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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/22 20110101AFI20240122BHJP
   F24F 1/46 20110101ALI20240122BHJP
   F24F 1/38 20110101ALI20240122BHJP
   F24F 1/56 20110101ALI20240122BHJP
【FI】
F24F1/22
F24F1/46
F24F1/38
F24F1/56
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022551466
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(86)【国際出願番号】 JP2020035803
(87)【国際公開番号】W WO2022064561
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 純一
(72)【発明者】
【氏名】前澤 光宣
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-069927(JP,U)
【文献】特開2014-129921(JP,A)
【文献】特開平06-074494(JP,A)
【文献】特開平10-132336(JP,A)
【文献】特開2018-071863(JP,A)
【文献】特開2007-101016(JP,A)
【文献】特開2011-214726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/06-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の水平方向へ並び、かつ前記筐体の内側から空気を吸い込んで前記筐体の上方へ吹き出す2つの送風機と、
前記2つの送風機に対応する2つのベルマウスと、
前記筐体に収容される圧縮機と、
前記圧縮機の駆動、または前記2つの送風機の駆動に係る電気部品と、を備え、
前記2つのベルマウスは、実質的に同形状であり、いずれか一方の前記ベルマウスをいずれか他方の前記ベルマウスに対して前記送風機の回転中心線周りに180度回転させて向かい合わせた状態で連結されて、前記2つの送風機が配置される2つの通風路と、前記2つの通風路の外側および前記筐体の内面に区画される非通風空間と、を区画し、
前記電気部品は、前記非通風空間に配置され、
それぞれの前記ベルマウスは、前記2つのベルマウスの継ぎ目の真下に配置される樋を有し、
前記樋は、前記継ぎ目の中央よりも前記継ぎ目の端部側に設けられ、前記2つのベルマウスを前記向かい合わせた状態で、互い違いに位置するように設けられている空気調和機の室外機。
【請求項2】
それぞれの前記ベルマウスは、それぞれの前記ベルマウスの天面から面一に延びて連結相手の前記ベルマウスの前記樋の真上に被さる蓋部と、連結相手の前記ベルマウスの前記蓋部を前記ベルマウスの天面に面一に納める凹部と、を有する請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項3】
前記電気部品は、前記樋の真下に配置される請求項1または2に記載の空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機の室外機は、筐体内に設けられる電源トランスを備えている。電源トランスは、板金製の箱状のカバーで覆われて、熱交換器で熱交換された空気を流通させる風路に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-065704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室外機は、屋外に設置される。そのため、室外機は、風雨に曝される。熱交換器で熱交換された空気を流通させる室外機内の風路には、雨水のような水分が容易に侵入する。
【0005】
そこで、室外機内の風路に配置される電源トランスのような電気部品を覆うカバーの防水性は、確実に確保されていなければならない。仮にカバーの防水性が損なわれると、カバー内の電気部品の健全性が損なわれる虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、電気部品に水分、例えば雨水が到達することを妨げて電気部品の健全性をより確実に維持可能な空気調和機の室外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機は、筐体と、前記筐体の水平方向へ並び、かつ前記筐体の内側から空気を吸い込んで前記筐体の上方へ吹き出す2つの送風機と、前記2つの送風機に対応する2つのベルマウスと、前記筐体に収容される圧縮機と、前記圧縮機の駆動、または前記2つの送風機の駆動に係る電気部品と、を備えている。前記2つのベルマウスは、実質的に同形状であり、いずれか一方の前記ベルマウスをいずれか他方の前記ベルマウスに対して前記送風機の回転中心線周りに180度回転させて向かい合わせた状態で連結されて、前記2つの送風機が配置される2つの通風路と、前記2つの通風路の外側および前記筐体の内面に区画される非通風空間と、を区画する。前記電気部品は、前記非通風空間に配置されている。それぞれの前記ベルマウスは、前記2つのベルマウスの継ぎ目の真下に配置される樋を有し、前記樋は、前記継ぎ目の中央よりも前記継ぎ目の端部側に設けられ、前記2つのベルマウスを前記向かい合わせた状態で、互い違いに位置するように設けられている。
【0008】
本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機のそれぞれの前記ベルマウスは、それぞれの前記ベルマウスの天面から面一に延びて連結相手の前記ベルマウスの前記樋の真上に被さる蓋部と、連結相手の前記ベルマウスの前記蓋部を前記ベルマウスの天面に面一に納める凹部と、を有することが好ましい。
【0009】
本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の前記電気部品は、前記樋の真下に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、電気部品に水分、例えば雨水が到達することを妨げて電気部品の健全性をより確実に維持可能な空気調和機の室外機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の斜視図。
図2】本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機のフレーム、モーターベース、送風機の斜視分解図。
図3】本発明の実施形態に係る室外機のベルマウスの斜視図。
図4】本発明の実施形態に係る室外機のベルマウスとフレームとの部分的な断面図。
図5】本発明の実施形態に係る室外機のベルマウスの部分的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る空気調和機の室外機の実施形態について図1から図5を参照して説明する。なお、複数の図面中、同じまたは相当する構成には同一の符号が付されている。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機の斜視図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る空気調和機は、室外機1と、室内機(図示省略)と、を備えている。室内機の設置場所は建築物の室内である。室外機1の設置場所は建築物の室外である。室外機1は、実質的に水平な基礎の上、つまり設置面に設置される。室内機は、室内の天井に埋め込まれたり、天井や梁から吊り下げられたりして設置される。
【0015】
また、空気調和機は、冷凍サイクル(図示省略)を備えている。冷凍サイクルは、熱源側の熱交換器4と、圧縮機2と、利用側の熱交換器(図示省略)と、膨張機(図示省略)と、これらの機器に冷媒を循環させる冷媒管(図示省略)と、を備えている。冷凍サイクルは、空気調和機の冷却運転と加熱運転とを切り替える四方弁(図示省略)を備えていても良い。
【0016】
さらに、空気調和機は、冷暖同時運転型であっても良い。冷暖同時運転型の空気調和機は、複数の室内機と、少なくとも1つの室外機と、複数の室内機と少なくとも1つの室外機との間で冷媒を往来させる複数の渡り管と、を備えている。複数の渡り管は、圧縮機2から吐出された高圧のガス冷媒を流通させる高圧ガス管と、熱源側の熱交換器4で凝縮された液冷媒を流通させる液管と、利用側の熱交換器で熱交換された低圧のガス冷媒を圧縮機2へ流通させる低圧ガス管と、を含んでいる。
【0017】
室外機1は、冷凍サイクルの熱源側の熱交換器4、圧縮機2、四方弁、第1電気部品箱9、および第2電気部品箱59を収容している。室内機は、冷凍サイクルの利用側の熱交換器を収容している。膨張弁は、室内機に収容されていても良いし、室外機に収容されていても良い。また、膨張弁は、室内機および室外機の両方に設けられていても良い。
【0018】
室外機と室内機とは、渡り管(図示省略)を介して接続されている。渡り管は、冷媒管の一部である。空気調和機は、室外機1側の熱交換器4と室内機側の熱交換器との間で冷媒を循環させて室内の空気を調和する。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る空気調和機の室外機のフレーム、モーターベース、送風機の斜視分解図である。
【0020】
図1に加えて、図2に示すように、本実施形態に係る空気調和機の室外機1は、高さ寸法よりも幅寸法が小さく、かつ幅寸法よりも奥行き寸法が小さい直方体形状の筐体3と、筐体3に設けられるモーターベース5と、モーターベース5に支持される送風機6と、を備えている。
【0021】
筐体3の内部には、熱交換器4および圧縮機2を収容する機械室7と、送風機6を収容する送風機室8と、が区画されている。機械室7は、筐体3内の下部に配置されている。送風機室8は、機械室7の上方に配置されている。送風機室8の上面には、吹出口11を有するベルマウス12が設けられている。
【0022】
送風機室8には左送風機6Lと右送風機6Rとの2つの送風機6が配置されている。左送風機6Lの真上には左吹出口11Lを有する左ベルマウス12Lが設けられている。右送風機6Rの真上には右吹出口11Rを有する右ベルマウス12Rが設けられている。つまり、室外機1は、複数の送風機6と、送風機6と同数の吹出口11およびベルマウス12と、を備えている。
【0023】
筐体3は、フレーム15と、フレーム15の正面を覆う外板16と、を備えている。
【0024】
フレーム15は、鋼板の板金加工品である複数の部材の組立品である。各部材はネジ止めや溶接によって接合されている。フレーム15は、筐体3の底面に配置されるベースフレーム21と、ベースフレーム21の四隅それぞれから上方へ延びる4つのピラー22と、隣り合うピラー22の間のそれぞれに架け渡される4つのビーム23と、を備えている。
【0025】
ベースフレーム21は、設置面に平行に延びて井桁状に組み合わされた複数の桁材25を備えている。複数の桁材25は、筐体3の正面に沿う前桁材25F、筐体3の背面に沿う後桁材25R、前桁材25Fと後桁材25Rとの間に架設される複数の縦桁材25Cと、を含んでいる。前桁材25Fと後桁材25Rとは、平行に延びている。前桁材25Fの左端は、筐体3の底部の左前の角部に相当し、前桁材25Fの右端は、筐体3の底部の右前の角部に相当する。後桁材25Rの左端は、筐体3の底部の左後ろの角部に相当し、後桁材25Rの右端は、筐体3の底部の右後ろの角部に相当する。
【0026】
4つのピラー22は、互いに平行に延びている。4つのピラー22は、実質的に同じ長さ寸法を有している。ピラー22の長さは、筐体3の高さに相当する。
【0027】
4つのビーム23は、ピラー22の長さの中途であって、筐体3の高さ方向において実質的に同じ箇所に架け渡されている。換言すると、4つのビーム23は、筐体3を設置面に接地した状態で、実質的に設置面に平行に延びている。4つのビーム23は、機械室7と送風機室8との境である。4つのビーム23より下方の筐体3の内部空間は、機械室7であり、4つのビーム23より上方の筐体3の内部空間は、送風機室8である。
【0028】
4つのビーム23は、左前のピラー22と右前のピラー22とに架け渡されるフロントビーム23Fと、左後ろのピラー22と右後ろのピラー22とに架け渡されるリアビーム23Rと、を含んでいる。これらフロントビーム23Fとリアビーム23Rとは、平行に延びている。さらに、筐体3は、4つのビーム23の他にフロントビーム23Fとリアビーム23Rとに架け渡されるセンタービーム23Cを備えている。
【0029】
外板16は、筐体3の機械室7の正面、すなわち前の側面を覆い、かつ同一面内で適宜に分割されている。外板16は、鋼板の板金加工品である複数の部材を含んでいる。それぞれの部材は、フレーム15にネジ止めされている。筐体3の背面、左側面、および右側面は、開口を有している。この開口には、熱交換器4が露出している。
【0030】
室外機1に収容される熱交換器4は、左熱交換器4Lおよび右熱交換器(図示省略)を含んでいる。熱交換器4は、ピラー22で囲まれる筐体3の背面、左側面、および右側面のそれぞれに沿っている。それぞれの熱交換器4は、筐体3の平面視でコの字形状(図示省略)に形成された板状の熱交換器であり、コの字の開口部を筐体3の正面である外板16へ向けている。そのため、筐体3の機械室7は、背面、左側面、および右側面の開口に露出する熱交換器4に、直接外気を送り込み、送風機室8へ外気が抜ける構造を有している。
【0031】
フロントビーム23Fは、断面L字形状の鋼板の一体成形品である。フロントビーム23Fは、左前のピラー22と右前のピラー22との間に水平に架け渡されている。フロントビーム23Fの左側の端部は、左前のピラー22にネジ止め、または溶接されている。フロントビーム23Fの右側の端部は、右前のピラー22にネジ止め、または溶接されている。断面L字形状のフロントビーム23Fは、筐体3の正面に沿う第一板部27と、筐体3の正面から筐体3の内側へフランジ状に突出する第二板部28と、を有している。
【0032】
リアビーム23Rは、フロントビーム23Fの鏡像の形状を有している。リアビーム23Rは、断面L字形状の鋼板の一体成形品である。リアビーム23Rは、左後ろのピラー22と右後ろのピラー22との間に水平に架け渡されている。リアビーム23Rの左側の端部は、左後ろのピラー22にネジ止め、または溶接されている。リアビーム23Rの右側の端部は、右後ろのピラー22にネジ止め、または溶接されている。断面L字形状のリアビーム23Rは、筐体3の背面に沿う第一板部27と、筐体3の背面から筐体3の内側へフランジ状に突出する第二板部28と、を有している。
【0033】
センタービーム23Cは、フロントビーム23Fの中央部とリアビーム23Rの中央部との間に筐体3の奥行き方向へ水平に架設されている。センタービーム23Cの上端にはベルマウス12を支持する支持部71が設けられている。センタービーム23Cの筐体3の前側には、切欠部23Caが設けられている。フロントビーム23Fの第一板部27の中央部には、切欠部27aが設けられている。これら切欠部23Caと切欠部27aとの間には、第二電気部品箱59を搭載する搭載部29が水平に設けられている。
【0034】
モーターベース5は、板金加工された鋼板の一体成形品である。モーターベース5は、一対の横架材としてのフロントビーム23Fおよびリアビーム23Rに架設されている。つまり、モーターベース5は、筐体3の奥行き方向へ架設されている。室外機1は、複数の送風機6と同数のモーターベース5、つまり2つのモーターベース5を備えている。左モーターベース5Lは、左送風機6Lを支えている。右モーターベース5Rは、右送風機6Rを支えている。
【0035】
2つの送風機6、つまり左送風機6Lおよび右送風機6Rは、筐体3の水平方向であって、筐体3の幅方向へ並んでいる。2つの送風機6は、筐体3の内側から空気を吸い込んで筐体3の上方へ吹き出す。つまり、左送風機6Lは、もっぱら左熱交換器4Lを介して空気を吸い込み、左ベルマウス12Lの左吹出口11Lから筐体3の上方へ空気を吹き出す。また、右送風機6Rは、もっぱら右熱交換器を介して空気を吸い込み、右ベルマウス12Rの右吹出口11Rから筐体3の上方へ空気を吹き出す。
【0036】
送風機6は、モーターベース5に支持される電動機31と、電動機31によって回転駆動される羽根車32と、を備えている。送風機6は、筐体3の高さ方向、つまり筐体3が水平面に接地された状態における鉛直方向に電動機31の回転軸33を向けている。
【0037】
電動機31の回転軸33は、電動機31のケーシング35から鉛直上向きに突出している。ケーシング35は、回転軸33に直交する方向へ突出する複数の脚部36を備えている。送風機6は、脚部36を介してモーターベース5に支持されている。
【0038】
羽根車32は、いわゆる軸流式(Axial flow impeller)である。羽根車32は、単にプロペラとも呼ばれる。羽根車32は、電動機31の回転軸33に固定されている。羽根車32は、電動機31のケーシング35の上方に配置されている。
【0039】
第一電気部品箱9は、機械室7内の前方上部に配置され、右前のピラー22およびフロントビーム23Fに支持されている。第一電気部品箱9は、制御回路や駆動回路などを含む各種の電気部品を収容している。
【0040】
図3は、本発明の実施形態に係る室外機のベルマウスの斜視図である。
【0041】
図4は、本発明の実施形態に係る室外機のベルマウスとフレームの部分的な断面図である。
【0042】
図1に加えて、図3および図4に示すように、本実施形態に係る室外機1は、2つの送風機6に対応する2つのベルマウス12を備えている。
【0043】
2つのベルマウス12は、実質的に同形状であり、実質的に同寸法である。また、2つのベルマウス12は、いずれか一方のベルマウス12をいずれか他方のベルマウス12に対して送風機6の回転中心線周りに180度回転させて向かい合わせた状態で連結される。換言すると、2つのベルマウス12は、2つのベルマウス12の継ぎ目41側から見る、つまり、一方のベルマウス12を他方のベルマウス12側から見たり、他方のベルマウス12を一方のベルマウス12側から見たりすると、実質的に同形状であり、実質的に同寸法である。
【0044】
それぞれのベルマウス12は、送風機6が配置される通風路42を区画する円筒形状部43と、円筒形状部43の上端に連接する天板部45と、円筒形状部43の下端に連接する底板部46と、を有している。
【0045】
円筒形状部43は、送風機6の回転中心線に実質的に一致する中心線を有して筐体3の上下方向へ延びている。通風路42は、円筒形状部43の内側の空間であって、送風機6の回転を妨げない円筒形状の空間である。
【0046】
天板部45は、円筒形状部43の中心線に直行する平面に沿って延びている。天板部45は、円筒形状部43外周面と筐体3内面との間に区画される空間を閉じるように広がっている。天板部45の外縁部には、天板部45の剛性を高める補強リブ48が設けられている。補強リブ48は、底板部46へ向かって垂れ下がっている。
【0047】
底板部46は、円筒形状部43の中心線に直行する平面に沿って延びている。底板部46は、円筒形状部43外周面と筐体3内面と間に区画される空間を閉じるように広がっている。底板部46の外縁部には、底板部46の剛性を高める補強リブ49が設けられている。補強リブ49は、天板部45から遠ざかるように、下方へ向かって垂れ下がっている。
【0048】
また、ベルマウス12は、円筒形状部43の周方向に適宜の間隔で設けられる複数の補強リブ50を備えている。それぞれの補強リブ50は、円筒形状部43の外周面と底板部46の上面とに跨って延びている。
【0049】
それぞれのベルマウス12は、円筒形状部43を境に上下方向に二分割されている。それぞれのベルマウス12は、底板部46と円筒形状部43の入口側部分とを一体に有するベルマウス下部材51と、天板部45と円筒形状部43の出口側部分とを一体に有するベルマウス上部材52と、ベルマウス下部材51とベルマウス上部材52とを連結するロック機構53と、を備えている。ロック機構53は、引っ掛かり合う凹凸の組み合わせを複数含んでいる。凹部は、例えば穴であり、凸部は、例えば爪である。ベルマウス下部材51とベルマウス上部材52とは、送風機6の回転中心線に沿う方向に組み合わされて連結されている。ベルマウス下部材51とベルマウス上部材52との連結面55は、通風路42の出口側に近いことが好ましい。
【0050】
そして、2つのベルマウス12は、2つの送風機6が配置される2つの通風路42と、2つの通風路42の外側および筐体3の内面で区画される非通風空間58と、を区画する。非通風空間58は、それぞれのベルマウス12の円筒形状部43の外側の空間であり、かつ筐体3の内側の空間である。
【0051】
室外機1は、この非通風空間58に配置される第二電気部品箱59を備えている。第二電気部品箱59は、例えば積層鉄芯(図示省略)と、積層鉄芯にまかれるコイル(図示省略)と、を有するリアクター(図示省略)を収容している。リアクターは、圧縮機2の駆動制御を行うインバーター回路が発生させるノイズの影響を抑制する。
【0052】
2つのベルマウス12および筐体3が区画する非通風空間58は、通風路42から縁切りされた空間であって、室外機1内の空気の流れが積極的に流通する空間ではない。つまり、非通風空間58に配置される第2電気部品箱59は、熱交換器4で熱交換された空気を流通させる風路の外側にある。そのため、非通風空間58に配置される第二電気部品箱59は、室外機1内の風路を通る空気に含まれる水分に晒されることはない。
【0053】
ところで、2つのベルマウス12および筐体3が区画する非通風空間58には、2つのベルマウス12の継ぎ目41を通じて雨水などの水分が侵入する虞がある。
【0054】
そこで、室外機1のそれぞれのベルマウス12は、2つのベルマウス12の継ぎ目41の真下に配置される樋61を備えている。
【0055】
図5は、本発明の実施形態に係る室外機のベルマウスの部分的な断面図である。
【0056】
図5の断面は、2つのベルマウス12の継ぎ目41に交差し、横断する断面である。
【0057】
図3および図4に加えて、図5に示すように、本実施形態に係る室外機1の樋61は、一方のベルマウス12の天板部45の下面からの突出し、他方のベルマウス12の天板部45の下面に達している。樋61の断面形状は、筐体3の上方、つまり、2つのベルマウス12の天板部45の下面へ向かって解放されるU文字形状である。
【0058】
樋61は、継ぎ目41を通じて滴下する雨水などの水分を受け、この水分を継ぎ目41の中央よりの端部または継ぎ目41の端よりの端部へ導き、滴下させる。
【0059】
また、樋61は、継ぎ目41に沿って延びている。樋61は、継ぎ目41の中央へ向かって下り傾斜していても良いし、継ぎ目41の端へ向かって下り傾斜していても良いし、実質的に水平に延びていても良い。
【0060】
ところで、2つのベルマウス12は、実質的に同形状である。したがって、例えば、両方のベルマウス12の継ぎ目41の全長に渡って樋61が存在していると、一方のベルマウス12の樋61が他方のベルマウス12の樋61に干渉してしまい、2つのベルマウス12の連結は、阻止されてしまう。つまり、いずれか一方のベルマウス12をいずれか他方のベルマウス12に対して円筒形状部43の中心線周りに180度回転させて向かい合わせた状態で、一方のベルマウス12の樋61が他方のベルマウス12の樋61に対面していると、2つのベルマウス12の連結は、阻止されてしまう。
【0061】
そこで、2つのベルマウス12を連結可能に向かい合わせた場合に、一方のベルマウス12の樋61と他方のベルマウス12の樋61とが、互い違いに位置するように設けられている。換言すると、2つのベルマウス12を連結可能に向かい合わせた場合に、一方のベルマウス12の樋61と他方のベルマウス12の樋61とは、互い違いに位置して対面しない。本実施形態に係るベルマウス12では、一方のベルマウス12の樋61と他方のベルマウス12の樋61とが対面することを避けるために、樋61は、継ぎ目41の中央よりも継ぎ目41の一方の端部側に設けられ、継ぎ目41の中央よりも継ぎ目41の他方の端部側には設けられていない。図3では、樋61は、継ぎ目41の中央よりも継ぎ目41の奥側の端部に設けられ、継ぎ目41の中央よりも継ぎ目41の手前側の端部には設けられていない。
【0062】
互い違いに設けられる2つのベルマウス12の樋61は、2つのベルマウス12を連結した状態で継ぎ目41に沿って繋がっていても良いし、繋がっていなくても良い。
【0063】
また、それぞれのベルマウス12は、それぞれのベルマウス12の天面12aから面一に延びて連結相手のベルマウス12の樋61の真上に被さる蓋部62と、連結相手のベルマウス12の蓋部62をベルマウス12の天面12aに面一に納める凹部63と、を備えている。
【0064】
蓋部62は、一方のベルマウス12の天板部45からの突出し、他方のベルマウス12の天板部45に達している。
【0065】
蓋部62は、2つのベルマウス12を連結可能に向かい合わせた場合に、一方のベルマウス12の蓋部62と他方のベルマウス12の蓋部62とが、互い違いに位置するように設けられている。換言すると、2つのベルマウス12を連結可能に向かい合わせた場合に、一方のベルマウス12の蓋部62と他方のベルマウス12の蓋部62とは、互い違いに位置して対面しない。本実施形態に係るベルマウス12では、一方のベルマウス12の蓋部62と他方のベルマウス12の蓋部62とが対面することを避けるために、蓋部62は、継ぎ目41の中央よりも継ぎ目41の他方の端部側に設けられ、継ぎ目41の中央よりも継ぎ目41の一方の端部側には設けられていない。図3では、蓋部62は、継ぎ目41の中央よりも継ぎ目41の手前の端部に設けられ、継ぎ目41の中央よりも継ぎ目41の奥側の端部には設けられていない。
【0066】
蓋部62は、継ぎ目41に沿って延びている。蓋部62は、真下に位置する樋61の少なくとも一方の端部に重なっていれば良い。本実施形態の蓋部62は、継ぎ目41の中央に近い方の樋61の端部に重なっている。
【0067】
それぞれのベルマウス12の凹部63は、2つのベルマウス12を連結した状態で連結相手の蓋部62を納める。
【0068】
2つのベルマウス12の継ぎ目41には、それぞれのベルマウス12の補強リブ48が隣り合う。そのため、ベルマウス12の継ぎ目41には、隣り合う補強リブ48、樋61、蓋部62によるラビリンス構造が構成される。この構造は、水分の侵入を確実に防ぐ。
【0069】
そして、第二電気部品箱59は、樋61の真下に配置されている。つまり、樋61は、2つのベルマウス12の継ぎ目41から非通風空間58に流れ込む水分が、第二電気部品箱59に降り注ぐことを防ぎ、かつ第二電気部品箱59に水分が達しないよう、第二電気部品箱59から遠ざける。
【0070】
ベルマウス12の底板部46は、第二電気部品箱59を配置する切欠部65を備えている。切欠部65は、2つのベルマウス12を連結した状態で第二電気部品箱59が筐体3のフレーム15(搭載部29)に直接的に支持されるよう、第二電気部品箱59を避けている。
【0071】
また、非通風空間58に配置される第二電気部品箱59は、2つのベルマウス12の継ぎ目41に双方向から見ても、2つのベルマウス12の継ぎ目41に交差する方向から見ても、ベルマウス12の円筒形状部43に重なってる。第二電気部品箱59は、隣り合う2つの円筒形状部43が描く平面視くさび形状の空間に入り込んでいる。このような第二電気部品箱59の配置は、非通風空間58の不要な拡大を抑制しつつ、筐体3内の空間の効率的な利用を可能にする。
【0072】
図2および図4に示すように2つのベルマウス12の底板部46の継ぎ目は、センタービーム23Cの支持部71に支持されている。支持部71は、センターピラー23Cの筐体3の奥行き方向の中央部に設けられている。支持部71は、右支持片71Rと、センター支持片71Cと、左支持片71Lと、を含んでいる。これら支持片71R、71C、71Lは、筐体3の前側から右支持片71R、センター支持片71C、左支持片71L、右支持片71R、センター支持片71C、左支持片71L、………のように規則的に並んでいる。右支持片71Rとセンター支持片71Cとは、ベルマウス12Rの底板部46の補強リブ49下端を支持している。左支持片71Lとセンター支持片71Cとは、ベルマウス12Lの底板部46の補強リブ49下端を支持している。これにより2つのベルマウス12の底板部46の継ぎ目は、隙間を有している。この隙間は、2つのベルマウス12の継ぎ目41や、ベルマウス12と筐体3との隙間から非通風空間58に侵入する水分を筐体3の機械室7へ排水する。
【0073】
本実施形態に係る室外機1は、実質的に同形状であり、いずれか一方のベルマウス12をいずれか他方のベルマウス12に対して送風機6の回転中心線周りに180度回転させた状態で向かい合わせに連結されて、2つの送風機6が配置される2つの通風路42と、2つの通風路42の外側および筐体3の内面に区画される非通風空間58と、を区画する2つのベルマウス12と、非通風空間58に配置される第二電気部品箱59と、を備えている。それぞれのベルマウス12は、2つのベルマウス12の継ぎ目41の真下に配置される樋61を備えている。つまり、非通風空間58は、筐体3内であって、熱交換器4で熱交換された空気を流通させる室外機1内の風路の外側に区画されている。室外機1の第二電気部品箱59は、この非通風空間58に配置されている。また、室外機1のそれぞれのベルマウス12は、2つのベルマウス12の継ぎ目41から非通風空間58に侵入する水分を受ける樋61を備えている。そのため、室外機1は、第二電気部品箱59に水分が滴り落ちることを妨げて第二電気部品箱59の健全性をより確実に維持できる。
【0074】
本実施形態に係る室外機1のベルマウス12は、天面12aから面一に延びて連結相手のベルマウス12の樋61の真上に被さる蓋部62と、連結相手のベルマウス12の蓋部62をベルマウス12の天面12aに面一に納める凹部63と、を備えている。そのため、室外機1は、第二電気部品箱59に水分が到達することをより確実に妨げて第二電気部品箱59の健全性をさらに確実に維持できる。
【0075】
本実施形態に係る室外機1の第二電気部品箱59は、樋61の真下に配置されている。そのため、室外機1は、非通風空間58に侵入する水分を第二電気部品箱59から遠ざけて第二電気部品箱59の健全性をさらに確実に維持できる。
【0076】
したがって、本実施形態にかかる空気調和機の室外機1によれば、第二電気部品箱59に水分、例えば雨水が到達することを妨げて第二電気部品箱59の健全性をより確実に維持できる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1…室外機、2…圧縮機、3…筐体、5…モーターベース、5L…左モーターベース、5R…右モーターベース、6…送風機、6L…左送風機、6R…右送風機、7…機械室、7L…左機械室、7R…右機械室、8…送風機室、8L…左送風機室、8R…右送風機室、11…吹出口、11L…左吹出口、11R…右吹出口、12…ベルマウス、12L…左ベルマウス、12R…右ベルマウス、12a…天面、15…フレーム、16…外板、21…ベースフレーム、22…ピラー、23…ビーム、23F…フロントビーム、23R…リアビーム、25…桁材、25F…前桁材、25R…後桁材、25C…縦桁材、27…第一板部、28…第二板部、31…電動機、32…羽根車、33…回転軸、35…ケーシング、36…脚部、41…継ぎ目、42…通風路、43…円筒形状部、45…天板部、46…底板部、48、49、50…補強リブ、51…ベルマウス下部材、52…ベルマウス上部材、53…ロック機構、55…連結面、58…非通風空間、59…第二電気部品箱、61…樋、62…蓋部、63…凹部、65…切欠部。
図1
図2
図3
図4
図5