(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】逆U字型マストを備える帆船
(51)【国際特許分類】
B63H 9/067 20200101AFI20240122BHJP
B63B 15/00 20060101ALI20240122BHJP
B63B 15/02 20060101ALI20240122BHJP
B63H 9/04 20200101ALI20240122BHJP
B63H 9/06 20200101ALI20240122BHJP
B63H 9/08 20060101ALI20240122BHJP
B63H 9/061 20200101ALI20240122BHJP
【FI】
B63H9/06 A
B63B15/00 A
B63B15/02 A
B63H9/04
B63H9/06 Z
B63H9/08
B63H9/061
(21)【出願番号】P 2021505258
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(86)【国際出願番号】 IB2019056633
(87)【国際公開番号】W WO2020031053
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】102018000008059
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518343338
【氏名又は名称】ストランバ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ミングッチ,ダニエレ
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/178913(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0178985(US,A1)
【文献】特表2012-519629(JP,A)
【文献】米国特許第4388888(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 9/04
B63B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の中で前進方向
(X)を定義するように成形された少なくとも1つのハル(2)と、前記ハルに固定された少なくとも1つのマスト(15)を備える少なくとも1つのリグ(5)と、前記マストによって支持される少なくとも1つのメインセイル(10)とを備える帆船であって、
前記マストは少なくとも1つの第1の部(30)及び第2の部(32)を備え、前記第1の部(30)及び前記第2の部(32)は、前記ハルに対して上向きに突出し、2つの相互的な鏡面的及び交互に変わる動作位置で前記メインセイルを支持するために前記前進方向に対して直角方向に相互に対面して配置され、前記第1の部(30)及び前記第2の部(32)は、前記第1の部(30)及び前記第2の部(32)の上部に設置され
る少なくとも1つの横転部(34)によって、相互に接続され及び相互から離され、
前記メインセイルの一方の鏡面的位置から他方の鏡面的位置までの移行を可能にし、前記マストの3つの部は、この目的のために、実質的に前記マストの延在長さ全体に沿って延在する前記メインセイルのための第1の摺動ガイド(35)を画定し、
前記メインセイル(10)は、摺動ガイドの経路に適応するように及び下げるために変形可能である帆であり、動作位置で、前記メインセイル(10)は垂直方向に広い延在部を有し、
前記メインセイルは主縁(70)を有し、前記主縁(70)は、前記マスト(15)に近接し、摺動経路に、前記主縁(70)の全体長さにわたって摺動可能に固定されており、
前記メインセイル(10)は、前記動作位置で、全体的に前記マスト(15)に対して船尾に設置され、
前記マストは第2の摺動ガイド(45,145)を備え、前記第2の摺動ガイド(45,145)は、実質的に前記マストの上部に位置付けられ、前記横転部(34)に対して船尾に設置され、垂直方向に下から
メインセイルを支持し、前記横転部(34)の移動中に前記メインセイル(10)に対して摺動可能であることを特徴とする、帆船。
【請求項2】
前記第2の摺動ガイド
は、前記メインセイルに対する拘束手段がないことを特徴とする、請求項1に記載の帆船。
【請求項3】
前記メインセイル(10)は、
主縁(70)がある実質的に台形または長方形であり、前記台形または前記長方形は、前記動作位置で、実質的に水平な対称面(O)に対して対称であることを特徴とする、請求項1または2に記載の帆船。
【請求項4】
前記メインセイルは、好ましくは翼弦に沿って非対称のキャンバーを伴う翼状部の厚みがあることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の帆船。
【請求項5】
前記第2の摺動ガイド(45,145)は、少なくとも、前記横転部(34)に対して船尾に向かって水平方向における一定の距離点に前記メインセイル(10)を支持することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の帆船。
【請求項6】
前記メインセイルは、摺動方向(S)に相互に連続して配置される前記メインセイルの複数の補強要素(25,12
5)を含み、前記摺動経路への前記適応を可能にする変形ゾーン(22)が交互に並ぶことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の帆船。
【請求項7】
補強要素
は、前記メインセイル(10)に結合される補強スティック(25,125)であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の帆船。
【請求項8】
連続する前記補強要素の距離と前記第2の摺動ガイド(45)の延在距離との比率は、前記横転部(34)の移動中に、隣接する前記補強要素(25,125,325)の各対の少なくとも1つが第2の
摺動ガイドによって支持される割合によって決まることを特徴とする、請求項6または7に記載の帆船。
【請求項9】
前記第2の摺動ガイド(45,145)は、前記メインセイル(10)を前記前進方向(X)に実質的に平行に
配置した状態に維持するように、前記メインセイル(10)を支持することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の帆船。
【請求項10】
前記メインセイル(10)は、例えば、前記メインセイルが前記動作位置にあるとき、前記マストの垂直な対称面(P)に向かって及び前記垂直な対称面(P)から離れて移動可能な自由遠位縁(71)を有し、前記第2の摺動ガイド(45,145)は、前記メインセイルが前記第1の
摺動ガイドの前記横転部(34)から移動するとき、前記
自由遠位縁(71)の下向きの移動を制限することを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の帆船。
【請求項11】
前記動作
位置では、前記メインセイルは前記第2の摺動ガイドに設置されるいずれの部を有さない、また
は、前記メインセイルは前記第2の摺動ガイドに設置される上部だけを有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の帆船。
【請求項12】
前記横転部(34)は、前記マストの
3つの部の前記上部に実質的に連続的に接合される第1の凹線に沿って下向きに延在し、前記第2の摺動ガイドは、実質的に、前記マストの前記第1の部及び前記第2の部の上部が起点となる第2の凹線(45)に沿って下向きに延在し、
その上部と横転部(34)の上部が離れていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の帆船。
【請求項13】
前記第2の摺動ガイドは、前記マストの前記第1の部と前記第2の部との間で、前記横転部から船尾に突出する少なくとも1つのロッド(145)を備えることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の帆船。
【請求項14】
前記メインセイルでは、前記第1の摺動ガイドはレールを備え、前記メインセイル(10)の
主縁(70)は、前記レールに摺動可能に結合される複数のキャリッジ(40)を使って前記マストに摺動可能に固定され、前記キャリッジはそれぞれ前記レール(35)に対する摺動点と、前記
主縁(70)に対する結合点(41)とを含み、各前記キャリッジは、前記メインセイルが前記マストに対する傾きを変更することを可能にする少なくとも1つの連結点(42)を含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の帆船。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の少なくとも1つのマスト(15)及びメインセイル(5)を備えるためのボート用のメインセイル。
【請求項16】
請求項1~14のいずれか1項に記載の少なくとも1つのマスト(15)を備えるボート用のマスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帆船、関連リグ、及び関連マストに関する。帆は、例えば、下げるために屈曲することが可能である、風を捕らえる任意のデバイスを意味する。したがって、非限定例によって、帆は、翼の厚みがある帆を含むカンバス等から作られた任意の帆を備える。本発明は、特に、メインセイル(すなわち、ボートの主要部または帆だけ)を艤装するために使用するように適応する。
【背景技術】
【0002】
帆船の分野では、「バミューダ」リグの使用は、特に普及しており、シートによってさらに制御されたブームによって調整されたマストの高さ全体及び基部にわたってロープを使って帆に固定されたマストの船尾の帆を特徴とする。
【0003】
性能を改善しボートの使用を容易にする目的のために、新しいリグが常に提案されている。
【0004】
競争の激しい分野における最も重要な試みの1つは、剛体翼を伴う帆の交換である。剛体翼は航空機の翼と実質的に同様であり、すなわち、剛体翼は帆とは異なる。この理由として、一般的なカンバス等の柔らかいシートから作られる代わりに、剛体翼は固体の空気力学的プロファイルを形成する形状の厚みを有するためである。
【0005】
この性能は帆よりも良いが、この解決策では、注意すべき不利点が提示される。
【0006】
まず、このリグの重量は、帆を伴うリグよりもかなり大きくなる。この理由として、このリグでは、剛体翼を備えるだけではなく、マストも備え、マストを制御するのに十分な力を要する関連の操縦も必要となるためである。下げる等の特定動作は不可能である、またはより複雑になる。これらの理由のために、係る翼の制御は、専門家に見合されており、プレジャーボートで実現可能ではない。最後に、特に、かなり高コストになる。
【0007】
過去に出願された国際特許出願の国際公開第2017/178913号の出願人は、帆を鏡面的な横転をするための逆U字型マストを伴うリグを提案していた。この解決策は非対称の翼の厚みがあるメインセイルの使用、ひいては、場合によって、より高い性能を可能にするが、風に対する高度な感度についての固有の問題があり、特に、操縦ステップ中に制御不能の可能性がある。
【0008】
特許文献では、具体的には、カニばさみ状ブームの存在により制御し易いが低性能であるバミューダ帆よりも大三角帆とより同様の種類の帆を伴う異なる種類のU字型リグを対象とする提案を発見できる。この例は、特許文献の仏国特許出願公開第2825341号明細書、独国特許出願公開第102004012760号明細書、仏国特許発明第2068031号明細書で説明され、これらの特許文献では、ハリヤード点が帆を横転することなく、帆の傾きを容易に変えるために実質的に水平に動く、横木から「吊るしている」帆が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2017/178913号
【文献】仏国特許出願公開第2825341号明細書
【文献】独国特許出願公開第102004012760号明細書
【文献】仏国特許発明第2068031号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、先行技術の問題の全てまたは一部を克服することであり、具体的には、翼及びバミューダリグの性能を活用することである。
【0011】
本発明の好ましい目的は、バミューダセイル、大三角帆、及び剛体翼を伴う現在のリグよりも高い性能があり及び/または操縦するのがより容易で、生成するのが容易で安いである、風力推進システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の全体的態様に従って、本発明は帆船に関し、帆船は、水(X)の中で前進方向を定義するように成形された少なくとも1つのハル(2)と、ハルに固定された少なくとも1つのマスト(15)備える少なくとも1つのリグ(5)と、マストによって支持される少なくとも1つのメインセイル(10)とを備え、
マストは少なくとも1つの第1の部(30)及び第2の部(32)を備え、第1の部(30)及び第2の部(32)は、ハルに対して上向きに突出し、2つの相互的な鏡面的及び交互に変わる動作位置でメインセイルを支持するために前進方向に対して直角方向に相互に対面して配置され、第1の部(30)及び第2の部(32)は、第1の部(30)及び第2の部(32)の上部に設置されるメインセイルの少なくとも1つの横転部(34)によって、相互に接続され及び相互から離され、一方の鏡面的位置から他方の鏡面的位置までの移行を可能にし、マストの3つの部は、この目的のために、実質的にマストの延在長さ全体に沿って延在するメインセイルのための第1の摺動ガイド(35)を画定し、
メインセイル(10)は、摺動ガイドの経路に適応するように及び下げるために変形可能である帆であり、動作位置で、メインセイル(10)は垂直方向に広い延在部を有し、
メインセイルは主縁(70)を有し、主縁(70)は、マスト(15)に近接し、摺動経路に、主縁(70)の全体長さにわたって摺動可能に固定されており、
メインセイル(10)は、動作位置で、全体的にマスト(15)に対して船尾に設置され、
マストは第2の摺動ガイド(45,145)を備え、第2の摺動ガイド(45,145)は、実質的にマストの上部に位置付けられ、横転部(34)に対して船尾に設置され、垂直方向に下から支持物を画定し、横転部(34)の移動中にメインセイル(10)に対して摺動可能であることを特徴とする。
【0013】
これは、針路を変更させるために必要な横転中に、ピッチメインセイルの下向きの縦揺れを防止する利点をもたらす。また、これは、高い高さで、風力がより強くなるように横転の制限がないような、より高いマストの作成を可能にし、したがって、性能に関する利点をもたらす。より一般的には、提案されたリグは、また、翼の厚みがあるメインセイルを管理及び「収容」し、針路変更が行われる横転による帆の反転により、翼弦に沿っていずれかの非対称のキャンバーの活用を最適化することが可能である。この可能性は、カニばさみ状ブームを伴う大三角帆によってなくなる。
【0014】
本発明のいくつかの好ましい実施形態に従って、第2の摺動ガイドは、静止接触だけによって相互作用するメインセイルに対する拘束手段がない。
【0015】
好ましくは、メインセイルはカンバス等から作られる。
【0016】
好ましくは、マストは二脚形状及び逆U字型であり、好ましくは、第1の部及び第2の部は実質的に直線である。
【0017】
いくつかの好ましい実施形態に従って、メインセイルは、近位縁を形成するように配置される主要基部の側がある実質的に台形または長方形であり、台形または長方形は、動作位置で、実質的に水平な対称面に対して対称である。
【0018】
いくつかの好ましい実施形態に従って、メインセイルは、好ましくは翼弦に沿って非対称のキャンバーを伴う翼の厚みがある。
【0019】
いくつかの好ましい実施形態に従って、第2の摺動ガイドは、少なくとも、第1の摺動ガイドに対して水平方向における一定の距離点にメインセイルを支持する。好ましくは、当該支持点は、メインセイルの少なくとも1つの補強要素が存在する点である。
【0020】
本発明の全体的な好ましい特徴に従って、メインセイルは、摺動方向に相互に連続して配置されるメインセイルの複数の補強要素を含み、摺動経路へのメインセイルの適応を可能にする当該表面の屈曲ゾーンが交互にある。
【0021】
補強要素は、メインセイルの全長に沿って、すなわち、反対側の自由縁においてマストに拘束されたメインセイルの縁から延在するのが好ましい。
【0022】
補強要素は、係る2つの端を接続するために真っ直ぐな主要延在線を有し、例えば、スティックである。
【0023】
好ましくは、補強要素は、主に、実質的に水平方向に延在する。
【0024】
本発明のいくつかの好ましい実施形態に従って、補強要素は、第2の摺動ガイド(45)と直接接触することが好ましいメインセイル(10)に結合されるスティックである。
【0025】
本発明のいくつかの好ましい実施形態に従って、連続する補強要素の距離と第2の摺動ガイドの延在距離との比率は、接続部の移動中に、隣接する補強要素の各対の少なくとも1つが第2のガイドによって支持される割合によって決まる。
【0026】
これは、実質的に、接続部34に対面する弧等の第2のガイドを成形し、弧の長さよりも短く補強要素の間の距離を作ることによって実現することに特に役立つ。
【0027】
本発明のいくつかの好ましい実施形態に従って、第2の摺動ガイドは、係る表面を前進方向に実質的に平行に配置することを維持する。
【0028】
本発明のいくつかの好ましい実施形態に従って、メインセイルは、例えば、メインセイルが動作位置にあるとき、マストの垂直な対称面(P)の平面に向かって及び垂直な対称面(P)から離れて移動可能な自由遠位縁(71)を有し、第2の摺動ガイド(45,145)は、メインセイルが第1のガイドの横転部(34)から移動するとき、第2の縁部(71)の下向きの移動を制限する。
【0029】
本発明のいくつかの好ましい実施形態に従って、動作構成では、メインセイルは第2の摺動ガイドに設置されるいずれの部を有さない、またはたいてい、メインセイルは第2の摺動ガイドに設置される上部だけを有する。例えば、マストから船尾を見ている観測者にとって、第2のガイドはマストの第1の部と第2の部との間の接続部で延在し、マストの第1の部及び第2の部になく、またはたいてい、通常、第1の部及び第2の部の上部に存在し、メインセイルは、マストの第1の部または第2の部の長さ以下である垂直方向に延在部を有するのが好ましい。
【0030】
好ましい特徴に従って、マストの第1の部及び第2の部は実質的に直線である。
【0031】
本発明のいくつかの好ましい実施形態に従って、接続部は、マストの部の上部に実質的に連続的に接合される第1の凹線に沿って下向きに延在し、第2の摺動ガイドは、実質的に、マストの第1の部及び第2の部の上部が起点となる第2の凹線に沿って下向きに延在し、水平方向において、第2の摺動ガイドに実質的に対面しているままの接続部から離れている。
【0032】
マストの部の上部は、例えば、概して、接続部に接合するための湾曲がある点において識別できる。マストの第1の部及び第2の部が直線または実質的に直線であるかは、すぐに明らかに分かる。
【0033】
他の場合、上部は、実質的に、メインセイルが動作構成にあるときに、メインセイルが停止する点であり得る。
【0034】
本発明のいくつかの好ましい実施形態に従って、第2の摺動ガイドは、マストの第1の部と第2の部との間で、接続部から船尾に突出する少なくとも1つのロッドを備える。
【0035】
特に、相乗的な好ましい特徴のセットに従って、メインセイルでは、第1の摺動ガイドはレールを備え、メインセイル(10)の近位縁(70)は、当該レールに摺動可能に結合される複数のキャリッジ(40)を使ってマストに摺動可能に固定され、キャリッジはそれぞれレール(35)に対する摺動点と、当該近位縁に対する結合点(41)とを含み、各キャリッジは、メインセイルがマストに対する傾きを変更することを可能にする少なくとも1つの連結点(42)を含む。メインセイルは、当該結合点でキャリッジに接続される複数の補強要素を含むのが好ましい。
【0036】
本発明の第2の態様に従って、本発明は、上記に説明した種類の少なくとも1つのマスト及びメインセイルを備えるボートのためのリグに関する。
【0037】
本発明の第3の態様に従って、本発明は、上記に示した種類の航海手段のためのマストに関する。
【0038】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付図を参照して、暗示的な例及び非限定例によって提供される本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1a】ボートの全体構造を強調するための本発明に従った、ボードを概略的に表す。
【
図1】メインセイルがボートを推進させるために第1の動作位置にある、
図1aのボートを概略的に表す。
【
図2】第1の動作位置に鏡面的な第2の動作位置に移行した構成の
図1aのボートを概略的に表す。
【
図3】
図1の平面IIIによる、ボートのマストの一部を概略的に表す。
【
図3a】前述の図のマストの第2の摺動ガイドの拡大表示の詳細図を表す。
【
図6】前述の図で採用した帆に関する帆の代替の実施形態を示す。
【
図7】概して、本発明に従った、帆に対するいずれかの翼の適用性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1a及び
図1を参照すると、風力推進ボートが示され、参照符号1で全体的に示される。ボート1はハル2及びリグ5を備え、さらに、帆10(以下に、メインセイルとも称される)と、マスト15(ハル上でメインセイルを支持する)とを備える。
【0041】
ハル2はいずれかの種類であり得、さらに場合により、多胴船(例えば、双胴船または三胴船等)であり得、ハルの形状で、矢印Xによって示される前進方向を識別し、同様に、係る方向に平行な対称面Pを識別する。
【0042】
マスト15はハルから上向きに突出する第1の部30及び第2の部32を有し、好ましくは、第1の部30及び第2の部32は実質的に直線であり、相互に鏡面的な2つの各々の動作中の推進位置でメインセイルを支持する機能がある。第3の部34は第1の部及び第2の部の上部に接合し、連続的に延在方向にマスト全体を形成する形状である。係る部は、針路変更において一方の動作構成から他の動作構成に移行するためのメインセイル10の横転部34の機能がある。
【0043】
好ましくは、マストの形状は二脚の逆「U」字である。
【0044】
全体的な好ましい特徴に従って、マストは、例えば、ハル2の全てまたはほとんどを抱持するように、第1の部30と第2の部32との間で一定距離を有する。係る特徴は、ボードでの居住可能性を増加させるように利点がある。しかしながら、また様々な場合が想定され、これは、特に、レース中、例えば、風捕獲面として、平面Pに対面する面の反対側に対面する面として採用されることが決定される場合に断念する可能性がある。したがって、この場合、マストによって画定される分岐点の開口部は、また、非常に狭い可能性がある。
【0045】
動作位置のメインセイル10は主要垂直延在部を有し、実質的に台形または長方形を有し、主要基部70は、主要基部70の長さ全体に沿ってマストに摺動可能に固定されている。メインセイルは、2つの鏡面的な動作位置の間で横転することが可能であるように、実質的に水平面Oに対して対称である。メインセイル10は、動作位置で、全体的にマスト15に対して船尾に設置される。
【0046】
メインセイルはブームがないが、下記に確認できるように、メインセイルに分配された複数の補強スティック25があるのが好ましい。
【0047】
マスト15は、第1のガイド35自体の延在線に沿って、好ましくは延在線「全体」に沿って、メインセイル10を摺動可能に誘導するための第1のガイド35を備える。第1のガイド35は3つの部30,32,34のそれぞれに存在し、3つの部30,32,34の間の通路で連続し、これにより、メインセイルは、対称面Pに対して2つの鏡面的動作位置の間で摺動することによって横転できる。
図2の線Sは摺動方向を示す。動作構成はメインセイルが第1の部30または第2の部32によって支持される構成である一方(
図1)、動作構成のうちの横転構成は、デバイスが横転部34に移動する構成である(
図2)。
【0048】
図3の部は、マスト15の内側でチャネルの形態で作成した摺動ガイド35の例を示す。マストはU字型の折り畳み外形であるのが好ましく、これにより、チャネル35はチャネル35の延在線全体に沿って進む。他の例では、ガイドがマストの外側に、例えば、突起であることが除外されていない。
【0049】
概して、メインセイルが、
図3に見える複数の結合キャリッジ40を使ってマスト15によって支持されるのが好ましい。キャリッジには、レールとして働くガイド35によって摺動可能に保持される1つ以上のホイールが設けられている。示される例では、レールは内部にあり、キャリッジはレールに挿入されるが、レールを抱持するために設置されているキャリッジを伴う外部レール(例えば、T字型)等の他の解決策を除外しない。
【0050】
キャリッジ40は、マストとメインセイルの近位縁70との間で既定の接合点41を提供し、好ましくは、また、マスト及び近位縁70の分離を可能にする。接合点41は摺動方向Sに相互に連続して設置され、1つの接合点と他の接合点との間に、メインセイル10の少なくとも1つの屈曲ゾーン22がある。例えば、キャリッジ40のそれぞれは、補強要素25に接続される。
【0051】
また、キャリッジ40は1つ以上のロープ99(
図1に見える)のための結合点として働くことができ、そのロープは、メインセイル10を揚げる、下げる、及び/または横転するためのハリヤードとしても既知であり、例えば、係るロープは、マスト(例えば、第1のガイド35)の中を通ることができ、これにより、ロープは、また、具体的には、全ての3つの部30、32、及び34のマスト15の延在線に沿って直接または間接的に誘導される。
【0052】
メインセイル10は、上記に説明した横転により、風20を捕らえるために使用されるに少なくとも1つの表面を含み、常に、マストによって可能になる2つの鏡面的動作構成のそれぞれで、同じ状態のままである。
【0053】
メインセイル10は、概して、屈曲することが可能であり、具体的には、メインセイル10は摺動方向Sに交互に屈曲ゾーン22及び剛体ゾーン24を含み、剛体ゾーン24は補強要素25を含む。したがって、捕獲デバイスは、第1の摺動ガイド35の外形に続くように、屈曲により変形することが可能である。
【0054】
補強要素25は、反対側の自由縁71においてマストに接続されるメインセイルの縁70から延在するのが好ましい。補強要素25は、実質的に水平配列を有し、相互に実質的に平行であるのが好ましい。
【0055】
図1及び
図2の例では、メインセイル10はカンバス等から作られた帆であり、風20を捕らえるために使用される表面は、対称面Pに向かって逆の面である。補強要素25は、例えば、風捕獲面の外部で、帆20に利用されるスティックであり、屈曲ゾーン22は、一方のスティック24と別のスティック24との間でカンバス等から作られたゾーンである。
【0056】
概して、マスト15は、接合部34において、メインセイルのための第2の経路または摺動誘導点を画定する第2のガイド45を備える。第2のガイド45は、第1のガイド35に対して水平方向に及び船尾に離れており、概して、第1のガイド35に対面する経路または摺動点を画定する。
【0057】
概して、第2の摺動ガイド45はメインセイル10のための支持物であるのが好ましく、メインセイル10は、好ましくは結合制約がなく、接合部34における移行構成において、第2の摺動ガイド45の上にある。
【0058】
図1及び
図2の例では、第2の摺動ガイド45は、マストの第1の部30及び第2の部32の上部に固定されたメインセイルを支持するための支持弧であり、第2の摺動ガイド45は、第1の部30及び第2の部32から、船尾方向に接合部34から離れて上向きに突出する。概して、第2の摺動ガイド45には、随意に、ホイールまたは摺動ローラ46を設けることができる。
【0059】
概して、第2のガイド45に対する摩擦によるメインセイルの摩耗は、第2のガイド45と風捕獲面20との間にスティックを介在させることによって制限できる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態及び変形は下記に示され、上記に説明した要素と同じ要素または同様の要素は、同じ参照符号で、または同様の要素に100以上の数字が加えられた符号で示される。
【0061】
図4及び
図5では、参照符号101によって、全体的に示される本発明のボートの代替の実施形態を示し、第2の摺動ガイド145の形状について、実質的に、
図1及び
図2のボート1と異なる。
【0062】
第2の摺動ガイド145は、接合部34から船尾に突出するロッド145を備える。ロッドは、後部により近い自由端148において、接合部34を伴う1つの接続端147から好ましくは実質的に水平に延在する。ロッドは、1つ以上の支持物(例えば、マスト15を支持するための1つ以上のさらなるロッド149)を備えるのが好ましい。
【0063】
第2のガイド145は、例えば、第1のガイドの延在方向に沿って連続して相互に平行に配置される、説明したロッド等の2つ以上のロッドを備えることが除外されない。相互から異なる高さに配置される3つのロッドがある例は、
図8及び
図9に示され、参照符号201で全体的に示される。
【0064】
図6はメインセイル110の代替の実施形態を示し、メインセイル110は、フォークのように成形された複数の補強スティック125によって翼を形成するように折り畳まれたままのカンバス等から作られた帆である事実により、
図1及び
図2のメインセイル10と異なる。
【0065】
図7は、概して、本発明に従った、メインセイルに対するいずれかの翼の適用性を示す。翼は翼弦に沿って非対称のキャンバーを有するのが好ましく、具体的には、翼は凹側及び凸側を有するのが好ましく、風捕獲面220は凹側であることが観察される。図では、帆の翼部の厚さの非対称分布が示され、翼弦に関する2つの中央厚さを強調し、キャンバー1及びキャンバー2によってその厚さを示す。
【0066】
これは、必然的に、翼がないまたは対称翼を伴う帆を除外するわけではない。
【0067】
使用中、メインセイル10は、通常、メインセイル10がマストの第1の部30または第2の部32で支持される動作構成の1つで設置される。係る位置では、風20を捕らえる表面は対称面Pに向かって逆になり、風20に対する表面の傾きは、風との所望の相互作用を達成するために修正できる。
【0068】
係る面と相互作用する風は、ボートの推進スラストを発生させる。
【0069】
風を受けるボートの側を変更する必要がある場合(これは、方向転換または上手回し(ジャイブとしても既知である)等をする場合の針路変更として知られている)、メインセイル横転操縦を行う。メインセイルは、第1の摺動ガイド35に沿って摺動して設置される。マストの接合部34における移動中、マストは、マスト自体の重量または風の突風の影響により、再度落ちることを防止するために、第2の摺動ガイド45,145によって支持される。このように、風を捕らえる表面は、バミューダ帆とは異なり、最適化した非対称キャンバーを使用することを可能にする利点をもたらすように、全ての構成で同じままである。
【0070】
概して、提案した図面は、ボートの内側に設置される捕らえるために使用される表面(すなわち、平面Pに対面する面)を有することが観察される。しかしながら、特にレース中に、平面Pに対してメインセイル10の反対側の風捕獲面による解決策を完全に仮定することが可能である。第1の考察から、この解決策がより高い性能をもたらすことが分かる。
【0071】
また、メインセイルが、2つの主要面が風捕獲面として選択して区別なく使用できる場合を除外しないことが観察される。これは、例えば、一定部分の厚さを伴うカンバス等から作られた帆の場合が考えられる。
【0072】
用語の一般的解釈
本発明の目的を理解するには、本明細書で使用されるような用語「備える(comprising)」及びその派生語は制約がない用語として意図され、制約がない用語は、示した特徴、要素、構成要素、グループ、整数、及び/またはステップの存在を明記するが、他の示されない特徴、要素、構成要素、グループ、整数、及び/またはステップの存在を除外しない。上記の制約がない用語は、また、用語「から成る(comprised)」、「を有する(have)」等及びその派生語の同様の意味がある用語にも当てはまる。さらに、用語「部分(part)」、「セクション(section)」、「部(portion)」、「部材(member)」、または「要素(element)」は、単数形で使用されるとき、単一の部分または複数の部分の2つの意味があり得る。上記の実施形式を説明するために本明細書で使用されるように、以下の方向を示す用語「前方の(forward)」、「後方の(backward)」、「上の(above)」、「下の(under)」、「垂直な(vertical)」、「水平な(horizontal)」、「下方に(below)」、ならびに「横方向の(transverse)」、及びいずれかの他の同様の方向を示す用語は、動作中の航行位置のボートを指す。最終的に、本明細書で使用されるような「大体(mainly)」、「約(about)」、及び「おおよそ(approximately)」等の程度に関する用語は、正確な用語を含む許容誤差と、最後結果が著しく変わらないように修正した用語の合理的なずれの量として意図される。
【0073】
本発明を例証するために、選択された実施形態だけが選ばれている一方、この説明から、添付の請求項に定義される本発明の範囲から逸脱しないで、様々な修正がなされ、変形形態を作ることができることは当業者に明らかである。例えば、様々な構成要素のサイズ、形状、位置、または配向は、必要に応じて及び/または要望どおりに修正できる。示される構成要素は、相互に直接接続され、または相互に接触され、構成要素の間に配置される中間体構造を有し得る。1つの要素の機能は、2つの要素によって行うことができ、その逆の場合も同様である。別の実施形態では、一実施形態の構造及び機能を採用できる。特定の実施形態の全ての利点は、必ず、同時に存在する必要はない。また、単独であるまたは他の特徴と組み合わせた、先行技術と比較して独創的ないずれかの特徴は、係る特徴によって具体化された構造的概念及び/または機能的概念を含む、出願人による追加の発明の別の説明と見なすべきである。したがって、本発明に従った実施形態の前述の説明は、例証の目的だけのために提供され、添付の請求項及びその同等物によって定義されるような本発明を制限する目的のために提供されていない。