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特許7423764マルチレイヤビデオビットストリーム内の冗長シグナリングの回避
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】マルチレイヤビデオビットストリーム内の冗長シグナリングの回避
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/70 20140101AFI20240122BHJP
   H04N 19/30 20140101ALI20240122BHJP
【FI】
H04N19/70
H04N19/30
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022521394
(86)(22)【出願日】2020-10-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 US2020054451
(87)【国際公開番号】W WO2021022270
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】62/911,808
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】イェ-クイ・ワン
【審査官】田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/053330(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0249056(US,A1)
【文献】特表2016-518759(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0294062(US,A1)
【文献】Kiran Misra, et al. ,Inter Prediction Signalling and Picture Marking[online], JCTVC-O JCTVC-O0260,インターネット<URL:http://phenix.it-sudparis.eu/jct/doc_end_user/documents/15_Geneva/wg11/JCTVC-O0260-v1.zip>,2013年10月15日,pp.1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/12
H04N 19/00 - 19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオデコーダによって実装されるデコーディングの方法であって、
前記ビデオデコーダによって、複数のレイヤおよびビデオパラメータセット(VPS)を有するビットストリームを受信するステップであって、前記VPSは、直接参照レイヤフラグを含み、第1の値に等しい前記直接参照レイヤフラグは、第2のレイヤが第1のレイヤに対する直接参照レイヤでないことを指定し、第2の値に等しい前記直接参照レイヤフラグは、前記第2のレイヤが前記第1のレイヤに対する前記直接参照レイヤであることを指定する、ステップと、
前記ビデオデコーダによって、参照レイヤフラグを導出することを、
最初に前記参照レイヤフラグを前記第1の値に設定し、
前記直接参照レイヤフラグが前記第2の値を有するときに前記参照レイヤフラグを前記第2の値に更新することによって行う、ステップと、
前記ビデオデコーダによって、前記参照レイヤフラグに従って前記第1のレイヤからのピクチャをデコードして、デコード済みピクチャを取得するステップと
を含み、
前記参照レイヤフラグは、LayerUsedAsRefLayerFlag[i]またはLayerUsedAsRefLayerFlag[j]と指定され、
前記直接参照レイヤフラグは、vps_direct_ref_layer_flagと指定される、方法。
【請求項2】
前記第1の値は0であり、前記第2の値は1である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のレイヤは[i]のインデックス値を有し、前記第2のレイヤは[j]のインデックス値を有する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
[i]の前記インデックス値は、0からvps_max_layers_minus1までの範囲内にある請求項3に記載の方法。
【請求項5】
vps_max_layers_minus1+1は、前記VPSによって指定されたレイヤの数を指定する請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記デコード済みピクチャを電子デバイスのディスプレイ上に表示するステップをさらに含む請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
デコーディングデバイスであって、
複数のレイヤおよびビデオパラメータセット(VPS)を有するビットストリームを受信するように構成されている受信機であって、前記VPSは、直接参照レイヤフラグを含み、第1の値に等しい前記直接参照レイヤフラグは、第2のレイヤが第1のレイヤに対する直接参照レイヤでないことを指定し、第2の値に等しい前記直接参照レイヤフラグは、前記第2のレイヤが前記第1のレイヤに対する前記直接参照レイヤであることを指定する、受信機と、
命令を収容するメモリと、
前記メモリに結合されているプロセッサであって、前記デコーディングデバイスに、
前記第1の値への参照レイヤフラグを導出することを、
最初に前記参照レイヤフラグを前記第1の値に設定し、
前記直接参照レイヤフラグが前記第2の値を有するときに前記参照レイヤフラグを前記第2の値に更新することによって行い、
前記参照レイヤフラグに従って前記第1のレイヤからのピクチャをデコードして、デコード済みピクチャを取得することを行わせる前記命令を実装するように構成されているプロセッサと
を備え
前記参照レイヤフラグは、LayerUsedAsRefLayerFlag[i]またはLayerUsedAsRefLayerFlag[j]と指定され、
前記直接参照レイヤフラグは、vps_direct_ref_layer_flagと指定される、デコーディングデバイス。
【請求項8】
前記第1の値は0であり、前記第2の値は1である請求項7に記載のデコーディングデバイス。
【請求項9】
シーケンスパラメータセット(SPS)は、出力レイヤセット(OLS)におけるただ1つのレイヤによって参照される請求項7または8に記載のデコーディングデバイス。
【請求項10】
前記ピクチャをデコード済みとして表示するように構成されているディスプレイをさらに備える請求項7から9のいずれか一項に記載のデコーディングデバイス。
【請求項11】
エンコードするピクチャを受信するか、またはデコードするビットストリームを受信するように構成されている受信機と、
前記受信機に結合されている送信機であって、前記ビットストリームをデコーダに伝送するか、またはデコード済み画像をディスプレイに伝送するように構成されている送信機と、
前記受信機または前記送信機のうちの少なくとも一方に結合されているメモリであって、命令を記憶するように構成されているメモリと、
前記メモリに結合されているプロセッサであって、前記メモリに記憶されている前記命令を実行して請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されているプロセッサと
を備えるコーディング装置。
【請求項12】
デコード済みピクチャを表示するように構成されているディスプレイをさらに備える請求項11に記載のコーディング装置。
【請求項13】
エンコーダと、
前記エンコーダと通信するデコーダとを備えるシステムであって、前記エンコーダまたは前記デコーダは、請求項7から12のいずれか一項に記載のデコーディングデバイスまたはコーディング装置を含む、システム。
【請求項14】
コーディングするための手段であって、
エンコードするピクチャを受信するか、またはデコードするビットストリームを受信するように構成されている受信手段と、
前記受信手段に結合された伝送手段であって、前記ビットストリームをデコード手段に伝送するか、またはデコード済み画像を表示手段に伝送するように構成されている伝送手段と、
前記受信手段または前記伝送手段のうちの少なくとも一方に結合されている記憶手段であって、命令を記憶するように構成されている記憶手段と、
前記記憶手段に結合されている処理手段であって、前記記憶手段に記憶されている前記命令を実行して請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている処理手段と
を備える手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0002】
一般に、本開示では、ビデオコーディング(video coding)におけるマルチレイヤビデオビットストリーム(multi-layer video bitstream)のための技術を説明する。より具体的には、本開示では、ビデオコーディングにおけるマルチレイヤビットストリーム内のレイヤに対応するパラメータをシグナリングする際に冗長性を排除するための技術を説明する。
【背景技術】
【0003】
比較的短いビデオであっても描画するために必要なビデオデータの量は実質的に大量になり得、その結果、データがストリーミングされるか、または帯域幅容量が限られている通信ネットワークを介した他の何らかの方法で伝達されるときに面倒なことが生じ得る。したがって、今日の電気通信ネットワークでは、ビデオデータは、伝達される前に圧縮されるのが一般的である。ビデオのサイズも、メモリリソースが限られていることもあり得るのでビデオがストレージデバイスに記憶されるときに問題になる可能性がある。ビデオ圧縮デバイスは、伝送元でソフトウェアおよび/またはハードウェアを使用して伝送または記憶の前にビデオデータをコーディングし、それによってデジタルビデオイメージを表現するために必要なデータ量を削減することが多い。次いで、圧縮されたデータは、ビデオデータをデコードするビデオ伸張デバイスによって伝送先に受信される。ネットワークリソースに限度があり、求められる映像品質が高まる一方であることから、画質をほとんどまたはまったく犠牲にすることなく圧縮率を改善する圧縮および伸張技術の改善が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様は、ビデオデコーダによって実装されるデコーディングの方法に関するものであり、これはビデオデコーダによって、複数のレイヤおよびビデオパラメータセット(VPS)を有するビットストリームを受信することであって、VPSは、直接参照レイヤフラグを含み、第1の値に等しい直接参照レイヤフラグは、第2のレイヤが第1のレイヤに対する直接参照レイヤでないことを指定し、第2の値に等しい直接参照レイヤフラグは、第2のレイヤが第1のレイヤに対する直接参照レイヤであることを指定する、受信することと、ビデオデコーダによって、参照レイヤフラグを導出することを、最初に参照レイヤフラグを第1の値に設定し、直接参照レイヤフラグが第2の値を有するときに参照レイヤフラグを第2の値に更新することによって行うことと、ビデオデコーダによって、参照レイヤフラグに従って第1のレイヤからのピクチャをデコードして、デコード済みピクチャを取得することとを含む。
【0005】
この方法は、参照レイヤフラグに基づき参照レイヤ変数を導出することによってレイヤに対して任意の参照レイヤが指定されることを確実にする技術を提供する。レイヤに対する任意の参照レイヤが指定されるので、現在のレイヤに対する参照レイヤは、コーディングプロセスの間に迅速に効率よく識別され、これはコーディング効率を高める。したがって、ビデオコーディングにおけるコーダ/デコーダ(別名、「コーデック」)は、現在のコーデックと比較して改善される。実際問題として、改善されたビデオコーディングプロセスは、ビデオが送信され、受信され、および/または視聴されるときにユーザにより良いユーザエクスペリエンスを提供する。
【0006】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、参照レイヤフラグがLayerUsedAsRefLayerFlag[i]またはLayerUsedAsRefLayerFlag[j]と指定されることを規定する。
【0007】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、直接参照レイヤフラグがvps_direct_ref_layer_flagと指定されることを規定する。
【0008】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、第1の値が0であり、第2の値が1であることを規定する。
【0009】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、第1のレイヤが[i]のインデックス値を有し、第2のレイヤが[j]のインデックス値を有することを規定する。
【0010】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、[i]のインデックス値が0からvps_max_layers_minus1までの範囲内にあることを規定する。
【0011】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、vps_max_layers_minus1+1がVPSによって指定されたレイヤの数を指定することを規定する。
【0012】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、デコード済みピクチャを電子デバイスのディスプレイ上に表示することを規定する。
【0013】
第2の態様は、ビデオエンコーダによって実装されるエンコーディングの方法に関するものであり、この方法はビデオエンコーダによって、直接参照レイヤフラグを第1の値に等しくなるように設定して第2のレイヤが第1のレイヤに対する直接参照レイヤでないことを指定し、直接参照レイヤフラグを第2の値に等しくなるように設定して第2のレイヤが第1のレイヤに対する直接参照レイヤであることを指定することであって、直接参照レイヤフラグは参照レイヤフラグの導出で使用するように構成される、指定することと、ビデオエンコーダによって、直接参照レイヤフラグを含むビデオパラメータセット(VPS)を生成することと、ビデオエンコーダによって、VPSをビデオビットストリーム内にエンコードすることと、ビデオエンコーダによって、ビデオデコーダに向けた通信のためにビデオビットストリームを記憶することとを含む。
【0014】
この方法は、参照レイヤフラグに基づき参照レイヤ変数を導出することによってレイヤに対して任意の参照レイヤが指定されることを確実にする技術を提供する。レイヤに対する任意の参照レイヤが指定されるので、現在のレイヤに対する参照レイヤは、コーディングプロセスの間に迅速に効率よく識別され、これはコーディング効率を高める。したがって、ビデオコーディングにおけるコーダ/デコーダ(別名、「コーデック」)は、現在のコーデックと比較して改善される。実際問題として、改善されたビデオコーディングプロセスは、ビデオが送信され、受信され、および/または視聴されるときにユーザにより良いユーザエクスペリエンスを提供する。
【0015】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、直接参照レイヤフラグはvps_direct_ref_layer_flagと指定されることを規定し、第1の値は0であり、第2の値は1である。
【0016】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、第1のレイヤが[i]のインデックス値を有し、第2のレイヤが[j]のインデックス値を有することを規定する。
【0017】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、[i]のインデックス値が0からvps_max_layers_minus1までの範囲内にあることを規定し、vps_max_layers_minus1+1は、VPSを参照する各コーディング済みビデオシーケンス(CVS)内のレイヤの最大許容数である、VPSによって指定されたレイヤの数を指定する。
【0018】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、参照レイヤフラグを導出して、ビデオエンコーダの仮想参照デコーダ(HRD)によって、参照レイヤフラグを使用してビデオビットストリーム上で適合性テストを実行することを規定し、参照レイヤフラグは、最初に参照レイヤフラグを第1の値に設定し、直接参照レイヤフラグが第2の値を有するときに参照レイヤフラグを第2の値に更新することによって導出される。
【0019】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、ビットストリームをビデオデコーダに向けて伝送することを規定する。
【0020】
第3の態様は、デコーディングデバイスに関するものであり、これは複数のレイヤおよびビデオパラメータセット(VPS)を有するビットストリームを受信するように構成されている受信機であって、VPSは、直接参照レイヤフラグを含み、第1の値に等しい直接参照レイヤフラグは、第2のレイヤが第1のレイヤに対する直接参照レイヤでないことを指定し、第2の値に等しい直接参照レイヤフラグは、第2のレイヤが第1のレイヤに対する直接参照レイヤであることを指定する、受信機と、命令を収容するメモリと、メモリに結合されているプロセッサであって、デコーディングデバイスに、第1の値への参照レイヤフラグを導出することを、最初に参照レイヤフラグを第1の値に設定し、直接参照レイヤフラグが第2の値を有するときに参照レイヤフラグを第2の値に更新することによって行い、参照レイヤフラグに従って第1のレイヤからのピクチャをデコードして、デコード済みピクチャを取得することを行わせる命令を実装するように構成されているプロセッサとを備える。
【0021】
デコーディングデバイスは、参照レイヤフラグに基づき参照レイヤ変数を導出することによってレイヤに対して任意の参照レイヤが指定されることを確実にする技術を提供する。レイヤに対する任意の参照レイヤが指定されるので、現在のレイヤに対する参照レイヤは、コーディングプロセスの間に迅速に効率よく識別され、これはコーディング効率を高める。したがって、ビデオコーディングにおけるコーダ/デコーダ(別名、「コーデック」)は、現在のコーデックと比較して改善される。実際問題として、改善されたビデオコーディングプロセスは、ビデオが送信され、受信され、および/または視聴されるときにユーザにより良いユーザエクスペリエンスを提供する。
【0022】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、参照レイヤフラグがLayerUsedAsRefLayerFlag[i]またはLayerUsedAsRefLayerFlag[j]と指定されることを規定する。
【0023】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、直接参照レイヤフラグがvps_direct_ref_layer_flagと指定されることを規定する。
【0024】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、第1の値が0であり、第2の値が1であることを規定する。
【0025】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、シーケンスパラメータセット(SPS)は、出力レイヤセット(OLS)においてただ1つのレイヤによって参照されることを規定する。
【0026】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、ピクチャをデコード済みとして表示するように構成されるそのディスプレイを規定する。
【0027】
第4の態様は、エンコーディングデバイスに関するものであり、これは命令を収容するメモリと、メモリに結合されているプロセッサであって、エンコーディングデバイスに、直接参照レイヤフラグを第1の値に等しくなるように設定して第2のレイヤが第1のレイヤに対する直接参照レイヤでないことを指定し、直接参照レイヤフラグを第2の値に等しくなるように設定して第2のレイヤが第1のレイヤに対する直接参照レイヤであることを指定することであって、直接参照レイヤフラグは参照レイヤフラグの導出で使用するように構成される、指定することと、直接参照レイヤフラグを含むビデオパラメータセット(VPS)を生成することと、VPSをビデオビットストリーム内にエンコードすることとを行わせる命令を実装するように構成されている、プロセッサと、プロセッサに結合されている送信機であって、ビデオビットストリームをビデオデコーダに向けて伝送するように構成されている送信機とを備える。
【0028】
エンコーディングデバイスは、参照レイヤフラグに基づき参照レイヤ変数を導出することによってレイヤに対して任意の参照レイヤが指定されることを確実にする技術を提供する。レイヤに対する任意の参照レイヤが指定されるので、現在のレイヤに対する参照レイヤは、コーディングプロセスの間に迅速に効率よく識別され、これはコーディング効率を高める。したがって、ビデオコーディングにおけるコーダ/デコーダ(別名、「コーデック」)は、現在のコーデックと比較して改善される。実際問題として、改善されたビデオコーディングプロセスは、ビデオが送信され、受信され、および/または視聴されるときにユーザにより良いユーザエクスペリエンスを提供する。
【0029】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、直接参照レイヤフラグがvps_direct_ref_layer_flagと指定され、第1の値は0であり、第2の値は1であること、を規定する。
【0030】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、第1のレイヤが[i]のインデックス値を有し、第2のレイヤが[j]のインデックス値を有することを規定し、[i]のインデックス値は、0からvps_max_layers_minus1までの範囲内にある。
【0031】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、vps_max_layers_minus1+1は、VPSを参照する各コーディング済みビデオシーケンス(CVS)内のレイヤの最大許容数である、VPSによって指定されたレイヤの数を指定することを規定する。
【0032】
第5の態様は、コーディング装置に関するものである。コーディング装置は、エンコードするピクチャを受信するか、またはデコードするビットストリームを受信するように構成されている受信機と、受信機に結合されている送信機であって、ビットストリームをデコーダに伝送するか、またはデコード済み画像をディスプレイに伝送するように構成されている送信機と、受信機または送信機のうちの少なくとも一方に結合されているメモリであって、命令を記憶するように構成されているメモリと、メモリに結合されているプロセッサであって、メモリに記憶されている命令であって、本明細書において開示されている方法のいずれかを実行する命令を実行するように構成されているプロセッサとを備える。
【0033】
コーディング装置は、参照レイヤフラグに基づき参照レイヤ変数を導出することによってレイヤに対して任意の参照レイヤが指定されることを確実にする技術を提供する。レイヤに対する任意の参照レイヤが指定されるので、現在のレイヤに対する参照レイヤは、コーディングプロセスの間に迅速に効率よく識別され、これはコーディング効率を高める。したがって、ビデオコーディングにおけるコーダ/デコーダ(別名、「コーデック」)は、現在のコーデックと比較して改善される。実際問題として、改善されたビデオコーディングプロセスは、ビデオが送信され、受信され、および/または視聴されるときにユーザにより良いユーザエクスペリエンスを提供する。
【0034】
任意選択で、前述の態様のいずれかにおいて、態様の別の実装形態は、デコード済みピクチャを表示するように構成されているディスプレイを提供する。
【0035】
第6の態様は、システムに関するものである。システムは、エンコーダと、エンコーダと通信するデコーダとを備え、エンコーダまたはデコーダは、本明細書において開示されているデコーディングデバイス、エンコーディングデバイス、またはコーディング装置を含む。
【0036】
システムは、参照レイヤフラグに基づき参照レイヤ変数を導出することによってレイヤに対して任意の参照レイヤが指定されることを確実にする技術を提供する。レイヤに対する任意の参照レイヤが指定されるので、現在のレイヤに対する参照レイヤは、コーディングプロセスの間に迅速に効率よく識別され、これはコーディング効率を高める。したがって、ビデオコーディングにおけるコーダ/デコーダ(別名、「コーデック」)は、現在のコーデックと比較して改善される。実際問題として、改善されたビデオコーディングプロセスは、ビデオが送信され、受信され、および/または視聴されるときにユーザにより良いユーザエクスペリエンスを提供する。
【0037】
第7の態様は、コーディングするための手段に関するものである。コーディングするための手段は、エンコードするピクチャを受信するか、またはデコードするビットストリームを受信するように構成されている受信手段と、受信手段に結合された伝送手段であって、ビットストリームをデコード手段に伝送するか、またはデコード済み画像を表示手段に伝送するように構成されている伝送手段と、受信手段または伝送手段のうちの少なくとも一方に結合されている記憶手段であって、命令を記憶するように構成されている記憶手段と、記憶手段に結合されている処理手段であって、記憶手段に記憶されている命令であって、本明細書において開示されている方法のいずれかを実行する命令を実行するように構成されている処理手段とを備える。
【0038】
コーディングするための手段は、参照レイヤフラグに基づき参照レイヤ変数を導出することによってレイヤに対して任意の参照レイヤが指定されることを確実にする技術を提供する。レイヤに対する任意の参照レイヤが指定されるので、現在のレイヤに対する参照レイヤは、コーディングプロセスの間に迅速に効率よく識別され、これはコーディング効率を高める。したがって、ビデオコーディングにおけるコーダ/デコーダ(別名、「コーデック」)は、現在のコーデックと比較して改善される。実際問題として、改善されたビデオコーディングプロセスは、ビデオが送信され、受信され、および/または視聴されるときにユーザにより良いユーザエクスペリエンスを提供する。
【0039】
わかりやすくするために、前述の実施形態のうちのいずれか1つが他の前述の実施形態のうちのいずれか1つまたは複数と組み合わされて、本開示の範囲内の新しい実施形態を形成するものとしてよい。
【0040】
これらおよび他の特徴は、添付図面および請求項と併せて次の詳細な説明からより明確に理解されるであろう。
【0041】
本開示をより完全に理解できるように、類似の番号は類似の部分を表す、添付図面および詳細な説明に関して以下の簡単な説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】ビデオ信号をコーディングする例示的な一方法のフローチャートである。
図2】ビデオコーディングのための例示的なコーディングおよびデコーディング(コーデック)システムの概略図である。
図3】例示的なビデオエンコーダを例示する概略図である。
図4】例示的なビデオデコーダを例示する概略図である。
図5】空間的スケーラビリティのためのマルチレイヤコーディングの一例を例示する図である。
図6】ビデオビットストリームの一実施形態を例示する図である。
図7】コーディング済みビデオビットストリームをデコードする方法の一実施形態の図である。
図8】コーディング済みビデオビットストリームをエンコードする方法の一実施形態の図である。
図9】ビデオコーディングデバイスの概略図である。
図10】コーディングするための手段の一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
最初に、1つまたは複数の実施形態の例示的な実装が以下に提示されているが、開示されているシステムおよび/または方法は、現在知られているか、または存在している、いくつもの技術を使用することで実装され得ることは理解されるべきである。本開示は、本明細書において例示され、説明されている例示的な設計および実装を含む、以下に例示されている例示的な実装、図面、および技術に決して限定されるべきでないが、等価物の全範囲とともに付属の請求項の範囲内で修正され得る。
【0044】
次の用語は、本明細書において反対の文脈で使用されていない限り次のように定義される。具体的には、次の定義は、本開示をさらに明確にすることを意図されている。しかしながら、用語は、異なる文脈において異なる形で説明され得る。したがって、次の定義は、補足として考慮されるべきであり、本明細書においてそのような用語に対して提供される説明のいかなる他の定義を制限するものとして考慮されるべきではない。
【0045】
ビットストリームは、エンコーダとデコーダとの間の伝送のために圧縮されるビデオデータを含むビットのシーケンスである。エンコーダは、エンコーディングプロセスを使用してビデオデータをビットストリームに圧縮するように構成されるデバイスである。デコーダは、デコーディングプロセスを使用してビデオデータを表示のためにビットストリームに再構成するように構成されるデバイスである。ピクチャは、フレームまたはそのフィールドを作成するルーマサンプルの配列および/またはクロマサンプルの配列である。エンコードされているか、またはデコードされているピクチャは、説明を明確にするために現在のピクチャとして参照され得る。参照ピクチャは、インター予測および/またはレイヤ間予測に従って参照により他のピクチャをコーディングするときに使用することができる参照サンプルを含むピクチャである。参照ピクチャリストは、インター予測および/またはレイヤ間予測に使用される参照ピクチャのリストである。いくつかのビデオコーディングシステムは、2つの参照ピクチャリストを利用し、これらは参照ピクチャリスト1および参照ピクチャリスト0と表すことができる。参照ピクチャリスト構造は、複数の参照ピクチャリストを含むアドレス指定可能なシンタックス構造である。
【0046】
インター予測は、参照ピクチャおよび現在のピクチャが同じレイヤ内にある場合の現在のピクチャとは異なる参照ピクチャ内の示されたサンプルを参照することによって現在のピクチャのサンプルをコーディングするメカニズムである。参照ピクチャリスト構造エントリは、参照ピクチャリストに関連付けられている参照ピクチャを示す参照ピクチャリスト構造内のアドレス指定可能な配置である。
【0047】
スライスヘッダは、スライスで表されるタイル内のすべてのビデオデータに関連するデータ要素を含むコーディング済みスライスの一部である。ピクチャパラメータセット(PPS)は、ピクチャ全体に関連するデータを含むパラメータセットである。より具体的には、PPSは、各ピクチャヘッダ内に見つかるシンタックス要素によって決定されるような0個またはそれ以上のコーディング済みピクチャ全体に適用されるシンタックス要素を含むシンタックス構造である。シーケンスパラメータセット(SPS)は、ピクチャのシーケンスに関係するデータを含むパラメータセットである。アクセスユニット(AU)は、デコード済みピクチャバッファ(DPB)から出力するための(たとえば、ユーザに対して表示するための)同じ表示時間(たとえば、同じピクチャ順序カウント)に関連付けられている1つまたは複数のコーディング済みピクチャのセットである。アクセスユニットデリミタ(AUD)は、AUの開始またはAU間の境界を示すために使用されるインジケータまたはデータ構造である。デコード済みビデオシーケンスは、ユーザへの表示に備えてデコーダによって再構成されたピクチャのシーケンスである。
【0048】
ネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットは、望ましい場合にエミュレーション防止バイトを散在させた、データの型の指示である、ローバイトシーケンスペイロード(RBSP)の形態のデータを含むシンタックス構造である。ビデオコーディングレイヤ(VCL)NALユニットは、ピクチャのコーディング済みスライスなどの、ビデオデータを含むようにコーディングされたNALユニットである。非VCL NALユニットは、ビデオデータをデコードすること、適合性チェックの実行、または他の動作をサポートするシンタックスおよび/またはパラメータなどの非ビデオデータを含むNALユニットである。レイヤは、指定された特性(たとえば、共通の解像度、フレームレート、画像サイズなど)を共有するVCL NALユニットと、関連付けられている非VCL NALユニットとのセットである。レイヤのVCL NALユニットは、NALユニットヘッダレイヤ識別子(nuh_layer_id)の特定の値を共有し得る。コーディング済みピクチャは、アクセスユニット(AU)内のNALユニットヘッダレイヤ識別子(nuh_layer_id)の特定の値を有するVCL NALユニットを含み、ピクチャのすべてのコーディングツリーユニット(CTU)を含むピクチャのコーディング済み表現である。デコード済みピクチャは、コーディング済みピクチャにデコーディングプロセスを適用することによって生成されるピクチャである。
【0049】
出力レイヤセット(OLS)は、1つまたは複数のレイヤが出力レイヤとして指定されるレイヤのセットである。出力レイヤは、出力(たとえば、ディスプレイへの)用に指定されるレイヤである。0番目のOLSは、最下位レイヤ(最下位レイヤ識別子を有するレイヤ)のみを含むOLSであり、したがって、出力レイヤのみを含むOLSである。
【0050】
ビデオパラメータセット(VPS)は、ビデオ全体に関係するパラメータを含むデータユニットである。レイヤ間予測は、参照レイヤ内の参照ピクチャの参照によって現在のレイヤ内の現在のピクチャをコーディングするメカニズムであり、現在のピクチャおよび参照ピクチャは、同じAUに含まれ、参照レイヤは、現在のレイヤより低いnuh_layer_idを含む。
【0051】
直接参照レイヤは、レイヤによって直接参照として使用される参照レイヤである。すなわち、参照レイヤとレイヤとの間に配設されるレイヤはない。たとえば、ベースレイヤに直接隣接する第1のエンハンスメントレイヤは、ベースレイヤに対する直接参照レイヤとなるであろう。
【0052】
仮想参照デコーダ(HRD)は、エンコーディングプロセスによって生成されたビットストリームの変動性をチェックして、指定された制約条件への適合性を検証するエンコーダ上で動作するデコーダモデルである。ビットストリームの適合性テストは、エンコード済みビットストリームが多目的ビデオコーディング(VVC)などの規格に準拠しているかどうかを決定するためのテストである。HRDパラメータは、HRDの動作条件を初期化し、および/または定義するシンタックス要素である。シーケンスレベルHRDパラメータは、コーディング済みビデオシーケンス全体に適用されるHRDパラメータである。最大HRD時間的識別子(ID)(hrd_max_tid[i])は、HRDパラメータがOLS HRDパラメータのi番目のセットに含まれている最上位サブレイヤ表現の時間的IDを指定する。一般HRDパラメータ(general_hrd_parameters)シンタックス構造は、シーケンスレベルHRDパラメータを含むシンタックス構造である。オペレーションポイント(OP)は、OLSインデックスおよび最高時間的IDによって識別されるOLSの時間的サブセットである。テスト対象OP(targetOp)は、HRDにおける適合性テストのために選択されたOPである。ターゲットOLSは、ビットストリームから抽出するために選択されるOLSである。デコーディングユニットHRDパラメータ存在フラグ(decoding_unit_hrd_params_present_flag)は、対応するHRDパラメータがデコーディングユニット(DU)レベルまたはAUレベルで動作するかどうかを示すフラグである。コーディング済みピクチャバッファ(CPB)は、ビットストリーム適合性検証時に使用するためにデコーディング順にコーディング済みピクチャを含むHRDにおける先入れ先出しバッファである。デコード済みピクチャバッファ(DPB)は、参照、出力順序変更、および/または出力遅延のためにデコード済みピクチャを保持するためのバッファである。
【0053】
デコード済みピクチャバッファ(DPB)パラメータは、DPBサイズ、ならびに任意選択で、最大ピクチャ順序変更番号および最大待ち時間情報を提供するシンタックス構造である。最大ピクチャ順序変更番号および最大待ち時間情報は、頭字語MRMLでまとめて参照され得る。
【0054】
本明細書において使用される頭字語は、コーディングツリーブロック(CTB)、コーディングツリーユニット(CTU)、コーディングユニット(CU)、コーディング済みビデオシーケンス(CVS)、ジョイントビデオエキスパートチーム(JVET)、動き制約タイルセット(MCTS)、最大転送ユニット(MTU)、ネットワーク抽象化レイヤ(NAL)、ピクチャ順序カウント(POC)、ピクチャパラメータセット(PPS)、ローバイトシーケンスペイロード(RBSP)、シーケンスパラメータセット(SPS)、多目的ビデオコーディング(VVC)、および作業草案(WD)である。
【0055】
図1は、ビデオ信号をコーディングする例示的な動作方法100のフローチャートである。具体的には、ビデオ信号は、エンコーダのところでエンコードされる。エンコーディングプロセスは、様々なメカニズムを使用することによってビデオ信号を圧縮し、ビデオファイルサイズを縮小する。より小さいファイルサイズは、関連する帯域幅オーバーヘッドを低減しながら、圧縮済みビデオファイルがユーザへ伝送されることを可能にする。次に、エンドユーザに表示するために、デコーダは圧縮済みビデオファイルをデコードし、元のビデオ信号を再構成する。デコーディングプロセスは、一般的に、デコーダが一貫してビデオ信号を再構成することを可能にするようにエンコーディングプロセスをミラーリングする。
【0056】
ステップ101で、ビデオ信号は、エンコーダに入力される。たとえば、ビデオ信号は、メモリに記憶されている非圧縮ビデオファイルであってもよい。別の例として、ビデオファイルは、ビデオカメラなどのビデオキャプチャデバイスによってキャプチャされ、ビデオのライブストリーミングをサポートするようにエンコードされ得る。ビデオファイルは、音声コンポーネントとビデオコンポーネントの両方を含み得る。ビデオコンポーネントは、順に視聴されたときに、動きの視覚的な印象を与える一連の画像フレームを含む。フレームは、本明細書においてルーマ成分(またはルーマサンプル)と称される光、およびクロマ成分(または色サンプル)と呼ばれる色に関して表現されるピクセルを含む。いくつかの例において、フレームは、3次元表示をサポートするために深度値も含み得る。
【0057】
ステップ103で、ビデオはいくつかのブロックに区分化される。区分化することは、圧縮のために各フレーム内のピクセルを正方形および/または長方形のブロックに細分することを含む。たとえば、高効率ビデオコーディング(HEVC)(H.265およびMPEG-H Part 2としても知られている)において、フレームは、最初に、事前定義されたサイズ(たとえば、64ピクセル×64ピクセル)のブロックである、コーディングツリーユニット(CTU)に分割され得る。CTUは、ルーマサンプルとクロマサンプルの両方を含む。コーディングツリーは、CTUをいくつかのブロックに分割し、次いでさらなるエンコーディングをサポートする構成が達成されるまでブロックを再帰的に細分するために採用され得る。たとえば、フレームのルーマ成分は、個々のブロックが比較的均質な照明値を含むまで細分化され得る。さらに、フレームのクロマ成分は、個々のブロックが比較的均質な色値を含むまで細分化され得る。したがって、区分化メカニズムは、ビデオフレームのコンテンツによって異なる。
【0058】
ステップ105で、各様々な圧縮メカニズムが採用され、ステップ103で区分化された画像ブロックを圧縮する。たとえば、インター予測および/またはイントラ予測が採用され得る。インター予測は、共通のシーン内のオブジェクトが連続するフレーム内に出現する傾向があるという事実を利用するように設計されている。したがって、参照フレーム内のオブジェクトを描写するブロックは、隣接するフレーム内に繰り返し記述される必要はない。具体的には、テーブルなどのオブジェクトは、複数のフレームにわたって一定の位置に留まり得る。したがって、テーブルは、一度記述されると、隣接するフレームが参照フレームを再度参照することができる。複数のフレームにまたがるオブジェクトのマッチングには、パターンマッチングメカニズムが採用され得る。さらに、オブジェクトの移動やカメラの移動などにより、複数のフレームにまたがって移動するオブジェクトが表現され得る。特定の例として、ビデオは、複数のフレームにわたって画面上を移動する自動車を示し得る。動きベクトルは、そのような移動を記述するために使用することができる。動きベクトルは、フレーム内のオブジェクトの座標から参照フレーム内のオブジェクトの座標へのオフセットを提供する2次元ベクトルである。そのようなものとして、インター予測は、現在のフレーム内の画像ブロックを、参照フレーム内の対応するブロックからのオフセットを示す動きベクトルのセットとしてエンコードすることができる。
【0059】
イントラ予測は、共通フレーム内のブロックをエンコードする。イントラ予測は、ルーマ成分およびクロマ成分がフレーム内でクラスタ化する傾向があるという事実を利用する。たとえば、ツリーの一部における緑色のパッチは、緑色の類似のパッチに隣接して位置決めされる傾向がある。イントラ予測では、複数の方向予測モード(たとえば、HEVCでは33種類)、平面モード、および直流(DC)モードを使用する。これらの方向モードは、現在のブロックが、対応する方向の隣接ブロックのサンプルと類似している/同じであることを示す。平面モードは、行/列(たとえば、平面)に沿った一連のブロックが、行の端にある隣接ブロックに基づき補間され得ることを示す。平面モードは、実際には、変化する値における比較的一定の勾配を使用することによって行/列にまたがる光/色の滑らかな遷移を示す。DCモードは、境界平滑化に使用され、ブロックが方向予測モードの角度方向に関連するすべての隣接ブロックのサンプルに関連付けられている平均値に類似する/同じであることを示す。したがって、イントラ予測ブロックは、実際の値ではなく様々な関係予測モード値として画像ブロックを表現することができる。さらに、インター予測ブロックは、実際の値ではなく動きベクトル値として画像ブロックを表現することができる。いずれの場合も、予測ブロックは、いくつかの場合において画像ブロックを正確に表さないことがある。任意の差分が、残差ブロック内に収められる。ファイルをさらに圧縮するために、変換が残差ブロックに適用され得る。
【0060】
ステップ107で、様々なフィルタリング技術が適用され得る。HEVCでは、フィルタは、ループ内フィルタリングスキームに従って適用される。上で説明されているブロックベースの予測の結果、デコーダにおいてブロック状画像が作成され得る。さらに、ブロックベースの予測スキームは、ブロックをエンコードし、次いで、参照ブロックとして後で使用するためにエンコード済みブロックを再構成し得る。ループ内フィルタリングスキームは、ノイズ抑制フィルタ、デブロッキングフィルタ、適応ループフィルタ、およびサンプル適応オフセット(SAO)フィルタをブロック/フレームに反復適用する。これらのフィルタは、そのようなブロッキングアーチファクトを軽減し、それによりエンコード済みファイルが正確に再構成され得る。さらに、これらのフィルタは、再構成済み参照ブロック内のアーチファクトを軽減し、それにより、アーチファクトが再構成済み参照ブロックに基づきエンコードされる後続のブロック内にさらなるアーチファクトを生じさせる可能性が低くなる。
【0061】
ビデオ信号が区分化され、圧縮され、フィルタリングされた後、結果として得られたデータは、ステップ109でビットストリームにエンコードされる。ビットストリームは、上で説明されているデータ、さらにはデコーダにおいて適切なビデオ信号再構成をサポートするために望ましい任意のシグナリングデータを含む。たとえば、そのようなデータは、区分データ、予測データ、残差ブロック、およびコーディング命令をデコーダに送る様々なフラグを含み得る。ビットストリームは、要求に応じてデコーダに向けて伝送するためにメモリに記憶され得る。ビットストリームは、また、複数のデコーダに向けてブロードキャストされ、および/またはマルチキャストされてもよい。ビットストリームの作成は、反復プロセスである。したがって、ステップ101、103、105、107、および109は、多数のフレームおよびブロックにわたって連続的に、および/または同時に実行され得る。図1に示されている順序は、説明を明確にし、容易にするために提示されており、ビデオコーディングプロセスを特定の順序に制限することを意図されていない。
【0062】
デコーダは、ビットストリームを受信し、ステップ111でデコーディングプロセスを開始する。具体的には、デコーダは、エントロピーデコーディングスキームを使用して、ビットストリームを対応するシンタックスおよびビデオデータに変換する。デコーダは、ステップ111で、ビットストリームからのシンタックスデータを使用して、フレームに対する区分を決定する。区分化は、ステップ103におけるブロック区分化の結果と一致するべきである。次に、ステップ111で採用されているようなエントロピーエンコーディング/デコーディングについて説明する。エンコーダは、入力画像における値の空間的位置決めに基づきいくつかの可能な選択肢からブロック区分化スキームを選択するなど、圧縮プロセスにおいて多くの選択を行う。正確な選択肢をシグナリングすることでは、多数のビンが使用され得る。本明細書において使用されているように、ビンは、変数として扱われる2値(たとえば、文脈に応じて変化し得るビット値)である。エントロピーコーディングは、エンコーダが特定のケースに対して明らかに実行不可能である任意のオプションを破棄し、許容可能なオプションのセットを残すことを可能にする。次いで、各許容可能なオプションは、コードワードを割り当てられる。コードワードの長さは、許容可能なオプションの数に基づく(たとえば、2つのオプションには1つのビン、3から4つのオプションには2つのビンなど)。次いで、エンコーダは、選択されたオプションに対してコードワードをエンコードする。このスキームでは、コードワードは可能なすべてのオプションの潜在的に大きいセットからの選択を一意的に示すこととは反対に、許容可能なオプションの小さいサブセットからの選択を一意的に示すために望ましい大きさであるので、コードワードのサイズを縮小する。次いで、デコーダは、エンコーダと似た方式で、許容可能なオプションのセットを決定することによって選択をデコードする。許容可能なオプションのセットを決定することによって、デコーダは、コードワードを読み出し、エンコーダによって行われた選択を決定することができる。
【0063】
ステップ113で、デコーダは、ブロックデコーディングを実行する。具体的には、デコーダは、逆変換を採用して、残差ブロックを生成する。次いで、デコーダは、区分化に従って画像ブロックを再構成するために残差ブロックおよび対応する予測ブロックを使用する。予測ブロックは、ステップ105においてエンコーダで生成されるようなイントラ予測ブロックとインター予測ブロックの両方を含み得る。次いで、再構成済み画像ブロックは、ステップ111で決定された区分化データに従って再構成済みビデオ信号のフレーム内に位置決めされる。ステップ113に対するシンタックスは、また、上で説明されているようにエントロピーコーディングを介してビットストリーム内でシグナリングされ得る。
【0064】
ステップ115で、フィルタリングは、エンコーダでステップ107に類似する方式により再構成済みビデオ信号のフレーム上で実行される。たとえば、ノイズ抑制フィルタ、デブロッキングフィルタ、適応ループフィルタ、およびSAOフィルタが、ブロッキングアーチファクトを除去するためにフレームに適用され得る。フレームがフィルタリングされた後、ビデオ信号は、エンドユーザによる視聴のためにステップ117でディスプレイに出力され得る。
【0065】
図2は、ビデオコーディングのための例示的なコーディングおよびデコーディング(コーデック)システム200の概略図である。具体的には、コーデックシステム200は、動作方法100の実装形態をサポートするための機能性を提供する。コーデックシステム200は、エンコーダとデコーダの両方において採用されるコンポーネントを描くように一般化されている。コーデックシステム200は、動作方法100のステップ101および103に関して説明されているようにビデオ信号を受信し、区分化し、その結果、区分化済みビデオ信号201が得られる。次いで、コーデックシステム200は、方法100におけるステップ105、107、および109に関して説明されているようにエンコーダとして動作するときに区分化済みビデオ信号201をコーディング済みビットストリームに圧縮する。コーデックシステム200は、デコーダとして動作するときに、動作方法100のステップ111、113、115、および117に関して説明されているようにビットストリームから出力ビデオ信号を生成する。コーデックシステム200は、一般コーダ制御コンポーネント211、変換スケーリングおよび量子化コンポーネント213、ピクチャ内推定コンポーネント215、ピクチャ内予測コンポーネント217、動き補償コンポーネント219、動き推定コンポーネント221、スケーリングおよび逆変換コンポーネント229、フィルタ制御分析コンポーネント227、ループ内フィルタコンポーネント225、デコード済みピクチャバッファコンポーネント223、ならびにヘッダフォーマッティングおよびコンテキスト適応2値算術コーディング(CABAC)コンポーネント231を含む。そのようなコンポーネントは、図示されているように結合される。図2において、黒線はエンコード/デコードされるべきデータの動きを示し、破線は他のコンポーネントの動作を制御する制御データの動きを示している。コーデックシステム200のコンポーネントは、すべて、エンコーダ内に存在してもよい。デコーダは、コーデックシステム200のコンポーネントのサブセットを含み得る。たとえば、デコーダは、ピクチャ内予測コンポーネント217、動き補償コンポーネント219、スケーリングおよび逆変換コンポーネント229、ループ内フィルタコンポーネント225、およびデコード済みピクチャバッファコンポーネント223を含み得る。次に、これらのコンポーネントについて説明される。
【0066】
区分化済みビデオ信号201は、コーディングツリーによってピクセルのいくつかのブロックに区分化されたキャプチャ済みビデオシーケンスである。コーディングツリーは、ピクセルのブロックをピクセルのより小さいブロックに細分するために様々な分割モードを採用する。次いで、これらのブロックは、より小さいブロックにさらに細分され得る。ブロックは、コーディングツリーのノードと称されてもよい。より大きい親ノードは、より小さい子ノードに分割される。ノードが細分される回数は、ノード/コーディングツリーの深さと称される。分割済みブロックは、いくつかの場合において、コーディングユニット(CU)に含まれ得る。たとえば、CUは、CUに対する対応するシンタックス命令とともに、ルーマブロック、赤色差クロマ(Cr)ブロック、および青色差クロマ(Cb)ブロックを含むCTUのサブ部分であってよい。分割モードは、ノードを採用された分割モードに応じて様々な形状の2つ、3つ、または4つの子ノードにそれぞれ区分化するために採用される二分木(BT)、三分木(TT)、および四分木(QT)を含み得る。区分化済みビデオ信号201は、圧縮のために一般コーダ制御コンポーネント211、変換スケーリングおよび量子化コンポーネント213、ピクチャ内推定コンポーネント215、フィルタ制御分析コンポーネント227、および動き推定コンポーネント221に転送される。
【0067】
一般コーダ制御コンポーネント211は、アプリケーション制約に従って、ビットストリームへのビデオシーケンスの画像のコーディングに関係する決定を行うように構成される。たとえば、一般コーダ制御コンポーネント211は、再構成品質に対するビットレート/ビットストリームサイズの最適化を管理する。そのような決定は、ストレージスペース/帯域幅の利用可能性および画像解像度要求に基づき行われ得る。一般コーダ制御コンポーネント211は、また、バッファアンダーランおよびバッファオーバーランの問題を軽減するために伝送速度に照らしてバッファ利用を管理する。これらの問題を管理するために、一般コーダ制御コンポーネント211は、他のコンポーネントによる区分化、予測、およびフィルタリングを管理する。たとえば、一般コーダ制御コンポーネント211は、解像度を上げ、帯域幅使用量を増やすために圧縮複雑度を動的に上げるか、または解像度および帯域幅使用量を減らすために圧縮複雑度を下げるものとしてよい。したがって、一般コーダ制御コンポーネント211は、コーデックシステム200の他のコンポーネントを制御して、ビデオ信号再構成品質とビットレートの問題点とのバランスをとる。一般コーダ制御コンポーネント211は、他のコンポーネントの動作を制御する、制御データを作成する。制御データは、ヘッダフォーマッティングおよびCABACコンポーネント231にも転送され、ビットストリーム内にエンコードされ、デコーダでのデコーディングのためにパラメータをシグナリングする。
【0068】
区分化済みビデオ信号201はまた、インター予測のために、動き推定コンポーネント221および動き補償コンポーネント219に送信される。区分化済みビデオ信号201のフレームまたはスライスは、複数のビデオブロックに分割され得る。動き推定コンポーネント221および動き補償コンポーネント219は、時間予測を行うため1つまたは複数の参照フレーム内の1つまたは複数のブロックに関して受信されたビデオブロックのインター予測コーディングを実行する。コーデックシステム200は、複数のコーディングパスを実行して、たとえば、ビデオデータの各ブロックに対する適切なコーディングモードを選択し得る。
【0069】
動き推定コンポーネント221および動き補償コンポーネント219は、高度に統合されてもよいが、概念的な目的のために別々に例示されている。動き推定コンポーネント221によって実行される動き推定は、ビデオブロックに関する動きを推定する、動きベクトルを生成するプロセスである。動きベクトルは、たとえば、予測ブロックに関するコーディング済みオブジェクトの変位を示し得る。予測ブロックは、ピクセル差分に関して、コーディングされるべきブロックとよくマッチすることが判明しているブロックである。予測ブロックは、参照ブロックとも称され得る。そのようなピクセル差分は、差分絶対値和(SAD)、差分二乗和(SSD)、または他の差分メトリックによって決定され得る。HEVCは、CTU、コーディングツリーブロック(CTB)、およびCUを含むいくつかのコーディング済みオブジェクトを採用する。たとえば、CTUは、CTBに分割され、次いでこれはCUに含まれるようにCBに分割され得る。CUは、予測データを含む予測ユニット(PU)および/またはCUに対する変換済み残差データを含む変換ユニット(TU)としてエンコードされ得る。動き推定コンポーネント221は、レート歪み最適化プロセスの一部としてレート歪み分析を使用することによって、動きベクトル、PU、およびTUを生成する。たとえば、動き推定コンポーネント221は、現在のブロック/フレームに対して複数の参照ブロック、複数の動きベクトルなどを決定し、最良のレート歪み特性を有する参照ブロック、動きベクトルなどを選択し得る。最良のレート歪み特性は、ビデオ再構成の品質(たとえば、圧縮によるデータ損失の量)とコーディング効率(たとえば、最終的エンコーディングのサイズ)の両方のバランスをとる。
【0070】
いくつかの例において、コーデックシステム200は、デコード済みピクチャバッファコンポーネント223内に記憶されている参照ピクチャのサブ整数ピクセル位置に対する値を計算し得る。たとえば、ビデオコーデックシステム200は、参照ピクチャの1/4ピクセル位置、1/8ピクセル位置、または他の分数ピクセル位置の値を補間し得る。したがって、動き推定コンポーネント221は、フルピクセル位置および分数ピクセル位置に対する動き探索を実行し、分数ピクセル精度で動きベクトルを出力してもよい。動き推定コンポーネント221は、PUの位置と参照ピクチャの予測ブロックの位置とを比較することによって、インターコーディング済みスライス内のビデオブロックのPUに対する動きベクトルを計算する。動き推定コンポーネント221は、動き補償コンポーネント219へのエンコーディングおよび動きに対するヘッダフォーマッティングおよびCABACコンポーネント231への動きデータとして計算済み動きベクトルとして出力する。
【0071】
動き補償コンポーネント219によって実行される動き補償は、動き推定コンポーネント221によって決定された動きベクトルに基づき予測ブロックをフェッチするか、または生成することを伴い得る。ここでもまた、動き推定コンポーネント221および動き補償コンポーネント219は、いくつかの例において、機能的に一体化され得る。現在のビデオブロックのPUのための動きベクトルを受信すると、動き補償コンポーネント219は、動きベクトルが指す予測ブロックの位置を特定し得る。次いで、残差ビデオブロックは、コーディングされている現在のビデオブロックのピクセル値から予測ブロックのピクセル値を減算し、ピクセル差分値を形成することによって形成される。一般に、動き推定コンポーネント221は、ルーマ成分に関して動き推定を実行し、動き補償コンポーネント219は、クロマ成分とルーマ成分の両方に対してルーマ成分に基づき計算された動きベクトルを使用する。予測ブロックおよび残差ブロックは、変換スケーリングおよび量子化コンポーネント213に転送される。
【0072】
区分化済みビデオ信号201は、また、ピクチャ内推定コンポーネント215およびピクチャ内予測コンポーネント217に送信される。動き推定コンポーネント221および動き補償コンポーネント219と同様に、ピクチャ内推定コンポーネント215およびピクチャ内予測コンポーネント217は、高度に統合され得るが、概念的な目的のために別々に例示されている。ピクチャ内推定コンポーネント215およびピクチャ内予測コンポーネント217は、上で説明されているように、フレーム間で、動き推定コンポーネント221および動き補償コンポーネント219によって実行されるインター予測の代替として、現在のフレーム内のブロックに関して現在のブロックをイントラ予測する。特に、ピクチャ内推定コンポーネント215は、現在のブロックをエンコードするために使用するイントラ予測モードを決定する。いくつかの例では、ピクチャ内推定コンポーネント215は、複数のテスト済みイントラ予測モードから現在のブロックをエンコードするために適切なイントラ予測モードを選択する。次いで、選択されたイントラ予測モードは、エンコードのためにヘッダフォーマッティングおよびCABACコンポーネント231に転送される。
【0073】
たとえば、ピクチャ内推定コンポーネント215は、様々なテスト済みイントラ予測モードに対してレート歪み分析を使用してレート歪み値を計算し、テスト済みモードの中から最良のレート歪み特性を有するイントラ予測モードを選択する。レート歪み分析では、一般的に、エンコード済みブロックとエンコード済みブロックを生成するためにエンコードされた元の未エンコードブロックとの間の歪み(またはエラー)の量、さらにはエンコード済みブロックを生成するために使用されるビットレート(たとえば、ビットの数)を決定する。ピクチャ内推定コンポーネント215は、どのイントラ予測モードがブロックに対して最良のレート歪み値を示すのかを決定するために様々なエンコード済みブロックに対する歪みおよびレートから比率を計算する。それに加えて、ピクチャ内推定コンポーネント215は、レート歪み最適化(RDO)に基づき深度モデリングモード(DMM)を使用して深度マップの深度ブロックをコーディングするように構成され得る。
【0074】
ピクチャ内予測コンポーネント217は、エンコーダで実装されたときにピクチャ内推定コンポーネント215によって決定された選択済みイントラ予測モードに基づき予測ブロックから残差ブロックを生成するか、またはデコーダで実装されたときにビットストリームから残差ブロックを読み出すものとしてよい。残差ブロックは、行列として表される、予測ブロックと元のブロックとの間の値の差分を含む。次いで、残差ブロックは、変換スケーリングおよび量子化コンポーネント213に転送される。ピクチャ内推定コンポーネント215およびピクチャ内予測コンポーネント217は、ルーマ成分とクロマ成分の両方で動作し得る。
【0075】
変換スケーリングおよび量子化コンポーネント213は、残差ブロックをさらに圧縮するように構成される。変換スケーリングおよび量子化コンポーネント213は、離散コサイン変換(DCT)、離散サイン変換(DST)、または概念的に類似する変換などの、変換を残差ブロックに適用し、残差変換係数値を含むビデオブロックを生成する。ウエーブレット変換、整数変換、サブバンド変換、または他のタイプの変換が使用されことも可能であろう。この変換は、ピクセル値領域からの残差情報を周波数領域などの変換領域に変換し得る。変換スケーリングおよび量子化コンポーネント213は、たとえば周波数に基づき、変換済み残差情報をスケーリングするようにも構成される。そのようなスケーリングは、異なる周波数情報が異なる粒度で量子化されるように、残差情報にスケール係数を適用することを伴い、これは、再構成済みビデオの最終的な視覚的品質に影響を及ぼし得る。変換スケーリングおよび量子化コンポーネント213は、ビットレートをさらに低減するために変換係数を量子化するようにも構成される。量子化プロセスは、係数の一部または全部に関連付けられているビット深度を低減し得る。量子化の程度は、量子化パラメータを調整することによって変更され得る。いくつかの例では、変換スケーリングおよび量子化コンポーネント213は、次いで、量子化済み変換係数を含む行列の走査を実行し得る。量子化済み変換係数は、ヘッダフォーマッティングおよびCABACコンポーネント231に転送され、ビットストリーム内にエンコードされる。
【0076】
スケーリングおよび逆変換コンポーネント229は、動き推定をサポートするように変換スケーリングおよび量子化コンポーネント213の逆演算を適用する。スケーリングおよび逆変換コンポーネント229は、たとえば、別の現在のブロックに対する予測ブロックになり得る参照ブロックとして後で使用するために、ピクセル領域内に残差ブロックを再構成するように逆スケーリング、変換、および/または量子化を適用する。動き推定コンポーネント221および/または動き補償コンポーネント219は、後のブロック/フレームの動き推定において使用するために対応する予測ブロックに残差ブロックを追加して戻すことによって、参照ブロックを計算し得る。フィルタが再構成済み参照ブロックに適用され、それによりスケーリング、量子化、および変換時に作成されたアーチファクトを軽減する。そのようなアーチファクトは、さもなければ、後続のブロックが予測されるときに不正確な予測を引き起こす(そして、追加のアーチファクトを作成する)可能性もある。
【0077】
フィルタ制御分析コンポーネント227およびループ内フィルタコンポーネント225は、残差ブロックおよび/または再構成済み画像ブロックにフィルタを適用する。たとえば、スケーリングおよび逆変換コンポーネント229からの変換済み残差ブロックは、ピクチャ内予測コンポーネント217および/または動き補償コンポーネント219からの対応する予測ブロックと組み合わされて、元の画像ブロックを再構成し得る。次いで、フィルタが、再構成済み画像ブロックに適用され得る。いくつかの例では、フィルタは、代わりに残差ブロックに適用されてもよい。図2の他のコンポーネントと同様に、フィルタ制御分析コンポーネント227およびループ内フィルタコンポーネント225は、高度に統合されており、一緒に実装され得るが、概念的な目的のために別々に描かれている。再構成済み参照ブロックに適用されるフィルタは、特定の空間領域に適用され、そのようなフィルタがどのように適用されるかを調整するための複数のパラメータを含む。フィルタ制御分析コンポーネント227は、再構成済み参照ブロックを解析して、そのようなフィルタが適用されるべき場所を決定し、対応するパラメータを設定する。そのようなデータは、エンコーディングのためのフィルタ制御データとしてヘッダフォーマッティングおよびCABACコンポーネント231に転送される。ループ内フィルタコンポーネント225は、フィルタ制御データに基づき、そのようなフィルタを適用する。フィルタは、デブロッキングフィルタ、ノイズ抑制フィルタ、SAOフィルタ、および適応ループフィルタを含んでもよい。そのようなフィルタは、例に応じて、空間/ピクセル領域(たとえば、再構成済みピクセルブロック上)または周波数領域内で適用され得る。
【0078】
エンコーダとして動作するときに、フィルタリングされた再構成済み画像ブロック、残差ブロック、および/または予測ブロックは、上で説明されているように動き推定で後から使用するためにデコード済みピクチャバッファコンポーネント223に記憶される。デコーダとして動作するときに、デコード済みピクチャバッファコンポーネント223は、再構成済みおよびフィルタリング済みブロックを記憶し、出力ビデオ信号の一部としてディスプレイへ転送する。デコード済みピクチャバッファコンポーネント223は、予測ブロック、残留ブロック、および/または再構成済み画像ブロックを記憶することができる任意のメモリデバイスであってよい。
【0079】
ヘッダフォーマッティングおよびCABACコンポーネント231は、コーデックシステム200の様々なコンポーネントからデータを受信し、そのようなデータを、デコーダに向けて伝送するためにコーディング済みビットストリーム内にエンコードする。具体的には、ヘッダフォーマッティングおよびCABACコンポーネント231は、一般制御データおよびフィルタ制御データなどの制御データをエンコードするために、様々なヘッダを生成する。さらに、イントラ予測データおよび動きデータを含む予測データ、さらには量子化済み変換係数データの形態の残差データは、すべてビットストリーム内にエンコードされる。最終的なビットストリームは、元の区分化済みビデオ信号201を再構成するためにデコーダに望ましいすべての情報を含む。そのような情報は、イントラ予測モードインデックステーブル(コードワードマッピングテーブルとも称される)、様々なブロックに対するエンコーディングコンテキストの定義、最もあり得そうなイントラ予測モードの指示、区分情報の指示なども含み得る。そのようなデータは、エントロピーコーディングを採用することによってエンコードされ得る。たとえば、情報は、コンテキスト適応可変長コーディング(CAVLC)、CABAC、シンタックスベースコンテキスト適応2値算術コーディング(SBAC)、確率区間区分化エントロピー(PIPE) コーディング、または別のエントロピーコーディング技術を採用することによってエンコードされ得る。エントロピーコーディングに従って、コーディング済みビットストリームは、別のデバイス(たとえば、ビデオデコーダ)に伝送されるか、または後から伝送するか、もしくは除去するためにアーカイブされ得る。
【0080】
図3は、例示的なビデオエンコーダ300を例示するブロック図である。ビデオエンコーダ300は、コーデックシステム200のエンコーディング機能を実装し、および/または動作方法100のステップ101、103、105、107、および/または109を実装するために採用され得る。エンコーダ300は、入力ビデオ信号を区分化し、その結果、区分化済みビデオ信号301が得られ、これは区分化済みビデオ信号201に実質的に類似している。次いで、区分化済みビデオ信号301は、エンコーダ300のコンポーネントによってビットストリーム内に圧縮され、エンコードされる。
【0081】
具体的には、区分化済みビデオ信号301は、イントラ予測のためにピクチャ内予測コンポーネント317に転送される。ピクチャ内予測コンポーネント317は、ピクチャ内推定コンポーネント215およびピクチャ内予測コンポーネント217と実質的に類似しているものとしてよい。区分化済みビデオ信号301は、また、デコード済みピクチャバッファコンポーネント323内の参照ブロックに基づくインター予測のために動き補償コンポーネント321に転送される。動き補償コンポーネント321は、動き推定コンポーネント221および動き補償コンポーネント219と実質的に類似しているものとしてよい。ピクチャ内予測コンポーネント317および動き補償コンポーネント321からの予測ブロックおよび残差ブロックは、残差ブロックの変換および量子化のために、変換および量子化コンポーネント313に転送される。変換および量子化コンポーネント313は、変換スケーリングおよび量子化コンポーネント213と実質的に類似しているものとしてよい。変換済みおよび量子化済み残差ブロックならびに対応する予測ブロックは(関連する制御データとともに)、ビットストリーム内にコーディングするためにエントロピーコーディングコンポーネント331に転送される。エントロピーコーディングコンポーネント331は、ヘッダフォーマッティングおよびCABACコンポーネント231と実質的に類似しているものとしてよい。
【0082】
変換済みおよび量子化済み残差ブロックならびに/または対応する予測ブロックは、参照ブロックに再構成し動き補償コンポーネント321で使用するために、変換および量子化コンポーネント313から逆変換および量子化コンポーネント329に転送される。逆変換および量子化コンポーネント329は、スケーリングおよび逆変換コンポーネント229と実質的に類似しているものとしてよい。ループ内フィルタコンポーネント325内のループ内フィルタも、例に応じて、残差ブロックおよび/または再構成済み参照ブロックに適用される。ループ内フィルタコンポーネント325は、フィルタ制御分析コンポーネント227およびループ内フィルタコンポーネント225と実質的に類似しているものとしてよい。ループ内フィルタコンポーネント325は、ループ内フィルタコンポーネント225に関して説明されているように複数のフィルタを備え得る。次いで、フィルタリング済みブロックは、動き補償コンポーネント321により参照ブロックとして使用するためにデコード済みピクチャバッファコンポーネント323に記憶される。デコード済みピクチャバッファコンポーネント323は、デコード済みピクチャバッファコンポーネント223と実質的に類似しているものとしてよい。
【0083】
図4は、例示的なビデオデコーダ400を例示するブロック図である。ビデオデコーダ400は、コーデックシステム200のデコーディング機能を実装し、および/または動作方法100のステップ111、113、115、および/または117を実装するために採用され得る。デコーダ400は、たとえばエンコーダ300からビットストリームを受信し、エンドユーザへの表示のためにビットストリームに基づき再構成済み出力ビデオ信号を生成する。
【0084】
ビットストリームは、エントロピーデコーディングコンポーネント433によって受信される。エントロピーデコーディングコンポーネント433は、CAVLC、CABAC、SBAC、PIPEコーディング、または他のエントロピーコーディング技術などのエントロピーデコーディングスキームを実装するように構成される。たとえば、エントロピーデコーディングコンポーネント433は、ビットストリーム内のコードワードとしてエンコードされた追加のデータを解釈するためのコンテキストを提供するためにヘッダ情報を採用し得る。デコード済み情報は、一般制御データ、フィルタ制御データ、区分情報、動きデータ、予測データ、および残差ブロックからの量子化変換係数などの、ビデオ信号をデコードするための任意の望ましい情報を含む。量子化済み変換係数は、残差ブロック内への再構成のために逆変換および量子化コンポーネント429に転送される。逆変換および量子化コンポーネント429は、逆変換および量子化コンポーネント329と類似しているものとしてよい。
【0085】
再構成済み残差ブロックおよび/または予測ブロックは、イントラ予測演算に基づき画像ブロックに再構成するためにピクチャ内予測コンポーネント417に転送される。ピクチャ内予測コンポーネント417は、ピクチャ内推定コンポーネント215およびピクチャ内予測コンポーネント217と類似しているものとしてよい。具体的には、ピクチャ内予測コンポーネント417は、フレーム内の参照ブロックの位置を特定するために予測モードを採用し、残差ブロックをその結果に適用してイントラ予測画像ブロックを再構成する。再構成済みイントラ予測画像ブロックおよび/または残差ブロックならびに対応するインター予測データは、それぞれデコード済みピクチャバッファコンポーネント223およびループ内フィルタコンポーネント225に実質的に類似しているものとしてよい、ループ内フィルタコンポーネント425を介してデコード済みピクチャバッファコンポーネント423に転送される。ループ内フィルタコンポーネント425は、再構成済み画像ブロック、残差ブロックおよび/または予測ブロックをフィルタリングし、そのような情報は、デコード済みピクチャバッファコンポーネント423に記憶される。デコード済みピクチャバッファコンポーネント423からの再構成済み画像ブロックは、インター予測のために動き補償コンポーネント421に転送される。動き補償コンポーネント421は、動き推定コンポーネント221および/または動き補償コンポーネント219と実質的に類似しているものとしてよい。具体的には、動き補償コンポーネント421は、予測ブロックを生成するために参照ブロックからの動きベクトルを採用し、残差ブロックをその結果に適用して、画像ブロックを再構成する。また、結果として得られる再構成済みブロックは、ループ内フィルタコンポーネント425を介してデコード済みピクチャバッファコンポーネント423に転送され得る。デコード済みピクチャバッファコンポーネント423は、区分情報を介してフレーム内に再構成され得る、追加の再構成済み画像ブロックを記憶することを続ける。そのようなフレームは、1つのシーケンスに置かれてもよい。このシーケンスは、再構成済み出力ビデオ信号としてディスプレイへ出力される。
【0086】
上記を念頭に置いて、ビデオ圧縮技術は、ビデオシーケンスに固有の冗長性を低減または除去するために、空間的(ピクチャ内)予測および/または時間的(ピクチャ間)予測を実行する。ブロックベースのビデオコーディングのために、ビデオスライス(すなわち、ビデオピクチャ、またはビデオピクチャの一部)は、いくつかビデオブロックに区分化されてもよく、これは、ツリーブロック、コーディングツリーブロック(CTB)、コーディングツリーユニット(CTU)、コーディングユニット(CU)、および/またはコーディングノードと呼ばれることもある。ピクチャのイントラコーディング済み(I)スライス中のビデオブロックは、同じピクチャ中の隣接ブロック中の参照サンプルに対する空間予測を使用してエンコードされる。ピクチャのインターコーディング済み(PまたはB)スライス中のビデオブロックは、同じピクチャ中の隣接ブロック中の参照サンプルに対する空間予測、または他の参照ピクチャ中の参照サンプルに対する時間予測を使用し得る。ピクチャはフレームと呼ばれることがあり、参照ピクチャは参照フレームと呼ばれることがある。POCは、コーディング済みレイヤビデオシーケンス(CLVS)内のすべてのピクチャの中で関連するピクチャを一意的に識別し、関連するピクチャがDPBからいつ出力されるべきであるかを示し、DPBから出力されるべきである同じCLVS内の他のピクチャの出力順序位置に関する出力順の関連するピクチャの位置を示す各ピクチャに関連付けられている変数である。フラグは、2つの可能な値、0および1、のうちの1つを取ることができる変数または1ビットシンタックス要素である。
【0087】
空間予測または時間予測は、結果として、コーディングされるべきブロックのための予測ブロックをもたらす。残差データは、コーディングされるべき元のブロックと予測ブロックとの間のピクセル差分を表す。インターコーディング済みブロックは、予測ブロックを形成する参照サンプルのブロックを指す動きベクトル、およびコーディング済みブロックと予測ブロックとの間の差分を示す残差データに従ってエンコードされる。イントラコーディング済みブロックは、イントラコーディングモードおよび残差データに従ってエンコードされる。さらなる圧縮のために、残差データがピクセル領域から変換領域に変換されて残差変換係数が得られてよく、次いで、残差変換係数が量子化され得る。最初に2次元配列に配置される量子化変換係数は、変換係数の1次元ベクトルを生成するために、走査されてもよく、エントロピーコーディングが、さらに多くの圧縮を達成するために適用されてもよい。
【0088】
画像およびビデオ圧縮は、急速な成長を遂げ、様々なコーディング標準をもたらした。そのようなビデオコーディング規格は、ITU-T H.261、国際標準化機構/国際電気標準会議(ISO/IEC)MPEG-1 Part 2、ITU-T H.262もしくはISO/IEC MPEG-2 Part 2、ITU-T H.263、ISO/IEC MPEG-4 Part 2、ITU-T H.264もしくはISO/IEC MPEG-4 Part 10としても知られている、高度ビデオコーディング(AVC)、およびITU-T H.265もしくはMPEG-H Part 2としても知られている、高効率ビデオコーディング(HEVC)を含む。AVCは、スケーラブルビデオコーディング(SVC)、マルチビュービデオコーディング(MVC)、マルチビュービデオコーディングプラス深さ(MVC+D)、および3D AVC(3D-AVC)などの拡張機能を含む。HEVCは、スケーラブルHEVC(SHVC)、マルチビューHEVC(MV-HEVC)、および3D HEVC(3D-HEVC)などの拡張機能を含む。
【0089】
ITU-TおよびISO/IECのジョイントビデオエキスパートチーム(JVET)によって開発されている、多目的ビデオコーディング(VVC)と名付けられた新しいビデオコーディング規格もある。VVC規格はいくつかの作業草案を有しているが、特にVVCの1つの作業草案(WD)、すなわちB. Bross、J. Chen、およびS. Liu、「Versatile Video Coding (Draft 5)」、JVET-N1001-v3、13th JVET Meeting、2019年3月27日(VVC Draft 5)は本明細書において参照されている。
【0090】
ビデオコーディングにおけるスケーラビリティは、通常、マルチレイヤコーディング技術を使用することによってサポートされる。マルチレイヤビットストリームは、ベースレイヤ(BL)および1つまたは複数のエンハンスメントレイヤ(EL)を含む。スケーラビリティの一例は、空間的スケーラビリティ、品質/信号対雑音比(SNR)スケーラビリティ、マルチビュースケーラビリティなどを含む。マルチレイヤコーディング技術が使用されるときに、ピクチャまたはその一部は、(1)参照ピクチャを使用することなく、すなわち、イントラ予測を使用して、(2)同じレイヤ内にある参照ピクチャを参照することによって、すなわち、インター予測を使用して、または(3)他のレイヤ内にある参照ピクチャを参照することによって、すなわち、レイヤ間予測を使用して、コーディングされ得る。現在のピクチャのレイヤ間予測に使用される参照ピクチャは、レイヤ間参照ピクチャ(ILRP)と称される。
【0091】
図5は、たとえば、ブロック圧縮ステップ105、ブロックデコーディングステップ113、動き推定コンポーネント221、動き補償コンポーネント219、動き補償コンポーネント321、および/または動き補償コンポーネント421において動きベクトル(MV)を決定するために実行されるようなレイヤベース予測500の一例を例示する概略図である。レイヤベース予測500は、一方向インター予測および/または双方向インター予測と互換性があるが、異なるレイヤ内のピクチャの間でも実行される。
【0092】
レイヤベース予測500は、異なるレイヤにおけるピクチャ511、512、513、および514と、ピクチャ515、516、517、および518との間に適用される。図示されている例では、ピクチャ511、512、513、および514は、レイヤN+1 532の一部であり、ピクチャ515、516、517、および518は、レイヤN 531の一部である。レイヤN 531および/またはレイヤN+1 532などのレイヤは、類似のサイズ、品質、解像度、信号対雑音比、能力などの特性の類似の値にすべて関連付けられるピクチャのグループである。図示されている例では、レイヤN+1 532は、レイヤN 531よりも大きい画像サイズに関連付けられている。したがって、レイヤN+1 532のピクチャ511、512、513、および514は、この例では、レイヤN 531のピクチャ515、516、517、および518よりも大きいピクチャサイズ(たとえば、より大きい高さおよび幅、したがって、より多くのサンプル)を有している。しかしながら、そのようなピクチャは、他の特性によってレイヤN+1 532とレイヤN 531との間で分離され得る。レイヤN+1 532およびレイヤN 531の2つのレイヤのみが図示されているが、ピクチャのセットは、関連する特性に基づき任意の数のレイヤに分離され得る。レイヤN+1 532およびレイヤN 531は、レイヤIDによって示され得る。レイヤIDは、ピクチャに関連付けられているデータの項目であり、ピクチャが示されているレイヤの一部であることを示す。したがって、各ピクチャ511~518は、対応するレイヤIDに関連付けられており、それによりどのレイヤN+1 532またはレイヤN 531が対応するピクチャを含むかを示し得る。
【0093】
異なるレイヤ531~532内のピクチャ511~518は、代替的手段で表示されるように構成される。そのようなものとして、異なるレイヤ531~532内のピクチャ511~518は、同じ時間的識別子(ID)を共有することができ、同じAUに含まれ得る。本明細書において使用されているように、AUは、DPBからの出力のために同じ表示時間に関連付けられている1つまたは複数のコーディング済みピクチャのセットである。たとえば、デコーダは、より小さいピクチャが望ましい場合に現在の表示時間にピクチャ515をデコードして表示し得るか、またはデコーダは、より大きいピクチャが望ましい場合に現在の表示時間にピクチャ511をデコードして表示し得る。そのようなものとして、上位レイヤN+1 532内のピクチャ511~514は、下位レイヤN 531内の対応するピクチャ515~518と実質的に同じ画像データを含む(ピクチャサイズの差にかかわらず)。具体的には、ピクチャ511は、ピクチャ515と実質的に同じ画像データを含み、ピクチャ512はピクチャ516と実質的に同じ画像データを含む、などである。
【0094】
ピクチャ511~518は、同じレイヤN 531またはN+1 532内の他のピクチャ511~518を参照してコーディングされ得る。同じレイヤ内の別のピクチャを参照してピクチャをコーディングすると、結果として、一方向インター予測および/または双方向インター予測に適合する、インター予測523が得られる。インター予測523は、実線の矢印で示されている。たとえば、ピクチャ513は、レイヤN+1 532のピクチャ511、512、および/または514のうちの1つまたは2つを参照として使用してインター予測523を採用することによってコーディングされるものとしてよく、1つのピクチャは、一方向インター予測のために参照され、および/または2つのピクチャは、双方向インター予測のために参照される。さらに、ピクチャ517は、レイヤN 531内のピクチャ515、516、および/または518のうちの1つまたは2つを参照として使用してインター予測523を採用することによってコーディングされるものとしてよく、1つのピクチャは、一方向インター予測のために参照され、および/または2つのピクチャは、双方向インター予測のために参照される。ピクチャが、インター予測523を実行するときに同じレイヤ内の別のピクチャに対する参照として使用されるときに、ピクチャは、参照ピクチャと称され得る。たとえば、ピクチャ512は、インター予測523に従ってピクチャ513をコーディングするために使用される参照ピクチャであってよい。インター予測523は、マルチレイヤコンテキストにおけるレイヤ内予測とも称され得る。そのようなものとして、インター予測523は、参照ピクチャおよび現在のピクチャが同じレイヤ内にある場合の現在のピクチャとは異なる参照ピクチャ内の示されたサンプルを参照することによって現在のピクチャのサンプルをコーディングするメカニズムである。
【0095】
ピクチャ511~518は、異なるレイヤ内の他のピクチャ511~518を参照することによってもコーディングされ得る。このプロセスは、レイヤ間予測521として知られており、破線の矢印によって示されている。レイヤ間予測521は、現在のピクチャと参照ピクチャとが異なるレイヤ内にあり、したがって異なるレイヤIDを有する参照ピクチャ内の示されているサンプルを参照することによって現在のピクチャのサンプルをコーディングするメカニズムである。たとえば、下位レイヤN 531のピクチャは、上位レイヤN+1 532の対応するピクチャをコーディングするための参照ピクチャとして使用され得る。具体例として、ピクチャ511は、レイヤ間予測521に従ってピクチャ515を参照することによってコーディングされ得る。そのような場合に、ピクチャ515は、レイヤ間参照ピクチャとして使用される。レイヤ間参照ピクチャとは、レイヤ間予測521に使用される参照ピクチャである。ほとんどの場合において、レイヤ間予測521は、ピクチャ511などの現在のピクチャが、同じAUに含まれ、ピクチャ515などの下位レイヤにあるレイヤ間参照ピクチャのみを使用できるように制約される。複数のレイヤ(たとえば、2つよりも多い)が利用可能であるときに、レイヤ間予測521は、現在のピクチャよりも低いレベルの複数のレイヤ間参照ピクチャに基づき現在のピクチャをエンコード/デコードすることができる。
【0096】
ビデオエンコーダは、インター予測523およびレイヤ間予測521の多くの異なる組合せおよび/または順列を介してピクチャ511~518をエンコードするためにレイヤベース予測500を採用することができる。たとえば、ピクチャ515は、イントラ予測に従ってコーディングされ得る。次いで、ピクチャ516~518は、ピクチャ515を参照ピクチャとして使用することによってインター予測523に従ってコーディングされ得る。さらに、ピクチャ511は、ピクチャ515をレイヤ間参照ピクチャとして使用することによってレイヤ間予測521に従ってコーディングされ得る。次いで、ピクチャ512~514は、ピクチャ511を参照ピクチャとして使用することによってインター予測523に従ってコーディングされ得る。そのようなものとして、参照ピクチャは、異なるコーディングメカニズムのための単一のレイヤ参照ピクチャとレイヤ間参照ピクチャの両方として働き得る。下位レイヤN 531ピクチャに基づき上位レイヤN+1 532ピクチャをコーディングすることによって、上位レイヤN+1 532は、インター予測523およびレイヤ間予測521よりもかなり低いコーディング効率を有する、イントラ予測を採用することを回避することができる。そのようなものとして、イントラ予測のコーディング効率の悪さは、最小/最低品質のピクチャに限定することができ、したがって、最小量のビデオデータをコーディングすることに限定することができる。参照ピクチャおよび/またはレイヤ間参照ピクチャとして使用されるピクチャは、参照ピクチャリスト構造に含まれる参照ピクチャリストのエントリにおいて示され得る。
【0097】
図5における各AU506は、複数のピクチャを含み得る。たとえば、1つのAU506は、ピクチャ511および515を含み得る。別のAU506は、ピクチャ512および516を含み得る。実際、各AU506は、デコード済みピクチャバッファ(DPB)から出力するための(たとえば、ユーザに対して表示するための)同じ表示時間(たとえば、同じ時間的ID)に関連付けられている1つまたは複数のコーディング済みピクチャのセットである。各AUD508は、AU(たとえば、AU508)の開始またはAU間の境界を示すために使用されるインジケータまたはデータ構造である。
【0098】
なお、図5を参照すると、レイヤは、別のレイヤに対する直接参照レイヤであり得る。たとえば、レイヤN 531は、レイヤN+1 532に対する直接参照レイヤであってもよい。すなわち、レイヤN+1 532は、直接的にレイヤN 531から予測される。実際、図5に示されているように、レイヤN+1 532とレイヤN 531との間にはレイヤがなく、レイヤN+1 532を予測するために他のレイヤはいっさい使用されない。
【0099】
以前のH.26xビデオコーディングファミリーは、単一レイヤコーディングのためのプロファイルとは別のプロファイルにおいてスケーラビリティに対するサポートを提供してきた。スケーラブルビデオコーディング(SVC)は、空間的、時間的、および品質的なスケーラビリティに対するサポートを提供するAVC/H.264のスケーラブルな拡張である。SVCについては、フラグがELピクチャ内の各マクロブロック(MB)においてシグナリングされ、それによりEL MBが下位レイヤからの同一の場所のブロックを使用して予測されるかどうかを示す。同一の場所のブロックからの予測は、テクスチャ、動きベクトル、および/またはコーディングモードを含み得る。SVCの実装形態では、その設計において未修正のH.264/AVC実装形態を直接再利用することはできない。SVC ELマクロブロックシンタックスおよびデコーディングプロセスは、H.264/AVCシンタックスおよびデコーディングプロセスと異なる。
【0100】
スケーラブルHEVC(SHVC)は、空間的および品質的スケーラビリティに対するサポートを提供するHEVC/H.265規格の拡張であり、マルチビューHEVC(MV-HEVC)は、マルチビュースケーラビリティに対するサポートを提供するHEVC/H.265の拡張であり、3D HEVC(3D-HEVC)は、MV-HEVCに比べて高度であり効率的である3次元(3D)ビデオコーディングに対するサポートを提供するHEVC/H.264の拡張である。時間的スケーラビリティは、単一レイヤHEVCコーデックの不可欠な部分として含まれていることに留意されたい。HEVCのマルチレイヤ拡張の設計では、レイヤ間予測に使用されるデコード済みピクチャが、同じアクセスユニット(AU)のみから来て、長期参照ピクチャ(LTRP)として扱われ、現在のレイヤ内の他の時間的参照ピクチャとともに参照ピクチャリスト内の参照インデックスを割り当てられるという考えを採用している。レイヤ間予測(ILP)は、予測ユニット(PU)レベルにおいて、参照ピクチャリスト内のレイヤ間参照ピクチャを参照するように参照インデックスの値を設定することによって達成される。
【0101】
特に、参照ピクチャ再サンプリングと空間的スケーラビリティ機能の両方が、参照ピクチャまたはその一部の再サンプリングを要求する。参照ピクチャ再サンプリング(RPR)は、ピクチャレベルまたはコーディングブロックレベルのいずれかで実現され得る。しかしながら、RPRがコーディング機能として言及されるときには、これは単一レイヤコーディングに対する機能である。それでも、単一レイヤコーディングのRPR機能とマルチレイヤコーディングに対する空間的スケーラビリティ機能の両方に同じ再サンプリングフィルタを使用することは可能であるか、またはコーデック設計の観点からは好ましいことですらある。
【0102】
残念ながら、現在の技術は、特定のレイヤが別のレイヤに対する直接参照レイヤであるかどうか、たとえば、図5に例示されているようにレイヤ532がレイヤ531に対する直接参照レイヤであるかどうかを指定するか、または指示するための効率的なプロセスを提供することができない。
【0103】
本明細書において開示されているのは、参照レイヤフラグに基づき参照レイヤ変数を導出することによってレイヤに対して任意の参照レイヤが指定されることを確実にする技術である。レイヤに対する任意の参照レイヤが指定されるので、現在のレイヤに対する参照レイヤは、コーディングプロセスの間に迅速に効率よく識別され、これはコーディング効率を高める。したがって、ビデオコーディングにおけるコーダ/デコーダ(別名、「コーデック」)は、現在のコーデックと比較して改善される。実際問題として、改善されたビデオコーディングプロセスは、ビデオが送信され、受信され、および/または視聴されるときにユーザにより良いユーザエクスペリエンスを提供する。
【0104】
図6は、ビデオビットストリーム600の一実施形態を例示している。本明細書において使用されているように、ビデオビットストリーム600は、コーディング済みビデオビットストリーム、ビットストリーム、またはその変形とも称され得る。図6に示されているように、ビットストリーム600は、ビデオパラメータセット(VPS)604、シーケンスパラメータセット(SPS)606、ピクチャパラメータセット(PPS)608、スライスヘッダ612、および画像データ620を含む。VPS604、SPS606、およびPPS608の各々は、一般的に、パラメータセットと称され得る。一実施形態において、図6に示されていない他のパラメータセットおよび/またはヘッダも、ビットストリーム600に含まれ得る。
【0105】
VPS604は、エンハンスメントレイヤの参照ピクチャセット構築のためのデコーディング依存関係または情報を含む。VPS604は、どのような種類の操作ポイントが提供されるか、操作ポイントのプロファイル、ティア、およびレベル、ならびにセッションネゴシエーションおよびコンテンツ選択などの基礎として使用され得るビットストリーム600のいくつかの他の高レベルのプロパティを含む、スケーラブルシーケンスの全体的視点またはビューを提供する。
【0106】
一実施形態において、VPS604は、直接参照レイヤフラグ680を含む。直接参照レイヤフラグ680は、vps_direct_ref_layer_flagと指定され得る。第1の値(たとえば、0)に等しい直接参照レイヤフラグ680は、第2のレイヤ(たとえば、レイヤN 531)が第1のレイヤ(たとえば、レイヤN+1 532)に対する直接参照レイヤでないことを指定する。第2の値(たとえば、1)に等しい直接参照レイヤフラグ680は、第2のレイヤ(たとえば、レイヤN 531)が第1のレイヤ(たとえば、レイヤN+1 532)に対する直接参照レイヤであることを指定する。
【0107】
一実施形態において、第1のレイヤは[i]のインデックス値を有し、第2のレイヤは[j]のインデックス値を有し、これらの値は行列に対応する。多くの場合にai,jで示され、iおよびjは通常それぞれ1からmおよびnまで変化する、m×nの行列Aにおける個々の項目は、その要素またはエントリと呼ばれる。したがって、[i]および[j]は、本明細書において説明される様々なレイヤに対応する行列内のエントリを表す。
【0108】
一実施形態において、VPS604は、シンタックス要素vps_max_layers_minus1 682を含む。シンタックス要素vps_max_layers_minus1+1は、VPS604内のレイヤの最大数を指定し、これは、VPS604を参照する各コーディング済みビデオシーケンス(CVS)690内のレイヤの最大許容数である。一実施形態において、[i]のインデックス値は、0からvps_max_layers_minus1までの範囲内にある。たとえば、シンタックス要素vps_max_layers_minus1 682が3の値を有するときにVPS604内のレイヤの最大数は4(3+1=4)である。
【0109】
以下でより詳しく説明されるように、直接参照レイヤフラグ680は、参照レイヤフラグの導出において使用され得る。参照レイヤフラグは、参照レイヤフラグ変数として使用されるレイヤと称され、LayerUsedAsRefLayerFlag[i]またはLayerUsedAsRefLayerFlag[j]として指定され得る。参照レイヤフラグの導出は、ビットストリーム600においてシグナリングされない。むしろ、参照レイヤフラグの導出は、直接参照レイヤフラグ680に少なくとも一部は基づきエンコーダおよび/またはデコーダによって導出される。導出プロセスは、以下でより詳しく説明される。
【0110】
SPS606は、ピクチャシーケンス(SOP)内のすべてのピクチャに共通するデータを含む。SPS606は、各ピクチャヘッダ内に見つかるシンタックス要素によって参照されるPPS内に見つかるシンタックス要素の内容によって決まるような0個以上のCLVS全体に適用されるシンタックス要素を含むシンタックス構造である。
【0111】
SPS606とは対照的に、PPS608は、ピクチャ全体に共通するデータを含む。PPS 608は、0またはそれ以上のコーディング済みピクチャに適用されるシンタックス要素を備えるシンタックス構造である。スライスヘッダ612は、スライスで表されるタイル内のすべてのビデオデータに関連するデータ要素を含むコーディング済みスライスの一部である。スライスヘッダ612は、ピクチャ内の各スライスに特有のパラメータを含む。したがって、ビデオシーケンス内のスライス毎に1つのスライスヘッダ612があり得る。スライスヘッダ612は、スライスタイプ情報、ピクチャ順序カウント(POC)、参照ピクチャリスト(RPL)、予測重み、タイルエントリポイント、またはデブロッキングパラメータを含んでもよい。スライスヘッダ612は、タイルグループヘッダおよび/またはピクチャヘッダ(PH)とも称され得る。
【0112】
一実施形態において、VPS604および/またはSPS606は、本明細書において開示されている実施形態のうちの1つまたは複数を実装するために次のSPSシンタックスおよびセマンティクスを含む。
【0113】
VPSシンタックスは、次のものを含む。
【表1A】
【表1B】
【0114】
SPSローバイトシーケンスペイロード(RBSP)シンタックスは、次を含む。
【表2A】
【表2B】
【0115】
DPBシンタックスは、次のものを含む。
【表3】
【0116】
HRDパラメータシンタックスは、一般HRDパラメータシンタックス、OLS HRDパラメータシンタックス、およびサブレイヤHRDパラメータシンタックスを含む。
【0117】
一般HRDパラメータシンタックスは、次のものを含む。
【表4】
【0118】
OLS HRDパラメータシンタックスは、次のものを含む。
【表5】
【0119】
サブレイヤHRDパラメータシンタックスは、次のものを含む。
【表6】
【0120】
VPSセマンティクスは、次のとおりである。
【0121】
vps_max_layers_minus1+1は、VPSを参照する各CVS内のレイヤの最大許容数を指定する。
【0122】
vps_max_sub_layers_minus1+1は、VPSを参照する各CVS内に存在している可能性のある時間的サブレイヤの最大数を指定する。vps_max_sub_layers_minus1の値は、0から6までの範囲内にあるものとする。
【0123】
1に等しいvps_all_layers_same_num_sub_layers_flagは、時間的サブレイヤの数がVPSを参照する各CVS内のすべてのレイヤについて同じであることを指定する。0に等しいvps_all_layers_same_num_sub_layers_flagは、VPSを参照する各CVSにおけるレイヤが同じ数の時間的サブレイヤを有し得るか、または有し得ないことを指定する。存在していないときに、vps_all_layers_same_num_sub_layers_flagの値は、1に等しいと推論される。
【0124】
1に等しいvps_all_independent_layers_flagは、CVS内のすべてのレイヤは、レイヤ間予測を使用することなく独立してコーディングされることを指定する。0に等しいvps_all_independent_layers_flagは、CVS内のレイヤの1つまたは複数がレイヤ間予測を使用してよいことを指定する。存在していないときに、vps_all_independent_layers_flagの値は、1に等しいと推論される。vps_all_independent_layers_flagが1に等しいときに、vps_independent_layer_flag[i]の値は、1に等しいと推論される。vps_all_independent_layers_flagが0に等しいときに、vps_independent_layer_flag[0]の値は、1に等しいと推論される。
【0125】
0に等しいvps_direct_dependency_flag[i][j]は、インデックスjを有するレイヤはインデックスiを有するレイヤに対する直接参照レイヤではないことを指定する。1に等しいvps_direct_dependency_flag[i][j]は、インデックスjを有するレイヤはインデックスiを有するレイヤに対する直接参照レイヤであることを指定する。vps_direct_dependency_flag[i][j]が0からvps_max_layers_minus1までの範囲内のiおよびjについて存在していないときに、これは0に等しいと推論される。
【0126】
i番目のレイヤのj番目の直接従属レイヤを指定する、変数DirectDependentLayerIdx[i][j]、およびレイヤインデックスjを有するレイヤが任意の他のレイヤによって参照レイヤとして使用されるかどうかを指定する変数LayerUsedAsRefLayerFlag[j]は、次のように導出される。
for(i=0; i<=vps_max_layers_minus1; i++)
LayerUsedAsRefLayerFlag[j]=0
for(i=1; i<vps_max_layers_minus1; i++)
if(!vps_independent_layer_flag[i])
for(j=i-1, k=0; j>=0; j--)
if(vps_direct_dependency_flag[i][j]) {
DirectDependentLayerIdx[i][k++]=j
LayerUsedAsRefLayerFlag[j]=1
}
【0127】
nuh_layer_idがvps_layer_id[i]に等しいレイヤのレイヤインデックスを指定する、変数GeneralLayerIdx[i]は、次のように導出される。
for(i=0; i<=vps_max_layers_minus1; i++)
GeneralLayerIdx[vps_layer_id[i]]=i
【0128】
1に等しいeach_layer_is_an_ols_flagは、各出力レイヤセットがただ1つのレイヤを含み、ビットストリーム内の各レイヤそれ自体は、単一の含まれるレイヤが唯一の出力レイヤである出力レイヤセットであることを指定する。0に等しいeach_layer_is_an_ols_flagは、出力レイヤセットが複数のレイヤを含み得ることを指定する。vps_max_layers_minus1が0に等しい場合、each_layer_is_an_ols_flagの値は、1に等しいと推論される。そうでない場合、vps_all_independent_layers_flagが0に等しいときに、each_layer_is_an_ols_flagの値は、0に等しいと推論される。
【0129】
0に等しいols_mode_idcは、VPSによって指定されたOLSの総数がvps_max_layers_minus1+1に等しく、i番目のOLSは0からiまでのレイヤインデックスを有するレイヤを含み、各OLSについてOLS内の最上位レイヤのみが出力されることを指定する。1に等しいols_mode_idcは、VPSによって指定されたOLSの総数がvps_max_layers_minus1+1に等しく、i番目のOLSは0からiまでのレイヤインデックスを有するレイヤを含み、各OLSについてOLS内のすべてのレイヤが出力されることを指定する。2に等しいols_mode_idcは、VPSによって指定されたOLSの総数が明示的にシグナリングされ、各OLSについてOLS内の最上位レイヤおよび下位レイヤの明示的にシグナリングされたセットが出力されることを指定する。ols_mode_idcの値は、0から2までの範囲内にあるものとする。ols_mode_idcの値3は、ITU-T|ISO/IECで将来使用されるために予約されている。vps_all_independent_layers_flagが1に等しく、each_layer_is_an_ols_flagが0に等しいときに、ols_mode_idcの値は、2に等しいと推論される。
【0130】
num_output_layer_sets_minus1+1は、ols_mode_idcが2に等しいときにVPSによって指定されたOLSの総数を指定する。
【0131】
VPSによって指定されたOLSの総数を指定する、変数TotalNumOlssは、次のように導出される。
if(vps_max_layers_minus1==0)
TotalNumOlss=1
else if(each_layer_is_an_ols_flag || ols_mode_idc==0 || ols_mode_idc==1)
TotalNumOlss=vps_max_layers_minus1+1
else if(ols_mode_idc==2)
TotalNumOlss=num_output_layer_sets_minus1+1
【0132】
layer_included_flag[i][j]は、j番目のレイヤ(すなわち、nuh_layer_idがvps_layer_id[j]に等しいレイヤ)が、ols_mode_idcが2に等しいときにi番目のOLS内に含まれることを指定する。1に等しいlayer_included_flag[i][j]は、j番目のレイヤがi番目のOLSに含まれることを指定する。0に等しいlayer_included_flag[i][j]は、j番目のレイヤがi番目のOLSに含まれないことを指定する。
【0133】
i番目のOLS内のレイヤの数を指定する、変数NumLayersInOls[i]およびi番目のOLS内のj番目のレイヤのnuh_layer_id値を指定する変数LayerIdInOls[i][j]は、次のように導出される。
NumLayersInOls[0]=1
LayerIdInOls[0][0]=vps_layer_id[0]
for(i=1, i<TotalNumOlss; i++) {
if(each_layer_is_an_ols_flag) {
NumLayersInOls[i]=1
LayerIdInOls[i][0]=vps_layer_id[i]
} else if(ols_mode_idc==0 | | ols_mode_idc==1) {
NumLayersInOls[i]=i+1
for(j=0; j<NumLayersInOls[i]; j++)
LayerIdInOls[i][j]=vps_layer_id[j]
} else if(ols_mode_idc==2) {
for(k=0, j=0; k<=vps_max_layers_minus1; k++)
if(layer_included_flag[i][k])
LayerIdInOls[i][j++]=vps_layer_id[k]
NumLayersInOls[i]=j
}
}
【0134】
nuh_layer_idがLayerIdInOls[i][j]に等しいレイヤのOLSレイヤインデックスを指定する、変数OlsLayeIdx[i][j]は、次のように導出される。
for(i=0, i<TotalNumOlss; i++)
for j=0; j<NumLayersInOls[i]; j++)
OlsLayeIdx[i][LayerIdInOls[i][j]]=j
【0135】
各OLS内の最下レイヤは、独立レイヤであるものとする。言い換えると、0からTotalNumOlss-1までの範囲内の各iについて、vps_independent_layer_flag[GeneralLayerIdx[LayerIdInOls[i][0]]]の値は1に等しいものとする。
【0136】
各レイヤは、VPSによって指定される少なくとも1つのOLS内に含まれるものとする。言い換えると、0からvps_max_layers_minus1の範囲内のkについてvps_layer_id[k]の1つに等しいnuh_layer_id nuhLayerIdの特定の値を有する各レイヤについて、iおよびjの値の少なくとも1つの対があるものとし、iは0からTotalNumOlss-1の範囲内にあり、jはNumLayersInOls[i]-1の範囲内にあり、LayerIdInOls[i][j]の値はnuhLayerIdに等しい。
【0137】
OLS内の任意のレイヤは、OLSの出力レイヤまたはOLSの出力レイヤの(直接的または間接的)参照レイヤであるものとする。
【0138】
vps_output_layer_flag[i][j]は、ols_mode_idcが2に等しいときにi番目のOLS内のj番目のレイヤが出力されるかどうかを指定する。1に等しいvps_output_layer_flag[i]は、i番目のOLS内のj番目のレイヤが出力されることを指定する。0に等しいvps_output_layer_flag[i]は、i番目のOLS内のj番目のレイヤが出力されないことを指定する。vps_all_independent_layers_flagが1に等しく、each_layer_is_an_ols_flagが0に等しいときに、vps_output_layer_flag[i]の値は、1に等しいと推論される。
【0139】
値1がi番目のOLS内のj番目のレイヤが出力されることを指定し、値0がi番目のOLS内のj番目のレイヤが出力されないことを指定する変数OutputLayerFlag[i][j]は、次のように導出される。
for(i=0, i<TotalNumOlss; i++) {
OutputLayerFlag[i][NumLayersInOls[i]-1]=1
for(j=0; j<NumLayersInOls[i]-1; j++)
if(ols_mode_idc[i]==0)
OutputLayerFlag[i][j]=0
else if(ols_mode_idc[i]==1)
OutputLayerFlag[i][j]=1
else if(ols_mode_idc[i]==2)
OutputLayerFlag[i][j]=vps_output_layer_flag[i][j]
}
【0140】
注- 0番目のOLSは、最下位レイヤ(すなわち、nuh_layer_idがvps_layer_id[0]に等しいレイヤ)のみを含み、0番目のOLSについて、含まれているレイヤのみが出力される。
【0141】
vps_num_ptlsは、VPSのprofile_tier_level()シンタックス構造の数を指定する。
【0142】
1に等しいpt_present_flag[i]は、プロファイル、ティア、および一般制約条件情報が、VPS内のi番目のprofile_tier_level()シンタックス構造内に存在することを指定する。0に等しいpt_present_flag[i]は、プロファイル、ティア、および一般制約条件情報が、VPS内のi番目のprofile_tier_level()シンタックス構造内に存在していないことを指定する。pt_present_flag[0]の値は、0に等しいと推論される。pt_present_flag[i]が0に等しいときに、VPS内のi番目のprofile_tier_level()シンタックス構造に対するプロファイル、ティア、および一般制約条件情報は、VPS内の(i-1)番目のprofile_tier_level()シンタックス構造のものと同一であると推論される。
【0143】
ptl_max_temporal_id[i]は、レベル情報がVPS内のi番目のprofile_tier_level()シンタックス構造に存在する最上位サブレイヤ表現のTemporalIdを指定する。ptl_max_temporal_id[i]の値は、0からvps_max_sub_layers_minus1までの範囲内であるものとする。vps_max_sub_layers_minus1が0に等しいときに、ptl_max_temporal_id[i]の値は、0に等しいと推論される。vps_max_sub_layers_minus1が0より大きく、vps_all_layers_same_num_sub_layers_flagが1に等しいときに、ptl_max_temporal_id[i]の値は、vps_max_sub_layers_minus1に等しいと推論される。
【0144】
vps_ptl_byte_alignment_zero_bitは、0に等しいものとする。
【0145】
ols_ptl_idx[i]は、i番目のOLSに適用されるprofile_tier_level()シンタックス構造のVPS内のprofile_tier_level()シンタックス構造のリストへのインデックスを指定する。存在するときには、ols_ptl_idx[i]の値は、0からvps_num_ptls-1までの範囲内にあるものとする。
【0146】
NumLayersInOls[i]が1に等しいときに、i番目のOLSに適用されるprofile_tier_level()シンタックス構造は、i番目のOLS内のレイヤによって参照されるSPS内に存在する。
【0147】
vps_num_dpb_paramsは、VPS内のdpb_parameters()シンタックス構造の数を指定する。vps_num_dpb_paramsの値は、0から16までの範囲内にあるものとする。存在していないときに、vps_num_dpb_paramsの値は、0に等しいと推論される。
【0148】
1に等しいsame_dpb_size_output_or_nonoutput_flagは、layer_nonoutput_dpb_params_idx[i]シンタックス要素がVPS内に存在しないことを指定する。0に等しいsame_dpb_size_output_or_nonoutput_flagは、layer_nonoutput_dpb_params_idx[i]シンタックス要素がVPS内に存在し得るか、または存在し得ないことを指定する。
【0149】
vps_sub_layer_dpb_params_present_flagは、VPS内のdpb_parameters()シンタックス構造におけるmax_dec_pic_buffering_minus1[ ]、max_num_reorder_pics[ ]、およびmax_latency_increase_plus1[ ]シンタックス要素の存在を制御するために使用される。存在しないときには、vps_sub_dpb_params_info_present_flagは、0に等しいと推論される。
【0150】
1に等しいdpb_size_only_flag[i]は、max_num_reorder_pics[ ]およびmax_latency_increase_plus1[ ]シンタックス要素がVPS内のi番目のdpb_parameters()シンタックス構造に存在していないことを指定する。1に等しいdpb_size_only_flag[i]は、max_num_reorder_pics[ ]およびmax_latency_increase_plus1[ ]シンタックス要素がVPS内のi番目のdpb_parameters()シンタックス構造に存在し得ることを指定する。
【0151】
dpb_max_temporal_id[i]は、DPBパラメータがVPS内のi番目のdpb_parameters()シンタックス構造に存在し得る最上位サブレイヤ表現のTemporalIdを指定する。dpb_max_temporal_id[i]の値は、0からvps_max_sub_layers_minus1までの範囲内であるものとする。vps_max_sub_layers_minus1が0に等しいときに、dpb_max_temporal_id[i]の値は、0に等しいと推論される。vps_max_sub_layers_minus1が0より大きく、vps_all_layers_same_num_sub_layers_flagが1に等しいときに、dpb_max_temporal_id[i]の値は、vps_max_sub_layers_minus1に等しいと推論される。
【0152】
layer_output_dpb_params_idx[i]は、OLS内の出力レイヤであるときにi番目のレイヤに適用されるdpb_parameters()シンタックス構造の、VPS内のdpb_parameters()シンタックス構造のリストへのインデックスを指定する。存在するときには、layer_output_dpb_params_idx[i]の値は、0からvps_num_dpb_params-1までの範囲内にあるものとする。
【0153】
vps_independent_layer_flag[i]が1に等しい場合、出力レイヤであるときにi番目のレイヤに適用されるdpb_parameters()シンタックス構造は、レイヤによって参照されるSPS内に存在するdpb_parameters()シンタックス構造である。
【0154】
そうでない場合(vps_independent_layer_flag[i]が0に等しい場合)、次が適用される。
【0155】
vps_num_dpb_paramsが1に等しいときに、layer_output_dpb_params_idx[i]の値は、0に等しいと推論される。
【0156】
layer_output_dpb_params_idx[i]の値が、dpb_size_only_flag[layer_output_dpb_params_idx[i]]が0に等しくなるような値であるものとすることはビットストリーム適合の要件である。
【0157】
layer_nonoutput_dpb_params_idx[i]は、OLS内の非出力レイヤであるときにi番目のレイヤに適用されるdpb_parameters()シンタックス構造の、VPS内のdpb_parameters()シンタックス構造のリストへのインデックスを指定する。存在するときには、layer_nonoutput_dpb_params_idx[i]の値は、0からvps_num_dpb_params-1までの範囲内にあるものとする。
【0158】
same_dpb_size_output_or_nonoutput_flagが1に等しい場合、次が適用される。
【0159】
vps_independent_layer_flag[i]が1に等しい場合、非出力レイヤであるときにi番目のレイヤに適用されるdpb_parameters()シンタックス構造は、レイヤによって参照されるSPS内に存在するdpb_parameters()シンタックス構造である。
【0160】
そうでない場合(vps_independent_layer_flag[i]が0に等しい場合)、layer_nonoutput_dpb_params_idx[i]の値は、layer_output_dpb_params_idx[i]に等しいと推論される。
【0161】
そうでない場合(same_dpb_size_output_or_nonoutput_flagが0に等しい場合)、vps_num_dpb_paramsが1に等しいときに、layer_output_dpb_params_idx[i]の値は、0に等しいと推論される。
【0162】
0に等しいvps_extension_flagは、VPS RBSPシンタックス構造にvps_extension_data_flagシンタックス要素が存在していないことを指定する。1に等しいvps_extension_flagは、VPS RBSPシンタックス構造に存在するvps_extension_data_flagシンタックス要素があることを指定する。
【0163】
vps_extension_data_flagは任意の値を有し得る。その存在および値は、本明細書のこのバージョンで指定されているプロファイルへのデコーダ適合に影響を及ぼさない。本明細書のこのバージョンに適合するデコーダは、すべてのvps_extension_data_flagシンタックス要素を無視するものとする。
【0164】
SPS RBSPセマンティクスは、次のとおりである。
【0165】
SPS RBSPは、TemporalIdが0に等しい少なくとも1つのアクセスユニットに含まれるか、または外部手段を通じて提供される、参照される前のデコーディングプロセスに利用可能であるものとし、SPS RBSPを含むSPS NALユニットは、それを参照するPPS NALユニットの最低のnuh_layer_id値に等しいnuh_layer_idを有するものとする。
【0166】
CVS内のsps_seq_parameter_set_idの特定の値を有するすべてのSPS NALユニットは、同じ内容を有するものとする。
【0167】
sps_decoding_parameter_set_idは、0よりも大きいときに、SPSによって参照されるDPSに対するdps_decoding_parameter_set_idの値を指定する。sps_decoding_parameter_set_idが0に等しいときに、SPSは、DPSを参照せず、SPSを参照する各CLVSをデコードするときにDPSは参照されない。sps_decoding_parameter_set_idの値は、ビットストリーム内のコーディング済みピクチャによって参照されるすべてのSPSにおいて同じであるものとする。
【0168】
sps_video_parameter_set_idは、0よりも大きいときに、SPSによって参照されるVPSに対するvps_video_parameter_set_idの値を指定する。sps_video_parameter_set_idが0に等しいときに、SPSは、VPSを参照せず、SPSを参照する各CLVSをデコードするときにVPSは参照されず、GeneralLayerIdx[nuh_layer_id]の値は、0に等しいと推論され、vps_independent_layer_flag[GeneralLayerIdx[nuh_layer_id]]の値は、1に等しいと推論される。
【0169】
vps_independent_layer_flag[GeneralLayerIdx[nuh_layer_id]]が1に等しいときに、特定のnuh_layer_id値nuhLayerIdを有するCLVSによって参照されるSPSは、nuhLayerIdに等しいnuh_layer_idを有するものとする。
【0170】
sps_max_sub_layers_minus1+1は、SPSを参照する各CLVS内に存在している可能性のある時間的サブレイヤの最大数を指定する。sps_max_sub_layers_minus1の値は、0からvps_max_sub_layers_minus1までの範囲内にあるものとする。
【0171】
sps_reserved_zero_4bitsは、本明細書のこのバージョンに適合するビットストリーム内で0に等しいものとする。sps_reserved_zero_4bitsに対する他の値は、ITU-T|ISO/IECで将来使用されるために予約されている。
【0172】
1に等しいsps_ptl_dpb_present_flagは、profile_tier_level()シンタックス構造およびdpb_parameters()シンタックス構造がSPS内に存在していることを指定する。0に等しいsps_ptl_dpb_present_flagは、profile_tier_level()シンタックス構造も、dpb_parameters()シンタックス構造も、SPS内に存在していないことを指定する。sps_ptl_dpb_present_flagの値は、vps_independent_layer_flag[nuh_layer_id]に等しいものとする。
【0173】
vps_independent_layer_flag[GeneralLayerIdx[nuh_layer_id]]が1に等しい場合、変数MaxDecPicBuffMinus1は、SPS内のdpb_parameters()シンタックス構造においてmax_dec_pic_buffering_minus1[sps_max_sub_layers_minus1]に等しくなるように設定される。そうでない場合、MaxDecPicBuffMinus1は、VPS内のlayer_nonoutput_dpb_params_idx[GeneralLayerIdx[nuh_layer_id]]番目のdpb_parameters()シンタックス構造のmax_dec_pic_buffering_minus1[sps_max_sub_layers_minus1]に等しくなるように設定される。
【0174】
1に等しいgdr_enabled_flagは、SPSを参照するCLVSに漸進的デコーディングリフレッシュ(GDR)ピクチャが存在し得ることを指定する。0に等しいgdr_enabled_flagは、SPSを参照するCLVSにGDRピクチャが存在しないことを指定する。
【0175】
sps_sub_layer_dpb_params_flagは、SPS内のdpb_parameters()シンタックス構造におけるmax_dec_pic_buffering_minus1[i]、max_num_reorder_pics[i]、およびmax_latency_increase_plus1[i]シンタックス要素の存在を制御するために使用される。存在しないときには、sps_sub_dpb_params_info_present_flagは、0に等しいと推論される。
【0176】
0に等しいlong_term_ref_pics_flagは、CLVS内の任意のコーディング済みピクチャのインター予測にLTRPが使用されないことを指定する。1に等しいlong_term_ref_pics_flagは、CLVS内の1つまたは複数のコーディング済みピクチャのインター予測にLTRPが使用され得ることを指定する。
【0177】
一般的なプロファイル、ティア、およびレベルのセマンティクスは次のとおりである。
【0178】
profile_tier_level()シンタックス構造は、レベル情報、および任意選択で、プロファイル、ティア、サブプロファイル、および一般制約条件情報(PT情報として示される)を提供する。
【0179】
profile_tier_level()シンタックス構造がDPSに含まれるときに、OlsInScopeは、DPSを参照するビットストリーム全体におけるすべてのレイヤを含むOLSである。profile_tier_level()シンタックス構造が、VPSに含まれるときに、OlsInScopeは、VPSによって指定される1つまたは複数のOLSである。profile_tier_level()シンタックス構造が、SPSに含まれるときに、OlsInScopeは、独立レイヤであるものとする、SPSを参照するレイヤのうち最下位レイヤであるレイヤのみを含むOLSである。
【0180】
general_profile_idcは、VVC規格の付録Aにおいて指定されているようなOlsInScopeが適合するプロファイルを示す。ビットストリームは、付録Aにおいて指定されているもの以外のgeneral_profile_idcの値を含まないものとする。general_profile_idcの他の値は、ITU-T|ISO/IECで将来使用されるために予約されている。
【0181】
general_tier_flagは、付録Aにおいて指定されているようなgeneral_level_idcの解釈に対するティアコンテキストを指定する。
【0182】
num_sub_profilesは、general_sub_profile_idc[i]シンタックス要素の数を指定する。
【0183】
general_sub_profile_idc[i]は、勧告ITU-T T.35による指定されているように登録されているi番目の相互運用性メタデータを示しており、その内容はVVC規格では指定されていない。
【0184】
general_level_idcは、付録Aにおいて指定されているようなOlsInScopeが適合するレベルを示す。ビットストリームは、付録Aにおいて指定されているもの以外のgeneral_level_idcの値を含まないものとする。general_level_idcの他の値は、ITU-T|ISO/IECで将来使用されるために予約されている。
【0185】
注1- general_level_idcは値が大きいほどレベルが高いことを示す。OlsInScopeに対するDPSでシグナリングされる最大レベルは、OlsInScope内に含まれるCVSに対するSPSにおいてシグナリングされるレベルより高いものとしてよい。
【0186】
注2- OlsInScopeが複数のプロファイルに適合するときに、general_profile_idcは、(本明細書において指定されていない方式で)エンコーダによって決定されるように、好ましいデコード済み結果または好ましいビットストリーム識別を提供するプロファイルを示すべきである。
【0187】
注3- DPSに含まれるprofile_tier_level()シンタックス構造およびOlsInScopeのCVSが異なるプロファイルに適合するときに、general_profile_idcおよびlevel_idcはOlsInScopeをデコードすることができるデコーダのプロファイルおよびレベルを示すべきである。
【0188】
1に等しいsub_layer_level_present_flag[i]は、レベル情報がiに等しいTemporalIdを有するサブレイヤ表現に対するprofile_tier_level()シンタックス構造内に存在することを指定する。0に等しいsub_layer_level_present_flag[i]は、レベル情報がiに等しいTemporalIdを有するサブレイヤ表現に対するprofile_tier_level()シンタックス構造内に存在しないことを指定する。
【0189】
ptl_alignment_zero_bitsは0に等しいものとする。
【0190】
シンタックス要素sub_layer_level_idc[i]のセマンティクスは、存在していない値の推論の指定とは別にして、シンタックス要素general_level_idcと同じであるが、iに等しいTemporalIdを有するサブレイヤ表現に適用される。
【0191】
DPBセマンティクスは、次のとおりである。
【0192】
dpb_parameters(maxSubLayersMinus1, subLayerInfoFlag)シンタックス構造は、DPBサイズ、最大ピクチャ順序変更数、およびCVSの各CLVSに対する最大待ち時間の情報を提供する。
【0193】
dpb_parameters()シンタックス構造が、VPSに含まれるときに、dpb_parameters()シンタックス構造が適用されるOLSは、VPSによって指定される。dpb_parameters()シンタックス構造が、SPSに含まれるときに、これは、独立レイヤであるものとする、SPSを参照するレイヤのうち最下位レイヤであるレイヤのみを含むOLSに適用される。
【0194】
max_dec_pic_buffering_minus1[i]+1は、CVSの各CLVSについて、Htidがiに等しいときにピクチャストレージバッファのユニットでのデコード済みピクチャバッファの最大必要サイズを指定する。max_dec_pic_buffering_minus1[i]の値は、0からMaxDpbSize-1までの範囲内にあるものとし、MaxDpbSizeは、別のどこかで指定されているとおりである。iが0より大きいときに、max_dec_pic_buffering_minus1[i]は、max_dec_pic_buffering_minus1[i-1]以上であるものとする。subLayerInfoFlagが0に等しいことに起因して、max_dec_pic_buffering_minus1[i]が、0からmaxSubLayersMinus1-1までの範囲内のiについて存在していないときに、これはmax_dec_pic_buffering_minus1[maxSubLayersMinus1]に等しいと推論される。
【0195】
max_num_reorder_pics[i]は、CVSの各CLVSについて、Htidがiに等しいときにCLVSの任意のピクチャにデコード順序で先行し出力順序でそのピクチャが後に続くことができるCLVSのピクチャの最大許容数を指定する。max_num_reorder_pics[i]の値は、0からmax_dec_pic_buffering_minus1[i]までの範囲内にあるものとする。iが0より大きいときに、max_num_reorder_pics[i]は、max_num_reorder_pics[i-1]以上であるものとする。subLayerInfoFlagが0に等しいことに起因して、max_num_reorder_pics[i]が、0からmaxSubLayersMinus1-1までの範囲内のiについて存在していないときに、これはmax_num_reorder_pics[maxSubLayersMinus1]に等しいと推論される。
【0196】
0に等しくないmax_latency_increase_plus1[i]は、MaxLatencyPictures[i]の値を計算するために使用され、これは、CVSの各CLVSについて、Htidがiに等しいときにCLVSの任意のピクチャに出力順序で先行しデコード順序でそのピクチャが後に続くことができるCLVS内のピクチャの最大数を指定する。
【0197】
max_latency_increase_plus1[i]が0に等しくないときに、MaxLatencyPictures[i]の値は、次のように指定される。
MaxLatencyPictures[i]=max_num_reorder_pics[i]+max_latency_increase_plus1[i]-1
【0198】
max_latency_increase_plus1[i]が0に等しいときに、対応する限度は表現されない。
【0199】
max_latency_increase_plus1[i]の値は、0から232-2までの範囲内であるものとする。subLayerInfoFlagが0に等しいことに起因して、max_latency_increase_plus1[i]が、0からmaxSubLayersMinus1-1までの範囲内のiについて存在していないときに、これはmax_latency_increase_plus1[maxSubLayersMinus1]に等しいと推論される。
【0200】
HRDパラメータセマンティクスは、一般HRDパラメータセマンティクスを含む。
【0201】
一般HDRパラメータセマンティクスは、次のとおりである。
【0202】
general_hrd_parameters()シンタックス構造は、HRD演算で使用されるHRDパラメータを規定する。
【0203】
num_ols_hrd_params_minus1+1は、general_hrd_parameters()シンタックス構造に存在するols_hrd_parameters()シンタックス構造の数を指定する。num_ols_hrd_params_minus1の値は、0から63までの範囲内にあるものとする。TotalNumOlssが1より大きいときに、num_ols_hrd_params_minus1の値は、0に等しいと推論される。
【0204】
hrd_cpb_cnt_minus1+1は、CVSのビットストリーム内の代替的CPB指定の数を指定する。hrd_cpb_cnt_minus1の値は、0から31までの範囲内にあるものとする。
【0205】
hrd_max_temporal_id[i]は、HRDパラメータがi番目のlayer_level_hrd_parameters()シンタックス構造に含まれる最上位サブレイヤ表現のTemporalIdを指定する。hrd_max_temporal_id[i]の値は、0からvps_max_sub_layers_minus1までの範囲内であるものとする。vps_max_sub_layers_minus1が0に等しいときに、hrd_max_temporal_id[i]の値は、0に等しいと推論される。
【0206】
ols_hrd_idx[i]は、i番目のOLSに適用されるols_hrd_parameters()シンタックス構造のインデックスを指定する。ols_hrd_idx[[i]の値は、0からnum_ols_hrd_params_minus1までの範囲内であるものとする。存在していないときに、ols_hrd_idx[[i]の値は、0に等しいと推論される。
【0207】
参照ピクチャリスト構造セマンティクスは、次のとおりである。
【0208】
ref_pic_list_struct(listIdx, rplsIdx)シンタックス構造は、SPS内、またはスライスヘッダ内に存在しているものとしてよい。シンタックス構造がスライスヘッダまたはSPSに含まれるかどうかに応じて、次が適用される。
【0209】
- スライスヘッダ内に存在する場合、ref_pic_list_struct(listIdx, rplsIdx)シンタックス構造は、現在のピクチャ(スライスを含むピクチャ)の参照ピクチャリストlistIdxを指定する。
【0210】
- そうでない場合(SPSに存在する場合)、ref_pic_list_struct(listIdx, rplsIdx)シンタックス構造は、参照ピクチャリストlistIdxに対する候補を指定し、この節の残りの部分で指定されるセマンティクスにおける「現在のピクチャ」という用語は、1)SPSに含まれるref_pic_list_struct(listIdx, rplsIdx)シンタックス構造のリストへのインデックスに等しいref_pic_list_idx[listIdx]を含む1つまたは複数のスライスを有し、2)SPSを参照するCVS内にある各ピクチャを指す。
【0211】
num_ref_entries[listIdx][rplsIdx]は、ref_pic_list_struct(listIdx, rplsIdx)シンタックス構造内のエントリの数を指定する。num_ref_entries[listIdx][rplsIdx]の値は、0からMaxDecPicBuffMinus1+14までの範囲内であるものとする。
【0212】
VPS604、SPS606、およびPPS608は、異なるタイプのネットワーク抽象化レイヤ(NAL)ユニットに含まれる。NALユニットは、後に続くデータのタイプ(たとえば、コーディング済みビデオデータ)の指示を含むシンタックス構造である。NALユニットは、ビデオコーディングレイヤ(VCL)NALユニットおよび非VCL NALユニットに分類される。VCL NALユニットは、ビデオピクチャ内のサンプルの値を表すデータを含み、非VCL NALユニットは、パラメータセット(多数のVCL NALユニットに適用できる重要なデータ)および付加拡張情報(タイミング情報、およびデコード済みビデオ信号のユーザビリティを高める得るがビデオピクチャ内のサンプルの値をデコードするのには必要ない他の補足データ)などの任意の関連する追加情報を含んでいる。
【0213】
一実施形態において、VPS604は、VPS NALユニットとして指定された非VCL NALユニットに含まれる。したがって、VPS NALユニットは、VPS NUTを有する。一実施形態において、SPS606は、SPS NALユニットとして指定された非VCL NALユニットである。したがって、SPS NALユニットは、SPS NUTを有する。一実施形態において、PPS608は、PPS NALユニットとして指定された非VCL NALユニットに含まれる。したがって、PPS NALユニットは、PPS NUTを有する。
【0214】
スライスヘッダ612は、コーディング済みピクチャ(たとえば、ピクチャ625)のすべてのスライスに適用されるシンタックス要素を含むシンタックス構造である。一実施形態において、スライスヘッダ612は、VCL NAL内にある。
【0215】
画像データ620は、インター予測、イントラ予測、またはレイヤ間予測に従ってエンコードされたビデオデータ、さらには対応する変換済みおよび量子化済み残差データを含む。図6に図示されているように、画像データ620は、1つまたは複数のOLS621を含む。各OLS621は、1つまたは複数のレイヤ623を含む。レイヤ623は、図5のレイヤ531~532に類似している。レイヤ623の各々は、1つまたは複数のピクチャ625を含む。ピクチャ625は、図5のピクチャ511~518に類似している。
【0216】
各ピクチャ625は、モノクロフォーマットのルーマサンプルの配列、または4:2:0、4:2:2、および4:4:4カラーフォーマットのルーマサンプルの配列およびクロマサンプルの2つの対応する配列である。ピクチャ625は、フレームまたはフィールドのいずれであってもよい。しかしながら、1つのCVS(たとえば、CVS690)では、すべてのピクチャ625がフレームであるか、またはすべてのピクチャ625がフィールドであるかのいずれかである。CVS690は、ビデオビットストリーム600内のすべてのコーディング済みレイヤビデオシーケンス(CLVS)に対するコーディング済みビデオシーケンスである。特に、ビデオビットストリーム600が単一レイヤを含むときに、CVS690およびCLVSは同じである。CVS690およびCLVSは、ビデオビットストリーム600が複数のレイヤを含むときに(たとえば、図5に示されているように)のみ異なる。
【0217】
各ピクチャ625は、1つまたは複数のスライス627を含む。スライス627は、整数個の完全なタイル、またはピクチャ(たとえば、ピクチャ625)のタイル内の整数個の連続する完全なCTU行である。各スライス627は、単一のNALユニット(たとえば、VCL NALユニット)内に排他的に含まれる。タイル(図示せず)は、ピクチャ(たとえば、ピクチャ625)内の特定のタイル列および特定のタイル行内のCTUの矩形領域である。CTU(図示せず)は、ルーマサンプルのCTB、3つのサンプル配列を有するピクチャのクロマサンプルの2つの対応するCTB、またはモノクロピクチャもしくはサンプルをコーディングするために使用される3つの別々の色平面およびシンタックス構造を使用してコーディングされたピクチャのサンプルのCTBである。CTB(図示せず)は、コンポーネントをCTBに分割することが区分化であるようなNのある値に対するサンプルのN×Nブロックである。ブロック(図示せず)は、サンプル(たとえば、ピクセル)のM×N(M列×N行)配列、または変換係数のM×N配列である。
【0218】
ピクチャ625およびそのスライス627は、エンコードまたはデコードされる画像またはビデオに関連付けられているデータを含む。したがって、ピクチャ625およびそのスライス627は、ビットストリーム600で搬送されるペイロードまたはデータと単に称され得る。
【0219】
当業者であれば、ビットストリーム600が、実用的なアプリケーションにおいて他のパラメータおよび情報を含み得ることを理解するであろう。
【0220】
図7は、ビデオデコーダ(たとえば、ビデオデコーダ400)によって実装されるデコーディングの方法700の実施形態である。方法700は、ビットストリームがビデオエンコーダ(たとえば、ビデオエンコーダ300)から直接的にまたは間接的に受信された後に実行され得る。方法700は、参照レイヤフラグに基づき参照レイヤ変数を導出することによってレイヤに対して任意の参照レイヤが指定されることを確実にすることによってデコーディングプロセスを改善する。レイヤに対する任意の参照レイヤが指定されるので、現在のレイヤに対する参照レイヤは、コーディングプロセスの間に迅速に効率よく識別され、これはコーディング効率を高める。したがって、ビデオコーディングにおけるコーダ/デコーダ(別名、「コーデック」)は、現在のコーデックと比較して改善される。実際問題として、改善されたビデオコーディングプロセスは、ビデオが送信され、受信され、および/または視聴されるときにユーザにより良いユーザエクスペリエンスを提供する。
【0221】
ブロック702において、ビデオデコーダは、複数のレイヤ(たとえば、レイヤ531~532)およびビデオパラメータセット(たとえば、VPS604)を有するビットストリーム(たとえば、ビットストリーム600)を受信する。VPSは、直接参照レイヤフラグ(たとえば、vps_direct_ref_layer_flag680)を含む。第1の値(たとえば、0)に等しい直接参照レイヤフラグは、第2のレイヤ(たとえば、レイヤ531)が第1のレイヤ(たとえば、レイヤ532)に対する直接参照レイヤでないことを指定する。第2の値(たとえば、1)に等しい直接参照レイヤフラグは、第2のレイヤが第1のレイヤに対する直接参照レイヤであることを指定する。
【0222】
一実施形態において、第1のレイヤは[i]のインデックス値を有し、第2のレイヤは[j]のインデックス値を有する。一実施形態において、[i]のインデックス値は、0からvps_max_layers_minus1までの範囲内にある。一実施形態において、vps_max_layers_minus1+1は、VPSによって指定されるレイヤの数を指定する。
【0223】
ブロック704において、ビデオデコーダは、参照レイヤフラグ(たとえば、LayerUsedAsRefFlag)を導出する。参照レイヤフラグは、第2のレイヤが第1のレイヤに対する参照であるかどうかを示す変数である。一実施形態において、参照レイヤフラグは、最初に参照レイヤフラグを第1の値(たとえば、0)に設定し、次いで、直接参照レイヤフラグ680が第2の値を有するときに参照レイヤフラグを第2の値(たとえば、1)に更新することによって導出される。たとえば、参照レイヤフラグは、プロセスを開始するために第1の値に設定され、次いで、直接参照レイヤフラグ680が第2の値を有するときに1に変更されるか、または設定される。直接参照レイヤフラグ680が第1の値を有するときに、参照レイヤフラグは更新されず、第1の値を保持する。
【0224】
ブロック706において、ビデオデコーダは、参照レイヤフラグに従って第1のレイヤからピクチャ(たとえば、ピクチャ725)をデコードし、デコード済みピクチャを取得する。
【0225】
ピクチャがデコードされた後、ピクチャは、電子デバイス(たとえば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、パーソナルコンピュータなど)のディスプレイもしくは画面上にユーザに対して表示するための画像またはビデオシーケンスを生成するか、または形成するために使用され得る。
【0226】
図8は、ビデオエンコーダ(たとえば、ビデオエンコーダ300)によって実装されるビデオビットストリームをエンコードする方法800の実施形態である。方法800は、(たとえば、ビデオからの)ピクチャがビデオビットストリームにエンコードされ、次いでビデオデコーダ(たとえば、ビデオデコーダ400)に向けて伝送されるときに実行され得る。方法800は、参照レイヤフラグに基づき参照レイヤ変数を導出することによってレイヤに対して任意の参照レイヤが指定されることを確実にすることによってエンコーディングプロセスを改善する。レイヤに対する任意の参照レイヤが指定されるので、現在のレイヤに対する参照レイヤは、コーディングプロセスの間に迅速に効率よく識別され、これはコーディング効率を高める。したがって、ビデオコーディングにおけるコーダ/デコーダ(別名、「コーデック」)は、現在のコーデックと比較して改善される。実際問題として、改善されたビデオコーディングプロセスは、ビデオが送信され、受信され、および/または視聴されるときにユーザにより良いユーザエクスペリエンスを提供する。
【0227】
ブロック802において、ビデオエンコーダは、直接参照レイヤフラグ680を第1の値(たとえば、0)に等しくなるように設定して第2のレイヤ(たとえば、レイヤ531)が第1のレイヤ(たとえば、レイヤ532)に対して直接参照レイヤでないことを指定し、直接参照レイヤフラグ680を第2の値に等しくなるように設定して第2のレイヤが第1のレイヤに対する直接参照レイヤであることを指定する。本明細書において説明されているように、直接参照レイヤフラグは、参照レイヤフラグ(たとえば、LayerUsedAsRefFlag)の導出で使用するように構成される。
【0228】
一実施形態において、第1のレイヤは[i]のインデックス値を有し、第2のレイヤは[j]のインデックス値を有する。一実施形態において、[i]のインデックス値は、0からvps_max_layers_minus1までの範囲内にある。一実施形態において、vps_max_layers_minus1+1は、VPSを参照する各コーディング済みビデオシーケンス(CVS)内のレイヤの最大許容数である、VPSによって指定されたレイヤの数を指定する。
【0229】
ブロック804において、ビデオエンコーダは、直接参照レイヤフラグを含むビデオパラメータセット(たとえば、VPS604)を生成する。ブロック806において、ビデオエンコーダは、VPSをビデオビットストリーム(たとえば、ビットストリーム600)内にエンコードする。
【0230】
ブロック808において、ビデオエンコーダは、ビデオデコーダに向けた通信のためにビデオビットストリームを記憶する。一実施形態において、ビデオビットストリームは、ビデオデコーダに向けて伝送される。ビデオデコーダによって受信されると、エンコード済みビデオビットストリームおよび/またはエンコード済みサブビットストリームは、電子デバイス(たとえば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、パーソナルコンピュータなど)のディスプレイまたは画面上にユーザに対して表示するための画像またはビデオシーケンスを生成するか、または形成するために(たとえば、上で説明されているように)デコードされ得る。
【0231】
追加的および/または補足的な詳細は、以下に提示される。
【0232】
一般的なデコーディングプロセスは、次のとおりである。
【0233】
このプロセスへの入力は、ビットストリームBitstreamToDecodeである。このプロセスの出力は、デコード済みピクチャのリストである。
【0234】
デコーディングプロセスは、指定されたプロファイルおよびレベルに適合するすべてのデコーダが、そのプロファイルおよびレベルに適合するビットストリームに対してそのプロファイルに関連付けられているデコーディングプロセスを呼び出すときに数値的に同一のクロップされたデコード済み出力ピクチャを形成するように指定される。本明細書において説明されているプロセスによって形成されたものと同一のクロップされたデコード済み出力ピクチャを形成する任意のデコーディングプロセスは、(指定されているように、正しい出力順序または出力タイミングで)VVC規格のデコーディングプロセス要件に適合する。
【0235】
ビットストリーム内の各IRAP AUについて、次が適用される。
【0236】
- AUがビットストリーム内のデコード順で最初のAUであるか、各ピクチャが瞬時デコーディングリフレッシュ(IDR)ピクチャであるか、または各ピクチャがデコード順でシーケンスNALユニットの終端の後に続くレイヤの最初のピクチャである場合に、変数NoIncorrectPicOutputFlagは1に等しくなるように設定される。
【0237】
- そうでなければ、本明細書において指定されていない何らかの外部手段が、変数HandleCraAsCvsStartFlagをAUに対する値に設定するために利用可能である場合、HandleCraAsCvsStartFlagは、外部手段によって提供される値に等しくなるように設定され、NoIncorrectPicOutputFlagは、HandleCraAsCvsStartFlagに等しくなるように設定される。
【0238】
- そうでなければ、HandleCraAsCvsStartFlagおよびNoIncorrectPicOutputFlagは両方とも0に等しくなるように設定される。
【0239】
ビットストリーム内の各GDR AUについて、次が適用される。
【0240】
- AUがビットストリーム内のデコード順で最初のAUであるか、または各ピクチャがデコード順でシーケンスNALユニットの終端の後に続くレイヤの最初のピクチャである場合に、変数NoIncorrectPicOutputFlagは1に等しくなるように設定される。
【0241】
- そうでなければ、本明細書において指定されていない何らかの外部手段が、変数HandleGdrAsCvsStartFlagをAUに対する値に設定するために利用可能である場合、HandleGdrAsCvsStartFlagは、外部手段によって提供される値に等しくなるように設定され、NoIncorrectPicOutputFlagは、HandleGdrAsCvsStartFlagに等しくなるように設定される。
【0242】
- そうでなければ、HandleGdrAsCvsStartFlagおよびNoIncorrectPicOutputFlagは両方とも0に等しくなるように設定される。
【0243】
注- IRAPピクチャとGDRピクチャの両方について、上記の操作は、ビットストリーム中のCVSを識別するために必要である。
【0244】
8.1.2節は、BitstreamToDecodeの各コーディング済みピクチャに対してデコード順に繰り返し呼び出される。
【0245】
参照ピクチャリスト構築のためのデコーディングプロセスは、次のとおりである。
【0246】
このプロセスは、非IDRピクチャの各スライスに対してデコーディングプロセスの始めに呼び出される。
【0247】
参照ピクチャは、参照インデックスを通じてアドレス指定される。参照インデックスは、参照ピクチャリストへのインデックスである。Iスライスをデコードするときに、参照ピクチャリストは、スライスデータをデコードする際に使用されない。Pスライスをデコードするときに、参照ピクチャリスト0のみ(すなわち、RefPicList[0])が、スライスデータをデコードする際に使用される。Bスライスをデコードするときに、参照ピクチャリスト0と参照ピクチャリスト1(すなわち、RefPicList[1])の両方が、スライスデータをデコードする際に使用される。
【0248】
次の制約条件が適用されることは、ビットストリーム適合の要件である。
【0249】
- 0または1に等しい各iについて、num_ref_entries[i][RplsIdx[i]]は、NumRefIdxActive[i]より小さくないものとする。
【0250】
- RefPicList[0]またはRefPicList[1]の各アクティブエントリによって参照されるピクチャは、DPB内に存在しているものとし、現在のピクチャのTemporalId以下のTemporalIdを有するものとする。
【0251】
- RefPicList[0]またはRefPicList[1]の各エントリによって参照されるピクチャは、現在のピクチャではないものとし、0に等しいnon_reference_picture_flagを有するものとする。
【0252】
- ピクチャのスライスのRefPicList[0]もしくはRefPicList[1]内の短期参照ピクチャ(STRP)エントリおよび同じスライスまたは同じピクチャの異なるスライスのRefPicList[0]もしくはRefPicList[1]のLTRPエントリは、同じピクチャを参照しないものとする。
【0253】
- RefPicList[0]またはRefPicList[1]に、現在のピクチャのPicOrderCntValとそのエントリによって参照されるピクチャのPicOrderCntValとの差が224以上となるLTRPエントリがないものとする。
【0254】
- setOfRefPicsを、現在のピクチャと同じnuh_layer_idを有するRefPicList[0]内のすべてのエントリおよび現在のピクチャと同じnuh_layer_idを有するRefPicList[1]内のすべてのエントリによって参照される固有のピクチャのセットであるとする。setOfRefPicsのピクチャの数は、MaxDecPicBuffMinus1以下であるものとし、setOfRefPicsは、ピクチャのすべてのスライスについて同じであるものとする。
【0255】
- 現在のピクチャが段階的時間的サブレイヤアクセス(STSA)ピクチャであるときに、RefPicList[0]またはRefPicList[1]に、現在のピクチャのTemporalIdに等しいTemporalIdを有するアクティブエントリがないものとする。
【0256】
現在のピクチャが、デコード順で、現在のピクチャとのTemporalIdに等しいTemporalIdを有するSTSAピクチャの後に続くピクチャであるときに、デコード順でSTSAピクチャに先行するRefPicList[0]またはRefPicList[1]内のアクティブエントリとして含まれる現在ピクチャのTemporalIdに等しいTemporalIdを有するピクチャはないものとする。
【0257】
- 現在のピクチャのスライスのRefPicList[0]またはRefPicList[1]内の各ILRPエントリによって参照されるピクチャは、現在のピクチャと同じアクセスユニットにあるものとする。
【0258】
- 現在のピクチャのスライスのRefPicList[0]またはRefPicList[1]内の各ILRPエントリによって参照されるピクチャは、DPB内に存在するものとし、現在のピクチャのnuh_layer_idより小さいnuh_layer_idを有するものとする。
【0259】
- スライスのRefPicList[0]またはRefPicList[1]内の各ILRPエントリは、アクティブエントリであるものとする。
【0260】
VVC規格のC.1節のHRD一般的態様は、次を含む。
【0261】
この付録は、仮想参照デコーダ(HRD)ならびにビットストリームおよびデコーダの適合性をチェックするためのその使用について指定している。
【0262】
entireBitstreamと表記される、ビットストリーム全体と称される、ビットストリームの適合性をチェックするためにビットストリーム適合性テストのセットが必要である。ビットストリーム適合性テストのセットは、VPSによって指定された各OLSの各OPの適合性をテストするためのものである。
【0263】
各テストについて、次の順序のステップがリストにされた順で適用され、その後、この節におけるこれらのステップの後に記述されるプロセスが続く。
【0264】
1. targetOpと表記される、テスト対象のオペレーションポイントが、OLSインデックスopOlsIdxおよび最高のTemporalId値opTidを有するターゲットOLSを選択することによって選択される。opOlsIdxの値は、0からTotalNumOlss-1までの範囲内にある。opTidの値は、0からvps_max_sub_layers_minus1までの範囲内にある。opOlsIdxおよびopTidの選択された値の各対は、entireBitstream、opOlsIdx、およびopTidを入力としてC.6節において指定されているサブビットストリーム抽出プロセスを呼び出すことによって出力されるサブビットストリームが次の条件を満たすような対であるものとする。
【0265】
- BitstreamToDecodeにおけるLayerIdInOls[opOlsIdx]のnuh_layer_idに等しいnuh_layer_id値を有するVCL NALユニットが少なくとも1つある。
【0266】
- BitstreamToDecodeにおいてTemporalIdがopTidに等しいVCL NALユニットが少なくとも1つある。
【0267】
2. targetOpにおけるレイヤが、entireBitstream内のすべてのレイヤを含み、opTidがentireBitstream内のすべてのNALユニットの中で最高のTemporalId値と等しい大きいである場合、BitstreamToDecodeはentireBitstreamと同一になるように設定される。そうでない場合、BitstreamToDecodeは、entireBitstream、opOlsIdx、およびopTidを入力としてC.6節において指定されているようなサブビットストリーム抽出プロセスを呼び出すことによって出力されるように設定される。
【0268】
3. TargetOlsIdxおよびHtidの値は、それぞれtargetOpのopOlsIdxおよびopTidに等しくなるように設定される。
【0269】
4. ScIdxの値が選択される。選択されたScIdxは、0からhrd_cpb_cnt_minus1までの範囲内にあるものとする。
【0270】
5. TargetOlsIdxに適用可能なバッファリング期間SEIメッセージ(TargetLayerBitstream内に存在するか、または本明細書において指定されていない外部手段を通じて利用可能)に関連付けられているBitstreamToDecodeにおけるアクセスユニットは、HRD初期化点として選択され、ターゲットOLSの各レイヤに対してアクセスユニット0と参照される。
【0271】
6. BitstreamToDecodeに適用可能なols_hrd_parameters()シンタックス構造およびsub_layer_hrd_parameters()シンタックス構造は次のように選択される。
【0272】
- VPS内の(または本明細書で指定されていない外部手段を通じて提供される)ols_hrd_idx[TargetOlsIdx]番目のols_hrd_parameters()シンタックス構造が選択される。
【0273】
- 選択されたols_hrd_parameters()シンタックス構造内で、BitstreamToDecodeがタイプIビットストリームである場合、条件「if(general_vcl_hrd_params_present_flag)」の直後に来るsub_layer_hrd_parameters(Htid)シンタックス構造が選択され、変数NalHrdModeFlagが0に等しくなるように設定され、そうでない場合(BitstreamToDecodeがタイプIIビットストリームである場合)、条件「if(general_vcl_hrd_params_present_flag)」(この場合、変数NalHrdModeFlagは0に等しくなるように設定される)または条件「if(general_nal_hrd_params_present_flag)」(この場合、変数NalHrdModeFlagは1に等しくなるように設定される)のいずれかの直後に来るsub_layer_hrd_parameters(Htid)シンタックス構造が選択される。BitstreamToDecodeがタイプIIビットストリームであり、NalHrdModeFlagが0に等しいとき、フィラーデータNALユニットを除くすべての非VCL NALユニット、ならびにNALユニットストリーム(付録Bで指定されているような)からバイトストリームを形成するすべてのleading_zero_8bits、zero_byte、start_code_prefix_one_3bytes、およびtrailing_zero_8bitsシンタックス要素は、存在するときに、BitstreamToDecodeから破棄され、残りのビットストリームは、BitstreamToDecodeに割り当てられる。
【0274】
7. decoding_unit_hrd_params_present_flagが1に等しいときに、CPBは、アクセスユニットレベル(この場合、変数DecodingUnitHrdFlagは0に等しくなるように設定される)またはデコーディングユニットレベル(この場合、変数DecodingUnitHrdFlagは1に等しくなるように設定される)のいずれかで動作するようにスケジュールされる。そうでない場合、DecodingUnitHrdFlagは0に等しくなるように設定され、CPBはアクセスユニットレベルで動作するようにスケジュールされる。
【0275】
8. アクセスユニット0から始まるBitstreamToDecode内の各アクセスユニットについて、アクセスユニットに関連付けられ、TargetOlsIdxに適用されるバッファリング期間SEIメッセージ(BitstreamToDecode内に存在しているか、または本明細書において指定されていない外部手段を通じて利用可能である)が選択され、アクセスユニットに関連付けられ、TargetOlsIdxに適用されるピクチャタイミング期間SEIメッセージ(BitstreamToDecode内に存在しているか、または本明細書において指定されていない外部手段を通じて利用可能である)が選択され、DecodingUnitHrdFlagが1に等しく、decoding_unit_cpb_params_in_pic_timing_sei_flagが0に等しいときに、アクセスユニット内のデコーディングユニットに関連付けられ、TargetOlsIdxに適用されるデコーディングユニット情報SEIメッセージ(BitstreamToDecode内に存在しているか、または本明細書において指定されていない外部手段を通じて利用可能である)が選択される。
【0276】
各適合性テストは、上記ステップの各々における1つのオプションの組合せからなる。ステップに対して複数のオプションがあるときに、任意の特定の適合性テストに対して、1つのオプションのみが選択される。すべてのステップの可能なすべての組合せが、適合性テストのセット全体を成す。テスト対象の各オペレーションポイントについて、実行されるべきビットストリーム適合性テストの数は、n0*n1*n2*n3に等しく、n0、n1、n2、およびn3の値は、次のように指定される。
【0277】
- n1はhrd_cpb_cnt_minus1+1に等しい。
【0278】
- n1は、バッファリング期間SEIメッセージに関連付けられているBitstreamToDecodeにおけるアクセスユニットの数である。
【0279】
- n2は、次のように導出される。
【0280】
- BitstreamToDecodeがタイプIビットストリームである場合、n0は1に等しい。
【0281】
- そうでない場合(BitstreamToDecodeがタイプIIビットストリームである場合)、n0は2に等しい。
【0282】
- n3は、次のように導出される。
【0283】
- decoding_unit_hrd_params_present_flagが0に等しい場合、n3は1に等しい。
【0284】
- そうでない場合、n3は2に等しい。
【0285】
HRDは、ビットストリーム抽出器(任意選択で存在する)、コーディング済みピクチャバッファ(CPB)、瞬時デコーディングプロセス、各レイヤに対するサブDPBを概念的に含むデコード済みピクチャバッファ(DPB)、および出力クロッピングを含んでいる。
【0286】
各ビットストリーム適合性テストについて、CPBサイズ(ビット数)は、7.4.5.2節に指定されているようにCpbSize[Htid][ScIdx]であり、ScIdxおよびHRDパラメータは、この節において上で指定され、各レイヤに対するDPBパラメータmax_dec_pic_buffering_minus1[Htid]、max_num_reorder_pics[Htid]、およびMaxLatencyPictures[Htid]は、レイヤが独立レイヤであるかどうか、およびレイヤがターゲットOLSの出力レイヤであるかどうかに応じてそのレイヤに適用されるdpb_pameters()シンタックス構造内に見つかるか、またはそれから導出される。
【0287】
HRDは次のように動作する。
【0288】
- HDRは、デコーディングユニット0で初期化され、CPBおよびDPBの各サブDPBの両方は空に設定される(各サブDPBに対するサブDPBの充足量が0に等しくなるように設定されている)。
【0289】
注- 初期化後、HRDは、その後のバッファリング期間SEIメッセージによって再び初期化されることはない。
【0290】
- 指定された到着スケジュールに従って各CPBに流入するデコーディングユニットに関連付けられているデータは、仮想ストリームスケジューラ(HSS)によって配信される。
【0291】
- 各デコーディングユニットに関連付けられているデータが除去され、デコーディングユニットのCPB除去時間に瞬時デコーディングプロセスによって瞬時にデコードされる。
【0292】
- 各デコード済みピクチャは、DPB内に置かれる。
【0293】
- デコード済みピクチャは、インター予測参照にもはや必要なくなり、また出力にもはや必要なくなったときにDPBから除去される。
【0294】
デコード済みピクチャバッファの動作がもたらされる。
【0295】
この節の指定は、C.1節で指定されているように選択されたデコード済みピクチャバッファ(DPB)パラメータの各セットに独立して適用される。
【0296】
デコード済みピクチャバッファは、概念的にはサブDPBからなり、各サブDPBは、1つのレイヤのデコード済みピクチャを記憶するためのピクチャストレージバッファを含む。ピクチャストレージバッファの各々は、「参照用使用」とマークされるか、または将来の出力のために保持されるデコード済みピクチャを含み得る。C3.2節、C3.3節、およびC3.4節において指定されているプロセスは、以下で指定されているように順次適用され、OLS内のレイヤのnuh_layer_id値の増加順に、OLS内の最下位レイヤから始まって各レイヤについて独立して適用される。特定のレイヤに対してこれらのプロセスが適用されるときに、特定のレイヤに対するサブDPBのみが影響を受ける。これらのプロセスの説明では、DPBは、特定のレイヤに対するサブDPBを指し、その特定のレイヤは、現在のレイヤと称される。
【0297】
注- 出力タイミングDPBの動作において、同一アクセスユニット内のPicOutputFlagが1に等しいデコード済みピクチャは、デコード済みピクチャのnuh_layer_id値の昇順に連続的に出力される。
【0298】
ピクチャnおよび現在のピクチャを、nuh_layer_idの特定の値に対するアクセスユニットnのコーディング済みピクチャまたはデコード済みピクチャとし、nを非負の整数値とする。
【0299】
現在のピクチャをデコードする前にDPBからピクチャを除去することが説明される。
【0300】
現在のピクチャのデコード前のDPBからのピクチャの除去(ただし、現在のピクチャの最初のスライスのスライスヘッダの解析後)は、アクセスユニットnの最初のデコーディングユニットのCPB除去時間において瞬時に起こり(現在のピクチャを含む)、次のように進む。
【0301】
- 8.3.2節で指定されているような参照ピクチャリスト構築に対するデコーディングプロセスが呼び出され、8.3.3節で指定されているような参照ピクチャマーキングに対するデコーディングプロセスが呼び出される。
【0302】
- 現在のAUが、AU 0でないCVSS AUであるときに、次の順序付けられたステップが適用される。
【0303】
1. 変数NoOutputOfPriorPicsFlagは、次のようにテスト対象のデコーダについて導出される。
【0304】
- 現在のAU内の任意のピクチャについて導出されたpic_width_max_in_luma_samples、pic_height_max_in_luma_samples、chroma_format_idc、separate_colour_plane_flag、bit_depth_luma_minus8、bit_depth_chroma_minus8またはmax_dec_pic_buffering_minus1[Htid]の値が、同じCLVS内の先行するピクチャについてそれぞれ導出されたpic_width_in_luma_samples、pic_height_in_luma_samples、chroma_format_idc、separate_colour_plane_flag、bit_depth_luma_minus8、bit_depth_chroma_minus8、またはmax_dec_pic_buffering_minus1[Htid]の値と異なる場合、NoOutputOfPriorPicsFlagは、no_output_of_prior_pics_flagの値に関係なく、テスト対象のデコーダによって1に設定されることがある(が設定されるべきでない)。
【0305】
注- NoOutputOfPriorPicsFlagをno_output_of_prior_pics_flagに等しくなるように設定することはこれらの条件の下で好ましいが、テスト対象のデコーダは、この場合にNoOutputOfPriorPicsFlagを1に設定することを許される。
【0306】
- そうでない場合、NoOutputOfPriorPicsFlagは、no_output_of_prior_pics_flagに等しくなるように設定される。
【0307】
2. テスト対象のデコーダについて導出されたNoOutputOfPriorPicsFlagの値はHRDに対して適用され、その結果、NoOutputOfPriorPicsFlagの値が1に等しいときに、DPB内のすべてのピクチャストレージバッファは、それらが含むピクチャの出力なしで空にされ、DPB充足量は0に等しくなるように設定される。
【0308】
- DPB内の任意のピクチャkについて次の条件の両方が真であるときに、DPB内のそのようなすべてのピクチャkはDPBから除去される。
【0309】
- ピクチャkは、「参照用未使用」としてマークされる。
【0310】
- ピクチャkは、0に等しいPictureOutputFlagを有するか、またはそのDPB出力時間は、現在のピクチャnの最初のデコーディングユニット(デコーディングユニットmと表す)のCPB除去時間以下である、すなわち、DpbOutputTime[k]はDuCpbRemovalTime[m]以下である。
【0311】
- DPBから除去される各ピクチャについて、DPB充足量は、1だけ減分される。
【0312】
出力順序DPBの動作について説明される。
【0313】
この節の指定は、C.1節で指定されているように選択されたデコード済みピクチャバッファ(DPB)パラメータの各セットに独立して適用される。
【0314】
デコード済みピクチャバッファは、概念的にはサブDPBからなり、各サブDPBは、1つのレイヤのデコード済みピクチャを記憶するためのピクチャストレージバッファを含む。ピクチャストレージバッファの各々は、「参照用使用」とマークされるか、または将来の出力のために保持されるデコード済みピクチャを含む。
【0315】
C.5.2.2節において指定されているような現在のピクチャのデコード前にDPBからピクチャを出力し除去するためのプロセスが呼び出され、それに続いてC.3.4節において指定されているような現在のデコード済みピクチャのマーキングおよび記憶のためのプロセスが呼び出され、それに続いて最後にC.5.2.3節において指定されているような追加バンピングのプロセスが呼び出される。「バンピング」プロセスは、C.5.2.4節において指定されており、C.5.2.2節およびC.5.2.3節において指定されているように呼び出される。
【0316】
これらのプロセスは、OLS内の最下位レイヤから始まって、OLS内のレイヤのnuh_layer_id値の増加順に、各レイヤについて独立して適用される。特定のレイヤに対してこれらのプロセスが適用されるときに、特定のレイヤに対するサブDPBのみが影響を受ける。
【0317】
注- 出力順序DPBの動作において、出力タイミングDPBの動作と同じように、同じアクセスユニット内でPicOutputFlagが1に等しいデコード済みピクチャも、デコード済みピクチャのnuh_layer_id値の昇順に連続的に出力される。
【0318】
ピクチャnおよび現在のピクチャを、nuh_layer_idの特定の値に対するアクセスユニットnのコーディング済みピクチャまたはデコード済みピクチャとし、nを非負の整数値とする。
【0319】
DPBからのピクチャの出力および除去について説明される。
【0320】
現在のピクチャのデコード前(ただし、現在のピクチャの最初のスライスのスライスヘッダを解析した後)のDPBからのピクチャの出力および除去は、現在のピクチャを含むアクセスユニットの最初のデコーディングユニットがCPBから除去されたときに瞬時に起こり、次のように進む。
【0321】
- 8.3.2節で指定されているような参照ピクチャリスト構築に対するデコーディングプロセスが呼び出され、8.3.3節で指定されているような参照ピクチャマーキングに対するデコーディングプロセスが呼び出される。
【0322】
- 現在のAUが、AU0でないCVSS AUである場合に、次の順序付けられたステップが適用される。
【0323】
1. 変数NoOutputOfPriorPicsFlagは、次のようにテスト対象のデコーダについて導出される。
【0324】
- 現在のAUの任意のピクチャについて導出されたpic_width_max_in_luma_samples、pic_height_max_in_luma_samples、chroma_format_idc、separate_colour_plane_flag、bit_depth_luma_minus8、bit_depth_chroma_minus8またはmax_dec_pic_buffering_minus1[Htid]の値が、同じCLVS内の先行するピクチャについてそれぞれ導出されたpic_width_in_luma_samples、pic_height_in_luma_samples、chroma_format_idc、separate_colour_plane_flag、bit_depth_luma_minus8、bit_depth_chroma_minus8、またはmax_dec_pic_buffering_minus1[Htid]の値と異なる場合、NoOutputOfPriorPicsFlagは、no_output_of_prior_pics_flagの値に関係なく、テスト対象のデコーダによって1に設定されることがある(が設定されるべきでない)。
【0325】
注- NoOutputOfPriorPicsFlagをno_output_of_prior_pics_flagに等しくなるように設定することはこれらの条件の下で好ましいが、テスト対象のデコーダは、この場合にNoOutputOfPriorPicsFlagを1に設定することを許される。
【0326】
- そうでない場合、NoOutputOfPriorPicsFlagは、no_output_of_prior_pics_flagに等しくなるように設定される。
【0327】
2. テスト対象のデコーダについて導出される変数NoOutputOfPriorPicsFlagの値は、次のようにHRDについて適用される。
【0328】
- NoOutputOfPriorPicsFlagが1に等しい場合、DPB内のすべてのピクチャストレージバッファは、それらが含むピクチャの出力なしに空にされ、DPB充足量は、0に等しくなるように設定される。
【0329】
- そうでない場合(NoOutputOfPriorPicsFlagが0に等しい場合)、「出力に必要なし」および「参照用未使用」とマークされているピクチャを含むすべてのピクチャストレージバッファは(出力なしで)空にされ、DPB内の空でないすべてのピクチャストレージバッファは、C.5.2.4節で指定されている「バンピング」プロセスを繰り返し呼び出すことによって空にされ、DPB充足量は、0に等しくなるように設定される。
【0330】
- そうでない場合(現在のピクチャがCLVSSピクチャではない場合)、「出力に必要なし」および「参照用未使用」とマークされているピクチャを含むすべてのピクチャストレージバッファが空にされる(出力なしで)。空にされた各ピクチャストレージバッファについて、DPB充足量が1だけ減分される。次の条件のうちの1つまたは複数が真であるときに、次の条件のどれも真でなくなるまで、空にされる各追加のピクチャストレージバッファについてDPB充足量をさらに1だけ減分しながらC.5.2.4節において指定されている「バンピング」プロセスが繰り返し呼び出される。
【0331】
「出力に必要」とマークされているDPB内のピクチャの数は、max_num_reorder_pics[Htid]よりも大きい。
【0332】
max_latency_increase_plus1[Htid]は0に等しくなく、関連付けられている変数PicLatencyCountがMaxLatencyPictures[Htid]以上である「出力に必要」とマークされている少なくとも1つのピクチャがDPB内にある。
【0333】
DPB内のピクチャの数は、max_dec_pic_buffering_minus1[Htid]+1以上である。
【0334】
追加のバンピングについて説明される。
【0335】
この節において指定されているプロセスは、現在のピクチャを含むアクセスユニットnの最後のデコーディングユニットがCPBから除去されたときに瞬時に起こる。
【0336】
現在のピクチャが1に等しいPictureOutputFlagを有するときに、「出力に必要」とマークされ、出力順序で現在のピクチャに続くDPB内の各ピクチャについて、関連付けられている変数PicLatencyCountは、PicLatencyCount+1に等しくなるように設定される。
【0337】
次が適用される。
【0338】
- 現在のデコード済みピクチャが1に等しいPictureOutputFlagを有する場合、これは「出力に必要」とマークされ、その関連付けられている変数PicLatencyCountは、0に等しくなるように設定される。
【0339】
- そうでない場合(現在のデコード済みピクチャは0に等しいPictureOutputFlagを有する場合)、これは「出力に必要なし」とマークされる。
【0340】
次の条件のうちの1つまたは複数が真であるときに、C.5.2.4節において指定されている「バンピング」プロセスは、次の条件のうちのどれも真でなくなるまで繰り返し呼び出される。
【0341】
- 「出力に必要」とマークされているDPB内のピクチャの数は、max_num_reorder_pics[Htid]よりも大きい。
【0342】
- max_latency_increase_plus1[Htid]は0に等しくなく、関連付けられている変数PicLatencyCountがMaxLatencyPictures[Htid]以上である「出力に必要」とマークされている少なくとも1つのピクチャがDPB内にある。
【0343】
バンピングプロセスについて説明される。
【0344】
「バンピング」プロセスは、次の順序付けられたステップからなる。
【0345】
出力に関して最初である1つまたは複数のピクチャは、「出力に必要」とマークされたDPB内のすべてのピクチャのPicOrderCntValの最小値を有するものとして選択される。
【0346】
これらのピクチャの各々は、昇nuh_layer_id順で、ピクチャに対する適合性クロッピングウィンドウを使用して、クロップされ、クロップ済みピクチャが出力され、ピクチャは「出力に必要なし」とマークされる。
【0347】
「参照用未使用」とマークされたピクチャを含み、クロップされ出力されたピクチャのうちの1つであった各ピクチャストレージバッファは空にされ、関連付けられているサブDPBの充足量が1だけ減分される。
【0348】
注- 同じCVSに属し、「バンピングプロセス」によって出力される任意の2つのピクチャpicAおよびpicBについて、picAがpicBより早く出力されるときに、picAのPicOrderCntValの値はpicBのPicOrderCntValの値より小さい。
【0349】
サブビットストリーム抽出プロセスについて説明される。
【0350】
このプロセスへの入力は、ビットストリームinBitstream、ターゲットOLSインデックスtargetOlsIdx、およびターゲット最高TemporalId値tIdTargetである。
【0351】
このプロセスの出力は、サブビットストリームoutBitstreamである。
【0352】
ビットストリーム、VPSで指定されたOLSのリストへのインデックスに等しいtargetOlsIdx、および0から6までの範囲内の任意の値に等しいtIdTargetを入力とし、次の条件を満たす、この節で指定されているプロセスの出力である任意の出力サブビットストリームが適合するビットストリームであることが入力ビットストリームに対するビットストリーム適合性の要件である。
【0353】
- 出力サブビットストリームは、LayerIdInOls[targetOlsIdx]のnuh_layer_id値の各々に等しいnuh_layer_idを有する少なくとも1つのVCL NALユニットを含む。
【0354】
- 出力サブビットストリームは、tIdTargetに等しいTemporalIdを有する少なくとも1つのVCL NALユニットを含む。
【0355】
注- 適合するビットストリームは、0に等しいTemporalIdを有する1つまたは複数のコーディング済みスライスNALユニットを含むが、0に等しいnuh_layer_idを有するコーディング済みスライスNALユニットを含まなくてもよい。
【0356】
出力サブビットストリームOutBitstreamは、次のように導出される。
【0357】
- ビットストリームoutBitstreamは、ビットストリームinBitstreamと同一になるように設定される。
【0358】
- tIdTargetより大きいTemporalIdを有するすべてのNALユニットをoutBitstreamから除去する。
【0359】
- リストLayerIdInOls[targetOlsIdx]に含まれないnuh_layer_idを有するすべてのNALユニットをoutBitstreamから除去する。
【0360】
- 1に等しいnesting_ols_flagを有するスケーラブルネスティングSEIメッセージを含むすべてのSEI NALユニットをoutBitstreamから除去し、0からnesting_num_olss_minus1までの範囲内にiの値はなく、NestingOlsIdx[i]はtargetOlsIdxに等しい。
【0361】
- targetOlsIdxが0より大きいときに、0(バッファリング期間)、1(ピクチャタイミング)、または130(デコーディングユニット情報)に等しいpayloadTypeを有する非スケーラブルネストSEIメッセージを含むすべてのSEI NALユニットをoutBitstreamから除去する。
【0362】
スケーラブルネスティングSEIメッセージシンタックスが提示される。
【表7】
【0363】
一般SEIペイロードセマンティクスが提示される。
【0364】
非スケーラブルネストSEIメッセージの適用可能なレイヤまたはOLS上で、次が適用される。
【0365】
- 非スケーラブルネストSEIメッセージについて、payloadTypeが0(バッファリング期間)、1(ピクチャタイミング)、または130(デコーディングユニット情報)に等しいときに、非スケーラブルネストSEIメッセージは、0番目のOLSにのみ適用される。
【0366】
- 非スケーラブルネストSEIメッセージについて、payloadTypeがVclAssociatedSeiListのうちの任意の値に等しいときに、非スケーラブルネストSEIメッセージは、VCL NALユニットがSEIメッセージを含むようになるまでSEI NALユニットのthe nuh_layer_idに等しいnuh_layer_idを有するレイヤにのみ適用される。
【0367】
SEI NALユニットのnuh_layer_idの値に次の制限が適用されることは、ビットストリーム適合性の要件である。
【0368】
- 非スケーラブルネストSEIメッセージが、0(バッファリング期間)、1(ピクチャタイミング)、または130(デコーディングユニット情報)に等しいpayloadTypeを有するときに、非スケーラブルネストSEIメッセージを含むSEI NALユニットは、vps_layer_id[0]に等しいnuh_layer_idを有するものとする。
【0369】
- 非スケーラブルネストSEIメッセージが、VclAssociatedSeiListのうちの任意の値に等しいpayloadTypeを有するときに、非スケーラブルネストSEIメッセージを含むSEI NALユニットは、SEI NALユニットに関連付けられているVCL NALユニットのnuh_layer_idの値に等しいnuh_layer_idを有するものとする。
【0370】
- スケーラブルネスティングSEIメッセージを含むSEI NALユニットは、スケーラブルネストSEIメッセージが適用されるすべてのレイヤのnuh_layer_idの最低値(スケーラブルネスティングSEIメッセージのnesting_ols_flagが0に等しいとき)またはスケーラブルネストSEIメッセージが適用されるOLS内のすべてのレイヤのnuh_layer_idの最低値(スケーラブルネスティングSEIメッセージのnesting_ols_flagが1に等しいとき)に等しいnuh_layer_idを有するものとする。
【0371】
スケーラブルネスティングSEIメッセージセマンティクスが提示される。
【0372】
スケーラブルネスティングSEIメッセージは、SEIメッセージを特定のOLSと、または特定のレイヤと関連付けるメカニズムを提供する。
【0373】
スケーラブルネスティングSEIメッセージは、1つまたは複数のSEIメッセージを含む。スケーラブルネスティングSEIメッセージに含まれるSEIメッセージは、スケーラブルネストSEIメッセージとも称される。
【0374】
スケーラブルネスティングSEIメッセージ内にSEIメッセージを含めることに次の制限が適用されることは、ビットストリーム適合性の要件である。
【0375】
- 132(デコード済みピクチャハッシュ)または133(スケーラブルネスティング)に等しいpayloadTypeを有するSEIメッセージは、スケーラブルネスティングSEIメッセージに含まれないものとする。
【0376】
- スケーラブルネスティングSEIメッセージがバッファリング期間、ピクチャタイミング、またはデコーディングユニット情報SEIメッセージを含むときに、スケーラブルネスティングSEIメッセージは、0(バッファリング期間)、1(ピクチャタイミング)、または130(デコーディングユニット情報)に等しくないpayloadTypeを有する任意の他のSEIメッセージも含まないものとする。
【0377】
スケーラブルネスティングSEIメッセージを含むSEI NALユニットのnal_unit_typeの値に次の制限が適用されることがビットストリーム適合性の要件である。
【0378】
- スケーラブルネスティングSEIメッセージが、0(バッファリング期間)、1(ピクチャタイミング)、130(デコーディングユニット情報)、145(従属RAP指示)、または168(フレームフィールド情報)に等しいpayloadTypeを有するSEIメッセージを含むときに、スケーラブルネスティングSEIメッセージを含むSEI NALユニットは、PREFIX_SEI_NUTに等しいnal_unit_typeを有するものとする。
【0379】
1に等しいnesting_ols_flagは、スケーラブルネストSEIメッセージが特定のOLSに適用されることを指定する。0に等しいnesting_ols_flagは、スケーラブルネストSEIメッセージが特定のレイヤに適用されることを指定する。
【0380】
nesting_ols_flagの値に次の制限が適用されることは、ビットストリーム適合性の要件である。
【0381】
- スケーラブルネスティングSEIメッセージが、0(バッファリング期間)、1(ピクチャタイミング)、または130(デコーディングユニット情報)に等しいpayloadTypeを有するSEIメッセージを含むときに、nesting_ols_flagの値は1に等しいものとする。
【0382】
- スケーラブルネスティングSEIメッセージが、VclAssociatedSeiList内の値に等しいpayloadTypeを有するSEIメッセージを含むときに、nesting_ols_flagの値は0に等しいものとする。
【0383】
nesting_num_olss_minus1+1は、スケーラブルネストSEIメッセージが適用されるOLSの数を指定する。nesting_num_olss_minus1の値は、0からTotalNumOlss-1までの範囲内にあるものとする。
【0384】
nesting_ols_idx_delta_minus1[i]は、nesting_ols_flagが1に等しいときにスケーラブルネストSEIメッセージが適用されるi番目のOLSのOLSインデックスを指定する変数NestingOlsIdx[i]を導出するために使用される。nesting_ols_idx_delta_minus1[i]の値は、0からTotalNumOlss-2までの範囲内であるものとする。
【0385】
変数NestingOlsIdx[i]は、次のように導出される。
if(i==0)
NestingOlsIdx[i]=nesting_ols_idx_delta_minus1[i]
else
NestingOlsIdx[i]=NestingOlsIdx[i-1]+nesting_ols_idx_delta_minus1[i]+1
【0386】
1に等しいnesting_all_layers_flagは、スケーラブルネストSEIメッセージが現在のSEI NALユニットのnuh_layer_id以上のnuh_layer_idを有するすべてのレイヤに適用されることを指定する。0に等しいnesting_all_layers_flagは、スケーラブルネストSEIメッセージが現在のSEI NALユニットのnuh_layer_id以上のnuh_layer_idを有するすべてのレイヤに適用され得るか、または適用され得ないことを指定する。
【0387】
nesting_num_layers_minus1+1は、スケーラブルネストSEIメッセージが適用されるレイヤの数を指定する。nesting_num_layers_minus1の値は、0からvps_max_layers_minus1-GeneralLayerIdx[nuh_layer_id]までの範囲内にあるものとし、nuh_layer_idは、現在のSEI NALユニットのnuh_layer_idである。
【0388】
nesting_layer_id[i]は、nesting_all_layers_flagが0に等しいときにスケーラブルネストSEIメッセージが適用されるi番目のレイヤのnuh_layer_id値を指定する。nesting_layer_id[i]の値は、nuh_layer_idより大きいものとし、nuh_layer_idは現在のSEI NALユニットのnuh_layer_idである。
【0389】
nesting_ols_flagが0に等しいときに、スケーラブルネストSEIメッセージが適用されるレイヤの数を指定する変数NestingNumLayers、およびスケーラブルネストSEIメッセージが適用されるレイヤnuh_layer_id値のリストを指定する、0からNestingNumLayers-1の範囲内のiに対するリストNestingLayerId[i]は、次のように導出され、nuh_layer_idは現在のSEI NALユニットのnuh_layer_idである。
if(nesting_all_layers_flag) {
NestingNumLayers=
ps_max_layers_minus1+1-GeneralLayerIdx[nuh_layer_id]
for(i=0; i<NestingNumLayers; i++)
NestingLayerId[i]=vps_layer_id[GeneralLayerIdx[nuh_layer_id]+i]
} else {
NestingNumLayers=nesting_num_layers_minus1+1
for(i=0; i<NestingNumLayers; i++)
NestingLayerId[i]=(i==0) ? nuh_layer_id: nesting_layer_id[i]
}
【0390】
nesting_num_seis_minus1+1は、スケーラブルネストSEIメッセージの数を指定する。nesting_num_seis_minus1の値は、0から63までの範囲内にあるものとする。
【0391】
nesting_zero_bitは、0に等しいものとする。
【0392】
図9は、本開示の一実施形態による、ビデオコーディングデバイス900(たとえば、ビデオエンコーダ300またはビデオデコーダ400)の概略図である。ビデオコーディングデバイス900は、本明細書において説明されているような開示された実施形態を実施するのに適している。ビデオコーディングデバイス900は、データを受信するための受信ポート910および受信機ユニット(Rx)920と、データを処理するためのプロセッサ、論理ユニット、または中央演算処理装置(CPU)930と、データを伝送するための送信機ユニット(Tx)940および送信ポート950と、データを記憶するためのメモリ960とを備える。ビデオコーディングデバイス900は、光信号または電気信号の送信または受信のための、受信ポート910、受信機ユニット920、送信機ユニット940、および送信ポート950に結合された光-電気(OE)コンポーネントおよび電気-光(EO)コンポーネントも備え得る。
【0393】
プロセッサ930は、ハードウェアおよびソフトウェアによって実装される。プロセッサ930は、1つまたは複数のCPUチップ、コア(たとえば、マルチコアプロセッサとして)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、およびデジタルシグナルプロセッサ(DSP)として実装されてもよい。プロセッサ930は、受信ポート910、受信機ユニット920、送信機ユニット940、送信ポート950、およびメモリ960と通信する。プロセッサ930は、コーディングモジュール970を備える。コーディングモジュール970は、上で説明されている開示された実施形態を実装する。たとえば、コーディングモジュール970は、様々なコーデック機能を実装し、処理し、準備し、または提供する。したがって、コーディングモジュール970の搭載は、ビデオコーディングデバイス900の機能に実質的な改善をもたらし、ビデオコーディングデバイス900の異なる状態への変換をもたらす。代替的に、コーディングモジュール970は、メモリ960に記憶され、プロセッサ930によって実行される命令として実装される。
【0394】
ビデオコーディングデバイス900は、ユーザにデータを伝達し、ユーザからデータを受け取るための入力および/または出力(I/O)デバイス980も含み得る。I/Oデバイス980は、ビデオデータを表示するためのディスプレイ、音声データを出力するためのスピーカなどの出力デバイスを含み得る。I/Oデバイス980は、キーボード、マウス、トラックボールなどの入力デバイス、および/またはそのような出力デバイスをインタラクティブに操作するための対応するインターフェースも含み得る。
【0395】
メモリ960は、1つまたは複数のディスク、テープドライブ、およびソリッドステートドライブを含み、そのようなプログラムが実行のために選択されたときにプログラムを記憶し、プログラムの実行中に読み出される命令およびデータを記憶するために、オーバーフローデータ記憶装置デバイスとして使用され得る。メモリ960は、揮発性および/または不揮発性であり、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、三値連想メモリ(TCAM)、および/またはスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)であってよい。
【0396】
図10は、コーディングするための手段1000の一実施形態の概略図である。一実施形態において、コーディングするための手段1000は、ビデオコーディングデバイス1002(たとえば、ビデオエンコーダ300またはビデオデコーダ400)で実装される。ビデオコーディングデバイス1002は、受信手段1001を含む。受信手段1001は、エンコードするピクチャを受信し、またはデコードするビットストリームを受信するように構成される。ビデオコーディングデバイス1002は、受信手段1001に結合されている伝送手段1007を含む。伝送手段1007は、ビットストリームをデコーダに伝送するか、またはデコード済み画像を表示手段(たとえば、I/Oデバイス980の1つ)に伝送するように構成される。
【0397】
ビデオコーディングデバイス1002は、記憶手段1003を含む。記憶手段1003は、受信手段1001または伝送手段1007のうちの少なくとも一方に結合される。記憶手段1003は、命令を記憶するように構成される。ビデオコーディングデバイス1002は、処理手段1005も含む。処理手段1005は、記憶手段1003に結合される。処理手段1005は、本明細書において開示されている方法を実行するために記憶手段1003に記憶された命令を実行するように構成される。
【0398】
本明細書において述べられている例示的な方法のステップは、必ずしも説明されている順序で実行される必要はないとも理解されるべきであり、そのような方法のステップの順序は、単に例示的であると理解されるべきである。同様に、本開示の様々な実施形態と一致する方法において、追加のステップがそのような方法に含まれてもよく、特定のステップが省略されるか、または組み合わされてもよい。
【0399】
本開示においていくつかの実施形態が提供されているが、開示されているシステムおよび方法は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく多くの他の特定の形態で具現化されることも可能であることは理解されるべきである。本例は、例示的であり、制限的でない、と考えられるべきであり、本発明は、明細書に示されている詳細に限定されるべきでない。たとえば、様々な要素またはコンポーネントは、別のシステム内に組み合わされ得るか、もしくは一体化され得るか、またはいくつかの特徴が省略され得るか、もしくは実施され得ない。
【0400】
それに加えて、離散または分離していると様々な実施形態において説明され例示されている技術、システム、サブシステム、および方法は、本開示の範囲から逸脱することなく他のシステム、モジュール、技術、または方法と組み合わされるか、もしくは一体化され得る。結合されるか、または直接結合されるか、または互いに通信するとして図示されるかもしくは説明されている他の項目は、電気的であろうと機械的であろうと他の方法であろうと、何らかのインターフェース、デバイス、または中間コンポーネントを通じて間接的に結合されるか、または通信するものとしてよい。変更、代用、および改変の他の例は、当業者によって確かめることができ、本明細書で開示されている精神および範囲から逸脱することなくなされ得る。
【符号の説明】
【0401】
100 動作方法
200 コーディングおよびデコーディング(コーデック)システム
201 区分化済みビデオ信号
211 一般コーダ制御コンポーネント
213 変換スケーリングおよび量子化コンポーネント
215 ピクチャ内推定コンポーネント
217 ピクチャ内予測コンポーネント
219 動き補償コンポーネント
221 動き推定コンポーネント
223 デコード済みピクチャバッファコンポーネント
225 ループ内フィルタコンポーネント
227 フィルタ制御分析コンポーネント
229 スケーリングおよび逆変換コンポーネント
231 ヘッダフォーマッティングおよびコンテキスト適応2値算術コーディング(CABAC)コンポーネント
300 ビデオエンコーダ
301 区分化済みビデオ信号
313 変換および量子化コンポーネント
317 ピクチャ内予測コンポーネント
321 動き補償コンポーネント
323 デコード済みピクチャバッファコンポーネント
325 ループ内フィルタコンポーネント
329 逆変換および量子化コンポーネント
331 エントロピーコーディングコンポーネント
400 ビデオデコーダ
417 ピクチャ内予測コンポーネント
421 動き補償コンポーネント
423 デコード済みピクチャバッファコンポーネント
425 ループ内フィルタコンポーネント
429 逆変換および量子化コンポーネント
433 エントロピーデコーディングコンポーネント
500 レイヤベース予測
506 AU
508 AUD
511、512、513、514 ピクチャ
515、516、517、518 ピクチャ
521 レイヤ間予測
523 インター予測
531 レイヤN
532 レイヤN+1
600 ビデオビットストリーム
604 ビデオパラメータセット(VPS)
606 シーケンスパラメータセット(SPS)
608 ピクチャパラメータセット(PPS)
612 スライスヘッダ
620 画像データ
621 OLS
623 レイヤ
625 ピクチャ
627 スライス
680 直接参照レイヤフラグ
682 シンタックス要素vps_max_layers_minus1
690 コーディング済みビデオシーケンス(CVS)
700 方法
725 ピクチャ
800 方法
900 ビデオコーディングデバイス
910 受信ポート
920 受信機ユニット(Rx)
930 プロセッサ、論理ユニット、または中央演算処理装置(CPU)
940 送信機ユニット(Tx)
950 送信ポート
960 メモリ
970 コーディングモジュール
980 入力および/または出力(I/O)デバイス
1000 コーディングするための手段
1001 受信手段
1002 ビデオコーディングデバイス
1003 記憶手段
1005 処理手段
1007 伝送手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10