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特許7423777自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ及び自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ及び自動車
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/214 20110101AFI20240122BHJP
【FI】
B60R21/214
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022531506
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 CN2020133233
(87)【国際公開番号】W WO2021135794
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】201911412993.2
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ティン
(72)【発明者】
【氏名】モン、チアン
(72)【発明者】
【氏名】マー、チエンフェイ
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03483012(EP,A1)
【文献】中国実用新案第207000393(CN,U)
【文献】中国実用新案第207328369(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0080869(US,A1)
【文献】特表2002-534310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0174173(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0113646(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0232092(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2014-0038850(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/214
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグであって、前記自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグが、支持エアチャンバと、保護エアチャンバとを備え、
前記支持エアチャンバが、膨張の際、屋根からダッシュボードに向かって膨張し、
前記保護エアチャンバが、前記支持エアチャンバと連通し、前記支持エアチャンバが膨張した後に、前記保護エアチャンバが、前記支持エアチャンバから人体に向かって膨張し、
第1の保護空間が、前記支持エアチャンバと前記保護エアチャンバとの間に、前記人体に面する側に確保されており、前記第1の保護空間が、前記人体の頭部及び頸部を保護するために、前記人体の前記頭部に対応していて、
前記支持エアチャンバが、第1のエアチャンバと、第2のエアチャンバとを備え、
前記保護エアチャンバが、第3のエアチャンバと、第4のエアチャンバとを備え、前記第1のエアチャンバ及び前記第2のエアチャンバが、前記第1のエアチャンバの上端及び前記第2のエアチャンバの上端で接続されており、次いで、前記上端から分離し延びて、前記第3のエアチャンバの外側及び前記第4のエアチャンバの外側にそれぞれ接続し、前記第3のエアチャンバの内側及び前記第4のエアチャンバの内側が、互いに連通し、
前記第1の保護空間が、前記第1のエアチャンバのうち前記第1のエアチャンバの前記上端から前記第3のエアチャンバの外側まで延びる部分である延長部分及び前記第2のエアチャンバのうち前記第2のエアチャンバの前記上端から前記第4のエアチャンバの外側まで延びる部分である延長部分と、前記第3のエアチャンバの前記人体に面する側及び前記第4のエアチャンバの前記人体に面する側との間に形成されていることを特徴とする自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ。
【請求項2】
前記第1のエアチャンバ及び前記第2のエアチャンバが両方、管状であり、膨張の際、前記屋根からフロントガラスに沿って下方に延びることを特徴とする、請求項1に記載の自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ。
【請求項3】
前記第1のエアチャンバの下端及び前記第2のエアチャンバの下端が、膨張の際、前記ダッシュボードに当接し、前記第1のエアチャンバの中間部分及び前記第2のエアチャンバの中間部分が、前記第3のエアチャンバ及び前記第4のエアチャンバと連通することを特徴とする、請求項2に記載の自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ。
【請求項4】
第1の空気入口孔が、前記第1のエアチャンバの前記中間部分と前記第3のエアチャンバとの間に設けられており、第2の空気入口孔が、前記第2のエアチャンバの前記中間部分と前記第4のエアチャンバとの間に設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ。
【請求項5】
前記第3のエアチャンバの前記内側と前記第4のエアチャンバの前記内側との接合部における縫糸の環が、垂直な平面上に位置し、前記縫糸の長さが、前記第3のエアチャンバの最大周囲長及び前記第4のエアチャンバの最大周囲長未満であることを特徴とする、請求項1に記載の自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ。
【請求項6】
接続シートが、前記第3のエアチャンバの前記内側と前記第4のエアチャンバの前記内側との前記接合部に更に配置されており、前記接続シートには、前記第3のエアチャンバ及び前記第4のエアチャンバと連通する複数の空気孔が設けられており、前記接続シートの縁が、前記縫糸を形成するように、前記第3のエアチャンバ及び前記第4のエアチャンバに縫合されていることを特徴とする、請求項5に記載の自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ。
【請求項7】
第2の保護空間が、前記支持エアチャンバと前記保護エアチャンバとの間に、前記人体から離れた側に確保されていることを特徴とする、請求項1に記載の自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ。
【請求項8】
前記支持エアチャンバが、第1のエアチャンバと、第2のエアチャンバとを備え、前記第1のエアチャンバ及び前記第2のエアチャンバが、前記第1のエアチャンバの上端及び前記第2のエアチャンバの上端で接続されており、次いで、前記上端から分離し延びて、前記保護エアチャンバの外側にそれぞれ接続し、
前記第2の保護空間が、前記第1のエアチャンバの下端及び前記第2のエアチャンバの下端と前記保護エアチャンバとの間に、前記人体から離れた側に確保されていることを特徴とする、請求項7に記載の自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ。
【請求項9】
屋根と、ダッシュボードとを備える自動車であって、前記自動車が、請求項1~8のいずれか一項に記載の自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグを更に備え、前記支持エアチャンバの上端が、ガス発生器に接続されていることを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグの技術分野に関し、特に、自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ及び自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグは、アウトオブポジション(Out Of Position、OOP)状態にある子どもを重大な傷害から保護することができない。従来のオーバーヘッドエアバッグは、非常に重大な傷害を、シートベルト負荷なしのダミーの頸部及び頭部に引き起こし得る。
【0003】
したがって、アウトオブポジション状態にある子ども及びシートベルト負荷なしの乗員を傷害から保護することが可能である自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ及び自動車を設計する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
従来技術の欠点を克服することを目的として、本発明は、アウトオブポジション状態にある子ども及びシートベルト負荷なしの乗員を傷害から保護することが可能である、自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ及び自動車を提供する。
【0005】
本発明の技術的解決策は、支持エアチャンバと、屋根上に取り付けられた保護エアチャンバとを備える自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグを提供する。
【0006】
支持エアチャンバは、膨張の際、屋根からダッシュボードに向かって膨張する。
【0007】
保護エアチャンバは、支持エアチャンバと連通する。支持エアチャンバが膨張した後に、保護エアチャンバは、支持エアチャンバから人体に向かって膨張する。
【0008】
第1の保護空間は、支持エアチャンバと保護エアチャンバとの間に、人体に面する側に確保されている。第1の保護空間は、人体の頭部及び頸部を保護するために、人体の頭部に対応する。
【0009】
更に、支持エアチャンバは、第1のエアチャンバと、第2のエアチャンバとを備える。
【0010】
保護エアチャンバは、第3のエアチャンバと、第4のエアチャンバとを備える。第1のエアチャンバ及び第2のエアチャンバは、第1のエアチャンバの上端及び第2のエアチャンバの上端で接続されており、次いで、上端から分離し延びて、第3のエアチャンバの外側及び第4のエアチャンバの外側にそれぞれ接続する。第3のエアチャンバの内側及び第4のエアチャンバの内側は、互いに連通する。
【0011】
第1の保護空間は、第1のエアチャンバの延長部分及び第2のエアチャンバの延長部分と、第3のエアチャンバの人体に面する側及び第4のエアチャンバの人体に面する側との間に形成されている。
【0012】
更に、第1のエアチャンバ及び第2のエアチャンバは両方、管状であり、膨張の際、屋根からフロントガラスに沿って下方に延びる。
【0013】
更に、第1のエアチャンバの下端及び第2のエアチャンバの下端は、膨張の際、ダッシュボードに当接する。第1のエアチャンバの中間部分及び第2のエアチャンバの中間部分は、第3のエアチャンバ及び第4のエアチャンバと連通する。
【0014】
更に、第1の空気入口孔は、第1のエアチャンバの中間部分と第3のエアチャンバとの間に設けられている。第2の空気入口孔は、第2のエアチャンバの中間部分と第4のエアチャンバとの間に設けられている。
【0015】
更に、第3のエアチャンバの内側と第4のエアチャンバの内側との接合部における縫糸の環は、垂直な平面上に位置する。縫糸の長さは、第3のエアチャンバの最大周囲長及び第4のエアチャンバの最大周囲長未満である。
【0016】
更に、接続シートは、第3のエアチャンバの内側と第4のエアチャンバの内側との接合部に更に配置されており、接続シートには、第3のエアチャンバ及び第4のエアチャンバと連通する複数の空気孔が設けられている。接続シートの縁は、縫糸を形成するように、第3のエアチャンバ及び第4のエアチャンバに縫合されている。
【0017】
更に、子どもに引き起こされる傷害を低減するための第2の保護空間は、支持エアチャンバと保護エアチャンバとの間に、人体から離れた側に確保されている。
【0018】
更に、支持エアチャンバは、第1のエアチャンバと、第2のエアチャンバとを備える。第1のエアチャンバ及び第2のエアチャンバは、第1のエアチャンバの上端及び第2のエアチャンバの上端で接続されており、次いで、上端から分離し延びて、保護エアチャンバの外側にそれぞれ接続する。
【0019】
第2の保護空間は、第1のエアチャンバの下端及び第2のエアチャンバの下端と保護エアチャンバとの間に、人体から離れた側に確保されている。
【0020】
本発明はまた、屋根と、ダッシュボードとを備える自動車であって、上記のいずれかに記載の自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグを更に備える自動車を提供する。支持エアチャンバの上端は、ガス発生器に接続されている。
【0021】
上記の技術的解決策は、以下の有益な効果を達成することができる。
【0022】
本発明において、第1の保護空間は、支持エアバッグと保護エアバッグとの間に、人体に面する側に確保されている。第1の保護空間は、人体の頭部及び頸部を保護するために、人体の頭部に対応する。第1の保護空間は、人体の頭部が前方衝突後に第1の保護空間内に沈み込むように、人体の頭部に十分な緩衝空間を提供し、これによって、シートベルト負荷なしの状態下で、頸部及び頭部を重大な傷害から保護する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の開示は、添付の図面を参照してより良好に理解される。これらの図面は、例示のためのみであり、本発明の保護の範囲を限定することは意図されていないことを理解されたい。図面は次のとおりである。
【0024】
図1】本発明の一例による自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグの斜視図である。
【0025】
図2】本発明の一例による自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグの、別の視野角からの斜視図である。
【0026】
図3】本発明の一例による、使用状態にある自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグを示す図である。
【0027】
図4】本発明の一例による、使用状態にある自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグの背面図である。
【0028】
図5】本発明の一例による、自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグの接続シートの断面図である。 参照番号は次のとおりである。
【0029】
人体100、自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ10、屋根ダッシュボードフロントガラス40、
【0030】
支持エアチャンバ1:第1のエアチャンバ11、第2のエアチャンバ12、
【0031】
保護エアチャンバ2:第3のエアチャンバ21、第4のエアチャンバ22、
【0032】
第1の保護空間3、縫糸4、第2の保護空間6、
【0033】
接続シート5:空気孔51。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の具体的な実施形態について、添付の図面を参照して以下に更に説明する。
【0035】
当業者は、本発明の本質的な精神を変更することなく、本発明の技術的解決策による複数の互換性の構造モード及び実装方法を提案し得ることが容易に理解され得る。したがって、以下の特定の実施形態及び添付の図面は、単に本発明の技術的解決策の例示的な説明であり、本発明の全体として解釈されるべきでない、又は本発明の技術的解決策への限定として解釈されるべきでない。
【0036】
本明細書で言及される又は言及され得る、上、下、左、右、前に、後ろに、前部、後部、頂部、底部などの位置用語は、図面に示す構成に対して定義され、これらの位置用語は、相対的な概念であり、したがって、これらの位置用語は、構成の異なる位置及び異なる使用状態に従って相応して変化し得る。したがって、これらの位置用語又は他の位置用語は、限定的な用語として解釈されるべきではない。具体的には、本発明における「前に」及び「後ろに」は、自動車全体の向きに基づく。
【0037】
図1に示すように、自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ10は、支持エアチャンバ1と、屋根上に取り付けられた保護エアチャンバ2とを含む。
【0038】
支持エアチャンバ1は、膨張の際、屋根からダッシュボードに向かって膨張する。
【0039】
保護エアチャンバ2は、支持エアチャンバ1と連通する。支持エアチャンバ1が膨張した後に、保護エアチャンバ2は、支持エアチャンバ1から人体100に向かって膨張する。
【0040】
第1の保護空間3は、支持エアチャンバ1と保護エアチャンバ2との間に、人体100に面する側に確保されている。第1の保護空間3は、人体100の頭部及び頸部を保護するために、人体の頭部に対応する。
【0041】
具体的には、図1に示すように、支持エアチャンバ1の上端は、ガス発生器に直接接続されている。支持エアチャンバ1は、ガスをガス発生器から保護エアチャンバ2に供給する。したがって、支持エアチャンバ1は、保護エアチャンバ2が人体100に向かって急速に膨張して人体100を保護することができるように、ガスを案内し保護エアチャンバ2を支持するように構成されている。
【0042】
自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ10は、膨張する前に、屋根内に折り畳まれて保管されている。自動車が前方衝突を受けたとき、ガス発生器は、自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ10を膨張させる。最初に、支持エアチャンバ1が、膨張する。支持エアチャンバ1は、屋根から放出され、斜めに下方及び前方に(頭部に向かって)膨張する。支持エアチャンバ1が膨張した後に、保護エアチャンバ2が膨張し始める。保護エアチャンバ2は、人体の前部から人体100に向かって膨張する。
【0043】
この例では、図3図4に示すように、第1の保護空間3は、支持エアチャンバ1と保護エアチャンバ2との間に形成されている。第1の保護空間3は、人体100に面する側に、すなわち、自動車本体の後部に面する側に位置する。人体100が前方衝突を受けたとき、保護エアチャンバ2は、人体の胸部と接触する。人体の頭部は、第1の保護空間3内に沈み込む。第1の保護空間3は、頸部及び頭部に引き起こされる傷害を低減するように、シートベルト負荷なしの状態下で人体の頭部及び頸部のための緩衝空間を提供する。
【0044】
更に、図1に示すように、支持エアチャンバ1は、第1のエアチャンバ11と、第2のエアチャンバ12とを含む。
【0045】
保護エアチャンバ2は、第3のエアチャンバ21と第4のエアチャンバ22とを含む。第1のエアチャンバ11及び第2のエアチャンバ12は、第1のエアチャンバの上端及び第2のエアチャンバの上端で接続されており、次いで、上端から分離し延びて、第3のエアチャンバ21の外側及び第4のエアチャンバ22の外側にそれぞれ接続する。第3のエアチャンバ21の内側及び第4のエアチャンバ22の内側は、互いに連通する。
【0046】
第1の保護空間3は、第1のエアチャンバ11の延長部分及び第2のエアチャンバ12の延長部分と、第3のエアチャンバ21の人体に面する側及び第4のエアチャンバ22の人体に面する側との間に形成されている。
【0047】
第1のエアチャンバ11の上端及び第2のエアチャンバ12の上端は、ガス発生器に直接接続されている。ガス発生器は、膨張を、第1のエアチャンバ11の上端及び第2のエアチャンバ12の上端から始めて実行する。第1のエアチャンバ11の下端及び第2のエアチャンバ12の下端は、閉端であり、ダッシュボードへ延びる。
【0048】
第1のエアチャンバ11及び第2のエアチャンバ12は、第1のエアチャンバの上端及び第2のエアチャンバの上端で接続されており、次いで、分離して木の枝と同様の構造を形成する。分離後に、第1のエアチャンバ11及び第2のエアチャンバ12は、第3のエアチャンバ21の外側及び第4のエアチャンバ22の外側にそれぞれ接続されている。
【0049】
ここで、「外側」及び「内側」は、第3のエアチャンバの中心及び第4のエアチャンバの中心に対してである。「外側」は、2つのエアチャンバの中心から離れて位置する。「内側」は、2つのエアチャンバの中心の近くに位置する。
【0050】
第1のエアチャンバ11及び第2のエアチャンバ12は、第1の保護空間3のサイズを増加させるように、第3のエアチャンバ21の外側及び第4のエアチャンバ22の外側に接続されている。
【0051】
第1の保護空間3は、第1のエアチャンバ11の延長部分及び第2のエアチャンバ12の延長部分と、第3のエアチャンバ21の人体に面する側及び第4のエアチャンバ22の人体に面する側との間に位置し、菱形形状と同様の形状を有する。人体が前方衝突を受けたとき、人体の頭部は、シートベルト負荷なしの状態下で、前方に移動し第1の保護空間3内に沈み込む。第1の保護空間3は、人体の頭部及び頸部に十分な緩衝空間を提供する。
【0052】
保護エアチャンバ2は2つのエアチャンバを含むため、良好な性能が、90Km/h斜めムービングデフォーメーションバリア(90 Oblique Moving Deformation Barrier(OMDB))衝突試験及び64Km/hスモールオーバラップバリア(64 Small Overlap Barrier(SOB))衝突試験の条件下で達成され得る。
【0053】
代替として、第1の保護空間3の形状は、この例で提示された形状に限定されない。
【0054】
任意選択で、自動車本体の左右方向の第3のエアチャンバ21及び第4のエアチャンバ22の幅が十分である場合、第1のエアチャンバ11及び第2のエアチャンバ12はまた、分離し延びて、第3のエアチャンバ21の頂部及び第4のエアチャンバ22の頂部に接続することができる。
【0055】
更に、図1及び図3に示すように、第1のエアチャンバ11及び第2のエアチャンバ12は両方、管状であり、膨張の際、屋根からフロントガラス40に沿って下方に延びる。
【0056】
第1のエアチャンバ11及び第2のエアチャンバ12は、屋根からフロントガラス40に沿ってダッシュボードに向かって、斜め下方及び前方に延びる。この膨張経路は、第1のエアチャンバ11及び第2のエアチャンバ12の急速な膨張を容易にする。第1のエアチャンバ11及び第2のエアチャンバ12が膨張した後に、第1のエアチャンバ11の上面及び第2のエアチャンバ12の上面は、フロントガラス40に当接する。保護エアチャンバ2は、フロントガラス40によって安定して支持され得る。
【0057】
任意選択で、第1のエアチャンバ11及び第2のエアチャンバ12はまた、平坦な管状形状又は長方形の管状形状を有し得る。
【0058】
更に、図1に示すように、第1のエアチャンバ11の下端及び第2のエアチャンバ12の下端は、膨張の際、ダッシュボードに当接する。第1のエアチャンバ11の中間部分及び第2のエアチャンバ12の中間部分は、第3のエアチャンバ21及び第4のエアチャンバ22と連通する。
【0059】
第1のエアチャンバ11の下端及び第2のエアチャンバ12の下端は、膨張の際、ダッシュボードに当接するため、第1のエアチャンバ11及び第2のエアチャンバ12は、保護エアチャンバ2を安定して支持するために、屋根とダッシュボードとの間に保持されている。
【0060】
更に、第1の空気入口孔は、第1のエアチャンバ11の中間部分と第3のエアチャンバ21との間に設けられている。第2の空気入口孔は、第2のエアチャンバ12の中間部分と第4のエアチャンバ22との間に設けられている。
【0061】
具体的には、第1のエアチャンバ11は、空気を第3のエアチャンバ21に第1の空気入口孔によって供給し、第2のエアチャンバ12は、空気を第4のエアチャンバ22に第2の空気入口孔によって供給する。第3のエアチャンバ21及び第4のエアチャンバ22は、エアバッグ全体の急速な膨張を容易にするために互いに連通する。
【0062】
更に、図1及び図5に示すように、第3のエアチャンバ21の内側と第4のエアチャンバ22の内側との接合部における縫糸4の環は、垂直な平面上に位置する。縫糸4の長さは、第3のエアチャンバ21の最大周囲長及び第4のエアチャンバ22の最大周囲長未満である。
【0063】
具体的には、縫糸4は、第3のエアチャンバ21と第4のエアチャンバ22との間の閉じられた糸の環である。
【0064】
膨張した後に、第3のエアチャンバ21及び第4のエアチャンバ22のそれぞれは、一塊の膨らんだパンと同様の形状を有し、垂直方向に配置されている。垂直な平面に沿う第3のエアチャンバ21及び第4のエアチャンバ22の最大周囲長は、第3のエアチャンバ21と第4のエアチャンバ22との間の縫糸4の長さよりも大きい。
【0065】
したがって、第1の保護空間3は、第3のエアチャンバ21の人体100に面する側及び第4のエアチャンバ22の人体100に面する側に形成された凹部構造を有する。凹部構造、第1のエアチャンバ11の延長端、及び第2のエアチャンバ12の延長端は、菱形形状と同様の形状を有する空間を形成する。
【0066】
人体の頭部が高速で前方に移動したとき、頭部は、第1のエアチャンバ11の延長端及び第2のエアチャンバ12の延長端によって支持されつつ、凹部構造内に沈み込む。凹部構造は、頭部及び頸部を衝突から保護(cushion)し、頭部が前方に移動したとき第1の保護空間3を通過するのを防止する。
【0067】
更に、図5に示すように、接続シート5は、第3のエアチャンバ21の内側と第4のエアチャンバ22の内側との接合部に更に配置されている。接続シート5には、複数の空気孔51が設けられている。空気孔51は、第3のエアチャンバ21及び第4のエアチャンバ22と連通する。接続シート5の縁は、縫糸4を形成するように、第3のエアチャンバ21及び第4のエアチャンバ22に縫合されている。
【0068】
複数の空気孔51は、均衡が第3のエアチャンバ21の空気圧と第4のエアチャンバ22の空気圧との間で達成されることを可能にする。第3のエアチャンバ21及び第4のエアチャンバ22は、可能なとき、同時に膨張する。
【0069】
任意選択で、1つの空気孔51又は3つ以上の空気孔51が、接続シート5上にあり得る。
【0070】
任意選択で、接続シート5は設けられておらず、第3のエアチャンバ21及び第4のエアチャンバ22は、第3のエアチャンバ21の内側及び第4のエアチャンバ22の内側上に開口を有し、縫糸4によって接続されている。
【0071】
更に、図2に示すように、第2の保護空間6は、支持エアチャンバ1と保護エアチャンバ2との間に、人体100から離れた側に確保されている。第2の保護空間6は、子どもに引き起こされる傷害を低減するために使用される。
【0072】
具体的には、支持エアチャンバ1は、第1のエアチャンバ11と、第2のエアチャンバ12とを含む。第1のエアチャンバ11及び第2のエアチャンバ12は、第1のエアチャンバの上端及び第2のエアチャンバの上端で接続されており、次いで、上端から分離し延びて、それぞれ、保護エアチャンバ2の外側に接続する。
【0073】
第2の保護空間6は、第1のエアチャンバ11の下端及び第2のエアチャンバ12の下端と、保護エアチャンバ2との間に、人体100から離れた側に確保されている。
【0074】
第2の保護空間6は、自動車の前部領域に近い側に位置する。第1のエアチャンバ11の下端及び第2のエアチャンバ12の下端は、第2の保護空間6の左境界及び右境界を画定する。保護エアチャンバ2は、第2の保護空間6の後部境界を画定する。第2の保護空間6の上境界は、フロントガラス40である。前部境界は、ダッシュボードである。
【0075】
第2の保護空間6は、保護エアチャンバ2の前部側に位置する。前方衝突の発生の際、人体100が保護エアチャンバ2にぶつかったとき、保護エアチャンバ2は、大きな反力を人体100に及ぼしつつ、緩衝を提供する。第2の保護空間6は、保護エアチャンバ2の緩衝性能を向上させ得る。保護エアチャンバ2は、第2の保護空間6に向かって変形することができる。
【0076】
上記の配置は、保護エアチャンバ2によって、アウトオブポジション(OOP)状態にある3~6歳の子どもに及ぼされる反力を低減することができ、これによって、重大な傷害を回避することができる。
【0077】
本発明はまた、自動車を提供する。自動車は、屋根と、ダッシュボードとを含み、自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ10を更に含む。支持エアチャンバ1の上端は、ガス発生器に接続されている。
【0078】
この例の自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ10は、助手席の乗員を保護するために、屋根上に、乗員シートの上の位置に取り付けられている。
【0079】
米国市場では、3~6歳の子どもが助手席に着座することが許可されている。したがって、第2の保護空間6が自動車フロントシートオーバーヘッドエアバッグ10において設けられていることは、米国市場の要件を満たすことができる。一方、中国市場では、エアバッグはまた、シートベルト負荷なしの成人への保護を提供することができる。
【0080】
上記の説明は、単に、本発明の原理及び好ましい例の例示である。他の変形形態は当業者によって本発明の原理に基づいてなされてもよく、このような変形形態は、本発明の保護の範囲内にあるとして解釈されるべきであることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5