IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フレックスロジカル エーピーエスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】低侵襲手術のための人間工学的手術機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/29 20060101AFI20240122BHJP
   A61B 17/128 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A61B17/29
A61B17/128
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021546049
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2019076675
(87)【国際公開番号】W WO2020074334
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】PA201800717
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】521150640
【氏名又は名称】フレックスロジカル エーピーエス
【氏名又は名称原語表記】FlexLogical ApS
【住所又は居所原語表記】Kronprinsessegade 36, 2. 1306 Kobenhavn K Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ラルセン フレデリク エーミル セーデルフェルト
(72)【発明者】
【氏名】ソルベック ペーター
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-503457(JP,A)
【文献】特表2004-508873(JP,A)
【文献】特表2009-539472(JP,A)
【文献】特開2012-176241(JP,A)
【文献】特開2004-290677(JP,A)
【文献】特表2008-543354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/29-17/295
A61B 17/122-17/128
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、
中空シャフトと、
前記中空シャフトの遠位端に連結されたエンドエフェクタであって、前記中空シャフト内に延びる操作手段を通して前記ハンドルに接続され、該ハンドルに操作されうるエンドエフェクタと、
前記ハンドルの遠位端を前記中空シャフトの近位端に連結する多軸ジョイントであって、前記ハンドルに対する前記中空シャフトの多軸回転を許容する多軸ジョイントと、
を備え、前記多軸回転が、前記中空シャフトの中心軸の周りでの前記中空シャフトの回転、および前記ハンドルの前記遠位端に対する少なくとも2つの平面内での回転を含む、手術機器。
【請求項2】
前記中空シャフトが前記中心軸の周りおよび3つの平面内で同時に回転可能である、請求項1に記載の手術機器。
【請求項3】
前記操作手段が軸方向に延びるロッドおよび第1のピボットリンクを備え、
前記第1のピボットリンクは、前記ハンドルの内部内に配され、
前記ロッドの近位端は前記第1のピボットリンクの近位端に接続され、
前記第1のピボットリンクの前記近位端はさらに前記ハンドルのグリップ部へ摺動自在に接続され、
前記第1のピボットリンクの前記遠位端は前記ハンドルの作動部に枢動自在に接続される、
請求項1又は2に記載の手術機器。
【請求項4】
前記操作手段がピストンおよびばねを備え、前記ロッドが前記ピストンおよび前記ばねによって部分的に囲まれ、前記ばねが前記エンドエフェクタの前記遠位端へ向かう方向に前記ピストンの近位端上へ力を加え、前記ロッドおよび前記ピストンが相互および前記エンドエフェクタの少なくとも一方に対して軸方向に移動可能である、請求項3に記載の手術機器。
【請求項5】
前記ロッドおよび前記ピストンがピストンロックによって解除可能に接続され、前記ピストンロックが前記ロッド中に配された複数のロッキング溝、および前記ピストンの遠位端に配された対応するロッキング突出部を備える、請求項4に記載の手術機器。
【請求項6】
前記多軸ジョイントが第1および第2の少なくとも部分的に球形のシェルを備える球ジョイントであり、前記第1および第2のシェルの開いた端部は、前記第1のシェルおよび前記第2のシェルの一方の開いた端部が前記第1のシェルおよび前記第2のシェルの他方の前記開いた端部へ押し込まれるときに、前記第1のシェルと前記第2のシェルとの間に、前記開いた端部を備える、共通重なり領域があるように嵌合表面を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の手術機器。
【請求項7】
前記第1および第2のシェルの少なくとも一方に前記第1および/または第2のシェルの前記開いた端部から延びる少なくとも1つのスリットが設けられた、請求項6に記載の手術機器。
【請求項8】
前記第1および第2のシェルの少なくとも一方の嵌合表面に微細構造、コーティング、および前記共通重なり領域における摩擦増加のための荒れのうちの少なくとも1つが設けられる、
請求項6又は7に記載の手術機器。
【請求項9】
前記第1のシェルの前記嵌合表面に第1の微細構造が設けられて、前記第2のシェルの前記嵌合表面には第2の微細構造が設けられ、前記第1の微細構造および前記第2の微細構造が複数のリセスおよび少なくとも1つの突出部の一方を備え、前記突出部が前記リセスと係合してインターロックするようになっている、請求項8に記載の手術機器。
【請求項10】
前記第1の微細構造および前記第2の微細構造の一方が半径方向に変位可能な舌状部上に設けられた、請求項に記載の手術機器。
【請求項11】
前記多軸ジョイントは、前記共通重なり領域において、前記第1および第2のシェルの外周の周りに配された第3のシェルと、
前記第3のシェルから突き出るロッキングレバーとをさらに備え、
前記第3のシェルが前記ロッキングレバーを操作することによって非ロック位置とロック位置との間で移動可能である、
請求項6から10のいずれか一項に記載の手術機器。
【請求項12】
前記非ロック位置では、前記第1および第2のシェルの直径は、前記第3のシェルによって影響を受けず、前記第1および第2のシェルが互いに対して回転されることを許容し、
前記ロック位置では、前記第1および第2のシェルの少なくとも一方の前記直径は、前記第1および第2のシェルが互いに対して回転されることができないように少なくとも前記共通重なり領域において縮小される、
請求項11に記載の手術機器。
【請求項13】
ジョイントハウジングをさらに備え、前記ジョイントハウジングの近位端が前記ハンドルに接続されて、前記ジョイントハウジングの遠位端が前記第1または第2のシェルに接続され、前記ジョイントハウジングが前記多軸ジョイントおよび前記中空シャフトの前記近位端を覆う、請求項6から12のいずれか一項に記載の手術機器。
【請求項14】
前記ハンドルおよび前記操作手段が前記エンドエフェクタを開位置と閉位置との間で作動させるように構成され、
前記エンドエフェクタの近位端が前記中空シャフトの遠位端に連結され、前記エンドエフェクタは、第1の脚部および第2の脚部を備え、前記第2の脚部が前記エンドエフェクタの遠位端で前記第1の脚部に枢動自在に接続され、
前記第2の脚部は、前記エンドエフェクタが前記開位置にあるときに前記第1の脚部に対して鋭角で延びて、前記第2の脚部は、前記エンドエフェクタが前記閉位置にあるときには前記第1の脚部と概ね平行に延びる、
請求項1から13のいずれか一項に記載の手術機器。
【請求項15】
手術システムであって、請求項14に記載の手術機器および少なくとも1つの結紮クリップを備え、前記手術機器の前記エンドエフェクタは、前記結紮クリップの遠位端が前記エンドエフェクタの前記遠位端に隣接して配されて、前記結紮クリップの近位端が前記エンドエフェクタの前記近位端に隣接して配されるように前記結紮クリップを囲むように構成され、前記結紮クリップが第1の結紮クリップ脚部および第2の結紮クリップ脚部を備え、前記第1の結紮クリップ脚部および前記第2の結紮クリップ脚部が前記結紮クリップの前記遠位端で枢動自在に接続され、前記第1の結紮クリップ脚部および前記第2の結紮クリップ脚部は、前記第1の結紮クリップ脚部および前記第2の結紮クリップ脚部が前記結紮クリップの前記近位端で互いに重ね合わされた位置において前記第1および第2の結紮クリップ脚部をインターロックするためのロッキング手段を備え、前記エンドエフェクタが最初の開位置にあるときに、前記結紮クリップは、前記第2の結紮クリップ脚部が前記第1の結紮クリップ脚部に対して鋭角で延びる開いた構成を有し、前記エンドエフェクタが閉位置へ作動されたときに、前記結紮クリップは、前記第1および第2の結紮クリップ脚部が互いに重ね合わされた閉じた構成を有し、前記エンドエフェクタが開位置へ戻されるときには、前記結紮クリップは、前記ロッキング手段によって前記閉じた構成のままである、手術システム。
【請求項16】
開いた構成において、前記エンドエフェクタの前記遠位端と前記手術機器の前記ハンドルとの間に連続して配された、複数の結紮クリップをさらに備え、前記エンドエフェクタの前記遠位端に隣接して配置された第1の結紮クリップを除くすべての結紮クリップが前記エンドエフェクタの前記第1の脚部および前記手術機器の前記ロッドによって囲まれた、請求項3を間接的に引用する請求項15に記載の手術システム。
【請求項17】
前記結紮クリップは、前記第1の脚部および前記ロッドによって囲まれたいずれかの結紮クリップの軸方向変位が、前記結紮クリップと前記エンドエフェクタの前記遠位端との間に配置されたすべての結紮クリップの対応する変位を引き起こすように当接して配された、請求項16に記載の手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低侵襲手術のための手術機器に関する。この手術機器は、ハンドル、ハンドルに操作されうるエンドエフェクタ、ハンドルをエンドエフェクタに接続する中空シャフトを備える。
【背景】
【0002】
低侵襲手術は、患者の体内で小さい切開部または自然孔を通して体組織に関わり合う手術機器を必要とし、従来の開腹手術と比較して、しばしば、回復時間および合併症の量を低減する。
【0003】
低侵襲手術は、ユーザが体組織に関わり合うのに可能な限り最良の条件を有するように、いくらかの汎用性が機器に組み込まれることも必要とする。これらの条件は、ユーザが手術機器のハンドルを人間工学的に保持できることを許容すること、例えば、ユーザが彼/彼女の手首をまっすぐに維持することを許容することを含む。
【0004】
特許文献1は、ハンドルをシャフトに接続し、ハンドルがシャフトに対して2つの運動平面内でいくぶん枢動されることを許容するボールアンドソケットジョイントを備える手術機器を開示する。シャフトの外側に沿って等距離に延びる4つのワイヤによってハンドルへエンドエフェクタが接続される。ハンドルが枢動されるにつれて、エンドエフェクタがハンドルを模倣してそれと同時に動くようにするために、ワイヤの向かい合った一対が相互作用する。結果として、エンドエフェクタがハンドルの動きを模倣し、その模倣する動きは、エンドエフェクタがハンドルと同じ方向および方位に動く、対応する動き、およびエンドエフェクタがハンドルとは逆の方向および方位に動く、鏡に映したような動きを含む。エンドエフェクタの制御が改善されるが、しかし、ユーザにとって人間工学的状況は、著しくは改善されない。結果として、ユーザが手首を曲げることもまたは別の状況ではそれに負担をかけることもなく機器を操作することを許容する改善された手術機器を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第1836986号
【摘要】
【0006】
目的は、改善された手術機器を提供することである。前述および他の目的は、独立請求項の特徴によって達成される。さらなる実装形態は、従属請求項、説明、および図から明らかである。
【0007】
第1の側面によれば、手術機器が提供される。この手術機器は、
ハンドルと、
中空シャフトと、
前記中空シャフトの遠位端に連結されたエンドエフェクタであって、前記中空シャフト内に延びる操作手段を通して前記ハンドルに接続され、該ハンドルに操作されうるエンドエフェクタと、
前記ハンドルの遠位端を前記中空シャフトの近位端に連結する多軸ジョイントであって、前記ハンドルに対する前記中空シャフトの多軸回転を許容する前記多軸ジョイントと、
を備える。前記多軸回転は、前記中空シャフトの中心軸の周りでの前記中空シャフトの回転、および前記ハンドルの前記遠位端に対する少なくとも2つの平面内での回転を含む。
【0008】
この手術機器は、ユーザが手術機器のハンドルを人間工学的に置いて保持できることを許容して、例えば、ユーザが彼/彼女の手首を、シャフトおよびエンドエフェクタに対して、まっすぐに維持することを許容し、これは、長時間にわたって快適である。かかる解決策は、ユーザがハンドルの配置を複数の軸の周りで調節することも許容し、それによって、ユーザがシャフトおよびエンドエフェクタを正しい作業位置に維持しつつ、ハンドルをいずれか快適な位置に置くことを許容する。さらに、機器がよりフレキシブルになり、延いては機器、次にはユーザの到達距離を改善する。
【0009】
第1の側面の実施例によっては、前記ハンドルは、前記中心軸の周りで回転可能であり、かつ前記ハンドルは、前記中空シャフトの前記近位端に対して2つの平面内で回転可能であり、前記2つの平面は、前記中心軸と平行またはそれに対して垂直に、および互いに垂直に延び、ある一定の制限内で、前記ハンドルが前記シャフトに対して少なくともいずれか所望の2次元位置に置かれることを許容する。
【0010】
第1の側面の実施例によっては、前記中空シャフトは、前記中心軸の周りおよび3つの垂直平面内で同時に回転可能であり、前記ハンドルが、ある一定の制限内で、前記シャフトに対していずれか所望の3次元位置に置かれることを許容する。
【0011】
第1の側面の実施例によっては、前記多軸回転は、前記ハンドルの前記位置に対する前記エンドエフェクタの位置に影響を及ぼさず、これは、前記ハンドルの可能な動きに係わらず前記エンドエフェクタの前記確実で安定した配置が維持されることを許容する。
【0012】
第1の側面の実施例によっては、前記操作手段は、ワイヤ、ホース、およびロッドのうちの少なくとも1つを備え、前記操作手段は、前記操作手段が外部から完全に保護されるように、前記多軸ジョイントの内部を通して、そして前記ハンドルの前記遠位端を通して前記ハンドルの内部中へ延びる。
【0013】
第1の側面の実施例によっては、前記ハンドルは、少なくとも1つのグリップ部および1つの作動部を備える。前記作動部は、前記グリップ部に枢動自在に接続されると共に、前記エンドエフェクタを操作しうるように前記エンドエフェクタに接続される。
【0014】
第1の側面の実施例によっては、前記操作手段は、軸方向に延びるロッドおよび第1のピボットリンクを備え、前記第1のピボットリンクが前記ハンドルの前記内部内に配されて、前記ロッド、前記グリップ部、および前記作動部に協働しうるように接続され、前記ハンドルの操作と同時に前記エンドエフェクタの操作を容易にする。
【0015】
第1の側面の実施例によっては、前記ロッドの近位端が前記第1のピボットリンクの近位端に接続され、前記第1のピボットリンクの前記近位端が前記グリップ部へ摺動自在にさらに接続されて、前記第1のピボットリンクの遠位端が前記作動部に枢動自在に接続され、多くの応力を前記ハンドル上へ加えることなく前記エンドエフェクタが操作されることを許容する。
【0016】
第1の側面の実施例によっては、前記多軸ジョイントは、第1および第2の少なくとも部分的に球形のシェルを備える球ジョイントであり、前記第1および第2のシェルの開いた端部は、前記第1のシェルおよび前記第2のシェルの一方の開いた端部が前記第1のシェルおよび前記第2のシェルの他方の前記開いた端部へ押し込まれるときに、前記第1のシェルと前記第2のシェルとの間に、前記開いた端部を備える、共通重なり領域があるように嵌合表面を有し、前記ハンドルが、前記シャフトに対して、前記球形シェルの一方の前記表面のかなりの部分にわたって回転されることを許容する。
【0017】
第1の側面の実施例によっては、前記第1および第2のシェルの一方は、前記グリップ部(1つ又は複数)の少なくとも一方と一体であるか、または前記グリップ部(1つ又は複数)の少なくとも一方に接続される。
【0018】
第1の側面の実施例によっては、前記共通重なり領域は、前記第1および第2のシェルが、少なくとも1つの前記平面内で、互いに対して回転されるにつれてサイズを変化させ、前記2つのシェル間の可能な限り大きい回転を許容する。
【0019】
第1の側面の実施例によっては、前記第1および第2のシェルの少なくとも一方に、前記第1および第2のシェルの外側表面および内側表面の少なくとも一方から突き出て、前記中空シャフトの前記近位端、前記操作手段、および前記ハンドルへの接続部のうちの少なくとも1つを収容する中空誘導チューブが設けられ、前記中空誘導チューブは、前記中空誘導チューブ内に収容された前記構成要素のために追加的な支持および保護を提供し、ならびに、例えば、前記操作手段を前記ハンドルへの接続部と位置合せするのを支援する。
【0020】
第1の側面の実施例によっては、前記手術機器は、前記中空誘導チューブと前記中空シャフトとの間に配され、前記中空シャフトが前記ハンドルの前記位置に影響を及ぼさずに前記中心軸の周りで回転すること許容する、ベアリングをさらに備える。
【0021】
第1の側面の実施例によっては、前記第1および第2のシェルの少なくとも一方の嵌合表面に、前記第1および第2のシェル間のインターロッキングのレベルをさらに増加させる、微細構造、コーティング、および前記共通重なり領域における摩擦増加のための荒れのうちの少なくとも1つが設けられる。
【0022】
第1の側面の実施例によっては、前記第1のシェルの前記嵌合表面に第1の微細構造が設けられて、前記第2のシェルの前記嵌合表面には第2の微細構造が設けられ、前記第1の微細構造および前記第2の微細構造は、複数のリセスおよび少なくとも1つの突出部の一方を備え、前記突出部(1つ又は複数)は、リセスと係合してインターロックし、前記第1および第2のシェル間の確実なロックを容易にして、前記シェルが互いに対して回転するのを防止するようになっている。
【0023】
第1の側面の実施例によっては、前記第1の微細構造および前記第2の微細構造の一方は、半径方向に変位可能な舌状部上に設けられ、前記シェル間の簡易で解除可能なインターロックを許容する。
【0024】
第1の側面の実施例によっては、前記第1および第2のシェルの少なくとも一方に前記第1および/または第2のシェルの前記開いた端部から延びる少なくとも1つのスリットが設けられ、前記スリット間に舌状部が形成されることを許容し、その舌状部が半径方向外側に曲がることができ、一方のシェルが他方のシェルの前記表面に押しつけられることを許容する。
【0025】
第1の側面の実施例によっては、前記多軸ジョイントは、前記共通重なり領域において、前記第1および第2の嵌合シェルの外周の周りに配された第3のシェル、前記第3のシェルから突き出るロッキングレバーをさらに備え、前記第3のシェルは、前記ロッキングレバーを操作することによって非ロック位置とロック位置との間で移動可能であり、前記第1および第2のシェルがインターロックされることを許容する。
【0026】
第1の側面の実施例によっては、前記非ロック位置では、前記第1および第2のシェルの直径は、前記第3のシェルによって影響を受けず、前記第1および第2のシェルが互いに対して回転されることを許容し、前記ロック位置では、前記第1および第2のシェルの少なくとも一方の直径は、前記第1および第2のシェルが互いに対して回転されることができないように少なくとも前記共通重なり領域において縮小される。これは、ハンドルが、シャフトに対して、回転されるだけでなく、回転された位置にロックされることを許容する。従って、この実装は、ユーザがハンドルを快適な位置にロックすることを許容する。
【0027】
第1の側面の実施例によっては、前記第3のシェルの内側表面または前記第1および第2のシェルのうちの半径方向最も外側に位置するシェルの外側表面は、外周に延びる、半径方向を向いた溝を備え、前記溝の前記半径方向深さは、前記溝が最大底厚セクションおよび最小底厚セクションを備えるように前記第1、第2、または第3のシェルの前記開いた端部へ向かう方向に減少し、前記第3のシェルは、前記半径方向最も外側に位置するシェルおよび前記第3のシェルの一方が前記最小底厚セクション内に少なくとも部分的に配されるときに前記非ロック位置にあり、前記第3のシェルは、前記半径方向最も外側に位置するシェルおよび前記第3のシェルの一方が前記最大底厚セクション内に少なくとも部分的に配されるときには前記ロック位置にある。結果として、可能な限り少ない相互作用部を備えるロッキング機能が提供される。
【0028】
第1の側面の実施例によっては、前記半径方向に変位可能な舌状部は、前記第1および第2のシェルのうちの前記半径方向最も外側に位置するシェル中に形成され、前記非ロック位置では、前記半径方向に変位可能な舌状部の半径方向位置は、前記第3のシェルによって影響を受けず、前記第1および第2のシェルは、互いに対して回転されることができ、前記ロック位置では、前記半径方向に変位可能な舌状部が前記第1および第2のシェルのうちの半径方向最も内側に位置するシェルの方へ動かされ、前記第1の微細構造および前記第2の微細構造は、前記第1および第2のシェルが互いに対して回転されることができないように少なくとも前記共通重なり領域において係合する。
【0029】
第1の側面の実施例によっては、前記第1および第2のシェルの一方は、前記中空シャフトへ回転可能に接続されて、前記第1および第2のシェルの他方は、前記ハンドルへ堅く接続され、前記第3のシェルが前記ロック位置にあるときに、前記ハンドルが前記多軸ジョイントへロックされ、確実で意図的な多軸回転を容易にする。
【0030】
第1の側面の実施例によっては、前記手術機器は、ジョイントハウジングをさらに備え、前記ジョイントハウジングの近位端は、前記ハンドルに接続されて、前記ジョイントハウジングの遠位端は、前記第1または前記第2のシェルに接続され、前記ジョイントハウジングは、前記多軸ジョイントおよび前記中空シャフトの前記近位端を覆い、前記ジョイントハウジング内に収容された前記構成要素のために追加的な支持および保護を提供する。
【0031】
第1の側面の実施例によっては、前記ジョイントハウジングは、中心軸を前記中空シャフトと共有して、前記ジョイントハウジングが前記中心軸の周りで部分的に回転可能であり、前記ハンドルが基本的に抑制されずに回転されることができるようにある程度のフレキシビリティを前記ジョイントハウジングに提供する。
【0032】
第1の側面の実施例によっては、前記ジョイントハウジングは、前記中心軸の前記方向に、少なくとも第1および第2の堅い部分の間に延びるフレキシブル部分を備え、前記第1の堅い部分が前記第1または第2のシェルに接続されて、前記第2の堅い部分が前記ハンドルに接続され、前記ハンドルが回転されることを依然として許容しつつ、構成要素の間の確実な接続を容易にする。
【0033】
第1の側面の実施例によっては、前記第1および第2の堅い部分の少なくとも一方は、前記中心軸の前記方向に延びる複数の溝を備え、各溝が前記中心軸に対してある角度で延びる端面を備え、前記端面が前記第1の堅い部分の近位端におよび/または前記第2の堅い部分の遠位端に配され、前記フレキシブル部分は、前記端面に対応するフレキシブル部分表面が各溝中に形成されるように前記溝を満たす。これは、フレキシブル部分と堅い部分との間の緊密かつ確実な界面を可能にする。
【0034】
第1の側面の実施例によっては、前記端面は、前記フレキシブル部分がそれを通して延びる開口部を備え、前記開口部が前記中心軸と概ね平行に延びて、前記フレキシブル部分が前記堅い部分から容易に分離されることができないように、前記フレキシブル部分と前記堅い部分との間に簡易ではあるがそれにも係わらず堅い接続部を提供する。
【0035】
第1の側面の実施例によっては、前記フレキシブル部分のあるセクションは、前記第1の堅い部分の半径方向外側および/または半径方向内側に延び、前記フレキシブル部分のあるセクションは、前記第2の堅い部分の半径方向内側および/または半径方向外側に延びて、より安定なジョイントハウジングに資する。
【0036】
第1の側面の実施例によっては、前記第1および第2の堅い部分の少なくとも一方は、円錐台形状を有し、前記第1の堅い部分が前記第2の堅い部分の外径および/または内径より小さい前記外径および/または内径を有し、可能な限り小さい外側寸法を許容する限り、ジョイントハウジングが前記多軸ジョイントの前記形状に基本的に対応する形状を有することを容易にする。
【0037】
第1の側面の実施例によっては、前記第2の堅い部分の近位端は、前記回転を制限しない確実かつ簡易な相互接続が前記ハンドルと前記ジョイントとの間に提供されるように、前記ハンドル中の少なくとも1つの対応するリセスと相互作用するようになっているロッキング手段を備える。
【0038】
第1の側面の実施例によっては、前記ロッキング手段は、外周フランジおよびスナップロックの一方である。
【0039】
第1の側面の実施例によっては、前記ハンドルおよび前記操作手段は、前記エンドエフェクタを開位置と閉位置との間で作動させるように構成され、前記エンドエフェクタの近位端は、前記中空シャフトの遠位端に連結され、前記エンドエフェクタは、第1の脚部および第2の脚部を備え、前記第2の脚部は、前記エンドエフェクタの遠位端で前記第1の脚部に枢動自在に接続され、前記第2の脚部は、前記エンドエフェクタが前記開位置にあるときに前記第1の脚部に対して鋭角で延びて、前記第2の脚部は、前記エンドエフェクタが前記閉位置にあるときには前記第1の脚部と概ね平行に延びる。かかる解決策は、切開部または開口部を通して体内へ挿入するのに安全なエンドエフェクタに資する、なぜなら、前記エンドエフェクタの前記脚部は、それらが開いた構成にあるならば、体組織中に偶発的に捕らえられないように閉じた構成へ自動的に閉じられるからである。さらに、前記手術機器は、前記ハンドルによってのみ作動され、外部機器を不要とする。
【0040】
第1の側面の実施例によっては、前記第2の脚部は、切断手段を備え、前記第1の脚部は、前記エンドエフェクタが前記閉位置にあるときに前記切断手段を収容するためのリセスを備え、体組織を偶発的に切断するリスクが著しく低減された安全な切断用途に資する。
【0041】
第1の側面の実施例によっては、前記第2の脚部は、ステープルマガジンを備え、前記手術機器へのさらなる用途に資する。
【0042】
第1の側面の実施例によっては、前記エンドエフェクタの前記遠位端は、前記第1の脚部と前記第2の脚部との間に延びる保護リップを備え、前記保護リップは、体組織が前記第1の脚部と前記第2の脚部との間の前記接続部に固着されるのを防止する。
【0043】
第1の側面の実施例によっては、前記手術機器は、少なくとも1つの支持ロッドを備え、前記支持ロッドの近位端が前記エンドエフェクタの前記近位端に枢動自在に接続され、前記支持ロッドは、前記エンドエフェクタが前記開位置にあるときに前記第1の脚部に対して鋭角で延びて、前記支持ロッドは、前記エンドエフェクタが前記閉位置にあるときには前記第1の脚部と平行に延びる。
前記支持ロッドは、前記エンドエフェクタの前記脚部の間に固定された体組織が前記脚部の間から偶発的に滑り出すことが確実にできないようにする。
【0044】
第1の側面の実施例によっては、前記操作手段は、軸方向に延びるロッドおよび第2のピボットリンクを備え、前記ロッドの遠位端が前記第2のピボットリンクによって前記第2の脚部の遠位端に連結され、前記第2のピボットリンクの第1の端部が前記軸方向に延びるロッドに枢動自在に接続されて、前記第2のピボットリンクの第2の端部が前記第2の脚部に枢動自在に接続される。これは、追加のスペースを必要としない前記エンドエフェクタを操作する信頼性のある仕方に資する。
【0045】
第1の側面の実施例によっては、前記第2の脚部は、前記第2の脚部上の第1の位置で前記ロッドから枢動自在に吊され、前記ピボットリンクの前記第2の端部が前記第1の位置から間隔をあけた第2の位置で前記第2の脚部に枢動自在に接続されて、前記第2の脚部が操られることを許容する。
【0046】
第1の側面の実施例によっては、前記第2のピボットリンクは、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びるプレートを備え、前記第1の端部は、第1のヒンジピンによって前記ロッドに接続され、前記第2の端部は、第2のヒンジピンによって前記第2の脚部に接続されて、前記第2の脚部は、第3のヒンジピンによって前記中空シャフトへヒンジ連結される。
【0047】
第1の側面の実施例によっては、前記第2の脚部は、自由な近位端およびヒンジ連結された遠位端を有して、前記第1の位置は、前記ヒンジ連結された遠位端にあるか、またはそれに隣接する。この解決策は、切開部または開口部を通して体内へ挿入するのに安全なエンドエフェクタに資し、一方では機器のユーザにとって可能な限り大きい到達距離範囲も許容する。
【0048】
第1の側面の実施例によっては、前記第2の位置は、前記自由な近位端よりも前記ヒンジ連結された遠位端の方により近い。
【0049】
第1の側面の実施例によっては、前記第3のヒンジピンは、前記中空シャフトの前記中心軸にまたはそれに隣接して配される。
【0050】
第1の側面の実施例によっては、前記第2のピボットリンクは、前記ロッドの前記近位端もしくは前記遠位端においてまたはその近くで前記ロッドに協働しうるように接続される。
【0051】
第1の側面の実施例によっては、前記第2の脚部は、前記ロッドが前記第3のヒンジピンから離れる方向に並進されるときに前記中空シャフトの方へ回転するように構成されて、前記第2の脚部は、前記ロッドが前記第3のヒンジピンに向かう方向に並進されるときには前記中空シャフトから離れるように回転するように構成され、前記第2の脚部が前記第1の脚部と接触して完全にまたはほとんど完全に閉じることを許容する。
【0052】
第1の側面の実施例によっては、前記ロッドは、前記エンドエフェクタの前記第1の脚部によって部分的に囲まれ、前記エンドエフェクタは、前記ロッドが前記エンドエフェクタの前記遠位端から離れる方向に動かされるときに前記開位置から前記閉位置へ作動され、前記エンドエフェクタは、前記ロッドが前記エンドエフェクタの前記遠位端へ向かう方向に動かされるときには前記閉位置から前記開位置へ作動される。これは、可能な限り少ない部品を備える一方で、体組織が前記エンドエフェクタ内に配置されるときにも前記エンドエフェクタを位置間で作動させるのに十分な力を依然として提供する信頼性のある操作手段に資する。
【0053】
第1の側面の実施例によっては、前記操作手段は、ピストンおよびばねをさらに備え、前記ロッドが前記ピストンおよび前記ばねによって部分的に囲まれ、前記ばねが前記エンドエフェクタの前記遠位端へ向かう方向に前記ピストンの近位端上へ力を加え、前記ロッドおよび前記ピストンは、相互および前記エンドエフェクタの少なくとも一方に対して軸方向に移動可能であり、前記エンドエフェクタを作動させるだけでなく、例えば、結紮クリップを正しい位置へ動かすこともできる操作手段に資する。
【0054】
第1の側面の実施例によっては、前記ロッドおよび前記ピストンは、前記ロッドおよび前記ピストンが、前記エンドエフェクタに対して、1つのユニットとして軸方向に移動可能であるように解除可能に接続され、前記操作手段が多機能であるが、なお依然として信頼性のあることを許容する。
【0055】
第1の側面の実施例によっては、前記ロッドおよび前記ピストンは、ピストンロックによって解除可能に接続され、前記ピストンロックは、前記ロッド中に配された複数のロッキング溝、および前記ピストンの遠位端に配された対応するロッキング突出部を備え、前記手術機器が操作されることを許容し、実装するのが簡易な信頼性のある解決策によって前記操作手段の前記構成要素がインターロックされることを許容する。
【0056】
第1の側面の実施例によっては、前記エンドエフェクタは、体組織の撮影およびマニピュレーションの少なくとも一方を行うようになっており、広範囲の用途を有する手術機器に資する。
【0057】
第2の側面によれば、手術システムが提供され、前記手術システムは、上記の手術機器および少なくとも1つの結紮クリップを備え、前記手術機器の前記エンドエフェクタは、前記結紮クリップの遠位端が前記エンドエフェクタの前記遠位端に隣接して配されて、前記結紮クリップの近位端が前記エンドエフェクタの前記近位端に隣接して配されるように前記結紮クリップを囲むように構成され、前記結紮クリップが第1の結紮クリップ脚部および第2の結紮クリップ脚部を備え、前記第1の結紮クリップ脚部および前記第2の結紮クリップ脚部が前記結紮クリップの前記遠位端で枢動自在に接続され、前記第1の結紮クリップ脚部および前記第2の結紮クリップ脚部は、前記第1の結紮クリップ脚部および前記第2の結紮クリップ脚部が前記結紮クリップの前記近位端で互いに重ね合わされた位置において前記第1および第2の結紮クリップ脚部をインターロックするためのロッキング手段を備え、前記エンドエフェクタが初期開位置にあるときに、前記結紮クリップは、前記第2の結紮クリップ脚部が前記第1の結紮クリップ脚部に対して鋭角で延びる開いた構成を有し、前記エンドエフェクタが閉位置へ作動されたときに、前記結紮クリップは、前記第1および第2の結紮クリップ脚部が互いに重ね合わされた閉じた構成を有し、前記エンドエフェクタが開位置へ戻されるときには、前記結紮クリップは、前記ロッキング手段によって前記閉じた構成のままである。
【0058】
かかるシステムは、切開部または開口部を通して体内へ挿入するのに安全な手術機器に資する、なぜなら、前記エンドエフェクタの前記脚部は、それらが開いた構成にあるならば、体組織中に偶発的に捕らえられないように閉じた構成へ自動的に閉じられるからである。さらに、前記システムは、前記ハンドルによってのみ作動され、外部機器を不要とする。
【0059】
第2の側面の実施例によっては、開いた構成において、前記エンドエフェクタの前記遠位端と前記ハンドルとの間に連続して配された、複数の結紮クリップを備え、前記エンドエフェクタの前記遠位端に隣接して配置された第1の結紮クリップを除くすべての結紮クリップが前記エンドエフェクタの前記第1の脚部および前記ロッドによって囲まれ、前記手術機器にはいくつかの結紮クリップが装填され、結果として、1つのセッションで別々の結紮事例の間に再装填する必要なしにいくつかの部位を結紮するために前記手術システムが用いられることを許容する。
【0060】
第2の側面の実施例によっては、前記結紮クリップは、前記第1の脚部および前記ロッドによって囲まれたいずれかの結紮クリップの軸方向変位が前記結紮クリップと前記エンドエフェクタの前記遠位端との間に配置されたすべての結紮クリップの対応する変位を引き起こすように当接して配されて、結紮クリップの列を貯蔵位置から使用位置へ動かす簡易な仕方を提供する。
【0061】
第3の側面によれば、前記手術システムを操作する方法が提供され、前記操作手段は、少なくとも軸方向に延びるロッドを備え、第1の結紮クリップが前記エンドエフェクタの前記第1の脚部および前記ロッドによって囲まれるように前記第1の結紮クリップが前記エンドエフェクタ内に配され、前記第1の結紮クリップが開いた構成を有し、前記方法は、前記ロッドを前記エンドエフェクタの前記遠位端へ向かう方向に動かすことにより、前記第1の結紮クリップを前記エンドエフェクタの前記遠位端へ向かう方向に、前記第1の結紮クリップが前記エンドエフェクタの前記第1および第2の脚部によって囲まれて前記エンドエフェクタが開位置にある位置へ変位させるステップと、前記ロッドを前記エンドエフェクタの前記遠位端から離れる方向に動かすことにより、前記エンドエフェクタを閉位置へ作動させることによって前記第1の結紮クリップを閉じるステップと、前記エンドエフェクタが前記開位置へ戻されるように、前記ロッドを前記エンドエフェクタの前記遠位端へ向かう方向に動かすステップとを含み、閉じた構成を有する前記第1の結紮クリップが前記エンドエフェクタから解除されることを許容する。
【0062】
この方法によって、切開部または開口部を通して体内へ挿入するのに安全なエンドエフェクタが提供される、なぜなら、前記エンドエフェクタの前記脚部は、それらが開いた構成にあるならば、体組織中に偶発的に捕らえられないように閉じた構成へ自動的に閉じられるからである。さらに、前記システムは、前記ハンドルによってのみ作動され、例えば、前記エンドエフェクタを閉じる、または閉じた結紮クリップを除去するための外部機器を不要とする。
【0063】
第3の側面の実施例によっては、前記操作手段は、
ピストンおよびばねと、
ロッドロッキング溝およびピストンロッキング突出部を備え、前記エンドエフェクタが前記開位置へ戻されるときに前記ロッドおよび前記ピストンを第1のロッキング位置でインターロックする、ピストンロックと、
前記エンドエフェクタ内に配される第2の結紮クリップと、
を備える。前記第2の結紮クリップは、前記エンドエフェクタの前記第1の脚部と前記ロッドとに囲まれるように配され、また開いた構成を有する。
【0064】
第3の側面の実施例によっては、前記方法は、
前記ロッドを前記エンドエフェクタの前記遠位端から離れる方向に動かすステップであって、それによって前記ピストンロックが前記第1のロッキング位置から解除されて、前記ピストンが前記ロッドに対して動くことを許容される、前記動かすステップと、
前記エンドエフェクタを前記閉位置へ同時に作動させるステップと、
前記ピストンロックが前記第2のロッキング位置に係合するまで前記ピストンの近位端上へ力を加えるばねによって、前記ピストンを前記エンドエフェクタの方へ動かすステップと、
を含む。前記ピストンロックが前記第1のロッキング位置よりも前記第2のロッキング位置にあるとき、前記ピストンの遠位端は前記エンドエフェクタの遠位端へ近い方に配される。
第3の側面の実施例によっては、前記方法は、
前記ロッドを前記エンドエフェクタの前記遠位端へ向かう方向に動かすステップであって、前記ロッドとともに前記ピストンが同じ方向に動かされる、前記動かすステップと、
前記エンドエフェクタを前記開位置へ同時に作動させるステップと、
前記ロッドを前記エンドエフェクタの前記遠位端から離れる方向に動かすステップであって、それによって、前記ピストンロックが前記第2のロッキング位置から解除され、前記ロッキング突出部は、前記ピストンが前記ロッドに対して動くことを許容されるように前記ロッド中に設けられた縦溝に係合する、前記動かすステップと、
前記エンドエフェクタを前記閉位置へ同時に作動させるステップであって、前記ピストンの前記遠位端が前記第2の結紮クリップと係合する、前記作動させるステップと、
前記第2の結紮クリップ、または前記第2の結紮クリップと前記エンドエフェクタの前記遠位端との間に配置された第3の結紮クリップが前記エンドエフェクタの前記第1および第2の脚部によって囲まれるまで、前記第2の結紮クリップを前記ばねによって前記エンドエフェクタの前記遠位端へ向かう方向に押すステップと、
前記ロッドを前記エンドエフェクタの前記遠位端へ向かう方向に動かすステップと、
前記エンドエフェクタを前記開位置へ同時に作動させるステップと、
をさらに含む。
この方法は、用いられる部品の数は最小限に押さえられているが、体組織がエンドエフェクタ内に配置されるときでも前記エンドエフェクタを位置間で作動させるのに十分な力をそれらの構成要素が依然として提供するため、前記手術機器の信頼性のある操作を可能とする。
【0065】
第3の側面の実施例によっては、前記方法は、前記ロッドを前記エンドエフェクタの前記遠位端から離れる方向に動かすことにより前記エンドエフェクタを前記閉位置へ作動させることによって、前記エンドエフェクタの前記第1および第2の脚部によって囲まれた、前記第2または第3の結紮クリップを閉じるステップと、前記エンドエフェクタが前記開位置へ戻されるように、前記ロッドを前記エンドエフェクタの前記遠位端へ向かう方向に動かすステップとを含み、前記第2または第3の結紮クリップが、前記閉じた構成において、前記エンドエフェクタから解除されることを許容する。前記方法は、前記手術機器の前記ハンドルによってのみ作動を許容し、例えば、前記エンドエフェクタを閉じる、または閉じた結紮クリップを除去するための外部機器を不要とする。
【0066】
更なる側面が、以下に記載される実施例からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
以下の詳細説明では、図に示される実施形態例を参照して側面、実施形態、および実装がより詳細に説明される。
図1a】本発明の一実施形態による手術機器の側面図を示す。
図1b】本発明の一実施形態による手術機器の背面図を示す。
図2図2aは、本発明の一実施形態による手術機器の構成要素の断面側面図を、図2bは、本発明の一実施形態による手術機器の構成要素の斜視分解図を、図2cは、本発明のさらなる実施形態による手術機器の構成要素の斜視分解図を示す。
図3】本発明の一実施形態による多軸ジョイントの斜視分解図を示す。
図4a】本発明のある実施形態による多軸ジョイント、ジョイントハウジング、およびハンドルの側面図を示す。
図4b】本発明のある実施形態による多軸ジョイント、ジョイントハウジング、およびハンドルの斜視分解図を示す。
図5】本発明のある実施形態によるハンドルの斜視部分図を示す。
図6a】多軸ジョイントが非ロック位置にある、本発明のある実施形態による、組み立てられた多軸ジョイントおよびジョイントハウジングの側面図を示す。
図6b】多軸ジョイントが非ロック位置にある、本発明のある実施形態による、組み立てられた多軸ジョイントおよびジョイントハウジングの断面側面図を示す。
図7a】多軸ジョイントがロック位置にある、図5aおよび5bに示される組み立てられた多軸ジョイントおよびジョイントハウジングの側面図を示す。
図7b】多軸ジョイントがロック位置にある、図5aおよび5bに示される組み立てられた多軸ジョイントおよびジョイントハウジングの断面側面図を示す。
図8a】本発明のある実施形態による手術機器の構成要素の断面側面図を示す。
図8b】本発明のある実施形態による組み立てられた多軸ジョイントおよびジョイントハウジングの断面側面図を示す。
図9a】本発明のさらなる実施形態による手術機器の構成要素の斜視分解図および断面側面図を示す。
図9b】本発明のさらなる実施形態による手術機器の構成要素の斜視分解図および断面側面図を示す。
図9c】本発明のさらなる実施形態による手術機器の構成要素の斜視分解図および断面側面図を示す。
図10a】本発明のある実施形態による多軸ジョイントの斜視図を示す。
図10b】本発明のある実施形態による多軸ジョイントの断面側面図を示す。
図10c図10aおよび10bに示される多軸ジョイントの側面図を示す。
図11a】本発明のある実施形態による多軸ジョイントの斜視図を示す。
図11b】本発明のある実施形態による多軸ジョイントの斜視図を示す。
図12a図11aおよび11bの実施形態の断面側面図を示す。
図12b図11aおよび11bの実施形態の断面側面図を示す。
図13図13aは、本発明のある実施形態によるジョイントハウジングの斜視図を、図13bは、本発明のある実施形態によるジョイントハウジングの断面側面図を示す。
図14a図13aおよび13bに示されるジョイントハウジングの構成要素の側面図を示す。
図14b図14aに示される構成要素の斜視図を示す。
図14c図14aに示される構成要素の斜視図を示す。
図15a】フレキシブル部分と図14a~cに示される構成要素との間のインターロッキングの詳細な図を示す。
図15b】フレキシブル部分と図14a~cに示される構成要素との間のインターロッキングの詳細な図を示す。
図16】(a)は、エンドエフェクタが開位置にある、本発明のある実施形態によるシャフト、操作手段、およびエンドエフェクタの側面図を示し、(b)はその断面側面図を示す。(c)は、エンドエフェクタが閉位置にある、(a)および(b)に示されるシャフト、操作手段、およびエンドエフェクタの側面図を示す。(d)は、エンドエフェクタが閉位置にある、(a)および(b)に示されるシャフト、操作手段、およびエンドエフェクタの断面側面図を示す。
図17a】エンドエフェクタが開位置にある、本発明のある実施形態によるエンドエフェクタの斜視図を示す。
図17b】エンドエフェクタが閉位置にある、本発明のある実施形態によるエンドエフェクタの斜視図を示す。
図18a】エンドエフェクタが開位置にある、本発明のさらなる実施形態によるエンドエフェクタの斜視図を示す。
図18b】エンドエフェクタが閉位置にある、本発明のさらなる実施形態によるエンドエフェクタの斜視図を示す。
図19】本発明のある実施形態による結紮クリップの側面図を示す。
図20a】本発明のさらなる実施形態によるシャフト、操作手段、およびエンドエフェクタの斜視図を示す。
図20b】本発明のさらなる実施形態によるシャフト、操作手段、およびエンドエフェクタの断面側面図を示す。
図20c図20aおよび20bに示されるシャフト、操作手段、およびエンドエフェクタの斜視分解図を示す。
図21a-d】(a)~(d)はそれぞれ、本発明のある実施形態による手術システムおよび手術システムの機能の部分側面図を示す。
図21e-h】(e)~(h)もそれぞれ、本発明のある実施形態による手術システムおよび手術システムの機能の部分側面図を示す。
図22ab図22aは、エンドエフェクタが開位置にある、本発明のさらなる実施形態によるシャフト、操作手段、およびエンドエフェクタの側面図を、図22bは、その断面側面図を示す。
図22c図22aおよび22bに示されるエンドエフェクタの部分側面図を示す。
図22d図22aおよび22bに示されるエンドエフェクタの側面図を示す。
【詳細説明】
【0068】
図1aおよび1bは、ハンドル2、中空シャフト3、およびエンドエフェクタ4を備える手術機器1を示す。中空シャフト3は、例えば、ステンレス鋼または炭素繊維強化複合材のような、適切な材料の細長い本体である。図3~12により詳細に示される、多軸ジョイント6は、ハンドル2の遠位端2aを中空シャフト3近位端3aに連結する。
【0069】
「手術機器」は、外科医のようなさらなる個人によって患者の体組織に関わり合うデバイスを意味する。本出願書全体を通して、用語「手術機器」は、プロステーシスまたはインプラントのようなデバイスを含む。
【0070】
「近位」は、手術機器のハンドル、および結果としてハンドルを保持する個人に最も近い構成要素の端部を指す。それに対応して、「遠位」は、ハンドルおよびハンドルを保持する個人から最も遠く離れた構成要素の端部を指す。
【0071】
図1a~1bおよび図16a~16dに示されるように、エンドエフェクタ4の近位端4aは、中空シャフト3の遠位端3bに連結される。エンドエフェクタ4は、体組織の撮影およびマニピュレーションのうちの少なくとも1つを行うようになっている。「マニピュレーション」は、切離、結紮クリッピング、注射、燃焼、切断、把持、断裂、およびスティッチングのような手技を含む。1つまたはいくつかの手技が同時に実行されてよい。「体組織」は、例えば静脈、動脈、腸、または臍帯を含む。ただしこれらに限られない。
【0072】
エンドエフェクタ4は、エンドエフェクタ4から中空シャフト3の近位端3aの方へ、そしてそれを過ぎて、多軸ジョイント6の内部を通り、ハンドル2の遠位端2aを通ってハンドル2の内部中へ、部分的には中空シャフト3内に延びる操作手段5を通して、ハンドル2に協働しうるように接続される。操作手段5は、ワイヤ、ホース、およびロッドのうちの少なくとも1つを備える。一実施形態において、操作手段5は、ワイヤおよびロッドの組み合わせを備える。
【0073】
ハンドル2は、手動でまたはロボットによって操作される、スクイズハンドルまたはその他のタイプの適切なハンドルであってよい。図1a、4b、および5a~5bに示されるように、ハンドル2は、少なくとも1つのグリップ部2b、2cおよび1つの作動部2dを備えてよい。作動部2dは、グリップ部2b、2cに枢動自在に接続されると共に、エンドエフェクタ4を操作しうるようにエンドエフェクタ4に接続される。
【0074】
操作手段5は、図8aに示されるように、軸方向に延びるロッド28および第1のピボットリンク39を備えてよい。第1のピボットリンク39は、ハンドル2の内部内に配される。また第1のピボットリンク39は、ロッド28、グリップ部2b、2cおよび作動部2dに協働しうるように接続される。
【0075】
ロッド28の近位端28aは、第1のピボットリンク39の近位端39aに接続される。第1のピボットリンク39の近位端39aは、さらにグリップ部2b、2cへ摺動自在に接続される。第1のピボットリンク39の遠位端39bは、作動部2dに枢動自在に接続される。
【0076】
ハンドルの作動部2dがグリップ部2b、2cの方へ枢動されるにつれて、第1のピボットリンク39も枢動されて、第1のピボットリンク39の近位端39aがハンドル2の近位端へ向かう方向に、すなわち、中空シャフト3およびエンドエフェクタ4から離れる方向に動かされる。ロッド28は、ロッド28の近位端28aが第1のピボットリンク39の近位端39aに接続されているので、同じ方向に、同時に動かされる。
【0077】
多軸ジョイントは、複数の軸の周りでおよび/または複数の平面内で動きが生じるジョイントである。多軸ジョイント6は、中空シャフト3およびエンドエフェクタ4の、ハンドル2に対する、中空シャフト3の中心軸Cの周りでの回転の動きを許容し、すなわち、中空シャフト3全体がそれ自体の中心軸の周りで回転されてよい。多軸ジョイント6は、ハンドルの遠位端2aの周りの少なくとも2つの平面内での回転も許容する。一実施形態において、少なくとも1つの平面は、中空シャフト3の中心軸Cと平行ではない。平面は、例えば、平面が中心軸に対して垂直であるように、中心軸に対して任意の角度で延びてよい。多軸ジョイント6が中空シャフト3と平行な面内での回転移動を許容してもよい。
【0078】
多軸ジョイント6は、中空シャフト3およびエンドエフェクタ4の、ハンドル2に対する、多軸回転を許容し、これは、ハンドル2の中空シャフト3およびエンドエフェクタ4に対する多軸回転を許容することと実質的と同一である。前述のように、多軸回転は、中空シャフト3の中心軸Cの周りでの回転を含み、エンドエフェクタ4が中空シャフト3とともに回転される。さらに、多軸回転は、ハンドル2が中空シャフト3に対して枢動されるときにエンドエフェクタ4が同じ位置にとどまるように、ハンドル2の位置に対するエンドエフェクタ4の位置には影響を及ぼさない。言い換えれば、エンドエフェクタ4は、ハンドル2が動かされるにつれて静止したままであり、回転も枢動もしない。ハンドル2によって生成される、エンドエフェクタ4に関係する動きは、さらに以下により詳細に記載される作動部2dによるエンドエフェクタ4の開位置OPと閉位置CPとの間の作動に限定される。
【0079】
中空シャフト3は、それ自体の中心軸Cの周りで回転可能である。一実施形態において、中空シャフト3は、さらに、いずれの方向の並進も防止しつつ、自由回転が同時に3つの平面内で許容されるように、ハンドル2の遠位端2aに対して、同時に3つの平面内で回転可能である。一実施形態において、各平面は、中心軸に平行または垂直に、および互いに垂直に延びる。中空シャフト3は中心軸Cの周りおよび3つの平面内で同時に回転可能である。
【0080】
一実施形態において、多軸ジョイント6は、第1のシェル7および第2のシェル8の部分的に球形のシェルを備える球ジョイントであり、各球形シェルが球状の部分を備える。一実施形態において、第1のシェル7および第2のシェル8は、仮想球体を切断する一対の平行平面によって形成された球形セグメントを備え、仮想球体の中心が平行平面の間に配される。さらなる実施形態では、平行平面の一方が仮想球体の中心と一致する。別のさらなる実施形態では、両方の平行平面が仮想球体の中心の同じ側に延び、すなわち、平行平面の一方が仮想球体の中心と他方の平行平面との間に配される。各シェル7、8が、図5aに示されるように、一体部分からなってもよく、または第2のシェル8のほぼ半分を示す図5bに図示されるように、いくつかの相互接続されるシェル部分からなってもよい。
【0081】
第1のシェル7および第2のシェル8の一方がグリップ部(1つ又は複数)2b、2cの少なくとも一方と一体であってよい。第1のシェル7および第2のシェル8の一方がグリップ部(1つ又は複数)2b、2cの少なくとも一方に接続されてもよい。図5aは、シェルの一方がグリップ部2b、2cの一方に接続される実施形態を示す。
【0082】
図3に示されるように、第1のシェル7は、開いた端部7aを備え、第2のシェル8は、開いた端部8aを備える。第1のシェル7および第2のシェル8は、第1のシェル7の開いた端部7aが第2のシェル8の開いた端部8aに重なるか、または第2のシェル8の開いた端部8aが第1のシェル7の開いた端部7aに重なるかいずれかであるように配される。この重なりが図6a~7b、8b、10a~10c、11a~11b、および12bにより詳細に示される。一方のシェルの開いた端部が他方のシェルの開いた端部へ押し込まれ、図6a~7bおよび10a~10cに示されるように、一方のシェルが他方のシェルに対して回転することを許容してよい仕方で、あるいは図11a~11bおよび12bに示されるように、一方のシェルが他方のシェルに対して回転できないように2つのシェル7、8をインターロックする仕方で、いわゆるプレスフィットを2つのシェル7、8間に提供する。言い換えれば、開いた端部7aおよび8aは、第1のシェル7および第2のシェル8が嵌合するときに、第1のシェル7と第2のシェル8との間に共通重なり領域Aがあるように嵌合表面7b、8bを有する。
【0083】
もっぱら第1のシェル7および第2のシェル8の互いに対する動きに関して、2つのシェル7、8が互いに対して回転可能な実施形態では、多軸ジョイント6が、回転の動きをある一定の限界内ですべての方向に許容するようにボールがソケット内で動く、ボールアンドソケットジョイントに対応してよい。
【0084】
第1のシェル7および第2のシェル8が、少なくとも1つのそれらの平面内で、互いに対して回転されるにつれて、共通重なり領域Aは、そのサイズを変化させてよい。さらに、重なり領域Aは、少なくとも部分的にその配置を変化させる。第1のシェル7および第2のシェル8は、すなわち、ハンドル2が中空シャフト3の近位端3aに対して3つの上述のいずれかの平面内で回転されない限り、両方が中心軸Cを中空シャフト3と共有してよく、その場合には、共通重なり領域Aが第1のシェル7および第2のシェル8の両方の外周全体に延びる。この位置が図1aならびに4a~7aに示される。第1のシェル7および第2のシェル8が中心軸Cの周りでのみ回転される、すなわち、シェル7、8が図6bに示される位置のままであるときには、重なり領域Aのサイズも配置も変化しない。しかしながら、第1のシェル7および第2のシェル8が、図10aおよび10bに示されるように、互いに対して3つの上述のいずれかの平面内で回転されるときには、共通重なり領域Aが第1のシェル7および第2のシェル8の両方の外周の一部に沿ってのみ延びる。
【0085】
第1のシェル7および第2のシェル8の一方は、中空シャフト3へ回転可能に接続され、第1のシェル7および第2のシェル8の他方は、ハンドル2へ堅く接続される。読みやすさのために、以下のテキストは、第1のシェル7が中空シャフト3へ回転可能に接続されて、第2のシェル8がハンドル2へ堅く接続される実施形態を記載する。さらに、2つの部分的に重なったシェルのうちの、第1のシェル7が内側シェルとして記載され、第2のシェル8が外側シェルとして記載される。しかしながら、外側の第1のシェルおよび内側の第2のシェルを備え、ならびに第1のシェル7がハンドル2へ堅く接続されて、第2のシェル8が中空シャフト3へ回転可能に接続される実施形態が同等に可能である
【0086】
第1のシェル7および第2のシェル8の少なくとも一方に中空誘導チューブ9が設けられてよい。中空誘導チューブ9は、第1のシェル7および/または第2のシェル8の外側表面および内側表面の一方または両方から突き出る。中空誘導チューブ9は、中空シャフト3の近位端3a、操作手段5のセクション、およびハンドル2への接続部のうちの少なくとも1つを収容する。
【0087】
図8bに示されるように、中空誘導チューブ9と中空シャフト3との間にベアリング45が配されてよく、中空シャフト3が中心軸Cの周りで回転することを許容する。
【0088】
第1のシェル7および第2のシェル8の少なくとも一方にシェルの開いた端部7a、8aから延びて、シェル7、8が重なることを許容する、貫通スリット10が設けられてよい。第2のシェル8にスリットを設けることによって、スリット間に形成された舌状部は、半径方向外側に曲がることができ、第2のシェル8が第1のシェル7の表面上で押されることを許容する。さらに、第2のシェル8が、第1のシェルの開いた端部7aからの方向に、第1のシェル7をさらに横切って押されるにつれて、舌状部は、より半径方向内側の位置へ戻ることができる、なぜなら、第1のシェル7の断面外径がその方向に減少するからである。これは、第1のシェル7および第2のシェル8が、プレスフィットによって、少なくともある程度、インターロックすることを許容する。
【0089】
共通重なり領域Aをそれらの表面が一緒に構成する、第1のシェル7および第2のシェル8の嵌合表面7b、8bの少なくとも一方に、第1のシェル7および第2のシェル8間のインターロッキングのレベルをさらに増加させる、微細構造43、コーティングおよび/または共通重なり領域Aにおける摩擦増加のための荒れが設けられてよい。
【0090】
微細構造43は、図11a~11bおよび12bに示されるように相互接続する突出部およびリセスからなってよい。
【0091】
一実施形態において、第1のシェル7の嵌合表面7bに第1の微細構造43aが設けられ、第2のシェル8の嵌合表面8bには第2の微細構造(43b)が設けられる。第1の微細構造43aおよび第2の微細構造43bは、複数のリセスおよび少なくとも1つの突出部の一方を備え、突出部(1つ又は複数)がリセスと係合してインターロックするようになっている。図11a~12bは、第1のシェル7に複数のリセスを備える第1の微細構造43aが設けられて、第2のシェル8には突出部を備える第2の微細構造43bが設けられた実施形態を示す。
【0092】
第1の微細構造43aおよび第2の微細構造43bの一方は、半径方向に変位可能な舌状部44上に設けられてよい。図11a~12bは、半径方向に変位可能な舌状部44が、外圧を受けない平衡状態において、わずかに半径方向外側に、2つのシェル7、8の最も内側から離れる方向に突き出る実施形態を示す。これは、2つのシェルが互いに対して回転することを許容する。舌状部44が、半径方向内側に、最も内側のシェルの方へ変位されるにつれて、第1の微細構造43aおよび第2の微細構造43bが最終的に相互接続して、かかる回転を防止する。
【0093】
一実施形態において、多軸ジョイント6は、共通重なり領域Aにおいて、第1のシェル7および第2のシェル8の嵌合シェルの外周の周りに配された第3のシェル11をさらに備える。第3のシェル11は、好ましくは、基本的に環状であるが、例えば、部分的に球形または楕円形のシェルのような、その他の適切な構成を有してもよい。第3のシェル11は、第3のシェル11が第2のシェル8上の舌状部を内側に、第1のシェル7の方へ押して、その後、微細構造43を通して提供されるプレスフィットまたは機械的ロッキング手段によって第1のシェル7および第2のシェル8をインターロックすることができるように、第2のシェル8の最大外径よりいくぶん小さい内径を有してよい。
【0094】
ロッキングレバー12は、第3のシェル11から突き出て、第3のシェル11が手動であるいはロボットによって操作されるにつれてそれが非ロック位置P1とロック位置P2との間で移動可能であることを許容する。第3のシェルは、かかる操作中に、第3のシェル11の一方の外周セクションが第2のシェル8の開いた端部8aへ向かう方向に動かされて、反対側の外周セクションが第2のシェル8の開いた端部8aから動かされるように第1のシェル7および第2のシェル8の周りで枢動される。第3のシェル11の実際の位置に依存して、第1のシェル7および第2のシェル8を互いに対してインターロックでき、あるいはインターロックできない。第1のシェル7および第2のシェル8をインターロックすることによって、ハンドル2の位置が中空シャフト3の近位端3aに接続されるシェル、好ましくは第2のシェル8に対してロックされ、手術機器をいずれか適切な角度でロックするために人がその機器を操作することを許容する。
【0095】
第1の内側シェル7および外側の第2のシェル8の直径は、第3のシェル11が非ロック位置P1にあるときには、第1のシェル7および第2のシェル8が互いに対して回転されることができるように、第3のシェル11からの半径方向圧力によって影響を受けないままである。
【0096】
第1の内側シェル7および外側の第2のシェル8の少なくとも一方、好ましくは外側の第2のシェル8の直径は、第3のシェル11がロック位置P2にあるときには、外側の第2のシェル8の内側表面が内側の第1のシェル7の外側表面を押しつけて第1のシェル7および第2のシェル8が互いに対して回転するのを防止するように、少なくとも共通重なり領域Aにおいて、第3のシェル11により加えられる半径方向圧力によって縮小される。
【0097】
第3のシェル11の内側表面または第1のシェル7および第2のシェル8のうちの半径方向最も外側に位置するシェル、すなわち、読みやすさのために第2のシェル8の外側表面は、少なくとも1つの、外周に延びる、半径方向を向いた溝13を備えてよい。図10cに示されるように、溝13の半径方向深さDは、溝13が最大底厚セクションT1および最小底厚セクションT2を備えるように、シェルの開いた端部、例えば、第2のシェル8の開いた端部8aへ向かう方向に減少し、底厚セクションは、シェル7、8、11の外側表面と内側表面との間の垂直距離、すなわち、シェル壁の厚さによって定義される。
【0098】
第3のシェル11が非ロック位置P1にあるときに、第3のシェル11は、図6aおよび6bに示されるように、最小底厚セクションT2内に少なくとも部分的に配される。第3のシェル11がロック位置P2にあるときには、第3のシェル11は、図7aおよび7bに示されるように、最大底厚セクションT1内に少なくとも部分的に配されて、ハンドル2が多軸ジョイント6へロックされる。
【0099】
半径方向に変位可能な舌状部44を備える実施形態において、舌状部44は、第1のシェル7および第2のシェル8のうちの半径方向に最も外側に位置するシェル中に形成される。非ロック位置P1では、半径方向に変位可能な舌状部44の半径方向位置が第3のシェル11によって影響を受けず、第1のシェル7および第2のシェル8は、互いに対して回転されることができる。ロック位置P2では、半径方向に変位可能な舌状部44が、第1の微細構造43aおよび第2の微細構造43bが共通重なり領域Aにおいて係合するように、第1のシェル7および第2のシェル8のうちの半径方向最も内側に位置するシェルの方へ動かされた。この係合は、第1のシェル7および第2のシェル8が互いに対して回転されるのを防止する。
【0100】
一実施形態において、手術機器1は、ジョイントハウジング14をさらに備える。ジョイントハウジング14の近位端14aがハンドル2に接続されて、ジョイントハウジング14の遠位端14bが第1のシェル7および第2のシェル8、好ましくは外側の第2のシェル8に接続される。ジョイントハウジング14は、多軸ジョイント6および中空シャフト3の近位端3aをそれがおおうように配される、図4aおよび4b参照。
【0101】
ジョイントハウジング14は、中心軸Cを中空シャフト3と共有して、ジョイントハウジング14が中心軸Cの周りで少なくとも部分的に回転可能である。
【0102】
図13a~13bおよび14a~14cに示される一実施形態では、ジョイントハウジング14が、少なくとも第1 16および第2 17の堅い部分の間で、中心軸Cの方向に延びるフレキシブル部分15を備える。第1の堅い部分16が第1のシェル7および第2のシェル8に接続されて、第2の堅い部分17がハンドル2に接続される。中空シャフト3が中心軸Cの周りで回転されるにつれて、堅い部分16、17の一方およびフレキシブル部分15の一部もジョイントハウジング14が部分的にねじれるように中心軸Cの周りで回転される。堅い部分は、好ましくは、例えばABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン:acrylonitrile butadiene styrene)プラスチックのような硬いプラスチックから作られる。従って、「堅い」は、本明細書では絶対的な堅さではなく、「フレキシブル」として表される部分の剛性より著しく高い材料の相対的に高い剛性を示す。用語「フレキシブル」は、弾力および曲げ性のような特性を含む。
【0103】
第2の堅い部分17の近位端17aは、ハンドル2中の少なくとも1つの対応するリセス21と相互作用するようになっているロッキング手段20を備えてよい。図4bおよび14aに図示されるように、ロッキング手段は、リセス21と相互作用する外周フランジ20であってよい。ロッキング手段が、図9aおよび9bに示されるように、スナップロックを備えてもよい。
【0104】
第1 16および第2 17の堅い部分の少なくとも一方は、中心軸Cの方向、すなわち、第1の堅い部分16から第2の堅い部分17への方向に延びる複数の溝18を備えてよい。各溝18が、図15aおよび15bに示されるように、中心軸Cに対してある角度で延びる端面18aを備える。端面18aは、第1の堅い部分16の近位端16aに配され、一方では、それに対応して、さらなる端面18aが第2の堅い部分17の遠位端17bに配される。フレキシブル部分15は、端面18aに対応するフレキシブル部分表面15aが各溝18中に形成されるように溝18を満たす。
【0105】
各端面18aが、フレキシブル部分15がそれを通して延びる開口部19を備え、開口部19は、中心軸Cと概ね平行に延びる。
【0106】
フレキシブル部分のセクション15bが第1の堅い部分16の半径方向外側および/または半径方向内側に延びてよく、フレキシブル部分15のセクション15cが、それに対応して、第2の堅い部分17の半径方向内側および/または半径方向外側に延びてよい。一実施形態では、フレキシブル部分15の2つのセクションが、第1の堅い部分16の壁によって分離されて、平行に延びるように、フレキシブル部分15のセクションが第1の堅い部分16の半径方向外側ならびに半径方向内側に延びる。
【0107】
一実施形態において、第1 16および第2 17の堅い部分の少なくとも一方が円錐台形状を有し、第1の堅い部分16は、第2の堅い部分17の外径および/または内径より小さい外径および/または内径を有する。
【0108】
ハンドル2および操作手段5は、いずれか可能な開位置OPと閉位置CPとの間で、すなわち、開位置から閉位置へならびに閉位置から開位置へエンドエフェクタ4を作動させるように構成される。
【0109】
エンドエフェクタ4は、第1の脚部22および第2の脚部23を備え、第2の脚部23がエンドエフェクタの遠位端4bで第1の脚部22に枢動自在に接続される。図16aおよび16bに示されるように、第2の脚部23は、エンドエフェクタ4が開位置OPにあるときに第1の脚部22に対して鋭角αで延びる。図16c、16d、および17bに示されるように、第2の脚部23は、エンドエフェクタ4が閉位置CPにあるときには第1の脚部22と概ね平行に延びる。言い換えれば、第1の脚部22が中空シャフト3に対して静止しており、一方では第2の脚部23が第1の脚部22および中空シャフト3に対して枢動可能である。
【0110】
図17aおよび18aに示されるように、第2の脚部23の遠位端23bは、第2の脚部23が閉位置CPにおいて第1の脚部22上に重ね合わされるように第1の脚部22の遠位端22bに枢動自在に接続される。枢動接続部は、ハンドル2、および結果として、ハンドル2を操作する個人から最も遠く離れたエンドエフェクタ4の端部4bに配される。エンドエフェクタ4が開位置OPから閉位置CPへ作動されるときには、第2の脚部23の近位端23aが少なくとも部分的にハンドル2の方へ動かされる。
【0111】
一実施形態では、図17aに示されるように、第2の脚部23が体組織を切断するための切断手段24を備え、第1の脚部22は、エンドエフェクタ4が閉位置CPにあるときに切断手段を収容するためのリセス25を備える。
【0112】
さらなる実施形態では、第2の脚部23がステープルマガジンを備える。
【0113】
図17aおよび18aに示されるように、エンドエフェクタ4の遠位端4bは、第1の脚部22と第2の脚部23との間に延びる保護リップ26を備えてよく、保護リップ26は、第1の脚部22および第2の脚部23を接続する枢動接続部に体組織が固着されるのを防止する。
【0114】
少なくとも1つの支持リッド27が、図18aおよび18bに示されるように、エンドエフェクタ4に接続されてよい。支持ロッド27の近位端27aは、エンドエフェクタ4が開位置OPにあるときに支持ロッド27が第1の脚部22に対して鋭角βで延びるように、エンドエフェクタ4の近位端4aに枢動自在に接続されて、第1の脚部22、第2の脚部23、および支持ロッド27が体組織を含んでよい三角形のスペースを囲むことを許容する。支持ロッド27は、エンドエフェクタ4が閉位置CPにあるときには第1の脚部22と平行に延びる。
【0115】
一実施形態では、操作手段5が、中空シャフト3の中心軸Cと平行に延びて、軸方向に延びるロッド28、および第2のピボットリンク29を備える。ロッド28は、図20a~20cに示されるように、エンドエフェクタ4の第1の脚部22によって部分的に囲まれ、好ましくは、第1の脚部22では半径方向に延びるリセス中に配される。
【0116】
ロッド28の遠位端28bは、第2のピボットリンク29によって第2の脚部23の遠位端23bに連結され、第2のピボットリンク29がロッドの軸方向延長部に対してある角度で、かつ第2の脚部23に対してある角度で延びる。ロッド28の近位端28aは、ハンドル2に操作されうるように接続される。エンドエフェクタ4は、ロッド28がエンドエフェクタ4の遠位端4bから離れる方向に動かされるときに開位置OPから閉位置CPへ作動される。それに対応して、エンドエフェクタ4は、ロッド28がエンドエフェクタ4の遠位端4bへ向かう方向に動かされるときには閉位置CPから開位置OPへ作動される。
【0117】
操作手段5は、ピストン30およびばね31をさらに備えてよく、ロッド28がピストン30およびばね31によって部分的に囲まれる。好ましくは、ロッド28の遠位セクションが第1の脚部22によって囲まれて、ロッド28の近位セクションがピストン30およびばね31によって囲まれる。ばね31は、ピストン30とハンドル2および/または多軸ジョイント6との間に配される。ばね31は、エンドエフェクタ4の遠位端4bへ向かう方向にピストン30の近位端30a上へ力を加える。
【0118】
ロッド28およびピストン30は、相互およびエンドエフェクタ4の少なくとも一方に対して軸方向に移動可能である。さらに、ロッド28およびピストン30は、エンドエフェクタ4に対して、ロッド28およびピストン30が1つのユニットとして軸方向に移動可能であるように解除可能に接続される。ロッド28およびピストン30は、図20b、21aおよび21cに示されるように、ピストンロックによって解除可能に接続されてよく、ピストンロックは、ロッド28中に対で配された複数のロッキング溝32とピストン30の遠位端30bに配された対応するロッキング突出部33とを備える。
【0119】
本開示は、さらに、先に考察された手術機器1および少なくとも1つの結紮クリップ34を備える手術システムに関する。結紮クリップは、クランプとしても知られ、例えば、体組織内の体液の流れを結紮するために用いられる、図19参照。
【0120】
手術機器1のエンドエフェクタ4は、図21aに示されるように、結紮クリップ34の遠位端34bがエンドエフェクタ4の遠位端4bに隣接して配され、結紮クリップ34の近位端34aがエンドエフェクタ4の近位端4bに隣接して配されるように結紮クリップ34を囲むように構成される。
【0121】
結紮クリップ34は、第1の結紮クリップ脚部35および第2の結紮クリップ脚部36を備え、第1の結紮クリップ脚部35および第2の結紮クリップ脚部36が結紮クリップ34の遠位端34bで枢動自在に接続される。第1の結紮クリップ脚部35および第2の結紮クリップ脚部36は、第1の結紮クリップ脚部35および第2の結紮クリップ脚部36が結紮クリップ34の近位端34aで互いに重ね合わされた位置において第1 35および第2 36の結紮クリップ脚部をインターロックするためのロッキング手段37を備える。
【0122】
エンドエフェクタ4が最初の開位置OPにあるときには、結紮クリップ34がエンドエフェクタ4の第1の脚部22および第2の脚部23によって囲まれ、結紮クリップ34は、第2の結紮クリップ脚部36が第1の結紮クリップ脚部35に対して鋭角γで延びる開いた構成を有する。エンドエフェクタ4が続いて閉位置CPに作動されるときに、結紮クリップ34の構成は、第1 35および第2 36の結紮クリップ脚部が互いに重ね合わされた閉じた構成へ変化する。エンドエフェクタ4が開位置OPへ戻されるにときに、結紮クリップ34は、ロッキング手段37によって閉じた構成のままである。
【0123】
手術システムは、複数の個別の結紮クリップ34を備えてよく、これらの結紮クリップは、すべてが開いた構成にあり、ロッド28および/またはエンドエフェクタ4の第1の脚部22に沿って、エンドエフェクタ4の遠位端4bとハンドル2との間に連続して配される。エンドエフェクタ4の遠位端4bに隣接して配置されて、エンドエフェクタ4の第1の脚部22および第2の脚部23によって囲まれた第1の結紮クリップ34-1を除いて、すべての結紮クリップ34-Xがエンドエフェクタ4の第1の脚部22およびロッド28によって囲まれる。
【0124】
結紮クリップ34は、エンドエフェクタ4の第1の脚部22およびロッド28によって囲まれた、結紮クリップ34-Xのいずれか1つの軸方向変位が、結紮クリップ34-Xとエンドエフェクタ4の遠位端4bとの間に配置されたすべての結紮クリップ34の対応する変位を引き起こすように互いに当接して配される。言い換えれば、結紮クリップ34-Xよりエンドエフェクタ4の遠位端4bに近い方に配置されたすべての結紮クリップ34が結紮クリップ34-Xによって遠位端4bへ向かう方向に押される。
【0125】
本開示は、さらに、図21b~21hに示される、上記の手術システムを操作する方法に関し、第1の結紮クリップ34-1は、第1の結紮クリップ34-1がエンドエフェクタ4の第1の脚部22およびロッド28によって囲まれて、第1の結紮クリップ34-1が開いた構成を有するようにエンドエフェクタ4内に配される。
【0126】
第1の結紮クリップ34-1は、図21aに示されるように、ロッド28をエンドエフェクタ4の遠位端4bへ向かう方向に動かすことにより、エンドエフェクタ4の遠位端4bに向かう方向に、第1の結紮クリップ34-1がエンドエフェクタ4の第1 22および第2 23の脚部によって囲まれてエンドエフェクタ4が開位置OPにある位置へ変位される。
【0127】
第1の結紮クリップ34-1は、ロッド28をエンドエフェクタ4の遠位端4bから離れる方向に動かすことによりエンドエフェクタ4を閉位置CPへ作動させることによって閉じられる。
【0128】
続いて、エンドエフェクタ4が開位置OPへ戻されるようにエンドエフェクタ4の遠位端4bへ向かう方向にロッド28が動かされ、これは、閉じた構成を有する第1の結紮クリップ34-1がエンドエフェクタ4から解除されることを許容する。
【0129】
手術システムは、複数の結紮クリップ34を備えてよい。読みやすさのために、以下の記載は、第1、第2、および第3の結紮クリップ34に限定されるが、しかし、追加の結紮クリップ34が可能である。
【0130】
第2の結紮クリップ34-2は、第2の結紮クリップ34-2がエンドエフェクタ4の第1の脚部22およびロッド28によって囲まれ、第2の結紮クリップ34-2が開いた構成を有するようにエンドエフェクタ4内に配されてよい。さらに、上述されて図21aに示されるように、エンドエフェクタ4が開位置OPへ戻されるときには、ピストンロック32、33がロッド28およびピストン30を第1のロッキング位置LP1においてインターロックする。
【0131】
ロッド28が、図21bに示されるように、エンドエフェクタ4の遠位端4bから離れる方向に動かされ、それによって、ピストンロック32、33が第1のロッキング位置LP1から解除されて、ピストン30がロッド28に対して動くことを許容される。同時に、エンドエフェクタ4が閉位置CPへ作動されて、図21cに示されるように、ピストンロック32、33が第2のロッキング位置LP2に係合するまでピストン30の近位端30a上へ力を加えるばね31によって、ピストン30がエンドエフェクタ4の方へ動く。ピストン30の遠位端30bは、ピストンロック32、33が第1のロッキング位置LP1よりも第2のロッキング位置LP2にあるときに、エンドエフェクタ4の遠位端4bにより近く配される。
【0132】
ロッド28がエンドエフェクタ4の遠位端4bへ向かう方向に動かされて、ピストン30がロッド28とともに同じ方向に動かされる。同時に、エンドエフェクタ4が、図21dに示されるように、開位置OPへ作動される。
【0133】
ロッド28が、エンドエフェクタ4の遠位端4bから離れる方向に動かされ、それによって、ピストンロック32、33が、図16eに示されるように、第2のロッキング位置LP2から解除される。ロッキング突出部33は、図21fに示されるように、ピストン30がロッド28に対して動くことを許容されるようにロッド28中に設けられた縦溝38を係合させ、エンドエフェクタ4を閉位置CPへ同時に作動させる。
【0134】
ロッド28およびピストン30は、1つだけのピストンロック32、33および1つの縦溝38を備えてよい。しかしながら、ロッド28は、好ましくは、いくつかの縦溝38、ならびにいくつかの個別または対のロッキング溝32を備え、各対は、ピストン30のロッキング突出部33が、その対の一方のロッキング溝に係合するときに第1のロッキング位置LP1をとり、その対の他方のロッキング溝に係合するときには第2のロッキング位置LP2をとることを許容する。各縦溝38は、1つの個別のまたは1対のロッキング溝32と関連付けられる。
【0135】
ピストン30の遠位端30bが第2の結紮クリップ34-2と係合し、図21gに示されるように、第2の結紮クリップ34-2、または第2の結紮クリップ34-2とエンドエフェクタ4の遠位端4bとの間に配置された第3の結紮クリップ34-3がエンドエフェクタ4の第1の脚部22および第2の脚部23によって囲まれるまで、第2の結紮クリップ34-2をばね31によってエンドエフェクタ4の遠位端4bへ向かう方向に押す。結紮クリップ34は、縦溝38および結紮クリップ34が相互作用しないように縦溝38上を滑る。
【0136】
ロッド28が、図21hに示されるように、エンドエフェクタ4の遠位端4bへ向かう方向に動かされ、エンドエフェクタ4を開位置OPへ同時に作動させる。
【0137】
エンドエフェクタ4の第1 22および第2 23の脚部によって囲まれた、第2 34-2または第3 34-3の結紮クリップが、ロッド28をエンドエフェクタ4の遠位端4bから離れる方向に動かすことによりエンドエフェクタ4を閉位置CPへ作動させることによって閉じられる。
【0138】
ロッド28が、エンドエフェクタ4が開位置OPへ戻されるように、エンドエフェクタ4の遠位端4bへ向かう方向に動かされ、これは、閉じた構成にある、第2 34-2または第3 34-3の結紮クリップがエンドエフェクタ4から解除されることを許容する。
【0139】
図16a~d、21a~d、および22a~dは、エンドエフェクタ4を開および閉位置の間で作動させるための手術機器1の実施形態を示す。中空シャフト3は、ロッド28の並進移動のためにロッド28を誘導するように構成される。第2の脚部23は、第2の脚部23上の第1の位置で中空シャフト3から枢動自在に吊される。第2の脚部23は、自由な近位端23aおよびヒンジ連結された遠位端23bを有して、第1の位置がヒンジ連結された遠位端23bにあるか、またはそれに隣接する。
【0140】
第2のピボットリンク29は、軸方向に延びるロッド28に枢動自在に接続される第2のピボットリンク29の第1の端部29a、および第1の位置から間隔をあけた第2の位置で第2の脚部23に枢動自在に接続される第2のピボットリンク29の第2の端部29bによって、ロッド28を第2の脚部23に接続する。一実施形態において、第2のピボットリンク29は、第1の端部29aと第2の端部29bとの間に延びるプレートを備える。
【0141】
第1の端部29aは、第1のヒンジピン40によってロッド28に接続される。第2のピボットリンク29は、ロッド28の近位端28aまたは遠位端28bのような、ロッド28の末端においてまたはその近くでロッド28に協働しうるように接続されてよい。それに対応して、第2の端部29bは、第2のヒンジピン41によって第2の脚部23に接続されてよい。第2の位置は、自由な近位端23aよりもヒンジ連結された遠位端23bの方に近い。
【0142】
第2の脚部23は、一実施形態では、第3のヒンジピン42によって中空シャフト3へヒンジ連結される。第3のヒンジピン42は、中空シャフト3の中心軸Cにまたはそれに隣接して配される。
【0143】
第2の脚部23は、ロッド28が第3のヒンジピン42から離れる方向に並進されるときに中空シャフト3の方へ回転するように構成され、第2の脚部23は、ロッド28が第3のヒンジピン42へ向かう方向に並進されるときには中空シャフト3から離れるように回転するように構成される。
【0144】
本明細書では様々な側面および実装が様々な実施形態と併せて記載された。しかしながら、請求項に記載される主題を実施する際に、当業者は、図面、開示、および従属請求項の検討から、開示される実施形態の他の変形形態を理解し、もたらすことができる。請求項において、単語「備える(comprising)」は、他の要素またはステップの存在を除外せず、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は、複数の場合を除外しない。特定の手段が互いに異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に用いることができないことを示すわけではない。
【0145】
請求項に用いられる参照符号は、範囲を限定すると解釈されるべきではない。
図1a
図1b
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図12a
図12b
図13
図14a
図14b
図14c
図15a
図15b
図16
図17a
図17b
図18a
図18b
図19
図20a
図20b
図20c
図21a-d】
図21e-h】
図22ab
図22c
図22d