IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロードの特許一覧

特許7423616液化水素を貯蔵及び分配するための方法並びに設備
<>
  • 特許-液化水素を貯蔵及び分配するための方法並びに設備 図1
  • 特許-液化水素を貯蔵及び分配するための方法並びに設備 図2
  • 特許-液化水素を貯蔵及び分配するための方法並びに設備 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】液化水素を貯蔵及び分配するための方法並びに設備
(51)【国際特許分類】
   F17C 5/04 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
F17C5/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021518569
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 FR2019052233
(87)【国際公開番号】W WO2020074802
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】1859328
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】アリディエール、ローラン
(72)【発明者】
【氏名】デソウザ シルヴァ、レナン ルイ
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-504226(JP,A)
【文献】国際公開第2018/173136(WO,A1)
【文献】特開平05-215298(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0308083(US,A1)
【文献】特開2017-003065(JP,A)
【文献】特開2013-210044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体水素のタンク(8)を充填する充填方法であって、前記充填方法は、水素液化機(3)を含む液体水素の第1の源から前記タンク(8)の中に液体水素の第1の量を移送する第1の移送ステージ(33)を備え、液体水素の前記第1の量は、前記タンク(8)内の温度及び圧力を下げるために提供され、
前記充填方法は、液体水素の貯蔵装置(4)を含む液体水素の第2の源から前記タンク(8)の中に液体水素の第2の量を移送する第2の移送ステージ(34)を備え、液体水素の前記第2の量は、前記貯蔵装置(4)と前記タンク(8)との圧力差により前記タンク(8)の中に移送される充填方法において
前記充填方法は、前記第1の移送ステージ(33)と前記第2の移送ステージ(34)との間に、前記貯蔵装置(4)内の加圧されたガスの少なくとも一部を濃縮するために、前記タンク(8)から前記貯蔵装置(4)の液相への加圧されたガスの取り出し(38)を含む、前記タンク(8)内の圧力を低減するステージ(38、15)を備え、前記第2の移送ステージ(34)は前記第1の移送ステージ(33)の後に遂行されることを特徴とする、充填方法。
【請求項2】
前記タンク(8)内の前記圧力を低減するステージは、加圧されたガスの外側への取り出し(15)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の充填方法。
【請求項3】
液体水素の前記第1の源(3)によって供給された液体水素の前記第1の量は、前記タンク(8)内の貯蔵圧力における水素の沸点より低い温度を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の充填方法。
【請求項4】
前記タンク(8)の中に移送された液体水素の前記第1の量は、液体水素の既定の量、前記タンク(8)内の液体貯蔵の量の既定の割合、液体水素の前記第1の源から前記タンク(8)に液体水素を特定の流量で移送する既定の期間に対応する液体水素の量、それぞれの所定の値だけ前記タンク(8)内の前記温度及び前記圧力を下げるために必要な液体水素の量、並びにそれぞれの所定の温度及び圧力値を前記タンク(8)内で達成するために必要な液体水素の量、のうちの1つであることを特徴とする、請求項1又は3に記載の充填方法。
【請求項5】
前記充填方法は、液体水素の前記第1の源(3)から液体水素を前記貯蔵装置(4)に、前記貯蔵装置(4)内の温度を特定の間隔内に維持するために調節された温度で移送するステージを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の充填方法。
【請求項6】
前記充填方法は、前記タンク(8)から外側への加圧されたガスの取り出し(15)を介して、前記タンク(8)内の圧力を低減するステージを備え、前記圧力を低減するステージの終結に、前記タンク(8)内の圧力は大気圧より高いままであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の充填方法。
【請求項7】
前記充填方法は、前記第1の移送ステージ(33)の前に、前記タンク(8)内の初期圧力及び温状態を測定するか又は推定するステージを備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の充填方法。
【請求項8】
前記充填方法は、前記第1の移送ステージ(33)の前に、前記タンク(8)内の前記初期圧力及び温状態に依存して、前記タンク(8)内の圧力を低減するステージを備えるか、又は備えないことを特徴とする、請求項7に記載の充填方法。
【請求項9】
前記タンク(8)内の前記初期圧力が1.05~12バール絶対圧であるときに、前記第2の移送ステージは、前記第1の移送ステージの直後に実行され、すなわちこれらの2つの移送ステージの間の、前記タンク(8)内の圧力の低減を目指すための前記タンク(8)から流体取り出しが行われないことを特徴とする、請求項8に記載の充填方法。
【請求項10】
前記タンク(8)内の前記初期圧力が4~8バール絶対圧であり、かつ前記タンク(8)内の初期温度が80~120Kであるときに、前記充填方法は、これら2つの移送ステージの間に前記タンク(8)内の前記圧力を低減するステージを備えることを特徴とする、請求項8に記載の充填方法。
【請求項11】
前記タンク(8)内の前記初期圧力が8~12バール絶対圧であり、かつ前記タンク(8)内の初期温度が20~120Kであるときに、前記充填方法は、これら2つの移送ステージの間に前記タンク(8)内の圧力を低減するステージを備えることを特徴とする、請求項8に記載の充填方法。
【請求項12】
特定の貯蔵圧力における液体水素貯蔵装置(4)、充填されるべき少なくとも1つの移動式タンク(8)、気体水素源(2)、前記気体水素源(2)に連結した入口及び前記貯蔵装置(4)に連結した出口を含む液化機(3)を備える、液化水素を貯蔵及び分配するための設備であって、
前記貯蔵装置(4)は、前記貯蔵装置(4)に連結した一端、及び前記タンク(8)に連結することを意図した少なくとも1つの他端を含む液体取出管(10)を備え、
前記液化機(3)は、前記貯蔵圧力における水素の沸点より低い温度で水素を生成して前記貯蔵装置(4)に送り込むように構成されており、
前記設備は、ボイルオフガスを、それを液化する目的で前記貯蔵装置(4)の中に移送するために、前記タンク(8)に連結することを意図した端部、及び前記貯蔵装置(4)に連結することを意図した端部を含む、ボイルオフガスの回収管(11)を備え
前記設備は、追加として前記液化機(3)の前記出口に連結した端部、及び前記タンク(8)に直接連結することを意図した端部を有する移送管(13)を備え
前記設備は、前記液化機(3)から前記移送管(13)を介して前記タンク(8)の中に液体水素の第1の量を、次いで前記貯蔵装置(4)から前記液体取出管(10)を介して前記タンク(8)に液体水素の第2の量を移送することにより、前記少なくとも1つのタンク(8)を充填するように構成され、
前記設備は、前記第1の量の移送と前記第2の量の移送との間で、前記タンク(8)から前記回収管(11)を介して前記貯蔵装置(4)への加圧されたガスの取り出しを含み、前記タンク内の圧力の低減を生じるように構成されている、設備。
【請求項13】
前記設備は、前記第1の量の移送と前記第2の量の移送の間で、排気管(15)を介して外側への加圧されたガスの取り出しを生じるように構成されていることを特徴とする、請求項12に記載の設備。
【請求項14】
前記設備は、充填前に前記タンク(8)内の初期圧力及び温状態の測定又は推定のための1組のセンサ(22)を含み、
前記設備は、前記第1の量の移送と前記第2の量の移送との間で、前記タンク(8)内の初期圧力及び温度状態に応じて前記タンク(8)内の圧力の低減を生じるか、又は生じないように構成されていることを特徴とする、請求項12又は13に記載の設備。
【請求項15】
前記回収管(11)は、前記タンク(8)から前記貯蔵装置(4)の液相の中に加圧されたガスを送るために、前記貯蔵装置の下部に連結されることを特徴とする、請求項12~14のいずれか一項に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化水素を貯蔵及び分配するための方法並びに設備に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には液体水素タンクを充填するための方法、具体的にはセミトレーラの移動式タンクに関し、方法は、水素液化機を含む液体水素の第1の源からタンクの中に液体水素の第1の量を移す第1のステージを含み、液体水素の第1の量は、タンク内の温度及び圧力を下げるために提供される。
【背景技術】
【0003】
液体水素は、とりわけその濃度に起因して、大量の製品を長距離にわたって移送しなければならない時に気体水素に比べて好まれる。
【0004】
液体水素の別の利点は、燃料電池自動車用の水素サービスステーションにおけるその濃度及び大容量の貯蔵機能に関連する。20Kの温度は、ガスから事実上全ての不純物(不純物はこの温度では固体である)が除去され、これは燃料電池の操作を最適化する。
【0005】
一方、水に比べて液体水素は濃度が低い(70g/リットル)ことに起因して、静水頭によって利用可能な圧力は低く、これによりポンプ供給が困難になり、低温では液体を移送中にかなり大量の蒸発損失を生じる可能性がある。
【0006】
これは、水素を液化するために工場でトラック及びタンクに搭載するためのシステムが、生産の15%にまで及ぶ(例えばタンクから0.2%の損失、タンクを充填するために弁におけるフラッシュ蒸発が5%の損失、及びトラックにおいて10%の損失)可能性がある損失をもたらす可能性があるからである。
【0007】
蒸発によるこれらの損失は、当然のことながら回収し、再加熱し、貯蔵後に圧縮して液化機の中に再注入することができる。これは図1に図式的に示されており、図1は、生成された液体を貯蔵するための貯蔵装置4を含む設備を表す。水素は、気体水素の源2から生成され、気体水素の源2は液化機3内で液化された後、貯蔵装置4に移送される。ボイルオフガスは、例えば順にヒータ5、バッファタンク6(例えば定圧)、及び圧縮成分7を含むユニットから取り出すことができる。回収して圧縮した気体は、再液化して貯蔵装置4の中に再導入できるように、液化機3の入口から入れることができる。
【0008】
例えば、液化機3によって生成された液体水素は、貯蔵装置4に例えば1.05~5バール絶対圧の圧力で送り込まれる(例えば液化機の故障を補償するために、消費の数日分の自給に相当する)。
【0009】
慣習的に、液体水素は、水素液化ユニットの従来の設計に起因して、貯蔵装置の圧力におけるその泡立ち点で、液化がジュールトムソン効果弁を通して実行される水素クロードサイクルによって生成される。
【0010】
タンク8は、少容量の百分率(例えば約5%)の液体水素を備えてローディングステーションに達し、加圧され(例えば3~10バール絶対圧)、(最高100Kまで達することができる温度で)高温ガスヘッドスペースで層状にされる。タンク8の内壁全体が「高温」(通常接触する液体と同じ温度)であることも可能である。
【0011】
1つ又は複数のタンク8は、重力によって充填することができるが、これは液体の低い濃度に起因して迅速な充填を行うことはできない。充填は、圧力差で実行することもできる(所望の充填速度に依存してタンク8の圧力より貯蔵装置4の圧力が高く、具体的には300ミリバール~1バールの圧力差であり、これにより流体連通を起こした時に流れを生じる)。これらの損失ヘッドは、液体の一部を蒸発させる影響がある(弁若しくは事故における稀な損失ヘッド、又はラインにおける損失ヘッド)。
【0012】
加えて比較的低温の貯蔵装置4からの水素が、タンク8の比較的高温の金属壁及び移送配管の壁と接触することにより、著しい蒸発も起きる。
【0013】
次いでこの作動中に蒸発した水素は、図1に示されたように、液化機3に放出されるか又は再循環されるかのいずれかである。従ってこの解決策は、実際に使用できる流量より大きい流量に液化機を釣り合わせる必要がある。追加としてこれは、ヒータ、(ガス計量器型の)定圧貯蔵容量、及びフラッシュガス圧縮機を含む、フラッシュガスを再循環するためのシステムを投入する必要があり、フラッシュガスは、場合によって直接液化機に低温で戻る可能性がある。しかしこれは、トラックを充填するための操作から起こるボイルオフの流量の不安定性に起因して、液化機の作動を中断する。
【0014】
従ってこれらの解決策は、トラックを充填中に生成されたボイルオフガスを吸収できるために、製品の損失を発生するか(空気に放出する)又は液化機3及びガス回収ユニットの均衡を保つ必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一目的は、上記の先行技術の欠点の全て又は一部を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するために、本発明の方法は、更に上記の序文に与えられた一般的定義に従って、液体水素貯蔵装置を含む液体水素の第2の源からタンクの中に液体水素の第2の量を移送する第2のステージを含むことを基本的に特徴とし、液体水素の第2の量は、液体水素貯蔵装置とタンクとの圧力差によってタンクの中に移される。
【0017】
その上、本発明の実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含むことができる、すなわち
- 液体水素の第1の源によって供給された液体水素の第1の量は、タンク内の貯蔵圧力における水素の泡立ち点より低い温度を有し、
- タンクの中に移送された液体水素の第1の量は、液体水素の既定の量、タンク内の液体貯蔵の量の既定の割合、液体水素の第1の源からタンクに液体水素を特定の流量で移送する既定の期間に対応する液体水素の量、それぞれの所定の値だけタンク内の温度及び圧力を下げるために必要な液体水素の量、それぞれの所定の温度及び圧力値をタンク内で達成するために必要な液体水素の量からの1つであり、
- 方法は、第1の移送ステージと第2の移送ステージとの間で、タンクから貯蔵装置への、具体的には圧力の均衡を保つことによる加圧されたガスの取り出し、加圧されたガスの外側への取り出し、具体的には大気への放出から少なくとも1つを含む、タンク内の圧力を低減するステージを含み、
- タンク内の圧力を低減するステージは、貯蔵装置内の前記加圧されたガスの少なくとも一部を濃縮するために、タンクから貯蔵装置の液相への加圧されたガスの取り出しを含み、
- 方法は、特定の間隔内で貯蔵装置内の温度を、具体的には一定の温度を維持するために、液体水素の第1の源から液体水素貯蔵装置に、調節された温度で液体水素を移送するステージを含み、
- 方法は、タンクから外側、具体的には大気中への加圧されたガスの取り出しを介して、タンク内の圧力を低減するステージを含み、圧力を低減するこのステージの終結に、タンク内の圧力は大気圧より高いままであり、
- 方法は、第1の移送するステージの前に、タンク内の初期圧力及び任意選択的に温度条件を測定するか又は概算するステージを含み、
- 第1の移送ステージの前にタンク内の初期圧力及び任意選択的に温度条件に依存して、方法は、タンク内の圧力を低減するステージを含み、又は含まず、
タンク内の初期圧力が1.05~12バール絶対圧、具体的には3バール絶対圧である時に、第2の移送ステージは、第1の移送ステージの直後に実行され、すなわちこれらの2つの移送ステージの間にタンクから流体を取り出すことなく、タンク内の圧力の低減を目指し、
- タンク内の初期圧力が4~8バール絶対圧である時、具体的には6バール絶対圧に等しい時、且つタンク内の初期温度が80~120Kである時、具体的には100Kに等しい時に、方法は、2つの移送ステージの間にタンク内の圧力を低減するステージを含み、
- タンク内の初期圧力が8~12バール絶対圧である時、具体的には10バール絶対圧に等しい時、且つタンク内の初期温度が20~120Kである時、具体的には70~100Kに等しい時に、方法は、2つの移送ステージの間にタンク内の圧力を低減するステージを含み、
- 液体水素の第1の源によって供給された液体水素の第1の量は、液体の圧力における飽和温度と水素の凝固温度のすぐ上の温度との間の温度、具体的には2.5バールの貯蔵圧力に対して15K~23.7Kの温度を有し、
- 液体水素の第1の源によって供給された液体水素の第1の量は、タンク内の貯蔵圧力で水素の泡立ち点に対して0.1~12Kだけ低い温度を有し、
- 液体水素の第1の源によって供給された液体水素の第1の量は、1.05~12バールの貯蔵圧力に対して20.4K~33Kの温度、及び/又は1.05~5バールの貯蔵圧力に対して15K~27.1Kの温度を有する。
【0018】
本発明は、特定の貯蔵圧力における液体水素貯蔵装置、充填される少なくとも1つの移動式タンク、気体水素の源、源に連結した入口及び液体水素貯蔵装置に連結した出口を含む液化機を含む、液体水素を貯蔵及び分配するための設備にも関し、貯蔵装置は、液体水素貯蔵装置に連結した一端、及び移動式タンクに連結することを意図した少なくとも1つの他端を含む、液体取出管を含み、液化機は、貯蔵圧力における水素の泡立ち点より低い温度で水素を生成して貯蔵装置に送り込むように構成され、設備は、このボイルオフガスを、それを液化する目的で貯蔵装置の中に移送するために、タンクに連結することを意図した端部、及び貯蔵装置に連結することを意図した端部を含む、ボイルオフガス回収管を含み、設備は、追加として液化機の出口に連結した端部、及びタンクに直接連結することを意図した端部を有する、移送管を含み、設備は、液化機から移送管を介してタンクの中に液体水素の第1の量を、次いで貯蔵装置から液体取出管を介してタンクに液体水素の第2の量を移送することにより、少なくとも1つのタンクを充填するように構成され、設備は、任意選択的に第1の量の移送と第2の量の移送との間で、タンクから回収管を介して貯蔵装置への、具体的には圧力の均衡を保つことによる加圧されたガスの取り出し、及び排気管を介して外側、具体的には大気への加圧されたガスの取り出しから少なくとも1つを含む、タンク内の圧力の低減を生じるように構成される。
【0019】
他の可能な独特な特徴によれば、
- 設備は、充填前にタンク内の初期圧力及び任意選択的に温度条件の測定又は概算のための1組のセンサを含み、設備は、任意選択的に第1の量の移送と第2の量の移送との間で、タンク内の前記初期圧力の関数としてのタンク内の圧力、及び任意選択的にタンク内の温度条件の低減を生じるように構成される。
【0020】
他の独特な特徴及び利点は、図を参照して以下の記載を読むと明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】先行技術による、設備の構造及び作動を示す図式部分図を表す。
図2】本発明による、設備の例の構造及び作動を示す図式部分図を表す。
図3】本発明による、設備の例の構造及び作動を示す図式部分図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施例による液化水素を貯蔵及び分配するための設備1は、図2に表されている。図1の要素と同じ要素は、同じ参照番号によって示されている。
【0023】
設備1は、特定の貯蔵圧力で液体水素貯蔵装置4を含む。この貯蔵装置4は、例えば大容量、例えば数百立法メートルの真空絶縁の貯蔵装置である。この貯蔵装置4は、慣習的に気相を備える液相を含有し、これらの2相は、タンクの大きさ及び充填する/空にする作動の結果として、熱力学的に釣り合わないことが可能である。
【0024】
慣習的に、貯蔵圧力は、好ましくは例えば固定値(例えば1.05~11バール、例えば1.1~5バール、具体的には2.5バール絶対圧)に調整される。
【0025】
「貯蔵圧力」は、例えば貯蔵装置における、又は貯蔵装置の底部若しくは上部(ガスヘッドスペース)における平均圧力を意味すると理解されたい。これは、水素の低密度の結果として、貯蔵装置の下部における圧力が実質的に上部における圧力に等しいからである。
【0026】
設備は、追加として気体水素の源2、並びに源2に連結した入口及び液体水素貯蔵装置4に連結した出口を含む液化機3を含む。
【0027】
源2は、水素ネットワーク及び/又は(例えば水蒸気改質及び/又は電気分解若しくはあらゆる他の適切な源による)水素の生成のためのユニットであることが可能である。従って源は、不純源(精錬残留ガス、クロロアルカリ電解槽由来の致死的な水素、及び同種のもの)からの水素の回収も含むことができる。
【0028】
源2によって供給され、液化機3によって液化された水素は、断続的及び/又は連続して及び/又は貯蔵装置4内の液位が特定の閾値より下がった場合に、貯蔵装置4の中に移送することができる。好ましくは、貯蔵装置4内の液位は、液化機3の側の供給(液化機3及び/又は貯蔵装置4に供給された液体の流量を調整するための弁からの流量)によって自動的に制御される。
【0029】
設備は、追加として液体水素貯蔵装置4に連結した端部、及び充填される1つ又は複数のタンク8、具体的には配送トラックに搭載したタンクなどの移動式タンクに連結することを意図した端部を含む、液体を取り出すための管10を含む。
【0030】
この取出管10は、弁19、例えばパイロットバルブ、及び/若しくはポンプ又はその他を備えることができる。
【0031】
これらのトラックは、具体的には固定したタンク、具体的には水素を車両に供給するためのステーションに送り込むことができる。
【0032】
従って貯蔵装置4は、液体部、具体的には貯蔵装置4の底部に現れる充填管12を介して充填できる。例えばこの管12は、貯蔵装置4の内壁の間の真空絶縁空間を通過することができる(図2参照)。
【0033】
移送/充填は、この管12上に配置された弁16(例えばパイロットバルブ)を介して制御することができる。
【0034】
図2の設備例は、追加として液化機3の出口に連結した端部、及び(貯蔵装置4を通過することなく)タンク8に直接連結することを意図した端部を有する、移送管13を含む。移送管13は、液化機3からタンク8に液体水素を移送するために弁20(好ましくはパイロットバルブ)を具備することができる。
【0035】
液化機3は、サブクールした液体を、すなわち貯蔵装置の圧力で水素の泡立ち点より低い温度で生成するように構成される。
【0036】
従ってこの液体は、蒸発し始める前に「エネルギー貯蔵」を利用できる。これは、作動流体が典型的にはヘリウム系混合物である、「ターボブレイトン」型の循環液化機で獲得することができる。液化機3は、例えばその作動流体がヘリウムを含む、又はヘリウムからなる液化機であることが可能である。例えば液化機3は、本出願者によって販売された「ターボブレイトン」低温システムを含むことができ、これは具体的には15~200Kの冷蔵及び液化を提供することができる。
【0037】
当然のことながら、あらゆる他の液化溶液を想定することができる。従って例えば真空膨張弁を含む水素作動流体サイクルを備える、又は液体タービン若しくは追加のヘリウムサイクル型の水素をサブクールする液化後のシステムを備える、他の構成が可能である。
【0038】
この型の液化機3では、15Kほどの低温及び10バール絶対圧ほどの高圧でサブクールした液体水素を供給することができる。この場合、タンク8は数ステージで、下記の数個のシナリオに従って充填することができる。
【0039】
具体的には第1の段階により、タンク8は、部分的に液化機3により直接充填することができる。
【0040】
この第1の段階では、タンク8は、移送管13を介して液化機3から直接発する水素を充填することができ、液化機3はタンク8内に行き渡る初期圧力(タンク8の入口圧力)で水素を供給することができ、これは貯蔵装置4内の圧力より高いことが可能である。
【0041】
タンク8(好ましくは上部)の中に移送されたサブクールした液体は、タンク8の温熱ガスヘッドスペースと接触する。これは、ガスヘッドスペースの一部を濃縮することによりタンク8の温度及び圧力を下げる。
【0042】
この第1の段階の間に、タンク8は成層状態になることができる(全体の熱力学的釣り合いは平衡状態で温度の不均質性に全くリンクしなかった)。サブクールした液体は、タンク8の比較的高温の内(金属)壁とも接触し、内壁は冷却する。
【0043】
この第1のステージ又は第1の段階で、タンク8の中に移送された液体水素の量は、
- 液体水素の既定の量、
- タンク8内の液体貯蔵容積の既定の割合、例えば10分の1、
- 液体水素の第1の源からタンク8に特定の流量で液体水素を移送する規定の間に対応する液体水素の量、
- タンク8内の温度及び圧力をそれぞれの所定の値だけ下げる必要がある液体水素の量、タンク8内でそれぞれの所定の温度及び圧力値に達する必要がある液体水素の量
からの1つであることが可能である。
【0044】
第2の可能な段階では、タンク8は、貯蔵装置4内で少なくとも一部を減圧することができる。
【0045】
この第2の可能な段階の間に、タンク8は、貯蔵装置4の液相の中に(例えば回収管11を介して)戻るガスを取り出すことによって減圧することができる。
【0046】
この温熱ガスは、次いで貯蔵装置4のサブクールした液体と直接エネルギー交換することにより貯蔵装置4内で部分的に又は完全に濃縮される。
【0047】
この再循環した気体水素を完全に濃縮し、それぞれを充填した後に貯蔵装置4の温度を一定に保つために、液化機3により貯蔵装置4の中に送られた液体水素の温度は、任意選択的に下方に調節することができる。
【0048】
第3の可能な段階では、タンク8は、貯蔵装置4の圧力より低い圧力に大気又は回収帯域に向かって少なくとも一部を減圧することができる。これは、例えば弁(例えば制御弁)を備えることができる排気管15を介して達成することができる。
【0049】
好ましくは、減圧のこの第3の段階は、タンク8に向かう空気をクライオポンプ供給するあらゆる問題を回避するために、タンク8内の圧力が厳密に大気圧より大きい圧力であるように中断される。
【0050】
第4の段階では、タンク8は、貯蔵装置4から、好ましくは貯蔵装置4とタンク8との間の圧力差によって(好ましくはその目的充填水準まで)充填される。この第4の段階では、タンク8は、好ましくは貯蔵装置4との圧力差により充填できるために十分に低い圧力(300~1000ミリバールの圧力差)である。この移送は、液体がタンク8内で所望の水準に達するまでこのやり方を続けることができる。
【0051】
充填方法は、少なくとも第1の段階を使用し、上に画定されたその他の段階の1つ又は複数を使用することができる。
【0052】
好ましくは、タンク8の初期条件(圧力及び/若しくは温度)は、測定又は決定することができる。これは、以下に記載された例に示されたように、充填工程が全てのこれらの段階を使用でき、又はそれらの1つ若しくは複数を割愛することができるからである。
【0053】
例えば図3に示されたように、デバイスは、タンク8内の圧力及び/又は温度の1組22を含むことができる。
【0054】
従って充填されるタンク8内の初期条件が以下の通りである時、すなわち圧力が1~5バールであり、好ましくは3バール絶対圧に等しく、タンクのガスヘッドスペースの温度が20K~120Kであり、好ましくは70Kに等しい時、好ましくは、充填工程は第1及び第4の段階を使用し、第2及び第3の段階を割愛する。
【0055】
初期圧力が5~8バールであり、好ましくは6バール絶対圧に等しい時、及びタンクのガスヘッドスペースの温度が20~120Kであり、好ましくは100Kに等しい時、好ましくは、充填工程は4つの段階(すなわちタンク8の減圧の中間段階を含む)を使用する。
【0056】
初期圧力が8~12バールであり、好ましくは10バール絶対圧に等しい時、及びタンクのガスヘッドスペースの温度が20~120Kであり、好ましくは70Kに等しい時、好ましくは、充填工程は4つの段階を使用する。
【0057】
本発明者らは、この充填戦略が異なる源に由来するボイルオフの損失を低減することができることを実証した。
【0058】
この充填方法は、好都合なことに(例えば「ターボブレイトン」型の)液化機3のサブクーリング機能、及び比較的高い圧力(例えば最高10バール絶対圧)で液体水素を供給する、その機能も使用する。これにより、ボイルオフガスの再循環及び液化機3の不均衡のシステムを回避することができる。これにより、以下に説明するように、液化に起因してわずかな追加のエネルギー消費を犠牲にして回避することができる。
【0059】
第1の段階(第1の移送ステージ)は、タンク8を熱力学的に釣り合わせ、その圧力及びその温度を大幅に下げることができる。
【0060】
第1のステージ(段階1)の間に、タンク8内に存在する温熱流体は、タンク8内の圧力が、液化機3に由来するサブクールした液体水素により温熱蒸気を濃縮した結果として十分に低下する(特定の圧力水準に下がる)まで、貯蔵装置4に戻すための管11上の弁21を閉じることによりタンク8内に留めることができる。
【0061】
タンク8内の圧力によって決定された後に、液化機3からこの直接の一部を充填することは停止され、タンク8内の圧力に依存して、タンク8の充填を続けること(及び終わらせること)は、貯蔵装置4との圧力差によって実行することができる(段階4)。
【0062】
対照的に、タンク8の圧力が第1の段階/ステージの終結に過剰に高いままである場合、タンク8は、まず貯蔵装置4の底部の中に減圧し(タンク8内の圧力を低減するステージである段階2)、及び/又は外側に向かって減圧することができる(タンク8内の圧力を低減するステージである段階3)。
【0063】
万一貯蔵装置4の中に減圧する場合は、貯蔵装置4内の水準はわずかに(例えば1体積%未満)増加することがある。
【0064】
貯蔵装置4の中に移送された温熱ガスの全質量を濃縮するために、サブクールした液体水素の十分量を液化機3により貯蔵装置に送らなければならない。
【0065】
従って液化機3の出口で液体のサブクールする水準の調節は、蒸発による水素の損失を制限又は無効にするために制御することができる。
【0066】
タンク8の初期条件が「極端」であり過ぎる(例えば圧力は10バール絶対圧以上であり、ガスの温度は100K以上である)場合に、減圧された温熱ガスの質量が、液化機3からの過剰に大量の液体水素を補償するために必要な貯蔵装置4の条件を妨げないために、好都合なことに段階2を実行しないか、又は一部のみ実行することができる。
【0067】
これは、液化機3によって供給された液体水素のこの追加の質量が、かなりの追加の支出をもたらす可能性があるからである。これを防ぐために、段階2の代替又は同時になす解決策は、タンク8から大気への温熱ガスを減圧することができる(段階3)。
【0068】
一方、より好ましい場合(例えば初期圧力が3バール絶対圧以下で、初期温度が70K以下)、圧力を低減するステージなしにタンク8を充填することができる(段階2及び/又は3)。
【0069】
従ってこれらの状況では、第1のステージ(段階1)は、タンク8内の圧力を貯蔵装置4の圧力より十分に下げることがあり、圧力差によって充填可能になる。
【0070】
圧力差が不十分な圧力である場合に、貯蔵装置4からタンク8に液体を移すためにポンプを使うことも可能であることに留意されたい。
【0071】
本発明者らは、この方法が従来の充填手順に比べて最高8~10倍だけ蒸発による損失を低減することが可能になることを実証した。
【0072】
この解決策は、序文に記載されたように蒸発した気体の再循環のためのシステムで分配することを可能にする。
【0073】
本解決策は、液化エネルギー消費をわずかに増加することを犠牲にして、このように設備の資本コストを低減することができる。
【0074】
追加としてエネルギー価格及び水素の値に依存して、記載されたシステムは、タンク8内に送達された液体水素の生産費に関して節約全体を総体的に可能にする。
【0075】
解決策は、適切な場合に、利用可能な水素の量が低下した時に液体のサブクールを増加することもできる。これは、好都合なことに貯蔵装置4内に含有された液体のサブクールの水準を調節することができる。従って貯蔵装置4内のこの液体は、蒸発が始まる前に「エネルギー貯蔵」又は「フリゴリー貯蔵」を有する。
【0076】
設備が数個のタンクを同時に充填できる場合(数個の管11、13又はこれらの管への数個の端部)、好ましくは、設備1は異なるタンク8の間で第1の移送ステージ(段階1)を順次使用することを可能にするために、異なるステージ(段階)を連続させるように構成することができる。同様に、設備1は、充填する異なるタンク8に対して他のステージ/段階を連続させるように構成することができる。
【0077】
用語「構成される」は、設備が手動及び/又は自動的に制御できることを意味すると理解されたい。例えば図3に図式で示されているように、設備1は、例えば設備の構成要素(液化機、弁、及び同種のもの)の全て又は一部を制御して操縦するように構成された(プログラミングされた/制御された)、例えばコンピュータ又はマイクロプロセッサを含む電子制御ユニット23を含むことができる。
【0078】
従って回収管11によって回収された温熱流体は、そこで冷却し/濃縮するために貯蔵装置4に戻すことができる。この構成は、好都合なことにポンプを使うことなく、タンク8の最大作動圧力より高い圧力で、サブクールした水素をタンク4に充填することができる。
【0079】
従って戻し管11の弁21は、直接再液化により貯蔵装置8内の圧力及び水素の質量を維持することができる。
【0080】
好ましくは、液化機3は、貯蔵圧力における水素の泡立ち点より低い温度で水素を生成して貯蔵装置4に送り込むように構成される。
【0081】
貯蔵圧力は、例えば1.05バール~5バール、具体的には2.5バールである。
【0082】
例えば液化機3によって生成され、貯蔵装置4の中に移送された液体水素は、貯蔵圧力における水素の泡立ち点に対して0.1~12Kだけ低い温度、具体的には1.05~11バールの貯蔵圧力に対して16K~23K、具体的には2.5バールの貯蔵圧力に対して20.4~21Kの温度を有する。
【0083】
例えば液化機によって生成され、貯蔵装置4の中に移送された液体水素は、液体の圧力における飽和温度と1.1バール絶対圧の圧力における飽和温度との間の温度、具体的には2.5バールの貯蔵圧力に対して20.4~23.7Kの温度を有する。
【0084】
液化機によって生成され、貯蔵装置4の中に移送された液体水素は、液体の圧力における飽和温度と水素の凝固温度よりわずかに高い温度との間の温度、具体的には2.5バールの貯蔵圧力に対して15K~23.7Kの温度を有することができる。
【0085】
同様に液化機によって生成され、タンク8の中に、及び任意選択的に貯蔵装置4の中にも直接移送された液体水素は、液体の圧力における飽和温度と水素の凝固温度よりすぐ上の温度との間の温度、具体的には2.5バールの貯蔵圧力に対して15K~23.7Kの温度を有することができる。
【0086】
すなわち液化機3は、先行技術の構成に関して、すなわち貯蔵装置4の圧力における水素の泡立ち点より低い温度でサブクールする液体を生成する。
【0087】
泡立ち点は、沸騰(蒸発)から第1の気泡が現れる(所与の圧力における)温度を指す。
【0088】
好ましくは、液化機3は、サブクールした熱力学条件で液体水素を直接供給する。例えば液化機3の出口で、水素は、任意選択的に貯蔵設備4まで導く循環における加熱を考慮に入れたサブクーリング条件を有する。
【0089】
好ましくは、水素の液相及び気相は、貯蔵設備4内で熱力学的に釣り合わない。すなわち貯蔵設備4の水素の気相及び液相は、それぞれが異なる温度を有する。具体的には、水素は安定した圧力(貯蔵圧力)で維持することができるが、水素の温度、具体的には気体水素は、底部の冷液相と上部の温気部との間で層状にすることができる。
【0090】
この構成(気部と液部との間の温度差)では、気部の大半は40Kの温度であることが可能である。
【0091】
事実上、水素の臨界点は33Kで12.8バールである。従ってガスの圧力を等温的に40Kで増加することにより、ガスを濃縮することはできない。
【0092】
次いで貯蔵設備4の底部を介して冷液を加えることによる貯蔵設備4の加圧は、第1の取り組みにおいて、ガスヘッドスペースを濃縮することなく可能であると容易に結論付けることができる。
【0093】
従って比較的「高温の」ガスヘッドスペース(例えば40K以上の温度)及びその泡立ち点に対応するか又はそれより低い温度を有する液部を含む、準安定性(若しくは不安定性)熱力学システムを獲得することができる。これは、温度成層型ガスヘッドスペースに関連したサブクールした液体の具体的事例である。
【0094】
貯蔵圧力は、1.05バール~5バール、具体的には2.5バールを含み、維持することができる。
【0095】
貯蔵装置4及びタンク8は、被覆して真空絶縁することができる。
【0096】
設備1は、液化機の出口に連結した端部及び貯蔵装置4の気相内(上部内)に現れる端部を有する、管14を含むことができる。
【0097】
従って設備は、液化機3によって生成された水素を貯蔵装置4に自動的に供給することにより、貯蔵装置内の液位を特定の閾値より高く維持するように構成することができる。
【0098】
貯蔵装置4内の圧力は、例えばガスヘッドスペースの圧力を制御することによって制御することができる。例えば圧力は、増加することができる(単純にするために図に表されていない、より高温の水素をガスヘッドスペースの中に注入するための従来のデバイス)。すなわち圧力を増加するためのデバイスは、貯蔵装置から液体を取り出し、それを再加熱し、それを貯蔵装置4の上部の中に再注入することができる。
【0099】
貯蔵装置4内の圧力を低減するために、1つの解決策は、ガス部の中に噴霧することにより液化機3に由来する液体水素を注入することであることが可能である。これは、例えば弁17を備えた適切な管14を介して実行することができる。貯蔵装置4内の圧力を低減するために、ガスヘッドスペース内に含有された気体水素の一部を空気に放出することも可能である(例えば表されていない弁を備えた管18)。
【0100】
本発明は、適切な場合に水素以外の気体に適用することができる。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 液体水素タンク(8)、具体的にはセミトレーラの移動式タンクを充填する方法であって、前記方法は、水素液化機(3)を含む液体水素の第1の源から前記タンク(8)の中に液体水素の第1の量を移送する第1のステージ(33)を含み、液体水素の前記第1の量は、前記タンク(8)内の温度及び圧力を下げるために提供され、前記方法は、液体水素貯蔵装置(4)を含む液体水素の第2の源から前記タンク(8)の中に液体水素の第2の量を移送する第2のステージ(34)を含み、液体水素の前記第2の量は、前記液体水素貯蔵装置(4)と前記タンク(8)との圧力差により前記タンク(8)の中に移送され、前記方法は、前記第1の移送ステージ(33)と前記第2の移送ステージ(34)との間で、前記貯蔵装置(4)内の前記加圧されたガスの少なくとも一部を濃縮するために、前記タンク(8)から前記貯蔵装置(4)の前記液相への加圧されたガスの取り出し(38)を含む、前記タンク(8)内の前記圧力を低減するステージ(38、15)を含むことを特徴とする、方法。
[2] 前記タンク(8)内の前記圧力を低減する前記ステージは、加圧されたガスの外側への取り出し(15)、具体的には大気への放出を含むことを特徴とする、[1]に記載の方法。
[3] 液体水素の前記第1の源(3)によって供給された液体水素の前記第1の量は、前記タンク(8)内の前記貯蔵圧力における水素の泡立ち点より低い温度を有することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記タンク(8)の中に移送された液体水素の前記第1の量は、液体水素の既定の量、前記タンク(8)内の液体貯蔵の量の既定の割合、液体水素の前記第1の源から前記タンク(8)に液体水素を特定の流量で移送する既定の期間に対応する液体水素の量、それぞれの所定の値だけ前記タンク(8)内の前記温度及び前記圧力を下げるために必要な液体水素の量、それぞれの所定の温度及び圧力値を前記タンク(8)内で達成するために必要な液体水素の量からの1つであることを特徴とする、[1]又は[3]に記載の方法。
[5] 前記方法は、特定の間隔内で前記貯蔵装置(4)内の前記温度を、具体的には一定の温度を維持するために、液体水素の前記第1の源(3)から前記液体水素貯蔵装置(4)に、調節された温度で液体水素を移送するステージを含むことを特徴とする、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記方法は、前記タンク(8)から外側、具体的には大気中への加圧されたガスの取り出し(15)を介して、前記タンク(8)内の前記圧力を低減するステージを含み、前記圧力を低減するこのステージの終結に、前記タンク(8)内の前記圧力は大気圧より高いままであることを特徴とする、[1]~[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7] 前記方法は、前記第1の移送ステージ(33)の前に、前記タンク(8)内の前記初期圧力及び任意選択的に温度条件を測定するか又は概算するステージを含むことを特徴とする、[1]~[6]のいずれか一項に記載の充填方法。
[8] 前記第1の移送ステージ(33)の前に前記タンク(8)内の前記初期圧力及び任意選択的に温度条件に依存して、前記方法は、前記タンク(8)内の圧力を低減するステージを含むか、又は含まないことを特徴とする、[7]に記載の方法。
[9] 前記タンク(8)内の前記初期圧力が1.05~12バール絶対圧である時、具体的には3バール絶対圧に等しい時に、前記第2の移送ステージは、前記第1の移送ステージの直後に実行され、すなわちこれらの2つの移送ステージの間に前記タンク(8)から流体を取り出すことなく、前記タンク(8)内の前記圧力の低減を目指すことを特徴とする、[8]に記載の充填方法。
[10] 前記タンク(8)内の前記初期圧力が4~8バール絶対圧である時、具体的には6バール絶対圧に等しい時、且つ前記タンク(8)内の前記初期温度が80~120Kである時、具体的には100Kに等しい時に、前記方法は、前記2つの移送ステージの間に前記タンク(8)内の前記圧力を低減するステージを含むことを特徴とする、[8]に記載の充填方法。
[11] 前記タンク(8)内の前記初期圧力が8~12バール絶対圧である時、具体的には10バール絶対圧に等しい時、且つ前記タンク(8)内の前記初期温度が20~120Kである時、具体的には70K又は100Kに等しい時に、前記方法は、前記2つの移送ステージの間に前記タンク(8)内の前記圧力を低減するステージを含むことを特徴とする、[8]に記載の充填方法。
[12] 特定の貯蔵圧力における液体水素貯蔵装置(4)、充填される少なくとも1つの移動式タンク(8)、気体水素の源(2)、前記源(2)に連結した入口及び前記液体水素貯蔵装置(4)に連結した出口を含む液化機(3)を含む、液化水素を前記貯蔵及び分配するための設備であって、前記貯蔵装置(4)は、前記液体水素貯蔵装置(4)に連結した一端、及び前記移動式タンク(8)に連結することを意図した少なくとも1つの他端を含む、液体取出管(10)を含み、前記液化機(3)は、前記貯蔵圧力における水素の前記泡立ち点より低い温度で水素を生成して前記貯蔵装置(4)に送り込むように構成され、前記設備は、このボイルオフガスを、それを液化する目的で前記貯蔵装置(4)の中に移送するために、前記タンク(8)に連結することを意図した端部、及び前記貯蔵装置(4)に連結することを意図した端部を含む、ボイルオフガス回収管(11)を含み、前記設備は、追加として前記液化機(3)の前記出口に連結した端部、及び前記タンク(8)に直接連結することを意図した端部を有する、移送管(13)を含み、前記設備は、前記液化機(3)から前記移送管(13)を介して前記タンク(8)の中に液体水素の第1の量を、次いで前記貯蔵装置(4)から前記液体取出管(10)を介して前記タンク(8)に液体水素の第2の量を移送することにより、前記少なくとも1つのタンク(8)を充填するように構成され、前記設備は、任意選択的に前記第1の量の前記移送と前記第2の量の前記移送との間で、前記タンク(8)から前記回収管(11)を介して前記貯蔵設備(4)への、具体的には圧力の均衡を保つことによる加圧されたガスの取り出しを含む、前記タンク内の前記圧力の低減を生じるように構成される、設備。
[13] 前記設備は、前記第1の量の前記移送と前記第2の量の前記移送の間で、排気管(15)を介して外側、具体的には大気への加圧されたガスの取り出しを生じるように構成されることを特徴とする、[12]に記載の設備。
[14] 前記設備は、充填前に前記タンク(8)内の前記初期圧力及び任意選択的に温度条件の測定又は概算のための1組のセンサ(22)を含み、前記設備は、前記第1の量の前記移送と前記第2の量の前記移送との間で、前記初期圧力の関数としての前記タンク(8)内の前記圧力及び任意選択的に前記タンク(8)内の温度条件の低減を生じるか、又は生じないように構成されることを特徴とする、[12]又は[13]に記載の設備。
[15] 前記回収管(11)は、前記タンク(8)から前記貯蔵装置(4)の前記液相の中に前記加圧されたガスを送るために、前記貯蔵装置の前記下部に連結されることを特徴とする、[12]~[14]のいずれか一項に記載の設備。
図1
図2
図3