(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】注射針挿入引抜アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
A61M5/20 550
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022123358
(22)【出願日】2022-08-02
(62)【分割の表示】P 2020567015の分割
【原出願日】2019-09-12
【審査請求日】2022-08-03
(32)【優先日】2018-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スロボダン・ステファノフ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ワイス
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-505031(JP,A)
【文献】特表2017-517296(JP,A)
【文献】特表2010-533525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置のための針挿入器であって、前記針挿入器は、
ベースおよび注入部位端部を有するケースと、
前記ケース内に移動可能に配置された第1の部分、および前記ベースに接続された第2の部分を有する駆動部と、
前記駆動部の前記第1の部分によって前記ケース内で移動可能に保持された針アセンブリであって、前記針アセンブリは、前記注入部位端部に略垂直に配置された針部分を含む、針アセンブリと、
前記ケース内に配置され、前記駆動部を動かすために前記駆動部の前記第1の部分と相互作用するよう構成された回転子と、
前記回転子に回転力を加えるために前記回転子と相互作用するよう構成されたエネルギー蓄積部材と、
前記ベースに配置され、かつ前記回転子の回転を防ぐために前記回転子と相互作用するよう構成された可動ストップと、
を備え、
前記第1の部分は、前記針アセンブリが前記ケースの内部に保持される第1の位置と、前記注入部位端部を通過し、注入部位を貫通するよう移動した後に前記針部分が前記ケースの外側に配置される第2の位置との間を移動し、前記可動ストップは、前記回転子を解放するために前記回転子との係合を解除するようさらに構成され、前記エネルギー蓄積部材からの前記回転力が前記回転子を回転させ、さらに前記第1の部分が前記位置の間を移動することができ、
前記針アセンブリと相互作用するよう構成されたカニューレアセンブリをさらに備え、前記カニューレアセンブリは、前記第1の部分が前記第1の位置にある場合に前記ケース内に残り、前記カニューレアセンブリは、前記第1の部分が前記第2の位置にある場合に前記針アセンブリによって移動されて前記注入部位に入る、針挿入器。
【請求項2】
前記カニューレアセンブリは、
カニューレ基部と、
前記注入部位端部に略垂直のカニューレ部分であって、前記カニューレ基部に結合され、前記第1の部分が前記第2の位置にある場合に前記注入部位に入るように構成され、前記カニューレ部分は、前記第1の部分が前記第2の位置にある場合に前記注入部位に配置される、カニューレ部分と、
を含む、請求項
1に記載の針挿入器。
【請求項3】
前記カニューレ基部が薬剤入力開口部を含み、薬剤が前記薬剤入力開口部、および前記カニューレ基部を通過し、前記カニューレ部分を通り出ることができるように、前記カニューレ部分およびカニューレ基部は、中空である、請求項
2に記載の針挿入器。
【請求項4】
前記第1の部分が前記第1および第2の位置にある場合に、前記針部分は前記カニューレ部分内に配置され、前記第1の部分が前記針部分が前記ケースの内部に再配置される第3の位置にある場合には、前記針部分は、前記カニューレ部分内に配置されない、請求項
2に記載の針挿入器。
【請求項5】
前記カニューレ基部が前記針アセンブリおよび前記注入部位端部の間に配置され、前記第1の部分が前記第1の位置から前記第2の位置に移動する場合に、前記針アセンブリが前記カニューレ基部と相互作用して、前記カニューレアセンブリを前記注入部位端部に向かって移動させる、請求項
2に記載の針挿入器。
【請求項6】
前記ベースは、前記第1の部分が前記第2の位置に達した場合に前記カニューレアセンブリを前記ベースに係合および固定するよう構成された少なくとも1つのロック部材を含む、請求項
1に記載の針挿入器。
【請求項7】
前記ベースが、
薬剤容器を収容するための容器ポートと、
前記薬剤容器を貫通するための、前記容器ポートに連結されたピアサーと、
前記ベースと連結される薬剤経路アセンブリであって、前記薬剤経路アセンブリは、前記ピアサーに接続される第1の端部、および前記カニューレアセンブリに接続される第2の端部を有する、薬剤経路アセンブリと、
を含み、
薬剤は、前記薬剤容器から、前記ピアサーおよび前記薬剤経路アセンブリを通って流れ、前記カニューレアセンブリに入ることができる、請求項
1に記載の針挿入器。
【請求項8】
前記針アセンブリは、前記針部分に連結され、かつ前記第1の部分によって移動可能に保持されるよう構成された針基部を含み、
前記第1の部分は、前記第1の位置から前記第2の位置に移動する場合に、前記針基部を駆動して、前記針部分を前記ケースの外側へ移動させ、前記第1の部分は、前記第2の位置から前記針部分が前記ケースの内部に再配置される第3の位置に移動する場合に、前記針基部を駆動して、前記針部分を前記ケースの内部に戻るように移動させる、請求項1に記載の針挿入器。
【請求項9】
前記回転子が前記第1の部分と相互作用するよう構成された駆動部材を含み、前記エネルギー蓄積部材によって回転される前記回転子の前記駆動部材は、前記第1の部分と相互作用して、前記第1の部分を前記位置の間で移動させる、請求項1に記載の針挿入器。
【請求項10】
前記駆動部の前記第2の部分は、前記ケースに枢動可能に固定されている、請求項
9に記載の針挿入器。
【請求項11】
前記駆動部は、柔軟な弾性構造を有し、前記駆動部材が前記第1の部分ともはや相互作用しない場合に、前記駆動部の前記第2の部分は、前記駆動部の前記第1の部分を前記針部分が前記ケースの内部に再配置される第3の位置へ移動させる、請求項
9に記載の針挿入器。
【請求項12】
前記ケースの前記注入部位端部は、前記針アセンブリが通過し、前記注入部位を貫通するよう構成された第1の注入部位開口部を含む、請求項1に記載の針挿入器。
【請求項13】
前記ベースは、前記第1の注入部位開口部に対応する第2の注入部位開口部を含み、前記針アセンブリは、前記第1および第2の注入部位開口部の両方を通過し、前記注入部位を貫通する、請求項
12に記載の針挿入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤送達デバイスの針挿入および引抜きアセンブリ、特に、針およびカテーテルが挿入部位に挿入され、続いて針が挿入部位から引き抜かれる針挿入および引抜きアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病に苦しむ多くの人々は、血糖値の厳密な制御を維持するために何らかの形のインスリン療法を使用している。現在、毎日のインスリン療法には2つの主要なモードがある。第1のモードには、注射器とインスリンペンが含まれる。これらのデバイスは使いやすく、比較的低コストであるが、注射のたびに針刺しが必要であり、通常は1日3~4回である。第2のモードには、約3年間持続するインスリンポンプの購入を伴う輸液ポンプ療法が含まれる。ポンプの初期費用はかなりの額になる可能性があるが、ユーザーの観点からは、ポンプを使用したことのある患者の圧倒的多数は、一生ポンプを使い続けることを好む。輸液ポンプは、注射器やペンよりも複雑であるが、インスリンの持続注入、正確な投与、およびプログラム可能な送達スケジュールという利点を提供する。これにより、血糖コントロールがより緊密になり、健康感が向上する。
【0003】
輸液ポンプの使用はさらに、ポンプ内のリザーバーからユーザーの皮膚にインスリンを運ぶ、通常は注入セットまたはポンプセットと呼ばれる使い捨ての構成要素の使用を必要とする。注入セットは通常、ポンプコネクタ、ある長さのチューブ、および注入針またはカニューレが伸びるハブまたはベースで構成されている。ハブまたはベースには、使用中にベースを皮膚に保持する接着剤が付いている。ハブまたはベースは、手動で、または手動または自動挿入装置を使用して皮膚に適用できる。多くの場合、挿入装置は、ユーザーが携帯して提供する必要がある独立したスタンドアロンユニットである。
【0004】
スチールカニューレ注入セットやソフト(フレキシブル)カテーテルセットなど、注入セットには多くのバージョンがある。ソフトカテーテルセットは、通常、スチール製の導入針を使用して手動で患者に挿入され、導入針は後で患者から取り外され、ソフトカテーテルは所定の位置に残る。別のタイプの輸液セットでは、上記のように、機械化された挿入器を使用して、導入針とカテーテルを自動的に挿入するか、導入針を取り外すか、またはその両方を行う。ソフトカテーテルをインスリンポンプに接続する前に、導入針を注入セットから完全に取り外す。
【0005】
導入針を手動で挿入および引き抜くことに関連する1つの問題は、挿入および引抜の力、速度、滑らかさ、および角度の変動である。この変動は、カテーテル挿入の失敗率の増加につながる可能性がある。
【0006】
さらに、上記のように、ユーザーは通常、カニューレを挿入した後、導入針を取り外す必要がある。これにより、取り外した導入針を取り扱う際にユーザーが偶発的に針をさすことが起こりうる。
【0007】
したがって、カニューレの挿入を容易にすると同時に、ユーザーが携帯しなければならない構成要素の数を減らし、偶発的な針刺しを実質的に防止する注入セットの必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示において、「遠位」という用語が使用される場合、これは、用量送達部位から離れる方向を指す。「遠位部分/端部」という用語が使用される場合、これは、薬剤送達装置の使用下で、用量送達部位から最も離れて配置される送達装置の部分/端部、またはその部材の部分/端部を指す。これに対応して、「近位」という用語が使用される場合、これは、用量送達部位に向かう方向を指す。「近位部分/端部」という用語が使用される場合、これは、薬物送達装置の使用下で用量送達部位の最も近くに位置する、送達装置の部分/端部、またはその部材の部分/端部を指す。
【0009】
さらに、「軸」の有無にかかわらず、「長手方向」という用語は、装置または構成要素の最長伸長方向における装置またはその構成要素を通る方向または軸を指す。
【0010】
「軸」の有無にかかわらず、「横方向」という用語は、装置または構成要素の最も広い伸長方向における装置または構成要素を通る方向または軸を指す。 「横方向」は、「長手方向に」細長い体の側面の位置を指す場合もある。
【0011】
同様に、「半径方向」または「横断方向」という用語は、「軸」の有無にかかわらず、長手方向にほぼ垂直な方向で装置またはその構成要素を通る方向または軸を指し、例えば「半径方向外向き」は、長手方向軸から離れる方向を指す。
【0012】
また、他に何も述べられていない場合、装置の機械的構造およびその構成要素の機械的相互接続が説明される以下の説明では、装置は、初期の非アクティブ状態または非操作状態にある。
【0013】
前述のことを考慮して、本開示の一般的な目的は、薬剤送達装置のキャップに針シールドリムーバーを提供することであり、その針シールドリムーバーは組み立てがより容易である。
【0014】
本開示のこれらおよび他の態様、ならびにそれらの利点は、本発明の以下の詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。
【0015】
本開示の主な態様によれば、ベースおよび注入部位端部を有するケースと、ケース内に移動可能に配置された第1の部分とベースに接続された第2の部分とを有する駆動部と、ケース内の駆動部の第1の部分によって移動可能に保持される針アセンブリと、ケース内に配置され、駆動部を移動するために駆動部の第1の部分と相互作用するように構成された回転子と、回転子に回転力を加えるために回転子と相互作用するように構成されたエネルギー蓄積部材と、ベース上に配置され、回転子が回転するのを防ぐために回転子と相互作用するように構成された可動ストップとを備える薬剤送達装置用の針挿入器によって特徴付けられる。針アセンブリは、注入部位端部に対して実質的に垂直に配置された針部分を含む。
【0016】
さらに、第1の部分は、針アセンブリがケースの内側に保持される第1の位置、注入部位端部を通過して注入部位を貫通するように動かされた後に針部分がケースの外側に配置される第2の位置、および針部分がケース内に配置される第3の位置を有する。さらに、可動ストップは、回転子と相互作用して回転子を解放し、エネルギー蓄積部材からの回転力が回転子を回転させて、第1の部分が前記位置間をさらに移動できるようにするようにさらに構成される。
【0017】
一実施形態では、針挿入器は、針アセンブリと相互作用するように構成されたカニューレアセンブリをさらに含み得、カニューレアセンブリは、第1の部分が第1の位置にある場合にケース内に留まる。カニューレアセンブリは、第1の部分が第2の位置にある場合に、針アセンブリによって動かされて注入部位に入る。
【0018】
さらに、カニューレアセンブリは、カニューレ基部と、注入部位端部に実質的に垂直なカニューレ部分とを含む。カニューレ部分は、カニューレ基部と結合され、第1の部分が第2の位置にある場合に注入部位に入るように構成される。カニューレ部分は、第1の部分が第2の位置にある場合に注入部位に配置される。
【0019】
カニューレ基部は、薬剤入力開口部を含み、カニューレ部分およびカニューレ基部は、薬剤が薬剤入力開口部、カニューレ基部を通過し、カニューレ部分を通って出ることができるように中空である。
【0020】
さらに、針部分は、第1の部分が第1および第2の位置にある場合にカニューレ部分内に配置され、第1の部分が第3の位置にある場合には針部分はカニューレ部分内に配置されない。
【0021】
カニューレ基部は、針アセンブリと注入部位端部との間に配置され、針アセンブリは、第1の部分が第1の位置から第2の位置に移動する場合に、カニューレ基部と相互作用してカニューレアセンブリを注入部位端部に向かって移動させる。
【0022】
さらに、ベースは、第1の部分が第2の位置に到達した場合にカニューレアセンブリをベースに係合および固定するように構成された少なくとも1つのロック部材を含む。
【0023】
ベースは、薬剤容器を収容するための容器ポート、薬剤容器を貫通するための容器ポートと結合されたピアサー、ベースと結合された薬剤経路アセンブリを含む。薬剤チューブアセンブリは、ピアサーに接続された第1の端部、カニューレアセンブリに接続された第2の端部を有し、薬剤が薬剤容器からピアサーおよび薬剤チューブアセンブリを通って流れてカニューレアセンブリに入ることができる。
【0024】
針アセンブリは、針部分と結合され、第1の部分によって移動可能に保持されるように構成された針基部をさらに含むことができ、駆動部の第1の部分は、針基部を駆動して、第1の位置から第2の位置へ移動する場合に針部分をケースの外側に移動させる。駆動部の第1の部分は、第2の位置から第3の位置に移動する場合に、針基部を駆動して針部分をケース内に戻す。
【0025】
回転子は、第1の部分と相互作用するように構成された係合部材をさらに含み、エネルギー蓄積部材によって回転される回転子の係合部材は、第1の部分と相互作用して、第1の部分を前記位置の間で移動させる。
【0026】
一実施形態では、駆動部の第2の部分は、ケースに枢動可能に固定されている。しかし、別の実施形態では、駆動部は、柔軟な弾性構造を有することができ、駆動部の弾性により、係合部材が第1の部分ともはや相互作用しなくなった場合に、駆動部の第2の部分が駆動部の第1の部分を第3の位置に移動させることができる。
【0027】
ベースは、エネルギー蓄積部材を収容するように構成された第1のレスト部と、回転子と係合し、回転子をベースに回転可能に接続したままにするように構成された第2のレスト部とを含む。ケースの注入部位端部は、針アセンブリが注入部位を通過して貫通するように構成された第1の注入部位開口部を含む。ベースは、第1の注入部位開口部に対応する第2の注入部位開口部を含み、針アセンブリは、第1および第2の注入部位開口部の両方を通過して、注入部位を貫通する。ベースは、注入部位端部に垂直に延びるチャネルを形成するガイド構造を含み、針アセンブリは、駆動部の第1の部分によって移動可能に保持されている間、チャネルに少なくとも部分的に収容される。
【0028】
針挿入器は、回転子およびエネルギー蓄積部材を収容するように構成されたスリーブをさらに含むことができ、ベースは、スリーブを収容するように構成されたスリーブポートを含む。
【0029】
以下の本発明の詳細な説明では、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本開示の第1の実施形態による例示的な針挿入器の分解図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態による挿入アセンブリの分解図である。
【
図3】本開示の第1の実施形態によるカニューレアセンブリおよび薬剤経路アセンブリの分解図である。
【
図4】針アセンブリ、カニューレアセンブリ、および薬剤経路アセンブリの分解図、ならびに組み立てられた前記構成要素の斜視図である。
【
図5】ねじりばね、回転子、およびスリーブの分解図、ならびに組み立てられた前記構成要素の斜視図である。
【
図6】ベース、ピアサー、カニューレアセンブリ、駆動部、針アセンブリ、および薬剤経路アセンブリの分解図である。
【
図7】組み立てられたベース、ピアサー、駆動部、針アセンブリ、カニューレアセンブリ、および薬剤経路アセンブリの斜視図である。
【
図8】ベースに組み立てられる可動ストップの斜視図である。
【
図9】ベースに組み立てられるねじりばね、回転子、スリーブの斜視図である。
【
図10】回転子が解放される前の針挿入器の断面図である。
【
図11】回転子が関連するねじりばねによって回転した場合の針挿入器の断面図である。
【
図12】回転子が針部分をケース内に引き戻し、それ以上回転するのを防ぐ場合の針挿入器の断面図である。
【
図13】本開示の第2の実施形態による例示的な針挿入器の分解図である。
【
図14】本開示の第2の実施形態による針挿入器の斜視図である。
【
図15】本開示の第2の実施形態による針挿入器の別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本開示の第1の実施形態による針挿入器100の分解図を示す。針挿入器100は、ケース200、カバー300、複数の固定部材310、Oリング320、第1のシール331、第2のシール332、および第3のシール333を含む。針挿入器100は、ケース200およびカバー300の筐体内に配置された挿入器アセンブリ500をさらに含む。挿入器センブリ500の構造は、以下でさらに詳細に説明される。
【0032】
ケース200は、注入部位端部240に第1の開口部211、第2の開口部212、および第3の開口部213を含み、針挿入器100を有する薬剤送達装置が注入部位に配置されると、注入部位端部240が注入部位に面する。第1、第2、および第3のシール331、332、333は、第1、第2、および第3の開口部211、212、213を覆うようにケース200に取り付けるように構成される。
【0033】
挿入器センブリ500は、薬剤容器を貫通するためのピアサー502で構成される容器ポート501を含む。挿入器アセンブリ500は更に、挿入器アセンブリ500の針挿入シーケンスを起動するために移動されるように構成される可動ストップ530(
図2に示す)を含む。挿入器アセンブリ500は、第3の開口部213に対応する第4の開口部214(
図1に示す)を含み、挿入器アセンブリ500内の針は、注入部位を貫通する第3および第4の開口部213、214を通過する。挿入器センブリ500がケース200の内側に配置されると、ピアサー502およびストップ530は、ケース200の第1および第2の開口部211、212を通してそれぞれ露出される。ただし、第1および第2のシール331、332は、2つの開口部211、212を覆い、針挿入器100が使用できるようになる前に外部物体がピアサー520およびストップ530と相互作用しないことを確実にする。同様に、第3のシール333は、第3および第4の開口部213、214を覆い、針挿入器100が使用可能になる前に、外部物体が挿入器アセンブリ500内の針と相互作用しないことを確実にする。
【0034】
カバー300は、ケース200と結合するように構成され、挿入器センブリ500がケース200に挿入される開口部をカバーする。カバー300は、Oリング320に囲まれたOリング部分302を含む。この配置により、Oリング部分302およびOリング320は、ケース200に挿入された場合に、ケース200の内面とのシールを作成することができる。この実施形態では、固定要素310は、2つの構成要素200、300を共に固定するために、ケース200およびカバー300上の対応するねじ開口部を通過するように構成されたねじである。ケース200、カバー300、および第1、第2、第3のシール331、332、333は共に、針挿入器100が使用できるようになる前に、外部物体が挿入器アセンブリ500と接触しないことを確実にする。また、ボルトなどの当業者に知られている他の適切な固定要素を使用して、ケース200とカバー300を共に固定することができる。
【0035】
図2は、本開示の第1の実施形態による挿入器センブリ500の分解図を示す。挿入器アセンブリ500は、ベース510、ピアサー502、カニューレアセンブリ520、可動ストップ530、駆動部540、針アセンブリ550、薬剤経路アセンブリ570、エネルギー蓄積部材580、回転子590、およびスリーブ600を含む。上記の各構成要素の機能とベース510との関係については、以下で詳しく説明する。
【0036】
図3は、カニューレアセンブリ520および薬剤経路アセンブリ570の分解図を示す。カニューレアセンブリ520は、カニューレ部分521およびカニューレ基部522を含む。カニューレ部分521およびカニューレ基部522は両方とも内部が中空である。カニューレ基部522は、ホース開口部523と、カニューレ部分521を収容するための開口部を有するカニューレマウント524とを有する。中空カニューレ部分521は、カニューレマウント524に取り付けられて、カニューレ基部522の内部空間にアクセスできるようにする。したがって、カニューレ部分521がカニューレマウント524と結合されると、ホース開口部523に入った液体は、カニューレ基部522の内部空間を通過し、次にカニューレ部分521を通って出ることができる。
【0037】
本実施形態では、薬剤経路アセンブリ570は、取付ピン571、第1のクリンプ572、第2のクリンプ573、およびホース574を含む。取付ピン571は、カニューレ基部522の内部空間にアクセスするために、ホース開口部523に取り付けられるように構成されたより厚い部分を有する。取付ピン571はまた、ホース574の一端に結合されるように構成されたより薄い部分を有し、第1のクリンプ572は、取付ピン571に結合されたホース574の部分を取り囲み、2つの構成要素が確実に固定される。第2のクリンプ573は、後で図で説明されるピアサー502と結合されたホース574の部分を囲むように構成される。
【0038】
本実施形態では、薬剤経路アセンブリ570は、共に組み立てられた4つの構成要素を含む。他の実施形態では、薬剤経路アセンブリ570は、代わりに、カニューレアセンブリ520と組み立てられるのに適した1つのチューブまたは他の数の構成要素を含むことができる。
【0039】
図4は、針アセンブリ550、カニューレアセンブリ520、および薬剤経路アセンブリ570の分解図、ならびに前記構成要素のアセンブリの斜視図を示す。カニューレアセンブリ520および薬剤経路アセンブリ570は、上記のように組み立てられる。一方、針アセンブリ550は、共に結合された針基部551および針部分552を含む。カニューレ基部522は、カニューレ基部522の内部空間へのアクセスを可能にするための針開口部525を含む。したがって、針部分552は、
図4の右側に示されるように、針開口部525を通過し、カニューレ部分521を通過することができる。
【0040】
本実施形態では、カニューレ基部522は、突起527を有する基部連結キー526を含む。一方、針基部551は、突起527と結合するように構成された連結トラフ553を有する。前記構造は、外力がカニューレ部分521内の針部分552に損傷を与える可能性のある針基部551の振動を引き起こさないような方法で、針基部551およびカニューレ基部522が共に結合されることを確実にする。この構成はまた、カニューレ基部522が対応する針基部551と結合されていることを確実にするのに役立つ。また、他の実施形態では、突起527は、針基部551上に配置され得、一方、対応する連結トラフ553は、基部連結キー526上に配置される。他の適切な構成を使用して、針基部551をカニューレ基部522と結合することもできる。
【0041】
図5は、エネルギー蓄積部材580、回転子590、およびスリーブ600の分解図、ならびに前記構成要素のアセンブリの斜視図を示す。回転子590は、エネルギー蓄積部材580を通過し、スリーブ600と結合するための駆動端部591および連結端部592を有する。駆動端部591は、回転子590が、エネルギー蓄積部材580によって回転するように解放される場合に駆動部540(
図2に示す)と相互作用するように構成されている。スリーブ600は、エネルギー蓄積部材580と回転子590の両方を収容するために中空である。スリーブ600は、連結端部592がスリーブ600を通過して結合することを可能にするように構成された回転子連結開口部601を有する。2つの連結端部592のそれぞれは、半径方向外向きに延在および傾斜するフィン593を有する。連結端部592がスリーブ600の内面に押し付けられると、スリーブ600の内面は、フィン593の傾斜面および連結端部592全体を半径方向内側に曲げるように強制する。このようにして、両方の連結端部592は共に、回転子連結開口部601を通過するのに十分に薄くなる。その後、連結端部592は、半径方向外向きに屈曲し、フィン593は、開口部601を取り囲むスリーブ600の外面と係合して、回転子590が引き離されるのを防ぐ。この連結により、回転子590がスリーブ600に対して回転可能になり、回転子590がスリーブ600に対して長手方向に移動するのを防ぐことができる。一方、エネルギー蓄積部材580は2つの端部を有し、一方は回転子590の2つの連結端部592の間に配置され、他方はスリーブ600のノッチ602に配置される。
【0042】
本実施形態では、エネルギー蓄積部材580はねじりばねである。しかし、他の実施形態では、エネルギー蓄積部材580は、エネルギーを蓄積し、解放された場合にエネルギーを解放することができる他の形態の力生成構成要素とすることができる。
【0043】
図6は、ベース510、ピアサー502、カニューレアセンブリ520、駆動部540、針アセンブリ550、および薬剤経路アセンブリ570の分解図を示す。
図7および
図8は、ピアサー502、ベース510、カニューレアセンブリ520、駆動部540、針アセンブリ550、および薬剤経路アセンブリ570のアセンブリの斜視図を示す。ベース510は、薬剤容器を収容するための容器ポート511と、ピアサー502を収容するためのピアサー開口部512とを有する。本実施形態では、第2のクリンプ573によって囲まれたホース574の端部は、ピアサー開口部512の一端に配置され、ピアサー512は、ピアサー開口部512の他端を通過して、ベース510とホース574の両方と結合される。したがって、薬剤容器は、そのシールに穴を開けて、薬剤がピアサー502、ホース574、カニューレ基部522を通って流れ、最後にカニューレ部分521を通って出るようにすることができる。
【0044】
本実施形態では、ベース510は、針アセンブリ550およびカニューレアセンブリ520の挿入を収容およびガイドするように構成されたガイド構造513を有する。ガイド構造513は、針アセンブリ550およびカニューレアセンブリ520に対応するサイズおよび形状の空間を作り出す。
図8に示されるように、ベース510は、カニューレ部分521および針部分552が通過して注入部位に到達するように構成された第4の開口部214を有する。
【0045】
図6および
図7に示されるように、ベース510はまた、駆動部540と結合するように構成された駆動部レスト514を有する。本実施形態では、駆動部540は、針基部551と結合するように構成された第1の部分541、第2の部分542、および駆動部レスト514と結合するように構成された第3の部分543を有する。図示のように、駆動部540の第3の部分543は、駆動部レスト514のサイズに対応するサイズの円形の開口部を有する。したがって、ベース510および駆動部540は、
図7に示されるように、第3の部分543を駆動部レスト514上に置くことによって結合することができる。
【0046】
さらに、
図6に示されるように、針基部551は、駆動部540の第1の部分541が通過して駆動部540を針アセンブリ550と結合するように構成された駆動開口部554を有する。第1の部分541が外力を受けていない場合に、
図7および
図8に示されるように、注入部位開口部514から離れたガイド構造513の一端上の針アセンブリ550の位置を維持する。一方、後で説明するように、外力を第1の部分541に加えて、針アセンブリ550を注入部位開口部514に向かって動かすこともできる。
【0047】
可動ストップ530の取り付けの説明については、
図8を参照されたい。本実施形態では、ベース510は、可動ストップ530を収容するように構成されたストップレスト515を有する。ストップ530は、主要部分531および第1の障害部分532を有する。一方、ストップレスト515は管状であり、主要部分531が通過するためのトンネル516と、第1の障害部分532が通過するための間隙517とを有する。トンネル516の一端は、ストップ開口部518が配置されており、外部物体が、ストップ開口部518を介して主要部分531と相互作用することにより、ストップ530を動かすことができる。
【0048】
エネルギー蓄積部材580、回転子590、およびスリーブ600の設置、ならびにストップ530と回転子590との間の相互作用については、
図9および
図10を参照されたい。本実施形態では、ベース510は、エネルギー蓄積部材580、回転子590、およびスリーブ600のアセンブリを収容するように構成されたスリーブポート517を有する。スリーブポート517は、スリーブポート517の内面に配置された第2の障害部分519を含む。
図2および
図10に示されるように、回転子590は、回転子590が解放された後、駆動部540の第1の部分541と相互作用するように構成された駆動部材591を含む。また、
図10に示されるように、回転子590はまた、回転子590が解放される前に、ストップ530の第1の障害部分532と相互作用するように構成された係合部材592を有する。係合部材592はまた、回転子590が解放された後、第2の障害部分519と相互作用するように構成される。上記の構成要素間の相互作用については、以下で詳しく説明する。
【0049】
エネルギー蓄積部材580、回転子590、およびスリーブ600のアセンブリがベース510のスリーブポート517に挿入されると、回転子590の係合部材592は、スリーブポート517の障害部分518およびストップ530の第1の障害部分532の間の間隙/スペースの間に配置される。
図10参照。
図10に示す本実施形態では、エネルギー蓄積部材580は、回転子590に時計回りの回転力を常に加える。しかし、第1の障害部分532が係合部材592と係合することにより、回転子590のそのような時計回りの回転を防止する。第1の障害部分532が係合部材592から外れるためにストップ530が動かされない限り、エネルギー蓄積部材580は、回転子590を時計回りに回転させることができない。
【0050】
図11は、ストップ530が回転子590を解放した後の針挿入器100の断面図を示す。外部物体を使用して、ベース510のストップ開口部518を通り露出したストップ530を押すことができる。
図12を参照。ストップの530の移動の結果、その第1の障害部分532は、もはや回転子590の係合部材592と係合していない。このように、回転子590は、速やかにエネルギー蓄積部材580の回転力を受けて時計方向に回転される。このような回転の間、駆動部材591は、駆動部540の第1の部分541と相互作用し、第1の部分541を注入部位端部240に向かって下向きに押す。上記のように、第1の部分541は、針アセンブリ550の針基部551と結合されている。また、針基部551は、カニューレアセンブリ520のカニューレ基部522の上に配置されている。したがって、第1の部分541が下向きに押されると、第1の部分541はまた、カニューレアセンブリ520および針アセンブリ550の両方を下向きに押す。この下向きの動きにより、針部分552がケース200の第3の開口部213を通過し、ベース510の第4の開口部214を通過して、注入部位を貫通して開口を作成する。同様に、カニューレ部分521もまた、注入部位開口部514を通過し、針部分552によって作成された開口を通って注入部位に入る。針の貫通とカニューレの挿入手順が完了した。
【0051】
図12は、回転子590がスリーブポート517の第2の障害部分519によってそれ以上回転するのを妨げられた後の針挿入器100の断面図を示す。上記のように、エネルギー蓄積部材580は、針の貫通およびカニューレ挿入手順が達成された後でも、回転子590に絶えず回転力を加える。回転子590は、最終的に、その係合部材592が第2の障害部材519と係合し、エネルギー蓄積部材580がもはや回転子590を回転させることができない点まで回転する。
図12を参照。この時点で、駆動部材591は、第1の部分541とはもはや係合していない。したがって、駆動部540の弾力性は、第1の部分541が上方に移動することを可能にする。第1の部分541が針基部551と結合されているので、この動きはまた、針アセンブリ550全体を上方に移動させる。
【0052】
他方、ベース510は、注入部位開口部514の隣の内面に配置された一対のロック部材610を有する。本実施形態では、ロック部材610は、フックの形状をしている。カニューレアセンブリ520が注入部位開口部514に向かって押されると、カニューレ基部522は、基部510の内面に到達するために、ロック部材610を半径方向外側に押す。カニューレ基部522がベース510の内面に到達すると、ロック部材は半径方向内側に屈曲し、次いでカニューレ基部522の外面の切り欠きと係合する。ロック部材610のフック形状は、カニューレアセンブリ520が第1の部分541によって針基部551と共に戻されないことを確実にする。したがって、カニューレアセンブリ520および針アセンブリ550は、第1の部分541がその初期位置に戻る場合に分離する。針の引き抜きとカニューレのロック手順が完了した。
【0053】
これで、針の引き抜きおよびカニューレのロック手順が完了したので、針部分552は、カニューレ部分521内の空間をもはや占有しない。したがって、薬剤容器を容器ポート501に挿入してそのシールをピアサー502で貫通させた後、その中の薬剤は、ピアサー502、ホース574、カニューレ基部522、カニューレ部分521を通って流れ、最終的には注入部位へ流入する。
【0054】
図13は、本開示の第2の実施形態による例示的な針挿入器10の分解図を示す。針挿入器10は、ケース20、駆動アーム30、針アセンブリ40、カニューレアセンブリ50、回転子60、ねじりばね70、停止部材80、および接続部材90を含み、回転子60は、第1の回転子61および第2の回転子62を含む。第2の回転子62は、図解を容易にするために透明にされている。
【0055】
一方、
図14は、本開示の第2の実施形態による針挿入器10の斜視図を示している。ケース20は、図解を容易にするために透明にされている。ケース20は、針挿入器10の残りを収容するためのベース21、駆動アーム30の一端と結合するための駆動アーム部分22、針アセンブリ40およびカニューレアセンブリ50を収容し、それらの動きをガイドするためのガイド構造23、第1の回転子61を収容するための第1の回転子スタンド24、第2の回転子62を収容するための第2の回転子スタンド25、および停止部材80を収容するための停止部材スタンド26を含む。ベース21は、針アセンブリ40およびカニューレアセンブリ50がケース20を通過してケース20の外側に出るための針開口部27を含む。ベース21はまた、カニューレアセンブリ50をベース21に後で固定するためのロック部材28を含む。ケース20はまた、作動部材(図示せず)が通過して停止部材80と相互作用し、次に回転子60を解放するように構成された作動開口部29を含む。ケース20の要素と針挿入器10の残りの部分との間の相互作用については、後でさらに説明する。
【0056】
本実施形態では、ねじりばね70は、第1の回転子61から切り出された空間(
図13に示す)に収容され、第1の回転子61に絶えず回転力を及ぼす。第1の回転子61およびねじりばね70は両方とも第1の回転子スタンド24に配置されている。
【0057】
図13に示すように、停止部材80をベース21に結合するために、停止部材80は、停止部材スタンド26(
図14に示す)の開口部に挿入されるように構成された第1の突起81を有する。しかし、第1の突起81は、停止部材スタンド26内に固定されず、スタンド停止部材80は、停止部材スタンド26の軸に対して回転可能である。停止部材80は、回転子60全体がねじりばね70によって回転するのを防ぐために、第1の回転子61と結合するように構成された第2の突起82を有する。
図13に示すように、第1の回転子61は、第2の突起82を収容するように構成された停止溝63を含む。上記のように、ねじりばね70は、第1の回転子60に常に回転力を加える。第2の突起82は、回転力を吸収し、第1の回転子60の回転を防ぐことができる。停止部材80はまた、第2の突起82を時計回りまたは反時計回りのいずれかの方向に回転させるために押されるように構成された第3の突起83を有する。第3の突起83の目的は、第1の回転子61を解放するために、続けて第2の突起82を停止溝63から回転させるためにユーザーによって回転されることである。上記のように、ケース20はまた、作動部材(図示せず)が通過するように構成された作動開口部29を含む。作動部材は、第3の突起83を押して、第2の突起82を停止溝63から回転させることにより、回転子60が解放され、次にねじりばね70によって回転させることができる。
【0058】
ケース20は、第1の実施形態のピアサー502と同様のピアサーを取り付けることができるピアサー開口部92を備えた容器ポート91を含む。薬剤容器を容器ポート91に挿入してシールを貫通させ、内部の薬剤がピアサーを通って流れてケースの内部に到達できるようにすることができる。
【0059】
第1の回転子61および第2の回転子62は、ねじりばね70の回転力が両方の回転子61、62を同時に回転させることができるように、共に結合されることを意図されている。第1の回転子61は、回転子開口部66を有し、第2の回転子62は、回転子開口部66に取り付けられるように構成された対応する回転子突起67を有する。回転子開口部66と回転子突起67の両方の形状は円形ではないので、ねじりばね70からの回転力は、第1の回転子61から回転子突起64、次に第2の回転子62に伝達され得る。
【0060】
本実施形態では、駆動アーム30の第1の部分31は、ケース20の駆動アーム部分22と回転可能に結合されている。第1の部分31は、駆動アーム部分22の2つの開口部と整列するように構成された開口部を有する。接続部材90は、次いで、駆動アーム部分22と駆動アーム30を結合するために3つの開口部の空間に嵌め込まれる。また、第1の部分31が駆動アーム部分22に回転可能に連結されるために、接続部材90、第1の部分31の開口部、及び対応する駆動アーム部分22の開口部は、好ましくは、円形または他の適切な形状を有している。
【0061】
駆動アーム30は、カム開口部32をさらに含み、第2の回転子62は、カム開口部32内に取り付けられるように構成されたカム65を含む。上記のように、ねじりばね70からの回転力は、第1の回転子61と第2の回転子62の両方を回転させる。開口部32の内側に取り付けられたカム65は、第2の回転子62が駆動アーム30と直接相互作用することを可能にする。このようにして、回転力をカム65から駆動アーム30に伝達することができる。しかし、第1の部分31はケース20のベース21と結合されているので、カム65からの回転力は、カム65がカム開口部32内を移動することを可能にし、駆動アーム30を上下に枢動させる。したがって、ねじりばね70が回転子60を回転させ続ける限り、駆動アーム30は連続的に上下に枢動する。
【0062】
導入針40は、針部分41と、針部分41の一端に配置された針基部42とを含む。一方、駆動アーム30は、基部42を把持するように構成された第2の部分33を有する。駆動アーム30が回転子60からの回転力によって下向きに枢動すると、第2の部分33は、基部42および針アセンブリ40全体をベース20に向かって下向きに駆動し、針部分41がベース21の針開口部27を通過できるようにし、針の貫通を開始する。
【0063】
カニューレ50は、カニューレ部分51と、カニューレ部分51の一端に配置されたカニューレ基部52とを含む。カニューレ基部52は、導入針40の針部分41が通過することを可能にする第1の開口部53を有する。カニューレ部分51は内部が中空であり、カニューレ部分51の内部の空間は、カニューレ基部52の第1の開口部53に接続されている。また、針部分41は、カニューレ部分51よりも長い。したがって、針アセンブリ40の針部分41は、カニューレ部分51を完全に貫通することができ、その結果、その鋭い端部は、カニューレ部分51の外側に現れることができる。
図15を参照。針部分41がカニューレ部分51を通過すると、針アセンブリ40の基部42は、カニューレ50のカニューレ基部52に当接する。その後、針アセンブリ40を動かす力は、カニューレアセンブリ50に伝達され、針アセンブリ40とカニューレアセンブリ50を共にベース21に向かって下向きに動かす。また、
図14に示されるように、ガイド構造23は、カニューレ50の基部52の形状を収容するように構成されている。ガイド構造23は、カニューレ基部52の3つの突起に対応する間隙を有する。したがって、各突起は、対応する間隙でのみ移動できる。ガイド構造23の中央通路の形状もカニューレ基部52の形状に対応している。ガイド構造23が基部52の形状に対応する形状を有する理由は、針アセンブリ40およびカニューレアセンブリ50が常にベース21に対して少なくとも実質的に垂直に保たれることを確実にするためである。また、カニューレ基部52は、薬剤が通過するための薬剤チューブに接続されるように構成された第2の開口部(図示せず)を含む。第2の開口部は、カニューレ部分51に接続されている。したがって、第2の開口部を通過する薬剤は、カニューレ基部52、カニューレ部分51、そして最終的には注射器部位に入ることができる。
【0064】
上記のように、ピアサーを有する容器ポート91は、薬剤容器を挿入してそのシールを貫通させ、その結果、内部の薬剤がピアサーを通って流れてケースの内側に到達できるようにする。チューブを使用して、ピアサーおよびカニューレ基部52の第2の開口部に接続することができる。このようにして、容器内の薬剤は、ピアサー、チューブ、カニューレ基部52、およびカニューレ部分51を通って流れ、最終的に注入部位に入ることができる。
【0065】
最初に、停止部材80の第2の突起82が第1の回転子61の停止溝63に配置されて、ねじりばねの力を吸収し、回転子60が回転するのを防ぐ。第2の突起82が停止溝63から出るまで、何も起こらない。
【0066】
次に、作動部材がケース20の作動開口部29を通過して、第3の突起83を押し、第2の突起82を回転させて停止溝63から外す。第2の突起82が停止溝63を離れる瞬間、ねじりばね70の力により、第1の回転子61および第2の回転子62が回転を開始する。第2回転子62が回転すると、カム開口部32の内側に位置する第2回転子62のカム65は、力を駆動アーム30に伝達して、駆動アーム30をベース21に向かって下向きに押す。また、駆動アーム30の第1の部分31がケース20の駆動アーム部分22に固定されているので、駆動アーム30全体は、駆動アーム部分22に対して旋回する。第2の部分33にかかる力は、針アセンブリ40の基部42に伝達され、続いてカニューレアセンブリ50のカニューレ基部52に伝達される。力は、針アセンブリ40およびカニューレ50の両方をベース21に向かって下向きに動かし、2つ構成要素は、2つの構成要素を取り囲むガイド構造23の案内により、ベース20に対して垂直に維持される。
【0067】
針アセンブリ40の針部分41は、ベース21上の針開口部27を通過して、典型的にはユーザーの皮膚である注射器部位を貫通することによって開口を作成する。カニューレ部分51は、針部分41に続き、注入部位に入る。さらに、カニューレ50のカニューレ基部52がそのより低い位置に到達し、ベース21と実質的に接触する。ベース21上のロック部材28は、カニューレ基部52と結合して、カニューレ基部52をベース21に、およびカニューレ部分51を少なくとも部分的に注入部位内に固定する。
【0068】
本実施形態のロック部材28は、前の実施形態のロック部材610と類似ており、フック形状を有する。カニューレアセンブリ50がベース21に向かって押されると、そのカニューレ基部52は、ベース21に到達するためにロック部材28を外側に押す。カニューレ基部52がベース21に到達すると、ロック部材28はそれらの初期位置に戻り、それぞれカニューレ基部52と係合する。ロック部材28のフック形状は、カニューレアセンブリ50が、駆動アーム30によって針アセンブリ40と共に後で持ち上げられないことを確実にする。言い換えると、カニューレアセンブリ50と針アセンブリ40は、駆動アーム30がその初期位置に戻る場合に分離する。
【0069】
針部分41がベース21の針開口部27を通過した後、ねじりばね70は回転子60を回転させ続け、第2の回転子62のカム65は駆動アーム30を回転させ続けることができる。その後、ねじりばね70からの力は、カム開口部32内のカム65を強制して、駆動アーム30を上方に回転させ、ベース21から離す。駆動アーム30の第2の部分33は、針アセンブリ40の基部42と結合されているので、駆動アーム30は、針アセンブリ40をケース20に引き戻す。
【0070】
この移動中、針部分41は、注入部位から引き出され、カニューレ50内の空間を通過して、基部52の第2の開口部からカニューレ部分51の開口部までの明確な通路を作り出す。このようにして、薬剤は、次に、第2の開口部55を通って流れ、カニューレ部分51を出て、薬剤注射のための注入部位に入ることができる。この段階で、針挿入器10は、針アセンブリ40を使用して注入部位に開口を作成し、カニューレ50を注入部位に挿入し、針アセンブリ40をケース20に引っ込めて戻すという目的を達成し、カニューレ50を通って流れ、注入部位に入る薬剤のための通路を作成する。
【0071】
図では、薬物送達装置の1つまたは複数の構成要素間の係合を提供するための様々な係合機能が示されている。係合機能は、スナップロック、スナップフィット、フォームフィット、バヨネット、ルアーロック、スレッド、またはこれらの設計の組み合わせなど、任意の適切な接続機構である。他の設計も可能である。
【0072】
図示された構成要素は、例としてのみ意図されていることを理解されたい。他の例示的な実施形態では、より少ない構成要素、追加の構成要素、および/または代替の構成要素も可能である。さらに、本開示の上記で示された実施形態は、非限定的な例と見なされるべきであり、それらは、特許請求の範囲内で修正され得ることを理解されたい。
【0073】
様々な態様および実施形態が本明細書に開示されているが、他の態様および実施形態は、当技術分野の当業者には明らかであろう。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は、例示を目的とするものであり、限定することを意図するものではなく、真の範囲は、そのような請求項が権利を有する同等物の全範囲とともに、以下の請求項によって示される。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【符号の説明】
【0074】
10,100 針挿入器
20,200 ケース
21 ベース
22 駆動アーム部分
23 ガイド構造
27 針開口部
28 ロック部材
29 作動開口部
30 駆動アーム
31 第1の部分
32 カム開口部
33 第2の部分
40 針アセンブリ
42 針基部
50 カニューレアセンブリ
51 カニューレ部分
52 カニューレ基部
60 回転子
80 停止部材
90 接続部材
91 容器ポート
92 ピアサー開口部