(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240122BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20240122BHJP
G03G 21/12 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
G03G21/16 109
G03G21/16 190
G03G21/18 139
G03G21/12
(21)【出願番号】P 2022099337
(22)【出願日】2022-06-21
(62)【分割の表示】P 2018022021の分割
【原出願日】2018-02-09
【審査請求日】2022-07-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】川島 知道
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-063391(JP,A)
【文献】特開2016-057543(JP,A)
【文献】特開2006-184552(JP,A)
【文献】特開2011-248136(JP,A)
【文献】特開2008-165105(JP,A)
【文献】特開2013-195873(JP,A)
【文献】特開2010-008472(JP,A)
【文献】特開2011-191623(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0108365(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/18
G03G 21/12
G03G 21/00
G03G 21/10
G03G 15/00-15/01
G03G 15/08
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であり、画像情報に応じたトナー像を感光体上に形成するためのカートリッジと、
前記感光体から転写された前記トナー像を担持する中間転写体と、
前記中間転写体上の前記トナー像を記録材に転写する転写部と、
前記転写部によって記録材に転写されず、前記中間転写体上に残留したトナーを回収するクリーニング部と、
前記クリーニング部と別体であって、前記クリーニング部から搬送されたトナーを回収するトナー回収容器と、
前記カートリッジ及び前記トナー回収容器を露出する開位置と前記カートリッジ及び前記トナー回収容器を覆う閉位置とを移動可能なカバーと、
前記転写部によって転写された記録材を積載する積載部と、
を備え、
前記積載部と前記トナー回収容器は、前記中間転写体の鉛直方向における上方に配置され、
前記トナー回収容器は、
前記積載部の内側の面と前記中間転写体で形成される空間に配置され、
前記カバーが前記開位置にある状態において、前記カートリッジ及び前記トナー回収容器は互いに独立してそれぞれ画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であり、前記カートリッジの着脱方向と前記トナー回収容器の着脱方向は同一であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カートリッジが前記装置本体に取り付けられている状態において、前記トナー回収容器は前記装置本体に対して着脱可能であり、前記トナー回収容器が前記装置本体に取り付けられている状態において、前記カートリッジは前記装置本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記積載部は、水平面に対して傾斜した傾斜面を有し、
前記トナー回収容器の前記鉛直方向における上面は、水平面に沿って延びた第1の上面と、前記第1の上面から前記鉛直方向における下方に向かって傾斜し、前記積載部の傾斜面に沿って延びた第2の上面と、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー回収容器の前記第1の上面にはトナーの回収口が設けられ、
前記クリーニング部は、前記中間転写体から回収したトナーを前記回収口に向けて搬送するトナー搬送部を有することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回収口は、前記トナー回収容器を前記装置本体から取り外す方向における上流側の前記第1の上面に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記感光体の長手方向における前記トナー回収容器の長さは、前記感光体の長手方向における前記中間転写体の長さより長いことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記感光体の長手方向における前記トナー回収容器の長さは、前記感光体の長手方向における前記中間転写体の長さに対して90%から110%の長さに対応していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
略水平方向に並んで配置された複数のカートリッジを有し、
前記複数のカートリッジの前記鉛直方向における上方に、前記中間転写体が配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記トナー回収容器は、前記鉛直方向において見た場合に、前記中間転写体と重なる部分の割合が前記トナー回収容器全体を100%とした場合に、少なくとも50%から90%になるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタなどの電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、転写工において画像形成に使用されずに回収されたトナーを収容するトナー回収容器を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、電子写真方式により紙や布などの記録材に画像を形成するものであり、電子写真式複写機、電子写真式プリンタなどがある。
【0003】
このような画像形成装置のうち、感光ドラム、及び、感光ドラムに作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化し、画像形成装置の装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式がある。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらず操作者自身で行うことができるので、操作性を向上させることができる。そのため、プロセスカートリッジ方式は、電子写真方式の画像形成装置において広く用いられている。
【0004】
また、電子写真方式における複数色(カラー)の画像形成装置も広く用いられている。この場合、各色に応じた複数の感光ドラムを一列に配列し、各感光ドラム上に形成された各色のトナー像を中間転写体に順次重ね合わせてカラー画像を形成するインライン型のカラー画像形成装置が実用化されている。
【0005】
ここで、中間転写体から用紙などの記録材に二次転写されず残留した転写残トナーは、クリーニング手段によって中間転写体から回収される。クリーニング手段としては、清掃部材であるクリーニングブレードを中間転写体に圧接し、中間転写体上の転写残トナーを掻き取る構成が知られている。掻き取られた転写残トナーは、画像形成装置内部に設けてあるトナー回収容器に回収される(特許文献1から4)。
【0006】
トナー回収容器は、回収した転写残トナーで満杯になると、プロセスカートリッジと同様に新しいトナー回収容器と交換される。
【0007】
昨今、オフィスにて使用される画像形成装置は、小型化、及び、省スペース化が求められており、プロセスユニットやトナー回収容器の交換作業において、操作者が画像形成装置の一方向からのみで対応できる構成が主流となっている(特許文献1)。
【0008】
また、トナー回収容器は、満杯となった時点で交換する必要がある。そのため、トナー回収容器の交換頻度を低減することを考慮すると、ある程度大きな容積を持ったトナー回収容器が必要となる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2014-25994号公報
【文献】特開2016-57543号公報
【文献】特開2011-248167号公報
【文献】特開2017-15896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1は、画像形成装置の一方の側面に着脱可能に装着されたトナーカートリッジと、トナーカートリッジの下方に位置する回収容器とが開示されている。また、一方の側面に開閉可能に設けられ、開状態において、トナーカートリッジとトナー回収容器との着脱を可能にする側面開閉扉とを備えている。このような構成の場合、側面開閉扉を開状態にすることで、トナーカートリッジやトナー回収容器の交換作業を行うことが可能となる。一方、構成上、トナー回収容器の内側には、中間転写ベルトを含むプロセスユニットが配置されているため、トナー回収容器の配置スペースには制約がある。そのため、トナー回収容器の容積を大きくすることを考えた場合、外側へ容器を拡大する必要があり、画像形成装置の幅方向の大きさに影響を及ぼすこととなる。また、中間転写ベルトを含むプロセスユニットを交換する作業の際には、トナーカートリッジやトナー回収容器を取り外すことが必要となるため、交換作業が煩雑となる(
図7)。
【0011】
特許文献2は、画像形成装置のトナー回収容器として、装置本体に固定された固定用トナー回収容器と、装置本体に着脱可能な交換トナー回収容器と、を備えた構成が提案されている。特許文献2では、大容量のトナー回収容器を画像形成装置内の限られたスペースに配置するため、トナー回収容器は一列に配列したプロセスカートリッジに並んで、開閉カバーとプロセスカートリッジとの間に配置されている。そのため、トナー回収容器を大きくすると画像形成装置の幅方向の大きさに影響を及ぼすことになる(
図8)。
【0012】
このように、特許文献1や2では、中間転写体の上方のスペースを有効活用できていなかった。
【0013】
そこで、中間転写体の上方のスペースを活用することによりトナー回収容器の容量を確保し、画像形成装置の大型化を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、本発明は、
画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であり、画像情報に応じたトナー像を感光体上に形成するためのカートリッジと、前記感光体から転写された前記トナー像を担持する中間転写体と、前記中間転写体上の前記トナー像を記録材に転写する転写部と、
前記転写部によって記録材に転写されず、前記中間転写体上に残留したトナーを回収するクリーニング部と、前記クリーニング部と別体であって、前記クリーニング部から搬送されたトナーを回収するトナー回収容器と、前記カートリッジ及び前記トナー回収容器を露出する開位置と前記カートリッジ及び前記トナー回収容器を覆う閉位置とを移動可能なカバーと、前記転写部によって転写された記録材を積載する積載部と、を備え、前記積載部と前記トナー回収容器は、前記中間転写体の鉛直方向における上方に配置され、前記トナー回収容器は、前記積載部の内側の面と前記中間転写体で形成される空間に配置され、前記カバーが前記開位置にある状態において、前記カートリッジ及び前記トナー回収容器は互いに独立してそれぞれ画像形成装置の装置本体に対して着脱可能であり、前記カートリッジの着脱方向と前記トナー回収容器の着脱方向は同一であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、中間転写体の上方のスペースを活用することによりトナー回収容器の容量を確保し、画像形成装置の大型化を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例に係る画像形成装置を説明する要部断面図である。
【
図2】実施例に係るクリーニング装置を説明する要部斜視図である。
【
図3】実施例に係るトナー回収装置を説明する要部断面図である。
【
図4】実施例に係るトナー回収容器を説明する要部平面図である。
【
図5】実施例に係る画像形成装置を説明する要部斜視図である。
【
図6】実施例に係る画像形成装置を説明する要部断面図である。
【
図7】従来の画像形成装置を説明する説明図である。
【
図8】従来の画像形成装置を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0019】
本実施例では、電子写真方式で4連ドラム方式のカラー画像形成装置を用いて説明する。ここで、画像形成装置は、外部から入力された画像情報に基づいてトナー像を形成し、紙などの記録材にカラー画像としてのトナー像を転写定着する装置である。例えば、複写機、レーザビームプリンタ、ファクシミリ装置などが含まれるが、本実施形態では、カラーレーザビームプリンタを例に説明する。
【0020】
また、プロセスカートリッジは、プロセス手段として少なくとも現像手段と電子写真の感光体である感光ドラムとを一体的にカートリッジ化して画像形成装置の装置本体に着脱可能であるものを言う。ここで、装置本体とは、画像形成装置の構成から少なくともプロセスカートリッジを除いた装置構成部分のことである。
【0021】
なお、以下の説明では、画像形成装置に向かって右側を画像形成装置の右面、向かって左側を画像形成装置の左面と称する。
【0022】
[画像形成装置]
図1は、本実施形態における画像形成装置を正面側から見た場合の画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【0023】
図1は、4つのプロセスカートリッジ7a、7b、7c、7dが直線上に並んだタンデム方式(又はインライン方式)のカラー画像形成装置である。画像形成部であるプロセスカートリッジの上方に、中間転写体である中間転写ベルトが配置され、さらにその上方にトナーを回収するトナー回収容器が配置されている。また、画像形成部であるプロセスカートリッジの上方に、中間転写ベルトをクリーニングするクリーニング部が配置され、クリーニング部の上方にトナー回収容器が配置されている。
図1において、右側が右面で左側が左面となっている。
【0024】
(1)トナー像の形成プロセス
トナー像の形成は、感光体である感光ドラム1、帯電手段2、露光手段3、現像手段である現像ユニット4により行なわれる。画像形成装置100は、4個の感光ドラム1a、1b、1c、1dを備えている。それぞれの感光ドラム1の周囲には、その回転方向に従って、順に、感光ドラム1表面を均一に帯電する帯電手段2(2a、2b、2c、2d)、画像情報に基づいてレーザを照射し感光ドラム1上(感光体上)に静電潜像を形成する露光手段3が配設してある。また、静電潜像にトナーを付着させトナー像として顕像化する現像ユニット4(4a、4b、4c、4d)、感光ドラム1上(感光体上)のトナー像を中間転写ベルト12eに転写する転写手段12a、12b、12c、12dがある。更に、転写後の感光ドラム1表面に残った転写残トナーを除去するクリーニング手段8(8a、8b、8c、8d)が配設してある。
【0025】
感光ドラム1、帯電手段2、現像ユニット4、及びクリーニング手段8は、各々一体的にカートリッジ化して、プロセスカートリッジ7(7a、7b、7c、7d)としている。プロセスカートリッジ7は、それぞれ画像形成装置100の装置本体に対して着脱可能に設けてあり、本実施例においては、画像形成装置100の正面側に着脱することができる構成となっている。これら4個のプロセスカートリッジ7a、7b、7c、7dは同一構造であるが、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)のトナーにより異なる色の画像を形成する点で相違している。もちろん、ブラック(Bk)の使用量が多い場合を想定し、ブラック(Bk)のプロセスカートリッジを他の色のカートリッジよりも大きくした構成でもよい。
【0026】
プロセスカートリッジ7a、7b、7c、7dは、主に、現像ユニット4a、4b、4c、4dとクリーニングユニット5a、5b、5c、5dによって構成されている。このうち前者の現像ユニット4a、4b、4c、4dは、現像ローラ24a、24b、24c、24d、及びトナー容器を有している。後者のクリーニングユニット5a、5b、5c、5dは、感光ドラム1a、1b、1c、1d、帯電手段2a、2b、2c、2d、クリーニング手段8a、8b、8c、8d、及び転写残トナー容器を有している。
【0027】
感光ドラム1a、1b、1c、1dは、アルミニウム製シリンダの外周面に、有機光導伝体層(OPC)を塗布して構成したものであり、その両端部をフランジによって回転可能に支持されている。感光ドラム1a、1b、1c、1dの一方の端部に駆動モータから駆動力を伝達することにより、
図1の矢印に示す時計回り方向に回転駆動する。
【0028】
帯電手段2a、2b、2c、2dは、ローラ状に形成された導電性ローラで、このローラを感光ドラム1a、1b、1c、1d表面に当接させると共に、電源によって帯電電圧を印加して感光ドラム1a、1b、1c、1d表面を一様に帯電させる。
【0029】
露光手段3は、プロセスカートリッジ7(7a、7b、7c、7d)の鉛直下方に配置してあり、画像信号に基づく露光を感光ドラム1a、1b、1c、1dに対して行なう。
【0030】
現像ユニットのトナー容器には、それぞれイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色のトナーが収納してある。
【0031】
現像ローラ24a、24b、24c、24dは、感光ドラム1a、1b、1c、1d表面に隣接して配置してあり、駆動部により回転駆動されると共に、電圧を印加することにより、感光ドラム1a、1b、1c、1d表面の潜像を現像する。
【0032】
以上の構成により、感光体である感光ドラム1a、1b、1c、1d表面に、Y、M、C、Bkのトナー像が形成される。感光体である感光ドラム1a、1b、1c、1d表面に形成されたトナー像は、順次、中間転写体である中間転写ベルト12e表面へ一次転写される。その後、感光ドラム1a、1b、1c、1d表面に残ったトナーは、クリーニング手段8a、8b、8c、8dによって除去され、クリーニングユニット5a、5b、5c、5d内の転写残トナー容器に回収される。
【0033】
(2)シート材への転写、定着プロセス
シート材Sへのトナー像の転写は、給紙装置13によってシート材Sが二次転写部15に搬送され、二次転写部15にて行なわれる。中間転写ユニット12は、一次転写プロセスにより形成されたトナー像を担持し、トナー像を二次転写部15まで搬送する。定着装置14は、二次転写部15のシート材S搬送方向で下流側に位置し、シート材S上に転写されたトナー像を定着する。
【0034】
まず、給紙装置13、中間転写ユニット12、定着装置14の構成について説明する。
【0035】
給紙装置13は、主にシート材Sを収納する給紙カセット11、給紙ローラ9、分離手段23、シート材Sを挟持搬送するレジストローラ対17から構成されている。給紙カセット11は、画像形成装置100から引き抜くことができる。ユーザは、給紙カセット11を画像形成装置100から引き出した後、給紙カセット11にシート材Sをセットし、画像形成装置100へ装着することで、シート材Sの補給を行なうことができる。
【0036】
中間転写ユニット12は、中間転写ベルト(中間転写体)12e、駆動ローラ12f、従動ローラ12g、一次転写手段である一次転写ローラ12a、12b、12c、12d、クリーニング部であるクリーニング装置22から構成されている。中間転写ベルト12eは、無端円筒状のベルトで、駆動ローラ12f、従動ローラ12gに張架されている。従動ローラ12gは、
図1の矢印に示すE方向に付勢手段により付勢され、中間転写ベルト12eに所定の張力を付与している。駆動ローラ12fが、モータなどにより回転駆動することで、中間転写ベルト12eは、
図1の矢印に示すF方向に所定の速度で回転する。各一次転写ローラ12a、12b、12c、12dは、各感光ドラム1a、1b、1c、1dに対向して中間転写ベルト12eの内側に配設されている。このため、一次転写ローラ12a、12b、12c、12dに電圧を印加することによって、各感光ドラム1a、1b、1c、1d表面に形成されたトナー像が、中間転写ベルト12e上に一次転写される。
【0037】
定着装置14は、主に定着フィルム14a、加圧ローラ14b、加熱体14c、排紙ローラ対20から構成されている。定着フィルム14aは、無端円筒状のベルトであり、定着フィルム14aの外周面が、シート材S上のトナー画像面側に配してある。加熱体14cは、定着フィルム14aの内側に配置されており、加圧ローラ14bが、定着フィルム14aを介して圧接している。加圧ローラ14bが、駆動手段により回転駆動し、それに伴って定着フィルム14aが回転し、加熱体14cにより定着フィルム14aは加熱される。
【0038】
シート材Sの搬送方向において、定着フィルム14aの下流側には、排紙ローラ対20、排紙トレイ21が配置されている。排紙トレイ21は、水平方向に対して傾斜している傾斜面21aを有している。傾斜面21aは、排紙ローラ対20側が下がる方向に傾斜している。
【0039】
次に、給紙装置13、中間転写ユニット12、定着装置14の動作について説明する。
【0040】
給紙ローラ9は、給紙カセット11に収納されたシート材Sと圧接しており、所定の制御タイミングで回転することからシート材Sを送り出し、シート材Sが分離手段23により一枚ずつに分離され給紙される。その後、シート材Sは、レジストローラ対17によって二次転写部15へと搬送される。また、4色のトナー像が中間転写ベルト12e上に重ねて転写、担持され、二次転写部15まで搬送される。二次転写部15では、二次転写手段16にバイアスが印加され、中間転写ベルト12e上のトナー像が搬送されてきたシート材S上に転写される。二次転写後に、中間転写ベルト12e上に残ったトナーは、クリーニング部であるクリーニング装置22によって除去され、画像形成装置100内に配設されたトナー回収容器26へ搬送される。二次転写部15から搬送されたシート材Sが、定着フィルム14aと加圧ローラ14bに挟持搬送され、トナー画像はシート材S上に加熱定着する。トナー画像が定着したシート材Sは、その後、排紙ローラ対20により挟持搬送され、排紙トレイ21に排出される。排紙トレイ21は、複数枚のシート材Sを積載する積載部である。そのため、複数枚のシート材Sが排紙トレイ21上に積載された状態で、後続のシート材Sが排出されても、シートの整列性を保つために積載部である排紙トレイ21に傾斜面21aを設けている。これによって、積載されたシート材Sは傾斜しているため、排出されたシート材Sが積載されているシート材Sを押し出すことなく、整列性を保った状態で積載部である排紙トレイ21上に積載される。
【0041】
[クリーニング装置]
図2は、本実施例におけるクリーニング装置22の一例を示すものである。
【0042】
以下、クリーニング部であるクリーニング装置22の構成について説明する。
【0043】
クリーニング部であるクリーニング装置22は、クリーニングブレード30と、クリーニングブレードから掻き取られたトナーを収容するトナー収容部と、トナー収容部のトナーを搬送するトナー搬送手段32を有する。また、クリーニング装置22は、トナー収容部に収容されたトナーをトナー回収容器へ搬送するためのトナー搬送部であるトナー搬送路31を有する。トナー搬送部であるトナー搬送路31の先には、トナー回収容器に搬送されてきたトナーを排出するための排出口を有する。クリーニングブレード30は、従動ローラ部12gに張架した中間転写ベルト12eに対向するように配置され、クリーニングブレード30の先端部が中間転写ベルト12eに所定の圧で当接している。トナー搬送部であるトナー搬送路31内には、螺旋形状を有するトナー搬送手段33が設けてある。トナー搬送手段33は、モータ(不図示)などの駆動手段と連結されており、回転駆動することで、搬送方向下流側となる
図2中矢印方向へトナーを搬送する。
【0044】
次に、クリーニング装置22の動作について説明する。
【0045】
二次転写後に、中間転写ベルト12e上に残った転写残トナーは、クリーニングブレード30により掻き取られる。掻き取られたトナーは、トナー収容部に一時的に収容される。その後、トナー搬送手段32によりトナー収容部内のトナーがトナー搬送路31に搬送される。トナー搬送路31内のトナーは、トナー搬送路31内のトナー搬送手段33によって
図2中矢印方向へ搬送され、排出口からトナー回収容器の回収口を通じてトナー回収容器26に回収される。
【0046】
[トナー回収装置]
図3は、本実施例におけるトナー回収装置25の一例を示すものである。
【0047】
以下、トナー回収装置25の構成について説明する。
【0048】
トナー回収装置25は、トナー回収容器26と、トナー回収容器にトナーが入る回収口(開口)26a、から構成されている。トナー回収容器26は、画像形成装置100内で中間転写ベルト12eの上方に配置されている。同様に、トナー回収容器26は、クリーニング装置22のクリーニンブレードやトナー収容部の上方に配置されている。このため、トナー回収容器は、画像形成装置100の装置本体に対して、正面側に着脱可能に設けてある。トナー回収容器26の上面には、回収口である開口26aが設けてあり、画像形成装置100にトナー回収容器26が装着された状態において、開口26aは、クリーニング装置のトナー搬送路31の下流側に配設してある排出口34と対向する。回収口である開口26aは、排出口と係合することにより、排出口からのトナーを回収口に漏れなく搬送することができる。排出口34や開口26aは、画像形成装置100内で正面側から遠い位置、即ち奥側に設けてある。別の言い方をすると、排出口34や開口26aは、トナー回収容器を着脱するためにトナー回収容器を露出させるための開閉カバーから離れた位置に設けられている。トナー回収容器26は、開口26aからトナーを回収する容器であり、画像形成装置100の装置本体から脱離する際に開口26aをシャッタ部材が、開口を塞ぐことにより、本体から取り外した際にトナーがもれない構成となっている。
【0049】
トナー回収容器26の上面で、開口26aの反対側は傾斜面26b(第2傾斜面)となっている。傾斜面26b(第2傾斜面)は、
図1に示すように、排紙トレイ21の傾斜面21a(第1傾斜面)と隣接するように設けてある。そのため、重力方向において、第2傾斜面である傾斜面26bは、トナー回収容器の回収口である開口26aの位置から下方に傾斜している。このトナー回収容器26の第2傾斜面である傾斜面26bは、積載部である排紙トレイの第1傾斜面である傾斜面21aと対向するように設けている。これにより、中間転写ベルトの上方の空間を有効活用できる。
【0050】
次に、トナー回収装置25の動作について説明する。
【0051】
トナー搬送路31内を搬送されたトナーは、排出口34よりトナー回収容器26へ排出される。排出されたトナーは、トナー回収容器26内に堆積する。堆積したトナーは、開口26aの直下を頂点とした山のような状態で堆積して行く。
【0052】
ここで、トナー回収容器26の上面側の一端に、傾斜面21aと隣接する傾斜面26bを設けることにより、画像形成装置100内の空間を有効に活用することが可能となり、トナー回収容器26の容積を大きくすることができる。トナー回収容器26に堆積するトナーは、山のような状態となるため、トナー回収容器26内の傾斜面26bの領域にもトナーは堆積する。
【0053】
また、
図1に示すように、プロセスカートリッジ7と中間転写ベルト12eとを略水平に配列された画像形成装置100においては、排紙トレイ21の下側に、断面図において、略三角形の空間が形成される。このため、この空間を活用することにより画像形成装置100の高さ方向の大きさに影響を及ぼすことなく、トナー回収容器26を配設することが可能となる。
【0054】
図1に示すように、画像形成装置100内で、画像形成部などの主要部とトナー回収容器26を断面図において重なり合わない配置とすることが可能である。このため、前後方向に大きくしても画像形成装置100の大きさに影響を及ぼすことなく、トナー回収容器26を大きくすることができる。違う表現をすると、トナー回収容器26を着脱する着脱方向に見た場合に、トナー回収容器と画像形成部とが重なり合わない、同様に、トナー回収容器と中間転写体とも重なり合わないし、中間転写体と画像形成部とも重なり合わない。
【0055】
図4は、トナー回収容器の一例を示すものである。本実施例においては、トナー回収容器26を、中間転写ベルト12eの前後方向の大きさと同等の大きさまでトナー回収容器26を設けることで、トナー回収容器26の容積を確保している。違う表現をすると、感光体である感光ドラムの長手方向におけるトナー回収容器の長さは、感光体の長手方向における中間転写体である中間転写ベルトの長さより長い。また、感光体である感光ドラムの長手方向において、トナー回収容器の長さは、中間転写ベルトの長さに対して90%から110%程度の長さに対応していることが好ましい。中間転写ベルト上の空間を有効利用できるからである。
【0056】
また、トナー回収容器は、前記重力方向に見た場合に、前記中間転写体と重なる部分の割合が前記トナー回収容器全体を100%とした場合に、少なくとも50%から90%になるように配置されていることが好ましい。
【0057】
[開閉カバーについて]
図5は、本実施例における開閉カバー10の一例を示すものである。
【0058】
開閉カバー10は、画像形成装置100の正面側に開閉可能に設けてある。開閉カバー10が開状態において、ユーザはプロセスカートリッジ7やトナー回収容器26にアクセスすることが可能となる。つまり、本実施例において開閉カバー10は、開いた状態(開位置)で、プロセスカートリッジ7やトナー回収容器26を露出する状態にし、閉じた状態(閉位置)で、プロセスカートリッジ7やトナー回収容器26を覆う状態にしている。つまり、開閉カバー10は、画像形成装置の装置本体に取り付けられ、トナー回収容器を露出する開位置と、トナー回収容器を覆う閉位置との間を移動可能に構成されている。
【0059】
[プロセスカートリッジとトナー回収容器の交換操作について]
本実施例では、開閉カバー10を開放することで、プロセスカートリッジ7やトナー回収容器26の双方が着脱可能となるため、消耗品を交換する際の専有面積を必要以上に確保する必要がなく、省スペース化に繋がる。つまり、別々の開閉カバー10を設けなくても1つの開閉カバー10で対応が可能である。
【0060】
また、プロセスカートリッジ7とトナー回収容器26とは、
図1に示すように、投影図において重なり合わない配置となっているため、各々が影響を及ぼし合うことなく、ユーザが個々に着脱することができるため、操作が煩雑になることはない(
図5参照)。違う表現をすると、トナー回収容器26を着脱する着脱方向に見た場合に、プロセスカートリッジ7とトナー回収容器26とが重なり合わない。
【0061】
ここで、ユーザがトナー回収容器26を着脱する際、トナー回収容器26を持つ必要が生じるが、トナーを回収する開口26aは、着脱方向の奥側に設けてある。このため、ユーザがトナー回収容器26を着脱する作業中に、開口26aに直接触れることなく交換作業を完了することができる(
図5参照)。
【0062】
また、開口26aがトナー回収容器26の上面側に設けてあるため、トナー回収容器26の着脱作業で、トナー回収容器26からトナーがこぼれ、画像形成装置100内部や周囲をトナーで汚してしまうことを防止する構成となる。
【0063】
以上、説明したように、画像形成装置100に対して着脱可能に設けられたトナー回収容器26を、画像形成装置100内で、プロセスカートリッジ7と中間転写ベルト12の上方に配置している。このため、交換作業において、それぞれの交換対象ユニットの着脱軌跡が干渉することなく、同一方向(本実施例においては画像形成装置の正面側)からの交換作業が可能となる。即ち、正面側の開閉カバー10を開放することで、トナー回収容器26とプロセスカートリッジ7の両方の交換作業を行うことができる。
【0064】
また、画像形成装置100の幅方向(
図1の左右方向)や奥行方向(
図1の感光体の長手方向)への大きさに直接影響を及ぼすことなく、トナー回収容器26の大容量化を図ることが可能となる。
【0065】
従って、装置を大型化することなくユーザビリティを確保することができ、トナー回収容器の交換操作性と画像形成装置の小型化を両立することが可能となる。
【0066】
[その他]
これまでのトナー回収容器は、中間転写ベルトで転写されずに残ったトナーを回収していた。しかし、この構成に限定されるものではない。例えば、
図6に示すように、感光ドラムに転写されずに残ったトナーをクリーニング容器で一時的に回収し、回収されたトナーをトナー搬送手段でトナー搬送路に送り、トナー搬送路を経由してトナー回収容器で回収する構成でもよい。この場合、中間転写ベルトで転写されずに残ったトナーと感光ドラムで転写されずに残ったトナーとの両方をトナー回収容器で回収可能である。
図1に示すプロセスカートリッジのように一定の大きさのクリーニング容器を保有することが必要なくなるため、装置の小型化に寄与できる。また、プロセスカートリッジがクリーニング容器の廃トナーの量で交換する必要が生じていた場合は、トナー回収容器で一括回収できるため、プロセスカートリッジの交換頻度を下げることが可能になる。
【符号の説明】
【0067】
1 感光ドラム
7 プロセスカートリッジ
10 開閉カバー
12 中間転写ユニット
12e 中間転写ベルト
21 排紙トレイ
21a 傾斜面
22 クリーニング装置
26 トナー回収容器
26a 開口
26b 傾斜面
34 排出口
S シート材
100 画像形成装置