実施形態において、接続チューブを通る流れを再開する段階は、1秒未満の間隔でバルブを開き、検出された流れが許容できるとみなされるときを検出し、自動的に流れを再開する段階を含む。流れを自動的に再開する段階は通常、検出された流れが許容できるとみなされ得るときを自動的に検出する段階を含み、その流れが許容できるとみなされる限り、バルブが開いたままになる。あるいは、流れを再開する段階は、開閉バルブを手動で開く段階を含んでもよい。
【0031】
本方法のさらなる実施形態において、真空ポンプへのバルブを閉じ、圧力源(この圧力は少なくとも真空の圧力を超える)へのバルブを開き、その後、真空ポンプへのバルブを再度開くことで圧力差が発生する。あるいは又は組み合わせて、圧力差は機械的変位で発生する。ここでは、チャンバの容量が減少して、カテーテル内の圧力が増加し、またチャンバの容量が増加して、カテーテル内の圧力が減少する。こうして、機械的変位チャンバの作動が圧力差をもたらす。圧力差は、血塊又は他の閉塞物質の除去を容易にする特定の又は動的な振幅及び周波数を有するように調整されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】上記の発明の背景で詳細に説明したPenumbra System(登録商標)の機械的血栓除去システムの回収キャニスタ付き真空コンソールを示す。
【0033】
図2】真空コンソール及び血液・血塊回収キャニスタの斜視図であり、回収キャニスタが真空コンソールの取り付け部に受け入れられている。
【0034】
図3A】真空コンソールを、回収キャニスタを取り外した状態で示した図である。
【0035】
図3B】電源オフの状態で示す、図3Aの真空コンソールの上面にあるオン/オフスイッチ及び真空圧表示部の詳細図である。
【0036】
図3C図1図3Aの真空コンソールの内部構成要素の概略表現である。
【0037】
図4】回収キャニスタを示す。
【0038】
図5図4の回収キャニスタの実施形態を、逆にした又は「上下逆さま」にした見方で示す。
【0039】
図6図4及び図5の真空キャニスタの分解図である。
【0040】
図7A】すでに示したものと同様の回収キャニスタ付き真空コンソールを示しており、真空吸引制御システムがそこに取り付けられている。
図7B】すでに示したものと同様の回収キャニスタ付き真空コンソールを示しており、真空吸引制御システムがそこに取り付けられている。
【0041】
図8A】本発明と共に用いるのに好適なタイプの外部ユニットを示す。
図8B】本発明と共に用いるのに好適なタイプの外部ユニットを示す。
【0042】
図9】真空吸引制御システムに用いるのに好適なタイプの開閉バルブ及びコントローラを取り囲む例示的なベースユニットを断面図で示す。
【0043】
図10】フィッティング及び圧力センサを含む内部構成要素を示す例示的な外部ユニットを透視図で示す。
【0044】
図11】本発明の開閉バルブとして用いられ得るタイプのアングルバルブを断面図で示す。
【0045】
図12】コイル状チューブに接続されたアングルバルブの等角図であり、キャニスタ上面に取り付けられたコイル状チューブの各端部には圧力センサがある。
【0046】
図13】本発明と共に用いるのに好適なアルゴリズムの一例を示す。
【0047】
図14】本発明に用いるのに好適な、例示的なパルス式流体注入アセンブリを示す。
図15】本発明に用いるのに好適な、例示的なパルス式流体注入アセンブリを示す。
図16】本発明に用いるのに好適な、例示的なパルス式流体注入アセンブリを示す。
図17】本発明に用いるのに好適な、例示的なパルス式流体注入アセンブリを示す。
図18】本発明に用いるのに好適な、例示的なパルス式流体注入アセンブリを示す。
【0048】
図19】本発明を用いて圧力を操作するための機械的変位アセンブリを示す。
【0049】
図20】パルス式吸引の1つの実施形態のグラフ表示を示しており、カテーテルの内圧が時間と共に変化している。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本願の発明の一部の実施形態が以下に説明される。明確にするために、それぞれの実際の実装例の特徴全てを、本明細書に説明してはいない。実際のデバイスの発展に伴い、依然として本発明の範囲に含まれる実施形態をもたらす一部の修正が行われてよい。
【0051】
図2図6を参照して、本発明の血塊吸引を制御する装置及び方法に有用なタイプの真空システム40が説明される。真空システム40は、真空コンソール42と、血液/血塊回収キャニスタ44とを含む。真空コンソール42は、以下でさらに詳細に説明されるように、回収キャニスタ44を着脱可能に受け入れるように加工された凹部48を有する筐体を有する。
【0052】
図3A図3Cを参照すると、真空コンソール42は、真空キャニスタ44を取り外して示されている。筐体46の外面又は壁の連続部分を形成する支柱50が、凹部48に形成され、回収キャニスタ44を凹部に受け入れたときに回収キャニスタ44の支持物の役割を果たす底板56から上向きに延在している。真空コネクタ52及び圧力検出コネクタ54が、支柱50の上面に形成され、それらが、真空キャニスタ44を凹部48に受け入れたときに、圧力検出ポート104及び真空ポート102(図5)と合致するように配置されている。1つの光源58が凹部48内の筐体44の壁面に配置され、システムが使用中のときに、回収キャニスタ44の内容物を照らすように配置されている。第2の光源(図3Aには見えていない)が、凹部48の反対の壁に存在している。真空コンソール42は、その上面にオン/オフスイッチ60も有している。オン/オフスイッチ60は、オンにすると(図2及び図3Aに示すように)点灯し、システムがオフになると消灯する(図3B)。さらに、圧力表示部62が筐体46の上面に設けられている。図2及び図3Aに示すように、この表示部は、例えば、キャニスタ内の真空レベルが高くなるにつれて連続的に点灯する4つの分割部を有する円形の光源であってよい。それぞれの四分円は、周囲圧力の割合として、測定した真空度を表している。
【0053】
真空コンソール42の内部構成要素は、図3Cに概略的に示されている。真空コンソールの主な内部構成要素には、圧力センサ64、ポンプ68、電源72、及びマイクロプロセッサコントローラ74が含まれる。ポンプ68は、筐体46の支柱50にある真空コネクタ52に接続される吸入口を有する。同様に、圧力センサ64は、支柱50にある圧力検出コネクタ54に接続される。ポンプは、スイッチ60でオンにすることができ、コネクタ52を通じて真空に引き、除去された気体をコンソールの内部に放出する。コンソールは次に、筐体46の底面にある通気口70によって換気される。
【0054】
ポンプの機能は、マイクロプロセッサコントローラ74で制御され、センサ64から出力される圧力もマイクロプロセッサコントローラ74を経由する。光源58、スイッチ60、及び表示部62のそれぞれは、電源72によって電力を供給されるマイクロプロセッサコントローラ74に接続される。電源72は、線路電流コネクタ72Aを通じて電力を供給される。USBコネクタ72Bは、マイクロプロセッサコントローラ74によって電力を供給される。ポンプは、ポンプに供給されている電源コードを介してコンセントにつながれる。電源は、壁のコンセントからのAC電流を、マイクロプロセッサコントローラがポンプ、スイッチ、光源、USBコネクタなどに電力を供給するのに用いるDC電流に変換する。
【0055】
特定の例において、圧力センサ64はマイクロプロセッサコントローラ74に接続され、圧力検出コネクタ54を通じてキャニスタ内の真空圧を測定する。第2の圧力センサ(不図示)もマイクロプロセッサコントローラ74に接続され、ポンプのベースにある通気口に通じる内部チューブを通じて、ポンプ筐体の外側の周囲圧力を測定する。マイクロプロセッサコントローラは、真空圧の測定値を圧力センサ64から取得し、その測定値を第2の圧力センサによる周囲圧力の測定値で除算して、キャニスタ内の真空圧を周囲圧力の割合として計算する。
【0056】
ここで図4図6を参照すると、回収キャニスタ44は、示された形状に成形される、滑らかで透明なプラスチック材料から典型的に形成される本体78を有する。本体78は、着脱可能な透明プラスチックの蓋80で覆うことができる開放上端76を有する。透明プラスチックの蓋80は通常、バヨネットコネクタ82で取り付けられ、フォームガスケット又は他のガスケット84で、本体78の開放端部に対して蓋を密閉する。
【0057】
溝94が本体78の片側に形成され、真空コンソール42の筐体46の凹部48にある支柱50に配置できるように加工されている。図5に最もよく見られるように、圧力検出ポート104及び真空ポート102は、これらが、キャニスタ44が凹部48の所定の位置に置かれたときに、支柱50にある真空コネクタ52及び圧力検出コネクタ54に合致して接続するように、溝94の上端部に配置されている。
【0058】
圧力検出ポート104は、キャニスタ44の本体48内で上向きに延在し且つ上部開口部又は開口106で終端するチューブ又はルーメンに接続される。同様に、真空ポート102は、はるかに大きいルーメン又はチューブを通って上向きに延在し且つ上端部にある開放開口108で終端する。開口106及び108は、本体78の内部の上面近くに配置されているが、蓋80がキャニスタ44の所定の位置に置かれた場合、蓋の底部より下にくる。したがって、開口106及び108は両方とも、キャニスタ44の内部に曝露されるが、血塊及び血液が集まっている中間部及び底部より十分上に保たれる。このように、血液及び血塊による汚染のリスクが最小限に抑えられる。
【0059】
穴のあいた仕切りとして示されているが、網目状の仕切り又は他の分離部材もあり得るフィルタプレート86が、キャニスタ44の本体78の内部の中間部に保持されている。血塊は、カテーテル又は他のチューブの近位端に取り付けられたコネクタ110を通って、キャニスタの内部に吸い込まれる。血塊及び血液は、すでに説明したように、真空コンソール42によって真空ポート102を通って真空に引かれ、本体78の内部に吸い込まれる。血塊及び血液がコネクタ110からキャニスタ44に下向きに降下すると、血塊はフィルタプレート86の上面に集まり、血液はプレートの穴を通過してキャニスタの底部に集まる。キャニスタの内部にある支柱90に取り付けられるスリーブ88からプレートが下向きに傾いているので、過剰な血液は、プレートの裏側に形成され且つ血液がキャニスタの底部に直接的に流れ落ちることを可能にする開放バイパス領域100(図4)を流れ得る。フィルタ本体92は、支柱90及び開口108の内部を占有し、摘出物質が筐体42の内部を汚染するのを防いでいる。フィルタ本体92は、支柱90の内部を占有し、開口108まで延在している。したがって、フィルタ本体は、摘出物質が筐体42の内部を汚染するのを防ぐことができる。キャニスタ44の本体78の片側に溝94が形成され、溝94は、真空と圧力検出コネクタ及び真空ポートとを合致させるために、筐体46の凹部48にある支柱50に受け入れられる。ガスケット96がさらに、真空ポートと真空コネクタとの間の密閉部に設けられる。
【0060】
図7A図19で説明される血塊吸引を制御する例示的な装置及び方法が、先ほど説明したように、真空システム40と共に用いられてよいが、本明細書において説明され且つ請求される本発明は、任意の特定の真空コンソールと共に用いるように限定されることはなく、その代わりに、過剰な血液吸引、閉塞、又はその両方のリスクがある真空ポンプ又は他の真空源と組み合わせた血栓除去又は他の血管吸引カテーテルを含む、任意の血塊又は他の血管血栓除去又は吸引システムに有用であることが理解されるであろう。
【0061】
図7A及び図7Bは、本発明の原則に従って血塊吸引の制御を行い、ベースユニット210と外部ユニット204とを有する、例示的なシステム200の1つの例を示す。接続チューブ206の近位端がベースユニット210に接続され、外部ユニットは、近位端から離間した(通常、流れについて結論を下すのに十分な、ある程度の距離だけ離れた)位置で接続チューブに固定される。外部ユニット204は、吸引カテーテルのハブ又は他の近位端に直接的に接続するように構成されてもよく、又は接続チューブの中央に接続されるように構成されてもよい。接続チューブは、自由な構成の線状であり、その長さに沿って柔軟である。
【0062】
ベースユニット210は、すでに説明した真空コンソール40の回収キャニスタ44に取り付けられた蓋26の上に直接的に置かれるように構成されてよい。通常、通信ケーブルが、ベースユニット210から接続チューブ206の一部を通って真空コンソール40に取り付けた接続容器に延在することによって、ベースユニットは真空コンソールによって電力を供給されてよく、任意選択で、真空コンソール内のコントローラとデータをやり取りすることができる。
【0063】
図7Bに示すように、外部ユニット204aが、真空コンソール40及び制御された血塊吸引システム200を用いて処置を開始するスイッチを含んでよい。このスイッチは、システムをオフにしてもよく、これにより、流れがないと確実にシステムがオフになるアルゴリズムのマニュアルオーバーライドが提供される。スイッチがオンの場合、システムは直ちにアルゴリズムモードに入ってよい。このモードでは、圧力センサ測定値に応答して、開いたままにする、サンプリングモードに入る、又は摘出サイクルを開始することを決定する。外部ユニット204aのさらなる詳細が、図8A及び図8Bに示されている。
【0064】
ここで図9を参照すると、例示的なベースユニット200bが、多数の構成要素を受け入れる広い内部空洞218を有するベースユニット筐体216を含んでよい。例えば、通常、プリント回路基板上にマイクロプロセッサを含むコントローラ220は、チューブセグメント228と接続チューブ206の近位端との間に圧力フィッティング226で固定された圧力センサ224と一緒に空洞218の中に取り付けられてよい。チューブセグメント232は、折りたたみ可能であり、ソレノイド230で駆動するピンチバルブ228内に配置されてよい。ピンチバルブ228は、ソレノイド230がピンチバルブ228を開かない限り、圧縮スプリング(見えていない)によって閉位置へと付勢されてよい。ベースユニット200bはさらに、キャニスタ44の蓋26にある真空フィッティング(不図示)に着脱可能に固定されるように構成される接続フィッティング222を含む。コントローラ220は、ピンチバルブ228を開閉して、チューブセグメント232を通って吸引カテーテルから回収キャニスタに血塊及び血液が流れるのを、それぞれ可能にしたり防いだりするように構成される。任意選択で、ベースユニット200bは、上級レベルのユーザが本システムの様々なパラメータを制御するために、プリント回路基板220と電子的なやり取りを行うボタン(描かれていない)を含んでよい。さらなる実施形態において、本発明のベースユニットが、圧力チャンバ、流体源、さらなる開閉バルブ、又は何らかのそのような組み合わせを収容してもよく、又はこれと連通してもよい。
【0065】
ここで図10を参照すると、例示的な外部ユニット204が、内部空洞にフローフィッティング242を有する外部ユニット筐体240を含む。フローフィッティング242は、例えば図7B図8A、及び図8Bに示すように、接続チューブ206の部分206a及び206bに接続されてよい。第2の圧力センサ246が、プリント回路基板248と筐体240の内部空洞内にも取り付けられてよく、圧力センサの出力は、従来のUSBポート及びプラグであってよい信号/電力コネクタ250と結合信号電力コネクタ252とを介して接続され得る接続ケーブル(不図示)を介してコントローラ220に供給されてよい。接続ケーブル206は、例えば図9に示すように、デュアルルーメンを有してよく、これらのルーメンのうちの一方は、外部ユニットとベースユニットとの間の通信ケーブルを通すのに用いられてよく、もう一方のルーメンは流体フローに対応する。さらなる実施形態において、本発明の外部ユニットが、圧力チャンバ、流体源、さらなる開閉バルブ、又は何らかのそのような組み合わせを収容してもよく、又はこれと連通してもよい。
【0066】
ベースユニットに第1の圧力センサ224を、外部ユニット240に軸方向に分離した第2の圧力センサ246を提供することにより、接続チューブを通る物質の流量は、測定された差圧に基づいてコントローラによって計算され得る。コントローラは、圧力差と流量を解析して、吸引カテーテル、接続チューブ、又はその両方を流れる内容物を判定してよい。
【0067】
例示的な実施形態において、コントローラは、カテーテルの内容物の状態を、無制限流、制限流、又は詰まっているとみなす。1つの例において、離間した圧力センサ間の高い圧力差が、主に健康で血塊のない血液、又は管閉塞血塊のない血液で構成され得る無制限流を示す。いくつかの例では、健康な血液とは、架橋フィブリンの割合が十分に低い血液であり、そのため、虚血又は他の同様な血管閉塞を引き起こすほど、フィブリンは十分に結合していない。そのような健康な血液を最高吸引で吸引すると、吸引治療の中途終止を必要とし得る過剰失血が生じることがある。別の例では、安定しない中程度の又は低い圧力差が、血塊、閉塞物質、及び血液で構成され得る制限流を示す。そのような流れでは、最高吸引が役立つかもしれない。別の例では、わずかな圧力差又はゼロに近い圧力差が閉塞を示す。そのような流れ、又は流れがない場合では、摘出サイクルが役立つかもしれない。しかしながら、流量の増加及び閉塞物を検出するのに差圧を用いることは代表的な例であり、他の流量測定及び物質特性測定の技法が、本発明の範囲内で使えるであろう。
【0068】
ここで図11を参照すると、ベースユニット200に示されるピンチバルブ228の代わりに、アングルバルブ260が利用されてよい。アングルバルブは、真空キャニスタ(不図示)のコネクタに固定されるコネクタ262と、次いで吸引カテーテルに接続される接続チューブ206に接続され得るフィッティング266とを有する。通常、ソレノイド268が、バルブステム270及びバルブシート272を開閉するために存在する。1つの例において、本発明のバルブは、吸引を可能にするために開き、吸引を遮断するために閉じる。あるいは、本発明のバルブは、流体が吸引チューブ及び/又は吸引カテーテルに入ることを可能にするために開いてよく、流体を遮断するために閉じてよい。
【0069】
ここで図12を参照すると、圧力センサは、キャニスタキャップ278にしっかりと取り付けられ得る単一のベースユニット276に一体化されてよい。この例では、第1の圧力センサ282及び第2の圧力センサ284が、コイル状フローチューブ280の対向する端部に取り付けられることにより、差圧が測定され得る。所望の開閉式流量制御を提供するために、アングルバルブ286が、コイル状フローチューブ280の出口に直接的に固定されてよい。
【0070】
ベースユニット200のコントローラ220は、圧力センサデータを受信して解析し、開閉バルブ(例えば、ピンチバルブ228(図9)又はアングルバルブ286(図12)若しくは260(図11))を開閉するアルゴリズムを実装してよい。本アルゴリズムは、1秒当たりに数百回入力される圧力データを受信して解析する。データは、取り付けたカテーテルの直径を判定し、カテーテル及び吸引チューブを流れる内容物を判定し、流量を判定するために集められる。
【0071】
1つの実施形態において、コントローラ220は、圧力センサデータを使用して吸引カテーテルを流れる内容物を解析し、無制限流、制限流、又は詰まっているとみなすアルゴリズムを実装する。無制限流のカテーテルが、主に健康で血塊のない血液、又は管閉塞血塊のない血液を吸引している。混合流のカテーテルが、血塊、閉塞物質、及び血液の混合物を吸引している。全く流れがないかそれに近いカテーテルが、詰まっている又は閉塞している。アルゴリズムは、過大な量の血液が吸引されていると判定した場合、これは無制限流のカテーテルではよくあることだが、失血を減らすために吸引を制限してよい。アルゴリズムは、カテーテルが制限流であると判定した場合、通常、最高吸引を可能にする。アルゴリズムは、カテーテルに全く流れがないかそれに近い状態であると判定した場合、あらゆる詰まり物又は閉塞物を除去するのに役立つ摘出サイクルを開始してよい。本明細書で用いられる場合、用語「血塊」は、血管系に見られるあらゆる閉塞物質、例えば、血栓、塞栓、プラーク、閉塞物質、血管閉塞物、又は任意の他の閉塞性物質などを包含するものと理解されたい。説明を簡潔にするために、血塊は、そのような閉塞物質全てを指している。
【0072】
図13は、圧力差(「ΔP」)を用いて流量を判定し、判定した流量に基づいて、本発明の開閉バルブを制御するアルゴリズムの一例を示す。図示したアルゴリズムの論理ツリーにおいて、第1段階は、何らかの検討期間にわたって最大圧力差ウィンドウ及び最小圧力差ウィンドウを測定し、この検討期間後に瞬間圧力差を取得して、瞬間圧力差と最大圧力差ウィンドウ及び最小圧力差ウィンドウとを比較することであり、これらは徐々に更新される。瞬間圧力差が検討期間の最小圧力差より少ない場合、アルゴリズムは、システムが血塊で閉塞した状態にあると判定して、システムに最高吸引を継続するよう命令する。一方、瞬間圧力差が最小圧力差を超えている場合、アルゴリズムは、瞬間圧力差が最大圧力差と信頼区間とを乗算した積を超えるかどうかを判定し、超えない場合には、アルゴリズムは最高吸引を許可し、超える場合には、アルゴリズムは吸引を制限して失血を限定し、サンプリング状態に入る。サンプリング状態では、吸引が短時間の増加に限られ、新たな瞬間圧力差の測定値を新たなものにする。どちらの場合にも、吸引が許可されるときはいつでも、アルゴリズムは、瞬間圧力差の測定値を継続的に取得し、その測定値を、治療の間に収集された最大圧力差及び最小圧力差と比較する。1つの例では、無制限流(例えば、オープンフロー)が検出されると、アルゴリズムはサンプリング状態をもたらす。別の例では、血塊が検出されると、アルゴリズムは最高吸引を開始するか、又はパルス式吸引を用いて摘出サイクルを開始する。
【0073】
1つの実施形態において、本発明は、カテーテルが無制限流を有するのか、制限流を有するのか、又は詰まっているのかという、例えばカテーテルの状態を、流量とそのような状態との相関関係に基づいて判定する相関アルゴリズムを利用する。別の実施形態において、本発明は、圧力センサデータの別個の部分を解析して、局所的な最小及び極大の圧力センサ測定値を確定するウィンドウアルゴリズムを利用する。これらのウィンドウの最小値及び最大値は、データセット全体にわたって、全体的な最大値及び全体的な最小値と比較される。圧力測定値に急激な大きい差分が生じると、システムは、局所的な最小値及び局所的な最大値に従って、カテーテルの状態判定を優先的に行う。最小値未満及び最大値を超える圧力測定値は、カテーテルの状態に変化が生じたことを示し、例えば、最小値未満の場合は詰まったカテーテルを示しており、最大値を超えた場合は無制限流状態を示している。
【0074】
さらなる実施形態において、本発明は、データポイント群の別個のウィンドウにわたる標準偏差の解析を重視するアルゴリズムを利用する。流量は、標準的な平均流量と比較される。小さい標準偏差は、詰まっているか又は制限されていないカテーテルを示しており、大きい標準偏差は、制限流のカテーテルを示している。
【0075】
1つの実施形態において、吸引カテーテルを流れる内容物を判定するのに、学習アルゴリズムが用いられる。様々な状態(例えば、無制限流、制限流、又は詰まっている)にあるカテーテルの長さに沿った圧力測定値を収集することによって、訓練データが形成される。多数の圧力測定値がカテーテルの状態ごとに記録され、アルゴリズムは、これらのデータセットを参照して未知の圧力測定値を分析し、カテーテルがどの状態にあるかを予測する。
【0076】
別の実施形態において、本発明は、多項ロジスティック回帰アルゴリズムを用いる人工ニューラルネットワーク(ANN)を利用する。ANNは、多数の訓練データセットを検討することで答えを予測するよう訓練される。訓練データには、入力として観測データ及び実際の出力の両方が含まれる。入力はANN全体に伝搬され、ANNは、それぞれが解空間における線形変換を表す階層型ノードで構成される。次いでANNは、ANNが計算した出力と実際の出力との差異を解析することによって「学習」する。この差異は、誤差関数に変換される。誤差関数はANN全体に逆伝搬され、これにより、各ノードの重みが誤差関数への寄与に従って修正される。重みづけは数学的な最適化のプロセスであり、どのノードが入力をその正しい出力に最適にマッピングするかを確定する。誤差関数が収束(すなわち、何らかの許容できるレベルの許容誤差)に達するまで、多数のセットの訓練データが繰り返しANNに伝搬される。ノードが適切に重みづけされると、誤差関数が収束に達したという点で、ANNはこれまで見たことがない入力の出力を正確に予測することができる。ここではつまり、学習済みのANNは、見たことのない圧力センサデータの入力を取得して、カテーテルのサイズ、及びカテーテルの内容物を無制限流と分類すべきなのか、制限流と分類すべきなのか、又は詰まっていると分類すべきなのかを正確に予測することができる。
【0077】
いくつかの実施形態において、アルゴリズムは、半教師あり学習及び教師なし学習を利用して、ノードの重みを継続的に更新する。アルゴリズムは、クラスタリング、次元削減、及び強化学習を利用して、予測精度をさらに向上させることができる。好ましい実施形態において、アルゴリズムは、異なる直径のカテーテルの切り替えと関連した圧力変動を正確に分析し、吸引カテーテル内のセパレータを手動で動かすことにより発生する圧力変動を、動きのリズムを判定してそれを考慮することによって除去することができる。さらに本発明は、上記の複数のアルゴリズム的流量解析技法の組み合わせを用いるアルゴリズムを利用してよい。
【0078】
アルゴリズムは、無制限流が検出されると、サンプリングモードを開始してよい。例示的な実施形態において、アルゴリズムは、無制限流を示す流量の変化を数ミリ秒で検出することができる。サンプリングモードの1つの実施形態において、アルゴリズムは、吸引を繰り返し、その後、所定の頻度で開閉バルブを開閉する。サンプリング状態では、バルブが一時的に開くと吸引サージを行い、圧力センサ測定値の検討が行われる。この吸引サージに基づいて、アルゴリズムは、システムが開閉バルブを開位置にして最高吸引に戻るべきなのか、又はサンプリング状態のままでいるべきなのかを判定する。これらのサンプリングサージは、ミリ秒オーダーの長さにわたって生じ、システムが血塊に係合している場合に限り、確実に最高吸引が生じるようにするので、失血が最小限に抑えられる。
【0079】
代替的な実施形態において、本システムは、電源が入ると、アルゴリズムが吸引チューブ内の流量を検討する前に、短時間の遅延が生じる。センサが無制限流を示す場合、開閉バルブが閉じたままになる適切な遅延時間が計算される。この遅延の後に、開閉バルブは開いて吸引を一時的に許可し、吸引チューブ内の圧力測定値サンプルを取得して、システムがまだ無制限流であるのか、又は血塊若しくは他の閉塞物質に配置されているのかを検討する。サンプリングで無制限流が検出された場合、新たな遅延が計算される(いくつかの事例では、測定値が連続するごとに、ある閾値まで徐々に長くなる)。サンプリングで血塊(例えば、制限流又は閉塞)が検出された場合、バルブが開いたままになる適切な遅延時間が計算される。開いている間、システムは圧力センサの測定値を一定の頻度で検討し、システムが無制限流を引き起こすような状態に置かれているのかどうかを判定する。これらのプロセスは、治療が終了するまで繰り返される。
【0080】
吸引カテーテル内の閉塞物を取り除くために、又は大きい若しくは吸引しにくい凝固物の吸引を容易にするために、摘出サイクルが有用な場合がある。摘出サイクルが、吸引カテーテルと真空源との間の圧力差を確定して、圧脈を発生させる。一般に、これらの圧脈は、吸引カテーテルへの血栓吸い込みを容易にする複数のメカニズムを利用できる。1つのメカニズムにおいて、圧脈は、閉塞物質の摘出を容易にする加速要素を導入する。別のメカニズムにおいて、圧脈は、静止摩擦を一時的に超える衝撃力を生成し、低い動摩擦で血栓を吸い込むことを可能にする。さらに別のメカニズムにおいて、圧脈は、カテーテルの遠位先端部から血栓を離し、その後、血栓とカテーテルとを急速に接触させ、血栓を柔らかにする。
【0081】
1つの例では、摘出サイクルが、真空吸引と相対的陽圧とを交互に提供する。摘出サイクルは通常、吸引カテーテルがすでにフルバキューム下にある場合に開始される。摘出サイクルが開始されると、カテーテルと吸引源との間の真空開閉バルブは閉じて、吸引カテーテル内の圧力は増加する。これにより、陽圧パルスが生じ、真空源とカテーテルとの間の圧力差が確定され得る。次いで開閉バルブが開くと、吸引カテーテルの内容物と遠位先端部とが陰圧パルスとして圧力差を受ける。この陰圧パルスは、静的力がより大きいエネルギーの供給でのみ実現し得る程度まで、任意の閉塞物の構造的完全性にマイナスの影響を与える。これらの圧脈の振幅又は大きさは、真空カテーテルと圧力源との間の圧力差(陽圧パルスの場合)、及び加圧カテーテルと真空源の間の圧力差(陰圧パルスの場合)と直接的な相関関係がある。開閉バルブが開いたり閉じたりする頻度は、事前に設定されてもよく、圧力センサデータに対応してもよい。摘出サイクルの圧脈が、血栓及び同様の閉塞物を血管系から摘出するように最適化された振幅及び周波数を有してよい。
【0082】
カテーテル内の圧力差が、多数の手段で発生し得る。1つの例では、真空源へのカテーテルのアクセスを遮断するだけで圧力が発生する。別の例では、カテーテルに流体を導入することで圧力が発生する。流体は、フルバキュームと周囲圧力との間の圧力、周囲圧力、収縮期圧、又は収縮期圧を超える圧力にある(図14図17)。別の例では、圧力チャンバの機械的変位によって圧力差が発生する(図18)。
【0083】
コントローラ220のアルゴリズムが、詰まったカテーテル、閉塞したカテーテル、又は血塊に位置するカテーテルを検出すると、摘出サイクルが自動的に開始されてよい。圧力差がゼロに近い場合、カテーテルが閉塞状態にあると識別されてよい。1つの例において、システムが5秒を超える時間で継続して閉塞を検出した後に、コントローラは摘出サイクルを自動的に開始する。あるいは、摘出サイクルがユーザからの要求で開始又は終了する。摘出サイクルが、所定の期間の間、圧脈を提供してよい。あるいは、開閉バルブが開いて流量を検討し、摘出サイクルを継続すべきなのか又は終了すべきなのかを判定するたびに、摘出サイクルが圧力センサデータを検討する。摘出サイクルで詰まり物を取り除くのが困難である場合、摘出サイクルは、圧脈の振幅及び周波数を変えてよい。1つの例では、コントローラ220のアルゴリズムが、様々な圧脈のライブラリを参考にして、そのライブラリの中から選択する。特定の振幅及び周波数で詰まり物を取り除き始めた場合、アルゴリズムは、その周波数及び振幅の圧脈を、詰まり物が取り除かれるまで継続して発生させてよい。
【0084】
図14は、圧力差を発生させるのに、したがって、圧脈を発生させるのに用いられ得る流体システムの一例を示す。この例では、流体導入ユニット290が、接続チューブ206の長さに沿って、3点連結部292を用いて取り付けられている。3点連結部292は、ベースユニット210と外部ユニット204との間に位置してもよく、又はベースユニット210及び外部ユニット204の両方に対して遠位に、すなわち、取り付ける吸引カテーテルのすぐ近くに位置してもよい。流体注入開閉バルブ296が、流体(液体又は気体)の流れを制御して、血塊又は他の閉塞物質の摘出を容易にし得る圧力パルスを血塊流路に注入する。いくつかの事例において、流体の流れは、接続チューブ206に直接的に導入される。他の事例において、流体の流れはまず、接続チューブ206に入る前に、注入チューブ294を通る。注入チューブ294は、圧脈をカテーテルに導いてよく、これにより圧脈が最適化され得る。1つの例において、3点連結部292は、図14に示すようにT型ジョイント構造を有する。あるいは、3点連結部は、Y型ジョイント構造(不図示)を有してもよい。Y型ジョイントは、流体導入ユニットからカテーテルに流体を有益に導くことができ、これにより、先の例の注入チューブと同様の方式で圧脈が最適化され得る。
【0085】
図15は、流体リザーバ390と注入バルブ396との間に接続され得るポンプ398を用いる代替的な流体システムを示す。1つの実施形態において、ポンプ398は、注入バルブ396が開くと循環し始める。ポンプは、流体リザーバ390から注入開閉バルブ396を通って注入チューブ394及び/又は接続チューブ306に流体を強制的に注入することで作業を行う。この例において、圧力の正パルスの長さは、ポンプ398のスループット(例えば、サイズ)と直接的な相関関係がある。第2の実施形態では、圧力チャンバ397が、ポンプ398と注入バルブ396との間に位置している。圧力チャンバ397によって、ポンプ398は、注入バルブ396が閉じている場合でも、作業を行うことができる。注入バルブ396が閉じている間、ポンプ398がリザーバ390から圧力チャンバ397に流体を強制的に注入することにより、圧力チャンバ397は加圧されることになる。注入バルブ396が開くと、圧力は圧力チャンバ397から注入チューブ394及び/又は接続チューブ306に放出される。この実施形態では、ポンプ396が時間と共に圧力を高めることができるので、圧力の正パルスの大きさは、ポンプ398のスループット(例えば、サイズ)と直接的な相関関係がない。したがって、この実施形態では小型のポンプが可能になる。陽圧パルスの継続時間又は大きさに対してさらに十分な制御を提供するために、注入バルブの開閉を抑制又は操作して、注入の速度を調節してもよい。さらに、圧力の増加を監視して制御するために、圧力センサが圧力チャンバ397に含まれてもよい。
【0086】
図16は、接続チューブ406に沿って取り付けられた別の3点連結部492を示す。3点連結部492は、ベースユニット210と外部ユニット204との間に位置してもよく、又はベースユニット210及び外部ユニット204の両方に対して遠位に位置してもよい。圧力バルブ496が、流体チャンバ490からの圧力の正パルスの発生を制御する。流体チャンバ490からの流体が、接続チューブ406に直接的に流れてもよく、又は接続チューブ406に入る前に、まず注入チューブ494を通ってもよい。吸引バルブ499が、取り付けた真空源からの真空吸引の適用を制御する。この実施形態において、3点連結部492は、真空力及び陽圧パルスを両方とも制御するバルブを有する。これにより、3点連結部492が真空吸引と圧力のパルスとを交互に適用することが可能になる。ここで、この圧力は真空源の圧力を超える。吸引バルブ499及び圧力バルブ496は、交互に、同時に、遅れて、又は一部重複した順序で開いてよい。1つの重複した順序において、一方のバルブが開き始めるのは、もう一方のバルブが閉じ始めているときであり、これにより、両バルブが少なくとも部分的に開いている短い期間が存在する。他の重複した順序では、少なくとも短い期間の間、両バルブが開いている、また両バルブが閉じていることがある。
【0087】
1つの実施形態において、吸引バルブ499がカテーテルと吸引源との間に位置して吸引を調節し、圧力バルブ496がカテーテルと流体源との間に位置して流体注入を調節する。本発明は、吸引バルブ499及び圧力バルブ496の両方を選択的に開閉して、カテーテル及び/又は吸引チューブの中に、所望の振幅及び周波数の圧脈を生じさせる圧力差を生成し得る。
【0088】
図17は、3方向ジョイント及びそれに接続される構成要素の斜視図を提供する。この例では、接続チューブ706が、真空源700と圧力源790と吸引カテーテル750との間で、共通の導管の役割を果たす。接続チューブ706は、真空源を取り付けられるように又は真空源と流体連通して配置されるように構成された第1の端部と、吸引カテーテルを取り付けるように又は吸引カテーテルと流体連通して配置されるように構成された第2の端部とを有してよい。1つの例において、第2の端部は回転式止血バルブを用いて吸引カテーテルに取り付けられる。3方向ジョイント792が、相対的に陽圧のパルスを吸引カテーテル750の近くで提供するために、第2の端部に近接して位置してよい。1つの例において、3方向ジョイント792は、アングルジョイント又はY型ジョイントであり、これにより、圧力源からの流体は吸引カテーテル750に向かう。いくつかの例において、3方向ジョイント792は注入チューブ794を含み、これは、圧力源からの流体を吸引カテーテル750に導く。いくつかの例において、注入チューブ794は、3方向ジョイントから吸引カテーテルに延在しており、これにより、圧力源から吸引カテーテル750に流体が流れる。別の例において、注入チューブ794は、吸引カテーテル750の遠位端の拡大斜視図を提供する斜視図の751に示すように、3方向ジョイントから吸引カテーテルの遠位端に近接した位置まで延在している。この例において、圧力源は、流体が方向矢印761に従って流れるようにしてよく、また真空源は、方向矢印760に従って流体が流れるようにしてよい。いくつかの実施形態において、コントローラは、真空バルブ799及び圧力バルブ796を調節してよく、これにより、真空バルブ799を閉じ且つ圧力バルブ796を開くと、吸引カテーテルの遠位先端部で圧力に相対的増加が生じ得る。あるいは、真空バルブ799を開き且つ圧力バルブ796を閉じると、吸引カテーテル750の遠位先端部で圧力に相対的減少が生じ得る。いくつかの事例において、これらの圧力変化は、吸引カテーテルの長さに沿って圧脈として伝えられる。いくつかの実施形態では、コントローラが短時間の間、真空バルブ799を閉じ且つ圧力バルブ796を開いてよく、こうして、圧力源790からの最小容量の流体が吸引カテーテル750の近位端に導入されて、真空バルブ799を再度開き且つ圧力バルブ796を閉じることで真空に戻る前に、吸引カテーテル750の遠位端での相対圧力を増やすことが可能になる。同様に、コントローラが長時間の間、真空バルブ799を閉じ且つ圧力バルブ796を開いてよく、圧力源790からの大容量の流体が吸引カテーテル750に導入されて、真空バルブ799を再度開き且つ圧力バルブ796を閉じることで真空に戻る前に、吸引カテーテル751の遠位端から離れるように閉塞性物質を動かすことを容易にするのを可能にする。いくつかの実施形態において、接続チューブ706は、その長さの一部に沿ってデュアルルーメンを有してよく、これにより、一方のルーメンが流体に対応し、第2のルーメンが配線に対応する。この配線で、コントローラが真空バルブ799及び圧力バルブ796の両方を調節するのが可能になる。
【0089】
図18は、吸引力及び陽圧パルスの両方を制御するバルブ構造体の別の実施形態を示す。この例では、3点連結部592が、接続チューブ506及び圧力チャンバ590に結合する。ゲートバルブ550は、軸570を中心に行き来し、位置550Aで吸引を遮断し、位置550Bで流体導入を遮断する。ゲートバルブ550は、コントローラ220のアルゴリズムで制御される所定の頻度又は対応する頻度で繰り返し往復することで、パルス式吸引をもたらしてよい。この例では、3方向ゲートバルブは、吸引源と圧力源とカテーテルとの間の連結部に存在する。ゲートバルブ550は、吸引源の遮断と圧力源の遮断との間を行き来し、所望の振幅及び周波数の圧脈に影響を与える。
【0090】
代替的な実施形態では、流体注入が3点連結部で生じるのではなく、カテーテル先端に近いもっと遠位の領域で生じる。相対圧力注入の位置は、血塊除去を容易にするために、圧脈変動を最適化するのに用いられてよい。1つの実施形態において、吸引カテーテルの遠位領域が、開いたり閉じたりできるバルブ、例えば遠位バルブを含む。1つの例において、吸引バルブが閉じ且つ遠位バルブが開くことで、血液がカテーテルに急速に流れ込むことが可能になり、これにより、カテーテル内の圧力が高くなり、カテーテルルーメンと真空源との間の圧力差が増幅される。通常、遠位バルブはその後閉じ、吸引バルブは開いて、真空源とカテーテルとの間の圧力差が圧脈をもたらす。別の実施形態において、流体が別の隣接するカテーテルから吸引カテーテルに移動する。例えば、内側のカテーテルが、外側の吸引カテーテルに流体を供給してよい。あるいは、外側のカテーテルが、バルブ構造体を通じて内側の吸引カテーテルに流体を供給してもよい。どちらの場合にも、流体は、近位端を通じてではなく、吸引カテーテルの長さに沿って供給される。同様の方式で、隣接するカテーテルが、追加の接続を真空源に提供してよい。
【0091】
図19は、圧脈を発生させるための機械的アセンブリを示す。この例では、機械的ピストン699が、前述の実施形態の注入バルブ、圧力チャンバ、ポンプ、及び流体リザーバに取って代わることができる。ピストン699又は代替の機械的デバイスの往復運動で、カテーテルの容量を調節するように制御することができ、一方のストロークで陰圧の発生をもたらし、もう一方のストロークで陽圧の発生をもたらすことになる。一般に、機械的な作動デバイスが往復するように作動して、システムの全体容量を増減させる。デバイスが容量を増やすように作動すると圧力が減少し、デバイスが容量を減らすように作動すると圧力が増加する。これらの圧力変化により、摘出サイクルの圧脈が生成され、増幅され、又は補助され得る。ピストン699は、接続チューブ606に取り付ける3点連結部692に設けられてよい。カテーテルの容量又は圧力を制御する他の機械的手段には、リニアモータ、ステッピング/サーボモータ、カムフォロアアクチュエータ、ソレノイド、オーディオエキサイタ、ボイスコイルアクチュエータ、ダイヤフラム、蠕動ポンプ、回転翼、ギア、スクリュー、注入器などが含まれる(描かれていない)。
【0092】
高周波数の圧脈は、図19に示したような機械的方法で可能になり得る。高周波数の圧脈を提供するために、カテーテルは、急速に加圧され、且つ急速に排出されなければならない。図14図18の流体注入システムは、圧力の急速な流入を容易に提供し得る。しかしながら、真空源がカテーテルをフルバキュームに戻すには、かなりの時間がかかるかもしれない。次の圧力流入の発生が早すぎる場合、カテーテルは、フルバキューム又はフルバキューム近傍に達する時間がない。このシナリオにおいて、十分に排出されていないカテーテルと圧力源との間の圧力差は少なく、結果として得られる圧脈は振幅が小さい。これは、一部のシナリオでは最善とは言えないかもしれない。高周波数で引き起こされる低振幅の圧脈を回避するために、本発明は、真空回復システムを利用して、陽圧の流入後にカテーテルをフルバキュームに戻すのに必要な時間を削減してよい。真空回復システムを用いると、本発明は、高振幅及び高周波数を両方兼ね備えた圧脈を可能にする。
【0093】
図19は、圧力差を発生させることで真空回復システムとして機能し得るデバイスを示す。あるいは、真空回復システムが、注入器、真空チャンバ、第2の吸引ポンプ、又はこれらの選択肢の何らかの組み合わせを利用してよい。注入器は、システムの容量が増加すると後退し(したがって、圧力が減少する)、システムの容量が減少すると前進する(したがって、圧力が増加する)ピストン式作動デバイスである。注入器状のデバイスは、真空回復を補助するだけではなく、陽圧パルスの発生を補助するのにも有益であってよい。1つの例において、注入器が摘出サイクルに用いられる。そのような一例では、カテーテルが、フルバキュームから開始する。真空源が閉じ、注入器が前進して(システム容量が低減し)、任意選択で、流体が注入される。これら全てによって、陽圧パルスの形成が容易になる。次に、真空源が開き、注入器が後退して(システム容量が増加し)、陰圧パルスを発生させる。これにより注入器は、カテーテルがフルバキューム近傍に戻るのを速める。あるいは、吸引ポンプが、各圧脈の後に、吸引ポンプに加えてカテーテルに対して開く真空チャンバを選択的に準備するように構成される。一緒に、吸引ポンプ及び真空チャンバは、カテーテルをフルバキュームに急速に戻す。吸引ポンプがカテーテルに対して閉じるが、圧脈間に真空チャンバをさらに準備するために、吸引ポンプは真空チャンバに対して開いてよい。さらなる代替例において、二次吸引ポンプが、一次吸引ポンプを補助して、各圧脈後の真空回復を容易にする。
【0094】
図20は、一例として脈動プロトコルのグラフ表示を示す。摘出サイクルが、脈動プロトコルを用いてカテーテル内の圧力量を全体的に操作し、閉塞物質の摘出を容易にし得る。カテーテル内の圧力は、様々な方法で操作されてよい。例えば、真空吸引は、カテーテル内の圧力を減らすのに用いられてよく、真空吸引及び/又は流体導入の解除は、カテーテル内の圧力を増やすのに用いられてよい。他の事例では、機械的に作動するデバイスが、カテーテル内の圧力の増加と減少とを交互に起こしてよい。図20に示す例では、時間0の時点で、カテーテルは何も吸引力を受けていないので、大気圧になっている。時間0から時間1まで、カテーテルは圧力を失い、大気圧からフルバキューム近傍(すなわち、-29.9inHg(-760mmHg、すなわち0.1MPa)近傍)に突入する。時間1から時間2まで、カテーテルは圧力を回復し、これにより真空度が減少する。時間2から時間3まで、カテーテルは圧力を失い、これにより、カテーテルはフルバキューム近傍に戻る。時間3から時間4まで、カテーテルは圧力を回復して周囲圧力に戻る。時間4から時間5まで、カテーテルは圧力を失い、再び大気圧からフルバキューム近傍に突入する。時間5から時間6まで、カテーテルは圧力を回復し、これにより、フルバキューム近傍から周囲圧力を超えるまで、圧力の急増が引き起こされる。時間6から時間7まで、カテーテルは圧力を失い、大気圧を超える加圧状態からフルバキューム近傍に突入する。
【0095】
図20に示す特性の脈動プロトコルが一度実行されてもよく、数回繰り返されてもよい。代替的な実施形態において、脈動プロトコルは、さらなる圧力変動及び圧力パターンを有するさらなる期間を含んでもよい。一般に、システムの圧力は、真空近傍から平均収縮期圧を超えるまで変化してよい。脈動プロトコルの継続時間は、事前に設定されても、又は圧力センサ測定値に適合してもよい。例えば、コントローラは、圧力センサ測定値に基づいて、脈動プロトコルを延長しても、又は短縮してもよい。いくつかの例において、システムは、1つ又は複数の期間にわたって、安定した加圧状態のままでよい。例えば、コントローラは、システムをフルバキューム近傍で一時休止させてよい。それぞれの加圧状態での一時休止時間、及びシステムが加圧状態間を移行する頻度は、様々な血塊又は閉塞物質の組成物を吸い込むように最適化されてよい。図20は、安定した一定頻度の脈動プロトコルを示しているが、他の例では、脈動プロトコルの頻度は可変であるか、又は部分的に一定と部分的に可変との何らかの組み合わせである。大きい圧力差を発生させることで、高振幅の(又は振幅が大きい)圧脈が発生し得る。例えば、図20は、時間5と時間7との間で高振幅の圧脈を示している。あまり極端でない高圧力と低圧力との間を往復することで、低振幅の圧脈が発生し得る。例えば、圧脈の低い側はフルバキューム近傍に達していなくてもよく、圧脈の高い側は周囲圧力に達していなくてもよく、又はその両方であってもよい。これにより、低振幅の圧脈がもたらされ、これは一部のシナリオでは望ましいかもしれない。図20の時間単位は、秒単位、ミリ秒単位、又はマイクロ秒単位などであってもよい。
【0096】
いくつかの例において、摘出サイクルは、摘出サイクルの前、相対的に陽圧の個々のパルスの間、及び摘出サイクル後に、フルバキュームに近い吸引で所定の一連の圧脈を用いる。圧脈は、血塊及び他の閉塞物質の摘出を容易にする振幅及び周波数を有する圧脈のライブラリから選択されてよい。一連の圧脈は、周波数、振幅、またはその両方に関して、互いに異なってよい。例えば、振幅又は周波数のうちの一方が増大し、もう一方が減少する、振幅及び周波数の両方が増大又は減少する、あるいは振幅又は周波数のうちの一方が増大又は減少し、もう一方が一定のままであるという傾向で、脈動プロトコルが一連の圧脈を用いてよい。
【0097】
いくつかの例では、摘出サイクルが圧力センサ測定値に基づいて特定の圧脈を提供する。1つのそのような応答性摘出サイクルは、カテーテル内の圧力を測定し、次いで、これらの圧力測定値を用いてカテーテル用に最適化された1つ又は複数の圧脈を選択する。別の応答性摘出サイクルにおいて、システムは、静的吸引又は最高吸引の期間とそれぞれ個々の圧脈の後の閉塞検出を用いて、圧脈プロトコルのライブラリを一巡する。ライブラリを一巡した後に、システムは、最も成功するように測定された圧脈を繰り返す。特定の圧脈の成功の度合いは通常、圧脈後の流量の増加量と等しい。システムは、わずか数個の圧脈プロトコルがループに入るまで、継続してサイクルダウンする。ループの有効性が低下し始めた場合、システムは、フルライブラリに戻り、新しいサイクルを開始する。
【0098】
代替の応答システムでは、応答性摘出サイクルが3つのモードを有している。すなわち、連続する圧脈が振幅及び/又は周波数に関して大きくなるサイクルアップモードと、連続する圧脈が振幅及び/又は周波数に関して小さくなるサイクルダウンモードと、圧脈の周波数及び振幅が一定である圧脈維持モードである。システムは、閉塞状態を検出すると、サイクルアップモードに入る。システムは、制限流状態を検出すると、維持モードに入る。システムは、無制限流状態を検出すると、サイクルダウンモードに入る。このように、システムは、制限流を促進する振幅及び周波数を有する圧脈に向かう。これにより、血塊及び他の閉塞物質が有益に除去されることになる。
【0099】
閉塞物質の除去を最大化することが、神経血管性の脳卒中治療などでの失血の懸念に勝る状況では、本発明による代替的な実施形態が有用であってよい。これらの環境下では、一例として、最適な技法が、カテーテルの遠位端を血塊に配置し、フルバキュームを適用し、次の段階に進む前に所定の期間待機することを含んでよい。目的は、カテーテル先端が閉塞物質の塊に十分に又はほぼ十分に係合することであってよい。この係合は、基本的にカテーテルの遠位端を塞ぐので、「カテーテルに栓をする」と呼ばれることがある。臨床医が「カテーテルに栓をする」ことに成功した場合、カテーテルシステムは、血管から取り外され、血塊の塊又はそれを伴った閉塞物を引き出してよい。あるいは、摘出サイクルが、カテーテルルーメンを通じて閉塞物を引き出す、又は本発明に付属するカテーテル内に血塊が深くラッチされる(又は血塊で栓をされる)ようにするのに用いられてよい。摘出サイクルの完了後に、血塊は取り付けたカテーテルで取り出される又は取り付けたカテーテルに栓をするので、カテーテルを血塊と一緒に患者から安全に取り外すことができる。
【0100】
いくつかの事例では、血塊又は他の閉塞物質がカテーテルを塞ぐ又はカテーテルに栓をすると、摘出サイクルは自動的に停止しても、又は手動で停止させてもよい。例えば、血塊又は閉塞物質が吸引カテーテルを通るには大きすぎる又は硬すぎるかもしれないが、それでも、血塊又は閉塞物質は吸引カテーテルに部分的に取り込まれる。そのような例において、システムは、最高吸引に移行して、ユーザが、栓をしたカテーテルを取り外すと共に、カテーテルを用いて血塊又は閉塞物質を引き出すことを可能にしてよい。1つの例において、摘出サイクルが開始され、血塊又は閉塞物質はカテーテルを塞いだままである。次いでコントローラは最高吸引に戻し、栓をするイベントをユーザに通知してよく、これにより、システムは、カテーテルを取り外すようユーザに促すことができる。あるいは、ユーザは、摘出サイクルを手動でオフにして、システムがフルバキュームに戻るようにさせ、カテーテルを取り外してよい。
【0101】
本発明が血塊又は他の閉塞物質を除去する作業をしていることを示すために、1つの実施形態は、与えられた摘出サイクルの進行を示す視覚的及び/又は聴覚的な信号を含む。1つの例において、摘出サイクルの開始は、青色の光を点滅させることで知らされる。青色の光はこのサイクルが完了するまで点滅し、完了すると、この光は緑色に変わり完了を示す。別の例では、ベースユニット216がライトバーを含んでよい。ライトバーは徐々に光で埋まり、これにより、ライトバーはサイクルの進行に比例して光で連続的に「埋まる」。あるいは、ベースユニット216は、画像を表示する小型スクリーンを含んでよい。この小型スクリーンは、処理量を示す動画を表示してよい。処理量を示す動画は、繰り返しパターン(例えば、円形物体の回転)を実行してもよく、又は長い動画(例えば、円を徐々に埋めていく)を1回だけ実行してもよい。視覚的進行表示と共に、又は視覚的進行表示の代替として、システムは、摘出サイクルの開始、脈動段階、及び完了を示す聴覚的な合図を用いてもよい。そのような聴覚的な合図には、音楽の旋律、ビープ音、及び/又は音声が含まれてよい。聴覚的な合図には、最新情報(例えば、「摘出」)又は提案(例えば、カテーテルの前進/後退)が含まれてよい。
【0102】
アルゴリズムが電光メカニズム、例えば表示灯210(図7A及び図7B)も制御して、システムが最高吸引状態、無制限流状態、制限流状態、閉塞状態、サンプリング状態、又は摘出状態のうちのどの状態にあるのかをユーザに伝えてよい。特定の光を点灯させて、泡又はオーバーライドスイッチが起動したことを示してよい。さらに、アルゴリズムは、排出オーバーライドスイッチの状態について、音声情報を医師に伝える圧電体音響チップを制御してよい。1つの実施形態において、圧電体は、表面実装型の4kHz単音(10cmで65dB)である。信号は、「詰まっている」、「閉塞している」、「血塊」、「血液」、「オープンフロー」などを表すトーン/ピッチの変化、ビープ音発生パターンなどの音及び言葉を含んでよい。1つの例が、動的なビープ音発生リズムを利用している。ここでは、無制限流状態の継続時間が増加すると、ビープ音発生パターンが次第に増加する。ビープ音の速度は、システムが無制限流になっている時間の長さを示し、システムの配置の問題性が増していることを医師に知らせる。システムは、多位置スイッチ又はボタンも含んでよく、これを使って、具体的には異なるアルゴリズムを起動する、音声の合図を消す、又はシステムに流体を準備する。そのような特徴は、ピンをベースユニット210に挿入することで有効になり、これにより、このカスタマイズした特徴を有効にする。
【0103】
1つの実施形態において、システムは、手動で電源が入り、所定の期間の間、吸引を行ってよい。システムが無制限流を検出した場合、開閉バルブはオフになり、流れを停止させる。立ち会っている医師は次に、カテーテル先端を血塊に再配置し、手動でメカニズム(足踏みペダル又は手動スイッチなど)を起動し、さらなる吸引を開始しなければならない。この手動トリガは、アルゴリズムをオーバーライドして、吸引の継続を可能にする。手動トリガが解放されると、アルゴリズムは再度流れを監視し、この流れが許容できる限り、吸引を可能にする。システムが無制限流を再度検出した場合には、医師が吸引カテーテルを再配置して、コントローラを手動でオーバーライドするまで、開閉バルブは再度閉じる。このプロトコルは、医師が治療を完了するまで繰り返される。
【0104】
血塊及び他の閉塞物質を除去するのに吸引カテーテルが用いられ得る前に、吸引カテーテルは、非圧縮性流体を準備しておかなければならない。例えば、カテーテルは、カテーテルのルーメンから空気を全て除去するために、生理食塩水の流体で充填されてよい。いくつかの実施形態において、本発明はカテーテルを自動的に準備するので、カテーテルは空気のような圧縮性流体を全て排出する流体で充填される。1つの例において、本発明のセンサは、使用時のカテーテルの内容物を監視する。泡のような圧縮性流体が検出されると、システムはユーザに知らせてよい。いくつかの事例において、システムは、気泡を除去するためにあらためてカテーテルを準備できるように、治療を停止する必要があることを示してよい。
【0105】
前述の例は、本発明の範囲を限定することを意図していない。あらゆる修正例、均等例、及び代替例は、本発明の範囲内にある。
本明細書によれば、以下の各項目に記載の構成もまた開示される。
[項目1]
真空源及び吸引カテーテルと共に用いる真空吸引制御システムであって、前記真空吸引制御システムは、
前記真空源を前記吸引カテーテル又はその構成要素に接続するように構成された接続チューブと、
前記接続チューブに動作可能に結合されるように構成された開閉バルブと、
前記接続チューブ内の流れを検出して、そのような流れを表す信号を生成するように構成された検出部と、
前記接続チューブを通る流れを表す前記信号を受信し、前記開閉バルブを開閉するように構成されたコントローラであって、前記コントローラは、前記信号が無制限流を示すと、前記接続チューブを通る流れを停止させるために前記開閉バルブを自動的に閉じるように構成される、コントローラと
を備える真空吸引制御システム。
[項目2]
前記コントローラは、無制限流が検出されると前記開閉バルブを閉じ、流れをサンプリングするために、ある時間間隔で前記開閉バルブを周期的に開き、無制限流が検出された場合、前記開閉バルブは再び閉じ、無制限流が検出されない場合、前記開閉バルブは開いたままになる、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
[項目3]
前記コントローラは、無制限流に対して前記開閉バルブを閉じることと、流れをサンプリングするために前記開閉バルブを開くこととの間にサンプリング遅延を含む、請求項2に記載の真空吸引制御システム。
[項目4]
無制限流が継続して検出された場合、前記サンプリング遅延は、継続時間が連続的に変化する、請求項3に記載の真空吸引制御システム。
[項目5]
前記サンプリング遅延は、無制限流の測定値が連続するたびに、継続時間が増加する、請求項3に記載の真空吸引制御システム。
[項目6]
前記流れがサンプリングされ、新たなバルブ位置がミリ秒の時間枠で決定される、請求項2に記載の真空吸引制御システム。
[項目7]
前記接続チューブは自由な構成の線状であり、前記真空源又はその構成要素に取り付けるように構成された第1の端部と、前記吸引カテーテル又はその構成要素に取り付けるように構成された第2の端部とを有する、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
[項目8]
前記検出部は、差圧センサ、磁気流量センサ、音響流量センサ、光学流量センサ、感熱式流量センサ、及び前記接続チューブの円周膨張/収縮を検出するセンサのうちのいずれか1つ又は複数を有する、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
[項目9]
前記検出部は、前記接続チューブに沿って配置され且つ差圧を測定する一対の圧力センサを有する、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
[項目10]
前記開閉バルブは、前記開閉バルブを開くように動くピンチバルブ又はアングルバルブで構成されるソレノイド式アクチュエータを有する、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
[項目11]
前記コントローラは、前記開閉バルブを開き、無制限流が検出されて前記コントローラが前記開閉バルブを閉じるまで、前記開閉バルブを開けたままにするように構成される、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
[項目12]
前記コントローラは、前記信号が無制限流を示すと前記開閉バルブを閉じ、流れをサンプリングするために、ある時間間隔で前記開閉バルブを周期的に開き、流れが無制限流ではないことを前記信号が示すと前記開閉バルブを開いたままにする、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
[項目13]
前記コントローラは、無制限流が検出されると前記開閉バルブを閉じ、流れをサンプリングして新たなバルブ位置を決定するために、ある時間間隔で前記開閉バルブを周期的に開き、前記新たなバルブ位置は、流れが依然として無制限流である場合には閉位置であり、前記新たなバルブ位置は、流れが無制限流ではない場合には開位置である、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
[項目14]
前記コントローラは、前記信号が無制限流を示すとサンプリングモードを開始し、前記開閉バルブは閉じて、流れをサンプリングするために、ある時間間隔で周期的に開き、前記サンプリングモードは、サンプリングした流れが無制限流ではないことを前記信号が示すと終了する、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
[項目15]
前記コントローラは、前記信号が無制限流を示すと、前記接続チューブを通る流れを停止させるために前記開閉バルブを自動的に閉じるように構成され、前記コントローラは、ある時間間隔で前記開閉バルブを開くことで流れを周期的に検査して検査流を確定し、前記検査流が無制限流ではない場合、処置フローを再開する、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
[項目16]
前記コントローラは、無制限流が検出されて前記コントローラが前記開閉バルブを閉じるまで、ユーザが前記開閉バルブを手動で開くことを可能にするように構成される、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
[項目17]
前記真空吸引制御システムはさらに、ユーザが前記開閉バルブを手動で開くことを可能にするために、前記コントローラと通信する手動スイッチを備える、請求項16に記載の真空吸引制御システム。
[項目18]
前記真空吸引制御システムは、少なくとも前記開閉バルブと前記コントローラとを組み込んだベースユニットを備える、請求項1に記載の真空吸引制御システム。
[項目19]
前記接続チューブは、前記真空源に接続するように構成された近位端と、前記吸引カテーテル内の吸引ルーメンに接続するように構成された遠位端とを有し、前記真空吸引制御システムはさらに、前記接続チューブの前記遠位端と前記近位端との間の位置で前記接続チューブに固定されるように構成された外部ユニットを備える、請求項18に記載の真空吸引制御システム。
[項目20]
前記外部ユニットは、前記検出部の少なくとも一部を含む、請求項19に記載の真空吸引制御システム。
[項目21]
前記検出部は、前記ベースユニット内に第1の圧力センサを、また前記外部ユニット内に第2の圧力センサを有し、前記コントローラは、前記第1の圧力センサ及び前記第2の圧力センサからの信号に基づいて差圧を決定するように構成される、請求項20に記載の真空吸引制御システム。
[項目22]
真空源及び吸引カテーテルと共に用いる真空吸引制御システムであって、前記真空吸引制御システムは、
前記真空源を前記吸引カテーテル内の吸引ルーメンに接続するように構成された接続チューブと、
前記接続チューブに動作可能に結合されるように構成された開閉バルブと、
前記接続チューブ内の流れを検出して、そのような流れを表す信号を生成するように構成された検出部と、
前記接続チューブを通る流れを表す前記信号を受信し、前記開閉バルブを開閉するように接続されたコントローラであって、前記コントローラは、前記吸引カテーテルが管閉塞血塊のない血液を吸引していることを前記信号が示すと、前記接続チューブを通る流れを停止させるために前記開閉バルブを自動的に閉じるように構成される、コントローラと
を備える真空吸引制御システム。
[項目23]
前記コントローラはさらに、前記接続チューブを通る流れをサンプリングするために前記開閉バルブを自動的に開き、前記吸引カテーテルが管閉塞血塊を有する血液を吸引していることを前記信号が示すと、開いたままにするように構成される、請求項22に記載の真空吸引制御システム。
[項目24]
前記コントローラは、前記開閉バルブを開き、前記吸引カテーテルが管閉塞血塊のない血液を吸引していることを示す信号を前記コントローラが受信して前記コントローラが前記開閉バルブを閉じるまで、前記開閉バルブを開いたままにするように構成される、請求項22に記載の真空吸引制御システム。
[項目25]
前記コントローラは、閉じた開閉バルブを周期的に開き、流れを表す新たな信号を受信して、前記開閉バルブを閉じたままにすべきかどうかを判定するように構成される、請求項22に記載の真空吸引制御システム。
[項目26]
前記コントローラは、前記吸引カテーテルが管閉塞血塊のない血液を吸引したことを前記信号が示したときに前記開閉バルブを閉じてから、流れをサンプリングするために前記開閉バルブを開くまでの間にサンプリング遅延を含む、請求項25に記載の真空吸引制御システム。
[項目27]
前記サンプリング遅延は、前記吸引カテーテルが血塊のない血液中に配置されていることを信号が連続して示すたびに、継続時間が増加する、請求項26に記載の真空吸引制御システム。
[項目28]
前記検出部は、差圧センサ、音響流量センサ、磁気流量センサ、光学流量センサ、感熱式流量センサ、及び前記接続チューブの円周膨張/収縮を検出するセンサのうちのいずれか1つ又は複数を有する、請求項22に記載の真空吸引制御システム。
[項目29]
前記検出部は、前記接続チューブに沿って配置され且つ差圧を測定する一対の圧力センサを有する、請求項28に記載の真空吸引制御システム。
[項目30]
前記開閉バルブは、前記開閉バルブを開くように動くソレノイド式アクチュエータを有する、請求項22に記載の真空吸引制御システム。
[項目31]
(a)吸引カテーテルの遠位端を血管内の閉塞物に係合させる段階と、
(b)前記吸引カテーテルの吸引ルーメンを通じて、接続チューブによって前記吸引ルーメンの近位端に結合された真空源を用いて、真空を適用する段階であって、前記閉塞物の一部が前記真空源によって前記吸引ルーメンに、さらに前記接続チューブを通って回収容器に吸い込まれる、段階と、
(c)前記接続チューブを通る流れを検出する段階と、
(d)検出された前記流れが無制限流である場合、前記接続チューブを通る流れを停止させるために、真空ポンプをオンにしたままバルブを自動的に閉じる段階と、
(e)前記バルブを開いて前記接続チューブを通る流れを再開する段階と、
(f)所望量の血塊が吸引されるまで、段階(d)と段階(e)とを繰り返す段階と
を備える真空吸引方法。
[項目32]
流れを検出する段階は、差圧測定、磁気流量測定、音響流量測定、光学流量測定、感熱式流量測定、及び前記接続チューブの円周膨張の測定のうちのいずれか1つ又は複数を含む、請求項31に記載の真空吸引方法。
[項目33]
流れを検出する段階は、前記真空源に近接して配置される第1のセンサと、前記真空源と前記吸引カテーテルとの間の前記接続チューブ内に配置される第2のセンサとを用いて、差圧を測定する段階を有する、請求項31に記載の真空吸引方法。
[項目34]
前記接続チューブを通る流れを再開する段階は、検出された前記流れが無制限流ではないときを自動的に検出して、流れを自動的に再開する段階を有する、請求項31に記載の真空吸引方法。
[項目35]
検出された前記流れが無制限流ではないときを自動的に検出する段階は、固定時間間隔で流れを再開し、流れが無制限流ではないかどうかを前記固定時間間隔で検出する段階を有する。請求項34に記載の真空吸引方法。
[項目36]
前記真空吸引方法は、検出された前記流れが無制限流である場合に前記バルブを閉じてから、流れを検出するために固定時間間隔で流れを再開するまでの間にサンプリング遅延を含む、請求項35に記載の真空吸引方法。
[項目37]
前記サンプリング遅延は、無制限流を示す信号が連続するたびに、継続時間が増加する、請求項36に記載の真空吸引方法。
[項目38]
前記接続チューブを通る流れを再開する段階は、前記バルブを手動で開く段階を有する、請求項37に記載の真空吸引方法。
[項目39]
真空源、圧力源、及び吸引カテーテルと共に用いる動的吸引システムであって、前記動的吸引システムは、
前記真空源、前記圧力源、及び前記吸引カテーテルを流体連通した状態に置くように構成された接続チューブと、
真空源バルブと、
圧力源バルブと、
前記真空源バルブ及び前記圧力源バルブを調節するように構成されたコントローラであって、前記コントローラは、両バルブを交互に開閉することによって前記吸引カテーテルのルーメン内に圧力差を発生させる、コントローラと
を備える、動的吸引システム。
[項目40]
真空源、圧力源、及び吸引カテーテルと共に用いる動的吸引システムであって、前記動的吸引システムは、
前記真空源、前記圧力源、及び前記吸引カテーテルを流体連通した状態に置くように構成された接続チューブと、
真空源バルブと、
圧力源バルブと、
前記接続チューブ内の流れを検出して、そのような流れを表す信号を生成するように構成された検出部と、
前記接続チューブを通る流れを表す前記信号を受信して、両バルブを調節するように構成されたコントローラであって、前記コントローラは、前記信号が(1)制限流、(2)わずかな圧力差、(3)ゼロに近い圧力差、又は(4)前記吸引カテーテルが少なくとも部分的に詰まっていることを示すと、両バルブを交互に開閉することによって前記吸引カテーテルのルーメン内に圧力差を自動的に発生させる、コントローラと
を備える、動的吸引システム。
[項目41]
前記圧力源バルブを開くと、前記吸引カテーテル内の圧力が増加する、請求項39又は40に記載の動的吸引システム。
[項目42]
前記圧力源バルブを開くと、前記吸引カテーテルの遠位先端部の圧力が増加する、請求項41に記載の動的吸引システム。
[項目43]
前記圧力源の圧力は前記真空源の圧力より高い、請求項41又は42に記載の動的吸引システム。
[項目44]
前記接続チューブは、自由な構成の線状であり、ある長さを有し、前記真空源に接続するように構成された第1の端部と、前記吸引カテーテルに接続するように構成された第2の端部とを含む、請求項39又は40に記載の動的吸引システム。
[項目45]
前記動的吸引システムは、前記圧力源を前記接続チューブと流体連通した状態に置くように構成された3方向ジョイントを含む、請求項44に記載の動的吸引システム。
[項目46]
前記接続チューブは、前記真空源及び前記圧力源に共通の導管を提供する、請求項45に記載の動的吸引システム。
[項目47]
前記3方向ジョイントは、前記第2の端部に近接して配置される、請求項45に記載の動的吸引システム。
[項目48]
前記3方向ジョイントは、T型ジョイント、Y型ジョイント、又はアングルジョイントである、請求項45に記載の動的吸引システム。
[項目49]
前記3方向ジョイントは、止血バルブとして機能し、止血バルブに組み込まれている、請求項45に記載の動的吸引システム。
[項目50]
前記3方向ジョイントは、前記圧力源から前記接続チューブの前記第2の端部に流体を導く角度付き注入チューブを含む、請求項48に記載の動的吸引システム。
[項目51]
前記角度付き注入チューブは、前記3方向ジョイントから前記吸引カテーテルの前記ルーメンに延在する、請求項50に記載の動的吸引システム。
[項目52]
前記角度付き注入チューブは、前記吸引カテーテルの遠位端に近接して延在する、請求項50に記載の動的吸引システム。
[項目53]
前記3方向ジョイントは、前記圧力源から前記接続チューブの前記第2の端部に流体を導くように角度が付けられている、請求項45に記載の動的吸引システム。
[項目54]
前記真空源バルブ及び前記圧力源バルブは、前記3方向ジョイントの単一のゲートバルブで構成されており、前記単一のゲートバルブは、前記真空源と前記圧力源とを交互に限定するように旋回する、請求項48に記載の動的吸引システム。
[項目55]
前記3方向ジョイントは第2の3方向ジョイントに接続され、前記第2の3方向ジョイントは、T型ジョイント、Y型ジョイント、又はアングルジョイントである、請求項45に記載の動的吸引システム。
[項目56]
前記第2の3方向ジョイントは、前記圧力源及び圧力チャンバに取り付けるように構成される、請求項55に記載の動的吸引システム。
[項目57]
前記動的吸引システムは、前記圧力源から前記圧力チャンバに流体を移動させるように構成されたポンプを含み、前記圧力チャンバは加圧された状態になる、請求項56に記載の動的吸引システム。
[項目58]
前記真空源バルブは前記真空源及び前記接続チューブと流体連通しており、前記圧力源バルブは前記圧力源及び前記接続チューブと流体連通しており、これにより両バルブは、前記吸引カテーテルに提供される真空及び圧力を制御する、請求項39又は40に記載の動的吸引システム。
[項目59]
前記圧力差の大きさは、ゼロに近い圧力差を示す信号又は前記吸引カテーテルが少なくとも部分的に詰まっていることを示す信号が連続するたびに増加する、請求項40に記載の動的吸引システム。
[項目60]
前記信号が制限流を示す場合、前記圧力差の大きさが一定に保持される、請求項40に記載の動的吸引システム。
[項目61]
圧力差の周波数及び振幅は、圧脈のライブラリの中から選択される、請求項40に記載の動的吸引システム。
[項目62]
前記コントローラは圧脈のライブラリを一巡し、流れの増加をもたらした圧脈だけを繰り返す、請求項40に記載の動的吸引システム。
[項目63]
真空源、圧力チャンバ、及び吸引カテーテルと共に用いる動的吸引システムであって、前記動的吸引システムは、
前記真空源、前記圧力チャンバ、及び前記吸引カテーテルを流体連通した状態に置くように構成された接続チューブと、
真空源バルブと、
前記真空源バルブを調節するように構成され、且つ前記圧力チャンバ内でピストンを作動させるように構成されたコントローラであって、前記調節及び作動によって前記接続チューブ内に圧力差が発生する、コントローラと
を備える、動的吸引システム。
[項目64]
前記ピストンは、前進して前記接続チューブの容量を減少させ、また後退して前記接続チューブの容量を増加させ、前記容量の変化が圧力差をもたらす、請求項63に記載の動的吸引システム。
[項目65]
前記コントローラは、前記真空源バルブを開いて圧力を減少させ、また前記真空源バルブを閉じて圧力を増加させ、前記真空源バルブの開閉が圧力差をもたらす、請求項63に記載の動的吸引システム。
[項目66]
前記コントローラは、前記吸引カテーテルのルーメン内に圧脈を引き起こす圧力差を前記接続チューブ内に発生させる、請求項63に記載の動的吸引システム。
[項目67]
真空源、圧力源、圧力チャンバ、及び吸引カテーテルと共に用いる動的吸引システムであって、前記動的吸引システムは、
前記真空源、前記圧力源、前記圧力チャンバ、及び前記吸引カテーテルを流体連通した状態に置くように構成された接続チューブと、
真空源バルブと、
圧力源バルブと、
両バルブを開閉し且つ前記圧力チャンバ内でピストンを作動させることによって、前記吸引カテーテルのルーメン内に圧力差を発生させるように構成されたコントローラと
を備える、動的吸引システム。
[項目68]
前記コントローラは、前記圧力源バルブを開き且つ前記ピストンを第1の方向に作動させてシステム容量を減らすことによって、前記吸引カテーテルの前記ルーメン内の圧力を増加させる、請求項67に記載の動的吸引システム。
[項目69]
前記コントローラは、前記真空源バルブを開き且つ前記ピストンを第2の方向に作動させてシステム容量を増加させることによって、前記吸引カテーテルの前記ルーメン内の圧力を減少させる、請求項67に記載の動的吸引システム。
[項目70]
真空源、圧力源、圧力チャンバ、及び吸引カテーテルと共に用いる動的吸引システムであって、前記動的吸引システムは、
前記真空源、前記圧力源、前記圧力チャンバ、及び前記吸引カテーテルを流体連通した状態に置くように構成された接続チューブと、
真空源バルブと、
圧力源バルブと、
前記接続チューブ内の流れを検出し、そのような流れを表す信号を生成するように構成された検出部と、
前記接続チューブを通る流れを表す前記信号を受信し、両バルブを開閉し且つ前記圧力チャンバ内でピストンを作動させることによって、前記吸引カテーテルのルーメン内に圧力差を発生させるように構成されたコントローラと
を備える、動的吸引システム。
[項目71]
前記コントローラは、前記信号が(1)制限流、(2)わずかな圧力差、(3)ゼロに近い圧力差、又は(4)前記吸引カテーテルが少なくとも部分的に詰まっていることを示すと、圧力差を自動的に発生させる、請求項70に記載の動的吸引システム。
[項目72]
前記圧力差の大きさは、ゼロに近い圧力差を示す信号又は前記吸引カテーテルが少なくとも部分的に詰まっていることを示す信号が連続するたびに増加する、請求項71に記載の動的吸引システム。
[項目73]
前記信号が制限流を示す場合、前記圧力差の大きさが一定に保持される、請求項71に記載の動的吸引システム。
[項目74]
圧力差の周波数及び振幅は、圧脈のライブラリの中から選択される、請求項71に記載の動的吸引システム。
[項目75]
前記コントローラは前記ライブラリの圧脈を一巡し、流れの増加をもたらした圧脈だけを繰り返す、請求項74に記載の動的吸引システム。
[項目76]
前記圧力差の大きさは、ゼロに近い圧力差を示す信号又は前記吸引カテーテルが少なくとも部分的に詰まっていることを示す信号が連続するたびに増加する、請求項71に記載の動的吸引システム。
[項目77]
前記信号が制限流を示す場合、前記圧力差の大きさが一定に保持される、請求項71に記載の動的吸引システム。
[項目78]
圧力差の周波数及び振幅は、圧脈のライブラリの中から選択される、請求項71に記載の動的吸引システム。
[項目79]
前記コントローラは前記ライブラリの圧脈を一巡し、流れの増加をもたらした圧脈だけを繰り返す、請求項78に記載の動的吸引システム。
[項目80]
前記コントローラは、前記圧力源バルブを開き且つ前記ピストンを第1の方向に作動させて前記圧力チャンバの容量を減らすことによって、前記吸引カテーテルの前記ルーメン内の圧力を増加させる、請求項70に記載の動的吸引システム。
[項目81]
前記コントローラは、前記真空源バルブを開き且つ前記ピストンを第2の方向に作動させて前記圧力チャンバの容量を増加させることによって、前記吸引カテーテルの前記ルーメン内の圧力を減少させる、請求項70に記載の動的吸引システム。
[項目82]
(a)吸引カテーテルの遠位端を血管内の閉塞物に係合させる段階と、
(b)前記吸引カテーテルの吸引ルーメンを通じて、接続チューブによって前記吸引ルーメンの近位端に結合された真空源を用いて、真空を適用する段階であって、前記閉塞物の一部が前記真空源によって前記吸引ルーメンに、さらに前記接続チューブを通って回収容器に吸い込まれる、段階と、
(c)前記接続チューブを通る流れを検出する段階と、
(d)詰まり物又は制限流が検出されると、圧力差を自動的に発生させる段階と
を備える動的吸引方法。
[項目83]
流れを検出する段階は、差圧測定、磁気流量測定、音響流量測定、光学流量測定、感熱式流量測定、及び前記接続チューブの円周膨張の測定のうちのいずれか1つ又は複数を含む、請求項82に記載の動的吸引方法。
[項目84]
流れを検出する段階は、前記真空源に近接して配置される第1のセンサと、前記真空源と前記吸引カテーテルとの間の前記接続チューブ内に配置される第2のセンサとを用いて、差圧を測定する段階を有する、請求項82に記載の動的吸引方法。
[項目85]
前記動的吸引方法は、前記接続チューブと流体連通した圧力源を含む、請求項82に記載の動的吸引方法。
[項目86]
前記動的吸引方法は、前記圧力源と前記接続チューブとの間に圧力バルブを含み、また前記真空源と前記接続チューブとの間に真空バルブを含む、請求項85に記載の動的吸引方法。
[項目87]
圧力バルブ及び真空バルブを順に開閉することによって圧力差が発生する、請求項86に記載の動的吸引方法。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
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図20