(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】現場作業支援システム及び現場作業支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240122BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240122BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023173296
(22)【出願日】2023-10-05
【審査請求日】2023-10-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔀 和明
(72)【発明者】
【氏名】山保 成仁
(72)【発明者】
【氏名】高岡 靖
(72)【発明者】
【氏名】宮辺 豊一
(72)【発明者】
【氏名】大窪 隆央
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-227561(JP,A)
【文献】特開2007-137658(JP,A)
【文献】特開2017-138652(JP,A)
【文献】特開2015-075792(JP,A)
【文献】特開2006-264889(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2326507(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場において作業員が作業を行う作業対象機器ごとに付与されたコードに基づき、前記作業対象機器に対する作業項目、及び、前記作業項目に対応して前記作業員が実際に行った作業内容を入力する作業報告入力欄を含む作業報告書を前記作業現場において表示す
る現場作業支援システム
であって、
前記現場作業支援システムは、
前記作業員が操作する端末装置及び前記作業現場から離れて位置する管理装置を備え、
前記端末装置は、
前記コードを読み取る読取り部を備え、
前記読取り部が読み取った前記コードに含まれる現場情報及び作業対象機器情報とともに、自身を特定する端末情報を、広域通信網を介して前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、
前記広域通信網を介して、前記端末装置から前記端末情報、前記現場情報及び前記作業対象機器情報を受信し、
前記現場情報及び前記作業対象機器情報に基づく作業項目を作業順番に配列し、それぞれの前記作業項目に対応付けて前記作業報告入力欄を配列して所定のフォーマットで作業報告書を作成し、
前記作成した作業報告書を、前記広域通信網を介して前記端末情報が特定する前記端末装置に送信すること、
を特徴とする現場作業支援システム。
【請求項2】
前記管理装置は、
前記現場情報及び前記作業対象機器情報を検索キーとして、前記現場情報及び前記作業対象機器情報の組み合わせに関連付けられた前記作業項目を、前記管理装置の記憶部に記憶されている作業報告書データベースから抽出すること、
を特徴とする請求項
1に記載の現場作業支援システム。
【請求項3】
前記端末装置は、
前記作業報告書を受信すると、前記作業報告書を前記端末装置の表示部に表示し、
前記作業報告書内のすべての前記作業報告入力欄に前記作業内容が入力されると、作業後作業報告書を作成し、
送信指示を受け付けると、前記現場情報、前記作業対象機器情報、前記作業後作業報告書、及び、前記送信指示を受け付けた日付を示す日付情報を、前記広域通信網を介して前記管理装置に送信すること、
を特徴とする請求項
2に記載の現場作業支援システム。
【請求項4】
前記管理装置は、
前記現場情報、前記作業対象機器情報、前記作業後作業報告書、及び、前記日付情報を受信すると、前記作業後作業報告書に、前記現場情報、前記作業対象機器情報及び前記日付情報を関連付けて、前記管理装置の記憶部に記憶されている作業後作業報告書データベースに記憶すること、
を特徴とする請求項
3に記載の現場作業支援システム。
【請求項5】
前記端末装置は、
前記現場情報、前記作業対象機器情報及び前記日付情報の組み合せである要求信号、並びに、報告書要求指令を受け付けると、前記要求信号、前記報告書要求指令及び前記端末情報を、前記広域通信網を介して前記管理装置に送信すること、
を特徴とする請求項
4に記載の現場作業支援システム。
【請求項6】
前記管理装置は、
前記要求信号及び前記報告書要求指令を受信すると、前記要求信号に含まれるすべての情報のAND条件を検索キーとして、前記検索キーに関連付けられた前記作業後作業報告書を前記作業後作業報告書データベースから抽出し、
前記抽出した作業後作業報告書を、前記日付情報に基づいて時系列に並べ、
前記時系列に並べた作業後作業報告書を、前記広域通信網を介して前記端末装置に送信すること、
を特徴とする請求項
5に記載の現場作業支援システム。
【請求項7】
前記端末装置は、
前記作業対象機器の近傍に貼付されたシール材に印刷された前記コードを読み取ること、又は、前記作業対象機器以外の機器に関するコードも含めて印刷されたコードシートから前記コードを読み取ること、
を特徴とする請求項
1に記載の現場作業支援システム。
【請求項8】
作業現場において作業員が作業を行う作業対象機器ごとに付与されたコードに基づき、前記作業対象機器に対する作業項目、及び、前記作業項目に対応して前記作業員が実際に行った作業内容を入力する作業報告入力欄を含む作業報告書を前記作業現場において表示する
現場作業支援システムによる現場作業支援方法
であって、
前記現場作業支援システムは、
前記作業員が操作する端末装置及び前記作業現場から離れて位置する管理装置を備え、
前記端末装置は、
前記コードを読み取るステップと、
読み取った前記コードに含まれる現場情報及び作業対象機器情報とともに、自身を特定する端末情報を、広域通信網を介して前記管理装置に送信するステップと、
を実行し、
前記管理装置は、
前記広域通信網を介して、前記端末装置から前記端末情報、前記現場情報及び前記作業対象機器情報を受信するステップと、
前記現場情報及び前記作業対象機器情報に基づく作業項目を作業順番に配列し、それぞれの前記作業項目に対応付けて前記作業報告入力欄を配列して所定のフォーマットで作業報告書を作成するステップと、
前記作成した作業報告書を、前記広域通信網を介して前記端末情報が特定する前記端末装置に送信するステップと、
を実行すること、
を特徴とする現場作業支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場作業支援システム及び現場作業支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、作業現場において作業対象機器に対する作業を行う作業員を支援するコンピュータが一般的に普及している。
【0003】
特許文献1の保守点検管理システムは、保守対象機器が設置された現場で保守点検作業を行う保守員が所持する情報発信機から発信される信号に基づいて、当該保守員が保守点検作業を行う現場を特定し、特定された現場の保守対象機器の仕様に応じた点検項目を作成するとともに、該点検項目を現場の情報発信機に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の保守点検管理システムは、作業員がある作業現場において特定の種類の機器(エレベータ)を点検し、その後、別の作業現場において同種の機器を点検することを前提にしている。そして、当該システムは、作業員に対し、機器の仕様に応じた作業手順を示す。
【0006】
特許文献1の保守点検システムは、作業対象機器が1種類であれば有用である。しかしながら、同じ作業現場において複数種類の作業対象機器が存在する場合に当該システムは対応できない。さらに、当該システムは、作業員が実際に行った作業内容に基づき報告書を作成するものではない。
そこで、本発明は、作業現場において作業員が効率的に作業を行い、作業報告書を作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の現場作業支援システムは、作業現場において作業員が作業を行う作業対象機器ごとに付与されたコードに基づき、前記作業対象機器に対する作業項目、及び、前記作業項目に対応して前記作業員が実際に行った作業内容を入力する作業報告入力欄を含む作業報告書を前記作業現場において表示する現場作業支援システムであって、前記現場作業支援システムは、前記作業員が操作する端末装置及び前記作業現場から離れて位置する管理装置を備え、前記端末装置は、前記コードを読み取る読取り部を備え、前記読取り部が読み取った前記コードに含まれる現場情報及び作業対象機器情報とともに、自身を特定する端末情報を、広域通信網を介して前記管理装置に送信し、前記管理装置は、前記広域通信網を介して、前記端末装置から前記端末情報、前記現場情報及び前記作業対象機器情報を受信し、前記現場情報及び前記作業対象機器情報に基づく作業項目を作業順番に配列し、それぞれの前記作業項目に対応付けて前記作業報告入力欄を配列して所定のフォーマットで作業報告書を作成し、前記作成した作業報告書を、前記広域通信網を介して前記端末情報が特定する前記端末装置に送信すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業現場において作業員が効率的に作業を行い、作業報告書を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】現場作業支援システムの構成を説明する図である。
【
図2】二次元コードを作業対象機器の近傍に貼付した状態を示す図である。
【
図4】端末装置による二次元コード及び端末情報の送信を説明する図である。
【
図5】作業報告書データベースの一例を示す図である。
【
図6】作業後作業報告書データベースの一例を示す図である。
【
図8】作業報告書準備処理手順のフローチャートである。
【
図9】作業後作業報告書作成処理手順のフローチャートである。
【
図10】作業後作業報告書表示処理手順のフローチャートである。
【
図11】現場作業支援システムの端末装置及び管理装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以降において、本発明の実施形態(“本実施形態”という)を、図等を使用して詳細に説明する。
【0011】
図1は、現場作業支援システム1の構成を説明する図である。現場作業支援システム1は、端末装置2及び管理装置3から構成される。端末装置2は、作業現場8において作業対象機器(
図1では図示せず)に対して作業を行う作業員によって携帯される。管理装置3は、作業現場8から離れて位置する管理室9等に配される。端末装置2及び管理装置3は、広域通信網4を介して接続されている。
【0012】
端末装置2は、一般的なPDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン等である。端末装置2は、一方片面にディスプレイ等の表示部を備え、他方片面にカメラ等の読み取り部(図示せず)を備える。端末装置2は、その他にも、処理部(Central preprocess Unit)、主記憶装置、補助記憶装置、通信装置等、コンピュータが一般的に備える構成(図示せず)を備えている。
【0013】
管理装置3は、一般的なコンピュータであり、キーボード等の入力部、ディスプレイ等の出力部を備える。管理装置3は、その他にも、処理部、主記憶装置、補助記憶装置、通信装置等、コンピュータが一般的に備える構成(図示せず)を備えている。
【0014】
端末装置2の読み取り部は、作業対象機器ごとに付与された二次元コードを読み取る。端末装置2は、二次元コードに含まれる現場情報及び作業対象機器情報、並びに、端末装置に付与された端末情報を、広域通信網4を介して管理装置3に送信する。管理装置3は、これらを受信する。なお、ここで二次元コードは、一般的なコードの代表例である。一般的な“コード”は、二次元コード、バーコード、文字、数字、記号等を使用したその他のコードを含む概念である。
【0015】
管理装置3は、端末装置2から受信した現場情報及び作業対象機器情報に基づき、作業員が作業を行うことを支援する作業報告書を作成し、作成した作業報告書を、受信した端末情報が特定する端末装置2に送信する。作業報告書とは、作業項目ごとに作業報告入力欄を設けた入力用のフォーマット(詳細後記)である。作業員は、作業報告書に記載された作業項目に従って作業するとともに、作業内容、作業結果等を作業報告書の作業報告入力欄に入力し、管理装置3に報告する。端末情報は、すべての作業現場8における端末装置2を一意に特定する。作業対象機器情報は、同じ作業現場8における作業対象機器を一意に特定する。
【0016】
図2は、二次元コード6を作業対象機器5の近傍に貼付した状態を示す図である。
図2での作業対象機器5は、電力制御装置である。しかしながら、これは、あくまでも一例であり、本発明の作業対象機器5は、作業員による保守、点検、監視、清掃、制御等の対象となり得るあらゆる種類の機器である。
【0017】
作業対象機器5には、二次元コード6が付与されている。二次元コード6は、シール材等に印刷されたうえで作業対象機器5に直接貼付されてもよいし、作業対象機器5の近傍(壁面等)に貼付されてもよい。二次元コード6には、もともとは文字列、数字、記号等である作業現場情報及び作業対象機器情報が二次元コード化されたうえで記憶されている(破線内)。作業現場情報とは、例えば“第一作業現場”である。作業対象機器情報とは、例えば“作業対象機器A”である。
【0018】
図3は、二次元コードシート7を説明する図である。作業現場8に配されるすべての作業対象機器5に付与される二次元コード6は、作業現場8ごとに一括して二次元コードシート7(大型のシール材等)に印刷されてもよい。但し、この場合、個々の二次元コード6と作業対象機器5との対応関係が作業員にわかるように、それぞれの二次元コード6がどの作業対象機器5に付与されたものかを示す情報を、二次元コードシート7上に印刷する必要がある。
【0019】
図3の上図は、第一の作業現場8に配される作業対象機器5についての二次元コード6を印刷した二次元コードシート7の例であり、下図は、第二の作業現場8に配される作業対象機器5についての二次元コード6を印刷した二次元コードシート7の例である。二次元コード6に含まれる情報は、
図2の場合と同様である。前記した対応関係がわかるように、各二次元コード6の上に、“第一作業現場 作業対象機器A”等が印刷されている。この対応関係を示す情報は、結局、作業現場情報及び作業対象機器情報である。
【0020】
例えば“作業対象機器A”がある作業員にとっての作業対象機器5であり、他の機器は、当該作業員にとっての作業対象機器5ではない場合もある。しかしながら、当面作業の対象とならない機器を含め、それらの二次元コード6を1か所にまとめて貼付しておくと、複数の二次元コード6を連続的に読み取る作業性が向上する。
【0021】
以降、端末装置2及び管理装置3の機能及び動作について説明する。以下に記載する端末装置2の機能は、当該機能を発揮するように予め作成されたプログラムが、処理部の制御のもと、補助記憶装置から主記憶装置に読み出されることによって実現される。管理装置3の機能についても同様である。
【0022】
端末装置2は、次に示す5つの機能を備える。
〈第一の機能〉
・読み取り部を介して、二次元コード6を読み取り、二次元コード6に含まれる現場情報及び作業対象機器情報を抽出する機能。
・抽出された現場情報及び作業対象機器情報を表示部に表示する機能。
・端末情報並びに抽出された現場情報及び作業対象機器情報を関連付けて、広域通信網4を介して管理装置3に送信する機能。説明は、一旦、
図4に移る。
【0023】
図4は、端末装置2による二次元コード及び端末情報の送信を説明する図である。この例では、端末装置2は、読み取り部を介して、作業対象機器5に貼付されているシール材に印刷された二次元コード6を読み取る。端末装置2は、二次元コード6に含まれる現場情報“第一作業現場”及び作業対象機器情報“作業対象機器A”、並びに、二次元コード6を読み取った端末装置2を特定する端末情報を、広域通信網4を介して管理装置3に送信する。なお、端末情報は、重複がなければ、端末装置固有のものではなく任意に設定したものでもよい。端末装置2の機能の説明に戻る。
【0024】
〈第二の機能〉
・広域通信網4を介して、管理装置3から作業報告書を受信する機能。
・受信した作業報告書を表示部に表示する機能。
【0025】
〈第三の機能〉
・表示された作業報告書に含まれるそれぞれの作業項目に対応する作業報告入力欄に対して作業員が作業内容、作業結果等を入力するのを受け付ける機能。
・すべての作業報告入力欄に作業内容、作業結果等が入力されると、作業後作業報告書を作成する機能。
ここでの作業後作業報告書とは、入力済みの作業報告書である。
・広域通信網4を介して、作業した日付情報及び端末情報とともに、作業後作業報告書を管理装置3に送信する機能。
【0026】
〈第四の機能〉
・現場情報、作業対象機器情報及び日付情報のうち1つ以上の信号を組合せて構成する要求信号、並びに、報告書要求指令を受け付ける機能。
・端末情報、要求信号及び報告書要求指令を、広域通信網4を介して管理装置3に送信する機能。
【0027】
〈第五の機能〉
・広域通信網4を介して、管理装置3から作業後作業報告書を受信する機能。
・受信した作業後作業報告書を、日付情報順に表示部に表示する機能。
【0028】
管理装置3の補助記憶装置(記憶部)は、作業報告書データベース11(
図5)及び作業後作業報告書データベース12(
図6)を格納する。
【0029】
図5は、作業報告書データベース11の一例を示す図である。
図5に示すように、作業報告書データベース11は、現場情報、作業対象機器情報、作業対象機器に対する複数の作業項目を、相互に関連付けて予め作業前に記憶している。
【0030】
作業報告書データベース11を見ると、例えば以下のことがわかる。
・“第一作業現場”及び“第二作業現場”という2箇所の作業現場8が存在する。
・“作業対象機器A”、“作業対象機器B”、“作業対象機器C”及び“作業対象機器D”という4種類の作業対象機器5が存在する。
・作業現場(現場情報)及び作業対象機器(作業対象機器情報)の組み合わせに対し複数の作業項目が関連付けられている。
・作業項目は、作業現場ごと、作業対象機器ごとに異なる。
・作業項目は、作業の具体的内容を示す文字列であり、“作業○○○”のように、通し番号が付されている。この通し番号は、複数の作業現場及び複数の作業対象機器を通した作業順番である。
【0031】
図6は、作業後作業報告書データベース12の一例を示す図である。
図6に示すように、作業後作業報告書データベース12は、現場情報、作業対象機器情報、日付情報及び作業後作業報告書を、相互に関連付けて記憶している。なお、これらの情報は、作業後に書き込まれる。
【0032】
作業後作業報告書データベース12を見ると、例えば以下のことがわかる。
・“第一作業現場”に配された“作業対象機器A”に対し“yyyy1年mm1月dd1日”に、ある作業員が作業を行った。
・作業員は、指定されたフォーマットを有する作業報告書の作業報告入力欄に対して、作業内容、作業結果等を入力した。
・その結果、入力済の“作業後作業報告書一A”が完成した。
【0033】
管理装置3は、次に示す3つの機能を備える。
〈第一の機能〉
・広域通信網4を介して、端末装置2から端末情報、現場情報及び作業対象機器情報を受信する機能。
・受信した現場情報及び作業対象機器情報のAND条件(論理積条件)を検索キーとして、作業報告書データベース11から、当該検索キーに関連付けられたすべての作業項目を抽出する機能。
・現場情報、作業対象機器情報、及び、抽出したすべての作業項目を作業順番に配列して構成する作業指示情報を、所定の形式にフォーマット(
図7参照)して作業報告書を生成する機能。
・作成した作業報告書を、広域通信網4を介して端末情報が特定する端末装置2に送信する機能。説明は、一旦、
図7に移る。
【0034】
図7は、作業報告書13の一例を示す図である。作業報告書13は、現場情報欄、日付情報欄、作業員情報欄、作業対象機器情報欄及び作業指示情報欄を有する。作業指示情報欄は、前記したように、作業対象機器5に対して行うべき複数の作業項目(作業111等)を作業順番に配列している。
【0035】
例えば“作業111”には、“電力制御盤Aの前面扉の電力量メータ監視部分に汚れが付着している場合、布でふき取る。間違っても洗剤をかけてはならない。”等の文字列が関連付けられている。作業員が“作業111”の箇所を押下すると、このような文字列が表示される。
【0036】
個々の作業項目(作業111、作業112、・・・)に関連付けて、作業員が作業内容及び作業結果を入力する作業報告入力欄が用意されている。作業が行われる前の段階では、作業報告入力欄は、空欄である。作業員は、作業報告入力欄に、例えば“メータ値を明確に視認できる程度に汚れをふき取った。汚れは、排気ガスによるものと思われる。”等の文字列を作業内容、作業結果等として入力する。
【0037】
1つの作業現場8に、複数種類の作業対象機器5が存在する場合もある。この場合、作業報告書13は、“作業対象機器Bについての作業指示情報”の欄、“作業対象機器Cについての作業指示情報”の欄、・・・を有することになる。さらに、作業員が複数の作業現場8を巡回する場合もある。この場合、作業報告書13は、“第一作業現場”の頁、“第二作業現場”の頁、・・・を有することになる。作業現場8、作業対象機器5及び作業項目は、作業順番に並んでいる。管理装置3の機能の説明に戻る。
【0038】
〈第二の機能〉
・広域通信網4を介して、端末装置2から端末情報、日付情報、現場情報、作業対象機器情報及び作業後作業報告書を受信する機能。
・受信した端末情報、日付情報、現場情報、作業対象機器情報及び作業後作業報告書を相互に関連付けて作業後作業報告書データベース12に格納する機能。
【0039】
〈第三の機能〉
・広域通信網4を介して、端末装置2から要求信号及び報告書要求指令を受信する機能。
・受信した要求信号を検索キーとして、作業後作業報告書データベース12から、当該検索キーに関連付けられた作業後作業報告書を抽出する機能。
・抽出した作業後作業報告書を、広域通信網4を介して端末情報が特定する端末装置2に送信する機能。
【0040】
現場作業支援システム1は、端末装置2及び管理装置3を使用し、次のように現場作業を支援する。以降、処理の流れに沿って、作業報告書準備処理手順、作業後作業報告書作成処理手順、及び、作業後作業報告書表示処理手順を説明する。
【0041】
(作業報告書準備処理手順)
図8は、作業報告書準備処理手順のフローチャートである。作業報告書準備処理手順は、端末装置2が作業対象機器5に付与された二次元コードを読み取り、所望の作業報告書13を管理装置3から受信し、端末装置2の表示部に表示する処理手順である。
【0042】
(ステップS101)
端末装置2は、作業員が端末装置2の電源を投入するのを受け付ける。すると、端末装置2は、作業員からの指示待ちの状態となる。指示待ちの状態において、端末装置2の読み取り部は、作業対象機器5に付与された二次元コード6を読み取る。
【0043】
(ステップS102)
端末装置2は、二次元コード6から、現場情報及び作業対象機器情報を抽出する。端末装置2は、抽出した現場情報及び作業対象機器情報を端末装置2の表示部に表示する。
【0044】
作業員は、表示部に表示された情報が、自身が作業を行う機器を示しているか否かを確認することができる。読み取り部は、読み取り部と二次元コード6との間の距離が所定の値以下になったことを契機として、自動的に二次元コード6を読み取ってもよい。読み取り部は、作業員が表示部に表示された所定のボタンを押下したことを契機として、二次元コード6を読み取ってもよい。
【0045】
(ステップS103)
端末装置2は、抽出した現場情報及び作業対象機器情報を、広域通信網4を介して、端末情報とともに管理装置3に送信する。端末装置2は、現場情報及び作業対象機器情報が抽出されたことを契機として、自動的にこれらを送信してもよい。端末装置2は、作業員が表示部に表示された所定のボタンを押下したことを契機にとして、これらを送信してもよい。
【0046】
(ステップS104)
管理装置3は、指示待ち状態で待機している間に、広域通信網4を介して、端末装置2から端末情報、現場情報及び作業対象機器情報を受信する。すると、管理装置3は、現場情報及び作業対象機器情報のAND条件を検索キーとして、作業報告書データベース11から、当該検索キーに関連付けられたすべての作業項目を抽出する。
【0047】
(ステップS105)
管理装置3は、現場情報、作業対象機器情報、及び、抽出したすべての作業項目を作業順番に配列して構成する作業指示情報を、
図7に示すように、所定の形式にフォーマットして作業報告書13を作成する。そして、管理装置3は、生成した作業報告書13を、広域通信網4を介して、受信した端末情報が特定する端末装置2に送信する。
【0048】
(ステップS106)
端末装置2は、広域通信網4を介して、管理装置3から作業報告書13を受信すると、受信した作業報告書13を端末装置2の表示部に表示する。すると、端末装置2は、それぞれの作業項目に対応付けられた作業報告入力欄への入力待ち状態となる。その後、作業報告者準備処理手順を終了する。
【0049】
(作業後作業報告書作成処理手順)
図9は、作業後作業報告書作成処理手順のフローチャートである。作業後作業報告書作成処理手順は、端末装置2が、作業報告書13に対し作業員が作業内容等を書き込むのを受け付けて作業後作業報告書を作成し、管理装置3に送信して作業後作業報告書データベース12に格納する処理手順である。
【0050】
(ステップS201)
端末装置2は、入力待ち状態において、作業員が作業報告書13の作業報告入力欄に作業内容等を入力するのを受け付ける。作業員がすべての作業報告入力欄に対する入力を完了すると、端末装置2は、作業後作業報告書(入力済みの作業報告書)を作成する。
【0051】
(ステップS202)
端末装置2は、広域通信網4を介して、現場情報、作業した日付情報、端末情報及び作業対象機器情報とともに、作成した作業後作業報告書を管理装置3に送信する。端末装置2は、作業員がすべての作業報告入力欄への入力を完了したことを契機として、自動的に作業後作業報告書を送信してもよい。また、端末装置2は、作業員が端末装置2の表示部に表示されたボタンを押下したこと(送信指示)を契機として、作業後作業報告書を送信してもよい。この場合、送信される日付情報は、送信指示を受け付けた日付を示す日付情報である。
【0052】
端末装置2は、表示部に表示した作業順番通りに作業員が作業内容等を入力しない場合、作業員が次の作業報告入力欄に作業内容等を入力できないようにインタロックをかけてもよい。端末装置2は、作業員がすべての作業報告入力欄に対して作業内容等を入力しない場合、作業後作業報告書を送信できないようにインタロックをかけてもよい。これにより、作業員の熟練度に左右されず、作業対象機器に対して、必要な作業項目を順番に漏れなく行うことができる。
【0053】
(ステップS203)
管理装置3は、広域通信網4を介して、端末装置2から日付情報、端末情報、現場情報、作業対象機器情報及び作業後作業報告書を受信する。すると、管理装置3は、日付情報、端末情報、現場情報及び作業対象機器情報を作業後作業報告書に関連付けて、作業後作業報告書データベース12に格納する。その後、作業後作業報告書作成処理手順を終了する。
【0054】
管理装置3は、日付情報、現場情報及び作業対象機器情報のうちの1つを検索キーとして、又は、これらの情報の組み合わせを検索キーとして、作業後作業報告書データベース12から所望の作業後作業報告書を抽出することができる。例えば、管理装置3は、現場情報及び作業対象機器情報のAND条件を検索キーとすることができる。この場合、管理装置3は、現場情報が特定する作業現場において、作業対象機器情報が特定する作業対象機器に対して作業員が作業した作業内容、作業結果等が入力された、すべての日付の作業後作業報告書を抽出することができる。
【0055】
また、管理装置3は、現場情報、日付情報及び作業対象機器情報のAND条件を検索キーとすることができる。この場合、管理装置3は、現場情報が特定する作業現場において、作業対象機器情報が特定する作業対象機器に対して作業員が作業した作業内容、作業結果等が入力された作業後作業報告書のうち、日付情報が特定するものだけを抽出することができる。
【0056】
(作業後作業報告書表示処理手順)
図10は、作業後作業報告書表示処理手順のフローチャートである。作業後作業報告書表示処理手順は、端末装置2が、作業員の要求に応じて、既存の(記入済の)作業後作業報告書を端末装置2の表示部に表示する処理手順である。
【0057】
(ステップS301)
端末装置2は、作業員から要求信号及び報告書要求指令を受付けると、要求信号、報告書要求指令及び端末情報を、広域通信網4を介して管理装置3に送信する。要求信号とは、作業員が入力した現場情報、日付情報(なくてもよい)及び作業対象機器情報の組み合わせである。報告書要求指令とは、要求信号に関連付けられた作業後作業報告書を要求する旨の指令である。
【0058】
いま例えば、作業員は、自身が行うべき作業の参考情報として、ある作業現場8に配されたある種類の作業対象機器5に関する作業後作業報告書を端末装置2の表示部に表示したいと考えている。このとき、作業員は、現場情報及び作業対象機器情報を端末装置2に入力し、報告書要求指令を端末装置2に付与(入力)する。すると、端末装置2は、現場情報及び作業対象機器情報を組み合せて要求信号を作成し、端末情報及び報告書要求指令とともに広域通信網4を介して要求信号を管理装置3に送信する。
【0059】
他の例として、作業員は、同様の動機で、ある作業現場8に配されたある種類の作業対象機器5についての、所望の日付のみの作業後作業報告書を端末装置2の表示部に表示したいと考えている。このとき、作業員は、現場情報、日付情報及び作業対象機器情報を端末装置2に入力し、報告書要求指令を端末装置2に付与する。すると、端末装置2は、現場情報、日付情報及び作業対象機器情報を組み合せて要求信号を作成し、端末情報及び報告書要求指令とともに広域通信網4を介して要求信号を管理装置3に送信する。
【0060】
(ステップS302)
管理装置3は、広域通信網4を介して端末装置2から要求信号、端末情報及び報告書要求指令を受け付ける。すると、管理装置3は、要求信号に関連付けられた作業後作業報告書を作業後作業報告書データベース12から抽出し、抽出した作業後報告書を、要求信号を送信してきた端末装置2に広域通信網4を介して送信する。
【0061】
管理装置3は、要求信号に含まれるすべての信号のAND条件を検索キーとして作業後作業報告書を抽出し、要求信号を送信してきた端末装置に送信する。例えば、要求信号は、現場情報及び作業対象機器情報を含むものとする。このとき、管理装置3は、現場情報が特定する作業現場8に配された、作業対象機器情報が特定する作業対象機器5についてのすべての日付の作業後作業報告書を抽出し、端末情報が特定する端末装置2に、抽出した作業後作業報告書を送信する。
【0062】
他の例として、要求信号は、現場情報、作業対象機器情報及び日付情報を含むものとする。このとき、管理装置3は、現場情報が特定する作業現場8に配された、作業対象機器情報が特定する作業対象機器5についての、日付情報が特定する日付の作業後作業報告書を抽出し、端末情報が特定する端末装置2に、抽出した作業後作業報告書を送信する。このとき、管理装置3は、作業後作業報告書を、日付情報に基づいて時系列に並べたうえで送信する。
【0063】
(ステップS303)
端末装置2は、広域通信網4を介して作業後作業報告書を受信すると、端末装置2の表示部に受信した作業後作業報告書を表示する。作業後作業報告書が複数ある場合、端末装置2は、作業後作業報告書を日付順に並び替えて順番に表示すること、及び、作業員が指定した日付の作業後作業報告書を選択して表示することができる。その後、作業後作業報告書表示処理手順を終了する。
【0064】
図11は、現場作業支援システム1の端末装置2及び管理装置3のハードウェア構成図である。
端末装置2及び管理装置3は、CPU901と、RAM902と、ROM903と、HDD904と、通信I/F905と、入出力I/F906と、メディアI/F907とを有するコンピュータ900として構成される。通信I/F905は、外部の通信装置915と接続される。入出力I/F906は、入出力装置916と接続される。メディアI/F907は、記録媒体917からデータを読み書きする。さらに、CPU901は、RAM902に読み込んだプログラム(アプリケーション、又は、その略称のアプリとも呼ばれる)を実行することにより、各処理部を改善制御する。そして、このプログラムは、通信回線を介して配布したり、CD-ROM等の記録媒体917に記録して配布したりすることも可能である。
【0065】
(実施形態の効果)
(1)現場作業支援システムは、複数種類の作業対象機器を作業するための作業報告書を表示することができる。
(2)現場作業支援システムは、作業現場における端末装置が読み取った現場情報及び作業対象機器情報に基づき、遠隔地にある管理装置が的確に作業報告書を作成することを可能にする。
(3)現場作業支援システムの管理装置は、現場情報及び作業対象機器情報の組み合わせに対して作業項目を記憶しておくことができる。
(4)現場作業支援システムの端末装置は、作業報告書を表示した状態で作業員から作業内容の入力を受け付け、すべての作業報告入力欄に対し入力が完了した後に、作業後報告書を作成することができる。
【0066】
(5)現場作業支援システムの管理装置は、後日の照会に備えて、作業後作業報告書を現場情報等に関連付けて記憶しておくことができる。
(6)現場作業支援システムの端末装置は、作業後作業報告書を要求するために、作業員から要求信号及び報告書要求指令を受け付けることができる。
(7)現場作業支援システムの管理装置は、要求信号に基づき的確に複数の作業後作業報告書を抽出し、これらを時系列に並べることができる。
(8)現場作業支援システムの端末装置は、作業対象機器の近傍に貼付されたシール状貼付物に印刷されたコードを読み取ることができる。
【0067】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 現場作業支援システム
2 端末装置
3 管理装置
4 広域通信網
5 作業対象機器
6 二次元コード
7 二次元コードシート
8 作業現場
9 管理室
11 作業報告書データベース
12 作業後作業報告書データベース
13 作業報告書(フォーマット)
【要約】
【課題】作業現場において作業員が効率的に作業を行い、作業報告書を作成する。
【解決手段】本発明の現場作業支援システムは、作業現場において作業員が作業を行う作業対象機器ごとに付与されたコードに基づき、前記作業対象機器に対する作業項目、及び、前記作業項目に対応して前記作業員が実際に行った作業内容を入力する作業報告入力欄を含む作業報告書を前記作業現場において表示すること、
を特徴とする。
【選択図】
図4