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特許7423604線状外科用ステープラーのための発射システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】線状外科用ステープラーのための発射システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/072 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
A61B17/072
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021507562
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 IB2019056697
(87)【国際公開番号】W WO2020035762
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】16/102,164
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デック・アンドリュー・シー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ・ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】シングス・ブライアン・ディー
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-534159(JP,A)
【文献】特表2016-534794(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-18/00
A61F 2/01
A61N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープラーであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、前記アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、
)保持アセンブリであって、前記保持アセンブリは、
(i)前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成された第1の保持部材と、
(ii)前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された第2の保持部材と、を含む、保持アセンブリと、を備え
前記第1の保持部材は、第1の方向に回転して、前記第1の細長い部材の前記近位端を前記第2の細長い部材の前記近位端から解放するように構成されており、前記第2の保持部材は、第2の方向に回転して、前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置から解放するように構成されている、外科用ステープラー。
【請求項2】
前記保持アセンブリが、前記第2の細長い部材の近位端に配置されている、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項3】
前記第1の保持部材が、前記第2の保持部材に対して移動可能である、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項4】
前記保持アセンブリが、前記第1の保持部材を前記第2の方向に付勢し、同時に前記第2の保持部材を前記第1の方向に付勢するように構成された弾性部材を更に含む、請求項に記載の外科用ステープラー。
【請求項5】
外科用ステープラーであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、前記アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、
(e)保持アセンブリであって、前記保持アセンブリは、
(i)前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成された第1の保持部材と、
(ii)前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された第2の保持部材と、を含む、保持アセンブリと、を備え、
前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材は、同じ回転軸を中心に前記第2の細長い部材に対して回転するように構成されている、外科用ステープラー。
【請求項6】
前記回転軸が、前記外科用ステープラーの長手方向軸に対して横方向に延在している、請求項に記載の外科用ステープラー。
【請求項7】
外科用ステープラーであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、前記アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、
(e)保持アセンブリであって、前記保持アセンブリは、
(i)前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成された第1の保持部材と、
(ii)前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された第2の保持部材と、を含む、保持アセンブリと、を備え、
前記第1の保持部材はラッチ部材を含み、前記第2の保持部材は戻り止め部材を含み、
前記第1の細長い部材の近位端に配置された突出部を更に備え、前記ラッチ部材は、前記突出部を解放可能に捕捉し、それによって前記第1の細長い部材の前記近位端を前記第2の細長い部材の前記近位端と連結するように構成されている、外科用ステープラー。
【請求項8】
前記第1の細長い部材は、前記第1の細長い部材の前記近位端が前記第2の細長い部材の前記近位端と連結されたときに、前記突出部を中心として前記第2の細長い部材に対して枢動するように構成されている、請求項に記載の外科用ステープラー。
【請求項9】
外科用ステープラーであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、前記アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、
(e)保持アセンブリであって、前記保持アセンブリは、
(i)前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成された第1の保持部材と、
(ii)前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された第2の保持部材と、を含む、保持アセンブリと、を備え、
前記第1の保持部材はラッチ部材を含み、前記第2の保持部材は戻り止め部材を含み、
前記クランプ部材は、前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対してクランプするため、非クランプ位置からクランプ位置へと移動可能であり、前記保持アセンブリは、前記第1の細長い部材の前記近位端を前記第2の細長い部材の前記近位端から解放するため、前記ラッチ部材を作動させるように動作可能である解放機構を更に含み、前記解放機構は、前記クランプ部材が前記非クランプ位置にあるときに露出され、前記解放機構は、前記クランプ部材が前記クランプ位置にあるときに隠される、外科用ステープラー。
【請求項10】
外科用ステープラーであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、前記アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、
(e)保持アセンブリであって、前記保持アセンブリは、
(i)前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成された第1の保持部材と、
(ii)前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された第2の保持部材と、を含む、保持アセンブリと、を備え、
前記第1の保持部材はラッチ部材を含み、前記第2の保持部材は戻り止め部材を含み、
前記戻り止め部材は、前記発射アセンブリの近位端と解放可能に係合するように構成された遠位方向に延在する突出部を含む、外科用ステープラー。
【請求項11】
外科用ステープラーであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、前記アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、
(e)保持アセンブリであって、前記保持アセンブリは、
(i)前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成された第1の保持部材と、
(ii)前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された第2の保持部材と、を含む、保持アセンブリと、を備え、
前記第1の保持部材はラッチ部材を含み、前記第2の保持部材は戻り止め部材を含み、
前記クランプ部材は、前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対してクランプするため、非クランプ位置からクランプ位置へと移動可能であり、前記戻り止め部材は、前記発射アセンブリが前記発射アセンブリの第1の長手方向位置から離れて長手方向に前進するときに、前記クランプ部材が前記クランプ位置から前記非クランプ位置に戻ることを防止するように構成されている、外科用ステープラー。
【請求項12】
前記戻り止め部材は、前記発射アセンブリが前記発射アセンブリの第1の長手方向位置から離れて長手方向に前進するときに、前記クランプ部材が前記クランプ位置から前記非クランプ位置に戻ることを防止するため、前記クランプ部材の近位機構と係合するように構成されたロックアウト機構を含む、請求項11に記載の外科用ステープラー。
【請求項13】
前記クランプ部材の前記近位機構は第2のラッチ部材を含み、前記第2のラッチ部材は、前記クランプ部材が前記クランプ位置にあるときに、前記クランプ部材の近位端を前記第2の細長い部材と解放可能に連結するように動作可能であり、前記ロックアウト機構は、前記発射アセンブリが前記発射アセンブリの第1の長手方向位置から離れて前記長手方向に前進するときに、前記第2のラッチ部材が前記第2の細長い部材を係合解除することを防止するように動作可能である、請求項12に記載の外科用ステープラー。
【請求項14】
外科用ステープラーであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、前記アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、
(e)前記外科用ステープラーの近位端に配置された保持アセンブリであって、前記保持アセンブリは、
(i)前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成されたラッチ部材と、
(ii)前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された戻り止め部材と、を含む、保持アセンブリと、を備え、
前記保持アセンブリが、前記第2の細長い部材の近位端に回転可能に連結されている、外科用ステープラー。
【請求項15】
外科用ステープラーであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、前記アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、
(e)前記外科用ステープラーの近位端に配置された保持アセンブリであって、前記保持アセンブリは、
(i)前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成されたラッチ部材と、
(ii)前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された戻り止め部材と、を含む、保持アセンブリと、を備え、
前記クランプ部材は、前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対してクランプするため、非クランプ位置からクランプ位置へと移動可能であり、前記保持アセンブリは、前記第1の細長い部材の前記近位端を前記第2の細長い部材の前記近位端から解放するため、前記ラッチ部材を作動させるように動作可能である解放機構を更に含み、前記解放機構は、前記クランプ部材が前記非クランプ位置にあるときに露出され、前記解放機構は、前記クランプ部材が前記クランプ位置にあるときに隠される、外科用ステープラー。
【請求項16】
外科用ステープラーであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、前記アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、
(e)保持アセンブリであって、前記保持アセンブリは、
(i)前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成された第1の可動部材と、
(ii)前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された第2の可動部材と、を含み、
前記第1の可動部材及び前記第2の可動部材は、互いに独立して移動可能である、保持アセンブリと、を備える、外科用ステープラー。
【請求項17】
前記第1の可動部材及び前記第2の可動部材は、同じ回転軸を中心に独立して回転するように構成されている、請求項16に記載の外科用ステープラー。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
胃腸吻合術などの一部の手術では、1つ以上の組織層をクランプし、クランプされた層を切断し、層を通してステープルを同時に駆動することによって、切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的に封止することが望ましい場合がある。かかる手術で使用され得るこのような器具の1つは、線状外科用ステープラーであり、「線状カッター」とも称される。線状外科用ステープラーは、一般に、ステープルカートリッジ(又は「再装填部」)を支持するように構成された遠位ジョーを有する第1の半体(「カートリッジ半体」又は「リロード半体」と称される)と、ステープル成形機構を有するアンビル表面を支持する遠位ジョーを有する第2の半体(「アンビル半体」と称される)と、を含む。ステープラーは、ステープラー半体を一緒に解放可能にクランプするように構成された可動クランプレバーを更に含む。ステープラー半体は、クランプレバーが閉じられたときに、2つの遠位ジョーの間に組織を受容し、クランプするように、互いに対して枢動するように構成される。ステープラーの発射アセンブリは、クランプされた層を切断するように作動し、切断線の両側の組織を通してステープルを同時に駆動するように構成される。ステープラーを発射した後、クランプレバーは開放されてよく、ステープラー半体は、切断されステープル留めされた組織を解放するために分離されてよい。
【0002】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本明細書に組み込まれていると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
図1】ステープラーのカートリッジ半体及びアンビル半体が完全閉鎖位置にあるカートリッジ半体のクランプレバーと一緒に連結された状態を示している、例示的な線状外科用ステープラーの遠位斜視図である。
図2図1の線状外科用ステープラーの分解斜視図である。
図3図1の線状外科用ステープラーのステープルカートリッジアセンブリの断面斜視図である。
図4A】ステープラー半体がそれらの近位端で開放位置にあるクランプレバーと一緒に連結された状態を示している、図1の線状外科用ステープラーの断面側面図である。
図4B】ステープラー半体が部分的閉鎖位置にあるクランプレバーと一緒に連結された状態を示している、図1の線状外科用ステープラーの断面側面図である。
図4C】ステープラー半体が完全閉鎖位置にあるクランプレバーと一緒に連結された状態を示している、図1の線状外科用ステープラーの断面側面図である。
図5A】近位側の発射前位置にあるステープラーのアクチュエータを示している、図1の線状外科用ステープラーの遠位斜視図である。
図5B】遠位側の発射位置にあるアクチュエータを示している、図1の線状外科用ステープラーの遠位斜視図である。
図6】ステーブラのカートリッジ半体及びアンビル半体が完全閉鎖位置にあるカートリッジ半体のクランプレバーと一緒に連結された状態を示している、別の例示的な線状外科用ステープラーの遠位斜視図である。
図7図6の線状外科用ステープラーの分解斜視図である。
図8】開放位置にあるクランプレバーを示し、カートリッジ半体の内部機構を露呈させている、図6の線状外科用ステープラーのカートリッジ半体の近位部分の斜視図である。
図9】アンビルラッチ部材及び戻り止め部材を含む近位保持アセンブリを露呈させるために部分的に切り取られたカートリッジ半体のカートリッジチャネルの側部を示している、図8のカートリッジ半体の近位端の斜視図である。
図10図9の近位保持アセンブリの分解した左側斜視図である。
図11図9の近位保持アセンブリの分解した右側斜視図である。
図12A】アンビル半体の近位端がカートリッジ半体の近位端と位置合わせされているときの、第1の回転位置にあるアンビルラッチ部材を示している、アンビルシュラウドが省かれ、カートリッジチャネルの側部が切り取られた、図6の線状外科用ステープラーの側面図である。
図12B】アンビル半体の近位ピンがアンビルラッチ部材の上面と係合しているときの、第2の回転位置にあるアンビルラッチ部材を示している、アンビルシュラウドが省かれ、カートリッジチャネルの側部が切り取られた、図6の線状外科用ステープラーの側面図である。
図12C】近位アンビルピンを解放可能に捕捉し、それによってステープラー半体の遠位端が連結されるように、第1の回転位置に戻った後のアンビルラッチ部材を示している、アンビルシュラウドが省かれ、カートリッジチャネルの側部が切り取られた、図6の線状外科用ステープラーの側面図である。
図13A】開放位置にあるクランプレバーを示している、図6の線状外科用ステープラーのカートリッジ半体の近位部分の斜視図である。
図13B】クランプレバーのラッチがカートリッジチャネルの近位端と係合する閉鎖位置にあるクランプレバーを示している、図13Aのカートリッジ半体の近位部分の斜視図である。
図14A】アンビルラッチ部材の解放機構がカートリッジチャネルの下側を取って露出する開放位置にあるクランプレバーを示している、図6の線状外科用ステープラーのカートリッジ半体の近位部分の斜視図である。
図14B】アンビルラッチ部材から近位アンビルピンを解放し、それによってステープラー半体の分離を可能にする解放機構の作動を示している、アンビルシュラウドが省かれ、カートリッジチャネルの側部が切り取られた、図6のステープラー半体の近位部分の側面図である。
図15A】発射前の近位ホーム位置にある線状外科用ステープラーの発射アセンブリを示している、シュラウドが省かれ、カートリッジチャネルの近位側部分の輪郭が仮想線で示されている、図6の線状外科用ステープラーの近位部分の側面図である。
図15B】発射アセンブリのスライダブロックの近位端が戻り止め部材を第1の方向に回転させるように、発射中に遠位方向に前進する発射アセンブリを示している、図15Aの線状外科用ステープラーの近位部分の側面図である。
図15C】スライダブロックが戻り止め部材を係合解除し、戻り止め部材が第2の方向に回転することを可能にして、戻り止め部材のクランプレバーロックアウト機構がクランプレバーラッチをロックするように、発射中に更に遠位方向に前進する発射アセンブリを示している、図15Bの線状外科用ステープラーの近位部分の側面図である。
図15D】スライダブロックが戻り止め部材を再係合し、第1の方向に回転させるように、発射後に近位方向に前進する発射アセンブリを示している、図15Cの線状外科用ステープラーの近位部分の側面図である。
図15E】クランプレバーロックアウト機構がクランプレバーラッチから係合解除される回転位置に戻り止め部材が保持される近位ホーム位置に戻された発射アセンブリを示している、図15Dの線状外科用ステープラーの近位部分の側面図である。
図16】スライダブロック及び一対の回転可能なアクチュエータを含む、図6の線状外科用ステープラーの発射アセンブリの上面斜視図である。
図17図16の発射アセンブリのスライダブロック及び回転可能なアクチュエータの近位斜視図である。
図18図16の発射アセンブリのスライダブロックの上面斜視図である。
図19図16の発射アセンブリの回転可能なアクチュエータの底面斜視図である。
図20A】第1のアクチュエータが延出した回転位置にあり、第2のアクチュエータが後退した回転位置にある第1の構成にあるアクチュエータを示している、図16の発射アセンブリのスライダブロック及び回転可能なアクチュエータの上面断面図である。
図20B】第1のアクチュエータが後退し、第2のアクチュエータが延出している第2の構成にあるアクチュエータを示している、図16の発射アセンブリのスライダブロック及びアクチュエータの上面断面図である。
図20C】両方のアクチュエータが後退している第3の構成にあるアクチュエータを示している、図16の発射アセンブリのスライダブロック及びアクチュエータの上面断面図である。
図21】発射アセンブリが遠位方向に前進したため、図16の発射アセンブリのアクチュエータの下側タブがカートリッジチャネルの内面に対して拘束されている状態を示している、図6の線状外科用ステープラーの近位部分の拡大斜視図である。
図22】延出した回転位置にあるアクチュエータの両方を示している、別の例示的なスライダブロック及び一対の回転可能なアクチュエータの上面斜視図である。
図23】後退位置にある第1のアクチュエータと延出位置にある第2のアクチュエータとを示している、図22の発射アセンブリの近位斜視図である。
図24A】後退位置にある第1のアクチュエータと延出位置にある第2のアクチュエータとを示している、図22のスライダブロック及びアクチュエータの上面斜視図である。
図24B】延出位置にある第1のアクチュエータと後退位置にある第2のアクチュエータとを示している、図22の発射アセンブリの上面斜視図である。
図25A】両方のアクチュエータが延出している、図22の構成にあるアクチュエータを示している、図22のスライダブロック及びアクチュエータを組み込んだ例示的な線状外科用ステープラーの近位部分の上面斜視図である。
図25B】第1のアクチュエータが後退し、第2のアクチュエータが延出している、図24Aの構成にあるアクチュエータを示している、図25Aの線状外科用ステープラーの近位部分の上面斜視図である。
図25C】第1のアクチュエータが延出し、第2のアクチュエータが後退している、図24Bの構成にあるアクチュエータを示している、図25Aの線状外科用ステープラーの近位部分の上面斜視図である。
図26】第1のアクチュエータが延出し、第2のアクチュエータが後退した状態で、発射のために遠位方向に前進した発射アセンブリを示している、図22の線状外科用ステープラーの近位部分の上面斜視図である。
図27】遠位位置まで前進した発射アセンブリを示している、図26の線状外科用ステープラーの発射アセンブリ及びカートリッジチャネルの上面斜視図である。
図28】アクチュエータの両方が延出した回転位置にある状態を示している、スライダブロック及び一対の回転可能なアクチュエータを有する別の例示的な発射アセンブリの上面斜視図である。
図29】両方のアクチュエータが後退している構成にあるアクチュエータを示している、図28のスライダブロック及び回転可能なアクチュエータを組み込んだ例示的な線状外科用ステープラーの近位部分の上面斜視図である。
図30】アンビルシュラウド及びカートリッジチャネルの側部が省かれている、カートリッジ半体及びアンビル半体を有する別の例示的な線状外科用ステープラーの近位部分の側面図である。
図31A】スライダブロックが戻り止め部材に係合する近位ホーム位置にあるスライダブロックを示している、図30の線状外科用ステープラーのスライダブロック及び戻り止め部材の側面斜視図である。
図31B】スライダブロックが遠位方向に前進し、戻り止め部材を第1の方向に回転させている状態を示している、図31Aのスライダブロック及び戻り止め部材の側面斜視図である。
図31C】スライダブロックが、戻り止め部材を係合解除し、第2の方向に回転することを可能にする点まで更に遠位方向に前進している状態を示している、図31Bのスライダブロック及び戻り止め部材の側面斜視図である。
図31D】スライダブロックが近位方向に前進して、戻り止め部材を再係合し、戻り止め部材を第1の方向に回転させている状態を示している、図31Cのスライダブロック及び戻り止め部材の側面斜視図である。
図31E】近位ホーム位置に戻ったスライダブロックと、第2の方向に回転してスライダブロックを解放可能に捕捉した後の戻り止め部材と、を示している、図31Dのスライダブロック及び戻り止め部材の側面斜視図である。
図32A】クランプレバーが開放位置にあり、カートリッジ半体のアンビル半体解放機構が、ステープラー半体を分離するために作動するように露出された状態を示している、カートリッジ半体及びアンビル半体を有する別の例示的な線状外科用ステープラーの近位斜視図である。
図32B】クランプレバーが閉鎖位置にあり、クランプレバーの近位端がアンビル半体解放機構を覆ってその作動を防止している状態を示している、図32の線状外科用ステープラーの近位斜視図である。
図33A】クランプレバーが開放位置にあり、カートリッジ半体のアンビル半体解放機構が、ステープラー半体を分離するために作動するように露出された状態を示している、カートリッジ半体及びアンビル半体を有する別の例示的な線状外科用ステープラーの近位斜視図である。
図33B】クランプレバーが閉鎖位置にあり、クランプレバーの近位端がアンビル半体解放機構を覆ってその作動を防止している状態を示している、図31の線状外科用ステープラーの近位斜視図である。
図34】アクチュエータが、ステープラーを発射するために近位方向に引っ張られるように構成されている、別の例示的な線状外科用ステープラーの概略的側面図である。
図35図34の線状外科用ステープラーの複合ピニオンギアの概略側面図である。
図36図35の複合ピニオンギアの概略的遠位端図である。
図37A】製造時にアンビルプレートがアンビルチャネルの遠位部分と位置合わせされる状態を示している、別の例示的なアンビルチャネル及び対応するアンビルプレートの上面斜視図である。
図37B】アンビルチャネルの遠位部分に取り付けられたアンビルプレートを示している、図37Aのアンビルチャネル及びアンビルプレートの上面斜視図である。
図38】スポット溶接を使用した第1の例示的な方法でアンビルチャネルに固着されたアンビルプレートを示している、図37Aのアンビルチャネル及びアンビルプレートの側面斜視図である。
図39】シーム溶接を使用した第2の例示的な方法でアンビルチャネルに固着されたアンビルプレートを示している、図37Aのアンビルチャネル及びアンビルプレートの側面斜視図である。
【0004】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかし、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0006】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、外科医のより近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタのより近くに且つ外科医からより遠くに配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上部」、「下部」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定も絶対も意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び配置で使用してもよいことが理解される。
【0007】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲の「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は集合が、本明細書で記載されているその本来の目的のために機能することを可能とするような好適な寸法の許容範囲を示すものである。
【0008】
I.例示的な線状外科用ステープラー
A.線状外科用ステープラーの概説
図1及び図2は、胃腸吻合術などの様々な切断及びステープル留め処置で使用するのに好適な、例示的な線状外科用ステープラー(10)(「線状カッター」とも称される)を示す。線状外科用ステープラー(10)は、それらの間に組織をクランプするために解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体(12)(「再装填部半体」とも称される)及びアンビル半体(14)を含む。カートリッジ半体(12)は、発射アセンブリ(34)の一部分を摺動可能に保持する近位フレーム部分(18)と、ステープルカートリッジ(80)(又は「再装填部」)を支持する遠位ジョー部分(20)と、それらの間に内側に配置された一対の直立側部フランジ(22)と、を有する細長いカートリッジチャネル(16)を含む。
【0009】
カートリッジ半体(12)は、側部フランジ(22)とほぼ整列してカートリッジチャネル(16)の下面に枢動可能に連結されたクランプレバー(24)を更に含む。クランプレバー(24)は、自由近位端と、枢動ピン(28)を用いてカートリッジチャネル(16)に枢動旋回可能に連結された遠位端と、を有する細長いレバーアーム(26)を含む。一対の対向するジョー(30)は、カートリッジチャネル(16)のフランジ(22)に沿ってレバーアーム(26)の遠位端から遠位方向に延在する。それぞれのジョー(30)は、閉鎖近位端及び開放遠位端を有し、アンビル半体(14)の対応のラッチ突出部(56)と係合するように構成された上側及び下側カム表面を画定する、対応の細長いスロット(32)を含む。以下に記載されるように、クランプレバー(24)は、開放位置と閉鎖位置との間でカートリッジチャネル(16)に対して枢動して、アンビル半体(14)をカートリッジ半体(12)に対して解放可能にクランプし、それによって、それらの間に組織層を捕捉するように動作可能である。
【0010】
図2に最もよく示されるように、カートリッジ半体(12)の発射アセンブリ(34)は、カートリッジチャネル(16)の近位フレーム部分(18)内に摺動可能に保持されたスライダブロック(36)と、スライダブロック(36)と移動可能に連結されたアクチュエータ(38)(又は「発射ノブ」)と、スライダブロック(36)から遠位方向に延在し、ステープルカートリッジ(80)内に収容されたスレッド(100)(図3を参照)と連結するように構成された細長い作動ビーム(図示せず)と、を含む。本実施例のアクチュエータ(38)は、カートリッジ半体(12)の近位端の周りを枢動して、ステープラー(10)の「両側発射」を提供するように構成されている。具体的には、アクチュエータ(38)は、遠位発射ストロークを実行するためにカートリッジ半体(12)のいずれかの外側部に沿って位置付けられてよく、それにより、ステープラー(10)は、外科手術中に様々な配向で好都合に発射され得る。
【0011】
スライダブロック(36)は、図2及び図5Aに示される近位ホーム位置と、図5Bに示される遠位発射位置との間で、アクチュエータ(38)によって近位フレーム部分(18)内で並進可能に駆動されるように構成されている。近位ホーム位置では、スライダブロック(36)は、カートリッジチャネル(16)の近位端に固定されたポスト(40)に当接する。ポスト(40)の自由端は、横方向に延在するピボットピン(42)を支持する。以下に記載されるように、アクチュエータ(38)は、ステープラー半体(12、14)が互いに完全に連結され、クランプレバー(24)が閉鎖されたときに、遠位方向に駆動されてよい。ステープラー(10)の両外側部に沿ったアクチュエータ(38)の遠位前進は、スライダブロック(36)及び細長い作動ビームを遠位方向に駆動し、次いでスレッド(100)を、ステープルカートリッジ(80)を通して遠位方向に駆動する。以下に記載されるように、ステープルカートリッジ(80)を通ったスレッド(100)の遠位並進は、ステープラー半体(12、14)間にクランプされた組織の同時のステープル留め及び切断をもたらす。
【0012】
図1及び図2に最もよく示されるように、線状外科用ステープラー(10)のアンビル半体(14)は、近位フレーム部分(52)及び遠位ジョー部分(54)を有する細長いアンビルチャネル(50)を含む。アンビルチャネル(50)は、アンビルチャネル(50)の内側部分からカートリッジ半体(12)に向かう方向に、横方向に延在する一対の突出部(56)の形態のラッチ機構を更に含む。それぞれのラッチ突出部(56)は、以下に記載されるように、アンビル半体(14)がカートリッジ半体(12)と連結され、クランプレバー(24)が開放位置から閉鎖位置へと枢動されるときに、対応するクランプレバージョー(30)のスロット(32)内に捕捉されるように構成された円形回転キャップを含んでよい。一対のフック(58)は、フレーム部分(52)の近位端から近位方向に延在し、カートリッジ半体(12)の近位枢動ピン(42)の両外側端を解放可能に捕捉するように構成されている。遠位ジョー部分(54)は、複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有するアンビルプレート(60)の形態のアンビル表面を支持し、更には遠位先端部材(62)を支持する。ステープラー(10)の他の変形形態では、アンビル表面は、アンビルチャネル(50)の遠位ジョー部分(54)と一体に形成されてよく、ないしは別の方法で堅固に接続されてよい。
【0013】
本実施例のアンビル半体(14)は、アンビルチャネル(50)の内側部分に取り付けられたステープル高さ調整機序(64)を更に含む。ステープル高さ調整機序(64)は、例えば1つ以上のカム機構(図示せず)を介してアンビルプレート(60)と動作可能に連結され、ユーザにより係合可能な一対の突出部(66)を含む。複数の所定の位置の間で突出部(66)を長手方向に調整することにより、アンビルプレート(60)は、アンビルチャネル(50)の遠位ジョー部分(54)に対して横方向に移動する。これにより、形成されるステープルの高さを画定する、アンビルプレート(60)とステープルカートリッジ(80)のデッキ(94)との間の横方向間隙距離の調整が可能になる。より厚い組織をステープル留めするときには、より大きい間隙距離、したがってより大きいステープル高さが設定されてよい。逆に、より薄い組織をステープル留めするときには、より小さい間隙距離、したがってより小さいステープル高さが設定されてよい。ステープル高さ調整機序(64)は、いくつかの変形形態では省かれてよく、その場合、アンビル表面はアンビルチャネル(50)に対して固定されてよいことが理解されよう。例えば、アンビル表面は、遠位ジョー部分(54)と一体に形成されてよく、ないしは別の方法で固定されてよい。
【0014】
図1及び図2に最もよく示されるように、線状外科用ステープラー(10)は、ステープラー(10)の選択部分を覆い、使用中に操作者によるステープラー(10)の効果的な把持及び操作を促進する複数のシュラウド(70、72、74)を更に含む。本実施例では、カートリッジ半体(12)は、カートリッジチャネル(16)の近位フレーム部分(18)の外向きの側面を覆う第1のシュラウド(70)を含む。カートリッジ半体(12)は、クランプレバー(24)の外向きの側面を覆い、カートリッジチャネル(16)及び第1のシュラウド(70)に対してクランプレバー(24)と共に枢動するように構成された第2のシュラウド(72)を更に含む。アンビル半体(14)は、近位フック(58)を含む、アンビルチャネル(50)の近位フレーム部分(52)の外向きの側面を覆う第3のシュラウド(74)を含む。それぞれのシュラウド(70、72、74)は、当業者に明らかな任意の好適な手段によって、ステープラー(10)のそれぞれの構成要素と連結されてよい。加えて、それぞれのシュラウド(70、72、74)は、1つ以上の材料で形成されてもよく、外科手術中にステープラー(10)の安全かつ効率的な使用を可能にするために、操作者によってシュラウド(70、72、74)の効果的な把持を促進するのに好適なテクスチャリングが提供されてよい。
【0015】
図2及び図3に示されるように、本実施例のステープルカートリッジ(80)は、カートリッジ本体(82)と、カートリッジ本体(82)の開放下側を覆うパン(84)と、カートリッジ本体(82)内に収容され、それぞれが対応のステープル(88)を駆動するように構成されている複数のステープルカートリッジ(86)と、を備えるアセンブリである。カートリッジ本体(82)は、カートリッジチャネル(16)の遠位ジョー部分(20)の対応する連結機構(図示せず)と解放可能に係合するように構成された連結機構(90)を有する近位端と、テーパ状ノーズ(92)を画定する遠位端と、を含む。カートリッジ本体(82)の上側は、長手方向スロット(96)及び複数のステープル空洞(98)が貫通している、概ね平面のデッキ(94)を画定する。それぞれのステープル空洞(98)は、対応のステープルドライバ(86)及びステープル(88)を収容する。図3に示すように、カートリッジ本体(82)の内部は、スレッド本体(102)及びナイフ部材(104)を含むスレッド(100)を摺動可能に収容する。スレッド本体(102)の外側部は、遠位方向に先細になる複数のカム傾斜面(106)を支持する。スレッド本体(102)の近位端は、ステープルカートリッジ(80)がステープラー(10)のカートリッジ半体(12)に取り付けられたときに、発射アセンブリ(34)の細長い作動ビーム(図示せず)の遠位端と係止係合するように構成された下向きに延在するタブ(108)を含む。ナイフ部材(104)は、スレッド本体(102)の上側から上方に延在し、組織を切断するように構成された遠位側に面する切断縁部(110)を有する。
【0016】
スレッド(100)は、発射アセンブリ(34)の遠位作動に応答してカートリッジ本体(82)を通って遠位方向に並進するように構成されており、これにより、ナイフ部材(104)は、長手方向スロット(96)を通って遠位方向に並進して、ステープラー半体(12、14)間にクランプされた組織を切断する。同時に、カム傾斜面(106)は、カートリッジ本体(82)の対応の内部スロット(図示せず)を通って遠位方向に並進して、ステープルドライバ(86)及びステープル(88)を、ステープル空洞(98)を通って上方に作動させ、それにより、ステープル(88)の自由端がクランプされた組織を貫通し、アンビルプレート(60)のステープル成形ポケットに対して変形する。このようにして、発射アセンブリ(34)の遠位作動は、ステープラー半体(12、14)の遠位エンドエフェクタ部分間にクランプされた組織の同時切断及びステープル留めをもたらす。
【0017】
線状外科用ステープラー(10)及びステープルカートリッジ(80)は、2011年3月15日発行の「Surgical Stapling Instrument with Cutting Member Arrangement」と題された米国特許第7,905,381号;2011年6月7日発行の「Surgical Stapler with Apparatus for Adjusting Staple Height」と題された米国特許第7,954,686号;2013年1月8日発行の「Surgical Stapler Having A Closure Mechanism」と題された米国特許第8,348,129号;及び/又は2014年7月29日発行の「Linear Cutting and Stapling Device with Selectively Disengagable Cutting Member」と題された米国特許第8,789,740号の1つ以上の教示に従って更に構成され、動作可能であってよい。これらの参考文献のそれぞれの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
B.線状外科用ステープラーの例示的な使用
図4A図4Cは、外科手術中のステープラー半体(12、14)の例示的な連結を示す。図4Aに示すように、アンビル半体(14)の近位端は、カートリッジ半体(12)の近位端と位置合わせされ、それにより、カートリッジ半体(12)の近位枢動ピン(42)は、アンビル半体(14)の近位フック(58)によって受容される。クランプレバー(24)が開放位置にある状態で、アンビル半体(14)は、次いで、近位枢動ピン(42)の周りでカートリッジ半体(12)に向かって枢動されて、アンビル半体(14)のラッチ突出部をクランプレバージョー(30)のスロット(32)内へと方向付ける。一旦ラッチ突出部(56)がクランプレバージョー(30)によって受容されると、クランプレバー(24)は、図4Bに示される部分的閉鎖位置に向かって枢動される。クランプレバー(24)のこの部分的閉鎖位置では、アンビル半体(14)は、カートリッジ半体(12)で部分的にクランプされ、これにより、ステープラー(10)は、半体(12、14)が互いに不必要に分離することなく片手で保持されることが可能になる。加えて、この状態では、ステープラー半体(12、14)の遠位部分は、互いから離間したままで、遠位部分間の組織の位置決めを可能にする。組織は、この部分的にクランプされた状態の達成前又は達成時に、ステープラー半体(12、14)の遠位部分間に位置付けられ得ることが理解されよう。
【0019】
図4Cに示されるように、クランプレバー(24)は、次いで、クランプレバージョー(30)のカム表面が、クランプレバージョー(30)のスロット(32)の閉鎖近位端に対して近位方向にアンビル半体(14)のラッチ突出部を引くように、その完全閉鎖位置に向かって更に枢動され、それによって、それらの間にしっかりと位置付けられた組織と共にステープラー半体(12、14)を完全にクランプする。ステープラー(10)の半体(12、14)が完全にクランプされた状態になったら、アクチュエータ(38)は、ステープルカートリッジ(80)を発射するように操作されてよい。具体的には、図5A及び図5Bに示されるように、アクチュエータ(38)は、ステープラー(10)の外側部のうちの1つに重なるように、ステープラー(10)の近位端の周りを枢動する。アクチュエータ(38)は、次いで、上述の方法で発射アセンブリ(34)を作動させるように遠位方向に駆動され、それによってクランプされた組織を同時に切断及びステープル留めする。遠位発射ストロークが完了したら、アクチュエータ(38)は、図2に示されるその近位ホーム位置に戻されてよく、次いで、クランプレバー(24)が、ステープラー半体(12、14)を互いに分離させ、ステープル留めされ切断された組織を解放するように開放されてよい。
【0020】
II.近位保持アセンブリを有する例示的な線状外科用ステープラー
図4A図4Cに関連して上述したように、クランプレバー(24)は、アンビル半体(14)がカートリッジ半体(12)から分離することを防止するために、その完全開放位置から、レバージョー(30)が最初にアンビル半体(14)のラッチ突出部(56)を捕捉する少なくとも部分的な閉鎖位置に作動される必要がある。しかしながら、この初期連結プロセスは、操作者の両手の使用を必要とし、したがって、クランプレバー(24)が完全に開放されたときに、操作者が組織をステープラー(10)に取り付けることができないように防止する。クランプレバー(24)が完全に開放されて、ステープラー半体(12、14)の遠位部分を互いから更に離間させることが可能である間に、組織をステープラー半体(12、14)に取り付けることが一般的により容易であるため、操作者は、「4本の手」による組み立てアプローチにおいて補助者の助けを借りることが多くなる。
【0021】
多くの事例において、操作者が、第1の手を使ってステープラーを保持し、第2の手を使って組織をテープラに対して位置付けることができるように、操作者が、クランプレバーを完全開放位置にした状態で、補助者の助けなしに、線状外科用ステープラーの別個の半体に組織を取り付けることができることが望ましい場合がある。以下に記載される例示的なステープラー(200)は、クランプレバーが完全開放位置にある間に、第1及び第2のステープラー半体の近位端を互いに連結させたままにできる機構を含む。この構成は、操作者が、片方の手でステープラー(200)を適切に操作する一方で、ステープラー(200)に対して組織を操作するためにもう片方の手を空けておくことを可能にする。
【0022】
A.線状外科用ステープラーの概説
図6及び図7は、以下に別途説明するもの以外は上述の線状外科用ステープラー(10)と概ね同様である、別の例示的な線状外科用ステープラー(200)(又は「線状カッター」)を示す。線状外科用ステープラー(200)は、クランプされた組織の同時切断及びステープル留めのために、解放可能に一緒に連結してそれらの間に組織をクランプするように構成された、カートリッジ半体(202)(又は「再装填部半体」)及びアンビル半体(204)を含む。
【0023】
カートリッジ半体(202)は、近位フレーム部分(208)及び遠位ジョー部分(210)を有する細長いカートリッジチャネル(206)を含む。近位フレーム部分(208)は、発射アセンブリ(350)を摺動可能に保持し、横方向に対向する一対の直立側部フランジ(212)を含む。それぞれの側部フランジ(212)は、その遠位端に配置された垂直スロット(214)と、その近位端に配置されたテーパ状ノッチ(216)と、を含む。外向きに突出している補強リブ(218)は、それぞれの側部フランジ(212)の遠位スロット(214)と近位ノッチ(216)との間に長手方向に延在し、剛性を高めた側部フランジ(212)を提供するように構成されている。外向きに張り出した上部セグメント(220)は、以下により詳細に記載されるように、それぞれの側部フランジ(212)の近位部分の上縁部を画定し、カートリッジ半体(202)によるアンビル半体(204)の受容を容易にするように構成されている。それぞれの側部フランジ(212)は、近位ノッチ(216)と遠位スロット(214)との間で、側部フランジ(212)の下側に沿って長手方向に延在する細長い発射スロット(222)を更に含む。細長い発射スロット(222)は、発射アセンブリ(350)を近位位置と遠位位置との間で誘導するように構成されている。発射アセンブリ(350)は、図16図21に関連して以下により詳細に記載される。
【0024】
カートリッジチャネル(206)の遠位ジョー部分(210)は、以下に記載されている場合を除き、上述のステープルカートリッジ(80)と同様であり得るステープルカートリッジ(230)(又は「再装填部」)を受容するように構成されている。ステープルカートリッジ(230)は、ステープルドライバ(86)及びステープル(88)と同様の複数のステープルドライバ及びステープル(図示せず)を収容するカートリッジ本体(232)を含む。カートリッジ本体(232)は、発射アセンブリ(350)のナイフ部材(366)(図16を参照)を摺動可能に受容するように構成された長手方向スロット(234)と、発射アセンブリ(350)の一対のカム傾斜面(360)(図16を参照)を摺動可能に受容するように構成された一対の内部スロット(図示せず)と、を更に含む。他の変形形態では、ステープルカートリッジ(230)及び発射アセンブリ(350)は、代替的に、ステープルカートリッジ(80)と同様に、ナイフ部材(366)及びカム傾斜面(360)がカートリッジ本体(232)内に収容されるように構成されてよい。本変形形態のステープルカートリッジ(230)は、カートリッジチャネル(206)の下壁内の開口部(図示せず)を通って方向付けられ、スナップ嵌め係合を有するクランプレバー枢動ピン(242)に解放可能に連結するように構成された一対の近位連結脚部(236)を更に含む。
【0025】
カートリッジ半体(202)は、カートリッジチャネル側部フランジ(212)の遠位スロット(214)とおよそ位置合わせして配置された、クランプレバー枢動ピン(242)を用いてカートリッジチャネル(206)に枢動可能に連結されたクランプレバー(240)を更に含む。クランプレバー(240)は、自由近位端(246)と、枢動ピン(242)を用いてカートリッジチャネル(206)の下部に枢動可能に連結された遠位端と、を有する細長いレバーアーム(244)を含む。一対の対向ジョー(248)は、カートリッジチャネル側部フランジ(212)に沿ってレバーアーム(244)の遠位端から遠位方向に延在する。それぞれのジョー(248)は、以下に記載されるように、閉鎖近位端と、アンビル半体(204)のラッチ突出部を受容するように構成された開放遠位端と、を有する湾曲スロット(250)を含む。
【0026】
クランプレバー(240)は、レバーアーム(244)の近位端(246)がカートリッジチャネルフレーム部分(208)から離間した開放位置と、近位端(246)がカートリッジチャネルフレーム部分(208)と向かい合う閉鎖位置との間でカートリッジチャネル(206)に対して枢動するように動作可能である。開放位置から閉鎖位置へのクランプレバー(240)の作動は、アンビル半体(204)をカートリッジ半体(202)に対してクランプするように動作する。具体的には、それぞれのジョースロット(250)の曲率は、以下に記載されるように、クランプレバー(240)が枢動可能に閉鎖される際に、アンビル半体(204)の対応のラッチ突出部に係合し、それをカートリッジチャネル(206)に向かって引くように構成された対応の上側及び下側カム表面を画定する。
【0027】
本実施例のカートリッジ半体(202)は、レバーアーム(244)を開放位置に向かって付勢する平坦ばね(252)の形態で示される弾性部材を更に含む。したがって、平坦ばね(252)は、閉鎖位置から開放位置に向かうクランプレバー(240)の初期前進時に、レバージョー(248)のアンビル半体(204)からの係合解除を促進する。カートリッジ半体(202)は、レバーアーム(244)の近位端(246)に配置されたクランプレバーラッチ部材(254)を更に含む。以下により詳細に記載されるように、クランプレバーラッチ部材(254)は、弾性的に付勢されてカートリッジチャネル(206)の近位端と係合し、それによって、例えばステープラー(200)が発射されている間に、クランプレバー(240)を閉鎖位置に解放可能に保持する。
【0028】
線状外科用ステープラー(200)のアンビル半体(204)は、近位フレーム部分(262)及び遠位ジョー部分(264)を有する細長いアンビルチャネル(260)を含む。近位フレーム部分(262)は、アンビル半体(204)がカートリッジ半体(202)と連結されたときにカートリッジチャネル側部フランジ(212)の間に受容されるように構成された、横方向に対向する一対の直立側部フランジ(266)を含む。遠位ピン(268)の形態の遠位ラッチ突出部は、アンビルチャネル側部フランジ(266)の遠位端を通って横方向に延在し、近位ピン(270)の形態の近位枢動突出部は、アンビルチャネル側部フランジ(266)の近位端を通って横方向に延在する。アンビルピン(268、270)は、以下に記載されるように、アンビル半体(204)とカートリッジ半体(202)との連結を容易にするように構成されている。
【0029】
アンビル半体(204)の遠位ジョー部分(264)は、ステープラー(200)が発射されるときにステープルカートリッジ(230)によって放出されるステープルの脚部を変形させるように構成された複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有するアンビル表面(272)を支持する。いくつかの変形形態では、アンビル表面(272)は、例えば、図37A図39に関連して以下に記載されるように、遠位ジョー部分(264)と一体に形成されてよく、ないしは別の方法で堅固に接続されてよい。他の変形形態では、アンビル表面(272)は、上述のステープラー(10)のアンビルプレート(60)と同様の方法で、遠位ジョー部分(264)に対して調整可能であってよい。アンビル半体(204)の遠位ジョー部分(264)は、テーパ状遠位先端部材(274)を更に支持する。
【0030】
線状外科用ステープラー(10)と同様に、線状外科用ステープラー(200)は、ステープラー(200)の選択部分を覆い、使用中に操作者によるステープラー(200)の効果的な把持及び操作を促進する複数のシュラウド(256、276)を含む。具体的には、クランプレバーシュラウド(256)は、クランプレバーシュラウド(256)が、カートリッジチャネル(206)に対してクランプレバー(240)と共に枢動するように構成されるように、クランプレバー(240)の外向きの側面に固着され、それを覆う。加えて、アンビルシュラウド(276)は、アンビルチャネル(260)の外向きの側面に固着され、それを覆う。いくつかの変形形態では、アンビルシュラウド(276)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、本明細書と同日出願の「Clamping Assembly for Linear Surgical Stapler」と題された米国特許[代理人参照番号END8626USNP]の教示に従ってアンビルチャネル(260)と連結されてよい。他の変形形態では、シュラウド(256、276)は、当業者には容易に明らかな様々な他の方法で、クランプレバー(240)及びアンビルチャネル(260)と連結されてよいことが理解されよう。
【0031】
ステープラー半体(202、204)の組み立て中、アンビル半体(204)の近位ピン(270)は、カートリッジチャネル(206)の近位テーパ状ノッチ(216)内へと方向付けられる。一方、クランプレバー(240)は、湾曲したジョースロット(250)の開放遠位端が、カートリッジチャネル遠位スロット(214)の開放上端部と整列するように、弾性部材(252)によって開放位置に保持される。アンビル半体(204)は、次いで、近位ピン(270)の周りを枢動されて、アンビル半体(204)の遠位ピン(268)をカートリッジチャネル(206)の垂直遠位スロット(214)及びクランプレバー(240)の湾曲したジョースロット(250)内へと方向付ける。クランプレバー(240)は、次いで、開放位置から閉鎖位置へと枢動され、それにより、湾曲したジョースロット(250)の上側及び下側カム表面が遠位ピン(268)と係合し、それを湾曲したジョースロット(250)の閉鎖近位端に向かって引く。この動作は、アンビルチャネル(260)の遠位ジョー部分(264)をカートリッジチャネル(206)の遠位ジョー部分(210)に引き寄せ、それによって、アンビル表面(272)とステープルカートリッジ(230)との間に位置付けられた任意の組織をクランプする。クランプレバー(240)が完全閉鎖位置に達すると、クランプレバーラッチ部材(254)は、カートリッジチャネル(206)の近位端と係合して、クランプレバー(240)を閉鎖位置に維持する。ステープラー(200)は、次いで、発射アセンブリ(34)と同様に、発射アセンブリ(350)を遠位方向に作動させることによって発射され得る。発射後、発射アセンブリ(350)はその近位ホーム位置に戻され、クランプレバーラッチ部材(254)は、カートリッジチャネル(206)から係合解除されて、クランプレバー(240)の開口及びその後のステープラー半体(202、204)の分離を可能にする。
【0032】
B.線状外科用ステープラーの近位保持アセンブリ
図8図11は、線状外科用ステープラー(200)の近位端に配置され、以下に記載されるようにアンビル半体(204)及び発射アセンブリ(350)の部分を解放可能に保持するように構成されている、例示的な保持アセンブリ(300)の詳細を示す。本実施例の保持アセンブリ(300)は、アンビルラッチ部材(302)及び戻り止め部材(304)を含み、これらは共に、発射スロット(222)の近位に配置された横方向に延在するピン(306)を介してカートリッジチャネル(206)の近位端と回転可能に連結される。
【0033】
図10及び図11に最もよく示されるように、アンビルラッチ部材(302)は、中央本体(308)と、中央本体(308)の上側から上方に延在するラッチ指部(310)と、下側中央本体(308)から下方に延在する解放ボタン(312)と、戻り止め部材(304)とは反対側の中央本体(308)の外向きの外側部に配置された停止タブ(314)と、を含む。ラッチ指部(310)の上端部は遠位方向にテーパ状になっており、以下に記載される方法でアンビル半体(204)の近位ピン(270)と係合するように構成された上部カム傾斜面(316)を画定する。アンビルラッチ部材(302)は、以下に記載されるように戻り止め部材(304)の一部分を受容するように成形された中央切欠き機構(318)と、中央本体(308)を通って横方向に延在する開口部(320)と、を更に含む。
【0034】
戻り止め部材(304)は、概ね円筒形の中央本体(322)と、中央本体(322)の遠位側から遠位方向に延在する遠位指部(324)と、中央本体(322)の近位側から近位方向に延在するフック要素(326)と、アンビルラッチ部材(302)とは反対側の中央本体(322)の外向きの外側部に配置された停止タブ(328)と、を含む。図11に示すように、アンビルラッチ部材(302)と向かい合う戻り止め部材(304)の外側部は、環状凹部(330)と、環状凹部(330)からアンビルラッチ部材(302)に向かう方向に横方向に延在するシャフト(332)と、を含む。戻り止め部材(304)の遠位指部(324)は、遠位指部(324)の近位カム傾斜面を画定する近位アッパーカット機構(334)と、遠位指部(324)の遠位カム傾斜面を画定する傾斜した遠位端と、を含む。遠位指部(324)のこれらの近位カム傾斜面及び遠位カム傾斜面は、以下により詳細に記載されるように、発射アセンブリ(350)と相互作用するように構成されている。
【0035】
アンビルラッチ部材(302)及び戻り止め部材(304)は、それらの内向きの外側部が、線状外科用ステープラー(200)の長手方向軸に概ね平行して延在する平面に沿って互いに向き合うように、互いに嵌合するように構成されている。戻り止め部材(304)の中央本体(322)は、アンビルラッチ部材(302)のラッチ指部(310)及び解放ボタン(312)が戻り止め部材(304)の中央本体(322)に横方向に重なるように、アンビルラッチ部材(302)の中央切欠き機構(318)内に受容される。加えて、戻り止め部材(304)の横方向シャフト(332)は、アンビルラッチ部材(302)がシャフト(332)の周りを回転し得るように、アンビルラッチ部材(302)の側方開口部(320)を通って受容される。ピン(306)は、次いで、図8及び図9に示されるように、横方向シャフト(332)の中央ボアを通って受容され、その外側端でカートリッジチャネル側部フランジ(212)に固定される。したがって、アンビルラッチ部材(302)及び戻り止め部材(304)は、ピン(306)及びシャフト(332)によって画定される横軸を中心に同軸状に配置される。以下に記載されるように、アンビルラッチ部材(302)及び戻り止め部材(304)は、共有軸を中心に互いに独立して、かつ互いに対して回転するように構成されている。
【0036】
保持アセンブリ(300)は、アンビルラッチ部材(302)と戻り止め部材(304)との間に位置付けられたねじりばね(340)の形態で示される弾性部材を更に含む。ねじりばね(340)の第1の外側部及び対応する第1のばね脚部(342)は、アンビルラッチ部材(302)の中央本体(308)に形成された相補形状の凹部(321)内に捕捉される。ねじりばね(340)の第2の側面は、戻り止め部材(304)の環状凹部(330)内に受容され、これにより、対応する第2のばね脚部(344)は、戻り止め部材(304)の中央本体(322)内に形成された半径方向に延在するスロット(336)内に捕捉される。ねじりばね(340)は、ピン(306)によって画定される横軸を中心として、アンビルラッチ部材(302)及び戻り止め部材を反対の回転方向に弾性的に付勢するように構成されている。具体的に、図9及び図12A図12Cに示される図では、ねじりばね(340)は、ラッチ指部(310)が遠位方向に付勢されるように、ピン(306)の周りで反時計回りの方向にアンビルラッチ部材(302)を付勢するように構成されている。加えて、ねじりばね(340)は、遠位指部(324)が上向きに付勢され、近位フック要素(326)が下向きに付勢されるように、戻り止め部材(304)を時計回りの方向に付勢するように構成されている。
【0037】
図9に示すように、アンビルラッチ部材(302)の停止タブ(314)は、カートリッジチャネル(206)の対応する第1の側部フランジ(212)の遠位端に形成された隣接する第1の停止ノッチ(224)の上面に当接するように構成されている。加えて、戻り止め部材(304)の停止タブ(328)は、カートリッジチャネル(206)の対応する第2の側部フランジ(212)の遠位端に形成された隣接する第2の停止ノッチ(226)の下面に当接するように構成されている。アンビルラッチ部材停止タブ(314)及びその対応のチャネル停止ノッチ(224)は、アンビルラッチ部材(302)が、ラッチ指部(310)が概ね垂直に延在する回転配向に向かって付勢されるように、相互作用するように構成されている。加えて、戻り止め部材停止タブ(328)及びその対応のチャネル停止ノッチ(226)は、戻り止め部材(304)が、遠位指部(324)及び近位フック要素(326)が概ね水平に延在する回転方向に向かって付勢されるように、相互作用するように構成されている。
【0038】
図12A図12Cは、アンビル半体(204)の近位端とカートリッジ半体(202)の近位端との解放可能な連結を提供するための、アンビル半体(204)の近位ピン(270)とアンビルラッチ部材(302)との係合を示す。図12Aは、以下でより詳細に記載されるように、アンビル半体(204)がカートリッジ半体(202)から分離され、クランプレバー(240)(図示せず)は完全開放位置にあり、発射アセンブリ(350)は、戻り止め部材(304)の遠位指部(324)によって近位ホーム位置に保持されている、組み立て前状態にあるカートリッジ半体(202)及びアンビル半体(204)を示す。図12A及び図12Bに示されるように、アンビル半体(204)の近位端は、近位ピン(270)がカートリッジチャネル(206)の近位テーパ状ノッチ(216)内に方向付けられ、アンビルラッチ部材(302)の上部カム傾斜面(316)に接触するように、カートリッジ半体(202)の近位端と位置合わせされ、それに向かって組み立てられる。この係合は、ラッチ指部(310)が近位方向に移動するように、アンビルラッチ部材(302)を時計回りに回転させ、近位ピン(270)がラッチ指部(310)のテーパ状遠位先端部の上を摺動することを可能にする。図12Cに示されるように、アンビルラッチ部材(302)は、次いで、反時計回りにスナップ嵌めされ、それによってラッチ指部(310)が近位ピン(270)にフックしてそれを捕捉し、それによってアンビル半体(204)の近位端がカートリッジ半体(202)の近位端と連結する。アンビルラッチ部材(302)は戻り止め部材(304)とは独立して回転可能であるため、戻り止め部材(304)は、図12A図12Cに示される連結工程全体にわたって回転可能に静止したままである。
【0039】
図13A及び図13Bに示されるように、アンビルラッチ部材(302)の解放ボタン(312)は、クランプレバー(240)が開放位置にあるときにのみ露出し、操作者がアクセスすることができる。図13Aに示すように、解放ボタン(312)は、カートリッジチャネル(206)の底壁(228)内に形成された開口部を通って延在する。図13Bに示されるように、閉鎖位置にあるクランプレバー(240)は、解放ボタン(312)を隠してそれへのアクセスを阻止し、それによって解放ボタン(312)の意図しない作動を防止し、発射ストローク中又はその直前にステープラー半体(202、204)の近位端の分離をもたらす。図14A及び図14Bに示されるように、ステープラー半体(202、204)の近位端の分離は、クランプレバー(240)を開き、解放ボタン(312)を遠位方向に作動させることによって達成される。図14Bに示されるように、これにより、アンビルラッチ部材(302)が時計回りに回転し、それによってラッチ指部(310)を近位方向に駆動して、アンビル半体(204)がカートリッジ半体(202)から引き離され得るようにアンビル半体(204)の近位ピン(270)を解放する。
【0040】
図15A図15Eに示されるように、発射アセンブリ(350)のスライダブロック(352)は、以下に記載されるように、保持アセンブリ(300)の戻り止め部材(304)と解放可能に係合して、発射アセンブリ(350)が近位ホームアセンブリ内にあるときの触覚的指標を操作者に提供するように構成されている。図18を簡単に参照すると、スライダブロック(352)は、カートリッジチャネル(206)の側部フランジ(212)と、ブロック本体(370)の近位端から近位方向に延在する指部(372)との間に摺動可能に収容されるブロック本体(370)を含む。ブロック指部(372)は、ブロック指部(372)の近位側カム傾斜面を画定する丸みを帯びた近位端と、ブロック指部(372)の遠位カム傾斜面を画定するアンダーカット機構(374)と、を有する。
【0041】
図15Aは、スライダブロック(352)がカートリッジチャネル(206)内で近位側に配置されている近位ホーム位置にある発射アセンブリ(350)を示す。この近位位置では、戻り止め指部(324)の近位カム傾斜面がブロック指部(372)の遠位カム傾斜面に接触するように、ブロック指部(372)が戻り止め指部(324)にフックして、それと連動する。ブロック指部(372)と戻り止め指部(324)との間のこの相互作用は、戻り止め部材(304)をねじりばね(340)の付勢に対して反時計回りの方向に(図15Aの表示で)わずかに付勢し、それにより、戻り止め停止タブ(328)は、対応のカートリッジチャネル停止ノッチ(226)の下面からわずかに離間する。これに応答して、ねじりばね(340)は、戻り止め指部(324)がブロック指部(372)に上向きの力を加えるように、戻り止め部材(304)を時計回りの方向に付勢する。この力の作用は、近位ホーム位置において、スライダブロック(352)を介して発射アセンブリ(350)を解放可能に保持する戻り止め係合を提供する。
【0042】
図15Bに示されるように、発射アセンブリ(350)が、発射ストロークを実行する操作者によって遠位方向に作動されると、ブロック指部(372)は、戻り止め指部(324)を下向きに駆動し、それにより、戻り止め部材(304)は反時計回りの方向に回転する。図15Cに示されるように、発射アセンブリ(350)が更に遠位方向に前進すると、ブロック指部(372)は戻り止め指部(324)を係合解除し、ねじりばね(340)の付勢によって戻り止め部材(304)が時計回りの方向に回転し、その結果、戻り止め停止タブ(328)は対応のカートリッジチャネル停止ノッチ(226)の下面に当接する。戻り止め部材(304)がこの回転位置を取ると、戻り止め部材(304)の近位フック要素(326)は、クランプレバーラッチ部材(254)の上方先端部(255)をフックし、それによって、クランプレバーラッチ部材(254)が作動してクランプレバー(240)をカートリッジチャネル(206)から解放することを防止する。したがって、フック要素(326)は、発射アセンブリ(350)が近位ホーム位置にある限り、クランプレバー(240)が開放されることを防止する安全ロックアウト機構として機能する。有利には、この機構は、発射ストローク中に、ステープラー(200)のナイフ部材(366)(図16参照)がステープルカートリッジ(230)の上部デッキを通って露出している間に、ステープラー半体(202、204)が互いに分離され得ないことを確実にする。
【0043】
図15D及び図15Eに示されるように、ステープラー(200)が発射された後、発射アセンブリ(350)は、カートリッジチャネル(206)内のその近位ホーム位置に戻される。発射アセンブリ(350)が近位方向に前進すると、ブロック指部(372)の近位カム傾斜面は、戻り止め指部(324)の遠位カム傾斜面と係合し、それによって、戻り止め指部(324)を下向きに駆動し、戻り止め部材(304)をねじりばね(340)の付勢に対して反時計回りの方向に回転させる。発射アセンブリ(350)が図15Eに示される近位ホーム位置に到達すると、ブロック指部(372)は戻り止め指部(324)のアッパーカット機構(334)内に留まり、ブロック指部(372)は、戻り止め部材(304)をわずかに反時計回りの位置に保持し、これにより、近位フック要素(326)は、クランプレバーラッチ部材(254)の上方先端部(255)を妨害しなくなる。したがって、クランプレバーラッチ部材(254)は、カートリッジチャネル(206)を係合解除し、クランプレバー(240)を開放してステープラー半体(202、204)を分離することを可能にし得る。上述の戻り止め部材(304)とスライダブロック(352)との間の戻り止め相互作用は、発射アセンブリ(350)がその近位ホーム位置から分離され、その近位ホーム位置に戻されたときの触覚的指標を操作者に提供し、それによって、クランプレバー(240)を開放し、ステープラー半体(202、204)を分離するのに安全であるタイミングを操作者に伝えることが理解されよう。
【0044】
C.線状外科用ステープラーの発射アセンブリ
図16図21は、線状外科用ステープラー(200)の発射アセンブリ(350)の更なる詳細を示す。図16に最もよく示されるように、本実施例の発射アセンブリ(350)は、スライダブロック(352)と、スライダブロック(352)に枢動可能に連結された一対のアクチュエータ(354、356)(又は「発射ノブ」)と、スライダブロック(352)から遠位方向に延在する複数の細長いビーム(358、360)と、を含む。一対の側部ビーム(358)は、それらの近位端でスライダブロック(352)の遠位端に連結され、一対のカム傾斜面(360)内で遠位方向に終端する。カム傾斜面(360)は、上述のスレッド(100)のカム傾斜面(106)と同様の方法で、ステープルカートリッジ(230)内に収容されたステープルドライバ(図示せず)を作動させて、カートリッジ(230)からステープル(図示せず)を発射するように構成されている。中央ビーム(362)は、スライダブロック(352)から遠位方向に離間配置されたブリッジ要素(364)を介して側部ビーム(358)と連結される。中央ビーム(362)は、ステープラー半体(202、204)の遠位部分間にクランプされた組織を切断するように構成された遠位切断縁部(368)を有する角度付きナイフ部材(366)内で遠位方向に終端する。発射アセンブリ(350)は、以下に記載されるように、操作者がアクチュエータ(354、356)のうちの露出した方を遠位方向に押すことに応答して、カートリッジチャネル(206)を通って遠位方向に駆動されて、ステープラー半体(202、204)間にクランプされた組織を同時に切断してステープル留めするように動作可能である。
【0045】
図17図19に最もよく示されるように、アクチュエータ(354、356)は、枢動ピン(376)を用いてスライダブロック本体(370)と回転可能に連結され、それにより、それぞれのアクチュエータ(354、356)は、ブロック本体(370)の対応の外側部から外向きに延在し、ブロック本体(370)内に形成された側方開口部(378)を通って回転するように構成される。それぞれのアクチュエータ(354、356)は、アクチュエータ本体(380)と、アクチュエータ本体(380)の外側端部から横方向に延在するパドル(382)と、を含み、アクチュエータ本体(380)は概ね水平であり、パドル(382)は、本明細書に示される配向において概ね垂直である。図19に示されるように、それぞれのアクチュエータ本体(380)は、ブロック本体(370)の側方開口部(378)を通って移動するように構成された楔機構(384)をその内側端部に含む。楔機構(384)は、互いに当接するように構成され、それにより、図20A及び図20Bに関連して以下により詳細に記載されるように、それぞれのアクチュエータ(354、356)は、対向するアクチュエータ(354、356)が操作者によって回転可能に露出されたときに、自動的にスライダブロック(352)に対して回転可能に後退するように構成される。
【0046】
図17及び図19に最もよく見られるように、それぞれのアクチュエータ本体(380)は、戻り止め突出部(386)と、アクチュエータ本体(380)の下面から下方に突出する停止タブ(388)と、を更に含む。それぞれの戻り止め突出部(386)は、スライダブロック本体(370)の対応の外側部の近位部分に形成された対応の戻り止め溝(375)と摺動可能に係合するように構成されている。それぞれの停止タブ(388)は、スライダブロック本体(370)の対応の外側部の遠位部分に形成された凹部(379)内に受容されるように構成されている。それぞれのアクチュエータ(354、356)が後退した回転位置と露出した回転位置との間で回転すると、その戻り止め突出部(386)は、対応の戻り止め溝(375)内で長手方向に摺動する。加えて、アクチュエータ(354、356)がその露出した回転位置からその後退した回転位置へと回転されると、その停止タブ(388)は、対応の凹部(379)の内側側壁内に受容され、それに当接する。
【0047】
線状外科用ステープラー(200)のアクチュエータ(354、356)は、ステープラー(200)の両側発射を可能にするように構成されており、ステープラー(200)は、ステープラー(200)の両外側部に沿って遠位方向にアクチュエータ(354、356)を駆動することによって発射され得る。アクチュエータ(354、356)は、未使用のアクチュエータ(354、356)が、操作者が、発射する方の手でステープラー(200)を発射しながら、支える方の手でステープラー(200)をしっかりと把持することを妨害しないように、少なくとも1つのアクチュエータ(354、356)が常に後退したままになるように更に構成されている。以下に記載されるように、本変形形態のそれぞれのアクチュエータ(354、356)は、後退した回転位置と露出した回転位置との間で、スライダブロック(352)に対して約90度回転可能である。
【0048】
図20Aは、パドル(382)が遠位方向に配向され、発射アセンブリ(350)の長手方向軸に対して横方向に延在する露出した回転位置にある第1のアクチュエータ(354)と、パドル(382)が近位方向に配向され、長手方向軸に平行に延在する後退した回転位置にある第2のアクチュエータ(356)と、を示す。この構成では、操作者は、第1の手で、ステープラー(200)の第2の外側部を把持し、その外側部に沿って第2のアクチュエータ(356)のパドル(382)が後退し、操作者は同時に、第2の手で、第1のアクチュエータ(354)の露出したパドル(382)を遠位方向に駆動して、発射ストロークを実行することができる。
【0049】
図20Bは、第2のアクチュエータ(356)の楔機構(384)が第1のアクチュエータ(354)の楔機構(384)に対して駆動するように、後退した第2のアクチュエータ(356)のパドル(382)を遠位方向に駆動して、第2のアクチュエータ本体(380)をピン(376)の周りで回転させることによって達成される、逆向きのアクチュエータ(354、356)を示す。この相互作用により、第1のアクチュエータ(354)は、露出した回転位置から、図20Bに示される後退した回転位置へと自動的に回転する。この構成では、操作者は、第1の手で、ステープラー(200)の第1の外側部を把持し、その外側部に沿って第1のアクチュエータ(354)のパドル(382)が後退し、操作者は同時に、第2の手で、第2のアクチュエータ(356)の露出したパドル(382)を遠位方向に駆動して、発射ストロークを実行することができる。第2のアクチュエータ(356)はまた、第1のアクチュエータ(354)の回転に応答して、その露出した回転位置からその後退した回転位置へと自動的に回転し得ることが理解されよう。
【0050】
図20Cは、両方のパドル(382)が、発射アセンブリ(350)の長手方向軸に概ね平行に延在するように、近位方向に配向される、後退した回転位置にある両方のアクチュエータ(354、356)を示す。そのような構成は、例えば、装置パッケージ及び他の保管又は輸送目的に好適なコンパクトなプロファイルを有する外科用ステープラー(200)を提供し得る。
【0051】
図7及び図21に示されるように、カートリッジチャネル(206)のそれぞれの長手方向発射スロット(222)の近位部分は、発射アセンブリ(350)がその近位ホーム位置にある間に、対応のアクチュエータ(354、356)がその後退位置と露出位置との間で回転することを可能にするように好適に成形される。発射アセンブリ(350)が発射ストローク中に遠位方向に作動されると、発射スロット(222)は、発射ストロークの完了後、発射アセンブリ(350)がその近位ホーム位置に戻されるまで、アクチュエータ(354、356)の回転を防止する。例えば、図21は、露出位置にある第1のアクチュエータ(354)を示しており、第1のアクチュエータ(354)は、対応の長手方向発射スロット(222)を通って遠位方向に駆動され、その結果、その停止タブ(388)、続いてその戻り止め突出部(386)が、スライダブロック本体(370)とカートリッジチャネル(206)の対応の側部フランジ(212)の向かい合う内面との間に捕捉されている。したがって、第1のアクチュエータ(354)の停止タブ(388)及び戻り止め突出部(386)は、ステープラー(200)が発射されている間に、第1のアクチュエータ(354)がその露出位置から後退位置へと意図せず回転することを防止するため、拘束状態になる。第2のアクチュエータ(356)は、第2のアクチュエータ(356)が露出位置にあり、ステープラー(200)を発射するために遠位方向に駆動されているとき、スライダブロック本体(370)及び隣接するカートリッジチャネル側部フランジ(212)と同様の方法で拘束されることが理解されよう。
【0052】
III.例示的な代替スライダブロック及びアクチュエータアセンブリ
いくつかの事例では、上述のアクチュエータ(354、356)とは異なり、露出した回転位置に同時に配向されるように構成された回転可能なアクチュエータを備える線状外科用ステープラー(200)を提供することが望ましい場合がある。以下に記載される例示的な代替アクチュエータ(402、404、432、434)は、そのような機能性を呈する。
【0053】
図22及び図23は、線状外科用ステープラー(200)と共に使用するのに好適な、別の例示的なスライダブロック(400)及び一対のアクチュエータ(402、404)(又は「発射ノブ」)を示す。スライダブロック(400)及びアクチュエータ(402、404)は、アクチュエータ(402、404)が、枢動ピン(405)によって画定される共有垂直枢動軸を中心にスライダブロック(400)と回転可能に連結される点で、上述のスライダブロック(352)及びアクチュエータ(354、356)と同様である。加えて、それぞれのアクチュエータ(402、404)は、両側発射を提供するために、露出した回転位置と後退した回転位置との間で約90度回転可能である。それぞれのアクチュエータ(402、404)は、スライダブロック(400)と回転可能に連結される内側端部と、パドル(408)が横方向に延在する外側端部と、を有する、概ね三角形のアクチュエータ本体(406)を含む。図示されていないが、スライダブロック(400)及びアクチュエータ(402、404)は、それぞれのアクチュエータ(402、404)の回転位置の触覚的指標を操作者に提供する戻り止め機構を含んでよい。いくつかの変形形態では、このような戻り止め機構は、上述のスライダブロック(352)及びアクチュエータ(354、356)のものと同様であってよい。いくつかの変形形態では、そのような戻り止め機構は、操作者の触感を向上させるために、Oリングなどの他の好適な摩擦誘発要素で補完又は置換されてよい。
【0054】
図22及び図23に最もよく示されるように、それぞれのアクチュエータ本体(406)の内側端部は、対向するアクチュエータ本体(406)の同様の尖ったアーム(410)と重なり合い、かみ合うように構成された、複数の横方向に延在する尖ったアーム(410)を含む。それぞれのアクチュエータ(402、404)の尖ったアーム(410)は、所与のアクチュエータ(402、404)が露出した回転位置から後退した回転位置へ回転されると、その尖ったアーム(410)が対向するアクチュエータ本体(406)の外側端部に係合し、対向するアクチュエータ(402、404)を後退位置から延出位置へと自動的に回転させるように構成されている。換言すれば、本実施例では、それぞれのアクチュエータ(402、404)は、アクチュエータ(402、404)が互いに90度回転してオフセットされているときに、対向するアクチュエータ(402、404)を回転可能に駆動するように構成されている。
【0055】
図24Aは、第1のアクチュエータ(402)が後退し、第2のアクチュエータ(404)が延出する例示的な構成にあるアクチュエータ(402、404)を示す。図24Bは、第1のアクチュエータ(402)が延出し、第2のアクチュエータ(404)が後退している反対の構成にあるアクチュエータ(402、404)を示しており、これは、図24Aに示される構成から、単純に、第2のアクチュエータ(404)をその延出位置から後退位置へと回転させることで達成され得る。図25Aは、スライダブロック(400)及びアクチュエータ(402、404)を組み込んだ例示的な線状外科用ステープラー(420)の近位端を示し、図22と同様に、両方のアクチュエータ(402、404)が延出した状態の近位ホーム位置にあるスライダブロック(400)を示す。図25Bは、図24Aと同様に、第1のアクチュエータ(402)が後退し、第2のアクチュエータ(404)が延出した状態の近位ホーム位置にあるスライダブロック(400)を有するステープラー(420)の近位端を示す。図25Cは、図24Bと同様に、第1のアクチュエータ(402)が延出し、第2のアクチュエータ(404)が後退した状態の近位ホーム位置にあるスライダブロック(400)を有するステープラー(420)の近位端を示す。
【0056】
図26は、ステープラー(420)を発射するためにスライダブロック(400)と共に遠位方向に並進された後の、延出した回転位置及び遠位長手方向位置にある第1のアクチュエータ(402)を示す。図22図23、及び図27に最もよく示されるように、それぞれのアクチュエータ(402、404)は、アクチュエータ本体(406)の外側端部に配置された一対の垂直に延在する突出部(414)を含む。それぞれのアクチュエータ(402、404)の垂直突出部(412)は、スライダブロック(400)及びアクチュエータ(402、404)が遠位方向に駆動されるときに、カートリッジチャネル(422)とカートリッジ半体シュラウド(424)との向かい合う外側部の間に画定された対応のガイドチャネル(426)内で長手方向に追跡するように構成されている。ガイドチャネル(426)内の垂直突出部(412)のこの追跡は、発射ストローク中のアクチュエータ(402、404)の意図しない回転を防止する。図27の第1のアクチュエータ(402)の突出部(412)によって示されるように、突出部(412)は、対応のアクチュエータ(402、404)が露出した回転位置にあるときにカートリッジチャネル(422)の長手方向軸に平行に位置合わせされ、その結果、両方の突出部(412)がガイドチャネル(426)内に捕捉され、その中を追跡する。図27の第2のアクチュエータ(404)の突出部(412)によって示されるように、アクチュエータ(402、404)が後退した回転位置にあるとき、アクチュエータ(402、404)の突出部(412)のうちの1つのみが対応のガイドチャネル(426)内を追跡する。
【0057】
図28は、線状外科用ステープラー(200)と共に使用するのに好適な、別の例示的なスライダブロック(430)及び対応する一対の回転可能なアクチュエータ(432、434)を示す。スライダブロック(430)及びアクチュエータ(432、434)は、上述のスライダブロック(400)及びアクチュエータ(402、404)と類似しているが、それぞれのアクチュエータ(432、434)は、尖ったアーム(410)を省いた丸みを帯びた内側端部(436)を有する。その結果、対向するアクチュエータ(432、434)が後退している間の、アクチュエータ(432、434)のその延出した回転位置から後退した回転位置への回転は、対向するアクチュエータ(432、434)を自動的に延出させるように動作しない。したがって、アクチュエータ(402、404)とは異なり、アクチュエータ(432、434)は、図29に示される線状外科用ステープラー(438)によって例示されるように、後退した回転位置を両方が同時に取るように構成される。
【0058】
IV.例示的な代替戻り止め部材及びスライダブロックアセンブリ
いくつかの事例では、上述の発射アセンブリ(350)のスライダブロック(352)とは異なり、近位に延在する突出部を省略するスライダブロックを含むように、線状外科用ステープラーの発射アセンブリを構成することが望ましい場合がある。以下に記載される例示的な代替線状外科用ステープラー(440)は、そのような方法で構成される発射アセンブリを含む。
【0059】
図30及び図31A図31Eは、間に組織をクランプし、クランプされた組織を同時に切断してステープル留めするため、解放可能に一緒に連結されるように構成されたカートリッジ半体(442)及びアンビル半体(444)を有する、別の例示的な線状外科用ステープラー(440)の近位部分を示す。ステープラー(440)は、以下に別途記載されていることを除いて、上述のステープラー(200)と概ね同様であってよい。カートリッジ半体(442)は、細長いカートリッジチャネル(446)と、カートリッジチャネル(446)と連結され、開放位置と閉鎖位置との間で枢動して、ステープラー半体(442、444)を一緒にクランプするように構成されたクランプレバー(448)と、を含む。カートリッジ半体(442)は、他の機構の中でも、発射アセンブリ(450)と、カートリッジチャネル(446)の近位フレーム部分によって支持される近位保持アセンブリ(452)と、を更に含む。アンビル半体(444)は、他の機構の中でも、以下に説明するように、細長いアンビルチャネル(454)と、アンビルチャネル(454)の近位端に連結され、カートリッジ半体(442)の近位保持アセンブリ(452)によって係合されるように構成された近位ピン(456)と、を含む。
【0060】
線状外科用ステープラー(440)の発射アセンブリ(450)は、発射アセンブリ(450)がスライダブロック(460)と、スライダブロック(460)と連結された一対の回転可能なアクチュエータ(462)と、を含むという点で、ステープラー(200)の発射アセンブリ(350)と同様であり、図30では1つのアクチュエータ(462)のみが示されている。アクチュエータ(354、356)と同様に、それぞれのアクチュエータ(462)は、後退した回転位置と露出した回転位置との間でスライダブロック(460)に対して回転可能である。スライダブロック(460)の近位端は、以下に記載されるように、近位保持アセンブリ(452)と解放可能に係合するように構成された対応の近位カム傾斜面及び遠位カム傾斜面を画定する、丸みを帯びた近位端及び遠位端を有する、上向きに延在する指部(464)を含む。
【0061】
線状外科用ステープラー(440)の保持アセンブリ(452)は、保持アセンブリ(452)が、カートリッジ半体(442)の近位端をアンビル半体(444)の近位端と解放可能に連結するように構成されたアンビルラッチ部材(466)と、近位ホーム位置に発射アセンブリ(450)を解放可能に保持するように構成された戻り止め部材(468)と、を含むという点で、ステープラー(200)の保持アセンブリ(300)と同様である。アンビルラッチ部材(466)及び戻り止め部材(468)は、横方向に延在する枢動ピン(470)によって画定される共有回転軸を中心に、カートリッジチャネル(446)の近位端と回転可能に連結される。加えて、アンビルラッチ部材(466)及び戻り止め部材(468)は、ねじりばね(340)と同様の弾性部材(図示せず)によって反対の回転方向に弾性的に付勢される。具体的には、図30で見た場合、戻り止め部材(468)は反時計回りの方向に付勢され、アンビルラッチ部材(466)は時計回りの方向に付勢される。アンビルラッチ部材(466)は、ラッチ機構(図示せず)を含み、ラッチ機構は、アンビル半体(444)の近位ピン(456)を解放可能に捕捉して、アンビル半体(444)をカートリッジ半体(442)と連結するように構成された、アンビルラッチ部材(302)のラッチ指部(310)と同様であってよい。アンビルラッチ部材(466)は、近位ピン(456)からラッチ機構を選択的に係合解除して、ステープラー半体(442、444)の分離を可能にするように構成された、近位に延在する解放ボタン(472)を更に含む。戻り止め部材(468)は、以下に記載されるように、スライダブロック指部(464)と係合するように構成された対向する近位カム傾斜面及び遠位カム傾斜面を画定するように、下向きにテーパ状になった遠位先端を有する、遠位方向に延在する指部(474)を含む。
【0062】
図31A図31Eは、線状外科用ステープラー(440)の発射中のスライダブロック(460)と戻り止め部材(468)との間の相互作用を示す。図31Aは、戻り止め指部(474)がスライダブロック指部(464)の上端に重なる近位ホーム位置にあるスライダブロック(460)を示す。スライダブロック(460)が発射ストローク中に遠位方向に駆動されると、図31Bに示されるように、スライダブロック指部(464)の丸みを帯びた近位端が戻り止め指部(474)の近位カム傾斜面上を遠位方向に押し、それによって、戻り止め指部(474)が上向きに移動するように戻り止め部材(468)を回転させる。スライダブロック(460)が更に遠位方向に前進すると、図31Cに示されるように、戻り止め指部(474)はスライダブロック指部(464)を係合解除し、戻り止め部材(468)はその元の回転位置に戻る。図31D及び図31Eに示されるように、ステープラー(440)が発射された後でスライダブロック(460)が近位方向に後退すると、スライダブロック指部(464)の丸みを帯びた近位端は、戻り止め指部(474)の遠位カム表面と係合する。これにより、戻り止め部材(468)は、スライダブロック(460)が図31Eに示される近位ホーム位置に戻ったときに、戻り止め指部(474)が上向きに移動し、もう一度スライダブロック指部(464)を受容するように回転する。有利には、戻り止め指部(474)とスライダブロック指部(464)との間の上述の戻り止め相互作用は、発射アセンブリ(450)がその近位ホーム位置から遠位方向に前進し、その近位ホーム位置へ近位方向に戻されるときの触覚的指標を操作者に提供する。
【0063】
V.隠すことのできるアンビル解放機構を有する例示的な線状外科用ステープラー
上述したように、線状外科用ステープラー(200)は、アンビル半体(204)の近位端をカートリッジ半体(202)の近位端と解放可能に連結するアンビルラッチ部材(302)の形態の第1の解放可能なラッチ機構を含む。ステープラー(200)は、クランプレバー(240)を閉鎖位置に解放可能に維持するクランプレバーラッチ部材(254)の形態の第2の解放可能なラッチ機構を更に含む。カートリッジ半体(202)は、クランプレバー(240)が閉鎖位置にある間に、アンビルラッチ部材(302)の解放ボタン(312)がクランプレバー(240)によって隠されるように構成され、それによって、外科手術中にアンビル解放ボタン(312)とクランプ(clam)レバーラッチ部材(254)との間の操作者の望ましくない混乱を防止する。以下に記載される例示的な線状外科用ステープラー(480、500)は、アンビル半体の解放機構とクランプレバー解放機構との間の望ましくない混乱を防止するために、クランプレバーが閉鎖されたときにアンビル半体の解放機構を隠す代替構成を提示する。
【0064】
A.クランプレバーシュラウド内に隠すことのできるアンビル解放機構を有する線状外科用ステープラー
図32A図32Bは、以下に別途説明するもの以外は上述のステープラー(200)と同様である、例示的な線状外科用ステープラー(480)を示す。ステープラー(480)は、間に組織をクランプし、同時にクランプされた組織を切断してステープル留めするために、解放可能に一緒に連結するように構成されたカートリッジ半体(482)及びアンビル半体(484)を含む。カートリッジ半体(482)は、細長いカートリッジチャネル(486)と、カートリッジチャネル(486)に枢動可能に連結されたクランプレバー(488)と、カートリッジチャネル(486)によって摺動可能に支持された発射アセンブリ(490)と、を含む。クランプレバー(488)は、クランプレバー(488)を閉鎖位置に解放可能に維持するように構成されたクランプレバーラッチ部材(492)を含む。クランプレバー(488)はクランプレバーシュラウド(489)を含み、アンビル半体(484)はアンビルシュラウド(485)を含む。
【0065】
カートリッジ半体(482)は、他の機構の中でも、上述のアンビルラッチ部材(302)と同様に、カートリッジ半体(482)の近位端をアンビル半体(484)の近位端と解放可能に連結するように構成されたアンビルラッチ部材(494)を更に含む。アンビルラッチ部材(494)は、カートリッジチャネル(486)の基部壁を通って露出したアンビル解放ボタン(496)を含む。アンビル解放ボタン(496)は、アンビルラッチ部材(494)をアンビル半体(484)から係合解除し、それによってステープラー半体(482、484)の分離を可能にするように、操作者によって作動可能である。図示されるように、クランプレバーシュラウド(489)の近位端は、クランプレバー(488)が閉鎖位置にあるときに、シュラウド(489)の内部にアンビル解放ボタン(496)を隠すように好適に成形される。したがって、操作者は、最初にクランプレバーラッチ部材(492)を作動させてクランプレバー(488)を開放する前に、アンビル解放ボタン(496)を意図せずに作動させることが防止される。
【0066】
B.クランプレバーシュラウドのタブで隠すことのできるアンビル解放機構を有する線状外科用ステープラー
図33A図33Bは、以下に別途説明するもの以外は上述のステープラー(480)と同様である、別の例示的な線状外科用ステープラー(500)を示す。ステープラー(500)は、間に組織をクランプし、同時にクランプされた組織を切断してステープル留めするために、解放可能に一緒に連結するように構成されたカートリッジ半体(502)及びアンビル半体(504)を含む。カートリッジ半体(502)は、細長いカートリッジチャネル(506)と、カートリッジチャネル(506)に枢動可能に連結されたクランプレバー(508)と、カートリッジチャネル(506)によって摺動可能に支持された発射アセンブリ(510)と、を含む。クランプレバー(508)は、クランプレバー(508)を閉鎖位置に解放可能に維持するように構成されたクランプレバーラッチ部材(512)を含む。クランプレバー(508)は、クランプレバーシュラウド(514)を含み、アンビル半体(504)は、アンビルシュラウド(516)を含む。クランプレバーシュラウド(514)は、その近位端に配置され、アンビルシュラウド(516)の近位端に向かって横方向に延在する細長いタブ(518)を含む。アンビルシュラウド(516)の近位端は、図33Bに示されるように、クランプレバー(508)が閉じられたときにタブ(518)の自由端を受容するように構成された切欠き部(520)を含む。
【0067】
カートリッジ半体(502)は、他の機構の中でも、アンビルラッチ部材(494)と同様に、カートリッジ半体(502)の近位端をアンビル半体(504)の近位端と解放可能に連結するように構成されたアンビルラッチ部材(522)を更に含む。アンビルラッチ部材(522)は、カートリッジチャネル(506)の近位端を通って露出したアンビル解放ボタン(524)を含む。アンビル解放ボタン(524)は、アンビルラッチ部材(522)をアンビル半体(504)から係合解除し、それによってステープラー半体(502、504)の分離を可能にするように、操作者によって作動可能である。図示されるように、クランプレバーシュラウド(514)の近位タブ(518)は、クランプレバー(508)が閉鎖位置にあり、タブ(518)がアンビルシュラウドの切欠き部(520)内に受容されるときに、アンビル解放ボタン(524)の周りに近位方向に延出し、それによってアンビル解放ボタン(524)を隠すように構成されている。したがって、操作者は、最初にクランプレバーラッチ部材(512)を作動させてクランプレバー(508)を開放する前に、アンビル解放ボタン(524)を意図せずに作動させることが防止される。
【0068】
いくつかの変形形態では、ステープラー(480、500)は、発射アセンブリ(490、510)がその近位ホーム位置に戻されるまで、カートリッジチャネル(486、506)からのクランプレバーラッチ部材(492、512)の解放を防止するクランプレバーロックアウト機構(図示せず)を更に含んでよい。いくつかの変形形態では、このようなロックアウト機構は、上述の戻り止め部材(304)の近位フック(326)と同様に構成されてよい。
【0069】
VI.引張発射式発射アセンブリを有する例示的な線状外科用ステープラー
多くの事例において、操作者がステープラーを発射するのに必要なインプット力を最小化するように、線状外科用ステープラーを構成することが望ましい。図34に示される例示的な線状外科用ステープラー(530)は、アクチュエータ(538)を圧縮力で押すのではなく、アクチュエータ(538)を張力で引っ張ることによって発射される発射アセンブリ(536)を含む。以下により詳細に記載されるように、この「引張発射式」構成は、両側発射能力を維持しながら、機械的利点の向上をもたらす。
【0070】
線状外科用ステープラー(530)は、ステープラー(530)が、間に組織をクランプし、同時にクランプされた組織を切断してステープル留めするために、解放可能に一緒に連結するように構成されたカートリッジ半体(532)及びアンビル半体(534)を含む点でステープラー(200)と同様である。カートリッジ半体(532)は、ステープラー(530)の近位端に配置され、細長い駆動ビーム(540)の近位端に固定されたアクチュエータ(538)(又は「発射ノブ」)を有する発射アセンブリ(536)を含む。駆動ビーム(540)は、カートリッジ半体(532)内へと遠位方向に延在し、その下面に配置された複数のギア歯(図示せず)を有するラックの形態である。発射アセンブリ(536)は、カートリッジ半体(532)を通って遠位方向に延在し、組織を切断するためにステープルカートリッジ(546)を通って並進するように構成された遠位ナイフ部材(544)で終端する細長い発射ビーム(542)を更に含む。発射ビーム(542)の近位部分は、その上側に配置された複数のギア歯(図示せず)を有するラック(548)を含む。図示されていないが、発射ビーム(542)は、例えば、ステープラー(200)の側部ビーム(358)及びカム傾斜面(360)と同様に、ステープルカートリッジ(546)のステープルプッシャ(図示せず)を作動させるように構成されたカム傾斜面を提供する、1つ以上の追加の構造を更に含んでよい。
【0071】
駆動ラック(540)及びナイフラック(548)は、カートリッジ半体(532)内に回転可能に取り付けられた複合ピニオンギア(550)を介して互いに動作可能に連結される。複合ピニオンギア(550)は、第1の直径を有する外側ギア部分(552)と、外側ギア部分(552)の外側面上に同心円状に提供され、より小さい第2の直径を有する内側ギア部分(554)と、を含む。複合ピニオンギア(550)は、外側ギア部分が駆動ラック(540)と係合し、内側ギア部分(554)がナイフラック(548)と同時に係合し、かつピニオンギア(550)がステープラー(530)の長手方向軸に対して横方向に延在する軸を中心に回転するように構成されるように、カートリッジ半体(532)内に取り付けられている。
【0072】
ステープラー(530)を発射するために、アクチュエータ(538)は、操作者によって遠位ホーム位置から近位方向に引っ張られ、それによって駆動ラック(540)を近位方向に並進させる。これにより、複合ピニオンギア(550)は第1の方向(例えば、図34で見て反時計回り)に回転し、発射ビーム(542)を遠位方向に駆動し、その結果、ナイフ部材(544)及びカム傾斜面(図示せず)がステープルカートリッジ(546)を通して遠位方向に駆動され、それによって、ステープラー半体(532、534)間にクランプされた組織を同時に切断し、ステープル留めする。その完全な近位位置に到達した後、アクチュエータ(538)は、次いで、遠位方向に押されて、複合ピニオンギア(550)を反対の第2の方向(例えば、図34で見て時計回り)に回転させ、それによって発射ビーム(542)をそのホーム位置へと近位方向に後退させる。
【0073】
上述したラック(540、548)と複合ピニオンギア(550)との間の動力伝達は、操作者によってアクチュエータ(538)に加えられるインプット力よりも大きいアウトプット力をナイフ部材(544)に生じさせ、それによって、発射アセンブリ(536)に機械的利点をもたらす。複合ピニオンギア(550)の外側ギア部分(552)及び内側ギア部分(554)は、操作中に発射アセンブリ(536)に任意の所望の程度の機械的利点をもたらすように好適にサイズ決定されてよいことが理解されよう。
【0074】
VII.アンビルチャネルへのアンビルプレートの例示的な取り付け
線状外科用ステープラー(200)に関連して上述されたように、アンビルチャネル(260)の遠位ジョー部分(264)は、複数のステープル成形ポケットを提供するアンビル表面(272)を支持する。いくつかの事例では、アンビルプレートの形態でアンビルチャネル(260)とは別にアンビル表面(272)を形成し、次いでアンビルプレートを遠位ジョー部分(264)に堅固に装着することが望ましい場合がある。図37A図39は、このようなプロセスの例示的な変形を示す。
【0075】
図37A及び図37Bは、遠位ジョー部分(562)を有するアンビルチャネル(650)と、アンビルチャネル(560)とは別個に形成されたアンビルプレート(570)の形態のアンビル表面と、を示す。アンビルチャネル(560)は、上述のアンビルチャネル(260)と同様であってよく、アンビルチャネル(560)及びアンビルプレート(570)は、線状外科用ステープラー(200)と共に使用するのに好適である。アンビルプレート(570)は、複数のステープル成形ポケット(572)と、上述のナイフ部材(366)と同様であり得るナイフ部材(図示せず)を摺動可能に受容するように構成された長手方向ナイフスロット(574)と、を含む。ステープル成形ポケット(572)及び長手方向ナイフスロット(574)を含むアンビルプレート(570)の機構は、例えば電気化学機械加工(ECM)及び/又はコイニングなどの任意の1つ以上の好適な機械加工プロセスを介して形成されてよい。
【0076】
図37A及び図37Bに示されるように、少なくともステープル成形ポケット(572)がアンビルプレート(570)内に形成された後、アンビルプレート(570)の底面は、アンビルチャネル(560)の遠位ジョー部分(562)の側部レール(564)に位置合わせされ、その上まで下げられる。アンビルプレート(570)には、その機械加工プロセス中に、アンビルプレート(570)とアンビルチャネル側部レール(564)との位置合わせを補助する、1つ以上の基準機構が提供されてよい。そのような基準機構は、アンビルプレート(570)の既存の機構の形態であってよく、又はその既存の機構に加えて代替的に提供されてよい。例えば、いくつかの変形形態では、そのような基準機構は、アンビルプレート(570)の底面、長手方向ナイフスロット(574)若しくはナイフスロット(574)の選択部分(複数可)、又はアンビルプレート(570)の近位縁部のうちの1つ以上を含んでよい。
【0077】
アンビルプレート(570)がアンビルチャネル(560)の遠位側部レール(564)に取り付けられると、アンビルプレート(570)は、側部レール(564)にしっかりと装着される。図38は、アンビルプレート(570)のそれぞれの外側縁部が、互いから長手方向に離間した複数のスポット溶接部(580)によって対応のアンビルチャネル側部レール(564)に固定される、第1の例示的な装着方法を示す。図39は、アンビルプレート(570)のそれぞれの外側縁部が、アンビルプレート(570)の実質的に全長に対して長手方向に延在するシーム溶接部(582)によって対応のアンビルチャネル側部レール(564)に固定される、第2の例示的な装着方法を示す。他の変形形態では、複数のより短いシーム溶接部(582)が、アンビルプレート(570)のそれぞれの外側縁部に沿って提供されてよく、又はスポット溶接部(580)とシーム溶接部(582)との組み合わせが提供されてよい。更に、長手方向ナイフスロット(574)は、アンビルプレート(570)をアンビルチャネル(560)に装着する前又は後に、アンビルプレート(570)内に形成されてよい。アンビルプレート(570)がアンビルチャネル(560)に装着される前に、アンビルプレート(570)内にポケット(572)を形成することは、ポケット成形プロセス中に取り扱われる構成要素のサイズを有利に縮小し、それによって、対応の線状外科用ステープラーのアンビル半体の製造を簡略化し、そのコストを低減することが理解されよう。
【0078】
VIII.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0079】
外科用ステープラーであって、(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、(c)第1の細長い部材を第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、(c)発射アセンブリであって、発射アセンブリは、第1の細長い部材が第2の細長い部材に対してクランプされたときにステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、(d)保持アセンブリであって、保持アセンブリは、(i)第1の細長い部材の近位端を第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成された第1の保持部材と、(ii)発射アセンブリを第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された第2の保持部材と、を含む、保持アセンブリと、を備える、外科用ステープラー。
【実施例2】
【0080】
保持アセンブリが、第2の細長い部材の近位端に配置されている、実施例1に記載の外科用ステープラー。
【実施例3】
【0081】
第1の保持部材が、第2の保持部材に対して移動可能である、実施例1~2のいずれか1つに記載の外科用ステープラー。
【実施例4】
【0082】
第1の保持部材は、第1の方向に回転して、第1の細長い部材の近位端を第2の細長い部材の近位端から解放するように構成されており、第2の保持部材は、第2の方向に回転して、発射アセンブリを第1の長手方向位置から解放するように構成されている、実施例1~3のいずれか1つに記載の外科用ステープラー。
【実施例5】
【0083】
保持アセンブリが、第1の保持部材を第2の方向に付勢し、同時に第2の保持部材を第1の方向に付勢するように構成された弾性部材を更に含む、実施例4に記載の外科用ステープラー。
【実施例6】
【0084】
第1の保持部材及び第2の保持部材は、同じ回転軸を中心に第2の細長い部材チャネルに対して回転するように構成されている、実施例1~5のいずれか1つに記載の外科用ステープラー。
【実施例7】
【0085】
回転軸が、外科用ステープラーの長手方向軸に対して横方向に延在している、実施例6に記載の外科用ステープラー。
【実施例8】
【0086】
第1の保持部材はラッチ部材を含み、第2の保持部材は戻り止め部材を含む、実施例1~7のいずれか1つに記載の外科用ステープラー。
【実施例9】
【0087】
第1の細長い部材の近位端に配置された突出部を更に備え、ラッチ部材は、突出部を解放可能に捕捉し、それによって第1の細長い部材の近位端を第2の細長い部材の近位端と連結するように構成されている、実施例8に記載の外科用ステープラー。
【実施例10】
【0088】
第1の細長い部材は、第1の細長い部材の近位端が第2の細長い部材の近位端と連結されたときに、突出部を中心として第2の細長い部材に対して枢動するように構成されている、実施例9に記載の外科用ステープラー。
【実施例11】
【0089】
クランプ部材は、第1の細長い部材を第2の細長い部材に対してクランプするため、非クランプ位置からクランプ位置へと移動可能であり、保持アセンブリは、第1の細長い部材の近位端を第2の細長い部材の近位端から解放するため、ラッチ部材を作動させるように動作可能である解放機構を更に含み、解放機構は、クランプ部材が非クランプ位置にあるときに露出され、解放機構は、クランプ部材がクランプ位置にあるときに隠される、実施例8~10のいずれか1つに記載の外科用ステープラー。
【実施例12】
【0090】
戻り止め部材は、発射アセンブリの近位端と解放可能に係合するように構成された遠位方向に延在する突出部を含む、実施例8~11のいずれか1つに記載の外科用ステープラー。
【実施例13】
【0091】
クランプ部材は、第1の細長い部材を第2の細長い部材に対してクランプするため、非クランプ位置からクランプ位置へと移動可能であり、戻り止め部材は、発射アセンブリが発射アセンブリの第1の長手方向位置から離れて長手方向に前進するときに、クランプ部材がクランプ位置から非クランプ位置に戻ることを防止するように構成されている、実施例8~12のいずれか1つに記載の外科用ステープラー。
【実施例14】
【0092】
戻り止め部材は、発射アセンブリがその第1の長手方向位置から離れて長手方向に前進するときに、クランプ部材がクランプ位置から非クランプ位置に戻ることを防止するため、クランプ部材の近位機構と係合するように構成されたロックアウト機構を含む、実施例13に記載の外科用ステープラー。
【実施例15】
【0093】
クランプ部材の近位機構は第2のラッチ部材を含み、第2のラッチ部材は、クランプ部材がクランプ位置にあるときに、クランプ部材の近位端を第2の細長い部材と解放可能に連結するように動作可能であり、ロックアウト機構は、発射アセンブリが発射アセンブリの第1の長手方向位置から離れて長手方向に前進するときに、第2のラッチ部材が第2の細長い部材を係合解除することを防止するように動作可能である、実施例14に記載の外科用ステープラー。
【実施例16】
【0094】
外科用ステープラーであって、(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、(c)第1の細長い部材を第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、(d)発射アセンブリであって、発射アセンブリは、第1の細長い部材が第2の細長い部材に対してクランプされたときにステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、(e)外科用ステープラーの近位端に配置された保持アセンブリであって、保持アセンブリは、(i)第1の細長い部材の近位端を第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成されたラッチ部材と、(ii)発射アセンブリを第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された戻り止め部材と、を含む、保持アセンブリと、を備える、外科用ステープラー。
【実施例17】
【0095】
保持アセンブリが、第2の細長い部材の近位端に回転可能に連結されている、実施例16に記載の外科用ステープラー。
【実施例18】
【0096】
クランプ部材は、第1の細長い部材を第2の細長い部材に対してクランプするため、非クランプ位置からクランプ位置へと移動可能であり、保持アセンブリは、第1の細長い部材の近位端を第2の細長い部材の近位端から解放するため、ラッチ部材を作動させるように動作可能である解放機構を更に含み、解放機構は、クランプ部材が非クランプ位置にあるときに露出され、解放機構は、クランプ部材がクランプ位置にあるときに隠される、実施例16~17のいずれか1つに記載の外科用ステープラー。
【実施例19】
【0097】
外科用ステープラーであって、(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、(c)第1の細長い部材を第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、(d)発射アセンブリであって、発射アセンブリは、第1の細長い部材が第2の細長い部材に対してクランプされたときにステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、(e)保持アセンブリであって、保持アセンブリは、(i)第1の細長い部材の近位端を第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成された第1の可動部材と、(ii)発射アセンブリを第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された第2の可動部材と、を含み、第1の可動部材及び第2の可動部材は、互いに独立して移動可能である、保持アセンブリと、を備える、外科用ステープラー。
【実施例20】
【0098】
第1の可動部材及び第2の可動部材は、同じ回転軸を中心に独立して回転するように構成されている、実施例19に記載の外科用ステープラー。
【0099】
IX.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0100】
更に、本明細書に記載する教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上を、以下で説明する教示、表現、実施形態、実施例などのいずれか1つ以上と組み合わせることができる;2018年2月6日出願の「Release Mechanism for Linear Surgical Stapler」と題された米国特許出願第15/889,363号、2018年2月6日出願の「Lockout Assembly for Linear Surgical Stapler」と題された同第15/889,370号、2018年2月6日出願の「Features to Align and Close Linear Surgical Stapler」と題された同第15/889,374号、2018年2月6日出願の「Releasable Coupling Features for Proximal Portions of Linear Surgical Stapler」と題された同第15/889,376号、2018年2月6日出願の「Firing Lever Assembly for Linear Surgical Stapler」と題された同第15/889,388号、及び/又は2018年2月6日出願の「Clamping Mechanism for Linear Surgical Stapler」と題された同第15/889,390号。これらの出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるいかなる特許、公報、又はその他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれるものとするが、既存の定義、記述、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の文献、又はそれらの部分は、組み込まれる文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲でしか組み込まれないものとする。
【0102】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。単に一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。
【0103】
上述のデバイスの変形形態は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整用の施設において、又は処置の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0104】
単に一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0105】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0106】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ステープラーであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、前記アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(c)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、
(d)保持アセンブリであって、前記保持アセンブリは、
(i)前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成された第1の保持部材と、
(ii)前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された第2の保持部材と、を含む、保持アセンブリと、を備える、外科用ステープラー。
(2) 前記保持アセンブリが、前記第2の細長い部材の近位端に配置されている、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(3) 前記第1の保持部材が、前記第2の保持部材に対して移動可能である、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(4) 前記第1の保持部材は、第1の方向に回転して、前記第1の細長い部材の前記近位端を前記第2の細長い部材の前記近位端から解放するように構成されており、前記第2の保持部材は、第2の方向に回転して、前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置から解放するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(5) 前記保持アセンブリが、前記第1の保持部材を前記第2の方向に付勢し、同時に前記第2の保持部材を前記第1の方向に付勢するように構成された弾性部材を更に含む、実施態様4に記載の外科用ステープラー。
【0107】
(6) 前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材は、同じ回転軸を中心に前記第2の細長い部材チャネルに対して回転するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(7) 前記回転軸が、前記外科用ステープラーの長手方向軸に対して横方向に延在している、実施態様6に記載の外科用ステープラー。
(8) 前記第1の保持部材はラッチ部材を含み、前記第2の保持部材は戻り止め部材を含む、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(9) 前記第1の細長い部材の近位端に配置された突出部を更に備え、前記ラッチ部材は、前記突出部を解放可能に捕捉し、それによって前記第1の細長い部材の前記近位端を前記第2の細長い部材の前記近位端と連結するように構成されている、実施態様8に記載の外科用ステープラー。
(10) 前記第1の細長い部材は、前記第1の細長い部材の前記近位端が前記第2の細長い部材の前記近位端と連結されたときに、前記突出部を中心として前記第2の細長い部材に対して枢動するように構成されている、実施態様9に記載の外科用ステープラー。
【0108】
(11) 前記クランプ部材は、前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対してクランプするため、非クランプ位置からクランプ位置へと移動可能であり、前記保持アセンブリは、前記第1の細長い部材の前記近位端を前記第2の細長い部材の前記近位端から解放するため、前記ラッチ部材を作動させるように動作可能である解放機構を更に含み、前記解放機構は、前記クランプ部材が前記非クランプ位置にあるときに露出され、前記解放機構は、前記クランプ部材が前記クランプ位置にあるときに隠される、実施態様8に記載の外科用ステープラー。
(12) 前記戻り止め部材は、前記発射アセンブリの近位端と解放可能に係合するように構成された遠位方向に延在する突出部を含む、実施態様8に記載の外科用ステープラー。
(13) 前記クランプ部材は、前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対してクランプするため、非クランプ位置からクランプ位置へと移動可能であり、前記戻り止め部材は、前記発射アセンブリが前記発射アセンブリの第1の長手方向位置から離れて長手方向に前進するときに、前記クランプ部材が前記クランプ位置から前記非クランプ位置に戻ることを防止するように構成されている、実施態様8に記載の外科用ステープラー。
(14) 前記戻り止め部材は、前記発射アセンブリが前記発射アセンブリの第1の長手方向位置から離れて長手方向に前進するときに、前記クランプ部材が前記クランプ位置から前記非クランプ位置に戻ることを防止するため、前記クランプ部材の近位機構と係合するように構成されたロックアウト機構を含む、実施態様13に記載の外科用ステープラー。
(15) 前記クランプ部材の前記近位機構は第2のラッチ部材を含み、前記第2のラッチ部材は、前記クランプ部材が前記クランプ位置にあるときに、前記クランプ部材の近位端を前記第2の細長い部材と解放可能に連結するように動作可能であり、前記ロックアウト機構は、前記発射アセンブリが前記発射アセンブリの第1の長手方向位置から離れて長手方向に前進するときに、前記第2のラッチ部材が前記第2の細長い部材を係合解除することを防止するように動作可能である、実施態様14に記載の外科用ステープラー。
【0109】
(16) 外科用ステープラーであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、前記アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、
(e)前記外科用ステープラーの近位端に配置された保持アセンブリであって、前記保持アセンブリは、
(i)前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成されたラッチ部材と、
(ii)前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された戻り止め部材と、を含む、保持アセンブリと、を備える、外科用ステープラー。
(17) 前記保持アセンブリが、前記第2の細長い部材の近位端に回転可能に連結されている、実施態様16に記載の外科用ステープラー。
(18) 前記クランプ部材は、前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対してクランプするため、非クランプ位置からクランプ位置へと移動可能であり、前記保持アセンブリは、前記第1の細長い部材の前記近位端を前記第2の細長い部材の前記近位端から解放するため、前記ラッチ部材を作動させるように動作可能である解放機構を更に含み、前記解放機構は、前記クランプ部材が前記非クランプ位置にあるときに露出され、前記解放機構は、前記クランプ部材が前記クランプ位置にあるときに隠される、実施態様16に記載の外科用ステープラー。
(19) 外科用ステープラーであって、
(a)アンビル表面を支持する遠位部分を有する第1の細長い部材であって、前記アンビル表面は複数のステープル成形ポケットを含む、第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材を前記第2の細長い部材に対して解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)発射アセンブリであって、前記発射アセンブリは、前記第1の細長い部材が前記第2の細長い部材に対してクランプされたときに前記ステープルカートリッジを発射するために、第1の長手方向位置から第2の長手方向位置に並進可能である、発射アセンブリと、
(e)保持アセンブリであって、前記保持アセンブリは、
(i)前記第1の細長い部材の近位端を前記第2の細長い部材の近位端と解放可能に連結するように構成された第1の可動部材と、
(ii)前記発射アセンブリを前記第1の長手方向位置に解放可能に保持するように構成された第2の可動部材と、を含み、
前記第1の可動部材及び前記第2の可動部材は、互いに独立して移動可能である、保持アセンブリと、を備える、外科用ステープラー。
(20) 前記第1の可動部材及び前記第2の可動部材は、同じ回転軸を中心に独立して回転するように構成されている、実施態様19に記載の外科用ステープラー。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23
図24A
図24B
図25A
図25B
図25C
図26
図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図31C
図31D
図31E
図32A
図32B
図33A
図33B
図34
図35
図36
図37A
図37B
図38
図39