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特許7423762自動車両用の制御モジュールと照明モジュールとの間での認証のための方法
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  • 特許-自動車両用の制御モジュールと照明モジュールとの間での認証のための方法 図1
  • 特許-自動車両用の制御モジュールと照明モジュールとの間での認証のための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】自動車両用の制御モジュールと照明モジュールとの間での認証のための方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/00 20220101AFI20240122BHJP
   H05B 47/175 20200101ALI20240122BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20240122BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20240122BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20240122BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H05B45/00
H05B47/175
H05B47/155
B60Q1/04 E
B60Q1/14 H
H04L9/32 200A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022519245
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2020076638
(87)【国際公開番号】W WO2021058610
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】1910735
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】パトリス、ボワリン
(72)【発明者】
【氏名】ウセム、コウキ
(72)【発明者】
【氏名】フェン、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】エリック、ダナ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゴ、カルボネル
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-094589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/175
H05B 47/155
B60Q 1/04
B60Q 1/14
H04L 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両用の制御モジュール(20)と照明モジュール(100)との間での認証のための方法であって、これらの2つのモジュール(20,100)の少なくとも一方が送信モジュールで他方が受信モジュールであり、前記2つのモジュール(20,100)は、データ送/受信ユニットを備えると共に、前記2つのモジュール同士でデータを交換することを可能とするデータ通信チャネルによって接続されている、前記方法において、
a)少なくとも1つの認証要素(F1)を記述するデータを、前記送信モジュールから前記受信モジュールへ送信する段階と、
b)前記受信モジュールによる前記データの受信に続いて、演算装置を用いて前記認証要素(F1)を検証する段階と、
c)前記受信モジュールにおいて、前記検証に失敗する場合には前記送信モジュールとの通信を打ち切り、そうでない場合には通信を継続する段階と、
を備え、
前記認証要素(F1)は暗号化されたデータを備え、前記受信モジュールは、前記暗号化されたデータが検証されることを可能とする検証データの記憶された記憶素子を備えていることを特徴とする、方法。
【請求項2】
記暗号化されたデータは、前記2つのモジュール同士の間でのデータ交換の日付の表示または計数回数のハッシュ値を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2つのモジュール(20,100)同士の間で公開暗号鍵を交換する予備的段階を備え、この交換される公開暗号鍵の各々は、前記2つのモジュールにそれぞれ関連付けられた公開暗号鍵および秘密暗号鍵からなる鍵ペアの一部をなしている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記認証要素(F1)は、前記送信モジュールの秘密暗号鍵を用いて署名または暗号化されたデータを備えている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
自動車両用の制御モジュール(20)と照明モジュール(100)との間での認証のための方法であって、これらの2つのモジュール(20,100)の少なくとも一方が送信モジュールで他方が受信モジュールであり、前記2つのモジュール(20,100)は、データ送/受信ユニットを備えると共に、前記2つのモジュール同士でデータを交換することを可能とするデータ通信チャネルによって接続されている、前記方法において、
a)少なくとも1つの認証要素(F1)を記述するデータを、前記送信モジュールから前記受信モジュールへ送信する段階と、
b)前記受信モジュールによる前記データの受信に続いて、演算装置を用いて前記認証要素(F1)を検証する段階と、
c)前記受信モジュールにおいて、前記検証に失敗する場合には前記送信モジュールとの通信を打ち切り、そうでない場合には通信を継続する段階と、
を備え、
前記送信モジュールは前記制御モジュール(20)であること、および、前記少なくとも1つの認証要素(F1)を記述する前記データはデータパケットのヘッダ内に含まれ、前記データパケット内のデータが、照明設定値、デフォルト設定値、または前記自動車両に関するデータ(22)の少なくとも一部を記述していることを特徴とする、方法。
【請求項6】
自動車両用の制御モジュール(20)と照明モジュール(100)との間での認証のための方法であって、これらの2つのモジュール(20,100)の少なくとも一方が送信モジュールで他方が受信モジュールであり、前記2つのモジュール(20,100)は、データ送/受信ユニットを備えると共に、前記2つのモジュール同士でデータを交換することを可能とするデータ通信チャネルによって接続されている、前記方法において、
a)少なくとも1つの認証要素(F1)を記述するデータを、前記送信モジュールから前記受信モジュールへ送信する段階と、
b)前記受信モジュールによる前記データの受信に続いて、演算装置を用いて前記認証要素(F1)を検証する段階と、
c)前記受信モジュールにおいて、前記検証に失敗する場合には前記送信モジュールとの通信を打ち切り、そうでない場合には通信を継続する段階と、
を備え、
前記送信モジュールは前記照明モジュール(100)であること、および、前記少なくとも1つの認証要素(F1)を記述する前記データはデータパケットのヘッダ内に含まれ、前記データパケット内のデータが、前記照明モジュールの光源(110)に関する少なくとも幾つかの較正データ(150)を記述していることを特徴とする、方法。
【請求項7】
前記光源(110)はマトリックス光源を備えていることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記送信モジュールの認証要素を記述するデータを検証することに所定の回数失敗した後に、前記2つのモジュール(20,100)同士の間の通信が打ち切られることを特徴とする、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
自動車両用の照明システムであって、制御モジュール(20)と照明モジュール(100)とを備え、当該2つのモジュールが、送/受信ユニットを備えると共に、当該モジュール同士でデータを交換することを可能とするデータ通信チャネルによって接続されているシステムにおいて、前記制御モジュールと前記照明モジュールとが、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の方法の各段階を実施するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項10】
プロセッサによって実行されたときに前記プロセッサが請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の方法を実施していることに帰着する一連の命令を備えたコンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両用の照明モジュールに関するものである。特に本発明は、マトリックス光源を伴っている、そのようなモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、少なくとも1つの閾値強度を有する電流を受けたときに光を放出することのできる半導体電子部品である。自動車両の分野では、光合図用の多くの解決策のためにLED技術がますます用いられて来ている。自動車両の照明の分野においては、LEDマトリックスが特に関心のあるものとなっている。マトリックス光源は、「レベリング」型の機能のため、即ち放出される光ビームの高さを車両の姿勢や道路の縦断面形状に応じて調節するために用いることができる。その他の応用には、DBL(「デジタル・ベンディング・ライト」)やADB(「アダプティブ・ドライビング・ビーム」)が含まれる。前者は、水平面内で道路に従うために、放出される光ビームの方向を調節することに相当するものである。後者は、他の道路使用者を妨害しないよう、ハイビームによって放出される光ビーム内に暗くした区域を生じさせる防眩機能、および、ピクセル化された光ビームを用いて地面上にパターンを投影するための諸機能に相当するものである。
【0003】
慣行として、上述した照明の諸用途のために様々な型式の技術を伴った光源を用いることが知られている。これには、例えばモノリシック技術が含まれ得る。その技術によれば、多数のLED型の(ピクセルと等価な)基本光源が、共通の半導体基板内へとエッチングされる。統合型の電気接続によって、ピクセル同士が互いに独立して点灯できるようになっている。別な既知の技術が、微小寸法(典型的には150μm未満)のLEDのマトリックスを作り出すマイクロLEDの技術である。均一なビームに強度調節器を用いた投射技術を伴うマイクロミラーのモジュール、即ちDMD(「デジタル・マイクロミラー・デバイス」)型のものも存在する。圧電素子を用いて姿勢の制御されるマイクロミラー群が、入射光ビームを選択的に反射するように方向付けられる。その結果、かくして作り出されるピクセル・マトリックスの基本光源に各マイクロミラーが対応している。光源からの光は、光学部品によってマイクロミラーのマトリックス上へと差し向けられる。この光は従って、モジュール毎に変動し得る分布を有している。それは、光学部品や光源の位置決めや製造上の公差のせいである。これが、モジュール毎に変動し得る最大強度を生じさせてしまう。この場合、各ピクセルが、自らへ伝えられる命令に応じて異なる最大強度を有することとなる。そのような照明装置は、大量生産方式を用いて設計される。一方では組立てを容易にするため、他方では各部品が一般的に機械加工される代わりにプラスチックで成型される(これにより製造コストを抑えることができる)せいで、照明および/または合図用装置の構成要素同士の間に一定量の遊びが存在せねばならないのである。
【0004】
特に、マイクロミラーのマトリックスを投射光学部品の部分(一般的には少なくとも1つのレンズを備えている)と完璧に心合わせすることの困難性は強調するに値する。投射機能のために用いられるレンズの高い開口数のせいで、光軸からの横ずれが数マイクロメートルに達する場合、像の投射の質が相当に低下してしまう。実際に、先行技術で既知の解決策を用いると、それ故に投射像の歪みが不可避となるのである。この型式の投射モジュールは各々、それ自体の光学的特性の組、特に光学歪みや球面収差の特性を含む幾何収差特性を有している。マイクロミラーの製造中に、幾何収差が持ち込まれ得るのである。これらの要素の全てが、マトリックス光源の不均一な挙動に帰着してしまう。
【0005】
これらの上述したモジュールの全てが、構成要素の製造公差同士の組合せに関連した、それら自身の諸特性を有している。LEDやLEDマトリックスなどの半導体部品の製造中には、目下のところ直流電流の変動が不可避となっている。その結果、同じ負荷電流に対する所与のLEDマトリックスにおいて、LED群が、変動し得る不均一な強度で光ビームを放出してしまう。当該照明モジュールの電子的および/または光学的な諸特性を考慮に入れる目的で投射設定値を補正することも可能ではあるが、照明モジュールに不具合が生じたときには、それにも拘わらず、他の道路使用者を幻惑しないデフォルト(初期設定)の像を投射できることが重要なのである。
【0006】
自動車両用の制御モジュールを照明モジュールとペアリングするとき、自動車両の運用において一方ないし他方のモジュールの特性を記述するデータを考慮に入れられるよう、それらのデータをモジュール同士の間で交換し得る。これらのパラメータは、照明モジュールの実例に特有のものであって、同じ製造プロセスから作り出される2つの照明モジュール同士の間で異なるかもしれない。従って、ペアリング中に交換されるパラメータと、照明モジュールの作動中に用いられるパラメータとの間の一貫性を保証することが(照明モジュールに生じ得る変化がある場合にはなおさら)重要なのである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、先行技術によって引き起こされる問題の少なくとも1つを克服することである。具体的には本発明の目的は、自動車両の制御モジュールと、それによって制御される照明モジュールとの間での認証のための方法を提案することである。
【0008】
本発明の第1態様によれば、自動車両用の制御モジュールと照明モジュールとの間での認証のための方法であって、当該2つのモジュールの少なくとも一方が送信モジュールで他方が受信モジュールであり、当該2つのモジュールは、データ送/受信ユニットを備えると共に、当該モジュール同士でデータを交換することを可能とするデータ通信チャネルによって接続されている、方法が提案される。当該方法は、
a)少なくとも1つの認証要素を記述するデータを、送信モジュールから受信モジュールへ送信する段階と、
b)受信モジュールによる当該データの受信に続いて、演算装置を用いて認証要素を検証する段階と、
c)受信モジュールにおいて、当該検証に失敗する場合には送信モジュールとの通信を打ち切り、そうでない場合には通信を継続する段階と、
を備えた点において注目に値するものである。
【0009】
認証要素は、2つのモジュール同士の間でのデータ交換の日付または計数回数の表示を備え得ることが好ましい。
【0010】
2つのモジュールのそれぞれがクロックを備え、2つのモジュールのクロック同士が同期されていることが好ましい。照明モジュールと制御モジュールとをペアリングするときに計数回数が共通の値で初期化され得ることが好ましい。2つのモジュールのそれぞれにおいて、メッセージを送信および/または受信すると計数回数が増加され得ることが好ましい。
【0011】
認証要素は暗号法的に暗号化されたデータを備え、受信モジュールは、当該暗号化されたデータが検証されることを可能とする検証データの記憶された記憶素子を備え得ることが好ましい。
【0012】
暗号法的に暗号化されたデータは、2つのモジュール同士の間でのデータ交換の日付の表示または計数回数のハッシュ値を備え得ることが好ましい。
【0013】
当該方法は、2つのモジュール同士の間で公開暗号鍵を交換する予備的段階を備え、当該公開暗号鍵が、2つのモジュールにそれぞれ関連付けられる公開暗号鍵/秘密暗号鍵のペアの一部を成し得ることが好ましい。
【0014】
認証要素は、送信モジュールの秘密鍵を用いて署名または暗号化されたデータを備え得ることが好ましい。
【0015】
好適には送信モジュールは制御モジュールであってよく、少なくとも1つの認証要素を記述する当該データはデータパケットのヘッダ内に含まれ、パケット内のデータが、照明設定値、デフォルト設定値、または自動車両に関するデータの少なくとも一部を記述していてよい。
【0016】
好適には送信モジュールは照明モジュールであってよく、少なくとも1つの認証要素を記述する当該データはデータパケットのヘッダ内に含まれ、パケット内のデータが、照明モジュールの光源に関する少なくとも幾つかの較正データを記述していてよい。
【0017】
送信モジュールの認証要素を記述するデータを検証することに所定の回数失敗した後に、2つのモジュール同士の間の通信が打ち切られ得ることが好ましい。
【0018】
本発明の別の態様によれば、自動車両用の照明システムが提案される。当該システムは、制御モジュールと照明モジュールとを備え、当該2つのモジュールが、送/受信ユニットを備えると共に、当該モジュール同士でデータを交換することを可能とするデータ通信チャネルによって接続されている点において注目に値するものである。当該システムは、制御モジュールと照明モジュールとが、本発明の一態様による方法の各段階を実施するように構成されている点において更に注目に値するものである。
【0019】
照明モジュールはマトリックス光源を備え得ることが好ましい。
【0020】
マトリックス光源は好適には、共通基板内へとエッチングされて互いに独立して点灯可能な半導体素子を伴った基本発光光源群を具備するモノリシック光源を備えていてよい。
【0021】
マトリックス光源は好適には、微小寸法(典型的には150μm未満)の発光ダイオード群(LEDs)によって作り出される基本光源のマトリックスを具備したマイクロELD型のマトリックスを備えていてよい。
【0022】
マトリックス光源は好適には、入射光ビームを自らの姿勢に応じて選択的に反射するマトリックス内のマイクロミラーを基本光源が具備している、マイクロミラー・デバイス、即ちDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を備えていてよい。
【0023】
照明モジュールは好適には、制御装置を備えていてよい。制御装置は好適には、当該マトリックス光源を制御するように構成されていてよい。
【0024】
照明モジュールは好適には、当該モジュールが認証されることを可能とするデータの記憶される記憶素子を備えていてよい。照明モジュールは、当該記憶素子に記憶された暗号鍵を用いてデータを暗号化および/または署名するようにプログラムされたプロセッサを備え得ることが好ましい。
【0025】
データの暗号化に失敗したときか、または当該署名が検証できないときには、自動車両用の照明モジュールおよび/または制御モジュールでの障害が検出され得ることが好ましい。
【0026】
照明モジュールは好適には、データ受/送信ユニットを備えていてよい。データ受送信ユニットは好適には、自動車両内部のデータバスによってデータを受/送信することのできるネットワーク・インターフェイスを備えていてよい。例えば当該バスは、イーサネット(商標)バス、ギガビット・マルチメディア・シリアルリンク(GMSL)のバス、または、低電圧差動信号(LVDS)技術を用いたバス(FPD-Link IIIバスなど)であってよい。
【0027】
演算装置は好適には、マイクロコントローラ素子を備えていてよい。制御装置は好適には、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはコンプレックス・プログラマブル・ロジックデバイス(CPLD)型のチップを備えていてよい。これらの素子は、説明された各機能性を満たすよう適切なコンピュータープログラムを用いて構成される。
【0028】
本発明の更に別の態様によれば、一連の命令を備えたコンピュータープログラムが提案されるが、当該プログラムは、それらの命令がプロセッサによって実行されたときに、プロセッサが本発明の一態様による方法を実施していることに帰着するものである。
【0029】
本発明の別の態様によれば、コンピューター読取り可能な非一時的記録媒体が提案されるが、当該媒体は、本発明の先の態様によるコンピュータープログラムを記録しているものである。
【0030】
本発明によって提案される方策を用いることによって、自動車両用の制御モジュールと、それによって制御される照明モジュールとの間での認証のための方法をもたらすことが可能となる。これにより、そのためのデータ(例えば、実施されるべき照明設定値)を送信するモジュールが実際に自動車両の組立中に前もってペアリングのプロセスを受けたモジュールであることを、2つのモジュールが自動的に保証することが可能となる。ペアリング中に、例えば車両の姿勢、自動車両内での照明モジュールの位置、または照明モジュールの光源用の較正データを記述するパラメータが交換される場合には、初めに交換されたパラメータが依然として有効であることを各モジュールが保証できることが重要である。本発明の諸態様による認証方法を用いることで、これが可能となる。成功した認証は、例えばモジュール同士が予め正しくペアリングされていることを意味するが、失敗した認証は、モジュールの一方ないし他方がその間に変化してしまっているか、新たなペアリングが必要であるか、またはモジュールの一方ないし他方が機能停止モードにあることを意味する。
【0031】
本発明のその他の特徴や利点は、例示の説明や図面の助けを借りてより深く理解されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の好適な一実施形態による方法の主な諸段階の順序を示す図。
図2】本発明の好適な一実施形態による照明システムの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
別様に特定されない限り、所与の一実施形態について詳述される技術的な諸特徴は、例として限定を伴うことなく説明されるその他の実施形態の文脈において記述される技術的な諸特徴と組み合わされてもよい。
【0034】
本明細書は、本発明を理解するのに必要な自動車両用の照明モジュールの諸要素に重点を置いている。そのようなモジュール類の一部を既知の方式で形成するその他の要素には、言及したり詳細に説明したりしないこととなる。例えば、マトリックス光源に電力を供給するのに必要とされるコンバーター回路の存在や動作は、それ自体で既知のものであり、詳細には説明しないこととなる。例えば、レンズなどの光学素子類についても同じことが当てはまる。
【0035】
図1は、本発明の好適な一実施形態による認証方法の主な諸段階を示している。当該方法は必然的に、自動車両用の照明モジュール100のみならず、図2によって例示されるような制御モジュール20をも伴うものである。データが制御モジュール20から照明モジュールへ送信されるか、それとは逆に送信されるかによって、送信毎に2つのモジュールの少なくとも一方が送信モジュールで他方が受信モジュールとなる。2つのモジュール20,100のそれぞれがデータ送/受信ユニットを備えると共に、それらのモジュール同士でデータを交換することを可能とするデータ通信チャネルによって接続され合っている。最初の段階a)で、送信モジュールについての少なくとも1つの認証要素F1を記述するデータが、受信モジュールへと送信される。段階b)では、これらのデータが、受信モジュールにて受信され、演算装置(例えば、この目的のために適切なコンピュータープログラムによってプログラムされたデータプロセッサ)を用いて検証される。検証に失敗する場合には、段階c)でモジュール同士の間の通信が打ち切られる。当該のモジュールが機能停止モードにされ、対応したメッセージが自動車両の中央ユニットへ送られることが好ましい。検証に成功する場合には、通信が継続する。認証手続は、データパケット毎に実行されてよいが、それに代えて定期的に実行されてもよい。
【0036】
認証機能が、例えば当該2つのモジュール同士の間での公開暗号鍵の交換を含んでいることで、対応する秘密暗号鍵を用いて署名されたデータの認証性の相互検証を可能としていてもよい。それに代えて、或いは、それに加えて、照明モジュール100用の制御/演算装置130が、受信データパケットについての受領通知を制御モジュール20へ送る。その受領通知は、演算装置130を成すマイクロコントローラが認証されるのを可能とする少なくとも1つの認証要素F1を備えている。データパケットは例えば、較正データ、並びに/または、デフォルト像データ、並びに/または、デフォルト像および/若しくは、ある1つの像および/若しくは一群の像の全部ないし一部を生成するためのデータ、並びに/または、圧縮されたビデオストリームからのパケットを含んでいてよい。好適な一実施形態において、この認証はパケットの全てに対しては実行されない。このようにして、対応する演算負荷が、軽減され、時を経て均される。更に、これに代えて、認証機能は、自動車両用の制御モジュール20から照明モジュール用の制御装置130へと、送信データパケット用のヘッダを送ることを含んでいてもよい。当該ヘッダは、制御モジュール20が認証されるのを可能とする部分を備えており、データパケットは上記で定義したのと同種のものである。この認証は、パケットの全てに対しては実行されないことが有利である。このようにして、対応する演算負荷が、軽減され、時を経て均される。
【0037】
認証機能を遂行するために、自動車両用の照明モジュール100および制御モジュール20は、それぞれ認証のために用いられるヘッダないし受領通知を生成するための演算手段を備えている。認証要素は、
任意の時間単位(例えば、ミリ秒)で表され得る時刻ないし日付、または、
交換サイクルないし演算サイクルを計数する計数回数、または、
交換数で変化する別の要素(所定の大きさを超えたときにリセットされ得るもの)、
に従って生成されることが好ましい。
【0038】
2つのモジュールが同期されたクロックおよび/またはカウンタを備えている場合には、そのモジュール自体のクロックからの、ないしは、そのモジュールに対応した独自のカウンタからの値と比較することによって、ヘッダ内のデータを双方のモジュールが検証し得る。ヘッダ内のデータは、暗号的ハッシュ関数を用いてハッシュ化されてもよい。受信モジュールは、それに対応したカウンタからハッシュ値を生成し得る。通信し合っているモジュールの計数回数同士が完全に同一である場合にのみ、かくして得られるハッシュ値がヘッダのものと同一であることとなる。
【0039】
制御器とマイクロコントローラとの間での認証に失敗する場合には、照明機能が通信機能停止モードにされ得る。機能停止モードは、認証失敗が繰り返された場合にのみ発動されるのが有利である。それにより(例えば、一時的な電磁気的干渉によって)接続が途絶している場合において、作動不能モードを回避することが可能となる。それは、ヘッダや受領通知を用いる認証機能の場合に特に有利である。
【0040】
制御装置130がコンピューターを備えている場合には、自動車両用の制御モジュール20によって暗号化されたデータを当該コンピューターによって解読するデータ交換暗号機能を実施してもよい。当該コンピューターは、ストリーム(データの流れ)が正確に復号化されていないかどうかを判定するための方法を有しているのが有利である。ストリームが正確に復号化されていない場合には、コンピューターが通信機能停止モードに入り得る。通信機能停止モードは、以下の手順を(単独で、ないしは組合せで)必要とし得る:
- デフォルト像を投射する照明機能ないしは照明モジュールを停止する、
- 制御モジュール20が、車両の中央管理システムへと発信される機能停止信号を生成する、
- 当該コンピューターが認証モードに入る。その認証モードでは、当該コンピューターが、制御モジュール20用のコンピューターに対しての認証手続に取りかかり続ける(或いは、その逆)。認証モードにおいては、データパケットの発信が途絶され得る。
【0041】
初期認証が成功に終わったならば、モジュール20,100同士の間での通信の残部は(図2の説明図を参照して下記で非限定的なやり方で説明することとなる好適な一実施形態によれば)デフォルト像を生成するための方法に関連し得るものである。認証プロセスは、データパケットの送信される時点毎に、さもなければ定期的に実行され得る、ということに留意されたい。
【0042】
照明モジュール100は、複数の基本光源112を一緒に集めているマトリックス光源110を備えることが好ましい。図示例において、これはLEDのマトリックスであるが、本発明はこの例に限定されるものではない。マトリックス光源は、マイクロミラー・デバイスによって作り出されてもよい。そのためには、各ミラーがマトリックスにおける1つの基本光ビームを生じさせるように設計される。当該モジュールは、データ受送信ユニット120を備えている。これは例えば、自動車両内部のデータバス(例えば、CAN(コントローラーエリアネットワーク)バスなど)によってメッセージを受信および復号化することのできるインターフェイスである。
【0043】
データ受信ユニット120は、データを自動車両用の少なくとも1つの制御モジュールから受信/へ送信することができ、特に、上述した認証方法の段階a)ないしb)における交換を実行し得るものである。制御モジュール20は、自動車両に関連したデータ22(例えば、その車両の姿勢、照明モジュールの自動車両内での位置、その他のデータ)を備えている。モジュール100は更に、記憶素子140(例えば、フラッシュ型のメモリ)を備えている。その記憶素子140に対しては、制御装置130が機能的に接続されて読取りアクセスを有している。また記憶素子140内には、マトリックス光源112に特有の較正データ150が記憶されている。例として、当該データは、各基本光源112についての、マトリックス光源110の平均輝度に対しての輝度の差を示す値を(或いは、負荷電流強度の範囲に亘って)含み得る。それにも拘わらず、データ150は、より複雑な光学的ないしは幾何学的な較正パラメータを(それにより本発明の範囲を逸脱することなく)含んでいてもよい。
【0044】
自動車両用の照明モジュール100と制御モジュール20とのペアリング後における当該2つのモジュール同士の間でのデータの交換によって、幾つかの有利な応用が可能となる。特に、車両に関連したデータ22(例えば、車両の向き、位置、または姿勢のパラメータなど)や、車両の別のヘッドライト類によって放出される光束に関する情報(これらは、演繹的に制御モジュール20でのみ利用可能なものである)を、照明モジュール100で利用可能な、そのモジュール内に設置されるマトリックス光源110に特有の較正データ150と組み合わせることが提案される。この情報は、好適な一実施形態によれば(但し、非限定的に)、自動車両用の制御モジュール20によってデフォルト像ないしは設定値001を生成するのに用いられる。これを成すために、較正データ150の関連部分が、先ず照明モジュール100から制御モジュール20へと(図2に実線矢印で示すように)送信される。具体的には、自動車両用の制御モジュールは概して、照明モジュール用の制御装置130よりも強大な演算能力を有しているのである。
【0045】
或いは、この演算は、この演算に必要なデータ22の、一方の自動車両用の制御ユニットと、他方の照明モジュール用の制御装置130との間での相応した(図2に破線矢印で示す)交換の後で、照明モジュール用の制御装置によって実行されてもよい。
【0046】
デフォルト像は、障害や機能停止が検出されたときにモジュールによって投射される像である。かくして、モジュールは好適には、エラー検出回路(図示せず)や、この目的のために適切なコンピュータープログラムによってプログラムされたマイクロプロセッサを備えていてよい。エラー検出回路は例えば、自動車両用の制御モジュールによって受信されたデータが矛盾していたり、自動車両用の制御モジュールと照明モジュール100との間の接続にもはや信頼性がなかったりすることを検出するように構成されている。このエラーの検出後には、他の道路使用者にあり得る幻惑を回避する目的で、現在設定値の像に代えてデフォルト像001が投射される。デフォルト像は、一方ではマトリックス光源110の特異性を、他方ではその光源を装備した車両の特異性を考慮に入れるように生成される。かくしてデフォルト像は、例えば、各自動車両について、そして当該車両に装備される各照明モジュールについて、精確かつ自動的に生成され得るのである。この方法から結果として得られるデフォルト像は、照明モジュールへ送信され、照明モジュールが専用の記憶素子内に永続的に記憶する。自動車両用の制御モジュール20と照明モジュール100との間における通信機能停止の場合、デフォルト設定値がマトリックス光源用の制御手段として役立つ。デフォルト設定値ないしデフォルト像は、例えばロービームのヘッドライト照明に対応するものであってよい。特に、この像はロービームのヘッドライトのカットオフに対応するものであってもよい。具体的にはカットオフは、施行中の規則を満たすために申し分なく画定されていなければならないのである。記述されたパラメータの全てを考慮に入れてのデフォルト設定値の精確な生成によって、特に当該デフォルト設定値が照明モジュールによって投射されたときに他の道路使用者が幻惑されてしまうのを防止することが可能となる。
【0047】
好適な一実施形態によれば、障害のない場合、照明モジュールとの自動車両のペアリングの後、制御モジュール20は例えば、照明モジュール100へ照明用設定値を送ってよい。照明モジュール100が、受信した設定値に従ってマトリックス光源を制御する責を負うのである。そのような設定値は例えば、所定のビット数で符号化された、基本光源112のそれぞれによって生じさせられるべき(グレースケール・レベルなどの)輝度値を含んでいてよい。照明用設定値は従って、デジタル画像であってもよく、特に(映像信号を構成する)そのような画像のストリームからのある1つのフレーム(1コマ)であってもよい。制御装置130は、当該照明用設定値に従って当該マトリックス光源を制御するように企図されている。制御装置は、基本光源112用の電源を動かすための回路へ接続されるか、或いはその回路を備えていてもよい。その回路は、照明用設定値を実施するよう各基本光源へ電力を供給するために制御される。
【0048】
均一な光強度を確保するために、制御装置130が、制御モジュール20によって受信された設定値の各値を調節する。各値に対して、較正データ150内に記述されたそれぞれの差を加えたり減じたりすることによって調節してから、その結果に応じて各基本光源を制御するのである。それにも拘わらず、データ150は、より複雑な光学的ないしは幾何学的な較正パラメータを(それにより本発明の範囲を逸脱することなく)含んでいてもよい。そのような場合、各光源のレベルや各ピクセルのレベルだけで個別に効果を及ぼすことに代えて、設定値全体のレベル(即ち、投射されるべき像全体のレベル)や、この像の少なくとも一部ないしは一部位のレベルで補正を生じさせることが有利であり得る。例えば、設定値補正を伴わずに投射される像は、投射部位の近傍にある投射光学部品のせいで凹形に湾曲した外観を呈するかもしれない。予め補正された設定値(投射光学部品によって負わされる幾何学的な歪みを含む較正データを考慮に入れたもの)を作り出すことで、結果として所望の湾曲していない幾何学的形状により近い幾何学的形状を呈した投射像が得られる。幾何収差用の補正を加えるためには、元の設定値の像全体に対して変形が加えられる。これは離散化されたものであるため、この変形が元の像に含まれた情報の劣化を引き起こしてしまう。従って、車両用の制御装置から当該制御装置へと送信される設定値の像は、照明モジュールの投射解像度よりも高い解像度を有しているのが有利である。
【0049】
制御装置130は、較正データ150を適用することによって設定値10ないしは設定値のストリームをリアルタイムで補正するに足る演算能力を有したマイクロコントローラ素子を備えている。
【0050】
好適な一実施形態によれば、照明モジュールは、較正データ150の少なくとも一部(できれば、このデータの全部)を制御モジュール20へ送信するように構成される。これは、例えば照明モジュールを初期化する段階で実行される。均一な光強度を保証する目的で、制御モジュール20は、かくして受信される較正値150を、設定値の像を決定するために考慮するのである。例えば制御モジュール20は、設定値の各値に対して、それぞれの差を加えたり減じたりすることによって調節してから、その結果を照明モジュール100へ送信する。それにも拘わらず、データ150は、より複雑な光学的ないしは幾何学的な較正パラメータを(それにより本発明の範囲を逸脱することなく)含んでいてもよい。この実施形態においては、制御装置130が設定値を補正するタスクから解放され、そのタスクは、より低い演算能力を有した、より廉価なマイクロコントローラ素子によって実行され得る。
【0051】
既述の諸実施形態が本発明の保護の範囲を限定するものではないことは言うまでもない。ここまで与えられてきた説明を参照することによって、本発明の範囲を別様に逸脱することなく、別の諸実施形態が予想され得るのである。
【0052】
保護の範囲は、特許請求の範囲によって定められるものである。
図1
図2