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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】連携装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240122BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240122BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240122BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240122BHJP
   B66B 1/14 20060101ALN20240122BHJP
【FI】
G05D1/02 T
G09B29/00 Z
G01C21/26 A
G08G1/00 X
B66B1/14 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023003259
(22)【出願日】2023-01-12
(62)【分割の表示】P 2020006807の分割
【原出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2023041710
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】木村 駿介
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-282329(JP,A)
【文献】国際公開第2018/189770(WO,A1)
【文献】特開昭60-167883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
G09B 29/00
G01C 21/26
G08G 1/00
B66B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数フロアを有する建物に設けられたエレベータと、前記建物の内部を移動する移動体と、を連携させる連携装置であって、
前記エレベータおよび前記移動体と通信を行う通信部と、
前記通信部から得られた情報に基づいて制御を決定する制御部と、
前記建物の各フロアの地図情報を格納する蓄積部と、
を備え、
前記通信部は、前記エレベータのエレベータかごの扉の開状態を示す情報を受信し、
前記制御部は、前記開状態を示す情報に基づき、前記エレベータかごとエレベータ乗り場との間の移動を許可する許可信号を生成し、
前記通信部は、前記移動体に、前記エレベータ乗り場から前記エレベータかごへの移動を許可する前記許可信号を送信し、
前記通信部は、前記許可信号を前記移動体に送信した後、前記蓄積部に格納された、前記エレベータの行先フロアの前記地図情報を前記移動体に送信し、
前記移動体は、前記エレベータかごに乗車する前に乗降ポイントで待機し、
前記エレベータが行先フロアに到着した後、前記通信部は、前記移動体に、前記エレベータかごからの降車を許可する前記許可信号を送信し、
前記移動体は、前記エレベータかごから降車した後に前記行先フロアの乗降ポイントへ行き、
各フロアの乗降ポイントは、水平方向の所定の位置に決められている
連携装置。
【請求項2】
前記エレベータが出発フロアと前記行先フロアとの間のフロアで停止したとき、前記移動体は前記エレベータかごから降車せず前記エレベータかごで待機し、前記通信部は前記移動体への前記地図情報の送信を続ける
請求項1に記載の連携装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記移動体が前記エレベータのエレベータかごに乗車した状態のとき、前記移動体に前記地図情報を送信する
請求項1または請求項2に記載の連携装置。
【請求項4】
前記通信部は、複数の前記移動体のそれぞれに対して、前記地図情報を送信する
請求項1から3のいずれか1項に記載の連携装置。
【請求項5】
前記通信部は、前記地図情報として経路情報を送信する
請求項から4のいずれか1項に記載の連携装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連携装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自律走行型のロボットでは、地図情報を基に現在位置を推定し、現在位置から目標位置まで経路を算出し、算出された経路に沿ってロボットを移動させている。ここで、地図情報とは、壁や障害物などによる移動不可情報や目標位置、目標経路情報、または移動体が移動可能か否かなどの、移動体が空間を認識するための情報やその空間での作業を行うために必要な情報の一部若しくは全部を含むデータを示す。また、移動体への地図情報の配信システムとしては、特許文献1に示されているものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-37331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、自律走行型のロボットでは、現在位置推定や経路算出を行うのに地図情報が必要になる。このため、移動範囲が広くなるに従って、必要な地図情報は増大し、大容量のメモリをロボットに搭載する必要が生じてくる。
【0005】
そこで、地図情報をサーバに蓄積しておき、ロボットが移動する際に、サーバと通信を行い、地図情報を更新していくことが考えられる。しかしながら、地図情報の読み込み、更新にはある程度の時間を必要とするため、ロボットが自律走行しながら、リアルタイムで地図情報を更新していくことは困難である。
【0006】
特に、高層ビルディングでロボットを移動させる場合、各階の全ての地図情報が必要になり、ロボットに膨大な記憶容量が必要になってくる。また、高層ビルディングでは、同一フロア内での移動とともに上層階や下層階への移動が行われ、ロボットに三次元的な移動が要求される。ここで、ロボットの同一フロア内での移動は、そのフロア内での地図情報を用いた自律移動となるが、上層階や下層階への移動は、エレベータにより搬送される移動となる。同一フロア内での移動では、ロボットは算出された経路情報を用いて移動できるが、エレベータに搬送されて異なるフロアに移動されると、これまでの経路情報との連続性が断ち切られ、経路情報が破綻してしまう。このため、エレベータに搬送されて異なるフロアに移動した場合には、移動先のフロアの地図情報を基に、現在位置推定や経路算出の処理をやり直す必要が生じてくる。
【0007】
上述の課題を鑑み、本発明は、地図情報の記憶容量が削減できるとともに、搬送機構が移動体を搬送する場合にも、自己位置推定や経路追従が円滑に行える連携装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る連携装置は、複数フロアを有する建物に設けられたエレベータと、前記建物の内部を移動する移動体と、を連携させる連携装置であって、前記エレベータおよび前記移動体と通信を行う通信部と、前記通信部から得られた情報に基づいて制御を決定する制御部と、前記建物の各フロアの地図情報を格納する蓄積部と、を備え、前記通信部は、前記エレベータのエレベータかごの扉の開状態を示す情報を受信し、前記制御部は、前記開状態を示す情報に基づき、前記エレベータかごとエレベータ乗り場との間の移動を許可する許可信号を生成し、前記通信部は、前記移動体に、前記エレベータ乗り場から前記エレベータかごへの移動を許可する前記許可信号を送信し、前記通信部は、前記許可信号を前記移動体に送信した後、前記蓄積部に格納された、前記エレベータの行先フロアの前記地図情報を前記移動体に送信し、前記移動体は、前記エレベータかごに乗車する前に乗降ポイントで待機し、前記エレベータが行先フロアに到着した後、前記通信部は、前記移動体に、前記エレベータかごからの降車を許可する前記許可信号を送信し、前記移動体は、前記エレベータかごから降車した後に前記行先フロアの乗降ポイントへ行き、各フロアの乗降ポイントは、水平方向の所定の位置に決められている
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地図情報を記憶しておくための大容量のメモリを移動体に用意する必要がなくなる。また、本発明によれば、地図情報の連続性を確保できるので、移動体が搬送機構によって搬送される状況においても、自己位置推定や経路追従が円滑に行える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態に係る地図情報配信システムの概要の説明図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る地図情報配信システムにおけるロボットの概略構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る地図情報配信システムにおけるサーバの概要を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る地図情報配信システムにおいてロボットを移動させる際の動作の一例を示すシーケンス図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る地図情報配信システムにおいてロボットを移動させる際の動作の他の例を示すシーケンス図である。
図6A】本発明の第2の実施形態に係る地図情報配信システムの説明に用いるシーケンス図である。
図6B】本発明の第2の実施形態に係る地図情報配信システムの説明に用いるシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る地図情報配信システム1の概要の説明図である。
【0012】
図1において、ロボット10は自律型のロボットであり、地図情報に基づく走行経路に沿って建物20を三次元的に移動する移動体である。建物20は、例えばビルディングであり、エレベータ30を備えている。エレベータ30は、エレベータカゴ31を上下に移動させることで、エレベータカゴ31内に載っている人や物を各フロアF1、F2、…間で移動させる搬送機構である。各フロアF1、F2、…のエレベータ乗り場には、エレベータ扉32-1、32-2、…が設けられている。また、本実施形態では、各フロアF1、F2、…のエレベータ乗り場には、ロボット10の乗降ポイントP1、P2、…が設けられている。
【0013】
ロボット10は、同一フロア内では自律走行により移動し、上層階や下層階へは、エレベータ30により搬送されて移動する。サーバ40は、建物20の各フロアF1、F2、…毎に、地図情報を保存している。ここで地図情報とは、壁や障害物などによる移動不可情報や目標位置、目標経路情報、または移動体が移動可能か否かなどの、移動体が空間を認識するための情報やその空間での作業を行うために必要な情報の一部若しくは全部を含むデータを示す。
【0014】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る地図情報配信システム1におけるロボット10の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、ロボット10は、制御部11と、記憶部12と、センサ部13と、アクチュエータ部14と、通信部15とから構成される。
【0015】
制御部11は、現在位置の推定、現在位置から目標位置までの経路算出等、各所の演算や処理を行う。記憶部12は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成され、地図情報等各種のデータを記憶する。センサ部13は、周辺環境の各種の情報を取得する。センサ部13としては、イメージセンサ、LIDER(Light Detection and Ranging)、測距センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPS(Global Positioning System)のような測位センサ等を含む。アクチュエータ部14は、制御部11の出力に基づいて、ロボット10の各部を駆動する。アクチュエータ部14は、ロボット10を移動させたり、方向変換させたりするための各種モータを含む。通信部15は、サーバ40と無線で通信を行い、サーバ40から地図情報や経路情報を取得する。また、通信部15は、作成した地図情報や経路情報をサーバ40に送信する。
【0016】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る地図情報配信システム1におけるサーバ40の概要を示すブロック図である。サーバ40は、通信部41と、蓄積部42と、制御部43とを備えている。通信部41は、ロボット10と無線で通信を行い、ロボット10に地図情報や経路情報を提供する地図送信部となる。また、サーバ40は、通信部41を介して、エレベータカゴ31が現在位置しているフロア番号、ドアの開閉状態、エレベータの移動状態等を受信する。また、通信部41は、エレベータ30に対するロボット10の乗車または降車を許可する許可信号をロボット10に送信する許可信号送信部となる。また、通信部41は、ロボット10から地図情報や経路情報を受信する。蓄積部42には、各フロア間F1、F2、…毎に、地図情報や経路情報が蓄積されている。制御部43は、サーバ40の動作を制御している。例えば、制御部43は、エレベータカゴ31が全開となり、ロボット10を乗車可能な状態であるか判定する判定部としての処理や、ロボット10がエレベータカゴ31に乗車可能な状態である場合に、通信部41からロボット10に、搬送先のエリアの地図情報を送信させるような処理を行っている。
【0017】
本実施形態では、各フロアF1、F2、…のエレベータ乗り場には、ロボット10がエレベータカゴ31に乗降するときの乗車待機位置となる乗降ポイントP1、P2、…が設けられている。ロボット10が上層階又は下層階へ移動する際には、ロボット10は乗降ポイントP1、P2、…で待機する。
【0018】
なお、ロボット10が乗降ポイントP1、P2、…に移動したことは、ロボット10の測位センサ等で検知できる。この場合、センサ部13の測位センサはロボット10が乗降ポイントP1、P2、…に存在するか否かを検出する検出部となる。また、乗降ポイントP1、P2、…にロボット10が到着したことを検知してサーバ40に知らせるセンサを、各乗降ポイントP1、P2、…に設けても良い。
【0019】
サーバ40は、エレベータカゴ31が各フロアF1、F2、…に到着し、各階のエレベータ扉32-1、32-2、…が全開となり、ロボット10がエレベータカゴ31に乗車可能な状態となると、ロボット10に搬送先のフロアの地図情報を送信して、ロボット10の地図情報を更新する。
【0020】
このように、フロア毎に地図情報を更新することで、ロボット10の記憶部12に記憶する情報量を削減できる。また、エレベータ30の乗降ポイントP1、P2、…は、水平方向の所定の位置に決められている。このため、ロボット10がエレベータ30で搬送されて高さ方向に移動しても、水平方向の位置を把握することができ、経路の連続性を保つことができる。サーバ40は、エレベータ扉32-1、32-2、…が全開となると、ロボット10の乗車を許可する許可信号をロボット10に送信し、ロボット10はエレベータカゴ31に乗車して、他のフロアへ移動する。
【0021】
例えば、フロアF1の初期位置からフロアF3内にある目的位置へのロボット10の移動を考える。まず、ロボット10は、フロアF1の乗降ポイントP1に移動し、乗降ポイントP1で待機する。フロアF1の乗降ポイントP1は、他の人やロボットのエレベータの乗降を邪魔しない位置に決定されている。
【0022】
エレベータ30のエレベータカゴ31がフロアF1に到着し、エレベータ扉32-1が全開となったら、サーバ40はフロアF1で待機しているロボット10にエレベータカゴ31への乗車許可信号を与える。ロボット10は、乗車許可信号を受けて、エレベータカゴ31に乗車する。そして、サーバ40はロボット10に目的地のあるフロアF3の地図情報を送信し、ロボット10はフロアF3の地図情報を更新する。
【0023】
ロボット10はエレベータ30により搬送され、フロアF3に到着する。フロアF3のエレベータ扉32-3が開けられ、エレベータ扉32-3が全開となると、サーバ40はロボット10への下車許可信号を与える。下車許可を受けたロボット10は、エレベータカゴ31を降車して、フロアF3に侵入して目的地まで移動する。
【0024】
このように、本実施形態では、サーバ40は、エレベータ扉32-1、32-2、…が全開となり、ロボット10が乗車可能な状態であると判定すると、ロボット10に移動先のフロアの地図情報を送信して、地図情報を更新することで、ロボット10の記憶部12に記憶する情報量を削減できる。また、地図情報の更新をエレベータ30の乗降ポイントP1、P2、…に決めておくことで、経路の連続性を保つことができる。
【0025】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る地図情報配信システム1においてロボット10を移動させる際の動作の一例を示すシーケンス図である。この例では、フロアF1の初期位置からフロアF3内にある目的位置へのロボット10を移動させる処理を行っている。
【0026】
(ステップS101)ロボット10は現在地から乗降ポイントP1へ移動する。なお、ロボット10は、予め、フロアF1の地図情報を取得しているものとする。
(ステップS102)ロボット10は、エレベータ30に乗車可能になるまで、乗降ポイントP1で待機する。
【0027】
(ステップS103)サーバ40は、エレベータ30の呼び出しを行う。
(ステップS104)エレベータ30は、サーバ40の呼び出しに応じて、エレベータカゴ31をフロアF1へ移動させる。
(ステップS105)サーバ40は、エレベータカゴ31がフロアF1に到着したことを検知すると、エレベータ扉32-1を開ける指示をエレベータ30に与える。
(ステップS106)エレベータ30は、フロアF1のエレベータ扉32-1を全開にする。
(ステップS107)サーバ40は、エレベータ扉32-1が開いたことを検知すると、ロボット10に乗車許可を送る。
【0028】
(ステップS108)ロボット10は、乗車許可を受信すると、エレベータカゴ31に乗車する。
(ステップS107a)サーバ40はロボット10の目的地となるフロアF3の地図情報を送信し、地図情報の更新を行う。
(ステップS108a)ロボット10は、サーバ40から送信されたフロアF3の地図情報を取得し、地図情報を更新する。
(ステップS109)サーバ40はエレベータ扉32-1を閉めて、エレベータカゴ31の移動を開始させる。
(ステップS110)エレベータ30は、ロボット10を載せて、エレベータカゴ31をフロアF3に向けて移動させる。
【0029】
(ステップS111)エレベータカゴ31は、フロアF3に到着する。
(ステップS112)サーバ40は、エレベータカゴ31がフロアF3に到着したことを検知すると、エレベータ扉32-3を開ける指示をエレベータ30に与える。
(ステップS113)エレベータ30は、フロアF3のエレベータ扉32-3を全開にする。
【0030】
(ステップS114)ロボット10は、エレベータカゴ31で搬送された後、降車可能になるまで待機する。
(ステップS115)サーバ40は、エレベータカゴ31が全開になると、ロボット10に降車許可を送る。
(ステップS116)ロボット10は、フロアF3のエレベータ扉32-3が全開になったら、エレベータカゴ31から降車する。
(ステップS117)ロボット10は目的地に移動する。このとき、ロボット10は、出発地のフロアF1でエレベータカゴ31に乗車する際に、既に、目的地のフロアF3の地図情報を更新している。また、ロボット10が降車する際の乗降ポイントP3の位置は予め既知であり、乗降ポイントP1との連続性が保てる。したがって、ロボット10は、エレベータカゴ31を降車すると、目的地まで、自律走行していくことができる。また、この例では、ロボット10がエレベータ30を待っている間に、地図情報の更新が行えるので、データの更新時間の無駄を省くことができる。また、サーバ40は、フロア毎に地図情報を管理しているので、地図情報の更新を効率的に行える。
【0031】
なお、上述の例では、サーバ40からロボット10に地図情報を送信しているが、地図情報とともに、経路情報を送信しても良い。
【0032】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る地図情報配信システム1においてロボット10を移動させる際の動作の他の例を示すシーケンス図である。この例では、ロボット10は、出発地のフロアF1と目的地のフロアF3との間の任意のフロア(フロアF2)でのエレベータカゴの停車も許し、目的地のフロアF3の地図情報を更新している。
【0033】
(ステップS201)、ロボット10は現在地から乗降ポイントP1へ移動する。なお、ロボット10は、予め、フロアF1の地図情報を取得しているものとする。
(ステップS202)ロボット10は、エレベータ30に乗車可能になるまで、乗降ポイントP1で待機する。
【0034】
(ステップS203)サーバ40は、エレベータ30の呼び出しを行う。
(ステップS204)エレベータ30は、サーバ40の呼び出しに応じて、エレベータカゴ31をフロアF1へ移動させる。
(ステップS205)サーバ40は、エレベータカゴ31がフロアF1に到着したことを検知すると、エレベータ扉32-1を開ける指示をエレベータ30に与える。
(ステップS206)エレベータ30は、フロアF1のエレベータ扉32-1を全開にする。
(ステップS206a)サーバ40は、エレベータ扉32-1が開いたことを検知すると、ロボット10に乗車許可を送る。
(ステップS207)ロボット10は、乗車許可を受信すると、エレベータカゴ31に乗車する。
(ステップS206b)サーバ40はロボット10の目的地となるフロアF3の地図情報を送信し、地図情報の更新を開始する。
(ステップS207a)ロボット10は、サーバ40から送信されたフロアF3の地図情報を取得し、地図情報の更新を開始する。
(ステップS208)サーバ40はエレベータ扉32-1を閉めて、エレベータカゴ31の移動を開始させる。
(ステップS209)エレベータ30は、ロボット10を載せて、エレベータカゴ31を移動させる。
【0035】
(ステップS210)エレベータ30は、フロアF1とフロアF3との間の任意のフロア(ここではフロアF2)で停止すると、フロアF2のエレベータ扉32-2を全開にする。
(ステップS211)サーバ40は、エレベータ扉32-2が開いたことを検知すると、ロボット10に乗車許可を送る。
(ステップS212)ロボット10は、降車せずエレベータカゴ31で待機して、サーバ40からの地図情報の更新を続ける。これにより、ロボット10は、フロアF3の地図情報を取得する。なお、フロアF2は、ロボット10の走行経路とは無関係なので、ロボット10はエレベータカゴ31内で、地図情報を更新できる。
【0036】
(ステップS213)サーバ40はエレベータ扉32-2を閉めて、エレベータカゴ31の移動を開始させる。
(ステップS214)エレベータ30は、ロボット10を載せて、エレベータカゴ31をフロアF3に向けて移動させる。
【0037】
(ステップS215)エレベータカゴ31は、フロアF3に到着する。
(ステップS216)サーバ40は、エレベータカゴ31がフロアF3に到着したことを検知すると、エレベータ扉32-3を開ける指示をエレベータ30に与える。
(ステップS217)エレベータ30は、フロアF3のエレベータ扉32-3を全開にする。
【0038】
(ステップS218)ロボット10は、エレベータカゴ31で搬送された後、降車可能になるまで待機する。
(ステップS219)サーバ40は、エレベータカゴ31が全開になると、ロボット10に降車許可を送る。
(ステップS220)ロボット10は、フロアF3のエレベータ扉32-3が全開になったら、エレベータカゴ31から降車し、乗降ポイントP3へ行く。ロボット10は、乗降ポイントP3に行くことで、経路情報との連続性を保つことができる。なお、地図情報の更新は、エレベータカゴ31から降車するまでの間に終了する。
(ステップS221)ロボット10は、目的地まで、自律走行する。
【0039】
この例では、地図情報の更新を、出発地から目的地までの間の途中のフロアで行えるので、データの更新時間の無駄がなくなる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。前述の実施形態では、ロボット10が単独である場合について説明した。また、前述の実施形態では、サーバ40からロボット10に地図情報を送信している。
【0041】
しかしながら、建物20内で複数のロボット10を運用することが考えられる。また、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)では、ロボット10が自己位置推定と地図情報の作成を同時に行える。
【0042】
このように、ロボット10が複数あり、各ロボット10が地図情報を作成しているような環境下では、以上の一連の流れの中で、エレベータ扉32(32-1、32-2、…)の開閉に合わせて、サーバ40も地図情報を細かく更新できる。そして、複数のロボット10からの地図情報によりサーバ40の地図情報を更新していくことで、サーバ40の地図情報を常に最新の情報に保つことができる。
【0043】
図6A及び図6Bは、本発明の第2の実施形態に係る地図情報配信システムの説明に用いるシーケンス図である。図6Aは、複数のロボット10がエレベータカゴ31に乗車する際の処理を示している。
(ステップS301)ロボット10は、任意のフロアFxの乗降ポイントPxに移動する。
(ステップS302)ロボット10は、乗降ポイントPxで乗車可能になるまで待機する。
【0044】
(ステップS303)エレベータカゴ31がフロアFxに到着する。
(ステップS304)サーバ40は、エレベータカゴ31がフロアFxに到着したことを検知すると、エレベータ扉32-xを開ける指示をエレベータ30に与える。
(ステップS305)エレベータ30は、フロアF1のエレベータ扉32-xを全開にする。
(ステップS306)サーバ40は、エレベータ扉32-xが開いたことを検知すると、ロボット10の搬送先のフロアの地図情報をロボット10に送信して、ロボット10は搬送先のフロアの地図情報を取得する。
(ステップS307)ロボット10は、エレベータカゴ31に乗車する。
【0045】
図6Bは、複数のロボット10がエレベータカゴ31に降車する際の処理を示している。
(ステップS401)エレベータカゴ31は、任意のフロアFyに到着する。
(ステップS402)サーバ40は、エレベータカゴ31がフロアFyに到着したことを検知すると、エレベータ扉32-yを開ける指示をエレベータ30に与える。
(ステップS403)エレベータ30は、フロアFyのエレベータ扉32-yを全開にする。
【0046】
(ステップS404)ロボット10は、フロアFyまでエレベータカゴ31で搬送された後、降車可能になるまで待機する。
(ステップS405)サーバ40は、フロアFyのエレベータ扉32-yが全開になったら、ロボット10に降車許可を与える。
(ステップS406)ロボット10は、エレベータカゴ31から降車し、乗降ポイントPyに移動する。
(ステップS407)ロボット10は、算出したフロアの地図情報をサーバ40に送信する。
(ステップS408)サーバ40は、ロボット10から送られてきた地図情報により、蓄積部42の地図情報の更新を行う。
(ステップS409)ロボット10は、エレベータカゴ31から降車し、目的地に移動する。
【0047】
この例では、ロボット10がエレベータカゴ31に乗車する際に、エレベータカゴ31が全開になり、ロボット10が乗車可能な状態になると、サーバ40からロボット10に、搬送先の地図情報が送信される。更に、ロボット10がエレベータカゴ31から降車する際に、エレベータカゴ31が全開になり、ロボット10が降車可能な状態になると、ロボット10からサーバ40へ、ロボット10で算出された地図情報が送信される。複数のロボット10がサーバ40に地図情報を送信していくことで、サーバ40の地図情報は更新されていく。
【0048】
なお、上述の例では、ロボット10がエレベータカゴ31に乗車する際に、サーバ40からロボット10に地図情報を送信し、ロボット10がエレベータカゴ31から降車する際に、ロボット10からサーバ40に地図情報を送信しているが、ロボット10がエレベータカゴ31に乗車する際に、ロボット10からサーバ40に地図情報を送信し、ロボット10がエレベータカゴ31から降車する際に、サーバ40からロボット10に地図情報を送信するようにしても良い。更に、ロボット10がエレベータカゴ31に乗車若しくは降車するときだけでなく、ロボット10が移動途中のフロアに停車し、エレベータ扉32が開いたら、サーバ40からロボット10に、若しくはロボット10からサーバ40に、地図情報を送信しても良い。
【0049】
以上説明したように、本発明の実施形態では、ロボット10のような移動体がエレベータ30のような搬送機構に乗車する際に、サーバ40からの地図情報により、ロボット10の地図情報を更新していくことで、ロボット10に地図情報を記憶しておくための大容量のメモリをロボット10に用意する必要がなくなる。また、地図情報の更新を乗降ポイントP1、P2、…で行うことで、走行経路の連続性が保て、自己位置推定や経路追従が円滑に行える。
【0050】
なお、上述した実施形態においては、移動体が、搬送機構としてエレベータを用いることで、高層ビルディングのような建物20を三次元的に移動する場合について説明したが、搬送機構はエスカレータであってもよい。また、搬送機構は、動く歩道などの二次元方向への搬送をするものであってもよい。搬送機構がエスカレータまたは動く歩道であっても、移動体は、これらの乗車待機位置において待機した後に、搬送機構に乗車すればよい。搬送機構がエスカレータである場合、乗車待機位置は、エスカレータのステップの手前側の周辺の位置であってもよい。搬送機構が動く歩道である場合、乗車待機位置は、踏み面の手前側の周辺の位置であってもよい。
【0051】
また、上述の例では、移動体として自律走行を行うロボット10を例に説明したが、移動体としては、自動運転を行う自動車等にも拡張できる。
【0052】
上述した実施形態における地図情報配信システム1の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0053】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0054】
10…ロボット、20…建物、30…エレベータ、31…エレベータカゴ、40…サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B