(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】空気調和機の室外ユニット
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240122BHJP
F25B 6/02 20060101ALI20240122BHJP
F24F 1/24 20110101ALI20240122BHJP
【FI】
F25B1/00 321L
F25B6/02 Z
F24F1/24
(21)【出願番号】P 2022546832
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(86)【国際出願番号】 JP2020033679
(87)【国際公開番号】W WO2022049742
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 勝利
(72)【発明者】
【氏名】三浦 賢
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-075258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 6/02
F24F 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を流路に吐出する圧縮機と、
四方弁と、熱交換器と、膨張弁と、送風機と、前記圧縮機および前記送風機を駆動制御する電装部品と、前記電装部品を前記冷媒で冷却するヒートシンクと、を備えた空気調和機の室外ユニットであって、
前記熱交換器は、複数の熱交換器が並列に接続され、このうちの少なくとも一つで構成される第1群の熱交換器と、前記第1群に属さない少なくとも一つで構成される第2群の熱交換器を有し、
前記膨張弁は、前記第1群の熱交換器の過冷却度を調整する第1膨張弁と、前記第2群の熱交換器の過冷却度を調整する第2膨張弁とを有し、
前記ヒートシンクは、前記冷媒の流路において、
前記第2群の熱交換器が凝縮器として機能するときは、前記第1群および前記第2群の各熱交換器により凝縮された前記冷媒の合流部よりも上流側、かつ前記第2膨張弁よりも下流側に配置され
、前記第2群の熱交換器が蒸発器として機能するときは、前記合流部よりも下流側、かつ前記第2膨張弁よりも上流側に配置される
空気調和機の室外ユニット。
【請求項2】
前記第1群の熱交換器の全面積は、前記第2群の熱交換器の全面積以上であり、前記第1群の熱交換器の全容積は、前記第2群の熱交換器の全容積以上である
請求項1に記載の空気調和機の室外ユニット。
【請求項3】
前記第2群の熱交換器における前記冷媒の目標過冷却度は、前記第
1群の熱交換器における前記冷媒の目標過冷却度よりも大きい
請求項2に記載の空気調和機の室外ユニット。
【請求項4】
鉛直方向の下から前記第2群の熱交換器、前記第1群の熱交換器、前記送風機の順に配置されている
請求項1から3のいずれか一項に記載の空気調和機の室外ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機の室外ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外ユニットには、室外ユニットに搭載された発熱を伴う電装部品、例えばインバータのスイッチング素子や該素子が搭載された基板などを冷却する機構が備えられている。かかる冷却機構の一例として、電装部品を冷媒で冷却する冷媒冷却ヒートシンク(以下、単にヒートシンクともいう)が挙げられる。
【0003】
ヒートシンクは、例えば室外ユニットが備える単一の熱交換器(凝縮器)よりも下流側の冷媒流路、もしくは並列に接続された複数の熱交換器(凝縮器)よりも下流側で各熱交換器から流出する冷媒(凝縮された液冷媒)が合流する流路に設けられる。冷房運転時、ヒートシンクの冷却効果は、熱交換器(凝縮器)で凝縮された液冷媒の温度と循環量によって変化する。例えば、液冷媒温度が低く、冷媒循環量が多い場合、ヒートシンクの冷却効果は大きくなる。したがって、空冷式凝縮器におけるヒートシンクの冷却効果は、該凝縮器を通過する吸込空気温度まで液冷媒の温度を低下させるほど大きくなる。液冷媒の温度を凝縮器の吸込空気温度まで低下させるには、該凝縮器の下流側に設けた膨張弁の開度を絞り、冷媒循環量を調整する。
【0004】
例えば、膨張弁を絞ることで液冷媒の温度を低下できるが、膨張弁を絞り過ぎると、圧縮機から吐出される高温高圧ガスの圧力上昇や膨張弁の二次側の液圧低下により、フラッシングが発生する。このような状況下では、空気調和機の性能、具体的には冷房能力が低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、これを踏まえてなされたものであり、その目的は、冷房能力の低下を抑制しつつ、冷媒冷却ヒートシンクによる電装部品の冷却効果が得られる空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、空気調和機の室外ユニットは、冷媒を流路に吐出する圧縮機と、四方弁と、熱交換器と、膨張弁と、送風機と、前記圧縮機および前記送風機を駆動制御する電装部品と、前記電装部品を前記冷媒で冷却するヒートシンクとを備える。前記熱交換器は、複数の熱交換器が並列に接続され、このうちの少なくとも一つで構成される第1群の熱交換器と、前記第1群に属さない少なくとも一つで構成される第2群の熱交換器を有する。前記膨張弁は、前記第1群の熱交換器の過冷却度を調整する第1膨張弁と、前記第2群の熱交換器の過冷却度を調整する第2膨張弁とを有する。前記ヒートシンクは、前記冷媒の流路において、前記第2群の熱交換器が凝縮器として機能するときは、前記第1群および前記第2群の各熱交換器により凝縮された前記冷媒の合流部よりも上流側、かつ前記第2膨張弁よりも下流側に配置され、前記第2群の熱交換器が蒸発器として機能するときは、前記合流部よりも下流側、かつ前記第2膨張弁よりも上流側に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る空気調和機の構成を概略的に示す回路図である。
【
図2】実施形態に係る空気調和機の室外ユニットの構成を水平方向から概略的に示す模式図である。
【
図3A】
図2に示す室外ユニットの第1群の室外熱交換器の形態を概略的に示す斜視図である。
【
図3B】
図2に示す室外ユニットの第2群の室外熱交換器の形態を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る空気調和機1の構成を概略的に示す回路図である。
図1に示すように、空気調和機1は、室外ユニット2と、室内ユニット3とを備えている。室外ユニット2と室内ユニット3とは、両ユニット2,3間で冷媒を循環させる流路4で接続されている。例えば、室外ユニット2は建屋の屋上、室内ユニット3は建屋の各階の天井空間などにそれぞれ設置される。ただし、各ユニット2,3の設置場所はこれらの場所に限定されない。
【0010】
室外ユニット2は、主たる要素として、圧縮機2a、オイルセパレータ2b、高圧センサ2c、逆止弁2d、四方弁2e、熱交換器(以下、室外熱交換器という)2f、送風機(以下、室外ファンという)2g、膨張弁(以下、室外膨張弁という)2h、温度センサ2i、冷媒冷却ヒートシンク(以下、ヒートシンクという)2j、開閉弁2k、アキュムレータ2l、サクションカップ2mを備えている。室外ファン2g以外の各要素は、筐体21内で配管接続され、室内ユニット3に繋がる流路4にそれぞれ配置されている。室外ファン2gは、室外熱交換器2fの上方に配置されている。筐体21は、室外ユニット2の外郭を規定する。なお、上記した各要素2a~2mは、一つの筐体21に配置されていなくともよく、複数の筐体に分散して配置されていてもよい。
【0011】
また、室外ユニット2は、制御部(以下、室外制御部という)2n、インバータ2oを備えている。室外制御部2nは、室外ユニット2の動作を制御し、冷房運転および暖房運転の切り換えを行う。インバータ2oは、商用交流電源(図示省略)の電圧を整流し、整流後の電圧を室外制御部2nの指令に応じて周波数変換して圧縮機2aや室外ファン2gに出力する。インバータ2oは、このように圧縮機2aや室外ファン2gを駆動制御する電装部品を有する。かかる電装部品は、例えばスイッチング素子や該素子が搭載された基板などの発熱部品であり、ヒートシンク2jによって冷媒冷却される。
【0012】
室内ユニット3は、主たる要素として、膨張弁(以下、室内膨張弁という)3a、熱交換器(以下、室内熱交換器という)3b、送風機(以下、室内ファンという)3c、制御部(以下、室内制御部という)3dを備えている。室内膨張弁3a、室内熱交換器3bは、筐体31内で配管接続され、室外ユニット2に繋がる流路4にそれぞれ配置されている。室内ファン3cは、筐体31内で室内熱交換器3bの近くに配置されている。筐体31は、室内ユニット3の外郭を規定する。なお、上記した各要素3a,3b,3cは、一つの筐体31に配置されていなくともよく、複数の筐体に分散して配置されていてもよい。室内制御部3dは、例えば操作用のパネル、スイッチ、ボタン、表示用のディスプレイなどを含み、室内ユニット3の運転開始、冷房運転と暖房運転のモード選択、室内温度などを制御する。なお、
図1には、一例として室内ユニット3を一つのみ示すが、室内ユニット3は複数であってもよい。
【0013】
かかる空気調和機1における冷房モードおよび暖房モードでの運転時の動作について説明する。
【0014】
例えば、空気調和機1が冷房モードで運転を行う場合、四方弁2eが切り替わり、圧縮機2aで圧縮された高温・高圧のガス冷媒が流路4に吐出される。吐出されたガス冷媒は、逆止弁2dを通り、オイルセパレータ2bで潤滑油分が分離された後、四方弁2eを経由して凝縮器(放熱器)として機能する室外熱交換器2fに導かれる。
【0015】
室外熱交換器2fに導かれたガス冷媒は、空気との熱交換により凝縮し、高圧の液冷媒に変化する。高圧の液冷媒は、室外膨張弁2hにより後述する過冷却度が調整され、室内膨張弁3aを通過する過程で減圧されて低圧の液冷媒に変化する。該液冷媒は、蒸発器(吸熱器)として機能する室内熱交換器3bに導かれるとともに、室内熱交換器3bを通過する過程で空気と熱交換する。
【0016】
この結果、液冷媒は、空気から熱を奪って蒸発し、低温・低圧のガス冷媒に変化する。室内熱交換器3bを通過する空気は、液冷媒との熱交換により冷やされ、室内ファン3cによって空調(冷房)すべき場所に冷風として吹き出される。
【0017】
室内熱交換器3bを通過した低温・低圧のガス冷媒は、四方弁2eを経由してアキュムレータ2lに導かれる。蒸発し切れなかった液冷媒が冷媒中に混入している場合は、ここで液冷媒とガス冷媒とに分離される。液冷媒から分離された低温・低圧のガス冷媒は、アキュムレータ2lから圧縮機2aに吸い込まれるとともに、圧縮機2aで再び高温・高圧のガス冷媒に圧縮されて流路4に吐出される。
【0018】
一方、空気調和機1が暖房モードで運転を行う場合、四方弁2eが切り替わり、圧縮機2aから吐出された高温・高圧のガス冷媒は、四方弁2eを経由して室内熱交換器3bに導かれ、室内熱交換器3bを通過する空気と熱交換される。この場合、室内熱交換器3bは凝縮器として機能する。
【0019】
この結果、室内熱交換器3bを通過するガス冷媒は、空気と熱交換することにより凝縮し、高圧の液冷媒に変化する。室内熱交換器3bを通過する空気は、ガス冷媒との熱交換により加熱され、室内ファン3cによって空調(暖房)すべき場所に温風として吹き出される。
【0020】
室内熱交換器3bを通過した高温の液冷媒は、室外膨張弁2hに導かれるとともに、室外膨張弁2hを通過する過程で減圧されて低圧の液冷媒に変化する。該液冷媒は、蒸発器として機能する室外熱交換器2fに導かれるとともに、ここで空気と熱交換することにより蒸発し、低温・低圧のガス冷媒に変化する。室外熱交換器2fを通過した低温・低圧のガス冷媒は、四方弁2eおよびアキュムレータ2lを経由して圧縮機2aに吸い込まれるとともに、圧縮機2aで再び高温・高圧のガス冷媒に圧縮されて流路4に吐出される。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る室外ユニット2の室外熱交換器2fは、二群の熱交換器により構成されている。これら二群の熱交換器は、いずれも少なくとも一つの熱交換器(室外熱交換器)で構成され、並列に接続されている。具体的には、これら二群のうち、一方(以下、第1群という)は少なくとも一つの室外熱交換器で構成され、他方(以下、第2群という)は第1群に属さない少なくとも一つの室外熱交換器で構成されている。
【0022】
図1に示す例では、室外熱交換器21fが第1群に属し、室外熱交換器22fが第2群に属する。すなわち、本例では、第1群および第2群の室外熱交換器2fは、いずれも一つの室外熱交換器21f,22fで構成されている。ただし、第1群および第2群の室外熱交換器2fはそれぞれ複数であってもよい。
【0023】
図2は、室外ユニット2の構成を水平方向から概略的に示す模式図である。
図2に示すように、室外熱交換器21f,22fは、例えばほほ直方体状をなす室外ユニット2の筐体21の対向する二つの側面部S1,S2に設けられている。このため、室外熱交換器21fは、対向するこれら二つの側面部S1,S2にそれぞれ隣接する二つの構成体(以下、熱交換器構成体という)211f,212fに分割されている。同様に室外熱交換器22fは、対向するこれら二つの側面部S1,S2にそれぞれ隣接する二つの熱交換器構成体221f,222fに分割されている。側面部S1,S2には、外気の吸込口(図示省略)が形成されている。室外ファン2gが駆動すると、矢印A1,A2で示すように側面部S1,S2の吸込口から室外熱交換器21f,22fを介して筐体21内に外気が吸い込まれ、矢印A3で示すように室外ファン2gを通して筐体21外に排出される。
【0024】
筐体21においては、鉛直方向の下(
図2における下面部)から順に、第2群の熱交換器である室外熱交換器22f、第1群の熱交換器である室外熱交換器21f、送風機(室外ファン)2gが配置されている。すなわち、室外ファン2gに対しては、室外熱交換器22fよりも室外熱交換器21fの方が近接して配置されている。このため、
図2に矢印A1,A2で示すように、室外ファン2gが駆動した際、室外熱交換器22fの配置箇所と比べて室外ファン2gにより近接する室外熱交換器21fの配置箇所の方が筐体21内に外気が吸い込まれやすい。換言すれば、筐体21内に吸い込まれる風量や風速は、室外熱交換器22fの配置箇所よりも室外熱交換器21fの配置箇所の方が大きくなりやすい。したがって、冷媒と外気(空気)との熱交換の効率は、下側の室外熱交換器22fよりも上側の室外熱交換器21fにおいて高めやすい。このため、
図1および
図2に示す例では、上側の室外熱交換器21fが主熱交換器、下側の室外熱交換器22fが補助熱交換器として機能する。なお、室外熱交換器21f,22fは、冷媒が流れる流路がそれぞれ独立していればよく、一体的に設けられていてもよい。
【0025】
室外熱交換器21fを主熱交換器、室外熱交換器22fを補助熱交換器として機能させるべく、本実施形態ではこれらの面積および容積が次のように設定されている。室外熱交換器21fの面積は、室外熱交換器22fの面積以上である。
図1および
図2に示す例では、室外熱交換器21fの面積は、二つの熱交換器構成体211f,212fの面積の合計であり、これは第1群の熱交換器の全面積に該当する。同様に、室外熱交換器22fの面積は、二つの熱交換器構成体221f,222fの面積の合計であり、これは第2群の熱交換器の全面積に該当する。加えて、室外熱交換器21fの容積は、室外熱交換器22fの容積以上である。
図1および
図2に示す例では、室外熱交換器21fの容積は、二つの熱交換器構成体211f,212fの容積の合計であり、これは第1群の熱交換器の全容積に該当する。同様に、室外熱交換器22fの容積は、二つの熱交換器構成体221f,222fの容積の合計であり、これは第2群の熱交換器の全容積に該当する。
【0026】
図3Aは、
図2に示す第1群の熱交換器である室外熱交換器21fの熱交換器構成体211f,212fの形態を概略的に示す斜視図である。
図3Bは、
図2に示す第2群の熱交換器である室外熱交換器22fの熱交換器構成体221f,222fの形態を概略的に示す斜視図である。
図3Aに示す例において、熱交換器構成体211f,212fの形態は、高さ(H21)、幅(W21)、奥行(L21)のほぼ直方体状をなす。したがって、室外熱交換器21fの面積(S21)は、2×L21×H21、容積(V21)は、2×H21×W21×L21で概算される。これに対し、
図3Bに示す例において、熱交換器構成体221f,222fの形態は、高さ(H22)、幅(W22)、奥行(L22)のほぼ直方体状をなす。したがって、室外熱交換器22fの面積(S22)は、2×L22×H22、容積(V22)は、2×H22×W22×L22で概算される。
【0027】
図3Aおよび
図3Bに示す例において、熱交換器構成体211f,212fの幅(W21)および奥行(L21)の値は、熱交換器構成体221f,222fの幅(W22)および奥行(L22)の値とほぼ一致している。一方、熱交換器構成体211f,212fの高さ(H21)の値は、熱交換器構成体221f,222fの高さ(H22)の値よりも大きい。したがって、室外熱交換器21fの面積(S21)および容積(V21)は、室外熱交換器22fの面積(S22)および容積(V22)よりも高さ(H21,H22)が相違する分だけ大きくなる(S21>S22,V21>V22)。
【0028】
これらの室外熱交換器21f,22fに対応し、室外膨張弁2hは、第1膨張弁21hと第2膨張弁22hを含んでいる。第1膨張弁21hは、第1群の熱交換器、
図1に示す例では室外熱交換器21fを通過する凝縮された液冷媒の流路に配置されている。これにより、例えば空気調和機1が冷房モードで運転を行う場合、第1膨張弁21hは、室外熱交換器21fにおける液冷媒の過冷却度を調整する。これに対し、第2膨張弁22hは、第2群の熱交換器、
図1に示す例では室外熱交換器22fを通過する凝縮された液冷媒の流路に配置されている。これにより、例えば空気調和機1が冷房モードで運転を行う場合、第2膨張弁22hは、室外熱交換器22fにおける液冷媒の過冷却度を調整する。
【0029】
また、温度センサ2iは、第1温度センサ21iと第2温度センサ22iを含んでいる。第1温度センサ21iは、第1群の熱交換器、
図1に示す例では室外熱交換器21fを通過する凝縮された液冷媒の流路の第1膨張弁21hよりも下流側に配置されている。これにより、例えば空気調和機1が冷房モードで運転を行う場合、第1温度センサ21iは、室外熱交換器21fで凝縮され、第1膨張弁21hで減圧された液冷媒の温度を検出する。これに対し、第2温度センサ22iは、第2群の熱交換器、
図1に示す例では室外熱交換器22fを通過する凝縮された液冷媒の流路における第2膨張弁22hよりも下流側に配置されている。これにより、例えば空気調和機1が冷房モードで運転を行う場合、第2温度センサ22iは、室外熱交換器22fで凝縮され、第2膨張弁22hで減圧された液冷媒の温度を検出する。
【0030】
室外制御部2nは、高圧センサ2cでの検出値から冷媒の凝縮温度を算出し、該凝縮温度と温度センサ2iでの検出温度との温度差から冷媒の過冷却度を算出する。冷房モードでの運転時、室外制御部2nは、算出した過冷却度に応じて第1膨張弁21hと第2膨張弁22hの開度を調整する。すなわち、室外制御部2nは、算出した冷媒の凝縮温度と第1温度センサ21iでの検出温度との温度差から室外熱交換器21fにおける冷媒の過冷却度を算出する。また、室外制御部2nは、算出した冷媒の凝縮温度と第2温度センサ22iでの検出温度との温度差から室外熱交換器22fにおける冷媒の過冷却度を算出する。
【0031】
本実施形態において、室外熱交換器22fにおける冷媒の目標過冷却度は、室外熱交換器21fにおける冷媒の目標過冷却度よりも大きい。したがって、室外制御部2nは、室外熱交換器21fおよび室外熱交換器22fにおける過冷却度が各々の目標過冷却度となるように、第1膨張弁21hおよび第2膨張弁22hの開度を制御する。
【0032】
ヒートシンク2jは、発熱した電装部品、例えばインバータ2oのスイッチング素子や該素子が搭載された基板などを冷媒によって冷却する。
図1に示すように、ヒートシンク2jは、冷媒の流路4において、第1群および第2群の各熱交換器21f,22fにより凝縮された冷媒の合流部Pよりも上流側、かつ第2膨張弁22hよりも下流側に配置されている。なお、以下の説明においては、室外熱交換器21f,22fが凝縮器として機能する場合に、凝縮された液冷媒が流路4を流れる際の流れ方向に対して上流および下流を規定する。
【0033】
例えば、空気調和機1が冷房モードで運転を行う場合、凝縮器として機能する第2群の室外熱交換器22fを通過した液冷媒は、ヒートシンク2jに流入する。これに対し、第1群の室外熱交換器21fを通過した液冷媒は、ヒートシンク2jに流入しない。したがって、ヒートシンク2jの冷却度合は、室外熱交換器22fにより凝縮された液冷媒の温度によって制御される。別の捉え方をすれば、室外熱交換器21fにより凝縮された液冷媒の温度は、ヒートシンク2jの冷却度合に寄与しない。ヒートシンク2jの冷却効果を優先する場合、室外制御部2nによって第2膨張弁22hの開度を制御することで、室外熱交換器22fで凝縮する液冷媒の温度を室外ファン2gによって筐体21内へ吸い込まれる外気の温度まで低下させる。
【0034】
なお、ヒートシンク2jの形態は特に限定されない。例えばヒートシンク2jは、冷却対象である電装部品との接触面となる面部と、室外熱交換器22fで凝縮された液冷媒を通過させる流路4との接触面となる溝部とを含んで構成される。ヒートシンク2jは、熱伝導性に優れた各種の素材(例えばアルミニウムやアルミニウム合金など)で形成される。ヒートシンク2jと接触する流路4は、例えばヒートシンク2jに設けられた溝部に嵌め込まれた銅パイプなどである。
【0035】
このように、本実施形態によれば、電装部品、例えばインバータ2oのスイッチング素子や該素子が搭載された基板などが過熱した場合、ヒートシンク2jの上流側で凝縮器として機能する室外熱交換器22fの過冷却度は、ヒートシンク2jの冷却効果が最適となるように第2膨張弁22hの開度によって制御できる。その一方で、ヒートシンク2jの冷却度合に寄与しない室外熱交換器21fの過冷却度は、空気調和機1の空調性能、例えば冷房能力が最適となるように第1膨張弁21hの開度によって制御できる。このため、空気調和機1の空調性能、例えば冷房能力の低下を抑制しつつ、電装部品の温度上昇を抑制できる。
【0036】
また、室外熱交換器21fの面積(S21)は室外熱交換器22fの面積(S22)以上であり、室外熱交換器21fの容積(V21)は室外熱交換器22fの容積(V22)以上である。このため、室外熱交換器22fの過冷却度をヒートシンク2jの冷却効果が最適となるように第2膨張弁22hで制御した場合であっても、室外熱交換器21fの過冷却度を空気調和機1の空調性能が最適となるように第1膨張弁21hで効率よく制御できる。したがって、空気調和機1の空調性能の低下を効率よく抑制しつつ、電装部品の温度上昇を抑制できる。
【0037】
加えて、室外熱交換器22fにおける冷媒の目標過冷却度は、室外熱交換器21fにおける冷媒の目標過冷却度よりも大きい。このため、空気調和機1の空調性能が最適となるように第1膨張弁21hで制御した場合であっても、室外熱交換器22fの過冷却度をヒートシンク2jの冷却効果が最適となるように第2膨張弁22hで効率よく制御できる。したがって、空気調和機1の空調性能の低下を抑制しつつ、電装部品の温度上昇を効率よく抑制できる。
【0038】
すなわち、本実施形態の室外ユニット2によれば、空調性能、例えば冷房能力の低下を抑制しつつ、ヒートシンク2jの冷却効果が得られる空気調和機1を実現できる。
【0039】
以上、本発明の実施形態を説明したが、かかる実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1…空気調和機、2…室外ユニット、2a…圧縮機、2f,21f,22f…熱交換器(室外熱交換器)、2g…送風機(室外ファン)、2h…膨張弁(室外膨張弁)、2i…温度センサ、2j…冷媒冷却ヒートシンク(ヒートシンク)、2n…制御部(室外制御部)、2o…インバータ、3…室内ユニット、4…流路、21…室外ユニットの筐体、21h…第1膨張弁、22h…第2膨張弁、21i…第1温度センサ、22i…第2温度センサ、211f,212f,221f,222f…熱交換器構成体。