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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/442 20110101AFI20240122BHJP
   H04N 21/488 20110101ALI20240122BHJP
   H04H 20/28 20080101ALI20240122BHJP
   H04H 40/18 20080101ALI20240122BHJP
   H04H 60/15 20080101ALI20240122BHJP
   H04H 60/23 20080101ALI20240122BHJP
【FI】
H04N21/442
H04N21/488
H04H20/28
H04H40/18
H04H60/15
H04H60/23
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023020974
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2021135419の分割
【原出願日】2021-04-23
(65)【公開番号】P2023065459
(43)【公開日】2023-05-12
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000214984
【氏名又は名称】TVS REGZA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 克則
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-510352(JP,A)
【文献】特開2020-053887(JP,A)
【文献】特開2003-069978(JP,A)
【文献】特開2017-118565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04H 20/28
H04H 40/18
H04H 60/15
H04H 60/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送の受信機と前記デジタル放送によって放送されるスクランブルされた放送信号をデスクランブルするための解読情報を保有したモジュールとを備えたシステムであって、
前記受信機は、
前記モジュールから前記解読情報を取得して、前記解読情報を用いて前記スクランブルを解除して前記放送信号を取得する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記受信機の電源をONにした後に、前記モジュールに第一のコマンドを出力して、前記モジュールから前記モジュールのバージョンを識別するため情報を含む応答を取得し、前記モジュールのバージョンに基づいて前記モジュールが前記モジュールのバージョンが修正ユリウス日(MJD)を16bitで表現する古いバージョンであるかを確認し、前記モジュールのバージョンが修正ユリウス日(MJD)を16bitで表現する古いバージョンである場合、古いモジュールを使い続けると放送の受信ができなくなる旨のメッセージを表示させる第一の手段と、
前記モジュールに第二のコマンドを出力して、前記モジュールに記憶されたEMM個別メッセージ情報と修正ユリウス日(MJD)で表されたEMM個別メッセージ情報の有効期限を含む応答を取得し、前記モジュールから取得した応答における修正ユリウス日(MJD)で表されたEMM個別メッセージ情報の有効期限を無視して、前記EMM個別メッセージ情報に基づいて表示手段にメッセージを表示させる第二の手段と、を備え、
前記モジュールは、
前記受信機からの前記第一のコマンドに応じて、前記モジュールのバージョンを識別するため情報を受信機へ出力する手段と、
前記受信機からの前記第二のコマンドに応じて、モジュールに記憶しているEMM個別メッセージ情報とEMM個別メッセージ情報の有効期限を含む応答を受信機へ出力する手段と、
を有するシステム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記メッセージを前記表示手段に表示させている間に、ユーザから消去命令を受信した場合に、前記メッセージの表示を消去する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御手段は、受信機の初期設定時に、前記モジュールにコマンドを出力して、前記モジュールから前記応答を取得し、前記モジュールのバージョンに基づいて、前記表示手段に前記メッセージを所定時間表示させる請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、受信機、受信方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送において、現在の時刻と日付に関する情報と、サマータイム実施時のオフセット時間情報を与えるためにTime Offset Table(TOT)を送信することがARIB STD-B10にて定められている。TOTで伝送される修正ユリウス日(MJD)は16bitで表現され、最も未来の日付は、0xFFFFで2038年4月22日が表される。2038年4月23日以降にも対応するため、関連規格においては、2100年2月28日まで拡張する方法(拡張MJD)が規定されている。具体的には、受信機側において、受信機出荷時などの日時を記憶しておき、それよりも明らかに過去の日付の情報が伝送された場合は、17ビット目に”1”が立っているとして計算し処理するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】TR-B15第四編 7.9版
【文献】TR-B39第五編 1.7版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、受信機同梱のB-CAS(登録商標)カードは、カード支給の時期によって、MJDに対する処理(MJD処理)が異なる。特定の時期以降に支給が開始されたB-CASカードは、2038年4月23日以降の日付に対応している。一方で、それ以前の古いB-CASカードは、2038年4月23日以降の日付に対応していない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、MJD処理の異なる複数のB-CASカードが混在している状況で運用できる受信機、受信方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、デジタル放送の受信機と前記デジタル放送によって放送されるスクランブルされた放送信号をデスクランブルするための解読情報を保有したモジュールとを備えたシステムであって、前記受信機は、前記モジュールから前記解読情報を取得して、前記解読情報を用いて前記スクランブルを解除して前記放送信号を取得する制御手段を備え、前記制御手段は、前記受信機の電源をONにした後に、前記モジュールに第一のコマンドを出力して、前記モジュールから前記モジュールのバージョンを識別するため情報を含む応答を取得し、前記モジュールのバージョンに基づいて前記モジュールが前記モジュールのバージョンが修正ユリウス日(MJD)を16bitで表現する古いバージョンであるかを確認し、前記モジュールのバージョンが修正ユリウス日(MJD)を16bitで表現する古いバージョンである場合、古いモジュールを使い続けると放送の受信ができなくなる旨のメッセージを表示させる第一の手段と、前記モジュールに第二のコマンドを出力して、前記モジュールに記憶されたEMM個別メッセージ情報と修正ユリウス日(MJD)で表されたEMM個別メッセージ情報の有効期限を含む応答を取得し、前記モジュールから取得した応答における修正ユリウス日(MJD)で表されたEMM個別メッセージ情報の有効期限を無視して、前記EMM個別メッセージ情報に基づいて表示手段にメッセージを表示させる第二の手段と、を備え、前記モジュールは、前記受信機からの前記第一のコマンドに応じて、前記モジュールのバージョンを識別するため情報を受信機へ出力する手段と、前記受信機からの前記第二のコマンドに応じて、モジュールに記憶しているEMM個別メッセージ情報とEMM個別メッセージ情報の有効期限を含む応答を受信機へ出力する手段と、を有するシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る放送局と受信機のシステム全体の構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る放送局の構成を概略的に示した図である。
図3図3は、実施形態に係る受信機の構成を詳細に示した図である。
図4図4は、実施形態に係るシステムが使用するMJD期間の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る受信機が自動メッセージを表示する際の処理動作例を示すフローチャートである。
図6図6は、同実施形態に係る受信機がICカード(B-CASカード)とやり取りをする処理を示すフローチャートである。
図7図7は、同実施形態に係る受信機が適用する自動表示メッセージの応答メッセージ領域の一例を示す図である。
図8図8は、同実施形態に係るB-CASカードにおけるカード識別(バージョン)の一を示す図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る受信機が選局時に自動メッセージを表示する際の処理動作例を示すフローチャートである。
図10図10は、同実施形態に係る受信機の自動表示メッセージの表示動作の一例を示す図である。
図11図11は、同実施形態に係る受信機とICカード(B-CASカード)とのやり取りの例を示すフローチャートである。
図12図12は、第3の実施形態に係る受信機の初期設定時に自動メッセージを表示する際の処理動作例を示すフローチャートである。
図13図13は、同実施形態に係るシステムのコマンドとレスポンスのフォーマットの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係る放送局と受信機(受信装置とも呼ぶ)のシステム全体の構成例を示す図である。
放送局100は、放送局サーバ101、第1のセキュリティ機能102、第1の基本機能103を備える。
【0010】
第1の基本機能103は、放送局100の基本的な機能であり、放送する番組の映像信号や音声信号等を符号化(エンコードとも言う)して多重化し、放送信号(放送信号は、地上デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送、広帯域CSデジタル放送、高度BSデジタル放送、高度広帯域CSデジタル放送、などいずれの放送波種別の放送信号であってもよい)として送出する機能を持つ。したがって送信信号は、衛星を経由する経路も含むものとする。その他に送信信号は、ケーブルによる経路を含んでもよい。
【0011】
また放送局100は、放送する番組に、BML、HTML等のアプリケーション機能を同時に提供するサービスを付加することができる。この場合放送局100は、放送する番組にアプリケーション機能が付加されていることを示す第1の指定情報を伝送制御信号に配置して、第1の基本機能103により放送信号として送出することができる。
【0012】
放送局サーバ101は、番組タイトル、番組ID、番組概要、出演者、放送日時、その他のデータ等のメタデータを、放送信号により受信機(受信装置とも呼ぶ)に送出するために、予め保存しておくエリアである。
【0013】
第1のセキュリティ機能102は、放送局が送出する放送波に含まれるコンテンツ(番組)の保護に関する設定を行うことができる。
【0014】
サービス事業者装置(サービス事業者と称する場合もある)120は、放送局100と連携して、放送局100が放送する番組に付加されたアプリケーション機能を同時に提供するサービスにおいて、コンテンツの作成、管理、提供(配布とも呼ぶ)を行う。サービス事業者装置120は、アプリケーション管理・配布121とアプリケーションサーバー122を含む。
【0015】
アプリケーション管理・配布121は、アプリケーションサーバー122に保存されているコンテンツやアプリケーションの管理や、受信機140への配布を行う。
アプリケーションサーバー122は、受信機140に対して提供するコンテンツやアプリケーションを保存するエリアである。
【0016】
またサービス事業者装置120は、第1の指定情報を受信した受信機140からの要求に対応して、アプリケーションサーバー122に保存してあるアプリケーションやコンテンツをアプリケーション管理・配布121によりインターネット等の通信ネットワークを経由して、受信機140に送付する。
【0017】
受信機140は、デジタル放送の受信機能(第2の基本機能141)、通信制御部142、第2のセキュリティ機能143、アプリケーション管理機能144、API(API:Application Programming Interface)145、アプリケーション146、および制御部147を含み、放送局100から放送された放送信号を受信して各種放送番組および各種サービス情報を受信したり、サービス事業者装置120から通信ネットワークを経由してアプリケーションを取得して動作させたりすることができる。
【0018】
第2の基本機能141は、受信機の基本的な機能であり、放送局100から送られてくる放送波を受信し、放送波に含まれる符号化された映像信号(映像ストリームとも呼ぶ)、符号化された音声信号(音声ストリームとも呼ぶ)および伝送制御信号等の制御信号を分離し、映像信号および音声信号をデコードしたり伝送制御信号等の制御信号を解析したりする機能を持つ。
【0019】
また第2の基本機能141は、受信機140に接続されている周辺機器、例えば表示器160、受信機140にバインドされているHDD(HardDiskDrive)162、リムーバルメディア170、との接続やデータの送受信の管理も行う。
【0020】
アプリケーション管理機能144は、受信機140が予め備えているアプリケーションや通信ネットワークを経由して取得したアプリケーションの管理を行う。またアプリケーション管理機能144は、受信機140が予め備えているアプリケーション146や通信ネットワークを経由して取得したアプリケーション146の実行を、アプリケーションインターフェース(I/F)であるAPI145を介して制御する。
【0021】
通信制御部142は、通信ネットワークとのI/Fを持ち、通信ネットワークを介してサービス事業者装置120が管理するアプリケーションやコンテンツを取得することができる。
【0022】
表示器160は、スピーカ161を内蔵しており、第2の基本機能141においてデコードされた映像信号を表示領域に表示したり、音声信号をスピーカ161に出力したりする。なお、表示器160に内蔵されているスピーカ161は、USB等のI/Fにより接続した外部のスピーカであってもよい。また表示器160は、受信機140に内蔵されていても、あるいは受信機140とHDMI(登録商標)等のI/Fにより接続された外部の表示器であってもよい。
【0023】
図2は、放送局200(図1の100に対応)の主な構成を概略的に示した図である。
【0024】
放送局200は、映像エンコーダ201、音声エンコーダ202、字幕エンコーダ203、ならびに伝送制御信号等の制御データ、サービスデータおよび受信機140で動作するアプリケーション145を制御するアプリケーション制御情報等を含む付属データを生成する付属データ生成部204を備える。また放送局200は、放送局サーバ211(図1の101に対応)、第1のセキュリティ機能212(図1の102に対応)および送受信部213が連携している。映像エンコーダ201、音声エンコーダ202、字幕エンコー
ダ203、付属データ生成部204、多重化部205、スクランブラ206、送信機207、送受信部213を合わせて第1の基本機能210(図1の103に対応)と呼ぶ。
映像エンコーダ201のコーデック種別は、MPEG-2、H.264(MPEG-4AVC(AVC:Advanced Video Coding))、H.265(HEVC:High Efficiency Video Coding)のいずれでもよいものとする。またコーデック種別は、これに限るものではない。
【0025】
また多重化方式は、MPEG-2 TS方式などMPEG-2システム方式あるいはMpeg Media Transport方式(MMT方式)を用いてもよいし、両方を混在して用いてもよいものとする。また多重化方式は、これに限るものではない。
【0026】
映像エンコーダ201、音声エンコーダ202、字幕エンコーダ203、付属データ生成部204の各出力はストリーム化されており、これらのストリームは、多重化部205において多重化される。多重化されたストリーム(放送信号)は、スクランブラ206でスクランブルされ、スクランブルされた多重化ストリームとして送信機207に送出され、放送電波によりアンテナから送信される。
【0027】
付属データ生成部204が生成する伝送制御信号は、テーブルと呼ばれる特定のフォーマットで構成されており、記述子と呼ばれる情報記述領域を持つ。
【0028】
図3は、一実施形態に係る受信機300(図1の140に対応)の構成を詳細に示した図である。受信機300は、放送波を受信する受信機能である第2の基本機能315(図1の141に対応)を有する。
【0029】
第2の基本機能315は、放送チューナ301、デスクランブラ302、CASモジュール303、ICカードリーダライタ303a、デマルチプレクサ304、データ放送受信処理部305、映像デコーダ306、音声デコーダ307、字幕デコーダ308、解析部309、データ放送エンジン310を含む。
【0030】
尚、CASモジュール303は受信機とは別の装置であり、ICカードリーダライタ303aがインターフェースとなってCASモジュール303(B-CASカード)との間の通信が行われる。
【0031】
放送チューナ301は、放送波で送られてきたストリーム(放送信号)を復調する。復調されたストリーム(放送信号)は、デスクランブラ302に入力される。デスクランブラ302は、入力されたストリームをCAS(Conditional Access System)モジュール303からの鍵を用いてデスクランブルする。デスクランブラ302によりデスクランブルされたストリームは、デマルチプレクサ304に入力される。
【0032】
デマルチプレクサ304は、多重化されているストリームを映像ストリーム、音声ストリーム、データ放送ストリーム、字幕ストリーム、付属データに分離し、映像ストリームを映像デコーダ306に、音声ストリームを音声デコーダ307に、データ放送ストリームをデータ放送受信処理部305に、字幕ストリームを字幕デコーダ308に、付属データを解析部309にそれぞれ入力する。
【0033】
映像ストリームは映像デコーダ306でデコードされ、音声ストリームは音声デコーダ307でデコードされ、字幕ストリームは字幕デコーダ308でデコードされる。
【0034】
また付属データに含まれるアプリケーション制御情報、サービスデータ、伝送制御信号等を含む制御データは、解析部309で解析される。
【0035】
またデマルチプレクサ304で分離されたデータ放送ストリームは、データ放送受信処理部305に送られ、受信処理が行われる。データ放送受信処理部305は、デマルチプレクサ304から送られてきたデータ放送ストリームから、データ放送として表示器328に表示する表示用信号を取り出し、この取り出した表示用信号をデータ放送エンジン310に入力する。データ放送エンジン310は、送られてきた表示用信号を解析し、合成器326を介して解析した内容を表示制御部327に出力する。表示制御部327は、送られてきた表示用信号の解析内容を元に、表示器328(図1の160に対応)に表示内容を表示する。
【0036】
デコードされた映像信号および字幕信号は、合成器326で合成され表示制御部327を介して表示器328に出力される。表示制御部327は、ガンマ特性の設定、表示画面サイズの設定、表示信号レベルの設定などを行う。
【0037】
また音声デコーダ307でデコードされた音声データは、スピーカ329(図1の161に対応)に出力される。
【0038】
なお図3は、表示器328およびスピーカ329は、受信機300に内蔵されている例として記載しているが、例えばHDMI等のI/Fにより接続された外部の表示器およびスピーカであってもよい。表示制御部327は、表示器328が受信機300にHDMI等のI/Fで接続された外部の表示器の場合も、表示器328に表示する内容の制御を行う。
【0039】
解析部309は、アプリケーション制御情報、サービスデータ、制御データの解析を行い、解析結果を随時制御部330に送付する。制御データに含まれる伝送制御信号の中には、多重化されている映像信号の番組のチャンネル識別情報と番組識別情報とが含まれ、さらにこの多重化された映像信号の番組対してアプリケーション機能を同時に提供するサービスが付加されていることを示す第1の指定情報が含まれている。解析部309は、受信した制御データを解析することでこれらチャンネル識別情報、番組識別情報、および第1の指定情報を抽出し、この抽出結果を随時制御部330に送信する。
【0040】
さらに受信機300は、全体的な動作を制御する手段として制御部330を有する。制御部330は、第2のセキュリティ機能322(図1の143に対応)、アプリケーション管理機能323(図1の144に対応)、API324(図1の145に対応)、アプリケーション325(図1の146に対応)を含む。制御部330は、コンピュータプログラムを実行可能なCPU、メモリを備えたコンピュータであってもよい。
【0041】
第2のセキュリティ機能322は、放送波に含まれる伝送制御信号の中からコンテンツの保護に関する情報を読み出し、ネットワークI/F341を介してホームネットワーク上の他の機器(図示しない)に出力する際や、接続されている周辺機器(図示しない、図1の162、170に対応)に出力する際にコンテンツ保護の処理を行う。API324は、アプリケーション管理機能323とアプリケーション325とが連携して動作するためのI/Fである。
【0042】
アプリケーション管理機能323は、受信機300が予め備えているアプリケーションや通信ネットワークを経由して取得したアプリケーションの管理を行う。またアプリケーション管理機能323は、受信機300が予め備えているアプリケーション325や通信ネットワークを経由して取得したアプリケーション325の実行を、アプリケーションインターフェース(I/F)であるAPI324を介して制御する。
【0043】
なお、映像デコーダ306のコーデック種別は、放送チューナ301で受信する放送メディア、すなわち地上デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送、広帯域CSデジタル放送、高度BSデジタル放送、高度広帯域CSデジタル放送、狭帯域CSデジタル放送等、受信する放送に応じたコーデック種別としてMPEG-2(地上デジタルテレビジョン放送、BSデジタル放送、広帯域BSデジタル放送)、H.264(AVC:Advance Video Coding)(狭帯域CSデジタル放送)、H.265(HEVC:High Efficiency Video Coding)(高度BSデジタル放送、高度広帯域CSデジタル放送)のいずれでもよい。またコーデック種別は、これに限るものではない。
【0044】
通信制御部340は、通信ネットワーク351とのI/FであるネットワークI/F341と、リモートコントローラ(リモコン)352とのI/FであるリモコンI/F342を持つ。
【0045】
制御部330は、解析部309から送られてきた暗号化されたECM、EMMから、デスクランブルに必要なスクランブル鍵(Ks)を抽出するために、CASモジュール303に対してECM、EMMを復号するように指示(コマンド)を出す。CASモジュール303は、制御部330の指示にもとづき、ECM、EMMを復号しスクランブル鍵(Ks)を抽出する。CASモジュール303は、スクランブル鍵(Ks)を抽出すると、抽出したスクランブル鍵(Ks)を制御部330に送信する。制御部330は、CASモジュール303からスクランブル鍵(Ks)を受信すると、受信したスクランブル鍵(Ks)をデスクランブラ302に送信する。デスクランブラ302は、制御部330からスクランブル鍵(Ks)を受信すると、受信したスクランブル鍵(Ks)を内部の図示せぬメモリなどに設定する。デスクランブラ302は、スクランブルされている放送信号をデスクランブルする際に、内部に保存してあるスクランブル鍵(Ks)を用いてデスクランブルを行う。CASモジュール303は、例えばB-CASカードなどであり、上記のように、制御部330が出力するコマンド(指示)を受信し、コマンドに応じて動作し、応答(レスポンス)を制御部330に出力する。
【0046】
伝送制御情報などSI(Signaling Information)に含まれるTOT(Time Offset Table)で伝送される符号化された16bitで表現されるMJDの最も未来の日付は、0xFFFFで表され2038年4月22日を意味する。このため、2038年4月23日以降については、ARIB TR-B15第四編の「16.32038年以降のMJDについて」において、2100年2月28日まで拡張する方法を規定している。また、ARIB TR-B39第五編「5.24CASにおけるMJDの考え方について」では、CASとして、受信機処理におけるMJDの17bit目に”1”があるとみなす基準日が明確に規定されている。
【0047】
図4は、実施形態に係るシステムが使用するMJD期間の一例を示す図であり、ARIB TR-B39図5―5に示される図である。図4に基づきCASにおけるMJDの考え方について以下に示す。
【0048】
MJD(Modified Julian Date、修正ユリウス日)を示す符号化ビットの下位16ビット(MJD値)は、西暦2038年のある日にall”1”となり、その次の日はall”0”となるため、第四編16.3(2038年以降のMJDについて)では「受信機側では、受信機出荷時などの日時を記憶しておき、それよりも明らかに過去の日付の情報が伝送された場合は、17ビット目に”1”が立っているとして計算し処理する」と規定されている。
【0049】
一方、CASにおいては同じMJD値を受信機300とICカード(CASモジュール303)で共有して使用するため、両者の解釈に齟齬がないように統一する必要がある。そのため、CASとしてのMJDの基準日を定めることとし、その基準日を最も過去の日(17ビット目が”0”として計算する最小の日)とし、その基準日よりも1つ小さい日を最も未来の日(17ビット目に”1”が立っているとして計算する最大の日)とする。具体的には、CASで使用する以下のMJDにこの考え方を適用する。
(1)EMM個別メッセージセクションのメッセージコード領域
・有効期限
(2)契約確認コマンド
・番組放送日
(3)自動表示メッセージ表示情報取得コマンド
・現在年月日(コマンド)
・有効期限(レスポンス)
(4)通電制御情報要求コマンド
・通電開始基準日
なお、本実施形態において、上記のうち(1)、(3)の有効期限はCASモジュール303(ICカード、B-CASカード)が使用し、受信機300では使用しない値である。図4において、CASとしてのMJDの基準日を0x5840(1920年9月25日)とする。最も未来の日は0x1583F(2100年2月28日、仮想的に17bit目を”1”とした値)となる。
【0050】
現在日付と現在時刻情報(JST_time)は、TOTにより伝送される。この時間は、ARIB STD-B10により、「UTC(世界標準時)+9時間」と規定されており、サマータイム制度が導入されても通年変わることはない。受信機300はTOTを内部時計の校正に用いることが可能で、これを基準として時刻表示や同期提示などに使用する。日付と時刻の情報は、符号化されたMJD下位16bit(年、月、日)と、JSTを4bit単位6個の2進化10進数で符号化したJTC24bit(時、分、秒)の、計40bitのフィールドで表わされる(ARIB STD-B10第2部付録C参照)。2038年以降のMJDについて以下に示す。
【0051】
MJDの下位16ビットは、西暦2038年のある日にall”1”となり、その次の日はall”0”となる。ARIB STD-B10第2部の付属Cの変換式を用いると、all”0”は1800年代にさかのぼってしまう。よって、BSデジタル放送では、以下のような運用を行う。
・ARIB STD-B10第2部の付属Cに規定されている変換式は2038年以降も、2100年2月28日まではそのまま運用し、変換されたMJD値の下位16ビットを送出する。
・受信機300側では、受信機出荷時などの日時を記憶しておき、それよりも明らかに過去の日付の情報が伝送された場合は、17ビット目に”1”が立っているとして計算し処理する。
・2100年以降については、MJDの変換式自体を新しく定義する必要があり、現時点では不明である。
【0052】
(第1の実施形態)
本実施形態においては、受信機300は、ユーザが受信機300のサブ電源オンした時に、ICカード(CASモジュール303)のチェックを行い、自動表示メッセージサービスを行っているチャンネルの受信時には、ICカードが未装着である場合又は有効なICカードでない場合には、一定時間デフォルトの自動表示メッセージを表示する場合の例を示す。自動表示メッセージ表示機能はCASにおいて必須機能とする。
【0053】
図5は、第1の実施形態に係る受信機が自動メッセージを表示する際の処理動作例を示すフローチャートであり、コンピュータプログラムによって実施されることでもよい。
【0054】
ユーザが例えばリモコン352から受信機140の電源をONにする電源ON命令を送信する。受信機140は、電源ON命令を受信し、電源ON命令に従ってサブ電源をONにして、放送信号を受信する。制御部330は、受信した放送信号を解析し、自動表示メッセージサービスを行っているチャンネル(伝送情報信号に含められるCATのCA_service_descriptorで指定)が受信されていることを確認する(ステップS102)。ステップS102における確認は、図示せぬ蓄積受信機能を有する受信機で受信し蓄積した番組を再生する場合を含めてもよい。ステップS102において、受信しているサービスが、自動表示メッセージサービスを行っている場合、制御部330は、ICカード(CASモジュール303)のチェックを行う(ステップS102のYES)。
【0055】
図6は、同実施形態に係る受信機がICカード(B-CASカード)とやり取りをする処理を示すフローチャートであり、コンピュータプログラムによって実施されることでもよい。
【0056】
制御部330は、受信したCATに記載されたCAサービス記述子に記載のCA_system_idとICカード応答によって得られるCA_system_idとが一致し、かつ選局中のservice_idが記載されていることを確認する(ステップS121)。制御部330は、受信した放送信号を解析し、放送信号に含まれるEMMメッセージがメールか自動表示メッセージかを判断して、自動表示メッセージを受信する(ステップS121)。より具体的には、EMM個別メッセージセクションにおいて、メッセージ本体の非暗号化ヘッダのメッセージ制御を参照して行う。そこが「ICカード蓄積(0x01)」である場合が自動表示メッセージに該当するメッセージである。自動表示メッセージは、各受信機300に伝送されるEMM個別メッセージ(ICカード蓄積メッセージ)と、全受信機に共通に伝送されるEMM共通メッセージから得るもしくは含む。EMM個別メッセージはICカードに記憶され、EMM共通メッセージは基本的に表示実行時に受信する。
【0057】
自動表示メッセージのEMM個別メッセージは、必ず暗号化されており、CASモジュール303(ICカードまたはB―CASカード)で復号を行い、ICカードに記憶される。尚、2K地上デジタル放送/衛星デジタル放送にのみ対応したB-CASカード、4K高度広帯域衛星デジタル放送及び2K地上デジタル放送/衛星デジタル放送に対応したACASチップが存在し、これらを総称してCASモジュールと呼ぶ。制御部330は、装着されたICカードに、EMM個別メッセージ受信コマンド/レスポンスを用いて、メッセージコード領域を送り、応答メッセージコードを取得する(ステップS123,S124)。より具体的には、メッセージコード領域の長さは初期設定条件コマンドで得られるメッセージ分割長よりも短く、制御部330は、分割せずに1コマンドでICカードに送る(ステップS123)。CASモジュール303(ICカード)は、復号した自動表示メッセージとともに、メッセージコード領域の値を制御部330に応答する(ステップS124)。
【0058】
図7は、同実施形態に係る受信機が適用する自動表示メッセージの応答メッセージ領域の一例を示す図であり、D101からD107ごとに「メッセージコード領域内の項目」、「左の項目の説明」、「左の項目に割り当てられたBit数」を示している。
【0059】
制御部330は、ステップS124で受信した応答のうち、応答メッセージコード領域に含まれる改ざんチェック(図7のD101に相当)と有効期限(図7のD102に相当)については無視する(確認しない)またはそれらの確認機能を停止する(ステップS125、S126)。これにより、有効期限に依存せずに自動表示メッセージを使用することが可能となる。また、自動表示メッセージの場合は、応答メッセージコード領域の最終部分にスタッフィング(図7のD107に相当)が存在することがある。制御部330は、スタッフィング部分を確認しない(無視する)または確認機能を停止する。制御部330は、ステップS124において受信した応答に自動表示メッセージがある場合に、表示器328に表示する(ステップS127のYES、ステップS128)。なお、デフォルト自動メッセージは、受信機300の図示せぬメモリなどに格納しておき、ICカードから応答を受信した時に、メモリのデフォルト自動メッセージを表示器328に表示することでもよい。
【0060】
以上の手順により、制御部330は、CASモジュール303(ICカード、B-CASカード)から受信した応答メッセージの改ざんチェック(図7のD101)と有効期限(図7のD102)に依存することなく自動表示メッセージを表示器328に表示することができる。
【0061】
図5のステップS102に戻り、制御部330は、図6のステップS127で受信した応答に自動表示メッセージがあることを確認した場合、ICカード(CASモジュール303)の状態を確認する(ステップS102のYES、ステップS103)。ICカードの状態(有効/無効/使用不可)は、TR-B15第一部第五編4.16に以下のように定義される。
【0062】
受信機300のICカードリーダライタ303aはICカードの装着の有無を検出する機能(電気的に検知する等)を有するのでICカードリーダライタ303aからの出力により受信機300はICカードの装着状態を確認できる。
・有効なICカードとは、ARIB STD-B25第1部の「初期設定条件コマンド」で、本書第七編に記載されるca_system_id、system_management_idのレスポンスを得るものを意味する。
・無効なICカードとは、上記有効なICカードの条件を満たさないもの及びカード種別が「00」(プリペイドカード、運用上行わない)を意味する。
・有効なICカードであってもリターンコードがA1FF、A102の場合、無効なICカードと区別するため本書では使用不可なカードとする。
・受信中の番組がスクランブル放送の場合、ICカードが無効又は使用不可の場合は、本編4.18エラー通知画面に記載のエラーメッセージを表示する。
・受信中の番組がノンスクランブルでCATに記載のCAサービス記述子において選局中のservice_idが記載されている場合、ICカードが無効の場合は、本編4.19有効なICカードが挿入されていない場合の動作に記載の動作を行う。使用不可のカードである場合は、本編4.18「エラー通知画面」に記載のエラーメッセージを表示する。
・電源オン後の処理(例えばラストチャンネル表示、メニュー表示など)は規定しない。
【0063】
制御部330は、ICカード(CASモジュール303)の状態が未装着または無効である場合は、デフォルト自動表示メッセージを一定時間、表示機328に表示する(ステップS103のYES、S104)。ステップS104におけるメッセージ表示は表示時間を内部クロックなどでカウントしておき、SI(EMM)にてあらかじめ指定された所定時間表示した後はメッセージを消去または表示を停止する(ステップS105のYES、S106)。また、ステップS105においては、ユーザがリモコン352などから確認ボタンを押下するなどしし、制御部330がメッセージ消去の命令を受信した後にS106の消去または停止をすることでもよい。ステップS106により表示メッセージを消去した後、ユーザは番組を視聴する(ステップS107)。この手順により、デフォルトメッセージの表示によってユーザの視聴をさまたげることを防ぐことができる。なお、デフォルト自動メッセージの表示と消去(ステップS104、S107)のタイミングなどについては、放送信号に含まれるEMMにおいて指定される。デフォルト自動メッセージは、ICカード(CASモジュール303)の状態が未装着または無効である場合は、「有効なICカードが装着されていません」とメッセージが表示され、契約更新通知の場合は例えば「契約がxx日後に終了します。解約手続きが為されない場合、契約は自動更新されます。」などのようなメッセージである。
【0064】
一方、ステップS103において、ICカード(CASモジュール303)が未装着でなくかつ有効なICカードである場合(ICカードが未装着または無効でない場合)には、カード識別により、「カード識別のバージョン」を確認する(ステップS103のNO、S108)。本実施形態においては、「カード識別のバージョン」を定義し、新たなバージョンのカード採用等表示の対象とするB-CASカードを「カード識別のバージョン」で識別する。「カード識別のバージョン」を識別し、識別結果により、旧カードのみをメッセージ(MSG)表示の対象とする。また、ステップS102のNOの場合も同様にステップS108の処理へ移る。
【0065】
図8は、同実施形態に係るB-CASカードにおけるカード識別(バージョン)の一例を示す図である。
【0066】
B-CASカードにおけるカード識別(バージョン)として、001,002,003が用いられる。001は第一世代カードで、MJD表記のbit数が16bitのものであることを示し、002は第二世代カードで、MJD表記のbit数が16bitのものであることを示し、003は第三世代カードで、MJD表記のbit数が17bitのものであることを示している。
【0067】
図5のステップS108に戻り、「カード識別のバージョン」が“001”または“002”の場合は、「受信機に同梱されている新しいICカードを装着してご使用ください。古いカードを使い続けると、放送の受信ができなくなる場合があります。」のメッセージ(MSG)を表示器328に表示する(ステップS108のYES、S109)。ステップS109にてMSGを表示してから、制御部330は表示時間をカウントしておく。ステップ109でMSGが表示された後、ユーザがリモコン352などからメッセージを消去するために確認ボタンを押下するなどし、制御部330がメッセージ消去の命令を受信した場合、表示したMSGを消去するまたはMSGの表示を停止する(ステップS110のYES、S112)。一方、制御部330がメッセージ消去の命令を受信しなかった場合(ステップS110のNO)、制御部330はカウントしている表示時間を確認し、表示時間が所定時間(5~10秒)以上経過していればメッセージを消去または表示を停止する(ステップS111のYES、S112)。ステップS112により表示メッセージが消去された後、ユーザは番組を視聴する(ステップS107)。一方、ステップ111でMSGの表示時間が所定時間(5~10秒)以上経過していなければメッセージを表示し続ける(ステップS111のNO)。この手順により、メッセージの表示によってユーザの視聴をさまたげることを防ぐことができる。
【0068】
一方、「カード識別のバージョン」が“001”または“002”以外の場合は、メッセージを表示しない(ステップS108のNO)。なお、「カード識別のメーカ識別」はいかなる値であっても判断には使用しない。
【0069】
以上の手順により、ユーザが受信機300のサブ電源オンした時に、ICカード(CASモジュール303)のチェックを行い、ICカードが未装着である場合又は有効なICカードでない場合には、一定時間デフォルトの自動表示メッセージを表示することができる。またICカードが装着され、かつ有効なICカードである場合には、カード識別のバー所に応じてMSGを表示することができる。デフォルト自動メッセージは、原則、放送信号に含まれるEMM(すなわち放送事業者)などによって表示動作を指定されるものであるが、本実施形態におけるMSGは、受信機300(制御部330)が、独自にカード識別のバージョンなどにより表示動作を判断するものである。
【0070】
なお、ステップS104、S109のメッセージ表示は頻繁に表示されることでユーザの視聴を妨げることがないよう表示回数を抑制することでもよい。例えば、一日に1回、最初の起動時のみ表示する等とすることでもよい。
【0071】
(第2の実施形態)
本実施形態においては、ユーザがチャンネルを選局した時にメッセージを表示する場合の例を示す。
【0072】
図9は、同実施形態に係る受信機が選局時に自動メッセージを表示する際の処理動作例を示すフローチャートであり、コンピュータプログラムによって実施されることでもよい。
【0073】
受信機300の制御部330は、番組選局時に、ICカードに記憶されたEMM個別メッセージ情報を、ICカードとの自動表示メッセージ表示情報取得コマンド/レスポンスのやり取りにより取得する(ステップS201、S202)。自動表示メッセージ表示情報取得レスポンスに含まれる有効期限(図7のD102に相当)については、受信機300は無視する(ステップS203)。なお受信機300は、レスポンスに含まれる有効期限を確認する機能を備えていてもよく、この機能を積極的に停止することでもよい。
【0074】
受信機300は1つのCAサービス記述子から1つの自動表示メッセージ情報取得コマンドを生成しなければならない。受信機300は、ICカードから得たEMM個別メッセージ情報内からメッセージ定型文番号を取得し、対応するEMM共通メッセージを受信する(ステップS204)。受信したEMM共通メッセージ情報にEMM個別情報メッセージ情報の内の差分情報を付加して画面に表示する(ステップS205)。なお、差分情報がない場合もありうる。
【0075】
図10は、同実施形態に係る受信機の自動表示メッセージの表示動作の一例を示す図であり、受信機300の制御部330は、自動表示メッセージ表示の際、EMM共通メッセージ本体部に記載された自動表示継続時間1、2、3に従い、例えば図10のように表示のオン/オフ制御を行う。制御部330は、自動表示回数をカウントしておき、上記の表示のオン/オフ制御をEMM共通メッセージ本体部に記載された自動表示回数分だけ繰り返す(ステップ206のNO)。制御部330は、自動表示メッセージ表示を所定の回数を繰り返した後は、表示を消去する(ステップ206のYES、S207)。再び新たな番組が選局された場合、受信機300は前記の制御を改めてステップS201から実行する。
【0076】
EMM共通メッセージセクションに記載された3種類の自動表示消去種別に対する受信機動作(ステップS206、S207の動作に相当)は下記のとおりとする。
(1)0x00:消去可前記のメッセージのオン/オフ含めた表示期間中において、視聴者の操作によりメッセージを消去可能
(2)0x01:消去不可メッセージ表示期間中、視聴者の操作によってメッセージ消去を行ってはならない。
(3)0x02:表示消去自動表示メッセージの表示は行わない。自動表示メッセージ表示中の場合に「表示消去」に更新された場合は、メッセージの枠を含めて自動表示メッセージ表示を中止する。
【0077】
以下、自動表示メッセージ、自動表示消去種別について詳細に説明する。
・CAサービス記述子で送られた猶予期間をICカードに伝送することにより、自動表示メッセージの表示が開始されるまでの期間が制御される。この場合は、ICカード内でスケジュール管理が行われるため、受信機はこの猶予期間に関するスケジュール管理の必要はなく、ICカードとの自動表示メッセージ情報取得コマンド/レスポンスに従えばよい。
・自動表示メッセージについて、同一EMM個別メッセージの再送チェックは、EMM個別メッセージセクションに記載されたメッセージIDと事業体識別とを用いて、同一メッセージの再送チェックを行う。受信機には、直前に受信したメッセージIDと事業体識別を記憶しておくなど、同一メッセージの再受信を防ぐ仕組みを搭載することが望ましい。
・EMM共通メッセージのバージョン監視期間は、使用中のEMM共通メッセージの表示期間(自動表示期間1~3の和に自動表示回数を掛けた期間)行う。ただし、自動表示メッセージ種別が0x02(表示消去)の場合は、常時バージョン監視を行う。
・メッセージコード本体の更新が行われた場合は直ちに反映し表示する。また、更新の際の表示期間のカウントは、更新のあった時点から新たにカウント(リロード)しても、(チャンネル切り換え等による)次の表示期間からカウントしてもどちらでもよいが、できる限り後者が望ましい。
・EMM共通メッセージのバージョン番号が更新される際に変更される項目は、メッセージコード本体(推奨表示位置情報含む)、自動表示消去種別、自動表示継続時間1~3、自動表示回数である。
【0078】
図11は、同実施形態に係る受信機とICカード(B-CASカード)とのやり取りの例を示すフローチャートであり、コンピュータプログラムによって実施されることでもよい。
【0079】
例えば、ユーザは受信機300が受信する番組を選局すると(ステップS221)、制御部330は、CASモジュール303(B-CASカード)に対して、現在日時、MSG(メッセージ)運用中である情報を含めたコマンドを送信する(ステップS222)。CASモジュール303はコマンドを受信すると、MSG(メッセージ)に対する判定をし、応答を送信する(ステップS223、S224)。より具体的には、CASモジュール303は、受信したコマンドに基づいて、MSGの有無の判定、MSGの有効期限の判定を行う(ステップS223)。CASモジュール303は判定したMSGの有無、MSGの有効期限をMSG文番号とともに応答に含めて、制御部330に送信する(ステップS224)。制御部330は、応答を受信し、処理する(ステップS225)。制御部330は、受信した応答のMSGの有効期限を無視して、MSG有無を確認し、MSGが有ることを確認した場合は、受信したMSGを表示器328に表示する。一方、制御部330は、受信した応答のMSGの有効期限を無視して、MSG有無を確認し、MSGが無いことを確認した場合は、表示器328へのMSGは非表示とする。
【0080】
以上の手順により、ユーザが受信機300のチャンネルを選局した時に、CASモジュール303としてとして16bitsMJD処理のICカードが利用されていた場合に、受信機300の表示部328にメッセージ(MSG)が表示することができる。
【0081】
そこで、本実施形態においては、受信機300の制御部330においてカードから応答される自動表示メッセージの有効期限を無視する処理(ステップS226)に変更することで、MSG有効期限の判定はカード内での処理に一本化され、16bitsMJD処理/17bitsMJD処理の両タイプのICカードが存在し、MJD=0xFFFFを超えた日付においても自動表示メッセージ運用を継続することが可能となる。
【0082】
(第3の実施形態)
本実施形態においては、受信機の最初の利用開始時に行われる地域設定やチャンネルスキャン、ネットワーク設定等の受信機の初期設定機能においてメッセージを表示する場合の例を示す。
【0083】
図12は、第3の実施形態に係る受信機の初期設定時に自動メッセージを表示する際の処理動作例を示すフローチャートであり、コンピュータプログラムによって実施されることでもよい。
【0084】
受信機300の初期設定がされるとき、制御部330はカード識別のバージョンを確認する(ステップS301、S302)。カードID情報取得コマンド/レスポンスで得られる「カード識別のバージョン」が“001”又は“002”の場合は、「受信機に同梱されている新しいICカードを装着してご使用ください。古いカードを使い続けると、放送の受信ができなくなる場合があります。」のメッセージを表示する(ステップS303のYES、S304)。なお、初期設定機能において、カードID情報表示機能を持たない場合は、メニューなどのカードID情報表示機能において、メッセージを表示することが望ましい。また、「カード識別のメーカ識別」はいかなる値であっても判断に使用しない。
【0085】
図13は、同実施形態に係るシステムのコマンドとレスポンスのフォーマットの一例であり、(a)はARIB STD-B25第1部にある初期設定条件コマンド、(b)は初期設定条件レスポンスである。D301からD305、D351からD363ごとに「データ」の「オフセット」、「フィールド」、「長さ(Byte)」「値(HEX)」を示している。
【0086】
ICカード(CASモジュール303)とデジタルDIRD(制御部330でもよい)間のコマンド/レスポンスのフォーマットについて以下に規定する。
・初期設定条件レスポンスの「データ」フィールドについては、ICカードプロトコルユニット番号=0のプロトコルユニットのみを示す。
・初期設定条件コマンドのECMデータ、EMMデータをフィルタリングするための情報やICカードの種別など、DIRDとICカードとの共有条件を得る。
・初期設定条件コマンドで取得するカードIDは、個別カードIDである。ICカードにグループIDが記録されている場合は、レスポンスのICカード指示で「カードID情報取得」が指示されるので、引き続きカードID情報取得コマンドを発行し、グループIDを取得する。
【0087】
また、制御部330は、ICカード(CASモジュール303)から取得したICカードの情報を表示器328に表示することでもよい。より詳細には、ARIB STD-B25「第4章受信機に関わる技術仕様 4.2 ユーザインタフェース、4.2.10 カード情報表示」の機能を備えることでもよい。具体的な機能、入力、表示項目などを以下に示す。
・ICカードから取得したICカードの情報を表示する。
・カード情報の表示であることを示す表示
・カード識別として、メーカ識別(ASCII1文字)とバージョン(10進3桁)により表示
・カード識別であることを示す表示
・カードIDとして、ID識別~個別カードID~チェックコードをまとめて10進20桁とし、4桁ごとに区切りを入れて表示を行う。なお内訳としてID識別(1桁)、個別カードID(10進14桁)、チェックコード(5桁)として表示し、4桁ごとに区切りを入れる。
・カードIDであることを示す表示
・グループIDがある場合には、ID識別~グループID~チェックコードまでをまとめて10進20桁として表示し、4桁ごとに区切りを入れる。
・グループIDであることを示す表示
・選択したID識別に対応するグループID番号(ID識別番号を含むグループID番号)の表示
・選択したID識別に対応するグループID番号が設定されていない場合には、設定されていないことを示すメッセージ表示
以上の手順により、受信機300の初期設定機能において、CASモジュール303としてとして第一世代、第二世代の16bitsMJD処理のICカードが利用されていた場合に、受信機300の表示部328にメッセージ(MSG)が表示することができる。
【0088】
以上に述べた少なくとも1つの実施形態によれば、16bitsMJD処理/17bitsMJD処理のB-CASカードが混在している状況で、2038年4月23日以降も問題なく運用できるように受信機のCAS処理を行う受信機、受信方法及びシステムを提供することができる。
【0089】
なお、上記したように、本実施形態は以下の特徴的構成を含む。
(A-1)受信機を起動した際にカード識別のバージョンを判定して表示する。(受信機を起動した際にカードID情報取得コマンド/レスポンスで「カード識別のバージョン」を得て“001”又は“002”の場合に、「受信機に同梱されている新しいICカードを装着してご使用ください。古いカードを使い続けると、放送の受信ができなくなる場合があります。」のメッセージを所定時間(5~10秒)表示する。
(A-2)上記のメッセージ表示は所定時間(5~10秒)表示した後、もしくはユーザが確認釦を操作した後には消去することで、視聴をさまたげない。
(A-3)上記のメッセージ表示は頻繁に表示されることで視聴を妨げることがないよう表示回数を抑制する(一日に1回、最初の起動時のみ表示する等)
(A-4)受信機の初期設定時にもカード識別のバージョンを判定して表示する。(受信機を起動した際にカードID情報取得コマンド/レスポンスで「カード識別のバージョン」を得て“001”又は“002”の場合に、「受信機に同梱されている新しいICカードを装着してご使用ください。古いカードを使い続けると、放送の受信ができなくなる場合があります。」のメッセージを表示する。
【0090】
なお、図面に示した解析画面などに表示される条件パラメータやそれらに対する選択肢、値、評価指標などの名称や定義、種類などは、本実施形態において一例として示したものであり、本実施形態に示されるものに限定されるものではない。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、各実施形態における技術要素を別の実施形態に適用することができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また、複数の実施形態を組み合わせてもよく、この組み合わせで構成される実施例も発明の範疇である。
【0092】
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。ブロック図においては、結線されていないブロック間もしくは、結線されていても矢印が示されていない方向に対してもデータや信号のやり取りを行う場合もある。フローチャート、シーケンスチャートなどに示す処理は、ICチップ、デジタル信号処理プロセッサ(Digital Signal ProcessorまたはDSP)などのハードウェアもしくはマイクロコンピュータを含めたコンピュータなどで動作させるソフトウェア(プログラムなど)またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現してもよい。また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
100・・・放送局、101・・・放送局サーバ、102・・・第1のセキュリティ機能、103・・・第1の基本機能、120・・・サービス事業者装置、140・・・受信機、141・・・第2の基本機能、142・・・通信制御部、143・・・第2のセキュリティ機能、144・・・アプリケーション管理機能、145・・・API、146・・・アプリケーション、160・・・表示器、162・・・HDD、201・・・映像エンコーダ、302・・・デスクランブラ、303・・・CASモジュール、303a・・・ICカードリーダライタ、304・・・デマルチプレクサ、306・・・映像デコーダ、309・・・解析部、330・・・制御部、327・・・表示制御部、328・・・表示器、329・・・スピーカ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13