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特許7423769右ハンドル車と左ハンドル車との間でモジュール化可能な自動車用ヘッドライト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】右ハンドル車と左ハンドル車との間でモジュール化可能な自動車用ヘッドライト
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/43 20180101AFI20240122BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20240122BHJP
   F21S 41/25 20180101ALI20240122BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20240122BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20240122BHJP
【FI】
F21S41/43
F21S41/148
F21S41/25
F21W102:155
F21Y101:00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022525519
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2020078940
(87)【国際公開番号】W WO2021083671
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】1912144
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】イブ、グロムフェルド
(72)【発明者】
【氏名】コランタン、ドゥベーヌ
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02903946(FR,A1)
【文献】中国特許出願公開第110006003(CN,A)
【文献】特開2013-242996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/43
F21S 41/148
F21S 41/25
F21W 102/155
F21Y 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明モジュール(2;102)において、
上部水平カットオフ(26.1)を有し、前記照明モジュールの光軸(10;110)に沿って主光ビーム(26)を形成することができる主光学系(4;104)と、
前記主光ビーム(26)よりも狭く、斜め横方向カットオフ(28.1)を有し、前記光軸(10;110)に沿った第1の相補光ビーム(28)を形成することができる、第1の相補光学系(12;112)と、
を備えた、照明モジュール(2;102)であって、
前記照明モジュールはまた、
前記主光ビーム(26)よりも狭く、前記第1の相補光ビーム(28)の前記斜めの横方向カットオフ(28.1)とは前記光軸(10;110)に対して反対側にある斜めの横方向カットオフ(30.1)を有し、前記光軸(10;110)に沿った代替的な第2の相補光ビーム(30)を形成することができる、第2の相補光学系(14;114)と、を備え、
前記第1および第2の相補光学系(12,14;112,114)の各々は、光源(16,18;116,118)と、前記光源によって照明(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)され得る表面を有する光学要素(20.1,20.2;120.1,120.2)とを備え、
前記照明モジュールは、前記第1および第2の相補光学系(12,14;112,114)の各々の前記光学要素(20.1,20.2;120.1,120.2)の前記照明された表面(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)の画像を形成するように構成される、前記第1および第2の相補光ビーム(28,30)を投影するための投影デバイス(22;122)を備え、
前記第1および第2の相補光学系(12,14;112,114)の照明可能な前記表面(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)は、前記光軸(10;110)の両側に横方向に配置されること、
を特徴とする、照明モジュール(2;102)。
【請求項2】
前記第1および第2の相補光ビーム(28,30)の前記斜めの横方向カットオフ(28.1,30.1)は、前記光軸(10;110)に隣接し、
前記第1の相補光ビーム(28)は、前記光軸(10;110)の右にのみ延び、
前記第2の相補光ビーム(30)は、前記光軸(10,110)の左にのみ延びること、
を特徴とする、請求項1に記載の照明モジュール(2;102)。
【請求項3】
前記照明モジュールは、前記第1および第2の相補光学系(12,14;112,114)が択一的にのみ有効であるように構成されること、
を特徴とする、請求項1および2に記載の照明モジュール(2;102)。
【請求項4】
前記第1および第2の相補光ビーム(28,30)の各々はまた、上部水平カットオフ(28.3,30.3)および/または下部水平カットオフ(28.4,30.4)を有すること、
を特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の照明モジュール(2;102)。
【請求項5】
前記第1および第2の相補光学系(12,14;112,114)の照明可能な前記表面(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)は、前記光軸(10;110)の下方に配置されること、
を特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の照明モジュール(2;102)。
【請求項6】
前記第1および第2の相補光学系(12,14;112,114)の照明可能な前記表面(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)の各々は、平均高さHと、前記平均高さHの5倍より大きい平均幅Lとを有すること、
を特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の照明モジュール(2;102)。
【請求項7】
前記第1および前記第2の相補光学系(12,14;112,114)の照明可能な前記表面(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)の各々は、前記対応する相補光ビーム(58,30)の前記斜め横方向カットオフ(28.1,30.1)を形成することができる、傾斜する横方向エッジ(20.1.3.1,20.2.3.1;120.1.2.1,120.2.2.1)を備えること、
を特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の照明モジュール(2;102)。
【請求項8】
照明モジュール(2;102)において、
上部水平カットオフ(26.1)を有し、前記照明モジュールの光軸(10;110)に沿って主光ビーム(26)を形成することができる主光学系(4;104)と、
前記主光ビーム(26)よりも狭く、斜め横方向カットオフ(28.1)を有し、前記光軸(10;110)に沿った第1の相補光ビーム(28)を形成することができる、第1の相補光学系(12;112)と、
を備えた、照明モジュール(2;102)であって、
前記照明モジュールはまた、
前記主光ビーム(26)よりも狭く、前記第1の相補光ビーム(28)の前記斜めの横方向カットオフ(28.1)とは前記光軸(10;110)に対して反対側にある斜めの横方向カットオフ(30.1)を有し、前記光軸(10;110)に沿った代替的な第2の相補光ビーム(30)を形成することができる、第2の相補光学系(14;114)と、を備え、
前記第1および第2の相補光学系(12,14;112,114)の各々は、光源(16,18;116,118)と、前記光源によって照明(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)され得る表面を有する光学要素(20.1,20.2;120.1,120.2)とを備え、
前記照明モジュールは、前記第1および第2の相補光学系(12,14;112,114)の各々の前記光学要素(20.1,20.2;120.1,120.2)の前記照明された表面(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)の画像を形成するように構成される、前記第1および第2の相補光ビーム(28,30)を投影するための投影デバイス(22;122)を備え、
前記第1および前記第2の相補光学系(12,14;112,114)の照明可能な前記表面(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)の各々は、前記対応する相補光ビーム(58,30)の前記斜め横方向カットオフ(28.1,30.1)を形成することができる、傾斜する横方向エッジ(20.1.3.1,20.2.3.1;120.1.2.1,120.2.2.1)を備え、
前記第1および第2の相補光学系(12,14;112,114)の照明可能な前記表面(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)の前記傾斜する横方向エッジ(20.1.3.1,20.2.3.1;120.1.2.1,120.2.2.1)は、前記光軸(10;110)に隣接し、かつ、前記光軸の両側に横方向に配置されること、
を特徴とする、照明モジュール(2;102)。
【請求項9】
前記第1および第2の相補光学系(12,14)の各々の前記光学要素(20.1,20.2)は、前記対応する光源(16,18)によって放射される光の入口面(20.1.1,20.2.1)、光の反射面(20.1.2,20.2.2)、および照明可能な前記表面を形成する光の出口面(20.1.3,20.2.3)を有する、屈折素子であること、
を特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の照明モジュール(2)。
【請求項10】
前記第1および第2の相補光学系(112,114)の各々の前記光学要素(120.1,120.2)は、照明可能な前記表面を形成する反射面(120.1.2,120.2.2)を備えること、
を特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載の照明モジュール(102)。
【請求項11】
前記主光学系(4;104)は、上方に向けられた光ビームの主放射方向を有する光源(6;106)と、前記光ビームを受光できるキャップ形をした反射面を有し、前記光軸(10;110)に隣接する下部リアエッジ(8.1,108.1)を有する集光器(8;108)と、を備えること、
を特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の照明モジュール(2;102)。
【請求項12】
照明モジュール(2;102)において、
上部水平カットオフ(26.1)を有し、前記照明モジュールの光軸(10;110)に沿って主光ビーム(26)を形成することができる主光学系(4;104)と、
前記主光ビーム(26)よりも狭く、斜め横方向カットオフ(28.1)を有し、前記光軸(10;110)に沿った第1の相補光ビーム(28)を形成することができる、第1の相補光学系(12;112)と、
を備えた、照明モジュール(2;102)であって、
前記照明モジュールはまた、
前記主光ビーム(26)よりも狭く、前記第1の相補光ビーム(28)の前記斜めの横方向カットオフ(28.1)とは前記光軸(10;110)に対して反対側にある斜めの横方向カットオフ(30.1)を有し、前記光軸(10;110)に沿った代替的な第2の相補光ビーム(30)を形成することができる、第2の相補光学系(14;114)と、を備え、
前記第1および第2の相補光学系(12,14;112,114)の各々は、光源(16,18;116,118)と、前記光源によって照明(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)され得る表面を有する光学要素(20.1,20.2;120.1,120.2)とを備え、
前記照明モジュールは、前記第1および第2の相補光学系(12,14;112,114)の各々の前記光学要素(20.1,20.2;120.1,120.2)の前記照明された表面(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)の画像を形成するように構成される、前記第1および第2の相補光ビーム(28,30)を投影するための投影デバイス(22;122)を備え、
前記主光学系(4;104)は、上方に向けられた光ビームの主放射方向を有する光源(6;106)と、前記光ビームを受光できるキャップ形をした反射面を有し、前記光軸(10;110)に隣接する下部リアエッジ(8.1,108.1)を有する集光器(8;108)と、を備え、
前記第1および第2の相補光学系(12,14;112,114)の照明可能な前記表面(20.1.3,20.2.3;120.1.2,120.2.2)は、前記集光器(8;108)の前記反射面の前記下部リアエッジ(8.1;108.1)に隣接していること、
を特徴とする、照明モジュール(2;102)。
【請求項13】
前記投影デバイス(22;122)は、前記集光器(8;108)の前記反射面の前記下部リアエッジ(8.1;108.1)の光出射方向最後端部上で、または、前記下部リアエッジの前記光出射方向最後端部の前で、前記光軸(10;110)上に位置する焦点(22.1;22.1)を備えること、
を特徴とする、請求項12に記載の照明モジュール(2;102)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明、特に自動車用照明の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
反対方向に向かう交通がある自動車の夜間照明機能は、通常ロービームと呼ばれ、適用される規制に従って、上部カットオフを有する。しかしながら、欧州規制では、光ビームの左半分または右半分が、他の半分よりも低い水平カットオフを有するように、ビームの中心に対して斜めの部分を有する上部水平カットオフを必要とする。より詳細には、右側を運転する国、すなわち運転制御装置が車両の左側にある国では、光ビームの左半分は右半分よりも低い。逆に、左側を運転する国、すなわち運転制御装置が車両の右側にある国では、光ビームの左半分は右半分よりも高い。しかしながら、米国の規制では、特に平坦な上部水平カットオフ、すなわち傾斜部分のない水平カットオフを必要とする。これは、自動車のヘッドライトは、地域に応じて異なるように構成されなければならないことを意味する。
【0003】
米国特許出願公開第2018180246号明細書は、光線の光路に配置され、カットオフを有する光ビームを形成し、その透過率が局所的に可変である、例えば液晶ディスプレイ(LCD)などの、スクリーンを備える自動車用ヘッドライトを開示している。より詳細には、それぞれ左運転および右運転のための、すなわち、反対側にある中央の斜め部分を有する、上述の水平カットオフを生成するように、このスクリーンの画素を、特に制御することができる。言い換えれば、この教示は、異なる規制、特に左運転および右運転のためのヘッドライトの電気制御による構成を提供する。しかしながら、局所的に可変の透過率を有するスクリーンの存在は費用がかかり、また、最大透過率が制限されるために、著しい光損失を発生させるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2018180246明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、特に自動車用の照明モジュールであって、
上部水平カットオフを有する、照明モジュールの光軸に沿って主光ビームを形成することができる主光学系と、
光軸に沿って、主光ビームよりも狭く、斜めの横方向カットオフを有する、第1の相補光ビームを形成することができる第1の相補光学系とを備え、
照明モジュールが、光軸に沿って、主光ビームよりも狭く、第1の光ビームの斜めの横方向カットオフとは反対側にある、斜めの横方向カットオフを有する代替の第2の相補光ビームを形成することができる第2の相補光学系も備えることで区別される。
【0006】
第1の相補光ビームと組み合わされた主光ビームは、右側運転用の追加を伴うカットオフ有する照明機能に対応する。第2の相補光ビームと組み合わされた主光ビームは、左側運転用の追加を伴うカットオフを有する照明機能に対応する。
【0007】
本発明の有利な実施形態によれば、第1および第2の相補光ビームの斜めの横方向カットオフは光軸に隣接し、第1の相補光ビームは、上記光軸の右にのみ延在し、第2の相補光ビームは上記光軸の左にのみ延在する。
【0008】
本発明の有利な実施形態によれば、照明モジュールは、第1および第2の光学系が代替的にのみ有効であるように構成される。
【0009】
本発明の有利な実施形態によれば、第1および第2の相補光ビームの各々はまた、上部水平カットオフおよび/または下部水平カットオフを有する。
【0010】
本発明の有利な実施形態によれば、第1の相補光学系および第2の相補光学系の各々は、光源と、上記光源によって照明され得る表面を有する光学要素とを備え、照明モジュールは、第1の相補光ビームおよび第2の相補光ビームを投影するためのデバイスを備え、これは、第1の相補光学系および第2の相補光学系の各々の光学要素の照明された表面の画像を形成するように構成される。
【0011】
本発明の有利な実施形態によれば、第1および第2の相補光学系の照射可能な表面は、光軸の両側に横方向に配置される。
【0012】
本発明の有利な実施形態によれば、第1および第2の相補光学系の照射可能な表面は、光軸の下方に配置される。
【0013】
本発明の有利な実施形態によれば、第1および第2の相補光学系の照射可能な表面の各々は、平均高さHと、上記平均高さHの5倍より大きい平均幅Lとを有する。
【0014】
本発明の有利な実施形態によれば、第1および第2の相補光学系の照射可能な表面の各々は、対応する相補光ビームの斜め横方向カットオフを形成することができる傾斜する横方向エッジを含む。
【0015】
本発明の有利な実施形態によれば、第1および第2の相補光学系の照射可能な表面の傾斜する横方向エッジは、光軸に隣接し、上記光軸の両側に横方向に配置される。
【0016】
本発明の有利な実施形態によれば、第1および第2の相補光学系の各々の光学要素は、対応する光源によって放射される光の入口面、上記光の反射面、および上記光の出口面を有するジオプタであり、照明可能な表面を形成する。
【0017】
本発明の有利な実施形態によれば、第1および第2の相補光学系の各々の光学要素は、照明可能な表面を形成する反射面を備える。
【0018】
本発明の有利な実施形態によれば、主光学系は、上方に向けられた光ビームの主放射方向を有する光源と、光ビームを受光できるキャップの形をした反射面を有し、光軸に隣接する下部リアエッジを有する集光器とを備える。
【0019】
本発明の有利な実施形態によれば、第1および第2の相補光学系の照射可能な表面は、光軸において集光器の反射面の下部リアエッジに隣接する。
【0020】
本発明の有利な実施形態によれば、投影デバイスは、集光器の反射面の下部リアエッジのレベルで、または上記エッジの前で光軸上に位置する焦点を備える。
【0021】
本発明の手段は、それらが、単純で、経済的で、コンパクトな方法で、異なる規制および運転側(左側運転および右側運転)に適合するロービームタイプの上部水平カットオフ伴う照明機能を有する照明モジュールの作成を可能にする点で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態による照明モジュールの斜視図である。
図2図1の相補光学系照明モジュールの光学要素の正面図である。
図3図2の光学要素の背面図である。
図4図1の照明モジュールの概略断面図である。
図5図1の照明モジュールの集光器の、投影デバイスを介した、背面図および正面図である。
図6図1の照明モジュールの光ビームの発光画像の概略図である。
図7】本発明の第2の実施形態による照明モジュールの斜視図である。
図8図7の照明モジュールの主光学系の集光器および相補光学系の光学要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明では、「フロント(前方)」および「リア(後方)」という用語は、光線の伝播の法線方向における照明モジュールの光軸に沿って理解されるべきである。同様に、「頂部」、「底部」、「水平」、および「垂直」という用語は、特に図1および図7に示すように、照明モジュールが動作位置にある場合に、理解されるべきである。
【0024】
図1は、第1の実施形態による照明モジュールの斜視図である。照明モジュールは、一体型アセンブリを意味し、すなわち、すべての光学要素が、照明または発光信号伝達の1つまたは複数の機能を実行することができるように互いに接続され、配置される。そのようなモジュールは、ヘッドライトを形成するために、場合によっては1つまたは複数の他の照明または発光モジュールを用いて、ガラス取り付け要素によって閉じられたハウジング内に取り付けられることが意図されている。
【0025】
照明モジュール2は、1つまたは複数の照明機能の異なる光ビームを形成することができるいくつかの光学系を備え、この場合、通常はロービームとして知られる上部水平カットオフを有する照明機能と、通常はハイビームとして知られる水平カットオフのない照明機能とを備える。照明モジュール2は、ロービーム照明機能を実施することを目的とした、上部水平カットオフを有する主光ビームを形成することができる主光学系4を備える。主光学系4は、基本的に、光源6と、キャップの形をした反射面を有する集光器8とを備え、上記光源によって放射された光線を受け取り、これらを光軸10に沿って反射するように構成される。照明モジュール2はまた、光軸10の下方に配置され、代替的に、主光学系4によって形成された主光ビームと相補光ビームを形成するように構成された、2つの相補光学系12および14を備える。これらの相補光学系12および14の各々は、それぞれの光源16または18と、それぞれの光学要素20.1または20.2とを実質的に含む。この場合、光学要素20.1および20.2は一体であり、共通の光学要素20を形成する。相補光学系12,14によって形成されるそれぞれの相補光ビームは、特に欧州において施行されている規制に応じて水平カットオフのレベルの追加を形成することによって主光ビームを補完する。実際には、第1の相補光学系12は、光軸の右に位置する相補的な光ビームを形成し、光軸に隣接して斜めの横方向カットオフを有し、右側運転用の規則に従って、光軸の右に上方の追加を形成する。同様に、第2の相補光学系14は、光軸の左に位置する相補光ビームを形成し、光軸に隣接して斜めの横方向カットオフを有し、左側運転用の規則に従って、光軸の左に上方の追加を形成する。
【0026】
さらに図1を参照すると、照明モジュール2は、主光学系4の集光器8の照射された反射面、および第1または第2の相補光学系12および14の光学要素20.1または20.2の照射された面、を画像化および投影することができる投影デバイス22(この場合はレンズ)を備える。
【0027】
再び図1を参照すると、照明モジュール2は、主光学系4によって生成された主光ビームを補完する上部水平カットオフを有する光ビームを形成するように構成された、1つまたは複数の追加の光学系24を備えることができる。
【0028】
図2および図3は、第1の相補光学系12および第2の相補光学系14(図1)の光学要素20.1および20.2の2つの斜視図を示す。これらの2つの光学要素は、透明または半透明の材料で作られ、それぞれが関連する光源によって放射される光のための入口面、反射面、および出口面を有するジオプタを形成する。入口面20.1.1および20.2.1は、それぞれの光源16および18に対向して配置された垂直面内に凸状に湾曲した輪郭を有する。反射面20.1.2,20.2.2は、光学要素20.1,20.2の裏面であり、垂直面内において、僅かに凸状湾曲輪郭を有する。出口面20.1.3および20.2.3は、主光学系4(図1)の集光器8の反射面に隣接する光学要素20.1および20.2の前面である。水平面内では、それらは、主光学系4(図1)の集光器8の反射面の隣接する下部リアエッジの輪郭に対応する凹状湾曲面を有する。
【0029】
出口面20.1.3および20.2.3を示す図2をより具体的に参照すると、これらの面のそれぞれは、平均高さHの倍数よりも大きい(例えば、平均高さHの5倍よりも大きい)平均幅Lを有することが観察される。
【0030】
したがって、そのような照明された面を描写する相補光ビームは、対応する形状(すなわち、垂直方向に細い形状)を有する。この画像は、投影デバイス22(図1)を通過するときに反転される。この目的のために、参照符号20.1.3.1および20.2.3.1によって示される光軸(2つの光学要素20.1と20.2との間、すなわち共通の光学要素20の中心を通過する)に対する内側エッジ部は、対応する相補光ビームの斜めの横方向カットオフを形成するように、垂直に対して、例えば45°~75°の角度(水平に対して45°~15°の傾斜に対応)だけ傾斜している。
【0031】
図4は、図1の照明モジュールの概略縦断面図である。主光学系4および投影デバイスの場合、断面は光軸10を通過するが、相補光学デバイス12および14の場合、断面は主光学系4の断面に対して垂直にオフセットされ、上記相補光学系および対応する光源のいずれか一方を通過する。
【0032】
主光学系4において、光源6は、集光器8の反射面を、上記反射面の下部リアエッジ8.1からフロントエッジ8.2まで照明することに留意されたい。投影デバイス22は、光軸10上で8.1の下部リアエッジと同じ高さに位置する焦点22.1、または、理想的には光軸に沿った集光器の長さの最初の半分に、わずかに前方にあるが依然として集光器8の高さにある位置、を含む。特定の被写界深度によって、投影デバイス22は、照明されたときに集光器8の反射面を画像化することができ、下部リアエッジ8.1に沿った反射面の領域が、明確な上部水平カットオフを達成するように明瞭に画像化される。照射された反射面を画像化するためには、投影デバイス22を含む主光学系4は、無収差を有する必要がある。2つの点について、1つの点から放射され系を通過する光線の集合が、他の光線を形成し、その支持体が第2の点を通過する場合に、厳密な無非点収差が存在する。実際には、これはむしろ、特にガウス条件に存在することによって得られる近似的な無非点収差である。これらの条件は、要素の光軸に対する光線の入射角が低く、典型的には20°以下であること、および/または入射点が光軸に近いことを提供する。この目的のために、光学デバイス22は、有利には、大きい焦点距離、より有利には、大きい幾何学的開口も有する。例えば、焦点距離は、40mmを超え、好ましくは50mmを超え、より好ましくは60mmを超える。焦点距離は、有利には100mm未満である。
【0033】
相補光学系12または14について、対応する光源16または18によって放射される光線の経路を見る。これらは、入口面20.1.1または20.2.1によって形成されたジオプタにおいて潜在的に屈折し、次いで、反射面20.1.2または20.2.2によって反射され、有利には、入射角が限界屈折角よりも大きい場合に全反射の原理によって反射され、次いで、出口面20.1.3または20.2.3によって形成されたジオプタを通過する際に潜在的に屈折され、次いで、それが被照明面を形成する。この照射された面は、有利には、光軸10および集光器8の反射面の下部リアエッジ8.1に隣接する。したがって、照射された面20.1.3または20.2.3は、投影デバイス22の焦点22.2に隣接するか、または少なくともこれに近い。次いで、この照射された表面は、明確なカットオフを有する相補的な光ビームの生成を可能にする明瞭さで画像化される。
【0034】
図5は、主光学系4(図1および図4)の集光器8を示す。左側の図は、有利には楕円形または放物線形の輪郭を有し、有利には、光軸10に対応する軸を中心に、回転して、少なくとも第一近似である、集光器キャップの形態を示す斜視図である。右側の図は、投影デバイス22(図1および図4)の正面から見た、光源によって照明されたときの反射面を示している。これは、反射面の下部リアエッジ8.1の画像が実際に投影画像の上部水平エッジを形成する理由を説明する画像反転効果を発生させる。同様に、反射面のフロントエッジ8.2は、投影画像の下部エッジを形成する。なお、光は、下部リアエッジに近い面の中央に集中している。図4を参照すると、投影デバイスの焦点22.1が光軸上にあり、集光器8の反射面の下部リアエッジ8.1の近くまたはそれに隣接しているという事実は、上記エッジに近い反射面の中央部分が、さらにより明瞭に画像化されることを意味する。これらの条件下では、主光ビームの上部水平カットオフは、エッジよりも中央でより鮮明になる。
【0035】
図6は、主光ビームおよび相補光ビームの画像を概略的に示す。軸Hは光軸を通る水平方向に相当し、軸Vは同じく光軸を通る垂直方向に相当する。
【0036】
主光ビーム26の画像は、ほぼ平坦または直線である上部水平カットオフ26.1を含む。これは、主光学系4の集光器8の反射面の下部リアエッジ8.1の画像によって形成される(図4および図5)。しかしながら、この上部水平カットオフ26.1は、集光器8の反射面の下部リアエッジ8.1が平坦でない場合、平坦でない輪郭を有することもできることに留意されたい。主光ビーム26の画像は、集光器8の反射面のフロントエッジ8.2によって形成される上部水平カットオフ26.1ほど明確ではない、下部U字形カットオフ26.2を含む(図4および図5)。
【0037】
光軸10の右側(軸HとVの交点)に位置する第1の相補光ビーム28の画像は、光軸の左側に位置する第1の相補光学系12(図1)によって生成される。この図は、光軸10に隣接する斜めの横方向カットオフ28.1、外側横方向カットオフ28.2、ならびに上部水平方向カットオフ28.3および下部水平方向カットオフ28.4を示している。これらの4つのカットオフは、画像が光軸10を中心とした180°の回転に対応して反転されると仮定すると、対応するジオプタ20.1(図2)の出口面20.1.3によって形成される照明される面の側面、上部および下部によって形成される。同様に、光軸10の左に位置する第2の相補光ビーム30の画像は、光軸の右に位置する第2の相補光学系14(図1参照)によって生成される。また、光軸10に隣接する斜めの横方向カットオフ30.1と、外側横方向カットオフ30.2と、上部水平方向カットオフ30.3および下部水平方向カットオフ30.4とを備える。
【0038】
主光ビーム28と第1の相補光ビーム28との組み合わせは、特に欧州で施行されている規制に従って、右側走行するためのロービームとして知られている照明機能に対応する。同様に、主光ビーム26と第2の相補光ビーム30との組み合わせは、同じ規則に従って、左側走行するためのロービームとして知られる照明機能に対応する。主光ビーム26のみが、米国で有効な規制に従って、ロービームとして知られる照明機能に対応してもよい。
【0039】
図7および図8は、本発明の第2の実施形態による光モジュールを示す。第1の実施形態の参照番号は、対応するまたは同一の要素を示すために使用されているが、これらの番号は100だけ増加している。さらに、第1の実施形態に関して与えられたこれらの要素の説明も参照される。100から200の間の特定の番号は、特定の要素を指定するために使用される。
【0040】
図7は、第一の実施形態の照明モジュールと同様の照明モジュール102を概略的に斜視図で示す。これは、相補光学系112および114の構造において基本的に異なり、その光学要素120.1および120.2はもはや屈折素子ではなく反射器である。第一の実施形態と同様に、主光学系104は、好ましくは平坦な上部水平カットオフを有する主光ビームを生成し、相補光学系112および114は、光軸に隣接する斜めの横方向カットオフを有し、光軸の左右にそれぞれ位置する相補光ビームを生成する。
【0041】
図8は、主光学系104ならびにそれぞれ第1および第2の相補光学系112および114の斜視図である。
【0042】
主光学系104の集光器108は、光軸110に隣接する下部リアエッジ108.1と、この場合には水平方向に近い上面によるキャップ切断に対応するフロントエッジ108.2と、を有するキャップの形をした反射面を備える。光源106は、この反射面を照明するように構成され、この反射面は、投影デバイス122(図1)によって画像化され、関連する反射面の下部リアエッジ108.1の基本的に鮮明な画像によって形成される上部水平カットオフを有する主ビームを形成する。フロントエッジ108.2の鮮明な画像は、ある程度、主光ビームの下限を形成する。第1および第2の相補光学系112、114の光学要素を構成する反射器120.1、120.2は、主光学系104の集光器108の反射面の下部リアエッジ108.1に隣接している。反射器120.1および120.2の各々は、主光学系104の集光器108の反射面の下部リアエッジ108.1から実質的に水平に延びる第1の反射面120.1.1または120.2.1と、第1の反射面120.1.1または120.2.1から実質的に垂直に延びる第2の反射面120.1.2または120.2.2とを備える。第2の反射面120.1.2または120.2.2の各々は、水平面内で、主光学系104の集光器108の反射面の下部リアエッジ108.1よりも大きい平均半径の凹状湾曲輪郭を有する。反射器120.1および120.2は、それぞれ第2の反射面120.1.2および120.2.2を照明するように、それぞれ光源116および118によって放射された光を集光するように構成されている。これらは、上記ジオプタの出口面20.1.3および20.2.3によって形成される、第1の実施形態のジオプタ20.1および20.2の照射面に匹敵する(図2参照)。これらの第2の反射面120.1.2または120.2.2の各々は、平均高さHの倍数(例えば、5または10)より大きい平均幅Lで水平に延在する。これらの面の各々は、対応する相補光ビームの斜めの横方向カットオフエッジを形成するように、光軸110に隣接する傾斜する横方向エッジ120.1.2.1または120.2.2.1を有する。第一の実施形態と同様に、投影デバイス122は、第一の実施形態の相補光ビーム28および30と同様の相補光ビームを形成するために、照射されたこれらの反射面を画像化する(図6)。
【0043】
一般に、すなわち特に2つの実施形態について、主光学系の光源および相補光学系の光源は、それらの近接性およびそれらがすべて同じ方向に光を放射するという事実、のために、共通の支持体上に配置されてもよい。
【0044】
上記を考慮して、相補光学系は、特に欧州で実施されている規制に従って、有利には平坦な輪郭の上部水平カットオフを有する主光ビームと共に、中央に追加の上部水平カットオフを形成することができる、反対側にある斜めの横方向カットオフを有する代替的な相補光ビームを形成するように構成されている限り、様々な形態をとることができることが理解されよう。
【0045】
上記を考慮して、主光学系はまた、有利には平坦な上部水平カットオフを有する光ビームを生成する限り、様々な形態をとることができることも理解されよう。
【0046】
今説明した本発明は、欧州規制、左側運転および右側運転ための特定の追加、ならびに追加なしの米国規制など、の様々な規制に適合するロービーム照明機能のための単一の照明モジュールの製造を可能にするという点で有利である。そして、観察されるべき規制への適合は、1つの相補光学系またはいずれの相補光学系も特定の起動化によって実現される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8