IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プレモ,エスアー.の特許一覧

<>
  • 特許-磁気パワー・ユニット用の伝熱性ボビン 図1
  • 特許-磁気パワー・ユニット用の伝熱性ボビン 図2
  • 特許-磁気パワー・ユニット用の伝熱性ボビン 図3
  • 特許-磁気パワー・ユニット用の伝熱性ボビン 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】磁気パワー・ユニット用の伝熱性ボビン
(51)【国際特許分類】
   H01F 30/10 20060101AFI20240122BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H01F30/10 E
H01F30/10 G
H01F30/10 J
H01F30/10 S
H01F27/32 150
H01F27/32 170
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022162843
(22)【出願日】2022-10-10
(65)【公開番号】P2023059249
(43)【公開日】2023-04-26
【審査請求日】2022-10-10
(31)【優先権主張番号】21382925
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520161894
【氏名又は名称】プレモ,エスアー.
(74)【代理人】
【識別番号】100081053
【弁理士】
【氏名又は名称】三俣 弘文
(72)【発明者】
【氏名】ナバッロ ペレス,フランシスコ エツェクイエル
(72)【発明者】
【氏名】カネテ カベツァ,クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ロハス クエバス,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ムニン,ラクエル
(72)【発明者】
【氏名】アリツァ バクエロ,ミゲル エンジェル
(72)【発明者】
【氏名】ブランコ オルティス,ホアン
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ゴンザレス,パブロ
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2008-0047015(KR,A)
【文献】特開2014-130949(JP,A)
【文献】特開2004-119609(JP,A)
【文献】特開昭56-079807(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106189001(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 5/02、27/32、30/10、37/00
H01B 3/30-3/47
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気パワー・ユニット用の伝熱性ボビン(5)において、
前記伝熱性ボビン(5)は、注入かつ重合可能な熱可塑性組成物製であり、
前記熱可塑性組成物は、その全重量に対し、
プラスチック・ポリマーを5%から15%、
添加材を最大10%、
炭化ケイ素製マイクロ粒子を20%から45%、
鉱油中に分散しているアルミ製ナノ粒子を25%から55%
含有し、その結果、前記伝熱性ボビンは、5kV/mm以上の誘電耐性を有する
ことを特徴とする磁気パワー・ユニット用の伝熱性ボビン
【請求項2】
前記プラスチック・ポリマーは、
ポリブチレン テレフタレート,
ポリカプロラクタム,
ポリ(ヘキサメチレン アディパミド),
ポリエチレン テレフタレート,
ポリエーテル エーテル ケトン,
ポリイミド
からなる群から選択される
ことを特徴とする請求項1記載の伝熱性ボビン。
【請求項3】
前記添加材は、分散材、潤滑材、防炎材、又はそれらの組み合わせから選択される
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の伝熱性ボビン。
【請求項4】
前記分散材は、ポリエチレンイミンとポリカルボニルアルキルノキの液化した又は凝縮した生成物である
ことを特徴とする請求項3記載の伝熱性ボビン。
【請求項5】
前記潤滑材はシリコン油である
ことを特徴とする請求項3記載の伝熱性ボビン。
【請求項6】
前記防炎材は水酸化アルミニウムである
ことを特徴とする請求項3記載の伝熱性ボビン。
【請求項7】
前記アルミ製ナノ粒子は100nm以下のD50を有する
ことを特徴とする請求項1-2のいずれかに記載の伝熱性ボビン。
【請求項8】
前記炭化ケイ素製マイクロ粒子は10μm以下のD50を有する
ことを特徴とする請求項1-2のいずれかに記載の伝熱性ボビン。
【請求項9】
前記伝熱性ボビンは10kΩ/mm以上の電気抵抗を有する
ことを特徴とする請求項1-2のいずれかに記載の伝熱性ボビン。
【請求項10】
前記伝熱性ボビンは1.8W/mK以上の伝熱性を有する
ことを特徴とする請求項1-2のいずれかに記載の伝熱性ボビン。
【請求項11】
伝熱性ボビン(5)と磁気コア(3)とを有する誘導性ユニットにおいて、
前記伝熱性ボビンは、注入かつ重合可能な熱可塑性組成物製であり、
前記熱可塑性組成物は、その全重量に対し、
プラスチック・ポリマーを5%から15%、
添加材を最大10%、
炭化ケイ素製マイクロ粒子を20%から45%、
鉱油中に分散しているアルミ製ナノ粒子を25%から55%
含有し、その結果、前記伝熱性ボビンは、5kV/mm以上の誘電耐性を有する
ことを特徴とする伝熱性ボビンと磁気コアとを有する誘導性ユニット。
【請求項12】
(X)前記プラスチック・ポリマーは、
ポリブチレン テレフタレート,
ポリカプロラクタム,
ポリ(ヘキサメチレン アディパミド),
ポリエチレン テレフタレート,
ポリエーテル エーテル ケトン,
ポリイミドからなる群から選択される、
(Y)前記アルミ製ナノ粒子は、100nm以下のD50を有する、
(Z)前記炭化ケイ素製マイクロ粒子は、10μm以下のD50を有する
の内のいずれか又は全てを満たす
ことを特徴とする請求項11記載の誘導性ユニット。
【請求項13】
前記添加材は、分散材、潤滑材、防炎材、又はそれらの組み合わせから選択され、
前記分散材は、ポリエチレンイミンとポリカルボニルアルキルノキシの液化した又は凝縮した生成物である、
前記潤滑材は、シリコン油である、
前記防炎材は、水酸化アルミニウムである
ことを特徴とする請求項11記載の誘導性ユニット。
【請求項14】
複数の誘導性ユニットを有する変圧機を構成する組立体において、
前記各誘導性ユニットは磁気コア(3)と伝熱性ボビン(5)を有し、
前記ボビン(5)は、注入かつ重合可能な熱可塑性組成物製であり、
前記熱可塑性組成物は、その全重量に対し、
プラスチック・ポリマーを5%から15%、
添加材を最大10%、
炭化ケイ素製マイクロ粒子を20%から45%、
鉱油中に分散しているアルミ製ナノ粒子を25%から55%
含有し、その結果、前記伝熱性ボビンは、5kV/mm以上の誘電耐性を有する
ことを特徴とする複数の誘導性ユニットを有する変圧機を構成する組立体。
【請求項15】
(X)前記プラスチック・ポリマーは、
ポリブチレン テレフタレート,
ポリカプロラクタム,
ポリ(ヘキサメチレン アディパミド),
ポリエチレン テレフタレート,
ポリエーテル エーテル ケトン,
ポリイミドからなる群から選択される
(Y)前記アルミ製ナノ粒子は、100nm以下のD50を有する、
(Z)前記炭化ケイ素製マイクロ粒子は、10μm以下のD50を有する
の内のいずれか又は全てを満たす
ことを特徴とする請求項14記載の組立体。
【請求項16】
前記添加材は、分散材、潤滑材、防炎材、又はそれらの組み合わせから選択され、
前記分散材は、ポリエチレンイミンとポリカルボニルアルキルノキシの液化した又は凝縮した生成物である、
前記潤滑材はシリコン油である、
前記防炎材は水酸化アルミニウムである
ことを特徴とする請求項14記載の組立体。
【請求項17】
400KHz以上の切り替え周波数で動作する
ことを特徴とする請求項14記載の組立体。
【請求項18】
前記複数の誘導性ユニットは、アルミ製ケースに収納され、前記ケースは、複数の小部屋に分かれ、前記各小部屋は前記誘導性ユニットを収納する
ことを特徴とする請求項14記載の組立体。
【請求項19】
前記ケースは伝熱性が0.8W/mK以上のポリイミド製絶縁材で充填されている
ことを特徴とする請求項18記載の組立体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気パワー・ユニットの誘導性巻線要素に関し、特に伝熱性(熱伝導性)が良くかつ高い誘電耐力(high dielectric regidity)即ち高い電気抵抗(high electrci resistivity)のボビンに関する。
【0002】
本発明は、磁気コアとボビンを有する誘導性ユニットと、この複数の誘導性ユニットを有する変圧器の形態の誘導性組立体に関する。この誘導性ユニットは鋳型で形成した伝熱性の良い一体型のケース内に収納される。
【文献】US6143819A
【文献】EP1772877B1(ES2337279T3)
【文献】EP3796342A1、特願2022-514582(権利者:本出願人)
【文献】EP2188200(権利者:本出願人)
【文献】CN111161940A(権利者:Egston)
【文献】KR20080047015A(権利者:LG)
【背景技術】
【0003】
特許文献1は合成シートを開示する。この合成シートは、伝熱性、耐熱性、電気的/機械的特性、化学耐性が優れたものである。この合成シートは、有機繊維性化合物、無機充填材、マトリックス樹脂を含む。有機繊維性化合物はアラミド繊維を含む。無機充填材は伝熱性が20℃で1W/mK以上である。その為、発電機や変圧器の分野で絶縁材として広く使用されている。
【0004】
特許文献2は熱放散を改善したMF変圧器を開示する。特に変圧器やチョークの様な誘導性ユニットを開示する。特に化学反応発電に対し(電気)絶縁性の優れた中周波の変圧器(MF変圧器)を開示する。これは例えば鉄道の分野で応用される技術を開示する。
【0005】
特許文献3は変圧器組立体を開示する。この変圧器組立体は金属製ボックス内の複数の小部屋内に配置された複数の磁気ユニットを有する。この金属製ボックスは、アルミ製、アルミ合金製、マグネシウム合金製のいずれかであるが、金属製で伝熱性の良い壁とカバーを有し、その中に各磁気コアと第1と第2のコイルとを収納する。金属製ボックスの材料は、伝熱性が70W/mK以上である。変圧器組立体はストッパーを有し、このストッパーはこの実施例ではカプセル化した電気端末を有する。これにより、絶縁物内の空洞内で磁気ユニットの一次巻線と二次巻線の接続が可能になる。このことは、その狭い領域の空洞を充填する伝熱性の良い材料の絶縁特性に依存しなくてよくなる点で重要である。更にストッパーにより、金属製小部屋内に磁気コアを確実に保持できるようになる。
【0006】
特許文献3の金属製ボックスは、カスタム設計で巻線領域の許容度に合わせる為に開口を有するベースを有する。これらの開口により、磁気コアが液体冷却放熱板に接触して取り付けられると、巻線から冷却用アルミまでの距離が最小になり、最適な伝熱が可能となる。その理由は最小厚さと材料への伝熱通路が短くなるからである。かくして銅(巻線)で発生する損失は、それ故に短時間で効率良く無くすことができる。同様に金属製ボックスは、特に調整された内側で隆起した支持部を具備し、磁気コアの同質表面を受け入れる。この内側支持部は、磁気コアと直接接触し、コアの電力損失に起因する熱の放散を最大にする。この熱は、直接磁気材料から金属製ボックスに、そこから更に液体冷却板へと伝わる。金属製ボックスは、搭載用穴を有し、金属製ボックスを搭載用ポイントに取り付ける。
【0007】
内側支持部の搭載用ポイントは磁気コアと直接接触している。これによりコアの電力損失により生成された熱の放散を最大にできる。
【0008】
更に、特許文献3の磁気ユニットの磁気コアは、金属製ボックスの別々の小部屋に収納される。金属製ボックスの中央部分は水平方向で同一レベルにある。その結果、変圧器組立体の動作状態において、等しい温度勾配が達成される。
【0009】
更に交換周波数が5倍になると、各サイクルにおける損失が増加し、その結果放散すべき熱量も増える。このような最適化された設計により、各サイクルにおける損失を減少させるだけでなく急速な熱放散が可能になり、動作温度を破壊リスクレベル(180℃)以下に維持できる。
【0010】
特許文献4は複数の磁気ユニットを有する変圧器組立体を開示する。各磁気ユニットは、磁気コアと巻線とカバーとを有する。巻線は金属ボックスの小部屋内に配置される。この小部屋は、Sintered Spark Plasma (SSP)のナノグラファイトの伝熱性の良い金属製壁で分離されている。
【0011】
特許文献5は多相変圧器を開示する。この変圧器はハウジングと誘導変圧器ユニットを有する。この誘導変圧器ユニットは、磁気組立体、一次コイル、二次コイル、誘導コイルを有する。配置空間が3つ以上ハウジング内に形成される。このハウジングは隣接する2つの配置空間を分ける障壁を有する。各配置空間は誘導性変圧器ユニットを有する。
【0012】
特許文献5は注入可能で多重化可能な熱可塑性化合物製の伝熱性の良いボビンを開示する。このボビンは、組成物の総重量に対し、5w%-15w%のプラスチック・ポリマーと、アルミ片と、5w%-90w%の炭化ケイ素製マイクロ粒子と、最大10w%の添加物とを有する。しかしこの溶液/溶剤は、高い誘電耐力を伝熱性の良いボビンに与えていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
伝熱性の良いプラスチック材料の大部分は、磁界の存在下で使用すると、導電性でありそれ故に渦電流損失を誘導する導電粒子/チャージ(charge)を組み込んでいる。それ故に、極高周波のパワー変圧器(以下単に「変圧器」とも言う)は、伝熱性の良いボビンで動作可能である。市販の伝熱性が良く注入可能な材料は、Celanese's CoolPoly或いはLod's 又はLati's 組み込みグラファイト(伝熱性が極めて良い)である。これらの材料が導電性を持たないことを確実にするために、Alアルミ製ナノ粒子と、伝熱性の良い高純度の絶縁セラミックを使用する。この為材料の組成が複雑になり高価であり、注入成形する際にレオロジーの問題が生じることがある。
【0014】
それ故に、パワー・ユニットの技術分野における従来の技術開発にもかかわらず、磁気パワー・ユニットの熱放散を、コストをかけずに機器を大型化することなしに、改善する別の技術が求められている。このため本発明は、熱分散が極めて大きいボビン即ちコイル・フォーマー(巻線を収納する)を提案する。
【0015】
この為、多重化した(polymerized)化合物から得られたプラスチック材料でボビンを形成することを提案する。このプラスチック材料は、互いに絶縁された金属製粒子と半導体性のSiC充填材の混合物が使用される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的、即ち磁気パワー・ユニットの熱放散を上記の従来技術のそれ以上に増やす為に、更にはコストを抑える為に、本発明は、電磁要素(electromagnetic component)のために、伝熱性は良く、しかし高い絶縁性を達成するボビンを形成し使用することである。
【0017】
本発明は、磁気パワー・ユニット用に伝熱性の良いボビンを提供する。このボビンは、注入かつ重合可能な熱可塑性組成物製であり、鋳型(モールド)に注入され重合化されて形成される。前記注入可能な熱可塑性組成物は、その全重量に対し、
プラスチック・ポリマーを5w%から15w%、
鉱油中に分散しているアルミ製ナノ粒子を25w%から55w%
炭化ケイ素製マイクロ粒子を20w%から45w%、
添加材を最大10w%
含有する。
【0018】
前記伝熱性ボビンは、注入可能な熱可塑性組成物を重合化し網目状化して形成され、5kV/mm以上の誘電耐性(dielectric rigidity)を有する。
【0019】
電磁部品を形成するために、磁気コアの有無を問わず、磁界が形成され、この磁界は伝熱性ボビンの回りに閉じ込められる。
【0020】
本発明の一実施例によれば、前記プラスチック・ポリマーは、
ポリブチレン テレフタレート(polybutylene terephthalate),
ポリカプロラクタム(polycaprolactam),
ポリ(ヘキサメチレン アディパミド)((poly(hexamethylene adipamide)),
ポリエチレン テレフタレート((polyethylene terephthalate)),
ポリエーテル エーテル ケトン(polyether ether ketone),
ポリイミド(polyimide)からなる群から選択される。
添加材は、分散材、潤滑材(例:シリコン油)、防炎材(例:水酸化アルニウム)、それらの組み合わせから選択される。
【0021】
本発明の一実施例によれば、分散材は、ポリエチレンイミン(polyethyleneimine)とポリカルボニルアルキルノキシ(polycarbonylalkylenoxy)の液化した又は凝縮した生成物(SOLPERSEとして公知)である。
【0022】
本発明の一実施例によれば、アルミ製ナノ粒子は100nm以下のD50を有し、炭化ケイ素製マイクロ粒子は10μm以下のD50を有する。
【0023】
実験を、熱可塑性組成物を重合化し架橋化してボビンの形態で構成されたものに対し実行した結果、このボビンは、10kΩ/mm以上の電気抵抗と、1.8W/mK以上の伝熱性を有することが解った。
【0024】
伝熱性ボビンの材料は、磁界による誘導電流に対する高い抵抗性を支持する。これは、導電粒子即ちチャージは、有機立体構造分散材、ポリマー・マトリックス、鉱油により互いに分離されていることによる高い抵抗性に起因する。
【0025】
本発明は、磁気コアとボビンを有する誘導性ユニットに関し、更に複数の誘導性ユニット、好ましくは400KHz以上の切り替え周波数で動作する複数の誘導性ユニットを有する変圧器の形態の誘導性組立体に関する。
【0026】
この誘導性組立体の実施例において、複数の誘導性ユニットは、注入鋳型で形成された単品の純アルミ製の伝熱性ケースに収納される。このケースは、複数の小部屋を規定する垂直壁を有し、各部屋は少なくとも1つの誘導性ユニットを収納できる。このケースは、1.8W/mK以上の伝熱性を有するポリイミド絶縁物で充填される。
【0027】
本実施例において記載された平行、直角、角度等の物理的な値については理論的定義に対し±5°の誤差まで許容可能である。
【0028】
本実施例について記載された値は、最大値/最小値の中で必ずしも最適なものではないかも知れないが、本発明を実施する場合、当業者は本実施例について記載された値を参考に適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施例により、2つの小部屋を有するケース内に2つの変圧器と2つのチョークをそれぞれ有する誘導体組立体の展開斜視図である。このケースは伝熱性樹脂で充填されアルミ製トップカバーで閉じられている。
図2】本発明の他の実施例による誘導体組立体の展開斜視図である。
図3】本発明の他の実施例により、LLC技術で使用される一連の共鳴誘導体を具備する変圧器に対応する3つの小部屋のケースを有する組立体の展開斜視図である。
図4】本発明の他の実施例の展開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明が提案する熱可塑性材料は、
ガラス遷移温度が200℃以上で注入可能なポリマー(PBT、PA6、PA66、PET,PRET,Peek又はポリイミド)を10-12w%、
鉱油中に分散しているアルミ製ナノ粒子(100nm以下)を30-50w%、
炭化ケイ素(SiC)製マイクロ粒子(10μm以下)を最大25-40w%、
他の立体構造分散添加材(例:防炎材、グラスファイバー粒子、液化材、潤滑材、冷却材)を最大7w%
含む。この熱可塑性材料は1.8W/Km以上の高い伝熱性と10KΩ/mm以上の高い電気抵抗を有する。
【0031】
この熱可塑性組成物は磁界による誘導電流に対する高い抵抗を示す。その理由は、導電粒子即ちチャージは、有機立体構造分散材、ポリマー・マトリックス、鉱油により、互いに絶縁状態に置かれる即ち分離されているからである。
【0032】
本発明は、特にこれらの熱可塑性組成物により注入成形されたボビン(コイル形成体)に適したものである。このボビンは、導電性ワイヤの巻線を収納し、コアの有無を問わず、そこに磁界を閉じ込める。
【0033】
誘導機即ち変圧器は、この材料を組み込んだリールで形成され、SiC切り替えシステムで使用され、高周波(400KHz以上)で切り替え動作する。このSiC切り替えシステムは高い/良好な伝熱性と渦電流(Eddy Current)損失に対する高い抵抗性を必要とする。
【0034】
図示する実施例は一連の共鳴誘導機を有する変圧器組立体である。この変圧器組立体はこれらのリールと材料で形成されたLLC技術分野で使用される。この変圧器組立体は、高い熱の橋渡し(伝熱性)を示し、磁気ひずみを回避できる適応性がある。熱放散と伝熱性は2W/Km以上であり、これは、シリコン・ポリマーと天然充填材(特に特許文献3に記載の第3の充填材)をベースとして形成される。
【0035】
図1は本発明の変圧器組立体を構成する部品を示す。これら部品は注入鋳型で形成された一体型ケース2内に収納される。このケース2は、伝熱性の良い純アルミ製で、垂直壁が複数の小部屋を規定し、その中に誘導性ユニットが収納される。
【0036】
各誘導性ユニットは磁気コア3を有する。この磁気コア3はフェライト製の半分に切った2つを組み合わせて用いられるE型をした部品から形成される。その中央突起部はボビン5で包囲される。このボビン5は上記した組成物の重合化と架橋化により得られた材料で形成される。この実施においては巻線4がボビン5上に巻かれる。各変圧器はチョークに整合している。このチョークはボビン5と巻線4と磁気コア3を有する。このケース2はポリイミド製絶縁材6で充填される。このポリイミド製絶縁材6の伝熱性は0.8W/mk以上である。トップカバー即ち蓋1は、ねじ7で固定されアルミ製ケース2を閉じる。
【0037】
図2本発明の他の実施例を示す。各変圧器のフェライト・コア3とボビン7と巻線6は図1とは異なる形状をしている。プラスチック製スペーサ5を各変圧器ユニットに用いる。チョークはフェライト・コア3とボビン7と巻線6とを有する。このケース2は伝熱性樹脂8で充填される。シリコン製チューブ11は、端子と各変圧器ユニットとを鳩目10を介して接続する。
【0038】
図3は小部屋を3つ有するケースの実施例を示す。この小部屋は変圧器とチョークとを有するパワー・ユニットに対応する。
【0039】
図4においてこのパワー組立体はLLCコンバータで動作する。これは炭化ケイ素半導体製である。この実施例のパワー組立体を用いることにより、システムは高周波(200kHz-800kHz)で切り替え可能である。この実施例では200kHz-300kHzで動作し、シリコンMOSトランジスタ(20kHz-150kHz)より高い周波数で動作する。
【0040】
図面の参照番号の示す部品名は全図において必ずしも同じではない。上記の説明は本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない(特許法施行規則24条の4及び様式29の2の「備考」14のロ)。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。「少なくとも1つ或いは複数」、「と/又は」は、それらの内の1つに限定されない。例えば「A,B,Cの内の少なくとも1つ」は「A」、「B」、「C」単独のみならず「A,B或いはB,C更には又A,B,C」のように複数のものを含んでもよい。「A,B,Cの内の少なくとも1つ」は、A,B,C単独のみならずA,Bの組合せA,B,Cの組合せでもよい。「A,Bと/又はC」は、A,B,C単独のみならず、A,Bの2つ、或いはA,B,Cの全部を含んでもよい。本明細書において「Aを含む」「Aを有する」は、A以外のものを含んでもよい。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。

図1
図2
図3
図4