(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】ロールスクリーン
(51)【国際特許分類】
E06B 9/56 20060101AFI20240122BHJP
E06B 9/42 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
E06B9/56 Z
E06B9/42 A
E06B9/42 Z
(21)【出願番号】P 2023010755
(22)【出願日】2023-01-27
(62)【分割の表示】P 2018199565の分割
【原出願日】2018-10-23
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】朴 艶美
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-136953(JP,A)
【文献】実開昭60-10096(JP,U)
【文献】特開2016-37766(JP,A)
【文献】特開2016-11578(JP,A)
【文献】実開昭53-58817(JP,U)
【文献】実公昭60-8074(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/56
E06B 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が巻取パイプに巻取り及び巻解き可能に連結されるスクリーンを備えたロールスクリーンであって、
前記スクリーンを垂下する位置で支持するとともに、前記巻取パイプの軸心に対する前後方向位置が連続的に異なるように前記スクリーンの垂下位置を切り替える位置切替機構を備え、
前記位置切替機構は、対象物に近接した位置と前記対象物から離間した位置との間で前記スクリーンの前後方向の垂下位置を連続的に移動させて切り替えることを特徴とする、ロールスクリーン。
【請求項2】
前記位置切替機構は、
前記スクリーンを垂下する位置で支持する支持軸と、
前記支持軸と連結され前後に揺動可能な揺動アームと、
を含み、
前記揺動アームが前後に揺動することで、前記支持軸の位置が前記対象物に近接した位置と前記対象物から離間した位置との間で切り替わることを特徴とする、請求項1に記載のロールスクリーン。
【請求項3】
前記位置切替機構は、手動で前記揺動アームを前後に揺動操作するための揺動操作部を含むことを特徴とする、請求項2に記載のロールスクリーン。
【請求項4】
前記位置切替機構が移動することにより、前記スクリーンの前後方向の垂下位置を連続的に移動させて切り替えることを特徴とする、請求項1に記載のロールスクリーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールスクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロールスクリーンとしては、実開昭60-10096号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献には、ブラケットベースの外側面に、一端部に複数個の取付孔が適宜間隔に設けられたローラーホルダーを角度調整自在に取付け、ローラーホルダーの他端部内側にはスクリーン引出案内用のローラーを備えたことが開示されている。
【0003】
これによれば、ローラーパイプへのスクリーンの巻取厚さの厚薄に拘わらず、スクリーンの引出位置を窓面に接近させて常時一定の位置に保持することができる。このため、窓面からの入射光を遮蔽できる効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような従来のロールスクリーンでは、ローラーホルダーは常時一定の位置で保持されるため、スクリーンを上下に昇降させる際に、スクリーンが窓面に接触して昇降動作に影響しないように、スクリーンと窓面との間に隙間を開けるようにして設置させる必要がある。このため、スクリーンと窓面の隙間を塞ぐことができず、室内に光が漏れるという問題があった。このような問題は、スクリーンの設置対象である対象物が窓面以外の場合にも起こり得る。
【0006】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、スクリーンと対象物との隙間を塞ぐことの可能なロールスクリーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、一端が巻取パイプに巻取り及び巻解き可能に連結されるスクリーンを備えたロールスクリーンであって、前記スクリーンの垂下位置は、対象物に近接した位置と、前記対象物から離間した位置との間を移動可能であり、スクリーン昇降停止時とスクリーン昇降時とで異なる位置で前記スクリーンの垂下位置を切り替える位置切替機構を設けたことを特徴とする、ロールスクリーンが提供される。
【0008】
かかる構成によれば、スクリーン昇降停止時において、スクリーン昇降時とは異なる位置でスクリーンを垂下させることができる位置切替機構を設けることで、スクリーンの昇降を停止してから、又は下降動作に伴って、スクリーンを対象物(窓枠や壁面や他のスクリーンなど)に寄せることができる。このため、スクリーンの昇降動作に影響しない。また、スクリーンを対象物に近接又は当接することができ、例えば対象物が窓枠であれば、スクリーン周辺からの光漏れを防止できる。
【0009】
本発明は様々な応用が可能である。例えば、前記位置切替機構は、前記スクリーンを垂下する位置で支持する支持軸と、前記支持軸と連結され前後に揺動可能な揺動アームと、を含み、前記揺動アームが前後に揺動することで、前記支持軸が前記対象物に近接した位置と前記対象物から離間した位置との間で切り替わるようにしてもよい。かかる構成によれば、前後に揺動する揺動アームを設けることで、支持軸を介して垂下しているスクリーンを、対象物に寄った状態と対象物から離間した状態とに容易に切り替えることができる。
【0010】
また、前記位置切替機構は、手動で前記揺動アームを前後に揺動操作するための揺動操作部を含むようにしてもよい。かかる構成によれば、揺動アームを前後に揺動させる揺動操作部を手動で操作することで、揺動アームを任意の位置で停止したり、揺動アームを前後に揺動したりすることを容易に操作することができる。
【0011】
また、前記位置切替機構は、前記スクリーンを昇降させるための昇降部の動作と連動して前記スクリーンの垂下する位置を切り替えるようにしてもよい。かかる構成によれば、位置切替機構を、スクリーンを昇降させるための昇降部の動作と連動可能としたことで、部品点数を削減できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スクリーンと対象物との隙間を塞ぐことの可能なロールスクリーンが提供される。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ロールスクリーン100の全体構成を概略的に示した正面図である。
【
図2】巻取パイプ120の構成を説明するための背面図である。
【
図3】位置切替機構140の構成を説明するための図である。
【
図4】ロールスクリーン100の動作を説明するための図であり、スクリーン130の昇降途中の動作を示す図である。
【
図5】ロールスクリーン100の動作を説明するための図であり、スクリーン130が全閉された状態を示す図である。
【
図6】スクリーン130が全閉され窓枠WFによった状態を示す背面図である。
【
図7】第2の実施形態のロールスクリーン200の構成を説明するための図である。
【
図9】スクリーン230が上昇するときの状態を示す図である。
【
図10】スクリーン230が全閉され窓枠WFに寄った状態を示す図である。
【
図11】第3の実施形態のロールスクリーン300の構成を説明するための図である。
【
図12】スクリーン330が上昇するときの状態を示す図である。
【
図13】スクリーン330が全閉され窓枠WFに寄った状態を示す図である。
【
図14】第4の実施形態のロールスクリーン400の構成を説明するための図である。
【
図15】スクリーン430が全閉され窓枠WFに寄った状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
本実施形態のロールスクリーン100の全体の構成について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1はロールスクリーン100の全体構成を概略的に示した図である。
図2は巻取パイプ120の構成を説明するための図である。ロールスクリーン100は、
図1に示したように、一端が巻取パイプ120に巻取り及び巻解き可能に連結されるスクリーン130を備えており、スクリーン130の垂下位置は、窓枠WF(対象物)に近接した位置と、窓枠WFから離間した位置との間を移動可能であり、スクリーン昇降停止時とスクリーン昇降時とで異なる位置でスクリーン130の垂下位置を切り替える位置切替機構140を設けたことを特徴とする。以下、本実施形態のロールスクリーン100の各構成要素について説明する。
【0016】
巻取パイプ120は、支持部材110によって窓枠WFに取り付けられる。支持部材110は、
図1に示したように、巻取パイプ120を回転可能に支持するサイドプレート112と、サイドプレート112を窓枠WFに固定するためのセットフレーム114と、を備えて構成される。サイドプレート112は、セットフレーム114の両端に設けられており、ブラケット116によって窓枠WFの上部に固定されている。左右のサイドプレート112には、
図2に示したように、対向するサイドプレート112の方向に突出する円筒状の円筒状部112aが形成されている。円筒状部112aの中心には固定軸118が対向するサイドプレート112の方向に突出して固定されている。
【0017】
(巻取パイプ120)
巻取パイプ120は、スクリーン130を昇降させるものである。巻取パイプ120は、
図1に示したように、スクリーン130の上端が巻取り及び巻解き可能に連結されている。巻取パイプ120の一方の端部には、
図2に示したように、軸受122が嵌め合わされている。巻取パイプ120は、軸受122を介して一方のサイドプレート112-1に固定されている固定軸118に回転可能に支持されている。巻取パイプ120の一方の端部と一方のサイドプレート112-1の間には、後述する位置切替機構140が設けられている。
【0018】
巻取パイプ120の他方の端部には、
図2に示したように、巻取パイプ120の回転を拘束するための巻取パイプ用ストッパ124が嵌め合わされている。巻取パイプ120は、巻取パイプ用ストッパ124を介して他方のサイドプレート112-2に固定された固定軸118に回転可能に支持されている。巻取パイプ120の他方の端部と他方のサイドプレート112-2の間には、巻取パイプ120を回転操作するための昇降部126と、スクリーン130の垂下位置を切り替える位置切替機構140が設けられている。昇降部126は、巻取パイプ120と一体に回転するプーリ127とプーリ127の回転を操作する操作チェーン128とから構成される一般的な構成のものが用いられる。
【0019】
(スクリーン130)
スクリーン130は、窓の開口部WAを閉鎖するものである。スクリーン130は、
図1に示したように、上端が巻取パイプ120の巻取り及び巻解き可能に連結されている。スクリーン130の下端には、ウエイトバー132が取付けられている。
【0020】
(位置切替機構140)
位置切替機構140は、スクリーン130の垂下位置を窓枠WFに近接した位置と窓枠WFから離間した位置との間を移動可能であり、スクリーン昇降停止時において、スクリーン昇降時とは異なる位置で垂下させる。位置切替機構140は、
図1に示したように、左右のサイドプレート112にわたって設けられている。以下、位置切替機構140について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、位置切替機構140の構成を説明するための図である。
【0021】
位置切替機構140は、スクリーン130を垂下する位置で支持する支持軸142と、支持軸142と連結され前後に揺動可能な揺動アーム144と、からなる。揺動アーム144が前後に揺動することで、支持軸142が窓枠WFに寄った状態と窓枠WFから離間した状態に切り替わる。
【0022】
支持軸142は、巻取パイプ120よりも若干長尺の円筒状に構成されている。支持軸142は、巻取パイプ120に巻き取られたスクリーン130に干渉しない位置に配置されている。
【0023】
揺動アーム144は、円形状に形成された凹部144aが、サイドプレート112の円筒状部112aに回転可能に嵌め合わされることにより、揺動するようになっている。凹部144aにはばね146が配置されている。ばね146の中心には固定軸118が挿通している。ばね146の一端は固定軸118に固定されており、ばね146の他端は揺動アーム144に固定されている。ばね146は、支持軸142を押し上げる方向に揺動アーム144を付勢している。揺動アーム144の下部は、サイドプレート112から突出し、支持軸142の端部が連結されている。
【0024】
揺動アーム144の下端には、揺動アーム144の揺動を操作するための揺動操作部148が設けられている。揺動操作部148は、長尺状の棒状の操作部148aと揺動アーム144とを揺動自在に連結するジョイント148bと、を備えて構成される。操作部148aを引き下げることによって、揺動アーム144を揺動させることができる。
【0025】
揺動アーム144を揺動可能な状態と揺動が拘束された状態とを切り替える揺動アーム用ストッパ150が揺動アーム144と一体回転するように設けられている。揺動アーム用ストッパ150は、巻取パイプ120の軸受122内に配置されており、固定軸118に支持されている。揺動アーム用ストッパ150は、固定軸118に係止することで揺動アーム144の揺動を拘束し、固定軸118への係止が解除することで揺動アーム144を揺動可能にする。揺動操作部148を操作することによって揺動アーム用ストッパ150の係止及び係止解除の切り替えが行われる。揺動アーム用ストッパ150は、支持軸142が下方に位置した状態で揺動アーム144の揺動を拘束する。
【0026】
以上、本実施形態のロールスクリーン100の構成について説明した。次に、本実施形態のロールスクリーン100の動作について、
図4~
図6を参照しながら説明する。
図4は、ロールスクリーン100の動作を説明するための図であり、スクリーン130の昇降途中の動作を示す図である。
図5は、ロールスクリーン100の動作を説明するための図であり、スクリーン130が全閉された状態を示す図である。
図6は、スクリーン130が全閉され窓枠WFに寄った状態を示す背面図である。
【0027】
スクリーン130を昇降させるときには、
図4に示したように、操作部148aを引き下ろして揺動アーム144を揺動させ、支持軸142を下方に配置する。すると、揺動アーム用ストッパ150によって揺動アーム144の揺動が拘束される。よって、支持軸142から垂下するスクリーン130の位置が窓枠WFから離間する。また、ばね146が変形して弾性エネルギーを蓄積する。次に、操作チェーン128を操作して昇降部126により巻取パイプ120を回転させて、スクリーン130を昇降させる。このとき、スクリーン130は、位置切替機構140によって窓枠WFから離間しているため、窓枠WFに接触することなく昇降する。
【0028】
スクリーン130を停止させると、
図5に示したように、操作部148aを下方に所定量引き下ろして揺動アーム用ストッパ150を解除する。すると、ばね146の復元力により揺動アーム144が支持軸142を上昇させる方向に揺動し、支持軸142が窓枠WFに近接した位置で停止する。よって、
図5及び
図6に示したように、スクリーン130が窓枠WFに近接して垂下する。
【0029】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、スクリーン昇降停止時において、スクリーン昇降時とは異なる位置でスクリーンを垂下させることができる位置切替機構140を設けることで、スクリーン130の昇降を停止してから、スクリーン130を窓枠WFに寄せることができる。このため、スクリーン130の昇降動作に影響しない。また、スクリーン130を窓枠WFに近接又は当接することができ、スクリーン130周辺からの光漏れを防止できる。
【0030】
また、前後に揺動する揺動アーム144を設けることで、支持軸142を介して垂下しているスクリーン130を、窓枠WFに寄った状態と窓枠WFから離間した状態とに容易に切り替えることができる。
【0031】
また、揺動アーム144を前後に揺動させる揺動操作部148を手動で操作することで揺動アーム用ストッパ150の係止及び係止解除の切り替えが行えるため、揺動アーム144を任意の位置で停止したり、揺動アーム144を揺動させたりすることを容易に操作することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るロールスクリーン200の構成について、
図7及び
図8を参照しながら説明する。
図7は、本実施形態のロールスクリーン200の構成を説明するための図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とは主に位置切替機構240の構成が異なるものである。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0033】
本実施形態のサイドプレート212、プーリ227、操作チェーン228、スクリーン230は、第1の実施形態のサイドプレート112、プーリ127、操作チェーン128、スクリーン130と実質的に同様である。
【0034】
位置切替機構240は、スクリーン230を昇降させる昇降部226の動作と連動して位置を切り替えるものである。昇降部226は、
図7及び
図8に示したように、プーリ227と操作チェーン228によって構成されている。プーリの軸部227aは、固定軸218の外周に回転自在に嵌め合わされている。また、プーリの軸部227aの外周には揺動アーム244とクラッチばね229が軸方向に並んで嵌め合わされている。揺動アーム244とクラッチばね229は後述するように一体回転するように構成されており、これらはプーリの軸部227aに対して一体又は相対回転する。
【0035】
固定軸218は、
図7に示したように、円周方向において対向する位置に2つの固定軸の突起部218a、218bが設けられている。固定軸の突起部218a、218bは、
図8に示したように、固定軸218と並行に軸方向に揺動アーム244の位置まで軸方向に延びている。固定軸218と固定軸の突起部218a、218bの間には、プーリの軸部227aとクラッチばね229が配設されている。
【0036】
クラッチばねの両端部229a、229bは、径方向外向きに突出している。クラッチばねの両端部229a、229bの間には、後述する揺動アームの突起部244aが配置されている。
【0037】
揺動アーム244には、軸方向に突出する扇状の揺動アームの突起部244aが設けられている。揺動アームの突起部244aは、クラッチばねの両端部229a、229bに接触するようにこれらの間に配置されている。よって、揺動アーム244とクラッチばね229は一体に回転する。なお、揺動アームの突起部244aとクラッチばねの両端部229a、229bとは必ずしも接触していなくてもよく、揺動アーム244とクラッチばね229とは、揺動アームの突起部244aがどちらか一方のクラッチばねの端部229a、229bと当接するまで相対回転し、当接した後一体回転する構成としてもよい。
【0038】
以上、本実施形態のロールスクリーン200の構成について説明した。以下、ロールスクリーン200の動作について、前述の
図7に加え、
図9及び
図10を参照しながら説明する。
図9は、スクリーン230が上昇するときの状態を示す図である。
図10は、スクリーン230が全閉され窓枠WFに寄った状態を示す図である。
【0039】
まず、スクリーン230を下降させる場合について説明する。スクリーン230を下降させるときは、
図7に示したように、操作チェーンの後側228aを引き下ろす。すると、プーリ227がスクリーン230を下降させる方向に回転し、プーリ227に締結しているクラッチばね229も同じ方向に回転する。
【0040】
クラッチばね229が回転すると、クラッチばねの端部229aで保持されている揺動アーム244が自重により下方に揺動し、支持軸242が下方に移動する。クラッチばねの端部229aが固定軸の突起部218aに当接するまで回転すると、それ以上の回転が規制され、揺動アーム244の下方への揺動が拘束される。よって、揺動アーム244は水平より斜め下方に傾いた状態で保持されるため、スクリーン230は窓枠WFから離間した位置で支持軸242から垂下する。更に操作チェーンの後側228aを引いてプーリ227の回転を続けると、クラッチばね229は弛み、プーリ227のみ回転を継続する。よって、スクリーン230は、窓枠WFから離間した位置で下降する。
【0041】
次に、スクリーン230を上昇させる場合について説明する。スクリーン230を上昇させるときは、
図9に示したように、操作チェーンの前側228bを引き下ろす。すると、プーリ227がスクリーン230を上昇させる方向に回転し、プーリ227に締結しているクラッチばね229も同じ方向に回転する。
【0042】
クラッチばね229が回転すると、クラッチばねの端部229aで保持されている揺動アーム244が上方に揺動し、支持軸242が上方に移動する。このとき、揺動アームの突起部244aがクラッチばねの端部229aを押圧するため、クラッチばね229は締まり、クラッチばね229とともに揺動アーム244は上昇する。
【0043】
クラッチばねの端部229bが固定軸の突起部218bに当接するまで回転し、さらに操作チェーンの前側228bを引いてプーリ227の回転を続けると、クラッチばね229は弛み、プーリ227のみ回転を継続する。このとき、揺動アームの突起部244aがクラッチばねの端部229aを押圧するため、クラッチばね229は揺動アーム244が下方に揺動せず上方で保持される程度の力で締まり続け、揺動アーム244が水平より斜め上方に傾いた状態で保持される。よって、スクリーン230は、窓枠WFから離間した位置で上昇する。
【0044】
次に、スクリーン230の昇降動作を停止した場合について説明する。スクリーン230の昇降動作が停止したときには、
図10に示したように、操作チェーン228の操作をやめてプーリ227の回転を停止させる。よって、揺動アーム244は、自重により下降しようとするが、揺動アームの突起部244aがクラッチばねの端部229aを押圧するため、クラッチばね229がプーリ227に締結する。よって、揺動アーム244が水平になる位置までプーリ227を回転させると、スクリーン230が窓枠WFに寄った位置で支持軸242から垂下する。
【0045】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、位置切替機構240を、スクリーン230を昇降させるための昇降部226の動作と連動可能としたことで、部品点数を削減できる。
【0046】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るロールスクリーン300の構成について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、本実施形態のロールスクリーン300の構成を説明するための図である。本実施形態は、位置切替機構340が、スクリーン330を昇降させるための昇降部326の動作と連動してスクリーン330の垂下する位置を切り替えることを特徴としている。上記第1の実施形態とは主に位置切替機構340の構成が異なるものであり、本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0047】
本実施形態の巻取パイプ320、プーリ327、操作チェーン328、スクリーン330は、第1の実施形態の巻取パイプ120、プーリ127、操作チェーン128、スクリーン130と実質的に同様である。
【0048】
位置切替機構340は、スクリーン330を昇降させる昇降部326(プーリ327、操作チェーン328)の動作と連動して位置を切り替えるものである。位置切替機構340は、
図11に示したように、揺動アーム344が長尺状に構成されており、一端に支持軸342が設けられており、他端が巻取パイプ320よりも径方向に突出している。揺動アーム344は固定軸318に回転可能に支持されている。
【0049】
揺動アーム344は、後述する操作チェーン328から揺動させる力が加えられたときには回転するが、それ以外のときは固定軸318との摩擦で回転しないように構成されている。
【0050】
揺動アーム344の回転中心部分はプーリ327方向に突出する突出部344aが形成されており、突出部344aの長さ方向の両端部には操作チェーン328が係合可能な傾斜部344b、344cが形成されている。傾斜部344b、344cは、略山形に形成されており、上端が操作チェーン328が係合するプーリの凹部327aの底部とほぼ同じ位置にある。よって、操作チェーン328は、傾斜部344b、344cに抵抗なく進入することができる。
【0051】
また、傾斜部344b、344cの径方向に最も突出した先端(すなわち、略への字の頂点)は、プーリの凹部327aの上端とほぼ同じ位置にある。よって、傾斜部344b、344cの先端には、操作チェーン328の下部が当接する。
【0052】
さらに、傾斜部344b、344cの先端から下端までは、操作チェーン328の移動に干渉しなければ任意の構成でよい。例えば、本実施形態では、傾斜部344b、344cの下端がプーリの凹部327aに深さ方向において中間の位置にあるようにし、操作チェーン328の移動に干渉しない構成としている。
【0053】
傾斜部344b、344cは、上端から先端に向かって徐々に径方向に突出した構成であるため、上端から傾斜部344b、344cに進入した操作チェーン328が先端に移動するに従って、傾斜部344b、344cに対して下方に揺動させる力を与えていく。
【0054】
以上、本実施形態のロールスクリーン300の構成について説明した。以下、ロールスクリーン300の動作について、前述の
図11に加え、
図12及び
図13を参照しながら説明する。
図12は、スクリーン330が上昇するときの状態を示す図である。
図13は、スクリーン330が全閉され窓枠WFに寄った状態を示す図である。
【0055】
まず、スクリーン330を下降させる場合について説明する。スクリーン330を下降させるときは、
図11に示したように、操作チェーンの後側328aを引き下ろす。すると、プーリ327がスクリーン330を下降させる方向に回転する。これと同時に、操作チェーンの後側328aが傾斜部344bに係合し、下方に揺動させる力を加える。よって、揺動アーム344が下方に揺動し、スクリーン330が窓枠WFから離間する。操作チェーンの後側328aを操作し続けている間は、傾斜部344bに下方に揺動させる力が加えられるため、揺動アーム344は下方に揺動した状態を保ち続ける。よって、下降操作中は、スクリーン330は窓枠WFから離間した状態が保持される。
【0056】
次に、スクリーン330を上昇させる場合について説明する。スクリーン330を上昇させるときは、
図12に示したように、操作チェーンの前側328bを引き下ろす。すると、プーリ327がスクリーン330を上昇させる方向に回転する。これと同時に、操作チェーンの前側328bが傾斜部344cに係合し、下方に揺動させる力を加える。よって、揺動アーム344が上方に揺動し、スクリーン330が窓枠WFから離間する。操作チェーンの前側328bを操作し続けている間は、傾斜部344cに下方に揺動させる力が加えられるため、揺動アーム344は上方に揺動した状態を保ち続ける。よって、上昇操作中は、スクリーン330は窓枠WFから離間した状態が保持される。
【0057】
次に、スクリーン330の昇降動作を停止した場合について説明する。スクリーン330の昇降動作が停止したときには、
図12に示したように、操作チェーン328を操作して揺動アーム344を水平する。揺動アーム344には、操作チェーン328から揺動させる力が加えらないため、固定軸318との摩擦で回転が規制されて水平状態を保持する。
【0058】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、位置切替機構340を、スクリーン330を昇降させるための昇降部326の動作と連動可能としたことで、部品点数を削減できる。
【0059】
なお、本実施形態では、固定軸318との摩擦によって揺動アーム344に水平な状態を保持させる構成としたが、この構成に限定されない。例えば、揺動アーム344と固定軸318との間にクラッチばねを設け、クラッチばねの付勢力によって揺動アーム344が水平に状態で保持されるようにしてもよい。この場合は、揺動アーム344が下方から水平状態に戻るクラッチばねと、上方から水平状態に戻るクラッチばねの2つのクラッチばねを設けるようにしてもよい。
【0060】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係るロールスクリーン400の構成について、
図14を参照しながら説明する。
図14は、本実施形態のロールスクリーン400の構成を説明するための図である。本実施形態は、主に位置切替機構440の構成が第2の実施形態と異なるものである。本実施形態では、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0061】
本実施形態の巻取パイプ420、プーリ427、操作チェーン428、スクリーン430は、第2の実施形態の巻取パイプ220、プーリ227、操作チェーン228、スクリーン230と実質的に同様である。
【0062】
位置切替機構440は、スクリーン430を昇降させる昇降部426(プーリ427、操作チェーン428)の動作と連動して位置を切り替えるものである。位置切替機構440は、
図14に示したように、支持軸442と、揺動アーム444と、ピニオンギア446を備えて構成される。支持軸442は、揺動アーム444の後端に設けられている。揺動アーム444は、ピニオンギア446にかみ合うラックギア444aが設けられており、ピニオンギア446の回転により前後に水平方向に移動する。
【0063】
ピニオンギア446は、プーリの軸部427aに一体回転するように嵌め合わされている。ピニオンギア446は、プーリ427がスクリーン下降方向に回転すると、ラックギア444aを後方(窓枠WFに近づく方向)に送り、揺動アーム444が後方に移動する。また、ピニオンギア446は、プーリ427がスクリーン上昇方向に回転すると、ラックギア444aを前方(窓枠WFから遠ざかる方向)に送り、揺動アーム444が前方に移動する。
【0064】
以上、本実施形態のロールスクリーン400の構成について説明した。以下、ロールスクリーン400の動作について、前述の
図14に加え、
図15を参照しながら説明する。
【0065】
まず、スクリーン430を上昇させる場合について説明する。スクリーン430を上昇させるときは、
図14に示したように、操作チェーンの前側428bを引き下ろす。すると、プーリ427がスクリーン430を上昇させる方向に回転する。プーリ427と一体にピニオンギア446が回転し、ラックギア444aを前方に送る。このため、揺動アーム444が前方に移動し、支持軸442に支持されているスクリーン430が窓枠WFから離間していく。よって、スクリーン430を上昇させている間は、スクリーン430は窓枠WFから離間した状態で上昇していく。プーリ427の回転が止まるとプーリ427と一体にピニオンギア446の回転も止まるため、揺動アーム444はその位置で保持される。
【0066】
次に、スクリーン430を下降させる場合について説明する。スクリーン430を下降させるときは、
図15に示したように、操作チェーンの後側428aを引き下ろす。すると、プーリ427がスクリーン430を下降させる方向に回転する。プーリ427と一体にピニオンギア446が回転し、ラックギア444aを後方に送る。このため、揺動アーム444が後方に移動し、支持軸442に支持されているスクリーン430が窓枠WFに接近していく。よって、スクリーン430を下降させている間は、スクリーン430は窓枠WFから離間した状態で下降していく。
【0067】
スクリーン430は全閉の位置まで下降すると、プーリ427の回転が止まるとプーリ427と一体にピニオンギア446の回転も止まる。またこのとき、揺動アーム444は窓枠WFに近接した位置まで移動しており、ピニオンギア446の回転の停止によって揺動アーム444はその位置で保持される。
【0068】
(第4の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、位置切替機構440を、スクリーン430を昇降させるための昇降部426の動作と連動可能としたことで、部品点数を削減できる。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0070】
例えば、上記実施形態では、スクリーンを設置する対象として窓枠を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。スクリーンの設置対象は壁面、間仕切りなど任意である。スクリーンの昇降時にスクリーンが対象物に接触しないことで、スクリーンの昇降動作に影響しないようにできるなどの効果がある。
【0071】
また、上記第4実施形態では、ピニオンギア446をプーリの軸部427aに一体回転するように嵌め合わされる構成としたが、プーリ427とピニオンギア446との間に減速ギアを介在させるようにしてもよい。このような構成とすることで、下降方向の操作に伴って揺動アーム444が窓枠WFに徐々に近づいていき、スクリーン430が最下降位置まで下降すると同時に、揺動アーム444が窓枠WFに近接した位置まで移動し、スクリーン430を窓枠WFに近接又は当接させることができる。
【0072】
以上説明した実施形態、変更例及び応用例の内容は、適宜組み合わせて実施できる。
【符号の説明】
【0073】
100、200、300、400 ロールスクリーン
110 支持部材
112、212 サイドプレート
112-1 一方のサイドプレート
112-2 他方のサイドプレート
112a 円筒状部
114 セットフレーム
116 ブラケット
118、218、318 固定軸
120 巻取パイプ
122 軸受
124 巻取パイプ用ストッパ
126、226、326 昇降部
127、227、327、427 プーリ
128、228、328、428 操作チェーン
130、230、330、430 スクリーン
132 ウエイトバー
140、240、340、440 位置切替機構
142、242、342、442 支持軸
144、244、344、444 揺動アーム
144a 凹部
146 ばね
148 揺動操作部
148a 操作部
148b ジョイント
150 揺動アーム用ストッパ
218a、218b 固定軸の突起部
227a、427a プーリの軸部
228a、328a、428a 操作チェーンの後側
228b、328b、428b 操作チェーンの前側
229 クラッチばね
229a、229b クラッチばねの端部
244a 揺動アームの突起部
327a プーリの凹部
344b、344c 傾斜部
444a ラックギア
446 ピニオンギア
WF 窓枠
WA 窓の開口部