(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】紡績準備ラインのコーミングマシン
(51)【国際特許分類】
D01G 19/18 20060101AFI20240122BHJP
D01H 5/26 20060101ALI20240122BHJP
D01H 5/86 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
D01G19/18
D01H5/26
D01H5/86 B
(21)【出願番号】P 2021553857
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 IB2020052861
(87)【国際公開番号】W WO2020208454
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】102019000005608
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518115263
【氏名又は名称】マルツォーリ・マシーンズ・テキスタイル・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】MARZOLI MACHINES TEXTILE S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ソリアーニ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】プランディーニ,ジローラモ
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-517612(JP,A)
【文献】特表2018-524490(JP,A)
【文献】特表2008-508441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01G 1/00-99/00
D01H 1/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各コーミングヘッドが、
繊維ウェブをコームするグリッパ及び円形のコームと、
前記グリッパの下流側に配置され、一方向性の回転運動を行う少なくとも1対のデタッチシリンダと、
前記グリッパおよび前記デタッチシリンダの下流に配置され、前記コームされたウェブが圧縮されたスライバ(N)を、前記コーミングヘッドのスライバが相互に並んで配置される共通の進行方向である横方向(X)に向けて偏向させるデフレクタ手段と、
前記グリッパおよび前記デタッチシリンダの下流側であり、かつ前記デフレクタ手段の上流側に配置され、前記コームされたウェブをドラフトするドラフト装置(600)と、
を備え、
前記ドラフト装置(600)は、上流側のグリッピングライン(P’)に沿って加圧状態に保たれた第1の対(602)のドラフトシリンダ(602a,602b)と、前記第1の対(602)の下流側で下流側のグリッピングライン(P’’)に沿って圧接した第2の対(620)のドラフトシリンダ(620a,620b)と、を備え、前記第1の対(602)は、第1の上側ドラフトシリンダ(602a)および第1の下側ドラフトシリンダ(602b)を含み、
前記ドラフト装置(600)は、前記上流側のグリッピングライン(P’)と前記下流側のグリッピングライン(P’’)との間で重ね合わせたタフトの前記ウェブを押圧する押圧手段を備え
、
前記押圧手段は、
前記第1の上側ドラフトシリンダ(602a)と係合し、例えばローラ(606)のようなデフレクタ要素と係合する上側ドラフトベルト(604a)と、
前記第1の下側ドラフトシリンダ(602b)と係合し、例えばバッフル(608)のようなさらなるデフレクタ要素と係合する下側ドラフトベルト(604b)と、
を備え、
前記上側ドラフトベルト(604a)および前記下側ドラフトベルト(604b)は、それぞれの閉じた経路に沿って動き、前記上流側のグリッピングライン(P’)の下流側の接触部(614)に沿って互いに接触している、少なくとも2つのコーミングヘッド(2)を備える、綿繊維紡績準備ライン用のコーミングマシン(1)。
【請求項2】
前記ドラフト装置は、前記ウェブを圧縮させるファンネル(
4)の上流側に設置されている、請求項1に記載のコーミングマシン。
【請求項3】
前記第2の対(620)のドラフトシリンダ(620a,620b)は、前記第1の対(602)のドラフトシリンダ(602a,602b)の周速度よりも大きい周速度を有する、請求項1に記載のコーミングマシン。
【請求項4】
前記バッフル(608)は、前記下側ドラフトベルト(604b)の一部を支持して摺動する摺動面(612)を有し、当該摺動面(612)は好ましくはアーチ状である、請求項1に記載のコーミングマシン。
【請求項5】
前記接触部(614)は、前記バッフル(608)の前記摺動面(612)と少なくとも部分的に重なっている、請求項4に記載のコーミングマシン。
【請求項6】
前記接触部(614)は、前記バッフル(608)の前記摺動面(612)と一部のみが重なる、請求項5に記載のコーミングマシン。
【請求項7】
前記ローラ(606)が前記摺動面(612)に沿って配置されている、請求項4から6のいずれか1項に記載のコーミングマシン。
【請求項8】
前記デフレクタ要素または前記ローラ(606)は、調整可能な負荷で前記上側ドラフトベルト(604a)上で動作する、請求項1から7のいずれか1項に記載のコーミングマシン。
【請求項9】
前記負荷は、前記デフレクタ要素または前記ローラ(606)に作用するスプリングによって調整可能である、請求項8に記載のコーミングマシン。
【請求項10】
各コーミングヘッドは
繊維ウェブから繊維のタフトを連続して引き離し、移送速度で下流に移送する、互いに接触している少なくとも一対(20’)のデタッチシリンダ(20a’,20b’)と、
前記移送速度よりも小さい所定の速度で移動可能な主面(28)を備えた主装置(26)であって、前記主面(28)は、前記タフトが前記主面(28)の衝突ゾーン(29)に連続して衝突して部分的に重なるように構成され、部分的に重なったタフトからなるウェブを形成する主装置(26)と、
前記部分的に重ねられたタフトからなるウェブを集めて移動させる移送装置(40)と、
を備え、
前記ドラフト装置(600)が、前記移送装置(40)の下流側に配置され、それによって部分的に重ねられたタフトからなる前記ウェブを供給する、請求項1から9のいずれか1項に記載のコーミングマシン。
【請求項11】
前記移送装置(40)は、並進可能なマット(50)を備え、かつ
前記下側ドラフトベルト(604b)は、前記移送装置(40)の前記マット(50)と一致している、請求項10に記載のコーミングマシン。
【請求項12】
前記一対(20’)のデタッチシリンダ(20a’,20b’)と前記主装置(26)との間に配置された補助装置(300)を備え
、
前記補助装置(300)は、前記一対(20’)のデタッチシリンダ(20a’,20b’)によって引き離されたタフトを前記主装置(26)に移送する、請求項10又は11に記載のコーミングマシン。
【請求項13】
前記主装置(26)は、一定速度または可変速度で連続的な回転運動を行う主シリンダ(30)を備え、前記主シリンダ(30)の側面(30’)が前記主面(28)を構成している、請求項10から12のいずれか1項に記載のコーミングマシン。
【請求項14】
前記主面(28)は、空気を透過しない、請求項10から13のいずれか1項に記載のコーミングマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、綿繊維の紡績準備ライン用のコーミングマシンに関するものである。
【0002】
紡績準備ラインでは、繊維を開いて洗浄する初期段階の後、カーディングマシンによるカーディング操作が行われ、その後、繊維はスライバの形になる。
【0003】
カーディングマシンを出たカード化されたスライバは、通常、ドラフトマシンで第1ドラフトを受け、複数のスライバが接合される。
【0004】
繊維が高度に平行化され、きれいになったコームスライバを得るために、通常24、28、若しくは32本の所定の数のスライバがラップ形成マシンに入り、コーミングマシンで処理されるラップを作成する。
【背景技術】
【0005】
最近の構造を持つ従来の機械が、1分間に500~550ストロークの割合で互いに続ける、コーミングの基本操作は、
-カード化されたスライバを断続的に供給する工程;
-グリッパを閉じた状態で、回転式コームを用いて、入ってきたタフトの頭部をコームする工程;
-後方回転中のデタッチシリンダによって、適切に後退させられ、先行するサイクルでコームされたスライバ(コームスライバ)にタフトの頭部を重ね合わせて結合する工程;
-グリッパが開いている状態で、グリッパのストレートコームを用いてタフトの尾部をコームする工程;
-前方回転中のデタッチシリンダによって、コームされたタフトを前進させる工程、
である。
【0006】
しかしながら、デタッチシリンダは交互に回転運動をする。
【0007】
デタッチシリンダの交互回転運動による欠点を克服するために、デタッチシリンダが一方向回転運動を有するいくつかの解決策が開発されている。一つの解決策は、文書EP-A1-1553219に示されている。
【0008】
他の解決策は、本出願人名義の国際出願PCT/IB2019/050158およびPCT/IB2019/051946に示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、特に、連続的な回転運動(一定または可変だが一方向の速度)を有するデタッチシリンダを備え、コームスライバの品質を満足できるレベルにすることができるコーミングマシンを作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に従って作られたコーミングマシンによって達成される。従属請求項には、本発明のさらに有利な実施形態が記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明によるコーミングマシンの特徴および利点は、添付の図面に従って、非限定的な例として与えられる以下の説明から明らかになる。
【
図1】
図1は、複数のコーミングヘッドを備えた本発明によるコーミングマシンの概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による、コーミングヘッドの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によるコーミングマシン1は、固定フレームと、横軸Xに沿って整列した複数のコーミングヘッド2と、を備えている。
【0013】
各コーミングヘッド2において、加工されるスライバは、縦方向Yに進む。
【0014】
各コーミングヘッド2の下流には、ファンネル4が配置されており、このファンネルによって、コームスライバはウェブNに圧縮される。
【0015】
各コーミングヘッド2からのウェブは、適切なデフレクタ手段(偏向手段)6によって偏向され、パレット上に互いに並んで配置され、共通の前進方向、典型的には横方向Xに平行な方向に沿って進む。
【0016】
各コーミングヘッド2は、下顎、上顎、および通常は下顎に搭載されているストレートコームを備えたグリッパからなる。
【0017】
さらに、グリッパは、下顎に支持された、断続的に回転するように操作可能な供給シリンダを含んでいる。
【0018】
また、コーミングヘッドは、グリッパの下流側に、少なくとも一対のデタッチシリンダを備える。
【0019】
例えば、好ましくは、グリッパのすぐ下流でグリッパと向き合っているのは、重畳された一対のデタッチシリンダ20a’、20b’であり、好ましくは圧接しており、顎から出てきたスライバの一部分を引きずり、スライバの房を引き離して下流に運ぶように、連続的な回転運動(一定または可変、ただし可逆的ではない速度)を備えている。
【0020】
好ましくは、下側デタッチシリンダ20b’は、モータ駆動されるか、または別のモータ駆動されるシリンダとの運動学的な接続によって回転操作され、一方、好ましくはゴムコーティングを備えた上側デタッチシリンダ20a’は、下側デタッチシリンダ20b’と圧接し、それによって回転駆動される。
【0021】
一実施形態によれば、デタッチシリンダ20a’,20b’の対20’の下流には、好ましくは電動化された、または別の電動化されたシリンダとの運動学的接続によって回転動作する上側補助シリンダ20aと、通常は上側補助シリンダ20aと圧接し、好ましくはそれによって回転駆動される下側補助シリンダ20bとからなる補助シリンダの対20が配置されている。
【0022】
周速度Vsを有する補助シリンダ20a,20bは、デタッチシリンダ20a,20bが提供したスライバの断面に沿って引き寄せ、スライバからタフトを引き離して上流から下流に運ぶような連続的な回転運動(一定または可変であるが、非可逆的な速度)を行うものである。
【0023】
好ましい実施形態によれば、コーミングヘッドは、前記補助シリンダ20a,20bと、例えばシリンダ、ローラ、角型要素などの補助デフレクタ306a,306b,308a,308bによって規定されるそれぞれの閉路に沿って走行するそれぞれの補助ベルト304a,304bと、を備える補助装置300を構成している。
【0024】
さらに、コーミングヘッドは、補助シリンダ20a,20bのすぐ下流、またはデタッチシリンダ20a’,20b’のすぐ下流に配置された主装置26を備えており、例えば回転する主可動面28を備え、この主可動面28に対して、特に前記主可動面28の衝突領域29に対して、補助シリンダ20a,20bから出てくるタフトが衝突するようになっている。
【0025】
補助装置300は、デタッチシリンダ20a’,20b’によって引きちぎられたタフトS’を前記主装置26に移送するのに適している。
【0026】
主面28には、特に衝突領域29に主速度Vaが与えられている。
【0027】
例えば、前記主装置26は、時計回りまたは反時計回りの方向に、連続的な回転運動(一定または可変だが一方向性の速度)を備えた主シリンダ30で構成されており、主装置26の前記主面28を構成する側面30’を有している。
【0028】
側部表面30’、すなわち主表面28は、空気に対して不透過性である。すなわち、当該表面には吸引孔や隙間が設けられていないか、あるいは通気性のある布地の場合のように設けられていても空気吸引手段に接続されていない。
【0029】
主シリンダ30は、通常、主デタッチシリンダ20a,20bの直径よりも大きな直径を有し、角速度Wmに相当する周速度Vmを有している。
【0030】
主シリンダ30の周速度Vmは、補助シリンダ20a,20bの周速度Vsよりも小さい。
【0031】
また、コーミングヘッドは、主装置26の主面28、または前記主シリンダ30の側面30’を離れたスライバウェブのタフトが移送される移送装置40を備え、前記タフトは、前記移送装置40の移送領域42に移送される。
【0032】
好ましくは、移送装置40は、主装置26の主面28に係合しており、例えば、前記移送装置40は、係合線Lに沿って前記主シリンダ30の側面30’に当接している。
【0033】
好ましくは、前記移送装置40は、前記係合線Lの周りが平坦である。
【0034】
好ましくは、さらに、前記移送装置40の前記移送領域42は、平坦である。
【0035】
下側補助シリンダ20bおよび主シリンダ30の回転軸を通過する中心P4の仮想下平面を定義したところで、中心P4の前記下平面は、下側補助シリンダ20bおよび主シリンダ30の側面と交差し、移送装置40に運ばれるために主面28から、すなわち側面30’から離脱するタフトが通過する下側通路32を画定する。
【0036】
同様に、上側補助シリンダ20aおよび主シリンダ30の回転軸を通る、中心P5の仮想上平面が定義され、前記中心P5の上平面は、上側補助シリンダ20aおよび主シリンダ30の側面と交差し、上側通路34を画定する。
【0037】
移送装置40に運ばれるために主面28から、すなわち側面30’から離脱するタフトを通過させる下側通路32は、上側通路34よりも狭い。
【0038】
換言すれば、主装置26の主面28、すなわち側面30’に対して、主面28から、すなわち側面30’から離脱して移送装置40に運ばれるタフトは、下側補助シリンダ20bと上側補助シリンダ20aによって形成された2つの通路のうち、狭い方の通路(出口通路と呼ぶ)を通過することになる。
【0039】
移載領域42は、前記係合線L上における主シリンダ30の主速度Vaまたは周速度Vmの方向を基準にして、前記係合線Lの例えば上流側の下側通路32に面して配置されている。
【0040】
好ましくは、さらに、前記移送装置40は、移動自在である、すなわち、移送領域42内で所定の支持速度Vsを備えている。
【0041】
例えば、コーミングヘッドは、好ましくは主シリンダ30の外側で閉じた経路に沿って移動する可動マット50を備えており、この可動マットは、少なくとも1つのセクションについて、前記移送装置40を構成する。
【0042】
移載領域42におけるマット50の速度は、前記支持速度Vsに対応し、係合線L上の主速度Vaまたは主シリンダ30の周速度の方向に一致する。
【0043】
例えば、係合線L上では、マット50は、主シリンダ30の主面28または側面30’に接している。
【0044】
好ましくは、マット50は、その閉じた経路をたどるために、少なくとも1つのデフレクタシリンダの周りに巻き付く。
【0045】
上述のコーミングヘッドの動作は、国際出願PCT/IB2019/051946に詳細に示されており、その教示は本明細書に明示的に援用されている。
【0046】
本発明によるコーミングヘッドは、グリッパの下流に位置するが、各コーミングヘッド2のデフレクタ手段6の上流に位置し、特にそのファンネル4の上流に位置するドラフト装置600も備えている。
【0047】
特に、ドラフト装置600は、主装置26の下流側、すなわち主シリンダ30の下流側に配置されており、移送装置40によって供給される。
【0048】
ドラフト装置600は、第1の対602のドラフトシリンダ602a,602bを備え、そのうち第1の下側ドラフトシリンダ602bは好ましくはモータ駆動され、一方、第1の上側ドラフトシリンダ602aは第1の下側ドラフトシリンダ602bに圧力をかけて係合し、それによって回転駆動される。
【0049】
また、ドラフト装置600は、第1の上側ドラフトシリンダ602aと係合する上側ドラフトベルト604aと、デフレクタ要素、例えばローラ606とを備えている。
【0050】
また、ドラフト装置600は、第1の下側ドラフトシリンダ602bと係合し、さらなるデフレクタ要素、例えばバッフル608を有する下側ドラフトベルト604bを備える。
【0051】
好ましい実施形態によれば、下側ドラフトベルト604bは、移送装置40のマット50と一致する。
【0052】
好ましくは、バッフル608は、T字型の断面と、好ましくはアーチ型の摺動面612を有する摺動部610とを有し、その上を下側ドラフトベルト604bが摺動する。
【0053】
好ましくは、さらに、ローラ606は、前記摺動面612に配置されている。
【0054】
下側ドラフトベルト604bと上側ドラフトベルト604aは、それぞれの経路の接触部614について互いに接触している。
【0055】
第1上側シリンダ602aと第1下側シリンダ602bの回転軸を通る仮想平面Cは、上流側のグリッピングラインP’上で2つのベルト604a,604bの接触部614と交差している。
【0056】
好ましくは、さらに、前記接触部614の下流では、下側ドラフトベルト604bがバッフル610によって偏向される前に、上側ドラフトベルト604aが下側ドラフトベルト604bから離隔する。言い換えれば、前記接触部614の下流では、下側ドラフトベルト604は、閉じられた経路の戻り区間に回り込む前に、摺動面612に支持されてさらに前方に進む。
【0057】
ドラフトシリンダ602a,602bの第1の対602を出たコームスライバは、所定の上流側速度V1で進む。
【0058】
ドラフト装置600は、第1の対602の下流に配置された第2の対620のドラフトシリンダ620a,620bも備える。
【0059】
第2の下側ドラフトシリンダ620bは、好ましくはモータ駆動され、一方、第2の上側ドラフトシリンダ620aは、第2の下側ドラフトシリンダ620bと圧接し、それによって回転駆動される。
【0060】
第2の上側ドラフトシリンダ620aおよび第2の下側ドラフトシリンダ620bの回転軸を含む仮想平面C’’は、前記第2の上側ドラフトシリンダ620aおよび第2の下側ドラフトシリンダ620bが接触している下流側グリップラインP’’を含む。
【0061】
第2の対620のドラフトシリンダ620a,620bは、下流速度と呼ばれる周速度V2が下流速度V1よりも大きいので、接触部614において第1の対602のドラフトシリンダ602a,602bの間と、第2の対620のドラフトシリンダ620a,620bの間で同時に係合したコームスライバがドラフトを受ける。
【0062】
好ましい実施形態によれば、ドラフトベルト604a,604bが接触部614に沿って互いに接触している負荷は調整可能である。
【0063】
例えば、上側ドラフトベルト604aが下側ドラフトベルト604bに及ぼす負荷は、デフレクタまたはローラ606上で動作する、負荷が調整可能なスプリングを使用することにより、または、それぞれが予め定義された負荷を有する複数の交換可能なスプリングを使用することにより、調整可能である。
【0064】
有利には、上流側のグリッパラインP’の下流側で、複数の重ねられたタフトによって形成されたコームスライバは、上側ベルト604aと下側ベルト604bとの間で押し付けられた状態で保持されるという制御されたドラフト処理を受ける。
【0065】
前記ベルト604a,604bは、したがって、上流側グリッパラインP’と下流側グリッパラインP’’との間で重ね合わせたタフトのスライバを押圧するのに適した、より一般的な押圧手段の一例を具体化している。
【0066】
さらなる実施形態によれば、前記押圧手段は、重ね合わせたタフトのスライバが走行する下部ガイドと、スライバをガイドに押圧する上部ベルトとを備える。
【0067】
好ましい実施形態によれば、コーミングマシンのコーミングヘッドは、それぞれの円形コーム用の1つの円形コームシャフト、デタッチシリンダ用の1つの上側デタッチシャフトおよび1つの下側デタッチシャフト、および補助シリンダ用の同様のシャフトによって移動される。
【0068】
さらなる実施形態によれば、コームは、主面28の速度、または主シリンダ30の回転速度を調整するのに適した電子調整手段を備えている。有利には、前記速度調整手段によって、タフト間の重なりの程度を調整することが可能である。
【0069】
以上の説明では、明確にするために、一方向性の回転運動を有するデタッチシリンダを備えたコーミングヘッドを参照してきたが、本発明の変形例によれば、ドラフト装置は、交互回転運動を有するデタッチシリンダを備えた従来のコーミングマシンの内容でも使用することが可能である。
【0070】
上述した実施形態は、排他的なものとみなされるべきではなく、逆に、ある実施形態について説明した特徴は、一緒にまたは別々に、他の実施形態について説明した1つ以上の特徴と組み合わせることができる。
【0071】
革新的なことに、本発明によるコーミングヘッドでは、主シリンダの下流で制御されたドラフトを受けたスライバがあるため、高品質のコームスライバが生成される。
【0072】
明らかに、当業者は、偶発的なニーズを満たすために、上述のコーミングヘッドに変更を加えることができるが、これらはすべて、以下の請求項によって定義される保護の範囲に含まれる。