IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-多層フィルム及びディスプレイシステム 図1
  • 特許-多層フィルム及びディスプレイシステム 図2
  • 特許-多層フィルム及びディスプレイシステム 図3
  • 特許-多層フィルム及びディスプレイシステム 図4
  • 特許-多層フィルム及びディスプレイシステム 図5
  • 特許-多層フィルム及びディスプレイシステム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】多層フィルム及びディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13363 20060101AFI20240122BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
G02F1/13363
G02F1/1335 510
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021521157
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 IB2019058596
(87)【国際公開番号】W WO2020079537
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】62/747,711
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】フラネイ,エイリーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】パンクラッツ,ステファン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デルロフスク,ジョン エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,マシュー ビー.
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-007565(JP,A)
【文献】特開2017-065466(JP,A)
【文献】特開2014-026058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02F 1/13363
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を出射するように構成されたディスプレイと、
前記ディスプレイ上に配置され、入射偏光を少なくとも30%偏光解消し、少なくとも約450nm~約700nmにわたる波長範囲の可視波長において少なくとも50nmの位相差を有する複屈折フィルムと、
前記ディスプレイと前記複屈折フィルムとの間に配置された反射偏光子であって、前記ディスプレイによって出射された前記画像を透過して、第1の偏光状態を実質的に反射し、直交する第2の偏光状態を実質的に透過するように構成された、反射偏光子と、を備え、
前記複屈折フィルムは、少なくとも450nm~700nmにわたる波長範囲の、少なくとも部分的に偏光された光が、ディスプレイシステムに垂直に入射する場合において、ディスプレイシステム上に生成される規則的な光学パターンの視認性を低減するものであり、
前記規則的な光学パターンは、交互になったより暗い領域とより明るい領域の二次元の周期的パターンを含み、
前記複屈折フィルムは、面内の直交する第1の光軸及び第2の光軸を有し、前記第1の光軸が、前記第2の偏光状態と20度~60度の角度をなす、
ディスプレイシステム。
【請求項2】
記ディスプレイ、前記複屈折フィルム、及び前記反射偏光子が、1つ以上の接着層を介して互いに接着されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
画像を出射するように構成されたディスプレイと、
前記ディスプレイ上に配置され、入射偏光を少なくとも30%偏光解消する複屈折フィルムと、
前記ディスプレイと前記複屈折フィルムとの間に配置された反射偏光子であって、前記ディスプレイによって出射された前記画像を透過して、第1の偏光状態を実質的に反射し、直交する第2の偏光状態を実質的に透過するように構成された反射偏光子と、を備える、ディスプレイシステムであって、
少なくとも約450nm~約700nmにわたる波長範囲の、前記第2の偏光状態を有する垂直入射光の場合、前記反射偏光子が、前記入射光の少なくとも80%を透過し、透過された光が、前記第1の偏光状態を有する第1の部分と、前記第2の偏光状態を有する第2の部分と、を有し、前記第1の部分の前記第2の部分に対する比が約0.2を超え
前記複屈折フィルムは、少なくとも450nm~700nmにわたる波長範囲の、少なくとも部分的に偏光された光が、ディスプレイシステムに垂直に入射する場合において、ディスプレイシステム上に生成される規則的な光学パターンの視認性を低減するものであり、
前記規則的な光学パターンは、交互になったより暗い領域とより明るい領域の二次元の周期的パターンを含み、
前記複屈折フィルムは、面内の直交する第1の光軸及び第2の光軸を有し、前記第1の光軸が、前記第2の偏光状態と20度~60度の角度をなす、
ディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、多層フィルム及びディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両内にある内部/上部の後方視認ミラーは、液晶ディスプレイ(LCD)ミラー又はEミラーに取って代わられている。しかしながら、従来の内部の後方視認ミラー及びLCDミラーはいずれも、望ましくない光学パターン又は白色ドットパターンの問題に直面している。少なくとも1つの後続車両又は路面のいずれかからの光の反射が、(図1に示すように)先行車両の後部窓に入射すると、後方視認ミラーを見ている観察者は、複数の白色ドットを観察することがある。この白色ドットパターンの出現は、通常の規則的な光学現象であり、後部窓ガラスにおける光弾性のムラに起因して生じる。このムラは、後部窓ガラスを硬化する製造工程に起因して生じる。このような硬化された後部窓ガラスの使用は避けられないため、後方視認ミラー上の規則的な光学パターンの視認性を低減する技術が必要とされる。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載される様々な態様及び実施形態は、白色ドットの規則的な光学パターンの視認性を低減又は除去する多層フィルム及びディスプレイシステムに関する。
【0004】
本開示の一態様は、画像を出射するように構成されたディスプレイを含むディスプレイシステムに関する。複屈折フィルムが、ディスプレイ上に配置され、可視波長において少なくとも20、又は50、又は75、又は100、又は150、又は200、又は300、又は400、又は500nmの位相差を有する。反射偏光子が、ディスプレイと複屈折フィルムとの間に配置される。反射偏光子は、ディスプレイによって出射された画像を透過して、第1の偏光状態を実質的に反射し、直交する第2の偏光状態を実質的に透過するように構成される。
【0005】
本開示の別の態様は、画像を出射するように構成されたディスプレイを含むディスプレイシステムに関する。複屈折フィルムが、ディスプレイ上に配置され、入射偏光を少なくとも10%、又は20%、又は30%、又は40%、又は50%、又は60%、又は70%、又は80%、又は90%偏光解消するように構成される。反射偏光子が、ディスプレイと複屈折フィルムとの間に配置される。反射偏光子は、ディスプレイによって出射された画像を透過して、第1の偏光状態を実質的に反射し、直交する第2の偏光状態を実質的に透過するように構成される。
【0006】
本開示の別の態様は、第2の偏光状態に沿って偏光された光を出射するように構成されたディスプレイを含むディスプレイシステムに関する。複屈折フィルムが、ディスプレイ上に配置され、面内の直交する第1の光軸及び第2の光軸を有する。第1の光軸は、第2の偏光状態と約20度~約60度の角度をなす。反射偏光子が、ディスプレイと複屈折フィルムとの間に配置される。反射偏光子は、ディスプレイによって出射された画像を透過して、第2の偏光状態を実質的に透過し、直交する第1の偏光状態を実質的に反射するように構成される。
【0007】
本開示の別の態様は、画像を出射するディスプレイを含むディスプレイシステムに関する。複屈折フィルムが、ディスプレイ上に配置され、複屈折フィルムは、少なくとも約450nm~約700nmにわたる波長範囲の少なくとも部分的に偏光された光がディスプレイシステムに実質的に垂直に入射したときに複屈折フィルムがディスプレイシステム上に生成される規則的な光学パターンの視認性を実質的に低減するものである。
【0008】
本開示の更に別の態様は、偏光を出射するように構成されたディスプレイを含むディスプレイシステムに関する。複屈折フィルムが、ディスプレイ上に配置され、出射された偏光を受光するように構成される。部分反射体が、ディスプレイと複屈折フィルムとの間に配置され、偏光フィルムを通して見ると、複屈折フィルムが、少なくとも約450nm~約700nmにわたる波長範囲の少なくとも部分的に偏光された光がディスプレイシステムに実質的に垂直に入射したときにディスプレイシステム上に生成される規則的な光学パターンの視認性を実質的に低減するものである。
【0009】
本開示の更に別の態様は、多層フィルムに関し、この多層フィルムは、部分反射体と、部分反射体に光学的に結合された複屈折フィルムとを含み、偏光フィルムを通して見ると、複屈折フィルムが、少なくとも部分的に偏光された光が多層フィルムに入射したときに多層フィルム上に生成される規則的な光学パターンの視認性を実質的に低減するものである。
【0010】
本出願の上記及び他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」から明らかになるであろう。しかしながら、上記概要は、いかなる場合も請求の主題の限定として解釈されるべきではなく、そのような主題は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の様々な態様は、添付の図面を参照してより詳細に論じられる。
図1】先行車両の後部窓ガラスに光を反射する後続車両及び路面を概略的に示す図である。
図2】多層フィルムの概略的な分解図である。
図3】一実施形態に係るディスプレイシステムの概略的な分解図である。
図4】一実施形態に係るディスプレイシステムの概略的な分解図である。
図5】一実施形態に係るディスプレイシステムの概略的な分解図である。
図6】本開示の例示的な実施形態を概略的に示す図である。
【0012】
これらの図は、必ずしも一定の比率の縮尺ではない。図面で使用されている同様の番号は同様の構成要素を示す。しかし、所与の図中のある構成要素を示す数字の使用は、同じ数字を付した別の図中の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、複屈折フィルムを使用することによって白色ドットパターンの視認性を実質的に低減する多層フィルムに関する。本開示はまた、複屈折フィルムを使用することによって白色ドットパターンの視認性を実質的に低減するディスプレイシステムにも関する。
【0014】
本明細書で以下に使用する場合、白色ドットパターンを「規則的な光学パターン」と呼ぶことがある。規則的な光学パターンは、交互になったより暗い領域とより明るい領域とを含み得る。規則的な光学パターンは、周期的パターンであってもよい。更に、規則的な光学パターンは、二次元の周期的パターンであってもよい。
【0015】
図2は、規則的な光学パターンの視認性を実質的に低減するように構成された多層フィルム(200)を示す。多層フィルム(200)は、少なくとも部分的に偏光された光が多層フィルム(200)に入射したときに多層フィルム(200)上に生成される規則的な光学パターンの視認性を実質的に低減する。少なくとも部分的に偏光された光は、少なくとも450nm~約750nmにわたる波長範囲を有し得る。少なくとも部分的に偏光された光は、多層フィルム(200)に実質的に垂直に入射することができる。
【0016】
多層フィルム(200)は、部分反射体(108)及び複屈折フィルム(104)を含む。多層フィルム(200)は、互いに光学的に結合された部分反射体(108)及び複屈折フィルム(104)を有するユニボディフィルムとしてもよい。部分反射体(108)及び複屈折フィルム(104)は、接着剤を使用して互いに結合することができる。
【0017】
部分反射体(108)は、入射偏光を複屈折フィルム(104)に透過するように構成される。部分反射体(108)は、垂直入射偏光の少なくとも30%を複屈折フィルム(104)に透過することができる。いくつかの実施形態では、部分反射体(108)は、垂直入射偏光の少なくとも80%を反射してもよい。部分反射体(108)は、当業者に既知の従来の部分反射体であってもよい。
【0018】
複屈折フィルム(104)は、部分反射体(108)から受光した入射偏光を偏光解消するように構成される。複屈折フィルム(104)は、偏光フィルム(110)を使用して見ている観察者まで偏光解消光を更に透過することができる。偏光フィルム(110)としては、手持ち式偏光フィルム及び/又は偏光眼鏡が挙げることができるが、これらに限定されない。複屈折フィルム(104)は、均一又は不均一な厚さを有し得る。複屈折フィルム(104)は、約50ミクロンを超える平均厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、複屈折フィルム(104)は、約100ミクロンを超える平均厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、複屈折フィルム(104)は、約200ミクロンを超える平均厚さを有する。更に、複屈折フィルム(104)は、別々の方向において別々の屈折率を有してもよい。複屈折フィルム(104)は、可視波長において少なくとも-----nmの位相差値を有し得る。いくつかの実施形態では、複屈折フィルム(104)は、--波長において-----nmの位相差値を有し得る。更に、複屈折フィルム(104)は、入射偏光を少なくとも--%偏光解消し得る。一実施形態では、複屈折フィルム(104)は、入射偏光を--%偏光解消し得る。更に、複屈折フィルム(104)は、部分反射体(108)又は規則的な光学パターンが生成される任意のディスプレイ(本明細書で後述する)上に、ある角度で配置され得る。複屈折フィルム(104)はまた、面内の直交する第1の軸(105)及び第2の光軸(107)を有し得る。更に、偏光フィルム(110)を通して見ると、複屈折フィルム(104)は、少なくとも部分的に偏光された光が部分反射体(112)に入射したときに多層フィルム(200)上に生成される規則的な光学パターンの視認性を実質的に低減するように構成される。
【0019】
別の実施形態では、図3に示すように、複屈折フィルム(104)は、当業者に既知の接着層を使用してディスプレイ(102)に直接結合されてもよい。ディスプレイ(102)に結合された複屈折フィルム(104)は、ディスプレイシステム(100)を形成することができる。ある特定の実施形態では、ディスプレイ(102)は、後方視認LCDディスプレイ、Eミラー、及び/又は上部後方視認ミラーを含み、画像を出射するように構成されてもよい。ディスプレイ(102)は、車両の後部窓ガラス又は規則的な光学パターンを生成する任意の光源からの実質的に垂直方向に部分的に偏光された光を受光することができる。少なくとも部分的に偏光された光は、少なくとも450nm~約750nmにわたる波長範囲を有し得る。更に、ディスプレイ(102)は、少なくとも部分的に偏光された光を複屈折フィルム(104)に向けて出射するように構成され、この複屈折フィルム(104)は、ディスプレイ(102)上に生成される規則的な光学パターンの視認性を低減する。
【0020】
別の実施形態では、図4に示すように、部分反射体(108)が、ディスプレイ(102)と複屈折フィルム(104)との間に配置されてもよい。更に、部分反射体(108)、ディスプレイ(102)、及び複屈折フィルム(104)は、1つ以上の接着層を介して互いに接着される。更に、部分反射体(108)は、ディスプレイ(102)によって出射された少なくとも部分的に偏光された光を受光するように構成される。更に、部分反射体(108)は、入射偏光を複屈折フィルム(104)に透過するように構成される。部分反射体(108)は、垂直入射偏光の少なくとも30%を複屈折フィルム(104)に透過することができる。いくつかの実施形態では、部分反射体(108)は、垂直入射偏光の少なくとも80%を反射してもよい。部分反射体(108)は、半透明アルミニウムコーティングなどの従来の部分反射体であってもよい。更に、複屈折フィルム(104)は、偏光フィルム(110)を通して見たときに、ディスプレイシステム(100)上に生成される規則的な光学パターンの視認性を実質的に低減するように構成される。
【0021】
別の実施形態では、図5に示すように、反射偏光子(106)が、ディスプレイ(102)と複屈折フィルム(104)との間に配置されてもよい。更に、反射偏光子(106)、ディスプレイ(102)、及び複屈折フィルム(104)は、1つ以上の接着層を介して互いに接着される。反射偏光子(106)は、ワイヤグリッド偏光子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、反射偏光子は、線形偏光子を含んでもよい。反射偏光子(106)は、複数の低屈折率及び高屈折率のポリマー層を含んでもよく、各層は、約500nm未満の平均厚さを有する。更に、反射偏光子(106)は、少なくとも部分的に偏光された光をディスプレイ(102)から受光するように構成される。更に、反射偏光子(106)は、第1の偏光状態(111)に少なくとも部分的に偏光された光を、反射するように構成される。反射偏光子はまた、直交する第2の偏光状態(113)に少なくとも部分的に偏光された光を、複屈折フィルム(104)に透過するように構成される。一実施形態では、反射偏光子(106)は、第1の偏光状態(111)を有する第1の部分を有する入射光の少なくとも80%を反射し、第2の偏光状態(113)を有する第2の部分を有する入射光の少なくとも80%を透過してもよい。更に、第1の部分の第2の部分に対する比は約0.2を超えてもよい。更に、複屈折フィルム(104)は、第2の偏光状態(113)を有する光を受光するように構成される。上述のように、複屈折フィルム(104)は、可視波長において少なくとも-nmの位相差値を有し得る。複屈折フィルム(104)は、複屈折フィルム(104)が、第1の偏光状態(111)方向に沿った第1の屈折率と、第2の偏光状態(113)方向に沿った、第1の屈折率とは異なる第2の屈折率とを有するように、ディスプレイ(102)上に配置され得る。更に、第1の屈折率と第2の屈折率との間の差は、少なくとも0.05であり得る。一実施形態では、複屈折フィルム(104)は、面内の直交する第1の軸(105)が第2の偏光状態(113)の方向に対して20度~60度の角度(θ)をなすように、ディスプレイ(102)上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、角度(θ)は、約45度であってもよい。
【0022】
図6に最もよく示される例示的な実施形態では、車Aが車Bに先行していると見なす。更に、光は、車Bの前面ガラスに当たると偏光され、車Aの後面ガラスへ反射される。後面ガラスへの偏光の反射は、規則的な光学パターン(白色ドットパターン)を生成し、これを、偏光サングラスをかけたドライバーが、上部後方視認ミラーで見る。上部後方視認ミラー(102)上に多層フィルム(104)を設けることにより、少なくとも約450nm~約700nmにわたる波長範囲の少なくとも部分的に偏光された光がミラー(102)に実質的に垂直に入射したときにミラー(102)上に生成される規則的な光学パターンの視認性を実質的に低減する。
【0023】
図中の要素の説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されるものと理解されたい。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。以下に、例示的実施形態を示す。
[項目1]
画像を出射するように構成されたディスプレイと、
前記ディスプレイ上に配置され、少なくとも約450nm~約700nmにわたる波長範囲の可視波長において少なくとも50nmの位相差を有する複屈折フィルムと、
前記ディスプレイと前記複屈折フィルムとの間に配置された反射偏光子であって、前記ディスプレイによって出射された前記画像を透過して、第1の偏光状態を実質的に反射し、直交する第2の偏光状態を実質的に透過するように構成された、反射偏光子と、を備える、ディスプレイシステム。
[項目2]
前記複屈折フィルムが、約50ミクロンを超える平均厚さを有し、前記複屈折フィルムが、前記第1の偏光状態に沿った第1の屈折率と、前記第2の偏光状態に沿った、前記第1の屈折率とは異なる第2の屈折率とを有し、前記第1の屈折率と前記第2の屈折率との間の差が、少なくとも0.05である、項目1に記載のシステム。
[項目3]
前記複屈折フィルムが、面内の直交する第1の光軸及び第2の光軸を有し、前記第1の光軸が、前記第2の偏光状態と20度~60度の角度(θ)をなし、前記ディスプレイ、前記複屈折フィルム、及び前記反射偏光子が、1つ以上の接着層を介して互いに接着されている、項目1に記載のシステム。
[項目4]
画像を出射するように構成されたディスプレイと、
前記ディスプレイ上に配置され、入射偏光を少なくとも30%偏光解消する複屈折フィルムと、
前記ディスプレイと前記複屈折フィルムとの間に配置された反射偏光子であって、前記ディスプレイによって出射された前記画像を透過して、第1の偏光状態を実質的に反射し、直交する第2の偏光状態を実質的に透過するように構成された反射偏光子と、を備える、ディスプレイシステムであって、
少なくとも約450nm~約700nmにわたる波長範囲の、前記第2の偏光状態を有する垂直入射光の場合、前記反射偏光子が、前記入射光の少なくとも80%を透過し、透過された光が、前記第1の偏光状態を有する第1の部分と、前記第2の偏光状態を有する第2の部分と、を有し、前記第1の部分の前記第2の部分に対する比が約0.2を超える、ディスプレイシステム。
[項目5]
ディスプレイシステムであって、
画像を出射するディスプレイと、
前記ディスプレイ上に配置された複屈折フィルムと、を備え、
前記複屈折フィルムが、少なくとも約450nm~約700nmにわたる波長範囲の少なくとも部分的に偏光された光が前記ディスプレイシステムに実質的に垂直に入射したときに前記ディスプレイシステム上に生成される規則的な光学パターンの視認性を実質的に低減するものであり、
前記規則的な光学パターンが、交互になったより暗い領域及びより明るい領域を含み、
前記複屈折フィルムが、約100ミクロンを超える平均厚さを有する、ディスプレイシステム。
[項目6]
ディスプレイシステムであって、
偏光を出射するように構成されたディスプレイと、
前記ディスプレイ上に配置され、出射された前記偏光を受光するように構成された複屈折フィルムと、
前記ディスプレイと前記複屈折フィルムとの間に配置された部分反射体と、を備え、
偏光フィルムを通して見ると、前記複屈折フィルムが、少なくとも約450nm~約700nmにわたる波長範囲の少なくとも部分的に偏光された光が前記ディスプレイシステムに実質的に垂直に入射したときに前記ディスプレイシステム上に生成される規則的な光学パターンの視認性を実質的に低減するものであり、
前記部分反射体が、垂直入射偏光の少なくとも30%を透過し、
前記部分反射体が、垂直入射偏光の少なくとも80%を反射する、ディスプレイシステム。
[項目7]
多層フィルムであって、
部分反射体と、
前記部分反射体に結合され、約100ミクロンを超える平均厚さを有する複屈折フィルムと、を備え、
偏光フィルムを通して見ると、前記複屈折フィルムが、少なくとも部分的に偏光された光が前記多層フィルムに入射したときに前記多層フィルム上に生成される規則的な光学パターンの視認性を実質的に低減するものであり、
前記部分反射体が、垂直入射偏光の少なくとも30%を透過し、
前記部分反射体が、垂直入射偏光の少なくとも80%を反射する、多層フィルム。
[項目8]
前記規則的な光学パターンが、交互になったより暗い領域及びより明るい領域を含む、項目7に記載の多層フィルム。
[項目9]
前記規則的な光学パターンが、二次元の周期的パターンを含む、項目7に記載の多層フィルム。
[項目10]
前記複屈折フィルムが、約200ミクロンを超える平均厚さを有する、項目7に記載の多層フィルム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6