(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】がんの治療で使用するためのLIF阻害剤とPD-1軸阻害剤との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240122BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240122BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240122BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240122BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240122BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240122BHJP
C07K 16/24 20060101ALN20240122BHJP
A61K 31/44 20060101ALN20240122BHJP
A61K 31/357 20060101ALN20240122BHJP
A61K 31/4025 20060101ALN20240122BHJP
A61K 31/53 20060101ALN20240122BHJP
A61K 38/16 20060101ALN20240122BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P35/00 ZNA
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61P43/00 121
A61P11/00
A61P1/18
A61K45/00
C07K16/24
A61K31/44
A61K31/357
A61K31/4025
A61K31/53
A61K38/16
(21)【出願番号】P 2021504589
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(86)【国際出願番号】 IB2019000423
(87)【国際公開番号】W WO2019197903
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-08
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
【住所又は居所原語表記】1 Francis Crick Avenue, Cambridge Biomedical Campus, Cambridge CB2 0AA, UNITED KINGDOM
(73)【特許権者】
【識別番号】520394621
【氏名又は名称】フンダシオ・プリバダ・インスティトゥト・ディンベスティガシオ・オンコロジカ・デ・バイ・エブロン
【氏名又は名称原語表記】FUNDACIO PRIVADA INSTITUT D’INVESTIGACIO ONCOLOGICA DE VALL HEBRON
(73)【特許権者】
【識別番号】519219807
【氏名又は名称】ファンダシオ プリヴァダ インスティタシオ カタラナ デ レセルカ アイ エスタディス アヴァンキャッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン・セオアネ・スアレス
(72)【発明者】
【氏名】ジュディット・アニド・フォルゲイラ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・フランソン
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・マシュー・ハレット
(72)【発明者】
【氏名】モニカ・パスクアル・ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】エステル・ボンフィル・テシドル
(72)【発明者】
【氏名】エステル・プラナス・リゴル
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-512388(JP,A)
【文献】特表2013-523796(JP,A)
【文献】特表2017-527582(JP,A)
【文献】特表2019-502664(JP,A)
【文献】国際公開第93/023556(WO,A1)
【文献】SHINDO YOSHITARO; ET AL,COMBINATION IMMUNOTHERAPY WITH 4-1BB ACTIVATION AND PD-1 BLOCKADE ENHANCES 以下備考,ANTICANCER RESEARCH,2015年,VOL:35, NR:1,,PAGE(S):129 - 136,https://ar.iiarjournals.org/content/35/1/129,ANTITUMOR EFFICACY IN A MOUSE MODEL OF SUBCUTANEOUS TUMOR
【文献】JEANNE MAGRAM; ET AL,LIF AS A NOVEL CANCER IMMUNOTHERAPY TARGET: MODULATING THE TUMOR MICROENVIRONMENT 以下備考,【ONLINE】,2017年,P1,https://web.archive.org/web/20180417065230/http://northernbiologics.com/wp-content/uploads/2017/10/AACR-Molecular-targets-2017-poster.pdf,WITH MSC-1, A HUMANIZED ANTI-LIF MONOCLONAL ANTIBODY
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61P 35/00
C07K 16/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体のがんを治療するための医薬組成物であって、白血病抑制因子(LIF)結合抗体を有効成分として含み;PD-
1シグナル伝達阻害剤をさらなる有効成分として含む、又はPD-
1シグナル伝達阻害剤と組み合わせて投与され;LIF結合抗体が、
a)配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
b)配列番号5に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
c)配列番号6に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);
d)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
e)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)
を含
み;PD-1シグナル伝達阻害剤がPDL-1に特異的に結合する抗PDL-1抗体である、医薬組成物。
【請求項2】
前記LIF結合抗体と、前記PD-
1シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で前記個体に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記LIF結合抗体と、前記PD-
1シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で前記個体に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記PD-
1シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される前に、前記LIF結合抗体が前記個体に投与される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記LIF結合抗体が前記個体に投与される前に、前記PD-
1シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記LIF結合抗体が前記個体に投与されるのと同時に、前記PD-
1シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記LIF結合抗体がヒト化されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記LIF結合抗体が、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記VH配列が、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり、前記VL配列が、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記がんが、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、膵管腺がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、非小細胞肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記がんが、非小細胞肺がんを含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記がんが、膵管腺がんを含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記がんが、以前にチェックポイント阻害剤で不成功裏に治療されたことがある、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記がんが、以前にLIF結合抗体で不成功裏に治療されたことがある、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記チェックポイント阻害剤が、PD-
1シグナル伝達阻害剤である、請求項13又は14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記
抗PDL-
1抗体が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-
1結合断片を含む、
請求項1~15のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記
抗PDL-1抗体が、デュルバルマブ、又はそのPDL-1結合断片を含む、
請求項16に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、それぞれその内容全体が参照により本明細書に援用される、2018年4月12日に出願された欧州特許第18382248.5号明細書、2018年5月14日に出願された欧州特許第18382326.9号明細書、2018年5月25日に出願された欧州特許第18382360.8号明細書、2019年2月22日に出願された欧州特許第19382132.9号明細書の優先権を主張する。
【0002】
白血病抑制因子(LIF)は、細胞分化の阻害をはじめとする様々な生物学的活性に関与する、インターロイキン6(IL-6)型サイトカインである。ヒトLIFは、gp130とヘテロ二量体化した細胞表面LIF受容体(LIFR又はCD118)への結合を介して生物学的効果を発揮する、202アミノ酸のポリペプチドである。これは、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)及びヤヌス活性化キナーゼ(JAK/STAT)経路などの増殖促進シグナル伝達経路の活性化につながる。LIFの高発現レベル及び高血清レベルは、多くのタイプのがんの予後不良に関連することが実証されている。
【背景技術】
【0003】
PD-1及びCD279としても知られるプログラム細胞死タンパク質1は、活性化されたT細胞及びB細胞によって発現される細胞表面受容体であり、T細胞の炎症活動を抑制することによって、免疫系を下方制御し自己免疫寛容を促進する上で重要な役割を果たす。PD-1は、2つの異なるリガンドである、PDL-1(CD274)及びPDL-2(CD273)に結合することが示されている。このPD-1軸を通じたシグナル伝達は、免疫監視からの脱出を可能にすることによって、腫瘍増殖及び転移の重要な機序となる。最近では、多くの異なるタイプの腫瘍が、PDL-1及びPDL-2を発現して免疫監視からの脱出を促進し、腫瘍の増殖及び転移の増加をもたらすことが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書に記載されるのは、個体において、がん、腫瘍、又はその他の新生物を治療し又は予防するための方法である。物質の方法及び組成は、LIF結合ポリペプチドとPD-1軸阻害剤との組み合わせを含む。これらの方法は、LIF活性に拮抗し又はそれを遮断する抗LIF抗体と、PD-1、PDL-1、及びPDL-2の結合活性又はシグナル伝達を妨害するポリペプチドとを利用してもよい。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、PD-1と、PDL-1又はPDL-2とに結合し、それらの間の相互作用を阻害する。特に、これらの組み合わせは、抗LIF抗体単独又はPD-1軸阻害剤単独のどちらとの比較でも、驚くべき相乗効果を示す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本明細書に記載されるのは、個体のがんを治療するための、PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD-273)シグナル伝達阻害剤と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)結合抗体の使用であり、LIF結合抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される前に、LIF結合抗体が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与される前に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与されるのと同時に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、ヒト抗体フレームワーク領域に由来する、少なくとも1つのフレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、LIF結合抗体はヒト化されている。特定の実施形態では、LIF結合抗体は脱免疫化されている。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含む。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施形態では、がんは非小細胞肺がんを含む。特定の実施形態では、がんは膵管腺がんを含む。特定の実施形態では、がんは以前にチェックポイント阻害剤で治療されている。特定の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤である。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1に結合する抗体又はその断片である。
【0006】
一態様では、本明細書に記載されるのは、個体のがんを治療するための、PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD-273)シグナル伝達阻害剤と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)結合抗体の使用であり、LIF結合抗体は、(a)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);及び(e)配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2)を含む。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される前に、LIF結合抗体が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与される前に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与されるのと同時に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、ヒト抗体フレームワーク領域に由来する、少なくとも1つのフレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、LIF結合抗体はヒト化されている。特定の実施形態では、LIF結合抗体は脱免疫化されている。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含む。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施形態では、がんは非小細胞肺がんを含む。特定の実施形態では、がんは膵管腺がんを含む。特定の実施形態では、がんは以前にチェックポイント阻害剤で治療されている。特定の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤である。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1に結合する抗体又はその断片である。
【0007】
一態様では、本明細書に記載されるのは、個体のがんを治療するための、PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD-273)シグナル伝達阻害剤と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)結合抗体の使用であり、LIF結合抗体は、(a)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号5に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される前に、LIF結合抗体が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与される前に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与されるのと同時に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、ヒト抗体フレームワーク領域に由来する、少なくとも1つのフレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、LIF結合抗体はヒト化されている。特定の実施形態では、LIF結合抗体は脱免疫化されている。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含む。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施形態では、がんは非小細胞肺がんを含む。特定の実施形態では、がんは膵管腺がんを含む。特定の実施形態では、がんは以前にチェックポイント阻害剤で治療されている。特定の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤である。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1に結合する抗体又はその断片である。
【0008】
一態様では、本明細書に記載されるのは、個体のがんを治療するための、PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD-273)シグナル伝達阻害剤と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)結合抗体の使用であり、LIF結合抗体は、(a)配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される前に、LIF結合抗体が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与される前に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与されるのと同時に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、ヒト抗体フレームワーク領域に由来する、少なくとも1つのフレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、LIF結合抗体はヒト化されている。特定の実施形態では、LIF結合抗体は脱免疫化されている。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含む。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施形態では、がんは非小細胞肺がんを含む。特定の実施形態では、がんは膵管腺がんを含む。特定の実施形態では、がんは以前にチェックポイント阻害剤で治療されている。特定の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤である。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1に結合する抗体又はその断片である。
【0009】
一態様では、本明細書に記載されるのは、個体のがんを治療するための、PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD-273)シグナル伝達阻害剤と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチドの使用である。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドと、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドと、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される前に、LIF結合ポリペプチドが個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドが個体に投与される前に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドが個体に投与されるのと同時に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、免疫グロブリン可変領域又は免疫グロブリン重鎖定常領域の断片を含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、LIFと特異的に結合する抗体を含む。特定の実施形態では、抗体は、ヒト抗体フレームワーク領域に由来する少なくとも1つのフレームワーク領域を含む、LIFと特異的に結合する。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、ヒト化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、脱免疫化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖と、2つの免疫グロブリン軽鎖とを含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、IgG抗体である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、Fab、F(ab)2、単一ドメイン抗体、一本鎖可変断片(scFv)、又はナノボディである。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号41、42、44、又は66のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び(b)配列番号45~48のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一であり;VL配列は、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号57~60又は67のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖配列;及び(b)配列番号61~64のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、約200ピコモル濃度未満のKDで結合する。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、約100ピコモル濃度未満のKDで結合する。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、抗体又はそのPD-1、PDL-1、又はPDL-2結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体はPD-1と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体は、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDl-2結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む。特定の実施形態では、Fc融合タンパク質は、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2を通じたシグナル伝達の小分子阻害剤は、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体を含む。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、又は軟部組織がんを含む。特定の実施形態では、がんは、非小細胞肺がん、上皮性卵巣がん、又は膵腺がんを含む。特定の実施形態では、がんは、単剤療法で投与される、治療量のLIF結合ポリペプチドによる治療、又はPD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤による治療に対して不応性である。
【0010】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、個体のがんを治療するための、PD-1結合抗体と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体の使用であり、LIF結合抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。
【0011】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチド(of a);及び(b)PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)シグナル伝達阻害剤の有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法である。特定の実施形態では、方法は、がんを有する個体に、LIF結合ポリペプチドの有効量を投与するステップを含む。特定の実施形態では、方法は、がんを有する個体に、PD-1阻害剤の有効量を投与するステップを含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、免疫グロブリン可変領域又は免疫グロブリン重鎖定常領域の断片を含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、LIFと特異的に結合する抗体を含む。特定の実施形態では、抗体は、ヒト抗体フレームワーク領域に由来する少なくとも1つのフレームワーク領域を含む、LIFと特異的に結合する。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、ヒト化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、脱免疫化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖と、2つの免疫グロブリン軽鎖とを含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、IgG抗体である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、Fab、F(ab)2、単一ドメイン抗体、一本鎖可変断片(scFv)、又はナノボディである。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号41、42、44、又は66のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び(b)配列番号45~48のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一であり;VL配列は、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一である。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号57~60又は67のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖配列;及び:配列番号61~64のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、約200ピコモル濃度未満のKDで結合する。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、約100ピコモル濃度未満のKDで結合する。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、抗体又はそのPD-1、PDL-1、又はPDL-2結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体はPD-1と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体は、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む。特定の実施形態では、Fc融合タンパク質は、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2を通じたシグナル伝達の小分子阻害剤は、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体を含む。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、又は軟部組織がんを含む。特定の実施形態では、がんは、非小細胞肺がん、上皮性卵巣がん、又は膵腺がんを含む。特定の実施形態では、がんは、治療量のLIF結合ポリペプチド阻害剤による治療に対して不応性である。特定の実施形態では、がんは、治療量のPD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤阻害剤(inhibitor of an inhibitor of)による治療に対して不応性である。特定の実施形態では、白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチドと、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別々に投与される。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドと、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同時に投与される。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドと、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、単一組成物中で投与される。
【0012】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、白血病抑制因子(LIF)-結合ポリペプチドの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法であり、個体には、治療量のPD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD-273)シグナル伝達阻害剤が投与されている。特定の実施形態では、方法はがんの増殖又は転移を阻害する。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、免疫グロブリン可変領域又は免疫グロブリン重鎖定常領域の断片を含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、LIFと特異的に結合する抗体を含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、ヒト免疫グロブリンフレームワーク領域に由来する、少なくとも1つのフレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、ヒト化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、脱免疫化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖と、2つの免疫グロブリン軽鎖とを含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、IgG抗体である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、Fab、F(ab)2、単一ドメイン抗体、一本鎖可変断片(scFv)、又はナノボディである。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号41、42、44、又は66のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び(b)配列番号45~48のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一であり;VL配列は、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号57~60又は67のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖配列;及び(b)配列番号61~64のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、約200ピコモル濃度未満のKDで結合する。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、約100ピコモル濃度未満のKDで結合する。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、抗体又はそのPD-1、PDL-1、又はPDL-2結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体はPD-1と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、又はスパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体は、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む。特定の実施形態では、Fc融合タンパク質は、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2を通じたシグナル伝達の小分子阻害剤は、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体を含む。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、又は軟部組織がんを含む。特定の実施形態では、がんは、非小細胞肺がん、上皮性卵巣がん、又は膵腺がんを含む。特定の実施形態では、がんは、治療量のPD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤による治療に対して不応性である。
【0013】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)シグナル伝達阻害剤の有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法であり、個体には、治療量の白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチドが投与されている。特定の実施形態では、方法は、がんの増殖又は転移を阻害する。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、免疫グロブリン可変領域又は免疫グロブリン重鎖定常領域の断片を含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、LIFと特異的に結合する抗体を含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、ヒト免疫グロブリンフレームワーク領域に由来する、少なくとも1つのフレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、ヒト化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、脱免疫化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖と、2つの免疫グロブリン軽鎖とを含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、IgG抗体である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、Fab、F(ab)2、単一ドメイン抗体、一本鎖可変断片(scFv)、又はナノボディである。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号41、42、44、又は66のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び(b)配列番号45~48のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一であり;VL配列は、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一である。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号57~60又は67のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖配列;及び(b)配列番号61~64のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、約200ピコモル濃度未満のKDで結合する。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、約100ピコモル濃度未満のKDで結合する。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、抗体又はそのPD-1、PDL-1、又はPDL-2結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体はPD-1と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、スパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体は、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む。特定の実施形態では、Fc融合タンパク質は、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む。特定の実施形態では、PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)を通じたシグナル伝達の小分子阻害剤は、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体を含む。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、又は軟部組織がんを含む。特定の実施形態では、がんは、非小細胞肺がん、上皮性卵巣がん、又は膵腺がんを含む。特定の実施形態では、がんは、治療量のLIF結合ポリペプチド阻害剤による治療に対して不応性である。
【0014】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)(i)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(ii)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(iii)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(iv)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(v)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(vi)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体;及び(b)(of a)PD-1結合抗体の有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法である。
【0015】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、(a)白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチド;及び(b)PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)シグナル伝達阻害剤を含むキットである。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、免疫グロブリン可変領域又は免疫グロブリン重鎖定常領域の断片を含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、LIFと特異的に結合する抗体を含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、ヒト免疫グロブリンフレームワーク領域に由来する、少なくとも1つのフレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、ヒト化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、脱免疫化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖と、2つの免疫グロブリン軽鎖とを含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、IgG抗体である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、Fab、F(ab)2、単一ドメイン抗体、一本鎖可変断片(scFv)、又はナノボディである。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号41、42、44、又は66のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び(b)配列番号45~48のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一であり;VL配列は、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一である。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号57~60又は67のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖配列;及び(b)配列番号61~64のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、約200ピコモル濃度未満のKDで結合する。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、約100ピコモル濃度未満のKDで結合する。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、抗体又はその抗原結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体はPD-1と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、又はスパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体は、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む。特定の実施形態では、Fc融合タンパク質は、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2を通じたシグナル伝達の小分子阻害剤は、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体を含む。特定の実施形態では、キットは、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、又は希釈剤をさらに含む。
【0016】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、(a)白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチド;及び(b)PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)シグナル伝達阻害剤を含む組成物である。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、免疫グロブリン可変領域又は免疫グロブリン重鎖定常領域の断片を含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、LIFと特異的に結合する抗体を含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、ヒト免疫グロブリンフレームワーク領域に由来する、少なくとも1つのフレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、ヒト化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、脱免疫化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖と、2つの免疫グロブリン軽鎖とを含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、IgG抗体である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、Fab、F(ab)2、単一ドメイン抗体、一本鎖可変断片(scFv)、又はナノボディである。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号41、42、44、又は66のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び(b)配列番号45~48のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列を含む。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一であり;VL配列は、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一である。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、(a)配列番号57~60又は67のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖配列;及び(b)配列番号61~64のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、約200ピコモル濃度未満のKDで結合する。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、約100ピコモル濃度未満のKDで結合する。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、抗体又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体はPD-1と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、又はスパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体は、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む。特定の実施形態では、Fc融合タンパク質は、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む。特定の実施形態では、PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)を通じたシグナル伝達の小分子阻害剤は、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体を含む。特定の実施形態では、組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤、担体、又は希釈剤をさらに含む。
【0017】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)(i)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(ii)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(iii)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(iv)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(v)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(vi)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;PD-1又はPDL-1結合抗体との組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法である。特定の実施形態では、方法は、がんを有する個体に、LIFと特異的に結合する抗体の有効量を投与するステップを含む。特定の実施形態では、方法は、がんを有する個体に、PD-1又はPDL-1結合抗体の有効量を投与するステップを含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体と、PD-1又はPDL-1結合抗体は、別々に投与される。特定の実施形態では、がんは、多形性膠芽腫(GBM)、NSCLC(非小細胞肺がん)、卵巣がん、結腸直腸がん、甲状腺がん、又は膵臓がんである。
【0018】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)(i)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(ii)配列番号4又は5に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つを含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(iii)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(iv)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(v)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(vi)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;PD-1又はPDL-1結合抗体との組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体において腫瘍促進性腫瘍関連マクロファージ(TAM)を減少させる方法である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体と、PD-1又はPDL-1結合抗体は、別々に投与される。特定の実施形態では、TAMは、CD11b、CD206、及びCD163からなるリストから選択される任意の1、2、又は3分子の細胞表面発現を示す。
【0019】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)(i)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(ii)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(iii)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(iv)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(v)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(vi)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;PD-1又はPDL-1結合抗体との組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体に免疫記憶を生成する方法である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体と、PD-1又はPDL-1結合抗体は、別々に投与される。特定の実施形態では、免疫記憶は、CD8+T細胞によって媒介される。特定の実施形態では、免疫記憶は、CD4+T細胞によって媒介される。
【0020】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、腫瘍に罹患した個体に、(a)(i)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(ii)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(iii)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(iv)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(v)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(vi)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;PD-1又はPDL-1結合抗体との組み合わせの有効量を投与するステップを含む、腫瘍中のTリンパ球の量を増加させる方法である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体と、PD-1又はPDL-1結合抗体は、別々に投与される。特定の実施形態では、Tリンパ球はCD8+T細胞を含む。特定の実施形態では、Tリンパ球はCD4+T細胞を含む。
【0021】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、個体のがんを治療するための、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)-結合抗体の使用であり、LIF結合抗体は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)を含み;免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)は、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される前に、LIF結合抗体が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与される前に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与されるのと同時に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体はヒト化されている。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施形態では、がんは、非小細胞肺がんを含む。特定の実施形態では、がんは、膵管腺がんを含む。特定の実施形態では、がんは、以前にチェックポイント阻害剤で治療されている。特定の実施形態では、がんは、以前にLIF抗体で治療されている。特定の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤である。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1に結合する抗体又はその断片である。
【0022】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)(i)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(ii)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(iii)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(iv)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(v)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(vi)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;(b)PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤との組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法である。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、(a)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);及び(e)配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2)を含む。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、(a)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号5に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される前に、LIF結合抗体が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与される前に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与されるのと同時に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体はヒト化されている。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含む。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施形態では、がんは、非小細胞肺がんを含む。特定の実施形態では、がんは、膵管腺がんを含む。特定の実施形態では、がんは、以前にチェックポイント阻害剤で治療されている。特定の実施形態では、がんは、以前にLIF抗体で治療されている。特定の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤である。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1に結合する抗体又はその断片である。特定の実施形態では、抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体は、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む。特定の実施形態では、Fc融合タンパク質は、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2を通じたシグナル伝達の小分子阻害剤は、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体を含む。
【0023】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)(i)配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH);及び(ii)配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;(b)PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤との組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法である。特定の実施形態では、VH配列は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり;VLは、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体と、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で個体に投与される。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される前に、LIF結合抗体が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与される前に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体が個体に投与されるのと同時に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される。特定の実施形態では、LIF結合抗体はヒト化されている。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施形態では、がんは、非小細胞肺がんを含む。特定の実施形態では、がんは、膵管腺がんを含む。特定の実施形態では、がんは、以前にチェックポイント阻害剤で治療されている。特定の実施形態では、がんは、以前にLIF抗体で治療されている。特定の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤である。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1に結合する抗体又はその断片である。特定の実施形態では、抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、抗体は、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体は、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む。特定の実施形態では、Fc融合タンパク質は、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤は、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む。特定の実施形態では、PD-1、PDL-1、又はPDL-2を通じたシグナル伝達の小分子阻害剤は、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】異なる抗LIFヒト化抗体のLIF誘導STAT3リン酸化の阻害を示す、ウエスタンブロットを示す。
【
図2A-2B】ヒト化及び親5D8抗体によるLIF誘導STAT3リン酸化の阻害を示す、ウエスタンブロットを示す。
【
図3A】h5D8抗体を使用した、U-251細胞におけるLIF阻害のIC50を示す。
【
図3B】内因性LIF刺激条件下でのpSTAT3のr5D8及びh5D8阻害の代表的なIC50用量反応曲線を示す。示されるのは、代表的な曲線(n=1 h5D8、n=2 r5D8)である。
【
図4】本開示に記載される異なるモノクローナル抗体のLIF誘導STAT3リン酸化の阻害を示す、ウエスタンブロットを示す。
【
図5】ヒト患者からの多形性膠芽腫(GBM)、NSCLC(非小細胞肺がん)、卵巣がん、結腸直腸がん、及び膵臓腫瘍における、LIF発現の免疫組織化学検査染色及び定量化を示す。バーは、平均+/-SEMを表す。
【
図6A】ヒト化5D8抗体を使用して非小細胞肺がんのマウスモデルで実施された、実験を示すグラフである。
【
図6B】r5D8抗体を使用して非小細胞肺がんのマウスモデルで実施された、実験を示すグラフである。
【
図7A】GBMの同所性マウスモデルにおけるU251細胞の阻害に対する、r5D8の効果を示す。示される定量化は、26日目である。
【
図7B】ルシフェラーゼを発現するヒトU251GBM細胞を接種され、次に100、200、又は300μgのh5D8又はビヒクルで週2回処置されたマウスからのデータを示す。腫瘍サイズは、7日目に生物発光(Xenogen IVIS Spectrum)によって判定された。グラフは個々の腫瘍の測定値を示し、水平バーは平均±SEMを表示する。統計的有意性は、対応のない非パラメトリックマン・ホイットニーU検定を用いて計算された。
【
図8A】同系マウスモデルにおける卵巣がん細胞の増殖の阻害に対する、r5D8の効果を示す。
【
図8B】25日目における腫瘍の個々の測定値を示す。
【
図8C】h5D8を200μg/マウスで週2回投与した際における、腫瘍増殖の有意な減少を示す(p<0.05)。記号は、平均+SEM、ビヒクルと比較した統計的有意性(対応のない非パラメトリックマン・ホイットニーU検定による)である。
【
図9A】同系マウスモデルにおける結腸直腸がん細胞の増殖の阻害に対する、r5D8の効果を示す。
【
図9B】17日目における腫瘍の個々の測定値を示す。
【
図10A】CCL22+細胞の代表的な画像及び定量化と共に、GBMの同所性マウスモデルにおける、腫瘍部位へのマクロファージ浸潤の減少を示す。
【
図10B】ヒト器官型組織スライス培養モデルにおけるマクロファージ浸潤の減少を示す。示されるのは、代表的な画像(左側)及び定量化(右側)である。
【
図10C】CCL22+細胞の代表的な画像及び定量化と共に、卵巣がんの同系マウスモデルにおける腫瘍部位へのマクロファージ浸潤の減少を示す。
【
図10D】CCL22+細胞の代表的な画像及び定量化と共に、結腸直腸がんの同系マウスモデルにおける腫瘍部位へのマクロファージ浸潤の減少を示す。
【
図10E】25日目(エンドポイント)における、h5D8(15mg/kg、2QW)で処置された腫瘍から採取された、腫瘍関連マクロファージ(TAM)の炎症性表現型を示す。処置された腫瘍のTAMは、M1炎症誘発性表現型に向けて分極した。統計的有意性は、対応のないt検定によって判定された。
【
図10F】LIFノックダウン細胞の馴化培地で培養された単球の遺伝子発現データを示す。
【
図11A】r5D8による処置後の卵巣がんの同系マウスモデルにおける、非骨髄系エフェクター細胞の増加を示す。
【
図11B】r5D8による処置後の結腸直腸がんの同系マウスモデルにおける、非骨髄系エフェクター細胞の増加を示す。
【
図11C】r5D8による処置後のNSCLCがんのマウスモデルにおける、CD4+TREG細胞の百分率の減少を示す。
【
図12】抗CD4及び抗CD8枯渇抗体の存在下又は非存在下において、腹腔内投与されたPBS(対照)又はr5D8で週2回処置された、CT26腫瘍を有するマウスのデータを示す。グラフは、平均腫瘍体積+SEMとして表される13日目の個々の腫瘍測定を示す。統計学的差異群間は、対応のない非パラメトリックマン・ホイットニーU検定によって判定された。R5D8は、CT26腫瘍の増殖を阻害した(*p<0.05)。r5D8による腫瘍増殖阻害は、抗CD4及び抗CD8枯渇抗体の存在下で有意に減少した(****p<0.0001)。
【
図13A】h5D8 FabとLIFとの複合体の共結晶構造の概要を図示する。gp130相互作用部位は、LIFの表面にマッピングされている(暗い網掛け)。
【
図13B】LIFとh5D8の間の詳細な相互作用を図示し、塩橋を形成する残基と、100Å2を超える埋没表面積を有するh5D8残基とを示す。
【
図14A】5つのh5D8 Fab結晶構造の重ね合わせを図示し、異なる化学条件で結晶化されているにもかかわらず、高度な類似性が示される。
【
図14B】不対Cys100によって媒介されるファンデルワールス相互作用の広範なネットワークを示す。この残基は整列しており、HCDR1とHCDR3の立体配座の形成に関与し、望ましくないジスルフィドスクランブリングには関与しない。残基間の距離は破線で示され、標識される。
【
図15A】ELISAによるヒトLIFへのh5D8 C100変異体の結合を図示する。
【
図15B】ELISAによるマウスLIFへのh5D8 C100変異体の結合を示す。
【
図16A】Octetによって、h5D8がLIFとLIFRの間の結合を遮断しないことを図示する。h5D8のLIFへの連続的な結合に、LIFRが続く。
【
図16B-16C】固定化LIFR又はgp130に結合する、LIF/mAb複合体のELISA分析を描写する。種特異的ペルオキシダーゼ共役抗IgG抗体((-)及びh5D8では抗ヒト、r5D8及びB09では抗ラット)のシグナルは、固定化されたLIFR(
図16B)又はgp130(
図16C)で被覆されたプレートに結合した、mAb/LIF複合体の抗体部分を検出する。
【
図17A-17B】72個の異なるヒト組織における、LIF(
図16A)又はLIFR(
図16B)のmRNA発現を描写する。
【
図18A-18D】抗PD-1で処置された腫瘍と比較して有意に遅い増殖が示される、h5D8及び抗PD-1で処置されたCT26腫瘍を有するマウスからのデータを示す。同様の結果が、3つの独立したCT26有効性実験で得られた。18Aは腫瘍増殖の時間経過を示し、18Bは24日目の個々のデータ点を示す。マン・ホイットニー検定によって判定された統計的有意性。
図18Cは、CT26又はMC38腫瘍を有する、抗PD1(RMP1-14)及びh5D8/抗PD1処置マウスのカプラン・マイヤー生存プロットを示す(抗PD1は10日目に開始された)。下部、CT26又はMC38腫瘍を有する、対照(IgG)及びh5D8単剤治療マウスのカプラン・マイヤー生存プロット。腫瘍再移植後の長期腫瘍なしCT26生存者における、18D腫瘍体積。
【
図19A-19D】h5D8/抗PD-1で処置された腫瘍における、機能的CD8T細胞の豊富さを検出するフローサイトメトリー分析を示す。19Aは、腫瘍関連ペプチド(GP70)に応答してIFNγを産生する能力に基づいて定義された、CD8T細胞機能を示す。19Bは、代表的なFACデータプロットを示す。有意性は、対応のないt検定によって判定された。19Cは、左側に、治療に続くCT26腫瘍における、全CD45+免疫浸潤のCD8+TILの頻度を示し(n=7/群);右側に、CT26腫瘍によって発現されたMuLVからのH2-Ld拘束性gp70(アミノ酸423~431;AH1)エピトープに対応するペプチドによる生体外刺激に続く、IFN-γ+CD8+TILの頻度(n=7/グループ)を示す。19Dは、左側に、治療に続くMC38腫瘍における、全CD45+免疫浸潤のCD8+TILの頻度を示す(n=6~7/群)。右側、MC38腫瘍によって発現されたMuLVからのH2-Kb拘束性p15e(アミノ酸604~611)エピトープに対応するペプチドによる生体外刺激に続く、IFN-γ+CD8+TILの頻度(n=6~7/グループ)。
【
図20A-20P】LIF遮断が、高レベルのLIFを発現するGBM及び卵巣がんモデルにおいて、腫瘍増殖を減少させ、免疫細胞浸潤を制御することを示す。20Aは、28個の異なる固形腫瘍にわたる、LIF mRNA発現(log2 RSEM)の分布を示す。黒線は、低発現/バックグラウンドノイズの間の推定カットオフを表す。下側パネルは、免疫細胞型の遺伝子シグネチャのssGSEAに基づく、LIF発現とTAM及びTregの相対的な豊富さとの相関値(ピアソンR2値)を示す。相関値は、相関が有意な場合にのみ示される(補正P値<0.1)。20Bは、GBM、前立腺腺がん(PRAD)、甲状腺がん(THCA)、及び卵巣がん(OV)コホートにおける、TAM及びTregのLIF発現と相対存在量さ(ssGSEAは可視化の目的で0から1に再スケールされる)の線形回帰プロットを示す。陰影は、回帰推定値の信頼区間を表す。20C、20H、及び20Kは、それぞれ、全流束(p/s)又は腹部容積(mm3)として測定された、GL261N(20C)、RCAS(20H)、及びID8(20K)モデルの腫瘍増殖を示す。実験手順を表すスキームが示される。抗LIF(r5D8)又はイソタイプ対照(IgG)処置は、手術当日(GL261N及びRCAS)又は接種後14日目(dpi)に開始された(ID8)。20D及び20Lは、GL261N(20D)腫瘍及びID8(20L)腫瘍の代表的なp-STAT3、Ki67、CC3、及びCD8のIHC染色百分率を示す。20E~20F、20I~20J、及び20M~20Nは、フローサイトメトリーによって分析された、GL261N(20F)、RCAS(20J)、及びID8(20N)のCD11b+F4/80+CD163+CD206+MHCIIlowTAM(20E、20M)、又はCD11b+Ly6G-Ly6C-CD163+CD206+MHCIIlow(20I)、及びCD8+T細胞(CD3+CD8+)百分率を示す。20G及び20Pは、抗LIF(r5D8)又はIgGで処置された、GL261N(20G)及びID8(20P)モデルの全生存を示す。抗LIF(r5D8)又はIgG(20O)で処置されたID8マウスの腹部容積の経時変化。データは、平均±SEMである。マン・ホイットニーT検定及び対数ランク検定による統計解析。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001;****P<0.0001。
【
図21A-21G】LIFが、TAMにおいてCXCL9、CCL2、CD206、及びCD163を制御することを示す。21Aは、対照と対比して、抗LIF(r5D8)処置されたID8マウスから単離されたCD11b+細胞の示差的発現解析を示す。有意に(Q値<0.1)過剰発現した遺伝子及び有意に過小発現した遺伝子を表す、火山型プロット。示された遺伝子の発現値を表すヒートマップ、各列はサンプルを表し、各行は遺伝子を表す。最後の列は、遺伝子発現のlog2 倍数変化(log2 FC)を表す。21Bは、抗LIF(r5D8)で処置された、又は未処置のID8及びGL261N腫瘍からの単離CD11b+細胞における、示された遺伝子に対するmRNA発現を示す。21Cは、抗LIF(r5D8)処置された又は未処置のGL261N腫瘍からのTAM(CD11b+Ly6G-Ly6C-)における、CCL2+及びCXCL9+の百分率及び平均蛍光強度(MFI)を示す。21Dは、TAMマーカー陽性細胞に対する、二重陽性細胞の百分率を示す。CXCL9の定量化は、総細胞数に対する相対である。21Eは、20個のGBM腫瘍からの示されたマーカーの定量化を示す。R二乗係数(R2)によって、LIF染色(y軸)とCCL2、CD206、CD163、及びCXCL9染色(x軸)との相関が計算された。21Fは、CXCL9-/-及びCCL2-/-マウス、又は示された抗体で処置されたマウスにおけるGL261Nの腫瘍増殖を全流束(p/s)として示す。21Gは、示された処置における腫瘍浸潤性CD8+T細胞の倍数増加(FI)を示す。データは、平均±SEMである。マン・ホイットニーT検定による統計解析。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001;****P<0.0001。
【
図22A-22H】LIFがエピジェネティックなサイレンシングを通じてCXCL9を抑制し、STAT3の活性化を通じてCCL2を誘導することを示す。22A及び22Bは、BMDMにおける示された遺伝子のqRT-PCR解析を示す。BMDMは、20ng/mlのLIFと共に72時間プレインキュベートされ、次に5ng/mlのIFNγ又は10μg/mlのIL4で6時間(22A)、又は0.1、0.5、1、及び5ng/mlのIFNγで24時間(22B)刺激された。22Cは、20ng/mlのLIFと共にプレインキュベートされ、次に0.1ng/mlのIFNγで24時間刺激されたBMDMからのCXCL9 ELISAを示す。22Dは、20ng/mlのLIFと共に72時間培養され、次に0.1ng/mlのIFNγと共に24時間培養されたヒトGBMからの、ヒトCD11b+選別細胞(77%CD11b+CD14+、
図29Aを参照されたい)からのCXCL9 ELISAを示す。22Eは、20ng/mlのLIFで72時間処置されたBMDMにおいて実施された、トリメチルヒストンH3(H3K27me3)、EZH2、及びアセチルヒストン4(H4ac)のChIPを示す。スキームは、解析されたCXCL9プロモーター領域を示す。22Fは、20ng/mlのLIFで6時間及び24時間処置されたBMDMにおける、CCL2 ELISA及びCCL2 mRNAレベルを示す。22Gは、20ng/mlのLIFで15分間刺激されたBMDMにおける、p-STAT3 ChIPを示す。CCL2プロモーター上のSTAT結合部位(SBS)概略図が描写される。データは平均±SDであり、統計解析はスチューデントのt検定による。
図22Hは、Iba1+細胞に対する二重陽性細胞の百分率と、細胞の総数に対する10μg/mlの抗LIF(r5D8)と共に3日間インキュベートされたGBM器官型スライス(患者1、2、3)におけるCXCL9+細胞の百分率とを示す。データは、全患者平均±SEMである。マン・ホイットニーT検定による統計解析。*P<0.05、**P<0.01;***P<0.001;****P<0.0001。
【
図23A-23I】LIF遮断が、ヒトGBMにおいてCD8+T細胞の腫瘍浸潤を誘導し、その抗PD1との組み合わせが、腫瘍の退縮を促進することを示す。23Aは、GBM患者由来の異種移植片及びヒト器官型モデルで実施された、実験手順の概略図である。23Bは、抗LIF(r5D8)で72時間処置され、次にPBMCと共に24時間培養された器官型標本における、CXCL9及びCCL2 mRNA発現レベルを示す(患者4、5、6)。23Cは、抗LIF(r5D8)で72時間処置され、次にPBMCと共に48時間培養された器官型組織において、フローサイトメトリーによって検出されたCD8+T浸潤細胞のFIを示す(患者4、5、6)。23Dは、抗LIF(r5D8)及び/又は抗CXCL9で72時間処置され、次にPBMCと共に48時間培養されたGBM器官型組織において、フローサイトメトリーによって検出されたCD8+T浸潤細胞のFIを示す。23Eは、NSGマウスにおける皮下移植GBM標本へのCD8+T浸潤細胞を示す。棒グラフは、同じ動物の組織中でフローサイトメトリーによって検出されたCD8+T細胞と、血液中で検出されたCD8+T細胞との比率を表す。対応するPBMCを有する4人の患者(7、8、9、10)は。23Fは、抗LIF(r5D8)、抗PD1、又はその組み合わせで処置されたGL261Nマウスの生存率を示す。カプラン・マイヤー曲線によって判定された全生存が示される。23Gは、13~6dpiの間の腫瘍サイズの倍数変化として表される、処置されたGL261Nモデルの腫瘍増殖を示す。23Hは、抗LIF(r5D8)、抗PD1併用療法による完全な退縮を有する6匹のマウスに接種された、3×105個のGL261N細胞の実験手順を表すスキームを示す。並行して10匹の未感作マウスに、3×105個のGL261N細胞が接種された。23Iは、LIF CD8+T細胞腫瘍浸潤の効果の概略図を示す。マン・ホイットニーT検定又は対数ランク検定による統計解析。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001。
【
図24A-24D】腫瘍におけるLIF発現を示す。24Aでは、LIF IHCがヒトGBMからの組織マイクロアレイで実施され、染色の程度がHスコア法を用いて定量化された。24Bは、15人の患者の神経球培養物からの上清のLIF ELISAを示す。24C及び24Dは、ヒトGBM腫瘍(24C)及びGL261N腫瘍(24D)から単離されたCD45+及びCD45-細胞における、示された遺伝子のqRT-PCR解析を示す。
【
図25A-25J】マウスモデルにおけるLIF遮断が、腫瘍増殖を阻害することを示す。25Aは、GL261、GL261N、及びGL261N CRISPR/LIF細胞で実施された、LIFのqRT-PCR及びELISAの結果を示す。25Bは、GL261N及びGL261N CRISPR/LIFを接種されたマウスにおける腫瘍増殖を12dpiでの全流束(p/s)として示す。25C及び25Dは、ID8細胞が、pLKO.1又は2つの独立したpLKO.1-shLIFレンチウイルスに感染したことを示す。LIF発現は、qRT-PCR及びELISAによって判定された(25C)。25Dは、マウスの腹膜に接種されたID8細胞の結果を示す。処置スキームが示される。腹部容積(mm3)は、40dpiで測定された。25Eは、抗LIF(r5D8)又は対照IgGで処置されたマウスにおける、12dpiのGL261腫瘍増殖を示す。25Fは、C57BL/6マウスと、2つの免疫不全モデルであるNOD SCID及びRAG1-/-に接種された、GL261N細胞の結果を示す。処置スキームが示される。腫瘍増殖は、12dpiで測定された。25G~25Jは、フローサイトメトリーによって判定され、GL261N(25G-25H)及びID8(25I-25J)腫瘍中のCD4+T細胞集団上でゲートされた、NK細胞(CD335+)、及びTreg(CD3+CD4+FoxP3+)の百分率を示す。データは、平均±SEMとして提示される。マン・ホイットニーT検定による統計解析。*P<0.05;**P<0.01;***P<0.001;****P<0.0001。
【
図26A-26H】抗LIF(r5D8)による処置時における、免疫細胞浸潤物の特性評価を示す。26Aは、GL261N腫瘍のCD8+T細胞集団におけるGZMAの百分率及びMFIを示す。26B及び26Cは、GL261N(26B)及びID8(26C)モデルの腫瘍中のPD1+CD8+T細胞の百分率を示す。26Dは、抗LIF(r5D8)による処置に応答するGL261N及びRCAS腫瘍中の浸潤性TAM(CD11b+Ly6G-Ly6C-CD49d+)の百分率を示す。フローサイトメトリーゲーティングストラテジーが示される。26Eは、GL261N腫瘍において、MHCII発現によって判定された、樹状細胞集団(DC)(CD11b+CD11c+MHCII+)及び抗原提示を示す。26Fは、GL261N腫瘍におけるIL-12及びIL-10のELISAを示す。26Gは、抗LIF(r5D8)で処置されたGL261N腫瘍を有するマウスの8dpiの結果を示す。腫瘍体積は、全流束(p/s)として13dpiで測定された。26Hは、フローサイトメトリーによって判定された、腫瘍中のCD8+T細胞(CD3+CD8+)の百分率を示す。データは、平均±SEMとして提示される。マン・ホイットニーT検定による統計解析。*P<0.05;**P<0.01。
【
図27A】フローサイトメトリーによって判定された、TAM(CD11b+Ly6G-Ly6C-)及びCD8+T細胞(CD3+CD8+)集団における、CCR2、CXCR3の百分率、及びLIFR発現を示す。データは、平均±SEMとして提示される。マン・ホイットニーT検定による統計解析。*P<0.05。
【
図27B】GL261N腫瘍から選別された、CD11b+Ly6G-Ly6C-及びCD11b-Ly6G-Ly6C-細胞における、示された遺伝子のqRT-PCR解析を示す。
【
図28】GBM及び卵巣がんにおける、LIFと、CD163、CD206、及びCCL2発現との間の相関関係を示す。GBM及び卵巣がん(OV)TCGA腫瘍コホートにおける、LIFと、CD163、CD206、CCL2発現(log2 RSEM)との間の回帰プロット。
【
図29A-29B】は、マウス及びヒトマクロファージにおける、LIFによるCXCL9の制御を示す。
図29Aは、フローサイトメトリーによって判定された、培養中のCD11b+CD14+細胞を示す。データは、平均±SDとして提示される。スチューデントのt検定による統計解析。**P<0.01;***P<0.001。
図29Bは、LIF(20ng/ml)と共に18時間プレインキュベートされ、次に1μg/mlのLPSで6時間刺激されたBMDMを示す。
【
図30】
図30は、GL261N、RCAS、及びID8モデルにおける、抗LIF(r5D8)と抗PD1の併用療法に対する抗腫瘍応答を示す。
図30は、抗LIF(r5D8)及び/又は抗PD1で処置された、GL261N、RCAS、及びID8腫瘍を有するマウスを示す(処置スキームが示される)。腫瘍増殖は、全流束(p/s)(GL261N及びRCAS)として、又は腹部容積(mm3)(ID8)として測定された。マン・ホイットニーT検定による統計解析。*P<0.05;**P<0.01。
【発明を実施するための形態】
【0025】
特に断りのない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書及び添付の特許請求範囲の用法では、内容上例外が明記されていない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、指示対象の複数形を含む。本明細書における「又は」への言及は、別段の記載がない限り、「及び/又は」を包含することが意図される。
【0026】
一態様では、本明細書に記載されるのは、個体のがんを治療するための、PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD-273)シグナル伝達阻害剤と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチドの使用である。
【0027】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、個体のがんを治療するためのPD-1結合抗体と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)結合抗体の使用であり、LIF結合抗体は、(a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(b)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む。
【0028】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチド;及び(b)PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)シグナル伝達の阻害剤の有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法である。
【0029】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、白血病抑制因子(LIF)-結合ポリペプチドの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法であり、個体には、治療量のPD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD-273)シグナル伝達阻害剤が投与されている。
【0030】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)シグナル伝達阻害剤の有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法であり、個体には、治療量の白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチドが投与されている。
【0031】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と、(b)PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤との組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体の腫瘍中の腫瘍促進性腫瘍関連マクロファージ(TAM)を減少させる方法である。
【0032】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と、(b)PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤との組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体に免疫記憶を生成する方法である。
【0033】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、腫瘍に罹患した個体に、(a)白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と、(b)PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤との組み合わせの有効量を投与するステップを含む、個体の腫瘍中のTリンパ球の量を増加させる方法である。
【0034】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)(i)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(ii)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(iii)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(iv)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(v)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(vi)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む白血病抑制因子(LIF)結合抗体;及び(b)PD-1結合抗体の有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法である。
【0035】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、(a)白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチド;及び(b)PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)シグナル伝達阻害剤を含むキットである。
【0036】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、(a)白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチド;及び(b)PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)シグナル伝達阻害剤を含む組成物である。
【0037】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)(i)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(ii)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(iii)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(iv)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(v)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(vi)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;PD-1軸阻害剤との組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体において腫瘍促進性腫瘍関連マクロファージ(TAM)を減少させる方法である。
【0038】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、がんを有する個体に、(a)(i)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(ii)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(iii)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(iv)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(v)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(vi)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;PD-1軸阻害剤との組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体に免疫記憶を生成する方法である。
【0039】
別の態様では、本明細書に記載されるのは、腫瘍に罹患した個体に、(a)(i)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);(ii)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);(iii)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);(iv)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);(v)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び(vi)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;PD-1軸阻害剤との組み合わせの有効量を投与するステップを含む、腫瘍中のTリンパ球の量を増加させる方法である。
【0040】
本明細書の用法では、「個体」、「対象」、及び「患者」という用語は同義的に使用され、腫瘍、がん、又はその他の新生物に罹患していると診断され又は疑われるヒトが含まれる。個体はまた、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラマ、アルパカ、又はヤクなどの哺乳動物も包含し得る。
【0041】
本明細書の用法では、「約」という用語は、記載された量の10%近辺の量を指す。
【0042】
本明細書の用法では、「治療する(treat)」又は「治療する(treating)」という用語は、生理学的状態又は疾病状態に関連する、少なくとも1つの徴候又は症状を改善するように設計され、又は改善することを意図した個体の生理学的状態又は疾病状態に対する介入を指す。本明細書に記載されるがんの治療(treat)又は治療(treating)は、完全奏効、部分奏効、治療されているがん又は腫瘍の進行の遅延、腫瘍サイズ又は腫瘍量の減少、又は腫瘍又は腫瘍量の増殖遅延を誘発することを意図した介入を指す。治療はまた、がん又は腫瘍の転移又は悪性度を低下させることを意図した介入も指す。当業者は、疾患に罹患した個体の不均一な集団を考えると、全ての個体が所与の治療に対して等しく応答するとは限らず、又は全く応答しないとは限らないことを認識するであろう。それにもかかわらず、これらの個体は治療されたと見なされる。不成功裏の治療は、一般に疾患進行と、別の治療法による追加治療の必要性をもたらす。特定の態様では、本明細書に記載の抗体及び方法を用いてがんの寛解が維持され、又は治療されたがんと同一の、又はそれに関連する異なるがんの再発が予防され得る。
【0043】
本明細書で使用されるように、用語「組合せ」又は「併用療法」は、組合せられる物質の並行投与又は組合せられる物質の順次投与のどちらかを指し得る。本明細書に記載されるように、組み合わせが物質の順次投与を指す場合、物質は任意の時間的順序で投与され得る。
【0044】
「がん」及び「腫瘍」という用語は、細胞増殖の調節不全を特徴とする、哺乳類の生理学的状態に関連する。がんは、細胞群が、無制御な増殖又は望ましくない増殖を示す疾患の一種である。がん細胞は、その他の位置にも広がり得て、転移の形成につながり得る。体内のがん細胞の広がりは、例えば、リンパ液又は血液を介して起こり得る。無制御な増殖成、侵入、及び転移形成はまた、がんの悪性特性とも称される。これらの悪性特性は、典型的に侵襲又は転移しない良性腫瘍から、がんを区別する。
【0045】
本明細書の用法では、「有効量」という用語は、哺乳類に投与された際に、生物学的効果をもたらす治療薬の量を指す。生物学的効果としては、受容体リガンド相互作用(例えば、LIF-LIFR、PD-1-PDL1/PDL-2)の阻害又は遮断、シグナル伝達経路(例えば、STAT3リン酸化)の阻害、腫瘍増殖の減少、腫瘍転移の減少、又は腫瘍を有する動物の生存期間の延長が挙げられるが、これらに限定されない。「治療量」は、治療効果を発揮するように計算された薬物の協調である。治療量は、個体の集団において治療応答を誘発できる、一連の用量を包含する。哺乳類は、ヒト個体であり得る。ヒト個体は、腫瘍に罹患しているか、又は腫瘍への罹患が疑われている。
【0046】
本明細書の用法では、「チェックポイント阻害剤」は、生物においてT細胞の抗腫瘍/がん活性を負に制御する、生物によって産生される生体分子(「チェックポイント分子」)を阻害する薬物を指す。チェックポイント分子としては、限定することなく、PD-1、PDL-1、PDL-2、CTLA4、TIM-3、LAG-3、VISTA、SIGLEC7、PVR、TIGIT、IDO、KIR、A2AR、B7-H3、B7H4、及びNOX2が挙げられる。
【0047】
本明細書の用法では、別段の指示がない限り、「抗体」という用語には、例えば、1つ又は複数のCDR領域を維持する断片などの、抗体の抗原結合断片、すなわち、完全長の抗体が結合する抗原と特異的に結合する能力を維持する抗体断片が含まれる。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片;二特異性抗体;直鎖抗体;重鎖抗体、例えば一本鎖可変領域断片(scFv)などの一本鎖抗体分子、ナノボディ、及び二重特異性抗体などの、別個の特異性を有する抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられるが、これに限定されるものではない。特定の実施形態では、抗体は、抗体に対する個体の免疫応答を減少させるような様式でヒト化される。例えば、抗体は、例えば、ヒト定常領域を有する非ヒト可変領域などのキメラ、又は例えば、ヒト定常領域と可変領域フレームワーク配列とを有する非ヒトCDR領域などのグラフト化されたCDRであってもよい。特定の実施形態では、抗体は、ヒト化後に脱免疫化される。脱免疫化は、抗体の定常領域にある1つ又は複数のT細胞エピトープを除去し又は変異させることを伴う。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、モノクローナルである。本明細書の用法では、「組換え抗体」は、2つの異なる生物種、又は2つの異なる起源に由来するアミノ酸配列を含む抗体であり、例えば、非ヒトCDRとヒトフレームワーク又は定常領域とからなる、抗体などの合成分子を含む。特定の実施形態では、本発明の組換え抗体は、組換えDNA分子から生成され、又は合成される。
【0048】
参照ポリペプチド又は抗体配列に対するパーセント(%)配列同一性は、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と見なすことなく、最大配列同一性百分率を達成した後に、参照ポリペプチド又は抗体配列中のアミノ酸残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基の百分率である。パーセントアミノ酸配列同一性を判定する目的でのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、既知の様々な方法で達成され得る。比較される配列の全長にわたる最大の整列を達成するのに必要なアルゴリズムをはじめとする、配列を整列させるための適切なパラメータは、判定され得る。しかし、本明細書の目的のためには、%アミノ酸配列同一性値が、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって作成され、ソースコードは、ワシントンD.C.,20559の米国著作権局にユーザー文書と共に提出されており、米国著作権登録番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Calif.から公的に入手可能であり、又はソースコードからコンパイルされてもよい。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIXV 4.0DをはじめとするUNIXオペレーティングシステムでの使用のために、コンパイルされなくてはならない。全ての配列比較パラメータはALIGN-2プログラムによって設定され、変動しない。
【0049】
ALIGN-2がアミノ酸配列の比較に使用される状況では、所与のアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Bとの、又は所与のアミノ酸配列Bと比較した、所与のアミノ酸配列Aの%アミノ酸配列同一性(代案としては、それは、所与のアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Bとの、又は所与のアミノ酸配列Bと比較した、特定の%アミノ酸配列同一性を有し又はそれを含む、所与のアミノ酸配列Aとして表現され得る)は、分数X/Yの100倍として計算され、式中、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、そのプログラムのAとBのアラインメントで完全一致としてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAの%アミノ酸配列同一性は、Aに対するBの%アミノ酸配列同一性と等しくないことが理解されるであろう。特に明記しない限り、本明細書で使用される全ての%アミノ酸配列同一性値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、先行段落に記載されるようにして得られる。
【0050】
「エピトープ」という用語は、抗体などの抗原結合タンパク質によって結合され得る、任意の決定基を含む。エピトープは、その抗原を標的化する抗原結合タンパク質によって結合される抗原の領域であり、抗原がタンパク質である場合、抗原結合タンパク質に直接接触する特定のアミノ酸を含む。ほとんどの場合、エピトープはタンパク質上に存在するが、場合によっては、糖類又は脂質などのその他の種類の分子上に存在し得る。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル又はスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面グループを含み得て、特定の三次元構造特性及び/又は特定の電荷特性を有し得る。一般に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、タンパク質及び/又は巨大分子の複雑な混合物中の標的抗原上のエピトープを優先的に認識するであろう。
【0051】
本明細書の用法では、「TAM」又は「腫瘍関連マクロファージ」という用語は、固形腫瘍の微小環境内に多数存在する、マクロファージ又は単球由来の免疫細胞を含む。TAMとしてはCD11b+、Ly6G-、Ly6C-、CD206+、CD163+、MHCIIlow、CD49d+を発現する細胞又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書に記載される抗体の構造的属性
相補性決定領域(「CDR」)は、抗体の抗原結合特異性に主に関与する免疫グロブリン(抗体)可変領域の一部である。CDR領域は、抗体が同一標的又はエピトープに特異的に結合する場合でさえも、抗体ごとに大きく異なる。重鎖可変領域は、VH-CDR1、VH-CDR2、及びVH-CDR3と略記される3つのCDR領域を含み;軽鎖可変領域は、VL-CDR1、VL-CDR2、及びVL-CDR3と略記される3つのCDR領域を含む。これらのCDR領域は、可変領域で連続して順序付けられ、CDR1が最もN末端であり、CDR3が最もC末端である。CDRの間には、構造に寄与し、CDR領域よりもはるかに少ない変動性を示す、フレームワーク領域が散在する。重鎖可変領域は、VH-FR1、VH-FR2、VH-FR3、及びVH-FR4と略記される4つのフレームワーク領域を含み;軽鎖可変領域は、VL-FR1、VL-FR2、VL-FR3、及びVL-FR4と略記される4つのフレームワーク領域を含む。2つの重鎖と軽鎖を含む完全サイズの二価抗体は、3つの固有の重鎖CDR及び3つの固有の軽鎖CDRがある12のCDR;4つの固有の重鎖FR領域及び4つの固有の軽鎖FR領域がある16のFR領域を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、最小限、3つの重鎖CDRを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、最小限、3つの軽重鎖CDRを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、最小限、3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDRを含む。所与のCDR又はFRの正確なアミノ酸配列境界は、Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(「Kabat」番号付けスキーム);Al-Lazikani et al.,(1997)JMB 273,927-948(「Chothia」番号付けスキーム);MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996),“Antibody-antigen interactions:Contact analysis and binding site topography,”(「Contact」番号付けスキーム);Lefranc MP et al.,“IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains,”Dev Comp Immunol,2003 Jan;27(1):55-77(「IMGT」番号付けスキーム);及びHonegger A and Plueckthun A,“Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains:an automatic modeling and analysis tool,”J Mol Biol,2001 Jun 8;309(3):657-70(「Aho」番号付けスキーム)によって記載されるものをはじめとするいくつかの周知のスキームのいずれかを使用して容易に判定され得る。CDRは、本明細書ではKabat、IMGT、Chothia番号付けシステムである異なる番号付けシステム、又は3つの任意の組み合わせを使用して、提供される可変配列から識別される。所与のCDR又はFRの境界は、識別に用いられるスキーム次第で変動してもよい。例えば、Kabatスキームは構造アラインメントに基づくが、Chothiaスキームは構造情報に基づく。Kabatスキーム及びChothiaスキームの双方の番号付けは、最も一般的な抗体領域の配列長に基づき、挿入は、例えば「30a」などの挿入文字によって対応され、欠失は、いくつかの抗体に出現する。2つのスキームは、特定の挿入と欠失(「インデル」)を異なる位置に配置させることで、差示的番号付けをもたらす。接触スキームは複雑な結晶構造の解析に基づいており、多くの点でChothia番号付けスキームに類似する。特定の(certan)実施形態では、本開示のCDRは、Kabat(KAbat)法、IMGT法、Chothia法、又はそれらの任意の組み合わせによって判定される。
【0053】
「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。ナイーブ抗体の重鎖及び軽鎖(それぞれ、VH及びVL)の可変ドメインは、一般に類似した構造を有し、各ドメインは4つの保存されたフレームワーク領域(FR)及び3つのCDRを含む。(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい)。単一のVH又はVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であってもよい。さらに、抗原に結合する抗体からのVH又はVLドメインを使用して、それぞれ、相補性VL又はVHドメインライブラリをスクリーニングし、特定の抗原に結合する抗体が単離されてもよい(例えば、Portolano et al.,J.Immunol.150:880-887(1993);Clarkson et al.,Nature 352:624-628(1991)を参照されたい)。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ヒト化されている。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、キメラである。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ラット起源の可変領域を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ラット起源のCDRを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、マウス起源の可変領域を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、マウス起源のCDRを含む。
【0054】
例えば、抗体親和性を改善するために、CDRを改変(例えば、置換)させてもよい。このような改変は、体細胞成熟中に高い変異率を有するCDRをコード化するコドンで生じてもよく(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、得られた変異型は、結合親和性について試験され得る。親和性成熟を用いて(例えば、誤りがちなPCR、鎖シャッフリング、CDRのランダム化、又はオリゴヌクレオチド指向性変異誘発を用いて)、抗体親和性が改善され得る(例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(2001)を参照されたい)。CDR残基は、例えば、アラニンスキャニング変異誘発又はモデル化を用いて、特異的に同定されてもよい(例えば、Cunningham and Wells Science,244:1081-1085(1989)を参照されたい)。特にCDR-H3及びCDR-L3が、しばしば標的化される。代案としては、又はそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を解析して、抗体と抗原の間の接触点が同定される。このような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的化又は排除されてもよい。変異型をスクリーニングして、所望の特性が含まれているかどうかが判定されてもよい。
【0055】
特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、可変領域に加えて定常領域を含む。重鎖定常領域(CH)は、可変領域にとってC末端である、完全長重鎖ポリペプチドのC末端に位置する、CH1、CH2、CH3、及びCH4と略記される4つのドメインを含む。軽鎖定常領域(CL)は、CHよりもはるかに小さく、可変領域にとってC末端である、完全長軽鎖ポリペプチドのC末端に位置する。定常領域は高度に保存されており、わずかに異なる機能と特性に関連する異なるイソタイプを含む。特定の実施形態では、定常領域は、標的抗原への抗体結合のために不必要である。特定の実施形態では、抗体の重鎖及び軽鎖双方の定常領域は、いずれも抗体結合のために不必要である。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、軽鎖定常領域、重鎖定常領域、又はその双方の1つ又は複数を欠く。ほとんどのモノクローナル抗体はIgGイソタイプであり;それは、4つのサブクラスIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4にさらに分類される。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、任意のIgGサブクラスを含む。特定の実施形態では、IgGサブクラスは、IgG1を含む。特定の実施形態では、IgGサブクラスは、IgG2を含む。特定の実施形態では、IgGサブクラスは、IgG3を含む。特定の実施形態では、IgGサブクラスは、IgG4を含む。
【0056】
抗体は、補体及びFc受容体への結合に関与する、断片結晶化可能領域(Fc領域)を含む。Fc領域は、抗体分子のCH2、CH3、及びCH4領域を含む。抗体のFc領域は、補体及び抗体依存性細胞細胞傷害性(ADCC)の活性化に関与する。Fc領域はまた、抗体の血清半減期にも寄与する。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体のFc領域は、補体媒介性細胞溶解を促進する1つ又は複数の(one ore more)アミノ酸置換を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体のFc領域は、ADCCを促進する1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体のFc領域は、補体媒介性細胞溶解を減少させる1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体Fc領域は、Fc受容体への抗体の結合を増加させる1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態では、Fc受容体は、FcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32)、FcγRIIIA(CD16a)、FcγRIIIB(CD16b)、又はそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体のFc領域は、抗体の血清半減期を延長する1つ又は複数のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態では、抗体の血清半減期を延長する1つ又は複数のアミノ酸置換は、新生児Fc受容体(FcRn)に対する抗体の親和性を増加させる。
【0057】
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、全てではないがいくつかのエフェクター機能を有する変異型であり、これによって、生体内における抗体半減期が重要であるが、特定のエフェクター機能(補体及びADCCなど)は不必要又は有害である用途のための、望ましい候補になる。生体外及び/又は生体内細胞傷害性アッセイ実施して、CDC及び/又はADCC活性の減少/枯渇が確認され得る。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実施して、抗体がFcγR結合を欠いている(それ故にADCC活性を欠いている可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることが確実にされ得る。目的の分子のADCC活性を評価するための生体外アッセイの非限定的例は、米国特許第5,500,362号明細書及び米国特許第5,821,337号明細書に記載される。代案としては、非放射性アッセイ法が用いられてもよい(例えば、ACTI(商標)及びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ)。このようなアッセイで有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)単球、マクロファージ、及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。
【0058】
抗体は、延長された半減期と、新生児のFc受容体(FcRn)への改善された結合とを有し得る(例えば、米国特許出願公開第2005/0014934号明細書を参照されたい)。このような抗体は、Fc領域のFcRnへの結合を改善する1つ又は複数の置換がその中にある、Fc領域を含み得て、EU番号付けシステムに準拠する、Fc領域残基238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、又は434に1つ又は複数の置換があるものが含まれる(例えば、米国特許第7,371,826号明細書を参照されたい)。Fc領域変異型のその他の例もまた想定される(例えば、Duncan & Winter,Nature 322:738-40(1988);米国特許第5,648,260号明細書及び米国特許第5,624,821号明細書;及び国際公開第94/29351号パンフレットを参照されたい)。
【0059】
診療所で有用な抗体は、ヒト個体における免疫原性を低下させるために「ヒト化」されていることが多い。ヒト化抗体は、モノクローナル抗体療法の安全性と有効性を改善する。ヒト化の1つの一般的な方法は、任意の適切な動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター)においてモノクローナル抗体を生成し、定常領域をヒト定常領域で置き換えることであり、このようにして操作された抗体は、「キメラ」と称される。別の一般的な方法は、ヒトV-FRで非ヒトV-FRを置換する「CDRグラフト化」である。CDRグラフト化法では、CDR領域を除く全ての残基は、ヒト起源である。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、ヒト化されている。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、キメラである。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、CDRグラフト化されている。
【0060】
ヒト化は一般に、抗体の全体的な親和性を低下させるか、又はほとんど影響を与えない。本明細書に記載されるのは、ヒト化後に、標的に対して予想外により大きな親和性を有する抗体である。特定の実施形態では、ヒト化は、抗体の親和性を10%増加させる。特定の実施形態では、ヒト化は、抗体の親和性を25%増加させる。特定の実施形態では、ヒト化は、抗体の親和性を35%増加させる。特定の実施形態では、ヒト化は、抗体の親和性を50%増加させる。特定の実施形態では、ヒト化は、抗体の親和性を60%増加させる。特定の実施形態では、ヒト化は、抗体の親和性を75%増加させる。特定の実施形態では、ヒト化は、抗体の親和性を100%増加させる。親和性は、適切には表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて測定される。特定の実施形態では、親和性は、グリコシル化ヒトLIFを使用して測定される。特定の実施形態では、グリコシル化ヒトLIFは、SPRチップの表面に固定化される。特定の実施形態では、抗体は、約300ナノモル濃度未満、200ナノモル濃度、150ナノモル濃度、125ナノモル濃度100ナノモル濃度、90ナノモル濃度、80ナノモル濃度、70ナノモル濃度、60ナノモル濃度、50ナノモル濃度、40ナノモル濃度、又はそれ以下のKDで結合する。
【0061】
本明細書に記載される組成物及び方法は、LIF結合ポリペプチドとPD-1軸阻害剤との組み合わせを含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、免疫グロブリン可変領域又は免疫グロブリン重鎖定常領域の断片を含む。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、ヒト免疫グロブリンフレームワーク領域に由来する、少なくとも1つのフレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、ヒト化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、脱免疫化されている。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖と、2つの免疫グロブリン軽鎖とを含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、IgG抗体である。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、Fab、F(ab)2、単一ドメイン抗体、一本鎖可変断片(scFv)、又はナノボディである。特定の実施形態では、LIF結合抗体は、本明細書に記載されるh5D8抗体(配列番号42及び配列番号46)、又は重鎖システイン変異体(配列番号66)、又はh5D8又はそのシステイン変異型のCDRを保有する抗体である。
【0062】
本明細書に記載される特定の実施形態では、PD-1阻害剤と組み合わせて利用又は投与される抗体は、h5D8抗体である。h5d8抗体は、配列番号1~3のいずれか1つに記載されるVH-CDR1、配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるVH-CDR2、及び配列番号6~8のいずれか1つに記載されるVH-CDR3を含むLIFと特異的に結合する。本明細書に記載される特定の実施形態では、h5D8はLIFと特異的に結合し、配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるVL-CDR1、配列番号11又は12に記載されるVL-CDR2、及び配列番13に記載されるVL-CDR3を含む。本明細書に記載される特定の実施形態では、h5D8はLIFと特異的に結合し、配列番号1~3のいずれか1つに記載されるVH-CDR1、配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるVH-CDR2、及び配列番号6~8のいずれか1つに記載されるVH-CDR3配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるVL-CDR1、配列番号11又は12に記載されるVL-CDR2、及び配列番13に記載されるVL-CDR3を含む。
【0063】
特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号14~17のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号18~19のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20~22のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR3アミノ酸配列、又は配列番号23~25のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR4領域アミノ酸配列を含む、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号19に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR3アミノ酸配列、及び配列番号24に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号26~29のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号30~33のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号34~37のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR3アミノ酸配列、又は配列番号38~40のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む、1つ又は複数のヒト軽鎖フレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト軽鎖フレームワーク領域は、配列番号27に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、又は約95%同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号31に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号35に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR3アミノ酸配列、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域及び1つ又は複数のヒト軽鎖領域は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号19に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR3アミノ酸配列、配列番号24に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR4アミノ酸配列、配列番号27に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号31に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号35に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR3アミノ酸配列、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号14~17のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号18~19のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20~22のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR3アミノ酸配列、又は配列番号23~25のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR4領域アミノ酸配列を含む、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号19に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR3アミノ酸配列、及び配列番号24に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号26~29のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号30~33のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号34~37のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR3アミノ酸配列、又は配列番号38~40のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む、1つ又は複数のヒト軽鎖フレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト軽鎖フレームワーク領域は、配列番号27に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号31に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号35に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR3アミノ酸配列、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域及び1つ又は複数のヒト軽鎖領域は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号19に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR3アミノ酸配列、配列番号24に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR4アミノ酸配列、配列番号27に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号31に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号35に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR3アミノ酸配列、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体は、ヒトLIFと特異的に結合する。
【0064】
本明細書に記載されるr5D8抗体は、ヒトLIFをコード化するDNAで免疫化されたラットから生成された。r5D8はクローニングされて配列決定され、(Kabat及びIMGT CDR番号付け法の組み合わせを用いる)配列番号1(GFTFSHAWMH)に対応するVH-CDR1、配列番号4(QIKAKSDDYATYYAESVKG)に対応するVH-CDR2、配列番号6(TCWEWDLDF)に対応するVH-CDR3、配列番号9(RSSQSLLDSDGHTYLN)に対応するVL-CDR1、配列番号11(SVSNLES)に対応するVL-CDR2、及び配列番号13(MQATHAPPYT)に対応するVL-CDR3のアミノ酸配列を有するCDRを含む。この抗体はCDRグラフト化によってヒト化されており、ヒト化バージョンはh5D8と称される。
【0065】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号1(GFTFSHAWMH)に記載されるものと少なくとも80%又は90%同一である、VH-CDR1、配列番号4(QIKAKSDDYATYYAESVKG)に記載されるものと少なくとも80%、90%、又は95%同一である、VH-CDR2、及び配列番号6(TCWEWDLDF)に記載されるものと少なくとも80%又は90%同一である、VH-CDR3を含む、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号9(RSSQSLLDSDGHTYLN)に記載されるものと少なくとも80%又は90%同一である、VL-CDR1、配列番号11(SVSNLES)に記載されるものと少なくとも80%同一である、VL-CDR2、及び配列番号13(MQATHAPPYT)に記載されるものと少なくとも80%又は90%同一である、VL-CDR3を含む、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号1(GFTFSHAWMH)に記載されるVH-CDR1、配列番号4(QIKAKSDDYATYYAESVKG)に記載されるVH-CDR2、配列番号6(TCWEWDLDF)に記載されるVH-CDR3、配列番号9(RSSQSLLDSDGHTYLN)に記載されるVL-CDR1、配列番号11(SVSNLES)に記載されるVL-CDR2、及び配列番号13(MQATHAPPYT)に記載されるVL-CDR3を含む、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の保存的アミノ酸置換が、本開示のCDRのアミノ酸配列中で想定される。特定の実施形態では、抗体は、配列番号1、4、6、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、1、2、3、又は4アミノ酸とが異なるCDRを含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号1、4、6、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、1、2、3、又は4アミノ酸とが異なるCDRを含み、10%、20%、又は30%を超えて結合親和性に影響を与えない。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号14~17のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号18~19のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20~22のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、VH-FR3アミノ酸配列、又は配列番号23~25のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR4領域アミノ酸配列を含む、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号19に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR3アミノ酸配列、及び配列番号24に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号26~29のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号30~33のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号34~37のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR3アミノ酸配列、又は配列番号38~40のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む、1つ又は複数のヒト軽鎖フレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト軽鎖フレームワーク領域は、配列番号27に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号31に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号35に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR3アミノ酸配列、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域及び1つ又は複数のヒト軽鎖領域は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、全てのVH-FR1アミノ酸配列、配列番号19に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR3アミノ酸配列、配列番号24に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、VH-FR4アミノ酸配列、配列番号27に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号31に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号35に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR3アミノ酸配列、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体は、ヒトLIFと特異的に結合する。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号14~17のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号18~19のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20~22のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR3アミノ酸配列、又は配列番号23~25のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR4領域アミノ酸配列を含む、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号19に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR3アミノ酸配列、及び配列番号24に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号26~29のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号30~33のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号34~37のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR3アミノ酸配列、又は配列番号38~40のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む、1つ又は複数のヒト軽鎖フレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト軽鎖フレームワーク領域は、配列番号27に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号31に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号35に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR3アミノ酸配列、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域及び1つ又は複数のヒト軽鎖領域は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号19に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR3アミノ酸配列、配列番号24に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR4アミノ酸配列、配列番号27に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号31に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号35に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR3アミノ酸配列、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体は、ヒトLIFと特異的に結合する。
【0066】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号1(GFTFSHAWMH)に記載されるものと少なくとも80%又は90%同一である、VH-CDR1アミノ酸配列、配列番号4(QIKAKSDDYATYYAESVKG)に記載されるものと少なくとも80%、90%、又は95%同一である、VH-CDR2アミノ酸配列、及び配列番号8(TSWEWDLDF)に記載されるものと少なくとも80%又は90%同一である、VH-CDR3アミノ酸配列を含む、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号9(RSSQSLLDSDGHTYLN)に記載されるものと少なくとも80%又は90%同一である、VL-CDR1アミノ酸配列、配列番号11(SVSNLES)に記載されるものと少なくとも80%同一である、VL-CDR2アミノ酸配列、及び配列番号13(MQATHAPPYT)に記載されるものと少なくとも80%又は90%同一である、VL-CDR3アミノ酸配列を含む、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号:1(GFTFSHAWMH)に記載されるVH-CDR1アミノ酸配列、配列番号4(QIKAKSDDYATYYAESVKG)に記載されるVH-CDR2アミノ酸配列、配列番号8(TSWEWDLDF)に記載されるVH-CDR3アミノ酸配列、配列番号9(RSSQSLLDSDGHTYLN)に記載されるVL-CDR1アミノ酸配列、配列番号11(SVSNLES)に記載されるVL-CDR2アミノ酸配列、及び配列番号13(MQATHAPPYT)に記載されるVL-CDR3アミノ酸配列を含む、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の保存的アミノ酸置換が、本開示のCDRのアミノ酸配列中で想定される。特定の実施形態では、抗体は配列番号1、4、8、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、1、2、3、又は4アミノ酸とが異なるCDRを含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号1、4、8、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、1、2、3、又は4アミノ酸とが異なるCDRを含み、10%、20%、又は30%を超えて結合親和性に影響を与えない。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号14~17のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号18~19のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20~22のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、VH-FR3アミノ酸配列、又は配列番号23~25のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR4領域アミノ酸配列を含む、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号19に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR3アミノ酸配列、及び配列番号24に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号26~29のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号30~33のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号34~37のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR3アミノ酸配列、又は配列番号38~40のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む、1つ又は複数のヒト軽鎖フレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト軽鎖フレームワーク領域は、配列番号27に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号31に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号35に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR3アミノ酸配列、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域及び1つ又は複数のヒト軽鎖領域は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、全てのVH-FR1アミノ酸配列、配列番号19に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VH-FR3アミノ酸配列、配列番号24に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一である、VH-FR4アミノ酸配列、配列番号27に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号31に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号35に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR3アミノ酸配列、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体は、ヒトLIFと特異的に結合する。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号14~17のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号18~19のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20~22のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR3アミノ酸配列、又は配列番号23~25のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR4領域アミノ酸配列を含む、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号19に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR3アミノ酸配列、及び配列番号24に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号26~29のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号30~33のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号34~37のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR3アミノ酸配列、又は配列番号38~40のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む、1つ又は複数のヒト軽鎖フレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト軽鎖フレームワーク領域は、配列番号27に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号31に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号35に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR3アミノ酸配列、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、1つ又は複数のヒト重鎖フレームワーク領域及び1つ又は複数のヒト軽鎖領域は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR1アミノ酸配列、配列番号19に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR2アミノ酸配列、配列番号20に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR3アミノ酸配列、配列番号24に記載されるアミノ酸配列と同一である、VH-FR4アミノ酸配列、配列番号27に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR1アミノ酸配列、配列番号31に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR2アミノ酸配列、配列番号35に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR3アミノ酸配列、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列と同一である、VL-FR4アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体は、ヒトLIFと特異的に結合する。
【0067】
本明細書に記載される特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号41、42、及び44のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号41、42、及び44のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むヒト化重鎖可変領域を含み、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号45~48のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖可変領域を含み、LIFと特異的に結合する抗体である。本明細書に記載される特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号45~48のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、ヒトLIFと特異的に結合する。
【0068】
本明細書に記載される特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化重鎖可変領域と;配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖可変領域とを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号42に記載されるアミノ酸配列を含むヒト化重鎖可変領域と;配列番号46に記載されるアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖可変領域とを含み、LIFと特異的に結合する抗体である。
【0069】
本明細書に記載される特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号66に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化重鎖可変領域と;配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖可変領域とを含む。本明細書に記載される特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号66に記載されるアミノ酸配列を含むヒト化重鎖可変領域と;配列番号46に記載されるアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖可変領域とを含む。
【0070】
本明細書に記載される特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号57~60のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号61~64のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖とを含む。本明細書に記載される特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号57~60のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号61~64のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖とを含む。
【0071】
本明細書に記載される特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号58に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号62に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖とを含む。本明細書に記載される特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号58に記載されるアミノ酸配列を含むヒト化重鎖と、配列番号62に記載されるアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖とを含む。本明細書に記載される特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号67に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号62に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖とを含む。本明細書に記載される特定の実施形態では、LIFと特異的に結合する抗体は、配列番号67に記載されるアミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号62に記載されるアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖とを含む。
【0072】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);及び配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する組換え抗体である。
【0073】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);配列番号5に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);配列番号6に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);及び配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する組換え抗体である。特定の保存的アミノ酸置換が、本開示のCDRのアミノ酸配列中で想定される。特定の実施形態では、抗体は配列番号2、5、6、10、12、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、1、2、3、又は4アミノ酸とが異なるCDRを含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号2、5、6、10、12、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、1、2、3、又は4アミノ酸とが異なるCDRを含み、10%、20%、又は30%を超えて結合親和性に影響を与えない。
【0074】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);及び配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する組換え抗体である。特定の保存的アミノ酸置換が、本開示のCDRのアミノ酸配列中で想定される。特定の実施形態では、抗体は配列番号3、4、7、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、1、2、3、又は4アミノ酸とが異なるCDRを含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号:3、4、7、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、1、2、3、又は4アミノ酸とが異なるCDRを含み、10%、20%、又は30%を超えて結合親和性に影響を与えない。
【0075】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号49~52のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号53~56のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖とを含み、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号49~52のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号53~56のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖とを含み、LIFと特異的に結合する抗体である。
【0076】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号50に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号54に記載される(in of)アミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、アミノ酸配列を含むヒト化軽鎖とを含み、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号50に記載されるアミノ酸配列を含むヒト化重鎖と;配列番号54のいずれか1つに(any one of)記載されるアミノ酸配列を含むヒト化軽鎖とを含む、LIFと特異的に結合する抗体である。
【0077】
治療的に有用なLIF抗体に結合したエピトープ
本明細書に記載されるのは、結合するとLIFの生物学的活性(例えば、STAT3リン酸化)を阻害し、生体内で腫瘍増殖を阻害する、ヒトLIFの固有のエピトープである。本明細書に記載されるエピトープは、ヒトLIFタンパク質の2つの異なる位相ドメイン(αらせんA及びC)に存在する、2つの不連続な一連のアミノ酸(ヒトLIFの残基13~残基32及び残基120~138)からなる。この結合は、弱い(ファンデルワールス引力)、中程度(水素結合)、及び強い(塩橋)相互作用の組み合わせである。特定の実施形態では、接触残基は、抗LIF抗体上の残基と水素結合を形成する、LIF上の残基である。特定の実施形態では、接触残基は、抗LIF抗体上の残基と塩橋を形成する、LIF上の残基である。特定の実施形態では、接触残基は、ファンデルワールス引力をもたらすLIF上の残基であり、抗LIF抗体上の残基の少なくとも5、4、又は3Å以内にある。
【0078】
特定の実施形態では、LIF結合抗体及びPD-1軸阻害剤からなる、本明細書に記載される方法及び組成物は、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138残基の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のいずれかに結合する、単離抗体を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138残基の全てに結合する単離抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138残基の全てに結合する単離抗体である。特定の実施形態では、抗体は、強い又は中程度の相互作用において抗体と関与する残基にのみ結合する。特定の実施形態では、抗体は、強い相互作用において抗体と関与する残基にのみ結合する。特定の実施形態では、抗体は、LIFのらせんA及びCと相互作用する。特定の実施形態では、抗体は、LIFとgp130との相互作用を遮断する。
【0079】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138残基の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のいずれかに結合する、配列番号1、4、6、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を有する、CDRを含む抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138の全ての残基に結合する、配列番号1、4、6、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を有する、CDRを含む抗体である。特定の実施形態では、抗体は、強い又は中程度の相互作用において抗体と関与する残基にのみ結合する。特定の実施形態では、抗体は、強い相互作用において抗体と関与する残基にのみ結合する。
【0080】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138残基の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のいずれかに結合する、配列番号1、4、8、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を有する、CDRを含む抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138の全ての残基に結合する、配列番号1、4、8、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を有する、CDRを含む抗体である。特定の実施形態では、抗体は、強い又は中程度の相互作用において抗体と関与する残基にのみ結合する。特定の実施形態では、抗体は、強い相互作用において抗体と関与する残基にのみ結合する。
【0081】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号1、4、6、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、1、2、3、4、又は5アミノ酸とが異なるCDRを含み、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138残基の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のいずれかに結合する抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号1、4、6、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、1、2、3、4、又は5アミノ酸とが異なるCDRを含み、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138の全ての残基に結合する抗体である。特定の実施形態では、抗体は、強い又は中程度の相互作用において抗体と関与する残基にのみ結合する。特定の実施形態では、抗体は、強い相互作用において抗体と関与する残基にのみ結合する。
【0082】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号1、4、8、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、1、2、3、4、又は5アミノ酸とが異なるCDRを含み、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138残基の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のいずれかに結合する抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号1、4、8、9、11、及び13のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と、1、2、3、4、又は5アミノ酸とが異なるCDRを含み、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138の全ての残基に結合する抗体である。特定の実施形態では、抗体は、強い又は中程度の相互作用において抗体と関与する(that that)残基にのみ結合する。特定の実施形態では、抗体は、強い相互作用において抗体と関与する(that that)残基にのみ結合する。
【0083】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、ヒト化重鎖可変領域アミノ酸配列と;配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、ヒト化軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含み、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138残基の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のいずれかに結合する、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、ヒト化重鎖可変領域アミノ酸配列と;配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、ヒト化軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含み、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138の全ての残基に結合する、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、抗体は、強い又は中程度の相互作用において抗体と関与する(that that)残基にのみ結合する。特定の実施形態では、抗体は、強い相互作用において抗体と関与する(that that)残基にのみ結合する。
【0084】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号66に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、ヒト化重鎖可変領域アミノ酸配列と;配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、ヒト化軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含み、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138残基の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のいずれかに結合する、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されるのは、配列番号66に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、ヒト化重鎖可変領域アミノ酸配列と;配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、約90%、約95%、約97%、約98%、又は約99%同一である、ヒト化軽鎖可変領域アミノ酸配列とを含み、配列番号68のA13、I14、R15、H16、P17、C18、H19、N20、Q25、Q29、Q32、D120、R123、S127、N128、L130、C131、C134、S135、又はH138の全ての残基に結合する、LIFと特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、抗体は、強い又は中程度の相互作用において抗体と関与する(that that)残基にのみ結合する。特定の実施形態では、抗体は、強い相互作用において抗体と関与する(that that)残基にのみ結合する。
【0085】
特定の実施形態では,本明細書で開示される抗体は、細胞におけるLIFシグナル伝達を阻害する。特定の実施形態では、U-251細胞における血清飢餓条件下での抗体の生物学的阻害のIC50は、約100、75、50、40、30、20、10、5、又は1ナノモル濃度以下である。特定の実施形態では、U-251細胞における血清飢餓条件下での抗体の生物学的阻害のIC50は、約900、800、700、600、500、400、300、200、又は100ナノモル濃度以下である。
【0086】
特定の実施形態では、本明細書で開示される抗体は、LIFを発現する腫瘍及びがんを治療するのに有用である。特定の実施形態では、本開示の抗体で治療された個体は、LIF陽性腫瘍/がんを有するとして治療のために選択されている。特定の実施形態では、腫瘍はLIF陽性であるか、又は上昇したレベルのLIFを産生する。特定の実施形態では、LIF陽性は、基準値又は一組の病理学的基準と比較して判定される。特定の実施形態では、LIF陽性腫瘍は、腫瘍がそれに由来する非形質転換細胞よりも2倍、3倍、5倍、10倍、100倍又はそれを超えるLIFを発現する。特定の実施形態では、腫瘍は、LIFの異所性発現を獲得している。LIF陽性腫瘍は、例えば、抗LIF抗体による免疫組織化学検査を使用して組織学的に;例えば、リアルタイムPCR又はRNA-seqによるmRNA定量などの一般に使用される分子生物学方法によって;又は例えば、ウエスタンブロット、フローサイトメトリー、ELISA、又は均一(homogenous)タンパク質定量アッセイ(例えば、AlphaLISA(登録商標))によるタンパク質定量によって、判定され得る。特定の実施形態では、抗体は、がんと診断された患者を治療するために使用され得る。特定の実施形態では、がんは、1つ又は複数のがん幹細胞を含み、又は1つ又は複数のがん幹細胞である。
【0087】
特定の実施形態では、本明細書で開示される抗体は、LIF受容体(CD118)を発現するがんにおいて腫瘍を治療するのに有用である。LIF受容体陽性腫瘍は、病理組織診断又はフローサイトメトリーによって判定され得て、特定の実施形態では、イソタイプ対照の2倍、3倍、4倍、5倍、10倍又はそれを超えるLIF受容体抗体に結合する細胞を含む。特定の実施形態では、腫瘍は、LIF受容体の異所性発現を獲得している。特定の実施形態では、がんはがん幹細胞である。特定の実施形態では、LIF陽性腫瘍又はがんは、抗LIF抗LIF抗体(anti-LIF an anti-LIF antibody)を使用した免疫組織化学検査によって判定され得る。特定の実施形態では、LIF陽性腫瘍は、LIFレベルが上位10%、20%、30%、40%、又は上位50%である腫瘍のIHC分析によって判定される。
【0088】
本明細書に記載される抗体は、多数の結果に影響を及ぼす。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、対照抗体(例えば、イソタイプ対照)と比較して、腫瘍モデルにおいて、腫瘍におけるM2マクロファージの存在を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれを超えて減少させ得る。M2マクロファージは、IHC切片のCCL22及びCD206の染色によって、又は腫瘍浸潤性免疫細胞又は骨髄性細胞のフローサイトメトリーによって、同定され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、対照抗体(例えば、イソタイプ対照)と比較した場合、gp130腫瘍に対するLIFの結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれを超えて減少させ得る。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、対照抗体(例えば、イソタイプ対照)と比較して、LIF応答性細胞株におけるLIFシグナル伝達を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又はそれを超えて減少させ得る。LIFシグナル伝達は、例えば、リン酸化STAT3(LIFシグナル伝達の下流標的)のウエスタンブロットによって測定され得る。本明細書の抗体はまた、その他のIL-6ファミリーメンバーサイトカインと比較して、LIFに対して高度に特異的である。特定の実施形態では、抗体は、任意のその他のIL-6ファミリーメンバーサイトカインよりも、約10倍、約50倍、又は約100倍大きい親和性でヒトLIFに結合する。特定の実施形態では、LIF抗体は、哺乳類系で産生されるその他のIL-6ファミリーメンバーサイトカインに結合しない。特定の実施形態では、抗体は、哺乳類系で産生されたオンコスタチンMに結合しない。
【0089】
特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチド及び抗体は、例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、腫瘍内、又は大脳内などの、抗体含有医薬組成物の投与に適した任意の経路によって投与され得る。特定の実施形態では、抗体は静脈内投与される。特定の実施形態では、抗体は、例えば、毎週、毎週2回、毎月、毎月2回などの適切な投与計画で投与される。特定の実施形態では、抗体は、3週間に1回投与される。抗体は、任意の治療的有効量で投与され得る。特定の実施形態では、治療的に許容される量は、約0.1mg/kg~約50mg/kgである。特定の実施形態では、治療的に許容される量は、約1mg/kg~約40mg/kgである。特定の実施形態では、治療的に許容される量は、約5mg/kg~約30mg/kgである。LIF結合ポリペプチド又は抗体は、少なくとも約60分間の時間をかけて静脈内投与され得る;ただし、この時間は、各個体の投与に妥当な条件に基づいて変動し得る。
【0090】
PD-1軸阻害剤
PD-1軸は、それを介してPD-1が、T細胞応答に対する抑制効果を発揮するシグナル伝達経路であり、PD-1とPDL-1又はPDL-2との相互作用を含む。本明細書に記載されるLIF結合ポリペプチド及び抗体は、PD-1軸阻害剤と組み合わせて、腫瘍、がん又はその他の新生物を治療するための方法で展開され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載されるLIF結合ポリペプチド及び抗体は、がん、腫瘍、又はその他の新生物を治療するのに有用な医薬組成物中で、PD-1軸阻害剤と組み合わされ得る。本明細書に記載されるh5D8抗体は、PD-1軸阻害剤と組み合わせて、腫瘍、がん又はその他の新生物を治療する方法で展開され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載されるh5D8抗体は、がん、腫瘍、又はその他の新生物を治療するのに有用な医薬組成物中で、PD-1軸阻害剤と組み合わされ得る。
【0091】
PD-1軸阻害剤は、本明細書の組成物及び方法で利用され、PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)を通じたシグナル伝達を阻害し得る。阻害剤は、抗体又は抗体断片、可溶性リガンド-Fc融合コンストラクト、又は小分子阻害剤であり得る。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、抗体又はそのPD-1結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1(CD279)と特異的に結合する抗体又は抗原結合断片は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、スパルタリズマブ、チスレリズマブ(BGB-A317)、ピジリズマブ、又はそのPD-1(CD279)結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、PD-L2Fc融合タンパク質(例えば、AMP-224)である。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、PDL-1(CD274)と特異的に結合する抗体又はPDL-1結合断片を含む。特定の実施形態では、PDL-1(CD274)と特異的に結合する抗体又は抗原結合断片は、デュルバルマブ(MEDI4376)、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1(CD274)結合断片を含む。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、PDL-2(CD273)と特異的に結合する抗体又はPDL-2結合断片を含む。
【0092】
特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体などの1つ又は複数の(on or more)の小分子阻害剤を含む。
【0093】
特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、腫瘍内、大脳内、又は経口などの、小分子ポリペプチド又は抗体含有医薬組成物の投与に適した任意の経路によって投与され得る。特定の実施形態では、PD-1軸阻害抗体は静脈内投与される。特定の実施形態では、PD-1軸阻害抗体は、例えば、毎週、毎週2回、毎月、毎月2回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回などの、適切な投与計画で投与される。抗体は、任意の治療的有効量で投与され得る。特定の実施形態では、治療的に許容される量は、約0.1mg/kg~約50mg/kgである。特定の実施形態では、治療的に許容される量は、約1mg/kg~約40mg/kgである。特定の実施形態では、治療的に許容される量は、約5mg/kg~約30mg/kgである。特定の実施形態では、治療的に許容される量は、約5mg/kg~約20mg/kgである。特定の実施形態では、治療的に許容される量は、約5mg/kg~約15mg/kgである。特定の実施形態では、治療的に許容される量は、約5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、15mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、又は20mg/kgである。一例では、デュルバルマブは、2週間に1回約10mg/kgの投与量で投与され得る。
【0094】
特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤の個体への投与は、約100ミリグラム~約1000ミリグラムの均一投与量レベルであり得る。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤の個体への投与は、約200ミリグラム~約800ミリグラム、約200ミリグラム~約600ミリグラム、約200ミリグラム~約500ミリグラム、約300ミリグラム~約500ミリグラムの均一投与量のレベルであり得る。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤の個体への投与は、約100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950又は1000ミリグラムの均一投与量のレベルであり得る。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤の個体への投与は、単剤療法に適したレベルであり得る。例えば、ニボルマブは、2週間毎に約240ミリグラム、又は4週間毎に約480ミリグラムの投与量で投与され得る。別の例ではペンブロリズマブは、3週間に1回約200ミリグラムで投与され得る。
【0095】
h5D8の用量
特定の実施形態では、h5D8抗体は、例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、腫瘍内、又は大脳内などの抗体含有医薬組成物の投与に適した任意の経路によって投与され得る。特定の実施形態では、h5D8は、静脈内投与される。特定の実施形態では、h5D8は、例えば、毎週、毎週2回、毎月、毎月2回などの適切な投与計画で投与される。特定の実施形態では、h5D8は、3週間に1回投与される。H5D8は、任意の治療的有効量で投与され得る。特定の実施形態では、治療的に許容される量は、約0.1mg/kg~約50mg/kgである。特定の実施形態では、治療的に許容される量は、約1mg/kg~約40mg/kgである。特定の実施形態では、治療的に許容される量は、約5mg/kg~約30mg/kgである。h5D8抗体は、投与される個体の体重及び体質量に関係なく、均一用量で投与され得る。h5D8抗体は、個体が少なくとも約37.5キログラムの体質量を有するという条件で、投与される個体の体重及び体質量に関係なく、均一用量で投与され得る。h5D8の均一用量は、約75ミリグラム~約2000ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、約225ミリグラム~約2000ミリグラム、約750ミリグラム~約2000ミリグラム、約1125ミリグラム~約2000ミリグラム、又は約1500ミリグラム~約2000ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、約75ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、約225ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、約750ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、約1125ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、約2000ミリグラムで投与され得る。
【0096】
その他の用量のh5D8が想定される。h5D8の均一用量は、約50、100、150、175、200、250、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、775、800、825、850、875、900、925、950、975、1000、1025、1050、1075、1100、1150、1175、1200、1225、1250、1275、1300、1325、1350、1375、1400、1425、1450、1475、1525、1550、1575、1600、1625、1650、1675、1700、1725、1750、1775、1800、1825、1850、1875、1900、1925、1950、1975、2025、2050、2075、又は2100ミリグラムで投与され得る。これらのいずれかの用量は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与され得る。
【0097】
h5D8の均一用量は、1週間に1回約75ミリグラム~約2000ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、1週間に1回約75ミリグラム~約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、1週間に1回約225ミリグラム~約1500ミリグラム、約750ミリグラム~約1500ミリグラム、約1125ミリグラム~約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、1週間に1回約75ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、1週間に1回約225ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、1週間に1回約750ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、1週間に1回約1125ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、1週間に1回約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、1週間に1回約2000ミリグラムで投与され得る。
【0098】
h5D8の均一用量は、2週間に1回約75ミリグラム~約2000ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、2週間に1回約75ミリグラム~約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、2週間に1回約225ミリグラム~約1500ミリグラム、約750ミリグラム~約1500ミリグラム、約1125ミリグラム~約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、2週間に1回約75ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、2週間に1回約225ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、2週間に1回約750ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、2週間に1回約1125ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、2週間に1回約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、2週間に1回約2000ミリグラムで投与され得る。
【0099】
h5D8の均一用量は、3週間に1回約75ミリグラム~約2000ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、3週間に1回約75ミリグラム~約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、3週間に1回約225ミリグラム~約1500ミリグラム、約750ミリグラム~約1500ミリグラム、約1125ミリグラム~約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、3週間に1回約75ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、3週間に1回約225ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、3週間に1回約750ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、3週間に1回約1125ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、3週間に1回約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、3週間に1回約2000ミリグラムで投与され得る。
【0100】
h5D8の均一用量は、4週間に1回約75ミリグラム~約2000ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、4週間に1回約75ミリグラム~約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、4週間に1回約225ミリグラム~約1500ミリグラム、約750ミリグラム~約1500ミリグラム、約1125ミリグラム~約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、4週間に1回約75ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、4週間に1回約225ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、4週間に1回約750ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、4週間に1回約1125ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、4週間に1回約1500ミリグラムで投与され得る。h5D8の均一用量は、4週間に1回約2000ミリグラムで投与され得る。
【0101】
h5D8抗体は、h5D8抗体が投与される個体の体重又は体質量に基づいた用量で投与され得る。h5D8の体重調整用量は、約1mg/kg~約25mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、約3mg/kg~約25mg/kg、約10mg/kg~約25mg/kg、約15mg/kg~約25mg/kg、又は約20mg/kg~約25mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、約1mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、約3mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、約10mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、約15mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、約20mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、約25mg/kgで投与され得る。
【0102】
h5D8の体重調整用量は、3週間に1回約1mg/kg~約25mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、1週間、2週間、3週間又は4週間に1回約3mg/kg~約25mg/kg、約10mg/kg~約20mg/kg、約15mg/kg~約25mg/kg、又は約20mg/kg~約25mg/kgで投与され得る。
【0103】
h5D8のその他の体重調整用量が想定される。h5D8の体重調整用量は、約2mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、13mg/kg、14mg/kg、16mg/kg、17mg/kg、18mg/kg、19mg/kg、21mg/kg、22mg/kg、23mg/kg、24mg/kg、26mg/kg、27mg/kg、28mg/kg、29mg/kg、又は30mg/kgで投与され得る。これらのいずれかの用量は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与され得る。
【0104】
h5D8の体重調整用量は、1週間に1回約1mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、1週間に1回約3mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、1週間に1回約10mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、1週間に1回約15mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、1週間に1回約20mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、1週間に1回約25mg/kgで投与され得る。
【0105】
h5D8の体重調整用量は、2週間に1回約1mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、2週間に1回約3mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、2週間に1回約10mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、2週間に1回約15mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、2週間に1回約20mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、2週間に1回約25mg/kgで投与され得る。
【0106】
h5D8の体重調整用量は、3週間に1回約1mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、3週間に1回約3mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、3週間に1回約10mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、3週間に1回約15mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、3週間に1回約20mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、3週間に1回約25mg/kgで投与され得る。
【0107】
h5D8の体重調整用量は、4週間に1回約1mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、4週間に1回約3mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、4週間に1回約10mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、4週間に1回約15mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、4週間に1回約20mg/kgで投与され得る。h5D8の体重調整用量は、4週間に1回約25mg/kgで投与され得る。
【0108】
本明細書に詳述される用量のいずれも、少なくとも約60分の時間をかけて静脈内投与され得る;ただし、この時間は、各個体の投与に妥当な条件に基づいて変動し得る。
【0109】
併用療法の投与スケジュール
LIF結合ポリペプチドとPD-1軸阻害剤からなる併用療法は、様々な方法で投与され得る。本発明のLIF結合ポリペプチドとPD-1軸阻害剤は、同一スケジュールで同時に、又は異なるスケジュールで異なる時点で、投与され得る。同時に投与される場合、投与は、別個の製剤によるものでも、又はLIF結合ポリペプチドとPD-1軸阻害剤との双方を含む単一製剤によるものであり得る。投与様式は混合され得て、例えば、PD-1軸阻害剤が経口又は非経口注射によって投与される一方で、LIF結合ポリペプチドが静脈内投与され得る。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、静脈内、非経口的、皮下、腫瘍内、又は経口的に投与される。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、静脈内、非経口的、皮下、腫瘍内、又は経口的に投与される。
【0110】
同一スケジュールで個体に併用療法を投与する場合、LIF結合ポリペプチド及びPD-1軸阻害剤は、毎週1回、2週間に1回、3週間に1回、又は4週間に1回投与され得る。LIF結合ポリペプチド及びPD-1軸阻害剤は、別々に又は単一製剤として投与され得る。H5D8及びPD-1軸阻害剤は、別々に又は単一製剤として投与され得る。
【0111】
異なるスケジュールで個体に併用療法を投与する場合、LIF結合ポリペプチド及びPD-1軸阻害剤は交互に投与され得る。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、LIF結合(biding)ポリペプチドの投与前に、1回又は複数回個体に投与され得る。LIF結合ポリペプチドは、PD-1軸阻害剤の投与の1日、2日、3日、4日、5日、又は6日以内に投与され得る。LIF結合ポリペプチドは、PD-1軸阻害剤の投与の1週間、2週間、3週間、又は4週間以内に投与され得る。h5D8抗体は、PD-1軸阻害剤の投与の1日、2日、3日、4日、5日、又は6日以内に投与され得る。h5D8抗体は、PD-1軸阻害剤の投与の1週間、2週間、3週間、又は4週間以内に投与され得る。
【0112】
LIF結合(biding)ポリペプチドは、PD-1軸阻害剤の投与の前に、個体に1回又は複数回投与され得る。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、LIF結合ポリペプチドの投与の1日、2日、3日、4日、5日、又は6日以内に投与され得る。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、LIF結合ポリペプチドの投与の1週間、2週間、3週間、又は4週間以内に投与され得る。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、h5D8抗体の投与の1日、2日、3日、4日、5日、又は6日以内に投与され得る。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤は、h5D8抗体の投与の1週間、2週間、3週間、又は4週間以内に投与され得る。
【0113】
特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、毎週1回個体に投与され得て、PD1-軸阻害剤は毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に個体に投与され得る。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、2週間に1回個体に投与され得て、PD1-軸阻害剤は毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に個体に投与され得る。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは3週間に1回個体に投与され得て、PD1-軸阻害剤は毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に個体に投与され得る。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは4週間に1回個体に投与され得て、PD1-軸阻害剤は毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に個体に投与され得る。特定の実施形態では、PD1-軸阻害剤は、毎週1回個体に投与され得て、LIF結合ポリペプチドは、毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に個体に投与され得る。特定の実施形態では、PD1-軸阻害剤は、2週間に1回個体に投与され得て(e can)、LIF結合ポリペプチドは、毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に個体に投与され得る。特定の実施形態では、PD1-軸阻害剤は、3週間に1回個体に投与され得て、LIF結合ポリペプチドは、毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に個体に投与され得る。特定の実施形態では、PD1-軸阻害剤は、4週間に1回個体に投与され得て、LIF結合ポリペプチドは、毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に個体に投与され得る。特定の実施形態では、h5D8は、PD-1軸阻害剤の投与前に、1回又は複数回個体に投与され得る。特定の実施形態では、h5D8は、毎週1回個体に投与され得て、PD1-軸阻害剤は毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に個体に投与され得る。特定の実施形態では、h5D8は、2週間に1回個体に投与され得て、PD1-軸阻害剤は毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に個体に投与され得る。特定の実施形態では、h5D8は、3週間に1回個体に投与され得て、PD1-軸阻害剤は毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に個体に投与され得る。特定の実施形態では、h5D8は、4週間に1回個体に投与され得て、PD1-軸阻害剤は毎週、2週間毎、3週間毎又は4週間毎に個体に投与され得る。
【0114】
本開示による併用療法は、活性化成分(例えば、LIF結合ポリペプチド及びPD-1阻害剤)の片方又は双方が、それだけでは有効ではないが、併用療法の一部として投与された場合に有効である、組み合わせを含んでもよい。特定の実施形態では、PD-1阻害剤は、単剤療法では有効ではないが、LIF結合ポリペプチドとの組み合わせで有効なレベルで投与される。特定の実施形態では、PD-1阻害剤は、単剤療法では有効ではないが、h5D8抗体との組み合わせで有効なレベルで投与される。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチドは、単剤療法では有効ではないが、PD-1阻害剤との組み合わせで有効なレベルで投与される。特定の実施形態では、h5D8は、単剤療法では有効ではないが、PD-1阻害剤との組み合わせで有効なレベルで投与される。特定の実施形態では、LIF結合ポリペプチド及びPD-1阻害剤の双方が、単剤療法では有効ではないが、組み合わせで有効なレベルで投与される。特定の実施形態特定の実施形態では、h5D8及びPD-1阻害剤の双方が、単剤療法では有効ではないが、組み合わせで有効なレベルで投与される。
【0115】
治療適応症
特定の実施形態では、本明細書で開示されるのは、がん又は腫瘍の治療のために有用な方法及び組成物である。特定の実施形態では、がんは、乳房、心臓、肺、小腸、結腸、脾臓、腎臓、膀胱、頭部、頸部、卵巣、前立腺、脳、膵臓、皮膚、骨、骨髄、血液、胸腺、子宮、精巣、及び肝臓の腫瘍を含む。特定の実施形態では、本発明の抗体で治療され得る腫瘍は腺腫、腺がん、血管肉腫(angiosarcoma)、星状細胞腫、上皮性がん、胚細胞腫、神経膠芽腫、神経膠腫、血管内皮腫、血管肉腫(hemangiosarcoma)、血腫、肝芽細胞腫、白血病、リンパ腫、髄芽腫、黒色腫、神経芽腫、骨肉腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫奇形腫を含む。特定の実施形態では、腫瘍/がんは、末端黒子型黒色腫、日光角化症、腺がん、腺様嚢胞がん、腺腫、腺肉腫、腺扁平上皮がん、アストロサイト腫瘍、バルトリン腺がん、基底細胞がん、気管支腺がん、毛細血管カルチノイド、がん腫、がん肉腫、胆管がん、軟骨肉腫、嚢胞腺腫、内胚葉洞腫瘍、子宮内膜過形成、子宮内膜間質肉腫、類内膜腺がん、上衣肉腫、ユーイング(Swing’s)肉腫、限局性結節性過形成、ガストリノーマ(gastronoma)、生殖系列腫瘍、神経膠芽腫、グルカゴノーマ、血管芽細胞腫、血管内皮腫、血管腫、肝腺腫、肝臓腺腫症、肝細胞がん、インスリン炎(insulinite)、上皮内新生物、上皮内扁平上皮細胞新生物、浸潤性扁平上皮細胞がん、大細胞がん、脂肪肉腫、肺がん、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、平滑筋肉腫、黒色腫、悪性黒色腫、悪性中皮腫、神経鞘腫瘍、髄芽腫、髄上皮腫、中皮腫、粘液性類表皮腫、骨髄性白血病、神経芽腫、神経上皮腺がん、結節性黒色腫、骨肉腫、卵巣がん、乳頭状漿液性腺がん、下垂体腫瘍、プラズマ細胞腫、偽肉腫、前立腺がん、肺芽球腫、腎細胞がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、漿液がん、扁平上皮細胞がん、小細胞がん、軟部組織がん、ソマトスタチン分泌腫瘍、扁平上皮がん、扁平上皮細胞がん、未分化がん、ぶどう膜黒色腫、疣状がん、膣/外陰がん、VIP産生腫瘍(VIPpoma)、及びウィルムス(Wilm’s)腫瘍の群から選択される。血管肉腫特定の実施形態では、腫瘍/がんは、脳がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、急性骨髄性白血病、プレB細胞急性リンパ芽球性白血病、膀胱がん、好ましくはグレードII、III又はIVの星状細胞腫である星状細胞腫、神経膠芽腫、多形性膠芽腫、小細胞がん、及び好ましくは非小細胞肺がんである非小細胞がん、肺腺がん、転移性黒色腫、アンドロゲン非依存性転移性前立腺がん、アンドロゲン依存性転移性前立腺がん、前立腺腺がん、及び好ましくは乳管がんである乳がん(breast cancer)、及び/又は乳がん(breast carcinoma)を含む、1つ又は複数の本発明の抗体で治療される。特定の実施形態では、本開示の抗体で治療されるがんは、膠芽腫を含む。特定の実施形態では、本開示の1つ又は複数の抗体で治療されるがんは、膵臓がんを含む。特定の実施形態では、本開示の1つ又は複数の抗体で治療されるがんは、卵巣がんを含む。特定の実施形態では、本開示の1つ又は複数の抗体で治療されるがんは、肺がんを含む。特定の実施形態では、本開示の1つ又は複数の抗体で治療されるがんは、前立腺がんを含む。特定の実施形態では、本開示の1つ又は複数の抗体で治療されるがんは、結腸がんを含む。特定の実施形態では、治療されるがんは、神経膠芽腫、膵臓がん、卵巣がん、結腸がん、前立腺がん、又は肺がんを含む。特定の実施形態では、がんはその他の治療に対して不応性である。特定の実施形態では、治療されるがんは再発性である。特定の実施形態では、がんは、再発性/難治性の神経膠芽腫、膵臓がん、卵巣がん、結腸がん、前立腺がん、又は肺がんである。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、又は軟部組織がんを含む。特定の実施形態では、がんは、非小細胞肺がん、上皮性卵巣がん、又は膵腺がんを含む。特定の実施形態では、がんは、進行性固形腫瘍を含む。特定の実施形態では、個体は、単剤療法としてのLIF結合抗体による以前の治療に対して不応性である。特定の実施形態では、個体は、単剤療法としてのPD-1軸阻害剤による以前の治療に対して不応性である。
【0116】
薬学的に許容可能な賦形剤、担体、及び希釈剤
特定の実施形態では、本開示のPD-1軸阻害剤及びLIF結合ポリペプチドは、医薬組成物の構成成分である。特定の実施形態では、本開示のPD-1軸阻害剤及びLIF結合ポリペプチドは、同一医薬組成物の構成成分である。特定の実施形態では、医薬組成物は、生理学的に適切な塩濃度(例えば、NaCl)を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約0.6%~1.2%のNaClを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約0.7%~1.1%のNaClを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約0.8%~1.0%のNaClを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、約(between about)5%のデキストロースを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、酢酸、クエン酸、ヒスチジン、コハク酸、リン酸、炭酸水素塩、及びヒドロキシメチルアミノメタン(トリス)などの緩衝液;例えば、ポリソルベート80(ツイーン80)、ポリソルベート20(ツイーン20)、ポリソルベート、及びポロクサマー188などの界面活性剤;例えば、グルコース、デキストロース、マンノース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、及びデキストラン40などのポリオール/二糖/多糖;例えば、ヒスチジン、グリシン又はアルギニンなどのアミノ酸;例えば、アスコルビン酸、メチオニンなどの抗酸化剤;及び例えば、EDTA又はEGTAなどのキレート化剤の1つ又は複数をさらに含む。
【0117】
特定の実施形態では、本開示のPD-1軸阻害剤、LIF結合ポリペプチド、又はPD-1軸阻害剤とLIF結合ポリペプチドの双方が、滅菌溶液中に懸濁されて投与される。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤及びLIF結合ポリペプチドが、同一溶液から投与される。特定の実施形態では、溶液は生理学的に適切な塩濃度(例えば、NaCl)を含む。特定の実施形態では、溶液は、約0.6%~1.2%のNaClを含む。特定の実施形態では、溶液は、約0.7%~1.1%のNaClを含む。特定の実施形態では、溶液は、約0.8%~1.0%のNaClを含む。特定の実施形態では、より高濃度の抗体ストック溶液が、約0.9%のNaCl中で希釈されてもよい。特定の実施形態では、溶液は、約0.9%のNaClを含む。特定の実施形態では、溶液は、例えば、酢酸、クエン酸、ヒスチジン、コハク酸、リン酸、炭酸水素塩、及びヒドロキシメチルアミノメタン(トリス)などの緩衝液;例えば、ポリソルベート80(ツイーン80)、ポリソルベート20(ツイーン20)、ポリソルベート、及びポロクサマー188などの界面活性剤;例えば、グルコース、デキストロース、マンノース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、及びデキストラン40、及びそれらの組み合わせなどのポリオール/二糖/多糖;例えば、ヒスチジン、グリシン又はアルギニンなどのアミノ酸;例えば、アスコルビン酸、メチオニン、及びそれらの組み合わせなどの抗酸化剤;及び例えば、EDTA又はEGTAなどのキレート化剤の1つ又は複数をさらに含む。特定の実施形態では、本開示のPD-1軸阻害剤及びLIF結合ポリペプチドは、投与前に出荷/保存され、凍結乾燥され、再構成される。特定の実施形態では、凍結乾燥抗体製剤は、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、及びデキストラン40、及びそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、本開示の抗LIF抗体は、使用の治療現場で希釈される濃縮原液として、出荷され保存され得る。特定の実施形態では、ストック溶液は、約25mMのヒスチジン、約6%のスクロース、約0.01%のポリソルベート、及び約20mg/mLの抗LIF抗体を含む。特定の実施形態では、溶液のpHは約6.0である。特定の実施形態では、個体に投与される形態は、約25mMのヒスチジン、約6%のスクロース、約0.01%のポリソルベート80、及び約20mg/mLのh5D8抗体を含む水溶液である。特定の実施形態では、溶液のpHは約6.0である。
【0118】
特定の実施形態では、本開示のPD-1軸阻害剤及びLIF結合ポリペプチドは、滅菌溶液に懸濁されて投与される。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤及びLIF結合ポリペプチドが、同一溶液から投与される。特定の実施形態では、PD-1軸阻害剤及びLIF結合ポリペプチドは、別個の溶液から投与される。特定の実施形態では、溶液は生理学的に適切な塩濃度(例えば、NaCl)を含む。特定の実施形態では、溶液は、約0.6%~1.2%のNaClを含む。特定の実施形態では、溶液は、約0.7%~1.1%のNaClを含む。特定の実施形態では、溶液は、約0.8%~1.0%のNaClを含む。特定の実施形態では、より高濃度の抗体ストック溶液が、約0.9%のNaCl中で希釈されてもよい。特定の実施形態では、溶液は、約0.9%のNaClを含む。特定の実施形態では、溶液は、例えば、酢酸、クエン酸、ヒスチジン、コハク酸、リン酸、炭酸水素塩、及びヒドロキシメチルアミノメタン(トリス)などの緩衝液;例えば、ポリソルベート80(ツイーン80)、ポリソルベート20(ツイーン20)、ポリソルベート、及びポロクサマー188などの界面活性剤;例えば、グルコース、デキストロース、マンノース、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、及びデキストラン40、及びそれらの組み合わせなどのポリオール/二糖/多糖;例えば、ヒスチジン、グリシン又はアルギニンなどのアミノ酸;例えば、アスコルビン酸、メチオニンなどの抗酸化剤;及び例えば、EDTA又はEGTAなどのキレート化剤の1つ又は複数をさらに含む。特定の実施形態では、本開示のPD-1軸阻害剤及びLIF結合ポリペプチドは、投与前に出荷/保存され、凍結乾燥され、再構成される。特定の実施形態では、凍結乾燥抗体製剤は、マンニトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、及びデキストラン40、及びそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、本開示の抗LIF抗体は、使用の治療現場で希釈される濃縮原液として、出荷され保存され得る。特定の実施形態では、ストック溶液は、約25mMのヒスチジン、約6%のスクロース、約0.01%のポリソルベート、及び約20mg/mLの抗LIF抗体を含む。特定の実施形態では、溶液のpHは約6.0である。特定の実施形態では、個体に投与される形態は、約25mMのヒスチジン、約6%のスクロース、約0.01%のポリソルベート80、及び約20mg/mLのh5D8抗体を含む水溶液である。特定の実施形態では、溶液のpHは約6.0である。
【0119】
また、本明細書には、本明細書に記載される併用療法を実施するためのキットも記載される。特定の実施形態では、キットは、LIF結合ポリペプチド及びPD-1軸阻害剤を含む。特定の実施形態では、キットは、h5D8及びPD-1軸阻害剤を含む。構成成分の片方又は双方は、凍結乾燥又は液体のどちらかの形態で、ガラス又はその他の適切な材料のバイアル内に含有され得る。
【0120】
本明細書に記載されるh5D8抗体は、約20mg/mL濃度のh5D8抗体、約25mMのヒスチジン、約6%のスクロース、及び約0.01%のポリソルベート80を含む滅菌溶液が充填されたバイアルを含む、キットに含まれ得る。バイアルは、単回使用ガラスバイアルであり得る。単回使用ガラスバイアルは、約10ミリリットルの約20mg/mL濃度のh5D8抗体、約25mMのヒスチジン、約6%のスクロース、及び約0.01%のポリソルベート80で充填され得る。特定の実施形態では、溶液のpHは約6.0である。本明細書に記載されるh5D8抗体は、適切量の無菌希釈剤で再構成されると約20mg/mL濃度のh5D8抗体をもたらすh5D8抗体、約25mMのヒスチジン、約6%のスクロース、及び約0.01%のポリソルベート80を含む凍結乾燥組成物で充填されたバイアルを含む、キットに含まれ得る。バイアルは、単回使用ガラスバイアルであり得る。
【0121】
本明細書に記載される抗体は、最終的に患者に送達される用量レベルに応じて、異なる様式での投与のために投与され又は調製され又は希釈され得る。これは、例えば、粒子状物質を減少させるために、例えば、患者の投与量の薬剤学的性質を最適化するために行い得る。H5D8は、患者に送達される最終的な用量に関係なく、約8mg/mLの濃度で調製され得る。特定の実施形態では、h5D8は、約10、9、8、7、6、5又は4mg/mL以下のレベルで調製され得る。特定の実施形態では、h5D8は、約1、2、3、4、5、6、又は7mg/mLを超えるレベルで調製され得る。
【実施例】
【0122】
以下の例示的な実施例は、本明細書に記載される組成物及び方法の実施形態を代表するものであり、いかようにも制限を意図するものではない。
【0123】
実施例1-LIFに特異的なラット抗体の生成
ヒトLIFのアミノ酸23~202をコード化するcDNAを発現プラスミド(Aldevron GmbH,Freiburg,Germany)にクローニングした。粒子衝撃のためのハンドヘルド装置(「遺伝子銃」)を使用して、DNA被覆された金粒子の皮内適用によって、実験用ラット(Wistar)のグループを免疫化した。一過性に形質移入されたHEK細胞の細胞表面発現は、LIFタンパク質のN末端に付加されたタグを認識する抗タグ抗体を使用して確認した。一連の免疫化後に血清サンプルを採取し、上記の発現プラスミドで一過性に形質移入されたHEK細胞について、フローサイトメトリーで試験した。抗体産生細胞を単離し、標準的な手順に従ってマウス骨髄腫細胞(Ag8)と融合させた。上記のようにフローサイトメトリーアッセイでスクリーニングすることによって、LIFに特異的な抗体を産生するハイブリドーマを同定した。RNA保護剤(RNAlater、カタログ番号AM7020、ThermoFisher Scientific製)を使用して、陽性ハイブリドーマ細胞の細胞ペレットを調製し、抗体の可変ドメインの配列決定のためにさらに処理した。
【0124】
実施例2-LIFに特異的なマウス抗体の生成
ヒトLIFのアミノ酸23~202をコード化するcDNAを発現プラスミド(Aldevron GmbH,Freiburg,Germany)にクローニングした。粒子衝撃のためのハンドヘルド装置(「遺伝子銃」)を使用して、DNA被覆された金粒子の皮内適用によって、実験用マウス(NMRI)のグループを免疫化した。一過性に形質移入されたHEK細胞の細胞表面発現は、LIFタンパク質のN末端に付加されたタグを認識する抗タグ抗体を使用して確認した。一連の免疫化後に血清サンプルを採取し、上記の発現プラスミドで一過性に形質移入されたHEK細胞について、フローサイトメトリーで試験した。抗体産生細胞を単離し、標準的な手順に従ってマウス骨髄腫細胞(Ag8)と融合させた。上記のようにフローサイトメトリーアッセイでスクリーニングすることによって、LIFに特異的な抗体を産生するハイブリドーマを同定した。RNA保護剤(RNAlater、カタログ番号AM7020、ThermoFisher Scientific製)を使用して、陽性ハイブリドーマ細胞の細胞ペレットを調製し、抗体の可変ドメインの配列決定のためにさらに処理した。
【0125】
実施例3-LIFに特異的なラット抗体のヒト化
引き続くヒト化のために、ラット免疫(5D8)から1つのクローンを選択した。標準的なCDRグラフト化法を使用して、ヒト化を実施した。重鎖及び軽鎖領域は、標準的な分子クローニング技術を用いて5D8ハイブリドーマからクローニングし、サンガー法によって配列決定した。次に、ヒト重鎖及び軽鎖可変配列に対してBLAST検索を実施し、それぞれから4つの配列をヒト化のアクセプターフレームワークとして選択した。これらのアクセプターフレームワークを脱免疫化し、T細胞応答エピトープを除去した。4つの異なる重鎖アクセプターフレームワーク(H1~H4)及び4つの異なる軽鎖フレームワーク(L1~L4)に、5D8の重鎖及び軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3をクローニングした。次に、CHO-S細胞(Selexis)での発現;LIF誘導STAT3リン酸化の阻害;及び表面プラズモン共鳴(SPR)による結合親和性について、16個の異なる抗体を全て検査した。これらの実験は、表1に要約される。
【0126】
【0127】
10日間の培養後、流加培養内のエルレンマイアーフラスコ(3×105個の細胞/mLの播種、200mLの培養容積)で、形質移入された細胞の発現能を比較した。この時点で細胞を採取し、分泌された抗体をプロテインAカラムを使用して精製し、次に定量化した。H3重鎖(配列番号43)を使用したものを除いて、全てのヒト化抗体が発現された。H2及びL2可変領域は、その他の可変領域(配列番号42及び配列番号46)と比較して、良好に機能した。
【0128】
チロシン705におけるLIF誘導STAT3リン酸化の阻害は、ウエスタンブロットによって判定した。6ウェルプレートに10万個の細胞/ウェルの密度で、U251神経膠腫細胞を播種した。細胞は、任意の処理の前に24時間完全培地中で培養し、その後、細胞を8時間血清飢餓状態にした。その後、10μg/mlの濃度で、示された抗体を有する細胞を一晩培養した。処理後、ホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤を含有する放射免疫沈降アッセイ(RIPA)溶解緩衝液中でタンパク質を得て、定量化し(BCAタンパク質アッセイ、Thermo Fisher Scientific)、ウエスタンブロットで使用した。ウエスタンブロットのために、5%の脱脂乾燥乳-TBST中で膜を1時間ブロックし、一次抗体(p-STAT3、カタログ番号9145、Cell Signaling;又はSTAT3、カタログ番号9132、Cell Signaling)と共に一晩、又は30分間(β-アクチンペルオキシダーゼ、カタログ番号A3854、Sigma-Aldrich)インキュベートした。次に、膜をTBSTで洗浄し、二次培養物と共にインキュベートし、再度洗浄した。タンパク質は、化学発光(SuperSignal Substrate、カタログ番号34076、Thermo Fisher Scientific)によって検出した。これらの結果は
図1に示される。pSTAT3バンドがより濃いほど、阻害が少ない。5D8(非ヒト化ラット)、A(H0L0)、C(H1L2)、D(H1L3)、及びG(H2L2)と標識されるレーンで、阻害が高く;H(H2L3)、O(H4L2)、及びP(H4L3)では、阻害は中程度であり;B(H1L1)、E(H1L4)、F(H2L1)、I(H2L4)、N(H4L1)、及びQ(H4L4)では、阻害は不在であった。
【0129】
LIF誘導STAT3リン酸化の阻害を示した抗体は、次にSPRで解析して結合親和性を判定した。簡潔に述べると、Biacore(商標)2002装置を使用して、アミン結合したhLIFに対する、A(H0L0)、C(H1L2)、D(H1L3)、及びG(H2L2)、H(H2L3)及びO(H4L2)ヒト化抗体の結合を観察した。運動定数及び親和性は、6つのリガンド濃度で全てのセンサーチップ表面上に生成された、全てのセンサーグラムの数学的センサーグラムフィッティング(ラングミュア相互作用モデル[A+B=AB])によって判定した。各濃度の最良適合曲線(最小カイ二乗)を用いて、運動定数及び親和性を計算した。表1を参照されたい。
【0130】
実験セットアップでは、分析物として二価の抗体を使用したので、ヒト化抗体の標的結合機序へのより詳細な洞察を得るために、最良適合センサーグラムもまた、二価分析物のフィッティングモデル[A+B=AB;AB+B=AB2]に基づいて解析した。二価フィッティングモデルを用いた動的センサーグラム解析[A+B=AB;AB+B=AB2]で、mAbサンプルの相対親和性ランキングを確認した。
【0131】
結合親和性が高く、バッチ培養からの収率が高いことから、より詳細な解析のために、H2及びL2を含むヒト化5D8を選択した。
【0132】
実施例4-クローン5D8のヒト化はLIFへの結合を改善する
さらなる解析のために、H2L2クローン(h5D8)を選択し、親ラット5D8(r5D8)及びマウスクローン1B2への、SPRによる結合を比較した。1B2抗体は、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und(and) Zellkulturen GmbH(DSM ACC3054)に寄託された、以前に開示されたマウス抗LIF抗体であり、比較目的で含めた。大腸菌(E.coli)及びHEK-293細胞からそれぞれ精製された、組換えヒトLIFをリガンドとして使用した。ヒト又は大腸菌(E.coli)起源のLIFをアミンカップリング化学作用を用いてBiacore光学的センサーチップの表面に共有結合させ、結合親和性を運動定数から計算した。
【0133】
材料及び方法
大腸菌(E.coli)からのヒトLIFはMilliporeから得た、参照LIF1010;HEK-293細胞からのヒトLIFはACRO Biosystemsから得た、参照LIF-H521b。LIFは、Biacoreアミンカップリングキット(BR-1000-50;GE-Healthcare,Uppsala)を使用して、センサーチップに結合させた。サンプルは、CM5光学センサーチップ(BR-1000-12;GE-Healthcare,Uppsala)を使用して、Biacore(商標)2002機器上で試験した。Biacore HBS-EP緩衝液を装置の稼働中に使用した(BR-1001-88;GE-Healthcare,Uppsala)。BIAevaluation 4.1ソフトウェアを使用して、結合センサーグラムの動態解析を実施した。運動定数及び親和性は、分析物濃度を上げながら全てのセンサーチップ表面上に生成された、全てのセンサーグラムの数学的センサーグラムフィッティング(ラングミュア相互作用モデル[A+B=AB])によって判定した。センサーグラムはまた、判定されたラングミュア抗体-標的親和性に対する二価の寄与(例えば、結合力の寄与)の推定値を生成するために、成分分析を含めた、二価分析物センサーグラムフィッティングモデル[A+B=AB;AB+B=AB2]に基づいて解析した。各濃度の最良適合曲線(最小カイ二乗)を用いて、運動定数及び親和性を計算した。これらの親和性実験の要約は、表2(大腸菌(E.coli)で産生されたヒトLIF)及び表3(HEK293細胞で産生されたヒトLIF)に示される。
【0134】
【0135】
【0136】
この一組の実験からのラングミュア1:1センサーグラムフィッティングモデルは、ヒト化5D8(h5D8)抗体が、マウス1B2及びr5D8よりもヒトLIFに対して約10~25倍高い親和性で結合することを示す。
【0137】
次に、h5D8抗体を複数の生物種のLIFに対してSPRで試験した。h5D8SPR結合動態は、異なる生物種及び発現系に由来する組換えLIF分析物に対して実施した:ヒトLIF(大腸菌(E.coli)、HEK293細胞);マウスLIF(大腸菌(E.coli)、CHO細胞);ラットLIF(大腸菌(E.coli));カニクイザルLIF(酵母、HEK293細胞)。
【0138】
材料及び方法
h5D8抗体は、非共有結合のFc特異的捕捉によって、センサーチップ表面に固定化した。組換えIg(Fc)特異的S.アウレウス(S.aureus)プロテインA/Gを捕捉剤として使用し、LIF分析物に対する抗LIF抗体の立体的に一様で可撓性の提示を可能にした。LIF分析物の起源は、次のようである:ヒトLIF(大腸菌(E.coli)由来;Millipore LIF1050);ヒトLIF(HEK由来、ACRO Biosystems LIF-H521);マウスLIF(大腸菌(E.coli);MilliporeNF-LIF2010);マウスLIF(CHOから;Reprokineカタログ番号RCP09056);サルLIF(酵母Kingfisher Biotechカタログ番号RP1074Y);HEK-293細胞において産生されたサルLIF。全体的に、h5D8はいくつかの生物種のLIFとの結合を示した。この親和性実験の概要は、表4に示される。
【0139】
【0140】
実施例5-ヒト化クローン5D8は生体外でSTAT3のLIF誘導リン酸化を阻害する
h5D8の生物学的活性を判定するために、ヒト化バージョン及び親バージョンをLIF活性化の細胞培養モデルで試験した。
図2Aは、神経膠腫細胞株をヒトLIFと共にインキュベートした際に、ヒト化クローンがSTAT3リン酸化(Tyr 705)の阻害の増加を提示したことを示す。
図2Bは、
図2Aと同一設定で、h5D8の抗体希釈度を変えて繰り返した実験を示す。
【0141】
材料及び方法
6ウェルプレートに15万個の細胞/ウェルの密度で、U251神経膠腫細胞を播種した。細胞は、任意の処理の前に、完全培地中で24時間培養した。その後、細胞を10μg/mlの濃度でr5D8抗LIF抗体又はh5D8抗LIF抗体で一晩処理し、又は処理しなかった(対照細胞)。
【0142】
処理後、ホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤を含有する放射免疫沈降アッセイ(RIPA)溶解緩衝液中でタンパク質を得て、定量化し(BCAタンパク質アッセイ、Thermo Fisher Scientific)、ウエスタンブロットで使用した。ウエスタンブロットのために、5%の脱脂乳-TBST中で膜を1時間ブロックし、一次抗体(p-STAT3、カタログ番号9145、Cell Signaling;又はSTAT3、カタログ番号9132、Cell Signaling)と共に一晩、又は30分間(β-アクチンペルオキシダーゼ、カタログ番号A3854、Sigma-Aldrich)インキュベートした。次に、膜をTBSTで洗浄し、必要に応じて二次抗体と共にインキュベートして、再度洗浄した。タンパク質は、化学発光(SuperSignal Substrate、カタログ番号34076、Thermo Fisher Scientific)によって検出した。
【0143】
実施例6-U-251細胞におけるLIFの内因性レベルに対するh5D8抗体処理のIC50値。
U-251細胞では、血清飢餓条件下におけるh5D8の生物学的阻害のためのIC50が、わずか490ピコモル濃度(
図3A)であることもまた解明された。代表的な結果、
図3A及び3B及び表5を参照されたい。
【0144】
【0145】
材料及び方法
U-251細胞は、6cmプレート当たり60万個の細胞(条件当たり)で播種した。細胞は、血清飢餓状態下(0.1%FBS)で、対応する濃度のh5D8(滴定)で37℃で一晩処理した。pSTAT3の陽性対照として組換えLIF(R&D、#7734-LF/CF)を使用して、37℃で1.79nMで10分間細胞を刺激した。pSTAT3の陰性対照として、JAKI阻害剤(Calbiochem、#420099)を1μMで、37℃で30分間使用した。次に、Meso Scale Discovery Multi-SpotアッセイシステムTotal STAT3(カタログ番号K150SND-2)及びPhospho-STAT3(Tyr705)(カタログ番号K150SVD-2)キットのプロトコルに従って、溶解物のために細胞を氷上で採取し、MSD Meso Sector S600によって、検出可能なタンパク質レベルを測定した。
【0146】
実施例7-ヒトLIFに特異的に結合する追加的な(Additonal)抗体
ヒトLIFに特異的に結合するその他のラット抗体クローン(10G7及び6B5)が同定され、それらの結合特性の要約は以下の表6に示され、クローン1B2が比較の役割を果たす。
【0147】
材料及び方法
組換えLIF標的タンパク質[ヒトLIF(大腸菌(E.coli));Milliporeカタログ番号LIF 1010及びヒトLIF(HEK293細胞);ACRO Biosystemsカタログ番号LIF-H521b]を分析物として塗布して、CM5光学的センサーチップの表面上に固定化された、抗LIFモノクロナール抗体1B2、10G7、及び6B5について、動態リアルタイム結合解析を実施した。
【0148】
包括的(センサグラムセットの同時フィッティング)並びに単曲線フィッティングアルゴリズムを適用して、ラングミュア1:1結合モデルを用いて、数学的センサーグラムフィッティングによって、運動定数及び親和性を得た。包括的適合の妥当性は、kobs解析によって評価した。
【0149】
【0150】
実施例8-追加的な抗LIF抗体は生体外でSTAT3のLIF誘導リン酸化を阻害する
細胞培養におけるSTAT3のLIF誘導リン酸化を阻害する能力について、追加的なクローンを試験した。
図4に示されるように、クローン10G7及び先に詳述したr5D8は、1B2クローンと比較して、LIF誘導STAT3リン酸化の高い阻害を示した。抗LIFポリクローナル抗血清(pos.)を陽性対照として含めた。6B5は阻害を示さなかったが、これは、この実験で使用された非グリコシル化LIFに対する6B5の結合の欠如の可能性によって、説明されてもよい。
【0151】
材料及び方法
6ウェルプレートに15万個の細胞/ウェルの密度で、患者由来の神経膠腫細胞を播種した。細胞は、B27(Life Technologies)、ペニシリン/ストレプトマイシン及び増殖因子(20ng/mlのEGF及び20ng/mlのFGF-2[PeproTech])を補充した、Neurobasal培地(Life Technologies)からなるGBM培地中で、任意の処理の前に24時間培養した。翌日、大腸菌(E.coli)で産生された組換えLIFによって、又は組換えLIFと示された抗体との混合物によって(10μg/mlの抗体の最終濃度、及び20ng/mlの組換えLIFの最終濃度)、細胞を15分間処理し又は処理しなかった。処理後、ホスファターゼ及びプロテアーゼ阻害剤を含有する放射免疫沈降アッセイ(RIPA)溶解緩衝液中でタンパク質を得て、定量化し(BCAタンパク質アッセイ、Thermo Fisher Scientific)、ウエスタンブロットで使用した。ウエスタンブロットのために、5%の脱脂乳-TBST中で膜を1時間ブロックし、一次抗体(p-STAT3、カタログ番号9145、Cell Signaling)と共に一晩、又は30分間(β-アクチン-ペルオキシダーゼ、カタログ番号A3854、Sigma-Aldrich)インキュベートした。次に、膜をTBSTで洗浄し、必要に応じて二次抗体と共にインキュベートして、再度洗浄した。タンパク質は、化学発光(SuperSignal Substrate、カタログ番号34076、Thermo Fisher Scientific)によって検出した。
【0152】
実施例9-LIFは複数の腫瘍タイプにわたって高度に過剰発現される
免疫組織化学検査を複数のヒト腫瘍タイプ上で実施し、LIF発現の程度を判定した。
図5に示されるように、LIFは、多形性膠芽腫(GBM)、非小細胞肺がん(NSCLC)、卵巣がん、結腸直腸がん(CRC)、及び膵臓がんで高度に発現される。
【0153】
実施例10-ヒト化クローンh5D8は非小細胞肺がんのマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害する
ヒト化5D8クローンが生体内でLIF陽性がんを阻害する能力を判定するために、この抗体を非小細胞肺がん(NSCLC)のマウスモデルで試験した。
図6Aは、ビヒクル陰性対照と比較して、この抗体で処置されたマウスの腫瘍増殖の減少を示す。
図6Bは、r5D8バージョンを使用して生成されたデータを示す。
【0154】
材料及び方法
生体内生物発光をモニターするために、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を発現するレンチウイルスで、LIFレベルの高いマウス非小細胞肺がん(NSCLC)細胞株KLN205を安定的に感染させた。マウスモデルを開発するために、肋間穿刺によって、8週齢の免疫適格性同系DBA/2マウスの左肺に、5×105個のKLN205非小細胞肺がん(NSCLC)細胞を同所性に移植した。対照ビヒクル又は15mg/kg又は30mg/kgのh5D8抗体の週2回の腹腔内投与でマウスを処置し、腫瘍増殖を生物発光によってモニターした。生物発光イメージングのために、1~2%吸入イソフルラン麻酔下で、マウスに0.2mLの15mg/mLのD-ルシフェリンを腹腔内注射した。生物発光シグナルは、高感度冷却CCDカメラからなるIVISシステム2000シリーズ(Xenogen Corp.Alameda,CA,USA)を使用してモニターした。Living Imageソフトウェア(Xenogen Corp.)を使用して、イメージングデータをグリッド化し、各ボックス化された領域の全生物発光シグナルを統合した。データは、関心領域(ROI)の全光子束放出量(光子/秒)を用いて解析した。結果は、h5D8抗体による処置が、腫瘍退縮を促進することを実証する。データは、平均±SEMとして提示される。
【0155】
実施例11-h5D8は多形性膠芽腫のマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害する
ルシフェラーゼ発現ヒト細胞株U251を使用する同所性GBM腫瘍モデルにおいて、r5D8は、300μgのr5D8及びh5D8の腹腔内(IP)注射を週2回投与されたマウスで、腫瘍体積を有意に減少させた。この研究の結果は、
図7Aに示される(処置後26日目の定量化)。この実験はまた、200μg又は300μgで処置したヒト化h5D8マウスを使用して実施され、7日間の処置後に統計的に有意な腫瘍の減少が示された。
【0156】
材料及び方法
ルシフェラーゼを安定して発現するU251細胞を採取してPBSで洗浄し、400gで5分間遠心分離してPBSに再懸濁し、自動細胞計数器(Countess、Invitrogen)で計数した。細胞を氷上に保ち、最適生存率を維持した。マウスにケタミン(Ketolar50(登録商標))/キシラシン(Rompun(登録商標))を腹腔内投与して(それぞれ75mg/kg、10mg/kg)麻酔した。各マウスを定位固定装置に注意深く入れて、固定した。頭部の毛を脱毛クリームで除去し、頭部の皮膚を外科用メスで切って頭蓋骨を露出させた。人字縫合の側方1.8mmで前方1mmの座標に、ドリルで慎重に小さな切開を行った。Hamilton 30Gシリンジを使用して、5μLの細胞を右側線条体に2.5mmの深さで接種した。頭部切開をHistoacryl(Hystoacryl)組織接着剤(Braun)で閉鎖し、皮下鎮痛剤メロキシカム(Metacam(登録商標))(1mg/kg)をマウスに注射した。各マウスに移植された最終的な細胞数は、3×105個であった。
【0157】
マウスを週2回腹腔内投与されるh5D8で処置した。処置は、腫瘍細胞接種の直後、0日目に開始した。マウスは、h5D8又はビヒクル対照の合計2回の投与を受けた。
【0158】
体重及び腫瘍体積:体重を毎週2回測定し、7日目に生物発光によって腫瘍増殖を定量化した(Xenogen IVIS Spectrum)。生体内での生物発光活性を定量化するために、マウスをイソフルオランで麻酔し、ルシフェリン基質(PerkinElmer)(167μg/kg)を腹腔内注射した。
【0159】
生物発光(Xenogen IVIS Spectrum)によって判定される腫瘍サイズは、7日目に評価した。各処置群について、個々の腫瘍の測定値と平均±SEMを算出した。統計的有意性は、対応のない非パラメトリックマン・ホイットニーU検定によって判定した。
【0160】
実施例12-h5D8は卵巣がんのマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害する
r5D8の有効性をその他の2つの同系腫瘍モデルで評価した。卵巣同所性腫瘍モデルID8では、300μgのr5Dの週2回の腹腔内投与は、腹部容積によって測定される腫瘍増殖を有意に阻害した(
図8A及び8B)。
図8Cの結果は、h5D8もまた、200μg以上の用量で腫瘍体積を減少させたことを示す。
【0161】
材料及び方法
ID8細胞は、10%のウシ胎仔血清(FBS)(Gibco、Invitrogen)、40U/mLのペニシリン及び40μg/mLのストレプトマイシン(PenStrep)(Gibco、Invitrogen)及び0.25μg/mLのプラスモシン(Invivogen)を補充した、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(Gibco、Invitrogen)中で培養した。
【0162】
ID8細胞を採取してPBSで洗浄し、400gで5分間遠心分離し、PBSに再懸濁した。細胞を氷上に保ち最適な生存率を維持して、200μLの細胞懸濁液を27G針で腹腔内注射した。マウスに移植された最終的な細胞数は、5×106個であった。
【0163】
マウスは、示されるように異なる用量で腹腔内投与されたh5D8で週2回処置した。体重を週2回測定し、キャリパー(Fisher Scientific)を使用して腹囲を測定することで、腫瘍進行をモニターした。
【0164】
実施例13-r5D8は結腸直腸がんのマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害する
皮下結腸CT26腫瘍を有するマウスにおいて、r5D8(300μgの週2回腹腔内投与)は、腫瘍増殖を有意に阻害した(
図9A及び9B)。
【0165】
材料及び方法
CT26細胞は、10%のウシ胎児血清(FBS)、40U/mLのペニシリン及び40μg/mLのストレプトマイシン(PenStrep)及び0.25μg/mLのプラスモシンを補充した、Roswell Park Memorial Institute培地(RPMI[Gibco、Invitrogen])中で培養した。
【0166】
CT26細胞(8×105個)をトリプシン化してPBSで洗浄し、400gで5分間遠心分離して100μLのPBSに再懸濁した。細胞を氷上に保って、細胞死を避けた。CT26細胞は、27G針を使用して皮下注射を介してマウスに投与した。
【0167】
300μgのr5D8、又はビヒクル対照は、CT26細胞移植後の3日目から、週2回の腹腔内注射(IP)を介してマウスに投与した。
【0168】
体重及び腫瘍体積を週に3回測定した。キャリパー(Fisher Scientific)を使用して、腫瘍体積を測定した。
【0169】
実施例14-r5D8は腫瘍モデルにおける炎症性浸潤を減少させる
U251 GBM同所性モデルでは、
図10Aに示されるように、M2分極マクロファージのマーカーであるCCL22の発現が、r5D8で処置された腫瘍において有意に減少した。この知見はまた、
図10Bに示すように、3つの患者サンプルが処置後にCCL22及びCD206(MRC1)発現(M2マクロファージのマーカーでもある)の有意な減少を示した、r5D8を使用した生理学的に関連する器官型組織切片培養モデルにおいても確認された(MRC1及びCCL22の双方について、上側の対照と下側の処置を比較されたい)。さらに、r5D8は、免疫適格性マウスの同系ID8(
図10C)及びCT26(
図10D)腫瘍において、CCL22+M2マクロファージもまた減少させた。H5D8処置はまた、同系CT26腫瘍モデルにおける免疫賦活性表現型に向けてマクロファージをプログラムした(
図10E)。h5D8処置は、CD206陰性/MHCII陽性画分の増加によって示されるように、M1表現型のマクロファージを増加させ、CD206陽性/MHCII陰性画分の減少によって示されるように、M2表現型のマクロファージを減少させた。
図10Fは、LIFノックダウンを伴うU251細胞の馴化培地中で培養された単球からの遺伝子発現データを示す。MRC1、CCL2、CCL1、及びCTSK(三角形で示される)は全て、発現の有意な低下を示した。
【0170】
実施例15-r5D8は非骨髄系エフェクター細胞胞を増加させる
追加的な免疫機序を調べるために、腫瘍微小環境内のT細胞及びその他の非骨髄系性免疫エフェクター細胞に対する、r5D8の効果を評価した。卵巣同所性ID8同系モデルにおいて、r5D8処置は、
図11Aに示されるように、腫瘍内NK細胞の増加と、CD4+及びCD8+T細胞の合計及び活性化の増加とをもたらした。同様に、結腸同系CT26腫瘍モデルにおいて、r5D8は、
図11Bに示されるように、腫瘍内NK細胞を増加させ、CD4+及びCD8+T細胞を増加させ、CD4+CD25+FoxP3+T-reg細胞を減少させる傾向にあった。CD4+CD25+FoxP3+T-reg細胞の減少傾向はまた、
図11Cに示されるように、r5D8処置に続いて同系同所性KLN205腫瘍モデルにおいても観察された。T細胞が有効性を媒介する要件と一致して、CT26モデルにおけるCD4+及びCD8+T細胞の枯渇は、
図12に示されるように、r5D8の抗腫瘍有効性を阻害した。
【0171】
T細胞枯渇の材料及び方法
CT26細胞は、10%のウシ胎児血清(FBS[Gibco、Invitrogen])、40U/mLのペニシリン及び40μg/mLのストレプトマイシン(PenStrep[Gibco、Invitrogen])及び0.25μg/mLのプラスモシン(Invivogen)を補充した、RPMI培地(Gibco、Invitrogen)中で培養した。CT26細胞(5×105個)を採取してPBSで洗浄し、400gで5分間遠心分離して100μLのPBSに再懸濁した。細胞を氷上に保って、細胞死を避けた。CT26細胞は、27Gシリンジを使用して皮下注射を介してマウスの両脇腹に投与した。マウスは、試験デザインに示されるように、r5D8の腹腔内投与によって週2回処置した。ビヒクル対照(PBS)、ラットr5D8、及び/又は抗CD4及び抗CD8は、研究デザインに記載されているように、週2回腹腔内注射(IP)を介してマウスに投与した。全ての抗体処置は、同時に投与した。
【0172】
実施例16-ヒトLIFと複合体形成したh5D8の結晶構造
h5D8が結合したLIF上のエピトープを判定し、結合に関与するh5D8の残基を判定するために、h5D8の結晶構造を3.1Åの分解能で解析した。共結晶構造は、LIFのN末端ループがh5D8の軽鎖可変領域と重鎖可変領域の間の中央に位置することを明らかにした(
図13A)。さらに、h5D8は、LIFのらせんA及びCC上の残基と相互作用し、それによって不連続で高次構造的なエピトープを形成する。結合は、いくつかの塩架橋、H結合、及びファンデルワールス相互作用によって駆動される(表7、
図13B)。LIFのh5D8エピトープは、gp130との相互作用領域に及ぶ。Boulanger,M.J.,Bankovich,A.J.,Kortemme,T.,Baker,D.& Garcia,K.C.Convergent mechanisms for recognition of divergent cytokines by the shared signaling receptor gp130.Molecular cell 12,577-589(2003)を参照されたい。結果は以下の表7に要約され、
図13に描写される。
【0173】
【0174】
【0175】
材料及び方法
LIFをHEK293S(Gnt I-/-)細胞で一過性に発現させ、Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィーで精製し、20mMのTris、pH8.0及び150mMのNaCl中でのゲル濾過クロマトグラフィーがそれに続いた。組換えh5D8 FabをHEK293F細胞で一過性に発現させ、KappaSelectアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製し、カチオン交換クロマトグラフィーがそれに続いた。精製されたh5D8 FabとLIFを1:2.5のモル比で混合し、EndoHを使用した脱グリコシル化の前に、室温で30分間インキュベートした。引き続いて、ゲル濾過クロマトグラフィーを使用し、複合体を精製した。複合体化を20mg/mLに濃縮し、疎マトリックススクリーンを使用した結晶化試験のためにセットアップした。19%(v/v)イソプロパノール、19%(w/v)PEG4000、5%(v/v)グリセロール、0.095Mクエン酸ナトリウム、pH5.6を含む条件で、4℃で結晶を形成させた。この結晶をCanadian Light Source(CLS)の08ID-1ビームラインで、3.1Åの分解能で回折させた。Kabsch et al.Xds.Acta crystallographica.Section D,Biological crystallography 66,125-132(2010)に従って、XDSを使用してデータを収集し、処理してスケーリングした。McCoy et al.Phaser crystallographic software.J Appl Crystallogr 40,658-674(2007)に従って、Phaserを使用した分子置換によって、構造を決定した。Coot and phenix.refineを使用して、モデル構築及び精緻化を反復し、構造が許容可能なRworkとRfreeに収束するまで精緻化した。Emsley et al.Features and development of Coot.Acta crystallographica.Section D,Biological crystallography 66,486-501(2010);及びAdams,et al.PHENIX:a comprehensive Python-based system for macromolecular structure solution.Acta crystallographica.Section D,Biological crystallography 66,213-221(2010)respectivelyを参照されたい。図は、PyMOL(The PyMOL Molecular Graphics System,Version 2.0 Schrodinger,LLC)で作成された。
【0176】
実施例17-h5D8はLIFに対して高い特異性を有する
h5D8のその他のLIFファミリーメンバーへの結合を試験して、結合特異性を判定した。Octet96解析を用いて、双方のタンパク質が大腸菌(E.coli)で産生された場合、h5D8のヒトLIFへの結合は、LIFの最も相同性の高いIL-6ファミリーメンバーであるオンコスタチンM(OSM)への結合よりもおよそ100倍大きい。双方のタンパク質が哺乳類系で産生された場合、h5D8はOSMへの結合を示さない。データは、表8に要約される。
【0177】
【0178】
材料及び方法
Octet結合実験:試薬は、製造業者の提供するマニュアルに従って使用し調製した。Octet Data Acquisitionソフトウェアver.9.0.0.26を使用して、次のように基本動態実験を実施した:センサー/プログラムの設定:i)平衡化(60秒間);ii)負荷(15秒間);iii)ベースライン(60秒間);iv)結合(180秒間);及びv)解離(600秒間)。
【0179】
サイトカインに対するh5D8のOctet親和性:Octet Data Acquisitionソフトウェアver.9.0.0.26を使用して、次のように基本動態実験を実施した:アミン反応性第2世代バイオセンサー(AR2G)は、水中で最低15分間水和させた。バイオセンサーへのh5D8のアミン結合は、アミン結合第二世代キットを使用して、ForteBio Technical Note 26(参考文献を参照されたい)に従って実施した。ディップステップは、30℃、10000rpmで次のように実施した:i)水中で60秒間の平衡化;ii)水中で20mMのECD、10mMのスルホ-NHSで300秒間の活性化;iii)10mMの酢酸ナトリウム、pH6.0中の10μg/mlのh5D8の600秒間の固定化;iv)1Mのエタノールアミン、pH8.5中で300秒間のクエンチ;v)水中で120秒間のベースライン。次に、30℃、10000rpmで、以下の浸漬及び読み取りステップで動態実験を実施した:vi)1×動態緩衝液中での60秒間のベースライン;vii)1×動態緩衝液中のサイトカインの適切な連続希釈液の180秒間の結合;viii)1×動態緩衝液中の300秒間の解離;ix)それぞれ10mMグリシン、pH2.0と1×動態緩衝液との間で交互する3回の再生/中和サイクル(それぞれ5秒間で3サイクル)。再生に続いて、バイオセンサーは、その後続の結合解析で再利用した。
【0180】
哺乳類胞から産生されたヒト組換えLIFは、ACROBiosystems(LIF-H521b)からのものであり;哺乳類細胞で産生されたヒト組換えOSMは、R&D(8475-OM/CF)からのものであり;大腸菌(E.coli)細胞で産生されたヒト組換えOSMは、R&D(295-OM-050/CF)からのものであった。
【0181】
実施例18-h5D8 fabの結晶構造
h5D8 Fabの5つの結晶構造を幅広い化学的条件下で決定した。これらの構造の高分解能は、CDR残基の立体配座が軽微な可撓性と関連しており、異なる化学環境下でも非常に類似していることを示す。この抗体のユニークな特徴は、可変重鎖領域の100位の非標準的なシステインの存在である。構造解析は、システインが不対であり、溶媒にほとんどアクセスできないことを示す。
【0182】
そのIgGのパパイン消化によってH5D8 Fabを得て、標準的なアフィニティ、イオン交換及びサイズクロマトグラフィー技術を用いた精製がそれに続いた。蒸気拡散法を用いて結晶を得て、分解能1.65Å~2.0Åの範囲で5つの結晶構造を決定できた。全ての構造は、5.6、6.0、6.5、7.5,及び8.5の5つの異なるpHレベルにわたる結晶化条件にもかかわらず、同じ結晶学的空間群で、同様の単位セル寸法(P212121、a約53.8Å、b約66.5Å、c約143.3Å)で解析した。したがって、これらの結晶構造は、結晶充填のアーチファクトに妨げられず、幅広い化学条件にわたるh5D8 Fabの三次元的性質を比較できるようにする。
【0183】
電子密度を全ての相補性決定領域(CDR)残基で観測し、それを引き続いてモデル化した。注目すべきことに、LCDR1及びHCDR2は細長い立体配座を取り、浅いLCDR3及びHCDR3領域と一緒になって、パラトープの中央に結合溝を形成していた(
図14A)。5つの構造は全ての残基にわたり高度に類似しており、全原子の根平均二乗偏差は0.197Å~0.327Åであった(
図14A)。これらの結果は、CDR残基の立体配座が、5.6~8.5の範囲のpHレベル、及び150mM~1Mの範囲のイオン強度をはじめとする、様々な化学環境で維持されることを示した。h5D8パラトープの静電気表面の解析は、正及び負の帯電領域が等しく親水特性に寄与し、一般的な疎水性パッチがないことを明らかにした。h5D8は、HCDR3の基部に非標準的なシステイン(Cys100)があるという、珍しい特徴を有する。5つの構造全てにおいて、この遊離システインは秩序化されており、いかなるジスルフィドスクランブルも形成しない。さらに、それは、Cys付加(システイニル化)又はグルタチオン付加(グルタチオン化)によって修飾されず、重鎖のLeu4、Phe27、Trp33、Met34、Glu102、Leu105の主鎖及び側鎖原子との間で、ファンデルワールス相互作用(3.5~4.3Åの距離)する(
図14B)。最後に、Cys100は、CDR1及びHCDR3の立体配座の媒介に関与しているように見える、主に埋没した構造残基である。したがって、本発明者らの5つの結晶構造におけるこの領域の均一な配置によって観察されるように、これがその他のシステインとの反応性を持つ可能性は低い。
【0184】
材料及び方法
H5D8-1 IgGはCatalent Biologicsから入手し、25mMのヒスチジン、6%のスクロース、0.01%のポリソルベート80、pH6.0中で製剤化した。製剤化されたIgGは、PBS、1.25mMのEDTA、10mMのシステイン中で、37℃で1時間、1:100μgのパパイン(Sigma)で消化する前に、10K MWCO濃縮器(Millipore)を使用してPBSに徹底的に緩衝液交換した。パパイン消化されたIgGは、AKTA Startクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare)を使用して、プロテインAカラム(GE Healthcare)を通過させた。h5D8 Fabを含有するプロテインA通過物を回収し、10K MWCO濃縮器(Millipore)を使用して20mMの酢酸ナトリウム、pH5.6中に緩衝液交換した。得られたサンプルは、AKTA Pureクロマトグラフィーシステム(GE Healthcare)を使用して、Mono Sカチオン交換カラム(GE Healthcare)上に負荷した。1Mの塩化カリウムの勾配での溶出によって優勢なh5D8 Fabピークを得て、それを20mMのTris-HCl、150mMの塩化ナトリウム、pH8.0でのSuperdex 200増量ゲル濾過カラム(GE Healthcare)を使用して、回収、濃縮し、サイズが均一になるように精製した。h5D8Fabの高純度は、還元条件及び非還元条件下でのSDS-PAGEによって確認した。
【0185】
精製されたh5D8Fabは、10K MWCO濃縮器(Millipore)を使用して、25mg/mLに濃縮した。Oryx 4ディスペンサー(Douglas Instruments)を使用して、20℃で疎マトリックス96条件の市販スクリーンJCSG TOP96(Rigaku Reagents)及びMCSG-1(Anatrace)を使用した、蒸気拡散結晶化実験をセットアップした。以下の5つの結晶化条件で4日後に結晶を得て、収穫した:1)0.085Mのクエン酸ナトリウム、25.5%(w/v)のPEG4000、0.17Mの酢酸アンモニウム、15%(v/v)のグリセロール、pH5.6;2)0.1MのMES、20%(w/v)のPEG6000、1Mの塩化リチウム、pH6.0;3)0.1MのMES、20%(w/v)のPEG4000、0.6Mの塩化ナトリウム、pH6.5;4)0.085MのナトリウムHEPES、17%(w/v)のPEG4000、8.5%(v/v)の2-プロパノール、15%(v/v)のグリセロール、pH7.5;及び5)0.08Mのトリス、24%(w/v)のPEG4000、0.16Mの塩化マグネシウム、20%(v/v)のグリセロール、pH8.5。液体窒素中でのフラッシュ凍結の前に、結晶を含有する母液に、必要に応じて5~15%(v/v)のグリセロール又は10%(v/v)のエチレングリコールを補充した。結晶をAdvanced Photon Source、ビームライン23-ID-DD(Chicago,IL)でX線シンクロトロン放射に暴露させ、回折パターンをPilatus3 6M検出器で記録した。データをXDSで処理し、Phaserを使用した分子置換によって構造を決定した。精緻化はPHENIXで行い、反復モデル構築はCootで行った。図はPyMOLで生成した。全てのソフトウェアは、SBGridを介してアクセスした。
【0186】
実施例19-h5D8のシステイン100における変異は結合を保存する
h5D8の解析は、重鎖の可変領域の100位(C100)における遊離システイン残基を明らかにした。ヒト及びマウスのLIFへの結合及び親和性を特性解析するために、C100を各天然アミノ酸で置換することによって、H5D8変異型を生成した。ELISA及びOctetアッセイを用いて、結合を特性解析した。結果は、表9に要約される。ELISA EC50曲線は、
図15に示される(
図15AヒトLIF及び
図15BマウスLIF)。
【0187】
【0188】
材料及び方法
ELISA:h5D8 C100変異型のヒト及びマウスLIFへの結合をELISAによって判定した。組換えヒト又はマウスLIFタンパク質をMaxisorp 384ウェルプレート上に、1μg/mLで一晩、4℃で被覆した。プレートを1×ブロック緩衝液で室温で2時間ブロックした。各h5D8 C100変異型の滴定物を添加し、室温で1時間結合させた。プレートをPBS+0.05%ツイーン20で3回洗浄した。HRP共役抗ヒトIgGを添加し、室温で30分間結合させた。プレートをPBS+0.05%ツイーン20で3回洗浄し、1×TMB基質を使用して展開した。反応を1MのHClで停止させ、450nmでの吸光度を測定した。図の作成と非線形回帰解析は、Graphpad Prismを用いて実施した。
【0189】
Octet RED96:ヒト及びマウスのLIFに対するh5D8 C100変異型の親和性は、Octet RED96システムを使用してBLIによって判定した。h5D8 C100変異型は、1×動態緩衝液中の30秒間ベースラインに続いて、7.5μg/mLで抗ヒトFcバイオセンサー上に負荷した。ヒト又はマウスLIFタンパク質の滴定物は、負荷されたバイオセンサーに90秒間結合させ、1×動態緩衝液中で300秒間解離させた。KDは、1:1包括的フィットモデルを用いて、データ解析ソフトによって計算した。
【0190】
実施例20-h5D8は、生体外でLIFのgp130への結合を遮断する
h5D8がLIFのLIFRへの結合を妨げたかどうかを判定するために、Octet RED 96プラットフォームを用いた分子結合アッセイを実施した。H5D8は、抗ヒトFcキャプチャーによりAHCバイオセンサーに上に負荷した。次に、バイオセンサーをLIFに浸漬したところ、予想通り、結合が観察された(
図16A、中央3分の1)。引き続いて、バイオセンサーを異なる濃度のLIFRに浸漬した。用量依存的結合が観察された(
図16A、右側3分の1)。対照実験は、この結合がLIF特異的であり(未掲載)、LIFRとh5D8又はバイオセンサーとの非特異的相互作用に起因するものではないことを実証した。
【0191】
h5D8とLIFの結合をさらに特性解析するために、一連のELISA結合実験を実施した。H5D8及びLIFをプレインキュベートし、次に、組換えヒトLIFR(hLIFR)又はgp130のどちらかで被覆されたプレートに導入した。h5D8/LIF複合体と被覆された基質との間の結合の欠如は、h5D8が何らかの様式で、LIFの受容体への結合を妨害したことを示す。さらに、LIFに結合しなかった対照抗体((-)で示されるイソタイプ対照)、又は既知の結合部位でLIFに結合する対照抗体(B09はgp130又はLIFRのどちらともLIF結合について競合しない;r5D8はh5D8のラット親バージョンである)もまた使用した。ELISAの結果は、h5D8/LIF複合体が(r5D8/LIF複合体と同様に)hLIFRに結合できたことを実証し、これらの抗体がLIF/LIFR結合を妨げなかったことが示唆された(
図16A)。対照的に、h5D8/LIF複合体(及びr5D8/LIF複合体)は、組換えヒトgp130と結合できなかった(
図16B)。これは、LIFがh5D8に結合すると、LIFのgp130結合部位が影響を受けることを示唆した。
【0192】
実施例21-ヒト組織におけるLIF及びLIFR発現
LIF及びLIFRの発現レベルを判定するために、多くの異なるタイプのヒト組織に対して、定量的リアルタイムPCRを実施した。
図17A及び17Bに示される平均発現レベルは、100ngの全RNA当たりのコピーとして与えられる。ほとんどの組織は、100ngの全RNA当たり、少なくとも100コピーを発現した。LIF mRNA発現は、ヒト脂肪組織(腸間膜-回腸[1])、血管組織(脈絡叢[6]及び腸間膜[8])、及び臍帯[68]組織において最高であり;脳組織(皮質[20]及び黒質[28])において最低であった。LIFR mRNA発現は、ヒト脂肪組織(腸間膜-回腸[1])、血管組織(肺[9])、脳組織[11-28]、及び甲状腺[66]組織において最高であり;PBMC[31]において最低であった。カニクイザル組織におけるLIF及びLIFR mRNA発現レベルは、ヒト組織で観察されたものと類似しており、LIF発現が脂肪組織で高く、LIFR発現は脂肪組織で高く、PBMCで低かった(データ未掲載)。
【0193】
図17A及び
図17Bの組織番号付けは、次のとおり。1-脂肪(腸間膜-回腸);2-副腎;3-膀胱;4-膀胱(膀胱三角);5-血管(脳:中脳動脈);6-血管(脈絡叢);7-血管(冠動脈);8-血管(腸間膜(結腸));9-血管(肺);10-血管(腎臓);11-脳(小脳扁桃);12-脳(尾状核);13-脳(小脳);14脳-(皮質:前帯状回);15-脳(皮質:後帯状回);16-脳(皮質:正面-側方);17-脳(皮質:内側前頭);18-脳(皮質:後頭);19-脳(皮質:頭頂);20-脳(皮質:側頭);21-脳(背側縫線核);22-脳(海馬);23-脳(視床下部:前側);24-脳(視床下部:後側);25-脳(青斑核);26-脳(延髄);27-脳(側坐核);28-脳(黒質);29-乳房;30-盲腸;31-末梢血単核細胞(PBMCs);32-結腸;33-背根神経節(ganlia)(DRG);34-十二指腸;35-卵管;36-胆嚢;37-心臓(左心房);38-心臓(左心室);39-回腸;40-空腸;41-腎臓(皮質);42-腎臓(髄質);43-腎臓(骨盤);44-肝臓(実質);45-肝臓(気管支:一次);46-肝臓(気管支:三次);47-肺(実質);48-リンパ腺(扁桃);49-筋肉(骨格);50-食道;51-卵巣;52-膵臓;53-松果体腺;54-脳下垂体;55-胎盤;56-前立腺;57-直腸;58-皮膚(包皮);69-脊髄;60-脾臓(実質);61-胃(幽門洞);62-胃(体部);63-胃(胃底);64-胃(幽門管);65-精巣;66-甲状腺;67-気管;68-臍帯;69-尿管;70-子宮(子宮頸部);71-子宮(子宮筋層);及び72-輸精管。
【0194】
実施例22-h5D8及び抗PD-1抗体は結腸直腸がんのマウスモデルにおける腫瘍増殖を阻害する
同系CT26及びMC38モデルにおいて、h5D8の有効性をPD-1阻害剤との組み合わせで評価した。
図18A及び18Bに示されるように、PD-1阻害剤とh5D8の組み合わせで処置されたマウスは、PD-1阻害剤単独又はh5D8単独で処置されたマウスと比較して、CT26腫瘍増殖の減少を示した。h5D8単剤療法による耐久性のある延命効果は観察されず(
図18C)、抗PD1療法ではまれにしか観察されなかった(
図18C)一方で、h5D8と抗PD1の組み合わせは、処置されたCT26及びMC38腫瘍保持マウスのそれぞれ約40%及び30%において、長期延命効果もたらした(
図18C)。重要なことには、長期的に腫瘍のないCT26生存者は腫瘍再移植に抵抗性であり、長期持続適応免疫の獲得と一致していた(
図18D)。
【0195】
h5D8とPD-1阻害剤の組み合わせが、それによって腫瘍増殖に影響を及ぼす、追加的な免疫機構を調べるために、
図19A及び19Bに示されるように、浸潤製CD8T細胞の機能性に対する組み合わせの効果を評価した。h5D8処置の単剤療法では、CT26及びMC38腫瘍のどちらでも、それぞれCD8 TILの効果なしであるか、又はほんのわずかな増加が観察された。単剤療法としての抗PD1は、CD8 TILに対してほとんど効果がなかったが、h5D8との組み合わせは、CT26及びMC38の双方の腫瘍においてCD8 TILの有意な増加をもたらし、組み合わせで観察された有効性の増加が、潜在的にCD8 TILの増加によって駆動されることが示唆された(
図19C及び19D)。
【0196】
対照及び単剤処置群と比較して、h5D8と抗PD1の組み合わせで処置されたマウスから採取された腫瘍は、CD8 TILの増加を示しただけでなく、GZMB、Ki67、及びCD44によって同定される、細胞溶解性、増殖性、及び抗原経験サブセットのそれぞれの増加もまた示した。併用療法を受けた腫瘍は、CD8/Treg、M1/M2、及びCD8/CD11b比の増加もまた示し、抗腫瘍免疫に有利な腫瘍微小環境(TME)の強力な調節が実証された。これらのデータは、LIFがマクロファージの分極を抑制することによって、少なくともある程度TMEの抑制を駆動し、それが引き続いて宿主の抗腫瘍免疫を鈍らせることを支持する。h5D8によるLIFの阻害はこの効果を逆転させ、抗PD1療法などのT細胞促進療法と組み合わせることで、強力な抗腫瘍免疫を駆動し、がんのマウスモデルにおいて、持続性の延命効果を可能にする。
【0197】
抗PD1単剤療法又はh5D8及び抗PD1の組み合わせのどちらかで処置されたマウスから採取された腫瘍において、CD8 TILが細胞毎に機能的に異なるかどうかを調べるために、腫瘍特異的抗原に反応してCD8 TILがIFNγを産生する能力を調べた。抗PD1で、又はh5D8と抗PD1との組み合わせで処置されたCT26腫瘍から単離されたCD8 TILは、CT26の免疫優勢拒絶反応抗原を含むAH1ペプチド(gp70;423~431アミノ酸)によって生体外で刺激されたときに、機能に差がないことを示した(
図19C)。同様に、抗PD1で、又はh5D8と抗PD1との組み合わせで処置されたMC38腫瘍から単離されたCD8 TILもまた、免疫優性腫瘍抗原ペプチド(p15e;604~611アミノ酸)によって生体外で刺激されたときに、機能に差がないことを示し、組み合わせの有効性の増加が、細胞毎のCD8 TIL機能の増加ではなく、CD8 TIL頻度の全体的な増加によって駆動されていることが示唆された。
【0198】
材料及び方法
h5D8と、PD-1阻害剤である抗体クローンRMP1-14(BioXCell)とをそれぞれ15mg/kg及び10mg/kgの用量で週2回投与し、キャリパーによる測定を通じて腫瘍体積をモニターした。
【0199】
実施例23-LIF、TAM、及びTreg間の相関
がん免疫系に対するLIFの効果は、がんゲノムアトラス(TCGA)から、28種類の固形腫瘍にわたり、腫瘍関連マクロファージ(TAM)及び調節性T細胞(Treg)の相対存在量を測定することによって判定された。LIFと、TAM及びTregとの間の有意な相関が、いくつかの腫瘍タイプにわたって観察された(
図20A及び20B)。神経膠芽腫(GBM)、前立腺がん、甲状腺がん、及び卵巣がんは、LIF、TAM、及びTregの間で最も高い相関性を示し、サンプル間で高いLIF発現を示した4つの腫瘍タイプであった(
図20A及び20B)。GBM腫瘍では、腫瘍細胞及び免疫細胞浸潤による広範なLIF発現が観察された(
図24)。
【0200】
ヒトGBM及び卵巣がん(OV)のTCGAデータセットの双方の解析で、LIFと、CCL2、CD163、及びCD206との間に有意な正の相関が見られた(
図28)。LIFとCXCL9の間に相関は観察されなかったが(データ未掲載)、腫瘍全体にわたりCXCL9 mRNAの比較的低いレベルが観察された。これらの結果は、20人のGBM患者のコホートを解析し、腫瘍のLIF、CXCL9、CCL2、CD163、及びCD206 IHCを実施することによって、タンパク質レベルで検証した。LIFと、CCL2、CD163、及びCD206との間に、強い正の相関が観察された(
図21E)。CXCL9は孤立した細胞群で発現しており、腫瘍に存在する低レベルのCXCL9 mRNAが説明された。特に、CXCL9は、ヒトGBMにおいてLIFと逆の相関を示した(
図21E)。
【0201】
本明細書に記載される実施例は、LIFが、腫瘍促進性TAMの存在を促進する一方で、CD8+T細胞の排除に重要な役割を果たすことをさらに描写する。高レベルのLIFを発現する腫瘍におけるLIFの遮断は、TAMにおけるCD206、CD163、及びCCL2を減少させ、CXCL9発現を誘導することが観察された。LIFの遮断は、CXCL9のエピジェネティックサイレンシングを解除し、CD8+T細胞腫瘍浸潤を始動させた。LIF中和抗体とPD1免疫チェックポイント阻害との組み合わせは、腫瘍退縮及び全生存増加を促進した。
【0202】
材料及び方法
がんゲノムアトラス(TCGA)、Firebrowse server(firebrowse.org、バージョン2016_01_28)から、28種の異なる固形腫瘍に罹患している9,403人の患者のRNA-seqデータをダウンロードした。発現データ(RSEM)を全ての下流解析についてlog2変換した。次に、関心のある4つの免疫集団であるTAM、Treg、CD4+T細胞、及びCD8+T細胞の遺伝子シグネチャを取得した。次に、LIF発現と4つの免疫集団の遺伝子シグネチャとの相関、及びLIFと関心のある遺伝子のセットとの相関を計算した。
【0203】
実施例24-GL261N、RCAS、及びID8モデルにおけるLIF機能を抑制する
がんにおけるLIFの潜在的な免疫調節的役割について、GBM及び卵巣がん(LIFがTAM及びTregと強く相関する腫瘍型)の免疫適格性マウスモデルにおいて検討した。GBM細胞株GL261N(GL261細胞株の派生物)、GFAP-tv-aRCAS-PDGFA、shp53、shNF1(RCAS)組換えモデル、及びマウスの脳(GL261N及びRCAS)と腹膜(ID8)に腫瘍を生じさせた卵巣がん細胞株ID8は、高レベルのLIFを発現することが確認された(
図25)。
【0204】
中和抗体を使用して、GL261N、RCAS、及びID8モデルにおけるLIF機能を抑制した。これらのモデルでは、腫瘍増殖の減少及び生存率の増加が観察された(
図20C、20G、20H、20K、20P)。LIFを発現しない腫瘍であるGL261腫瘍モデルにおけるLIFの遮断は、腫瘍の増殖を阻害しなかった(
図25E)。LIFに対する中和抗体は、これらの動物モデル(高LIF発現に基づいて選択された)においてp-STAT3レベルの著しい減少を誘導し、LIFがJAK-STAT3経路を誘導する主なサイトカインであることが示された(
図20D及び20L)。さらに、Ki67陽性細胞の有意な減少は観察されなかった一方で、切断されたカスパーゼ3(CC3)の増加が観察され、LIFの遮断が腫瘍細胞死を誘導することが示唆された(
図20D、20L)。
【0205】
材料及び方法
全ての動物実験は、欧州連合及び国内指令に合致して、Vall d’Hebron Research InstituteのInstitutional Animal Care Committeeのガイドラインに従って承認され、実施された。メスC57BL/6及びNODSCIDは、Janvierから購入した。脳腫瘍モデルでは、8週齢C57BL/6マウスの右脳半球の線条体(人字縫合の1mm前側で人字縫合の1.8mm側方;脳実質内2.5mm)に、いずれもルシフェラーゼ発現を有する3×105個のGL261N、GL261、又はRCAS細胞を定位的に種した。卵巣腫瘍モデルでは、8週齢のC57BL/6マウスに、5×106個のID8卵巣がん細胞を腹腔内注射した。300μg(ID8)又は600μg(GL261N、GL261、及びRCAS)の用量の抗LIF又は対照IgGを週2回腹腔内投与した。さらに、200μgの用量のラット抗マウスPD1遮断抗体(抗PD1、BioXCell)、抗マウス/ヒト/ラットCCL2抗体(MCP-1、BioXcell)又は3μgの抗マウスCXCL9抗体(R&D)を週2回腹腔内投与した。腫瘍進行は、体重によって、及び腹囲(ID8)によって、又はXenogenogen IVIS(登録商標)スペクトル(GL261N、GL261、及びRCAS)を使用した生物発光測定によって、モニターした。マウスは、疾病や苦痛の臨床徴候(すなわち悪液質、食欲不振、又は呼吸数の増加)を示したとき、又は腫瘍が正常な身体機能を妨害し始めたときに安楽死させた。
【0206】
実施例25-GL261N腫瘍の抗LIF処置
免疫不全動物を使用して、抗LIF処置に対する免疫系の役割を評価した。RAG-/-又はNOD SCIDマウス(いずれも適応免疫応答を欠くマウスの系統)におけるGL261N腫瘍の抗LIFによる処置は、腫瘍増殖に有意な影響を示さなかった(
図25F)。結果は、LIFの遮断に対する抗腫瘍反応が、主に適応免疫応答によって媒介されることを示した。
【0207】
材料及び方法
使用されたマウスが、Jackson LaboratoriesからのRAG-/-、CCL2-/-、及びCXCL9-/-、そしてCharles RiverからのNOD SCIDγ(NSG)であったことを除いて、実施例24の方法を用いた。
【0208】
実施例26-抗LIF処置は腫瘍促進性TAM数を減少させてCD8+T細胞腫瘍浸潤を増加させる
抗LIF処置に対する免疫応答伴う分子機序は、腫瘍促進性TAM(CD11b+Ly6G-Ly6C-CD206+CD163+MHCIIlow)数の減少(
図20E、20I、20M)、そして重要なことには、抗LIFでの処置時におけるCD8+T細胞の腫瘍浸潤の同時の増加(
図20D、20F、20J、20L、20N)を観察することによって、さらに調べた。抗LIFで処置すると、Treg及びNK細胞数は、それぞれ減少し増加した(
図25G~25J)。浸潤性CD8+T細胞はGZMAを発現し、それらが細胞傷害効果を媒介することが示唆された(
図26A)。さらに、CD8+T細胞の区画は、PD1を発現した(
図26B、26C)。動員された単球由来のTAM(CD11b+Ly6G-Ly6C-CD49d+)は、抗LIFに応答して減少し(
図26D)、樹状細胞集団(CD11b+、CD11c+、MHCII+)には大きな影響は見られず(
図26E)、組織内のIL-10又はIL-12のレベルにも大きな影響は見られなかった(
図26F)。
【0209】
材料及び方法
マウスを安楽死させ、腫瘍を単離した。GL261N及びRCAS腫瘍を脳腫瘍解離キットで酵素的に消化し、ミエリンをミエリン除去ビーズII(全てMiltenyi Biotecから)を使用して除去した。ID8腫瘍をマウス腫瘍解離キット(Miltenyi Biotec)で処理し、腹水を採取した。器官型モデルのヒトGBM検体及び患者由来の異種移植片は、ヒト腫瘍解離キット(Miltenyi Biotec)で酵素的に消化した。
【0210】
GL261N細胞懸濁液から、抗Ly6C-APC及び抗APCマイクロビーズと抗Ly6Gマイクロビーズを使用してLy6G+とLy6C+集団を枯渇させ、次にCD11b磁気ビーズを使用して、CD11b+細胞の単離を実施した。CD45+細胞の単離は、抗マウスCD45磁気ビーズを使用して実施した。ID8細胞懸濁液から、抗CD11b磁気ビーズを使用してCD11b+細胞を単離した。最後に、器官型切片から、抗ヒトCD45磁気ビーズを使用してCD45+細胞の単離を実施した。全ての単離手順は、製造会社の使用説明書に従って、MultiMACS Cell24 Separator Plusを使用して実施し、磁気ビーズはMiltenyi Biotecから購入した。
【0211】
CD3、CD4、CD335、CD163、MHCクラスII、CXCR3(eBioscience)、CD45、CD8、F4/80、CD11b、CD11c、CD206、CD49d(BD Bioscience)、LIFR(Novus Biologicals)Ly6G、Ly6C、CCR2、及びPD1(Biolegend)に対するマウス抗体をフローサイトメトリーのために使用した。FoxP3、Granzyme A(GZMA)、CXCL9(eBioscience)、及びCCL2(Biolegend)の細胞内染色は、特異的染色セット(eBioscience)を使用して実施した。フローヒト試験では、CD11b、CD14(BD Bioscience)、CD45、CD3、CXCR3(Biolegend)、及びCD8(BD Pharmigen)に対する抗体を使用した。場合によっては、サンプルを事前にLIVE/DEAD固定可能黄色死染キット(Thermo Fisher Scientific)と共にインキュベートして、生存率を判定した。白血球集団を確立するために、ヒトGBM器官型及び患者由来の異種移植片の陽性対照として、106個のPBMC(「スパイクPBMC」と称される)を対照サンプルに添加した。
【0212】
サンプルはBD LSRFortessa(商標)細胞分析装置又はNavios(Beckman Coulter)で取得し、データはFlowJoソフトウェアで解析した。
【0213】
実施例27-CD8+T細胞浸潤はLIF遮断に対する抗腫瘍応答の結果ではない
腫瘍が確立されてから4日間マウスを抗LIFで処置する急性処置実験を実施することよって、LIF媒介腫瘍免疫浸潤の制御が、抗腫瘍反応の原因であるのか又は結果であるのかを評価した。4日間の処置は腫瘍増殖には影響しなかったが(
図26G)、CD8+T細胞腫瘍浸潤に関与するのには十分であった(
図26H)。これは、CD8+T細胞浸潤が、LIFの遮断に対する抗腫瘍応答の結果ではなかったことを示す。
【0214】
実施例28-遺伝子応答妥当性検証
ID8マウスモデルからCD11b+細胞を単離し、細胞を抗LIF抗体で処理し、トランスクリプトミクス解析を実施することにより、下方制御された発がん性表現型に関連する遺伝子を判定した。同定された遺伝子は、CCL2、CCL3、CCL7、PF4、CTSK、CD206、及びCD163であった。そして興味深いことに、CXCL9は上方制御された(
図21A)。前述の遺伝子応答は、ID8及びGL261Nモデルにおいて、qRT-PCRによって検証された(
図21B)。
【0215】
CXCL9及びCCL2は、それぞれCD8+T細胞腫瘍浸潤、及びTAMとTregの動員に重要なケモカインとして際立っていた。TAM(CD11b+Ly6G-Ly6C-)における、LIFの中和によるCXCL9及びCCL2の制御が確認された(
図21C)。TAMの免疫染色及び単離は、TAMにおいてCXCL9、CCL2、CD206、及びびCD163が主に発現され(
図21D)、抗LIFによる処置がそれらの発現を制御することを示した(
図21C、21D)。CXCR3(CXCL9受容体)、CCR2(CCL2受容体)、及びLIFRは、TAM及びCD8+T細胞(
図27A)で発現される。qRT-PCR解析は、GL261N腫瘍から選別された、CD11b+Ly6G-Ly6C-及びCD11b-Ly6G-Ly6C-細胞における、CD11b及びCXCL9 mRNAの存在を定量化した。(
図27B)
【0216】
材料及び方法
mRNA抽出(RNeasy Mini又はMicro Kit、Qiagen)、レトロトランスクリプション(BioRadからのmRNA用iScript Reverse Supermix)のために細胞を溶解し、製造業者の推奨に従って、Applied BiosystemsのTaqmanプローブを使用してqRT-PCRを実施した。パラフィン包埋切片については、高純度FFPET RNA単離キット(Roche)を使用して、製造会社の使用説明書に従ってRNAを得た。反応は、CFX384 Touch(商標)リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad)において実行し、結果は、Ct法で計算された対照サンプルに対する倍数変化として表した。内部正規化対照として、マウス又はヒトACTB又はGAPDHを使用した。
【0217】
RNAは、Affymetrixマイクロアレイプラットフォーム上で、Mouse Gene 2.1 STを使用してアッセイした。次に、それをRobust-Microarray Average(RMA)に基づいて正規化した。limma Bioconductorパッケージを使用して、対合サンプルを考慮し、ベイズ線形回帰を通じて、抗LIF処置されたマウスにおいて示差的に発現される遺伝子を同定した。
【0218】
実施例29-CXCL9ノックアウトマウス及びCCL2ノックアウトマウスにおける抗LIF応答
CXCL9及びCCL2ノックアウトマウス(CXCL9-/-、CCL2-/-)マウスモデルを用いて、LIFの発がん性機能におけるCXCL9及びCCL2の制御との関連性を試験した。これらのマウスモデルにおける腫瘍は、CXCL9及びCCL2に対する遮断抗体で処置した。興味深いことに、LIFの阻害に対する抗腫瘍応答は、CXCL9-/-マウスでは鈍化したが、CCL2-/-マウスでは鈍化しなかった(
図21F)。同様に、CXCL9中和抗体は抗LIFに対する抗がん応答を阻害したが、CCL2抗体は阻害しなかった(
図21F)。これらの結果は、抗LIF応答の主な媒介物が、CXCL9であることを示す。予想通り、CXCL9の遮断は、抗LIFに応答してCD8+T細胞腫瘍浸潤を減少させた(
図21G)。
【0219】
材料及び方法
スライドを脱パラフィン化し、水和させた。抗原検索は、pH6又はpH9のクエン酸抗原賦活化溶液(DAKO)、10分間の10%ペルオキシダーゼ(H2O2)、室温で1時間のブロッキング液(2%BSA)を使用して実施した。検出システムとして、製造業者の指示に従ってEnVision FLEX+(DAKO)を使用し、ヘマトキシリン(hematoxilin)による対比染色、脱水、及びマウンティング(DPX)がそれに続いた。患者からのGBM腫瘍におけるLIF、CCCL2、CD163、CD206、及びCXCL9の染色の定量化をHスコア(3×強染色の百分率+2×中等度染色の百分率+弱染色の百分率)として表したところ、0~300の範囲が得られた。p-STAT3、Ki67、CC3、及びCD8の定量化は、ImageJを使用して実施し、群当たり5匹のマウス毎に3つの異なる視野の細胞総数をカウントし、陽性細胞の百分率を算出した。グラフ中のデータは、平均値±SEMとして提示される。
【0220】
免疫組織化学的抗体:ヒトLIF(Atlas;1:200)、マウスLIF(AbCam;1:200)、マウスp-STAT3(Cell Signaling;1:50)、マウスKi67(AbCam;1:200)、マウスCleaved-Caspase3(CC3)(Cell Signaling;1:500)、マウスCD8(Bioss;1:200)、ヒト/マウスCCL2(Novus Biologicals、1:200)、ヒトCXCL9(Thermo Fischer Scientific;1:100)、及びヒトCD163(Leica Novacastra;1:200)。
【0221】
核をDAPIで対比染色し、レーザー走査型共焦点NIKON Eclipse Ti顕微鏡を使用して画像を取得した。免疫蛍光の定量化はImageJを使用して実施し、群当たり3~5匹の各マウス毎に2~3つの異なる視野のCD11b、Iba1、又はCD3について陽性である全て又は最大100個の細胞をカウントして、Iba1(GL261Nモデルのため)又はCD68/CD11b(ID8モデルのため)陽性集団内のCCL2、CD206、及びCD163に対して陽性である細胞の百分率を算出した。CXCL9については、このサイトカインのシグナルで取り囲まれる細胞の百分率を全細胞集団内で算出した。器官型切片については、各患者(n=3)の3~4つの視野を定量化した。器官型組織免疫蛍光については、条件毎に5つの異なるZスタック画像をFighi-Image Jソフトウェアによって処理した。CD8+T細胞については、全集団間のCD8+T細胞の百分率を算出した。グラフ中のデータは、平均±SEMで表される。
【0222】
免疫蛍光抗体:ヒト/マウスCCL2(Novus Biologicals、1:200)、ヒト/マウスCD11b(AbCam;1:2000)、ヒト/マウスIba1(Wako;1:1000)、マウスCD68(AbCam;1:200)、ヒト/マウスCD206(Abcam;1:500)、マウスCD163(Abcam;1:200)、CXCL9(マウスNovus Biologicals1:200;ヒトThermo Fischer Scientific;1:200)、及びヒトCD8(DAKO;1:200)。
【0223】
実施例30-マウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)の初代培養におけるLIFの効果
マウスBMDMの初代培養に対するLIFの効果を試験して、マクロファージにおけるLIFによるCXCL9及びCCL2の制御に関与する分子機序を探究した。LIFは、BMDMにおいてIFNγ又はIL4によって誘導された、いくつかのM1様及びM2様マーカーの発現を制御した(
図22A)。BMDMをIFNγで処理した場合を除き、CXCL9発現は検出されなかった。組換えLIFは、mRNAレベルとタンパク質レベルの双方で、IFNγによるCXCL9の誘導を抑制した(
図22B及び22C)。CXCL9は、新鮮なヒトGBM腫瘍から得られた患者由来のTAM(CD11b+CD14+)において、IFNγ及びLIFによっても制御された(
図22D及び29A)。これらの結果は、組換えLIFが、mRNAレベルとタンパク質レベルの双方で、LPSによるCXCL9の誘導を抑制したことを観察することで、さらに検証された。(
図29B)。したがって、LIFはCXCL9誘導のリプレッサーとしての機能を果たした。LIFで処理した際のCXCL9プロモーターのp-STAT3への結合は、観察されなかった(データ未掲載)。これと一致して、LIF処置は、H3リジン27トリメチル化(H3K27me3)のレベルを増加させ、アセチル化H4(H4ac)のレベルを減少させ、CXCL9プロモーター領域へのEZH2結合を増加させることが分かり、LIFがエピジェネティックなサイレンシングを通じて、CXCL9発現を制御することが示された(
図22E)。
【0224】
材料及び方法
骨髄由来マクロファージ(BMDM)は、6~10週齢のC57BL/6マウスから得た。簡潔に述べると、20%の熱不活化FBSと、マクロファージコロニー刺激因子の供給源としての30%のL細胞熟成培地(cm)とを補充したDMEM(Life Technologies)中で、骨髄前駆体を培養した。6日間の培養後に、分化したマクロファージを得た。L細胞cmは、10%の熱不活性化FBS(Life Technologies)を補充したDMEM中で増殖させたL929細胞から得た。ヒトマクロファージは、ヒトGBM標本から単離した。簡潔に述べると、腫瘍解離キットで腫瘍組織を酵素的に消化し、CD11b磁気ビーズ及びMultiMACS Cell24分離器Plus(全てMiltenyi Biotecから)を使用して、CD11b+細胞を単離した。得られたCD11b+細胞は、10%の熱不活化FBS(Life Technologies)を補充したRPMI培地中で培養した。組換えLIF、IFNγ、LPS、及びIL4は、それぞれ、Millipore、R&DSystems、Sigma、及びCreative BioMartから購入した。
【0225】
クロマチンの免疫沈降は、Upstate(Millipore)の標準プロトコルに従って行った。簡潔に述べると、1%のホルムアルデヒドを使用して、1.2×107個のBMDMを37℃で10分間固定して採取し、超音波分解して200~500bpのクロマチン断片を生成した。次に、2j.tgの抗p-STAT3(Tyr705)抗体、抗トリメチルヒストンH3(Lys27)(Cell Signaling)、抗アセチルH4(Millipore)又は抗EZH2(Millipore)を使用して、20j.tgの剪断されたクロマチンを一晩免疫沈降させた。20j.tlのプロテインG磁気ビーズを使用して免疫複合体を回収して洗浄し、溶出させた。65℃、4時間で架橋を逆転させ、QiagenからのPCR精製キットを使用して、免疫沈降DNAを回収した。関心のあるゲノム領域は、SYBR Green Master Mix(Invitrogen)を使用したリアルタイム定量PCR(qPCR)によって同定した。
【0226】
実施例3-患者における免疫細胞腫瘍浸潤のLIF制御
実際のがん患者の腫瘍において、LIFがCXCL9の抑制を通じて免疫細胞腫瘍浸潤を制御することを確認するために、患者から新鮮に入手されたGBM標本から器官型組織培養物を生成した。これらの器官型モデルは、患者の腫瘍の組織構造及びストロマ(免疫細胞を含む)を維持する腫瘍切片の短期培養を可能にする。腫瘍細胞が高レベルのLIFを発現した3人の患者からの器官型組織培養物(
図22H)。Iba1マーカーによって検出されたように、3つの全ての培養物でTAMの大きな浸潤が存在し、TAMのほとんどは、CCL2、CD163、及びCD206を発現した。興味深いことに、LIFに対する中和抗体による器官型培養物の3日間の処置は、CCL2、CD163、及びCD206の減少とCXCL9発現の増加を促進した(
図22H)。
【0227】
材料及び方法
ヒトGBM標本は、Vall d’Hebron University Hospital and Clinic Hospitalから入手した。臨床プロトコルは、全ての対象からインフォームドコンセントを得て、Vall d’Hebron Institutional Review Board and Clinic Hospital(CEIC)によって承認された。
【0228】
GBM神経球は、以下に記載されるようにして生成した。簡潔に述べると、外科的切除後30分以内に腫瘍サンプルを処理した。ヒトGBMサンプルの細かく刻んだ断片は、PBS中の200U/mlのコラゲナーゼI(Sigma)及び500U/mlのDNaseI(Sigma)で、37℃で1時間、絶えず激しく撹拌しながら消化した。単一細胞懸濁液を70μmの細胞ストレーナー(BD Falcon)(BDファルコン)を通して濾過し、PBSで洗浄した。最後に、細胞を再懸濁し、引き続いて、B27、ペニシリン/ストレプトマイシン(全てライフテクノロジーズから)及び増殖因子(20ng/mlのEGF及び20ng/mlのFGF-2(PeproTech))を補充した、Neurobasal培地からなるGBM培地中で培養した。
【0229】
GBM器官型切片培養物は、次のように生成した。切除後、外科標本を外科用メスで長さ5~10mm、幅1~2mmの長方形のブロックに切断し、6ウェルプレート内の0.4μm膜培養インサート(Millipore)に個別に移し入れた。6ウェルプレートに挿入物を入れる前に、B27(Life Technologies)、ペニシリン/ストレプトマイシン(Life Technologies)、及び増殖因子(20ng/mlのEGF及び20ng/mlのFGF-2)(PeproTech)を補充した、1.2mlのNeurobasal培地(Life Technologies)を各ウェルに入れた。培養は、定湿、95%の空気、5%のCO2で37℃に保った。1日後、切片をラット抗LIF遮断抗体又はその対応する正常IgG(10μg/ml)で3日間処理した。CXCL9遮断試験では、ヒトCXCL9に対する中和マウスモノクローナル抗体(R&D Systems)を1.5μg/mlで培養物に添加した。場合によっては、0.1ng/mlのヒトrIFNγ(R&D Systems)を24時間添加した。並行して、Lymphosep(Biowest)を使用して遠心分離密度分離によって、同一患者の全血から末梢血単核細胞(PBMC)を得た。PBMCは、使用するまで10%の不活化FBS及び10%のDMSOを補充したRPMI培地中で凍結保存した。免疫細胞浸潤アッセイのために、対照又は抗LIF切片をMatrigel(Corning)中に包埋し、その後、完全RPMI培地中で24ウェルプレートに1×106個のPBMCを添加した。さらに、上清を採取し、器官型切片をMatrigelから回収し、IF及びフローサイトメトリーのためにさらに処理した。いくつかの条件で、PBMCを106個の細胞/mlの濃度でPBSで再懸濁し、5μMのCell Trace CFSE(Invitrogen)で20分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をRPMIで洗浄し、Matrigelに包埋された切片に添加した。24時間後、蛍光性のPBMCのMatrigelへの侵入を、各条件毎に5つの異なる領域で遊走する細胞をカウントすることによって、顕微鏡下で評価した。
【0230】
実施例32-抗LIFによる処置は高レベルのLIFを発現する腫瘍においてCXCL9を増加させCCL2発現を減少させた
免疫細胞腫瘍浸潤に対するLIFの影響を評価した。抗LIF処置後、高レベルのLIFを発現する腫瘍を有する3人の患者からの器官型切片を、同じ患者からの末梢血単核細胞(PBMC)と共にインキュベートした(
図23A)。抗LIFによる処置は、CXCL9を増加させ、CCL2発現を減少させ(
図23B)、腫瘍標本周囲のMatrigelへの免疫細胞浸潤を誘導した(
図23B)。特に、CD8+T細胞はLIF遮断時に腫瘍組織に動員され(
図23B、23C)、CXCL9の中和によりCD8+T細胞浸潤が阻止されたことから、この効果はCXCL9に依存した(
図23D)。
【0231】
同様の結果は、生体内モデルの文脈において確認された。腫瘍がLIFを高レベルで発現した4人の患者からの腫瘍断片をNSGマウスに接種し、これらのマウスをLIF中和抗体で5日間処置した。次に、各患者のPBMCをマウスに接種した。興味深いことに、抗LIFで処置されたマウスは、CD8+T細胞腫瘍浸潤の増加を示し、浸潤性CD8+T細胞のほとんどは、CXCL9受容体であるCXCR3を発現していた(
図23E)。
【0232】
実施例33-PD1遮断による抗腫瘍応答の増加
顕性腫瘍を有するマウスモデルを抗LIF及び抗PD1抗体で処置し、LIF及びPD1の遮断の組み合わせが、GL261N、RCAS、及びID8腫瘍におけるそれぞれの個々の処置と比較して、腫瘍増殖をさらに減少させることを観察した(
図30)。さらに、重要なことに、抗LIFと抗PD1の組み合わせ処置は、全生存期間を増加させ、腫瘍の退縮を誘導した(
図23F及び23G)。
【0233】
完全な腫瘍退縮退縮を示すマウスを集め、3×105個の腫瘍細胞を再接種した。これらのマウスでは腫瘍が出現しなかった一方で、並行して同数の細胞を接種した未感作マウスでは腫瘍が急速に増殖した(
図23H)。この再挑戦実験の結果は、抗LIFと抗PD1による併用療法が、免疫記憶を生じさせたことを示した。
【0234】
請求された発明の実施形態
ここで、本明細書に記載される発明の特定の実施形態を記載する。
1.個体のがんを治療するための、PD-1、PDL-1又はPDL-2シグナル伝達阻害剤と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチドの使用。
2.LIF結合ポリペプチドと、PD-1、PDL-1又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で個体に投与される、実施形態1の使用。
3.LIF結合ポリペプチドと、PD-1、PDL-1又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で個体に投与される、実施形態1の使用。
4.PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される前に、LIF結合ポリペプチドが個体に投与される、実施形態1又は2の使用。
5.LIF結合ポリペプチドが個体に投与される前に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される、実施形態1又は2の使用。
6.LIF結合ポリペプチドが個体に投与されるのと同時に、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される、実施形態1又は2の使用。
7.LIF結合ポリペプチドが、免疫グロブリン可変領域の断片、又は免疫グロブリン重鎖定常領域を含む、実施形態1~6のいずれか1つの使用。
8.LIF結合ポリペプチドが、LIFと特異的に結合する抗体を含む、実施形態1~7のいずれか1つの使用。
9.LIFと特異的に結合する抗体が、ヒト抗体フレームワーク領域に由来する少なくとも1つのフレームワーク領域を含む、実施形態8の使用。
10.LIFと特異的に結合する抗体がヒト化されている、実施形態8の使用。
11.LIFと特異的に結合する抗体が脱免疫化されている、実施形態8の使用。
12.LIFと特異的に結合する抗体が、2つの免疫グロブリン重鎖と、2つの免疫グロブリン軽鎖とを含む、実施形態8の使用。
13.LIFと特異的に結合する抗体が、IgG抗体である、実施形態8の使用。
14.LIFと特異的に結合する抗体が、Fab、F(ab)2、単一ドメイン抗体、一本鎖可変断片(scFv)、又はナノボディである、実施形態8の使用。
15.LIFと特異的に結合する抗体が、
a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
b)配列番号4又は5に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つを含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);
d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)
を含む、実施形態8~14のいずれか1つの使用。
16.LIFと特異的に結合する抗体が、
a)配列番号41、42、44、又は66のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び
b)配列番号45~48のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列
を含む、実施形態8~15のいずれか1つの使用。
17.VH配列が、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一であり;VL配列が、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一である、実施形態16の使用。
18.VH配列が、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり、VL配列が、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である、実施形態17の使用。
19.LIFと特異的に結合する抗体が、
a)配列番号57~60又は67のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖配列;及び
(b)配列番号61~64のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖配列
を含む、実施形態8~15のいずれか1つの使用。
20.LIFと特異的に結合する抗体が、約200ピコモル濃度未満のKDで結合する、実施形態8~19のいずれか1つの使用。
21.LIFと特異的に結合する抗体が、約100ピコモル濃度未満のKDで結合する、実施形態8~19のいずれか1つの使用。
22.PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、抗体又はそのPD-1、PDL-1、又はPDL-2結合断片を含む、実施形態8~21のいずれか1つの使用。
23.抗体がPD-1と特異的に結合する、実施形態22の使用。
24.抗体が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む、実施形態22の使用。
25.抗体が、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する、実施形態22の使用。
26.抗体が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む、実施形態25の使用。
27.PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む、実施形態8~16のいずれか1つの使用。
28.Fc融合タンパク質が、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む、実施形態27の使用。
29.PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む、実施形態1~28のいずれか1つの使用。
30.PD-1、PDL-1、又はPDL-2を通じたシグナル伝達の小分子阻害剤が、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体を含む、実施形態29の使用。
31.がんが、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1~30のいずれか1つの使用。
32.がんが、非小細胞肺がん、上皮性卵巣がん、又は膵管腺がんを含む、実施形態31の使用。
33.がんが、単剤療法として投与されるLIF結合ポリペプチド又はPD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤の治療量による治療に対して不応性である、実施形態1~32のいずれか1つの使用。
34.がんを有する個体に、
a)白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチドと;
b)PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)シグナル伝達阻害剤と
の組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法。
35.LIF結合ポリペプチドと、PD-1(CD279)、PDL-1(CD274)、又はPDL-2(CD273)シグナル伝達阻害剤とが、別々に投与される、実施施形態34の方法。
36.がんを有する個体に、LIF結合ポリペプチドの有効量を投与するステップを含む、実施施形態34の方法。
37.がんを有する個体に、PD-1の阻害剤の有効量を投与するステップを含む、実施施形態34の方法。
38.LIF結合ポリペプチドが、免疫グロブリン可変領域の断片、又は免疫グロブリン重鎖定常領域を含む、実施形態34~37のいずれか1つの方法。
39.LIF結合ポリペプチドが、LIFと特異的に結合する抗体を含む、実施形態34~37のいずれか1つの方法。
40.LIFと特異的に結合する抗体が、ヒト抗体フレームワーク領域に由来する少なくとも1つのフレームワーク領域を含む、実施形態39の方法。
41.LIFと特異的に結合する抗体がヒト化されている、実施形態39の方法。
42.LIFと特異的に結合する抗体が脱免疫化されている、実施形態39の方法。
43.LIFと特異的に結合する抗体が、2つの免疫グロブリン重鎖と、2つの免疫グロブリン軽鎖とを含む、実施形態39の方法。
44.LIFと特異的に結合する抗体が、IgG抗体である、実施形態39の方法。
45.LIFと特異的に結合する抗体が、Fab、F(ab)2、単一ドメイン抗体、一本鎖可変断片(scFv)、又はナノボディである、実施形態39の方法。
46.LIFと特異的に結合する抗体が、
a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
b)配列番号4又は5に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つを含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);
d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)
を含む、実施形態39~45のいずれか1つの方法。
47.LIFと特異的に結合する抗体が、
a)配列番号41、42、44、又は66のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)配列;及び
b)配列番号45~48のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)配列
を含む、実施形態39~46のいずれか1つの方法。
48.VH配列が、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一であり;VL配列が、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一である、実施形態47の使用。
49.VH配列が、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり、VL配列が、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である、実施形態48の方法。
50.LIFと特異的に結合する抗体が、
a)配列番号57~60又は67のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン重鎖配列;及び
b)配列番号61~64のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列と少なくとも約80%、90%、95%、97%、98%、又は99%同一のアミノ酸配列を有する、免疫グロブリン軽鎖配列
を含む、実施形態39~46のいずれか1つの方法。
51.LIFと特異的に結合する抗体が、約200ピコモル濃度未満のKDで結合する、実施形態39~50のいずれか1つの方法。
52.LIFと特異的に結合する抗体が、約100ピコモル濃度未満のKDで結合する、実施形態39~50のいずれか1つの方法。
53.PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、抗体又はそのPD-1、PDL-1、又はPDL-2結合断片を含む、実施形態34~52のいずれか1つの方法。
54.抗体がPD-1と特異的に結合する、実施形態53の方法。
55.抗体が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む、実施形態54の方法。
56.抗体が、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する、実施形態53の方法。
57.抗体が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む、実施形態56の方法。
58.PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む、実施形態34~52のいずれか1つの方法。
59.Fc融合タンパク質が、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む、実施形態58の方法。
60.PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む、実施形態34~52のいずれか1つの方法。
61.PD-1、PDL-1、又はPDL-2を通じたシグナル伝達の小分子阻害剤が、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体の1つ又は複数を含む、実施形態60の方法。
62.がんが、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態34~61のいずれか1つの方法。
63.がんが、非小細胞肺がん、上皮性卵巣がん、又は膵腺がんを含む、実施形態62の方法。
64.がんが、治療量のLIF結合ポリペプチド阻害剤による治療に対して不応性である、実施形態34~63のいずれか1つの方法。
65.がんが、治療量のPD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤阻害剤(an inhibitor of an inhibitor of)による治療に対して不応性である、実施形態34~63のいずれか1つの方法。
66.白血病抑制因子(LIF)結合ポリペプチドと、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別々に投与される、実施形態34~65のいずれか1つの方法。
67.LIF結合ポリペプチドと、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同時に投与される、実施形態34~65のいずれか1つの方法。
68.LIF結合ポリペプチドと、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、単一組成物中で投与される、実施形態34~65のいずれか1つの方法。
69.個体のがんを治療するための、PD-1又はPDL-1結合抗体と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体の使用であって、LIF結合抗体は、
a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
b)配列番号4又は5に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つを含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);
d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)
を含む。
70.がんを有する個体に、
a)i.配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
ii.配列番号4又は5に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つを含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
iii.配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-DR3);
iv.配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
v.配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
vi.配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;
b)PD-1又はPDL-1結合抗体と
の組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法。
71.がんを有する個体に、LIFと特異的に結合する抗体の有効量を投与するステップを含む、実施形態70の方法。
72.がんを有する個体に、PD-1又はPDL-1結合抗体の有効量を投与するステップを含む、実施形態70の方法。
73.LIFと特異的に結合する抗体と、PD-1又はPDL-1結合抗体とが、別々に投与される、実施形態70~72のいずれか1つの方法。
74.がんが、多形性膠芽腫(GBM)、NSCLC(非小細胞肺がん)、卵巣がん、結腸直腸がん、甲状腺がん、膵臓がん、又はそれらの組み合わせである、実施形態70~73のいずれか1つの方法。
75.がんを有する個体に、
a)i.配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
ii.配列番号4又は5に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つを含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
iii.配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-DR3);
iv.配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
v.配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
vi.配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;
b)PD-1又はPDL-1結合抗体と
の組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体の腫瘍内の腫瘍促進性腫瘍関連マクロファージ(TAM)を減少させる方法。
76.がんを有する個体に、LIFと特異的に結合する抗体の有効量を投与するステップを含む、実施形態75の方法。
77.がんを有する個体に、PD-1又はPDL-1結合抗体の有効量を投与するステップを含む、実施形態75の方法。
78.LIFと特異的に結合する抗体と、PD-1又はPDL-1結合抗体とが、別々に投与される、実施形態75~77のいずれか1つの方法。
79.TAM細胞が、CD11b、CD206、及びCD163からなるリストから選択される、任意の1、2、又は3つの分子の表面発現を示す、実施形態75~78のいずれか1つの方法。
80.腫瘍が、肺腫瘍、脳腫瘍、膵臓腫瘍、乳房腫瘍、腎臓腫瘍、大腸腫瘍、卵巣腫瘍、又はそれらの組み合わせからなる、実施形態75~78のいずれか1つの方法。
81.がんを有する個体に、
a)i.配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
ii.配列番号4又は5に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つを含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
iii.配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-DR3);
iv.配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
v.配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
vi.配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;
b)PD-1又はPDL-1結合抗体と
の組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体に免疫記憶を生成する方法。
82.がんを有する個体に、LIFと特異的に結合する抗体の有効量を投与するステップを含む、実施形態81の方法。
83.がんを有する個体に、PD-1又はPDL-1結合抗体の有効量を投与するステップを含む、実施形態81の方法。
84.LIFと特異的に結合する抗体と、PD-1又はPDL-1結合抗体とが、別々に投与される、実施形態81~83のいずれか1つの方法。
85.免疫記憶が、CD8+T細胞によって媒介される、実施形態81~84のいずれか1つの方法。
86.免疫記憶が、CD4+T細胞によって媒介される、実施形態81~84のいずれか1つの方法。
87.腫瘍に罹患した個体に、
a)i.配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
ii.配列番号4又は5に記載されるアミノ酸配列のいずれか1つを含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
iii.配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-DR3);
iv.配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
v.配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
vi.配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;
b)PD-1又はPDL-1結合抗体と
の組み合わせの有効量を投与するステップを含む、個体(induvial)の腫瘍中のTリンパ球の量を増加させる方法。
88.がんを有する個体に、LIFと特異的に結合する抗体の有効量を投与するステップを含む、実施形態87の方法。
89.がんを有する個体に、PD-1又はPDL-1結合抗体の有効量を投与するステップを含む、実施形態87の方法。
90.LIFと特異的に結合する抗体と、PD-1又はPDL-1結合抗体とが、別々に投与される、実施形態87の方法。
91.Tリンパ球がCD8+T細胞を含む、実施形態87~90のいずれか1つの方法。
92.Tリンパ球がCD4+T細胞を含む、実施形態87~90のいずれか1つの方法。
93.腫瘍が、肺腫瘍、脳腫瘍、膵臓腫瘍、乳房腫瘍、腎臓腫瘍、大腸腫瘍、卵巣腫瘍、又はそれらの組み合わせからなる、実施形態87~90のいずれか1つの方法。
【0235】
本明細書に記載される発明の特定の実施形態をさらに記載する。
[項1]
個体のがんを治療するための、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)結合抗体の使用であって、LIF結合抗体が、
a)配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
b)配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
c)配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);
d)配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
e)配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)
を含む、使用。
[項2]
前記LIF結合抗体が、
a)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
b)配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
c)配列番号6に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);
d)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
e)配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)
を含む、上記項1に記載の使用。
[項3]
前記LIF結合抗体が、
a)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
b)配列番号5に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
c)配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);
d)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
e)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)
を含む、上記項1に記載の使用。
[項4]
前記LIF結合抗体と、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で前記個体に投与される、上記項1~3のいずれか一項に記載の使用。
[項5]
前記LIF結合抗体と、及び前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で前記個体に投与される、上記項1~3のいずれか一項に記載の使用。
[項6]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される前に、前記LIF結合抗体が前記個体に投与される、上記項1~4のいずれか一項に記載の使用。
[項7]
前記LIF結合抗体が前記個体に投与される前に、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される、上記項1~4のいずれか一項に記載の使用。
[項8]
前記LIF結合抗体が前記個体に投与されるのと同時に、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される、上記項1~4のいずれか一項に記載の使用。
[項9]
前記LIF結合抗体がヒト化されている、上記項1~8のいずれか一項に記載の使用。
[項10]
前記LIF結合抗体が、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含む、上記項1~9のいずれか一項に記載の使用。
[項11]
前記VH配列が、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり、前記VL配列が、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である、上記項10に記載の使用。
[項12]
前記がんが、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、膵管腺がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、非小細胞肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む、上記項1~11のいずれか一項に記載の使用。
[項13]
前記がんが、非小細胞肺がんを含む、上記項12に記載の使用。
[項14]
前記がんが、膵管腺がんを含む、上記項12に記載の使用。
[項15]
前記がんが、以前にチェックポイント阻害剤で不成功裏に治療されたことがある、上記項1~14のいずれか一項に記載の使用。
[項16]
前記がんが、以前にLIF結合抗体で不成功裏に治療されたことがある、上記項1~15のいずれか一項に記載の使用。
[項17]
前記チェックポイント阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤である、上記項15又は16に記載の使用。
[項18]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1に結合する抗体又はその断片である、上記項1~17のいずれか一項に記載の使用。
[項19]
個体のがんを治療するための、PD-1、PDL-1又はPDL-2シグナル伝達阻害剤と組み合わせた、白血病抑制因子(LIF)結合抗体の使用であって、前記LIF結合抗体が、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含む、使用。
[項20]
前記LIF結合抗体と、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で前記個体に投与される、上記項19に記載の使用。
[項21]
前記LIF結合抗体と、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で前記個体に投与される、上記項19に記載の使用。
[項22]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が個体に投与される前に、前記LIF結合抗体が個体に投与される、上記項19又は20に記載の使用。
[項23]
前記LIF結合抗体が前記個体に投与される前に、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される、上記項19又は20に記載の使用。
[項24]
前記LIF結合抗体が前記個体に投与されるのと同時に、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される、上記項19~21のいずれか一項に記載の使用。
[項25]
前記LIF結合抗体がヒト化されている、上記項19~24のいずれか一項に記載の使用。
[項26]
前記VH配列が、配列番42に記載されるアミノ酸配列と同一であり、前記VL配列が、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である、上記項19~25のいずれか一項に記載の使用。
[項27]
前記がんが、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、膵管腺がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、非小細胞肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む、上記項19~26のいずれか一項に記載の使用。
[項28]
前記がんが、非小細胞肺がんを含む、上記項27に記載の使用。
[項29]
前記がんが、膵管腺がんを含む、上記項27に記載の使用。
[項30]
前記がんが、以前にチェックポイント阻害剤で不成功裏に治療されたことがある、上記項19~29のいずれか一項に記載の使用。
[項31]
前記がんが、以前にLIF結合抗体で不成功裏に治療されたことがある、上記項19~30のいずれか一項に記載の使用。
[項32]
前記チェックポイント阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤である、上記項30又は31に記載の使用。
[項33]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1に結合する抗体又はその断片である、上記項19~32のいずれか一項に記載の使用。
[項34]
がんを有する個体に、
a)i.配列番号1~3のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
ii.配列番号4又は5のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
iii.配列番号6~8のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);
iv.配列番号9又は10のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
v.配列番号11又は12のいずれか1つに記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
vi.配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;
b)PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤と
の組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法。
[項35]
前記LIF結合抗体が、
a)配列番号1に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
b)配列番号4に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
c)配列番号6に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);
d)配列番号9に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
e)配列番号11に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)
を含む、上記項34に記載の方法。
[項36]
前記LIF結合抗体が、
a)配列番号3に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域1(VH-CDR1);
b)配列番号5に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域2(VH-CDR2);
c)配列番号7に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖相補性決定領域3(VH-CDR3);
d)配列番号10に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域1(VL-CDR1);
e)配列番号12に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域2(VL-CDR2);及び
f)配列番号13に記載されるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン軽鎖相補性決定領域3(VL-CDR3)
を含む、上記項34に記載の方法。
[項37]
前記LIF結合抗体と、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で前記個体に投与される、上記項34~36のいずれか一項に記載の方法。
[項38]
前記LIF結合抗体と、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で前記個体に投与される、上記項34~36のいずれか一項に記載の方法。
[項39]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される前に、前記LIF結合抗体が前記個体に投与される、上記項34~37のいずれか一項に記載の方法。
[項40]
前記LIF結合抗体が前記個体に投与される前に、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される、上記項34~37のいずれか一項に記載の方法。
[項41]
前記LIF結合抗体が前記個体に投与されるのと同時に、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される、上記項34~37のいずれか一項に記載の方法。
[項42]
前記LIF結合抗体がヒト化されている、上記項34~41のいずれか一項に記載の方法。
[項43]
前記LIF結合抗体が、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)と、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)とを含む、上記項34~42のいずれか一項に記載の方法。
[項44]
前記VH配列が、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり、前記VL配列が、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である、上記項43に記載の方法。
[項45]
前記がんが、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、膵管腺がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、非小細胞肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む、上記項34~44のいずれか一項に記載の方法。
[項46]
前記がんが、非小細胞肺がんを含む、上記項45に記載の方法。
[項47]
前記がんが、膵管腺がんを含む、上記項45に記載の方法。
[項48]
前記がんが、以前にチェックポイント阻害剤で不成功裏に治療されたことがある、上記項34~45のいずれか一項に記載の方法。
[項49]
前記がんが、以前にLIF結合抗体で不成功裏に治療されたことがある、上記項34~45のいずれか一項に記載の方法。
[項50]
前記チェックポイント阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤である、上記項48又は49に記載の方法。
[項51]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1に結合する抗体又はその断片である、上記項34~50のいずれか一項に記載の方法。
[項52]
前記抗体が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む、上記項51に記載の方法。
[項53]
前記抗体が、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する、上記項51に記載の方法。
[項54]
前記抗体が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む、上記項53に記載の方法。
[項55]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む、上記項34~50のいずれか一項に記載の方法。
[項56]
前記Fc融合タンパク質が、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む、上記項55に記載の方法。
[項57]
前記PD-1、PDL1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む、上記項34~50のいずれか一項に記載の方法。
[項58]
PD-1、PDL-1、又はPDL-2を通じたシグナル伝達の前記小分子阻害剤が、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体の1つ又は複数(on or more)を含む、上記項57に記載の方法。
[項59]
がんを有する個体に、
a)i.配列番号42に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、免疫グロブリン重鎖可変領域(VH);及び
ii.配列番号46に記載されるアミノ酸配列と少なくとも約90%同一である、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)を含む、白血病抑制因子(LIF)と特異的に結合する抗体(of an)と;
b)PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤と
の組み合わせの有効量を投与するステップを含む、がんを有する個体を治療する方法。
[項60]
前記VH配列が、配列番号42に記載されるアミノ酸配列と同一であり、前記VL配列が、配列番号46に記載されるアミノ酸配列と同一である、上記項59に記載の方法。
[項61]
前記LIF結合抗体と、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、別個の製剤中で前記個体に投与される、上記項59又は60に記載の方法。
[項62]
前記LIF結合抗体と、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤とが、同一製剤中で前記個体に投与される、上記項59又は60に記載の方法。
[項63]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される前に、前記LIF結合抗体が前記個体に投与される、上記項59~61のいずれか一項に記載の方法。
[項64]
前記LIF結合抗体が前記個体に投与される前に、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される、上記項59~61のいずれか一項に記載の方法。
[項65]
前記LIF結合抗体が前記個体に投与されるのと同時に、前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が前記個体に投与される、上記項59~61のいずれか一項に記載の方法。
[項66]
前記LIF結合抗体がヒト化されている、上記項59~65のいずれか一項に記載の方法。
[項67]
前記がんが、進行性固形腫瘍、神経膠芽腫、胃がん、皮膚がん、前立腺がん、膵臓がん、膵管腺がん、乳がん、精巣がん、甲状腺がん、頭頸部がん、肝臓がん、腎臓がん、食道がん、卵巣がん、結腸がん、肺がん、非小細胞肺がん、リンパ腫、軟部組織がん、又はそれらの任意の組み合わせを含む、上記項59~66のいずれか一項に記載の方法。
[項68]
前記がんが、非小細胞肺がんを含む、上記項67に記載の方法。
[項69]
前記がんが、膵管腺がんを含む、上記項67に記載の方法。
[項70]
前記がんが、以前にチェックポイント阻害剤で不成功裏に治療されたことがある、上記項59~69のいずれか一項に記載の方法。
[項71]
前記がんが、以前にLIF結合抗体で不成功裏に治療されたことがある、上記項59~69のいずれか一項に記載の方法。
[項72]
前記チェックポイント阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤である、上記項70又は71に記載の方法。
[項73]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1に結合する抗体又はその断片である、上記項59~72のいずれか一項に記載の方法。
[項74]
前記抗体が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む、上記項73に記載の方法。
[項75]
前記抗体が、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する、上記項73に記載の方法。
[項76]
前記抗体が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む、上記項75に記載の方法。
[項77]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む、上記項59~72のいずれか一項に記載の方法。
[項78]
前記Fc融合タンパク質が、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む、上記項77に記載の方法。
[項79]
前記PD-1、PDL1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む、上記項59~72のいずれか一項に記載の方法。
[項80]
PD-1、PDL-1、又はPDL-2を通じたシグナル伝達の前記小分子阻害剤が、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体の1つ又は複数を含む、上記項79に記載の方法。
[項81]
前記抗体が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む、上記項18に記載の使用。
[項82]
前記抗体が、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する、上記項18に記載の使用。
[項83]
前記抗体が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む、上記項82に記載の使用。
[項84]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む、上記項1~17のいずれか1つの使用。
[項85]
前記Fc融合タンパク質が、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む、上記項84に記載の使用。
[項86]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む、上記項1~17のいずれか一項に記載の使用。
[項87]
PD-1、PDL-1、又はPDL-2を通じたシグナル伝達の前記小分子阻害剤が、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-yl)メトキシ]ピリジン-3-yl}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-yl)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-yl)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-yl)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体の1つ又は複数を含む、上記項86に記載の使用。
[項88]
前記抗体が、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、AMP-514、チスレリズマブ、スパルタリズマブ、又はそのPD-1結合断片を含む、上記項33に記載の使用。
[項89]
前記抗体が、PDL-1又はPDL-2と特異的に結合する、上記項33に記載の使用。
[項90]
前記抗体が、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、BMS-936559、又はFAZ053、又はそのPDL-1又はPDL-2結合断片を含む、上記項89に記載の使用。
[項91]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2に結合するFc融合タンパク質を含む、上記項19~32のいずれか1つの使用。
[項92]
前記Fc融合タンパク質が、AMP-224又はそのPD-1結合断片を含む、上記項91に記載の使用。
[項93]
前記PD-1、PDL-1、又はPDL-2シグナル伝達阻害剤が、PD-1、PDL-1、又はPDL-2の小分子阻害剤を含む、上記項19~32のいずれか一項に記載の使用。
[項94]
PD-1、PDL-1、又はPDL-2を通じたシグナル伝達の前記小分子阻害剤が、N-{2-[({2-メトキシ-6-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]ピリジン-3-イル}メチル)アミノ]エチル}アセトアミド(BMS202);(2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)-5-メチルベンジル)-D-セリン塩酸塩;(2R,4R)-1-(5-クロロ-2-((3-シアノベンジル)オキシ)-4-((3-(2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ダイオキシン-6-イル)-2-メチルベンジル)オキシ)ベンジル)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボン酸;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニルインドール;3-(4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-1-フェニル-1h-インドール;L-α-グルタミン、N2,N6-ビス(L-セリル-L-アスパラギニル-L-スレオニル-L-セリル-L-α-グルタミル-L-セリル-L-フェニルアラニル)-L-リシル-L-フェニルアラニル-L-アルギニル-L-バリル-L-スレオニル-L-グルタミニル-L-ロイシル-L-アラニル-L-プロリル-L-リシル-L-アラニル-L-グルタミニル-L-イソロイシル-L-リシル;(2S)-1-[[2,6-ジメトキシ-4-[(2-メチル[1,1’-ビフェニル]-3-イル)メトキシ]フェニル]メチル]-2-ピペリジンカルボン酸;グリシンアミド、N-(2-メルカプトアセチル)-L-フェニルアラニル-N-メチル-L-アラニル-L-アスパラギニル-L-プロリル-L-ヒスチジル-L-ロイシル-N-メチルグリシル-L-トリプトフィル-L-セリル-L-トリプトフィル-N-メチル-L-ノルロイシル-N-メチル-L-ノルロイシル-L-アルギニル-L-システイニル-、環式(1→14)-チオエーテル;又はそれらの誘導体又は類似体の1つ又は複数を含む、上記項93に記載の使用。
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され説明されているが、このような実施形態は単なる例示として提供されることは、当業者には明らかであろう。本発明から逸脱することなく、当業者には、多数のバリエーション、変更、及び置き換えが可能である。本明細書に記載された本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明の実施において用いられてもよいものと理解すべきである。
【0236】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、発行済み特許、及びその他の文書は、あたかも個々の刊行物、特許出願、発行済み特許、又はその他の文書が、その全体が参照により援用されることが具体的且つ個別に示されているかのように、参照により本明細書に援用される。参照により援用されたテキストに含まれる定義は、本開示の定義と矛盾する範囲で除外される。
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【配列表】