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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】接点監視装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 47/00 20060101AFI20240122BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20240122BHJP
   H01H 9/54 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H01H47/00 C
H03K17/00 B
H01H9/54 C
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022527865
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2020081847
(87)【国際公開番号】W WO2021094418
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】102019130646.9
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】BE2020/5218
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】594070612
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Phoenix Contact GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Flachsmarktstrasse 8, D-32825 Blomberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】ペーター、ショルツ
(72)【発明者】
【氏名】マリウス、フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、ラインホルト
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0291672(US,A1)
【文献】特開2012-211855(JP,A)
【文献】特開2014-154487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/54 - 9/56
H01H 47/00 - 47/36
H03K 17/00 - 17/70
G01R 31/327 - 31/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の接点状態及び第2の接点状態を有する電気接点(101)を監視するための接点監視装置(100)であって、前記接点監視装置(100)は、
励起信号を生成するように形成された発振器回路(103)であって、前記電気接点(101)が前記第1の接点状態にある場合に前記発振器回路(103)に第1のインピーダンス値が設定され、前記電気接点(101)が前記第2の接点状態にある場合に前記発振器回路(103)に第2のインピーダンス値が設定され、前記発振器回路(103)は、前記電気接点(101)が前記第1の接点状態及び前記第1のインピーダンス値である場合に共振振動を生成するように、かつ前記励起信号を出力するように形成されている、発振器回路(103)と、
信号入力(107)及び信号出力(109)を有する結合素子(105)であって、前記結合素子(105)に励起信号を印加するために前記発振器回路(103)が前記信号入力(107)の上流に接続され、前記結合素子(105)が、前記励起信号を接点監視信号に変えるように、及び前記電気接点(101)に印加するために前記接点監視信号を前記信号出力(109)に出力するように形成されている、結合素子と、
前記電気接点(101)を監視するために前記励起信号のバージョンを検出するように形成された検出器(113)と、を備え
前記発振器回路(103)は、前記発振器回路(103)を熱的に安定化させる手段を有し、
前記発振器回路(103)は、フィードバック分岐を有する共振回路と増幅器(RV)とを備え、前記増幅器(RV)は、前記フィードバック分岐を介してフィードバックされた信号を増幅し、前記増幅器(RV)は、動作点が調整可能な少なくとも1つのトランジスタ(141)を有し、前記少なくとも1つのトランジスタ(141)の増幅は、熱的に安定化させる手段を用いて前記動作点を適合させることによって安定化される、接点監視装置。
【請求項2】
第1の接点状態及び第2の接点状態を有する電気接点(101)を監視するための接点監視装置(100)であって、前記接点監視装置(100)は、
励起信号を生成するように形成された発振器回路(103)であって、前記電気接点(101)が前記第1の接点状態にある場合に前記発振器回路(103)に第1のインピーダンス値が設定され、前記電気接点(101)が前記第2の接点状態にある場合に前記発振器回路(103)に第2のインピーダンス値が設定され、前記発振器回路(103)は、前記電気接点(101)が前記第1の接点状態及び前記第1のインピーダンス値である場合に共振振動を生成するように、かつ前記励起信号を出力するように形成されている、発振器回路(103)と、
信号入力(107)及び信号出力(109)を有する結合素子(105)であって、前記結合素子(105)に励起信号を印加するために前記発振器回路(103)が前記信号入力(107)の上流に接続され、前記結合素子(105)が、前記励起信号を接点監視信号に変えるように、及び前記電気接点(101)に印加するために前記接点監視信号を前記信号出力(109)に出力するように形成されている、結合素子と、
前記電気接点(101)を監視するために前記励起信号のバージョンを検出するように形成された検出器(113)と、
前記信号出力(109)の下流に接続され、かつ前記電気接点(101)と結合されている減衰素子(111、611)と、を備え、
前記減衰素子(111、611)は、前記第2の接点状態にある前記電気接点(101)のインピーダンスの作用を阻止するために、前記電気接点(101)が第2の接点状態である場合にインピーダンスを提供するように形成され、前記減衰素子(111、611)の前記作用により、前記結合素子(105)の前記信号入力(107)が減衰され、前記発振器回路(103)は振動可能でなく、かつ前記励起信号の出力が阻止される、接点監視装置。
【請求項3】
前記接点監視装置は、前記第2の接点状態で、前記共振振動の形成、したがって前記励起信号の生成を阻止するか、あるいは別の共振振動を生成する、及び別の励起信号を出力するように形成され、前記検出器(113)は、前記電気接点の状態を検出するために、前記励起信号のバージョン及び前記別の励起信号のバージョン、あるいは前記励起信号のバージョン及び前記励起信号の不在を検出するように形成されている、請求項1または2に記載の接点監視装置。
【請求項4】
前記トランジスタ(141)の前記動作点が分圧器を介して調整可能であり、前記熱的に安定化させる手段として、サーミスタ(146)、特にNTC抵抗又はPTC抵抗、あるいは前記分圧器の素子とは別の高温導体又は低温導体が使用される、請求項に記載の接点監視装置(100)。
【請求項5】
熱的に安定化させる手段として温度センサ(161)が使用され、その信号がマイクロコントローラ(240)によって評価され、前記マイクロコントローラは、熱的に安定化させるために、前記少なくとも1つのトランジスタ(141)の前記動作点を調整する関連した補正信号を生成する、請求項に記載の接点監視装置(100)。
【請求項6】
前記マイクロコントローラ(240)が、パルス幅変調信号に相当するPWM信号の形態で補正信号を生成し、平均値形成器が前記PWM信号を平均化し、前記トランジスタ(141)に供給する、請求項に記載の接点監視装置(100)。
【請求項7】
前記平均値形成器は、抵抗(148)とコンデンサ(142)とからなるローパスフィルタの形態で形成される、請求項に記載の接点監視装置(100)。
【請求項8】
前記発振器回路(103)は、前記第1のインピーダンス値により、前記発振器回路(103)の共振周波数に相当する励起周波数を有する励起信号を生成するように形成され、前記発振器回路(103)は、さらに、前記信号入力(107)でのインピーダンス値にもとづいて、前記励起信号の信号振幅を変更するように形成されている、請求項1または2に記載の接点監視装置(100)。
【請求項9】
前記結合素子(105)と前記発振器回路(103)が共振回路をなすように形成され、前記減衰素子(111)は、前記励起信号の信号振幅を低減するために、前記第2の接点状態で前記共振回路を減衰させるように形成されている、請求項に記載の接点監視装置(100)。
【請求項10】
前記電気接点(101)が前記第1の接点状態にある場合に、前記減衰素子(111、611)が低抵抗でブリッジされ、前記結合素子によって、前記信号入力(107)に結合された前記減衰素子(111、611)の減衰が低減され、前記発振器回路(103)は、前記低減された減衰により、高信号振幅の前記励起信号を生成するように形成されている、請求項2又は9に記載の接点監視装置(100)。
【請求項11】
前記減衰素子(111、611)は、回路基板コンデンサによってなるキャパシタンスを含む、請求項2又は10に記載の接点監視装置(100)。
【請求項12】
前記信号出力(109)の下流に接続され、前記減衰素子(111、611)と結合されたインピーダンス回路(121)を備え、前記インピーダンス回路(121)は、接点監視信号が予め定められた周波数を有する場合に、前記結合素子(105)の漏れインダクタンス及び/又は漏れキャパシタンスを補償するように形成されている、請求項2又は11に記載の接点監視装置(100)。
【請求項13】
前記インピーダンス回路(121)は、前記結合素子(105)のガルバニック絶縁を介して全キャパシタンス及び/又は全インダクタンスを低減するように形成されている、請求項12に記載の接点監視装置(100)。
【請求項14】
前記発振器回路(103)が検出器出力(115)を有し、かつ前記検出器出力(115)を介して前記検出器(113)に前記励起信号を提供するように形成されている、請求項1又は2に記載の接点監視装置(100)。
【請求項15】
前記検出器(113)は、前記励起信号を出力信号に変換するように、かつ前記出力信号を少なくとも2つの異なる信号状態で出力するように形成され、前記少なくとも2つの信号状態のうちの第1の信号状態が閉電気接点(101)を示し、前記少なくとも2つの信号状態のうちの第2の信号状態が開電気接点(101)を示す、請求項1又は2に記載の接点監視装置(100)。
【請求項16】
前記検出器(113)は、検出器出力(115)に発振する励起信号が存在する場合に前記出力信号を前記第1の信号状態で出力するように、及び前記検出器出力(115)に発振しない励起信号が存在する、又は前記励起信号の信号振幅が振幅限界値を下回る場合に前記出力信号を前記第2の信号状態で出力するように形成されている、請求項15に記載の接点監視装置(100)。
【請求項17】
前記結合素子(105)が、前記発振器回路(103)及び/又は前記検出器(113)を前記電気接点(101)からガルバニック絶縁するように形成されている、請求項1又は2に記載の接点監視装置(100)。
【請求項18】
前記検出器(113)は、前記電気接点(101)を切り替えるためのスイッチオン信号と、前記励起信号の変化とを検出するように形成され、前記検出器(113)は、さらに、前記電気接点(101)が前記スイッチオン信号に従って切り替えられるかどうかを示すバイナリエラー信号を出力するように形成されている、請求項1又は2に記載の接点監視装置(100)。
【請求項19】
前記検出器(113)は、前記電気接点(101)が予め定められた時間間隔以内に前記スイッチオン信号に従って切り替えられているかどうかを確認するために、前記スイッチオン信号を受信することにより、予め定められた時間インターバル以内に励起信号を検出するように形成されている、請求項18に記載の接点監視装置(100)。
【請求項20】
前記スイッチオン信号の検出、及び前記電気接点(101)の相応に検出された切替え、ないしは予想される前記スイッチオン信号からの偏差を示すように形成されている光学表示素子を備える、請求項18に記載の接点監視装置(100)。
【請求項21】
前記結合素子(105)は、第1のインダクタンス(119-1)及び第2のインダクタンス(119-2)を有する変圧器(117)を備え、前記励起信号を前記接点監視信号に変換するために、前記第1のインダクタンス(119-1)が前記第2のインダクタンス(119-2)と誘導的に結合されている、請求項1又は2に記載の接点監視装置(100)。
【請求項22】
第1のフィルタ素子(123-1)及び第2のフィルタ素子(123-2)を備え、前記結合素子(105)によって前記電気接点(101)に、及び/又は前記電気接点(101)に結合された電気負荷及び/又は電圧源に存在する高周波信号を減衰させるために、前記電気接点(101)は、前記第1のフィルタ素子(123-1)が下流に接続されている第1の出力端子(125-1)を有し、前記電気接点(101)は、前記第2のフィルタ素子(123-2)が下流に接続されている第2の出力端子(125-2)を有する、請求項1又は2に記載の接点監視装置(100)。
【請求項23】
前記第1のフィルタ素子(123-1)及び/又は前記第2のフィルタ素子(123-2)は、前記第1の出力端子(125-1)と前記第2の出力端子(125-2)の外部短絡を前記電気接点(101)の閉成として検出することを阻止するように形成された、発振器周波数でオームインピーダンス成分を有する、請求項22に記載の接点監視装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接点を監視するための、特に切替接点の切替過程、過電流保護の機能状態、及び/又は過電圧保護の機能状態を監視するための接点監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動化では、スイッチを用いてアクチュエータを切り替えることができ、スイッチの切替接点が実際に切り替えられたことを検出することが必要な場合がある。このように監視されるフィードバックは、例えば、追加の補助接点によって実現することができる。あるいは、製造コストをさらに投入して、スイッチの誤った切替えを阻止するために強制ガイド接点を実現することができる。欠陥のある切替接点は、例えば不良の、特に溶着したスイッチ面、又は劣化した半導体層を有する可能性があり、それにより、印加されたスイッチオン信号又は機械的操作に対してスイッチオフ又はスイッチオンを実現することができない。
【0003】
特に、例えば切替リレーが使用され、その切替接点が頻繁に切り替えられる機械制御及びシステム制御には切替接点の監視が必要である。このような接点は、比較的大きな摩耗を免れない。切替接点が、例えば数十万回の切替過程に耐えられるようにリレーを設計することができる。接点監視装置によって、接点の状態を監視すること、及び接点の状態を監視し、摩耗の増加の最初の兆候で、摩耗状態を示すメッセージを発することができる。その場合、運用担当者が、例えばリレーの形の接点を早期に取り換えることができる。
【0004】
このような接点監視装置は基本的に知られている。これらは、切替接点の影響を受ける共振回路にもとづいて動作することが多い。一方の切替状態では、共振回路の減衰が低く、もう一方の切替状態では、減衰が高い。したがって、少なくとも振動の振幅が変化し、そのことを、例えば抵抗の電圧低下によって測定することができる。
【0005】
独国特許出願公開第102018114425号明細書は、この種類の接点監視装置の具体例を示す。そこでは、接点監視装置が、リレー切替接点の監視を例にとって説明される。共振回路には、信号発生器からトランスを介して励起信号が供給される。しかし、共振回路は温度に依存する特性を持つ可能性があり、そのことが振幅変化の測定の信頼性の問題につながる可能性がある。
【0006】
温度補償共振回路の解決策は、特開2012-211855号公報から知られている。そこでは共振回路の共振周波数を調整するためにFETトランジスタが用いられ、その動作点は、動作点を調整するために、分圧器にサーミスタを使用することにより温度補償される。車両のレーダセンサに温度補償発振器が使用される。発振器のFETトランジスタは、コイルと一緒に共振回路を形成するトランジスタ容量(Transistorkapazitaet)があるため、周波数決定素子としても使用される。動作点を調節した場合、トランジスタ容量と、それに伴い共振周波数も変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102018114425号明細書
【文献】特開2012-211855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、接点監視回路の既知の解決策には、接点の正常な機能と誤作動とを十分確実に区別できないか、又はそのために複雑な構造が必要であり、それにより労力を要し、高価になる可能性があるという欠点がある。それに加えて、既存の接点監視装置の温度依存性に問題がある。したがって、特に接点監視の信頼性が改善され、かつ少数の安価な部品しか必要としない改善された接点監視装置が必要である。このことは、本発明の範囲内で認識された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、独立請求項1の特徴によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項、明細書、及び添付の図の主題である。
【0010】
本開示は、特に電気接点が閉接点状態にあるときに、発振器回路と、発振器回路の下流に接続された結合素子と、減衰素子と、によって電気接点に接点監視信号を生成するように形成された接点監視装置によって上記の課題を解決することができるという認識にもとづいている。一形態では、発振器回路は、電気接点が開接点状態にある場合に振動可能でなく、それにより接点監視信号が生成されない。
【0011】
別の形態では、発振器回路は、開接点状態でも振動可能であるが、異なった共振周波数である。このことは、接点が切り替わると、例えば共振回路でさらに別のキャパシタンスがオンにされ、それによりLC共振回路で別の全キャパシタンスが作用することによって達成され得る。接点が不良であると、これが切替過程で正しく閉じなくなり、共振振動が実行されなくなるか、又は他の共振振動が実行されなくなる。このことが検出され、相応に表示される。
【0012】
一般的な実施形態では、発振器回路の電気接点が第1の接点状態にある場合に、発振器回路において第1の減衰素子が有効状態に(wirksam)切り替えられ、第1の減衰素子は、発振器回路において第1のインピーダンスプロファイルをもたらし、電気接点が第2の接点状態にある場合に、発振器回路において第1の減衰素子が無効状態に切り替えられる、及び/又は第2の減衰素子が有効状態に切り替えられ、第2の減衰素子が発振器回路の第2のインピーダンスプロファイルをもたらし、発振器回路は、電気接点が第1の接点状態及び第1のインピーダンスプロファイルである場合に共振振動を生成し、励起信号を出力するように形成され、かつ電気接点が第2の接点状態及び第2のインピーダンスプロファイルである場合に、共振振動を生成せず、かつ励起信号を出力しないか、又は別の共振振動を生成し、別の励起信号を出力し、検出器は、電気接点を監視するために、1つの励起信号ともう1つの励起信号を検出するか、又は励起信号を検出しないように形成されている。接点状態の転換によって発振器回路内の別の周波数決定素子が有効状態に切り替えられる場合に別の共振振動が生成される。
【0013】
拡張された実施形態では、発振器回路を熱的に安定化させる手段が発振器回路に設けられる。その場合、発振器回路はフィードバック分岐を有する共振回路と増幅器とを備え、増幅器は、フィードバック分岐を介してフィードバックされた信号を増幅する。
【0014】
その場合、この解決策は、増幅器が少なくとも1つのトランジスタを有し、その増幅がその動作点によって調整可能であり、少なくとも1つのトランジスタの増幅が、熱的に安定化させる手段により安定化されることを企図する。このことは、温度が変化した場合に、熱的に安定化させる手段が変化することによってトランジスタの動作点がシフトするというように行われる。それによって、温度が変化した場合でも、トランジスタの増幅が自動的に一定に保たれる。
【0015】
好ましい一変形形態では、熱的に安定化させる手段としてサーミスタ、特に分圧器の一要素としてのNTC抵抗又はPTC抵抗が使用される。NTC抵抗は高温導体に相当し、PTC抵抗は低温導体に相当する。あるいは、高温導体として、遮断方向に切り替えられる半導体ダイオードを使用することもできる。サーミスタの抵抗が変化することによって、トランジスタの動作点がシフトし、それによって増幅率が安定的に保たれる。
【0016】
別の実施形態では、熱的に安定化させる手段として温度センサが使用され、その信号が、熱的に安定化させるために少なくとも1つのトランジスタの動作点を調整する関連した補正信号を生成するマイクロコントローラによって評価される。
【0017】
その場合、マイクロコントローラは、パルス幅変調信号に相当するPWM信号の形の補正信号を生成することができ、デューティ比に応じてPWM信号の平均値を出力する平均値形成器が使用される。平均化された補正信号を用いて動作点が調整される。
【0018】
安価な一変形形態では、平均値形成器が抵抗とコンデンサとからなるローパスフィルタの形で形成される。
【0019】
この形式の熱的安定化には、温度補償を非常に正確に実行できるという利点がある。しかしこの解決策の場合、コストが高くなる。
【0020】
接点監視信号は、特に、発振器回路によって生成され、電気接点を有する負荷回路に結合素子によって入力結合される高周波補助エネルギーであり得る。特に電気接点の切替えによる負荷回路のインピーダンスの変化が結合素子を介して発振器回路にフィードバックされ、発振器回路と結合素子の間に信号変化を発生させ、これを電気接点の切替を検出するために利用することができる。
【0021】
第1の態様によれば、本開示は、第1の接点状態及び第2の接点状態を有する電気接点を監視するための接点監視装置に関する。特に、電気接点は、第1の接点状態で閉じ、第2の接点状態で開く切替接点であり得る。例えば、電気接点は、第1の接点状態で低抵抗であり、第2の接点状態で高抵抗であり得る。
【0022】
接点監視装置は、励起信号を生成するように形成された発振器回路と、信号入力及び信号出力を有する結合素子とを備える。結合素子に励起信号を印加するために、信号入力の上流に発振器回路が接続され、結合素子は、励起信号を接点監視信号に変換するように、及び電気接点に印加するために接点監視信号を信号出力に出力するように形成されている。
【0023】
電気接点が第1の接点状態にある場合、発振器回路に第1のインピーダンス値が設定され、電気接点が第2の接点状態にある場合、発振器回路に第2のインピーダンス値が設定される。
【0024】
発振器回路は、電気接点が第1の接点状態及び第1のインピーダンス値である場合に共振振動を生成するように、及び励起信号のバージョン、例えば振幅が変化した、特に減衰された励起信号を出力するように形成されている。
【0025】
一実施形態では、電気接点が第2の接点状態及び第2のインピーダンス値である場合に励起信号の出力が阻止される。
【0026】
さらに、接点監視装置は、電気接点を監視するために、励起信号のバージョン及び/又は励起信号の変化を検出するように形成されている検出器を備える。
【0027】
第1のインピーダンスを、特に第2のインピーダンスよりも大きくすることができる。さらに、減衰素子は、特に電気接点のそれぞれの接点状態に依存して信号入力に第1のインピーダンス値及び/又は第2のインピーダンス値を設定するように企図され得る。
【0028】
電気接点は、第1の接点状態で通電し、第2の接点状態で非通電となり得る。特に、接点監視装置は、電気接点を介して特に高周波の接点監視信号が、特に低周波信号を伝送する負荷回路に恒久的に入力結合するのを阻止するために、接点監視信号を電気接点に連続的に印加しないように形成され得る。それに対応して、接点監視装置の改善されたEMV特性の利点を達成することができる。
【0029】
電気接点は、電気機械式リレー、半導体リレー、コンタクタ、リード接点、又は機械式スイッチの電力切り替え接点であり得る。電気接点を、特に、第1の、特に閉接点状態で第1のオーム抵抗を有するように、かつ第2の、特に開接点状態で第2のオーム抵抗を有するように形成することができ、第1のオーム抵抗は第2のオームよりも小さい。特に、電気接点は、閉接点状態で低抵抗であり、開接点状態で高抵抗である。
【0030】
電気接点は、ヒューズ、特に溶融ヒューズであり得、これは第1の接点状態で通電するか、ないしは低抵抗であり、ヒューズがトリガされた第2の接点状態で非通電、ないしは高抵抗である。
【0031】
さらに、第1の接点状態は、電気接点、特に電気的スイッチング素子の第1の切替状態であり得、第2の接点状態は、電気接点、特に電気的スイッチング素子の第2の切替状態であり得る。
【0032】
一実施形態では、接点監視装置は、接点監視信号を差動信号として電気接点に印加するように形成され、差動信号は、小さい接点抵抗、特に第1の接点状態の電気接点にわずかな電圧低下を引き起こす電流信号である。それによって、特に、電気接点の接点監視信号の振幅が小さく、それに対応して電気接点を介して流れる有用信号にわずかな高周波信号成分しか重畳されないという利点が達成される。したがって、接点監視装置のEMV特性を改善することができる。
【0033】
一実施形態では、発振器回路は、高周波領域、殊に1MHz~100MHzの範囲の周波数、さらに好ましくは50MHzの周波数の励起信号を生成するように形成されている。それによって、特に、接点監視信号と有用信号の周波数分離を安価な周波数フィルタ素子によって実現できるという利点を達成することができる。発振器回路は、特に結合素子と減衰素子を介して、例えば電気接点に並列に接続される高周波発生器であり得る。
【0034】
一実施形態では、発振器回路が自励共振器を備え、これは特に可変共振周波数を有し、かつ電気接点が第1の接点状態、特に低抵抗の閉接点状態である場合に電磁振動を生成するように形成される。
【0035】
一実施形態では、減衰素子は、第2の接点状態で信号入力に第1のインピーダンス値を設定するように形成されている。したがって、発振器回路を、電気接点が開いている場合に励起信号を生成するように、ないしは電気接点が閉じているときに励起信号を生成しないように形成することができる。
【0036】
接点監視装置によってリレーの電気接点を監視することにより、電気接点にスイッチオン信号を印加した場合に非通電の第1の接点状態と、電気接点が通電する第2の接点状態との間の電気接点の移行に関する切替情報を生成することができる。それによって、リレーがスイッチオン信号で切り替わり、それに対応して電気接点及び/又はリレーの磁気系に障害が発生しないことを保証することができる。これに対応して、リレーにスイッチオン信号が存在し、電気接点の切替えが起きない場合にリレーの誤動作を検知することができる。さらに、スイッチオン信号の低下によってリレーのスイッチオフも監視することができる。
【0037】
接点監視装置は、機能安全の観点から、特にIEC61508規格に従って、リレー切替接点の接点状態を一義的に検出できるという利点を達成する。したがって、診断範囲を拡大することができる。
【0038】
検出器を、特に、励起信号の変化、ないしは接点監視信号の変化を、時間離散信号及び/又は振幅離散信号、特にバイナリ信号及び/又はデジタル信号であり得る出力信号に変化させるように形成することができる。第1の出力信号振幅を第1の接点状態、ないしは閉電気接点に割り当てることができ、第2の出力信号振幅を第2の接点状態、ないしは開電気接点に割り当てることができる。検出器を、出力信号又はそのバージョンを、励起信号及び/又は接点監視信号の変化に即座に、又は可能な限り短い時間遅延で適合させるように形成することができる。励起信号の変化は、特に、発振器回路の満たされた共振条件にもとづいて励起信号を生成することと、発振器回路の満たされていない共振条件にもとづいて励起信号を生成しないこととの転換であり得る。
【0039】
一実施形態では、接点状態で共振振動の形成が阻止され、それによって励起信号の出力が阻止される。
【0040】
一実施形態では、発振器回路は、第1のインピーダンス値で、発振器回路の共振周波数に相当する励起周波数の励起信号を生成するように形成され、発振器回路はさらに、信号入力のインピーダンス値にもとづいて励起信号の信号振幅を変化させるように形成されている。発振器回路を、信号入力のインピーダンス値の変化により、振動可能でない状態から振動可能な状態に転換するように形成することができ、定常的なインピーダンス値の変化により励起信号の信号振幅も定常的に変化させることができる。発振器回路は、さらに、信号入力のインピーダンス限界値を超えたときに、振動不可能な状態から振動可能な状態へ移行するように形成されている。
【0041】
一実施形態では、接点監視装置は、信号出力の下流に接続され、電気接点と結合、例えば上流に接続又は下流に接続されている減衰素子を備え、減衰素子は、電気接点が第2の接点状態にある場合にインピーダンスを提供し、第2の接点状態で電気接点のインピーダンスの作用を阻止するように形成され、減衰素子の作用により結合素子の信号入力が減衰され、発振器回路は、振動可能でなく、励起信号の出力が阻止される。
【0042】
一実施形態では、結合素子と発振器回路は共振回路を形成するように形成され、減衰素子は、励起信号の信号振幅を低減するために、第2の接点状態で共振回路を減衰するように形成されている。
【0043】
一実施形態では、減衰素子が電気接点と結合され、例えば電気的に並列接続され、電気接点が第1の接点状態にある場合に減衰素子が低抵抗でブリッジされ、結合素子によって信号入力に結合された減衰素子の減衰が低減される。発振器回路は、減衰の低減により、高信号振幅の励起信号を生成するように形成されている。
【0044】
一実施形態では、発振器回路は、検出器出力を有し、かつ検出器出力を介して検出器に励起信号を、若しくは励起信号のバージョンを提供するように形成されている。
【0045】
一実施形態では、検出器は、励起信号を出力信号に変換するように、かつ出力信号を少なくとも2つの異なった信号状態で出力するように形成され、少なくとも2つの信号状態のうちの第1の信号状態は、閉電気接点を示し、少なくとも2つの信号状態のうちの第2の信号状態は開電気接点を示す。
【0046】
一実施形態では、検出器は、検出器出力に発振する励起信号が存在する場合に出力信号を第1の信号状態で出力するように、かつ検出器出力に発振しない励起信号が存在し、励起信号の信号振幅が振幅限界値を下回り、及び/又は励起信号が検出器出力に存在しない場合に、出力信号を第2の信号状態で出力するように形成されている。
【0047】
一実施形態では、結合素子は、発振器回路及び/又は検出器を電気接点からガルバニック絶縁するように形成されている。
【0048】
一実施形態では、結合素子は、発振器回路への接点の直接ガルバニック結合として、例えばケーブル接続として形成され、それにより電気接点の変化が発振器回路(Oszillatorkreis)のインピーダンスに直接作用することができる。
【0049】
一実施形態では、検出器は、電気接点を切り替えるためのスイッチオン信号、及び励起信号の変化を検出するように、かつ電気接点がスイッチオン信号に対応して切り替えられるかどうかを示すバイナリエラー信号を出力するように形成されている。それによって、スイッチオン信号と励起信号の両方が、電気接点の接点状態に関する同一の論理情報を有するかどうかを検出器が検出できるという利点を達成することができる。検出器には、特に切替制御端子を介してスイッチオン信号を提供することができる。
【0050】
検出器を、さらに、検出器入力に励起信号ないしは共振振動が存在する場合に第1の論理情報を検出するように、かつ切替制御端子にスイッチオン信号が存在する場合に、励起信号をスイッチオン信号とともに(das Anregungssignal mit dem Anschaltsignal)第2の論理情報を検出するように形成することができる。さらに、検出器を、第1の論理情報を第2の論理情報と比較するように形成することができる。
【0051】
検出器を、第1の論理情報と第2の論理情報の比較にもとづいて出力信号を生成するように形成することができ、出力信号は、第1の論理情報と第2の論理情報の一致又は相違を示す。第1の論理情報は、特に、電気接点の切替をトリガするべき電気接点に関するバイナリ切替情報であり得、第2の論理情報は、特に電気接点の接点状態を表すバイナリテスト情報であり得る。特に、バイナリテスト情報は、電気接点の通電性に関して知らせることができる。
【0052】
バイナリ切替情報及びバイナリテスト情報を用いて、4つの異なった信号の組み合わせが実現可能である(表1を参照)。
【表1】
【0053】
信号の組み合わせに応じて、検出器を、1及び4の場合に論理0を表す信号レベルの出力信号を生成するように、かつ2及び3の場合に論理1を表す信号レベルの出力信号を生成するように形成することができる。これに代えて、異なった信号の組み合わせを、対応する出力信号の振幅値又は出力信号パターンに割り当てることができる。出力信号パターンを、例えば信号パルス、特に異なったパルス長の信号パルスの一義的なシーケンスによって実現することができる。
【0054】
一実施形態では、電気接点がスイッチオン信号に対応して予め定められた時間インターバル内に切り替えられているかどうかを確認するために、検出器は、スイッチオン信号を受信することにより予め定められた時間間隔以内に励起信号を検出するように形成されている。
【0055】
一実施形態では、接点監視装置は、スイッチオン信号の検出、及び電気接点の対応する検出された切替、ないしは予想されたスイッチオン信号からの偏差を示すように形成されている光学表示素子を備えている。
【0056】
一実施形態では、結合素子は、第1のインダクタンスと第2のインダクタンスを有する変圧器を備え、励起信号を接点監視信号に変えるために、第1のインダクタンスが第2のインダクタンスと誘導的に結合されている。
【0057】
一実施形態では、結合素子は、誘導的に互いに結合されている第1の空芯コイルと第2の空芯コイルを含む変圧器を備えている。第1の空芯コイルと第2の空芯コイルは、円筒コイル又は円環コイルであり得る。さらに、第1の空芯コイル内及び/又は第2の空芯コイル内にそれぞれコイル芯、特にフェライト芯、又は磁芯を配置することができる。一実施形態では、磁芯を、部分的に第1の空芯コイル及び/又は第2の空芯コイルに配置することができる。コイル芯は、磁束を導くフェライト板又はフェライトフォイルから形成することができる。
【0058】
特にそれぞれ空芯コイルとして形成されている第1のインダクタンス及び第2のインダクタンスを有する変圧器は、例えば、コイルを回路基板技術によって製造することができ、それに対応して接点監視装置の製造時にディスクリート電子部品の数を低減できるという利点を達成する。さらに、ディスクリート電子部品の数をさらに低減するために、接点監視装置の容量性素子も回路基板コンデンサとして形成することができる。
【0059】
変圧器のインダクタンスを平面コイルとして形成することにより、特にフェライト板にインダクタンスを散りばめる(Durchsetzen)ことを省略できるので、接点監視装置のコスト効率の高い製造という利点を達成することができる。変圧器を、特に、励起信号を効率的に接点監視信号に変換するために、第1のインダクタンスを介した第2のインダクタンスへの励起信号の入力結合に関して、20%を超える結合係数を達成するように形成することができる。
【0060】
一実施形態では、接点監視装置は、信号出力の下流に接続され、かつ減衰素子と結合、例えば上流に接続されているインピーダンス回路を備え、インピーダンス回路は、予め定められた周波数を有する接点監視信号の場合に結合素子の漏れインダクタンス(Streuinduktivitaet)及び/又は漏れキャパシタンス(Streukapazitaet)を補償するように形成されている。
【0061】
一実施形態では、インピーダンス回路は、結合素子をガルバニック絶縁することにより全キャパシタンス及び/又は全インダクタンスを最小化するように形成されている。
【0062】
一実施形態では、接点監視装置が第1のフィルタ素子と第2のフィルタ素子とを備え、電気接点は、結合素子によって電気接点、及び/又は電気接点に結合された電気負荷、及び/又は電圧源に存在する高周波信号を減衰させるために、第1のフィルタ素子が下流に接続された第1の出力端子と、第2のフィルタ素子が下流に接続された第2の出力端子とを有する。
【0063】
フィルタ素子は、特に、例えば第1の出力端子及び第2の出力端子に接続された電気接点の外部の配線から接点監視装置を機能的に切り離すという利点を達成する。第1のフィルタ素子及び/又は第2のフィルタ素子は、それぞれ1つのインダクタンス(Induktivitaet)、又は低周波交流信号に対して低抵抗であり、高周波交流信号に対して高抵抗であるように形成されたフェライトを備えることができる。それによって、特に、フィルタ素子が高電流強度の低周波信号を効率的に伝導できるという利点を達成することができる。
【0064】
接点監視信号は、殊に100kHz~100MHzの周波数を有することができる。フィルタ素子は、この周波数領域の接点監視信号に対して高抵抗であり、それにより接点監視信号が出力端子に存在しないか、又は小さい信号振幅でのみ存在する。
【0065】
フィルタ素子は、さらに、電気接点の低抵抗のブリッジが、接点監視装置によって第1の接点状態の電気接点と誤解され得ないという利点を達成する。特に、予め定められた周波数の接点監視信号の場合のそれぞれのフィルタ素子のインピーダンス値の実部が減衰素子のオーム抵抗の抵抗値のオーダに達することができる。それによって、特に、電気接点が第2の接点状態、及び電気接点の外部の低抵抗のブリッジングにより、減衰素子によって提供された減衰値に対応する減衰値が達成され、発振器回路の振動が阻止され得るという利点を達成することができる。
【0066】
一実施形態では、第1のフィルタ素子及び/又は第2のフィルタ素子が発振器周波数でオームインピーダンス成分を有し、これが、第1の出力端子と第2の出力端子との外部短絡を電気接点の閉成として検出することを阻止するように形成されている。
【0067】
一実施形態では、減衰素子は、回路基板コンデンサによってなるキャパシタンスを備えている。
【0068】
一実施形態では、接点監視装置は、供給電圧が印加され得る供給電圧端子を備え、供給電圧端子によって発振器回路及び/又は検出器に電気エネルギーを供給可能である。さらに、接点監視装置は、電気接点をトリガするためにスイッチオン信号が印加され得る切替制御端子を有することができる。
【0069】
一実施形態では、検出器及び/又は発振器回路には切替制御端子を介してスイッチオン信号を印加することができ、検出器及び/又は発振器回路は、スイッチオン信号により電気エネルギーが供給されるように形成されている。スイッチオン信号は、特に、検出器及び/又は発振器回路に電気エネルギーを供給するのに適した直流信号であり得る。一実施形態では、少なくとも予め定められた時間間隔の間、検出器及び/又は発振器回路に一定の電圧及び/又は一定の電流強度を供給するように形成されたバッファコンデンサをスイッチオン信号によって充電することができる。
【0070】
一実施形態では、交流のようなスイッチオン信号を検出器及び/又は発振器回路のための供給電圧に変換するように形成された整流器を回路制御端子とバッファコンデンサとの間に接続することができる。
【0071】
一実施形態では、バッファコンデンサは、スイッチオン信号が存在しなくなった場合に、スイッチオン信号の不在に対応して電気接点の開成を検出する、及び対応する出力信号を生成するために、予め定められた時間間隔の間、検出器及び/又は発振器回路に引き続き電気エネルギーを供給するように形成されている。検出器を、特に出力信号による検出器へのエネルギー供給が中止される前に、スイッチオン信号に対する電気接点の接点エラー、ないしは正常な切替えに関する状態情報を出力するように形成することができる。
【0072】
他の実施例は、添付の図を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1図1は、一実施形態による接点監視装置の図である。
図2図2は、一実施形態による接点監視装置の図である。
図3図3は、一実施形態による信号入力におけるインピーダンスの図である。
図4図4は、一実施形態による接点監視装置の図である。
図5図5は、一実施形態による接点監視装置の図である。
図6図6は、一実施形態による接点監視装置の図である。
図7図7は、温度補償された接点監視装置を原理的な形で示す図である。
図8図8は、接点監視装置の周波数決定ネットワークを原理的な形で示す図である。
図9図9は、接点監視装置の周波数決定ネットワークの2つのインピーダンスプロファイルの図である。
図10図10は、第1の実施形態による温度補償された接点監視装置の図である。
図11図11は、第2の実施形態による温度補償された接点監視装置の図である。
図12図12は、第3の実施形態による温度補償された接点監視装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1は、一実施形態による少なくとも2つの接点状態を有する電気接点101を監視するための接点監視装置100の模式図を示す。接点監視装置100は、励起信号を生成するための発振器回路103と、信号入力107及び信号出力109を有する結合素子105とを備える。
【0075】
発振器回路103は、結合素子105に励起信号を印加するために信号入力107の上流に接続され、結合素子105は、励起信号を接点監視信号に変換するように、かつ電気接点101に印加するために接点監視信号を信号出力109に出力するように形成されている。さらに、接点監視装置100は、信号出力109の下流に接続され、かつ電気接点101の上流に接続されている減衰素子111を備えている。
【0076】
電気接点101が第1の接点状態にある場合、発振器回路103に第1のインピーダンスが設定され、電気接点101が第2の接点状態にある場合、発振器回路103に第2のインピーダンス値が設定される。
【0077】
接点監視装置は、信号出力109の下流に接続され、かつ電気接点101の上流に接続されている減衰素子111を備え、減衰素子111は、電気接点101が第2の接点状態にある場合にインピーダンスを提供し、第2の接点状態にある電気接点101のインピーダンスの作用を阻止するように形成され、減衰素子111の作用により結合素子105の信号入力107が減衰され、発振器回路103が振動可能でなく、かつ励起信号の出力が阻止される。第1のインピーダンス値は第2のインピーダンス値よりも大きい。
【0078】
発振器回路103は、電気接点101が第1の接点状態及び第1のインピーダンス値である場合に共振振動を生成するように、かつ励起信号を出力するように形成され、電気接点101が第2の接点状態及び第2のインピーダンス値である場合に励起信号の出力を阻止するように形成されている。接点監視装置100は、電気接点101の接点状態転換を監視するために、励起信号を検出するように形成されている検出器113をさらに備えている。
【0079】
減衰素子111は抵抗129を備え、これは、殊に結合素子105の誘導性の虚部と、殊に発振器回路103の容量性の虚部とから形成されている共振回路が大きく減衰され、この減衰により発振器回路103が振動可能でなく、それに対応して電気接点101に接点監視信号が存在しないように、信号入力107におけるインピーダンス値を変化させる、ないしは負荷するよう形成されている。
【0080】
さらに、減衰素子111は、減衰素子111によって漏れ電流を最小化又は阻止するために、出力端子125-1、125-2を介して電気接点101に存在する、特に低周波の有用信号に対して高い第1のインピーダンスを生成するように形成されているキャパシタンス131を備えている。さらに、キャパシタンス131は、接点監視信号及び有用信号のスペクトル分離を実現するために、接点監視信号に低い第2のインピーダンスを生成するように形成されている。
【0081】
キャパシタンス131は、特に、例えば30kV/mm以上の高い電圧耐性を有し、キャパシタンス131は、殊に回路基板コンデンサとして形成されている。それによって、必要なディスクリート部品の数が低減されるという利点を達成することができ、それにより安価な製造が可能である。それによって、接点監視装置100の設置スペースを低減するという利点をさらに達成することができる。
【0082】
一実施形態では、回路基板キャパシタンス131は、少なくとも2層の回路基板の異なった層に配置されている導体面を含む。それによって、例えば、安全関連の領域で接点監視装置100を使用する場合、欠陥のあるキャパシタンス131にもとづいた接点監視装置100の機能障害を低減するか、又は排除できるという利点を達成することができる。特に故障分析によって、基板の異なった層間の短絡にもとづいた機能障害を排除でき、さらに接点監視装置100を、低製造コストで製造できるという利点を達成することができる。
【0083】
電気接点101の閉成、すなわち電気接点101の第2の状態から第1の状態への転換により、減衰素子111と電気接点101との並列接続にもとづいて減衰素子111が低抵抗でブリッジされ、それに対応して、電気接点101に存在する有用信号にも接点監視信号にも作用しない。減衰素子111のブリッジにより、減衰素子111の抵抗129により生成可能な変えられた減衰が信号入力107において低減され、それにより共振回路のオーム損失がごくわずかになる。さらに、共振回路は、低減された減衰で共振振動を生成するように形成されている。
【0084】
発振器回路103を、キャパシタンス139-1、139-2とトランジスタ141とを備えるコルピッツ発振器として構成することができる。トランジスタ141は、励起信号を増幅するように形成されている。さらに、発振器回路103は抵抗143を備え、この抵抗を介して励起信号を検出器113に伝送することができる。コイルとして形成され得るインダクタンス119-1は、発振器回路103の一要素をなし得る。
【0085】
検出器113は、励起信号の直流成分を分離するように形成されたコンデンサ145を備えることができる。さらに、検出器113は、少なくとも2つのダイオード147-1、147-2と1つの別のコンデンサ153とを備え、ダイオード147-1、147-2とコンデンサ145は、励起信号を整流された出力信号に変換するように形成されている。さらに、検出器113は、抵抗149とトランジスタ151を有し、発振器回路103によって生成された振動が励起信号として検出器出力115に存在する場合に、抵抗149を介してトランジスタ151が導通される。さらに、検出器113は、プルアップ抵抗155を備え、検出器113は、プルアップ抵抗155を介して出力信号を提供するように形成され、出力信号は、特に、電気接点101が閉じているか、ないしは第1の接点状態にある場合に論理0を出力し、電気接点101が開いているか、ないしは第2の接点状態にある場合に論理1を出力する反転信号である。
【0086】
一実施形態では、検出器113は出力信号端子161を備え、かつ電気接点101が第1の接点状態にある場合に出力信号端子161に論理1を出力し、電気接点101が第2の接点状態にある場合に出力信号端子161に論理0を出力するために出力信号を反転させるように形成されている。
【0087】
さらに、接点監視装置100は、供給電圧が印加可能である供給電圧端子157を備え、供給電圧端子157によって発振器回路103及び/又は検出器113に電気エネルギーを供給可能である。供給電圧端子157は、供給電圧を平滑化するように形成された平滑化コンデンサ159を備えることができる。さらに、平滑化コンデンサ159を、特に供給電圧端子157を介した外部のエネルギー供給が中断した場合でも、予め定められた時間間隔の間、発振器回路103及び/又は検出器113に電気エネルギーを提供するように形成されたバッファコンデンサとして形成することができる。
【0088】
結合素子105は、発振器回路103をインピーダンス回路121及び減衰素子111に誘導的に結合するように形成された変圧器117を備える。
【0089】
インピーダンス回路121は、発振器回路103によって生成された励起信号が予め定められた周波数である場合に漏れインダクタンス、特に変圧器117の漏れインダクタンスを補償するように形成されたキャパシタンス135-1、135-2を備えている。キャパシタンス135-1、135-2は、特に、結合素子105によるガルバニック絶縁の全キャパシタンスを最小化するという利点、及び/又は対称構造という利点を達成する。キャパシタンス135-1、135-2は、特に、同じキャパシタンス値を有するコンデンサによってなり得る。
【0090】
さらに、インピーダンス回路121は、キャパシタンス137-1、137-2とインダクタンス133とを備えている。一実施形態では、キャパシタンス137-1、137-2のうちの1つのみ、及び/又はキャパシタンス135-1、135-2のうちの1つのみを設けることができる。
【0091】
インダクタンス133は、コンデンサ137-1、137-2とともに、反転可能なインピーダンスを有する電線に対応する電気信号に反応するように形成されたLC要素を形成する。電気接点101が第1の接点状態にある場合、結合素子105の信号出力109を高抵抗で、したがって無負荷で切り替えるために、LC要素が高インピーダンス値を有するように、インダクタンス133のインダクタンス値及びキャパシタンス137-1、137-2のキャパシタンス値を選択することができる。それによって、信号入力107におけるインピーダンス値が実部を有することができ、これにより発振器回路103による励起信号の生成を阻止することができる。
【0092】
図2は、一実施形態による、少なくとも2つの接点状態を有する電気接点101を監視するための接点監視装置100の模式図を示す。接点監視装置100は、モジュールベース203に組み込まれ、電気接点101は、スイッチングモジュール201の一部である。モジュールベース203は、特にソケットコネクタとして形成された3つの切替接点端子205-1、205-2、205-3を備えている。さらに、スイッチングモジュール201は、対応するプラグイン接点207-1、207-2、207-3を備え、これらは電気接点101を減衰素子111と接続するため、特に減衰素子111と電気的に並列接続するために、切替接点端子205-1、205-2、205-3に挿入可能であり、かつこれらと電気的に接続可能である。
【0093】
電気接点101は、特に、第1の接点状態でプラグ接点207-3及び207-2を通電接続するように、かつ第2の接点状態でプラグ接点207-1及び207-2を通電接続するように形成された3極スイッチであり得る。接点監視装置100は、プラグ接点207-3とプラグ接点207-2との間の電気的接続の開閉を検出するように形成されている。プラグ接点207-1と207-2との間の電気的接続も監視するために、プラグ接点207-1を、パススルー端子209を介して別の接点監視装置100にさらに先へ導くことができる。さらに、接点監視装置100を、プラグ接点207-1と207-2との間の電気的接続を監視するために、プラグソケット205-1及び205-2を介してプラグ接点207-1及び207-2に別の接点監視信号を印加するように形成することができる。
【0094】
接点監視装置100は、フィルタ素子123-2を有するフィルタモジュール211を備えている。フィルタ素子123-2は、特にHFフェライトとして形成されている単一のインダクタンスによってなり得る。他のフィルタ素子を省略することにより、接点監視装置100の確実な動作で製造コストを低減するという利点を達成することができる。
【0095】
減衰素子111のキャパシタンス131は、高電圧耐性を有するために回路基板コンデンサとして形成される。さらに、キャパシタンス137-1、137-2のうちの少なくとも1つ、例えばキャパシタンス137-1が高電圧耐性の回路基板コンデンサとして形成される。キャパシタンス137-1、131は、それぞれpF範囲のキャパシタンス値を有し得ることが好ましい。キャパシタンス137-1、137-2はそれぞれ、100pF未満のキャパシタンス値を有することがさらに好ましい。さらに、他のキャパシタンス135-1、135-2もpF範囲のキャパシタンス値、又はそれぞれ100pF未満のキャパシタンス値を有することができる。キャパシタンス値が小さいことにより、特に、例えば交流用途ではインピーダンス回路121及び/又は減衰素子111を介してわずかな、特に無視できる漏れ電流しか流れないという利点を達成することができる。
【0096】
インダクタンス133を、らせん状の導体路の形の平面コイルとして形成することができる。
【0097】
一実施形態では、検出器113を、電気接点101のスイッチングエラーが生じた場合にのみ出力信号端子161に出力信号を提供するように形成することができる。検出器113を、励起信号と、電気接点101をトリガするために用いられるスイッチオン信号との間の論理偏差をもとにして電気接点101のスイッチングエラーを検出するように形成することができる。
【0098】
スイッチングモジュールベース203は、第1の切替制御端子215-1及び/又は第2の切替制御端子215-2をさらに有することができ、スイッチングモジュール201における電気接点101をトリガするために、切替制御端子215-1、215-2にスイッチオン信号を印加可能である。整流器213は、第1の切替制御端子215-1及び/又は第2の切替制御端子215-2の上流に接続され、かつスイッチオン信号を整流されたスイッチオン信号に変換するように形成されている。さらに、スイッチングモジュールベース203は、第1のスイッチング信号出力217-1及び/又は第2のスイッチング信号出力217-2を備え、整流器213は、第1のスイッチング信号出力217-1、及び/又は第2のスイッチング信号出力217-2に整流されたスイッチオン信号を提供するように形成されている。
【0099】
スイッチングモジュール201は、第1のスイッチング端子プラグ219-1及び/又は第2のスイッチング端子プラグ219-2を備える。スイッチング素子にスイッチオン信号を印加するために、スイッチングモジュールベース203にスイッチングモジュール201を差し込んだ場合に第1のスイッチング端子プラグ219-1を第1のスイッチング信号出力217-1と電気的に接続可能であり、及び/又はスイッチングモジュールベース203にスイッチングモジュール201を差し込んだ場合に第2のスイッチング端子プラグ219-2を第2のスイッチング信号出力217-2と電気的に接続可能である。
【0100】
一実施形態では、スイッチオン信号を検出器113に供給することができ、検出器113は、スイッチオン信号に依存して電気接点101のスイッチング及び/又は接点状態を検出するため、ならびに出力信号端子161に対応する出力信号を提供するために、スイッチオン信号を励起信号に関して評価するように形成されている。
【0101】
キャパシタンス135-1、135-2、137-1、137-2、131、139-1、139-2、特に結合コンデンサは、それぞれ、又は部分的な集合が、少なくとも2層の回路基板の異なった層に配置されている導体面によってなり得る。金属の導体面間に回路基板のプラスチック材料を配置することができ、それによりキャパシタンスが回路基板コンデンサとして形成される。
【0102】
さらに、接点監視装置100は、供給電圧が印加可能である供給電圧端子157を備え、供給電圧端子157によって発振器回路103及び/又は検出器113に電気エネルギーを供給可能である。供給電圧端子157は、特に供給クランプ(Versorgungsklemme)によってなり得る。
【0103】
接点監視装置100は、それぞれフィルタモジュール211の下流に接続されている第1の負荷端子221-1と第2の負荷端子221-2とをさらに備えている。第1の負荷端子221-1は、第3の切替接点端子205-3と電気的に接続され、第2の負荷端子221-2は、第2の切替接点端子205-2と電気的に接続されている。特に、第1の負荷端子221-1は、負荷電圧供給部223と接続可能であり、かつ第3の切替接点端子205-3及び第3のプラグ接点207-3を介して負荷電圧信号を電気接点101に印加するように形成されている。
【0104】
第2の負荷端子221-2は、電気負荷225と電気的に接続可能であり、電気接点101が第1の接点状態にある場合、負荷電圧信号は電気負荷225に存在する。さらに、負荷端子221-1、221-2を配線ブリッジ227と短絡させることができる。それによって、電気接点101の低抵抗のブリッジでも、特に外部短絡の場合に電気接点101の接点状態を確実な認識を検査するために、例えば接点監視装置100のテストケースを生成することができる。
【0105】
結合素子105は、発振器回路103をインピーダンス回路121及び減衰素子111に誘導的に結合するように形成された変圧器117を備える。変圧器117は、第1のインダクタンス119-1、特に第1の平面コイルと、第2のインダクタンス119-2、特に第2の平面コイルとを有し、第1のインダクタンス119-1は、励起信号を接点監視信号に変換するために第2のインダクタンス119-2と誘導的に結合されている。変圧器117は、発振器回路103をインピーダンス回路121、減衰素子111、及び/又は電気接点101からガルバニック絶縁するように形成されている。ガルバニック絶縁は、分離線229によって表示されている。
【0106】
図3は、一実施形態による信号入力における周波数依存インピーダンスを示す。信号入力では、特に結合素子の変圧器の主インダクタンスによってなるインダクタンスが作用する。インダクタンスは、例えば200nHのインダクタンス値を有することができる。信号入力では、さらに、特に発振器回路のキャパシタンスによって形成されるキャパシタンスが作用する。キャパシタンスは、例えば50pFのキャパシタンス値を有することができる。さらに、信号入力には、特に変圧器によって変圧された信号出力側インピーダンスによってなるオーム抵抗が作用する。電気接点が第1の接点状態にある場合、すなわち電気接点が閉じて通電する場合、例えば4kΩの抵抗値を有する第1の抵抗が信号入力に作用することができる。電気接点が第2の接点状態にある場合、すなわち電気接点が開いて、電気的に絶縁する場合、例えば1kΩの抵抗値を有する第2の抵抗が信号入力に作用することができる。
【0107】
信号入力に作用する抵抗は、接点状態に応じて、第1の抵抗で発振器回路が振動可能であり、かつ共振信号振幅を有する励起信号を生成することができ、第2の抵抗で発振器回路が振動可能でなく、かつ励起信号を生成できないように変化することができる。
【0108】
発振器回路を、2.5kΩより大きい抵抗限界値301で振動不可能な状態から振動可能な状態へ移行するように形成することができる。接点監視装置111は、電気部品を相応に寸法設定することによって、第1のインピーダンス曲線303と第2のインピーダンス曲線305を可能な限り大きい振幅差によって分離するように形成されている。その場合、振幅差を、第1の接点状態及び第2の接点状態にもとづいて信号入力におけるインピーダンス差により拡大縮小することができる。第1のインピーダンス曲線303では、発振器回路が振動不可能な状態であり、励起信号を生成することができない。第2のインピーダンス曲線305では、発振器回路が振動可能な状態であり、励起信号を生成することができる。
【0109】
図4は、一実施形態による接点監視装置100の模式図を示す。それぞれの素子間には、予想される発振器周波数に対してそれぞれ予想されるインピーダンスがオームで示されている。接点監視装置100の模式図の上には、第1の接点状態にある電気接点101、ないしは閉電気接点101のインピーダンスが示されている。
【0110】
さらに、接点監視装置100の模式図の下には、第2の接点状態にある電気接点101、ないしは開電気接点101のインピーダンスが示されている。負荷225は、典型的にはmΩ~∞Ωの範囲のインピーダンスを有することができる。
【0111】
接点101の下流にはΩ範囲のオームインピーダンス成分を有するフェライトが接続されている。
【0112】
減衰素子111及び/又はフィルタ素子は、すでに減衰素子111とインピーダンス回路121との間に、接点監視装置100の外部の配線とは無関係に、特に外部負荷225とは無関係にインピーダンスを確実に提供するように形成されている。それによって、電気接点が開いた場合に、この箇所でインピーダンス値又はインピーダンス範囲が予め決定されるという利点を達成することができる。
【0113】
特に、外部の、ないしは負荷側の短絡が、電気接点101が開いた場合でも、振動を生成する、したがって励起信号を生成することを可能にするインピーダンスを発振器回路103にもたらすことを阻止することができる。それに応じて、外部の短絡が閉電気接点101と誤解されることを阻止することができる。
【0114】
インピーダンス回路121を、電気接点が閉じた場合に、切替接点側の小さいインピーダンスを結合素子側の大きいインピーダンスに変換するように形成することができる。さらに、インピーダンス回路121を、電気接点が開いた場合に、切替接点側の大きいインピーダンスを結合素子側の小さいインピーダンスに変換するように形成することができる。記載されるインピーダンス範囲は、高周波範囲に関する回路におけるそれぞれの箇所でのインピーダンスの値に相当する。
【0115】
図5は、一実施形態による接点監視装置100の模式図を示す。電気接点101は、過電流保護及び/又は過電圧保護、特に溶融ヒューズである。それぞれの素子間に、それぞれ予想されるインピーダンスがオームで示されている。接点監視装置100の模式図の上に、第1の接点状態にある電気接点101、ないしはトリガされていないヒューズのインピーダンスが示されている。
【0116】
さらに、接点監視装置100の模式図の下に、第2の接点状態にある電気接点101、ないしはトリガされたヒューズのインピーダンスが示されている。負荷225は、mΩ~∞Ωの範囲のインピーダンスを有することができる。
【0117】
電気接点101が閉じた、ないしは通電できる場合、発振器回路103は振動可能でない。電気接点101が開いた、ないしはヒューズがトリガされた場合、発振器回路が振動可能である。それによって、特に(溶融)ヒューズの状態を監視することができる。フィルタ素子は、例えばkOhm範囲のオーム抵抗を有することができる。
【0118】
図6は、一実施形態による接点監視装置100の模式図を示す。例えば図5に示される実施形態とは異なり、スイッチとして形成され得る接点101の下流に接続された減衰素子611が設けられている。
【0119】
減衰素子611は、信号減衰を引き起こすフェライト401を有する回路を備える。
【0120】
フェライト401の下流には、インダクタンス603及びキャパシタンス605を有するLC直列共振回路が接続されている。LC直列共振回路は、振動周波数で小さいインピーダンスを形成するように企図され、それによって接点監視信号はクランプにおいて最小化若しくは低減され得る。
【0121】
一実施形態では、インダクタンス603を省略することもできる。
【0122】
一実施形態では、フィルタモジュール211に減衰素子611を組み込むことができる。
【0123】
減衰素子611は、その機能が減衰素子111に相当する。さらに、減衰素子611は、LC共振回路にもとづいてフィルタ特性を(有する)ことができ、したがって一実施形態ではフィルタを形成する。
【0124】
以下に、温度補償された接点監視装置について実施例が説明される。図7において、本発明による温度補償を備えた接点監視装置100の原理的なブロック回路図が示されている。接点監視装置100は、増幅器RVと周波数選択ネットワークFSNとからなる発振器回路を含む。周波数選択ネットワークFSNに減衰素子DELが作用する。作用する減衰は、監視される接点101の状態によって決まる。増幅器RVは、温度θと増幅器の動作点kとに依存する増幅を有することができる。典型的には、温度の影響は、温度変化によってトランジスタ電流が変化し、それによって増幅が変化するというものである。以下にさらに詳しく説明されるようにこれは問題である。
【0125】
まず、接点監視装置100の機能を、その原理からもう一度説明する、図8を参照。図8において、図7からの周波数選択ネットワークFSNの回路図が示されている。監視される接点101の状態(例えば接点閉 イエス/ノー)が周波数選択ネットワークFSNの減衰素子DELの減衰に影響を及ぼす可能性がある。周波数選択ネットワークFSNの減衰は、減衰素子、若しくはそれぞれ異なった抵抗値を有する実効抵抗112及び122によって表される。監視される接点101の状態は、図示されるスイッチ102の位置に影響を及ぼし、スイッチは、スイッチ位置に応じて、2つの減衰抵抗112及び122のうちの1つを周波数選択ネットワークFSNの残りと接続する。それに加えて、周波数選択ネットワークFSNは、インダクタンス105とキャパシタンス103の並列接続によって形成される。発振器回路を、動作点kに関して、第1の状態の場合に増幅器RVの増幅Vが小さい減衰112を補償し、入力114において発振する入力信号a、又は出力115において発振する出力信号V*aが観測され得るように設計することができる。それと同時に、発振器回路を、切替接点102が第2の状態をとる場合に、より大きい減衰122が作用するように設計することができる。その場合、このことは、入力114でも出力115でも発振する出力信号V*aが存在しないという影響をもたらす。
【0126】
知られているように、安定した振動が生じるようにするためには、共振回路が振動条件を満たす必要がある。振動条件は、具体的には
・安定した発振のためにループ増幅が1以上でなければならない。
・この周波数で、フィードバックループの位相シフトは、360°の整数倍でなければならない。
【0127】
接点監視装置では他でもないこのことが利用される。切替接点の一方の切替状態では振動条件が満たされ、切替接点のもう一方の切替状態では、共振回路が減衰され、安定した振動が生じない(発振器の増幅が、減衰による損失を補償するのに十分な大きさでない)。
【0128】
次に、図9との関連でこの問題を明らかにする。図9において、並列共振回路のインピーダンス曲線(周波数特性線)が示される。次に、監視される切替接点が小さい減衰の状態に切り替えられた場合、接点監視装置の発振器が約50.2MHzの共振周波数で、インピーダンス周波数特性線305に示されるようなインピーダンスプロファイルで振動する、点305aを参照。これに対して切替接点が高い減衰の状態に切り替えられた場合、接点監視装置の発振器は、インピーダンス周波数特性線303に示されるようなインピーダンスプロファイルに追従する、点303aを参照。強度の減衰303のこの状態では安定した振動が生じない。振動限界301は、具体的な回路及び増幅器素子に依存し、かつ接点状態に応じて発振器が確実に振動する、又は確実に振動しないようにするためには、可能な限り2つの曲線の中間に位置すべきである。
【0129】
発振器回路のこの望ましい挙動は、温度変化によって妨げられる可能性がある。特に増幅器RVは、温度依存挙動を示す。これは、増幅器RVの増幅率が温度に依存するためである。半導体材料では、温度とともに固有導電率、したがってトランジスタ電流が変化するため、これは特にトランジスタ増幅器にも当てはまる。このことは、発振器回路の望ましい挙動を誤作動するまでに妨げる可能性があり、その場合、ある温度範囲では、実効増幅器112及び122の両方で、出力115において発振する信号が生じ、ならびに/あるいは別の温度範囲では、実効減衰112及び122の両方で、出力115において発振する信号が生じず、それにより接点監視装置による状態の確実な区別が可能でなくなる。
【0130】
本発明の一発展形態では、増幅器RVの動作点が温度に依存してシフトする、すなわちk→k(θ)となることにより、発振器回路の温度依存性が補償され、それにより増幅器RVの増幅の温度依存性が無視できるか、又は全くなくなる。
【0131】
図9において、図8からの周波数選択ネットワークFSNのインピーダンス周波数特性線が示される。減衰抵抗112又は122が作用するかどうかに応じて、異なるインピーダンスプロファイル303若しくは305になる。インピーダンスプロファイルの説明は、図3の説明との関連ですでに解説した。インピーダンスプロファイル305の場合、点305aにおける共振周波数で共振振動が生じ、入力114及び出力115に発振する信号が現れる。インピーダンスプロファイル303の場合、点303aにおける共振周波数で、共振振動が生じず、入力114及び出力115に発振する信号が現れない。
【0132】
図10において、本発明による温度補償を備える発振器回路の例示的実施形態の詳細な回路図が示されている。先行する図のものと同じ参照符号は同じ部品を示す。ここでは、増幅器RVは、ゲート回路における接合型電界効果トランジスタ(JFET)141、抵抗144、146、及び143、コンデンサ142によって形成され、これらを用いてトランジスタ141の動作点が調整される。周波数選択ネットワークFSNは、インダクタンス105と、キャパシタンス139-1及び139-2からなる容量性素子139と、実効抵抗112、122からなる減衰素子DELと、その状態が一方又はもう一方の減衰抵抗112、122の作用を決める監視される接点101とからなる。コンデンサ159は、動作電圧を安定化する。第1の実効減衰では、減衰抵抗112を介して出力115に発振する信号を観測することができ、ある実効減衰では、減衰抵抗122を介してこの発振する信号が存在しないように回路を設計することができる。
【0133】
本発明によれば、サーミスタ146と抵抗144とからなる分圧器によって、トランジスタ141の増幅が温度に(ほとんど)依存しないか、又は無視できるようにトランジスタ141の動作点に影響が及ぼされる。サーミスタとして、温度依存性抵抗を使用することができる。いわゆる低温導体がある。これは、例えばPTC抵抗(英語:Positive Temperature Coefficient Resistor)であり、その抵抗値は温度が上昇するにつれて増加する。それと並んで、いわゆる高温導体、NTC抵抗(英語:Negative Temperature Coefficient Resistor)があり、その抵抗値は、温度が上昇するにつれて低下する。さらに、高温導体として、例えば半導体ダイオードなどの温度依存挙動を有する別の部品も逆方向に使用することができる(図示せず)。
【0134】
動作点電圧Uapは、供給電圧Vccと、抵抗146及び144の温度依存分周比とから求められる。動作点電圧Uapは、次の式で求められる。
【0135】
ap=Vcc*R144/(R146(θ)+R144)。
【0136】
その場合、Uapは、点114における動作点電圧であり、Vccは供給電圧であり、θは温度である。
【0137】
抵抗144及び146を適切に設計することによって、温度依存性増幅の影響が動作点依存性増幅により可能な限り良好に補償されるような大きさで動作点電圧が温度とともに大きく上昇(又は低下)する。換言すれば、増幅率Vが可能な限り温度に依存しないように、温度依存性バイアス電圧がトランジスタ141のゲートに印加される。それによって、温度にほとんど依存しない増幅と、したがって温度に依存しない振動限界を達成することができる。コンデンサ142は任意的であり、例えば、動作点電圧を平滑化するために利用することができる。例えば実験によって、抵抗144、146とコンデンサ142の最適な組み合わせを見つけ出すことができる。
【0138】
図11は、別の種類の温度補償を示す。この変形形態でもトランジスタ141の動作点が安定化される。この解決策は、動作点安定化のデジタル的な実現に相当する。その場合、動作点電圧Uapは、デジタルで生成され、直接温度補償されて提供される。そのために、温度θを測定する必要がある。すなわち温度センサが必要とされる。これは、図11に参照符号161で示される。参照符号200によりマイクロコントローラが示される。それには温度センサ161が接続されている。マイクロコントローラ200において、温度動作点表245が格納されている。測定された温度値は、温度動作点表245を示す。温度動作点表245から、割り当てられたパルス幅変調信号に関する情報が読み取られる。マイクロコントローラ200は、割り当てられたパルス幅変調信号を生成し、その汎用出力GPIO(General Purpose Input/Output)の1つを介して出力する。これは接点監視装置100において点114で供給される。信号のパルス幅は、温度に依存して変調される。そこから温度補償された動作点電圧Uapが生じるようにするために、信号のパルス/ポーズに依存する平均値が形成される必要がある。このことは、図11に示され一緒にローパスフィルタを形成する抵抗148及びコンデンサ142を有する回路で行われる。ローパスフィルタは供給点114とトランジスタ141との間に接続されている。
【0139】
この解決策によって、温度のほかに、例えば劣化、部品公差、供給電圧の変動などなど、他の現象もさらに補償することができる。この解決策は、製造された製品を製造プロセス後に調整するためにも使用することができる。部品公差及び製造偏差によって、場合によっては製品調整が必要となる。
【0140】
図12において、図1の実施例で示された回路図とともに温度補償回路の回路図が示され、ここでは高温導体146による温度補償が使用される。NTC抵抗146及び抵抗144からなる温度依存分圧器は、Uap=Vcc*R144/(R146(θ)+R144)でゲート電圧を提供し、これはコンデンサ142を用いて平滑化される。温度依存ゲート電圧は、部品を適切に寸法設定することによって、トランジスタ141の増幅が可能な限り温度に依存しないことをもたらす。
【0141】
提案される方法及び関連する装置は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、特殊なプロセッサ、又はそれらの組み合わせといった様々な形態で実装することができることが理解されるべきである。好ましい一変形形態では、RAM記憶装置が組み込まれた及びI/Oインターフェースが組み込まれたマイクロコントローラが使用される。専用プロセッサは、特定用途向けの集積回路(ASIC)、Reduced Instruction Set Computer(RISC)及び/又はField Programmable Gate Array(FPGA)を備えることができる。殊に、提案される方法及び装置は、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたものとして実装される。ソフトウェアは、殊にアプリケーションプログラムとしてプログラム記憶装置にインストールされる。典型的には、これはコンピュータプラットフォームベースの機械であり、例えば1つ又は複数の中央ユニット(CPU)、ダイレクトアクセスメモリ(RAM)、ならびに1つ又は複数の入力/出力(I/O)インターフェース(単数又は複数)などのハードウェアを有する。コンピュータプラットフォームでは、典型的にはさらにオペレーティングシステムがインストールされる。本明細書中に記載される様々なプロセス及び機能は、アプリケーションプログラムの一部であり得るか、又はオペレーティングシステムで実行される一部であり得る。
【0142】
開示は、本明細書中に記載された実施例に限定されない。当業者がその技術常識にもとづいて開示に属するとして考慮に入れるであろう様々な適応及び変更の余地がある。
【符号の説明】
【0143】
100 接点監視装置
101 電気接点
102 切替接点
103 発振器回路
105 結合素子
107 信号入力
109 信号出力
111 減衰素子
112 第1の実効抵抗
113 検出器
114 供給点
115 検出器出力
117 変圧器
119-1 第1のインダクタンス
119-2 第2のインダクタンス
121 インピーダンス回路
122 第2の実効抵抗
123-1 第1のフィルタ措置
123-2 第2のフィルタ素子
125-1 第1の出力端子
125-2 第2の出力端子
127 スイッチング素子
129 抵抗
131 キャパシタンス
133 インダクタンス
135-1 キャパシタンス
135-2 キャパシタンス
137-1 キャパシタンス
137-2 キャパシタンス
139 容量性素子
139-1 キャパシタンス
139-2 キャパシタンス
141 トランジスタ
142 コンデンサ
143 抵抗
144 抵抗
145 キャパシタンス
146 高温導体
147-1 ダイオード
147-2 ダイオード
149 抵抗
151 トランジスタ
153 キャパシタンス
155 プルアップ抵抗
157 供給電圧端子
159 平滑化コンデンサ
161 出力信号端子
201 スイッチングモジュール
203 スイッチングモジュールベース
205-1 切替接点端子
205-2 切替接点端子
205-3 切替接点端子
207-1 プラグ接点
207-2 プラグ接点
207-3 プラグ接点
209 パススルー端子
211 フィルタモジュール
213 整流器
215-1 第1のスイッチング制御端子
215-2 第2のスイッチング制御端子
217-1 第1のスイッチング信号出力
217-2 第2のスイッチング信号出力
219-1 第1のスイッチング端子プラグ
219-2 第2のスイッチング端子プラグ
221-1 第1の負荷端子
221-2 第2の負荷端子
223 負荷電圧供給部
225 電気負荷
227 配線ブリッジ
229 分離線
240 マイクロコントローラ
245 温度作動点表
301 抵抗限界値
303 第1のインピーダンス曲線
303a 第1の共振周波数点
305 第2のインピーダンス曲線
305a 第2の共振周波数点
401 フェライト
611 減衰素子
601 インダクタンス
603 キャパシタンス
DEL 減衰素子
FSN 周波数選択ネットワーク
RV 共振増幅器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12