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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】リオチロニンを含む持続放出組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/198 20060101AFI20240122BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20240122BHJP
   A61K 9/58 20060101ALI20240122BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240122BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240122BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240122BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240122BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240122BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240122BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240122BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240122BHJP
   A61K 9/32 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
A61K31/198
A61P5/14
A61K9/58
A61K47/38
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/04
A61K47/26
A61K47/32
A61K9/32
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022541926
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 US2020065198
(87)【国際公開番号】W WO2021146016
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】62/960,306
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520341485
【氏名又は名称】アムニール コンプレックス プロダクツ リサーチ エルエルシー
【住所又は居所原語表記】995 US HWY 202/206,Bridgewater,NJ 08807(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァガシャ,ジャイディープ
(72)【発明者】
【氏名】デサイ,ディペン
(72)【発明者】
【氏名】シャー,ナブニット エイチ.
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/006278(WO,A1)
【文献】特開平05-255081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33-33/44
A61P 1/00-43/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(i)リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩、酸気体発生剤、第1のオスモゲン、および第1の膨潤性水溶性親水性ポリマーを含有する、プル層、ならびに
(ii)第2の膨潤性水溶性親水性ポリマーおよび第2のオスモゲンを含有する、プッシュ層
を含む、多層コアと、
b)少なくとも1つのオリフィスを含有し、前記多層コアの少なくとも一部分を覆う、透過性弾性膜と、
を含み、
前記第1の膨潤性水溶性親水性ポリマーが、ヒプロメロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムならびにこれらの混合物からなる群から選択され、
前記透過性弾性膜が、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのうちの少なくとも1つのコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤と、を含み
前記少なくとも1つのオリフィスが、前記プル層と流体連通しており、
回転びん法を使用して、5rpmおよび37℃で測定すると、0.001N HClおよび80mM 塩化ナトリウムを含む200mlの溶解媒体中、約180分以下で少なくとも約100%の体積増加を示す、胃内滞留性組成物。
【請求項2】
前記透過性弾性膜が、約1:2:0.2の重量比で、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのコポリマーを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記透過性弾性膜が、約1:2:0.1の重量比で、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのコポリマーを含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記透過性弾性膜が、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セバシン酸ジブチル、およびこれらの混合物からなる群から選択される可塑剤を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記酸が、コハク酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、安息香酸、ステアリン酸、酒石酸、ホウ酸、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される有機酸である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第2の膨潤性水溶性親水性ポリマーが、ポリエチレンオキシドポリマーである、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記第2の膨潤性水溶性ポリマーは、600,000Da以上の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリエチレンオキシドポリマーが、約600,000Da、約700,000Da、約800,000Da、約900,000Da、約1,000,000Da、約2,000,000Da、約3,000,000Da、約4,000,000Da、約5,000,000Da、約6,000,000Da、または約7,000,000Daの平均分子量を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記第1の膨潤性水溶性親水性ポリマーが、25℃の2%水溶液において5000cp以下の粘度を有する低粘度ヒプロメロースと、25℃の2%水溶液において5,000cpを超える粘度を有する高粘度ヒプロメロースとの混合物を含むヒプロメロースである、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記第1の膨潤性水溶性親水性ポリマーが、低粘度ヒプロメロースである、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、少なくとも時間、0.5ng/ml~3ng/mlの血漿濃度を維持しつつ、リオチロニンまたは薬学的に許容される塩の持続放出を提供する、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、約1μg~約200μgのリオチロニンまたは薬学的に許容される塩を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
a)(i)リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩、酸気体発生剤、第1のオスモゲン、および少なくとも1つの第1の膨潤性水溶性親水性ポリマーを含有する、プル層、ならびに
(ii)第2の膨潤性水溶性親水性ポリマーおよび第2のオスモゲンを含有する、プッシュ層
を含む、多層コアと、
b)少なくとも1つのオリフィスを含有し、前記多層コアの少なくとも一部分を覆う、透過性弾性膜と、
を含み、
前記第1の膨潤性水溶性親水性ポリマーが、ヒプロメロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムならびにこれらの混合物からなる群から選択され、
前記透過性弾性膜が、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのうちの少なくとも1つのコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤と、を含み
前記少なくとも1つのオリフィスが、前記プル層と流体連通しており、
回転びん法を使用して、5rpmおよび37℃で測定すると、0.001N HClおよび80mM 塩化ナトリウムを含む200mlの溶解媒体中、約180分以下で少なくとも約100%の体積増加を示す、必要とする患者における甲状腺機能低下症の治療に用いるための胃内滞留性リオチロニン組成物。
【請求項14】
a)(i)リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩、酸気体発生剤、第1のオスモゲン、および少なくとも1つの第1の膨潤性水溶性親水性ポリマーを含有する、プル層、ならびに
(ii)第2の膨潤性水溶性親水性ポリマーおよび第2のオスモゲンを含有する、プッシュ層
を含む、多層コアと、
b)少なくとも1つのオリフィスを含有し、前記多層コアの少なくとも一部分を覆う、透過性弾性膜と、を含み、
前記第1の膨潤性水溶性親水性ポリマーが、ヒプロメロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムならびにこれらの混合物からなる群から選択され、
前記透過性弾性膜が、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのうちの少なくとも1つのコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤と、を含み
前記少なくとも1つのオリフィスが、前記プル層と流体連通しており、
回転びん法を使用して、5rpmおよび37℃で測定すると、0.001N HClおよび80mM 塩化ナトリウムを含む200mlの溶解媒体中、約180分以下で少なくとも約100%の体積増加を示す、一次性(甲状腺)、二次性(下垂体)、および三次性(視床下部)先天性または後天性甲状腺機能低下症における補充療法として使用するための胃内滞留性リオチロニン組成物。
【請求項15】
プル層ブレンドおよびプッシュ層ブレンドを作製することと、
前記プル層ブレンドおよび前記プッシュ層ブレンドを水平方向に押圧して、プル層およびプッシュ層を含有する二重層錠剤コアにすることと、
前記二重層錠剤コアを透過性弾性膜でコーティングすることと、
前記透過性弾性膜にオリフィスをドリル加工することと、
を含
前記プル層ブレンドが、中間体薬物および顆粒外賦形剤体を含み、
前記中間体薬物が、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を含み、
前記顆粒外賦形剤体が、酸気体発生剤、第1のオスモゲン、および少なくとも1つの第1の膨潤性水溶性親水性ポリマーを含み、
前記プッシュ層ブレンドが、第2の膨潤性水溶性親水性ポリマーおよび第2のオスモゲンを含み、
前記第1の膨潤性水溶性親水性ポリマーが、ヒプロメロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムならびにこれらの混合物からなる群から選択され、
前記透過性弾性膜が、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのうちの少なくとも1つのコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤と、を含み
前記オリフィスが、前記プル層と流体連通しており、
回転びん法を使用して、5rpmおよび37℃で測定すると、0.001N HClおよび80mM 塩化ナトリウムを含む200mlの溶解媒体中、約180分以下で少なくとも約100%の体積増加を示す、胃内滞留性リオチロニン組成物の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願
本出願は、2020年1月13日に出願された米国仮特許出願第62/960,306号に対する優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩などの甲状腺ホルモンを含む、持続放出薬学的組成物を提供する。特に、本開示は、1日1回の投与に好適な、リオチロニン(T3)またはその薬学的に許容される塩の浸透性胃内滞留性組成物を提供する。本組成物は、上市されている即時放出リオチロニン製品と比較して、リオチロニン薬物動態(PK)属性の増強、例えば、バースト放出の低減/Cmaxの鈍化、ピーク・トラフ比(Cmax/Cmin)の低減、および約0.8ng/ml~約2ng/mlの正常な生理学的範囲内の24時間T3血漿レベルを伴う、持続放出を提供する。本開示の胃内滞留性組成物は、製品を胃の中に延長された期間保持し、したがって、連続吸収のために近位胃腸(GI)領域において薬物の持続放出を提供する、組成物の浮遊特性および膨潤特性に依存する。
【背景技術】
【0003】
レボチロキシンおよび/またはリオチロニンの甲状腺ホルモン調製物は、哺乳動物、例えば、ヒトおよびイヌにおける甲状腺機能低下症の治療および甲状腺ホルモン補充療法に有用である。
【0004】
甲状腺ホルモン薬物は、テトラヨードチロニン(T4/レボチロキシン)もしくはトリヨードチロニン(T3/リオチロニン)またはこれらの両方を、通常はその薬学的に許容される塩として含有する天然または合成の調製物である。甲状腺ホルモン薬物は、上部GI管において狭い吸収ウィンドウを示し、対象間および対象内の高い変動性を示す。例えば、WO2008/057464を参照されたい。甲状腺ホルモン補充療法は、各患者について個別に確立される。一般に、初回用量は少なく、最適試験応答が達成されるまで徐々に量を増加させていく。甲状腺ホルモンの用量滴定は、最適応答のために重要である。不十分な治療および過剰な治療の両方が、有害な健康への影響を引き起こす可能性がある。不十分な治療はまた、心収縮性の減少および冠動脈疾患のリスク増加の潜在的要因であることも報告されている。逆に、過剰な治療は、心臓痛、脈拍数の増加、動悸、過剰発汗、熱不耐症、神経過敏、または心不整脈などの甲状腺機能低下症の毒性徴候を引き起こす場合がある。
【0005】
診断されたら、失われた甲状腺ホルモンは、一般的に、チロキシン(T4)などの甲状腺ホルモンと置き換えられる。しかしながら、多くの患者にとって、チロキシンの投与は、チロキシン(T4)を、チロキシンより生物学的に活性なリオチロニン(T3)に変換する身体の能力が限られているため、十分な治療レジメンではない。そのような個体の場合、リオチロニンまたはチロキシンとリオチロニンとの混合物は、チロキシン単独での治療よりも効果的な場合がある。甲状腺ホルモン製品による過剰な治療および/または不十分な治療に関連するリスクのため、効力およびバイオアベイラビリティにおいて一貫性のある甲状腺ホルモン製品が必要とされている。このような一貫性は、1)錠剤の製造中に甲状腺ホルモン活性部分(例えば、T4および/またはT3)の一貫した量を維持すること、2)それらの吸収ウィンドウ、例えば、近位GI管内での甲状腺ホルモンの放出を延長する剤形を提供すること、ならびに3)T4および/またはT3血漿レベルを正常な生理学的範囲内で延長された期間にわたって提供し、維持する持続放出剤形を提供する一方で、Cmaxを鈍化させて、即時放出製品に見られるような副作用と一般に関係がある薬物のバースト放出を緩和または排除することによって最も良く達成される。
【0006】
現在上市されている即時放出リオチロニン製品は、薬物の血漿レベルの望ましくない急激な変動を引き起こすことがあり、これにより、心拍数の増加、神経過敏、不安、および癇症などの有害な短期的な副作用、ならびに骨密度の減少などの長期的な副作用につながり得る。また、即時放出形態で投与される場合、リオチロニンは、約10時間の半減期を有するため、1日2回投与されなければならない。1日2回の投与は、患者に追加の服薬負担を与え、患者を1日2回、リオチロニンの血漿レベルの望ましくない急激な変動にさらすことになる。
【0007】
持続放出薬学的組成物は、従来の即時放出薬学的組成物に比べて多くの利点を提供する。利点としては、投薬頻度が少なくなる、患者のコンプライアンスの増加、より持続的な薬物血漿レベルの応答、より少ない薬物摂取での治療作用、より少ない副作用が挙げられる。持続放出組成物の使用によって医薬の経時的なゆっくりと安定した放出を提供することによって、濃度ピーク(Cmax)が緩和/鈍化されるか、またはさらには排除され、より円滑で、より持続的な血液レベル応答がもたらされる。
【0008】
しかしながら、リオチロニンの有効な経口持続放出組成物は、薬物の狭い治療用吸収ウィンドウも考慮に入れなければならない。治療剤の吸収ウィンドウは、治療剤が吸収される体内の領域である。薬学的剤形は、食事摂取条件下で、胃および小腸を通過するのに約3~5時間を要する。リオチロニンは、上部GI管で狭い治療用吸収ウィンドウを示すことが既知である。特許文献1を参照されたい。したがって、8~12時間の期間にわたってリオチロニンを放出する持続放出組成物(すなわち、胃内滞留性ではない)であっても、持続放出組成物が約3~5時間以内に上部GI管を通過するため、4時間後にはリオチロニンの吸収をほとんど提供しないか、まったく提供しない可能性がある。このようなリオチロニンの持続放出組成物は、上部GI管を通過するため、投与期間から5時間後に狭い吸収ウィンドウ内に留まらず、それによって、薬物の吸収を最小限に抑え、薬物の血漿濃度をベースライン濃度へと落下させることを可能にする。このようなリオチロニンの血漿濃度の落下は、組成物が、食物を取らずに投与される場合(例えば、絶食条件下)では、さらに妨害される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開WO2008/057464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、例えば、長期間、例えば、約6時間~約20時間にわたって、上部GI管においてリオチロニンを放出する、持続放出薬学的組成物を提供することが望ましい。本開示は、約6時間~約20時間にわたって上部GI管におけるリオチロニンの持続放出を提供する、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の浸透性の浮遊する胃内滞留性組成物を提供する。本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、1)リオチロニン吸収を最大化し、2)望ましくない副作用に関連するリオチロニンの任意のバースト放出を緩和/鈍化させ、3)正常な生理学的範囲外のリオチロニン血漿濃度における外れを低減するためのCmaxの鈍化を提供し、4)リオチロニンの定常状態トラフ濃度(Cmin)(リオチロニンによる治療中の対象のベースライン血漿レベル)からの薬物放出の変動を最小限に抑え、5)リオチロニンの血漿レベル濃度を、延長された期間にわたって投与前の濃度レベルを超えて維持する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
特定の実施形態において、本開示は、浸透性の浮遊する胃内滞留性組成物であって、1)多層コアであって、i)リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩、酸、気体発生剤、第1のオスモゲン、および少なくとも1つの膨潤性水溶性親水性ポリマーを含有するプル層、ならびにii)少なくとも900,000Daの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、および第2のオスモゲンを含む、プッシュ層を含む、多層コアと、
b)少なくとも1つのオリフィスを含有し、多層コアの少なくとも一部分を覆う、透過性弾性膜と、を含む、浸透性の浮遊する胃内滞留性組成物を提供する。膨潤性水溶性親水性ポリマーは、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される。膨潤性水溶性ポリマーは、プル層の総重量に基づいて、約5%w/w~約60%w/wの量で存在する。第1のオスモゲンは、プル層の総重量に基づいて、5%w/w~50%w/wの量で存在し、第2のオスモゲンは、プッシュ層の総重量に基づいて、5%w/w~50%w/wの量で存在する。透過性弾性膜は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのうちの少なくとも1つのコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。少なくとも1つのオリフィスは、プル層と流体連通している。本組成物は、少なくとも6時間、0.5ng/ml~3ng/mlの血漿濃度を維持しつつ、リオチロニンまたは薬学的に許容される塩の持続放出を提供する。
【0012】
特定の実施形態において、コポリマーは、約1:2:0.2の重量比で、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドを含有する。
【0013】
特定の実施形態において、コポリマーは、約1:2:0.1の重量比で、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドを含有する。
【0014】
特定の実施形態において、可塑剤は、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セバシン酸ジブチル、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0015】
特定の実施形態において、酸は、コハク酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、および酒石酸、ホウ酸、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される有機酸である。
【0016】
特定の実施形態において、ポリエチレンオキシドポリマーは、約900,000Da、約1,000,000Da、約2,000,000Da、約3,000,000da、約4,000,000Da、約5,000,000Da、約6,000,000Da、約7,000,000Da、またはその中の中間値の平均分子量を有する。
【0017】
特定の実施形態において、膨潤性水溶性親水性ポリマーは、ヒプロメロースである。
【0018】
特定の実施形態において、ヒプロメロースは、25℃の2%水溶液において5,000cp以下の粘度を有する低粘度ヒプロメロースと、25℃の2%水溶液において5,000cpを超える粘度を有する高粘度ヒプロメロースとの混合物である。
【0019】
特定の実施形態において、低粘度ヒプロメロースおよび高粘度ヒプロメロースは、80:20~99:1の低粘度ヒプロメロース:高粘度ヒプロメロース重量比で存在する。
【0020】
特定の実施形態において、膨潤性水溶性親水性ポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0021】
特定の実施形態において、第1のオスモゲンは、スクロースである。特定の実施形態において、第2のオスモゲンは、塩化ナトリウムである。
【0022】
特定の実施形態において、本組成物は、少なくとも18時間、0.5ng/ml~3ng/mlの血漿濃度を維持しつつ、リオチロニンまたは薬学的に許容される塩の持続放出を提供する。
【0023】
特定の実施形態において、本組成物は、少なくとも20時間、0.5ng/ml~3ng/mlの血漿濃度を維持しつつ、リオチロニンまたは薬学的に許容される塩の持続放出を提供する。
【0024】
特定の実施形態において、本開示は、甲状腺機能低下症を治療することを必要とする患者においてそれを行う方法であって、その方法が、患者に、浸透性胃内滞留性組成物であって、1)多層コアであって、i)リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩、酸、気体発生剤、第1のオスモゲン、および少なくとも1つの膨潤性水溶性親水性ポリマーを含有するプル層、ならびにii)少なくとも900,000Daの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、および第2のオスモゲンを含む、プッシュ層を含む、多層コアと、b)少なくとも1つのオリフィスを含有し、多層コアの少なくとも一部分を覆う、透過性弾性膜と、を含む、浸透性胃内滞留性組成物を投与することを含む、方法を提供する。膨潤性水溶性親水性ポリマーは、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される。膨潤性水溶性ポリマーは、プル層の総重量に基づいて、約5%w/w~約60%w/wの量で存在する。第1のオスモゲンは、プル層の総重量に基づいて、5%w/w~50%w/wの量で存在し、第2のオスモゲンは、プッシュ層の総重量に基づいて、5%w/w~50%w/wの量で存在する。透過性弾性膜は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのうちの少なくとも1つのコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。少なくとも1つのオリフィスは、プル層と流体連通している。本組成物は、少なくとも6時間、0.5ng/ml~3ng/mlの血漿濃度を維持しつつ、リオチロニンまたは薬学的に許容される塩の持続放出を提供する。
【0025】
特定の実施形態において、本開示は、一次性(甲状腺)、二次性(下垂体)、および三次性(視床下部)先天性または後天性甲状腺機能低下症における補充療法としてリオチロニンを使用する方法であって、その方法が、それを必要とする患者に、浸透性胃内滞留性組成物であって、1)多層コアであって、i)リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩、酸、気体発生剤、第1のオスモゲン、および少なくとも1つの膨潤性水溶性親水性ポリマーを含有するプル層、ならびにii)少なくとも900,000Daの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、および第2のオスモゲンを含む、プッシュ層を含む、多層コアと、b)少なくとも1つのオリフィスを含有し、多層コアの少なくとも一部分を覆う、透過性弾性膜と、を含む、浸透性胃内滞留性組成物を経口投与することを含む、方法を提供する。膨潤性水溶性親水性ポリマーは、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される。膨潤性水溶性ポリマーは、プル層の総重量に基づいて、約5%w/w~約60%w/wの量で存在する。第1のオスモゲンは、プル層の総重量に基づいて、5%w/w~50%w/wの量で存在し、第2のオスモゲンは、プッシュ層の総重量に基づいて、5%w/w~50%w/wの量で存在する。透過性弾性膜は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのうちの少なくとも1つのコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。少なくとも1つのオリフィスは、プル層と流体連通している。本組成物は、少なくとも6時間、0.5ng/ml~3ng/mlの血漿濃度を維持しつつ、リオチロニンまたは薬学的に許容される塩の持続放出を提供する。
【0026】
特定の実施形態において、本開示は、患者におけるリオチロニンのバイオアベイラビリティを改善するための方法であって、その方法が、患者に、浸透性胃内滞留性組成物であって、1)多層コアであって、i)リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩、酸、気体発生剤、第1のオスモゲン、および少なくとも1つの膨潤性水溶性親水性ポリマーを含有するプル層、ならびにii)少なくとも900,000Daの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、および第2のオスモゲンを含む、プッシュ層を含む、多層コアと、b)少なくとも1つのオリフィスを含有し、多層コアの少なくとも一部分を覆う、透過性弾性膜と、を含む、浸透性胃内滞留性組成物を経口投与することを含む、方法を提供する。膨潤性水溶性親水性ポリマーは、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される。膨潤性水溶性ポリマーは、プル層の総重量に基づいて、約5%w/w~約60%w/wの量で存在する。第1のオスモゲンは、プル層の総重量に基づいて、5%w/w~50%w/wの量で存在し、第2のオスモゲンは、プッシュ層の総重量に基づいて、5%w/w~50%w/wの量で存在する。透過性弾性膜は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのうちの少なくとも1つのコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤とを含む。少なくとも1つのオリフィスは、プル層と流体連通している。本組成物は、少なくとも6時間、0.5ng/ml~3ng/mlの血漿濃度を維持しつつ、リオチロニンまたは薬学的に許容される塩の持続放出を提供する。
【0027】
特定の実施形態において、本開示は、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を含有する浸透性胃内滞留性組成物を作製するための方法であって、その方法が、プル層ブレンドおよびプッシュ層ブレンドを作製することと、プル層ブレンドおよびプッシュ層ブレンドを水平方向に押圧して、プル層およびプッシュ層を含有する二重層錠剤コアにすることと、二重層錠剤コアを透過性弾性膜でコーティングすることと、透過性弾性膜にオリフィスをドリル加工することと、を含み、透過性弾性膜が、アクリル酸エチル メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのうちの少なくとも1つのコポリマーと、少なくとも1つの可塑剤と、を含み、オリフィスが、プル層と流体連通している、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】プル層およびプッシュ層を含む二重層錠剤コア、錠剤コアの周囲にあるシールコート-1、シールコート-1の周囲にある透過性弾性膜、透過性弾性膜の周囲にあるシールコート-2、シールコート-2の周囲にある化粧コート、シールコート-1、透過性膜、およびシールコート-2を貫通するオリフィスを示し、オリフィスがプル層と流体連通している、特定の実施形態による胃内滞留性剤形の概略図を提供する。
図2】USP Apparatus IIを使用して、100RPMおよび37℃で、0.1N HClおよびグリセロールの500ml混合物中で24時間にわたって、錠剤1および錠剤2の溶解プロファイルを比較する。錠剤1は、プッシュ層中に220mgのPOLYOX(商標)WSR N-60Kおよび25mgの塩化ナトリウムを含有し、錠剤2は、プッシュ層中に132mgのPOLYOX(商標)WSR Coagulantおよび15mgの塩化ナトリウムを含有していた。
図3】USP Apparatus Iを37℃で使用して、0.1N HClおよび5%メタノールを含有する500mlの溶解媒体中、ならびに0.1N HClおよび5%グリセロールを含有する500mlの溶解媒体中の錠剤3の溶解プロファイルを比較する。
図4】浮遊および追加の時間点での0.001N HClおよび80mMのNaClを含有する200mlの溶解媒体中の錠剤3および錠剤4の体積増加を比較する。
図5】媒体への投与時間から測定した、1.5時間(浮遊時間)、2時間、4時間、6時間、および8時間での錠剤3および錠剤4の破断点における圧縮力を示す。
図6】媒体への投与時間から測定した、1.5時間(浮遊時間)、2時間、4時間、6時間、および8時間での錠剤3および錠剤4の75%歪み点における圧縮力を示す。
図7】USP Apparatus Iを37℃で使用して、0.1N HCLおよび5%グリセロールを含有する500ml溶解媒体中の錠剤15および錠剤16の溶解プロファイルを比較する。
図8】錠剤1(50mcg×2)、錠剤2(50mcg×2)、およびCYTOMEL(登録商標)(50mcg×2)のベースライン補正PKプロファイルを比較する。図8は、錠剤1および錠剤2が、約24時間にわたって治療用濃度(例えば、約0.8ng/ml~約2ng/ml)のT3を提供し、CYTOMEL(登録商標)と比較して、バースト放出の実質的な低減を提供することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、薬物動態属性が増強された、浸透性の浮遊する胃内滞留性リオチロニン組成物(胃内滞留性リオチロニン組成物)を提供する。本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、上市されている即時放出リオチロニン製品(例えば、CYTOMEL(登録商標))と比較して、初期バースト放出の低減/Cmaxの鈍化、およびリオチロニンのピーク・トラフ比(Cmax/Cmin)の低減を伴う、延長された放出を提供する。本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、連続吸収のために、剤形を胃の中に長期間滞留させ、胃/上部GI管における薬物の放出を延長することによって、薬物のバイオアベイラビリティを改善する。このような長期間の胃内滞留は、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物によって提供される持続放出を伴う、薬物のバイオアベイラビリティを改善し、薬物の無駄を低減し、薬物の可溶性を改善する。
【0030】
本開示の胃内滞留性組成物は、その初期バースト放出/血漿濃度ピーク(Cmax)を緩和または排除しつつ、延長された期間にわたってリオチロニンの治療用血漿濃度を維持するために上部GI管におけるリオチロニンの持続放出を提供する。加えて、本開示の胃内滞留性組成物は、膨潤する水溶性親水性ポリマーを含むことによって、リオチロニンの分解を防止または緩和しつつ、リオチロニンの安定性を増強する。
【0031】
本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、幽門括約筋を通過するのを防ぐサイズまで急速に(約120分以内で)拡大し、長期間、例えば、約6時間~約24時間にわたって、拡大された状態を維持する。制限のためではなく、明確にするために、この詳細な説明は、以下の部分に分割される。
1.定義、
2.組成物、
3.治療する方法、
4.作製する方法、および
5.剤形の特徴。
【0032】
1.定義
本明細書で使用される用語は、一般に、開示される主題の文脈内で、および各用語が使用される特定の文脈内で、当該技術分野におけるそれらの通常の意味を有する。特定の用語は、以下または本明細書のいずれかの箇所で考察され、本開示の主題の組成物および方法ならびにそれらの作製および使用方法を説明する際に実施者に追加のガイダンスを提供する。
【0033】
本明細書で使用される場合、特許請求の範囲および/または明細書の「含む(comprising)」という用語と併せて使用される場合の「a」および「an」という単語の使用は、「1つの」を意味し得るが、「1つ以上の」、「少なくとも1つの」および「1つまたは1つより多くの」の意味とも一致する。さらになお、「有する」、「含む(including)」、「含有する(containing)」、および「含む(comprising)」という用語は、互換的であり、当業者は、これらの用語がオープンエンド用語であることを認識する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上との任意およびすべての可能な組み合わせを指し、包含する。本明細書で使用される「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値に対する許容誤差範囲内であることを意味し、それは、部分的には、その値がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの限界に依存する。「約」という用語は、所与の値の最大20%、最大19%、最大18%、最大17%、最大16%、最大15%、最大14%、最大13%、最大12%、最大11%、最大10%、最大9%、最大8%、最大7%、最大6%、最大5%、最大4%、最大3%、最大2%、または最大1%の範囲を意味し得る。代替的に、「約」という用語は、特に生体系または生物学的プロセスに関して使用されるとき、値の1桁以内、または5倍以内、または2倍以内であることを意味し得る。
【0035】
「ベースライン濃度」および「ベースライン血漿レベル」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、任意の量のリオチロニンを産生することができる対象に関して、本開示の持続放出胃内滞留性リオチロニン組成物の投与直前の対象におけるリオチロニンの循環内因性濃度を指す。加えて、甲状腺ホルモンで治療されている、任意の量のリオチロニンを産生することができない対象について、「ベースライン濃度」および「ベースライン血漿レベル」という用語は、リオチロニンの定常状態トラフ濃度(Cmin)を指す。
【0036】
「リオチロニン」および「T3」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を指す。
【0037】
「バースト放出」および「用量ダンピング」という用語は、リオチロニン剤形に関して本明細書で互換的に使用される場合、2ng/mlを超える血清T3レベルを生じさせるT3の制御されていない放出を指す。特定の実施形態において、「バースト放出」という用語は、様々な副作用を引き起こし得る、約0.8ng/ml~約2ng/mlの正常な生理学的レベルを上回るT3の濃度の意図しないスパイクを指す。
【0038】
「初期バースト放出」という用語は、本明細書で使用される場合、放出速度が安定したプロファイルに到達する前の、T3の大きなボーラス(例えば、2ng/mlを超える血清T3レベル)の初期の制御されない放出を指す。
【0039】
「浸透性の浮遊する胃内滞留性剤形」、「浸透性胃内滞留性剤形」、「浮遊する胃内滞留性剤形」、および「胃内滞留性剤形」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、膨潤し、浮遊して胃内滞留を提供し、食品と比較して、胃排出の遅延(例えば、食物の滞留を超える胃内での滞留)を示す、プッシュプル浸透性剤形を指す。
【0040】
「自己調節」という用語は、本明細書で使用される場合、浮遊し、拡大し、最終的に収縮して、GI管および患者からの剤形の排出を可能にする胃内滞留性剤形を指す。
【0041】
「浸透性剤形」などの用語は、本明細書で使用される場合、プル層およびプッシュ層を含有し、プル層が少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤を含有し、プル層およびプッシュ層が各々、膨潤性水溶性親水性ポリマーおよびオスモゲンを含有する、プッシュプル浸透性剤形を指す。オスモゲンは、剤形への水の吸液を助け、プル層およびプッシュ層の中の水溶性親水性ポリマーを水和する。プッシュ層の中の水溶性親水性ポリマーが十分に水和され、吸液された水により膨潤すると、プッシュ層は、オリフィスを通して、水和されたプル層を剤形の外側に押出し、それによって、プル層に存在する薬物の制御された放出を提供する。プル層の中の膨潤性水溶性親水性ポリマーは、水を吸液し、膨潤して、プル層に存在する薬物の放出をさらに制御する。
【0042】
「水溶性親水性ポリマー」、「膨潤性水溶性ポリマー」、および「膨潤性水溶性親水性ポリマー」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、水との接触時に溶解し、膨潤し、したがって水系の物理的特性を改変する親水性ポリマーを指す。
【0043】
「浸透性」という用語は、本明細書で使用される場合、半透過性膜または透過性膜を介した低溶質濃度の溶液から溶質または高溶質濃度の溶液への溶媒の移動を指す。
【0044】
「浸透性剤」という用語には、膨潤性水溶性親水性ポリマー、ならびにイオン性化合物または非イオン性化合物を含むオスモゲンが含まれる。
【0045】
「オスモゲン」という用語は、本明細書で使用される場合、半透過性膜または透過性膜を介した低溶質濃度の溶液から溶質または高溶質濃度の溶液への溶媒の通過のために、溶媒に溶解して、浸透性胃内滞留性剤形の内部に浸透圧の蓄積を生成する、浸透圧的に活性なイオンまたは分子、例えば、イオン性化合物または非イオン性化合物を指す。
【0046】
「活性な薬剤」、「活性成分」、「活性な薬学的薬剤」、「活性な薬学的成分」、および「薬物」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を指す。
【0047】
「薬学的に許容される」という用語は、開示される主題の薬学的組成物と関連して使用されるとき、生理学的に許容され、典型的には、ヒトに投与されるときに有害反応を生じさせない分子実体および組成物を指す。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、連邦政府または州政府の規制当局によって承認されること、または米国薬局方、National Formulary and Drug Standard Laboratory(NF)、または動物、より具体的にはヒトにおいて使用するための他の一般に認められた薬局方に列挙されることを指すこともできる。
【0048】
「予防有効量」および「治療有効量」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、ある疾患もしくは状態、またはその疾患もしくは状態に関連する1つ以上の症状を予防または治癒するか、あるいはその疾患もしくは状態の再発を防止するのに十分な化合物の量を指す。
【0049】
「バイオアベイラビリティ」という用語は、本明細書で使用される場合、Cmax、Tmax、AUC0~t、およびAUC0~無限大などの様々な薬物動態(PK)測定基準によって測定される場合に、投与された薬物のうち、全身循環に到達する分率を指す。
【0050】
「剤形」、「製剤」、「組成物」、および「薬学的組成物」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、特定の構成、例えば、錠剤、カプセル、粒子で活性な薬学的成分および不活性な賦形剤の特定の混合物を用い、使用のために上市されており、特定の用量に割り当てられた、形態での薬学的薬物製品を指す。
【0051】
「胃液」という用語は、本明細書で使用される場合、個体の胃に存在する媒体を指す。
【0052】
「溶解媒体」、「胃の状態を模擬する媒体」、および「模擬胃液」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、個体における胃液状態/胃媒体の化学環境をインビトロで模倣するために使用される溶解媒体を指す。特定の実施形態において、「溶解媒体」は、pH4.5の酢酸緩衝液、pH5の緩衝液、pH6.8の酢酸緩衝液、0.01NのHCl、0.001NのHCl、0mM~約100mMのNaClを含有する0.01NのHCl、または約0mM~約100mMのNaClを含有する0.001NのHClを含む。
【0053】
「気体発生剤」という用語は、本明細書で使用される場合、系中での気体発生のために酸と相互作用し得る、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩および/または重炭酸塩を指す。気体発生剤は、剤形への流体の吸液でCOを発生する。
【0054】
「酸」および「有機酸」という用語は、互換的に使用される場合、剤形への流体の吸液時に、気体発生剤と反応してCO2を生成する有機酸を指す。
【0055】
「分解性」という用語は、本明細書で使用される場合、関連する期間内に、インビボまたはインビトロ条件下で、化学的および/または物理的に改変され、溶解し、または分解することができることを指す。
【0056】
「長期間」などの用語は、本明細書で使用される場合、約6時間以上、例えば、約8時間~約24時間にわたって続く期間を指す。長期間は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、またはそれより長い時間を含む。特定の実施形態において、長期間は、最大24時間を含み得る。
【0057】
「膨潤性」および「膨潤する」という用語は、ポリマーに関して本明細書で互換的に使用される場合、流体の吸液および/またはCOの捕捉によって膨潤するポリマーを指す。
【0058】
「拡大する」および「拡大」という用語は、膜に関して本明細書で互換的に使用される場合、膜上の外向きの圧力(例えば、気体圧、またはコア中のポリマーの膨潤に起因する圧力)に起因する膜の延伸、伸展または拡大を指す。
【0059】
「拡大する」および「拡大」という用語は、胃内滞留性剤形に関して本明細書で互換的に使用される場合、外向きの圧力(例えば、気体圧、またはコア中のポリマーの膨潤に起因する)に起因する剤形の拡大を指す。
【0060】
膜に関して本明細書で使用される「急速に拡大する」という用語は、流体の吸液およびCO2の発生に起因するコアの膨潤よりも速い膜の拡大を指す。
【0061】
本開示の胃内滞留性剤形に関して本明細書で使用される「急速に拡大する」という用語は、その初期体積から、約120分以下での剤形の少なくとも50%の体積増加を指す。
【0062】
「せん断」および「せん断効果」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、特に食事摂取状態において、中央胃体部から幽門に移動する蠕動波を指す。
【0063】
「細孔形成剤」などの用語は、本明細書で使用される場合、機能性コート/膜に細孔もしくはチャネルを形成し(すなわち、チャネリング剤として振る舞う)、それによって膜の透過性を増加させる、水溶性ポリマーおよび/または水溶性低分子を指す。
【0064】
「透過性膜」という用語は、本明細書で使用される場合、溶質の通過および流体/溶媒の通過に対して実質的に透過性であるポリマー膜またはフィルムを指す。透過性膜は、細孔形成剤の有無にかかわらず、透過性ポリマー、例えば、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのコポリマーを含む。
【0065】
「半透過性膜」という用語は、本明細書で使用される場合、薬物および他の賦形剤/成分を含む溶質の通過に対して実質的に不透過性であり、流体/溶媒の通過に対して実質的に透過性であるポリマー膜またはフィルムを指す。半透過性膜は、半透過性ポリマー、例えば、酢酸セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースエステルエーテル、ポリアクリル酸およびエステル、ポリメタクリル酸およびエステル、ならびにセルロースエステルおよびポリエチレングリコールを含む。
【0066】
「実質的に含まない」という用語は、本明細書で使用される場合、活性な薬剤/T3の安定性、組成物の放出プロファイル、および/または組成物の胃内滞留属性に寄与する/影響を与える任意の量を指す任意の機能的(例えば、汚染的ではない)量を除外することを指す。
【0067】
「オリフィス」、「送達オリフィス」、および「穴」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、限定されないが、プル層との流体連通を提供するための浸透性胃内滞留性組成物のコーティング中の少なくとも1つの開口部/出口手段を含む。開口部(基本的には送達ポート)は、コーティングの手動、機械、またはレーザによるドリル加工を介して、多くはプル層に面する側面に形成され得る。特定の実施形態において、水溶性細孔形成剤のコーティングへの組み込みによって、送達オリフィスの系中での形成が存在する。細孔形成剤は、水性環境と接触すると、膜から溶解して浸出し、オリフィスを作り出す。
【0068】
「ウィッキング剤」という用語は、本明細書で使用される場合、水を胃内滞留性剤形に引き込む能力を有する材料を指す。ウィッキング剤は、水の物理吸着を受ける能力を有しており、入ってくる水性流体との薬物の接触表面積を増加させるのに役立つ。
【0069】
「物理吸着」という用語は、本明細書で使用される場合、溶媒分子が、ウィッキング剤の表面と、吸着された溶媒分子との間のファンデルワールス相互作用によって、ウィッキング剤の表面に緩く付着する吸収を指す。
【0070】
「患者」という用語は、本明細書で使用される場合、本開示の浸透性の浮遊する胃内滞留性剤形を摂取する必要があり得るヒトまたは非ヒト哺乳動物を指す。
【0071】
「治療すること」および「治療」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、所望の薬理学的効果および生理学的効果を得ることを指す。効果は、ある疾患、症状、もしくは病理学的状態を予防するか、または部分的に予防するという点で予防的であってもよく、および/またはある疾患、状態、症状、もしくは病理学的状態に寄与する有害作用の部分的もしくは完全な緩和もしくは治癒という点で治療的であってもよい。したがって、「治療」(など)は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の治療を網羅しており、限定されないが、(a)ある病理学的状態を発症する傾向があり得るが、例えば、そのような状態を有するとはまだ診断されていない(例えば、そのような状態の臨床症状が発症していない)個体において、その状態が起こるのを防止すること、(b)その病理学的状態またはその臨床症状の発症を阻害し、阻止し、または低減すること、および(c)その病理学的状態と関連する症状を軽減することを含む。
【0072】
「上部GI管」という用語は、本明細書で使用される場合、胃、ならびに小腸の近位部分、例えば、十二指腸および空腸を指す。
【0073】
「下部GI管」という用語は、本明細書で使用される場合、小腸の遠位部分、例えば回腸、ならびに結腸、盲腸、および直腸を含む大腸のすべてを指す。
【0074】
「浮遊する」などの用語は、本明細書で「胃内滞留性剤形」などと併せて使用される場合、胃液および/または模擬胃液(SGF)よりも小さい嵩密度を有する剤形を指す。このような剤形は、目標とする期間にわたって胃の胃液および/またはSGF中で浮力を維持するという点で、「浮遊して」いる。
【0075】
「浮遊遅延時間」という用語は、本明細書で使用される場合、剤形を媒体に添加したときから、剤形が媒体の表面で浮遊し始める時間までの間の時間(例えば、インビトロ設定で)、または剤形を使用者が摂取したときから、剤形が胃液の表面で浮遊し始める時間までの間の時間(例えば、インビボ設定で)を含む。
【0076】
「溶解遅延時間」という用語は、本明細書で使用される場合、剤形を媒体に添加したときから、活性な薬剤が媒体に溶解し始めるまでの間の時間を指す。
【0077】
「媒体」という用語は、本明細書で使用される場合、インビトロ設定では溶解媒体、インビボ設定では胃液を指す。
【0078】
「粘度勾配」という用語は、本明細書で使用される場合、本開示の多層胃内滞留性剤形の隣接する層間の粘度の差を指す。「減少する粘度勾配」という用語は、本明細書で使用される場合、プッシュ層からプル層への粘度の減少を指し、プッシュ層およびプル層は、互いに隣接している。
【0079】
「延長された放出」、「制御放出」、「持続」、および「改変された放出」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、即時放出剤形として提示される薬物と比較して、投与後に延長された期間にわたって、投与される薬物の目標濃度を維持するように製剤化される改変放出剤形または組成物を指す。そのような組成物は、同じ薬物の即時放出薬学的組成物と比較して、バースト放出を緩和または排除し、Cmaxを鈍化させる。
【0080】
「最適血漿レベル濃度」という語句は、本明細書で使用される場合、対象が、もはや甲状腺機能低下症または甲状腺機能低下症に関連する症状に悩まされなくなるT3の血漿レベル濃度を指す。最適血漿レベル濃度は、対象によって異なり、主に、対象の年齢、身長、体重、代謝、および性別に依存する。しかしながら、一般に、甲状腺機能低下症を試験またはモニタリングする場合、0.5~5.0uIU/mlのTSH範囲は、リオチロニンの最適血漿レベル濃度を示す可能性が高い。
【0081】
2.組成物
本開示は、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩などの甲状腺ホルモンを含む、持続放出胃内滞留性薬学的組成物を提供する。リオチロニンは、天然のホルモンの合成形態である。リオチロニンの好ましい形態は、リオチロニン塩、例えば、リオチロニンナトリウムである。特に、本開示は、1日1回または2回の投与に好適な、リオチロニンナトリウムの浸透性の浮遊する胃内滞留性組成物[T3組成物]を提供する。本組成物は、上市されている即時放出リオチロニン製品と比較して、改善されたリオチロニンPK属性、例えば、バースト放出の低減、Cmaxの鈍化、ピーク・トラフ比(Cmax/Cmin)の低減、および治療範囲における持続放出を伴う、持続放出を提供する。本開示の胃内滞留性組成物は、その狭い吸収ウィンドウにおけるリオチロニン放出を延長することによって、リオチロニンの吸収を増強する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、T3の吸収ウィンドウ内で、治療用血漿濃度を少なくとも約6時間、例えば、約6時間~約24時間提供し、維持することができる量でT3を放出することによって、所望の薬物動態(PK)プロファイルを提供する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、リオチロニン、またはその薬学的に許容される塩、例えば、T3を、長期間にわたって上部GI管で放出し、その結果、リオチロニンは、下部GI管への組成物の輸送の前に吸収され得る。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、上部GI管(例えば、胃、十二指腸、および空腸)の任意の部分内でT3を放出する。
【0082】
本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、剤形中に存在するリオチロニンまたはその塩の総重量に基づいて、少なくとも約60%w/wのリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を、延長された期間にわたって放出する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、約75%w/w、約80%w/w、約85%w/w、約90%w/w、または約95%w/wのリオチロニン、またはその薬学的に許容される塩を、延長された期間にわたって放出することができる。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、少なくとも約80%のリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、またはその中の任意の中間期間にわたって放出する。
【0083】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、バースト放出の低減/Cmaxの鈍化を伴う、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の持続放出を提供し、その結果、リオチロニンのCmaxは、上市されている即時放出リオチロニン製品(例えば、CYTOMEL(登録商標))のCmaxよりも少なくとも約10%少ない。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、バースト放出の低減/Cmaxの鈍化を伴う、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の持続放出を提供し、その結果、リオチロニンのCmaxは、上市されている即時放出リオチロニン製品(例えば、CYTOMEL(登録商標))のCmaxよりも少なくとも約20%少ない、約25%少ない、約30%少ない、約35%少ない、約40%少ない、約45%少ない、約50%少ない、約55%少ない、約60%少ない、少なくとも約70%少ない、またはその中の任意の中間値だけ少ない。
【0084】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、バースト放出の低減/Cmaxの鈍化を伴う、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の持続放出を提供し、その結果、リオチロニンのCmaxは、約0.5ng/ml~約5ng/ml、約0.7~約4ng/ml、約0.8~約3ng/ml、またはその中の任意の中間値である。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、5ng/ml未満、4.9ng/ml未満、4.8ng/ml未満、4.7ng/ml未満、4.6ng/ml未満、4.5ng.ml未満、4.4ng/ml未満、4.3ng/ml未満、4.2ng/ml未満、4.1ng/ml未満、4ng/ml未満、3.9ng/ml未満、3.8ng/ml未満、3.7ng/ml未満、3.6ng/ml未満、3.5ng/ml未満、3.4ng/ml未満、3.3ng/ml未満、3.2ng/ml未満、3.1ng/ml未満、2ng/ml未満、またはその中の任意の中間値のCmaxを提供する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、バースト放出の低減/Cmaxの鈍化を伴う、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、少なくとも約12時間、少なくとも約13時間、少なくとも約14時間、少なくとも約15時間、少なくとも約16時間、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、少なくとも約21時間、少なくとも約22時間、少なくとも約23時間、少なくとも約24時間、またはその中の任意の中間期間にわたってリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の持続放出を提供する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、バースト放出の低減/Cmaxの鈍化を伴う、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の持続放出を提供し、その結果、リオチロニンのCmaxは、約0.5ng/ml~約4ng/ml、約0.5ng/ml~約3.9ng/ml、約0.5ng/ml~約3.8ng/ml、約0.5ng/ml~約3.7ng/ml、約0.5ng/ml~約3.6ng/ml、約0.5ng/ml~約3.5ng/ml、約0.5ng/ml~約3.4ng/ml、約0.5ng/ml~約3.3ng/ml、約0.5ng/ml~約3.2ng/ml、約0.5ng/ml~約3.1ng/ml、約0.5ng/ml~約3ng/ml、約0.5ng/ml~約2.9ng/ml、約0.5ng/ml~約2.8ng/ml、約0.5ng/ml~約2.7ng/ml、約0.5ng/ml~約2.6ng/ml、約0.5ng/ml~約2.5ng/ml、約0.5ng/ml~約2.4ng/ml、約0.5ng/ml~約2.3ng/ml、約0.5ng/ml~約2.2ng/ml、約0.5ng/ml~約2.1ng/ml、約0.5ng/ml~約2ng/ml、またはその中の任意の中間値である。
【0085】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、組成物の投与から約4時間以内に、リオチロニンのベースライン濃度(内因性濃度または定常状態トラフ濃度)を4倍より大きく超えないリオチロニンの血漿濃度を提供する。特定の実施形態において、組成物の投与から約1時間以内に、リオチロニンの濃度は、リオチロニンのベースライン濃度を3.5倍より大きく超えず、3.4倍より大きく超えず、3.3倍より大きく超えず、3.2倍より大きく超えず、3.1倍より大きく超えず、3倍より大きく超えず、2.9倍より大きく超えず、2.8倍より大きく超えず、2.7倍より大きく超えず、2.6倍より大きく超えず、2.5倍より大きく超えず、2.4倍より大きく超えず、2.3倍より大きく超えず、2.2倍より大きく超えず、2.1倍より大きく超えず、2倍より大きく超えず、1.9倍より大きく超えず、1.8倍より大きく超えず、1.7倍より大きく超えず、1.6倍より大きく超えず、1.5倍より大きく超えず、1.4倍より大きく超えず、1.3倍より大きく超えず、1.2倍より大きく超えず、1.1倍より大きく超えず、または1倍より大きく超えない程度で、リオチロニンのベースライン濃度を超えない。
【0086】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、上市されている即時放出リオチロニン製品と比較すると、投与期間中に、ベースラインのリオチロニンレベルからのリオチロニン血漿濃度の変動の減少を提供する。ほとんどの対象において、リオチロニンの最適血漿中濃度は、80~200ng/dL(0.8~2.0ng/ml)である。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、リオチロニンの最適血漿濃度の80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、またはその中の任意の中間値を超える血漿濃度変動を防止するか、または減少させる。特定の実施形態において、最適血漿濃度は、0.1ng/ml~約3.0ng/ml、約0.2ng/ml~約2.9ng/ml、約0.2ng/ml~約2.8ng/ml、約0.2ng/ml~約2.7ng/ml、約0.2ng/ml~約2.6ng/ml、約0.2ng/ml~約2.5ng/ml、約0.2ng/ml~約2.4ng/ml、約0.2ng/ml~約2.3ng/ml、約0.2ng/ml~約2.2ng/ml、または約0.2ng/ml~約2.0ng/mlである。
【0087】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、1日1回の投与に好適な現在上市されている製品(例えば、CYTOMEL(登録商標))と比較して、治療有効量のリオチロニンを、延長された期間にわたって提供しつつ、リオチロニンのCmaxを遅延させる。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、投与後約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、もしくは22時間、またはさらに長い時間でリオチロニンのCmaxを提供する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、リオチロニンのTmaxを長期化する(Tmaxは、Cmaxが達成される時間である)。特定の実施形態において、リオチロニンのTmaxは、投与後の1時間より長い。特定の実施形態において、Tmaxは、投与後1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22時間より長い。特定の実施形態において、リオチロニンのTmaxは、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物の投与から約4~約18時間後に生じる。特定の実施形態において、リオチロニンのTmaxは、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物の投与後約6時間~約16時間、約8時間~約14時間、約10時間~約12時間である。
【0088】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、上市されている即時放出リオチロニン製品と比較して、類似のAUC(すなわち、血漿曲線の下の面積)、より低いCmax、および/または遅延したTmaxを提供する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、上市されている即時放出リオチロニン製品と比較して、異なるAUC、より低いCmax、および/または遅延したTmaxを提供する。
【0089】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、投薬頻度を減らし、望ましくない副作用の発生を低減および/または排除する。特定の実施形態において、望ましくない副作用は、限定されないが、心拍数の変動、速いまたは不規則な心拍、動悸、血圧の増加、心臓発作のリスクの増加、胸痛、およびうっ血性心不全を含む有害な心臓効果を含む。特定の実施形態において、望ましくない副作用は、頭痛、皮膚発疹またはじんましん、混乱、気分変動、癇症、筋力低下、精神病、不隠、神経過敏、発汗、暑さに敏感になる、不安、過度の発汗、紅潮、息切れ、骨粗しょう症、および死亡した骨密度(deceased bone density)を含み得る。
【0090】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、投与時に、現在上市されている即時放出リオチロニン製品(例えば、CYTOMEL(登録商標))と比較して、望ましくない副作用を少なくとも約5%低減させる。特定の実施形態において、望ましくない副作用は、上市されている即時放出リオチロニン製品と比較して、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、またはその中の任意の中間値だけ低減する。
【0091】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、約6時間~約24時間の期間にわたって、治療有効量のリオチロニンを提供する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、約6時間~約24時間、約8時間~約20時間、または約10~約16時間の期間にわたって治療有効量のリオチロニンを提供する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間の期間、またはその中の任意の中間期間にわたって治療有効量のリオチロニンを提供する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、少なくとも18時間、少なくとも20時間、または少なくとも24時間の期間にわたって、治療有効量のリオチロニンを提供する。
【0092】
特定の実施形態において、リオチロニンの放出は、ゼロ次速度または一次速度に従う場合がある。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.0001%w/w~約1%w/wのリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.001%w/w~約0.1%w/w、約0.01%w/w、約0.02%w/w、約0.03%w/w、約0.04%w/w、約0.05%w/w、約0.06%w/w、約0.07%w/w、約0.08%w/w、約0.09%w/w、またはその中の任意の中間値のリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、約0.001μg~約200μg、約0.01μg~約100μg、または約0.1μg~約50μgなどの任意の治療有効量のリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、1μg~約100μg、例えば、約5μg、約6μg、約7μg、約8μg、約9μg、約10μg、約11μg、約12μg、約13μg、約14μg、約15μg、約16μg、約17μg、約18μg、約19μg、約20μg、約21μg、約22μg、約23μg、約24μg、約25μg、約26μg、約27μg、約28μg、約29μg、約30μg、約31μg、約32μg、約33μg、約34μg、約35μg、約36μg、約37μg、約38μg、約39μg、約40μg、約41μg、約42μg、約43μg、約44μg、約45μg、約46、約47μg、約48μg、約49μg、約50μg、約51μg、約52μg、約53μg、約54μg、約55μg、約56μg、約57μg、約58μg、約59μg、約60μg、約65μg、約70μg、約75μg、約80μg、約85μg、約90μg、約95μg、約100μg、約105μg、約110μg、またはその中の任意の中間値のリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0093】
特定の実施形態において、胃内滞留性リオチロニン組成物は、幽門括約筋を通過するのを防ぐサイズまで、約3時間以下、例えば、180分、170分、160分、150分、140分、130分、120分、115分、110分、105分、100分、95分、90分、85分、80分、75分、70分、65分、60分、55分、50分、45分、40分、35分、30分、またはその中の任意の中間期間内に、胃液と接触すると膨脹する経口の浸透性の浮遊する胃内滞留性組成物を含む。特定の実施形態において、胃内滞留性リオチロニン組成物は、幽門括約筋を通過するのを防ぐサイズまで、胃液と接触する時間から測定して、約3時間以下、例えば、180分、170分、160分、150分、140分、130分、120分、115分、110分、105分、100分、95分、90分、85分、80分、75分、70分、65分、60分、55分、50分、45分、40分、35分、30分、またはその中の任意の中間期間内に、模擬胃液と接触すると膨脹する経口の浸透性の浮遊する胃内滞留性組成物を含む。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、胃液と接触したとき、胃液と接触する時間から測定して、約3時間以下、例えば、180分、170分、160分、150分、140分、130分、120分、115分、110分、105分、100分、95分、90分、85分、80分、75分、70分、65分、60分、55分、50分、45分、40分、35分、30分、またはその中の任意の中間期間内に浮遊する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、模擬胃液(液)と接触したとき、模擬胃液と接触する時間から測定して、約2時間以下、例えば、115分、110分、105分、100分、95分、90分、85分、80分、75分、70分、65分、60分、55分、50分、45分、40分、35分、30分、またはその中の任意の中間期間内に浮遊する。特定の実施形態において、模擬胃液は、pH4.5の酢酸緩衝液、pH6.8の酢酸緩衝液、0.01NのHCl、0.001NのHCl、0mM~約100mMのNaClを含有する0.01NのHCl、または約0mM~約100mMのNaClを含有する0.001NのHClを含み得る。
【0094】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、幽門括約筋を通過するのを防ぐサイズまで約180分以下で拡大し、約180分以下の浮遊遅延時間を提供し、少なくとも約6時間、例えば、約6時間~約20時間の浮遊持続時間を提供し、少なくとも約6時間、例えば、約6時間~約20時間のリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の延長された放出を提供する。特定の実施形態において、本開示の浸透性の浮遊する胃内滞留性リオチロニン組成物は、胃液または模擬胃媒体と接触すると、幽門括約筋を通過するのを防ぐサイズまで、胃液または模擬胃液と接触する時間から測定して、約1時間以下で拡大し、長期間、例えば、約6時間~約20時間にわたって、リオチロニンの延長された放出を提供するように、拡大された状態を維持する。本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、長期間、例えば、約6時間~約24時間にわたって剤形を胃の中に保持し、胃/上部GI管におけるリオチロニンの放出を延長することによって、リオチロニンのバイオアベイラビリティを改善する。このような長期間の胃内滞留は、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物によって提供される延長された放出を伴い、薬物のバイオアベイラビリティを改善し、薬物の無駄を低減し、薬物の可溶性を改善する。本開示の浸透性胃内滞留性組成物は、i)プル層およびプッシュ層を含む多層錠剤コアと、ii)コアの周囲に透過性弾性膜と、を含み、膜は、可塑剤と、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのうちの少なくとも1つのコポリマーと、を含む。本開示の浸透性胃内滞留性リオチロニン組成物は、延長された期間にわたって剤形を胃の中に保持するために、剤形のサイズおよび浮力に依存する。本開示の組成物は、少なくとも約6時間、例えば、約6時間~約24時間にわたって胃内滞留を提供し、同じ期間にわたって治療用血漿濃度のリオチロニンを提供する、プッシュプル浸透性剤形を含む。
【0095】
特定の実施形態において、本開示のプッシュプル浸透性の浮遊する胃内滞留性リオチロニン組成物は、膨潤を続け、最終的に胃からの排出のために崩壊するが、(i)多層錠剤コアであって、a)リオチロニン、気体発生剤、および少なくとも1つの膨潤性水溶性親水性ポリマーを含む、プル層、ならびにb)約900,000Daより大きな平均分子量を有する少なくとも1つの膨潤性水溶性親水性ポリマー、および少なくとも1つのオスモゲンを含む、プッシュ層を含む、多層錠剤コアと、(ii)プル層と流体連通したオリフィス/穴を含有し、多層錠剤コアの少なくとも一部分を覆い、可塑剤と、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのコポリマーと、を含む、透過性弾性膜と、を含む。特定の実施形態において、多層錠剤コアは、二重層錠剤コアである。
【0096】
特定の実施形態において、本開示の浸透性の浮遊する胃内滞留性リオチロニン組成物は、プッシュ層に約900,000Daより大きな平均分子量を有するポリエチレンオキシドを含む膨潤性水溶性親水性ポリマー(例えば、POLYOX(商標)60(MWは約2M)が存在することに起因して、GI管におけるリオチロニンの持続放出を提供する。かかるポリエチレンオキシドポリマーは、水の吸液によって膨潤し、(1)剤形のサイズを増加させて胃内滞留を促進し、(2)薬物分散体/溶液を含むプル層に対してプッシュ層から一定の圧力を提供することによって、薬物の放出を浸透圧的に制御し、(3)膨潤した状態で、膜を支持し、錠剤の完全性を維持し、(4)発生した気体(例えば、CO)を捕捉して浮力を提供する。
【0097】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、安定であり、プル層に少なくとも1つの膨潤性水溶性ポリマーが存在することに起因して、GI管においてリオチロニンの所望の持続送達を提供する。特定の実施形態において、プル層は、リオチロニンの分解を最小限に抑える少なくとも1つの膨潤性水溶性親水性ポリマーを含む。特定の実施形態において、プル層の中の膨潤性水溶性親水性ポリマーは、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)である。特定の実施形態において、プル層の中に存在するヒプロメロースは、低粘度ヒプロメロースである。特定の実施形態において、プル層の中に存在するヒプロメロースは、低粘度および高粘度のヒプロメロース(例えば、METHOCEL(商標)K3 Premium LV、および任意選択的に少量のMETHOCEL(商標)K15M Premium CR)の混合物である。特定の実施形態において、錠剤コアは、膨潤して、膜を支持し、剤形の完全性を維持する。特定の実施形態において、錠剤コアは、膨潤し、CO2を捕捉し、剤形に浮力を提供する。特定の実施形態において、錠剤コアの膨潤は、プル層およびプッシュ層の膨潤に起因する。
【0098】
特定の実施形態において、リオチロニンナトリウム胃内滞留性錠剤は、多層コアであって、i)リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩、酸、気体発生剤、第1のオスモゲン、および少なくとも1つの膨潤性水溶性親水性ポリマーを含有するプル層、ならびにii)少なくとも900,000Daの平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマー、および第2のオスモゲンを含む、プッシュ層を含む、多層コアと、b)少なくとも1つのオリフィスを含有し、多層コアの少なくとも一部分を覆う、透過性弾性膜/機能性コートと、を含み得る。
【0099】
特定の実施形態において、プル層は、約0.052mg(52mcg)のリオチロニンナトリウムを含む。特定の実施形態において、プル層は、約85mgの硫酸カルシウム二水和物、約300mgのスクロース、約0.7mgのBHT、または約0.1mgのビタミンEをさらに含む。特定の実施形態において、プル層は、約50mgの重炭酸ナトリウム、約75mgの炭酸カルシウム、約232mgのMETHOCEL(商標)K3 LV、約5mgのMETHOCEL(商標)K15M Premium CR、125mgのコハク酸、約3.5mg、約6mg、または約8.5mgのコロイド状二酸化ケイ素、および約10mgのステアリン酸マグネシウムをさらに含む。特定の実施形態において、プッシュ層は、約132mgのPOLYOX(商標)WSR Coagulant、または約220mgのPOLYOX(商標)WSR N-60Kを含む。特定の実施形態において、プッシュ層は、25mgまたは約15mgの塩化ナトリウム、約1.8または約3mgのステアリン酸マグネシウム、および約1.2mgまたは約2mgの赤色顔料ブレンドをさらに含む。特定の実施形態において、機能性コートは、約148mgのEUDFAGIT(登録商標)RL POコポリマーおよび約22.2mgのクエン酸トリエチル可塑剤を含む。特定の実施形態において、機能性コートは、約93mgのEUDFAGIT(登録商標)RL POコポリマーおよび約13.8mgのクエン酸トリエチル可塑剤を含む。
【0100】
特定の実施形態において、プル層は、約0.052mg(52mcg)のリオチロニンナトリウムを含む。特定の実施形態において、プル層は、約85mgの硫酸カルシウム二水和物、約15mgのスクロース、約0.1mgのビタミンE、約50mgの重炭酸ナトリウム、約125mgの炭酸カルシウム、125mgのコハク酸、約3.5mgのコロイド状二酸化ケイ素、約10mgのステアリン酸マグネシウム、約81.5mgのマンニトール、約200mgのPOLYOX(登録商標)WSR N80 K、約5mgのPOLYOX(登録商標)WSR 303をさらに含む。
【0101】
特定の実施形態において、プル層は、約0.052mg(52mcg)のリオチロニンナトリウムを含む。特定の実施形態において、プル層は、約85mgの硫酸カルシウム二水和物、約15mgのスクロース、約0.1mgのビタミンE、約50mgの重炭酸ナトリウム、約125mgの炭酸カルシウム、125mgのコハク酸、約3.5mgのコロイド状二酸化ケイ素、約10mgのステアリン酸マグネシウム、約81.5mgのマンニトール、約200mgのナトリウムCMC(AQUALON(商標)7L2P)、および5mgのAQUALON(商標)7H4F Mをさらに含む。
【0102】
特定の実施形態において、プル層は、約0.052mg(52mcg)のリオチロニンナトリウムを含む。特定の実施形態において、プル層は、約85mgの硫酸カルシウム二水和物、約15mgのスクロース、約0.1mgのビタミンE、約50mgの重炭酸ナトリウム、約125mgの炭酸カルシウム、125mgのコハク酸、約3.5mgのコロイド状二酸化ケイ素、約10mgのステアリン酸マグネシウム、約81.5mgのマンニトール、約205mgのMETHOCEL(商標)K100 Premium LVをさらに含む。
【0103】
特定の実施形態において、プル層は、約0.052mg(52mcg)のリオチロニンナトリウムを含む。特定の実施形態において、プル層は、約85mgの硫酸カルシウム二水和物、約15mgのスクロース、約0.1mgのビタミンE、約50mgの重炭酸ナトリウム、約125mgの炭酸カルシウム、125mgのコハク酸、約3.5mgのコロイド状二酸化ケイ素、約10mgのステアリン酸マグネシウム、約79.5mgのマンニトール、約250mgのPEO-1NF、および約7mgのPEO-18NFをさらに含む。
【0104】
特定の実施形態において、プル層は、約0.052mg(52mcg)のリオチロニンナトリウムを含む。特定の実施形態において、プル層は、約15mgのスクロース、約0.1mgのビタミンE、約50mgの重炭酸ナトリウム、約75mgの炭酸カルシウム、125mgのコハク酸、約3.5mgのコロイド状二酸化ケイ素、約10mgのステアリン酸マグネシウム、約116.5mgのマンニトール、約300mgのMETHOCEL(商標)K3 Premium LV、および約5mgのMETHOCEL(商標)K15M Premium CRをさらに含む。特定の実施形態において、プッシュ層は、約220mgのPOLYOX(商標)WSR N-60K、オスモゲンとして25mgの塩化ナトリウム、約3mgのステアリン酸マグネシウム、および約2mgの赤色顔料ブレンドを含む。特定の実施形態において、機能性コートは、約148.2mgのEUDFAGIT(登録商標)RL POコポリマー、約22.2mgのクエン酸トリエチル可塑剤、および約29.6mgのタルクを含む。
【0105】
特定の実施形態において、プル層は、約0.052mg(52mcg)のリオチロニンナトリウムを含む。特定の実施形態において、プル層は、約95mgのスクロース、約0.1mgのビタミンE、約50mgの重炭酸ナトリウム、約75mgの炭酸カルシウム、125mgのコハク酸、約3.5mgのコロイド状二酸化ケイ素、約10mgのステアリン酸マグネシウム、約116.5mgのマンニトール、約231.5mgのMETHOCEL(商標)K3 Premium LV、および約5mgのMETHOCEL(商標)K15M Premium CRをさらに含む。特定の実施形態において、プッシュ層は、約220mgのPOLYOX(商標)WSR N-60K、オスモゲンとして25mgの塩化ナトリウム、約3mgのステアリン酸マグネシウム、および約2mgの赤色顔料ブレンドを含む。特定の実施形態において、機能性コートは、約148.2mgのEUDFAGIT(登録商標)RL POコポリマー、約22.2mgのクエン酸トリエチル可塑剤、および約29.6mgのタルクを含む
【0106】
特定の実施形態において、プル層は、約0.052mg(52mcg)のリオチロニンナトリウムを含む。特定の実施形態において、プル層は、約200mgのスクロース、約0.1mgのビタミンE、約50mgの重炭酸ナトリウム、約75mgの炭酸カルシウム、125mgのコハク酸、約3.5mgのコロイド状二酸化ケイ素、約10mgのステアリン酸マグネシウム、約116.5mgのマンニトール、約231.5mgのMETHOCEL(商標)K3 Premium LV、および約5mgのMETHOCEL(商標)K15M Premium CRをさらに含む。特定の実施形態において、プッシュ層は、約220mgのPOLYOX(商標)WSR N-60K、オスモゲンとして25mgの塩化ナトリウム、約3mgのステアリン酸マグネシウム、および約2mgの赤色顔料ブレンドを含む。特定の実施形態において、機能性コートは、約148.2mgのEUDFAGIT(登録商標)RL POコポリマー、約22.2mgのクエン酸トリエチル可塑剤、および約29.6mgのタルクを含む。
【0107】
特定の実施形態において、プル層は、約0.052mg(52mcg)のリオチロニンナトリウムを含む。特定の実施形態において、プル層は、約200mgのスクロース、約0.1mgのビタミンE、約85mgの硫酸カルシウム二水和物、約50mgの重炭酸ナトリウム、約75mgの炭酸カルシウム、125mgのコハク酸、約40mgのPOLOXAMER 188、約3.5mgのコロイド状二酸化ケイ素、約10mgのステアリン酸マグネシウム、約231.5mgのMETHOCEL(商標)K3 Premium LV、および約5mgのMETHOCEL(商標)K15M Premium CRをさらに含む。特定の実施形態において、プッシュ層は、約220mgのPOLYOX(商標)WSR N-60K、25mgの塩化ナトリウム、約3mgのステアリン酸マグネシウム、および約2mgの赤色顔料ブレンドを含む。特定の実施形態において、機能性コートは、約148.2mgのEUDFAGIT(登録商標)RL POコポリマー、約22.2mgのクエン酸トリエチル可塑剤、および約29.6mgのタルクを含む。
【0108】
特定の実施形態において、プル層は、約0.052mg(52mcg)のリオチロニンナトリウムを含む。特定の実施形態において、プル層は、約200mgのスクロース、約0.1mgのビタミンE、約85mgの硫酸カルシウム二水和物、約50mgの重炭酸ナトリウム、約75mgの炭酸カルシウム、125mgのコハク酸、約3.5mgのコロイド状二酸化ケイ素、約10mgのステアリン酸マグネシウム、約231.5mgのMETHOCEL(商標)K3 Premium LV、および約5mgのMETHOCEL(商標)K15M Premium CRをさらに含む。特定の実施形態において、プッシュ層は、約220mgのPOLYOX(商標)WSR N-60K、オスモゲンとして25mgの塩化ナトリウム、約3mgのステアリン酸マグネシウム、および約2mgの赤色顔料ブレンドを含む。特定の実施形態において、機能性コートは、約148.2mgのEUDFAGIT(登録商標)RL POコポリマー、約22.2mgのクエン酸トリエチル可塑剤、および約29.6mgのタルクを含む。
【0109】
例示の目的のために、限定されないが、図1は、プッシュ層およびプル層を含む二重層錠剤コア、錠剤コアの周囲にあるシールコート-1、シールコート-1の周囲にある透過性弾性膜、透過性膜の周囲にあるシールコート-2/オーバーコート、シールコート-2の周囲にある化粧コート、シールコート-1、膜、およびシールコート-2を貫通するオリフィスを示し、オリフィスがプル層と流体連通している、特定の実施形態による胃内滞留性剤形の概略図を提供する。
【0110】
多層錠剤コア
特定の実施形態において、多層錠剤コアは、プッシュ層と、プル層と、を含む。特定の実施形態において、プル層およびプッシュ層は、水平方向に圧縮され、二重層錠剤コアとなる。特定の実施形態において、多層錠剤コアは、2つのプル層の間にプッシュ層を含む。特定の実施形態において、錠剤コアにおけるプル層とプッシュ層との比率は、約1:1~約6:1である。特定の実施形態において、錠剤コアにおけるプル層とプッシュ層との比率は、約1:1、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、またはその中の任意の中間比率である。
【0111】
プル層
特定の実施形態において、プル層は、甲状腺ホルモン薬物(例えば、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩)と、少なくとも1つの水溶性親水性ポリマーと、少なくとも1つの酸と、気体発生剤と、を含む。特定の実施形態において、プル層は、少なくとも1つのオスモゲンをさらに含む。特定の実施形態において、プル層は、水溶性親水性ポリマーの濡れを増加させるための少なくとも1つのウィッキング剤を含む。特定の実施形態において、プル層は、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の分解を低減するための少なくとも1つの安定化剤を含む。特定の実施形態において、プル層における賦形剤の選択は、賦形剤が、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を不安定化または分解することなく、適切な錠剤化特性を提供するようなものである。
【0112】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、剤形の総重量に基づいて、約0.0001%w/w~約1%w/wのリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、剤形の総重量に基づいて、約0.001%w/w~約0.01%w/wのリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、約0.001μg~約200μg、約0.01μg~約100μg、または約0.1μg~約75μg、約5μg、約7.5μg、約10μg、約12.5μg、約15μg、約17.5μg、約20μg、約22.5μg、約25μg、約27.5μg、約30μg、約32.5μg、約35μg、約37.4μg、約40μg、約42.5μg、約45μg、約47.5μg、約50μg、約52.5μg、約55μg、約57.5μg、約60μg、約62.5μg、約65μg、約67.5μg、約70μg、約72.5μg、約75μg、またはその中の中間値の量で、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0113】
特定の実施形態において、プル層は、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を不安定化または分解することなく、適切な錠剤化特性を提供する水溶性親水性ポリマーを含む。特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボマー、またはこれらの任意の混合物を含む群から選択される。
【0114】
特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーは、25℃の2%水溶液において、約25cp~約5,000cpの粘度を有するカルボキシメチルセルロースナトリウムである。特定の実施形態において、プル層は、約25cp~約50cp、約50cp~約100cp、約50cp~約200cp、約200cp~約800cp、約400cp~約600cp、約400cp~約800cp、約800cp~約3,100cp、約1,000cp~約2,800cp、約1,500cp~約2,500cp、約1,500cp~約3,000cp、約1,500cp~約3,100cp、約2,500cp~約4,500cp、1,500cp~約3,100cp、またはその中の任意の中間範囲の粘度を有する少なくとも1つのカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。特定の実施形態において、プル層は、25℃の2%水溶液において、約25cp~約50cp、約50cp~約100cp、約50cp~約200cp、約200cp~約800cp、約400cp~約600cp、約400cp~約800cp、約800cp~約3,100cp、約1,000cp~約2,800cp、約1,500cp~約2,500cp、約1,500cp~約3,000cp、約1,500cp~約3,100cp、約2,500cp~約4,500cp、1,500cp~約3,100cp、またはその中の任意の中間範囲の粘度を各々有する2つ以上のカルボキシメチルセルロースナトリウムポリマーの混合物を含む。
【0115】
特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーは、25℃の2%水溶液において、5,000cp未満の粘度を有する少なくとも1つの低粘度ヒプロメロースを含む。特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーは、25℃の2%水溶液において、約2.3cp~約3.3cp、約2.4cp~約3.6cp、約4.0cp~約6.0cp、約4.8cp~約7.2cp、約12cp~約18cp、約80cp~約120cp、約2,663cp~約4,970cp、またはその中の任意の中間範囲の粘度を有する少なくとも1つの低粘度ヒプロメロースを含む。特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーは、25℃の2%水溶液において、5,000cpを超える粘度を有する高粘度ヒプロメロースを含む。特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーは、25℃の2%水溶液において、約9,525cp~約17,780cp、約13,275cp~約24,780cp、約75,000cp~約140,000cp、またはその中の任意の中間範囲の粘度を有する高粘度ヒプロメロースを含む。特定の実施形態において、プル層の中の水溶性親水性ポリマーは、高粘度ヒプロメロースおよび低粘度ヒプロメロースの混合物を含む。特定の実施形態において、低粘度ヒプロメロースと高粘度ヒプロメロースとの重量比は、60:40~99:1である。特定の実施形態において、低粘度ヒプロメロースと高粘度ヒプロメロースとの重量比は、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、約99:1、またはその中の任意の中間比率である。特定の実施形態において、高粘度ヒプロメロースは、低粘度ヒプロメロースの1%w/w~70%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、高粘度ヒプロメロースは、低粘度ヒプロメロースの約1%w/w、約2%w/w、約3%w/w、約4%w/w、約5%w/w、約6%w/w、約7%w/w、約8%w/w、約9%w/w、約10%w/w、約11%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w、約15%w/w、約16%w/w、約17%w/w、約18%w/w、約19%w/w、約20%w/w、約21%w/w、約22%w/w、約23%w/w、約24%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/w、約50%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0116】
特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーの粘度は、投与期間の終了時に、所望の持続放出プロファイルおよび完全な薬物回収を提供するように調整される。
【0117】
特定の実施形態において、プル層の中の水溶性ポリマーは、プル層の総重量に基づいて、約5%w/w~約70%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、プル層の中の水溶性ポリマーは、プル層の総重量に基づいて、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/w、約50%w/w、約55%w/w、約60%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0118】
特定の実施形態において、プル層は、リオチロニンの分解を防止するための安定化剤をさらに含む。リオチロニンは、酸化および/または脱ヨウ素化、ならびに脱ヨウ素化が優勢な他の賦形剤との活性な相互作用を通じて分解する。分解経路は酸化であるため、プル層に抗酸化剤を添加することで、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の安定化をさらに助ける。特定の実施形態において、安定化剤は、限定されないが、アスコルビン酸およびその塩、トコフェロール、メタ重亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、硫化ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸プロピル、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される抗酸化剤である。特定の実施形態において、安定化剤は、プル層の総重量に基づいて、約0.001%wt/wt~約20%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、安定化剤は、プル層の総重量に基づいて、約0.001%w/w、約0.002%w/w、約0.003%w/w、約0.004%w/w、約0.005%w/w、約0.006%w/w、約0.007%w/w、約0.008%w/w、約0.009%w/w、約0.01%w/w、約0.02%w/w、約0.03%w/w、約0.04%w/w、約0.05%w/w、約0.06%w/w、約0.07%w/w、約0.08%w/w、約0.09%w/w、約0.10%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w、約1%w/w、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0119】
特定の実施形態において、プル層は、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を含有する中間体薬物顆粒を含む。特定の実施形態において、中間体薬物顆粒は、顆粒外賦形剤体とともに圧縮され、プル層ブレンドを提供する。特定の実施形態において、中間体薬物顆粒は、乾式顆粒化または湿式顆粒化を介して作製される。特定の実施形態において、プル層は、リオチロニンおよび様々な賦形剤の乾燥ミックス/乾燥ミックスブレンドを含む。特定の実施形態において、中間体薬物顆粒は、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1つの安定化剤と、を含む。特定の実施形態において、中間体薬物顆粒における安定化剤の存在は、任意選択である。特定の実施形態において、中間体薬物顆粒は、スクロース、ラクトース、マンニトール、微結晶セルロース、硫酸カルシウム二水和物、硫酸二カルシウム、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの充填剤を含む。特定の実施形態において、中間体薬物顆粒は、中間体薬物顆粒の総重量に基づいて、約50%w/w~約99.99%w/wの量の少なくとも1つの充填剤を含む。特定の実施形態において、充填剤は、中間体薬物顆粒の総重量に基づいて、約50%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、約75%w/w、約80%w/w、約85%w/w、約90%w/w、約95%w/w、約96%w/w、約97%w/w、約98%w/w、約99%w/w、約99.99%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、中間体薬物顆粒は、少なくとも1つの水溶性親水性ポリマーを含む。特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボマー、またはこれらの任意の混合物を含む群から選択される。特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーは、中間体薬物顆粒の総重量に基づいて、約50%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、約75%w/w、約80%w/w、約85%w/w、約90%w/w、約95%w/w、約96%w/w、約97%w/w、約98%w/w、約99%w/w、約99.9%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、中間体薬物顆粒は、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、三塩基性リン酸カルシウム、およびこれらの任意の組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つの流動促進剤をさらに含む。特定の実施形態において、流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。特定の実施形態において、流動促進剤は、中間体薬物顆粒の総重量に基づいて、約0.1%w/w~約5%w/wの量で存在する。
【0120】
特定の実施形態において、顆粒外構成要素は、気体発生剤、少なくとも1つの有機酸、少なくとも1つのオスモゲン、および少なくとも1つの水溶性親水性ポリマーを含む。特定の実施形態において、顆粒外部分は、少なくとも1つの潤滑剤をさらに含む。特定の実施形態において、顆粒外部分は、少なくとも1つの流動促進剤をさらに含む。特定の実施形態において、気体発生剤は、中間体薬物顆粒および/または顆粒外部分の中に存在する。特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーは、中間体薬物顆粒および/または顆粒外部分の中に存在する。
【0121】
特定の実施形態において、プル層の中の顆粒外構成要素は、気体発生剤からのCOの発生を加速し、および/または薬物を安定化するための少なくとも1つの酸を含む。特定の実施形態において、酸は、中間体薬物顆粒および/または顆粒外部分の中に存在する。特定の実施形態において、酸は、顆粒外部分にのみ存在する。特定の実施形態において、酸は、コハク酸、クエン酸、酢酸、ステアリン酸、安息香酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される有機酸である。特定の実施形態において、酸は、コハク酸である。特定の実施形態において、酸は、プル層の約5%w/w~約50%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、酸は、プル層の総重量に基づいて、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/w、約50%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。特定の実施形態において、気体発生剤からのCOの発生速度は、酸の粒径に依存し、例えば、粒径の低下は、COの発生を加速する。
【0122】
特定の実施形態において、プル層の中の顆粒外構成要素は、剤形の急速な拡大および浮遊のための気体(例えば、CO)を発生させる気体発生剤を含む。特定の実施形態において、気体発生剤は、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の重炭酸塩、アルカリ土類金属の重炭酸塩、およびこれらの混合物からなる群から選択される。気体発生剤は、剤形への流体の吸液とともに、系中でのCO2気体発生のために酸と相互作用する。特定の実施形態において、プル層の中の少なくとも1つの有機酸の存在によって、流体のpHにかかわらず、剤形における流体の吸液により、COを発生させる。特定の実施形態において、プル層の中の少なくとも1つの酸の存在によって、剤形への流体の吸液による気体の急速な発生を可能にする。特定の実施形態において、気体発生剤は、アルカリまたはアルカリ土類金属の炭酸塩である。特定の実施形態において、気体発生剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、または炭酸マグネシウムである。特定の実施形態において、気体発生剤は、アルカリまたはアルカリ土類金属の重炭酸塩である。特定の実施形態において、気体発生剤は、重炭酸ナトリウムである。特定の実施形態において、気体発生剤は、アルカリ土類金属の炭酸塩とアルカリ金属の重炭酸塩との混合物である。特定の実施形態において、気体発生剤は、炭酸カルシウムと重炭酸ナトリウムとの混合物である。特定の実施形態において、炭酸カルシウムと重炭酸ナトリウムとの混合物は、CO2の所望の持続放出を提供する。特定の実施形態において、気体発生剤は、プル層の総重量に基づいて、少なくとも約5%w/w~約50%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、気体発生剤(例えば、炭酸塩、重炭酸塩、またはこれらの混合物)は、プル層の総重量に基づいて、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/w、約50%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0123】
特定の実施形態において、プル層の中の顆粒外構成要素は、気体発生剤(例えば、重炭酸ナトリウムと炭酸カルシウムとの混合物)と、酸(例えば、有機酸)と、を含む。
【0124】
特定の実施形態において、プル層の中の顆粒外構成要素は、プル層への流体(例えば、溶解媒体または胃液)の吸液を促進するために、少なくとも1つのオスモゲンを含む。特定の実施形態において、プル層への流体の吸液は、系中でのCOの発生のために、プル層に両方とも存在する少なくとも1つの酸と気体発生剤の反応を促進する。特定の実施形態において、プル層におけるオスモゲンの量は、本開示の胃内滞留性組成物の浮遊時間および浮遊遅延時間を決定付ける。特定の実施形態において、本開示の組成物は、プル層の中のオスモゲンの量の増加に伴い、浮遊時間の増加および浮遊遅延時間の減少を示す。特定の実施形態において、オスモゲンは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、ラクトースおよびスクロースの組み合わせ、ラクトースおよびデキストロースの組み合わせ、スクロース、デキストロース、マンニトール、二塩基性リン酸ナトリウム、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態において、オスモゲンは、プル層の総重量に基づいて、約5%w/w~約50%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、オスモゲンは、プル層の総重量に基づいて、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/w、約50%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0125】
特定の実施形態において、プル層の中の顆粒外構成要素は、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パルミチン酸、タルク、カルナウバワックス、ステアリン酸カルシウムナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムもしくはラウリル硫酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、カルシウム石鹸、ステアリン酸亜鉛、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、水素化植物油脂および脂肪、ステアリン酸、ならびにこれらの任意の組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つの潤滑剤をさらに含む。特定の実施形態において、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。特定の実施形態において、潤滑剤は、プル層の総重量に基づいて、約0.1%w/w~約5%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、潤滑剤は、プル層の総重量に基づいて、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、0.5重量%、約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、約0.9%w/w、約1.0%w/w、約1.1%w/w、約1.2%w/w、約1.3%w/w、約1.4%w/w、約1.5%w/w、約1.6%w/w、約1.7%w/w、約1.8%w/w、約1.9%w/w、約2.0%w/w、約2.5%w/w、約3.0%w/w、約3.5%w/w、約4.0%w/w、約4.5%w/w、約5.0%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0126】
特定の実施形態において、プル層の中の顆粒外構成要素は、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、三塩基性リン酸カルシウム、およびこれらの任意の組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つの流動促進剤を含む。特定の実施形態において、流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。特定の実施形態において、流動促進剤は、プル層の総重量に基づいて、約0.1%w/w~約5%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、流動促進剤は、プル層の約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w、約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、約0.9%w/w、約1%w/w、約2%w/w、約3%w/w、約4%w/w、約5%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0127】
特定の実施形態において、プル層の中の顆粒外構成要素は、マンニトールをさらに含む。特定の実施形態において、マンニトールは、オスモゲン、充填剤および/または圧縮助剤として使用される。特定の実施形態において、マンニトールは、二次浸透性剤として使用される。
【0128】
プッシュ層
特定の実施形態において、プッシュ層は、膨潤性水溶性親水性ポリマーと、オスモゲンと、潤滑剤と、着色顔料と、を含む。特定の実施形態において、膨潤性水溶性親水性ポリマーは、ポリエチレンオキシドポリマーである。特定の実施形態において、プッシュ層の中のポリエチレンオキシドポリマーは、約600,000Da以上の平均分子量を有する。特定の実施形態において、プッシュ層の中のポリエチレンオキシドポリマーの平均分子量は、約600,000Da、約700,000Da、約800,000Da、約900,000Da、約1000,000Da、約2000,000Da、約3000,000Da、約4000,000Da、約5000,000Da、約6000,000Da、約7000,000Da、またはこれらの任意の中間値である。特定の実施形態において、プッシュ層に存在するポリエチレンオキシドポリマーの量は、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の実質的に完全な回収を提供するのに十分な量であり、プッシュ層のみに含まれる残りの剤形は、GI管および患者からの組成物の完全な排出のために崩壊/収縮する。特定の実施形態において、ポリエチレンオキシドポリマー(POLYOX(登録商標))は、プッシュ層の総重量に基づいて、約50%w/w~約99%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、POLYOX(登録商標)は、プッシュ層の総重量に基づいて、約50%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、約75%w/w、約80%w/w、約81%w/w、約82%w/w、約83%w/w、約84%w/w、約85%w/w、約86%w/w、約87%w/w、約88%w/w、約89%w/w、約90%w/w、約91%w/w、約92%w/w、約93%w/w、約94%w/w、約95%w/w、約96%w/w、約97%w/w、約98%w/w、約99%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。特定の実施形態において、プッシュ層の中のPOLYOX(登録商標)は、コーティングされた錠剤組成物の総重量に基づいて、量5%w/w~約40%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、POLYOX(登録商標)は、コーティングされた錠剤組成物の総重量に基づいて、約5%w/w、約10%w/w、約11%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w、約15%w/w、約16%w/w、約17%w/w、約18%w/w、約19%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約31%w/w、約32%w/w、約33%w/w、約34%w/w、約35%w/w、約36%w/w、約37%w/w、約38%w/w、約39%w/w、約40%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0129】
特定の実施形態において、プッシュ層の中のPOLYOX(登録商標)の量および平均分子量は、薬物放出プロファイルに影響を及ぼす。特定の実施形態において、プッシュ層の中のPOLYOX(登録商標)の平均分子量は、特定の期間における実質的に完全な薬物回収のためのプッシュ層の所望の拡大体積を提供するように選択される。特定の実施形態において、プッシュ層中のPOLYOX(登録商標)の平均分子量は、特定の期間における実質的に完全な薬物回復のための所望の拡大速度および拡大体積を提供するように選択される。特定の実施形態において、実質的に完全な薬物回収は、組成物中に存在するリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の総量に基づいて、約75重量%~約95重量%のリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の放出を含む。
【0130】
特定の実施形態において、プッシュ層は、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、パルミチン酸、タルク、カルナウバワックス、ステアリン酸カルシウムナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムもしくはラウリル硫酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、カルシウム石鹸、ステアリン酸亜鉛、モノステアリン酸ポリオキシエチレン、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、水素化植物油脂および脂肪、ステアリン酸、ならびにこれらの任意の組み合わせを含む群から選択される潤滑剤を含む。特定の実施形態において、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。特定の実施形態において、潤滑剤は、プッシュ層の総重量に基づいて、約0.1%w/w~約5%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、潤滑剤は、プッシュ層の総重量に基づいて、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、0.5重量%、約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、約0.9%w/w、約1.0%w/w、約1.1%w/w、約1.2%w/w、約1.3%w/w、約1.4%w/w、約1.5%w/w、約1.6%w/w、約1.7%w/w、約1.8%w/w、約1.9%w/w、約2.0%w/w、約2.5%w/w、約3.0%w/w、約3.5%w/w、約4.0%w/w、約4.5%w/w、約5.0%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0131】
特定の実施形態において、プッシュ層は、組成物への液体の浸透流のための濃度差を提供するために少なくとも1つのオスモゲンを含む。特定の実施形態において、プッシュ層における膨潤性水溶性親水性ポリマーの膨潤の程度は、プッシュ層への水の吸液速度に依存する。特定の実施形態において、プッシュ層への水の吸液の速度および程度は、プッシュ層に存在するオスモゲンの種類および量に依存する。特定の実施形態において、プッシュ層への水の吸液の速度および程度は、剤形のコーティング重量増加および/または膜の透過性にさらに依存する。プッシュ層の中の水溶性ポリマーが水を吸収すると、体積が拡大し、薬物を含有するプル層が、膜の中のオリフィスを通して錠剤コアから押し出される。
【0132】
特定の実施形態において、オスモゲンは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、ラクトースおよびスクロースの組み合わせ、ラクトースおよびデキストロースの組み合わせ、スクロース、デキストロース、マンニトール、二塩基性リン酸ナトリウム、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。特定の実施形態において、オスモゲンは、プッシュ層の総重量に基づいて、約5%w/w~約50%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、オスモゲンは、プッシュ層の総重量に基づいて、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約35%w/w、約40%w/w、約45%w/w、約50%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。特定の実施形態において、オスモゲンは、プッシュ層の総重量に基づいて、約5%w/w、約10%w/w、約11%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w、約15%w/w、約16%w/w、約17%w/w、約18%w/w、約19%w/w、約20%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0133】
特定の実施形態において、プッシュ層は、多層錠剤コアにおいてプッシュ層を識別するための少なくとも1つの着色剤を含む。特定の実施形態において、プッシュ層の中の着色剤は、コーティングされた多層錠剤の薬物層側(プル層側)に送達オリフィスをドリル加工しつつ、プッシュ層側を識別するのに有用である。特定の実施形態において、着色剤は、限定されないが、水溶性色素、アルミニウムレーキ、酸化鉄、天然色素、酸化チタンなどを含む。好適なアルミニウムレーキ着色剤としては、限定されないが、Aluminum lake FD&C Blue #1、Aluminum lake FD&C Red #30、Aluminum lake FD&C Red #40、Aluminum lake FD&C Yellow #6、Aluminum lake FD&C Yellow #10、またはこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態において、顔料は、酸化鉄顔料、例えば、酸化物顔料ブラックまたは赤色ブレンドである。特定の実施形態において、顔料は、プッシュ層の総重量に基づいて、約0.1%w/w~約2%w/wの量で存在する。
【0134】
膜/機能性コート
本開示の組成物は、多層錠剤コアの周囲に、水不溶性の透過性弾性膜である膜を含む。膜は、組成物への胃液の流れを可能にし、これにより、COの急速な発生のために、錠剤コアに存在する酸と気体発生剤との反応を開始し、膜の可撓性は、発生したCOとともに、組成物の急速な拡大および浮遊を可能にする。特定の実施形態において、膜は、少なくとも1つの可塑剤と、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド(アンモニウムポリメタクリレートコポリマー)のうちの少なくとも1つのコポリマーと、を含む。コポリマーは、膜に所望の透過性および可撓性を提供し、可塑剤は、膜に弾性および引張/機械強度を提供する。可塑剤およびコポリマーは、膜に所望の弾性および透過性を提供し、膜が拡大する際に破裂せず、浸透性胃内滞留性薬物送達系が、食事摂取条件または絶食条件の間の胃のpHおよびせん断の変化に耐えるための薬物放出、流体力学的バランス、および機械的強度の所望の特徴を提供することを確実にする。特定の実施形態において、膜の可撓性は、少なくとも1つの可塑剤の存在に関連する。特定の実施形態において、膜の可撓性は、少なくとも1つの可塑剤、ならびにガラス転移温度(Tg)が約50℃~約65℃のアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのうちの少なくとも1つのコポリマーの存在に関連する。特定の実施形態において、コポリマーの可撓性は、約50℃~約65℃のガラス転移温度(Tg)に関連する。特定の実施形態において、錠剤コアにおいて活性な薬剤の溶解が進行すると、可塑剤が膜から浸出する。特定の実施形態において、可塑剤レベルを枯渇させるにもかかわらず、膜は、約50℃~約65℃のガラス転移温度(Tg)を有するアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのうちの少なくとも1つのコポリマーの存在に起因して、薬物の少なくとも約80%が放出された後、幽門括約筋を通して剤形を絞り出すのに十分な弾性を保持する。本開示に好適な親水性可塑剤として、非限定的に、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、およびソルビトールソルビタン溶液が挙げられる。本開示に好適な疎水性可塑剤として、非限定的に、アセチルトリブチルクエン酸塩、アセチルトリエチルクエン酸塩、ヒマシ油、ジアセチル化モノグリセリド、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、ゲルシア39/01、およびゲルシア43/01が挙げられる。特定の実施形態において、可塑剤は、様々なポリエチレングリコール、グリセリン、および/またはクエン酸トリエチルを含む。本開示の好ましい実施形態において、可塑剤は、クエン酸トリエチルである。
【0135】
本開示の特定の実施形態において、透過性弾性膜は、透過性を向上させるために1:2:0.2の比率でアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドを含有する少なくとも1つのコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)RLポリマー)を含み、その弾性、透過性、および引張強度を改変するために、細孔形成剤として作用する少なくとも1つの水溶性親水性ポリマーおよび/または水溶性非イオン性ポリマーを含む。特定の実施形態において、EUDRAGIT(登録商標)RLポリマーは、EUDRAGIT(登録商標)RL 30D(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド1:2:0.2のコポリマー分散体)、EUDRAGIT(登録商標)RL 12.5(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド1:2:0.2のコポリマー)、EUDRAGIT(登録商標)RL 100(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド1:2:0.2のコポリマーを含む顆粒)、ならびにEUDRAGIT(登録商標)RL PO(粉末形態でのアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド1:2:0.2のコポリマー)を含む。
【0136】
本開示の特定の実施形態において、透過性弾性膜は、透過性を向上させるために少なくとも1つのEUDRAGIT(登録商標)RSポリマーを含み、その弾性、透過性、および引張強度を改変するために、細孔形成剤として作用する少なくとも1つの水溶性親水性ポリマーおよび/または水溶性非イオン性ポリマーを含む。特定の実施形態において、EUDRAGIT(登録商標)RSポリマーは、EUDRAGIT(登録商標)RS 30D(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド1:2:0.1のコポリマー分散体)、EUDRAGIT(登録商標)RS 12.5(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド1:2:0.1のコポリマー)、EUDRAGIT(登録商標)RS 100(アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド1:2:0.1のコポリマーを含む顆粒)、ならびにEUDRAGIT(登録商標)RS PO(粉末形態でのアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド1:2:0.1のコポリマー)を含む。
【0137】
特定の実施形態において、透過性弾性膜は、胃の蠕動および機械的収縮(剪断)に耐えるための薬物放出および引張強度の所望の特性を提供する。(1)錠剤コアの中の水溶性親水性ポリマー、ならびに(2)(a)浸透性を改善するためのEUDRAGIT(登録商標)RLポリマーのうちの少なくとも1つ、および(b)機械的強度(引張強度)を改善するための、EUDRAGIT(登録商標)NE 30D、EUDRAGIT(登録商標)NM 30D(まとめて「中性ポリメタクリレートコポリマー」)、およびKOLLICOAT(登録商標)SR 30Dからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーの均一な分散体のコーティングによって、錠剤コアの上に形成される固有の透過性弾性膜の組み合わせが、拡大された状態で錠剤コアの完全性を維持しつつ、所望の延長された薬物放出を提供し、したがって、胃内滞留時間を延長し、薬物の実質的または完全な放出まで、通常は長期間の後まで、胃から剤形が排出されるのを防ぐ。特定の実施形態において、EUDRAGIT(登録商標)RLコポリマーのうちの少なくとも1つは、KOLLICOAT(登録商標)SR 30D/EUDRAGIT(登録商標)NE 30D/EUDRAGIT(登録商標)NM 30Dのうちの少なくとも1つとの比率が0:100~100:0で存在する。特定の実施形態において、EUDRAGIT(登録商標)RLコポリマーのうちの少なくとも1つ、およびKOLLICOAT(登録商標)SR 30D/EUDRAGIT(登録商標)NE 30D/EUDRAGIT(登録商標)NM 30Dのうちの少なくとも1つは、約0.5:99.5~約99.5:0.5の比率で存在し、限定されないが、1:99、2:98、3:97、4:96、5:95、6:94、7:93、8:92、9:91、10:90、11:89、12:88、13:87、14:86、15:85、16:84、17:83、18:82、19:81、20:80、21:79、22:78、23:77、24:76、25:75、26:74、27:73、28:72、29:71、30:70、31:69、32:68、33:67、34:66、35:65、36:64、37:63、38:62、39:61、40:60、41:59、42:58、43:57、44:56、45:55、46:54、47:53、48:52、49:51、50:50、51:49、52:48、53:47、54:46、55:45、56:44、57:43、58:42、59:41、60:40、61:39、62:38、63:37、64:36、65:35、66:34、67:33、68:32、69:31、70:30、71:29、72:28、73:27、74:26、75:25、76:24、77:23、78:22、79:21、80:20、81:19、82:18、83:17、84:16、85:15、86:14、87:13、88:12、89:11、90:10、91:9、92:8、93:7、94:6、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、またはこれらの任意の中間値を含む、限定されないがこれらを含む比率で存在する。
【0138】
特定の実施形態において、透過性弾性膜の水不溶性構成要素の例としては、限定されないが、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ならびに酢酸コハク酸ヒプロメロースのコポリマーが挙げられる。
【0139】
特定の実施形態において、透過性弾性膜は、EUDRAGIT(登録商標)RLポリマー、可塑剤、および粘着防止剤を含む。
【0140】
特定の実施形態において、透過性弾性膜は、EUDRAGIT(登録商標)RLコポリマーおよびEUDRAGIT(登録商標)NEコポリマーを含む。特定の実施形態において、透過性弾性膜は、EUDRAGIT(登録商標)RLコポリマーおよびKOLLICOAT(登録商標)SRを含む。特定の実施形態において、膜は、少なくとも1つの細孔形成剤をさらに含む。特定の実施形態において、細孔形成剤および可塑剤は、膜透過性、膜弾性、および引張強度を改変する。特定の実施形態において、膜は、いかなる細孔形成剤も含まない。
【0141】
特定の実施形態において、コーティングに使用される溶媒は、アセトン、水、エタノール、イソプロピルアルコール、またはこれらの任意の混合物を含む。特定の実施形態において、溶媒は、アセトンおよび水の混合物、エタノールおよびイソプロピルアルコールの混合物、イソプロピルアルコールおよび水の混合物、または水、エタノール、およびイソプロピルアルコールの混合物である。特定の実施形態において、溶媒は、アセトンおよび水の混合物、またはアセトンおよびエタノールの混合物である。
【0142】
特定の実施形態において、コーティング組成物は、透過性を改善するために少なくとも1つのEUDRAGIT(登録商標)RLコポリマーを含み、機械的強度(引張強度)を改善するために少なくとも1つの可塑剤を含む。特定の実施形態において、膜の透過性、弾性、および引張強度は、本開示の浸透性胃内滞留性薬物送達系の浮遊時間および浮遊遅延時間を決定付ける。特定の実施形態において、膜透過性、弾性、および引張強度は、膜の中に存在するポリマーの透過性および弾性によって決定される。特定の実施形態において、本開示の組成物は、膜透過性の増加に伴い、浮遊時間の増加および浮遊遅延時間の減少を示す。特定の実施形態において、ポリメタクリレートコポリマーの塩化アンモニウム塩の透過性は、他のアニオンとの塩化物アニオンの交換において増強される。特定の実施形態において、塩化物アニオンは、硝酸イオン、硫酸イオン、コハク酸イオン、または酢酸イオンと交換される。特定の実施形態において、塩化物アニオンと、より大きな水和アニオン半径のアニオンとの交換によって、膜透過性が改善する。
【0143】
特定の実施形態において、透過性弾性膜の透過性は、約180分以下の浮遊遅延時間、および少なくとも約6時間、例えば、約6時間~約24時間の浮遊時間を提供するように調整される。特定の実施形態において、本開示の浸透性の浮遊する胃内滞留性剤形は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのコポリマー、例えば、EUDRAGIT(登録商標)RLおよび/またはEUDRAGIT(登録商標)RSを含有する膜を含み、約120分以下の浮遊遅延時間、および少なくとも約6時間の浮遊時間を示す。特定の実施形態において、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのコポリマーは、総コーティング重量増加に基づいて、約50%w/w~約99.5%w/wの量で存在し、膜の急速な拡大のための所望の引張強度および弾性を提供する。
【0144】
特定の実施形態において、可塑剤は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドコポリマーの総重量に基づいて、約5%w/w~約40%w/w、約7.5%w/w~約30%w/w、約10%w/w~約20%w/w、およびその中の任意の中間範囲の量で存在し、膜の急速な拡大のための所望の引張強度および弾性を提供する。特定の実施形態において、可塑剤は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドコポリマーの総重量に基づいて、少なくとも約5%w/w、少なくとも約6%w/w、少なくとも約7%w/w、少なくとも約8%w/w、少なくとも約9%w/w、少なくとも約10%w/w、少なくとも約11%w/w、少なくとも約12%w/w、少なくとも約13%w/w、少なくとも約14%w/w、少なくとも約15%w/w、少なくとも約16%w/w、少なくとも約17%w/w、少なくとも約18%w/w、少なくとも約19%w/w、少なくとも約20%w/w、少なくとも約21%w/w、少なくとも約22%w/w、少なくとも約23%w/w、少なくとも約24%w/w、および少なくとも約25%w/w、少なくとも約26%w/w、少なくとも約27%w/w、少なくとも約28%w/w、少なくとも約29%w/w、少なくとも約30%w/w、少なくとも約31%w/w、少なくとも約32%w/w、少なくとも約33%w/w、少なくとも約34%w/w、少なくとも約35%w/w、少なくとも約35%w/w、少なくとも約37%w/w、少なくとも約38%w/w、少なくとも約39%w/w、少なくとも約40%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0145】
特定の実施形態において、膜は、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、および三塩基性リン酸カルシウムを含む群から選択される粘着防止剤をさらに含む。特定の実施形態において、粘着防止剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。特定の実施形態において、粘着防止剤は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドコポリマーの総重量に基づいて、約5%w/w~約40%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、粘着防止剤は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドコポリマーの総重量に基づいて、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約35%w/w、約40%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0146】
特定の実施形態において、膜は、プル層と流体連通する少なくとも1つの送達オリフィスを含む。特定の実施形態において、膜は、プル層と流体連通する2個、3個、4個、または5個の送達オリフィスを含む。特定の実施形態において、薬物は、プッシュ層およびプル層に存在する水溶性親水性ポリマーの平均分子量に基づいて、所望の放出速度で分散体としてオリフィスを通して放出される。特定の実施形態において、膜の中のオリフィスの存在は、膜の破れを防止し、剤形をそのまま維持する。特定の実施形態において、オリフィスは、剤形の膨潤中に蓄積された過剰な亜圧力を放出し、膜をGI管の流体力学的条件下でそのまま維持することを可能にする。
【0147】
3.治療する方法
特定の実施形態において、本開示は、甲状腺機能低下症を治療するための方法であって、その方法が、それを必要とする患者に、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物を経口投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態において、本開示は、一次性(甲状腺)、二次性(下垂体)、および三次性(視床下部)先天性または後天性甲状腺機能低下症における補充療法として本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物を使用する方法を提供する。本方法は、それを必要とする患者に、本開示の浸透性胃内滞留性リオチロニン組成物を経口投与することを含む。特定の実施形態において、本開示は、十分に分化した甲状腺がんの管理における手術および放射線療法の補助として、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物を使用する方法を提供する。本方法は、それを必要とする患者に、本開示の浸透性胃内滞留性リオチロニン組成物を経口投与することを含む。別の実施形態において、本開示は、軽度の甲状腺機能低下症または甲状腺の自律性の疑いを鑑別するための抑制試験における診断薬として、本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物を使用する方法を提供する。本方法は、本開示の浸透性胃内滞留性リオチロニン組成物を、それを必要とする患者に経口投与することを含む。
【0148】
特定の実施形態において、甲状腺機能低下症を治療するためのリオチロニン用量は、患者の年齢、体重、心血管状態、併存する医学的状態(妊娠を含む)、併用薬、併用投与食品、および治療される状態の特定の性質を含む、様々な要因に依存する。投薬は、これらの要因を考慮するために個別化され、患者の臨床応答および検査パラメータの定期的な評価に基づいて用量調整が行われる。特定の実施形態において、推奨される開始用量は、25μg、経口、1日1回である。特定の実施形態において、投薬量は、必要に応じて、1週間ごとまたは2週間ごとに、1日25μgまで増加する。特定の実施形態において、通常の維持用量は、25μg~75μg、例えば、50μgを1日1回である。特定の実施形態において、基礎となる心臓疾患を有する高齢患者について、開始用量は、5μgを1日に1回、推奨される間隔で5μgの増分まで増加させてもよい。特定の実施形態において、血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)レベルは、二次性または三次性の甲状腺機能低下症を有する患者における用量妥当性の信頼できる尺度ではない。特定の実施形態において、血清T3レベルは、二次性または三次性の甲状腺機能低下症を有する患者における療法の妥当性をモニタリングするために使用される。
【0149】
本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、治療用血漿中濃度のリオチロニンを提供し、これを維持し、上市されている即時放出リオチロニン製品よりも優れている。本開示のリオチロニン組成物は、上市されている即時放出リオチロニン製品と比較して、リオチロニン薬物動態(PK)属性の増強、例えば、初期バースト放出の低減、ピーク・トラフ比(Cmax/Cmin)の低減、および治療範囲(約0.8ng/ml~約2ng/ml)におけるリオチロニン濃度を提供する持続放出を伴う、持続放出を提供する。本開示の胃内滞留性組成物は、リオチロニンの初期バースト放出を緩和または排除しつつ、その狭い吸収ウィンドウにおけるリオチロニン放出を延長し、延長された期間にわたって治療用血漿濃度のリオチロニンを維持する。
【0150】
特定の実施形態において、本開示は、一次性、二次性、および三次性先天性または後天性甲状腺機能低下症を有する患者におけるコンプライアンスを改善するための方法を提供する。本方法は、本開示の浸透性胃内滞留性リオチロニン組成物を、それを必要とする患者に1日1回経口投与を提供することを含む。本開示の胃内滞留性リオチロニン組成物は、初期バースト放出を低減し、心拍数の増加、神経過敏、不安、および癇症などの副作用、ならびに骨密度の減少などの長期的な副作用を最小限に抑える。
【0151】
特定の実施形態において、本開示は、薬物をその狭い吸収ウィンドウ(例えば、上部GI管)に放出することによって、患者におけるリオチロニンのバイオアベイラビリティを改善するための方法を提供する。本方法は、それを必要とする患者に、本開示の浸透性の浮遊する胃内滞留性リオチロニン組成物を経口投与することを含む。
【0152】
4.作製する方法
特定の実施形態において、本開示は、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を含有する浸透性胃内滞留性組成物を作製するための方法であって、その方法が、プル層ブレンドおよびプッシュ層ブレンドを作製することと、プル層ブレンドおよびプッシュ層ブレンドを水平方向に押圧して、プル層およびプッシュ層を含有する二重層錠剤コアにすることと、二重層錠剤コアを透過性弾性膜でコーティングすることと、透過性弾性膜にオリフィスをドリル加工することと、を含み、オリフィスが、プル層と流体連通している、方法を提供する。
【0153】
特定の実施形態において、本開示は、浸透性胃内滞留性組成物 リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を作製するための方法であって、その方法が、プル層ブレンドおよびプッシュ層ブレンドを作製することと、プル層ブレンドおよびプッシュ層ブレンドを水平方向に押圧して、二重層錠剤コアにすることと、二重層錠剤コアを、シールコートを含むコーティング系、および透過性弾性膜/機能性コートでコーティングすることと、を含む、方法を提供する。特定の実施形態において、コーティング系は、化粧コート/オーバーコート、および/またはクリアコートをさらに含む。特定の実施形態において、二重層錠剤コアは、シールコート-1、機能性コート/膜、およびシールコート-2の順序で、様々なコーティングでコーティングされる。特定の実施形態において、二重層錠剤コアは、シールコート-1、機能性コート/膜、シールコート-2、化粧コート、およびクリアコートの順序で、様々なコーティングでコーティングされる。特定の実施形態において、二重層錠剤コアは、シールコート-1、機能性コート/膜、化粧コート、およびクリアコートの順序で、様々なコーティングでコーティングされる。
【0154】
特定の実施形態において、プル層ブレンドは、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩と、水溶性親水性ポリマーと、酸と、気体発生剤と、を含む。特定の実施形態において、プル層ブレンドは、安定化剤および/またはオスモゲンをさらに含む。特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーは、5000cp以下の粘度を有する少なくとも1つの低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー(ヒプロメロース)を含む。特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーは、約2.3cp~約3.3cp、約2.4cp~約3.6cp、約4.0cp~約6.0cp、約4.8cp~約7.2cp、約12cp~約18cp、約80cp~約120cp、約2,663cp~約4,970cp、またはその中の任意の中間範囲の粘度を有する少なくとも1つの低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー(ヒプロメロース)である。特定の実施形態において、水溶性親水性ポリマーは、約約9,525cp~約17,780cp、約13,275cp~約24,780cp、約75,000cp~約140,000cp、またはその中の任意の中間範囲の粘度を有する少なくとも1つの高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマー(ヒプロメロース)である。特定の実施形態において、プル層の中の水溶性親水性ポリマーは、低粘度ヒプロメロースおよび高粘度ヒプロメロースの混合物を含む。特定の実施形態において、低粘度ヒプロメロースと高粘度ヒプロメロースとの重量比は、60:40~99:1である。特定の実施形態において、低粘度ヒプロメロースと高粘度ヒプロメロースとの重量比は、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、約99:1、またはその中の任意の中間比率である。特定の実施形態において、高粘度ヒプロメロースは、低粘度ヒプロメロースの1%w/w~70%w/wの量で存在する。特定の実施形態において、高粘度ヒプロメロースは、低粘度ヒプロメロースの約1%w/w、約2%w/w、約3%w/w、約4%w/w、約5%w/w、約6%w/w、約7%w/w、約8%w/w、約9%w/w、約10%w/w、約11%w/w、約12%w/w、約13%w/w、約14%w/w、約15%w/w、約16%w/w、約17%w/w、約18%w/w、約19%w/w、約20%w/w、約21%w/w、約22%w/w、約23%w/w、約24%w/w、約25%w/w、またはその中の任意の中間値の量で存在する。
【0155】
特定の実施形態において、プッシュ層は、少なくとも1つの膨潤性水溶性親水性ポリマーと、オスモゲンと、顔料と、潤滑剤と、を含む。特定の実施形態において、膨潤性水溶性親水性ポリマーは、ポリエチレンオキシドポリマーである。特定の実施形態において、ポリエチレンオキシドポリマーは、少なくとも約900,000Daの平均分子量を有する。特定の実施形態において、ポリエチレンオキシドポリマーは、約900,000Da、約1000,000Da、約2000,000Da、約3000,000da、約4000,000Da、約5000,000Da、約6000,000Da、約7000,000Da、またはその中の任意の中間値の平均分子量を有する。
【0156】
特定の実施形態において、シールコートは、OPADRY(登録商標)IIのclearを含み、機能性コートは、EUDRAGIT(登録商標)コポリマーを含み、化粧コートは、OPADRY(登録商標)IIのPink/Green/Blueを含み、最終クリアコートは、OPADRY(登録商標)EZのclearを含む。特定の実施形態において、機能性コートは、EUDRAGIT(登録商標)RLコポリマーを含む。特定の実施形態において、機能性コートは、EUDRAGIT(登録商標)RSコポリマーを含む。特定の実施形態において、化粧コートおよび最終クリアコートは、任意選択である。
【0157】
特定の実施形態において、コーティング系は、少なくとも1つのオリフィスを含み得る。特定の実施形態において、オリフィスは、手動でドリル加工されるか、またはレーザでドリル加工される。特定の実施形態において、化粧コートおよびクリアコートは、いかなるオリフィスも含まない。特定の実施形態において、コーティング系内の少なくとも1つのオリフィスは、プル層と流体連通している。
【0158】
特定の実施形態において、プル層は、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を含有する中間体薬物顆粒と、プル層ブレンドへと圧縮される顆粒外賦形剤と、を含む。特定の実施形態において、中間体薬物顆粒は、乾式顆粒化または湿式顆粒化を介して作製される。特定の実施形態において、顆粒外構成要素は、少なくとも1つの気体発生剤と、少なくとも1つの酸と、を含む。特定の実施形態において、気体発生剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩および/または重炭酸塩を含む群から選択される。特定の実施形態において、気体発生剤は、中間体薬物顆粒および/または顆粒外部分の中に存在する。特定の実施形態において、少なくとも1つの酸は、コハク酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、ステアリン酸、安息香酸、酒石酸、ホウ酸、およびこれらの混合物を含む群から選択される有機酸である。特定の実施形態において、顆粒外賦形剤は、充填剤、流動促進剤、および/または潤滑剤をさらに含むことができる。
【0159】
5.剤形の特徴
本開示は、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩(リオチロニン/リオチロニンの薬学的に許容される塩)を含む、浸透性胃内滞留性組成物(本開示の組成物/リオチロニン組成物/組成物)を提供する。特定の実施形態において、本組成物は、薬物の初期濃度とは無関係に、治療有効量のリオチロニンを提供する。特定の実施形態において、リオチロニンの放出は、GI管内の様々な生理学的因子とは無関係である。本組成物は、GI管内の生理学的状態とは無関係に、急速に拡大し、胃のpHにかかわらず、膨潤した状態で組成物の完全性を維持することによって、延長された期間、例えば、少なくとも約6時間、例えば、約6時間~約20時間にわたって胃の中に保持され得る。本開示の浸透性胃内滞留性組成物は、安定した血漿濃度および最小限の薬物動態変動性を有する、リオチロニンの延長された放出を提供する。
【0160】
特定の実施形態において、本開示の浸透性胃内滞留性組成物は、胃液または模擬胃液中で、幽門括約筋を通過するのを防ぐサイズまで膨潤し、流体力学的状態およびpH変化にかかわらず、膜は、長期間にわたって膨潤した状態で組成物の完全性を維持する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、約6時間~約20時間、リオチロニンの持続放出を提供する。特定の実施形態において、本開示の組成物は、約6時間~約24時間、治療用血漿濃度(例えば、約0.5ng/ml~約2ng/ml)のリオチロニンを提供する。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、約6時間~約24時間、膨潤した状態を維持する。さらに、活性な薬学的薬剤(例えば、T3)を含有するプル層がオリフィスから放出され、プッシュ層が膨潤し続けるため、剤形は、十分に排出され(例えば、T3の少なくとも約80%が放出され)、最終的には系からの完全な排出のために崩壊する。特定の実施形態において、剤形は、T3の少なくとも約70%~約100%、例えば、少なくとも約80%が放出された後に、十分に排出された状態になる。特定の実施形態において、本開示の浸透性胃内滞留性組成物は、時間の関数としてコアの膨潤および膜の弾性を調節し、胃からの胃内滞留性組成物の排出を可能にする。
【0161】
特定の実施形態において、プル層およびプッシュ層の各々は、制御された薬物放出を提供するための少なくとも1つの水溶性親水性ポリマーを含有する。特定の実施形態において、プル層の中の水溶性親水性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボマー、またはこれらの任意の混合物を含む群から選択される。特定の実施形態において、プッシュ層の中の水溶性親水性ポリマーは、約900,000Da以上の平均分子量を有するポリエチレンオキシドポリマーである。
【0162】
特定の実施形態において、組成物からのリオチロニンの放出(例えば、放出量および放出速度)は、プル層の中の水溶性親水性ポリマーの粘度に依存する。特定の実施形態において、プッシュ層の中のポリエチレンオキシドポリマーの平均分子量が増加すると、水の吸液によるポリエチレンオキシドポリマーの膨潤体積が増加する。特定の実施形態において、プッシュ層の中のポリエチレンオキシドポリマーの平均分子量が増加すると、プル層からの薬物(例えば、T3)の放出速度が増加する。特定の実施形態において、プル層は、少なくとも2つの異なるヒドロキシプロピルメチルセルロースポリマーの混合物を含む。特定の実施形態において、錠剤コアのプル層およびプッシュ層の中の水溶性親水性ポリマー、ならびにプル層と流体連通したオリフィスを含有する、錠剤コアの上の透過性弾性膜は、延長された期間にわたって、リオチロニン、またはその薬学的に許容される塩の放出を制御する。
【0163】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、組成物への胃液の浸透流を促進するための濃度勾配を提供するための少なくとも1つのオスモゲンを含有する。特定の実施形態において、オスモゲンは、プッシュ層の中に存在する。特定の実施形態において、オスモゲンは、プル層およびプッシュ層の中に存在する。
【0164】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、回転びん法(rotating bottle method)を使用して、5rpmおよび37℃で測定すると、0.001N HClおよび50mM NaClを含む200mlの溶解媒体中、約180分未満、約170分未満、約160分未満、約155分未満、約150分未満、約145分未満、約140分未満、約135分未満、約130分未満、約120分未満、約115分未満、約110分未満、約100分未満、約95分未満、約90分未満、約85分未満、約80分未満、約75分未満、約70分未満、約65分未満、約60分未満、約55分未満、約50分未満、約45分未満、約40分未満、約35分未満、約30分未満、約25分未満、またはその中の任意の中間期間の浮遊遅延時間を示す。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、回転びん法を使用して、5rpmおよび37℃で測定すると、0.001N HClおよび80mM NaClを含む200mlの溶解媒体中、約120分未満の浮遊遅延時間を示す。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、回転びん法を使用して、5rpmおよび37℃で測定すると、0.001N HClおよび100mM NaClを含む200mlの溶解媒体中、約120分未満の浮遊遅延時間を示す。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、回転びん法を使用して、5rpmおよび37℃で測定すると、0.001N HClおよび150mM NaClを含む200mlの溶解媒体中、約120分未満の浮遊遅延時間を示す。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、回転びん法を使用して、5rpmおよび37℃で測定すると、0.001N HClおよび180mM NaClを含む200mlの溶解媒体中、約120分未満の浮遊遅延時間を示す。
【0165】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、回転びん法を使用して、5rpmおよび37℃で測定すると、pH4.5の酢酸緩衝液を含む200mlの溶解媒体中、約120分未満、約115分未満、約110分未満、約100分未満、約95分未満、約90分未満、約85分未満、約80分未満、約75分未満、約70分未満、約65分未満、約60分未満、約55分未満、約50分未満、約45分未満、約40分未満、約35分未満、約30分未満、約25分未満、またはその中の任意の中間期間の浮遊遅延時間を示す。特定の実施形態において、本開示の浸透性胃内滞留性組成物は、GI液において約30分~約180分の浮遊遅延時間を示す。特定の実施形態において、浮遊遅延時間は、溶解媒体のpHとは独立している。
【0166】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、胃液と接触したとき、または胃の状態を模擬する媒体と接触したとき、ヒトの幽門括約筋を通過するのを防ぐサイズまで、180分未満で拡大し、180分未満の浮遊遅延時間を示す。
【0167】
特定の実施形態において、錠剤の形状およびサイズは、胃液との接触でその初期体積からの錠剤体積の少なくとも100%の増加により、幽門括約筋を通るその通過を防ぐ。
【0168】
特定の実施形態において、本開示の剤形は、容易に飲み込むために楕円形、改変楕円形、またはカプセル形状に水平方向に圧縮される多層錠剤を含む。特定の実施形態において、錠剤は、楕円形、改変楕円形、カプセル形、または任意の他の成形ツールを使用して圧縮される。特定の実施形態において、水平方向に圧縮された多層錠剤は、約12mm~約22mmの長さを有する長軸と、約8mm~約11mmの長さを有する短軸と、を含む。特定の実施形態において、多層錠剤は、約12mm、約13mm、約14mm、約15mm、約16mm、約17mm、約18mm、約19mm、約20mm、約21mm、約22mm、またはその中の任意の中間長の長軸を有する。特定の実施形態において、多層錠剤は、約8mm、約9mm、約10mm、約11mm、12mm、またはその中の任意の中間長の短軸を有する。特定の実施形態において、水平方向に圧縮された多層錠剤は、約20±2mmの長さを有する長軸と、約10±2mmの長さを有する短軸とを含む。
【0169】
特定の実施形態において、初期の錠剤サイズ(例えば、19mm×10mm)は、嚥下可能性のために合理的に小さく、嚥下されると、錠剤は、浮力を増加させるためにコア内で二酸化炭素(CO)を急速に発生させるために設計される。模擬胃媒体と接触してから90分以内に、錠剤は、浮遊を開始し、それぞれ約26mmおよび約18mmの長さを有する長軸および短軸を有する楕円形状に変換され、12時間より長く維持される。剤形が一定のサイズに達すると、プッシュプル系が活性化され、薬物は、約16~24時間にわたって制御された速度で放出される。
【0170】
本開示の胃内滞留性組成物は、胃の蠕動および機械的収縮(せん断、またはせん断効果)に耐えるそれらの能力に起因して、リオチロニンまたはその薬学的に許容される塩の吸収およびバイオアベイラビリティを顕著に改善し、その結果、本組成物は、その吸収部位の近傍で、GI管の非吸収領域への早期の移行を起こさず、持続的な方法で薬物を放出する。最大8~10時間にわたって胃内滞留を維持するために高カロリーおよび高脂質の食事を必要とする当該技術分野の他の製剤とは異なり、本開示の胃内滞留性組成物は、低カロリーまたは中程度のカロリーの食事条件下、GI管の非吸収領域への早期の移行を起こさず、少なくとも約16時間、NAW(例えば、リオチロニン)による薬学的に活性な薬剤の胃内滞留を提供する。特定の実施形態において、膜の中のオリフィスの存在は、延長された期間にわたって、膜の破れを防止し、剤形をそのまま維持する。オリフィスは、剤形の膨潤(例えば、プッシュ層の膨潤)中に蓄積した過剰な圧力を放出し、薬物の少なくとも約80%が放出されるまで、膜をそのまま維持することを可能にする。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、最大約6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24時間、またはその中の任意の中間期間にわたって胃内滞留を提供する。
【0171】
特定の実施形態において、膜透過性は、組成物の浮遊遅延時間および浮遊時間に影響を及ぼす。特定の実施形態において、剤形への胃液の浸透、および気体発生剤からのCO2の発生は、膜透過性の増加とともに増加する。特定の実施形態において、浮遊遅延時間は、膜透過性の増加とともに減少する。特定の実施形態において、浮遊時間は、膜透過性の増加とともに増加する。特定の実施形態において、膜は、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドのコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)RLコポリマー)を含む。
【0172】
特定の実施形態において、本開示の浸透性胃内滞留性組成物は、TA.XTplus装置を使用して測定すると、15N以上の破壊強度を示す。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、15N以上、20N以上、25N以上、30N以上、35N以上、40N以上、4N以上、50N以上、55N以上、60N以上、または65N以上の破壊強度を示す。
【0173】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、1日1回または2回の投与に好適である。特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性組成物は、約6時間~約20時間、リオチロニン、またはその薬学的に許容される塩の持続放出を提供する。
【0174】
特定の実施形態において、本開示の胃内滞留性剤形は、幽門括約筋を通過するのを防ぐサイズまで、剤形を約180分以内(またはそれ以下)、例えば、約120分以内で拡大する、高い引張強度および弾性を有する急速に拡大された膜と、流体の吸液および吸収の際に薬物の制御された持続放出を提供する、少なくとも1つの水溶性親水性ポリマーを含む多層錠剤コアと、を含む。
【0175】
上述のように、特定の実施形態において、多層錠剤コアは、酸性環境(例えば、胃液)中でCOを発生させる気体発生剤、例えば、炭酸塩および重炭酸塩を含む。特定の実施形態において、多層錠剤コアは、例えば、胃のpHとは無関係に、水性環境において炭酸塩/重炭酸塩と反応し、CO気体を発生させる有機酸をさらに含む。特定の実施形態において、膜は、50℃~65℃のガラス転移温度を有するアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、およびトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドの可撓性コポリマーと、少なくとも1つの可塑剤との存在に起因して、高度に弾性/可撓性である。発生したCO気体から膜に対して外向きの圧力がかかると、膜が急速に拡大する。特定の実施形態において、本開示の剤形は、回転びん法を使用して、5rpmおよび37℃で測定すると、約200mlのpH4.5の酢酸緩衝液中、約120分以下で少なくとも約100%の体積増加を示す。特定の実施形態において、錠剤コアは、膨潤したコア中のプル層が、拡大された膜においてオリフィスに面し、オリフィスを通して薬物の放出を提供するように膨潤する。特定の実施形態において、膜の拡大は、剤形の初期の急速な拡大に関与し、膜内の膨潤性多層錠剤コアは、拡大された膜を支持する。
【0176】
特定の実施形態において、多層錠剤コアは、拡大された透過性弾性膜を支持することができるサイズまで膨潤する。特定の実施形態において、オリフィスを含有する透過性弾性膜は、多層錠剤コアを長期間にわたって膨潤した状態でそのまま維持し、投薬量は、長期間、例えば、約6時間~約20時間にわたって薬物の持続放出を提供する。特定の実施形態において、COの発生速度および膜の拡大速度は、プル層における膜透過性の増加および/またはオスモゲンの量の増加によって増強される。特定の実施形態において、膜の拡大は、錠剤コアの膨潤よりも速い。
【0177】
本開示の胃内滞留性組成物は、そのバイオアベイラビリティを失うことなく、持続放出プロファイルで、狭い吸収ウィンドウ内で、簡便にリオチロニンまたはその薬学的に許容される塩を放出することができる。
【実施例
【0178】
実施例1:二重層持続放出リオチロニンナトリウム錠(50mcgのリオチロニン当量)の調製
本実施例は、表1に示すような2つの錠剤の調製の概要を提供する。錠剤1および2は、METHOCEL(商標)K3 Premium LVおよびMETHOCEL(商標)K15M Premium CRをプル層に含有し、POLYOX(商標)WSR N-60Kをプッシュ層に含有していた。錠剤コアを、EUDRAGIT(登録商標)RL POを含む透過性機能性コートでコーティングした。














【表1】

【0179】
製造手順:
A.プル層ブレンド:
リオチロニンナトリウム、硫酸カルシウム二水和物、スクロース(全スクロースの一部分)、ビタミンE/BHTを、錠剤1~3に従って、エタノールおよび水を用いて湿式顆粒化して、リオチロニン顆粒にした。同様に、錠剤4に従って、リオチロニンナトリウム、ヒプロメロース(METHOCEL K3 LV)、コロイド状二酸化ケイ素、およびBHTを、エタノールおよび水を用いて湿式顆粒化して、リオチロニン顆粒にした。錠剤1~4に従って、リオチロニン顆粒を粉砕し、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、スクロース(錠剤1~3については残りの部分)、ヒプロメロース(錠剤1~3についてはMETHOCEL K15M Premium CRおよびMETHOCEL K3 LV混合物、錠剤4についてはMETHOCEL K15M Premium CR)、コハク酸、コロイド状二酸化ケイ素、およびステアリン酸マグネシウムとブレンドして、プル層ブレンドを得た。
【0180】
B.プッシュ層ブレンド:
POLYOX(商標)WSR N-60K(錠剤1、3、および4)、POLYOX(商標)WSR Coagulant(錠剤2)、塩化ナトリウム、赤色顔料ブレンド(PB-1595)、およびステアリン酸マグネシウムをブレンドして、均一なプッシュ層ブレンドにした。
【0181】
C.二重層錠剤コア:
ステップAからのプル層ブレンドと、ステップBからのプッシュ層ブレンドを、好適な錠剤プレスを使用して水平方向に押圧し、二重層錠剤コアとした。
【0182】
D.シールコート-1、機能性コート、シールコート-2
ステップCからの二重層錠剤コアを、穿孔パンコーターを使用して、シールコート-1、シールコート-1の上に機能性コート、機能性コートの上にシールコート-2で、コーティングした。シールコート-1およびシールコート-2は、OPADRY(登録商標)II clearを含有しており、機能性コートは、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、クエン酸トリエチル、およびタルクを含有していた。
【0183】
実施例2:リオチロニンナトリウムの安定性に対するポリエチレンオキシドポリマーの効果
本実施例は、表2に従って、ポリマーとブレンドしたリオチロニンナトリウム顆粒を含有する単層錠剤の保存安定性を比較する(例えば、錠剤5は、POLYOX(商標)WSR N80およびPOLYOX(商標)WSR 303を含有しており、錠剤6は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含有しており、錠剤7は、METHOCEL(商標)K100 Premium LVを含有しており、錠剤8は、PEO 1NFおよびPEO 18NFを含有しており、錠剤9は、ヒプロメロースを含有していた)。
【表2】


【表3】

【0184】
プル層のみを有するコア錠剤(錠剤5~9)を調製し、異なるPOLYOX(登録商標)グレードおよび代替の親水性ポリマーにおけるリオチロニンの安定性を評価した。プル層のみを有する錠剤を、実施例1のプル層を作製する手順に従って作製した。リオチロニンナトリウム、硫酸カルシウム二水和物、ビタミンE(錠剤5~8)、およびスクロースを、エタノールおよび水を用いて湿式顆粒化して、リオチロニン顆粒にした。リオチロニン顆粒を粉砕し、表2に従って、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、スクロース、コハク酸、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および追加のポリマーとブレンドし(例えば、錠剤5は、POLYOX(商標)WSR N80およびPOLYOX(商標)WSR 303を含有しており、錠剤6は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含有しており、錠剤7は、METHOCEL(商標)K100 Premium LVを含有しており、錠剤8は、PEO 1NFおよびPEO 18NFを含有しており、錠剤9は、ヒプロメロースを含有していた)、プル層ブレンドを得た。
【0185】
錠剤5~8を、45℃/75%RHでの1週間の安定性について配置した。錠剤の安定性を、保存期間の終了時に%アッセイとして評価した。錠剤9を、45℃/75%RHでの1か月の安定性、および30℃/65%RHでの2か月の安定性について配置した。錠剤の安定性を、保存期間の終了時に%アッセイとして評価した。
【0186】
表3からわかるように、リオチロニン錠剤の安定性は、ポリエチレンオキシドポリマーをヒプロメロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムで置き換えることによって有意に改善された。リオチロニンナトリウムおよびポリエチレンオキシドポリマーを含有する単層錠剤(錠剤5)は、40℃/75%相対湿度(促進保存条件)で1週間保存した後でさえ、%アッセイの低下を示した。ヒプロメロースを含有する錠剤9は、45℃/75%RHでの1か月の安定性、および30℃/65%RHでの2か月の安定性について、実質的な改善を示した。
【0187】
実施例3:浮遊遅延時間に対するスクロースの効果
錠剤が胃媒体中で浮遊するのに必要な時間は、浮遊へと急速に進むことによって胃から剤形が偶発的に排出される機会を低減するため、胃内滞留の重要な尺度である。本実施例は、15mg、95mg、および200mgのスクロースをそれぞれ含有する二重層リオチロニン錠10、11、および12の浮遊遅延時間を比較する。実施例1の手順に従って、錠剤を作製した。錠剤10~12は、METHOCEL K3 LVおよびK15M Premium CRを含有していた。
【表4】


【表5】

【0188】
最終コーティングされた錠剤(錠剤10~12)を、約200mlの0.01N HClを含有する別個のガラス瓶に個別に入れた。この瓶を、約37℃に維持された水浴内に配置された装置の回転アームに固定した。瓶を約5rpmの速度で回転させた。錠剤は、媒体の表面上に浮遊し始めるまで注意深く観察された。経過時間を記録し、浮遊遅延時間として報告した。表5は、錠剤10~12の浮遊遅延時間を列挙している。
【0189】
プル層中のスクロース量は、浮遊遅延時間に直接影響を及ぼすことが観察された(スクロース量の多い錠剤ほど、速く浮遊した)。
【0190】
実施例4:リオチロニンナトリウムの安定性に対する界面活性剤の効果
本実施例は、少なくとも1つの界面活性剤の存在下でのリオチロニンの保存安定性を比較する。錠剤13は、界面活性剤、例えば、POLOXAMER 188の存在下でリオチロニンナトリウムを含有しており、錠剤14は、いかなる界面活性剤も含有しなかった。実施例1の手順に従って、錠剤を作製した。
【表6】


【表7】

【0191】
錠剤13および14を、5℃および25℃/60%RHでの1か月間の安定性について配置した。錠剤の安定性を、保存期間の終了時に%アッセイとして評価した。界面活性剤を含有する錠剤(錠剤13)は、25℃/60%RHで1か月間保存した後の%アッセイの低減を示すことが観察された。
【0192】
実施例5:錠剤3の溶解プロファイル
図3は、USP Apparatus Iを37℃で使用して、0.1N HClおよび5%メタノールを含有する500mlの溶解媒体中、ならびに0.1N HClおよび5%グリセロールを含有する500mlの溶解媒体中の錠剤3の溶解プロファイルを比較する。錠剤3は、プル層ブレンドにMETHOCEL K15M Premium CRおよびMETHOCEL K3 LV混合物を含有していた。錠剤3は、0.1N HClおよび5%グリセロールを含有する溶解媒体に剤形を投与した時点から20時間後に、実質的に完全な薬物回収を伴う持続放出を提供することが観察された。
【0193】
実施例6:錠剤1および錠剤2の溶解プロファイルの比較
図2は、USP Apparatus IIを使用して、100RPMおよび37℃で実施され、0.1N HClおよびグリセロールの500ml混合物中で24時間にわたって、錠剤1および錠剤2の溶解プロファイルを比較する。錠剤1は、プッシュ層中に220mgのPOLYOX(商標)WSR N-60Kおよび25mgの塩化ナトリウムを含有し、錠剤2は、プッシュ層中に132mgの(POLYOX(商標)WSR Coagulantおよび15mgの塩化ナトリウムを含有していた。プッシュ層に、より多い量のPOLYOX(商標)を含有する錠剤からは、リオチロニンの溶解が速いことが観察された。
【0194】
実施例7:錠剤3および4の浮遊時の体積増加
錠剤3および4を、体積拡大について試験した。体積拡大試験は、Rotating Bottle法を使用して、5rpmおよび37℃で、0.001N HClおよび80mM NaClを含有する200mlの溶解媒体中で行った。図4/表8は、浮遊および追加の時間点での0.001N HClおよび80mM NaClを含有する200mlの溶解媒体中の錠剤3および錠剤4の体積増加を比較する。
【0195】
図4/表8は、錠剤3が、浮遊時間(約90分)において150%の体積増加、約2時間で約150%の体積増加、錠剤を溶解媒体に投与してから約4時間後~約8時間後で200%の体積増加を有していたことを示す。同様に、錠剤4は、浮遊時間(約60分)において100%の体積増加、約2時間で約100%の体積増加、錠剤を溶解媒体に投与してから約6時間後~約8時間後で150%の体積増加を有していた。表7は、さらに、錠剤3の平均浮遊遅延時間が約90分であり、錠剤4の平均浮遊遅延時間が約60分であったことを示す。
【表8】

【0196】
実施例8:錠剤3および4のテクスチャ分析/圧縮性
錠剤3および4を、テクスチャ分析/圧縮性について試験した。体積拡大試験は、Rotating Bottle法を使用して、5rpmおよび37℃で、80mM NaClを含有する200mlの0.001N HCl中で行い、同時に、錠剤を、TA.XTplus装置を使用して様々な時点でそのテクスチャについて試験した。図5/表9は、媒体への投与時間から測定した浮遊時間(約90分)、2時間、4時間、6時間、および8時間における錠剤3および錠剤4の破断点における圧縮力を示す。図6/表10は、媒体への投与時間から測定した浮遊時間(約60分)、2時間、4時間、6時間、および8時間における錠剤3および4の75%歪み点における圧縮力を示す。図5および6は、錠剤3が、溶解媒体への投与時点から4時間までの最大力に耐えることができ、錠剤4が、溶解媒体への投与時点から2時間までの最大力に耐えることができることを示す。
【表9】


【表10】

【0197】
実施例9:プッシュ層の中のポリエチレンオキシドポリマーの平均分子量が錠剤15および16の溶解プロファイルに及ぼす影響
【表11】

【0198】
錠剤15は、プル層に200mgのスクロースを含有し、プッシュ層に220mgのPOLYOX(商標)WSR N-60Kを含有していた。錠剤16は、プル層に200mgのスクロースを含有し、プッシュ層に132mgのPOLYOX(商標)WSR Coagulantを含有していた。実施例1に記載の手順に従って、錠剤15および16を作製した。図7は、USP Apparatus Iを37℃で使用して測定された、0.1N HCLおよび5%グリセロールを含有する500ml溶解媒体中の錠剤15および錠剤16の溶解プロファイルを比較する。プッシュ層に220mgのPOLYOX(商標)WSR N-60Kを含有する錠剤15は、プッシュ層に132mgのPOLYOX(商標)WSR Coagulantを含有する錠剤16と比較して、より高い溶解およびより良い薬物回収を提供することが観察された。
【0199】
実施例10:錠剤1および2からのリオチロニンの経口バイオアベイラビリティ
リオチロニンナトリウム錠50mcg(用量:2×50mcg)の無作為化された、非盲検、バランス、3治療、3期間、3シーケンス、単回用量、スリーウェイクロスオーバーの生物学的同等性試験を、健康な志願者において、食事摂取条件下で行い、上市されたIR製品であるCYTOMEL(登録商標)(2×50mc gm)と、錠剤1および2を使用して、本開示の延長された放出の組成物のPK性能を評価し、比較した。第1期の後に19日間のウォッシュアウト期間があり、第2期の後に21日間のウォッシュアウト期間があった。
【表12】

【0200】
この研究からのデータ(表12/図8)は、錠剤1および錠剤2が、約24時間にわたって治療用濃度(例えば、約0.8ng/ml~約2ng/ml)のT3を提供し、CYTOMEL(登録商標)と比較して、バースト放出の実質的な低減を提供することを示す。
【0201】
本開示は、言及された目的および利点、ならびにそれらに固有のものを達成するように十分に適合されている。上に開示される特定の実施形態は、本開示が、本明細書の教示の利益を有する当業者に明白な、異なるが等価な方法で改変され、実施され得るため、例示にすぎない。さらに、以下の特許請求の範囲において記載する場合を除き、本明細書において示される構造または設計の詳細に限定することを意図したものではない。したがって、上に開示される特定の例示的な実施形態は、変更または改変することができ、異なる甲状腺ホルモンの置換を含むがこれらに限定されないすべてのそのような変形は、本開示の範囲および趣旨内で考慮されることが明らかである。本明細書には、様々な刊行物、特許、および特許出願が引用され、その内容は、それらの全体が本明細書に参照によって組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8