(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】植物栽培用光源
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
A01G7/00 601C
(21)【出願番号】P 2021510160
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(86)【国際出願番号】 KR2019010772
(87)【国際公開番号】W WO2020040598
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-23
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム, セ リョン
(72)【発明者】
【氏名】コ, サン ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ヒョン ス
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-233247(JP,A)
【文献】特開2009-261311(JP,A)
【文献】特開2007-075073(JP,A)
【文献】特表2015-526104(JP,A)
【文献】特開2012-205520(JP,A)
【文献】特開2013-123417(JP,A)
【文献】特開2015-204801(JP,A)
【文献】国際公開第2011/016521(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0303706(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
明周期と暗周期に従ってオン又はオフになる植物栽培用光源において、前記植物栽培用光源は、第1半導体層、第2半導体層および活性層を含み、前記活性層は前記第1半導体層上に設けられて、前記活性層の形成物質によるエネルギーバンドのバンドギャップの差によって特定波長の光を放出し、前記明周期中の一部区間を第1区間とし、残りの区間を第2区間とすると、前記第1区間および前記第2区間は
互いに隣接するように交番的に提供され、前記第1区間
において第1光を植物に出射し、前記第2区間に
おいて前記第1光及び前記第1光と異なる波長の
第2光を前記植物に出射し、その結果、前記植物内の有効物質の含量が高くなる、植物栽培用光源。
【請求項2】
前記植物栽培用光源は、前記第1光を出射する第1光源部と、前記第2光を出射する第2光源部を含み、前記第1光源部および第2光源部の一つは、前記第1区間および第2区間の少なくとも一つの区間でオンになる、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項3】
前記第2光は点滅して前記植物に出射される、請求項
1に記載の植物栽培用光源。
【請求項4】
前記第1光は可視光線波長帯域の光であり、前記第2光は紫外線波長帯域の光で
ある、請求項
1に記載の植物栽培用光源。
【請求項5】
前記第2光は紫外線B波長帯域の光である、請求項4に記載の植物栽培用光源。
【請求項6】
前記植物に照射された前記第2光の総累積エネルギー量は、2.304kJ/m
2以下である、請求項5に記載の植物栽培用光源。
【請求項7】
前記第2光は約280nm~約315nmの波長帯域を有する、請求項5に記載の植物栽培用光源。
【請求項8】
隣接し合う前記第1区間および第2区間は、一つの反復周期を成す、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項9】
前記反復周期において、前記第2区間で出射される前記第2光は、前記第1区間では出射されない、請求項8に記載の植物栽培用光源。
【請求項10】
前記第2区間は、収穫前の所定期日前から収穫時までの前記明周期に配置される、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項11】
前記有効物質は、クロロフィル、フラボノール、アントシアニン、クロロゲン酸、セスキテルペンラクトン、およびフェノール性化合物の少なくとも一つである、請求項1に記載の植物栽培用光源。
【請求項12】
植物が内部に植えられた本体、
前記本体内に設けられ、前記植物に光を照射する光源、および
前記光源を制御する制御部を含み、
前記光源
は明周期と暗周期によってオン又はオフになり、前記明周期中の一部の区間を第1区間とし、残りの区間を第2区間とすると、前記第1区間および前記第2区間は
互いに隣接するように交番的に提供され、前記第1区間
において第1光を植物に出射し、前記第2区間に
おいて前記第1光及び前記第1光と異なる波長の
第2光を前記植物に出射し、その結果、前記植物内の有効物質の含量を高める、植物栽培装置。
【請求項13】
前記光源は、前記第1光を出射する第1光源部と、前記第2光を出射する第2光源部を含み、前記制御部は、前記第1光源部および第2光源部のいずれかを、前記第1区間および第2区間の少なくとも一つの区間でオンにする、請求項12に記載の植物栽培装置。
【請求項14】
前記第2光は、前記植物に点滅して照射される、請求項
12に記載の植物栽培装置。
【請求項15】
前記第1光は可視光線波長帯域の光であり、前記第2光は紫外線波長帯域の光で
ある、請求項14に記載の植物栽培装置。
【請求項16】
前記第2光は、紫外線B波長帯域の光である、請求項15に記載の植物栽培装置。
【請求項17】
前記の植物に照射された前記第2光の総累積エネルギー量は、2.304kJ/m
2以下である、請求項16に記載の植物栽培装置。
【請求項18】
前記第2光は、約280nm~約315nmの波長帯域を有する、請求項15に記載の植物栽培装置。
【請求項19】
互いに隣接した前記第1区間および第2区間は一つの反復周期を成す、請求項12に記載の植物栽培装置。
【請求項20】
前記反復周期において、前記第2区間で照射される前記第2光は、前記第1区間で照射されない、請求項19に記載の植物栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培用光源に関するものであり、詳しくは、キク科の植物における有効物質の含量を高める光を出射する光源に関する。
【背景技術】
【0002】
植物栽培用の照明器具として、太陽光の代わりとなる多様な光源が開発され使用されている。既存の植物栽培用照明器具としては、白熱灯、蛍光灯等が主に使われていた。しかし、既存の植物栽培用照明器具は、単純に植物の光合成だけのために所定波長の光を植物に照射するだけで、それ以外の追加的な機能はないものが大部分だった。
【0003】
植物は、多様なストレスに抵抗する過程で人に有用な物質を合成できるため、人に有用な物質が多量に含有されている植物を栽培できる光源および栽培装置等が多様に要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、キク科の植物における植物の本来の色を維持しながら、有効物質の含量を高めることができる光を出射する光源を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、植物の明周期と暗周期に従ってオン又はオフになる植物栽培用光源に関するものであり、前記植物栽培用光源は第1半導体層、第2半導体層および活性層を含み、前記活性層は前記第1半導体層上に設けられて、前記活性層の形成物質によるエネルギーバンドのバンドギャップの差によって特定波長の光を放出し、前記明周期中の一部区間を第1区間とし、残りの区間を第2区間とすると、前記第1区間および前記第2区間は交番的に提供され、前記第1区間および第2区間に対して互いに異なる波長の光を前記植物に出射し、その結果、前記植物内の有効物質の含量が高くなる。
【0006】
本発明の一実施例において、前記植物栽培用光源は、前記第1光を出射する第1光源部と、前記第2光を出射する第2光源部を含み、前記第1光源部および第2光源部の一つは、前記第1区間および第2区間の少なくとも一つの区間でオンになり得る。
【0007】
本発明の一実施例において、前記第2光は点滅して前記植物に出射されてもよい。
【0008】
本発明の一実施例において、前記第1光は可視光線波長帯域の光であり、前記第2光は紫外線波長帯域の光であり、前記第1区間では前記第1光が前記植物に出射され、前記第2区間では前記第2光が前記植物に出射され得る。
【0009】
本発明の一実施例において、前記第2光は紫外線B波長帯域の光であり得る。本発明の一実施例において、前記第2光は約280nm~約315nmの波長帯域を有することができる。
【0010】
本発明の一実施例において、前記植物に照射された前記第2光の総累積エネルギー量は、2.304kJ/m2以下であり得る。
【0011】
本発明の一実施例において、前記第1区間および前記第2区間は、明周期内で順に繰り返され、隣接し合う前記第1区間および第2区間は、一つの反復周期を成す。本発明の一実施例において、前記反復周期の前記第2区間で出射される光は、前記第1区間では出射されなくてもよい。本発明の一実施例において、前記第2区間は収穫前の所定期日前から収穫時までの前記明周期に配置され得る。
【0012】
本発明の一実施例において、前記有効物質は、クロロフィル、フラボノール、アントシアニン、セスキテルペンラクトン、およびフェノール性化合物の少なくとも一つであり得る。
【0013】
本発明の一実施例は、前記植物栽培用光源が採用された植物栽培装置を含む。本発明の一実施例にかかる植物栽培装置は、前記本体内に設けられ、前記植物に光を照射する光源、および前記光源を制御する制御部を含み、前記光源は前記植物の明周期と暗周期によってオン又はオフになり、前記明周期中の一部区間を第1区間とし、残りの区間を第2区間とすると、前記第1区間および前記第2区間は交番的に提供され、前記第1区間および第2区間に対して互いに異なる波長の光を前記植物に出射し、その結果、前記植物内の有効物質の含量を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施例によると、キク科植物における植物の本来の色を維持しつつ、有効物質の含量を高める光を出射する光源を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1a】本発明の一実施例にかかるタンポポ亜科の植物栽培装置の断面図である。
【
図1b】第1および第2光源部に使用される発光ダイオードを概略的に図示したものである。
【
図2】本発明の一実施例にかかるタンポポ亜科の植物栽培装置の断面図である。
【
図3a】比較例および実験例にかかるタンポポ亜科植物の生育条件を図示したものである。
【
図3b】比較例および実験例にかかるタンポポ亜科植物の生育条件を図示したものである。
【
図4a】比較例と実験例1にかかるグリーンリーフの外形を撮影した写真である。
【
図4b】比較例と実験例2にかかるグリーンリーフの外形を撮影した写真である。
【
図5a】グリーンリーフにおいて、比較例と実験例2の収穫後の有効物質の含量を図示したグラフである。
【
図5b】グリーンリーフにおいて、比較例と実験例2の収穫後の有効物質の含量を図示したグラフである。
【
図5c】グリーンリーフにおいて、比較例と実験例2の収穫後の有効物質の含量を図示したグラフである。
【
図5d】グリーンリーフにおいて、比較例と実験例2の収穫後の有効物質の含量を図示したグラフである。
【
図6a】別のタンポポ亜科植物において、比較例と実験例2の収穫後の有効物質の含量を図示したグラフである。
【
図6b】別のタンポポ亜科植物において、比較例と実験例2の収穫後の有効物質の含量を図示したグラフである。
【
図6c】別のタンポポ亜科植物において、比較例と実験例2の収穫後の有効物質の含量を図示したグラフである。
【
図7a】タンポポ亜科植物において、比較例と実験例2の収穫後の外形の色を確認するために撮影した写真である。
【
図7b】タンポポ亜科植物において、比較例と実験例2の収穫後の外形の色を確認するために撮影した写真である。
【
図7c】タンポポ亜科植物において、比較例と実験例2の収穫後の外形の色を確認するために撮影した写真である。
【
図7d】タンポポ亜科植物において、比較例と実験例2の収穫後の外形の色を確認するために撮影した写真である。
【
図7e】タンポポ亜科植物において、比較例と実験例2の収穫後の外形の色を確認するために撮影した写真である。
【
図7f】タンポポ亜科植物において、比較例と実験例2の収穫後の外形の色を確認するために撮影した写真である。
【
図8a】サニーレタス植物の生育条件を図示したものである。
【
図8b】サニーレタス植物の生育条件を図示したものである。
【
図9a】サニーレタスにおいて、比較例と実験例1~3の収穫後の有効物質の含量および結果物の重量を図示したグラフである。
【
図9b】サニーレタスにおいて、比較例と実験例1~3の収穫後の有効物質の含量および結果物の重量を図示したグラフである。
【
図9c】サニーレタスにおいて、比較例と実験例1~3の収穫後の有効物質の含量および結果物の重量を図示したグラフである。
【
図9d】サニーレタスにおいて、比較例と実験例1~3の収穫後の有効物質の含量および結果物の重量を図示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施例を図面に例示し、本文に詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定するものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むと理解しなければならない。
【0017】
各図面を説明するにおいて、類似する参照符号を類似する構成要素に対して使用した。添付の図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際よりも拡大して図示した。第1、第2等の用語は多様な構成要素の説明に使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素と区別するためだけの目的で使用する。例えば、本発明の権利範囲から外れなければ、第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、同様に第2構成要素も第1構成要素と命名することができる。単数の表現は、文脈上はっきりと異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0018】
本出願において、「含む」又は「有する」等の用語は、明細書上に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはそれらを組み合わせた物の存在または付加可能性を予め排除しないものと理解しなければならない。
【0019】
本発明は、植物栽培時に使用される光源およびそれを含む栽培装置に関するものである。
【0020】
植物は、可視光線波長帯域の光を用いて光合成を行い、光合成を通じてエネルギーを得る。植物の光合成は、全ての波長帯域において同じ程度で行われるのではない。太陽光のうち植物が光合成に用いる波長帯域の光は、PAR(Photosynthetic Active Radiation)と言い、太陽光スペクトルの一部を占め、約400nm~約700nmの帯域に該当する。本発明の一実施例にかかる植物栽培用光源は、前記のPAR波長帯域の光を含むことにより、植物の光合成に適した光を出射するが、摂取時に人または植物の健康に肯定的な影響を与える成分(以下では有効成分と称する)の含量を増加させるための波長帯域の光も一緒に出射するためのものである。ここで、有効成分は人に必要だと言われている物質として、例えば、クロロフィル、フラボノール、アントシアニン、セスキテルペンラクトン、フェノール性化合物等のような物質がある。
【0021】
本発明の一実施例にかかる光源が適用される植物の種類は多様に変更できる。但し、種によって、光源から出射された光の光合成効率や前記有効成分の含量の増加程度等は違いがあり得る。本発明の一実施例にかかる光源は、キク科の植物に適用できる。また、本発明の一実施例にかかる光源の場合は、キク科植物のうちタンポポ亜科の植物に適用することができる。本発明の一実施例にかかる植物の種類はこれだけに限定されるのではなく、他の種類にも適用できるのは当然である。本発明の一実施例において、前記光源が適用される植物は、食用が可能なキク科の植物を含み、そのうち、特にタンポポ亜科植物を含む。タンポポ亜科の植物は、タンポポ亜科のサニーレタス、赤レタス、グリーンリーフ、ロロロッサレタス、バターヘッドレタス、ロメインレタス、チコリ、リーフチコリ・フラスタグリアータ、リーフチコリ・イタリコの少なくとも一つであり得る。
【0022】
以下では、説明の便宜のために、キク科、特にタンポポ亜科の植物に本発明の一実施例にかかる光源を適用したものを一例として説明する。
【0023】
図1aは、本発明の一実施例にかかる光源を含む植物栽培装置の断面図である。
【0024】
図1aを参考にすると、本発明の植物栽培装置10は、本体100、および光源を含む。前記光源は、第1光源部200および第2光源部300を含む。
【0025】
本体100は、内部にタンポポ亜科の種400を蒔く空間を含み、外部の光を遮断できるボックス形態で提供され得る。本発明の一実施例において、タンポポ亜科の種は、サニーレタス、赤レタス、グリーンリーフ、ロロロッサレタス、バターヘッドレタス、ロメインレタス、チコリ、リーフチコリ・フラスタグリアータ、リーフチコリ・イタリコの少なくとも一つを意味し得る。
【0026】
本体100は、内部に蒔かれた種400が生長できる環境を提供する。本体100は、複数個の種400が蒔かれて生長する場合にも、これを収容できる大きさに設けることができる。さらに、本体100の大きさは植物栽培装置10の用途によって異なり得る。例えば、植物栽培装置10が家庭で使用され小規模の植物栽培に用いられる場合、本体100の大きさは相対的に小さくなり得る。植物栽培装置10が商業的に植物を栽培し販売に使用される場合、本体100の大きさは相対的に大きくなり得る。
【0027】
本発明の一実施例において、本体100は本体100の外の光が本体100内部に入り込まないように光を遮断することができる。よって、本体100の内部は外部と隔離された暗室環境が提供され得る。これにより、外部の光が不要に本体100内部に蒔かれた種400に照射されることを防ぐことができる。特に、本体100は外部の可視光線が種400に照射されることを防ぐことができる。但し、場合によっては、本体100は一部が開放されて外部の光を直接浴びることができるように設計することもできる。
【0028】
本発明の一実施例において、本体100内部の表面には光触媒を塗布してもよい。光触媒は、光源部200から照射される光を浴びて光触媒反応を活性化させることができる。これにより、本体100の内部が湿気の多い暗室環境に維持されても、本体100内部で細菌またはカビの増殖を防ぐことができる。このような機能を行うための光触媒物質は、二酸化チタニウム(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)、酸化亜鉛(ZnO)、タングステン酸化物(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)から選ばれた少なくとも一つであり得る。
【0029】
本体100は、タンポポ亜科植物が栽培される栽培台120を含み得る。
【0030】
栽培台120上には、タンポポ亜科植物の種400が蒔かれる。栽培台120は、種400を支持すると同時に、種400が育つ養分を提供することができる。よって、栽培台120は種400の生長に必要な培地(Culture Medium)を含んでもよく、培地はカリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、鉄(Fe)等の無機物質を含む土壌であり得る。
【0031】
栽培台120は、従って、培地と培地を収容するためのコンテナ(Container)を含む形態で設けることができる。コンテナは、少なくとも一面、例えば、上面が露出したボックス形態で設けられてもよい。ボックス形態のコンテナ内部には、培地および種400を入れることができる。種400は、その種類によって培地中に埋めた形態であったり、培地表面上に置いた形態であったりすることができる。
【0032】
栽培台120の大きさと形態は、本体100の形態および第1光源部200と第2光源部300の提供形態によって異なり得る。栽培台120の大きさと形態は、栽培台120上に蒔いた種400が、第1光源部200および第2光源部300から照射される光の照射範囲内に入るように構成することができる。
【0033】
本体100内には、種に水分を供給する水分供給装置110が設けられてもよい。水分供給装置110は、本体100上段に設けられて本体100下段に設けられた栽培台120上に水噴射する形態に構成できる。但し、水分供給装置110の形態は上述のものに制限されるものではなく、本体100の形状および栽培台120の配置形態によって多様な形態の水分供給装置110を設けることができる。
【0034】
水分供給装置110は、一つ又は複数個設けることができる。水分供給装置110の個数は、本体100の大きさによって異なり得る。例えば、相対的に小さい家庭用の植物栽培装置10の場合は、本体100が小さいため、水分供給装置110が一つ設けられてもよい。逆に、相対的に大きい商業用の植物栽培装置10の場合は、本体100が大きいため、水分供給装置110が複数個設けられてもよい。しかし、水分供給装置の個数はこれに限定されるものではなく、多様な個数で多様な位置に設けることができる。
【0035】
水分供給装置110は、本体100に設けられた水槽または本体100外部の水栓に連結できる。さらに、水分供給装置110は水中に浮遊する汚染物質が種400に付着しないように、ろ過装置をさらに含んでもよい。ろ過装置は、活性炭、不織布等のフィルターを含み得、これによりろ過装置を経た水は浄水されたものとなる。ろ過装置は、場合によって光照射フィルターをさらに含むことができるが、光照射フィルターは紫外線等を水に照射して、水中に存在する細菌、バクテリア、カビ胞子等を取り除くことができる。水分供給装置110が上述のろ過装置を含むことにより、水をリサイクルしたり雨水等をすぐに栽培に使用したりする場合にも、本体100内部および種400が汚染されるおそれがない。
【0036】
水分供給装置110で提供される水は、別途の養分がなく水自体(例えば、精製水)だけで供給されてもよいが、これに限定されるものではなく、タンポポ亜科植物の生長に必要な養分を含んでもよい。例えば、水にはカリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、ナトリウム(Na)、鉄(Fe)等の物質や硝酸塩(Nitrate)、ホスフェート(Phosphate)、硫酸塩(Sulfate)、塩化物(Cl)等を含むことができる。例えば、ザックス(Sachs)液、クノープ(Knop)液、ホーグランド(Hoagland)液、ヒューイット(Hewitt)液等を水分供給装置110から供給できる。
【0037】
第1光源部200は、種400に第1波長帯域の光を照射する。種400は、第1波長帯域の光を浴びて成長することができる。
【0038】
第1光源部200が出射する第1波長帯域は、可視光線波長帯域であり得る。これにより、種400は第1光源部200から出射された第1波長帯域の光を浴びて光合成を行うことができる。光合成によって種400から植物が成長し得る。
【0039】
第1光源部200は、上述のように、可視光線波長帯域の光を出射するために一つまたは複数個の発光ダイオードを含み得る。
【0040】
上述の少なくとも一つの発光ダイオードは、白色光を出射する発光ダイオードでもよく、又は多様な可視光線内のカラー光を出射する発光ダイオードでもよい。例えば、第1光源部200が複数個の発光ダイオードを含む場合、複数個の発光ダイオードはそれぞれ互いに異なる波長帯域の光を出射することができる。本発明の一実施例において、第1光源部200は、場合に応じて、赤外線(Infra-Red)又は近赤外線(Near Infra-Red)波長帯域の光を出射することもできる。
【0041】
本発明の一実施例において、第1光源部200が複数個の発光ダイオードを含む場合、複数個の発光ダイオードは、例えば、赤色光を出射する発光ダイオードと青色光を出射する発光ダイオード、および緑色光を出射する発光ダイオードを含むことにより、最終的に白色光を具現することができる。また、緑色光を出射する発光ダイオードを用いず、赤色光を出射する発光ダイオードと、青色光を出射する発光ダイオードを含んでもよい。
【0042】
本発明の一実施例において、タンポポ亜科植物は、上述の発光ダイオードから出射される赤色光と青色光を浴びて活発に光合成を行うことができる。この場合、特に、赤色光は植物の光合成を促進して種400からの植物の成長を促進させることができ、青色光は種400から植物の葉の形成や、植物の開花を誘導することができる。第1光源部200は、緑色光を出射する発光ダイオードを含み得る。緑色光を含む発光ダイオードは、植物の光合成の効率を高めることができる。
【0043】
本発明の一実施例において、第1光源部200が上述のように互いに異なる波長の光を出射する複数個の発光ダイオードを含む場合、発光ダイオードの構成割合は波長によって異なり得る。例えば、赤色光と青色光を出射する発光ダイオードは、緑色光を出射する発光ダイオードに比べて少なくすることができる。上述の赤色光、青色光、および緑色光を出射する発光ダイオードの割合は、種400の種類によって決定できるが、例えば、青色光受容体であるクリプトクロム(cryptochrome)と赤色光受容体であるフィトクロム(Phytochrome)の割合によって構成割合を変えることができる。また、各波長帯域の光を出射する発光ダイオードを同数で設置し、植物の種類によって互いに異なる割合で発光ダイオードを駆動することもできる。
【0044】
第1光源部200に提供された発光ダイオードは、特に特定波長で高いピークを有する波形を有するため、種400の種類に合うように光照射を提供することができる。これにより、少ない電力でも植物をより早く且つ大きく生長させることができる。本発明の一実施例において、第1光源部200を成す発光ダイオードは、赤色発光ダイオード、白色発光ダイオード、および青色発光ダイオードを混合して使用することができる。例えば、第1光源部200は、赤色発光ダイオード、白色発光ダイオード、および青色発光ダイオードをそれぞれ12:10:32の割合で配置できる。
【0045】
第1光源部200は、種400に光を出射できる位置に配置される。例えば、第1光源部200は、本体100の内部空間中の上部側、又は側部側の内壁に設けることができる。図面では、第1光源部200が本体100の上部側に設けられたことを図示しており、本体100下部側に蒔かれた種400に光を照射することができる。第1光源部200の位置は、第1光源部200による光照射角と種400が提供された栽培台120の位置を考慮して決定することができる。
【0046】
本発明の一実施例において、第1光源部200は防水構造を有することができる。これにより、第1光源部200が水に触れても第1光源部200が故障するおそれがない。
【0047】
第2光源部300は、種400に向けて第2波長帯域の光を出射する。
【0048】
第2波長帯域は、第1波長帯域と異なり、約250nm~約380nmの紫外線波長帯域であり得る。本発明の一実施例において、第2波長帯域はUV-A、UV-B、およびUV-C波長帯域の光の少なくともいずれかの波長帯域に該当し得る。本発明の一実施例において、第2光源部300は約280nm~約315nm波長帯域の光を出射することができる。又は、第2光源部300は285nm波長帯域の光を出射することができる。そのために、第2光源部300は上述の波長帯域の光を出射する少なくとも一つの発光ダイオードを含み得る。第2光源部300又は第2光源部300に含まれた発光ダイオードは、それぞれ複数個設けられてもよい。この場合、複数個の発光ダイオードは互いに異なる波長の光を出射することができる。例えば、一部の第2光源部300又は発光ダイオードは、約285nm波長の光を出射し、別の第2光源部300又は発光ダイオードは、約295nm波長の光を出射するように第2光源部300を構成することができる。
【0049】
第2光源部300は、紫外線波長帯域の光をタンポポ亜科植物に照射することにより、種400および種400から成長した植物の有効成分の含量を変更させるためのものである。第2光源部300が出射する光をタンポポ亜科植物に所定程度の強さで所定時間照射することにより、種400の生長に影響することなく、種400およびタンポポ亜科植物の有効成分の含量を変更させることができる。
【0050】
第2光源部300は、防水構造を有し得る。これにより、第2光源部300が水に触れても第2光源部300が故障するおそれがない。
【0051】
本発明の一実施例において、前記第1光源部200および/または第2光源部300には、第1光源部200と第2光源部300の作動を制御する制御部(未図示)が有線または無線で接続され得る。
【0052】
制御部は、第1光源部200と第2光源部300を所定区間に所定の強度で光を出射するように、第1光源部200および/または第2光源部300のオン/オフを同時に、又は個別に制御することができる。
【0053】
本発明の一実施例において、制御部は第1光源部200と第2光源部300の作動を先にセッティングされたプロセスに従って、又は使用者の入力に従って制御できる。例えば、制御部は、順に、第1時間には前記第1光源部200および第2光源部300を未作動にし、第2時間には前記第1光源部200を作動させ、第3時間には前記第2光源部300を作動させることができる。又は、使用者が第1時間~第3時間の長さ、このとき第1光源部200および/または第2光源部300の光の強さ等を手動で入力することができる。
【0054】
本発明の一実施例によると、制御部は、第1光源部200および/または第2光源部300以外に、水分供給装置にも接続できる。制御部は、水分供給装置を通じて供給される水分の量や、水分が供給される時間等を制御することができる。
【0055】
例えば、制御部は、使用者が操作しなくても水分供給装置110は設定された時間間隔で種400に水分を供給できる。種400に水分を供給する間隔は、種400の種類によって異なり得る。生長に水を多く必要とするタンポポ亜科植物の場合は、相対的に短い間隔で水分を供給することができ、生長に必要な水が少ないタンポポ亜科植物の場合は、相対的に長い間隔で水分を供給することができる。
【0056】
図1bは、第1光源部および第2光源部に使用される発光ダイオードを概略的に図示したものである。
【0057】
図1bを参照すると、発光ダイオードは第1半導体層223、活性層225、および第2半導体層227を含む発光構造体と、発光構造体に接続された第1電極221および第2電極229を含み得る。
【0058】
第1半導体層223は、第1導電型ドーパントがドーピングされた半導体層である。第1導電型ドーパントは、p型ドーパントであり得る。第1導電型ドーパントは、Mg、Zn、Ca、Sr、Ba等であり得る。本発明の一実施例において、第1半導体層223は窒化物系半導体材料を含み得る。本発明の一実施例において、第1半導体層223の材料としては、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InN、InAlGaN、AlInN等を挙げることができる。
【0059】
活性層225は、第1半導体層223上に設けられ、発光層に該当する。活性層225は、第1半導体層223を通じて注入される電子(又は正孔)と第2半導体層227を通じて注入される正孔(又は電子)が出合って、活性層225の形成物質によるエネルギーバンド(Energy Band)のバンドギャップ(Band Gap)差によって光を放出する層である。
【0060】
活性層225は、化合物半導体で具現することができる。活性層225は、例えば、III族-V族またはII族-VI族の化合物半導体の少なくとも一つで具現できる。
【0061】
第2半導体層227は、活性層225上に設けられる。第2半導体層227は、第1導電型ドーパントと反対の極性を有する第2導電型ドーパントを有する半導体層である。第2導電型ドーパントは、n型ドーパントであり得るため、第2導電型ドーパントは、例えば、Si、Ge、Se、Te、O、C等を含むことができる。
【0062】
本発明の一実施例において、第2半導体層227は、窒化物系半導体材料を含んでもよい。第2半導体層227の材料としては、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、InN、InAlGaN、AlInN等を挙げることができる。
【0063】
第1電極221と第2電極229は、それぞれ第1半導体層223と第2半導体層227とが接続されるように多様な形態で設けることができる。本実施例では、第1半導体層223の下部に第1電極221が設けられ、第2半導体層227の上部に第2電極229が設けられたものを図示したが、これに限定されるものではない。本発明の一実施例において、第1電極221および第2電極229は、例えば、Al、Ti、Cr、Ni、Au、Ag、Ti、Sn、Ni、Cr、W、Cu等の多様な金属またはこれらの合金からなってもよい。第1電極221および第2電極229は、単一層または多重層で形成される。
【0064】
本発明の一実施例において、発光ダイオードがバーティカルタイプで提供されたものを説明したが、発光ダイオードが必ずしもバーティカルタイプである必要はなく、本発明の概念に符合する限り、他のタイプで提供されてもよい。
【0065】
本発明の一実施例によると、試料に光を印加するために、光源として、既存の一般的なランプではない発光ダイオードを使用することにより、次のような効果を得ることができる。
【0066】
本発明の一実施例に従い発光ダイオードを光源として使用する場合、既存の一般ランプ(例えば、既存のUVランプ)から出射された光と比べて、特定波長の光を植物に出射することができる。既存のランプから出射された光は、発光ダイオードから出射された光に比べて広い領域でブロードなスペクトルを有する。これにより、既存のUVランプの場合は、出射された光の波長帯域中の一部の帯域の光だけを分離することが容易ではない。それに比べて発光ダイオードから出射された光は、特定波長におけるシャープなピークを有し、既存のランプからの光に比べて半値幅が非常に狭い特定波長の光を出射する。これにより、特定波長の光を選択することが容易となり、その選択された特定波長の光だけを試料に出射することができる。
【0067】
また、既存のランプの場合は、試料に光を提供するものの、光量の正確な限定が難しい場合があるが、発光ダイオードの場合は光量を明確に限定して出射することができる。また、既存ランプの場合は、光量の正確な限定が難しい場合があるため、照射時間もまた、広い範囲に設定できるが、発光ダイオードの場合は相対的に短い時間で明確な時間内に試料に必要な光を出射することができる。
【0068】
上述のように、既存のランプの場合は、相対的に広い範囲の波長、広い範囲の光量、および広い範囲の照射時間によって光照射量の明確な判断が難しい。これに対して発光ダイオードの場合は、相対的に狭い範囲の波長、狭い範囲の光量、および狭い範囲の照射時間によって明確な光照射量を提供することができる。
【0069】
さらに、既存のランプの場合は、電源を入れた後、最大光量に到達するまで相当な時間がかかっていた。それに対して発光ダイオードを使用する場合は、電源を入れた後のウォーミングアップ時間が実質的にほとんどなく、すぐに最大光量まで到達する。よって、発光ダイオード光源の場合は、植物に特定波長の光を照射する時に、光の照射時間を明確に制御することができる。
【0070】
本発明の一実施例によると、前記第1光源部および第2光源部を用いてキク科植物、例えば、タンポポ亜科植物に所定条件下で光を照射することにより、有効成分の含量を変更させることができる。
【0071】
前記第1光源部および第2光源部から照射された光によって、植物内で含量が変更される有効成分としては、クロロフィル、フラボノール、アントシアニン、セスキテルペンラクトン、フェノール系化合物等を挙げることができる。
【0072】
クロロフィルは、緑色野菜の光合成色素として、口臭や便秘の予防に役立つとして知られている。フラボノールは、抗酸化物質として、ケルセチン、ケンフェロール、ミリセチン等が代表的な物質である。ケルセチンは抗酸化能の高い抗酸化物質であり、ケンフェロールは免疫力を強化することで癌細胞の増殖を防ぐものとして知られており、ミリセチンは脂肪の蓄積を抑制して心血管疾患を予防するとして知られている。アントシアニンは、代表的な抗酸化物質として、体内の活性酸素を除去することにより老化を予防する効果がある。アントシアニンは、それ以外にも眼球網膜にあるロドプシンという色素の再合成を助け、目の疲労や視力低下、白内障予防に役立つ。
【0073】
セスキテルペン系化合物(セスキテルペノイド;sesquiterpenoid)は、テルペン系化合物(テルペノイド;terpenoid)の一種であり、そのうち、ラクトン構造を有するセスキテルペンラクトン(sesquiterpene lactone)は、抗腫瘍活性、細胞毒性の緩和、および抗菌作用等の機能をするものとして知られている。特に、包菜内に含まれるセスキテルペンラクトンの一つであるラクチュシンは、睡眠障害の改善効果がある。さらに、セスキテルペンラクトンは微生物病菌に抵抗し、住血吸虫(schistosome)と抗アレルギー活性(antiallergic activity)を防御治療する等の面では、比較的優れた医療用価値があるものとして知られている。
【0074】
本発明の一実施例によると、タンポポ亜科の植物の種を栽培する過程で、紫外線を所定の条件で印加する場合、セスキテルペンラクトンが増加したり、減少したりし得る。植物体内にセスキテルペンラクトンが増加する場合は睡眠障害の改善効果があり、植物体内にセスキテルペンラクトンが減少する場合はタンポポ亜科の摂取時にも眠くなる現象が防止される効果がある。
【0075】
セスキテルペンラクトンは、下記化学式1で表される物質であり、R1およびR2はそれぞれ独立して多様な形態の機能基であり得る。R1およびR2は、例えば、互いに独立して炭素数1個~18個の置換または非置換のアルキル、アルコキシ、アリル、アリール等であり得る。
【0076】
【0077】
本発明の一実施例において、セスキテルペンラクトンは、ラクチュシン(lactucin)、ラクチュコピクリン(lactucopicrin)、8-デオキシラクチュシン(8-deoxylactucin)、ピクリシドA(Picriside A)、クレピジアシドA(crepidiaside A)、ラクチュシン-15-シュウ酸(lactucin-15-oxalate)、ラクチュコピクリン-15-シュウ酸(lactucopicrin-15-oxalate)、8-デオキシラクチュシン-15-シュウ酸(8-deoxylactucin-15-oxalate)、15-デオキシラクチュシン-8-硫酸塩(15-deoxylactucin-8-sulfate)、15-デオキシラクチュシン(15-deoxylactucin)、8-デオキシラクチュシン-15-硫酸塩(8-deoxylactucin-15-sulfate)、および15-(4-ヒドロキシフェニル酢酸)-ラクチュシン-8-硫酸塩(15-(4-hydroxyphenylacetyl)-lactucin-8-sulfate)の少なくとも一つであり得る。
【0078】
又は、本発明の一実施例にかかるセスキテルペンラクトンは、下記の化学式2~化学式8を有し得る。
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
本発明の一実施例において、第2光源部300から照射された光は、種400から成長した植物のフェノール性化合物を増加させる。具体的には、第2光源部300から照射した第2波長帯域の光は、植物の二次代謝を活性化し、これにより二次代謝産物であるフェノール性物質の含量が増加し得る。植物に第2波長帯域の光が照射されると、上述の波長の光は植物を構成する細胞に対してDNA-損傷効果を与え、これにより、上述の波長の光を吸収できるフェノール性物質の生成が促進され得る。フェノール性化合物は、種400から成長した植物が含む抗酸化物質に該当する。
【0087】
本発明の一実施例において、フェノール系化合物は下記の化学式9~化学式11の物質を含み得る。化学式9~化学式11の物質は、それぞれ、ルテオリン(luteolin)、クロロゲン酸(chlorogenic acid)、チコリ酸(chicoric acid)に該当する。ここで、クロロゲン酸(Chlorogenic acid)は、コーヒー酸とキナ酸のエステル結合により構成された天然化合物であり、生物学的抗酸化物質である。クロロゲン酸は、過酸化物の損傷効果を中和させるものとして知られている。
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
本発明の一実施例によると、前記第1光源部および第2光源部を利用してキク科植物、例えば、タンポポ亜科植物に所定条件下で光を照射することにより、有効物質の含量を高めるのに加え、各タンポポ亜科植物の本来の色が表れるようにする効果がある。
【0092】
本発明の一実施例によると、植物栽培用光源を利用する場合、太陽光が十分でなかったり、太陽光を浴びることができなかったりする条件下でも、植物の種類に合った成長環境を提供することができる。特に、植物が有している本来の色を維持できる成長環境を提供することにより、植物の商品性を高めることができる。太陽光を浴びせずに植物を栽培する既存の植物工場の場合、その植物工場内で栽培される植物はアントシアニンの生成がなかったり、あったとしても非常に少量であったりして、本来の植物が有している色を出せない問題点があった。例えば、サニーレタスのようなチコリ科植物は、本来赤色を帯びることが正常であるが、太陽光がない植物工場内で栽培される時は赤色が出なかったり、出ても非常に薄かったりして表れていた。ある植物において、その植物が持つべき本来の色が出せない場合は、消費者がその植物に対して異常があるものと判断することがあり、その結果、商品性が劣ることになる。しかし、本発明の一実施例によると、第1光と第2光を適切に植物に印加することにより、特に、第2光を収穫前の所定期間内に植物に印加することにより、植物の有効成分中のアントシアニンの含量を著しく増加させ、その結果、その植物が本来の植物の色に近い色を出すようになる。これは、商品性の向上に繋がる。本発明の一実施例において、キク科植物、例えば、タンポポ亜科植物に照射される光は、それぞれ互いに別の区間のあいだ照射することができる。ここで区間は、時間的な区間を意味する。例えば、第1光源部から出射された光を第1光とし、第2光源部から出射された光を第2光とすると、一部の区間では第1光に該当する光が照射され得、前記の一部の区間を除いた残りの区間では第1光と第2光共に照射され得る。以下では、説明の便宜のために、第1光が照射される区間を第1区間とし、第1光と第2光が照射される区間を第2区間として説明する。再度説明すると、第1区間では上述の第1光源だけがオンになり、第2区間では上述の第1光源と第2光源が共にオンになる。
【0093】
ここで、第1区間や第2区間は、可視光線波長帯域が含まれる光が照射される区間であり、明条件下における所定の区間を意味する。本発明の一実施例において、第2区間は第1区間よりも短い期間に該当する。
【0094】
本発明の一実施例において、前記第1区間と第2区間は、植物の生育時期および収穫時期によって多様に配置することができる。例えば、第1区間は植物の定植後から収穫前まで配置させることができる。第2区間は、第1区間に隣接して配置でき、全体的な日程内において収穫時期前に配置することができる。言い換えると、植物の定植後、第1区間が続いて、収穫前の第1区間以外の時間に第2区間が配置される。その後、植物が収穫される。本発明の一実施例において、第2区間は収穫前の10日以下に亘って第1区間の合間に配置され得る。詳しくは、第2区間は数日に亘って第1区間の合間に配置される。このとき、照射された第2光の総累積照射量は、例えば、4.032kJ/m2であり得、又は2.880kJ/m2であり得、或いは2.304kJ/m2であり得る。
【0095】
本発明の一実施例において、植物は定植後、約20日間交番される明周期と暗周期下で栽培され得る。つまり、前記第1区間および前記第2区間は、明周期内で順に繰り返され、互いに隣接した前記第1区間および第2区間は、一つの反復周期を成す。前記反復周期において、前記第2区間で照射される光は、前記第1区間では照射されない。
【0096】
植物の定植後14日間(つまり、播種後10日目から23日目まで)の明周期は、第1区間だけであり得る。次に、植物の定植後15日目から20日目まで(つまり、播種後24日目から30日目まで)の約7日間に亘って、明周期は交番的に配置された第1区間と第2区間から成り得る。つまり、明周期内で第1区間と第2区間が順に繰り返される。言い換えると、光の照射は1回当り10分の周期で繰り返され、第2光は1分間照射された後9分間休む、のような周期が明周期のあいだ続けて繰り返される。
【0097】
本発明の一実施例において、第2区間のあいだ植物に照射される第2光の一日の累積エネルギー量は、約0.58kJ/m2であり得、播種の収穫時までに累積された全体累積エネルギー量は、約4.03kJ/m2であり得る。以上では、本発明の一実施例にかかる簡単な形態のタンポポ亜科の植物栽培装置について説明した。但し、本発明の一実施例にかかるタンポポ亜科の植物栽培装置は、商業的なタンポポ亜科植物の生産に用いられ、商業的なタンポポ亜科植物の生産に用いるためのタンポポ亜科の植物栽培装置の別の形態についてより詳しく説明する。
【0098】
図2は、本発明の一実施例にかかるタンポポ亜科の植物栽培装置の断面図である。
【0099】
本発明の一実施例にかかる植物栽培装置10は、相対的に少量のタンポポ亜科植物を栽培するための家庭用または個人用栽培装置であるだけでなく、大量のタンポポ亜科植物を得るための大型工場、つまり、植物生産工場形態で運営することもできる。これにより、植物栽培装置10は複数個の栽培台120、第1光源部200、第2光源部300、および水分供給装置(図示せず)を含むことができる。
【0100】
図面に図したように、複数個の栽培台120、第1光源部200、および第2光源部300は複数個の区域を構成することができる。よって、本体100は複数個の区域(compartment)を含む構造物の形態で設けられる。
【0101】
本体100に含まれた複数個の区域は、それぞれ独立的に機能させることができる。例えば、一部の区域に設けられた第1光源部200では、赤色光よりも青色光がより多く照射され、別の区域に設けられた第1光源部200では、青色光よりも赤色光がより多く照射できる。さらに、本体100の各区域は、時間的にも互いに相違するように機能させることができる。例えば、一部区域では植物401を成長させるために第1光源部200から第1波長帯域の光が照射され、別の区域では植物401内の有効物質の含量を高めたり減らしたりするために第2光源部300から第2波長帯域の光を照射することができる。
【0102】
本体100に含まれた各区域は、上述のように独立的に機能させることができるように、それぞれ密閉された暗室を構成することができる。これにより、任意の区域内に設けられた第1光源部200および/または第2光源部300から出射された光は、別の区域に影響を及ぼすことがない。
【0103】
本体100に設けられた栽培台120もまた、植物401の種類によって互いに異なる培地を含むことができる。よって、植物401の種類に合わせた成長環境を提供することが可能となる。また、栽培台120は本体100から分離することができる。よって、使用者は一部の栽培台120上で育つ植物401が収穫段階になった時、植物栽培装置10全体に影響を及ぼさずに、栽培が完了した植物401が入った栽培台120だけを本体100から分離することができる。
【0104】
本体100は、水分供給装置をさらに含むことができるが、水分供給装置は本体100と栽培台120が接する面に設けられ、栽培台120に含まれた培地に直接水を供給することができる。これにより、スプレー形態の水分供給装置とは異なり、栽培台120の層が重なっているときでも、他の栽培台120に影響を及ぼさずに水分供給が可能となる。
【0105】
第1光源部200は、栽培台120の形態に従って複数個設けることができる。上述のように、第1光源部200は互いに異なる波長の光を出射する複数個の発光ダイオードを含むことができるが、上述の発光ダイオードは、第1光源部200内に同じ割合で、又は異なる割合で設けることができる。第1光源部200内に互いに異なる波長の光を出射する発光ダイオードが同じ割合で設けられる場合、制御部によって植物401の種類に応じて第1波長帯域を調節できる。これにより、植物401の種類に合った成長環境の提供が可能となる。
【0106】
第2光源部300もまた、複数個設けることができる。複数個の第2光源部300は、本体100内の互いに異なる区域に設けることができ、独立的に駆動することができる。これにより、成長が完了して有効物質の含量の増加や減少段階にある植物401だけに第2波長帯域の光を照射することができる。
【0107】
本発明の一実施例において、植物生産工場の形態で運営される植物栽培装置には、制御部に多様なセンサー(例えば、温度センサー、湿度センサー、光量センサー等)をさらに配置することができ、制御部はセンサーによるデータが転送されて、第1光源部および第2光源部並びに水分供給装置等を、全体的に又は個別的に制御することができる。このような植物栽培システムを備えた栽培装置は、直接、又は遠隔の離隔地で、有線、無線またはインターネット手段等でデータを送受信することもでき、別途のディスプレイを通じて各種センサー、第1光源部および第2光源部、水分供給装置からのデータを表示することもできる。使用者は、このようなデータを検討した後、制御部を通じて最適条件が具現されるように指示することができる。
【0108】
上述の通り、本発明の一実施例にかかる植物栽培装置10を用いて有効物質の含量が変更されたタンポポ亜科植物を大量且つ容易に栽培することができる。例えば、本発明の一実施例のように、栽培方法を通じて、合成ではない天然の状態の有効物質を大量に収得することができる。大量に収得された有効物質は、別途の加工工程を通じて、医薬品、健康補助食品、各種調味料等の形態に加工することができる。例えば、収穫直後の有効物質の含量が最も高い状態が最終的な製品でも保たれるように、有効物質の含量が高いタンポポ亜科植物を収穫と同時に凍結乾燥させることができる。凍結乾燥されたタンポポ亜科植物は、多様な形態、例えば、粉末等に加工されたり別途の過程を通じて有効物質だけが抽出される形態に加工されたりすることもできる。これにより、使用者は有効物質の含量が高いタンポポ亜科植物をそのまま摂取したり、別途の加工工程を通じて加工された製品の形態で摂取したりすることもできる。さらに、本発明の一実施例にかかる植物栽培装置を用いると、複数個の植物401を同時に栽培でき、植物401の種類に合った成長環境を独立的に提供することができる。これにより、本発明の一実施例にかかる植物栽培装置10を用いると、互いに異なる種類の植物401を同時に栽培することができる。
【0109】
本発明の一実施例によると、植物栽培用光源を用いる場合、太陽光が十分でなかったり、太陽光を浴びることができなかったりする条件下でも、植物の種類に合った成長環境を独立的に提供することができる。また、本来植物が持つ色を有しつつ、有効物質の含量の高い植物を容易に栽培することができる。
【0110】
実施例
【0111】
1.植物の生育および光処理条件1
【0112】
以下の実施例において、キク科植物のうちタンポポ亜科植物を一例にして実験を行った。タンポポ亜科植物は、31日目になる日に収穫した(31日間生育)。生育期間中の温度は22±1℃、相対湿度は70±10%に保って栽培した。生育期間中、第1光および第2光は発光ダイオードを用いて照射した。
【0113】
比較例および実験例にかかるタンポポ亜科植物の生育条件は、
図3aおよび
図3bに図示した。以下、図面では、説明の便宜のために、第1光が出射される区間を第1区間とし、第1光および第2光が出射される区間を第2区間として表示した。
【0114】
図3aおよび
図3bを参照すると、播種後、2日間暗周期でタンポポ亜科植物を発芽させた。言い換えると、タンポポ亜科植物を生育させるために先ず栽培用スポンジにタンポポ亜科植物の種子を播種し、約2日間暗周期で発芽させた。
【0115】
3日目から播種後9日になる日までは明周期と暗周期下で生育し、これは定植前の照射期間に対応する。タンポポ亜科植物は、第1光が照射され、明周期で約60μmol/m2/s PPFD(Photosynthetic Photon Flux Density)の光度で光が照射された。発芽後、定植前は精製水だけ植物に与えた。
【0116】
育った新芽は、10日目にDFT(deep-flow technique)水栽培の栽培システムに定植した。定植後、タンポポ亜科植物は、明周期と暗周期下で養液によって生育した。養液は、ホーグランドストック溶液(Hoagland stock solution)が使用され、pHは5.5~6.5に保たれた。
【0117】
比較例において、植物に、定植後20日間、一日24時間単位で明周期と暗周期がそれぞれ提供され、一日24時間内で明周期は16時間、暗周期は8時間を維持した。定植後20日間、明周期に第1光が照射され、第2光は照射しなかった。つまり、比較例の場合は、定植後の照射期間が明周期で第1区間だけに行われた。ここで、第1光は明周期で約150μmol/m2/s PPFDの光度で照射された。
【0118】
実験例1において、植物に、定植後20日間、一日24時間単位で明周期と暗周期がそれぞれ提供され、一日24時間内で明周期は16時間、暗周期は8時間を維持した。定植後20日間、明周期に第1光が照射され、定植後20日目に明周期が始まる時に、第2光を6時間照射した。これにより、実験例1の場合、定植後の照射期間は、19日間は明周期で第1区間だけに行われ、最後の20日目には明周期で第2区間と第1区間に行われた。詳しくは、実験例1は定植後20日目(播種後30日目)に明周期内で第1光を持続的に照射しながら、一部の区間で6時間第2光を連続して照射した。ここで、第1光は明周期で約150μmol/m2/s PPFDの光度で照射され、第2区間のあいだ照射された第2光の累積総エネルギー量は2.16kJ/m2だった。
【0119】
実験例2において、植物に、定植後20日間、一日24時間単位で明周期と暗周期をそれぞれ提供し、一日24時間内で明周期は16時間、暗周期は8時間を維持した。実験例2では、明周期内で第2光が点滅して植物に照射され、1回当り10分の周期で1分間照射後9分間休み、再度照射が始まる点滅方式で照射した。実験例2において、一日に処理されるUV照射エネルギー量は0.576kJ/m2だった。実験例2は、播種後にUVを処理し、総UV照射エネルギー量は4.032kJ/m2だった。
【0120】
比較例、実験例1、および実験例2は、第2光の照射有無、照射時間、照射エネルギーだけが異なり、他の条件は全て同様に維持した。ここで、第1光は可視光線波長帯域を有する光で、第2光はUV Bの波長帯域を有する光であり、詳しくは285nmの波長を有する光だった。
【0121】
その後、31日目にタンポポ亜科植物を収穫した。
【0122】
2.比較例、実験例1および2にかかるグリーンリーフの外形の比較
【0123】
本実験では、グリーンリーフに
図3aと
図3bに図示した条件で比較例と実験例1に分けて栽培し、収穫後の外形の損傷有無を調査した。
【0124】
図4aは、比較例と実験例1にかかるグリーンリーフの外形を撮影した写真であり、
図4bは、比較例と実験例2にかかるグリーンリーフの外形を撮影した写真である。
図4aにおいて、左側のグリーンリーフが比較例で、右側のグリーンリーフが実験例1に該当する。
図4bにおいては、左側のグリーンリーフが比較例で、右側のグリーンリーフが実験例2に該当する。
【0125】
図4aおよび
図4bを参照すると、比較例の場合は外形の損傷が全くなかった。しかし、実験例1の場合は、葉が枯れて葉の端部が反る葉のカール現象が観察され、全体的に茶変が起こった。これに対して実験例2は、比較例と違いが見られず、全体的な外形の損傷は全くなかった。
【0126】
これにより、実験例1の場合は、第2光の累積エネルギー量が2.16kJ/m2であって実験例2の第2光の累積エネルギー量4.03kJ/m2よりもかなり少ないにもかかわらず、外形の損傷が非常に大きかったことが確認できた。これは、第2光の連続した照射によるものと判断でき、これによりエネルギー量が大きくても点滅照射の場合は外形の損傷が最小化されるという点が確認できた。
【0127】
3.比較例と実験例2にかかるグリーンリーフの有効物質含量の比較
【0128】
図5a~
図5dは、グリーンリーフにおいて比較例と実験例2の収穫後の有効物質の含量を図示したグラフである。
図5a~
図5dにおいて、各有効物質は、順に、クロロゲン酸、クロロフィル、フラボノイド、およびアントシアニンである。
【0129】
比較例および実験例2にかかる結果を得るために、播種後31日目になる日に植物を収穫し、デュアレックス(dualex)という非破壊性分析装備を用いて葉を光センサーで透過させる方式で、クロロゲン酸、クロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を測定した。グリーンリーフは、18個体を測定した(n=18)。
【0130】
図5a~
図5dを参照すると、比較例に比べて実験例2で全て有効物質含量の著しい増加が観察された。つまり、第2光を植物に印加する場合、クロロゲン酸、クロロフィル、フラボノイド、および/またはアントシアニンに該当する有効物質が著しく増加することが確認できた。
【0131】
4.比較例と実験例2にかかる別のタンポポ亜科植物の有効物質含量の比較
【0132】
図6a~
図6cは、別のタンポポ亜科植物において比較例と実験例2の収穫後の有効物質の含量を図示したグラフである。
【0133】
図6a~
図6bにおいて、タンポポ亜科植物として、チコリ、ロロロッサレタス、赤レタス、サニーレタス、ロメインレタスを例として実験し、
図6cにおいて、タンポポ亜科植物として、ロロロッサレタス、赤レタス、サニーレタス、ロメインレタスを例として実験した。各有効物質の含量は、クロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンに対して測定し、
図6a~
図6cのグラフは、順に、クロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンに対するものである。
【0134】
比較例および実験例2にかかる結果を得るために、播種後31日目になる日に各植物を収穫し、デュアレックスという非破壊性分析装備を用いて葉を光センサーで透過させる方式で、クロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を測定した。各植物は、18個体を測定した(n=18)。
【0135】
図6a~
図6cを参照すると、タンポポ亜科植物に該当するチコリ、ロロロッサレタス、赤レタス、サニーレタス、およびロメインレタスが全体的に、比較例に比べて実験例2で有効物質が著しく増加したことが確認できた。
【0136】
5.比較例と実験例2にかかるタンポポ亜科植物の外形の色の比較
【0137】
図7a~
図7fは、タンポポ亜科植物において比較例と実験例2の収穫後の外形の色を確認するために撮影した写真である。
【0138】
図7a~
図7fは、順に、タンポポ亜科植物のチコリ、ロロロッサレタス、赤レタス、サニーレタス、ロメインレタス、およびグリーンリーフに関する写真である。
図7a~
図7fにおいて、左側は各タンポポ亜科植物の比較例の結果であり、右側は各タンポポ亜科植物の実験例2の結果に該当する。
【0139】
図7a~
図7fを参照すると、比較例および実験例2は共に外形の損傷は観察されなかった。しかし、比較例は全て全体的に緑色を帯びた。これに対して、実験例2の場合は、植物の本来の色が一部赤色を表す植物、例えば、ロロロッサレタス、赤レタス、サニーレタスの場合は、実験例2の結果の方が、比較例と比べて著しく赤い色が表れた。植物の赤色は、アントシアニンに起因するものと思われ、これは第2光を植物に印加することによりアントシアニンの含量が増加し、その結果、その植物の色にも影響を及ぼすということが確認できた。
【0140】
6.植物の生育および光処理条件2
【0141】
以下の実施例において、キク科植物のタンポポ亜科植物、そのうちのサニーレタスを一例にして実験を行った。生育期間の温度は22±1℃、相対湿度は70±10%に維持して栽培した。生育期間の第1光および第2光は、発光ダイオードを用いて照射した。
【0142】
サニーレタスは、計31日目になる日に収穫(31日間生育)した。以下の比較例および実験例にかかるサニーレタスの生育条件は、
図8aおよび
図8bに図示した。以下、図面では、説明の便宜のために、第1光が照射される区間を第1区間とし、第1光および第2光が照射される区間を第2区間と表示した。
【0143】
図8aおよび
図8bを参照すると、播種後、2日間暗周期でサニーレタスを発芽させた。言い換えると、サニーレタスを生育させるために、先ず栽培用スポンジにサニーレタスの種子を播種し、約2日間暗周期で発芽させた。
【0144】
3日目から播種後9日になる日まで明周期と暗周期下で生育し、これは定植前の照射期間に対応する。サニーレタスには第1光が照射され、明周期で約60μmol/m2/s PPFDの光度で光が照射された。発芽後、定植前は精製水だけを植物に与えた。
【0145】
育てた新芽は、10日目にDFT(deep-flow technique)水栽培の栽培システムに定植した。定植後、サニーレタスは明周期と暗周期下で養液によって生育した。養液は、ホーグランドストック溶液(Hoagland stock solution)が使用され、pHは5.5~6.5に維持した。
【0146】
比較例において、植物に定植後20日間、一日24時間単位で明周期と暗周期がそれぞれ提供され、一日24時間内で明周期は16時間、暗周期は8時間を維持した。定植後20日間は明周期に第1光が照射され、第2光は照射されなかった。つまり、比較例の場合は、定植後の照射期間は明周期で第1区間だけに行われた。ここで、第1光は明周期で約150μmol/m2/s PPFDの光度で照射された。
【0147】
実験例1~3において、植物に定植後20日間、一日24時間単位で明周期と暗周期がそれぞれ提供され、一日24時間内で明周期は16時間、暗周期は8時間を維持した。実験例1~3では、明周期内で第2光が点滅して植物に照射され、実験例1~3共に1回当り数分の周期で数分間照射した後、一定時間繰り返す休みを有し、再度照射が始まる点滅方式で照射した。実験例1~3において、一日に処理されるUV照射エネルギー量は0.576kJ/m2で、各処理は処理が始まる日数と総照射エネルギー量が異なるだけで照射方式は同じだった。
【0148】
実験例1は、播種後にUVを処理し、総UV照射エネルギー量は2.304kJ/m2だった。実験例2は、播種後UVを処理し、総UV照射エネルギー量は2.880kJ/m2だった。実験例3は、播種後UVを処理し、総UV照射エネルギー量は4.032kJ/m2だった。
【0149】
7.比較例と実験例1~3にかかるサニーレタスの有効物質含量の比較
【0150】
図9a~
図9dは、サニーレタスにおいて比較例と実験例1~3の収穫後の有効物質の含量および結果物の重量を図示したグラフである。
図9a~
図9cは、各有効物質の含量を示したものであり、順に、クロロゲン酸、クロロフィル、フラボノイド、およびアントシアニンである。
図9dは、収穫時のサニーレタスの生体重量と乾燥重量を示したものである。
【0151】
比較例および実験例1~3にかかる
図9a~
図9dの結果を得るために、播種後31日目になる日に植物を収穫し、デュアレックスという非破壊性分析装備を用いて葉を光センサーで透過させる方式で、クロロゲン酸、クロロフィル、フラボノール、およびアントシアニンの含量を測定した。サニーレタスは18個体を測定した(n=18)。その後、植物9個体を収穫して生体重量(n=9)を測定し、そのうち5個体は液体窒素で生体活動を中断させた後、3日間凍結乾燥して乾燥重量(n=5)を測定した。
【0152】
図9aは、クロロフィル含量に対するグラフであり、実験例1、2、3共に比較例よりも高い数値を表した。実験例1と3は、似た数値を表し、実験例2は、比較例よりも高く、実験例3よりは低いが、実験例1とは有意な違いはなかった。比較例に比べて実験例1、2、3はそれぞれ28.1%、18.4%、38.6%増加した。
【0153】
図9bは、フラボノール含量に対するグラフであり、実験例1、2、3全て比較例よりも高い数値を表し、実験例1~3間の実質的な違いはなかった。比較例に比べて実験例1、2、3は、それぞれ203.7%、188.9%、213.8%増加した。
【0154】
図9cは、アントシアニン含量に対するグラフであって、実験例1、2、3全て比較例よりも高い数値を表し、実験例1~3間の実質的な違いはなかった。比較例に比べて実験例1、2、3は、それぞれ66.9%、71.2%、74.5%増加した。
【0155】
図9dは、生体重量、乾燥重量に対するグラフであり、比較例と実験例1は二種類の重量共に実質的な重量変化はなかった。実験例2は、生体重量は違いがなかったが、乾燥重量において16.9%減少が見られた。実験例3は、生体重量、乾燥重量共に比較例に比べて低い数値を見せ、生体重量は21.0%、乾燥重量は23.1%減少した。
【0156】
結果的に、生体重量と乾燥重量に影響を及ぼさないと共に、機能性物質が増加し得る条件は、実験例1のように総累積エネルギー量が2.304kJ/m2を超えてはならないことが確認できた。
【0157】
以上では、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者または該当技術分野の通常の知識を有する者であれば、後述の特許請求の範囲に記載した本発明の思想および技術領域から外れない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させられることを理解できると考える。
【0158】
よって、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明の記載内容に限定されるのではなく、特許請求の範囲によって決められなければならない。