(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】液化水素を貯蔵し、分配する方法及び設備
(51)【国際特許分類】
F17C 5/04 20060101AFI20240122BHJP
B60P 3/22 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
F17C5/04
B60P3/22
(21)【出願番号】P 2021518543
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 FR2019052232
(87)【国際公開番号】W WO2020074801
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-07-05
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】アリディエール、ローラン
(72)【発明者】
【氏名】デソウザ シルヴァ、レナン ルイ
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/173136(WO,A1)
【文献】特開平05-215298(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0308083(US,A1)
【文献】特開2017-003065(JP,A)
【文献】特開2013-210044(JP,A)
【文献】特表2022-502616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 5/04
B60P 3/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体水素のタンク(8)を充填する充填方法であって、前記充填方法は、液体水素の第一の量を、水素液化装置(3)を含む第一の液体水素供給源から前記タンク(8)に輸送する第一の輸送ステージ(33)を備え、前記液体水素の第一の量は前記タンク(8)内の温度と圧力を下げるために提供され、
前記充填方法は、液体水素の第二の量を、液体水素の貯蔵設備(4)を含む第二の液体水素供給源から前記タンク(8)に輸送する第二の輸送ステージ(34)を備え、
前記液体水素の第一の量が前記水素液化装置(3)から前記タンク(8)に直接輸送され、前記液体水素の第二の量は、前記貯蔵設備(4)と前記タンク(8)との間の圧力差によって前記タンク(8)の中に輸送され、前記第二の輸送ステージ(34)は前記第一の輸送ステージ(33)の後に遂行される、充填方法。
【請求項2】
前記第一の液体水素供給源(3)により供給される前記液体水素の第一の量は、前記タンク(8)内の貯蔵圧力での水素の沸点より低い温度を有することを特徴とする、請求項1に記載の充填方法。
【請求項3】
前記タンク(8)内に輸送される前記液体水素の第一の量は、液体水素の所定の量、前記タンク(8)内の液体貯蔵容量の所定の割合、前記第一の液体水素供給源から前記タンク(8)への液体水素の特定の流量での輸送の所定の持続時間に対応する液体水素の量、前記タンク(8)内の温度と圧力をそれぞれの所定の数値だけ下げるのに必要な液体水素の量、前記タンク(8)内で、それぞれ所定の温度及び圧力値を実現するのに必要な液体水素の量のうちの1つであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の充填方法。
【請求項4】
特定の貯蔵圧力の液体水素の貯蔵設備(4)と、充填対象の少なくとも1つの移動タンク(8)と、気体水素の供給源(2)と、前記供給源(2)に接続された入口と前記貯蔵設備(4)に接続された出口を含む液化装置(3)と、を備える液化水素の貯蔵及び分配のための施設であって、
前記貯蔵設備(4)は、前記貯蔵設備(4)に接続された1つの端と、前記移動タンク(8)に接続される予定の少なくとも1つの他の端を含む液体取出し管(10)を備え、
前記液化装置(3)は、前記貯蔵圧力での水素の沸点より低い温度の水素を生成し、それを前記貯蔵設備(4)に供給するように構成されている施設において、
前記施設は、ボイルオフガスをその液化のために前記貯蔵設備(4)に輸送するために、前記移動タンク(8)に接続される予定の端と前記貯蔵設備(4)に接続される予定の端を含むボイルオフガスの回収管(11)を備え、
前記施設は、さらに、前記液化装置(3)の前記出口に接続された端と、前記移動タンク(8)に直接接続される予定の端を有する輸送管(13)を備え、
前記施設は、前記少なくとも1つの移動タンク(8)への充填を、液体水素の第一の量を前記液化装置(3)から前記輸送管(13)を介して前記移動タンク(8)内に輸送し、その後、液体水素の第二の量を前記貯蔵設備(4)から前記液体取出し管(10)を介して前記移動タンク(8)へと輸送することによって行うように構成されており、
前記施設は、前記第一の量の輸送と前記第二の量の輸送との間で、前記移動タンク(8)から外部への排気管(15)を介した加圧ガスの取出しを含み、前記移動タンク(8)内の圧力低下を生じさせるように構成されている、施設。
【請求項5】
前記施設は、充填を行う前に前記移動タンク(8)内の初期圧力及び温度状態を測定又は推定するためのセンサ群(22)を含むことと、前記第一の量の輸送と前記第二の量の輸送との間で、前記移動タンク(8)内の前記初期圧力及び温度状態に応じて前記移動タンク(8)内の圧力低下を生じさせるか生じさせないように構成されていることを特徴とする、請求項
4に記載の施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化水素を貯蔵し、分配するための方法と施設に関する。
【0002】
本発明は、より詳しくは、液体水素タンク、特にセミトレーラの移動タンクへの充填を行う方法に関し、この方法は、液体水素の第一の量を、水素液化装置を含む第一の液体水素供給源からタンク内に輸送する第一のステージを含み、液体水素の第一の量はタンク内の温度と圧力を下げるために提供される。
【背景技術】
【0003】
特にその密度から、大量の生成物を長距離に渡って運搬しなければならない場合、液体水素は気体水素より有利である。
【0004】
液体水素の他の利点は、その密度と、燃料電池自動車用水素サービスステーションでの貯蔵容量の大きさに関する。20Kの温度で、事実上、気体からすべての不純物(この温度では固体である)が取り除かれ、それによって燃料電池の動作が最適化される。
【0005】
他方で、水と比較した液体水素の密度の低さ(70g/リットル)により、静水頭により利用可能な圧力が低く、それによって送出が困難となり、また、低い温度が液体輸送中のかなり大きな蒸発損失の原因となり得る。
【0006】
これは、トラック及び水素液化工場においてタンクに充填するためのシステムによって生じ得る損失は、生成量の15%に及ぶ可能性があるからである(例えば、タンクからの損失0.2%、タンクに充填するための弁におけるフラッシュ蒸発による損失5%、及びトラックにおける損失10%)。
【0007】
これらの蒸発による損失はもちろん、貯蔵後に回収、再加熱、圧縮し、液化装置の中に再注入できる。このことは
図1において概略的に示されており、これは生成された液体の貯蔵のための貯蔵設備4を含む施設を表す。水素は気体水素の供給源2から生成され、それが液化装置3の中で液化されてから貯蔵設備4へと輸送される。ボイルオフガスは、例えば直列のヒータ5、バッファタンク6(例えば、等圧)、及び圧縮部品7を含むユニットから取り出すことができる。回収され、圧縮された気体は、液化装置3の入口で取り込むことができ、それを再液化し、貯蔵設備4へと再導入できる。
【0008】
例えば、液化装置3により生成される液体水素は貯蔵設備4に、(例えば、液化装置の故障を補償するために数日分の消費量を自給自足できる割合で)例えば1.05~5 bar absの圧力で供給される。
【0009】
従来、生成された液体水素は貯蔵設備の圧力におけるその沸点にあり、これは液化がジュール-トムソン効果弁を通じて行われる水素クロードサイクルを用いる水素液化ユニットの従来の設計による。
【0010】
タンク8は、その中の液体水素が小さい体積パーセンテージであり(例えば、約5%)、加圧され(例えば、3~10 bar abs)、高温ガスヘッドスペース(温度は100Kまで到達することもある)と層状となった状態でローディングステーションに到着する。タンク8の全内壁も「高温」(通常、それが接触する液体と同じ温度)である可能性がある。
【0011】
1つ又は複数のタンク8には重力により充填を行うことができるが、液体の密度が低いため、これでは急速な充填ができない。充填はまた、圧力差により行うこともできる(貯蔵設備4の圧力はタンク8の圧力より高く、特に圧力差は所望の充填速度に応じて300 mbar~1 barであり、流体連通するとそれが流れを生じさせる)。これらの損失水頭には、液体の一部を気化させる効果がある(弁における異常な損失水頭若しくは事故、又はライン内の損失水頭)。
【0012】
それに加えて、比較的より低温の貯蔵設備4からの水素が比較的より高温のタンク8の金属壁及び輸送配管の壁と接触することもかなりの蒸発の原因となる。
【0013】
この動作中に蒸発した水素はその後、
図1に示されるように、排気されるか、又は液化装置3へと再循環される。この解決策にはそれゆえ、液化装置を実際に使用できるものより速い流速にプロポーショニングする必要がある。それに加えて、これは、加熱装置、等圧貯蔵能力(ガスタンク型)、及びフラッシュガス圧縮器を含むフラッシュガス再循環システムへの投資を必要とするが、それはフラッシュガスもまた場合によっては低温の状態で直接液化装置に戻る可能性があるからである。しかしながら、これはトラックに充填を行うための作業から生じるボイルオフの不安定な流速のために液化装置の動作を妨害する。
【0014】
したがってこれらの解決策は、生成物の損失(空気中への放出)を発生させるか、又は液化装置3と気体回収ユニットを、トラックの充填中に生成されるボイルオフガスを吸収できるように調整する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の1つの目的は、上述の先行技術の欠点の全部又は幾つかを克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのために、本発明による、さらには上の序文に記されたその一般的定義による方法は基本的に、この方法が第二の量の液体水素を、液体水素貯蔵設備を含む第二の液体水素供給源からタンクに輸送する第二のステージを含み、第二の量の液体水素は液体水素貯蔵設備とタンクとの間の圧力差によってタンク内に輸送されることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる:
-第一の液体水素供給源により補給される液体水素の第一の量は、タンク内の貯蔵圧力の水素の沸点より低い温度を有する。
-タンク内に輸送される液体水素の第一の量は、液体水素の所定の量、タンク内の液体貯蔵容量の所定の割合、第一の液体水素供給源からタンクへの液体水素の特定の流量での輸送の所定の持続時間に対応する液体水素の量、タンク内の温度と圧力をそれぞれの所定の数値だけ下げるのに必要な液体水素の量、タンク内で、それぞれ所定の温度及び圧力値を実現するのに必要な液体水素の量のうちの1つである。
-方法は、第一の輸送ステージと第二の輸送ステージとの間に、タンクから貯蔵設備への加圧ガスの特に圧力等化による取出し、加圧ガスの外部への取出し、特に大気中への放出のうちの少なくとも1つを含むタンク内の圧力を低下させるステージを含む。
-タンク内の圧力を低下させるステージは、タンクからの加圧ガスの貯蔵設備の液相への取出しにより貯蔵設備内の前記加圧ガスを少なくとも部分的に凝結させることを含む。
-方法は、第一の液体水素供給源から液体水素を液体水素貯蔵設備へと、貯蔵設備内の温度を特定の範囲内、特に一定の温度に保つように調整された温度で輸送するステージを含む。
-方法は、タンク内の圧力を、タンクから外部への、特に大気中への加圧ガスの取出しを介して低下させるステージを含み、この圧力低下のステージの終了時に、タンク内の圧力は大気圧より高く保たれる。
-方法は、第一の輸送ステージの前に、タンク内の初期圧力及び、任意選択により温度状態を測定又は推定するステージを含む。
-第一の輸送ステージの前のタンク内の初期圧力及び任意選択により温度状態に応じて、方法はタンク内の圧力を低下させるステージを含むか、又は含まない。
-タンク内の初期圧力が1.05~12 bar絶対圧、特に3 bar絶対圧である場合、第二の輸送ステージは、第一の輸送ステージの直後に行われ、すなわち、これら2つの輸送ステージ間の、タンク内の圧力を低下させるためのタンクからの流体の取出しが行われない。
-タンク内の初期圧力が4~8 bar abs、特に6 bar absと等しく、タンク内の初期温度が80~120K、特に100Kと等しい場合、方法は、2つの輸送ステージ間にタンク内の圧力を下げるステージを含む。
-タンク内の初期圧力が8~12 bar abs、特に10 bar絶対圧と等しく、タンク内の初期温度が20~120K、特に70又は100Kと等しい場合、方法は、2つの輸送ステージ間にタンク内の圧力を低下させるステージを含む。
-第一の液体水素供給源により補給される液体水素の第一の量は、タンクに直接、及び任意選択により貯蔵設備にも輸送され、液体の圧力での飽和温度と水素の凝固温度よりわずかに高い温度との間の温度、特に2.5バールの貯蔵圧力の場合に15K~23.7Kの温度を有する。
-第一の液体水素供給源により補給される液体水素の第一の量は、タンク内の貯蔵圧力での水素の沸点に対して0.1~12K低い温度を有する。
-第一の液体水素供給源により補給される液体水素の第一の量は、1.05~12 barの貯蔵圧力の場合に20.4K~33Kの温度及び/又は1.05~5 barの貯蔵圧力の場合に15K~27.1Kの温度を有する。
【0018】
本発明はまた、特定の貯蔵圧力の液体水素貯蔵設備と、充填対象の少なくとも1つの移動タンクと、気体水素供給源と、供給源に接続された入口と液体水素貯蔵設備に接続された出口を含む液化装置と、を含み、貯蔵設備は液体水素貯蔵設備に接続された1つの端と移動タンクに接続される予定の少なくとも1つの他の端を含む液体取出し管を含み、液化装置は、貯蔵圧力での水素の沸点より低い温度の水素を生成し、それを貯蔵設備に供給するように構成される液化水素の貯蔵及び分配施設にも関し、施設はボイルオフガス回収管を含み、これは、タンクに接続される予定の端と貯蔵設備に接続される予定の端を含み、それによってこのボイルオフガスをその液化のために貯蔵設備に輸送し、施設はそれに加えて、液化装置の出口に接続された端と、タンクに直接接続される予定の端を有する輸送管を含み、施設は、少なくとも1つのタンクへの充填を、液体水素の第一の量を液化装置から輸送管を介してタンク内に輸送し、その後、液体水素の第二の量を貯蔵設備から液体取出し管を介してタンクへと輸送することによって行うように構成され、施設は、任意選択によって第一及び第二の量の輸送間で、タンクから貯蔵設備への回収管を介した、特に圧力等化による加圧ガスの取出し、外部への、特に大気への排気管を介した加圧ガスの取出しの少なくとも一方を含む、タンク内の圧力低下を生じさせるように構成される。
【0019】
他の考え得る顕著な特徴によれば:
-施設は、充填を行う前にタンク内の初期圧力及び任意選択により温度状態を測定又は推定するためのセンサ群を含み、施設は、任意選択により第一及び第二の量の輸送間で、タンク内の前記初期圧力及び任意選択により温度状態に応じてタンク内の圧力低下を生じさせるように構成される。
【0020】
その他の特有の特徴と利点は、図面に関して提供される以下の説明文を読めば明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】先行技術による施設の構造と動作を図解する概略部分図を表す。
【
図2】本発明による施設の例の構造と動作を図解する概略部分図を表す。
【
図3】本発明による施設の例の構造と動作を図解する概略部分図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実装可能な実施例による液化水素の貯蔵、分配のための施設1が
図2に示されている。
図1のものと同じ要素は同じ参照番号で指示されている。
【0023】
施設1は、特定の貯蔵圧力の液体水素貯蔵設備4を含む。この貯蔵設備4は例えば、例えば数百立方メートルという大容量の真空断熱貯蔵設備である。この貯蔵設備4は従来、気相と共に液相を収容し、これら2つの相は、タンクの大きさと充填/排出作業の結果として、熱力学平衡状態にならないようにすることができる。
【0024】
従来、貯蔵圧力は好ましくは、例えば固定値(例えば、1.05~11バール、例えば1.1~5バール、特に2.5バール絶対圧力)に調整される。
【0025】
「貯蔵圧力」とは、例えば貯蔵設備内又は貯蔵設備の底部若しくは上部(ガスヘッドスペース)内の平均圧力を意味すると理解されたい。これは、水素が低密度である結果として、貯蔵設備の下部内の圧力は上部の圧力と実質的に等しいからである。
【0026】
設備はさらに、気体水素の供給源2と、供給源2に接続された入口と液体水素貯蔵設備4に接続された出口を含む液化装置3と、を含む。
【0027】
供給源2は、水素ネットワーク及び/又は水素産生のためのユニット(例えば、水蒸気改質及び/又は電解による、又は他の何れかの適当な供給源)とすることができる。供給源はそれゆえ、純度の低い供給源からの水素(製錬残留ガス、塩素アルカリ水電解装置から生じる有害水素、及びその他)の回収を含むこともできる。
【0028】
供給源2により供給され、液化装置3により液化される水素は、貯蔵設備4に間欠的及び/又は連続的及び/又は貯蔵設備4内の液位が所定の閾値を下回ったときに輸送できる。好ましくは、貯蔵設備4内の液位は、液化装置3側の供給を介して(液化装置3からの流量及び/又は貯蔵設備4に供給される液体の流量の調整のための弁)自動的に制御される。
【0029】
施設はさらに、液体水素貯蔵設備4に接続された端と、充填される1つ又は複数のタンク8、特に配送トラックに取り付けられたタンク等の移動タンクに接続される予定の端を含む、液体の取出のための管10を含む。
【0030】
この取出し管10には弁19、例えばパイロット式弁、及び/又はポンプ若しくはその他を提供できる。
【0031】
これらのトラックは特に、固定タンク、特に車両に水素を補給するためのステーションに供給できる。
【0032】
それゆえ、貯蔵設備4には、液体部の中、特に貯蔵設備4の底部に出る充填管12を介して充填できる。例えば、この管12は、貯蔵設備4の壁間の真空断熱空間を通ることができる(
図2参照)。
【0033】
輸送/充填は、この管12上に設けられた弁16(例えば、パイロット式弁)を介して制御できる。
【0034】
図2の施設例は追加的に、液化装置3の出口に接続された端とタンク8に直接(貯蔵設備4を通らずに)接続される予定の端を有する輸送管13を含む。輸送管13には、液体水素を液化装置3からタンク8へと輸送するために弁20(好ましくはパイロット式弁)を備えることができる。
【0035】
液化装置3は、サブクールされた、すなわち貯蔵設備の圧力での水素の沸点より低い温度の液体を生成するように構成される。
【0036】
この液体はそれゆえ、蒸発が始まる前に利用可能な「予備エネルギー」を有する。これは、作動流体が典型的にヘリウムを含む混合物である“Turbo-Brayton”型のサイクル液化装置で得ることができる。液化装置3は例えば、その作動流体がヘリウムを含むか、又はヘリウムからなる液化装置とすることができる。例えば、液化装置3は、本出願人が販売する“Turbo-Brayton”冷却システムを含むことができ、これは特に15K~200Kの冷却及び液化を提供できる。
【0037】
もちろん、他の何れの液化策も想定できる。それゆえ、例えば、真空膨張弁を含む水素作動流体サイクルを用いるか、又は液体タービン若しくは追加のヘリウムサイクル型の、液化後に水素をサブクーリングするためのシステムを用いるその他の構成も可能である。
【0038】
この種の液化装置3により、15Kと低い温度且つ10bar(絶対圧)と高い圧力のサブクールされた液体水素を補給することが可能となる。この場合、タンク8への充填は、幾つかのステージで、後述のような幾つかのシナリオで行うことができる。
【0039】
特に、第一のフェーズにより、タンク8への部分的な充填は特に液化装置3によって直接行うことができる。
【0040】
この第一のフェーズにおいて、タンク8には、輸送管13を介して、液化装置3から直接生じた水素を充填でき、液化装置3は水素をタンク8内の初期圧力(タンク8の入口圧力)で補給でき、これは貯蔵設備4の圧力より高い可能性がある。
【0041】
タンク8内(好ましくは、上部)に輸送されたサブクール液体は、タンク8の高温のガスヘッドスペースと接触する。これによって、タンク8の温度と圧力は、ガスヘッドスペースの一部の凝結により低下する。
【0042】
この第一のフェーズ中に、タンク8は層状となり得る(全体的な熱力学的平衡状態は平衡状態での温度の非均質性にリンクしない)。サブクール液体はまた、比較的高温のタンク8の内側(金属)壁と接触し、それが冷える。
【0043】
この第一のステージ又は第一のフェーズで、タンク8内に輸送される液体水素の量は:
-液体水素の所定の量、
-タンク8内の液体貯蔵容量の所定の割合、例えば10分の1、
-液体水素の第一の供給源からタンク8への特定の流量での所定の輸送持続時間に対応する液体水素の量、
-タンク内の温度と圧力をそれぞれ所定の値だけ下げるのに必要な液体水素の量、タンク8内でそれぞれ所定の温度及び圧力値に到達するのに必要な液体水素の量
のうちの1つとすることができる。
【0044】
第二の考え得るフェーズにおいて、タンク8は貯蔵設備4の中で少なくとも部分的に減圧できる。
【0045】
この第二の考え得るフェーズ中に、タンク8は気体の取出しにより減圧でき、これは貯蔵設備4の液相に(例えば回収管11を介して)戻される。
【0046】
すると、この高温の気体により、貯蔵設備4の中で、貯蔵設備4のサブクール液体との直接的なエネルギー交換によって部分的又は完全に凝結する。
【0047】
毎回の充填後に、この再循環された気体水素を完全に凝結させ、貯蔵設備4の温度を一定に保持するために、液化装置3によって貯蔵設備4の中に送られる液体水素の温度は任意選択により下方に調整できる。
【0048】
第三の考え得るフェーズでは、タンク8は、大気又は回収領域に向かって貯蔵設備4の圧力より低い圧力まで少なくとも部分的に減圧できる。これは、例えば排気管15を介して実現でき、それには弁(例えば、制御弁)を設けることができる。
【0049】
好ましくは、この第三の減圧フェーズを中断させて、タンク8内の圧力を大気圧より厳格に高い圧力として、タンク8に向かう空気のクライオポンピングのあらゆる問題を回避する。
【0050】
第四のフェーズで、タンク8への充填(好ましくはその目標充填レベルまで)は、貯蔵設備4から、好ましくは貯蔵設備4とタンク8との間の圧力差によって行われる。この第四のフェーズ中に、タンク8は好ましくは、貯蔵設備4との圧力差による充填を可能にするのに十分に低い圧力である(300~1000 mbarの圧力不均衡)。この輸送は、液体がタンク8内の所望のレベルに到達するまでこのように継続できる。
【0051】
充填方法は少なくとも第一のフェーズを使用し、上述のその他のフェーズの1つ又は複数を使用することができる。
【0052】
好ましくは、タンク8の初期状態(圧力及び/又は温度)を測定又は特定できる。これは、充填プロセスがこれらすべてのフェーズを使用することも、又は後述の例に示されているようにそれらの1つ又は複数を省略することもできるからである。
【0053】
例えば、
図3に示されるように、機器はタンク8内に圧力及び/又は温度センサ群22を含むことができる。
【0054】
それゆえ、充填が行われるべきタンク8内の初期状態が次の通り:すなわち圧力1~5 bar、好ましくは3 bar absと等しく、タンクのガスヘッドスペースの温度が20K~120K、好ましくは70Kと等しい場合、好ましくは充填プロセスで第一及び第四のフェーズが使用され、第二及び第三のフェーズが省略される。
【0055】
初期圧力5~8 bar、好ましくは6 bar absと等しく、またタンクのガスヘッドスペースの温度が20~120K、好ましくは100Kと等しい場合、好ましくは充填プロセスで4つのフェーズ(すなわち、タンク8の減圧の中間フェーズを含む)が使用される。
【0056】
初期圧力8~12 bar、好ましくは10 bar absと等しく、タンクのガスヘッドスペースの温度が20~120K、好ましくは70Kと等しい場合、好ましくは充填プロセスで4つのフェーズが使用される。
【0057】
本発明者らは、この充填方式によって、異なる原因から生じるボイルオフ損失を低減化できることを実証した。
【0058】
この充填方法は、有利な点として、液化装置3(例えば、“Turbo-Brayton”型)のサブクーリング能力と、液体水素を比較的高圧で(例えば、最高10 bar(絶対圧))で補給するその能力も利用する。これによって、ボイルオフガスを再循環させる系及び液化装置3のオーバプロポーショニングを回避することが可能となる。これを回避できる代わりに、後述のように、液化によるエネルギー消費が若干増加する。
【0059】
第一のフェーズ(第一の輸送ステージ)により、タンク8を熱力学的平衡状態にして、その圧力とその温度を大幅に下げることができる。
【0060】
第一のステージ(フェーズ1)中、タンク8内に存在する高温の流体は、貯蔵設備4に戻すための管11上の弁21を閉じることによってタンク8内に保持し、液化装置3から発生するサブクールされた液体水素による高温蒸気の凝結の結果としてタンク8内の圧力が(特定の圧力レベルまで)十分に下がるようにすることができる。
【0061】
タンク8内の圧力により特定される時間の後、液化装置3からのこの直接的な部分的充填は停止され、タンク8内の圧力に応じて、タンク8の充填の継続(及び終了)を貯蔵設備4との圧力差により実行できる(フェーズ4)。
【0062】
反対に、タンク8の圧力が第一のフェーズ/ステージの終了時に依然として高すぎれば、タンク8をまず貯蔵設備4の底部へと減圧し(タンク8内の圧力低下ステージであるフェーズ2)、及び/又は外部に向かって減圧する(タンク8内の圧力低下ステージであるフェーズ3)ことができる。
【0063】
貯蔵設備4への減圧の場合、貯蔵設備4内のレベルはわずかに上昇するかもしれない(例えば、1体積%未満)。
【0064】
貯蔵設備4へと輸送された高温ガスの質量の全部を凝結させるために、サブクールされた液体水素を十分な量だけ液化装置3によって貯蔵設備へと送らなければならない。
【0065】
それゆえ、液化装置3の出口における液体のサブクーリングの程度の調整を制御して、蒸発による水素の損失を制限し、又はなくすことができる。
【0066】
タンク8の初期状態が「極端」すぎる(例えば、圧力が10 bar abs以上、気体の温度が100K以上である)場合、フェーズ2を実行しないこと、又は部分的にのみ実行することにより、高温の減圧された気体の質量が貯蔵設備4の状態を乱して、それを補償するために液化装置3からの液体水素を過剰に大量に必要とするのを防止することが有利であり得る。
【0067】
これは、液化装置3により補給される液体水素のこのような質量の増大が多大な追加的コストを生じさせる原因となり得るからである。これを防止するために、フェーズ2の代替的又は同時的解決策はタンク8からの高温の気体を大気圧まで減圧させること(フェーズ3)であり得る。
【0068】
他方で、より好ましいケース(例えば、初期圧力が3 bar abs以下、初期温度が70K以下)では、圧力低下ステージ(フェーズ2及び/又は3)を用いずにタンク8への充填を行うことができる。
【0069】
それゆえ、これらの状況では第一のステージ(フェーズ1)でタンク8内の圧力を貯蔵設備4の圧力より低く下げるのに十分であるかもしれず、それによって圧力差による充填が可能となる。
【0070】
留意すべき点して、圧力差圧力が不十分である場合、液体を貯蔵設備4からタンク8へと輸送するためにポンプを使用することもできる。
【0071】
本発明者らは、この方法によって蒸発による損失を従来の充填手順と比較して8~10分の1に低減できることを実証した。
【0072】
この解決策により、序文に記載された蒸発した気体の再循環のための系をなくすことが可能である。
【0073】
本解決策により、このようにしてその代わりに液化エネルギーの消費量はわずかに増大するが、施設の資本コストを削減できる。
【0074】
それに加えて、エネルギーの価格と水素の価値に応じて、本明細書に記載のシステムによれば、タンク8に送達される液体水素の生成コストに関して全体的節約の全体を可能にできる。
【0075】
この解決策により、必要に応じて、利用可能な水素の量がより少なければ液体のサブクーリングを増大させることも可能となる。これによって、有利な点として、貯蔵設備4内に収容される液体のサブクーリングの程度を調整できる。それゆえ、貯蔵設備4内のこの液体は、蒸発の開始前に「予備エネルギー」又は「予備フリゴリ」を有する。
【0076】
この施設によって幾つかのタンクへの充填を同時にできる場合(幾つかの管11、13、又はこれらの管の幾つかの端)、好ましくは施設1が異なるステージ(フェーズ)を連続して行い、それによって第一の輸送ステージ(フェーズ1)を異なるタンク8間で逐次的に使用することができるように構成できる。同様に、施設1は充填対象の異なるタンク8についてその他のステージ/フェーズを連続して行うように構成できる。
【0077】
「~ように構成される」という用語は、施設が手動で、及び/又は自動的に制御できることを意味すると理解されたい。例えば、
図3に図式的に示されるように、施設1は電子制御ユニット23を含むことができ、これは例えば、施設の構成要素の全部又は一部(液化装置、弁及びその他)を制御し、機能させるように構成(プログラム/制御)されたコンピュータ又はマイクロプロセッサを含む。
【0078】
回収管11により回収された高温の流体はそれゆえ、貯蔵設備4に戻し、そこで冷却し/凝結させることができる。この構成により、有利な点として、サブクールされた水素を、タンク4の最大動作圧力より高い圧力で、ポンプを用いずにタンク8に充填することが可能となる。
【0079】
還流管11の弁21により、それゆえ、直接的な再液化により、貯蔵設備8内の圧力と水素の質量を保持することが可能となる。
【0080】
好ましくは、液化装置3は、水素を生成し、貯蔵圧力での水素の沸点より低い温度で水素を貯蔵設備4に供給するために構成される。
【0081】
貯蔵圧力は例えば、1.05バール~5バール、特に2.5バールである。
【0082】
例えば、液化装置3により生成され、貯蔵設備4に輸送される液体水素の温度は、貯蔵圧力での水素の沸点に関して0.1~12K低く、特に1.05~11バールの貯蔵圧力の場合に16K~23Kの温度にて、特に2.5バールの貯蔵温度の場合に20.4~21Kの温度にてである。
【0083】
例えば、液化装置により生成され、貯蔵設備4の中へと輸送される液体水素は、液体の圧力での飽和温度と1.1 bar absの圧力での飽和温度との間の温度、特に貯蔵圧力2.5 barの場合に20.4~23.7Kの温度を有する。
【0084】
液化装置により生成され、貯蔵設備4の中へと輸送される液体水素は、液体の圧力での飽和温度と水素の凝固温度よりわずかに高い温度との間の温度、特に貯蔵圧力2.5 barの場合に15K~23.7Kの温度を有することができる。
【0085】
同様に、液化装置により生成される液体水素は、タンク8へと直接輸送され、及び任意選択により貯蔵設備4にも輸送される液体水素は、液体の圧力での飽和温度と水素の凝固温度よりわずかに高い温度との間の温度、特に貯蔵圧力2.5 barの場合に15K~23.7Kの温度を有することができる。
【0086】
すなわち、液化装置3は、先行技術の構成に関して、すなわち貯蔵設備4の圧力での水素の沸点より低い温度にてサブクールされる液体を生成する。
【0087】
沸点とは、沸騰(気化)から最初の気泡(気化)出現する温度(ある圧力下)を指す。
【0088】
好ましくは、液化装置3は、サブクールされた熱力学状態の液体水素を直接供給する。例えば、液化装置3の出口で、水素は、任意選択により貯蔵設備4まで続く回路中の加熱を考慮に入れたサブクーリング状態を有する。
【0089】
好ましくは、水素の液相及び気相は貯蔵設備4の中で熱力学平衡状態にない。すなわち、貯蔵設備4の水素の気相及び液相は、異なるそれぞれの温度を有する。特に、水素は安定した圧力(貯蔵圧力)に保持できるものの、水素、特に気体水素の温度は下部における低温の液相と上部におけるより高温の気体部との間で層状となり得る。
【0090】
この状態(気体部と液体部との間で異なる温度)では、気体部の大部分が40Kの温度となり得る。
【0091】
実際、水素の臨界点は33Kで12.8バールである。それゆえ、ガスの圧力を40Kの等温で高めることによってガスを濃縮することは不可能である。
【0092】
すると、第一の方式では、貯蔵設備4の底から低温の液体を追加することによって、ガスヘッドスペースを凝縮させずに貯蔵設備4を加圧できるという結論を容易に出すことができる。
【0093】
それゆえ、比較的「高温の」ガスヘッドスペース(例えば、40K以上の温度)と、その沸点に対応する温度以下の液体部を含む準安定の(又は不安定の)熱力学系を得ることができる。これは特に、温度が層状のガスヘッドスペースに関連付けられるサブクール液体の場合に当てはまる。
【0094】
貯蔵圧力は、1.05 bar~5 bar、特に2.5 barに含まれ、維持されることができる。
【0095】
貯蔵設備4とタンク8は、ジャケットを備え、真空断熱することができる。
【0096】
施設1は、液化装置の出口に接続された端と貯蔵設備4の気相(上側部分)の中に出る端を有する管14を含むことができる。
【0097】
施設はそれゆえ、貯蔵設備に液化装置3により生成された水素を自動的に補給することによって、貯蔵設備4内の液面を特定の閾値より高く保つように構成できる。
【0098】
貯蔵設備4の中の圧力は、例えばガスヘッドスペースの圧力を制御することによって制御できる。例えば、圧力を上げることができる(ガスヘッドスペース内により高温の水素を注入するための従来の装置であるが、簡潔にするために図示されていない)。すなわち、圧力上昇装置は、貯蔵設備から液体を取出し、それを再加熱して、貯蔵設備4の上部に再注入することができる。
【0099】
貯蔵設備4の中の圧力を下げるために、1つの解決策は、液化装置3から出る液体水素を気体部中に噴霧することによって注入することであり得る。これは、例えば弁17の設けられた適当な管14を介して行うことができる。貯蔵設備4の中の圧力を低下させるためには、ガスヘッドスペース内に収容される気体水素の一部を空気中に放出することも可能である(例えば、図示されていない、弁の設けられた管18)。
【0100】
本発明は、必要に応じて水素以外のガスにも応用できる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 液体水素タンク(8)、特にセミトレーラの移動タンクを充填する方法において、液体水素の第一の量を、水素液化装置(3)を含む第一の液体水素供給源から前記タンク(8)に輸送する第一のステージ(33)を含み、前記液体水素の第一の量は前記タンク(8)内の温度と圧力を下げるために提供され、液体水素の第二の量を、液体水素貯蔵設備(4)を含む第二の液体水素供給源から前記タンク(8)に輸送する第二のステージ(34)を含み、前記液体水素の第一の量は前記水素液化装置(3)から前記タンク(8)に直接輸送され、前記液化水素の第二の量は、前記液体水素貯蔵設備(4)と前記タンク(8)との間の圧力差によって前記タンク(8)の中に輸送されることを特徴とする方法。
[2] 前記液体水素の第一の供給源(3)により供給される前記液体水素の第一の量は、前記タンク(8)内の前記貯蔵圧力での水素の沸点より低い温度を有することを特徴とする、[1]に記載の方法。
[3] 前記タンク(8)内に輸送される前記液体水素の第一の量は、液体水素の所定の量、前記タンク(8)内の液体貯蔵容量の所定の割合、前記第一の液体水素供給源から前記タンク(8)への液体水素の特定の流量での輸送の所定の持続時間に対応する液体水素の量、前記タンク(8)内の温度と圧力をそれぞれの所定の数値だけ下げるのに必要な液体水素の量、前記タンク(8)内で、それぞれ所定の温度及び圧力値を実現するのに必要な液体水素の量のうちの1つであることを特徴とする、[1]及び[2]の何れか1項に記載の方法。
[4] 前記第一の輸送ステージ(33)と前記第二の輸送ステージ(34)との間に、前記タンク(8)からの加圧ガスの前記貯蔵設備(4)への、特に圧力等化による取出し(38)、加圧ガスの外部への取出し(15)、特に大気中の放出のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、前記タンク(8)内の圧力を低下させるステージ(38、15)を含む、[1]~[3]の何れか1項に記載の方法。
[5] 前記タンク(8)内の圧力を低下させる前記ステージは、前記タンク(8)からの加圧ガスの前記貯蔵設備(4)の液相への取出し(38)により、前記貯蔵設備(4)内の前記加圧ガスを少なくとも部分的に凝結させることを含むことを特徴とする、[4]に記載の方法。
[6] 前記第一の液体水素供給源(3)から液体水素を前記液体水素貯蔵設備(4)へと、前記貯蔵設備(4)内の温度を所定の範囲内、特に一定の温度に保つために調整された温度で輸送するステージを含むことを特徴とする、[4]又は[5]に記載の方法。
[7] 前記タンク(8)の内の圧力を、前記タンク(8)から外部への、特に大気中への加圧気体の取出し(15)を介して低下させるステージを含むことと、この圧力低下ステージの終了時に、前記タンク(8)内の圧力が大気圧より高く保たれることを特徴とする、[4]~[6]の何れか1項に記載の方法。
[8] 前記第一の輸送ステージ(33)の前に、前記タンク(8)内の初期圧力及び、任意選択により温度状態を測定又は推定するステージを含むことを特徴とする、[1]~[7]の何れか1項に記載の充填方法。
[9] 前記第一の輸送ステージ(33)の前の前記タンク(8)内の初期圧力及び、任意選択により温度状態に応じて、前記タンク(8)内の圧力を低下させるステージを含むか、又は含まないことを特徴とする、[8]と[4]~[7]の何れか1項との組合せに記載の方法。
[10] 前記タンク(8)内の初期圧力が1.05~12 bar絶対圧、特に3bar絶対圧である場合、前記第二の輸送ステージは前記第一の輸送ステージの直後に行われ、すなわち、これら2つの輸送ステージ間の、前記タンク(8)内の圧力を低下させるための前記タンク(8)からの流体の取出しが行われないことを特徴とする、[8]又は[9]と[1]~[6]の何れか1項との組合せに記載の充填方法。
[11] 前記タンク(8)内の初期圧力が4~8 bar abs、特に6 bar absと等しく、前記タンク(8)内の初期温度が80~120K、特に100Kと等しい場合、前記2つの輸送ステージ間に前記タンク(8)内の圧力を下げるステージを含むことを特徴とする、[8]~[10]の何れか1項と[4]~[7]の何れか1項との組合せに記載の充填方法。
[12] 前記タンク(8)内の初期圧力が8~12 bar abs、特に10 bar絶対圧と等しく、前記タンク(8)内の初期温度が20~120K、特に70K又は100Kと等しい場合、前記2つの輸送ステージ間に前記タンク(8)内の圧力を低下させるステージを含むことを特徴とする、[8]~[10]の何れか1項と[4]~[7]の何れか1項との組合せに記載の充填方法。
[13] 特定の貯蔵圧力の液体水素貯蔵設備(4)と、充填対象の少なくとも1つの移動タンク(8)と、気体水素供給源(2)と、前記供給源(2)に接続された入口と前記液体水素貯蔵設備(4)に接続された出口を含む液化装置(3)と、を含み、前記貯蔵設備(4)は前記液体水素貯蔵設備(4)に接続された1つの端と前記移動タンク(8)に接続される予定の少なくとも1つの他の端を含む液体取出し管(10)を含み、前記液化装置(3)は、前記貯蔵圧力での水素の沸点より低い温度の水素を生成し、それを前記貯蔵設備(4)に供給するように構成される液化水素の貯蔵及び分配施設において、ボイルオフガス回収管(11)を含み、これは、前記タンク(8)に接続される予定の端と前記貯蔵設備(4)に接続される予定の端を含み、それによってこのボイルオフガスをその液化のために前記貯蔵設備(4)に輸送し、それに加えて、前記液化装置(3)の前記出口に接続された端と、前記タンク(8)に直接接続される予定の端を有する輸送管(13)を含み、前記少なくとも1つのタンク(8)への充填を、液体水素の第一の量を前記液化装置(3)から前記輸送管(13)を介して前記タンク(8)内に輸送し、その後、液体水素の第二の量を前記貯蔵設備(4)から前記液体取出し管(10)を介して前記タンク(8)へと輸送することによって行うように構成され、任意選択により前記第一及び第二の量の前記輸送間で、前記タンク(8)から前記貯蔵設備(4)への前記回収管(11)を介した、特に圧力等化による加圧ガスの取出し、外部への、特に大気への排気管(15)を介した加圧ガスの取出しの少なくとも一方を含む、前記タンク(8)内の圧力低下を生じさせるように構成される施設。
[14] 充填を行う前に前記タンク(8)内の初期圧力及び任意選択により温度状態を測定又は推定するためのセンサ群(22)を含むことと、前記第一及び第二の量の前記輸送間で、前記タンク(8)内の前記初期圧力及び任意選択により温度状態に応じて前記タンク(8)内の圧力低下を生じさせるか生じさせないように構成されることを特徴とする、[13]に記載の施設。