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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】現像剤補給容器
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240122BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
G03G15/08 343
G03G21/16 176
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023020900
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2022002946の分割
【原出願日】2017-09-21
(65)【公開番号】P2023053306
(43)【公開日】2023-04-12
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岡 将人
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 利明
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-015826(JP,A)
【文献】特開平04-068372(JP,A)
【文献】特開2001-222158(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0176891(US,A1)
【文献】特開2015-036704(JP,A)
【文献】特開平05-012777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を受入れる受入れ口が形成された現像剤受入れ部と、前記現像剤受入れ部と一体的に変位可能な被係合部と、を有する現像剤受入れ装置に着脱可能な現像剤補給容器において、
現像剤を収容する回転可能な現像剤収容部と、
前記現像剤収容部に収容された現像剤を排出する排出口が底面に形成された排出部と、
前記排出部に対して揺動可能に設けられ、前記排出口と前記受入れ口とが連通するように、前記現像剤補給容器の装着動作に伴って、前記被係合部と係合し、かつ前記現像剤受入れ部を前記現像剤補給容器に向けて変位させるシーソー部材と、を備える、
ことを特徴とする現像剤補給容器。
【請求項2】
前記シーソー部材は、前記現像剤収容部の回転軸線方向と上下方向に交差する幅方向において、前記排出部の両側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の現像剤補給容器。
【請求項3】
前記シーソー部材の第1の回転方向への回転止めとなる第1の回転止め部と、
前記シーソー部材の前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向への回転止めとなる第2の回転止め部と、
前記シーソー部材を前記第1の回転止め部に付勢させる弾性部材と、を備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の現像剤補給容器。
【請求項4】
前記現像剤補給容器が前記現像剤受入れ装置に装着されていない状態において、前記シーソー部材は前記弾性部材からの付勢力を受けて前記第1の回転止め部に当接し、
前記現像剤補給容器が前記現像剤受入れ装置に装着されて前記排出口と前記受入れ口とが連通した状態において、前記シーソー部材は前記弾性部材からの付勢力に抗する付勢力を前記被係合部から受けて前記第2の回転止め部に当接する、
ことを特徴とする請求項3に記載の現像剤補給容器。
【請求項5】
前記弾性部材は、ばねである、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の現像剤補給容器。
【請求項6】
前記現像剤収容部は、前記排出部に対して相対回転可能に前記排出部に接続されており、
前記シーソー部材は、前記現像剤収容部の回転軸線を含む水平面よりも下側に配置されている、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の現像剤補給容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤受入れ装置に着脱可能な現像剤補給容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機などの電子写真方式の画像形成装置には微粉末のトナーなどの現像剤が使用されている。このような画像形成装置においては、画像形成によって消費されてしまう現像剤を、現像剤補給容器から補う構成となっている。
【0003】
例えば、現像剤補給容器が画像形成装置内に設けられた現像剤受入れ装置に着脱可能であって、現像剤補給容器の装着動作に伴って、現像剤受入れ装置の現像剤受入れ部を現像剤補給容器の排出口に向けて変位させる構成が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-015826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、現像剤補給容器を装着する際の操作力を軽減して操作性を向上することができる現像剤補給容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の現像剤補給容器は、現像剤を受入れる受入れ口が形成された現像剤受入れ部と、前記現像剤受入れ部と一体的に変位可能な被係合部と、を有する現像剤受入れ装置に着脱可能な現像剤補給容器において、現像剤を収容する回転可能な現像剤収容部と、前記現像剤収容部に収容された現像剤を排出する排出口が底面に形成された排出部と、前記排出部に対して揺動可能に設けられ、前記排出口と前記受入れ口とが連通するように、前記現像剤補給容器の装着動作に伴って、前記被係合部と係合し、かつ前記現像剤受入れ部を前記現像剤補給容器に向けて変位させるシーソー部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、現像剤補給容器を装着する際の操作力を軽減して操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図。
図2】実施の形態に係る画像形成装置の斜視図。
図3】実施の形態に係る現像剤受入れ装置の、(a)斜視図、(b)断面図。
図4】実施の形態に係る現像剤受入れ装置の、(a)部分拡大斜視図、(b)部分拡大断面図、(c)現像剤受入れ部の斜視図。
図5】実施の形態に係る現像剤補給容器の、(a)一部を切断して示す斜視図、(b)フランジ部周辺の断面図、(c)正面から見た正面図。
図6】実施の形態に係る現像剤補給容器の容器本体の斜視図。
図7】実施の形態に係るフランジ部の、(a)斜視図、(b)底面図。
図8】実施の形態に係る係合部の側面図。
図9】実施の形態に係るシャッタの、(a)上面図、(b)斜視図。
図10】実施の形態に係るポンプの、(a)斜視図、(b)側面図。
図11】実施の形態に係る往復部材の、(a)斜視図、(b)(a)の反対側から見た斜視図。
図12】実施の形態に係るカバーの、(a)斜視図、(b)(a)の反対側から見た斜視図。
図13】実施の形態に係る現像剤補給容器の挿入時に、被係合部が係合面に係合する前の、(a)シャッタ開口と受入れ口との接続箇所の側面図、(b)フランジの側面図。
図14】実施の形態に係る現像剤補給容器の挿入に伴い、被係合部が係合面に係合した時の、(a)シャッタ開口と受入れ口との接続箇所の側面図、(b)フランジの側面図。
図15】実施の形態に係る現像剤補給容器の挿入に伴い、係合部が揺動する直前の、(a)シャッタ開口と受入れ口との接続箇所の側面図、(b)フランジの側面図。
図16】実施の形態に係る現像剤補給容器の装着完了に伴い、係合部が第2の位置に揺動した後の、(a)シャッタ開口と受入れ口との接続箇所の側面図、(b)フランジの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図1図16(b)を用いて説明する。まず、本実施の形態の画像形成装置の概略構成について、図1及び図2を用いて説明する。
【0011】
[画像形成装置]
図1において、画像形成装置100は、装置本体100aの上部に原稿読取装置103を有する。原稿101は、原稿台ガラス102の上に置かれる。そして、原稿101の画像情報に応じた光像を原稿読取装置103の複数のミラーMとレンズLnとにより、像担持体としての円筒状の感光体である感光ドラム104上に結像させることにより静電潜像を形成する。この静電潜像は乾式の現像器(一成分現像器)201により現像剤(乾式粉体)としてのトナー(一成分磁性トナー)を用いて可視化される。尚、本実施の形態では、現像剤補給容器1(トナーカートリッジとも呼ぶ)から補給すべき現像剤として一成分磁性トナーを用いた例について説明するが、このような例だけではなく、後述するような構成としても構わない。
【0012】
具体的には、一成分非磁性トナーを用いて現像を行う一成分現像器を用いる場合、現像剤として一成分非磁性トナーを補給することになる。また、磁性キャリアと非磁性トナーを混合した二成分現像剤を用いて現像を行う二成分現像器を用いる場合、現像剤として非磁性トナーを補給することになる。尚、この場合、現像剤として非磁性トナーと共に磁性キャリアも併せて補給する構成としても構わない。
【0013】
図1に示す現像器201は、上述したように、原稿101の画像情報に基づいて感光ドラム104上に形成された静電潜像を、現像剤としてトナーを用いて現像するものである。また、現像器201には、現像剤補給システム200が接続されており、現像剤補給システム200は、現像剤補給容器1と、現像剤補給容器1が着脱可能な現像剤受入れ装置8とを有する。現像剤補給システム200については後述する。
【0014】
現像器201は、現像剤ホッパ部201aの他に、現像ローラ201fが設けられている。この現像剤ホッパ部201aには、現像剤補給容器1から補給された現像剤を撹拌するための撹拌部材201cが設けられている。そして、この撹拌部材201cにより撹拌された現像剤は、搬送部材201dにより搬送部材201e側へと送られる。そして、搬送部材201e、201bにより順に搬送されてきた現像剤は、現像ローラ201fに担持され、最終的に感光ドラム104との現像部へと供給される。本実施の形態では、一成分現像剤を用いているため、現像剤補給容器1から現像剤としてのトナーを、現像器201へ補給する構成としている。但し、二成分現像剤を用いる場合、現像剤補給容器1から現像剤としてのトナー及びキャリアを補給する構成としても構わない。
【0015】
カセット105~108は、それぞれシートなどの記録材Sを収容する。画像形成時には、これらカセット105~108のうち、画像形成装置100の操作部100d(図2参照)から操作者(ユーザ)が入力した情報もしくは原稿101のサイズを基に最適な記録材Sを収容したカセットが選択される。ここで記録材Sとしては用紙に限定されずに、例えばOHPシート等適宜使用及び選択できる。そして、給送分離装置105A~108Aにより搬送された1枚の記録材Sを、搬送部109を経由してレジストレーションローラ110まで搬送し、感光ドラム104の回転と、原稿読取装置103のスキャンのタイミングを同期させて搬送する。
【0016】
レジストレーションローラ110の記録材搬送方向下流側で、感光ドラム104と対向する位置には、転写帯電器111及び分離帯電器112が設けられている。レジストレーションローラ110により搬送された記録材Sは、転写帯電器111によって、感光ドラム104上に形成された現像剤による画像(トナー画像)が転写される。そして、トナー画像が転写された記録材Sは、分離帯電器112によって感光ドラム104から分離される。この後、搬送部113により搬送された記録材Sは、定着部114において熱と圧力が加えられ、記録材上にトナー像が定着される。その後、トナー像を定着した記録材Sは、片面コピーの場合には、排出反転部115を通過し、排出ローラ116により排出トレイ117へ排出される。
【0017】
他方、両面コピーの場合には、記録材Sは、排出反転部115を通り、一度、排出ローラ116により一部が装置外へ排出される。そして、この後、記録材Sの終端が切換部材118を通過し、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングで切換部材118の位置を切り換えると共に排出ローラ116を逆回転させることにより、記録材Sは、再度、装置内へ搬送される。さらに、この後、記録材Sは、再給送搬送部119,120を経由してレジストレーションローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
【0018】
上記構成の画像形成装置100において、感光ドラム104の周りには現像器201、クリーナ部202、一次帯電器203等の画像形成プロセス機器が設置されている。尚、現像器201は、原稿読取装置103により読み取った原稿101の画像情報などに基づき感光ドラム104に形成された静電潜像に現像剤を付着させることにより、静電潜像を現像するものである。また、一次帯電器203は、感光ドラム104上に所望の静電潜像を形成するために感光ドラム表面を一様に帯電するためのものである。また、クリーナ部202は感光ドラム104に残留している現像剤を除去するためのものである。
【0019】
図2に示すように、画像形成装置100の装置本体100aの外装カバーの一部である交換用カバー40を操作者が開けると、後述する現像剤受入れ装置8の一部が現れる。そして、この現像剤受入れ装置8に現像剤補給容器1を挿入することで、現像剤補給容器1は、現像剤受入れ装置8へ現像剤を補給可能な状態に装着される。他方、操作者が現像剤補給容器1を交換する際は、装着動作とは逆の動作を行って現像剤受入れ装置8から現像剤補給容器1を離脱した後に、新たな現像剤補給容器1を装着する。尚、交換用カバー40は、現像剤補給容器1を着脱(交換)するための専用カバーであって、現像剤補給容器1を着脱するためだけに開閉される。他方、画像形成装置100のメンテナンスは、前面カバー100cを開閉することにより行われる。ここで、交換用カバー40と前面カバー100cとは一体であってもよく、その場合、現像剤補給容器1の交換や、画像形成装置100のメンテナンスは一体化されたカバー(不図示)を開閉することにより行われる。
【0020】
[現像剤受入れ装置]
次に、現像剤補給システム200を構成する現像剤受入れ装置8について、図3(a)~図4(c)を用いて説明する。現像剤受入れ装置8には、図3(a)に示すように、現像剤補給容器1が着脱自在に装着される装着部(装着スペース)8fが設けられている。装着部8fには、現像剤補給容器1を着脱方向に案内するための挿入ガイド8eが設けられている。本実施の形態の場合、挿入ガイド8eによる現像剤補給容器1の装着方向Aに対し、現像剤補給容器1の離脱方向Bが逆方向となるように構成されている。
【0021】
図3(a)~図4(a)に示すように、現像剤受入れ装置8は、現像剤補給容器1を駆動する駆動機構として機能する駆動ギヤ9を有している。この駆動ギヤ9は、駆動モータ500から駆動ギヤ列(不図示)を介して回転駆動力が伝達され、装着部8fに装着された状態にある現像剤補給容器1に対し回転駆動力を付与する機能を有している。駆動モータ500は、制御装置600によりその動作を制御される構成となっている。
【0022】
制御装置600は、駆動モータ500の制御の他、画像形成装置100の全体の制御を行う。このような制御装置600は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
【0023】
現像剤受入れ装置8の装着部8fには、現像剤補給容器1から排出された現像剤を受入れるための現像剤受入れ部11が設けられている。現像剤受入れ部11は、現像剤補給容器1の装着時に現像剤補給容器1の容器排出口3a4(図16(a)参照)と接続され、容器排出口3a4から排出される現像剤を受け入れる受入れ口11aを有する。現像剤受入れ部11は、受入れ口11aが容器排出口3a4に対して遠近動する方向に、本実施の形態では現像剤補給容器1の装着方向Aに交差する方向(具体的には、現像剤受入れ装置8に対して鉛直方向)に移動可能(変位可能)に取り付けられている。本実施の形態の場合、図3(b)に示すように、現像剤受入れ部11は、例えば、圧縮コイルばねからなる付勢部材12により受入れ口11aが容器排出口3a4から遠ざかる方向(鉛直方向下方、変位方向と逆方向)に付勢されている。それ故、現像剤受入れ部11は、受入れ口11aが容器排出口3a4に近づく方向(鉛直方向上方)へ移動する際に、付勢部材12による付勢力に抗して移動することとなる。尚、本明細書中では、現像剤補給容器1の装着動作に伴って現像剤受入れ部11が変位する方向は鉛直方向上方であり、この方向を上方向(変位方向)Uとし、その逆方向の鉛直方向下方を下方向Dとして表記する。
【0024】
また、図4(a)に示すように、現像剤受入れ装置8の装着部8fには、現像剤受入れ部11よりも装着方向Aの上流側に第1シャッタストッパ部8a及び第2シャッタストッパ部8bが設けられている。第1、第2シャッタストッパ部8a、8bは、現像剤受入れ装置8に対し相対移動する着脱中の現像剤補給容器1において、後述するシャッタ4(図5(b)参照)のみに関し現像剤受入れ装置8に対する相対移動を規制する。この場合、シャッタ4は、後述する容器本体2などのシャッタ4以外の現像剤補給容器1の一部に対し相対移動することになる。
【0025】
図3(b)及び図4(b)に示すように、現像剤受入れ装置8の下方向Dには、現像剤補給容器1から補給された現像剤を一時的に溜めておくサブホッパ8cが設けられている。このサブホッパ8c内には、現像器201の一部である現像剤ホッパ部201a(図1参照)へ現像剤を搬送するための搬送スクリュー14と、現像剤ホッパ部201aと連通した開口8dとが設けられている。
【0026】
図4(c)に示すように、現像剤受入れ部11には、受入れ口11aを取り囲むように形成された本体シール13が配置されている。本体シール13は、弾性体、発泡体等で構成されている。図16(a)に示すように、本体シール13は、現像剤補給容器1が装着された状態で、現像剤補給容器1の容器排出口3a4を取り囲む開口シール3a5との間で後述するシャッタ4を挟んで密着する。これにより、現像剤補給容器1の容器排出口3a4からシャッタ4のシャッタ開口(排出口)4jを介して受入れ口11aへと排出される現像剤が、現像剤搬送経路である受入れ口11a外へ漏れないようにしている。即ち、本体シール13は、受入れ口11aの周囲に設けられると共に、受入れ口11a及びシャッタ開口4jの連通時に受入れ口11a及びシャッタ開口4jの間で弾性変形してシールする。
【0027】
尚、受入れ口11aの直径は、装着部8f内が現像剤により汚れてしまうのを防止するために、シャッタ4のシャッタ開口4jの直径よりも略同径からやや大きくするのが望ましい。これは、シャッタ開口4jの直径よりも受入れ口11aの直径が小さい場合、シャッタ開口4jから排出された現像剤が本体シール13の上面に付着し易くなるためである。付着した現像剤は、現像剤補給容器1の着脱動作時に現像剤補給容器1の下面に付着することによって、現像剤による汚れの一因となる。この点に鑑み、受入れ口11aの直径は、シャッタ開口4jの直径に対して略同径~約2mm大きくすることが望ましい。例えば、シャッタ4のシャッタ開口4jの直径が約2mmの微細口(ピンホール)である場合、受入れ口11aの直径は約3mmに設定することが好ましい。
【0028】
また、図4(c)に示すように、現像剤受入れ部11には、側面に中央側に向け突出した被係合部11bが設けられている。本実施の形態の場合、この被係合部11bは、後述する現像剤補給容器1に設けられた係合部(係合部材)30(図8参照)と直接係合し、ガイドされることで、現像剤受入れ部11が現像剤補給容器1へ向けて上方向Uへ持ち上げられる。
【0029】
[現像剤補給容器]
次に、現像剤補給システム200を構成する現像剤補給容器1について、図5(a)~図16(b)を用いて説明する。まず、図5(a)及び図5(b)を用いて現像剤補給容器1の全体構成について説明する。現像剤補給容器1は、主に容器本体2、フランジ部3、シャッタ4、ポンプ部5、往復部材6、カバー7を有する。容器本体2は、現像剤受入れ装置8内で図5(a)に示す回転軸線Pを中心に矢印R方向へ回転することにより、現像剤を現像剤受入れ装置8へ補給する。以下に、現像剤補給容器1を構成する各要素について、詳細に説明する。尚、本実施の形態では、回転軸線Pの方向を回転軸線方向とし、装着方向A及び離脱方向Bと平行な着脱方向と同方向としている。
【0030】
[容器本体]
容器本体2は、主に、図6に示すように内部に現像剤を収容する現像剤収容部2cを有する。また、容器本体2には、容器本体2が回転軸線Pに対して矢印R方向へ回転することによって現像剤収容部2c内の現像剤を搬送する螺旋状に形成された搬送溝2a(搬送部)が形成されている。即ち、現像剤収容部2cは、排出部300に対して相対回転可能である。また、容器本体2の一端面側の外周面の全周に渡って、カム溝2bと、本体側から駆動を受ける駆動受け部(ギヤ)2dとが、一体的に形成されている。尚、本実施の形態では、カム溝2bと駆動受け部2dが容器本体2に対して一体的に形成されているが、カム溝2bあるいは駆動受け部2dを別体として形成し、容器本体2に一体的に取り付けた構成であってもよい。また、本実施の形態では現像剤として、例えば体積平均粒径が5μm~6μmのトナーが現像剤収容部2c内に収容されている。また、本実施の形態では、現像剤収容部2cは容器本体2だけでなく、容器本体2と後述するフランジ部3及びポンプ部5の内部スペースを合わせたものである。
【0031】
[フランジ部]
続いて、フランジ部3について図5(a)、図5(b)、図7(a)、図7(b)を用いて説明する。フランジ部3は、容器本体2と回転軸線Pに関して相対回転可能に取り付けられる。そして、現像剤補給容器1が現像剤受入れ装置8に装着されると、フランジ部3は装着部8f(図3(a)参照)に対し矢印R方向の回転が不可となるように保持される。また、フランジ部3の一部には、図7(b)に示すように、容器排出口3a4が設けられており、その周囲には開口シール3a5が貼着されている。フランジ部3には、図5(b)に示すように、ポンプ部5、往復部材6、シャッタ4、カバー7が組み付けられている。
【0032】
まず、フランジ部3の一端側(装着方向A)にはポンプ部5がネジ接合され、他端側(離脱方向B側)には容器本体2が不図示のシール部材を介して接合される。また、ポンプ部5を挟み込むようにして、往復部材6が配置され、往復部材6に設けられた係合突起6b(図11(a)、(b)参照)が容器本体2のカム溝2b(図6参照)に嵌め込まれる。さらに、フランジ部3にはシャッタ4が組み込まれる。本実施の形態では、フランジ部3とシャッタ4とで、現像剤収容部2cに収容された現像剤を排出する排出部300を構成している。また、シャッタ4が設けられている面は、フランジ部3の底面、即ち底部3dの上面である。また、外観上の見た目を向上させるためと、往復部材6及びポンプ部5の保護のために、上記したフランジ部3、シャッタ4、ポンプ部5、往復部材6の全体を覆うようにカバー7が一体的に組み付けられ、図5(a)、(b)のように構成される。
【0033】
また、図7(a)、(b)に示すように、フランジ部3は、下部に水平に設けられた平板状の底部3dと、底部3dの略中央部に形成され、上下方向に貫通した開口部3eとを有している。図5(b)に示すように、底部3dは、シャッタ4を下方から摺動可能に支持している。図15(a)に示すように、開口部3eには、現像剤受入れ部11の本体シール13や受入れ口11aが、上方向Uに変位した際に貫通する。
【0034】
図7(a)に示すように、フランジ部3の挿抜方向及び上下方向に直交する幅方向に関して、フランジ部3の両壁部には、それぞれ幅方向外側に突出する揺動軸(軸部)41が設けられている。また、フランジ部3の両壁部において、揺動軸41の装着方向A側には第1の位置決め部42、揺動軸41の離脱方向B側には第2の位置決め部43が設けられている。揺動軸41には、係合部30が揺動可能に軸支されており、係合部30は抜け止めのためにスナップフィット(不図示)によって固定されている。即ち、揺動軸41は、排出部300に設けられ、係合部30の両端部が回動可能となるような位置で係合部30を回動可能に支持する。
【0035】
[係合部]
フランジ部3は、図7(a)に示すように、現像剤受入れ部11の被係合部11b(図3(a)参照)に係合可能な係合部30を有している。図5(c)は、現像剤補給容器1を正面から見た図である。図5(c)に示すように、係合部30は、回転軸線Pを含む平面Hよりも下方に配置される。更には、回転軸線Pを含む平面Hは水平面であり、係合部30は、この水平面よりも下方に配置される。係合部30は、現像剤補給容器1の装着動作に伴って被係合部11bと係合して、受入れ口11aがシャッタ開口4jと連通するように現像剤受入れ部11を上方向Uに変位させる(図16(a)参照)。この時、現像剤補給容器1及び現像剤受入れ部11は、現像剤補給容器1から現像剤受入れ部11への現像剤補給が可能な互いが接続した状態となる。また、係合部30は、現像剤補給容器1の取り出し動作に伴い、現像剤補給容器1と現像剤受入れ部11との接続状態が断たれるように、現像剤受入れ部11が現像剤補給容器1から離間する下方向Dへ変位するようにガイドする。尚、本実施の形態では、図7(a)、(b)に示すように、係合部30は、フランジ部3の挿抜方向及び上下方向に直交する幅方向の両側に設けられている。
【0036】
図7(a)及び図8に示すように、係合部30は、略板状の部材であり、第1の位置(第1の状態、図8中、実線)と第2の位置(第2の状態、図8中、想像線)との間で、揺動軸41を中心に揺動可能に設けられている。係合部30は、現像剤補給容器1の装着動作に伴って、第1の位置から第2の位置に揺動する。係合部30は、表側に被係合部11bに係合可能な平面状の係合面33が形成された平板状の平板部31と、平板部31の裏側に形成され、揺動軸41に揺動可能に軸支される軸受部32と、を有している。係合部30の被係合部11bと係合する係合面33は、平面である。
【0037】
図8に実線で示すように、係合部30の第1の位置は、係合部30の係合面33が、現像剤補給容器1の装着方向Aの上流側に向かう程、上方向Uに向かうように設けられた位置としている。即ち、係合部30は、回転軸線Pの方向において現像剤収容部2cに遠い側の先端部30a(一端部)と、近い側の先端部30b(他端部)と、を有し、第1の位置では、先端部30aが先端部30bよりも下がっている。また、係合部30は、第1の位置にあるときには、回転軸線Pに対して傾斜している。また、図8に想像線で示すように、係合部30の第2の位置は、係合部30の係合面33の装着方向Aに対する傾斜が、第1の位置よりも小さくなるように設けられた位置としている。本実施の形態では、係合部30の第2の位置は、係合部30が第2の位置決め部43に当接した際に係合面33が装着方向Aと略平行になる位置である。即ち、第2の位置にあるときの係合部30の回転軸線Pに対する傾斜角は、約0°である。また、係合部30の第1の位置は、係合面33が装着方向Aに対して所定の傾斜角度θだけ傾斜した位置としている。この傾斜角度θとしては、例えば、30度~60度程度に設定することができる。
【0038】
また、フランジ部3に形成された第1の位置決め部42は、係合部30の装着方向A側の先端部30aの裏側に当接することで、係合部30を第1の位置に位置決めする。第2の位置決め部43は、係合部30の離脱方向B側の先端部30bの裏側に当接することで、係合部30を第2の位置に位置決めする。係合部30は、例えば、捩りコイルばね(付勢部)44により、第1の位置決め部42に当接するように付勢されている。即ち、捩りコイルばね44は、先端部30aが先端部30bよりも下がっている第1の状態に維持する。そのため、現像剤補給容器1の画像形成装置100への挿入時には、係合部30は第1の位置決め部42に突き当たっている。尚、係合部30は、揺動軸41から離脱することのないように、揺動軸41に対してスナップフィットによって幅方向に位置決めされている。
【0039】
係合部30が第1の位置決め部42に当接している状態では、係合部30は現像剤補給容器1の現像剤受入れ装置8への装着方向Aに傾斜角度θだけ傾斜して位置している。そのため、現像剤補給容器1を現像剤受入れ装置8へ挿入することで、係合部30は現像剤受入れ部11の上方向Uへの開封動作が行われるように、現像剤補給容器1の装着方向Aと交差する上方向Uへ現像剤受入れ部11を変位させる。一方、係合部30が第2の位置決め部43に当接している状態では、係合部30は現像剤補給容器1の現像剤受入れ装置8への装着方向Aと平行に位置している。また、本実施の形態では、係合部30が第2の位置決め部43に当接している状態では、係合部30は回転軸線Pと平行であり、水平面と平行となっている。そのため、現像剤補給容器1が容器排出口3a4に対し相対移動する間、即ち受入れ口11aが容器排出口3a4と接続する位置にまで移動する間、本体シール13とシャッタ開口4jとが接続した状態を維持させる(図16(a)参照)。
【0040】
また、本実施の形態では、揺動軸41に揺動可能に軸支される軸受部32は、平板部31の略中央部より僅かに装着方向Aの上流側の下側に設けられている。揺動軸41は、装着方向Aに関して、係合部30の上流側の先端部(上流側端部)30bと下流側の先端部(下流側端部)30aとの間に設けられ、被係合部11bの係合により係合部30が第1の位置と第2の位置との間で揺動する位置に配置されている。また、揺動軸41は、鉛直方向において、回転軸線Pよりも下方で、シャッタ開口4jよりも上方に配置されている。また、揺動軸41は、回転軸線Pの方向において、シャッタ開口4jよりも現像剤収容部2cから遠い位置に配置されている。更に、揺動軸41は、排出部300の側面から突出している。但し、平板部31に対する軸受部32の位置や、揺動軸41の配置位置は、各部の構成や寸法に応じて適宜設定することができる。
【0041】
[シャッタ]
次に、シャッタ4について、図9(a)、(b)を用いて説明する。シャッタ4はフランジ部3の底部3d(図7(a)参照)の上面を摺動するようにして、現像剤補給容器1の一部(フランジ部3)に対して移動可能に設けられている。シャッタ4は、排出口としてのシャッタ開口4jを有し、現像剤補給容器1の着脱動作に伴い、現像剤補給容器1の容器排出口3a4(図7(b)参照)を開閉する。即ち、現像剤補給容器1の装着動作に伴ってシャッタ4が現像剤補給容器1に対して移動することで、現像剤受入れ部11の受入れ口11aとシャッタ開口4jとが連通し、さらに容器排出口3a4が連通する。これにより、現像剤補給容器1内部の現像剤を受入れ口11aへ排出可能となる。即ち、フランジ部3とシャッタ4とで、現像剤を排出する排出部300(図5(b)参照)を構成し、排出部300のシャッタ4には、現像剤を排出する排出口としてのシャッタ開口4jが底面に形成されている。
【0042】
また、シャッタ4は、底部3dに対向する摺動面4iにおいて、シャッタ開口4jを囲むように、現像剤受入れ部11と連結する連結面4kを有している。連結面4kは、シャッタ開口4jよりも大径で、摺動面4iと平行に形成されている。連結面4kには、現像剤補給容器1を装着した後に、本体シール13の上端面が密着するようになっている。
【0043】
一方、図9(a)、(b)に示すように、シャッタ4のシャッタ開口4jから外れた位置には現像剤封止部4aが設けられている。現像剤封止部4aは、現像剤補給容器1を抜き出す動作に伴ってシャッタ4が現像剤補給容器1に対して移動することで、容器排出口3a4を塞ぐ。また、現像剤封止部4aは、現像剤補給容器1が現像剤受入れ装置8の装着部8f(図3(a)参照)に装着されていない時に、容器排出口3a4からの現像剤の漏れを防ぐ。現像剤封止部4aの背面側(現像剤受入れ部11側)には、フランジ部3の底部3dの上面を摺動する摺動面4iが設けられている。尚、シャッタ4は、現像剤封止部4aを上向きにした姿勢で、フランジ部3に係合している。
【0044】
シャッタ4は、現像剤補給容器1がシャッタ4に対して相対移動することが可能となるように、現像剤受入れ装置8の第1、第2シャッタストッパ部8a、8b(図4(a)参照)に保持される第1ストッパ部4b及び第2ストッパ部4cを有している。また、シャッタ4は、第1、第2ストッパ部4b、4cを変位可能に支持する支持部4dを有している。支持部4dは、弾性変形可能で、現像剤封止部4aの両側面の一端側から他端側に向けてそれぞれ延設されている。そして、支持部4dの先端部に、それぞれ第1ストッパ部4bと第2ストッパ部4cを設けている。これにより、第1、第2ストッパ部4b、4cは、支持部4dの弾性により変位可能となる。
【0045】
尚、第1ストッパ部4bと支持部4dが形成する角度αは鋭角となるよう、第1ストッパ部4bは傾斜している。これに対して、第2ストッパ部4cと支持部4dが形成する角度βは鈍角となるように、第2ストッパ部4cは傾斜している。
【0046】
第1ストッパ部4bは、現像剤補給容器1の装着動作時に、現像剤受入れ装置8の案内部8gと係合して変位し、第2シャッタストッパ部8bを通過して、第1シャッタストッパ部8aと係合する。第1ストッパ部4bと第1シャッタストッパ部8aとが係合することで、シャッタ4の現像剤受入れ装置8に対する位置が固定される。第2ストッパ部4cは、現像剤補給容器1の離脱動作時に、現像剤受入れ装置8の第2シャッタストッパ部8bに係合して、第1ストッパ部4bが第1シャッタストッパ部8aから外れるように変位させる。これにより、シャッタ4が現像剤受入れ装置8から外れる。
【0047】
[ポンプ部]
ポンプ部5について、図10(a)、(b)を用いて説明する。ポンプ部5は、容器本体2(図6参照)の駆動受け部2dが受けた駆動力により、現像剤収容部2cの内圧が大気圧よりも低い状態と高い状態とに交互に繰り返し切り替わるように動作する。本実施の形態では、前述したように小さな容器排出口3a4から現像剤を安定的に排出させるために、現像剤補給容器1の一部にポンプ部5を設けている。ポンプ部5はその容積を変更可能な容積可変型ポンプである。具体的には、ポンプ部5として、伸縮可能な蛇腹状の伸縮部材で構成されているものを採用している。
【0048】
このポンプ部5の伸縮動作により現像剤補給容器1内の圧力を変化させ、その圧力を利用して現像剤の排出を行っている。具体的には、ポンプ部5を縮める際には現像剤補給容器1内が加圧状態となり、その圧力に押し出される形で現像剤が現像剤補給容器1の容器排出口3a4から排出される。またポンプ部5を伸ばす際には現像剤補給容器1内が減圧状態になり、外部から容器排出口3a4を介してエアが取り込まれる。この取り込まれたエアにより容器排出口3a4や、フランジ部3の容器本体2から搬送された現像剤を貯留する貯留部3a3付近(図7(a)参照)の現像剤がほぐれ、次の排出がスムーズに行われるようになっている。
【0049】
即ち、このように現像剤補給容器1の容器排出口3a4や貯留部3a3付近は、現像剤補給容器1の運搬時などの振動で現像剤補給容器1内の現像剤が集まり、この部分で現像剤が固まってしまう場合がある。従って、上述のように容器排出口3a4を介してエアが取り込まれることで、このように固まってしまった現像剤をほぐすことができる。また、通常の現像剤の排出動作においては、このようにエアが取り込まれることで、エアと粉体である現像剤とが混成されて、現像剤の流動性が良くなり、現像剤の詰まりが生じにくくなるという効果もある。以上のような伸縮動作を繰り返し行うことで、現像剤の排出が行われる。
【0050】
図10(a)に示すように、ポンプ部5は、開口端側(離脱方向B側)に、フランジ部3と接合可能なように接合部5bを有している。ここでは、接合部5bとしてネジが形成された構成を例示している。また、図10(b)に示すように、ポンプ部5は開口端とは反対側の他端側(装着方向A側)に、後述する往復部材6(図11(a)、(b)参照)と同期して変位させるために、往復部材6と係合する往復部材係合部5cを有する。
【0051】
また、ポンプ部5は、山折り部と谷折り部とが交互に周期的に形成された蛇腹状の伸縮部(蛇腹部、伸縮部材)5aを有する。伸縮部5aは、その折り目に沿って(その折り目を基点として)、接合部5bに対して往復部材係合部5cを離脱方向Bに移動させることで折り畳まれたり、装着方向Aに移動させることで伸びたりし得る。従って、本実施の形態のような蛇腹状のポンプ部5を採用した場合には、伸縮量に対する容積変化量のばらつきを少なくすることができるので、安定した容積変更を行うことが可能となる。
【0052】
尚、本実施の形態では、ポンプ部5の材料としてポリプロピレン樹脂を用いたが、これに限らない。ポンプ部5の材料(材質)に関しては、伸縮機能を発揮し容積変化によって現像剤収容部の内圧を変化させることができる材料であれば何でもよい。例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン等を用いてもよい。あるいは、ゴム、その他の伸縮性材料などを用いることも可能である。
【0053】
[往復部材]
往復部材6について、図11(a)、(b)を用いて説明する。往復部材6は上述したポンプ部5の容積を変更するために、ポンプ部5に設けられた往復部材係合部5c(図10(b)参照)に係合するポンプ係合部6aを有する。また、往復部材6は、組み立ての際に上述したカム溝2b(図6参照)に嵌め込まれる係合突起6bを有する。係合突起6bは、ポンプ係合部6aの近傍より着脱方向に延在するアーム6cの先端部に設けられている。また、往復部材6は、後述するカバー7の往復部材保持部7b(図12(b)参照)によってアーム6cの回転軸線P(図5(a)参照)中心の回転変位が規制されている。したがって、容器本体2が駆動ギヤ9によって駆動受け部2dより駆動を受け、カム溝2bが一体となって回転する際に、カム溝2bに嵌め込まれた係合突起6bとカバー7の往復部材保持部7bとの作用により、往復部材6は方向A,Bへ往復運動する。それに伴い、往復部材6のポンプ係合部6aと往復部材係合部5cを介して係合したポンプ部5が装着方向A及び離脱方向Bへ伸縮運動する。
【0054】
[カバー]
カバー7について、図12(a)、(b)を用いて説明する。上述したように、カバー7は、現像剤補給容器1の外観の見た目の向上と、往復部材6やポンプ部5の保護とを目的として、図5(b)に示すように設けられている。詳しくは、カバー7は、フランジ部3、ポンプ部5、往復部材6の全体を覆うように設けられている。図12(a)に示すように、カバー7には、現像剤受入れ装置8の挿入ガイド8e(図3(a)参照)にガイドされるガイド溝7aが設けられている。また、図12(b)に示すように、カバー7には、上述した往復部材6の回転軸線P(図5(a)参照)を中心とする回転変位を規制する往復部材保持部7bが設けられている。
【0055】
[現像剤補給容器の装着動作]
現像剤補給容器1の現像剤受入れ装置8への装着動作について、図13(a)~図16(b)を用いて説明する。ここで、図13(a)、(b)は、現像剤補給容器1の挿入時に、被係合部11bが係合面33に係合する前、図14(a)、(b)は、現像剤補給容器1の挿入に伴い、被係合部11bが係合面33に係合した時を示す。また、図15(a)、(b)は、現像剤補給容器1の挿入に伴い、係合部30が揺動する直前、図16(a)、(b)は、現像剤補給容器1の装着完了に伴い、係合部30が第2の位置に揺動した後を示す。
【0056】
現像剤補給容器1を画像形成装置100へ挿入し、図13(a)に示すように、現像剤補給容器1を装着方向Aに移動させていく。ここでは、図13(b)に示すように、係合部30と被係合部11bとは、まだ係合していない。この時点までは、フランジ部3とシャッタ4の位置は相対変位しておらず、容器排出口3a4はシャッタ4の現像剤封止部4aによって封止されている。この時、図9(a)に示すように、シャッタ4は、ストッパ部4b,4cが、現像剤受入れ装置8のシャッタストッパ部8a,8bと係合し、シャッタ4は現像剤受入れ装置8に対して装着方向Aの位置が固定される。従って、この後は現像剤補給容器1を装着方向Aに移動させても、シャッタ4は、装着方向Aにおいて、シャッタ4を除く現像剤補給容器1とは相対移動するが、現像剤受入れ部11とは挿抜方向には相対移動しなくなる。
【0057】
現像剤補給容器1を装着方向Aに更に移動させると、図14(a)に示すように、シャッタ4とフランジ部3の位置は相対変位しているが、受入れ口11aの位置は初期位置のままであり、シャッタ4と接していない。この時、図14(b)に示すように、現像剤受入れ部11の被係合部11bが、係合部30の係合面33の下側部に当接する。この状態から更に現像剤補給容器1が装着方向Aへ変位すると、被係合部11bは係合部30の係合面33に沿って変位する。即ち、現像剤補給容器1の挿入動作に伴って、被係合部11bを有する現像剤受入れ部11は上方向Uへ持ち上げられる。ここで、被係合部11bが揺動軸41よりも下方向D側にある場合、現像剤補給容器1を装着方向Aへ挿入する力が係合部30に作用すると、係合部30には図14(b)中で左回転方向への外力が作用する。しかしながら、第1の位置決め部42によって係合部30の左回転方向への揺動は規制されているため、係合部30が変位することはない。
【0058】
現像剤補給容器1を装着方向Aに更に移動させると、現像剤受入れ部11の被係合部11bは、係合面33に案内されて、現像剤受入れ部11は現像剤補給容器1に近づく上方向Uに持ち上げられる。そして、図15(a)に示すように、現像剤受入れ部11が初期位置よりも上方向Uへ持ち上げられ、受入れ口11aがシャッタ4のシャッタ開口4jと接した状態になる。この状態では、シャッタ開口4jと容器排出口3a4とが連通していないため、現像剤補給容器1に収容された現像剤は現像剤受入れ装置8へ排出されない。
【0059】
この時、図15(b)に示すように、被係合部11bが、係合部30の係合面33に沿って上昇し、揺動軸41よりも上方向U側に変位している。この状態で更に現像剤補給容器1を装着方向Aへ挿入しようとすると、係合部30が揺動軸41を中心に、図中で右回転方向へ揺動する。そして、係合部30は第2の位置決め部43に突き当たり、係合部30は装着方向Aに対して水平になる(図16(b)参照)。
【0060】
現像剤補給容器1を装着方向Aに更に移動させ、現像剤補給容器1を装着完了位置まで押し込むと、図16(a)に示すように、受入れ口11aとシャッタ開口4jが接した状態のままでフランジ部3に対して相対移動し、容器排出口3a4と連通する。この状態では、容器排出口3a4とシャッタ開口4j、受入れ口11aとが連通した状態となっているため、現像剤補給容器1から現像剤受入れ装置8への現像剤の補給動作が可能になっている。この時、図16(b)に示すように、係合部30が現像剤補給容器1の装着方向Aに対し平行になっている。このため、被係合部11bを有する現像剤受入れ部11は、シャッタ4に接した状態以上に持ち上げられることはなく、被係合部11b等に過剰な力が作用してしまうことはない。ここで、図16(b)に示すように、容器排出口3a4と係合面33との位置関係は、容器排出口3a4を通ると共に回転軸線Pに直交する平面Lが係合面33を通るような関係にある。また、係合面33を含む平面は、回転軸線Pと容器排出口3a4との間に配置される位置関係にある。更に、回転軸線P方向における平面Lの位置は、揺動軸41よりも現像剤収容部2c側に配置されている。
【0061】
一方、装置本体100aに装着した現像剤補給容器1を取り出す場合は、現像剤補給容器1を離脱方向Bへ変位させる。その際、装着時とは反対に、図16図15図14図13の状態となって取り出される。また、係合部30は捩りコイルばね44によって常に第1の位置決め部42方向へ付勢されているため、係合部30は、図16(b)→図15(b)へ変位される。これにより、ユーザは古い現像剤補給容器1を離脱方向Bに取り出して、新しい現像剤補給容器1を装着方向Aに挿入するだけで係合部30が自動的に変位して現像剤補給容器1を交換することができるので、交換作業の容易化を図ることができる。
【0062】
上述したように、本実施の形態の現像剤補給容器1によれば、被係合部11bが係合部30の係合面33に常に沿った状態で変位する。ここで、被係合部11bは、現像剤補給容器1の挿入開始時に被係合部11bを上方向Uに持ち上げる時の傾斜した係合面33と、現像剤補給容器1の挿入完了時に被係合部11bの高さを維持する時の水平な係合面33と、に係合する。このため、傾斜した係合面と水平な係合面とが山折り状に設けられた2平面である場合のように係合面が急に切り換わることはなく、傾斜した係合面33と水平な係合面33とが緩やかに切り換わるようにできる。そのため、現像剤補給容器1を画像形成装置100に着脱する際の操作力を軽減して操作性が円滑になり、操作性の向上を図ることができる。また、本実施の形態の現像剤補給容器1によれば、係合面33は平面状であるので、係合部30の形状の複雑化を抑制することができる。
【0063】
尚、上述の実施の形態では、図8に示すように、係合部30の係合面33は平面状であるようにしているが、これには限られない。例えば、係合面33を曲面状であるようにしてもよい。
【0064】
また、上述の実施の形態では、図8に示すように、係合部30が第2の位置に位置する際には、係合面33が装着方向Aに平行になるようにしているが、これには限られない。例えば、係合面33が装着方向Aに傾斜するように設けてもよい。この場合、現像剤受入れ装置8引き込み装置を設ける。これにより、現像剤補給容器1は、引き込み装置により装着方向に引き込まれた状態で所定の装着位置に固定されるので、現像剤補給容器1は、操作者などが力を加えて取り出そうとしなければ、取り出し方向に移動することはない。したがって、係合面33が平行面でなくても、被係合部11bが不用意に離脱方向Bに移動してしまうことはない。
【0065】
また、上述の実施の形態では、現像剤受入れ部11の受入れ口11aが連通する排出口をシャッタ4のシャッタ開口4jとしたが、これには限られない。例えば、シャッタを設けずに、現像剤補給容器1の容器排出口に現像剤受入れ部の受入れ口を直接、当接させて連通させるようにしてもよい。この場合、容器排出口が受入れ口と連通する排出口に相当する。
【符号の説明】
【0066】
1…現像剤補給容器、2c…現像剤収容部、4j…シャッタ開口(排出口)、8…現像剤受入れ装置、11…現像剤受入れ部、11a…受入れ口、11b…被係合部、30…係合部(係合部材)、30a…下流側の先端部(下流側端部)、30b…上流側の先端部(上流側端部)、33…係合面、41…揺動軸(軸部)、42…第1の位置決め部、43…第2の位置決め部、44…捩りコイルばね(付勢部)、200…現像剤補給システム、300…排出部、A…装着方向、U…上方向(変位方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16