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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】バンプ位置データ生成装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20240122BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240122BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20240122BHJP
   H01L 21/60 20060101ALN20240122BHJP
   H05K 13/04 20060101ALN20240122BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G06T7/00 610
G06T7/70 A
H01L21/60 311T
H05K13/04 M
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022550058
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2020034832
(87)【国際公開番号】W WO2022059055
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幹也
(72)【発明者】
【氏名】横井 勇太
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-283050(JP,A)
【文献】特開2005-123352(JP,A)
【文献】特開2000-315896(JP,A)
【文献】特開2001-094296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
H05K 3/30、3/32-3/34
13/00-13/04
H01L 21/447-21/449
21/60-21/607
G06T 1/00-1/40
3/00-5/50
7/00
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品に配列された複数のバンプを撮像して画像データを取得する撮像部と、
前記画像データに画像処理を施して、前記画像データに含まれる前記バンプの各々の画像である複数の画像バンプを抽出する画像処理部と、
前記画像データ内において、位置誤差を許容する所定の規則的な画像位置関係にある前記画像バンプによりバンプ群を形成する群形成部と、
一の前記バンプ群に属する複数の前記画像バンプの位置、および規則的な前記画像位置関係に基づいて、前記部品に配列された複数の前記バンプの設計上の基準位置関係を推定したバンプ位置データを生成するデータ生成部と、を備え
規則的な前記画像位置関係は、前記画像データ内において前記位置誤差を含みつつ前記部品の第一方向、および前記第一方向に直交する第二方向に離隔して並ぶ格子配列の前記画像位置関係であり、
前記群形成部は、或る前記画像バンプを基準として前記位置誤差を含みつつ前記第一方向および前記第二方向に離隔して並ぶ別の前記画像バンプを認識する認識処理を行い、さらに、すべての前記画像バンプを順番に基準として前記認識処理を行い、相互に認識された前記画像バンプの組合せにより前記バンプ群を形成する、
バンプ位置データ生成装置。
【請求項2】
部品に配列された複数のバンプを撮像して画像データを取得する撮像部と、
前記画像データに画像処理を施して、前記画像データに含まれる前記バンプの各々の画像である複数の画像バンプを抽出する画像処理部と、
前記画像データ内において、位置誤差を許容する所定の規則的な画像位置関係にある前記画像バンプによりバンプ群を形成する群形成部と、
一の前記バンプ群に属する複数の前記画像バンプの位置、および規則的な前記画像位置関係に基づいて、前記部品に配列された複数の前記バンプの設計上の基準位置関係を推定したバンプ位置データを生成するデータ生成部と、を備え
規則的な前記画像位置関係は、前記画像データ内において前記位置誤差を含みつつ前記部品の第一方向、および前記第一方向に直交する第二方向に離隔して並ぶ格子配列の前記画像位置関係であり、
前記群形成部は、或る前記画像バンプを基準として前記位置誤差を含みつつ前記第一方向および前記第二方向に離隔して並ぶ別の前記画像バンプを認識する認識処理を行い、別の前記画像バンプを認識したしたときに、或る前記画像バンプを含む前記バンプ群に別の前記画像バンプを編入する編入処理を行い、さらに、複数の前記画像バンプを順番に基準として前記認識処理および前記編入処理を繰り返す、
バンプ位置データ生成装置。
【請求項3】
前記データ生成部は、前記格子配列の配列ピッチを一定化した前記バンプ位置データを生成する、請求項1または2に記載のバンプ位置データ生成装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記画像バンプの各々について中心点を求め、
前記群形成部は、或る前記画像バンプの前記中心点を基準とし、所定幅以内の前記位置誤差を含みつつ前記第一方向および前記第二方向に離隔して並ぶ別の前記画像バンプの前記中心点を認識する前記認識処理を行う、請求項1~3のいずれか一項に記載のバンプ位置データ生成装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記画像バンプの各々について中心点を求め、
前記群形成部は、或る前記画像バンプの前記中心点を基準とし、所定角度以内の前記位置誤差を含みつつ前記第一方向および前記第二方向に離隔して並ぶ別の前記画像バンプの前記中心点を認識する前記認識処理を行う、請求項1~3のいずれか一項に記載のバンプ位置データ生成装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記画像バンプの各々について中心点を求め、
前記群形成部は、或る前記画像バンプの前記中心点を基準とし、所定幅以内でかつ所定角度以内の前記位置誤差を含みつつ前記第一方向および前記第二方向に離隔して並ぶ別の前記画像バンプの前記中心点を認識する前記認識処理を行う、請求項1~3のいずれか一項に記載のバンプ位置データ生成装置。
【請求項7】
前記所定幅は、最初に基準となる前記画像バンプの大きさに基づいて設定される、請求項またはに記載のバンプ位置データ生成装置。
【請求項8】
前記所定幅は、前記バンプの位置誤差に許容される公差に基づいて設定される、請求項またはに記載のバンプ位置データ生成装置。
【請求項9】
前記群形成部は、前記画像データ内にあるすべての前記画像バンプを内包する最小の長方形を求め、前記長方形の隣り合う二辺の方向を前記第一方向および前記第二方向とする、請求項のいずれか一項に記載のバンプ位置データ生成装置。
【請求項10】
前記群形成部は、前記画像データ内における前記部品の長方形の画像の隣り合う二辺の方向を前記第一方向および前記第二方向とする、請求項のいずれか一項に記載のバンプ位置データ生成装置。
【請求項11】
前記画像処理部は、前記画像バンプの各々について大きさを求め、
前記群形成部は、許容誤差の範囲内で前記大きさが等しい前記画像バンプにより前記バンプ群を形成する、
請求項1~10のいずれか一項に記載のバンプ位置データ生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品に配列された複数のバンプの位置関係を表すバンプ位置データを生成する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線が施された基板に部品を装着する装着作業を実施して、基板製品を量産する技術が普及している。装着される様々な種類の部品の一例として、規則的に配列された複数のバンプ(電極)をもつバンプ部品がある。バンプ部品は、BGA(Ball Grid Array)あるいはCSP(Chip Size Package)とも呼ばれる。バンプの規則的な位置関係を表すデータを予め取得しておくことは、装着作業においてバンプ部品を撮像して画像処理によりバンプの実際の位置を検出するために重要である。バンプの位置に関するデータを取得する一技術例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の部品データ生成装置は、部品を撮像する手段と、撮像された画像を基準角度の画像に変換して計測領域を設定する手段と、計測領域にある電極の諸元をデータ化する手段と、を備える。さらに、実施形態の説明によれば、画像認識装置は、画像データの1ラインに沿って画素ごとに左側から順次読み出して濃度の変化位置を検出し、これを複数のラインについて繰り返すことでボール電極(バンプ)のエッジを求めている。これによれば、複雑な電極配置をもつ電子部品でも、確実に部品データを作成することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-123352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、バンプ部品の複数のバンプの基準位置関係を表す設計データは、バンプ部品の製造者によって公開される場合が多い。しかしながら、基板製品の製造を行うメーカに対して、設計データに代えサンプル品のバンプ部品が提供される場合がある。この場合、メーカは、特許文献1に例示されるように、サンプル品を撮像して画像処理を行うことにより、設計データに代わるバンプ位置データを生成することができる。また、メーカが保有する部品装着機の特性に合わせて、自社で生成したバンプ位置データを設計データよりも優先して使用することが考えられる。
【0006】
しかしながら、サンプル品から生成したバンプ位置データは、サンプル品に含まれる誤差を含んでいる。この誤差は、規格や製品仕様書などに規定される公差よりも小さいが、公差の限度に近い場合が有り得る。例えば、設計データにおいて三つのバンプが一直線に配列されていても、サンプル品上に実在する三つのバンプは、誤差によって一直線の配列から外れている場合があり、バンプ位置データも一直線の配列から外れる。このようなバンプ位置データをサンプル品以外のバンプ部品に適用すると、サンプル品と比較して公差の反対方向に位置する(異符号の誤差を有する)バンプの位置誤差が公差を越え、画像処理エラーや装着位置エラーとなるおそれが生じる。
【0007】
それゆえ、本明細書は、部品に配列された複数のバンプを撮像してバンプ位置データを生成する方式の装置において、実用精度の高いバンプ位置データを生成することができるバンプ位置データ生成装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書は、部品に配列された複数のバンプを撮像して画像データを取得する撮像部と、前記画像データに画像処理を施して、前記画像データに含まれる前記バンプの各々の画像である複数の画像バンプを抽出する画像処理部と、前記画像データ内において、位置誤差を許容する所定の規則的な画像位置関係にある前記画像バンプによりバンプ群を形成する群形成部と、一の前記バンプ群に属する複数の前記画像バンプの位置、および規則的な前記画像位置関係に基づいて、前記部品に配列された複数の前記バンプの設計上の基準位置関係を推定したバンプ位置データを生成するデータ生成部と、を備えるバンプ位置データ生成装置を開示する。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示するバンプ位置データ生成装置では、画像データ内において規則的な画像位置関係にある画像バンプによりバンプ群を形成し、一のバンプ群に属する複数の画像バンプに基づいて、複数のバンプの設計上の基準位置関係を推定したバンプ位置データを生成する。これによれば、複数の画像バンプの位置誤差を解消ないしは相殺するように設計上の基準位置関係を推定して、バンプ位置データの実用精度を従来よりも高めることができる。さらに、部品の装着作業時の画像処理において実用精度の高いバンプ位置データを適用することができるので、画像処理エラーや装着位置エラーを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】複数のバンプが規則的に配列された部品の一例を示す底面図である。
図2】実施形態のバンプ位置データ生成装置の機能ブロック図である。
図3】撮像部の撮像によって取得された部品の画像データの例を示した図である。
図4】バンプ位置データ生成装置の動作を説明するメイン動作フローの図である。
図5図3のメイン動作フローのうちステップS3のバンプ群の形成に関する詳細動作を説明するサブ動作フローの図である。
図6】サブ動作フローのステップS12において設定された所定幅を模式的に示す画像データの部分図である。
図7】サブ動作フローのステップS14において相互に認識された画像バンプを模式的に示す画像データの部分図である。
図8】相互に認識されなかった画像バンプを模式的に示す画像データの部分図である。
図9】データ生成部の機能を模式的に説明する画像データの部分図である。
図10】サブ動作フローのステップS12において設定された所定角度を模式的に示す画像データの部分図である。
図11】サブ動作フローのステップS12において、所定幅および所定角度のand条件が設定される応用形態を説明する画像データの部分図である。
図12】群形成部の機能が相違する変形形態のサブ動作フローの図である。
図13】複数のバンプが規則的に配列された部品の第二例であって、互いに入り組んだ配置となる二つのバンプ群が形成される部品の第二例を示す底面図である。
図14】複数のバンプが規則的に配列された部品の第三例であって、互いに離隔した配置となる二つのバンプ群が形成される部品の第三例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.部品の例示
実施形態のバンプ位置データ生成装置1の説明に先立ち、複数のバンプ72が規則的に配列された部品71(バンプ部品)の一例について、図1を参考にして説明する。部品71は、概ね直方体の外形形状を有するとともに、輝度が小さい暗色ないしは概ね黒色に近い外観色を有する。部品71は、その底面に複数のバンプ72が規則的に配列されている。バンプ72の形状は、下方に膨らむ半球形状もしくは円形とされており、これに限定されず、正方形や長方形など他の形状であってもよい。バンプ72は、プリント基板のランド上にはんだ付けされる電極であり、高い輝度を有する。
【0012】
図1において、9個のバンプ72は、規則的な3×3の格子配列に配列されている。部品71の設計データには、バンプ72の形状、大きさ、配列ピッチを表す基準位置関係などの設計諸元が示されている。設計データは誤差を含まないが、実際の部品71のバンプ72は、誤差を含むため、大きさや配列ピッチがばらつく場合がある。バンプ位置データ生成装置1は、部品71に配列された複数のバンプ72を撮像して、取得した画像データに処理を施し、最終的に複数のバンプ72の設計上の基準位置関係を推定したバンプ位置データを生成する。
【0013】
2.バンプ位置データ生成装置1の構成
バンプ位置データ生成装置1の説明に移る。バンプ位置データ生成装置1は、部品71の装着作業を行う部品装着機とは別体であるが、部品装着機に一体的に組み込むことも可能である。図2に示されるように、バンプ位置データ生成装置1は、撮像部2および制御部3で構成される。
【0014】
撮像部2は、部品71に配列された複数のバンプ72を撮像して画像データGDを取得する。画像データGDは、デジタル化された数値情報であり、図3に示されるように画像として表示することが可能である。撮像部2は、透明なガラスに載置された部品71を下方から撮像してもよいし、底面を上に向けた部品71を上方から撮像してもよい。図3に示される画像データGDにおいて、部品71の外形の画像が黒色で示され、バンプ72の画像が白色で示されている。以降の説明を簡明化するために、画像データGD内の部品71の画像を画像部品81と称し、画像データGD内のバンプ72の画像を画像バンプ82と称する。さらに、画像データGD内における部材相互の位置関係を画像位置関係と称する。
【0015】
画像データGDは、全てのバンプ72の画像バンプ82を含むことを必須とする。また、画像データGDは、部品71の外形の全体を表す画像部品81を含むことが好ましいが、必須とはしない。大きな部品71については、複数回の撮像によって得られた複数の画像データをつなげて、所定の画像データGDとすることが許容される。画像データGDは、画像処理において輝度の違いにより画像バンプ82の外形を検出できるものであれば、白黒画像でもカラー画像でもよい。取得された画像データGDは、制御部3に転送される。
【0016】
制御部3は、コンピュータ装置を用いて構成される。制御部3は、ソフトウェアで実現された三つの機能部、すなわち、画像処理部4、群形成部5、およびデータ生成部6を含む。画像処理部4は、撮像部2から受け取った画像データGDに画像処理を施して、画像データGDに含まれるバンプ72の各々の画像である複数の画像バンプ82を抽出する。「抽出する」とは、画像バンプ82の外形を検出して、画像バンプ82の大きさと中心点の位置を求めることを含んでいる。この画像処理には、公知の境界検出法や領域検出法などを適用することができる。
【0017】
群形成部5は、画像データGD内において、位置誤差を許容する所定の規則的な画像位置関係にある画像バンプ82によりバンプ群を形成する。規則的な画像位置関係は、画像データGD内において位置誤差を含みつつ部品71の第一方向、および第一方向に直交する第二方向に離隔して並ぶ格子配列の画像位置関係である。さらに、群形成部5は、許容誤差の範囲内で大きさが等しい画像バンプ82であることを、一のバンプ群の必要条件とする。つまり、群形成部5は、許容誤差を越えた大きさの違いがある二つの画像バンプ82を、別々のバンプ群とする。
【0018】
データ生成部6は、一のバンプ群に属する複数の画像バンプ82の中心点の位置、および規則的な画像位置関係に基づいて、部品71に配列された複数のバンプ72の設計上の基準位置関係を推定したバンプ位置データを生成する。具体的には、データ生成部6は、格子配列の配列ピッチを一定化したバンプ位置データを生成する。群形成部5およびデータ生成部6の機能については、次の動作の説明の中で詳述する。
【0019】
3.バンプ位置データ生成装置1の動作
次に、バンプ位置データ生成装置1の動作について、図4図11を参考にして説明する。図4のメイン動作フローのステップS1で、撮像部2は、部品71に配列された複数のバンプ72を撮像して、例えば図3に示された画像データGDを取得する。次のステップS2で、画像処理部4は、画像データGDの画像処理を実施して、複数の画像バンプ82の大きさおよび中心点の位置を求める。
【0020】
次のステップS3で、群形成部5は、或る画像バンプ82を基準として位置誤差を含みつつ第一方向および第二方向に離隔して並ぶ別の画像バンプ82を認識する認識処理を行う。群形成部5は、さらに、すべての画像バンプ82を順番に基準として認識処理を行い、相互に認識された画像バンプ82の組合せによりバンプ群を形成する。ステップS3の詳細は、図5のサブ動作フローに示されている。
【0021】
図5のステップS11で、群形成部5は、直交する第一方向および第二方向を決定する。第一方向および第二方向は、複数の画像バンプ82の格子配列の配列方向を推定した方向である。第一方向および第二方向は、部品71の底面に沿う水平二方向となる。具体的に、群形成部5は、図3に白抜きの破線で示されるように、画像データGD内にあるすべての画像バンプ82を内包する最小の長方形RCを求める。そして、群形成部5は、長方形RCの隣り合う二辺の方向を第一方向および第二方向とする。
【0022】
これによれば、部品71の縦横方向に対してバンプ72の配列方向が誤差をもつ場合や、バンプ72が斜めに配列されている場合でも、群形成部5は、格子配列の配列方向を正確に推定することができる。なお、簡易な方法として、群形成部5は、長方形の画像部品81の隣り合う二辺の方向を第一方向および第二方向としてもよい。
【0023】
次のステップS12で、群形成部5は、所定幅W(図6参照)を設定する。所定幅Wは、バンプ72に許容される位置誤差に相当するもの、換言すると、画像データGD内の画像バンプ82に許容される位置誤差に相当するものである。実用的に、所定幅Wは、最初に基準となる画像バンプ82の大きさに基づいて設定される。
【0024】
これによれば、バンプ72が有する位置誤差の実態に基づいて、適正な所定幅Wを設定することができる。例えば、過去の実績によりバンプ72の位置誤差が直径の±20%程度であると判明しているときに、10%のマージンを考慮して、画像バンプ82の直径の50%(=20%×2+10%)を所定幅Wとすることができる。
【0025】
あるいは、所定幅Wは、バンプ72の位置誤差に許容される公差に基づいて設定されてもよい。これによれば、所定幅Wは、過去の実績に基づいて設定される場合よりも大きめの値となる。換言すると、所定幅Wは、規格や製品仕様書などに規定される公差に近い位置誤差を許容する。なお、後述する所定角度Aを設定する方法では、画像バンプ82の配列ピッチが大きい場合に許容される位置誤差が大きくなってしまうが、所定幅Wを設定する方法では、許容される位置誤差が配列ピッチの大小に依存せずに一定となって好ましい。
【0026】
次のステップS13で、群形成部5は、最初に基準となる画像バンプ821を設定する。ステップS13、ステップS14、およびステップS15で構成される繰り返しループは、全ての画像バンプ82について実行されるので、設定する画像バンプ82の順番は重要でない。ステップS13の実行により、図6に示されるように、画像バンプ821の中心点C1を基準として、第一方向および第二方向に「+」の形状に延びる所定幅Wの帯状の認識エリアが設定される。
【0027】
次のステップS14で、群形成部5は、第一方向および前記第二方向に離隔して並ぶ別の画像バンプ82の中心点を認識する認識処理を行う。図7に示される例で、画像バンプ821の第一方向の右側に、別の画像バンプ822が位置する。そして、画像バンプ822の大きさは、許容誤差の範囲内で画像バンプ821と等しい。したがって、画像バンプ822は、画像バンプ821と一のバンプ群を形成する候補となる。仮に、画像バンプ822の大きさが許容誤差を越えて画像バンプ821と相違する場合、認識処理は打ち切られる。この場合、群形成部5は、画像バンプ821から画像バンプ822を認識できなかったと判定する。
【0028】
さらに、図7に示されるように、画像バンプ821の第一方向の右側の認識エリア内に、画像バンプ822の中心点C2が認識される。また、画像バンプ821の第一方向の左側の認識エリア内に、大きさが許容誤差以内の別の画像バンプ823の中心点C3が認識される。この場合、群形成部5は、画像バンプ821から画像バンプ822および画像バンプ823を認識できたと判定する。
【0029】
また、図7には省略されているが、画像バンプ821の第二方向に延びる認識エリア内に、別の画像バンプ82の中心点が認識されることも生じる。一方、図8に示されるように、別の画像バンプ824の中心点C4が認識エリアからが外れる場合もあり得る。この場合、群形成部5は、画像バンプ821から画像バンプ824を認識できなかったと判定する。
【0030】
次のステップS15で、群形成部5は、全ての画像バンプ82を基準とした認識処理が終了したか否かを判定する。否の場合、動作フローの実行はステップS13に戻される。2回目のステップS13で、別の画像バンプ82が基準に設定され、ステップS14が実行される。図3に示される画像データGDでは、9個の画像バンプ82に対応して、繰り返しループは9回実行される。
【0031】
繰り返しの中で、画像バンプ822が基準となる場合が生じる。この場合、群形成部5は、画像バンプ822から画像バンプ821を認識できたと判定することができる。さらに、画像バンプ823が基準となる場合が生じる。この場合、群形成部5は、画像バンプ823から画像バンプ821を認識できたと判定することができる。
【0032】
ステップS15で全ての画像バンプ82を基準とした認識処理が終了している場合、動作フローの実行はステップS16に進められる。ステップS16で、群形成部5は、相互に認識された画像バンプ82の組合せによりバンプ群を形成する。図7に示される例で、画像バンプ821と画像バンプ822は相互に認識されており、かつ、画像バンプ821と画像バンプ823は相互に認識されている。したがって、画像バンプ821、画像バンプ822、および画像バンプ823は、一のバンプ群を形成する。
【0033】
さらに、第一方向の認識処理だけでなく、図に省略された第二方向の認識処理も行われる。この結果、図3に示された9個の画像バンプ82は、一のバンプ群を形成する。なお、図8に示された例では、複数のバンプ群が形成される。この後、動作フローの実行は、図4のメイン動作フローのステップS4に進められる。
【0034】
ステップS4で、データ生成部6は、格子配列の配列ピッチを一定化したバンプ位置データを生成する。ここで、配列ピッチを一定化することは、複数の画像バンプ82の位置誤差を解消ないしは相殺するように設計上の基準位置関係を推定することに相当する。データ生成部6は、例えば図9に破線で示されるように、第一方向に離隔して並ぶ三つの画像バンプ821、822、823の中心点C1、C2、C3が一直線上に並ぶように補正する。さらに、データ生成部6は、中心点C1と中心点C2の距離(配列ピッチ)が、中心点C1と中心点C3の距離(配列ピッチ)に一致するように補正する。
【0035】
上記の補正は、第一方向および第二方向において、9個の画像バンプ82に対して実施される。最終的に得られるバンプ位置データは、9個の画像バンプ82の中心点が第一方向および第二方向に3×3に配列され、かつ第一方向および第二方向の合計12箇所の配列ピッチがすべて等しいデータとなる。バンプ位置データは、さらに、複数の画像バンプ82の大きさの平均値、換言すると平均直径のデータを含んでもよい。バンプ位置データは、部品71の形状に関する他のデータと組み合わされて部品データに編集されてもよいし、単独で用いられてもよい。
【0036】
バンプ位置データ生成装置1は、バンプ位置データに基づいて、部品装着作業で使用するテンプレートを作成することができる。テンプレートは、例えば、複数の画像バンプ82の一定化された配列ピッチおよび平均直径のデータを含み、画像部品81の形状に関するデータを含まない。ここで、バンプ位置データは、複数のバンプ72の設計上の基準位置関係を推定した実用精度の高いデータであるので、テンプレートは、画像バンプ82の各々の位置誤差や直径の誤差を含まず、高い精度を有する。仮に、図7に示される画像バンプ821、822、823からそのままテンプレートを作成すると、そのテンプレートは、特定の部品71におけるバンプ72の位置誤差や直径の誤差を含んだ精度の低いものとなる。
【0037】
部品装着機の部品装着作業において、装着ヘッドの部品採取具に採取された部品71の底面が撮像され、画像データが取得される。この画像データに対して、高い精度を有するテンプレートを用いた画像処理が行われて、装着ヘッドに対するバンプ72の位置が正確に求められる。したがって、画像処理エラーや装着位置エラーが抑制される。
【0038】
なお、ステップS12で、群形成部5は、所定角度Aを設定してもよい。所定角度Aは、画像データGD内の画像バンプ82に許容される位置誤差に相当するものである。これにより、図10に示されるように、画像バンプ825の中心点C5を基準とし、第一方向および第二方向に向かって扇形に拡がる認識エリアが設定される。
【0039】
また、図11に示される応用形態において、群形成部5は、所定幅Wと所定角度Aの両方を設定してもよい。応用形態では、画像バンプ826の中心点C6を基準とし、所定幅W以内でかつ所定角度A以内のエリアが認識エリア(ハッチングが付されたエリア)となる。ステップS12で所定角度A、または所定幅Wと所定角度Aの両方を設定した後、群形成部5は、認識エリアの形状が相違することを除いて、ステップS13からステップS16を前述と同様に実行する。
【0040】
実施形態のバンプ位置データ生成装置1では、画像データGD内において規則的な画像位置関係にある画像バンプ(82、821、822、823)によりバンプ群を形成し、一のバンプ群に属する複数の画像バンプ(82、821、822、823)に基づいて、複数のバンプ72の設計上の基準位置関係を推定したバンプ位置データを生成する。これによれば、複数の画像バンプ(82、821、822、823)の位置誤差を解消ないしは相殺するように設計上の基準位置関係を推定して、バンプ位置データの実用精度を従来よりも高めることができる。さらに、部品71の装着作業時の画像処理において実用精度の高いバンプ位置データを適用することができるので、画像処理エラーや装着位置エラーを抑制することができる。
【0041】
4.群形成部5の機能が相違する変形形態
次に、群形成部5の機能が相違する変形形態について、図12を参考にして説明する。変形形態において、群形成部5は、或る画像バンプ82を基準として位置誤差を含みつつ第一方向および第二方向に離隔して並ぶ別の画像バンプ82を認識する認識処理を行い、別の画像バンプ82を認識したしたときに、或る画像バンプ82を含むバンプ群に別の画像バンプ82を編入する編入処理を行う。群形成部5は、さらに、複数の画像バンプ82を順番に基準として認識処理および編入処理を繰り返す。この動作の詳細は、図12のサブ動作フローに示されている。
【0042】
図12のステップS11からステップS13までは、実施形態の説明(図5参照)と変わらない。以降では、ステップS13で、群形成部5は、最初に基準となる画像バンプ823(図7参照)を設定した場合について説明する。この場合、群形成部5は、画像バンプ823を含む第一バンプ群を設定する。
【0043】
次のステップS21で、群形成部5は、画像バンプ823の第一方向および前記第二方向の認識エリア内に離隔して並び、かつ大きさが許容誤差以内の別の画像バンプ82の中心点を認識する認識処理を行う。図7に示される例で、群形成部5は、画像バンプ823の第一方向の右側の認識エリア内に、別の画像バンプ821の中心点C1を認識することができる
【0044】
次のステップS22で、別の画像バンプ82の認識が有ったか否かが判定される。有った場合のステップS23で、群形成部5は、認識した画像バンプ821を第一バンプ群へ編入する。さらに、群形成部5は、第二方向に別の画像バンプ82の中心点を認識した場合に、第二方向の別の画像バンプ82を第一バンプ群に編入する。
【0045】
次のステップS24で、群形成部5は、全ての画像バンプ82を基準とした認識処理が終了したか否かを判定する。否の場合、動作フローの実行はステップS13に戻される。2回目のステップS13で、第一バンプ群に編入された画像バンプ821が新たな基準に設定され、ステップS21が実行される。
【0046】
2回目のステップS21で、群形成部5は、画像バンプ821の第一方向の右側の認識エリア内に、別の画像バンプ822の中心点C2を認識することができる。したがって、ステップS22を経由した2回目のステップS23で、群形成部5は、認識した画像バンプ822を第一バンプ群へ編入する。このようにして、群形成部5は、いわゆる芋蔓式に画像バンプ82を増やして第一バンプ群を形成することができる。図3に示される画像データGDにおいて、9個の画像バンプ82は、最終的に第一バンプ群に編入される。
【0047】
なお、ステップS22で別の画像バンプ82の認識が無かった場合、動作フローはステップS24に進められる。ステップS24で、群形成部5は、全ての画像バンプ82を基準とした認識処理が終了したか否かを判定する。終了していた場合、全ての画像バンプ82が第一バンプ群に編入されたことになり、サブ動作フローは終了となる。
【0048】
終了していなかった場合、第一バンプ群に編入されない画像バンプ82が存在する。この場合、群形成部5は、第一バンプ群に編入されない画像バンプ82を含む第二バンプ群を設定して、動作フローの実行をステップS13に戻す。そして、群形成部5は、第一バンプ群に編入されない画像バンプ82を新たな基準として、ステップS21の認識処理、およびステップS23の編入処理を行う。さらに、群形成部5は、基準を変更して認識処理および編入処理を繰り返すことにより、最終的な第二バンプ群を形成することができる。
【0049】
変形形態において、バンプ群を形成する過程が実施形態と相違するが、形成されるバンプ群および生成されるバンプ位置データは、実施形態と変わらない。したがって、実施形態と同様、バンプ位置データの実用精度を従来よりも高めることができ、さらに、部品71の装着作業時の画像処理エラーや装着位置エラーを抑制することができる。
【0050】
5.別の部品の例
次に、本実施形態を適用できる別の部品(バンプ部品)の例について、図13および図14を参考にして説明する。まず、バンプ72の配列は、第一方向と第二方向で個数が相違してもよく、例えば、3×4の格子配列に配列されてもよい。次に、図13に示された第二例の部品73は、その底面に合計で13個のバンプ(74、75)が千鳥配置されている。そして、円形で示された9個のバンプ74は、規則的な3×3の格子配列とされている。一方、ハッチング付きの円形で示された残る4個のバンプ75は、9個のバンプ74の斜め方向の相互間の中間に位置し、規則的な2×2の格子配列とされている。
【0051】
この部品73を撮像した画像データ内において、群形成部5は、13個のバンプ(74、75)を内包する最小の長方形を求めて、第一方向および第二方向を決定することができる。ここで、バンプ75は、バンプ74から見て第一方向や第二方向に位置せず、概ね斜め45°の方向に位置する。したがって、群形成部5は、9個のバンプ74の画像バンプにより第一バンプ群を形成し、4個のバンプ75の画像バンプにより第二バンプ群を形成する。
【0052】
また、データ生成部6は、互いに入り組んだ配置となる第一バンプ群および第二バンプ群についてそれぞれ、バンプ位置データを生成する。さらに、データ生成部6は、二組のバンプ位置データの相互位置関係を表すデータを生成する。図13に示される部品73の場合、二組のバンプ位置データの中心が一致するという相互位置関係のデータが生成される。
【0053】
次に、図14に示された第三例の部品76は、底面の左側に入力用の6個のバンプ77が配置され、底面の右側に出力用の4個のバンプ78が配置されている。6個のバンプ77は、規則的な2×3の格子配列とされ、4個のバンプ78は、規則的な2×2の格子配列とされている。バンプ77は、バンプ78よりも格段に大きい。
【0054】
この部品76を撮像した画像データ内において、群形成部5は、合計10個のバンプ(77、78)を内包する最小の長方形を求めて、第一方向および第二方向を決定することができる。ここで、バンプ77の画像バンプおよびバンプ78の画像バンプは、許容誤差を越えた大きさの違いがあるため、自動的に別々のバンプ群となる。このため、群形成部5は、6個のバンプ77の画像バンプにより第一バンプ群を形成し、4個のバンプ78の画像バンプにより第二バンプ群を形成する。
【0055】
また、データ生成部6は、互いに離隔した配置となる第一バンプ群および第二バンプ群についてそれぞれ、バンプ位置データを生成する。さらに、データ生成部6は、二組のバンプ位置データの相互位置関係を表すデータを生成する。図14に示される部品76の場合、二組のバンプ位置データの中心が第一方向に離隔する離隔距離のデータが生成される。
【0056】
図13図14に例示される部品(73、76)に対して、実施形態および変形形態のバンプ位置データ生成装置1は、図1に例示される部品71と同様に動作し、同様の作用および効果が発生する。さらに、バンプ位置データ生成装置1は、例示した部品(71、73、76)以外、例えば、四角形の底面の向かい合う二辺に複数の電極が並んだ部品に対して適用することができる。
【0057】
6.実施形態の応用および変形
なお、バンプ(72、74、75、77、78)の形状が長方形である場合に、所定幅Wは、長方形の長辺や短辺、または対角線の長さに一定の比率を乗算して設定することができる。また、バンプ(72、74、75、77、78)の設計上の配列ピッチが第一方向と第二方向とで相違する場合、データ生成部6は、第一方向および第二方向の方向ごとに配列ピッチを均一化したバンプ位置データを生成する。さらに、バンプ位置データからテンプレートを作成することは必須でなく、バンプ位置データは、様々な方法により装着作業時の画像処理に適用することができる。実施形態および変形形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1:バンプ位置データ生成装置 2:撮像部 3:制御部 4:画像処理部 5:群形成部 6:データ生成部 71:部品 72:バンプ 73:部品 74:バンプ 75:バンプ 76:部品 77:バンプ 78:バンプ 81:画像部品 82、821~826:画像バンプ GD:画像データ RC:長方形 W:所定幅 A:所定角度 C1~C6:中心点
図1
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図3
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図10
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図14