(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】3Dライトフィールドディスプレイのクロストーク補償
(51)【国際特許分類】
H04N 13/125 20180101AFI20240122BHJP
H04N 13/327 20180101ALI20240122BHJP
H04N 13/305 20180101ALI20240122BHJP
G02B 30/10 20200101ALI20240122BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240122BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H04N13/125
H04N13/327
H04N13/305
G02B30/10
G09G5/00 X
G09G5/00 550C
G09G5/10 B
(21)【出願番号】P 2022506242
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(86)【国際出願番号】 US2021070394
(87)【国際公開番号】W WO2022220889
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペロー,ジョン・ディ
【審査官】佐野 潤一
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-331600(JP,A)
【文献】特開2012-039643(JP,A)
【文献】国際公開第2014/097365(WO,A1)
【文献】特開2001-258052(JP,A)
【文献】特開2015-156607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0143895(US,A1)
【文献】特開平07-307959(JP,A)
【文献】特開2019-054513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 13/00
G09G 5/00
G02B 30/00
G03B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
複数のセルを有するディスプレイ上で、前記ディスプレイの前記複数のセルの各セルにクロストーク測定操作を行って複数のクロストーク測定値を生成するステップを含み、前記複数のセルの各セルは、観察者の左目および右目にそれぞれに向けられた左チャネルおよび右チャネルにおいて輝度を生成し、前記複数のクロストーク測定値の各々は、第2チャネルにおいて測定される第1チャネルからの輝度の割合を表し、前記第1チャネルは、前記左チャネルおよび前記右チャネルの一方のチャネルであり、前記第2チャネルは、前記左チャネルおよび前記右チャネルの他方のチャネルであり、前記方法は、さらに、
前記ディスプレイのFOV(視野)内に前記観察者を検出したことに応答して、前記複数のクロストーク測定値に基づいて、前記複数のセルのうち1つのセルにクロストーク補償操作を行うステップを含み、
前記クロストーク補償操作は、前記ディスプレイのそのセルに対応する各繰り返し領域での輝度値を測定することと、測定された前記輝度値に基づいて各繰り返し領域でのクロストーク測定値を求めることと、前記ディスプレイのそのセルのLUT(ルックアップテーブル)に前記クロストーク測定値を格納することと、を含み、
前記クロストーク補償操作は、前記右チャネルにある前記左チャネルからの前記輝度の割合、および前記左チャネルにある前記右チャネルからの前記輝度の割合を、前記観察者が認識できるしきい値よりも小さい値まで低減
し、
前記ディスプレイは、複数の繰り返し領域を規定するレンチキュラー光学素子を有する自動立体視ディスプレイを含み、前記複数の繰り返し領域の各々は、前記左チャネルまたは前記右チャネルであり、かつ、前記観察者における輝度の位相周期に対応する、方法。
【請求項2】
方法であって、
複数のセルを有するディスプレイ上で、前記ディスプレイの前記複数のセルの各セルにクロストーク測定操作を行って複数のクロストーク測定値を生成するステップを含み、前記複数のセルの各セルは、観察者の左目および右目にそれぞれに向けられた左チャネルおよび右チャネルにおいて輝度を生成し、前記複数のクロストーク測定値の各々は、第2チャネルにおいて測定される第1チャネルからの輝度の割合を表し、前記第1チャネルは、前記左チャネルおよび前記右チャネルの一方のチャネルであり、前記第2チャネルは、前記左チャネルおよび前記右チャネルの他方のチャネルであり、前記方法は、さらに、
前記ディスプレイのFOV(視野)内に前記観察者を検出したことに応答して、前記複数のクロストーク測定値に基づいて、前記複数のセルのうち1つのセルにクロストーク補償操作を行うステップを含み、前記クロストーク補償操作は、前記右チャネルにある前記左チャネルからの前記輝度の割合、および前記左チャネルにある前記右チャネルからの前記輝度の割合を、前記観察者が認識できるしきい値よりも小さい値まで低減し、
前記ディスプレイは、複数の繰り返し領域を規定するレンチキュラー光学素子を有する自動立体視ディスプレイを含み、前記複数の繰り返し領域の各々は、前記観察者における輝度の位相周期に対応し、
前記ディスプレイの前記複数のセルの各セルに前記クロストーク測定操作を行うステップは、
前記ディスプレイのそのセルに対応する各繰り返し領域での輝度値を測定するステップと、
測定した前記輝度値に基づいて各繰り返し領域でのクロストーク測定値を求めるステップと、
前記ディスプレイのそのセルのLUT(ルックアップテーブル)に前記クロストーク測定値を格納するステップとを含み、
各繰り返し領域での前記クロストーク測定値を求めるステップは、
繰り返し領域について、前記繰り返し領域での前記輝度値のコントラストを生成するステップを含み、前記繰り返し領域の前記クロストーク測定値は、前記コントラストとは反比例して変動する
、方法。
【請求項3】
前記繰り返し領域での前記輝度値の前記コントラストを生成するステップは、
前記輝度値に補間操作を行って前記繰り返し領域での輝度の連続曲線を生成するステップを含み、前記輝度値の前記コントラストは、前記連続曲線上の前記輝度の値に基づく、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
方法であって、
複数のセルを有するディスプレイ上で、前記ディスプレイの前記複数のセルの各セルにクロストーク測定操作を行って複数のクロストーク測定値を生成するステップを含み、前記複数のセルの各セルは、観察者の左目および右目にそれぞれに向けられた左チャネルおよび右チャネルにおいて輝度を生成し、前記複数のクロストーク測定値の各々は、第2チャネルにおいて測定される第1チャネルからの輝度の割合を表し、前記第1チャネルは、前記左チャネルおよび前記右チャネルの一方のチャネルであり、前記第2チャネルは、前記左チャネルおよび前記右チャネルの他方のチャネルであり、前記方法は、さらに、
前記ディスプレイのFOV(視野)内に前記観察者を検出したことに応答して、前記複数のクロストーク測定値に基づいて、前記複数のセルのうち1つのセルにクロストーク補償操作を行うステップを含み、前記クロストーク補償操作は、前記右チャネルにある前記左チャネルからの前記輝度の割合、および前記左チャネルにある前記右チャネルからの前記輝度の割合を、前記観察者が認識できるしきい値よりも小さい値まで低減し、
前記ディスプレイは、複数の繰り返し領域を規定するレンチキュラー光学素子を有する自動立体視ディスプレイを含み、前記複数の繰り返し領域の各々は、前記観察者における輝度の位相周期に対応し、
前記ディスプレイの前記複数のセルの各セルに前記クロストーク測定操作を行うステップは、
前記ディスプレイのそのセルに対応する各繰り返し領域での輝度値を測定するステップと、
測定した前記輝度値に基づいて各繰り返し領域でのクロストーク測定値を求めるステップと、
前記ディスプレイのそのセルのLUT(ルックアップテーブル)に前記クロストーク測定値を格納するステップとを含み、
前記複数のセルのうちの1つのセルに前記クロストーク補償操作を行うステップは、
そのセルの前記LUTを取得するステップと、
前記セルの前記繰り返し領域の各々について、その繰り返し領域の前記クロストーク測定値に基づいて補償係数を生成するステップと、
その繰り返し領域内の左チャネルおよび右チャネルにおける測定輝度値に前記補償係数を適用するステップとを含む
、方法。
【請求項5】
前記補償係数を生成するステップは、
行列の逆行列を形成するステップを含み、前記行列は、対角要素として1を有し、非対角要素として前記補償係数を有し、前記補償係数を生成するステップは、さらに、
左チャネルおよび右チャネルにおける測定した前記輝度値をベクトルの要素として有する前記ベクトルを、前記行列の前記逆行列で乗算するステップを含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
各繰り返し領域での輝度値を測定するステップは、
前記ディスプレイ上に少なくとも1つのテストパターンを描画するステップを含み、前記少なくとも1つのテストパターンは、測定のための前記輝度値を生成する、請求項
1~請求項
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのテストパターンは、連続した交互の明視野線および暗視野線を含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのテストパターンは、連続した交互の位相シフト線を含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのテストパターンは、市松模様を含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項10】
処理回路によって実行されると、前記処理回路に請求項1~請求項
9のいずれか1項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項11】
電子機器であって、
メモリと、
前記メモリに結合された制御回路とを備え、前記制御回路は、請求項
10に記載のコンピュータプログラムを実行するように構成されている、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、3次元ライトフィールドディスプレイのクロストーク補償に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
立体視3D(3次元)ディスプレイは、わずかに視点が異なるビューを観察者の2つの目の各々に送ることによって観察者に3D画像を提示して、観察者に没入型体験を与える。観察者の視覚系は、奥行きがある画像を観察者が3Dで見ることができるように両眼立体視を引き起こすことによって、当該画像を解釈できるようにこれら2つの視点画像を処理し得る。左チャネルおよび右チャネルで観察者のそれぞれ左目および右目にステレオ画像を送る立体視ディスプレイもある。
【0003】
3Dライトフィールドディスプレイは、観察者が特別なヘッドギアを装着しなくても立体視画像を認識することを可能にする自動立体視エフェクトを作り出せる立体視ディスプレイである。例示的な3Dライトフィールドディスプレイは、レンチキュラー光学系を使用して自動立体視エフェクトを与える。レンチキュラー光学系は、表示画面に嵌合されたシート上に形成された、連続した縦方向に向けられたシリンドリカルレンズとして形成され得る。
【発明の概要】
【0004】
概要
一般的な一態様では、方法は、複数のセルを有するディスプレイ上で、ディスプレイの複数のセルの各セルにクロストーク測定操作を行って複数のクロストーク測定値を生成するステップを含み得、複数のセルの各セルは、観察者の左目および右目にそれぞれに向けられた左チャネルおよび右チャネルにおいて輝度を生成し、複数のクロストーク測定値の各々は、第2チャネルにおいて測定される第1チャネルからの輝度の割合を表し、第1チャネルは、左チャネルおよび右チャネルの一方のチャネルであり、第2チャネルは、左チャネルおよび右チャネルの他方のチャネルである。また、本方法ディスプレイのFOV(視野)内に観察者を検出したことに応答して、複数のクロストーク測定値に基づいて、複数のセルのうち1つのセルにクロストーク補償操作を行うステップを含み得、クロストーク補償操作は、右チャネルにある左チャネルからの輝度の割合、および左チャネルにある右チャネルからの輝度の割合を、観察者が認識できるしきい値よりも小さい値まで低減する。
【0005】
一般的な別の態様では、非一時的な記憶媒体を備えたコンピュータプログラムプロダクトであって、コンピュータプログラムプロダクトは、コードを含み、コードは、コンピューティングデバイスの処理回路によって実行されると、処理回路に方法を実行させる。方法は、ディスプレイのFOV(視野)内に観察者を検出したことに応答して、複数のクロストーク測定値に基づいて、複数のセルのうち1つのセルにクロストーク補償操作を行うステップを含み得、クロストーク補償操作は、右チャネルにある左チャネルからの輝度の割合、および左チャネルにある右チャネルからの輝度の割合を、観察者が認識できるしきい値よりも小さい値まで低減する。
【0006】
一般的な別の態様では、電子機器は、メモリと、メモリに結合された制御回路とを備える。制御回路は、複数のセルを有するディスプレイ上で、ディスプレイの複数のセルの各セルにクロストーク測定操作を行って複数のクロストーク測定値を生成するように構成され得、複数のセルの各セルは、観察者の左目および右目にそれぞれに向けられた左チャネルおよび右チャネルにおいて輝度を生成し、複数のクロストーク測定値の各々は、第2チャネルにある第1チャネルからの輝度の割合を表し、第1チャネルは、左チャネルおよび右チャネルの一方のチャネルであり、第2チャネルは、左チャネルおよび右チャネルの他方のチャネルである。また、制御回路は、ディスプレイのFOV(視野)内に観察者を検出したことに応答して、複数のクロストーク測定値に基づいて、複数のセルのうち1つのセルにクロストーク補償操作を行うように構成され得、クロストーク補償操作は、右チャネルにある左チャネルからの輝度の割合、および左チャネルにある右チャネルからの輝度の割合を、観察者が認識できるしきい値よりも小さい値まで低減する。
【0007】
1つ以上の実施態様の詳細を、添付の図面および以下の説明において記載する。本明細書および図面から、ならびに請求の範囲からその他の特徴も明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】3Dライトフィールドディスプレイの例を示す図である。
【
図1B】本明細書において説明する技術的解決策を実現するための電子環境の例を示す図である。
【
図2A】レンチキュラーディスプレイのセルの一連の繰り返し領域の例を示す図である。
【
図2B】レンチキュラーディスプレイのセルの一連の繰り返し領域に対する輝度測定の例を示す図である。
【
図3A】繰り返し領域の位相補正割合およびその輝度を変更した場合の位相シフトされた格子テストパターンの例を示す図である。
【
図3B】ディスプレイの異なるセルにある繰り返し領域の輝度と位相との関係を示す一連のグラフの例を示す図である。
【
図4】
図1Bに示す電子環境内で改良技術を実行する方法例を説明するフローチャートである。
【
図5】上述した回路とあわせて使用できるコンピュータデバイスおよびモバイルコンピュータデバイスの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
従来の3Dライトフィールドディスプレイの技術的課題は、左チャネルと右チャネルとの間で生じるクロストークまたは漏れ込みと関係がある。クロストークとは、第1チャネル(たとえば、左)における光のうち、第2(たとえば、右)チャネルに漏れる光の量として定義されている。このようなディスプレイにおけるクロストークは、ゴーストの発生およびコントラストの喪失、3Dエフェクトおよび深度解像度の喪失、視聴者が不快に感じる、融像限界の低下、画質低下および視覚的快適性の低下、ならびに深度認識度の低下につながる可能性がある。
【0010】
上述した技術的課題がある3Dライトフィールドディスプレイとは対照的に、上述した技術的課題に対する技術的解決策は、ディスプレイの複数のセルの各セルにクロストーク測定操作を行って複数のクロストーク測定値を生成した後、ディスプレイのFOV(視野)に観察者を検出したことに応答して、複数のセルの各セルにクロストーク補償操作を行って、観察者が認識できるしきい値よりも小さい値までクロストークを低減することを含む。たとえば、レンチキュラーディスプレイの一部は複数のセルを有しており、いくつかの実施態様では、これらのセルは画素または画素群を含む。各セルは、連続した繰り返し領域で輝度を生成し、各繰り返し領域は、左チャネルまたは右チャネルであり、これらの繰り返し領域は、これらのチャネルを交互にした領域である。各繰り返し領域は、FOV(視野)における1つの360度周期の位相によって規定される。各繰り返し領域内の位相での輝度の値を分析することによってコンピュータがクロストークを測定してもよい。いくつかの実施態様では、各セルは、クロストーク値のルックアップテーブルに対応付けられる。ディスプレイのFOVにおいて観察者が検出されると、このコンピュータは、測定輝度値を使用してクロストーク補償操作を行う。
【0011】
上述した技術的解決策の技術的利点は、クロストークが知覚されてしまうことが技術的解決策によって回避され、これに従って、観察者が向上した没入型体験をできるようになることである。
【0012】
いくつかの実施態様では、ディスプレイは、複数の繰り返し領域を規定するレンチキュラー光学素子を有する自動立体視ディスプレイであり、複数の繰り返し領域の各々は、観察者における輝度の位相周期に対応する。いくつかの実施態様では、ディスプレイの複数のセルの各セルにクロストーク測定操作を行うステップは、ディスプレイのそのセルに対応する各繰り返し領域での輝度値を測定するステップと、測定した輝度値に基づいて各繰り返し領域でのクロストーク測定値を求めるステップと、ディスプレイのそのセルのルックアップテーブル(LUT)にクロストーク測定値を格納するステップとを含み得る。
【0013】
いくつかの実施態様では、各繰り返し領域でのクロストーク測定値を求めるステップは、繰り返し領域について、繰り返し領域での輝度値のコントラストを生成するステップを含み得、繰り返し領域のクロストーク測定値は、コントラストとは反比例して変動する。
【0014】
いくつかの実施態様では、繰り返し領域での輝度値のコントラストを生成するステップは、輝度値に補間操作を行って繰り返し領域での輝度の連続曲線を生成するステップを含み得、輝度値のコントラストは、連続曲線上の輝度の値に基づく。
【0015】
いくつかの実施態様では、複数のセルのうちの1つのセルにクロストーク補償操作を行うステップは、そのセルのLUTを取得するステップと、その後、セルの繰り返し領域の各々について、その繰り返し領域のクロストーク測定値に基づいて補償係数を生成するステップと、その後、その繰り返し領域内の左チャネルおよび右チャネルにおける測定輝度値に補償係数を適用するステップとを含み得る。
【0016】
いくつかの実施態様では、補償係数を生成するステップは、行列の逆行列を形成するステップを含み得、行列は、対角要素として1を有し、非対角要素として補償係数を有し、補償係数を生成するステップは、さらに、左チャネルおよび右チャネルにおける測定した輝度値をベクトルの要素として有するベクトルを、行列の逆行列で乗算するステップを含み得る。
【0017】
いくつかの実施態様では、各繰り返し領域での輝度値を測定するステップは、ディスプレイ上に少なくとも1つのテストパターンを描画するステップを含み得、少なくとも1つのテストパターンは、測定のための輝度値を生成する。
【0018】
いくつかの実施態様では、少なくとも1つのテストパターンは、連続した交互の明視野線および暗視野線を含み得る。いくつかの実施態様では、少なくとも1つのテストパターンは、連続した交互の位相シフト線を含み得る。いくつかの実施態様では、少なくとも1つのテストパターンは、市松模様を含み得る。
【0019】
図1Aは、3Dライトフィールドディスプレイ100の例を示す図である。具体的には、ディスプレイ100は、レンチキュラーディスプレイである。
【0020】
図1に示す3Dライトフィールドディスプレイアセンブリ102は、レンチキュラーレンズアレイ106に結合された(たとえば、接合された)高解像度表示パネル107を少なくとも備えた、組立式ディスプレイを表す。これに加えて、アセンブリ102は、レンチキュラーレンズアレイと高解像度表示パネル107との間に設置された1つ以上のガラススペーサー108を含み得る。レンズアレイ106(たとえば、マイクロレンズアレイ)およびガラススペーサー108は、ディスプレイアセンブリ102の動作中、特定の見る条件において、ユーザの左目が視線110によって示されているように画像に関連する第1サブセットの画素を見て、ユーザの右目が視線112によって示されているように相互排他的な第2サブセットの画素を見るよう、設計され得る。
【0021】
いくつかの実施態様では、第1サブセットの画素のうち少なくとも1つの画素と、第2サブセットの画素のうち少なくとも1つの画素とが、ディスプレイの1つのセルを形成する。
図2に関して示されているように、各セルは、1つの位相周期ごとに、交互の左チャネルおよび右チャネルにおいて輝度を生成する。このような周期が繰り返し領域に含まれている。すなわち、1つのセルが複数の繰り返し領域を含んでいる。第1チャネル(左または右)の1つの繰り返し領域内で、他方のチャネルからのクロストークがあり得る。
【0022】
図1Bは、上述した改良技術が実装され得る電子環境の例を示す図である。
図1Bに示すように、例示的な電子環境は、補償回路120と、3Dライトフィールドディスプレイ100と、較正カメラ160とを備える。
【0023】
補償回路120は、ネットワークインターフェース122と、1つ以上の処理部124と、メモリ126と、表示インターフェース128とを備える。ネットワークインターフェース122は、ネットワークから受信した電気信号および/または光信号をコンピュータ120が使用するための電子的形式に変換するための、たとえば、Ethernet(登録商標)アダプターなどを含む。一連の処理装置124は、1つ以上の処理チップおよび/またはアセンブリを含む。メモリ126は、揮発性メモリ(たとえば、RAM)、および、1つ以上のROM、ディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどの不揮発性メモリの両方を含む。一連の処理装置124、およびメモリ126は、あわせて制御回路を形成する。制御回路は、本明細書において説明する様々な方法および機能を実行するように構成および配置されている。表示インターフェース128は、3Dライトフィールドディスプレイ100と連携するためのアダプターを備える。
【0024】
いくつかの実施の形態では、補償回路120の構成要素のうち、1つ以上の構成要素が、メモリ126に格納された命令を処理するように構成されたプロセッサ(たとえば、処理部124)を備え得る。
図1Bに図示されているようなこのような命令として、クロストーク測定マネージャ130、クロストーク補償マネージャ140、および画像描画マネージャ150などが挙げられる。さらには、
図1に示すように、メモリ126は、様々なデータを格納するように構成される。メモリ126については、このようなデータを使用するそれぞれのマネージャで説明する。
【0025】
クロストーク測定マネージャ130は、ディスプレイ100の各セルにおけるクロストーク測定データ136を補償回路120に取得させるように構成される。ここで、測定データは、補償操作において使用される。いくつかの実施態様では、クロストーク測定マネージャ130は、ネットワークインターフェース122を通して、すなわち、ネットワークを通して補償回路120にクロストーク測定データ136を取得させる。いくつかの実施態様では、クロストーク測定マネージャ130は、補償回路120に、表示インターフェース128を通してクロストーク測定データ136を取得させる。
【0026】
いくつかの実施態様では、クロストーク測定マネージャ130は、ディスプレイ100上にテストパターンを表示し、テストパターンが表示されると、ディスプレイ100のセル内の各繰り返し領域内の測定輝度を記録することによって、補償回路120にディスプレイ100のFOV内のクロストーク測定値を取得させる。
図1Bに示すように、クロストーク測定マネージャ130は、テストパターンマネージャ132を備える。
【0027】
テストパターンマネージャ132は、クロストーク測定を行う際に用いられるテストパターンデータ134をディスプレイ100のために取得するように構成される。いくつかの実施態様では、テストパターンマネージャ132は、クロストーク測定のためのテストパターンデータ134を生成するように構成される。いくつかの実施態様では、テストパターンマネージャ132は、ローカルストレージまたはリモートストレージからテストパターンデータ134を取り出すように構成される。いくつかの実施態様では、テストパターンマネージャ132は、様々な測定を行うためにテストパターンデータ134を順番に並べるように構成される。たとえば、いくつかの実施態様では、特定のピッチを有する連続した位相シフト線を用いてディスプレイクロストークが測定され得る。いくつかの実施態様では、位相シフト線は、モアレパターンに含まれ得、回折格子パターンに含まれ得る。いくつかの実施態様では、パターンの位相シフト線は、暗視野線と交える明視野線であり、ディスプレイにおける不均一性をなくす。パターンのピッチは、隣接する明るい線と暗い線とが繰り返しパターンを形成した場合の当該明るい線の幅と暗い線の幅との和として規定され得る。いくつかの実施態様では、テストパターンデータ134は、市松模様を含む。クロストーク測定値の例が
図3Aおよび
図3Bに関して示されている。
【0028】
いくつかの実施態様では、クロストーク測定は、較正カメラ160を用いてFOVにおいて行われる。1つの繰り返し領域内またはいくつかの繰り返し領域での1つのセルの輝度を測定するようにカメラ160が配置され得る。セルからセルにカメラ160を動かしてもよく、または、ディスプレイの様々なセルから照射される光を捕らえるようにカメラ160に角度をつけてもよい。較正カメラ160は、ネットワークインターフェース122または表示インターフェース128を介してワイヤレスまたは有線接続で補償回路120に接続され得る。
【0029】
いくつかの実施態様では、クロストークは、第2チャネルに向けられたもののうち第1チャネルにある輝度または光エネルギーの割合として定義される。すなわち、クロストークとは、左画像チャネルと右画像チャネルとが完全に切り離されてないことであり、一方のチャネルからのコンテンツが他方のチャネルにおいて測定されてしまう。
【0030】
いくつかの実施態様では、クロストークは、1つの繰り返し領域での光の輝度(輝きの強さ)と位相との関係に基づいて判断され得る。このような関係(
図3Aおよび
図3Bに例が示されている)は、この繰り返し領域で最大輝度と最小輝度とを有し得る。その後、繰り返し領域内の位相での輝度のコントラストに基づいて繰り返し領域内のクロストークが判断され得る。いくつかの実施態様では、クロストークは、繰り返し領域内のコントラストとして定義される。すなわち、繰り返し領域での最小輝度が繰り返し領域内の最大輝度よりもかなり小さい場合、クロストークは少ない。繰り返し領域での最小輝度が繰り返し領域内の最大輝度と比較して小さくない場合、クロストークは多い。
【0031】
クロストーク測定データ136は、ディスプレイ100の各セルの各繰り返し領域内のクロストーク測定値を表す。
図1Bに示すように、クロストーク測定データ136は、ディスプレイ100のセルごとに表示セルデータ137(1)、137(2)、…、137(N)を含む。(ディスプレイにはN個のセルがあると想定する。)いくつかの実施態様では、表示セルデータごとのデータは、そのセルを識別する表示セル識別子を含む。いくつかの実施態様では、表示セル識別子は、セルに対応する数値であり、たとえば、表示セルデータ137(1)の場合、「1」である。
【0032】
表示セルごとのデータは、ルックアップテーブルデータを含む。たとえば、表示セルデータ137(1)は、対応するルックアップテーブルデータ138(1)を含み、表示セルデータ137(2)は、対応するルックアップテーブルデータ138(2)を含み、以下同様である。ルックアップテーブルデータ137(1)は、そのセルの各繰り返し領域内のクロストーク測定値を表す。いくつかの実施態様では、ルックアップテーブルデータ138(1)は、繰り返し領域の識別子とクロストーク測定値とを含むカラムを有するテーブルの形をとる。いくつかの実施態様では、このテーブルは、FOV内の観察者の位置を含むカラムも有し得る。いくつかの実施態様では、テーブルは、FOV内の観察者の視線方向を含むカラムも有し得る。いくつかの実施態様では、セルには、異なる視認状態、すなわち、異なる観察者の位置および視線方向について異なるLUTがある。このような実施態様では、その後、補償回路120は、特定の視認状態に対応するLUTを取り出すであろう。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
画像描画マネージャ150は、ディスプレイ100上に、観察者が視聴するための補償画像コンテンツを描画する、すなわち、描画補償画像152を描画するように構成される。いくつかの実施態様では、画像描画マネージャ150は、較正カメラ160による較正および/またはクロストーク測定のためにディスプレイ上に連続したテストパターンを描画する、すなわち、テストパターンデータ134を描画するようにも構成される。
【0038】
図2Aは、レンチキュラーディスプレイ200のセル220の一連の繰り返し領域210(1L)、…、210(3R)の例の上面図を示す図である。
【0039】
【0040】
【0041】
図2Bは、レンチキュラーディスプレイのセルの一連の繰り返し領域に対する輝度測定の例を示す図である。
図2Bに示すように、
図1Bについて説明したように、繰り返し領域の輝度の測定は、較正カメラ250を使用して実現される。基準となる市松模様テストパターンを使用することによって、クロストーク測定マネージャ130は、較正カメラ250の位置および向き(視点)を取得する。いくつかの実施態様では、クロストーク測定マネージャ130は、位置および向きを取得する際にコンピュータビジョン技術を利用する。すなわち、視点ごとに、その視点を規定する市松模様がある。その後、クロストーク測定マネージャ130は、位相シフト線を用いて視点のクロストークを規定する。
【0042】
連続した位相シフトモアレまたは回折格子テストパターンのいずれかを使用して各繰り返し領域内のクロストークを測定する。これらのパターンによる輝度を、
図3Aおよび
図3Bに示す。
【0043】
図3Aは、ディスプレイの1つのセルの1つの繰り返し領域での位相補正割合およびそれらの輝度を変化させた場合の位相シフト格子テストパターン300の例を示す図である。
図3Aに示すように、テストパターン300は、一連の暗視野線310と明視野線320とを含む。テストパターン300では、線310および線320は、特定の角度で傾いている。
図3Aに示すように、位相シフトパターン300は、ディスプレイの端から端までの横方向の動き325によってその位相を変化させる。動き325の結果が、レンチキュラーディスプレイと位相シフトされたパターン300との間のビート(beat)パターンである。また、
図3Aに示すように、位相シフトパターン300の線は、縦を基準に傾いている。製造要因のせいで位相シフトされたパターン300にディスプレイが一致していない可能性があるので、このような線の傾きは、有用であり得る。いくつかの実施態様では、テストパターン300は、単純に、交互の位相シフトされた明視野線を有し得る、たとえば、1つ置きの線の位相シフトが180度であり得る。しかし、暗視野線と明視野線、たとえば、線310および線320が交互に存在していることにより、ディスプレイ、たとえば、ディスプレイ100および較正カメラ160の不均一性が取り除かれ得ることが観察された。このような不均一性は、たとえば、レンチキュラー光学系の製造が不完全であることを理由とする画素の明るさの均一性を含む。このような不均一性は、画面中央のテストパターンを画面の端よりも明るくすることで実現され得る。このようにすれば、位相シフトパターン200が、定誤差の発生源に対する感度を抑える。
【0044】
いくつかの実施態様では、テストパターン300は、市松模様、すなわち、暗視野線310および明視野線320の代わりに、交互の暗視野矩形および明視野矩形の形をとってもよい。市松模様を使用することのメリットは、クロストーク測定マネージャ130(
図1B)がたとえばコンピュータビジョン技術を利用してカメラ姿勢を判断し得ることであり、これに従って、そのパターンを用いて観察者の視線方向を判断し得ることである。
【0045】
図3Aに示すような位相を変化させたテストパターン300では、繰り返し領域、すなわち、360度または2πラジアンの完全位相周期での輝度と位相との関係を示す異なるグラフ330、340、350が作られる。たとえば、グラフ330は、0.0という位相補正割合(すなわち、完全位相周期の割合を表すシフト)を用いたテストパターン300から得られたグラフである。なお、このような低い値の位相補正割合の場合、輝度を位相と比較したグラフは、まばらにサンプリングされる。より大きな値の位相補正割合(グラフ340の場合は0.5、グラフ350の場合は1.0)の場合、繰り返し領域内の輝度曲線に生じる間断は小さい。
【0046】
コントラスト、すなわち、繰り返し領域での最大輝度に対する最小輝度の割合に基づいて、これらの曲線からクロストーク測定値が導出される。いくつかの実施態様では、このコントラストは、最大輝度と最小輝度との差と、最大輝度と最小輝度との和との割合として規定され得る。
【0047】
輝度曲線が完全に連続していない場合、いくつかの実施態様では、クロストーク測定マネージャ130は、輝度曲線に補間操作を行って連続した輝度曲線を生成する。輝度曲線から、正確なコントラストが導出され、したがって、クロストーク値が導出され得る。いくつかの実施態様では、使用する補間は、連続した導関数を有する3次スプライン曲線である。いくつかの実施態様では、使用する補間は、線形補間である。
【0048】
図3Aに示すグラフ330、340、および350は、ディスプレイの1つのセルについて生成されたグラフである。しかし、このような輝度と位相との関係を示すグラフは、ディスプレイにおけるセルの位置によって異なり得ることは明らかである。この趣旨で、
図3Bは、ディスプレイ360を、異なるセル370(a)、370(b)、および370(c)とともに示している。これらのセルの各々は、同じような位置、すなわち、FOV内の同じような角度範囲における複数の繰り返し領域についての輝度と位相との関係を示すグラフを生成する。すなわち、グラフ380(a)は、セル370(a)に対応し、グラフ380(b)は、セル370(b)に対応し、グラフ380(c)は、セル370(c)に対応する。これらのグラフ380(a、b、c)は、異なる値のコントラストを示しているので、異なるクロストーク測定値を示している。また、3次スプラインを用いて不連続なグラフ同士が近似されたので、グラフ380(a、b、c)は完全に連続したグラフとなっている。
【0049】
図4は、上述した技術的課題を解決する例示的な方法400を説明したフローチャートである。方法400は、
図1Bに関して説明したソフトウェア構成体によって実行され得る。方法400は、補償回路120のメモリ126に存在しており、一連の処理部124によって実行される。または、方法400は、補償回路120とは異なる(たとえば、遠隔にある)コンピューティングデバイスのメモリに存在するソフトウェア構成体によって実行されてもよい。
【0050】
402では、クロストーク測定マネージャ130は、複数のセル(たとえば、セル370(a、b、c))を含むディスプレイ(たとえば、ディスプレイ360)にクロストーク測定操作を行う。ここで、各セルは、観察者(たとえば、観察者230)の左目および右目(230(L、R))にそれぞれ向けられた左チャネルおよび右チャネルにおいて輝度を生成する。ディスプレイの複数のセルの各セルに対してクロストーク測定操作が行われて、複数のクロストーク測定値(たとえば、クロストーク測定データ136)が生成される。ここで、各クロストーク測定値は、第2チャネルにおいて測定される第1チャネルからの輝度の割合を表す。第1チャネルが左チャネルおよび右チャネルの一方のチャネルであり、第2チャネルが左チャネルおよび右チャネルの他方のチャネルである。
【0051】
404では、ディスプレイのFOV(視野)内に観察者を検出したことに応答して、クロストーク補償マネージャ140は、複数のクロストーク測定値に基づいて、複数のセルのうちの1つのセル(たとえば、セル220)にクロストーク補償操作を行う。クロストーク補償操作によって、観察者が認識できるしきい値よりも小さい値までクロストークが低減する。
【0052】
図5は、本明細書に記載の技術とともに利用され得る、汎用コンピュータデバイス500および汎用モバイルコンピュータデバイス650の例を示す図である。
【0053】
図5に示すように、コンピューティングデバイス500は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、携帯情報端末、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、およびその他の適切なコンピュータなど、様々な形態のデジタルコンピュータを表すよう意図される。コンピューティングデバイス550は、携帯情報端末、携帯電話、スマートフォン、およびその他同様のコンピューティングデバイスなど、様々な形態のモバイル機器を表すよう意図される。本明細書に示す構成要素、それらの接続および関係、ならびにそれらの機能は、例示に過ぎず、本明細書において説明および/またはクレームされた発明の実施態様を限定するものではない。
【0054】
コンピューティングデバイス500は、プロセッサ502と、メモリ504と、記憶装置506と、メモリ504および高速拡張ポート510に接続された高速インターフェース508と、低速バス514および記憶装置506に接続された低速インターフェース512とを備える。構成要素502、504、506、508、510、および512の各々は、様々なバスを用いて互いに接続されており、共通のマザーボード上に実装され得、またはその他の方法で適宜実装され得る。プロセッサ502は、コンピューティングデバイス500内で実行するための命令を処理できる。当該命令は、高速インターフェース508に連結されたディスプレイ516など、外付けの入出力装置上のGUIのためのグラフィック情報を表示するための、メモリ504に格納されたまたは記憶装置506上に格納された命令を含む。その他の実施態様では、複数のプロセッサおよび/または複数のバスが複数のメモリおよび複数種類のメモリとともに適宜利用され得る。また、(たとえば、サーババンク、ブレードサーバ群、または多重プロセッサシステムなどとしての)必要な動作の一部を各々が提供する複数のコンピューティングデバイス500が接続され得る。
【0055】
メモリ504は、コンピューティングデバイス500内の情報を格納する。一実施態様では、メモリ504は、1つまたは複数の揮発性記憶装置である。別の実施態様では、メモリ504は、1つまたは複数の不揮発性記憶装置である。また、メモリ504は、磁気ディスクまたは光ディスクなど、別の形態のコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよい。
【0056】
記憶装置506は、コンピューティングデバイス500用の大容量ストレージを提供できる。一実施態様では、記憶装置506は、フロッピー(登録商標)ディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、もしくはテープ装置、フラッシュメモリもしくは他の同様の固体メモリ装置、または、ストレージエリアネットワークもしくはその他の構成に含まれるデバイスを含むデバイスのアレイなど、コンピュータ読み取り可能な媒体であってもよく、または、コンピュータ読み取り可能な媒体を含んでもよい。コンピュータプログラムプロダクトが情報担体に有形に含まれ得る。また、このコンピュータプログラムプロダクトも命令を含み得る。当該命令は、実行されると、上述した方法など、1つ以上の方法を実行する。情報担体は、メモリ520、記憶装置506、もしくはプロセッサ502上のメモリなど、コンピュータ読み取り可能な媒体または機械読み取り可能な媒体である。
【0057】
高速コントローラ508は、コンピューティングデバイス500のための多くの帯域幅を必要とする動作を管理し、低速コントローラ512は、より低い帯域幅の多くを必要とする動作を管理する。このような機能の割振りは、例示に過ぎない。一実施態様では、高速コントローラ508は、メモリ504、(たとえば、グラフィックスプロセッサまたはアクセラレータを通じて)ディスプレイ516、および高速拡張ポート510に連結される。高速拡張ポート510は、様々な拡張カード(図示せず)を受け付け得る。この実施態様では、低速コントローラ512は、記憶装置506および低速拡張ポート514に連結される。様々な通信ポート(たとえば、USB、Bluetooth(登録商標)、Ethernet(登録商標)、無線Ethernet(登録商標))を含み得る低速拡張ポートは、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナなどの1つ以上の入出力装置、または、スイッチもしくはルータなどのネットワーク装置に、たとえばネットワークアダプタを通じて連結され得る。
【0058】
コンピューティングデバイス500は、図に示すような複数の異なる形態で実現されてもよい。たとえば、標準サーバ520として実現されてもよく、このようなサーバ群で複数回実現されてもよい。また、ラックサーバシステム524の一部として実現されてもよい。これに加えて、ラップトップコンピュータ522など、パーソナルコンピュータで実現されてもよい。これに代えて、コンピューティングデバイス500の構成要素を、デバイス550など、モバイル機器(図示せず)が備えるその他の構成要素と組み合わせてもよい。このようなデバイスの各々は、コンピューティングデバイス500、550のうちの1つ以上を含み得、システム全体が、互いに通信する複数のコンピューティングデバイス500、550から構成され得る。
【0059】
コンピューティングデバイス550は、特に、プロセッサ552と、メモリ564と、ディスプレイ554などの入出力装置と、通信インターフェース566と、送受信器568とを備える。マイクロドライブまたはその他の装置など、記憶装置がデバイス550に設けられて、追加ストレージを提供してもよい。構成要素550、552、564、554、566、および568の各々は、様々なバスを用いて互いに接続されており、これらの構成要素のうちの一部は、共通のマザーボード上に実装さ得、またはその他の方法で適宜実装され得る。
【0060】
プロセッサ552は、メモリ564に格納された命令を含む命令をコンピューティングデバイス450内で実行できる。プロセッサは、別個の複数のアナログプロセッサおよびデジタルプロセッサを含むチップのチップセットとして実現されてもよい。プロセッサによって、たとえば、ユーザインタフェースの制御、デバイス550が実行するアプリケーションの制御、およびデバイス550による無線通信の制御など、デバイス550のその他の構成要素間の協調が可能になってもよい。
【0061】
プロセッサ552は、ディスプレイ554に連結された制御インターフェース558および表示インターフェース556を通じてユーザと通信し得る。ディスプレイ1054は、たとえば、TFT LCD(Thin-Film-Transistor Liquid Crystal Display)もしくはOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、またはその他の適切なディスプレイ技術であり得る。表示インターフェース556は、ディスプレイ554を駆動するための適切な回路を備えて、グラフィック情報およびその他の情報をユーザに提示し得る。制御インターフェース558は、ユーザからコマンドを受信し、プロセッサ552に実行を依頼するために当該コマンドを変換し得る。これに加えて、デバイス550がその他のデバイスと近距離通信できるよう、プロセッサ552と通信する外部インターフェース562が設けられてもよい。外部インターフェース562によって、いくつかの実施態様では、たとえば有線通信、その他の実施態様では、無線通信が可能になり得、また、複数のインターフェースが利用され得る。
【0062】
メモリ564は、コンピューティングデバイス550内の情報を格納する。メモリ564は、1つまたは複数のコンピュータ読み取り可能な媒体、1つまたは複数の揮発性記憶装置、または、1つまたは複数の不揮発性記憶装置、のうちの1つ以上として実現され得る。また、拡張インターフェース572を通してデバイス550に拡張メモリ574が提供および接続され得る。拡張インターフェース572は、たとえば、SIMM(Single In Line Memory Module)カードインタフェースを含み得る。このような拡張メモリ574は、デバイス550のための追加の記憶空間を提供し得、または、デバイス550のためのアプリケーションまたはその他の情報も格納し得る。具体的には、拡張メモリ574は、上述した工程を実行または補助するための命令を含み得、セキュリティ保護された情報も含み得る。よって、たとえば、デバイス550のためのセキュリティモジュールとして拡張メモリ574が提供され得、または、デバイス550のセキュリティ保護された使用を可能にする命令が拡張メモリ574にプログラムされ得る。これに加えて、ハッキングできない方法でSIMMカード上に識別情報を置くなど、セキュリティ保護されたアプリケーションがSIMMカードを介して追加情報とともに提供され得る。
【0063】
メモリは、たとえば、後述するフラッシュメモリおよび/またはNVRAMメモリを含み得る。一実施態様では、情報担体にコンピュータプログラムプロダクトが有形に含まれる。このコンピュータプログラムプロダクトは、命令を含む。当該命令は、実行されると、上述した方法など、1つ以上の方法を実行する。情報担体は、メモリ564、拡張メモリ574、またはプロセッサ552上のメモリなど、コンピュータ読み取り可能な媒体または機械読み取り可能な媒体であり、たとえば、送受信器568または外部インターフェース562を介して受信され得る。
【0064】
デバイス550は、通信インターフェース566を通して無線通信を行い得る。通信インターフェース566は、必要であれば、デジタル信号処理回路を備え得る。通信インターフェース566によって、とくに、GSM(登録商標)音声通話、SMS、EMS、もしくはMMSメッセージング、CDMA、TDMA、PDC、WCDMA(登録商標)、CDMA2000、またはGPRSなど、様々なモードまたはプロトコル下の通信が可能になり得る。このような通信は、たとえば、高周波送受信器568を通して生じ得る。これに加えて、Bluetooth、Wi-Fi、またはその他のこのような送受信器(図示せず)を用いるなどして、近距離通信が生じてもよい。これに加えて、GPS(Global Positioning System)受信機モジュール570は、追加のナビゲーション関係または位置関係の無線データをデバイス550に提供し得る。追加のナビゲーション関係または位置関係の無線データは、デバイス550上で実行するアプリケーションによって適宜利用され得る。
【0065】
また、デバイス550は、オーディオコーデック560を用いて、音声による通信を行い得る。オーディオコーデック560は、ユーザから音声情報を受け付け、使用可能なデジタル情報に変換し得る。同様に、オーディオコーデック560は、たとえば、デバイス550のハンドセットにおいて、スピーカを通してなど、ユーザのために音を生成し得る。このような音は、音声電話通話からの音声を含んでもよく、録音音声(たとえば、音声メッセージ、音楽ファイルなど)を含み得、デバイス550上で動作するアプリケーションによって生成された音も含み得る。
【0066】
コンピューティングデバイス550は、図示したような複数の異なる形態で実現され得る。たとえば、携帯電話580として実現され得る。また、スマートフォン582、携帯情報端末、または他の同様のモバイル機器の一部として実現され得る。
【0067】
本明細書において説明したシステムおよび技術の様々な実施態様は、デジタル電子回路、集積回路、専用に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、および/またはそれらの組合せで実現できる。これらの様々な実施態様は、プログラム可能なシステム上で実行可能および/または解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラムでの実装を含み得る。プログラム可能なシステムは、ストレージシステム、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置に連結されてデータおよび命令を送受信する特定用途プロセッサまたは汎用プロセッサであり得る、少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサを含む。
【0068】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとしても知られる)は、プログラム可能なプロセッサ用の機械命令を含み、高レベルの手続き形言語および/もしくはオブジェクト指向プログラミング言語で、ならびに/またはアセンブリ言語/機械言語で実現できる。本明細書において使用するとき、「機械読み取り可能な媒体」、「コンピュータ読み取り可能な媒体」という用語は、プログラム可能なプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために用いられる任意のコンピュータプログラムプロダクト、装置、および/またはデバイス(たとえば、磁気ディスク、光学ディスク、メモリ、PLD(Programmable Logic Devices))を指し、機械読み取り可能な信号として機械命令を受け付ける機械読み取り可能な媒体を含む。「機械読み取り可能な信号」という用語は、プログラム可能なプロセッサに機械命令および/またはデータを提供するために用いられる任意の信号を指す。
【0069】
ユーザとのやり取りを可能にするために、本明細書に記載のシステムおよび技術は、ユーザに情報を表示するための表示装置(たとえば、CRT(ブラウン管)またはLCD(Liquid Crystal Display)モニタ)と、ユーザがコンピュータに入力を行えるキーボードおよびポインティングデバイス(たとえば、マウスまたはトラックボール)とを備えたコンピュータ上に実装され得る。その他の種類のデバイスを使ってユーザとのやり取りを可能にすることもでき、たとえば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形式の感覚フィードバック(たとえば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバック)であり得、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、触覚入力など、任意の形式で受け付けられ得る。
【0070】
本明細書に記載のシステムおよび技術は、バックエンドコンポーネント(たとえば、データサーバ)を備えるコンピュータシステム、ミドルウェアコンポーネント(たとえば、アプリケーションサーバ)を備えるコンピュータシステム、フロントエンドコンポーネント(たとえば、本明細書に記載のシステムならびに技術の実施態様とユーザがやり取りできるグラフィカルユーザーインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)を備えるコンピュータシステム、またはこのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、フロントエンドコンポーネントの任意の組合せを備えるコンピュータシステムで実現され得る。システムのこれらのコンポーネントは、デジタルデータ通信(たとえば、通信ネットワーク)の任意の形式または媒体によって互いに接続され得る。通信ネットワークとして、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)、およびインターネットなどが挙げられる。
【0071】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバとを備え得る。クライアントとサーバとは、一般に、互いから離れており、通常、通信ネットワークを通じてやり取りを行う。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作し、クライアントとサーバとの関係を互いに有するコンピュータプログラムによって成り立つ。
【0072】
図1Bに戻ると、いくつかの実施態様では、メモリ126は、RAM、ディスクドライブメモリ、フラッシュメモリなど、任意の種類のメモリであり得る。いくつかの実施態様では、補償回路120の構成要素に関連する2つ以上のメモリコンポーネント(たとえば、2つ以上のRAMコンポーネントまたはディスクドライブメモリ)としてメモリ126を実現できる。いくつかの実施態様では、メモリ126は、データベースメモリであり得る。いくつかの実施態様では、メモリ126は、非ローカルメモリであり得、または当該非ローカルメモリを含み得る。たとえば、メモリ126は、複数のデバイス(図示せず)によって共有されるメモリであり得、または、当該メモリを含み得る。いくつかの実施態様では、メモリ126は、ネットワーク内のサーバ装置(図示せず)に関連付けられ、補償回路120の構成要素を提供するように構成され得る。
【0073】
補償回路120の構成要素(たとえば、モジュール、処理装置124)は、1つ以上の種類のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、オペレーティングシステム、ランタイムライブラリなどを含み得る1つ以上のプラットフォーム(たとえば、1つ以上の同様または異なるプラットフォーム)に基づいて動作するように構成され得る。いくつかの実施態様では、補償回路120の構成要素は、デバイスの集まり(たとえば、サーバファーム)内で動作するように構成され得る。このような実施態様では、補償回路120の構成要素の機能および処理は、デバイスの集まりに含まれるいくつかのデバイスに分散され得る。
【0074】
補償回路120の構成要素は、属性を処理するように構成された任意の種類のハードウェアおよび/もしくはソフトウェアであり得、または、当該ハードウェアおよび/もしくはソフトウェアを含み得る。いくつかの実施態様では、
図1Bの補償回路120の構成要素に示される構成要素のうちの1つ以上の部分は、ハードウェアベースのモジュール(たとえば、DSP(デジタル信号プロセッサ:Digital Signal Processor)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、メモリ)、ファームウェアモジュール、および/もしくはソフトウェアベースのモジュール(たとえば、コンピュータコードのモジュール、コンピュータにおいて実行され得る一連のコンピュータ読み取り可能な命令)であり得、または当該ハードウェアベースのモジュールを含み得る。たとえば、いくつかの実施態様では、補償回路120の構成要素のうちの1つ以上の部分は、少なくとも1つのプロセッサ(図示せず)によって実行されるように構成されたソフトウェアモジュールであり得、または、当該ソフトウェアモジュールを含み得る。いくつかの実施態様では、構成要素の機能は、
図1Bに示すモジュールおよび/または構成要素とは異なるモジュールおよび/または構成要素に含まれ得る。
【0075】
図示しないが、いくつかの実施態様では、補償回路120の構成要素(または、その一部)は、たとえば、データセンター(たとえば、クラウドコンピューティング環境)、コンピュータシステム、1つ以上のサーバ装置/ホスト装置内などで動作するように構成され得る。いくつかの実施態様では、補償回路120の構成要素(または、その一部)は、ネットワーク内で動作するように構成され得る。よって、補償回路120の構成要素(もしくはその一部)は、1つ以上の装置および/または1つ以上のサーバ装置を含み得る様々な種類のネットワーク環境内で機能するように構成され得る。たとえば、ネットワークは、LAN(ローカルエリアネットワーク)、WAN(ワイドエリアネットワーク)などであり得、または、当該LANおよびWANを含み得る。ネットワークは、たとえばゲートウェイ装置、ブリッジ、スイッチなどを用いて実現される無線ネットワークおよび/もしくは有線ネットワークであり得、または当該無線ネットワークおよび/もしくは有線ネットワークを含み得る。ネットワークは、1つ以上のセグメントを含み得、ならびに/または、IP(Internet Protocol)および/もしくはプロプライエタリプロトコルなど、様々なプロトコルに基づいてセグメントの一部を有し得る。ネットワークは、少なくともインターネットの一部を含み得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、補償回路120の構成要素のうちの1つ以上は、メモリに格納された命令を処理するように構成されたプロセッサであり得、または当該プロセッサを含み得る。たとえば、デプス画像マネージャ130(および/またはその一部)、視点マネージャ140(および/またはその一部)、レイキャスティングマネージャ150(および/またはその一部)、SDVマネージャ160(および/またはその一部)、アグリゲーションマネージャ170(および/またはその一部)、ルートファインディングマネージャ180(および/またはその一部)、ならびにデプス画像生成マネージャ190(および/またはその一部)は、1つ以上の機能を実現するための処理に関連する命令を実行するように構成されたプロセッサとメモリとの組合せであり得る。
【0077】
いくつかの実施形態を説明したが、本明細書の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよいことが理解されるであろう。
【0078】
ある要素が別の要素の上に設けられる、別の要素に接続される、電気的に接続される、連結される、または電気的に連結されると称される場合、当該要素は、当該別の要素の上に直接設けられ得、接続もしくは連結されえ、または、1つ以上の中間要素が存在し得る、と理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素の上に直接設けられる、別の要素に直接接続される、または直接連結されると称される場合、中間要素は存在しない。~の上に直接設けられる、~に直接接続される、または、~に直接連結される、という用語は、詳細な説明を通して用いられていないかもしれないが、~の上に直接設けられる、~に直接接続される、または、~に直接連結される状態で図示された要素は、そのように称され得る。本願の特許請求の範囲を補正して、明細書において説明されたまたは図示された関係の例を記載してもよい。
【0079】
本明細書に記載したように、上述の実施態様の特定の特徴を例示したが、当業者であれば、今では多くの変形例、代替例、変更例、および均等物に想到するであろう。そのため、当然ながら、特許請求の範囲は、このような変形例および変更例のすべてを実施態様の範囲に包含するものとする。これらはほんの一例として提示されたに過ぎず、限定ではなく、形式および詳細に様々な変更がなされ得ることを理解されたい。本明細書に記載の装置および/または方法のいずれの部分も、相互に排他的な組み合わせを除くあらゆる組合せに組み合わされ得る。本明細書に記載の実施態様は、記載の異なる実施態様の機能、構成要素、および/または特徴の様々な組み合わせならびに/もしくは部分的な組み合わせを含み得る。
【0080】
これに加えて、図示した論理フローは、所望の結果を実現するために、図示した特定の順序であったり、順番通りであったりする必要はない。これに加えて、説明したフローにその他のステップが設けられたり、ステップが排除されたりしてもよく、説明したシステムにその他の構成要素が追加されたり、削除されたりしてもよい。したがって、その他の実施形態も添付の特許請求の範囲に含まれる。