(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】電気接続アセンブリ用のハウジングキャップおよびハウジングならびに電気接続アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/641 20060101AFI20240122BHJP
F16B 19/00 20060101ALI20240122BHJP
F16B 21/06 20060101ALI20240122BHJP
H02G 15/08 20060101ALI20240122BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20240122BHJP
H01R 4/38 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H01R13/641
F16B19/00 F
F16B21/06 A
H02G15/08
H02G1/14
H01R4/38 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022110118
(22)【出願日】2022-07-08
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】10 2021 118 094.5
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ シュヴァン
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-207484(JP,A)
【文献】特開2015-162278(JP,A)
【文献】特開昭61-032971(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00822614(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0155280(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
H01R 4/28
H01R 4/38
F16B 19/00
F16B 21/06
H02G 15/08
H02G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ(8)のねじ頭(74)を受け入れるための、電気接続アセンブリ(4)のハウジング部(54)の少なくとも1つの開口部(16)を閉じるハウジングキャップ(1)であって、
- 前記少なくとも1つの開口部(16)を覆うカバー部(18)と、
- 前記カバー部(18)から離れる方に突出する、前記ねじ頭(74)用の少なくとも1つの止め部(20)と、
- 前記ハウジングキャップ(1)を前記少なくとも1つの開口部(16)に固定するための少なくとも1つの固定要素(22)と、
を備える
とともに、
前記ハウジングキャップ(1)は、少なくとも1つのスペーサー(88)を備えており、
前記少なくとも1つのスペーサー(88)は前記カバー部(18)から突出して、前記ねじ頭(74)の少なくとも一部を受け入れるように構成されており、かつ、
前記少なくとも1つの止め部(20)は、前記カバー部(18)から離れる方を向く前記少なくとも1つのスペーサー(88)の縁部(92)によって形成されている、
ハウジングキャップ(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのスペーサー(88)は、湾曲した側面(102、104)を有する、
請求項1に記載のハウジングキャップ(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのスペーサー(88)は、前記スペーサー(88)の寸法安定性を向上させるための補強ゾーン(95)を含む、
請求項
1に記載のハウジングキャップ(1)。
【請求項4】
前記ハウジングキャップ(1)は、各々に1つの止め部(20)が配置されている少なくとも2つのスペーサー(88)を備える、
請求項
1に記載のハウジングキャップ(1)。
【請求項5】
前記少なくとも2つのスペーサー(88)は各々、凸側面(102)と凹側面(104)とを有し、前記凸側面(102)または前記凹側面(104)は互いに対向している、
請求項4に記載のハウジングキャップ(1)。
【請求項6】
電気接続アセンブリ(4)用のハウジング(2)であって、
- 少なくとも1つのハウジングキャップ(1)と、
- 少なくとも1つの開口部(16)を含むハウジング部(54)と、
- 少なくとも1つの電力レール(62)を受け入れるための電力レール受け(58)と、
- 前記電力レール受け(58)に開口する、ねじ(8)のねじ頭(74)を受け入れるための少なくとも1つのねじ頭受け(60)と、を備え、
前記少なくとも1つのハウジングキャップ(1)は、請求項1から5のいずれか一項に記載のハウジングキャップ(1)である、
ハウジング(2)。
【請求項7】
前記ハウジング(2)はハウジングインサート(136)を備え、
前記ハウジングインサート(136)は、前記少なくとも1つの開口部(16)に挿入され前記ハウジング部(54)に固定することができるよう構成され、前記少なくとも1つのねじ頭受け(60)を形成する、
請求項6に記載のハウジング(2)。
【請求項8】
アンカリング要素(143)が、前記ハウジングインサート(136)に配置され、前記ハウジングキャップ(1)の前記少なくとも1つの固定要素(22)と共に固定アセンブリ(145)を形成する、
請求項7に記載のハウジング(2)。
【請求項9】
前記アンカリング要素(143)は、前記少なくとも1つのねじ頭受け(60)内へ内方に突出するラッチカラー(144)として構成されている、
請求項8に記載のハウジング(2)。
【請求項10】
前記ハウジング(2)は、前記ハウジングキャップ(1)と前記ハウジング部(54)との間に工具先端を挿入するための少なくとも1つの係合点(162)を備える、
請求項6に記載のハウジング(2)。
【請求項11】
前記ハウジングキャップ(1)の前記カバー部(18)の外側輪郭(24)が、前記ハウジング部(54)の前記少なくとも1つの開口部(16)の内側輪郭(26)よりも大きいか、または前記内側輪郭(26)に等しい、
請求項6に記載のハウジング(2)。
【請求項12】
前記ハウジング(2)は少なくとも2つのねじ頭受け(60)を含み、前記ハウジングキャップ(1)は、ねじ頭受け(60)ごとに少なくとも1つの止め部(20)を含む、
請求項6に記載のハウジング(2)。
【請求項13】
- 請求項6に記載のハウジング(2)と、
- 前記ハウジング(2)の前記電力レール受け(58)に受け入れることができ、かつ通過孔(70)を有する少なくとも1つの電力レール(62)と、
- 前記通過孔(70)に挿入することができ、かつねじ山(72)とねじ頭(74)とを有する少なくとも1つのねじ(8)と、
- 前記少なくとも1つのねじ(8)の前記ねじ山(72)に相補的に構成されている相手側ねじ山(76)を有する少なくとも1つのコンタクト要素(64)と、
を備える、電気接続アセンブリ(4)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのねじ(8)は、所定のフランジ面厚さ(112)を持つフランジ(110)を含み、
前記少なくとも1つの開口部(16)の上縁部(168)と前記電力レール受け(58)の下面(164)との間の距離(170)が、前記少なくとも1つの電力レール(62)の材料厚さ(166)、前記フランジ面厚さ(112)、および前記カバー部(18)から前記少なくとも1つの止め部(20)までの長さ(86)の合計に相当する、
請求項13に記載の電気接続アセンブリ(4)。
【請求項15】
前記電気接続アセンブリ(4)は、少なくとも2つのねじ(8)を含み、前記ハウジングキャップ(1)は、ねじ(8)ごとに少なくとも1つの止め部(20)を含む、
請求項13に記載の電気接続アセンブリ(4)。
【請求項16】
ねじ(8)のねじ頭(74)を受け入れるための、電気接続アセンブリ(4)のハウジング部(54)の少なくとも1つの開口部(16)を閉じるハウジングキャップ(1)であって、
- 前記少なくとも1つの開口部(16)を覆うカバー部(18)と、
- 前記カバー部(18)から離れる方に突出する、前記ねじ頭(74)用の少なくとも1つの止め部(20)と、
- 前記ハウジングキャップ(1)を前記少なくとも1つの開口部(16)に固定するための少なくとも1つの固定要素(22)と、
を備えるとともに、
前記ハウジングキャップ(1)は、各々に1つの止め部(20)が配置されている少なくとも2つのスペーサー(88)を備えており、
前記少なくとも2つのスペーサー(88)は、前記カバー部(18)から突出し、
前記少なくとも2つのスペーサー(88)は各々、凸側面(102)と凹側面(104)とを有し、前記凸側面(102)または前記凹側面(104)は互いに対向している、
ハウジングキャップ(1)。
【請求項17】
電気接続アセンブリ(4)用のハウジング(2)であって、
- 少なくとも1つのハウジングキャップ(1)と、
- 少なくとも1つの開口部(16)を含むハウジング部(54)と、
- 少なくとも1つの電力レール(62)を受け入れるための電力レール受け(58)と、
- 前記電力レール受け(58)に開口する、ねじ(8)のねじ頭(74)を受け入れるための少なくとも1つのねじ頭受け(60)と、
- 前記少なくとも1つの開口部(16)に挿入され前記ハウジング部(54)に固定することができるよう構成され、前記少なくとも1つのねじ頭受け(60)を形成するハウジングインサート(136)と、を備え、
前記少なくとも1つのハウジングキャップ(1)は、前記ねじ(8)の前記ねじ頭(74)を受け入れるための、前記電気接続アセンブリ(4)の前記ハウジング部(54)の前記少なくとも1つの開口部(16)を閉じるハウジングキャップ(1)であって、
- 前記少なくとも1つの開口部(16)を覆うカバー部(18)と、
- 前記カバー部(18)から離れる方に突出する、前記ねじ頭(74)用の少なくとも1つの止め部(20)と、
- 前記ハウジングキャップ(1)を前記少なくとも1つの開口部(16)に固定するための少なくとも1つの固定要素(22)と、
を備える、
ハウジング(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車分野およびエネルギー技術分野における高電圧用途のための、ねじ接続部を含む電気接続アセンブリ、例えば、限定されないが、電気コネクタの、ハウジング用のハウジングキャップに関する。加えて、本発明は、そのようなハウジングキャップを備える、電気接続アセンブリ用のハウジングに関する。さらに、本発明は、ねじ接続部とそのようなハウジングとを備える電気接続アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車およびエネルギー技術における多くの用途において、ねじ接続部が電気接続アセンブリに使用されている。これは、ねじ接続部を使用して比較的高い接触力を生み出すことができ、その結果、生じる接触抵抗を低く維持することができるからである。システムの大きさおよび複雑さが増加するにつれて、ねじ接続部の数が増加し、同時に、個々のねじ接続部のねじが、製造中またはメンテナンス中に、誤ってねじ込まれない、または少なくとも完全にはねじ込まれないという危険が高まる。工具または手によるねじごとの個々の検査には、追加の労力および時間がかかる。加えて、個々のねじ接続部は、その後も再び誤って見落とされるおそれがある。
【0003】
加えて、電気接続アセンブリは、多くの場合、電気の安全性の理由でハウジングによって囲まれていなければならず、そのために、ねじ接続部は、通常、ハウジング内に配置され、ハウジング開口部を介してのみアクセス可能であり、したがって、外側から限られた程度でしか見えない。加えて、ハウジング開口部は、水分(moisture)および/または埃から保護されるように閉じていることが多いため、ねじ込まれていない、または少なくとも完全にはねじ込まれていないねじは、いっそう検出されないままになりやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、最初に述べたタイプの電気接続アセンブリのねじ接続部を追加の労力なしで確認することができ、それにより、ねじ込まれていない、または少なくとも完全にはねじ込まれていないねじを確実に検出することができる可能性を生み出すという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、ねじのねじ頭を受け入れるための、電気接続アセンブリのハウジング部の少なくとも1つの開口部を閉じるハウジングキャップであって、少なくとも1つの開口部を覆うカバー部と、カバー部から離れる方に突出する、ねじ頭用の少なくとも1つの止め部と、ハウジングキャップを少なくとも1つの開口部に固定するための少なくとも1つの固定要素とを備えるハウジングキャップによって満たされる。
【0006】
少なくとも1つの止め部により、本発明は、ハウジングキャップが、少なくとも1つのねじが完全にねじ込まれていることの制御ゲージとして機能することができるという理由で有利である。特に、少なくとも1つの止め部は、ねじ頭に当接し、少なくとも1つのねじがねじ込まれていない、または少なくとも完全にはねじ込まれていない場合に、少なくとも1つの開口部がカバー部によって覆われることを妨げることができることが有利である。言い換えると、少なくとも1つの止め部の適切な設計は、少なくとも1つのねじが完全にねじ込まれたときに、止め部がねじ頭に正確に載ることを保証することができる。少なくとも1つの止め部がねじ頭に正確に載っているときのみ、少なくとも1つの開口部を再びカバー部によって覆うことができる。
【0007】
本発明によるハウジングキャップは、例えば、既に製造および設置されたハウジング部の後付け部品として、例えば、メンテナンスまたは修理作業の一部として有利に使用することができ、既存の従来のハウジングキャップに取って代わることができることが有利である。特に、本発明によるハウジングキャップを用いて、メンテナンスまたは修理作業後に少なくとも1つのねじが完全にねじ込まれていることを保証することができる。ハウジングキャップの取付けは、いずれにしてもメンテナンスまたは修理作業の一部であるため、これは追加の作業にはならない。
【0008】
さらに、取り付けられていない、または正しく取り付けられていないハウジングキャップは、ねじ込まれていない、または完全にはねじ込まれていないねじよりも外側から認識しやすいため、本発明により検出の信頼性も向上する。
【0009】
本発明は、それ自体が有利であり、かつ互いに任意に組み合わせることができる以下の実施形態によって、さらに改良することができる。
【0010】
1つの可能な構成によれば、ハウジングキャップは、特にカバー部から垂直に突出し、かつ少なくとも1つの止め部が配置される少なくとも1つのスペーサーを備えることができる。このようなスペーサーは、少なくとも1つの止め部を形成するために製造するのが容易な手段の代表である。
【0011】
少なくとも1つのスペーサーの寸法安定性を向上させるために、スペーサーは補強ゾーンを含むことができる。したがって、少なくとも1つのスペーサーは、比較的材料厚さが小さくても、よじれたり(kink)、ちぎれたりしないことが、特に実現され得る。
【0012】
補強ゾーンは、例えば、スペーサーに沿って延びるリブおよび/またはビードによって形成することができる。あるいはまたは加えて、少なくとも1つのスペーサーは、補強ゾーンを形成するための湾曲断面または傾斜断面を有することができる。断面は、カバー部に平行な平面において湾曲または傾斜していることが好ましい。少なくとも1つのスペーサーは、例えば、ねじ頭の少なくとも一部を受け入れる受入領域の周りに少なくとも部分的に延びるカラーとして構成される。
【0013】
さらなる可能な構成によれば、ハウジングキャップは、各々に止め部が配置されている少なくとも2つのスペーサーを備えることができる。少なくとも2つのスペーサーは、ここでは、互いに鏡面対称に配置することができる。特に、少なくとも2つのスペーサーは、ハウジングキャップの支持安定性を向上させる。両方のスペーサーは、それぞれの止め部により、1つの同じねじ頭に載ることができる。2つのねじを含む適用において、各スペーサーは、それぞれの止め部により、1つのねじ頭に載ることができる。
【0014】
少なくとも2つのスペーサーは各々、凸側面と凹側面とを有することができる。凸側面は、それぞれのスペーサーの膨らんだ、突出した、かつ/または隆起した側面であってよい。凹側面は、それぞれのスペーサーの窪んだ、かつ/または凹んだ側面であってよい。
【0015】
上記の受入領域を少なくとも2つのスペーサーで囲むために、凹側面は互いに対向することができる。したがって、スペーサーのそれぞれの止め部は、スペーサーがちぎれた場合に冗長性をもたらす。
【0016】
あるいは、凸側面を互いに関連付けることもできる。本実施形態の利点は、主に、2つのねじ、特に平行に延びる2つのねじを含む適用において発揮される。ねじ間に所定の距離があり、スペーサーがねじの軸方向においてそれぞれのねじ頭に位置合わせされているという条件で、スペーサーは、凸側面が互いに対向することにより、互いにできるだけ近くに配置されてよい。それに応じて、止め部も近くなるため、ねじ頭間の高さの差が小さくても、ハウジングキャップの可能な傾斜角度が最大になる。傾斜角度はまた、2つのねじのうちの少なくとも一方が完全にはねじ込まれていないことを示すため、ハウジングキャップのこの構成により、ねじが完全にはねじ込まれていないことを容易に検出することができる。
【0017】
3つ以上のスペーサー、特に偶数のスペーサーを含むハウジングキャップの場合、対の凸側面および/または凹側面が互いに対向することができる。例えばスペース上の理由で、凸側面が凹側面に対向してもよく、凹側面が凸側面に対向してもよい。
【0018】
ハウジングキャップは、場合により、ハウジングキャップとハウジング部との間の間隙を封止するための封止部を有することができる。封止部は、封止リップが内方および/または外方を向くシールによって形成されることが好ましい。シールは、例えば、別個の封止要素として構成され、カバー部の周溝に嵌まる。あるいは、シールは溝に注入されて、ハウジングキャップと共に2部品部材を形成することもできる。
【0019】
上記の目的は、電気接続アセンブリ用のハウジングであって、少なくとも1つのハウジングキャップと、少なくとも1つの開口部を含むハウジング部と、少なくとも1つの電力レールを受け入れるための電力レール受けと、電力レール受けに開口する、ねじのねじ頭を受け入れるための少なくとも1つのねじ頭受けとを備え、少なくとも1つのハウジングキャップは、上記の実施形態のうちの1つによるハウジングキャップである、ハウジングによって満たすこともできる。
【0020】
本発明によるハウジングは、前述したハウジングキャップの利点の恩恵を受ける。特に、ハウジングを電気接続アセンブリの一部として設置することができ、ハウジングキャップを使用して、少なくとも1つのねじが完全にねじ込まれることを保証することができる。ハウジングキャップは、ここでは、少なくとも1つの開口部上に取り付けることができるように構成される。ハウジングキャップが取り付けられると、少なくとも1つの止め部は、少なくとも1つの開口部内に突出し、ねじの軸方向において少なくとも1つのねじ頭受けに位置合わせされることが好ましい。
【0021】
さらなる可能な構成によれば、ハウジングはハウジングインサートを備えることができ、このハウジングインサートは、少なくとも1つの開口部に挿入してハウジング部に固定することができるよう構成され、少なくとも1つのねじ頭受けを形成する。以下でより詳細に説明するように、少なくとも1つのねじを、ハウジングインサートにより係留することができると有利である。
【0022】
アンカリング要素(anchoring element)が、場合により、ハウジングインサートに配置され、ハウジングキャップの少なくとも1つの固定要素と共に固定アセンブリを形成することができる。特に、アンカリング要素は、ハウジングキャップの少なくとも1つの固定要素に相補的に構成されている篏合部(mating part)であってよい。少なくとも1つの固定要素を、カバー部および/または少なくとも1つのスペーサーに配置することができる。したがって、ハウジングキャップを、簡単な方法で少なくとも1つの開口部に固定することができる。
【0023】
例えば、アンカリング要素は、少なくとも1つのねじ頭受け内へ内方に突出し、かつ場合により、周方向に形成されたラッチカラーとして構成される。ハウジングキャップの少なくとも1つの固定要素は、これに対応して、外方を向くラッチ突起を有し、このラッチ突起をラッチカラーにラッチ止めすることができる。
【0024】
ラッチカラーを含む実施形態は、二重機能を果たすため有利である。第1に、ハウジングキャップをラッチカラーにラッチ止めすることができる。第2に、簡単に前述したように、少なくとも1つのねじを、ラッチカラーにより少なくとも1つのねじ頭受けに係留することができる。このために、ラッチカラーの内径は、少なくとも1つのねじ頭受けに配置されたねじ頭の外径よりも小さいことが好ましく、ハウジングインサートは、少なくとも1つのねじの後にのみハウジング部に設置されることが好ましい。それにより、ラッチカラーは、ハウジングキャップを取り付ける前に、少なくとも1つのねじが誤って落ちるまたは外れることを防ぐことができる。
【0025】
ハウジングキャップの取付けを簡単にするために、ラッチカラーは、少なくとも1つの開口部の挿入斜面を形成することができる。加えてまたはあるいは、ラッチカラーは、ハウジングキャップの取外しを容易にする抜取斜面(draw-off bevel)を含むことができる。
【0026】
ハウジングは、場合により、ハウジングキャップとハウジング部との間に工具先端を挿入するための少なくとも1つの係合点を備えることができる。これにより、ハウジングキャップの取外しがさらに容易になる。
【0027】
ラッチカラーの代わりに、ハウジングインサートは、少なくとも1つの固定要素のラッチ突起をラッチ止めするラッチ溝を含むこともできる。あるいは、ラッチカラーおよび/またはラッチ溝をハウジング部の外側に配置してもよく、少なくとも1つの固定要素のラッチ突起が、これに対応して内方を向く。
【0028】
さらなる可能な構成によれば、ハウジングキャップのカバー部の外側輪郭が、ハウジング部の少なくとも1つの開口部の内側輪郭よりも大きくてよい。これにより、カバー部が少なくとも1つの開口部を完全に覆うことを保証する。
【0029】
あるいは、カバー部の外側輪郭が、少なくとも1つの開口部の内側輪郭と同じ大きさであってもよい。これにより、カバー部が少なくとも1つの開口部をちょうど覆うことだけでなく、少なくとも1つのねじが実際にハウジングに存在することも保証する。ねじが最初から忘れられていた場合、ハウジングキャップは少なくとも1つの開口部内に沈み、それにより、ねじがないことを確実に知らせる。
【0030】
上記の目的は、電気接続アセンブリであって、上記の構成のうちの1つによるハウジングと、ハウジングの電力レール受けに受け入れることができ、かつ通過孔を有する少なくとも1つの電力レールと、通過孔に挿入することができ、かつねじ山とねじ頭とを有する少なくとも1つのねじと、少なくとも1つのねじのねじ山に相補的に構成されている相手側ねじ山を有する少なくとも1つのコンタクト要素とを備える、電気接続アセンブリによって満たすこともできる。
【0031】
通過孔(passage hole)は、例えば、円形通過孔、長円形通過孔、または細長孔であってよい。相手側ねじ山を、例えば、タッピング、ねじ切り、ねじフライス切り、ねじ山プレス、ねじ山形成、または別のねじ山形成方法によって、少なくとも1つのコンタクト要素の材料に直接形成することができる。あるいは、少なくとも1つのコンタクト要素は、相手側ねじ山を有する別個の部品をさらに含むことができる。特に、別個の部品は、ナット、例えば、他側に装着されたインサートナット、または非導電性材料から形成されたタッチガードで外側被覆したナットであってよい。さらに、別個の部品は、例えば、圧入され、溶接され、コーキングされ、かつ/または何らかの他の方法で固定されたねじ付スリーブであってもよい。
【0032】
接続アセンブリは、前述した本発明の利点を利用し、ハウジングのハウジングキャップにより、少なくとも1つのねじが完全にねじ込まれることを保証する一体型制御機構を有する。その結果、本発明による接続アセンブリは、間違って組み立てられることが少なくなり、間違った組立てのための追加の労力または時間が不要になる。特に、動作中の望ましくない過度の加熱を防ぐので、本発明による接続アセンブリの電気的および熱的安全性が向上する。このような過度の加熱は、完全にはねじ込まれていないねじを見落とすことによる接触抵抗の増加、およびそれによる接触力の不足によって生じ得るからである。
【0033】
少なくとも1つのねじのねじ頭は、ハウジングの少なくとも1つのねじ頭受けに配置されることが好ましい。さらに、通過孔は、軸方向において少なくとも1つのねじ頭受けに位置合わせされることが好ましい。したがって、少なくとも1つのねじは、相手側ねじ山に完全にねじ込まれる最終組立位置に移行することができる。ねじが最終組立位置から出ると、ハウジングキャップの少なくとも1つの止め部はねじ頭に当接するため、ハウジングキャップをハウジング部の少なくとも1つの開口部に取り付けることができなくなる、または少なくとも完全には取り付けることができなくなる。言い換えると、ハウジングキャップが取り付けられると、少なくとも1つの止め部は、最終組立位置において少なくとも1つのねじまで延びる。
【0034】
接続アセンブリの1つの可能な実施形態によれば、少なくとも1つのねじは、所定のフランジ面厚さを持つフランジを有することができる。少なくとも1つの開口部の上縁部と電力レール受けの下面との間の距離が、少なくとも1つの電力レールの材料厚さ、フランジ面厚さ、およびカバー部から少なくとも1つの止め部までの長さの合計に相当することが好ましい。ハウジングキャップが取り付けられると、少なくとも1つの止め部と下面との間の距離は、材料厚さとフランジ面厚さとの合計に相当する。言い換えると、少なくとも1つのねじが完全にねじ込まれ、最終組立位置にあるときに、ハウジングキャップの少なくとも1つの止め部はフランジまで延びる。それにより、少なくとも1つの開口部に固定されたハウジングキャップは、少なくとも1つのねじが振動により最終組立位置から抜けることを防ぐことができることが有利である。
【0035】
ハウジングの有用性を、いくつかのねじを含む適用に拡大するために、ハウジング、特にハウジングインサートは、少なくとも2つのねじ頭受けを含むことができる。それに応じて、接続アセンブリは少なくとも2つのねじを含むことができる。当然、特定の適用に応じて、ハウジングは、さらに多くのねじ頭受けを含むこともでき、接続アセンブリはさらに多くのねじを有することができる。これに対応して、ハウジングキャップは、ハウジングのねじ頭受けごとに、または接続アセンブリのねじごとに、少なくとも1つの止め部をそれぞれ含むことができる。いくつかのねじをハウジングキャップと同時に検査することができると有利である。これは、組立て、修理、および/またはメンテナンス作業の補助となる。
【0036】
いくつかの開口部を含むハウジング部の場合、単一のハウジングキャップをすべての開口部のために設けることができる。あるいは、個々のハウジングキャップを開口部ごとに設けてもよい。さらに、代わりに、いくつかのハウジングキャップを、いくつかの異なる開口部のためにそれぞれ設けてもよい。
【0037】
以下で、図面を参照しながら、本発明について例としてより詳細に説明する。例として示す実施形態に例示される特徴の組合せを、特定の適用に必要とされる本発明の特性に対応して、上記の説明に従ってさらなる特徴により補足することができる。個々の特徴の効果が特定の適用に無関係である場合、上記の説明に従って、これらの特徴を記載される実施形態から省略することもできる。図中、同一の参照数字は常に、同一の機能および/または同一の構造を有する要素について使用される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】第1の例示的な実施形態によるハウジングキャップの概略斜視図である。
【
図2】第2の例示的な実施形態によるハウジングキャップの概略斜視図である。
【
図3】
図1のハウジングキャップを含む電気接続アセンブリの概略斜視部分断面図である。
【
図4】
図3の電気接続アセンブリのさらなる概略斜視図である。
【
図5】第3の例示的な実施形態によるハウジングキャップを含む電気接続アセンブリの概略斜視部分断面図である。
【
図6】
図2のハウジングキャップを含む電気接続アセンブリの概略斜視断面図である。
【
図7】さらなる例示的な実施形態による電気接続アセンブリの概略斜視部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下で、
図1~
図6を参照しながら、本発明によるハウジングキャップ1の概略構造を例示的な実施形態に従って説明する。さらに、
図3~
図7を参照しながら、本発明によるハウジング2および本発明による電気接続アセンブリ4の概略構造を説明する。
【0040】
ハウジング2は、電気接続アセンブリ4を望ましくない接触、埃、および/または水分から保護し、電気接続アセンブリ4の少なくとも1つのねじ8が、ハウジング2の内部6に配置される。例えば、電気接続アセンブリ4は、ねじ接続部12を含む電気コネクタ10であってよく、ハウジング2は対応するコネクタハウジング14であってよい。ハウジングキャップ1は、少なくとも1つのねじ8にアクセス可能な、ハウジング2の少なくとも1つの開口部16を閉じるように機能し、同時に、少なくとも1つのねじ8が完全にねじ込まれることを確認するための制御ゲージとして作用する。これについては、以下でより詳細に説明する。
【0041】
図1からわかるように、ハウジングキャップ1は、カバー部18と、好ましくはカバー部18から垂直に突出する少なくとも1つの止め部20と、少なくとも1つの固定要素22とを備える。図示の実施形態において、ハウジングキャップ1は、2つの止め部20と2つの固定要素22とを備える。当然、適用に応じて、さらに多くの止め部20および/または固定要素22を設けてもよい。止め部20の数と固定要素22の数とは互いに異なっていてもよい。
【0042】
カバー部18は、少なくとも1つの開口部16を覆うように設けられる。このために、カバー部18の外側輪郭24が、少なくとも1つの開口部16の内側輪郭26(
図7参照)よりも大きいことが好ましい。あるいは、外側輪郭24は内側輪郭26に対応していてもよい。言い換えると、カバー部18の外周28が、少なくとも1つの開口部16の内周30よりも大きいか、または内周30に等しくてよい。例えば、円形開口部16を覆う円形カバー部18の場合、円形カバー部18の外径32が、円形開口部16の内径34よりも大きいか、または内径34に等しくてよい。
【0043】
図1に示すように、カバー部18は平面であるように構成されてよい。細長開口部36を覆うため、かつ/または隣接して配置されたいくつかの開口部(図示せず)を覆うために、カバー部18は細長の板状であってもよい(
図2参照)。ハウジングキャップ1は、場合により、カバー部18を補強する長手方向リブ38および/または横方向リブ40を有することができる。
【0044】
ハウジングキャップ1は、場合により、ハウジングキャップ1とハウジング2の残りの部分との間の間隙44を封止するための封止部42を有することができる。封止部42は、内方および/または外方を向く封止リップ48を含むシール46によって形成される。シール46は、例えば、カバー部18の周溝50に別個の封止要素52(
図6参照)として挿入され、または、溝50に注入されて、ハウジングキャップ1と共に2部品部材(図示せず)を形成する。
【0045】
図3および
図4に示すハウジング2は、ハウジングキャップ1と、少なくとも1つの開口部16を含むハウジング部54とを備える。例として示す実施形態において、ハウジング部54は1つの開口部16のみを有する。当然、ハウジング部54はいくつかの開口部(図示せず)を有してもよい。この場合、ハウジングキャップ1を、すべてのまたは少なくともいくつかの開口部のために設けてもよい。あるいは、単一のハウジングキャップ1を開口部ごとに設けてもよい。
【0046】
ハウジングキャップ1は、少なくとも1つの開口部16に取り付けることができるように構成される。ハウジングキャップ1の取付状態56で、少なくとも1つの止め部20は、少なくとも1つの開口部16内に突出する(
図4参照)。
【0047】
図示の断面図にも見られるように、ハウジング2は、電力レール受け(power rail receptacle)58と、電力レール受け58に開口する少なくとも1つのねじ頭受け(screw head receptacle)60とを備える。
図3~
図5に示す例示的な実施形態において、ハウジング2は、1つの電力レール受け58と1つのねじ頭受け60のみを備える。
図6は、例として、2つの電力レール受け58と2つのねじ頭受け60とを備えるハウジング2を示す。当然、適用に応じて、さらに多くの電力レール受け58および/またはねじ頭受け60を設けてもよい。
【0048】
図3および
図4は電気接続アセンブリ4を示し、この電気接続アセンブリ4は、ハウジング2に加えて、ハウジング2の電力レール受け58に受け入れられた少なくとも1つの電力レール62と、少なくとも1つのねじ8と、少なくとも1つのコンタクト要素64、例えば、バッテリ端子66とを備える。
図3および
図4の接続アセンブリ4は、電力レール62、ねじ8、およびコンタクト要素64を備える。
図6に示すように、接続アセンブリ4は、2つの電力レール62、2つのねじ8、および2つのコンタクト要素64も備えることができる。当然、適用に応じて、さらに多くの電力レール62、ねじ8、および/またはコンタクト要素64を設けてもよい。電力レール62ごとに少なくとも1つのねじ8と少なくとも1つのコンタクト要素64とが存在することが好ましい。
【0049】
少なくとも1つの電力レール62は、金属(例えば銅、アルミニウム)および/または異なる導電性材料から形成されることが好ましく、少なくとも1つのねじ8の軸方向68において少なくとも1つのねじ頭受け60に位置合わせされた通過孔70を含む。通過孔70は、例えば、円形通過孔、長円形通過孔、または細長孔であってよい。
【0050】
少なくとも1つのねじ8は、ねじ山72とねじ頭74とを有し、少なくとも1つのコンタクト要素64は、ねじ山72に相補的に構成されている相手側ねじ山76を有する(
図6参照)。少なくとも1つのねじ8および/または少なくとも1つのコンタクト要素64は、同様に、金属(例えば銅、アルミニウム)および/または異なる導電性材料から形成されることが好ましい。
【0051】
図6の例示的な実施形態において、相手側ねじ山76は、例えば、タッピング、ねじ切り、ねじフライス切り、ねじ山プレス、ねじ山形成によって、または別のねじ山形成方法を使用して、それぞれのコンタクト要素64の材料に直接形成される。あるいは、少なくとも1つのコンタクト要素64は、相手側ねじ山76を有する別個の部品(図示せず)をさらに含むことができる。特に、別個の部品は、ナット、例えば、他側に装着されたインサートナット(図示せず)、または非導電性材料から形成されたタッチガードで外側被覆したナットであってよい。さらに、別個の部品は、例えば、圧入され、溶接され、コーキングされ、かつ/または何らかの他の方法で固定されたねじ付スリーブ(図示せず)であってもよい。
【0052】
さらに、通過孔70は、軸方向68において少なくとも1つのねじ頭受け60に位置合わせされることが好ましい。したがって、少なくとも1つの電力レール62および少なくとも1つのコンタクト要素64のそれぞれの接触面77が、互いに接触し、少なくとも1つのねじ8によって生じる接触力78により導電性接続部を形成することができる。
【0053】
このために、少なくとも1つのねじ8、特にそのねじ山72は、少なくとも1つの電力レール62の通過孔70および少なくとも1つのコンタクト要素64の相手側ねじ山76に挿入される。その結果、少なくとも1つのねじ8は、相手側ねじ山76に完全にねじ込まれる最終組立位置80(
図4参照)に移動することができる。言い換えると、少なくとも1つのねじ8を相手側ねじ山76に、ねじ8が不完全にねじ込まれる位置82(
図3参照)から完全にねじ込まれる位置84(
図4参照)へねじ込むことができ、これにより、少なくともねじ頭74は軸方向68に移動する。
少なくとも1つのねじ8をその最終組立位置80に移動させるために、ハウジングキャップ1が取付状態56になければ、特に対応するねじ込み工具(図示せず)のための少なくとも1つの開口部16を介して、外側からねじ頭74にアクセス可能である。特に、ねじ頭74は、ここでは、ハウジング2の少なくとも1つのねじ頭受け60に配置される。
【0054】
ハウジングキャップ1の取付状態56で、ハウジングキャップ1の少なくとも1つの止め部20は、軸方向68において少なくとも1つのねじ頭受け60に位置合わせされる。少なくとも1つのねじ8が不完全にねじ込まれている、または少なくとも最終組立位置80にない位置82にねじ8がまだある間にハウジングキャップ1が少なくとも1つの開口部16に取り付けられることを防ぐために、少なくとも1つの止め部20はまた、このような状況でねじ頭74に当たり、少なくとも1つの開口部16がカバー部18によって覆われることを妨げる(
図3参照)ように構成される。言い換えると、少なくとも1つの止め部20は、少なくとも1つのねじ8が完全にねじ込まれている位置84で少なくとも1つのねじ8のねじ頭74に正確に載り、その後にのみ、少なくとも1つの開口部16をカバー部18で覆うことができる(
図4参照)ように構成される。
このために、ハウジングキャップ1の少なくとも1つの止め部20は、ハウジングキャップ1の取付状態56で、最終組立位置80に配置されたねじ8にちょうど届く程度まで、少なくとも1つの開口部16内に突出する。カバー部18に垂直に測定された長さ86(
図1参照)がカバー部18と止め部20との間でねじ8、特にそのねじ頭74まで延びる場合、少なくとも1つの止め部20は、ここでは、少なくとも1つのねじ8に届く。
【0055】
図1および
図2に見られるように、ハウジングキャップ1は、カバー部18から突出する少なくとも1つのスペーサー88を備えることができ、少なくとも1つの止め部20がこのスペーサー88に配置される。特に、止め部20は、カバー部18から離れる方を向く、スペーサー88の端部90に位置する。止め部20は、カバー部18から離れる方を向くスペーサー88の縁部92によって形成されることが好ましい。
【0056】
少なくとも1つのスペーサー88は、その寸法安定性を向上させるために補強ゾーン95を有することが好ましい。少なくとも1つのスペーサー88が、補強ゾーン95を形成するための湾曲断面96を、特にカバー部18に平行な平面94に有することが、
図2に明確に見られる。例えば、少なくとも1つのスペーサー88は、半管状、中空円筒セグメント、または中空回転体セグメントとして構成される。特に、少なくとも1つのスペーサー88を、ねじ頭74の少なくとも一部を受け入れるための受入領域100の周りに少なくとも部分的に延びるカラー98として構成することができる。カラー98は、受入領域100の周りで湾曲することが好ましい。止め部20を形成するスペーサー88の縁部92は、それに応じて、円のセグメントの形状を有するように、または少なくとも湾曲するように構成される。
あるいは、少なくとも1つのスペーサー88は、補強ゾーン95を形成するための傾斜断面(図示せず)を平面94に有することができる。補強ゾーン95を、スペーサー88に沿って延びるビード(図示せず)またはリブ(図示せず)によって形成してもよい。
【0057】
ハウジングキャップ1は、ねじ8ごとに少なくとも1つの止め部20を備えることが好ましい。
図1および
図2に示すハウジングキャップ1の実施形態は各々、2つのスペーサー88を備え、各スペーサー88に止め部20が配置される。
図2では、2つのスペーサー88が各々、カラー98として構成され、各々が1つのねじ頭の74の受入領域100を囲む。スペーサー88を、互いに対称に、特に鏡面対称に構成することができる。
図1の実施形態において、スペーサー88は各々、シャベル状またはスコップ状の突起101として構成され、共にねじ頭74の受入領域100を囲む。
【0058】
2つのスペーサー88は各々、凸状の、膨らんだ、突出した、または隆起した側面102と、凹状の、窪んだ、または凹んだ側面104とを有してもよい。
図1に示すハウジングキャップ1の場合、2つのスペーサー88の凹側面104は互いに対向するが、
図2は、凸側面102が互いに対向する2つのスペーサー88を示す。
【0059】
凹側面104が互いに対向するスペーサー88は、前述したように、共に受入領域100を囲むのに適している。したがって、これらのスペーサー88のそれぞれの止め部20は、1つの同じねじ頭74に載ることができるため、支持安定性が向上する。加えて、一方のスペーサー88がちぎれた場合に一定の冗長性がある。
【0060】
凸側面102が互いに対向する2つのスペーサー88を含むハウジングキャップ1の実施形態の利点は、2つのねじ8、特に平行に延びる2つのねじ8(
図6参照)を含む電気接続アセンブリ4において主に発揮される。ねじ8間に所定の距離106があり、1つのスペーサー88が各々軸方向68において1つのそれぞれのねじ頭74に位置合わせされるという条件で、スペーサー88は、凸側面102が互いに対向することにより、互いにできるだけ近くに配置されてよい。これに対応して、止め部20も近くなる。これは、例えば、2つのねじ8のうちの少なくとも一方が最終組立位置80にないときに生じるような、ねじ頭74間の高さの差が小さくても、ハウジングキャップ1の可能な傾斜角度が最大になることを意味する。
その結果、ねじ8が最終組立位置80にないことによる傾斜角度の存在を、本実施形態を使用してより容易に認識することができる。
【0061】
図3~
図6に見られるように、少なくとも1つのねじ8はフランジねじ108であってよい。言い換えると、少なくとも1つのねじ8は、所定のフランジ面厚さ112を有するフランジ110であってよい。例えば、少なくとも1つのねじを、フランジを含む六角ねじ、皿頭ねじ、またはワッシャ頭ねじとして構成することができる。少なくとも1つの電力レール62の通過孔70を、ねじ頭74、特にフランジ108の座面114(
図3参照)によって囲むことができる。ハウジングキャップ1の取付状態56で、座面114と少なくとも1つの止め部20との間で軸方向68に測定された距離116は、フランジ面厚さ112(
図4参照)に対応する。ねじ頭74は、場合により、非導電性材料から形成されたタッチガード118を含むことができる。
したがって、少なくとも1つの止め部20は、タッチガード118に当たる、または当接することができる。タッチガードの材料厚さは、ここでは、フランジ面厚さ112に含まれる。
【0062】
少なくとも1つの開口部16の上縁部168と電力レール受け58の下面164との間の距離170は、一般に、少なくとも1つの電力レール62の材料厚さ166、フランジ面厚さ112、およびカバー部18から少なくとも1つの止め部20までの長さ86(
図6参照)の合計に相当する。
【0063】
あるいは、少なくとも1つのねじ8を、フランジ110なしで形成してもよい。その場合、少なくとも1つの止め部20は、例えば、ねじ山72から離れる方を向くねじ頭74の端部120に当たる、または当接することができる。この場合、ハウジングキャップ1が取付状態56にあるときの距離116は、軸方向68に測定されたねじ頭74の頭高さに対応する。それにより、ねじ頭74の受入領域100を、それに応じて省くことができる。
【0064】
特に、ねじ頭受け60におけるねじ頭74が座面114を完全に見えなくするねじ8の場合、ねじ8のねじ込み深さを推定することがもっぱら難しいため、ねじ8がその最終組立位置80からわずかにずれていることを外側から検出することは難しい。これは、ねじ頭受け60内への斜視上面図を示す
図7から明らかである。本発明によるハウジングキャップ1は、ここでは対応策を提供する。
【0065】
これまで説明したように、ねじ8が最終組立位置80から離れているときにハウジングキャップ1の少なくとも1つの止め部20がねじ頭74に当接する場合、ハウジングキャップ1を、ハウジング部54の少なくとも1つの開口部16に少なくとも完全には取り付けることができない。このような状況では、ハウジングキャップ1を、ハウジング2の残りの部分に固定することもできないことが好ましい。ハウジングキャップ1をハウジング2の残りの部分に固定するために使用する、以下で説明する少なくとも1つの固定要素22によって、最終組立位置80にないねじ8の存在を認識することもできる。
【0066】
少なくとも1つの固定要素22を、カバー部18および/または少なくとも1つのスペーサー88に配置することができる。
図1~
図4の少なくとも1つの固定要素22は、カバー部18から突出するラッチフック122として特に構成される。ラッチフック122は、図示のスペーサー88に少なくとも部分的に沿って延びる自立式アーム124を有する。さらに、ラッチフック122は、自立式アーム124の自由端128から横方向に突出するラッチ突起126を含む。
【0067】
ラッチフック122は、場合により、受入領域100に対してスペーサー88への角度オフセットを含む。特に、ラッチフック122は、それぞれの屈曲間隙130によってスペーサー88から分離される。屈曲間隙130は、ここでは、ラッチフック122の曲げ剛性を低下させて、軸方向68に垂直な弾性偏向132が容易になるようにすることが好ましい。あるいは、少なくとも1つの固定要素22を、スペーサー88から横方向に突出するラッチ突起126、特にラッチタブ134(
図5参照)として構成してもよい。
【0068】
ラッチ突起126は、受入領域100に対して外方を向く自立式アーム124またはスペーサー88に配置されることが好ましい。あるいは、ラッチ突起126を、内方を向くように構成してもよい。これに対応して、前述した弾性偏向132は内方または外方に生じる。
【0069】
図3~
図7からわかるように、ハウジング2は、少なくとも1つの開口部16に挿入してハウジング部54に固定することができるハウジングインサート136を備える。ハウジングインサート136は、例えば、ラッチ接続部138(
図7参照)によってハウジング部54に固定される。さらに、特に通過開口部140として形成された少なくとも1つのねじ頭受け60は、ハウジングインサート136に配置される。ここでは、1つの通過開口部140は各々、ねじ頭受け60を形成することができる。
【0070】
2つの電力レール62を含む接続アセンブリ4の実施形態において、ハウジングインサート136を、2つの電力レール62および/またはねじ8の間の分離要素142(
図6参照)として使用してもよい。ハウジングインサート136は、非導電性材料から形成されることが好ましい。ハウジングキャップ1および/またはハウジング部54は、同様に非導電性材料から形成されることが好ましい。
【0071】
ハウジングインサート136は、少なくとも1つのねじ8の後に少なくとも1つの開口部16に挿入可能であるように構成されることが好ましい。したがって、ハウジングインサート136を使用して、ハウジングキャップ1が取り付けられる前に少なくとも1つのねじ8を係留することができる。このために、ハウジングインサート136は、少なくとも1つのねじ頭受け60内へ内方に突出するラッチカラー144を含むことができる。場合により、ラッチカラー144は、少なくとも1つのねじ頭受け60の周りに延びるように構成される。ラッチカラー144の内径146(
図7参照)は、ねじ頭受け60に配置されたねじ頭74の外径148(
図5参照)よりも小さいことが好ましい。その結果、ラッチカラー144は、ねじ8が誤って落ちるまたは外れることを防ぐことができる。
【0072】
図示の実施形態において、それぞれの固定要素22のラッチ突起126は、ラッチカラー144にラッチ止めすることができるように構成される。このようにして、ハウジングキャップ1をラッチカラー144にラッチ止めすることができるため、ラッチカラー144は二重機能を果たす。
【0073】
ラッチカラー144は、場合により、少なくとも1つの開口部16および/または少なくとも1つのねじ頭受け60の挿入斜面150を形成することができる。特に、ラッチ突起126が挿入斜面150に突き当たると、ハウジングキャップ1が取り付けられる状況で、上記の弾性偏向132を生じさせることができる。ラッチカラー144を乗り越えた後、弾性偏向132は、材料の弛緩によって再び打ち消され、ラッチ突起126はラッチカラー144に係合する(
図5参照)。この係合は、以下で説明する可聴インジケータとして使用することができるクリック音を伴うことが好ましい。
【0074】
ハウジングキャップ1の取付状態56において、ラッチ突起126は所定のタッチ面152でラッチカラー144に接触することができる。可聴インジケータの発生と、少なくとも1つの止め部20がねじ頭74に載ることとを同期させるために、これらのタッチ面152は、ハウジングキャップ1が取付状態56にあるときに、少なくとも1つの止め部20から軸方向68に測定された同じ距離154のところにある。それにより、特にラッチカラー144のタッチ面152と少なくとも1つの止め部20との間の距離154はねじ頭74の位置によって決まるが、ラッチ突起126のタッチ面152と少なくとも1つの止め部20との間の距離154は構造的に定義されるため、可聴インジケータがないことは、少なくとも1つのねじ8が最終組立位置80以外にあることを必ず示す。
【0075】
ハウジングキャップ1の取外しをより容易にするために、ラッチカラー144は抜取斜面156を含むことができる。抜取斜面156は、挿入斜面150の他側に配置され、ラッチカラー144の内径146において挿入斜面150に好ましくは鈍角で接することが好ましい。さらに、挿入斜面150は、少なくとも1つのねじ頭受け60に対向して配置される。挿入斜面150および/または抜取斜面156に加えてまたはその代わりに、ラッチ突起126を斜面となるように形成してもよい。特に、ハウジングキャップ1が取付状態56にあるときに、ラッチ突起126は、軸方向68に対して傾斜したタッチ面152でラッチカラー144に接触することができる。
【0076】
ハウジング2は、場合により、ハウジングキャップ1とハウジング部54との間に工具先端(図示せず)を挿入するための少なくとも1つの係合点162、例えば凹部158を備えることができる。少なくとも1つの係合点162により、スクリュドライバ(図示せず)などの工具を用いてハウジングキャップ1を持ち上げる、またはてこで開くことが簡単になる。例えば、少なくとも1つの凹部158は、カバー部18の横方向の窪み160として構成される。1つの係合点162は、ハウジングキャップ1のラッチ突起126ごとに、ハウジングキャップ1に対してそれぞれの角度位置で設けられることが好ましい。言い換えると、ラッチ突起126と係合点162との間に角度オフセットがない。
【0077】
ハウジングキャップ1が取外し可能であるよう意図されず、代わりに、例えば、改竄からの保護として機能するよう意図された適用においては、抜取斜面156を省いてもよい。特に、ハウジングキャップ1が取付状態56にあるときに、ラッチ突起126は、軸方向68に対して垂直なタッチ面でラッチカラー144に接触することができる。ハウジングキャップ1の取付状態56で、ラッチ突起126は、場合により、バーブのようにラッチカラー144の後ろに係合してもよい。
【0078】
あるいは、少なくとも1つのねじ8を係留する必要がない場合、図示しない実施形態により、ラッチカラー144をハウジング部54の外側に配置してもよい。したがって、本実施形態において、ラッチ突起126を、内方を向き、かつ外側に配置されたラッチカラー144にラッチ止めするように構成することができる。
【0079】
ラッチカラー144に加えてまたはその代わりに、ハウジングインサート136はラッチ溝(図示せず)を含むことができ、ハウジングキャップ1の少なくとも1つの固定要素22は、ラッチ溝にラッチ止めすることができるように構成されてよい。一般に、少なくとも1つのアンカリング要素143は、ハウジングインサート136に配置され、ハウジングキャップ1の少なくとも1つの固定要素22と共に固定アセンブリ145を形成することができる。
【0080】
これまで説明したラッチアセンブリ145の代わりに、バヨネット接続(図示せず)を設けてもよい。この場合、少なくとも1つの固定要素22を、例えば、ハウジング部54またはハウジングインサート136のバヨネット溝(図示せず)に係合するバヨネットピンまたはバヨネットボタン(図示せず)として構成することができる。加えてまたはあるいは、ハウジングキャップ1およびハウジング部54またはハウジングインサート136はそれぞれ、摩擦係合接続を確立することができる。当然、他のタイプのポジティブフィット、ポジティブ材料フィット、および/または圧入接続も考えられる。
【符号の説明】
【0081】
1 ハウジングキャップ
2 ハウジング
4 接続アセンブリ
6 内部
8 ねじ
10 コネクタ
12 ねじ接続部
14 コネクタハウジング
16 開口部
18 カバー部
20 止め部
22 固定要素
24 外側輪郭
26 内側輪郭
28 周囲
30 周囲
32 外径
34 内径
36 開口部
38 長手方向リブ
40 横方向リブ
42 封止部
44 間隙
46 シール
48 封止リップ
50 溝
52 封止要素
54 ハウジング部
56 状態
58 電力レール受け
60 ねじ頭受け
62 電力レール
64 コンタクト要素
66 バッテリ端子
68 方向
70 通過孔
72 ねじ山
74 ねじ頭
76 相手側ねじ山
77 接触面
78 接触力
80 最終組立位置
82 位置
84 位置
86 長さ
88 スペーサー
90 端部
92 縁部
94 平面
95 補強ゾーン
96 断面
98 カラー
100 受入領域
101 突起
102 側面
104 側面
106 距離
108 フランジねじ
110 フランジ
112 フランジ面厚さ
114 座面
116 距離
118 タッチガード
120 端部
122 ラッチフック
124 アーム
126 ラッチ突起
128 端部
130 屈曲間隙
132 偏向
134 ラッチタブ
136 ハウジングインサート
138 ラッチ接続部
140 通過開口部
142 分離要素
143 アンカリング要素
144 ラッチカラー
145 固定アセンブリ
146 内径
148 外径
150 挿入斜面
152 接触面
154 距離
156 抜取斜面
158 凹部
160 窪み
162 係合点
164 下面
166 材料厚さ
168 上縁部
170 距離