(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】線状外科用ステープラー用の分離機構
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2021521277
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(86)【国際出願番号】 IB2019058696
(87)【国際公開番号】W WO2020079550
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-08-08
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ・ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ウィン・キャロル・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】コービン・マシュー・エス
(72)【発明者】
【氏名】シングス・ブライアン・ディー
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0286021(US,A1)
【文献】特開2010-069308(JP,A)
【文献】特表2019-524417(JP,A)
【文献】特表2015-506753(JP,A)
【文献】特表2016-534795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/068
17/072
17/115
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープラーであって、
(a)複数のステープル成形ポケットを支持する遠位部分を有する第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)前記第1の細長い部材又は前記第2の細長い部材の一方に設けられた保持部材であって、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が近位端において互いに対して枢動可能であるように、前記第1の細長い部材の前記近位端及び前記第2の細長い部材の前記近位端を弾性付勢により解放可能に一緒に連結するように構成されている、保持部材と、
(e)分離機構であって、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されることに応答して、前記保持部材の前記弾性付勢を克服することによって、
前記第1の細長い部材の前記近位端と前記第2の細長い部材の前記近位端を互いに分離するように構成されている、分離機構と、を備え
、
前記分離機構が、
(i)前記第1の細長い部材の前記近位端に設けられた第1の分離特徴部と、
(ii)前記第2の細長い部材の前記近位端に設けられた第2の分離特徴部と、
を備え、
前記第1の分離特徴部及び前記第2の分離特徴部が、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されることに応答して、係合し、それによって前記保持部材の前記弾性付勢を克服して前記第1の細長い部材の前記近位端と前記第2の細長い部材の前記近位端を分離するように構成されている、外科用ステープラー。
【請求項2】
前記
第1の分離
特徴部が、前記第1の細長い部材
の一部に重な
って直接接触するように位置付けられている、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項3】
前記第1の分離特徴部が第1の突出部を備え、前記第2の分離特徴部が、前記第
1の突出部に対して横
断方向に延在する第2の突出部を備える、請求項
1に記載の外科用ステープラー。
【請求項4】
前記第1の
突出部が第1の停止タブを備え、前記第2の突出部が第2の停止タブを備える、請求項3に記載の外科用ステープラー。
【請求項5】
前記第1の分離特徴部が、前記第1の細長い部材の
前記近位端から近位方向に突出する、請求項
1に記載の外科用ステープラー。
【請求項6】
前記第2の分離特徴部が、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されるとき、前記第1の分離特徴部を受容するように構成されたノッチを画定する、請求項
1に記載の外科用ステープラー。
【請求項7】
前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が、前記保持部材によって一緒に連結されたときに、第1の枢動軸を中心に枢動するように構成されており、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が、前記第1の分離特徴部及び前記第2の分離特徴部が係合するときに、第2の枢動軸を中心に枢動するように構成されている、請求項
1に記載の外科用ステープラー。
【請求項8】
前記第1の枢動軸及び前記第2の枢動軸が横方向に延在し、前記第2の枢動軸が前記第1の枢動軸の近位に配置されている、請求項
7に記載の外科用ステープラー。
【請求項9】
前記第1の細長い部材又は前記第2の細長い部材の他方が枢動突出部を備え、前記保持部材が、前記枢動突出部を解放可能に捕捉して、前記第1の細長い部材の前記近位端及び前記第2の細長い部材の前記近位端を枢動可能に連結するように構成されている、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【請求項10】
前記枢動突出部が、横方向に延在するピンを含む、請求項
9に記載の外科用ステープラー。
【請求項11】
前記保持部材が、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されることに応答して、前記枢動突出部を解放するように構成されている、請求項
9に記載の外科用ステープラー。
【請求項12】
前記保持部材が、前記第2の細長い部材の前記近位端に連結され
ている、請求項1に記載の外科用ステープラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年8月13日に出願された米国特許第16/102,164号、発明の名称「Firing System for Linear Surgical Stapler」の一部継続出願であり、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
胃腸吻合術などの一部の手術では、1つ以上の組織層をクランプし、クランプされた層を切断し、層を通してステープルを同時に駆動することによって、切断された端部の近くで、切断された組織層同士を一緒に実質的に封止することが望ましい場合がある。かかる手術で使用され得るこのような器具の1つは、線状外科用ステープラーであり、「線状カッター」とも称される。線状外科用ステープラーは、一般に、ステープルカートリッジ(又は「再装填部」)を支持するように構成された遠位ジョーを有する第1の半体(「カートリッジ半体」又は「リロード半体」と称される)と、ステープル成形特徴部を有するアンビル表面を支持する遠位ジョーを有する第2の半体(「アンビル半体」と称される)と、を含む。ステープラーは、ステープラー半体を一緒に解放可能にクランプするように構成された可動クランプレバーを更に含む。ステープラー半体は、クランプレバーが閉じられたときに、2つの遠位ジョーの間に組織を受容し、クランプするように、互いに対して枢動するように構成されている。ステープラーの発射アセンブリは、クランプされた層を切断するように作動し、切断線の両側の組織を通してステープルを同時に駆動するように構成されている。ステープラーを発射した後、クランプレバーは開放されてよく、ステープラー半体は、切断されステープル留めされた組織を解放するために分離されてよい。
【0003】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本明細書に組み込まれていると共にその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を示すものであり、上記の本発明の一般的説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】一緒に連結されたステープラーのカートリッジ半体及びアンビル半体を、完全閉鎖位置にあるカートリッジ半体のクランプレバーと共に示している、例示的な線状外科用ステープラーの遠位斜視図である。
【
図2】
図1の線状外科用ステープラーの分解斜視図である。
【
図3】
図1の線状外科用ステープラーのステープルカートリッジアセンブリの断面斜視図である。
【
図4A】近位端において一緒に連結されたステープラー半体を、開放位置にあるクランプレバーと共に示している、
図1の線状外科用ステープラーの断面側面図である。
【
図4B】一緒に連結されたステープラー半体を、部分的閉鎖位置にあるクランプレバーと共に示している、
図1の線状外科用ステープラーの断面側面図である。
【
図4C】一緒に連結されたステープラー半体を、完全閉鎖位置にあるクランプレバーと共に示している、
図1の線状外科用ステープラーの断面側面図である。
【
図5A】近位側の発射前位置にあるステープラーのアクチュエータを示している、
図1の線状外科用ステープラーの遠位斜視図である。
【
図5B】遠位側の発射位置にあるアクチュエータを示している、
図1の線状外科用ステープラーの遠位斜視図である。
【
図6】一緒に連結されたステーブラのカートリッジ半体及びアンビル半体を、完全閉鎖位置にあるカートリッジ半体のクランプレバーと共に示している、別の例示的な線状外科用ステープラーの遠位斜視図である。
【
図7】
図6の線状外科用ステープラーの分解斜視図である。
【
図8】開放位置にあるクランプレバーを示し、カートリッジ半体の内部特徴部を示している、
図6の線状外科用ステープラーのカートリッジ半体の近位部分の斜視図である。
【
図9】アンビルラッチ部材及び戻り止め部材を含む近位保持アセンブリを示すために部分的に切り取られたカートリッジ半体のカートリッジチャネルの側部を示している、
図8のカートリッジ半体の近位端の斜視図である。
【
図10】
図9の近位保持アセンブリの分解した左側斜視図である。
【
図11】
図9の近位保持アセンブリの分解した右側斜視図である。
【
図12A】アンビル半体の近位端がカートリッジ半体の近位端と位置合わせされているときの、第1の回転位置にあるアンビルラッチ部材を示している、アンビルシュラウドが省かれ、カートリッジチャネルの側部が切り取られた、
図6の線状外科用ステープラーの側面図である。
【
図12B】アンビル半体の近位ピンがアンビルラッチ部材の上面と係合しているときの、第2の回転位置にあるアンビルラッチ部材を示している、アンビルシュラウドが省かれ、カートリッジチャネルの側部が切り取られた、
図6の線状外科用ステープラーの側面図である。
【
図12C】近位アンビルピンを解放可能に捕捉し、それによってステープラー半体の近位端が連結されるように、第1の回転位置に戻った後のアンビルラッチ部材を示している、アンビルシュラウドが省かれ、カートリッジチャネルの側部が切り取られた、
図6の線状外科用ステープラーの側面図である。
【
図13A】開放位置にあるクランプレバーを示している、
図6の線状外科用ステープラーのカートリッジ半体の近位部分の斜視図である。
【
図13B】クランプレバーのラッチがカートリッジチャネルの近位端と係合する閉鎖位置にあるクランプレバーを示している、
図13Aのカートリッジ半体の近位部分の斜視図である。
【
図14A】アンビルラッチ部材の解放特徴部がカートリッジチャネルの下側を取って露出する開放位置にあるクランプレバーを示している、
図6の線状外科用ステープラーのカートリッジ半体の近位部分の斜視図である。
【
図14B】アンビルラッチ部材から近位アンビルピンを解放し、それによってステープラー半体の分離を可能にする解放特徴部の作動を示している、アンビルシュラウドが省かれ、カートリッジチャネルの側部が切り取られた、
図6のステープラー半体の近位部分の側面図である。
【
図15A】発射前の近位ホーム位置にある線状外科用ステープラーの発射アセンブリを示している、シュラウドが省かれ、カートリッジチャネルの近位側部分の輪郭が仮想線で示されている、
図6の線状外科用ステープラーの近位部分の側面図である。
【
図15B】発射アセンブリのスライダブロックの近位端が戻り止め部材を第1の方向に回転させるように、発射中に遠位方向に前進する発射アセンブリを示している、
図15Aの線状外科用ステープラーの近位部分の側面図である。
【
図15C】スライダブロックが戻り止め部材を係合解除し、戻り止め部材が第2の方向に回転することを可能にして、戻り止め部材のクランプレバーロックアウト特徴部がクランプレバーラッチをロックアウトするように、発射中に更に遠位方向に前進する発射アセンブリを示している、
図15Bの線状外科用ステープラーの近位部分の側面図である。
【
図15D】スライダブロックが戻り止め部材を再係合し、第1の方向に回転させるように、発射後に近位方向に前進する発射アセンブリを示している、
図15Cの線状外科用ステープラーの近位部分の側面図である。
【
図15E】クランプレバーロックアウト特徴部がクランプレバーラッチから係合解除される回転位置に戻り止め部材が保持される近位ホーム位置に戻された発射アセンブリを示している、
図15Dの線状外科用ステープラーの近位部分の側面図である。
【
図16】スライダブロック及び一対の回転可能なアクチュエータを含む、
図6の線状外科用ステープラーの発射アセンブリの上面斜視図である。
【
図17】
図16の発射アセンブリのスライダブロック及び回転可能なアクチュエータの近位斜視図である。
【
図18】
図16の発射アセンブリのスライダブロックの上面斜視図である。
【
図19】
図16の発射アセンブリの回転可能なアクチュエータの底面斜視図である。
【
図20A】第1のアクチュエータが延出した回転位置にあり、第2のアクチュエータが後退した回転位置にある第1の構成にあるアクチュエータを示している、
図16の発射アセンブリのスライダブロック及び回転可能なアクチュエータの上面断面図である。
【
図20B】第1のアクチュエータが後退し、第2のアクチュエータが延出している第2の構成にあるアクチュエータを示している、
図16の発射アセンブリのスライダブロック及びアクチュエータの上面断面図である。
【
図20C】両方のアクチュエータが後退している第3の構成にあるアクチュエータを示している、
図16の発射アセンブリのスライダブロック及びアクチュエータの上面断面図である。
【
図21】発射アセンブリが遠位方向に前進したため、
図16の発射アセンブリのアクチュエータの下側タブがカートリッジチャネルの内面に対して拘束されている状態を示している、
図6の線状外科用ステープラーの近位部分の拡大斜視図である。
【
図22】ステープラー半体が互いに分離され、ステープラー半体のシュラウド及びステープルカートリッジが省略されている、カートリッジ半体及びアンビル半体を有する別の例示的な線状外科用ステープラーの斜視図である。
【
図23】アンビル半体の近位ピンを解放可能に捕捉して、ステープラー半体の近位端を一緒に連結するラッチ部材を有する、カートリッジ半体の近位保持アセンブリの詳細を示している、
図22の線状外科用ステープラーの近位部分の側断面図である。
【
図24A】カートリッジ半体からアンビル半体の近位ピンを解放及び放出するためのラッチ部材の解放ボタンの作動を示している、
図22の線状外科用ステープラーの近位部分の側断面図である。
【
図24B】ラッチ部材解放ボタンの作動後に互いに分離されたステープラー半体の近位端を示している、
図22の線状外科用ステープラーの近位部分の側断面図である。
【
図25】ステープラーの近位端に配置された例示的な分離特徴部の詳細を示している、
図22の線状外科用ステープラーの近位部分の斜視図である。
【
図26A】ステープラー半体の近位端が枢動可能に連結されるように、カートリッジ半体のラッチ部材によって捕捉されたアンビル半体の近位ピンを示している、
図22の線状外科用ステープラーの近位部分の側断面図である。
【
図26B】近位アンビルピンによって画定される第1の枢動軸を中心に、第1の可動域にわたってカートリッジ半体から離れるように枢動するアンビル半体を示している、
図22の線状外科用ステープラーの近位部分の側断面図である。
【
図26C】第2の可動域に移行して、ステープラー半体の分離特徴部によって画定される第2の枢動軸を中心に、第2の可動域にわたってカートリッジ半体から離れるように枢動するアンビル半体を示している、
図22の線状外科用ステープラーの近位部分の側断面図である。
【
図26D】近位アンビルピンがラッチ部材を近位方向に駆動させてその遠位方向の弾性付勢を克服するように、第2の枢動軸を中心に第2の可動域にわたって枢動するアンビル半体を示している、
図22の直線状外科用ステープラーの近位部分の側断面図である。
【
図26E】第2の枢動軸を中心に第2の可動域にわたってアンビル半体が完全に移動した後に互いに分離されたステープラー半片の近位端を示し、ラッチ部材が遠位位置に戻っていることを示す、
図22の線状外科用ステープラーの近位部分の側断面図である。
【
図27】ラッチ部材のラッチ表面によって画定された角度を示している、
図22のカートリッジ半体のラッチ部材の上部の側面図である。
【
図28A】遠位ラッチ位置におけるステープラーの近位ラッチ部材を示している、別の例示的な分離機構を有する線状外科用ステープラーの側面図である。
【
図28B】ステープラーのアンビル半体がカートリッジ半体に対して枢動して開放されることに応答して、解放位置まで回転した近位ラッチ部材を示している、
図28Aの分離機構の側面図である。
【
図29】例示的な拡張可能な先端部材の詳細を示している、
図22の線状外科用ステープラーのアンビル半体の遠位部分の斜視図である。
【
図30A】完全後退位置における拡張可能な先端部材を示している、
図22の線状外科用ステープラーの遠位部分の側断面図である。
【
図30B】中間拡張位置における拡張可能な先端部材を示している、
図22の線状外科用ステープラーの遠位部分の側断面図である。
【
図30C】完全拡張位置における拡張可能な先端部材を示している、
図22の線状外科用ステープラーの遠位部分の側断面図である。
【
図31A】クランプレバーが開放している間、完全拡張位置にあり、第1の管状組織構造内に挿入されている拡張可能な先端部材を示している、
図22の線状外科用ステープラー及び一対の管状組織構造の概略側面図である。
【
図31B】並列吻合を形成するためにクランプレバーが閉鎖され得るように、管状組織構造内に完全に挿入されたステープラー半体の遠位部分を示している、
図31Aの線状外科用ステープラー及び管状組織構造の概略側面図である。
【
図32A】完全後退位置における拡張可能な先端部材を示している、別の例示的な拡張可能な先端部材を有するアンビル半体の遠位部分の側断面図である。
【
図32B】完全拡張位置における拡張可能な先端部材を示している、
図32Aのアンビル半体の遠位部分の側断面図である。
【0005】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を図示したものであり、本説明文と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかし、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものと見なされるべきである。
【0007】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、外科医のより近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタのより近くにかつ外科医からより遠くに配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上部」、「下部」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定も絶対も意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び配置で使用してもよいことが理解される。
【0008】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲の「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は集合が、本明細書で記載されているその本来の目的のために機能することを可能とするような好適な寸法の許容範囲を示すものである。
【0009】
I.例示的な線状外科用ステープラー
A.線状外科用ステープラーの概説
図1及び
図2は、胃腸吻合術などの様々な切断及びステープル留め処置で使用するのに好適な、例示的な線状外科用ステープラー(10)(「線状カッター」とも称される)を示す。線状外科用ステープラー(10)は、それらの間に組織をクランプするために解放可能に連結するように構成されたカートリッジ半体(12)(「再装填部半体」とも称される)及びアンビル半体(14)を含む。カートリッジ半体(12)は、発射アセンブリ(34)の一部分を摺動可能に保持する近位フレーム部分(18)と、ステープルカートリッジ(80)(又は「再装填部」)を支持する遠位ジョー部分(20)と、それらの間に内側に配置された一対の直立側部フランジ(22)と、を有する細長いカートリッジチャネル(16)を含む。
【0010】
カートリッジ半体(12)は、側部フランジ(22)とほぼ整列してカートリッジチャネル(16)の下面に枢動可能に連結されたクランプレバー(24)を更に含む。クランプレバー(24)は、自由近位端と、枢動ピン(28)を用いてカートリッジチャネル(16)に枢動可能に連結された遠位端と、を有する細長いレバーアーム(26)を含む。一対の対向するジョー(30)は、カートリッジチャネル(16)のフランジ(22)に沿ってレバーアーム(26)の遠位端から遠位方向に延在する。それぞれのジョー(30)は、閉鎖近位端及び開放遠位端を有し、アンビル半体(14)の対応のラッチ突出部(56)と係合するように構成された上側及び下側カム表面を画定する、対応の細長いスロット(32)を含む。以下に記載されるように、クランプレバー(24)は、開放位置と閉鎖位置との間でカートリッジチャネル(16)に対して枢動して、アンビル半体(14)をカートリッジ半体(12)に対して解放可能にクランプし、それによって、それらの間に組織層を捕捉するように動作可能である。
【0011】
図2に最もよく示されるように、カートリッジ半体(12)の発射アセンブリ(34)は、カートリッジチャネル(16)の近位フレーム部分(18)内に摺動可能に保持されたスライダブロック(36)と、スライダブロック(36)と移動可能に連結されたアクチュエータ(38)(又は「発射ノブ」)と、スライダブロック(36)から遠位方向に延在し、ステープルカートリッジ(80)内に収容されたスレッド(100)(
図3を参照)と連結するように構成された細長い作動ビーム(図示せず)と、を含む。本実施例のアクチュエータ(38)は、カートリッジ半体(12)の近位端の周りを枢動して、ステープラー(10)の「両側発射」をもたらすように構成されている。具体的には、アクチュエータ(38)は、遠位発射ストロークを実行するためにカートリッジ半体(12)のいずれかの外側部に沿って位置付けられてよく、それにより、ステープラー(10)は、外科手術中に様々な向きで好都合に発射され得る。
【0012】
スライダブロック(36)は、
図2及び
図5Aに示される近位ホーム位置と、
図5Bに示される遠位発射位置との間で、アクチュエータ(38)によって近位フレーム部分(18)内で並進可能に駆動されるように構成されている。近位ホーム位置では、スライダブロック(36)は、カートリッジチャネル(16)の近位端に固定されたポスト(40)に当接する。ポスト(40)の自由端は、横方向に延在するピボットピン(42)を支持する。以下に記載されるように、アクチュエータ(38)は、ステープラー半体(12、14)が互いに完全に連結され、クランプレバー(24)が閉鎖されたときに、遠位方向に駆動されてよい。ステープラー(10)の両外側部に沿ったアクチュエータ(38)の遠位前進は、スライダブロック(36)及び細長い作動ビームを遠位方向に駆動し、次いでスレッド(100)を、ステープルカートリッジ(80)を通して遠位方向に駆動する。以下に記載されるように、ステープルカートリッジ(80)を通ったスレッド(100)の遠位並進は、ステープラー半体(12、14)間にクランプされた組織の同時のステープル留め及び切断をもたらす。
【0013】
図1及び
図2に最もよく示されるように、線状外科用ステープラー(10)のアンビル半体(14)は、近位フレーム部分(52)及び遠位ジョー部分(54)を有する細長いアンビルチャネル(50)を含む。アンビルチャネル(50)は、アンビルチャネル(50)の内側部分からカートリッジ半体(12)に向かう方向に、横方向に延在する一対の突出部(56)の形態のラッチ特徴部を更に含む。それぞれのラッチ突出部(56)は、以下に記載されるように、アンビル半体(14)がカートリッジ半体(12)と連結され、クランプレバー(24)が開放位置から閉鎖位置へと枢動されるときに、対応するクランプレバージョー(30)のスロット(32)内に捕捉されるように構成された円形回転キャップを含んでよい。一対のフック(58)は、フレーム部分(52)の近位端から近位方向に延在し、カートリッジ半体(12)の近位枢動ピン(42)の両外側端を解放可能に捕捉するように構成されている。遠位ジョー部分(54)は、複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有するアンビルプレート(60)の形態のアンビル表面を支持し、更には遠位先端部材(62)を支持する。ステープラー(10)の他の変形形態では、アンビル表面は、アンビルチャネル(50)の遠位ジョー部分(54)と一体に形成されてよく、ないしは別の方法で堅固に接続されてよい。
【0014】
本実施例のアンビル半体(14)は、アンビルチャネル(50)の内側部分に取り付けられたステープル高さ調整機構(64)を更に含む。ステープル高さ調整機構(64)は、例えば1つ以上のカム特徴部(図示せず)を介してアンビルプレート(60)と動作可能に連結され、ユーザにより係合可能な一対の突出部(66)を含む。複数の所定の位置の間で突出部(66)を長手方向に調整することにより、アンビルプレート(60)は、アンビルチャネル(50)の遠位ジョー部分(54)に対して横方向に移動する。これにより、形成されるステープルの高さを画定する、アンビルプレート(60)とステープルカートリッジ(80)のデッキ(94)との間の横方向間隙距離の調整が可能になる。より厚い組織をステープル留めするときには、より大きい間隙距離、したがってより大きいステープル高さが設定されてよい。逆に、より薄い組織をステープル留めするときには、より小さい間隙距離、したがってより小さいステープル高さが設定されてよい。ステープル高さ調整機構(64)は、いくつかの変形形態では省かれてよく、その場合、アンビル表面はアンビルチャネル(50)に対して固定されてよいことが理解されよう。例えば、アンビル表面は、遠位ジョー部分(54)と一体に形成されてよく、ないしは別の方法で固定されてよい。
【0015】
図1及び
図2に最もよく示されるように、線状外科用ステープラー(10)は、ステープラー(10)の選択部分を覆い、使用中に操作者によるステープラー(10)の効果的な把持及び操作を促進する複数のシュラウド(70、72、74)を更に含む。本実施例では、カートリッジ半体(12)は、カートリッジチャネル(16)の近位フレーム部分(18)の外向きの側面を覆う第1のシュラウド(70)を含む。カートリッジ半体(12)は、クランプレバー(24)の外向きの側面を覆い、カートリッジチャネル(16)及び第1のシュラウド(70)に対してクランプレバー(24)と共に枢動するように構成された第2のシュラウド(72)を更に含む。アンビル半体(14)は、近位フック(58)を含む、アンビルチャネル(50)の近位フレーム部分(52)の外向きの側面を覆う第3のシュラウド(74)を含む。それぞれのシュラウド(70、72、74)は、当業者に明らかな任意の好適な手段によって、ステープラー(10)のその対応の構成要素と連結されてよい。加えて、それぞれのシュラウド(70、72、74)は、1つ以上の材料で形成されてもよく、外科手術中にステープラー(10)の安全かつ効率的な使用を可能にするために、操作者によるシュラウド(70、72、74)の効果的な把持を促進するのに好適なテクスチャリングが施されてよい。
【0016】
図2及び
図3に示されるように、本実施例のステープルカートリッジ(80)は、カートリッジ本体(82)と、カートリッジ本体(82)の開放下側を覆うパン(84)と、カートリッジ本体(82)内に収容され、それぞれが対応のステープル(88)を駆動するように構成されている複数のステープルドライバ(86)と、を備えるアセンブリである。カートリッジ本体(82)は、カートリッジチャネル(16)の遠位ジョー部分(20)の対応する連結特徴部(図示せず)と解放可能に係合するように構成された連結特徴部(90)を有する近位端と、テーパ状ノーズ(92)を画定する遠位端と、を含む。カートリッジ本体(82)の上側は、長手方向スロット(96)及び複数のステープル空洞(98)が貫通開口している、概ね平面のデッキ(94)を画定する。それぞれのステープル空洞(98)は、対応のステープルドライバ(86)及びステープル(88)を収容する。
図3に示すように、カートリッジ本体(82)の内部は、スレッド本体(102)及びナイフ部材(104)を含むスレッド(100)を摺動可能に収容する。スレッド本体(102)の外側部は、遠位方向に先細になる複数のカム傾斜面(106)を支持する。スレッド本体(102)の近位端は、ステープルカートリッジ(80)がステープラー(10)のカートリッジ半体(12)に取り付けられたときに、発射アセンブリ(34)の細長い作動ビーム(図示せず)の遠位端と係止係合するように構成された下向きに延在するタブ(108)を含む。ナイフ部材(104)は、スレッド本体(102)の上側から上方に延在し、組織を切断するように構成された遠位側に面する切断縁部(110)を有する。
【0017】
スレッド(100)は、発射アセンブリ(34)の遠位作動に応答してカートリッジ本体(82)を通って遠位方向に並進するように構成されており、これにより、ナイフ部材(104)は、長手方向スロット(96)を通って遠位方向に並進して、ステープラー半体(12、14)間にクランプされた組織を切断する。同時に、カム傾斜面(106)は、カートリッジ本体(82)の対応の内部スロット(図示せず)を通って遠位方向に並進して、ステープルドライバ(86)及びステープル(88)を、ステープル空洞(98)を通って上方に作動させ、それにより、ステープル(88)の自由端がクランプされた組織を貫通し、アンビルプレート(60)のステープル成形ポケットに対して変形する。このようにして、発射アセンブリ(34)の遠位作動は、ステープラー半体(12、14)の遠位エンドエフェクタ部分間にクランプされた組織の同時切断及びステープル留めをもたらす。
【0018】
線状外科用ステープラー(10)及びステープルカートリッジ(80)は、2011年3月15日発行の「Surgical Stapling Instrument with Cutting Member Arrangement」と題された米国特許第7,905,381号;2011年6月7日発行の「Surgical Stapler with Apparatus for Adjusting Staple Height」と題された米国特許第7,954,686号;2013年1月8日発行の「Surgical Stapler Having A Closure Mechanism」と題された米国特許第8,348,129号;及び/又は2014年7月29日発行の「Linear Cutting and Stapling Device with Selectively Disengageable Cutting Member」と題された米国特許第8,789,740号の1つ以上の教示に従って更に構成され、動作可能であってよい。これらの参考文献のそれぞれの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
B.線状外科用ステープラーの例示的な使用
図4A~
図4Cは、外科手術中のステープラー半体(12、14)の例示的な連結を示す。
図4Aに示すように、アンビル半体(14)の近位端は、カートリッジ半体(12)の近位端と位置合わせされ、それにより、カートリッジ半体(12)の近位枢動ピン(42)は、アンビル半体(14)の近位フック(58)によって受容される。クランプレバー(24)が開放位置にある状態で、アンビル半体(14)は、次いで、近位枢動ピン(42)の周りでカートリッジ半体(12)に向かって枢動されて、アンビル半体(14)のラッチ突出部をクランプレバージョー(30)のスロット(32)内へと方向付ける。一旦ラッチ突出部(56)がクランプレバージョー(30)によって受容されると、クランプレバー(24)は、
図4Bに示される部分的閉鎖位置に向かって枢動される。クランプレバー(24)のこの部分的閉鎖位置では、アンビル半体(14)は、カートリッジ半体(12)で部分的にクランプされ、これにより、ステープラー(10)は、半体(12、14)が互いに不必要に分離することなく片手で保持されることが可能になる。加えて、この状態では、ステープラー半体(12、14)の遠位部分は、互いから離間したままで、遠位部分間の組織の位置決めを可能にする。組織は、この部分的にクランプされた状態の達成前又は達成時に、ステープラー半体(12、14)の遠位部分間に位置付けられ得ることが理解されよう。
【0020】
図4Cに示されるように、クランプレバー(24)は、次いで、クランプレバージョー(30)のカム表面が、クランプレバージョー(30)のスロット(32)の閉鎖近位端に対して近位方向にアンビル半体(14)のラッチ突出部を引くように、その完全閉鎖位置に向かって更に枢動され、それによって、それらの間にしっかりと位置付けられた組織と共にステープラー半体(12、14)を完全にクランプする。ステープラー(10)の半体(12、14)が完全にクランプされた状態になったら、アクチュエータ(38)は、ステープルカートリッジ(80)を発射するように操作されてよい。具体的には、
図5A及び
図5Bに示されるように、アクチュエータ(38)は、ステープラー(10)の外側部のうちの1つに重なるように、ステープラー(10)の近位端の周りを枢動する。アクチュエータ(38)は、次いで、上述の方法で発射アセンブリ(34)を作動させるように遠位方向に駆動され、それによってクランプされた組織を同時に切断及びステープル留めする。遠位発射ストロークが完了したら、アクチュエータ(38)は、
図2に示されるその近位ホーム位置に戻されてよく、次いで、クランプレバー(24)が、ステープラー半体(12、14)を互いに分離させ、ステープル留めされ切断された組織を解放するように開放されてよい。
【0021】
II.近位保持アセンブリを有する例示的な線状外科用ステープラー
図4A~
図4Cに関連して上述したように、クランプレバー(24)は、アンビル半体(14)がカートリッジ半体(12)から分離することを防止するために、その完全開放位置から、レバージョー(30)が最初にアンビル半体(14)のラッチ突出部(56)を捕捉する少なくとも部分的な閉鎖位置に作動される必要がある。しかしながら、この初期連結プロセスは、操作者の両手の使用を必要とするので、クランプレバー(24)が完全に開放されたときに操作者が組織をステープラー(10)に取り付けることができない。クランプレバー(24)が完全に開放されて、ステープラー半体(12、14)の遠位部分を互いから更に離間させることが可能である間に、組織をステープラー半体(12、14)に取り付けることが一般的により容易であるため、操作者は、「4本の手」による組み立てアプローチにおいて補助者の助けを借りることが多くなる。
【0022】
多くの事例において、操作者が、第1の手を使ってステープラーを保持し、第2の手を使って組織をテープラに対して位置付けることができるように、操作者が、クランプレバーを完全開放位置にした状態で、補助者の助けなしに、線状外科用ステープラーの別個の半体に組織を取り付けることができることが望ましい場合がある。以下に記載される例示的なステープラー(200)は、クランプレバーが完全開放位置にある間に、第1及び第2のステープラー半体の近位端を互いに連結させたままにできる特徴部を含む。この構成は、操作者が、第1の手でステープラー(200)を適切に操作する一方で、ステープラー(200)に対して組織を操作するためにもう一方の手を空けておくことを可能にする。
【0023】
A.線状外科用ステープラーの概説
図6及び
図7は、以下に別途説明するもの以外は上述の線状外科用ステープラー(10)と概ね同様である、別の例示的な線状外科用ステープラー(200)(又は「線状カッター」)を示す。線状外科用ステープラー(200)は、クランプされた組織の同時切断及びステープル留めのために、解放可能に一緒に連結してそれらの間に組織をクランプするように構成された、カートリッジ半体(202)(又は「再装填部半体」)及びアンビル半体(204)を含む。
【0024】
カートリッジ半体(202)は、近位フレーム部分(208)及び遠位ジョー部分(210)を有する細長いカートリッジチャネル(206)を含む。近位フレーム部分(208)は、発射アセンブリ(350)を摺動可能に保持し、横方向に対向する一対の直立側部フランジ(212)を含む。それぞれの側部フランジ(212)は、その遠位端に配置された垂直スロット(214)と、その近位端に配置されたテーパ状ノッチ(216)と、を含む。外向きに突出している補強リブ(218)は、それぞれの側部フランジ(212)の遠位スロット(214)と近位ノッチ(216)との間に長手方向に延在し、剛性を高めた側部フランジ(212)を提供するように構成されている。外向きに張り出した上部セグメント(220)は、以下により詳細に記載されるように、それぞれの側部フランジ(212)の近位部分の上縁部を画定し、カートリッジ半体(202)によるアンビル半体(204)の受容を容易にするように構成されている。それぞれの側部フランジ(212)は、近位ノッチ(216)と遠位スロット(214)との間で、側部フランジ(212)の下側に沿って長手方向に延在する細長い発射スロット(222)を更に含む。細長い発射スロット(222)は、発射アセンブリ(350)を近位位置と遠位位置との間で誘導するように構成されている。発射アセンブリ(350)は、
図16~
図21に関連して以下により詳細に記載される。
【0025】
カートリッジチャネル(206)の遠位ジョー部分(210)は、以下に特に記載する場合を除き、上述のステープルカートリッジ(80)と同様であり得るステープルカートリッジ(230)(又は「再装填部」)を受容するように構成されている。ステープルカートリッジ(230)は、ステープルドライバ(86)及びステープル(88)と同様の複数のステープルドライバ及びステープル(図示せず)を収容するカートリッジ本体(232)を含む。カートリッジ本体(232)は、発射アセンブリ(350)のナイフ部材(366)(
図16を参照)を摺動可能に受容するように構成された長手方向スロット(234)と、発射アセンブリ(350)の一対のカム傾斜面(360)(
図16を参照)を摺動可能に受容するように構成された一対の内部スロット(図示せず)と、を更に含む。他の変形形態では、ステープルカートリッジ(230)及び発射アセンブリ(350)は、代替的に、ステープルカートリッジ(80)と同様に、ナイフ部材(366)及びカム傾斜面(360)がカートリッジ本体(232)内に収容されるように構成されてよい。本変形形態のステープルカートリッジ(230)は、カートリッジチャネル(206)の下壁内の開口部(図示せず)を通って方向付けられ、スナップ嵌め係合を有するクランプレバー枢動ピン(242)に解放可能に連結するように構成された一対の近位連結脚部(236)を更に含む。
【0026】
カートリッジ半体(202)は、カートリッジチャネル側部フランジ(212)の遠位スロット(214)とおよそ位置合わせして配置された、クランプレバー枢動ピン(242)を用いてカートリッジチャネル(206)に枢動可能に連結されたクランプレバー(240)を更に含む。クランプレバー(240)は、自由近位端(246)と、枢動ピン(242)を用いてカートリッジチャネル(206)の下部に枢動可能に連結された遠位端と、を有する細長いレバーアーム(244)を含む。一対の対向ジョー(248)は、カートリッジチャネル側部フランジ(212)と近接して、レバーアーム(244)の遠位端から遠位方向に延在する。それぞれのジョー(248)は、以下に記載されるように、閉鎖近位端と、アンビル半体(204)のラッチ突出部を受容するように構成された開放遠位端と、を有する湾曲スロット(250)を含む。
【0027】
クランプレバー(240)は、レバーアーム(244)の近位端(246)がカートリッジチャネルフレーム部分(208)から離間した開放位置と、近位端(246)がカートリッジチャネルフレーム部分(208)と向かい合う閉鎖位置との間でカートリッジチャネル(206)に対して枢動するように動作可能である。開放位置から閉鎖位置へのクランプレバー(240)の作動は、アンビル半体(204)をカートリッジ半体(202)に対してクランプするように動作する。具体的には、それぞれのジョースロット(250)の曲率は、以下に記載されるように、クランプレバー(240)が枢動可能に閉鎖される際に、アンビル半体(204)の対応のラッチ突出部に係合し、それをカートリッジチャネル(206)に向かって引くように構成された対応の上側及び下側カム表面を画定する。
【0028】
本実施例のカートリッジ半体(202)は、レバーアーム(244)を開放位置に向かって付勢する平坦ばね(252)の形態で示される弾性部材を更に含む。したがって、平坦ばね(252)は、閉鎖位置から開放位置に向かうクランプレバー(240)の初期前進時に、レバージョー(248)のアンビル半体(204)からの係合解除を促進する。カートリッジ半体(202)は、レバーアーム(244)の近位端(246)に配置されたクランプレバーラッチ部材(254)を更に含む。以下により詳細に記載されるように、クランプレバーラッチ部材(254)は、弾性的に付勢されてカートリッジチャネル(206)の近位端と係合し、それによって、例えばステープラー(200)が発射されている間に、クランプレバー(240)を閉鎖位置に解放可能に保持する。
【0029】
線状外科用ステープラー(200)のアンビル半体(204)は、近位フレーム部分(262)及び遠位ジョー部分(264)を有する細長いアンビルチャネル(260)を含む。近位フレーム部分(262)は、アンビル半体(204)がカートリッジ半体(202)と連結されたときにカートリッジチャネル側部フランジ(212)の間に受容されるように構成された、横方向に対向する一対の直立側部フランジ(266)を含む。遠位ピン(268)の形態の遠位ラッチ突出部は、アンビルチャネル側部フランジ(266)の遠位端を通って横方向に延在し、近位ピン(270)の形態の近位枢動突出部は、アンビルチャネル側部フランジ(266)の近位端を通って横方向に延在する。アンビルピン(268、270)は、以下に記載されるように、アンビル半体(204)とカートリッジ半体(202)との連結を容易にするように構成されている。
【0030】
アンビル半体(204)の遠位ジョー部分(264)は、ステープラー(200)が発射されるときにステープルカートリッジ(230)によって放出されるステープルの脚部を変形させるように構成された複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有するアンビル表面(272)を支持する。いくつかの変形形態では、アンビル表面(272)は、例えば、
図37A~
図39に関連して以下に記載されるように、遠位ジョー部分(264)と一体に形成されてよく、ないしは別の方法で堅固に接続されてよい。他の変形形態では、アンビル表面(272)は、上述のステープラー(10)のアンビルプレート(60)と同様の方法で、遠位ジョー部分(264)に対して調整可能であってよい。アンビル半体(204)の遠位ジョー部分(264)は、テーパ状遠位先端部材(274)を更に支持する。
【0031】
線状外科用ステープラー(10)と同様に、線状外科用ステープラー(200)は、ステープラー(200)の選択部分を覆い、使用中に操作者によるステープラー(200)の効果的な把持及び操作を促進する複数のシュラウド(256、276)を含む。具体的には、クランプレバーシュラウド(256)は、クランプレバーシュラウド(256)が、カートリッジチャネル(206)に対してクランプレバー(240)と共に枢動するように構成されるように、クランプレバー(240)の外向きの側面に固着され、それを覆う。加えて、アンビルシュラウド(276)は、アンビルチャネル(260)の外向きの側面に固着され、それを覆う。いくつかの変形形態では、アンビルシュラウド(276)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、2018年8月13日出願の「Clamping Assembly for Linear Surgical Stapler」と題された米国特許出願第16/102,170号の教示に従ってアンビルチャネル(260)と連結され得る。他の変形形態では、シュラウド(256、276)は、当業者には容易に明らかな様々な他の方法で、クランプレバー(240)及びアンビルチャネル(260)と連結されてよいことが理解されよう。
【0032】
ステープラー半体(202、204)の組み立て中、アンビル半体(204)の近位ピン(270)は、カートリッジチャネル(206)の近位テーパ状ノッチ(216)内へと方向付けられる。一方、クランプレバー(240)は、湾曲したジョースロット(250)の開放遠位端が、カートリッジチャネル遠位スロット(214)の開放上端部と整列するように、弾性部材(252)によって開放位置に保持される。アンビル半体(204)は、次いで、近位ピン(270)の周りを枢動されて、アンビル半体(204)の遠位ピン(268)をカートリッジチャネル(206)の垂直遠位スロット(214)及びクランプレバー(240)の湾曲したジョースロット(250)内へと方向付ける。クランプレバー(240)は、次いで、開放位置から閉鎖位置へと枢動され、それにより、湾曲したジョースロット(250)の上側及び下側カム表面が遠位ピン(268)と係合し、それを湾曲したジョースロット(250)の閉鎖近位端に向かって引く。この動作は、アンビルチャネル(260)の遠位ジョー部分(264)をカートリッジチャネル(206)の遠位ジョー部分(210)に引き寄せ、それによって、アンビル表面(272)とステープルカートリッジ(230)との間に位置付けられた任意の組織をクランプする。クランプレバー(240)が完全閉鎖位置に達すると、クランプレバーラッチ部材(254)は、カートリッジチャネル(206)の近位端と係合して、クランプレバー(240)を閉鎖位置に維持する。ステープラー(200)は、次いで、発射アセンブリ(34)と同様に、発射アセンブリ(350)を遠位方向に作動させることによって発射され得る。発射後、発射アセンブリ(350)はその近位ホーム位置に戻され、クランプレバーラッチ部材(254)は、カートリッジチャネル(206)から係合解除されて、クランプレバー(240)の開口及びその後のステープラー半体(202、204)の分離を可能にする。
【0033】
B.線状外科用ステープラーの近位保持アセンブリ
図8~
図11は、線状外科用ステープラー(200)の近位端に配置され、以下に記載されるようにアンビル半体(204)及び発射アセンブリ(350)の部分を解放可能に保持するように構成されている、例示的な保持アセンブリ(300)の詳細を示す。本実施例の保持アセンブリ(300)は、アンビルラッチ部材(302)及び戻り止め部材(304)を含み、これらは共に、発射スロット(222)の近位に配置された横方向に延在するピン(306)を介してカートリッジチャネル(206)の近位端と回転可能に連結される。
【0034】
図10及び
図11に最もよく示されるように、アンビルラッチ部材(302)は、中央本体(308)と、中央本体(308)の上側から上方に延在するラッチ指部(310)と、下側中央本体(308)から下方に延在する解放ボタン(312)と、戻り止め部材(304)とは反対側の中央本体(308)の外向きの外側部に配置された停止タブ(314)と、を含む。ラッチ指部(310)の上端部は遠位方向にテーパ状になっており、以下に記載される方法でアンビル半体(204)の近位ピン(270)と係合するように構成された上部カム傾斜面(316)を画定する。アンビルラッチ部材(302)は、以下に記載されるように戻り止め部材(304)の一部分を受容するように成形された中央切欠き特徴部(318)と、中央本体(308)を通って横方向に延在する開口部(320)と、を更に含む。
【0035】
戻り止め部材(304)は、概ね円筒形の中央本体(322)と、中央本体(322)の遠位側から遠位方向に延在する遠位指部(324)と、中央本体(322)の近位側から近位方向に延在するフック要素(326)と、アンビルラッチ部材(302)とは反対側の中央本体(322)の外向きの外側部に配置された停止タブ(328)と、を含む。
図11に示すように、アンビルラッチ部材(302)と向かい合う戻り止め部材(304)の外側部は、環状凹部(330)と、環状凹部(330)からアンビルラッチ部材(302)に向かう方向に横方向に延在するシャフト(332)と、を含む。戻り止め部材(304)の遠位指部(324)は、遠位指部(324)の近位カム傾斜面を画定する近位アッパーカット特徴部(334)と、遠位指部(324)の遠位カム傾斜面を画定する傾斜した遠位端と、を含む。遠位指部(324)のこれらの近位カム傾斜面及び遠位カム傾斜面は、以下により詳細に記載されるように、発射アセンブリ(350)と相互作用するように構成されている。
【0036】
アンビルラッチ部材(302)及び戻り止め部材(304)は、それらの内向きの外側部が、線状外科用ステープラー(200)の長手方向軸に概ね平行して延在する平面に沿って互いに向き合うように、互いに嵌合するように構成されている。戻り止め部材(304)の中央本体(322)は、アンビルラッチ部材(302)のラッチ指部(310)及び解放ボタン(312)が戻り止め部材(304)の中央本体(322)に横方向に重なるように、アンビルラッチ部材(302)の中央切欠き特徴部(318)内に受容される。加えて、戻り止め部材(304)の横方向シャフト(332)は、アンビルラッチ部材(302)がシャフト(332)の周りを回転し得るように、アンビルラッチ部材(302)の側方開口部(320)を通って受容される。ピン(306)は、次いで、
図8及び
図9に示されるように、横方向シャフト(332)の中央ボアを通って受容され、その外側端でカートリッジチャネル側部フランジ(212)に固定される。したがって、アンビルラッチ部材(302)及び戻り止め部材(304)は、ピン(306)及びシャフト(332)によって画定される横軸を中心に同軸状に配置される。以下に記載されるように、アンビルラッチ部材(302)及び戻り止め部材(304)は、共有軸を中心に互いに独立して、かつ互いに対して回転するように構成されている。
【0037】
保持アセンブリ(300)は、アンビルラッチ部材(302)と戻り止め部材(304)との間に位置付けられたねじりばね(340)の形態で示される弾性部材を更に含む。ねじりばね(340)の第1の外側部及び対応する第1のばね脚部(342)は、アンビルラッチ部材(302)の中央本体(308)に形成された相補形状の凹部(321)内に捕捉される。ねじりばね(340)の第2の外側部は、戻り止め部材(304)の環状凹部(330)内に受容され、これにより、対応する第2のばね脚部(344)は、戻り止め部材(304)の中央本体(322)内に形成された半径方向に延在するスロット(336)内に捕捉される。ねじりばね(340)は、ピン(306)によって画定される横軸を中心として、アンビルラッチ部材(302)及び戻り止め部材を反対の回転方向に弾性的に付勢するように構成されている。具体的に、
図9及び
図12A~
図12Cに示される図では、ねじりばね(340)は、ラッチ指部(310)が遠位方向に付勢されるように、ピン(306)の周りで反時計回りの方向にアンビルラッチ部材(302)を付勢するように構成されている。加えて、ねじりばね(340)は、遠位指部(324)が上向きに付勢され、近位フック要素(326)が下向きに付勢されるように、戻り止め部材(304)を時計回りの方向に付勢するように構成されている。
【0038】
図9に示すように、アンビルラッチ部材(302)の停止タブ(314)は、カートリッジチャネル(206)の対応する第1の側部フランジ(212)の遠位端に形成された隣接する第1の停止ノッチ(224)の上面に当接するように構成されている。加えて、戻り止め部材(304)の停止タブ(328)は、カートリッジチャネル(206)の対応する第2の側部フランジ(212)の遠位端に形成された隣接する第2の停止ノッチ(226)の下面に当接するように構成されている。アンビルラッチ部材停止タブ(314)及びその対応のチャネル停止ノッチ(224)は、アンビルラッチ部材(302)が、ラッチ指部(310)が概ね垂直に延在する回転方向に向かって付勢されるように、相互作用するように構成されている。加えて、戻り止め部材停止タブ(328)及びその対応のチャネル停止ノッチ(226)は、戻り止め部材(304)が、遠位指部(324)及び近位フック要素(326)が概ね水平に延在する回転方向に向かって付勢されるように、相互作用するように構成されている。
【0039】
図12A~
図12Cは、アンビル半体(204)の近位端とカートリッジ半体(202)の近位端との解放可能な連結を提供するための、アンビル半体(204)の近位ピン(270)とアンビルラッチ部材(302)との係合を示す。
図12Aは、以下でより詳細に記載されるように、アンビル半体(204)がカートリッジ半体(202)から分離され、クランプレバー(240)(図示せず)は完全開放位置にあり、発射アセンブリ(350)は、戻り止め部材(304)の遠位指部(324)によって近位ホーム位置に保持されている、組み立て前状態にあるカートリッジ半体(202)及びアンビル半体(204)を示す。
図12A及び
図12Bに示されるように、アンビル半体(204)の近位端は、近位ピン(270)がカートリッジチャネル(206)の近位テーパ状ノッチ(216)内に方向付けられ、アンビルラッチ部材(302)の上部カム傾斜面(316)に接触するように、カートリッジ半体(202)の近位端と位置合わせされ、それに向かって組み立てられる。この係合は、ラッチ指部(310)が近位方向に移動するように、アンビルラッチ部材(302)を時計回りに回転させ、近位ピン(270)がラッチ指部(310)のテーパ状遠位先端部の上を摺動することを可能にする。
図12Cに示されるように、アンビルラッチ部材(302)は、次いで、反時計回りにスナップ嵌めされ、それによってラッチ指部(310)が近位ピン(270)にフックしてそれを捕捉し、それによってアンビル半体(204)の近位端がカートリッジ半体(202)の近位端と連結する。アンビルラッチ部材(302)は戻り止め部材(304)とは独立して回転可能であるため、戻り止め部材(304)は、
図12A~
図12Cに示される連結工程全体にわたって回転可能に静止したままである。
【0040】
図13A及び
図13Bに示されるように、アンビルラッチ部材(302)の解放ボタン(312)は、クランプレバー(240)が開放位置にあるときにのみ露出し、操作者がアクセスすることができる。
図13Aに示すように、解放ボタン(312)は、カートリッジチャネル(206)の底壁(228)内に形成された開口部を通って延在する。
図13Bに示されるように、閉鎖位置にあるクランプレバー(240)は、解放ボタン(312)を隠してそれへのアクセスを阻止し、それによって解放ボタン(312)の意図しない作動を防止し、発射ストローク中又はその直前にステープラー半体(202、204)の近位端の分離をもたらす。
図14A及び
図14Bに示されるように、ステープラー半体(202、204)の近位端の分離は、クランプレバー(240)を開き、解放ボタン(312)を遠位方向に作動させることによって達成される。
図14Bに示されるように、これにより、アンビルラッチ部材(302)が時計回りに回転し、それによってラッチ指部(310)を近位方向に駆動して、アンビル半体(204)がカートリッジ半体(202)から引き離され得るようにアンビル半体(204)の近位ピン(270)を解放する。
【0041】
図15A~
図15Eに示されるように、発射アセンブリ(350)のスライダブロック(352)は、以下に記載されるように、保持アセンブリ(300)の戻り止め部材(304)と解放可能に係合して、発射アセンブリ(350)が近位ホームアセンブリ内にあるときの触覚的指標を操作者に提供するように構成されている。
図18を簡単に参照すると、スライダブロック(352)は、カートリッジチャネル(206)の側部フランジ(212)の間に摺動可能に収容されるブロック本体(370)と、ブロック本体(370)の近位端から近位方向に延在する指部(372)とを含む。ブロック指部(372)は、ブロック指部(372)の近位側カム傾斜面を画定する丸みを帯びた近位端と、ブロック指部(372)の遠位カム傾斜面を画定するアンダーカット特徴部(374)と、を有する。
【0042】
図15Aは、スライダブロック(352)がカートリッジチャネル(206)内で近位側に配置されている近位ホーム位置にある発射アセンブリ(350)を示す。この近位位置では、戻り止め指部(324)の近位カム傾斜面がブロック指部(372)の遠位カム傾斜面に接触するように、ブロック指部(372)が戻り止め指部(324)にフックして、それと連動する。ブロック指部(372)と戻り止め指部(324)との間のこの相互作用は、戻り止め部材(304)をねじりばね(340)の付勢に対して反時計回りの方向に(
図15Aの表示で)わずかに付勢し、それにより、戻り止め停止タブ(328)は、対応のカートリッジチャネル停止ノッチ(226)の下面からわずかに離間する。これに応答して、ねじりばね(340)は、戻り止め指部(324)がブロック指部(372)に上向きの力を加えるように、戻り止め部材(304)を時計回りの方向に付勢する。この力の作用は、近位ホーム位置において、スライダブロック(352)を介して発射アセンブリ(350)を解放可能に保持する戻り止め係合を提供する。
【0043】
図15Bに示されるように、発射アセンブリ(350)が、発射ストロークを実行する操作者によって遠位方向に作動されると、ブロック指部(372)は、戻り止め指部(324)を下向きに駆動し、それにより、戻り止め部材(304)は反時計回りの方向に回転する。
図15Cに示されるように、発射アセンブリ(350)が更に遠位方向に前進すると、ブロック指部(372)は戻り止め指部(324)を係合解除し、ねじりばね(340)の付勢によって戻り止め部材(304)が時計回りの方向に回転し、その結果、戻り止め停止タブ(328)は対応のカートリッジチャネル停止ノッチ(226)の下面に当接する。戻り止め部材(304)がこの回転位置を取ると、戻り止め部材(304)の近位フック要素(326)は、クランプレバーラッチ部材(254)の上方先端部(255)をフックし、それによって、クランプレバーラッチ部材(254)が作動してクランプレバー(240)をカートリッジチャネル(206)から解放することを防止する。したがって、フック要素(326)は、発射アセンブリ(350)が近位ホーム位置にある場合を除いて、クランプレバー(240)が開放されることを防止する安全ロックアウト特徴部として機能する。有利には、この特徴部は、発射ストローク中に、ステープラー(200)のナイフ部材(366)(
図16参照)がステープルカートリッジ(230)の上部デッキを通って露出している間に、ステープラー半体(202、204)が互いに分離され得ないことを確実にする。
【0044】
図15D及び
図15Eに示されるように、ステープラー(200)が発射された後、発射アセンブリ(350)は、カートリッジチャネル(206)内のその近位ホーム位置に戻される。発射アセンブリ(350)が近位方向に前進すると、ブロック指部(372)の近位カム傾斜面は、戻り止め指部(324)の遠位カム傾斜面と係合し、それによって、戻り止め指部(324)を下向きに駆動し、戻り止め部材(304)をねじりばね(340)の付勢に対して反時計回りの方向に回転させる。発射アセンブリ(350)が
図15Eに示される近位ホーム位置に到達すると、ブロック指部(372)は戻り止め指部(324)のアッパーカット特徴部(334)内に留まり、ブロック指部(372)は、戻り止め部材(304)をわずかに反時計回りの位置に保持し、これにより、近位フック要素(326)は、クランプレバーラッチ部材(254)の上方先端部(255)を妨害しなくなる。したがって、クランプレバーラッチ部材(254)が作動されて、カートリッジチャネル(206)を係合解除し、クランプレバー(240)を開放して、ステープラー半体(202、204)を分離することを可能にし得る。上述の戻り止め部材(304)とスライダブロック(352)との間の戻り止め相互作用は、発射アセンブリ(350)がその近位ホーム位置から分離され、その近位ホーム位置に戻されたときの触覚的指標を操作者に提供し、それによって、クランプレバー(240)を開放し、ステープラー半体(202、204)を分離するのに安全であるタイミングを操作者に伝えることが理解されよう。
【0045】
C.線状外科用ステープラーの発射アセンブリ
図16~
図21は、線状外科用ステープラー(200)の発射アセンブリ(350)の更なる詳細を示す。
図16に最もよく示されるように、本実施例の発射アセンブリ(350)は、スライダブロック(352)と、スライダブロック(352)に枢動可能に連結された一対のアクチュエータ(354、356)(又は「発射ノブ」)と、スライダブロック(352)から遠位方向に延在する複数の細長いビーム(358、360)と、を含む。一対の側部ビーム(358)は、それらの近位端でスライダブロック(352)の遠位端に連結され、一対のカム傾斜面(360)内で遠位方向に終端する。カム傾斜面(360)は、上述のスレッド(100)のカム傾斜面(106)と同様の方法で、ステープルカートリッジ(230)内に収容されたステープルドライバ(図示せず)を作動させて、カートリッジ(230)からステープル(図示せず)を発射するように構成されている。中央ビーム(362)は、スライダブロック(352)から遠位方向に離間配置されたブリッジ要素(364)を介して側部ビーム(358)と連結される。中央ビーム(362)は、ステープラー半体(202、204)の遠位部分間にクランプされた組織を切断するように構成された遠位切断縁部(368)を有する角度付きナイフ部材(366)内で遠位方向に終端する。発射アセンブリ(350)は、以下に記載されるように、操作者がアクチュエータ(354、356)のうちの露出した方を遠位方向に押すことに応答して、カートリッジチャネル(206)を通って遠位方向に駆動されて、ステープラー半体(202、204)間にクランプされた組織を同時に切断してステープル留めするように動作可能である。
【0046】
図17~
図19に最もよく示されるように、アクチュエータ(354、356)は、枢動ピン(376)を用いてスライダブロック本体(370)と回転可能に連結され、それにより、それぞれのアクチュエータ(354、356)は、ブロック本体(370)の対応の外側部から外向きに延在し、ブロック本体(370)内に形成された側方開口部(378)を通って回転するように構成されている。それぞれのアクチュエータ(354、356)は、アクチュエータ本体(380)と、アクチュエータ本体(380)の外側端部から横方向に延在するパドル(382)と、を含み、アクチュエータ本体(380)は概ね水平であり、パドル(382)は、本明細書に示される向きにおいて概ね垂直である。
図19に示されるように、それぞれのアクチュエータ本体(380)は、ブロック本体(370)の側方開口部(378)を通って移動するように構成された楔特徴部(384)をその内側端部に含む。楔特徴部(384)は、互いに当接するように構成され、それにより、
図20A及び
図20Bに関連して以下により詳細に記載されるように、それぞれのアクチュエータ(354、356)は、対向するアクチュエータ(354、356)が操作者によって回転可能に露出されたときに、自動的にスライダブロック(352)に対して回転可能に後退するように構成されている。
【0047】
図17及び
図19に最もよく見られるように、それぞれのアクチュエータ本体(380)は、戻り止め突出部(386)と、アクチュエータ本体(380)の下面から下方に突出する停止タブ(388)と、を更に含む。それぞれの戻り止め突出部(386)は、スライダブロック本体(370)の対応の外側部の近位部分に形成された対応の戻り止め溝(375)と摺動可能に係合するように構成されている。それぞれの停止タブ(388)は、スライダブロック本体(370)の対応の外側部の遠位部分に形成された凹部(379)内に受容されるように構成されている。それぞれのアクチュエータ(354、356)が後退した回転位置と露出した回転位置との間で回転すると、その戻り止め突出部(386)は、対応の戻り止め溝(375)内で長手方向に摺動する。加えて、アクチュエータ(354、356)がその露出した回転位置からその後退した回転位置へと回転されると、その停止タブ(388)は、対応の凹部(379)の内側側壁内に受容され、それに当接する。
【0048】
線状外科用ステープラー(200)のアクチュエータ(354、356)は、ステープラー(200)の両側発射を可能にするように構成されており、ステープラー(200)は、ステープラー(200)のいずれかの外側部に沿って遠位方向にアクチュエータ(354、356)を駆動することによって発射され得る。アクチュエータ(354、356)は、操作者が発射する方の手でステープラー(200)を発射しながら、支える方の手でステープラー(200)をしっかりと把持する能力を、未使用のアクチュエータ(354、356)が妨害しないように、少なくとも1つのアクチュエータ(354、356)が常に後退したままになるように更に構成されている。以下に記載されるように、本変形形態のそれぞれのアクチュエータ(354、356)は、後退した回転位置と露出した回転位置との間で、スライダブロック(352)に対して約90度回転可能である。
【0049】
図20Aは、パドル(382)が遠位方向に向けられ、発射アセンブリ(350)の長手方向軸に対して横方向に延在する露出した回転位置にある第1のアクチュエータ(354)と、パドル(382)が近位方向に向けられ、長手方向軸に平行に延在する後退した回転位置にある第2のアクチュエータ(356)と、を示す。この構成では、操作者は、第1の手で、ステープラー(200)の第2の外側部を把持し、その外側部に沿って第2のアクチュエータ(356)のパドル(382)を後退させ、それと同時に、第2の手で、第1のアクチュエータ(354)の露出したパドル(382)を遠位方向に駆動して、発射ストロークを実行することができる。
【0050】
図20Bは、第2のアクチュエータ(356)の楔特徴部(384)が第1のアクチュエータ(354)の楔特徴部(384)に対して駆動するように、後退した第2のアクチュエータ(356)のパドル(382)を遠位方向に駆動して、第2のアクチュエータ本体(380)をピン(376)の周りで回転させることによって達成される、逆向きのアクチュエータ(354、356)を示す。この相互作用により、第1のアクチュエータ(354)は、露出した回転位置から、
図20Bに示される後退した回転位置へと自動的に回転する。この構成では、操作者は、第1の手で、ステープラー(200)の第1の外側部を把持し、その外側部に沿って第1のアクチュエータ(354)のパドル(382)を後退させ、それと同時に、第2の手で、第2のアクチュエータ(356)の露出したパドル(382)を遠位方向に駆動して、発射ストロークを実行することができる。第2のアクチュエータ(356)はまた、第1のアクチュエータ(354)の回転に応答して、その露出した回転位置からその後退した回転位置へと自動的に回転し得ることが理解されよう。
【0051】
図20Cは、両方のパドル(382)が、発射アセンブリ(350)の長手方向軸に概ね平行に延在するように、近位方向に向けられる、後退した回転位置にある両方のアクチュエータ(354、356)を示す。そのような構成は、例えば、装置パッケージ及び他の保管又は輸送目的に好適なコンパクトなプロファイルを有する外科用ステープラー(200)を提供し得る。
【0052】
図7及び
図21に示されるように、カートリッジチャネル(206)のそれぞれの長手方向発射スロット(222)の近位部分は、発射アセンブリ(350)がその近位ホーム位置にある間に、対応のアクチュエータ(354、356)がその後退位置と露出位置との間で回転することを可能にするように好適に成形される。発射アセンブリ(350)が発射ストローク中に遠位方向に作動されると、発射スロット(222)は、発射ストロークの完了後、発射アセンブリ(350)がその近位ホーム位置に戻されるまで、アクチュエータ(354、356)の回転を防止する。例えば、
図21は、露出位置にある第1のアクチュエータ(354)を示しており、第1のアクチュエータ(354)は、対応の長手方向発射スロット(222)を通って遠位方向に駆動され、その結果、その停止タブ(388)、続いてその戻り止め突出部(386)が、スライダブロック本体(370)とカートリッジチャネル(206)の対応の側部フランジ(212)の向かい合う内面との間に捕捉されている。したがって、第1のアクチュエータ(354)の停止タブ(388)及び戻り止め突出部(386)は、ステープラー(200)が発射されている間に、第1のアクチュエータ(354)がその露出位置から後退位置へと意図せず回転することを防止するために、拘束状態になる。第2のアクチュエータ(356)は、第2のアクチュエータ(356)が露出位置にあり、ステープラー(200)を発射するために遠位方向に駆動されているとき、スライダブロック本体(370)及び隣接するカートリッジチャネル側部フランジ(212)によって同様の方法で拘束されることが理解されよう。
【0053】
III.近位分離機構及び拡張可能な遠位先端部を有する例示的な線状外科用ステープラー
場合によっては、ステープラー半体(202、204)の近位端の分離を容易にする1つ以上の追加の特徴部を有する線状外科用ステープラー(200)を提供することが望ましい場合がある。以下に説明するように、
図22~
図27は、そのような分離特徴部の例示的な変形形態を有する別の例示的な線状外科用ステープラー(400)を示し、以下に別段の記載がない限り、上記のステープラー(200)と同様である。
【0054】
A.線状外科用ステープラーの概説
図22に示されるように、線状外科用ステープラー(400)は、クランプされた組織の同時切断及びステープル留めのために、解放可能に一緒に連結してそれらの間に組織をクランプするように構成された、カートリッジ半体(402)(又は「再装填部半体」)及びアンビル半体(404)を含む。
図22には示されていないが、ステープラー半体(402、404)は、例えば
図31A及び
図31Bに示されるように、上述のシュラウド(256、276)と同様のシュラウドを含んでもよい。
【0055】
カートリッジ半体(402)は、近位フレーム部分(408)及び遠位ジョー部分(210)を有する細長いカートリッジチャネル(406)を含む。近位フレーム部分(408)は、上述の発射アセンブリ(350)と同様の発射アセンブリ(418)を摺動可能に保持し、横方向に対向する一対の直立側部フランジ(412)を含む。それぞれの側部フランジ(412)は、その遠位端に配置された垂直スロット(414)と、その近位端に配置されたテーパ状ノッチ(416)と、を含む。カートリッジチャネル(406)の遠位ジョー部分(410)は、上述のステープルカートリッジアセンブリ(230)と同様であり得るステープルカートリッジ(又は「再装填部」)(図示せず)を受容するように構成されている。
【0056】
カートリッジ半体(402)は、クランプレバー枢動ピン(422)でカートリッジチャネル(406)に枢動可能に連結されたクランプレバー(420)を更に含む。クランプレバー(420)は、自由近位端(426)と、カートリッジチャネル(406)に枢動可能に連結され、一対の対向ジョー(428)を有する遠位端と、を有する細長いレバーアーム(424)を含む。各ジョー(428)は、アンビル半体(404)の遠位アンビルピン(448)のそれぞれの外側端を捕捉するように構成された湾曲カムスロット(430)を有する。クランプレバー(420)は、クランプレバーラッチ部材(432)を更に含み、クランプレバーラッチ部材(432)は、レバーアーム(424)の近位端(426)に配置され、カートリッジチャネル(406)の近位端に係合して、発射中にクランプレバー(240)を閉鎖位置に解放可能に保持するように構成されている。クランプレバー(420)は、平坦ばね(434)の形態の弾性部材によって開放位置に向かって弾性的に付勢される。
【0057】
線状外科用ステープラー(400)のアンビル半体(404)は、近位フレーム部分(442)及び遠位ジョー部分(446)を有する細長いアンビルチャネル(440)を含む。近位フレーム部分(442)は、アンビル半体(404)がカートリッジ半体(402)と連結されたときにカートリッジチャネル側部フランジ(412)の間に受容されるように構成された、横方向に対向する一対の直立側部フランジ(446)を含む。遠位アンビルピン(448)は、アンビルチャネル側部フランジ(446)の遠位端を通って横方向に延在し、近位ピン(450)は、アンビルチャネル側部フランジ(446)の近位端を通って横方向に延在する。アンビルピン(448、450)は、上述のアンビルピン(268、270)と同様に、アンビル半体(404)とカートリッジ半体(402)との連結を容易にするように構成されている。アンビル半体(404)の遠位ジョー部分(444)は、ステープラー(400)が発射されるときにステープルカートリッジ(図示せず)によって放出されるステープルの脚部を変形させるように構成された複数のステープル成形ポケット(454)(
図28を参照)を有するアンビル表面(452)を支持する。アンビル半体(404)の遠位ジョー部分(446)は、詳細に後述するように、拡張可能な遠位先端部材(510)を更に支持する。
【0058】
B.アンビルピン放出特徴部を有する近位保持アセンブリ
図23~
図24Bは、線状外科用ステープラー(400)の近位端に配置された近位保持アセンブリ(460)の詳細を示し、以下に別途記載される点を除き、上述のステープラー(200)の近位保持アセンブリ(300)と類似している。近位保持アセンブリ(460)は、アンビルラッチ部材(462)及び戻り止め部材(464)を含み、これらは共に、横方向に延在するピン(466)を介してカートリッジチャネル(406)の近位端と回転可能に連結される。アンビルラッチ部材(462)及び戻り止め部材(464)は、ピン(466)の周りを独立して回転するように構成され、上述のねじりばね(340)と同様のねじりばね(図示せず)によって反対の回転方向に弾性的に付勢される。
【0059】
図23に最良に示されるように、アンビルラッチ部材(462)は、中央本体(468)と、中央本体(308)から上方に延在するラッチ指部(470)と、カートリッジチャネル(406)の近位フレーム部分(408)の底壁を通って中央本体(468)から下方に延在する解放ボタン(472)と、を含む。ラッチ指部(470)の上端部は遠位方向に先細になり、一旦捕捉されると近位アンビルピン(450)を覆う角度付きラッチ表面(474)を用いて、アンビル半体(404)の近位アンビルピン(450)を解放可能に捕捉するように構成されている。アンビルラッチ部材(462)は、ラッチ指部(470)のベース部分から遠位方向に延在し、ラッチ指部(470)に向かって近位に面する放出カム傾斜面(478)を画定する、角度付き突出部(476)の形態のピン放出特徴部を更に含む。
【0060】
近位保持アセンブリ(460)の戻り止め部材(464)は、上述の戻り止め部材(304)と構造及び機能が類似している。具体的には、戻り止め部材(464)は、概ね円筒形の中央本体(480)と、中央本体(480)から遠位に延在する遠位指部(482)と、中央本体(480)から近位に延在する近位フック要素(484)と、を含む。遠位指部(482)は、近位ホーム位置において発射アセンブリ(418)と解放可能に係合し、保持するように構成されている。近位フック要素(484)は、例えば、参照により組み込まれる米国特許出願第16/102,170号に記載されるように、クランプレバー(420)が閉鎖され、発射アセンブリ(418)が近位ホーム位置から遠位に並進されるとき、クランプラッチ部材(432)の上方先端部を覆い捕捉することによって、発射ストローク中にクランプレバー(420)が開放するのを防止するように構成されている。
【0061】
図24A及び
図24Bに示されるように、クランプレバー(420)が開放位置にあるとき、下部解放ボタン(472)の遠位作動により、アンビルラッチ部材(462)がピン(466)の周りを回転し、これにより、放出カム傾斜面(478)が近位方向に前進して近位アンビルピン(450)をカートリッジチャネル(406)の近位テーパ状ノッチ(416)から外へと上方に駆動させる。本変形形態のカートリッジ半体(402)は、下部解放ボタン(472)の遠位側の位置において、カートリッジチャネル(406)の近位フレーム部分(408)の底壁から下方に延在し、解放ボタン(472)の作動を容易にするように構成されている固定把持突出部(490)を含む。具体的には、ユーザは、親指を解放ボタン(472)の近位側に、かつ1本以上の指を把持突出部(490)の遠位側に当て、次いで、解放ボタン(472)を固定把持突出部(490)に向かって遠位方向に圧搾して、ラッチ指部(470)を回転させて近位アンビルピン(450)との係合から外し、排出カム傾斜面(478)でピン(450)をカートリッジチャネル(406)から上向きに排出し得る。
【0062】
C.係合可能な停止タブを有する分離機構
図25に示すように、本実施例の線状外科用ステープラー(400)の近位端は、分離機構(500)を更に含む。以下により詳細に記載されるように、分離機構(500)は、アンビルラッチ部材(462)のラッチ指部(470)から近位アンビルピン(450)を解放し、それによって、クランプレバー(420)が開放されているときに、アンビル半体(404)がカートリッジ半体(402)から離れるように枢動されることに応答して、ステープラー半体(402、404)の近位端を互いに分離するように構成されている。したがって、分離機構(500)は、ユーザの好みでボタン(472)を解放する代替として分離機構(500)を使用することができるように、ユーザによる下側解放ボタン(472)の作動なしに、ステープラー半体(402、404)の近位端を互いに分離するように構成されている。
【0063】
本実施例の分離機構(500)は、一対の横方向に対向するカートリッジチャネル停止タブ(502)と、レバー支点配置でカートリッジチャネル停止タブ(502)と係合し、これに対して枢動するように構成されたアンビルチャネル停止タブ(504)と、を含む。各カートリッジチャネル停止タブ(502)は、それぞれのカートリッジチャネル側部フランジ(412)の近位端によって画定され、それぞれのテーパ状ノッチ(416)の近位の位置で垂直に突出して、カートリッジチャネル停止タブ(502)の遠位面に沿って位置付けられた対応する支点ノッチ(506)を画定する。アンビルチャネル停止タブ(504)は、アンビルチャネル(440)の底壁(443)の近位端から近位方向に突出し、近位方向に増加する横方向幅を画定するT字形状を有する。本実施例のアンビルチャネル停止タブ(504)は、カートリッジチャネル停止タブ(502)によって画定されるカートリッジチャネル(406)の外側横方向幅以上の最大横方向幅をその近位端に有する。したがって、アンビルチャネル停止タブ(504)の近位端は、アンビルチャネル側部フランジ(446)によって画定される外側横方向幅よりも大きい横方向幅を有する。
【0064】
図26A~
図26Eに示されるように、アンビル半体(404)は、それぞれの第1及び第2の横方向枢動軸を中心に、連続する第1及び第2の可動域にわたってカートリッジ半体(402)から離れるように枢動し、それによって、下部解放ボタン(472)を押し下げずに近位側ラッチ部材(462)から近位アンビルピン(450)を解放するように構成されている。第1の枢動軸は、近位ラッチ部材(462)によってカートリッジチャネル(406)の近位テーパ状ノッチ(416)内に保持されたとき、近位アンビルピン(450)によって画定される。第2の枢動軸は、第1の枢動軸の近位に配置され、アンビルチャネル停止タブ(504)の対向する外側端が、支点ノッチ(506)内に受容される際、カートリッジチャネル停止タブ(502)の遠位面とアンビルチャネル停止タブ(504)の近位面との間に確立された横方向の接触線によって画定される。
【0065】
図26Aは、アンビルチャネル(440)がカートリッジチャネル(406)に概ね平行に延在し、かつクランプレバー(420)が開放されている初期状態におけるステープラー半体(402、404)の近位端を示す。近位アンビルピン(450)は、カートリッジチャネル(406)の近位テーパ状ノッチ(416)内に完全に着座し、近位ラッチ部材(462)のラッチ指部(470)によってその中に枢動可能に保持される。
図26Bは、アンビルチャネル(440)が、近位アンビルピン(450)によって画定された第1の枢動軸を中心に、第1の可動域にわたってカートリッジチャネル(406)から離れるように枢動されている第2の状態におけるステープラー半体(402、404)を示す。この第1の可動域の端部に到達すると、アンビルチャネル停止タブ(504)の近位端は、支点ノッチ(506)と共に受容され、カートリッジチャネル停止タブ(502)の遠位面に当接する。
【0066】
図26C及び
図26Dに示されるように、アンビルチャネル(440)が、停止タブ(502、504)によって画定される第2の枢動軸を中心に、第2の可動域にわたってカートリッジチャネル(406)から更に離れるように枢動されると、近位アンビルピン(450)は、ラッチ指部(470)の角度付きラッチ表面(474)にカム係合して接触する。第2の可動域にわたってアンビルチャネル(440)を継続的に枢動させることにより、近位アンビルピン(450)は、ラッチ指部(470)を近位方向に駆動させて、アンビルラッチ部材(462)の回転弾性付勢を克服する。
図26Eに示されるように、アンビルチャネル(440)が第2の可動域の端部に到達すると、近位アンビルピン(450)は、ラッチ部材(462)から完全に解放され、それにより、ピン(450)はカートリッジチャネル(406)のテーパ状ノッチ(416)から垂直に引き出されて、ステープラー半体(402、404)の近位端を互いに完全に分離させることができる。次いで、ラッチ部材(462)は、その弾性付勢の下で、その元の回転位置に自動的に戻る。
【0067】
ユーザによってアンビル半体(404)に印加されて、アンビル半体(404)を第2の可動域にわたって完全に首尾よく枢動させ、それによってカートリッジチャネル(406)のテーパ状ノッチ(416)から近位アンビルピン(450)を持ち上げるのに必要な力は、近位アンビルピン(450)上の角度付きラッチ表面(474)によって及ぼされる下向きの抵抗力を克服するのに十分でなければならないことが理解されるであろう。この抵抗力は、カートリッジ半体(402)の長手方向軸に対してラッチ表面(474)によって画定される、
図27に示される角度(θ)に反比例する。具体的には、ラッチ表面角度(θ)が増加するにつれて、近位アンビルピン(250)上のラッチ表面(474)によって及ぼされる抵抗力は減少し、それにより、ユーザによってアンビル半体(404)に印加される必要トルクを減少させて、アンビルラッチ部材(462)の回転弾性付勢を首尾よく克服し、ラッチ指部(270)を近位方向に駆動して、ステープラー(400)の近位端同士を分離させる。したがって、ラッチ表面(474)は、所望に応じて分離するために必要な入力トルクを調整するために、任意の好適な角度(θ)で成形されてもよい。
【0068】
D.トルクアーム特徴部を備える近位ラッチ部材を有する分離機構
場合によっては、分離機構の一部を、線状外科用ステープラーの近位保持アセンブリに組み込むことが望ましい場合がある。
図28A及び
図28Bは、このような構成の分離機構(630)を有する例示的な代替的線状外科用ステープラー(600)の近位端を示す。ステープラー(600)は、以下に別途記載される点を除いて、上記のステープラー(200、400)と同様である。
【0069】
線状外科用ステープラー(600)は、一緒に解放可能に連結されて、間にクランプされた組織を同時に切断してステープル留めするように構成されたカートリッジ半体(602)及びアンビル半体(604)を含む。カートリッジ半体(602)は、別途記載される点を除いて、上述の近位保持アセンブリ(300、460)と同様の近位保持アセンブリ(610)を支持する近位フレーム部分(608)を有する細長いカートリッジチャネル(606)を含む。近位保持アセンブリ(610)のアンビルラッチ部材(612)は、概ね円筒形の本体(614)と、本体(614)から上方に延在するラッチ指部(616)と、本体(614)から下方に延在する解放ボタン(618)と、本体(614)から近位に延在するトルクアーム(620)と、を含む。ステープラー(600)のアンビル半体(604)は、アンビル半体(604)が、近位アンビルピン(622)を支持する近位フレーム部分と、近位フレーム部分に連結されたアンビルシュラウド(624)と、を有する細長いアンビルチャネル(図示せず)を含むという点で、上述のアンビル半体(204、404)と類似している。カートリッジ半体(602)及びアンビル半体(604)は、アンビルラッチ部材(612)のトルクアーム(620)の構造及び機能に適応するために、例えば、ステープラー(200、400)に関連して図示された、及び/又は記載されたものと同様に、近位端において任意の停止タブ特徴部を省略してもよいことが理解されるであろう。
【0070】
図28Aに示されるように、アンビル半体(604)は、近位アンビルピン(622)によって画定される第1の枢動軸を中心に、アンビルシュラウド(624)の近位端がトルクアーム(620)の上面に直接接触する所定の程度まで、第1の可動域にわたってカートリッジ半体(602)に対して枢動されて開放されるように構成されている。
図28Bに示されるように、近位アンビルピン(622)を中心に第2の可動域にわたってアンビル半体(604)を更に開放するように枢動させると、アンビルシュラウド(624)の近位端は、トルクアーム(620)を下方に駆動させる。このトルクアーム(620)の下向きの運動は、ラッチ指部(616)が近位方向に移動して近位アンビルピン(622)を解放するように、アンビルラッチ部材(612)を回転させる。したがって、トルクアーム(620)及びアンビルシュラウド(624)の近位端は協働して、上述の分離機構(650)と機能の上で同様の分離機構(630)を画定する。それに関し、アンビル半体(604)を更に開放させると、アンビル半体(604)は、トルクアーム(620)とアンビルシュラウド(624)の近位端との間の接触点によって画定される第2の枢動軸を中心に、カートリッジ半体(602)に対して枢動する。分離機構(500)の構造と同様、分離機構(630)のこの第2の枢動軸は、近位アンビルピン(622)によって画定される第1の枢動軸の近位に位置する。この第2の枢動軸を中心にアンビル半体(604)を枢動させると、近位アンビルピン(622)が、カートリッジ半体(602)の近位テーパ状ノッチ(609)から持ち上がる一方、ラッチ部材(612)は解放位置に留まるため、ステープラー半体(602、604)の近位端は互いに分離され得る。
【0071】
いくつかのそのような変形形態では、直線状外科用ステープラー(600)の修正されたアンビルラッチ部材(612)は、遠位ラッチ位置に向かって好適に弾性的に付勢されて、トルクアーム(620)を介してアンビルシュラウド(624)の近位端によって加えられる所定のトルク量に抵抗することができる。これにより、ユーザは、アンビルシュラウド(624)の近位端がアンビルラッチ部材(612)のトルクアーム(620)上に載置する点まで、ステープラー半片(602、604)が枢動可能に開放される「ハングオープン(hang open)」構成でステープラー(600)を保持することができる。同時に、アンビルラッチ部材(612)はその遠位ラッチ位置を維持して、ユーザがアンビル半体(604)をカートリッジ半体(602)に対して能動的に更に開放させるまで、ステープラー半体(602、604)の近位端の分離を防止する。
【0072】
E.アンビル半体の拡張可能な遠位先端部材
第1の管状組織構造と第2の管状組織構造との間に並列吻合を形成するとき、同時ではなく連続的に線状外科用ステープラー(400)の遠位端を対応する管状組織構造内に挿入して、各ステープラー半体(402、404)の遠位ジョー部分(410、444)が、対応する組織構造の内側内腔内に首尾よく受容されることを確実にすることが望ましい場合がある。以下に記載されるように、アンビル半体(404)の拡張可能な遠位先端部材(510)は、カートリッジ半体(402)より長い長さを有するアンビル半体(404)を提供するように選択的に拡張可能であり、それによってステープラー(400)のそのような使用を可能にする。
【0073】
図29に示されるように、本実施例の拡張可能な遠位先端部材(510)は、アンビルチャネル(440)の遠位ジョー部分(444)の内部の断面形状に対応する断面形状を有する細長い本体(512)を含み、これにより、細長い本体(512)は、遠位ジョー部分(444)内で摺動可能となる。テーパ状遠位先端要素(514)は、細長い本体(512)の遠位端に配置され、以下に記載される先端部材(510)の様々な長手方向位置にわたって遠位ジョー部分(444)の遠位端の遠位に留まるように構成されている。細長い本体(512)は、その上面に長手方向スロット(516)を含み、発射アセンブリ(418)のナイフ部材(図示せず)は、ステープラー(400)が発射されるときにそのスロットを通って長手方向に並進するように構成されている。細長い本体(512)の近位部分は、底面を有する細長い凹部(518)を含み、複数の戻り止め隆起部(520)はこの底面に沿って長手方向に離間している。
【0074】
図30A~
図30Cに示されるように、戻り止め隆起部(520)は、遠位アンビルピン(448)の下面に弾性的に係合して、アンビルチャネル(440)に対して対応する複数の長手方向位置に、拡張可能な遠位先端部材(510)を解放可能に保持するように構成されている。
図30Aは、遠位アンビルピン(448)が細長い凹部(518)の遠位端に位置付けられる完全後退近位位置における拡張可能な遠位先端部材(510)を示す。本実施例の完全後退位置では、細長い本体(512)の近位端は、アンビル半体(404)のシュラウドのフィン様内側タブ(図示せず)に当接し、テーパ状遠位先端要素(514)の近位端は、遠位ジョー部分(444)の遠位端から離間して、間にわずかな軸方向間隙を画定する。
【0075】
図30Bは、遠位アンビルピン(448)が、細長い凹部(518)の中間部分内の隣接する戻り止め隆起部(520)の組の間に位置付けられた例示的な部分拡張位置における拡張可能な遠位先端部材(510)を示す。
図30Cは、遠位アンビルピン(448)が細長い凹部(518)の近位端に位置付けられた完全拡張遠位位置における拡張可能な遠位先端部材(510)を示す。細長い凹部(518)内のセットの長手方向に隣接する各戻り止め隆起部(520)の組は、アンビルチャネル(440)に対する拡張可能な遠位先端部材(510)の対応する長手方向位置を画定する。したがって、細長い凹部(518)には、任意の好適な長さ及び任意の好適な量の戻り止め隆起部(520)が設けられて、拡張可能な遠位先端部材(510)の対応する量の長手方向位置を画定することができることが理解されるであろう。
【0076】
本実施例の拡張可能な遠位先端部材(510)は、細長い本体(512)の凹部(518)内に設けられた戻り止め隆起部(520)によって様々な長手方向位置に解放可能に保持されているが、他の実施例では、他の様々な種類、量、及び構造の解放可能な保持特徴部が採用されてもよいことが理解されるであろう。そのような特徴部は、例えば、
図31A及び
図31Bに示されるように、細長い本体(512)上、及び/又はアンビルチャネル(440)又は対応するアンビルシュラウドなどのアンビル半体(404)の別の部分上に配置されてもよい。例えば、図示されていないが、拡張可能な遠位先端部材(510)は、細長い本体(512)の近位部分上に配置され、アンビルシュラウドのフィン様内側タブと摩擦係合するように構成された1つ以上の弾性部材を含んでもよい。このような内側タブ及びアンビルシュラウドの他の特徴部は、参照により組み込まれる米国特許出願第16/102,170号の教示に従って構築されてもよい。
【0077】
図31Aは、ステープラー(400)を使用して間に並列吻合が形成される第1及び第2の管状組織構造(530、532)に対して位置付けられている線状外科用ステープラー(400)を示す。拡張可能な遠位先端部材(510)は完全に拡張されて、カートリッジ半体(402)より長い長さを有するアンビル半体(404)を提供する。したがって、クランプレバー(420)が開放位置にある状態で、ステープラー(400)は、拡張された遠位先端部材(510)を第1の組織構造(530)の内側内腔内に挿入するようにユーザによって操作される。
図31Aに示されるように、ステープラー(400)は、拡張された遠位先端部材(510)を第1の組織構造(530)の長手方向軸とより良好に整列させるために、必要に応じて使用者によってある角度で保持されてもよい。拡張された遠位先端部材(510)が第1の組織構造(530)内に少なくとも部分的に受容されると、ステープラー(400)は、カートリッジ半体(402)の遠位端を第2の組織構造(532)の長手方向軸と整列させるために必要に応じて角度をつけて再度位置付けられ得る。次いで、ステープラー(400)は遠位方向に前進させられて、カートリッジ半体(402)の遠位ジョー部分(410)を第2の組織構造(532)の内側内腔に挿入すると同時に、第1の組織構造(530)の内側内腔内でアンビル半体(404)の遠位ジョー部分(444)を前進させる。
図31Bに示されるように、ステープラー半体(402、404)は、組織構造(530、532)に対して適切に位置付けられ、これにより、クランプレバー(420)が閉鎖され、発射アセンブリ(418)が遠位方向に前進させられてステープラー(400)を発射し、組織構造(530、532)間に並列吻合を形成することができる。
【0078】
F.例示的な代替的拡張可能な遠位先端部材
図32A及び
図32Bは、例示的な代替的拡張可能な遠位先端部材(540)を備えたアンビルチャネル(440)の遠位ジョー部分(444)を示す。拡張可能な遠位先端部材(540)は、近位ヘッド(542)と、ヘッド(542)から遠位に延在し、先端部材(540)の遠位端を画定するシャフト(544)と、を含む。先端部材(540)は、遠位ジョー部分(444)の遠位端内に配置された固定インサート(546)内に形成される空洞(548)内で摺動可能である。空洞(548)は、先端部材(540)の近位ヘッド(542)を摺動可能に受容するような大きさの拡大幅を有する近位空洞部分(550)と、先端部材(540)のシャフト(544)を摺動可能に受容するような大きさの縮小幅を有する遠位空洞部分(552)と、を含む。
【0079】
拡張可能な遠位先端部材(540)は、先端部材(540)の遠位端が固定インサート(546)のテーパ状遠位端と整列する
図32Aに示される近位後退位置と、先端部材(540)の遠位端が固定インサート(546)のテーパ状遠位端を越えて遠位方向に延在する
図32Bに示される遠位拡張位置と、の間で、空洞(548)内において摺動可能である。図示されていないが、先端部材(540)及び/又は固定インサート(546)は、固定インサート(546)に対して任意の1つ以上の長手方向位置に先端部材(540)を解放可能に保持するように構成された任意の好適なタイプの1つ以上の保持特徴部を含んでもよい。使用中、先端部材(540)は、
図32A及び
図32Bを参照して上述したように、線状外科用ステープラー(400)の遠位ジョー部分(410、444)の第1及び第2の管状組織構造(530、532)への挿入を容易にするように拡張されてもよい。
【0080】
IV.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の否定要素を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0081】
外科用ステープラーであって、(a)複数のステープル成形ポケットを支持する遠位部分を有する第1の細長い部材と、(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、(c)第1の細長い部材及び第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、(d)第1の細長い部材又は第2の細長い部材の一方に設けられた保持部材であって、第1の細長い部材及び第2の細長い部材が近位端において互いに対して枢動可能であるように、第1の細長い部材の近位端及び第2の細長い部材の近位端を弾性付勢により解放可能に一緒に連結するように構成されている、保持部材と、(e)分離機構であって、第1の細長い部材及び第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されることに応答して、保持部材の弾性付勢を克服することによって、近位端を互いに分離するように構成されている、分離機構と、を備える、外科用ステープラー。
【実施例2】
【0082】
分離機構の一部が、第1の細長い部材又は第2の細長い部材の他方の一部に重なり、直接接触するように位置付けられている、実施例1に記載の外科用ステープラー。
【実施例3】
【0083】
分離機構が、(a)第1の細長い部材の近位端に設けられた第1の分離特徴部と、(b)第2の細長い部材の近位端に設けられた第2の分離特徴部と、を備え、第1の分離特徴部及び第2の分離特徴部、第1の細長い部材及び第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されることに応答して、係合し、それによって保持部材の弾性付勢を克服して近位端を分離するように構成されている、先行する実施例のいずれかに記載の外科用ステープラー。
【実施例4】
【0084】
第1の分離特徴部が第1の突出部を備え、第2の分離特徴部が、第2の突出部に対して横方向に延在する第2の突出部を備える、実施例3に記載の外科用ステープラー。
【実施例5】
【0085】
第1の分離特徴部が第1の停止タブを備え、第2の突出部が第2の停止タブを備える、実施例3又は4に記載の外科用ステープラー。
【実施例6】
【0086】
第1の分離特徴部が、第1の細長い部材の遠位端を画定する、実施例3~5のいずれかに記載の外科用ステープラー。
【実施例7】
【0087】
第2の分離特徴部が、第1の細長い部材及び第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されるとき、第1の分離特徴部を受容するように構成されたノッチを画定する、実施例3~6のいずれかに記載の外科用ステープラー。
【実施例8】
【0088】
第1の細長い部材及び第2の細長い部材が、保持部材によって一緒に連結されたときに、第1の枢動軸を中心に枢動するように構成されており、第1の細長い部材及び第2の細長い部材が、第1の分離特徴部及び第2の分離特徴部が係合するときに、第2の枢動軸を中心に枢動するように構成されている、実施例3~7のいずれかに記載の外科用ステープラー。
【実施例9】
【0089】
第1の枢動軸及び第2の枢動軸が横方向に延在し、第2の枢動軸が第1の枢動軸の近位に配置されている、実施例3~8のいずれかに記載の外科用ステープラー。
【実施例10】
【0090】
第1の細長い部材又は第2の細長い部材の他方が枢動突出部を備え、保持部材が、枢動突出部を解放可能に捕捉して、第1の細長い部材の近位端及び第2の細長い部材の近位端を枢動可能に連結するように構成されている、先行する実施例のいずれかに記載の外科用ステープラー。
【実施例11】
【0091】
枢動突出部が、横方向に延在するピンを含む、実施例10に記載の外科用ステープラー。
【実施例12】
【0092】
保持部材が、第1の細長い部材及び第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されることに応答して、枢動突出部を解放するように構成されている、実施例10又は11に記載の外科用ステープラー。
【実施例13】
【0093】
保持部材が、第2の細長い部材の近位端に連結され、分離機構の少なくとも一部が、第1の細長い部材の近位端に設けられている、先行する実施例のいずれかに記載の外科用ステープラー。
【実施例14】
【0094】
保持部材が、回転可能なラッチ部材を備える、先行する実施例のいずれかに記載の外科用ステープラー。
【実施例15】
【0095】
第1の細長い部材の遠位端に配置された拡張可能な先端部を更に備え、拡張可能な先端部が、第1の長手方向位置と第2の長手方向位置との間で選択的に移動可能である、先行する実施例のいずれかに記載の外科用ステープラー。
【実施例16】
【0096】
外科用ステープラーであって、(a)複数のステープル成形ポケットを支持する遠位部分を有する第1の細長い部材と、(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材であって、第1の細長い部材の近位端及び第2の細長い部材の近位端が、一緒に解放可能に連結されて第1の枢動軸を画定するように構成されており、第1の細長い部材及び第2の細長い部材が、第1の枢動軸を中心に第1の可動域にわたって互いに対して枢動するように構成されている、第2の細長い部材と、(c)第1の細長い部材及び第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、(d)第1の細長い部材上に設けられた第1の分離特徴部と、(e)第2の細長い部材に設けられた第2の分離特徴部であって、第1の分離特徴部及び第2の分離特徴部が協働して第2の枢動軸を画定するように構成されており、第1の細長い部材及び第2の細長い部材が、第2の枢動軸を中心に第2の可動域にわたって互いに対して枢動するように構成されている、第2の分離特徴部と、を備え、第1の細長い部材及び第2の細長い部材が、第1の枢動軸を中心に第1の可動域にわたって枢動する間、枢動可能に連結されたままであるように構成されており、第1の細長い部材及び第2の細長い部材が、第2の枢動軸を中心に第2の可動域にわたって枢動することに応答して、分離するように構成されている、外科用ステープラー。
【実施例17】
【0097】
第2の枢動軸が、第1の枢動軸の近位に配置されている、実施例16に記載の外科用ステープラー。
【実施例18】
【0098】
第1の分離特徴部が第1の停止タブを備え、第2の分離特徴部が第2の停止タブを備える、実施例16又は17に記載の外科用ステープラー。
【実施例19】
【0099】
外科用ステープラーであって、(a)複数のステープル成形ポケットを支持する遠位部分を有する第1の細長い部材と、(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材であって、第1の細長い部材の近位端及び第2の細長い部材の近位端が、一緒に枢動可能に連結するように構成されている、第2の細長い部材と、(c)第1の細長い部材及び第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、(d)第1の細長い部材又は第2の細長い部材の一方の近位端に配置されたレバー特徴部と、(e)第1の細長い部材又は第2の細長い部材の他方の近位端に配置された支点特徴部と、を備え、レバー特徴部が、第1の細長い部材及び第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されるときに、支点特徴部と係合するように構成されており、第1の細長い部材の近位端及び第2の細長い部材の近位端が、レバー特徴部と支点特徴部との係合に応答して、互いに枢動可能に分離するように構成されている、外科用ステープラー。
【実施例20】
【0100】
第1の細長い部材の近位端と第2の細長い部材の近位端との間の枢動可能な連結を解放可能に維持するように構成されたラッチ部材を更に備え、レバー特徴部が、ラッチ部材のラッチ表面の近位の位置において支点特徴部と係合するように構成されている、実施例19に記載の外科用ステープラー。
【実施例21】
【0101】
第2の分離特徴部が、保持部材に連結されたトルクアームを備える、実施例3に記載の外科用ステープラー。
【0102】
V.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。このような修正及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0103】
更に、本明細書に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのうちの任意の1つ以上を、以下の特許文献に記載される教示、表現、実施形態、実施例などのいずれか1つ以上と組み合わせることができる;米国特許出願第15/889,363号、発明の名称「Release Mechanism for Linear Surgical Stapler」(2018年2月6日出願);米国特許出願第15/889,370号、発明の名称「Lockout Assembly for Linear Surgical Stapler」(2018年2月6日出願);米国特許出願第15/889,374号、発明の名称「Features to Align and Close Linear Surgical Stapler」(2018年2月6日出願);米国特許出願第15/889,376号、発明の名称「Releasable Coupling Features for Proximal Portions of Linear Surgical Stapler」(2018年2月6日出願);米国特許出願第15/889,388号、発明の名称「Firing Lever Assembly for Linear Surgical Stapler」(2018年2月6日出願);米国特許出願第15/889,390号、発明の名称「Clamping Mechanism for Linear Surgical Stapler」(2018年2月6日出願);米国特許出願第16/102,170号、発明の名称「Clamping Assembly for Linear Surgical Stapler」(2018年8月13日出願);米国特許出願第16/157,599号、発明の名称「Anvil Assembly for Linear Surgical Stapler」(2018年10月11日出願);及び/又は米国特許出願第16/157,605号、発明の名称「Closure Assembly for Linear Surgical Stapler」(2018年10月11日出願)。これらの出願のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるいかなる特許、公報、又はその他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0105】
上記のデバイスの変形形態は、医療専門家により行われる従来の医療処置及び手術における用途のみではなく、ロボット支援された医療処置及び手術における用途をも有することができる。単に一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。
【0106】
上述のデバイスの変形形態は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形形態は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、デバイスの分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、デバイスのいくつかの変形形態は分解することができ、また、デバイスの任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、デバイスのいくつかの変形形態を、再調整用の施設において、又は処置の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、全て本発明の範囲内にある。
【0107】
単に一例として、本明細書に記載される変形形態は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0108】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。そのような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0109】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ステープラーであって、
(a)複数のステープル成形ポケットを支持する遠位部分を有する第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)前記第1の細長い部材又は前記第2の細長い部材の一方に設けられた保持部材であって、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が近位端において互いに対して枢動可能であるように、前記第1の細長い部材の前記近位端及び前記第2の細長い部材の前記近位端を弾性付勢により解放可能に一緒に連結するように構成されている、保持部材と、
(e)分離機構であって、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されることに応答して、前記保持部材の前記弾性付勢を克服することによって、前記近位端を互いに分離するように構成されている、分離機構と、を備える、外科用ステープラー。
(2) 前記分離機構の一部が、前記第1の細長い部材又は前記第2の細長い部材の他方の一部に重なり、直接接触するように位置付けられている、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(3) 前記分離機構が、
(a)前記第1の細長い部材の前記近位端に設けられた第1の分離特徴部と、
(b)前記第2の細長い部材の前記近位端に設けられた第2の分離特徴部と、
を備え、
前記第1の分離特徴部及び前記第2の分離特徴部が、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されることに応答して、係合し、それによって前記保持部材の前記弾性付勢を克服して前記近位端を分離するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(4) 前記第1の分離特徴部が第1の突出部を備え、前記第2の分離特徴部が、前記第2の突出部に対して横方向に延在する第2の突出部を備える、実施態様3に記載の外科用ステープラー。
(5) 前記第1の分離特徴部が第1の停止タブを備え、前記第2の突出部が第2の停止タブを備える、実施態様3に記載の外科用ステープラー。
【0110】
(6) 前記第1の分離特徴部が、前記第1の細長い部材の遠位端を画定する、実施態様3に記載の外科用ステープラー。
(7) 前記第2の分離特徴部が、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されるとき、前記第1の分離特徴部を受容するように構成されたノッチを画定する、実施態様3に記載の外科用ステープラー。
(8) 前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が、前記保持部材によって一緒に連結されたときに、第1の枢動軸を中心に枢動するように構成されており、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が、前記第1の分離特徴部及び前記第2の分離特徴部が係合するときに、第2の枢動軸を中心に枢動するように構成されている、実施態様3に記載の外科用ステープラー。
(9) 前記第1の枢動軸及び前記第2の枢動軸が横方向に延在し、前記第2の枢動軸が前記第1の枢動軸の近位に配置されている、実施態様8に記載の外科用ステープラー。
(10) 前記第1の細長い部材又は前記第2の細長い部材の他方が枢動突出部を備え、前記保持部材が、前記枢動突出部を解放可能に捕捉して、前記第1の細長い部材の前記近位端及び前記第2の細長い部材の前記近位端を枢動可能に連結するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
【0111】
(11) 前記枢動突出部が、横方向に延在するピンを含む、実施態様10に記載の外科用ステープラー。
(12) 前記保持部材が、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されることに応答して、前記枢動突出部を解放するように構成されている、実施態様10に記載の外科用ステープラー。
(13) 前記保持部材が、前記第2の細長い部材の前記近位端に連結され、前記分離機構の少なくとも一部が、前記第1の細長い部材の前記近位端に設けられている、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(14) 前記保持部材が、回転可能なラッチ部材を備える、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
(15) 前記第1の細長い部材の遠位端に配置された拡張可能な先端部を更に備え、前記拡張可能な先端部が、第1の長手方向位置と第2の長手方向位置との間で選択的に移動可能である、実施態様1に記載の外科用ステープラー。
【0112】
(16) 外科用ステープラーであって、
(a)複数のステープル成形ポケットを支持する遠位部分を有する第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材であって、前記第1の細長い部材の近位端及び前記第2の細長い部材の近位端が、一緒に解放可能に連結されて第1の枢動軸を画定するように構成されており、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が、前記第1の枢動軸を中心に第1の可動域にわたって互いに対して枢動するように構成されている、第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)前記第1の細長い部材に設けられた第1の分離特徴部と、
(e)前記第2の細長い部材に設けられた第2の分離特徴部であって、前記第1の分離特徴部及び前記第2の分離特徴部が協働して第2の枢動軸を画定するように構成されており、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が、前記第2の枢動軸を中心に第2の可動域にわたって互いに対して枢動するように構成されている、第2の分離特徴部と、
を備え、
前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が、前記第1の枢動軸を中心に前記第1の可動域にわたって枢動する間、枢動可能に連結されたままであるように構成されており、
前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が、前記第2の枢動軸を中心に前記第2の可動域にわたって枢動することに応答して、分離するように構成されている、外科用ステープラー。
(17) 前記第2の枢動軸が、前記第1の枢動軸の近位に配置されている、実施態様16に記載の外科用ステープラー。
(18) 前記第1の分離特徴部が第1の停止タブを備え、前記第2の分離特徴部が第2の停止タブを備える、実施態様16に記載の外科用ステープラー。
(19) 外科用ステープラーであって、
(a)複数のステープル成形ポケットを支持する遠位部分を有する第1の細長い部材と、
(b)ステープルカートリッジを受容するように構成された遠位部分を有する第2の細長い部材であって、前記第1の細長い部材の近位端及び前記第2の細長い部材の近位端が、一緒に枢動可能に連結するように構成されている、第2の細長い部材と、
(c)前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材を一緒に解放可能にクランプするように動作可能なクランプ部材と、
(d)前記第1の細長い部材又は前記第2の細長い部材の一方の前記近位端に配置されたレバー特徴部と、
(e)前記第1の細長い部材又は前記第2の細長い部材の他方の前記近位端に配置された支点特徴部と、
を備え、
前記レバー特徴部が、前記第1の細長い部材及び前記第2の細長い部材が互いから離れるように枢動されるときに、前記支点特徴部と係合するように構成されており、
前記第1の細長い部材の前記近位端及び前記第2の細長い部材の前記近位端が、前記レバー特徴部と前記支点特徴部との係合に応答して、互いに枢動可能に分離するように構成されている、外科用ステープラー。
(20) 前記第1の細長い部材の前記近位端と前記第2の細長い部材の前記近位端との間の前記枢動可能な連結を解放可能に維持するように構成されたラッチ部材を更に備え、前記レバー特徴部が、前記ラッチ部材のラッチ表面の近位の位置において前記支点特徴部と係合するように構成されている、実施態様19に記載の外科用ステープラー。